説明

清掃装置

【課題】簡単な操作で清掃装置を回収位置まで誘導することができるようにする。
【解決手段】水中において床面を走行しながら清掃する清掃装置本体1と、清掃装置本体1を遠隔操作する無線式の遠隔操作手段2とを備える清掃装置であって、遠隔操作手段2は、清掃装置本体1に設けられる少なくとも2つの受信部11,11と、各受信部11,11から離れた位置で、各受信部11,11に所定の超音波を送信する送信機12とを備え、清掃装置本体1は、送信機12から送信される超音波を各受信部11,11が受信したときに、各受信部11,11で受信された超音波の受信情報が異なる場合に、各受信情報が等しくなるように方向転換をするとともに、各受信部11,11の受信情報が等しくなったときに、その進路が送信機12に向くように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水が張られたプール等の床面を清掃する清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の清掃装置(清掃ロボット)には、例えば、水の張られたプール等の清掃場所において、その床面を走行しながら、ブラシで床面を掃き、そして、ポンプを介してゴミ等を吸引することにより、所望の清掃を行うものがある。
【0003】
この清掃装置には、例えば、電気ケーブルが接続され、これを介してポンプ等が駆動されるもの(例えば特許文献1参照)や、電気ケーブルを介さずに、無線での遠隔操作によるものがある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
清掃装置に電気ケーブルが接続されている場合には、清掃場所に障害物がある場合に、電気ケーブルがこの障害物に掛かるおそれがある。これに対して、無線での遠隔操作で清掃装置を制御する場合には、そのおそれもなく、この点で有利である。
【特許文献1】特開平05−19852号公報
【特許文献2】特開2000−353014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、清掃が終了した場合、或いは、清掃途中で、清掃装置を回収したい場合において、清掃装置が所定の回収位置まで戻ってくるように操作することが必要となるが、この場合には、清掃装置が水中に配置されていることから、無線での遠隔操作においても、その位置を確認しながら操作することが難しかった。
【0006】
特に、いわゆる稼動床式のプールにおいて、床が上昇したときに、この床の下側に形成される空間を清掃するような場合には、清掃装置の位置が全く確認できない場合もあり、清掃装置の位置を確認しながら操作して所定の回収位置に誘導することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡単な操作で回収位置まで誘導可能な清掃装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するために以下の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち、本発明は、水中において床面を走行しながら清掃する清掃装置本体と、清掃装置本体を遠隔操作する無線式の遠隔操作手段とを備える清掃装置であって、遠隔操作手段は、清掃装置本体に設けられる少なくとも2つの受信部と、各受信部から離れた位置で、各受信部に所定の超音波を送信する送信機とを備え、清掃装置本体は、送信機から送信される超音波を各受信部が受信したときに、各受信部で受信された超音波の受信情報が異なる場合に、各受信情報が等しくなるように方向転換をするとともに、各受信部の受信情報が等しくなったときに、その進路が送信機に向くように構成されてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、例えば、清掃装置本体に設けられた各受信部に送信機から送信される超音波が受信されたとき、各受信部における受信情報が異なる場合には、清掃装置本体は、この違いに応じて、各受信部の受信情報が等しくなるように方向転換を行う。そして、例えば、各受信部における受信情報が等しくなったときに、方向転換を停止する。このとき、清掃装置本体の進路が送信機を向くように構成されているので、これによって、清掃装置は、送信機の元まで戻ることができる。このように清掃装置本体を制御すれば、清掃装置の位置を確認しなくても、清掃装置は自動的に送信機の位置まで戻ることができる。これによって、送信機から受信部に超音波を送るという操作だけで、容易に清掃装置を回収位置、すなわち、送信機の近傍位置まで誘導できる。
