説明

混合蔬菜の製造方法

本発明は混合蔬菜を製造する方法に関するもので、蔬菜原料を燐酸と塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液に浸漬した後に水分を除去し、各蔬菜原料を調味して混合した後に有機酸と天然抗菌剤を含む調味液を添加し真空包装して加熱殺菌処理することにより、長期間貯蔵が可能で新鮮な食感を維持する混合蔬菜の製造方法を提供する非常に優れた効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混合蔬菜を製造する方法に関し、より詳細には蔬菜原料を燐酸、塩化カルシウム、天然抗菌剤を含む溶液に浸漬し、有機酸および天然抗菌剤が含まれた調味液を添加して調味することにより蔬菜本然の新鮮な食感を生かしながら貯蔵性を向上させて冷蔵または常温で長期間保存できるようにした混合蔬菜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人参や桔梗には107CFU/g程度の微生物が存在し胞子を形成する耐熱性微生物も101CFU/g程度存在する。湯掻いた文豆萌やしや白山菊およびおたからこ等の山菜の場合にも102〜105CFU/g水準の微生物と101CFU/g程度の耐熱性微生物が存在する。また、乾燥された蕨の場合にも耐熱性微生物が102CFU/g以上存在する。
【0003】
従って、一般家庭で蔬菜を調理したときには微生物の完全な制御が不可能であるため、調理された蔬菜の貯蔵性が良くなく冷蔵保管をしても微生物の増殖が問題になる。また、市中に流通される湯掻き蔬菜および蔬菜を利用したおかず類においても同じ問題が発生する。
【0004】
このように、蔬菜類の長期貯蔵のためには微生物の制御が必須的であるが、蔬菜製品の特性上従来の方法を適用するには困難がある。微生物の増殖を抑制するために最も多く用いられるレトルト殺菌方法は121℃で4分以上の高温高圧処理を要するが、蔬菜のように組織が柔らな食品に適用するとき柔ら過ぎてぶよぶよと脆くなる短点がある。また、pHを4.2以下に低める方法があるが、蔬菜をそのまま食べるときには酸味があまり強いのでこれまた適用し難い難点がある。
【0005】
既存の方法には蔬菜にゲルマニウム化合物を適用する方法(韓国特許登録番号10-0050101-0000)やキトサン処理後乾燥する方法(韓国特許公開番号10-2003-0055223)等が鮮度および貯蔵性向上のために考案されたが、これら方法は直ちに食べられる製品を対象にしたものでなく、これらの方法で処理した後にも加熱調理後には既存の問題が発生するようになる。また、おかずにガンマ線を照査する方法(韓国特許登録番号10-0045869-0000)が考案されているが、放射線照査食品に対する消費者の受容度が非常に低いので商業化するには難しい問題点があった。
【0006】
茲に、本発明者は前記問題点を克服するために文豆萌やし、人参、蕨、桔梗、白山菊(山菜)などの蔬菜原料を燐酸、塩化カルシウム、天然抗菌剤を含む溶液に浸漬し有機酸および天然抗菌剤が含まれた調味液を添加して調味することにより蔬菜本然の新鮮な食感を生かしながら貯蔵性を向上させて冷蔵または常温で長期間保存できるようにした混合蔬菜の製造方法を提供することにより本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は貯蔵性が向上され食感が優れた混合蔬菜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は燐酸および塩化カルシウムと天然抗菌剤の混合溶液に蔬菜類を浸漬処理することにより原料の最初微生物水準を減少させ組織感を向上させることができるのを確認し、前記の通り前処理後に調理した蔬菜に有機酸と天然抗菌剤を含む調味液を入れて真空包装して加熱殺菌することにより高温高圧処理による食感低下を防止し微生物を制御できることを確認して達成した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は蔬菜原料を0.1〜0.3%の燐酸、0.02〜0.04%の塩化カルシウムおよび0.5〜1%の天然抗菌剤が添加された水溶液に浸漬する段階;浸漬が完了された蔬菜原料を夫々調味料などを添加して調理する段階;浸漬および調理が終わった蔬菜らを混合して一定量ずつ計量する段階;天然抗菌剤と有機酸が含まれた調味液を添加する段階;真空包装段階;および加熱殺菌処理する段階で構成される。
【0010】
本発明は混合蔬菜を製造するにおいて原料に存在する微生物を効果的に制御して微生物的安全性を確保して長期間貯蔵可能で新鮮な食感を維持できるようにする方法を提供する。
【0011】
本発明は蔬菜原料を燐酸、塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液に浸漬した後に水分を除去し、各蔬菜原料を調味して混合した後に有機酸と天然抗菌剤を含む調味液を添加し真空包装して加熱殺菌処理することを特徴とする長期間貯蔵が可能で新鮮な食感を維持する混合蔬菜の製造方法を提供する。
