説明

減圧弁

【課題】ブローバルブ機構の構造を簡素化し、もって部品点数を削減するとともに弁を小型化する減圧弁を提供する。
【解決手段】ブローバルブ機構41は、シャフト23の外周側に同軸上に配置されたピストン42と、ピストン42の内周側および外周側に配置された内周側シール部材43および外周側シール部材44と、復帰スプリングとを有する。ピストン42の外周面には1次圧開放流路として作用する切り欠き溝が設けられる。減圧弁1の弁開時、切り欠き溝は外周側シール部材44の2次側に達しておらずブローバルブ機構41は閉じている。減圧弁の弁閉時であって流入側1次圧が所定値未満のときにも、切り欠き溝は外周側シール部材44の2次側に達しておらずブローバルブ機構41は閉じている。流入側1次圧が所定値に達するとピストン42がシャフト23に対しストロークして切り欠き溝が外周側シール部材の2次側に達し、ブローバルブ機構41が開弁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置の一種である減圧弁に係り、更に詳しくは、給水配管に用いられるのに適した減圧弁に関するものである。本発明の減圧弁は例えば、電気温水機における給水配管に用いられ、またはその他の水用の減圧弁を必要とする機器に用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来から図5に示す減圧弁51が知られており(特許文献1参照)、この減圧弁51は、給水配管に用いられる減圧弁であって、当該減圧弁51の流出側2次圧Pとこれに対抗するよう配置したスプリング52のバネ荷重との均衡点を求めて作動するダイアフラム53に連結されて往復動することにより弁体部55を弁座部56に対し接近離反させるシャフト54を有している。作動としては、流出側2次圧Pをダイアフラム53によって受圧するとダイアフラム53を付勢するスプリング52の荷重に抗して、ダイアフラム53に連結されたシャフト54および弁体部55が閉弁方向へリフトし、すなわち弁体部55が弁座部56に接近する方向へ移動する。弁体部55は流出側2次圧Pが一定値に達すると弁座部56に着座して弁孔57を閉塞し流路を遮断するため、流出側2次圧Pを一定値以下に減圧することが可能とされている。
【0003】
また、この図5の減圧弁51には、当該減圧弁51の弁閉時に流入側1次圧Pが所定値に達したときに開弁して流入側1次圧Pを2次側へ開放する逆止弁構造のブローバルブ機構58が設けられている。このブローバルブ機構58の作動としては、弁体部55が弁座部56に着座して弁孔57を閉塞し流路を遮断した後、さらに流入側1次圧Pが上昇した場合、樹脂製の弁ボディ59の耐圧値よりも低い流入側1次圧Pでブローバルブ機構58が開弁し、圧力を降下させる。したがって高圧の流入側1次圧Pによって弁ボディ59が破損するのを防止することが可能とされている。
【0004】
しかしながらこの図5の減圧弁51では図示するように、逆止弁構造のブローバルブ機構58が、固有の弁ケース58a、ピストン58b、弁体58cおよび復帰スプリング58dを備えるものとしてシャフト54と並列的に弁ボディ59に組み込まれている。したがって部品点数が多い不都合があり、また減圧弁51全体として弁が大型化せざるを得ない不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−186106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて、ブローバルブ機構を備える減圧弁において、ブローバルブ機構の構造を簡素化し、もって部品点数を削減するとともに弁を小型化することができる減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の減圧弁は、給水配管に用いられる減圧弁であって、当該減圧弁の流出側2次圧とこれに対抗するよう配置したスプリングのバネ荷重との均衡点を求めて作動するダイアフラムに連結されて往復動することにより弁体部を弁座部に対して接近離反させるシャフトを有し、さらに当該減圧弁の弁閉時に流入側1次圧が所定値に達したときに開弁して前記流入側1次圧を2次側へ開放するブローバルブ機構を当該減圧弁内に組み込んでなる減圧弁において、前記ブローバルブ機構は、前記シャフトの外周側に同軸上に配置された円筒状のピストンと、前記ピストンの内周側に配置されて前記ピストンおよびシャフト間をシールする内周側シール部材と、前記ピストンの外周側で弁ハウジングに保持されて前記ピストンおよび弁ハウジング間をシールする外周側シール部材と、前記ピストンを復帰動させる復帰スプリングとを有し、前記ピストンの外周面には1次圧開放流路として作用する切り欠き溝が設けられ、当該減圧弁の弁開時、前記切り欠き溝は前記外周側シール部材の2次側に達しておらず前記ブローバルブ機構は閉じており、当該減圧弁の弁閉時であって前記流入側1次圧が所定値未満のときにも、前記切り欠き溝は前記外周側シール部材の2次側に達しておらず前記ブローバルブ機構は閉じており、前記流入側1次圧が所定値に達したとき、前記ピストンが前記シャフトに対しストロークして前記切り欠き溝が前記外周側シール部材の2次側に達し、前記外周側シール部材の1次側と2次側とを連通させることにより前記ブローバルブ機構が開弁作動することを特徴とする。
