説明

混雑度測定装置

【構成】CPU14pは、平面を鳥瞰した状態を表すマップ画像をモニタ16に表示し、表示されたマップ画像上で1または2以上の矩形エリアを指定するドラッグ操作を入力装置18を通して操作者から受け付ける。カメラ12は、平面を捉える撮像面を有し、被写界像つまりカメラ画像を繰り返し出力する。CPU14pは、カメラ12から出力されたカメラ画像を取り込み、ドラッグ操作によって指定された1または2以上の矩形エリアにそれぞれ対応する1または2以上の測定エリアをカメラ画像に割り当てる。CPU14pはさらに、平面に存在する1または2以上の動体の混雑度をカメラ画像に割り当てられた測定エリア毎に測定する。
【効果】初期設定のための作業負担を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、混雑度測定装置に関し、特に平面を捉える撮像面を有するカメラから出力された被写界像に基づいて平面に存在する1または2以上の動体の混雑度を測定する、混雑度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、カメラは、人物が歩行する平面を斜め方向から捉える。カメラから出力された画像は、複数の動き処理領域に分割される。このとき、前方の被写界に割り当てられる動き処理領域のサイズは、後方の被写界に割り当てられる動き処理領域のサイズよりも大きくされる。画像の動きは、このような動き処理領域毎に検出され、かつ動き処理領域毎に設定された閾値と比較される。歩行する人物の混雑度は、こうして得られた比較結果に基づいて推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、動き処理領域の大きさを被写界の前後方向で異ならせる必要があるため、初期設定のための作業負担が増大するおそれがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、初期設定のための作業負担を抑制することができる、混雑度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う混雑度測定装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、平面を鳥瞰した状態を表す参照画像を再現する再現手段(S21)、平面を捉える撮像面を有するカメラ(12)から出力された被写界像を繰り返し取り込む取り込み手段(S1)、再現手段によって再現された参照画像上で指定された1または2以上の第1エリアにそれぞれ対応する1または2以上の第2エリアを取り込み手段によって取り込まれた被写界像に割り当てる割り当て手段(S25~S31, S35~S43)、および平面に存在する1または2以上の動体の混雑度を割り当て手段によって割り当てられた第2エリア毎に測定する処理を取り込み手段によって取り込まれた被写界像に基づいて実行する測定手段(S51~S69)を備える。
【0007】
好ましくは、測定手段は、取り込み手段によって取り込まれた被写界像から動きを示す動き画像を検出する動き画像検出手段(S53)、動き画像検出手段によって検出された動き画像のうち第2エリアに属する画像のサイズを算出するサイズ算出手段(S59~S61)、および第2エリアのサイズに対する測定手段によって測定されたサイズの割合を算出する割合算出手段(S63)を含む。
【0008】
さらに好ましくは、1または2以上の第1エリアの各々のサイズを正規化して正規化係数を算出する正規化手段(S33)がさらに備えられ、測定手段は割合算出手段によって算出された割合に正規化手段によって算出された正規化係数を掛け算する掛け算手段(S65)をさらに含む。
【0009】
好ましくは、1または2以上の第1エリアは平面によって仕切られる空間に設けられた1または2以上の装置(D1~D4)にそれぞれ対応し、測定手段によって測定された混雑度に基づいて1または2以上の装置の動作を制御する制御手段(S71)がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、平面は互いに直交するX軸およびY軸に沿って定義され、カメラから出力された被写界像は互いに直交するU軸およびV軸に沿って定義され、割り当て手段はXY座標系とUV座標系との対応関係を示す校正パラメータを参照して割り当て処理を実行する。
【0011】
