説明

減光装置

【課題】視認性を損なうことなく対向車の前照灯の光の眩しさを軽減する減光装置を提供する。
【解決手段】前照灯装置とフロントウィンドウとを備える自動車において、前照灯装置は、進行方向近場を照らすロービーム照射ユニットと、進行方向遠方を照らすハイビーム照射ユニットと、ロービーム照射ユニット及びハイビーム照射ユニットの前方を覆う樹脂カバーと、樹脂カバーの内側に設けられ特定の方向に振動している光のみを通過させる第1偏光板を備え、フロントウィンドウは、他の自動車からのハイビームの光を検知する受光素子と、他の自動車からのハイビームの光が透過する第2偏光板と、第2偏光板の角度を変更する可変装置を備える減光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間自動車を走行させる際に対向車の前照灯の光の眩しさを軽減させる減光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
すれ違う対向車などの前照灯装置の光の眩しさを軽減させる減光装置として、例えば、特許文献1の「防眩装置」のようなものがある。この防眩装置は、垂直方向に振動する偏光のみを透過する偏光板をヘッドライト及びフォグランプの樹脂カバー表面に有し、水平方向に振動する偏光のみを透過する偏光板を90°交差するよう、フロントウィンドウに備えることにより、すれ違う対向車などの前照灯装置による幻惑を防いでいる。しかし、特許文献1の防眩装置では、対向車の前照灯の光はフロントウィンドウを一切通過しないため、対向車の視認性が著しく低下し危険であると予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−036876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転手の視認性を損なうことなく対向車の前照灯装置の光の眩しさを軽減する減光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前照灯装置とフロントウィンドウとを備える自動車において、前照灯装置は、進行方向近場を照らすロービーム照射ユニットと、進行方向遠方を照らすハイビーム照射ユニットと、ロービーム照射ユニット及びハイビーム照射ユニットの前方を覆う樹脂カバーと、樹脂カバーの内側に設けられ特定の方向に振動している光のみを通過させる第1偏光板を備え、フロントウィンドウは、他の自動車からのハイビームの光を検知する受光素子と、他の自動車からのハイビームの光が透過する第2偏光板と、第2偏光板の角度を変更する可変装置を備えることを技術的特徴とする減光装置。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載する減光装置によれば、道路標識や歩行者の視認性に支障を与えず、対向車の前照灯の眩しさを軽減できるため、自動車を安全に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ヘッドランプユニットの概略図である。
【図2】フロントウィンドウの概略図である。
【図3】偏光板の概略図である。
【図4】偏光板による減光する概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施例を示す。本発明にかかる減光装置1は、自動車の前照灯装置(以下、ヘッドランプユニット2)と自動車のフロントウィンドウ3に設けられている。
【0009】
自動車のヘッドランプユニット2は、車両の進行方向に対し前面に設けてあり、図1に示すように、進行方向近場を照らすロービーム照射ユニット4と、進行方向遠方を照らすハイビーム照射ユニット5を備えており、前方を樹脂カバー6で覆っている。
【0010】
ハイビーム照射ユニット5は、照射角度が高く対向車の運転手の幻惑の原因となるため、樹脂カバー6内面に、垂直方向にのみ振動する光のみを透過する第1偏光板7を設けている。偏光板7は、特定の方向に偏光した光だけを通過させる薄い板状の偏光子で、自然光8や照明光などのあらゆる方向に振動している光を、偏光子を透過させることで振動方向が限られた光である直線偏光9に変えるものである。
【0011】
次に、フロントウィンドウ2は、運転席前方に設けられており、対向車のハイビームの光を検出する受光素子10と、他の自動車からのハイビームの光の透過をコントロールする第2偏光板11と、第2偏光板11の角度を可変できる可変装置12を備えている。
【0012】
受光素子10は、光を検出するための素子であり、フロントウィンドウ3内の運転手が視認性を損なわない場所に設けられている。
【0013】