【0011】
また、本発明は、清掃装置本体が、各受信部が受信する超音波の受信情報のうち、その受信レベルが等しくなったときにその進路が送信機を向くように、方向転換可能に構成されることが望ましい。
【0012】
かかる構成によれば、各受信部が受信する受信情報のうち、その受信レベルが等しくなったときに、清掃装置本体の進路が送信機を向くように構成されることで、清掃装置本体を送信機の近傍位置(回収位置)まで容易に誘導できるようになる。
【0013】
また、本発明は、清掃装置本体が、各受信部が受信する超音波の受信情報のうち、その受信のタイミングが等しくなったときにその進路が送信機を向くように、方向転換可能に構成されることが望ましい。
【0014】
かかる構成によれば、各受信部が受信する受信情報のうち、その受信のタイミングが等しくなったときに、清掃装置本体の進路が送信機を向くように構成されることで、清掃装置本体を送信機の近傍位置(回収位置)まで容易に誘導できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な操作で清掃装置を回収位置まで誘導することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。図1〜図6は、本発明に係る清掃装置(清掃ロボット)の一実施形態を示している。この清掃装置は、例えば、プール等のように、水の張られた場所(清掃場所)において、所定の方向に走行しながら、その床面を清掃するためのものである。
【0017】
清掃装置は、例えば、図6に示すようなプール101内において、その床面102を清掃するために使用される。図6は、いわゆる可動床式のプール101を例示する。このプール101は、その床102が所定の昇降装置(図示せず)によって昇降可能に構成される。これにより、プール101は、その水深を自在に調節できるようになっている。また、プール101の床102には、所定の大きさの開口部(点検口)103が形成されており、清掃装置は、床102が上昇したときに、この開口部103を介して床102の下方に形成される空間に入り、その床面104をも清掃できるようになっている。
【0018】
図1〜図3に示すように、清掃装置は、清掃装置本体1と、この清掃装置本体1を無線により遠隔操作するための遠隔操作手段2とを備える。清掃装置本体1は、本体フレーム3、走行装置4、清掃場所の清掃を行う清掃手段5、駆動源(バッテリ)6、発光装置7、および清掃装置本体1の制御を行う制御装置8、を備える。また、遠隔操作手段2は、清掃装置本体1に設けられる受信部11と、この受信部11に超音波に係る操作信号を送信する送信機12とを備える。
【0019】
清掃装置本体1の本体フレーム3は、平面視略長方形状に形成されており、この本体フレーム3の長手方向が、清掃装置本体1の進行方向にほぼ一致する。なお、以下、この本体フレーム3の長手方向に直交する方向を、左右または左右方向という。
【0020】
この本体フレーム3には、走行装置4、清掃手段5、駆動源6、発光装置7、受信部11等の各種機器が一体に組み付けられている。本体フレーム3の前部には、走行装置4等の機器を保護する保護部材(バンパ)9が設けられている。本体フレーム3は、駆動源6等が載置されるとともに、これらを支持する支持台3aを有する。
【0021】
走行装置4は、左右一対の無端帯状のゴムクローラ15、各ゴムクローラ15を駆動するスプロケット16、アイドラ17、スプロケット16を駆動する駆動手段としてのモータ(図2参照)18等により構成される。この一対の走行装置4により、清掃装置本体1は、前進、後進、および方向転換(旋回)が可能になり、清掃場所の全域を走行しながら清掃できるようになっている。
【0022】
図2に示すように、清掃手段5は、本体フレーム3の前側に設けられる清掃具21と、支持台3aの前側の位置に載置されるポンプ22と、ポンプ22に接続される濾過フィルタ23とを備える。清掃具21は、清掃具本体25と、清掃具本体25を支持する車輪26と、清掃具本体25とポンプ22とを接続する接続配管27とを有する。
【0023】
清掃具本体25は、清掃場所の床面104に接するブラシ29と、清掃場所にあるゴミ等の吸引対象物を吸引するための吸引口30とを有する。清掃具本体25は、ブラシ29を介して清掃場所の床面104を磨くとともに、この清掃場所に存在する吸引対象物を吸引口30から吸引することによって、清掃場所の床面104の清掃を行うようになっている。
【0024】