【0008】
上記構成を備える本発明の減圧弁においては、ブローバルブ機構の構造に関して、シャフトの外周側に円筒状のピストンが同軸上に配置され、ピストンの内周側に内周側シール部材が配置され、ピストンの外周側に外周側シール部材が弁ハウジングに保持されるかたちで配置されている。また、ピストンを復帰動させる復帰スプリングが設けられ、ピストンの外周面に1次圧開放流路となる切り欠き溝が設けられている。
【0009】
上記ピストンの外周面に設けられた切り欠き溝は、流出側2次圧の変動に伴うダイアフラムおよびシャフトの移動(変位)ならびに流入側1次圧の変動に伴うシャフトに対するピストンのストロークによって、弁ハウジングに保持された外周側シール部材に対する相対位置を以下のように変化させる。
(a)減圧弁の弁開時、切り欠き溝は外周側シール部材の2次側に達していない。したがって外周側シール部材の1次側と2次側は連通しておらず、ブローバルブ機構は閉じている。
(b)減圧弁の弁閉時であって流入側1次圧が所定値未満のときにも、切り欠き溝は外周側シール部材の2次側に達していない。したがって外周側シール部材の1次側と2次側は連通しておらず、ブローバルブ機構は閉じている。
(c)減圧弁の弁閉時であって流入側1次圧が所定値に達すると、ピストンが復帰スプリングの荷重に抗してシャフトに対しストロークし、切り欠き溝が外周側シール部材の2次側に達する。したがって切り欠き溝を介して外周側シール部材の1次側と2次側が連通し、ブローバルブ機構が開弁する。
【0010】
本発明の減圧弁は、このようにピストンの外周面に設けられた切り欠き溝を圧力開放流路として高圧の流入側1次圧を2次側へ開放する。
【発明の効果】
【0011】
部品点数については、以下のことが云える。
【0012】
すなわち上記図5の従来技術において、逆止弁構造のブローバルブ機構58は上記したとおり、固有のケース58a、ピストン58b、弁体58cおよび復帰スプリング58dを備えている。また同図に示すようにシャフト54の外周側にシャフト54および弁ボディ59間をシールするシール部材60が設けられている。したがって、比較すべき部品点数は「5」である。
【0013】
これに対し、本発明の減圧弁において、ブローバルブ機構は上記のとおり、円筒状のピストン、内周側シール部材、外周側シール部材および復帰スプリングを備えている。したがって、比較すべき部品点数は「4」で、従来対比マイナス1の部品点数削減を実現することができる。
【0014】
また、上記図5の従来技術においては、逆止弁構造のブローバルブ機構58がシャフト54と並列的に弁ボディ59に組み込まれるので、大きな専用(占用)スペースが必要とされるところ、本発明の減圧弁においては、ブローバルブ機構がシャフトの外周側に同軸上に配置されているので、軸孔を一回り大きく設定すればブローバルブ機構を組み込むことができる。
【0015】
したがって以上により、本発明所期の目的どおり、ブローバルブ機構の構造を簡素化し、もって部品点数の削減および弁の小型化を双方共に実現する減圧弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る減圧弁の弁開状態を示す断面図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】同減圧弁の弁閉状態であってブローバルブ機構閉弁時の状態を示す断面図
【図4】同減圧弁の弁閉状態であってブローバルブ機構開弁時の状態を示す断面図
【図5】従来例に係る減圧弁の弁開状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)上記課題を解決するために、減圧弁の構成部品内にブローバルブ構造を設けることを特徴とする減圧弁である。構造としてはシャフトと摺動シール部間にピストンを設け、減圧弁の主弁部が閉弁している時に1次圧力が適正範囲を超えて上昇すると、シャフトと摺動シール部間に設けたピストンが開弁し、1次圧が2次側に開放されることにより、減圧させることができる。また、ピストンとシャフト間は常にシールしていることから、作動時には従来からの減圧弁の摺動シール部とこのピストン、シャフト間のシール径により受圧面積の調整が可能である。
(2)上記構成によれば、以下の効果が発揮される。
減圧弁の小型化・・・減圧弁のブローバルブ部を既存の減圧シャフト内に設けることができるため、機器の小型化が可能である。
部品点数の削減およびこれに伴うコストメリット・・・第2弁体を設けずに既存の摺動シール部とシャフトを利用するため、部品点数の削減が可能となる。
【実施例】
【0018】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る減圧弁1の断面図を示しており、その要部拡大図が図2に示されている。当該実施例に係る減圧弁1は、電気温水機における給水配管に用いられ、給水圧力が常に一定となるように流出側2次圧Pを調整するものであって、以下のように構成されている。
【0020】