さらに好ましくは、校正パラメータはX軸およびY軸の各々と直交するZ軸の長さ方向にオフセットを有する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、平面を鳥瞰した状態を表す参照画像上で第1エリアが指定されると、被写界像を参照した混雑度測定に利用される第2エリアが指定された第1エリアに対応して被写界像に割り当てられる。これによって、初期設定のための作業負担を抑制することができる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるカメラの設置状態の一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例のモニタに表示されるカメラ画像の一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例のモニタに表示されるマップ画像の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図7】(A)はマップ画像上での空調エリアの割り当て状態の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での空調エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図8】(A)はマップ画像上での空調エリアの割り当て状態の他の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での空調エリアの割り当て状態の他の一例を示す図解図である。
【図9】(A)はマップ画像上での空調エリアの割り当て状態のその他の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での空調エリアの割り当て状態のその他の一例を示す図解図である。
【図10】混雑度測定動作の一部を示す図解図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】(A)はマップ画像上での空調エリアの割り当て状態の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での空調エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0016】
図1を参照して、この発明の混雑度測定装置は、基本的に次のように構成される。再現手段1は、平面を鳥瞰した状態を表す参照画像を再現する。取り込み手段2は、平面を捉える撮像面を有するカメラ5から出力された被写界像を繰り返し取り込む。割り当て手段3は、再現手段1によって再現された参照画像上で指定された1または2以上の第1エリアにそれぞれ対応する1または2以上の第2エリアを取り込み手段2によって取り込まれた被写界像に割り当てる。測定手段4は、平面に存在する1または2以上の動体の混雑度を割り当て手段3によって割り当てられた第2エリア毎に測定する処理を取り込み手段2によって取り込まれた被写界像に基づいて実行する。
【0017】
平面を鳥瞰した状態を表す参照画像上で第1エリアが指定されると、被写界像を参照した混雑度測定に利用される第2エリアが指定された第1エリアに対応して被写界像に割り当てられる。これによって、初期設定のための作業負担を抑制することができる。
[実施例]
【0018】
図2を参照して、この実施例の混雑度測定装置10は、撮像面で捉えられた被写界を表す画像データを繰り返し出力するカメラ12を含む。カメラ12から出力された画像データは、画像処理回路14によって取り込まれ、CPU14pによってカメラ画像表示処理を施される。この結果、被写界を表す画像つまりカメラ画像がモニタ16に表示される。
【0019】
図3を参照して、カメラ12は、平面FS1を有する部屋の壁面上部に設置され、平面FS1を斜め上方から捉える。したがって、カメラ画像は、図4に示す要領でモニタ画面に表示される。図3および図4に示すように、平面FS1は互いに直交するX軸およびY軸によって定義され、カメラ画像は互いに直交するU軸およびV軸に沿って再現される。
【0020】
部屋の天井には、空調装置D1〜D4が既定の距離を隔てて設置される。空調装置D1〜D4の各々は、指定温度を有する空気を指定の風量で出力する。部屋の温度は、こうして出力された空気によって調整される。
【0021】
入力装置18の操作によって測定エリア設定モードが選択されると、CPU14pによって次の処理が実行される。
【0022】
まず、図5に示すマップ画像がモニタ16に表示される。マップ画像は、平面FS1を鳥瞰した状態を模式的に表す画像に相当する。マップ画像にはまた、空調装置D1〜D4をそれぞれ表すマークM1〜M4が、空調装置D1〜D4の位置に対応して表示される。マップ画像の表示が完了すると、設定済みの測定エリアの数が変数Kに設定される。なお、測定エリアが1つも設定されていなければ、変数Kの値は“0”に設定される。