清掃具本体25の吸引口30から吸引された吸引対象物(ゴミ)は、接続配管27を通じてポンプ22内に吸入される。ポンプ22は、吸入部31と吐出部32を備え、吸入部31には、前記接続配管27が接続され、吐出部32には、前記濾過フィルタ23が接続されている。ポンプ22は、清掃具21から吸引された吸引対象物を、吸入部31から内部に吸入するとともに、吐出部32から吐出して濾過フィルタ23に圧送するように構成される。
【0025】
前記濾過フィルタ23は、袋状に構成されるとともに、ポンプ22によって吸引されたゴミ等の回収物を回収し、ポンプ22から吐出された水を濾過して外部(清掃場所)に排出するように構成されている。
【0026】
駆動源6は、ポンプ22の後方位置で、本体フレーム3の支持台3aに載置されている。駆動源6は、直方体状のケース35によって覆われている。駆動源6は、ポンプ22、走行装置4の駆動手段(モータ18)、発光装置7等に動力(電力)を供給する。
【0027】
発光装置7は、駆動源6の上部(上面)に設置されている。この発光装置7は、清掃場所における清掃装置本体1の位置の確認を容易にするために所定のパターン(点灯、点滅等)で発光する。
【0028】
遠隔操作手段2の受信部11は、駆動源6の上部(上面)に設けられている。この受信部11は、発光装置7の前方位置に配置されている。本実施形態では、清掃装置本体1のケース35の上面に2つの受信部11,11が設けられている。2つの受信部11,11は、左右方向において、所定間隔離間されて配置されている。この実施形態では、左右方向における2つの受信部11,11の間隔は、約190mmとされている。
【0029】
この2つの受信部11,11は、平面視において、本体フレーム3の左右方向における中心を通る中心線を引いたとき、一方の受信部11から中心線までの距離と、他方の受信部11から中心線までの距離とが等しくなるような対称位置に配置されることが望ましい。
【0030】
また、2つの受信部11,11のそれぞれは、本体フレーム3の長手方向において、ほぼ同位置に設けられている。すなわち、2つの受信部11,11は、平面視長方形状に構成された本体フレーム3の前端(例えば保護部材9)からの距離が等しくなるように配置されている。
【0031】
図4に示すように、遠隔操作手段2の送信機12は、超音波を送信(発信)する送信部38と、所定の設定・操作を行う操作部39とを有する。この送信機12は、送信部38が清掃場所において水中に入れられた状態で、所定の超音波を受信部11,11に向けて送信するように構成される。操作部39には、清掃装置本体1をマニュアルで操作するためのマニュアル操作ボタン39a、清掃装置本体1を自動走行させる操作ボタン39b、および清掃装置本体1を停止させるための停止ボタン39c、そして、清掃装置本体1を回収位置まで移動させるための、回収用ボタン39d等が設けられている。
【0032】
制御装置8は、前記ケース35内に駆動源6とともに組み込まれている。この制御装置8は、図5に示すように、駆動手段のモータ18、発光装置7、ポンプ22等を制御する本体基板41と、遠隔操作手段2の受信部11,11に受信される超音波に係る情報を本体基板41に送信する受信基板42とを有する。
【0033】
本体基板41は、マイクロコンピュータを具備しており、駆動源6を介して駆動手段であるモータ18、または、ポンプ22、発光装置7を制御するとともに、受信部11,11が受信した超音波を受信基板42を介して受信し、この受信部11,11における超音波の受信情報に応じて、走行装置4のモータ18を駆動し、清掃装置本体1の向きを転換(旋回)するように構成される。
【0034】
また、この清掃装置は、清掃が終了した場合や、清掃中にこの清掃装置を回収したい場合等に、遠隔操作手段2の送信機12の近傍位置(以下「回収位置」という)に戻るように設定されている。
【0035】
以下、この機能について具体的に説明する。
【0036】
受信基板42は、受信部11,11で受信した送信機12からの超音波の受信情報を識別するとともに、その情報を本体基板41に送信する。具体的には、受信基板42は、各受信部11,11が受信した超音波のレベル(強度)、または、受信のタイミング(各受信部11,11が送信機12からの超音波を受信した時刻や、一方の受信部11が超音波を受信したタイミングと、他方の受信部11が超音波を受信したタイミングの時間差等を含む)の情報を識別し、その情報を本体基板41に送信する。
【0037】