可変装置12は、フロントウィンドウ3に備えた第2偏光板11の角度を可変するものであって、対向車のハイビームの偏光角に対し45°<θ<90°の間で偏光板11を可変する。この可変装置12を、フロントウィンドウ3の内側両側面に設けることで、偏光板11の角度を可変し、対向車のハイビームの光の透過率をコントロールすることで眩しさを軽減する。ここで、透過率とは、自然光が反射板を透過する割合である。例えば、フロントウィンドウ3に偏光板11をハイビームの偏光角度に対し90°交差させて設けると、対向車が照射するハイビームの光はフロントウィンドウ3を一切透過しないため、視認性が著しく低下し危険である。
【0014】
以下に、自動車のヘッドランプユニット2の一部と自動車のフロントウィンドウ3に設けることにより他の自動車からのハイビームの光の侵入が妨げられる実施例を示す。
【0015】
運転手は、夜間の走行時やトンネル内を走行する際、道路の状況を把握するためするため、ヘッドランプを点灯させることにより安全に走行する。運転する車両の前方に他の車両が混雑して走行している場合では、運転手はヘッドランプをロービームの状態にして自動車を走行させる。そのため、後方を走る車両の光による眩しさや対向して走る車両の光による眩しさは気にすることなく自動車を安全に走行させることができようにしている。
【0016】
運転する車両の前方に他の車両が走行していない場合、運転手は、自動車を安全に走行させるため、遠方の状況まで把握しようとハイビームの状態にして自動車を走行させることがある。運転手がハイビームを点灯すると、ハイビームの照射ユニット5の樹脂カバー6内面に設けた第1偏光板7により、垂直方向に振動する光のみ透過した光が自動車の進行方向に対し前方に照らし出される。この時、運転手がハイビームの状態にしてもロービームは消灯せず、自動車の進行方向近場と遠方の暗闇を照らしているため、自動車を安全に走行させることができる。
【0017】
走行中ハイビーム状態ですれ違う対向車が現れた場合、すれ違う対向車の前照明のハイビームの光は樹脂カバー6内面に備えた第1偏光板7によって、垂直方向に振動する光のみ透過したが照射される。自分の運転している車両は、フロントウィンドウ3に備えた受光素子10によって対向車のハイビームの光を検出し、可変装置12によってフロントウィンドウ3に備えた偏光板11の角度を変更する。フロントウィンドウ3に備えた偏光板11の角度が変わることによって、対向車のハイビームの光の眩しさは、運転手が運転する際に気にならない程度に軽減され、自動車を安全に走行させることができる。この時、道路標識や歩行者に当たって跳ね返ったハイビームの光は、様々な方向に振動する光となるため視認性に影響を与えることはない。
【0018】
また、ヘッドランプユニット2の中には、1つの照明バルブでハイとローを切り換えるタイプもある。このような場合では、偏光板7を備える位置を樹脂カバー6上面に設けることによって同様の効果を得ることができると思われる。
【0019】
よって、本発明の減光装置1を自動車に備えることによって、道路標識や歩行者を視認するのに支障を与えず、すれ違う対向車の光の眩しさを感じず自動車を運転できる。
【符号の説明】
【0020】
1 減光装置
2 ヘッドランプユニット
3 フロントウィンドウ
4 ロービーム照射ユニット
5 ハイビーム照射ユニット
6 樹脂カバー
7 第1偏光板
8 自然光
9 直接偏光
10 受光素子
11 第2偏光板
12 可変装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前照灯装置とフロントウィンドウとを備える自動車において、
前記前照灯装置は、進行方向近場を照らすロービーム照射ユニットと、
進行方向遠方を照らすハイビーム照射ユニットと、
前記ロービーム照射ユニット及び前記ハイビーム照射ユニットの前方を覆う樹脂カバーと、
前記樹脂カバーの内側に設けられ特定の方向に振動している光のみを通過させる第1偏光板を備え、
前記フロントウィンドウは、他の自動車からのハイビームの光を検出する受光素子と、
他の自動車からのハイビームの光の透過をコントロールする第2偏光板と、
前記第2偏光板の角度を変更する可変装置を備えることを特徴とする減光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−173578(P2011−173578A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149754(P2010−149754)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000143639)株式会社今仙電機製作所 (258)
【Fターム(参考)】