【0023】
入力装置18に設けられたマウスポインタのドラッグ操作によって矩形エリアがマップ画像上で指定されると、変数Kがインクリメントされ、指定された矩形エリアを示すラインがマップ画像に描画される。
【0024】
矩形エリアを示すラインは、マークM2を囲むようにドラッグ操作が行われたとき図7(A)に示す要領で描画され、マークM3を囲むようにドラッグ操作が行われたとき図8(A)に示す要領で描画される。
【0025】
指定された矩形エリアの4隅にそれぞれ対応する4つのXY座標(X_1,Y_1),(X_2,Y_2),(X_3,Y_3)および(X_4,Y_4)は、変数Kの値に対応して図6に示すレジスタ14rに設定される。XY座標(X_1,Y_1)は変数Kに対応する1番目のカラムに記述され、XY座標(X_2,Y_2)は変数Kに対応する2番目のカラムに記述される。同様に、XY座標(X_3,Y_3)は変数Kに対応する3番目のカラムに記述され、XY座標(X_4,Y_4)は変数Kに対応する4番目のカラムに記述される。
【0026】
レジスタ14rにはまた、ドラッグ操作によって指定された矩形エリアの面積に対応する数値を示す正規化係数α_Kが記述される。正規化係数α_Kは、指定された矩形エリアの面積を単位面積で割り算することによって求められ、変数Kに対応してレジスタ14rに記述される。
【0027】
このようなレジスタ設定処理が完了すると、変数Lが“1”〜“4”の各々に設定される。変数Kに対応するL番目のカラムに記述されたXY座標(X_L,Y_L)は、数1に従ってUV座標(U_L,V_L)に変換される。
【数1】

【0028】
数1に示す校正パラメータP11〜P33は、平面FS1を定義するXY座標系とカメラ画像を定義するUV座標系との間で平面射影変換を行うための行列に相当する。したがって、平面FS1上のXY座標(X_L,Y_L)を数1に適用することで、カメラ画像上の対応するUV座標(U_L,V_L)が算出される。こうして変換されたUV座標(U_L,V_L)は、変換元のXY座標(X_L,Y_L)に対応してレジスタ14rに記述される。
【0029】
数1に従う変換処理は合計4回実行され、この結果、XY座標(X_1,Y_1),(X_2,Y_2),(X_3,Y_3)および(X_4,Y_4)にそれぞれ対応するUV座標(U_1,V_1),(U_2,V_2),(U_3,V_3)および(U_4,V_4)が算出される。変換処理が完了すると、UV座標(U_1,V_1),(U_2,V_2),(U_3,V_3)および(U_4,V_4)によって囲まれるエリアが測定エリアとして特定され、特定された測定エリアを示すラインがカメラ画像に描画される。カメラ画像を構成する複数の画素のうち測定エリアに属する画素の数は、変数Kに対応してレジスタ14rに記述される。
【0030】
したがって、測定エリアを定義するラインは、図7(A)に示す矩形エリアに対応して図7(B)に示す要領で描画され、図8(A)に示す矩形エリアに対応して図8(B)に示す要領で描画される。また、図7(B)に示すラインの内側に位置する画素の数は図7(A)に示す矩形エリアに対応してレジスタ14rに記述され、図8(B)に示すラインの内側に位置する画素の数は図8(A)に示す矩形エリアに対応してレジスタ14rに記述される。
【0031】
この結果、ドラッグ操作がマークM1〜M4の各々を囲む態様で合計4回実行されると、矩形エリアを示すラインが図9(A)に示す要領でマップ画像上に描画されるとともに、測定エリアを示すラインが図9(B)に示す要領でカメラ画像上に描画される。レジスタ14rには、こうして定義された4つの測定エリアの属性情報が記述される。
【0032】
測定エリアの設定が完了した後に入力装置18の操作によって混雑度測定モードが選択されると、測定周期が到来する毎に次の処理がCPU14pによって実行される。
【0033】
まず、動きを示す画像つまり動き画像がカメラ画像上で検出される。続いて、変数Kが“1”に設定され、K番目の測定エリアの画素数(=変数Kに対応してレジスタ14rに記述された画素数)が変数P_K_1に設定される。また、カメラ画像上で検出された動き画像からK番目の測定エリアに属する動き画像が区分され、区分された動き画像の画素数が変数P_K_2に設定される。
【0034】