本体基板41は、受信基板42から送信された超音波の受信情報を、所定の条件下で判別し、判別結果に基づいて、走行装置4のモータ18を駆動する。より具体的には、各受信部11,11で受信された超音波のレベル、受信のタイミング(時間差)に係る情報について、一方の受信部11が受信した情報と、他方の受信部11が受信した情報とが異なるか否か(または等しいか否か)、異なっていれば、どの程度異なるかを判別する。
【0038】
ここで、受信部11,11が受信する超音波の受信情報として各受信部11,11の受信のタイミングが異なる場合について説明する。例えば仮に、清掃装置本体1の進行方向が、清掃装置本体1と送信機12とを結んだ直線の方向(以下「送信機に向かう方向」という)よりも90°ずれていた場合、すなわち、清掃装置本体1の左右方向と、送信機12に向かう方向とが一致している場合、一方の受信部11が送信機12からの超音波を受信するタイミングと、他方の受信部11が送信機12からの超音波を受信するタイミングとが異なる。
【0039】
より具体的には、各受信部11間の間隔が前述のように190mmとされており、水中を伝搬する超音波の速度を約1400m/secとすると、一方の受信部11が超音波を受信するタイミング(例えば時刻)と他方の受信部11が超音波を受信するタイミング(例えば時刻)との間には、約135μsecのずれ(時間差)が生じる(190(mm)÷1400000(mm/sec))。本体基板41は、このような受信情報の違いがどの程度なのかを判断できるようになっている。
【0040】
本体基板41は、一方の受信部11が受信した情報と、他方の受信部11が受信した情報とが等しく(同じに)なるように、モータ18を駆動して清掃装置本体1の向きを転換(旋回)させる。受信基板42は、常時、または所定のタイミングで、受信部11,11が受信する超音波による操作信号を識別し、この情報を本体基板41に送信する。
【0041】
本体基板41は、受信基板42からの超音波に係る情報を常に、または所定のタイミングで判別しながら、モータ18を駆動して清掃装置本体1を旋回させるようにモータ18を制御する。そして、本体基板41は、超音波を受信した各受信部11,11の受信情報が同じになったときに、モータ18の駆動を停止し、清掃装置の方向転換を停止させる。
【0042】
このとき、各受信部11,11が受信する超音波の受信情報が同じであることから、送信機12の送信部38から、一方の受信部11までの距離と、他方の受信部11までの距離とがほぼ等しくなり、清掃装置本体1の進行方向(前進および後進の方向)が送信機12の送信部38に向いた状態となる。すなわち、この状態では、清掃装置本体1を前進、または後進させれば、送信部38に到達できるようになる。
【0043】
次に、制御装置8の本体基板41は、例えば、清掃装置本体1を所定の距離だけ前進させて停止させる。このとき、制御装置8の本体基板41は、清掃装置本体1を前進させる前の位置における超音波の受信情報と、前進させた後の位置における超音波の受信情報(例えば超音波の受信レベル)とを比較する。
【0044】
このとき、例えば、前進した後の位置における超音波の受信レベルが、前進する前よりも、大きければ(強ければ)、清掃装置本体1が送信部38に近づいたことが判る。したがって、清掃装置本体1を前進させれば送信機12の送信部38に到達でき、本体基板41は、これを判断して、清掃装置本体1を前進させるように走行装置4のモータ18を駆動する。
【0045】
これとは逆に、前進した後の位置における超音波の受信レベルが、前進する前よりも小さければ(弱ければ)、清掃装置本体1が送信部38から離れたことが判る。したがって、清掃装置本体1を後進させれば送信機12の送信部38に到達でき、本体基板41は、これを判断して清掃装置本体1を後進させるように走行装置4のモータ18を駆動する。
【0046】
なお、上述のように、最初に少しだけ清掃装置本体1を前進させておき、前進前と、前進後の超音波の受信レベルとの大小(強弱)を比較して、清掃装置本体1が進むべき方向を判断する場合の他、最初に少しだけ清掃装置本体1を後進させて、後進前と、後進後の超音波の受信レベルの大小(強弱)を比較することによっても、清掃装置本体1が進むべき方向を特定することが可能である。
【0047】
上述した清掃装置本体1の操作の例では、受信部11,11によって、常に超音波を受信しながら、一方の受信部11が受信した超音波の受信情報と、他方の受信部11が受信した超音波の受信情報とが同じになるように比較しながら清掃装置本体1の方向転換を行ったが、別の操作によって、清掃装置本体1の進路を決定することも可能である。
【0048】