【0012】
より詳細には、本発明は蔬菜原料を0.1〜0.3%の燐酸、0.02〜0.04%の塩化カルシウムおよび0.5〜1%の天然抗菌剤を添加して製造した水溶液に2時間浸漬した後に脱水して適切な調理をして一定量ずつ包装し、これに有機酸と天然抗菌剤および各種の調味料を添加した調味液を一定量投入して真空包装し、100〜103℃で20〜30分間加熱殺菌処理する方法により、新鮮な食感を維持しながら常温および冷蔵で5個月間の長期保存が可能な製造方法を提供する。
【0013】
本発明で蔬菜原料は一般的に蔬菜原料として知られているものであれば何れも使用可能であるが、消費者の需要度などを考慮するとき、文豆萌やし、人参、蕨、桔梗および白山菊などの山菜を選択して用いるのが望ましい。
【0014】
本発明で文豆萌やし、人参、蕨、桔梗、白山菊などの蔬菜原料は燐酸、塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液に2時間浸漬することにより組織感を維持しながら原料の初期微生物水準を減少させる。
【0015】
前記燐酸、塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液は0.1〜0.3%の燐酸、0.02〜0.04%の塩化カルシウムおよび0.5〜1%の天然抗菌剤を含む水溶液であることを特徴とする。
【0016】
この際、燐酸および天然抗菌剤の濃度は処理しようとする製品の微生物水準によって調整する必要がある。
【0017】
初期微生物水準が低いときには燐酸0.1%、天然抗菌剤0.5%の濃度で適用することができ、初期微生物の水準が高まるほど燐酸、塩化カルシウムおよび天然抗菌剤の濃度を高めなければならない。しかし、燐酸、塩化カルシウムおよび天然抗菌剤は夫々製品の官能に影響を及ぼし得る酸味・苦味・悪臭があるので混合蔬菜の官能に影響を与えない最大濃度範囲で燐酸は0.3%まで、天然抗菌剤は1%まで使用するのが望ましい。
【0018】
本発明で天然抗菌剤はジャモン種子抽出物や植木鉢発酵液を主原料とするものを用いるのが望ましく、具体的な商品としてはジュオクリン{(株)大建ピーエンシー、韓国}がある。
【0019】
本発明で浸漬工程が終わった人参と桔梗は別途の調味料を添加し炒て調理するのが望ましく、文豆萌やし・蕨・白山菊などは塩と調味料を入れて和えるのが望ましい。しかし、前記蔬菜原料の浸漬後の調理過程は当業界に知られた一般的な方法により幾らでも変形可能である。
【0020】
本発明で浸漬および調理が終わった文豆萌やし・人参・蕨・桔梗および白山菊などは一定比率で混合した後、一定量ずつ耐熱性ポリプロピレンパウチに充填するのが望ましい。
【0021】
各蔬菜の混合比率は消費者の購買パターンによって任意選択可能であるが、文豆萌やし48重量%、人参20重量%、桔梗11重量%、白山菊11重量%および蕨10重量%にするのが望ましい。
【0022】
本発明で蔬菜の熱処理効果を高め貯蔵性を高めるために蔬菜が充填されたパウチに有機酸と天然抗菌剤を含む調味液を添加する。
【0023】
前記有機酸と天然抗菌剤を含む調味液は0.1〜0.5%の有機酸および0.1〜0.5%の天然抗菌剤が含まれた調味液であることを特徴とする。
【0024】
この際、有機酸と天然抗菌剤を夫々0.1〜0.5%および0.1〜0.5%に調整する理由は、有機酸と天然抗菌剤の抗菌効果を維持しながら有機酸から由来する酸味と天然抗菌剤から由来する苦味が製品の官能に影響を与えないようにするためである。
【0025】
調味液に含まれる有機酸の濃度は目標とする最終製品のpH水準によって調整する必要がある。この際、最終製品のpHを高めようとする場合には有機酸の濃度を低め、最終製品のpHを低めようとする場合には有機酸の濃度を高めれば良い。
【0026】
充填が終わったパウチを真空包装して内部の残存酸素による微生物の増殖を抑制する。
【0027】
真空包装されたパウチを100〜103℃で20〜30分間加熱殺菌処理して高温高圧による蔬菜組織の脆くなるのを防止しながら微生物を制御しえるようにする。次に冷却・乾燥過程を経て製品化される。
【0028】
前記の如き工程を経て製造した混合蔬菜は常温および冷蔵で5個月間長期保存が可能である。
【0029】
以下、本発明の構成に対する実験例と実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明の権利範囲が下記実験例と実施例にのみ限定されるのではない。
【0030】
[実験例1]
文豆萌やし、人参、蕨、桔梗、白山菊などの原料を対象区とし、0.2%の燐酸、0.02%の塩化カルシウムおよび0.7%の天然抗菌剤{ジュオクリン、(株)大建ピーエンシー}が添加された水溶液に2時間浸漬したものを実験区として夫々の微生物水準を検証した。
【0031】
前記提示した条件で処理した原料蔬菜の微生物水準を表1に示した。
【0032】
【表1】