K番目の測定エリアの混雑の程度を示す混雑度CR_Kは、こうして設定された変数P_K_1およびP_K_2とレジスタ14rに記述された正規化係数α_Kとに基づいて算出される。具体的には、混雑度CR_Kは、変数P_K_2を変数P_K_1で割り算し、これによって得られた割り算値に正規化係数α_Kを掛け算することで求められる。混雑度CR_Kが算出されると、変数Kが最大値Kmax(=測定エリアの総数)に達したか否かが判別される。判別結果がNOであれば変数Kをインクリメントされ、上述の処理が再度実行される。判別結果がYESであれば、算出された混雑度CR_1〜CR_Kmaxに基づいて空調装置D1〜D4の各々の出力が制御される。具体的には、混雑度が大きい測定エリアに近い空調装置の出力が強められる一方、混雑度が小さい測定エリアに近い空調装置の出力が弱められる。
【0035】
図10を参照して、空調装置M1の下方に測定エリアMA1が設定され、空調装置M2の下方に測定エリアMA2が設定され、空調装置M3の下方に測定エリアMA3が設定され、そして空調装置M4の下方に測定エリアMA4が設定されている場合において、人物H1およびH2が測定エリアMA1上を移動し、人物H3およびH4が測定エリアMA2を移動し、人物H5が測定エリアMA3を移動し、そして人物H6が測定エリアMA4を移動することを想定する。
【0036】
すると、測定エリアMA1の混雑度は測定エリアMA1に属する画像の画素数と人物H1およびH2を表す画像の画素数と正規化係数α_1とに基づいて算出され、測定エリアMA2の混雑度は測定エリアMA2に属する画像の画素数と人物H3およびH4を表す画像の画素数と正規化係数α_2とに基づいて算出される。また、測定エリアMA3の混雑度は測定エリアMA3に属する画像の画素数と人物H5を表す画像のうち測定エリアMA3に属する一部の画像の画素数と正規化係数α_3とに基づいて算出され、測定エリアMA4の混雑度は測定エリアMA4に属する画像の画素数と人物H6を表す画像の画素数と正規化係数α_4とに基づいて算出される。この結果、空調装置D1およびD2の出力は、空調装置D3およびD4の出力よりも強められる。
【0037】
CPU14pは、図11に示す撮像タスク,図12〜図13に示す測定エリア設定タスクおよび図14〜図15に示す混雑度測定タスクを含む複数のタスクを実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、記録媒体20に保存される。
【0038】
図11を参照して、ステップS1ではカメラ画像表示処理を実行する。この結果、カメラ画像がモニタ16に表示される。ステップS3では現時点の動作モードが測定エリア設定モードであるか否かを判別し、ステップS7では現時点の動作モードが混雑度測定モードであるか否かを判別する。
【0039】
ステップS3でYESであれば、ステップS5で測定エリア設定タスクを起動し、その後にステップS15に進む。ステップS7でYESであれば、測定エリアが設定済みであるか否かをステップS9で判別する。判別結果がYESであればステップS11で混雑度測定タスクを起動してからステップS15に進み、判別結果がNOであればそのままステップS15に進む。ステップS3およびS7のいずれもNOであれば、ステップS13で他の処理を実行し、その後にステップS15に進む。
【0040】
ステップS15ではモード変更操作が行われたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、起動中のタスクをステップS17で終了し、その後にステップS3に戻る。
【0041】
図12を参照して、ステップS21ではマップ画像をモニタ16に表示し、ステップS23では変数Kの値を設定する。測定エリアが1つも設定されていなければ、変数Kの値は“0”に設定される。一方、1または2以上の測定エリアが設定済みであれば、変数Kの値は設定された測定エリアの数に設定される。
【0042】
ステップS25ではエリア指定のためのドラッグ操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS27で変数Kをインクリメントする。ステップS29では、ドラッグ操作によって指定された矩形エリアを定義するラインをマップ画像に描画する。
【0043】
ステップS31では、こうして指定された矩形エリアの4隅にそれぞれ対応する4つのXY座標(X_1,Y_1),(X_2,Y_2),(X_3,Y_3)および(X_4,Y_4)を特定する。特定されたXY座標(X_1,Y_1),(X_2,Y_2),(X_3,Y_3)および(X_4,Y_4)は、変数Kの値に対応してレジスタ14rに設定される。
【0044】
ステップS33では、ドラック操作によって指定された矩形エリアの面積を単位面積で割り算して正規化係数α_Kを算出する。算出された正規化係数α_Kもまた、変数Kの値に対応してレジスタ14rに設定される。