つまり、一方の受信部11が受信した超音波の受信情報と、他方の受信部11が受信した超音波の受信情報との差と、この差に応じて清掃装置本体1をどれだけ旋回(方向転換)すればよいかという情報が事前に判明していれば、本体基板41にその情報(データ)を記憶させておき、この記憶されたデータに基づいて、各受信部11が一旦受信した超音波の受信情報のデータを、本体基板41が記憶しているデータと照合させ、一致したデータに基づいて、清掃装置本体1を所定の角度だけ旋回させればよい。そのような制御が可能なように、本体基板41に所定のデータおよびプログラムを組み込んで清掃装置本体1の方向転換の制御を行うようにしてもよい。
【0049】
なお、本体フレーム3の前部に設けられた保護部材9には、タッチセンサ43を介して本体基板41に接続されており、例えば、この保護部材9がプール等の清掃場所の壁面に接触した場合には、この接触をタッチセンサ43が感知するとともに、その信号を本体基板41に送信し、本体基板41はこの信号に応じて、清掃装置本体1の方向を転換するように、走行装置4の駆動手段であるモータ18を制御する。このように、清掃装置は、保護部材9が壁面に接触する度に、その進路を変更してランダムに清掃場所を走行しながら、清掃を行うようになっている。
【0050】
以上説明した本発明に係る清掃装置によれば、清掃装置本体1に設けられた各受信部11,11に送信機12から送信される超音波が受信されたとき、各受信部11,11における受信情報が異なる場合には、清掃装置本体1は、この違いに応じて、各受信部11,11の受信情報が等しくなるように方向転換を行い、各受信部11,11における受信情報が等しくなったときに、清掃装置本体1の進路が送信機12を向くように設定されていることから、清掃装置本体1を、回収位置まで容易に誘導することができる。このとき、受信情報として、超音波の受信レベル、受信のタイミングを利用することにより、清掃装置本体1を確実に回収位置に誘導できるようになる。
【0051】
また、清掃装置本体1に発光装置7が設けられているため、水中や暗い場所等で使用された場合であっても、清掃装置本体1の位置を確認することができ、清掃装置はこの点においても有用なものとなる。
【0052】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0053】
例えば、上記の実施形態では、清掃装置本体1に2つの受信部11,11が設けられていたが、これに限らず、3つ以上(少なくとも2つ)の受信部11,11を設けるようにしてもよい。例えば、受信部11を3つにする場合には、上記の実施形態のように2つの受信部11,11を設けるとともに、残りの1つ(3番目)の受信部を、前記2つの受信部11,11の位置よりも清掃装置本体1の進行方向(または本体フレームの長手方向)にずれた位置に設けるようにするとよい。このようにすることにより、この1つの受信部が受信する超音波の受信情報(受信レベル、受信のタイミング)と、前記2つの受信部11,11が受信する超音波の受信情報(受信レベル、受信のタイミング)を比較することにより、送信機12の位置を特定することができる。
【0054】
すなわち、例えば、1つの受信部を、前記2つの受信部11,11よりも前方の位置に配置した場合において、前記2つの受信部11,11が受信する超音波の情報が等しくなったとき、送信機12は、清掃装置本体1の前方又は後方に位置することがわかるが、このとき、前記1つの受信部が受信する超音波の受信レベルが、前記2つの受信部11,11が受信する超音波の受信レベルよりも強ければ(大きければ)、送信機12が清掃装置本体1の前方に位置することがわかり、逆に弱ければ(小さければ)、送信機12が清掃装置本体1の後方に位置することがわかる。同様に、2つの受信部11,11の超音波の受信のタイミングよりも、1つの受信部の超音波の受信のタイミングが早ければ、清掃装置本体1の前方に送信機12が位置し、逆に遅ければ清掃装置本体1の後方に送信機12が位置することがわかる。
【0055】
このようにすることで、2つの受信部11,11が受信する超音波の受信情報が等しくなり、清掃装置本体1の方向転換を停止させると同時に、送信機12の位置を特定することができ、すぐさま清掃装置本体1を送信機12に向けて発進させることができる。したがって、清掃装置本体1を迅速に回収位置まで移動させることができ、清掃装置は、この点において有用なものになる。
【0056】