【実施例1】
【0033】
文豆萌やし、人参、蕨、桔梗、白山菊を0.2%の燐酸、0.02%の塩化カルシウムおよび0.7%の天然抗菌剤{ジュオクリン、(株)大建ピーエンシー}が添加された水溶液に2時間浸漬した。
【実施例2】
【0034】
前記実施例1で前処理を済ました蔬菜の水分を除去した後、人参と桔梗夫々100gずつ別途に塩1gを入れ食用油で炒って調理した。文豆萌やし・蕨・白山菊は夫々100gずつに対し塩1g、大蒜1g、調味料{ダシダ、CJ(株)}0.3g、胡麻油0.1mLを入れて和えた。調理が終わった文豆萌やし・人参・蕨・桔梗および白山菊を同量で混合して耐熱性パウチに入れ0.3%の天然抗菌剤{ジュオクリン、(株)大建ピーエンシー}と0.3%の有機酸が含まれた調味液を添加した後に真空包装した。包装が完了した試料を103℃で30分間加熱殺菌処理して製品を完成した。この際、最終製品のpHは4.6であった。
【0035】
[実験例2]
実施例2で提示した条件で製造した混合蔬菜製品の初発微生物水準を検証した後、5個月間15℃および35℃で貯蔵しながら貯蔵期間中の微生物水準を検証した。その結果を表2に示した。
【0036】
【表2】

【0037】
[実験例3]
蔬菜原料の各工程別組織感の差異を把握し改善するために実施例1の条件で処理した原料と実施例2で製造された製品、そして内容物の構成は同じであるが121℃で4分間処理した試料のうち人参をテンシプレッサー(Tensipresser;Taketomo Inc.)を利用して組織感を分析した。
【0038】
前記提示した条件で測定した人参の組織感分析を表3に示した。前処理後103℃で30分間熱処理をしたときの硬度(hardness)が前処理を実施しなく熱処理条件が高い製品に比べて増加したのが分かった。
【0039】
【表3】

【0040】
[実験例4]
前記実施例2で製造した混合蔬菜をハッバン{CJ(株)}および唐辛子味噌ソース{(株)へチャンドル}と共に五目飯形態に作り一般消費者250人を対象にして官能検査を実施した。官能検査は製品の組織感、新鮮度、全体味の項目にして進行した。
【0041】
官能検査の結果、製品の組織感と全体味で良い反応を示した。その結果を表4に示した。
【0042】
【表4】

【0043】
[註]
1.官能検査の点数は5点尺度を用いた。
【0044】
2.非常に良い:5、良い:4、普通:3、悪い:2、非常に悪い:1で評価する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
前記説明の通り、本発明の混合蔬菜の製造方法は蔬菜原料の初期微生物を効果的に制御し、pHの調節および天然抗菌剤の使用により通常的なレトルトに比べて低温の熱処理で長期間貯蔵可能な混合蔬菜の製造が可能であり、また、長期間貯蔵しても脆くならなく新鮮な食感が維持される混合蔬菜を製造することができる非常に優れた効果があるので食品産業上非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による混合蔬菜の製造工程を示したフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔬菜原料を燐酸・塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液に浸漬した後に水分を除去して各蔬菜原料を調味して混合した後、有機酸と天然抗菌剤を含む調味液を添加し真空舗装して加熱殺菌処理することを特徴とする長期間貯蔵可能で新鮮な食感を維持する混合蔬菜の製造方法。
【請求項2】
前記蔬菜原料は文豆萌やし、人参、蕨、桔梗および白山菊などであることを特徴とする請求項1記載の長期間貯蔵可能で新鮮な食感を維持する混合蔬菜の製造方法。
【請求項3】
前記燐酸・塩化カルシウムおよび天然抗菌剤を含む水溶液は0.1〜0.3%の燐酸、0.02〜0.04%の塩化カルシウムおよび0.5〜1.0%の天然抗菌剤を含む水溶液であり、浸漬は2時間遂行することを特徴とする請求項1記載の混合蔬菜の製造方法。
【請求項4】
前記有機酸と天然抗菌剤を含む調味液は0.1〜0.5%の有機酸および0.1〜0.5%の天然抗菌剤が含まれた調味液であることを特徴とする請求項1記載の混合蔬菜の製造方法。
【請求項5】
前記加熱殺菌は100〜103℃で20〜30分間熱処理することを特徴とする請求項1記載の混合蔬菜の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−517620(P2008−517620A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538827(P2007−538827)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003579
【国際公開番号】WO2006/054837
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】