【0045】
レジスタ14rへの設定処理が完了すると、ステップS35で変数Lを“1”に設定する。続くステップS37では、変数Kに対応するL番目のカラムに記述されたXY座標(X_L,Y_L)をレジスタ14rから読み出し、読み出されたXY座標(X_L,Y_L)を上述した数1に従ってUV座標(U_L,V_L)に変換する。変換されたUV座標(U_L,V_L)は、変換元のXY座標(X_L,Y_L)に対応してレジスタ14rに記述される。
【0046】
ステップS39では、変数Lが“4”に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS41で変数LをインクリメントしてからステップS37に戻り、判別結果がYESであればステップS43に進む。したがって、ステップS43以降の処理は、XY座標(X_1,Y_1),(X_2,Y_2),(X_3,Y_3)および(X_4,Y_4)がUV座標(U_1,V_1),(U_2,V_2),(U_3,V_3)および(U_4,V_4)に変換された後に実行される。
【0047】
ステップS43では、変数Kに対応するUV座標(U_1,V_1),(U_2,V_2),(U_3,V_3)および(U_4,V_4)によって囲まれるエリアを測定エリアとして特定し、特定された測定エリアを定義するラインをカメラ画像に描画する。ステップS45では、カメラ画像を構成する複数の画素のうちステップS43で特定された測定エリアに属する画素の数を検出する。検出された画素数は、変数Kに対応してレジスタ14rに記述される。ステップS45の処理が完了すると、K番目の測定エリアの設定が完了したとみなしてステップS25に戻る。
【0048】
図14を参照して、ステップS51では測定周期が到来したか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、動きを示す画像つまり動き画像をカメラ画像上で検出する。ステップS55では変数Kを“1”に設定し、ステップS57ではレジスタ14rを参照してK番目の測定エリアの画素数(=変数Kに対応してレジスタ14rに記述された画素数)を変数P_K_1に設定する。ステップS59ではステップS53で検出された動き画像からK番目の測定エリアに属する動き画像を区分し、ステップS61では区分された動き画像の画素数を変数P_K_2に設定する。
【0049】
ステップS63では、K番目の測定エリアに属する動き画像がK番目の測定エリアに占める割合をステップS57およびS61でそれぞれ設定された変数P_K_1およびP_K_2に基づいて算出する。割合(=RT_K)は、変数P_K_2を変数P_K_1で割り算した値に相当する。ステップS65では、算出された割合RT_Kに正規化係数α_Kを掛け算してK番目の測定エリアの混雑度を“CR_K”として算出する。
【0050】
混雑度CR_Kが算出されると、変数Kが最大値Kmax(=測定エリアの総数)に達したか否かをステップS67で判別する。判別結果がNOであればステップS69で変数Kをインクリメントし、その後にステップS57に戻る。判別結果がYESであればステップS71に進み、ステップS65で算出された混雑度CR_1〜CR_Kmaxに基づいて空調装置D1〜D4の出力を制御する。このような空調制御が完了すると、ステップS51に戻る。
【0051】
以上の説明から分かるように、CPU14pは、平面FS1を鳥瞰した状態を表すマップ画像をモニタ16に表示し(S21)、表示されたマップ画像上で1または2以上の矩形エリアを指定するドラッグ操作を操作者から受け付ける(S25)。カメラ12は、平面FS1を捉える撮像面を有し、被写界像つまりカメラ画像を繰り返し出力する。CPU14pは、カメラ12から出力されたカメラ画像を取り込み(S1)、ドラッグ操作によって指定された1または2以上の矩形エリアにそれぞれ対応する1または2以上の測定エリアをカメラ画像に割り当てる(S27~S31, S35~S43)。CPU14pはさらに、平面FS1に存在する1または2以上の動体の混雑度をカメラ画像に割り当てられた測定エリア毎に測定する処理をカメラ画像に基づいて実行する(S51~S69)。
【0052】
矩形エリアを指定するドラッグ操作は、平面FS1を鳥瞰した状態を表すマップ画像上で受け付けられる。カメラ画像を参照した混雑度測定に利用される測定エリアは、ドラッグ操作によって指定された矩形エリアに対応してカメラ画像に割り当てられる。これによって、初期設定のための作業負担を抑制することができる。
【0053】