また、上記の実施形態では、本体フレーム3が平面視略長方形状に形成され、遠隔操作手段2の2つの受信部11,11が、この本体フレーム3(支持台3a)の中心線から等しい距離となるように配置された例を示したが、これに限らず、要は、清掃装置を全体としてみたとき、受信部11,11が受信する操作信号の受信条件が等しくなったときに、この清掃装置の進行方向が、早送信機12を向くように、2つの受信部11,11を配置すればよい。換言すれば、2つの受信部11,11は、送信機12から各受信部11,11までの距離が等しくなったとき、清掃装置本体1の進行方向が送信機12に向いていればよい。
【0057】
上記の実施形態では、2つの受信部11,11が清掃装置本体1の支持台3aに載置された駆動部(ケース35)の上部に配置された例を示したが、これに限らず、清掃装置本体1(本体フレーム3)の任意の位置に設けることができる。
【0058】
上記の実施形態では、清掃装置が可動床式のプールの床の下側の空間を清掃する例を示したが、これに限らず、清掃装置は、プール以外でも、水の張られた場所であればどのような場所においても清掃が可能である。
【0059】
なお、上記の実施形態においては、超音波を受信する受信部38には指向性がなく、全方向から送信される超音波を受信可能なものであるが、これに限らず、受信部38の周囲の一部に遮蔽板等を設けること等によって、受信部38が超音波を受信する方向を制限し、この受信部38が受信する超音波感度に指向性を持たせることも可能である。
【0060】
上記の実施形態では、左右方向における受信部11,11の間隔が190mmとされた例を示したが、これに限らず、受信部の間隔は、清掃装置本体の大きさ等に応じて適宜設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る清掃装置の平面図である。
【図2】本発明に係る清掃装置の側面図である。
【図3】本発明に係る清掃装置の正面図である。
【図4】送信機の側面図である。
【図5】制御装置の概念図である。
【図6】清掃装置が清掃場所を清掃している状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1…清掃装置本体、2…遠隔操作手段、3…本体フレーム、3a…支持台、4…走行装置、5…清掃手段、6…駆動源、7…発光装置、8…制御装置、9…保護部材、11…受信部、12…送信機、15…ゴムクローラ、16…スプロケット、17…アイドラ、18…モータ、21…清掃具、22…ポンプ、23…濾過フィルタ、25…清掃具本体、26…車輪、27…接続配管、29…ブラシ、30…吸引口、31…吸入部、32…吐出部、35…ケース、38…送信部、39…操作部、41…本体基板、42…受信基板、43…タッチセンサ、101…プール、102…床面、103…開口部、104…床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中において床面を走行しながら清掃する清掃装置本体と、清掃装置本体を遠隔操作する無線式の遠隔操作手段とを備える清掃装置であって、
遠隔操作手段は、清掃装置本体に設けられる少なくとも2つの受信部と、各受信部から離れた位置で、各受信部に所定の超音波を送信する送信機とを備え、
清掃装置本体は、送信機から送信される超音波を各受信部が受信したときに、各受信部で受信された超音波の受信情報が異なる場合に、各受信情報が等しくなるように方向転換をするとともに、各受信部の受信情報が等しくなったときに、その進路が送信機に向くように構成されてなることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
清掃装置本体は、各受信部が受信する超音波の受信情報のうち、その受信レベルが等しくなったときにその進路が送信機を向くように、方向転換可能に構成されてなる請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
清掃装置本体は、各受信部が受信する超音波の受信情報のうち、その受信のタイミングが等しくなったときにその進路が送信機を向くように、方向転換可能に構成されてなる請求項1に記載の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−82353(P2010−82353A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257067(P2008−257067)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(591056547)ビー・エル・オートテック株式会社 (20)
【Fターム(参考)】