なお、この実施例では、平面FS1を定義するXY座標系とカメラ画像を定義するUV座標系との間で平面射影変換を行うことを想定している。しかし、多数の机および椅子が配置されたオフィスで作業をする人物の混雑度を測定する場合には、足下の動きよりもむしろ机の上の動きに注目する方が、測定精度が向上すると思われる。
【0054】
この場合、数1に適用される校正パラメータP11〜P33は、机の高さに相当するオフセット(X軸およびY軸に直交するZ軸の長さ方向のオフセット)を考慮した値に調整される。こうして調整された値を有する校正パラメータP11〜P33を参照して平面射影変換を実行すると、図16(A)に太線で示す矩形エリアに対応する測定エリアは、図16(B)に太線で示す要領で設定される(点線は従前の設定)。
【0055】
また、この実施例では、マウスポインタのドラッグ操作によって矩形エリアを指定するようにしている。しかし、これに代えて、UV座標を示す数値を入力して矩形エリアを指定するようにしてもよい。
【0056】
また、この実施例では、壁面上部に設置されたカメラ12によって斜め上方から平面FS1を捉えるようにしているが、これに代えて天井に設定された全方位カメラによって真上から平面FS1を捉えるようにしてもよい。
【0057】
さらに、この実施例では空調装置の出力を適応的に制御することを想定しているが、空調装置の出力に代えて或いは空調装置の出力とともに、照明装置の出力(つまり明るさ)を適応的に制御するようにしてもよい。
【0058】
また、この実施例では、数1を参照した平面射影変換を想定しているが、これに代えて透視射影変換を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 …混雑度測定装置
12 …カメラ
14 …画像処理回路
14p …CPU
16 …モニタ
18 …入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を鳥瞰した状態を表す参照画像を再現する再現手段、
前記平面を捉える撮像面を有するカメラから出力された被写界像を繰り返し取り込む取り込み手段、
前記再現手段によって再現された参照画像上で指定された1または2以上の第1エリアにそれぞれ対応する1または2以上の第2エリアを前記取り込み手段によって取り込まれた被写界像に割り当てる割り当て手段、および
前記平面に存在する1または2以上の動体の混雑度を前記割り当て手段によって割り当てられた第2エリア毎に測定する処理を前記取り込み手段によって取り込まれた被写界像に基づいて実行する測定手段を備える、混雑度測定装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記取り込み手段によって取り込まれた被写界像から動きを示す動き画像を検出する動き画像検出手段、前記動き画像検出手段によって検出された動き画像のうち前記第2エリアに属する画像のサイズを算出するサイズ算出手段、および前記第2エリアのサイズに対する前記測定手段によって測定されたサイズの割合を算出する割合算出手段を含む、請求項1記載の混雑度測定装置。
【請求項3】
前記1または2以上の第1エリアの各々のサイズを正規化して正規化係数を算出する正規化手段をさらに備え、
前記測定手段は前記割合算出手段によって算出された割合に前記正規化手段によって算出された正規化係数を掛け算する掛け算手段をさらに含む、請求項2記載の混雑度測定装置。
【請求項4】
前記1または2以上の第1エリアは前記平面によって仕切られる空間に設けられた1または2以上の装置にそれぞれ対応し、
前記測定手段によって測定された混雑度に基づいて前記1または2以上の装置の動作を制御する制御手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の混雑度測定装置。
【請求項5】
前記平面は互いに直交するX軸およびY軸に沿って定義され、
前記カメラから出力された被写界像は互いに直交するU軸およびV軸に沿って定義され、
前記割り当て手段はXY座標系とUV座標系との対応関係を示す校正パラメータを参照して割り当て処理を実行する、請求項1ないし4のいずれかに記載の混雑度測定装置。
【請求項6】
前記校正パラメータは前記X軸および前記Y軸の各々と直交するZ軸の長さ方向にオフセットを有する、請求項5記載の混雑度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−154449(P2011−154449A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14238(P2010−14238)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】