すなわち先ず、ボディ(弁ボディ)3、カバー(弁カバー)4およびフタ(蓋部材)5の3部品が水密的に組み合わされて当該減圧弁1の弁ハウジング2が設けられており、この弁ハウジング2の内部に、ダイアフラム21、スプリング(減圧弁スプリング)22、シャフト23および弁体部27等の作動部品が組み込まれている。ボディ3は樹脂製であって、シャフト23を挿通するシャフト挿通孔(軸孔)6が設けられるとともに流入側の1次側ポート7および流出側の2次側ポート8が設けられ、両ポート7,8は、1次側流路9、弁孔10、弁室11および2次側流路12を介して連通している。シャフト挿通孔6はその一端(下端)で1次側流路9に開口し、他端(上端)でカバー4内のダイアフラム室13に開口している。弁孔10はシャフト挿通孔6と同軸上に配置されている。弁孔10の弁室11側開口周縁部には弁座部14が弁室11へ向けて(下方へ向けて)設けられている。2次側流路12は連通孔15を介してダイアフラム室13と連通している。
【0021】
上記ダイアフラム室13において、ボディ3とカバー4との間にダイアフラム21が架設されている。このダイアフラム21は当該減圧弁1の流出側2次圧Pとこれに対抗するよう配置されたスプリング22のバネ荷重との均衡点を求めてその平面中央の遊動端部が軸方向(上下方向)に変位するように構成されており、このダイアフラム21の遊動端部にシャフト23の一端部(上端部)がダイアフラムリテーナ(プレート)24、スプリングリテーナ(プレート)25およびナット26を用いて連結され、シャフト23の他端部(下端部)に弁体28および弁体カバー29の組み合わせよりなる弁体部27がナット30を用いて連結されている。ダイアフラム21に連結されたシャフト23はシャフト挿通孔6および弁孔10に貫挿され、シャフト23の他端部および弁体部27は弁室11に配置されている。一方、スプリング22は、カバー4にねじ込まれた調整ネジ31とスプリングリテーナ25との間に弾性的に介装されており、調整ネジ31のねじ込み量を加減することによってバネ荷重を調整可能とされている。
【0022】
したがって以上までの構成において、当該減圧弁1が電気温水機における給水配管に接続されて流出側2次圧Pがダイアフラム21に作用すると、ダイアフラム21を付勢するスプリング22のバネ荷重に抗して、ダイアフラム21に連結されたシャフト23および弁体部27が閉弁方向へリフトし、弁体部27が弁座部14に接近する方向へ移動する。流出側2次圧Pが上昇すると弁体部27は弁座部14にさらに接近する方向へ移動し、反対に流出側2次圧Pが下降すると弁体部27は弁座部14から離れる方向へ移動する。弁体部27は流出側2次圧Pが一定値xに達すると弁座部14に着座して弁孔10を閉塞し流路9,12を遮断するため、流出側2次圧Pを一定値x以下に減圧することが可能とされている。
【0023】
また、当該減圧弁1には、当該減圧弁1の弁閉時に流入側1次圧Pが所定値yに達したときに開弁して流入側1次圧Pを2次側へ開放するブローバルブ機構41が設けられている。
【0024】
このブローバルブ機構41は、以下のように構成されている。
【0025】
すなわち図2に示すように、シャフト23の外周側に円筒状のピストン42が同軸上に配置され、ピストン42の内周側に内周側シール部材43が配置されてピストン42およびシャフト23間をシールし、ピストン42の外周側に外周側シール部材44が弁ハウジング2のボディ3に保持されるかたちで配置されてピストン42および弁ハウジング2のボディ3間をシールしている。また、ピストン42を復帰動させる復帰スプリング(ブロースプリング)45が設けられ、ピストン42の外周面に1次圧開放流路となる切り欠き溝46が設けられている。
【0026】
各部の詳細は、以下のとおりとされている。
【0027】
ピストン42は、円筒状に成形され、シャフト23の外周側であってシャフト23と弁ハウジング2におけるボディ3との間に軸方向移動可能に配置されている。ピストン42はボディ3に対し軸方向移動可能であり、シャフト23に対しても軸方向移動可能である。またピストン42は、その内周面に設けた内向き鍔部42aが、シャフト23の外周面に設けた外向き鍔部23aと軸方向に係合する位置をシャフト23に対するストロークの初動位置とされ、内向き鍔部42aとダイアフラムリテーナ24との間に復帰スプリング45が介装されている。
【0028】
内周側シール部材43は、シャフト23における外向き鍔部23aの外周面に設けた装着溝23bに装着され、その外周面をピストン42の内周面に摺動自在に密接させている。内周側シール部材43はOリングによって構成されている。
【0029】
外周側シール部材44は、弁ハウジング2のボディ3におけるシャフト挿通孔6の内周面に設けた装着溝3aに装着され、その内周面をピストン42の外周面に摺動自在に密接させている。シール部材44の装着を容易にするため装着溝3aはボディ3とこれに嵌合したシール押さえ16との組み合わせによって形成されている。外周側シール部材44は、Yパッキン、VパッキンまたはUパッキン等のリップパッキンよりなり、これらはそのリップ端を1次側のほう(図では下方)へ向けている。
【0030】
切り欠き溝46は、ピストン42の外周面において軸方向に延びる溝として形成され、ピストン42外周面の円周上に1箇所または複数個所に亙って設けられている。また、この切り欠き溝46はピストン42の1次側端部(下端部)から所定の高さ範囲に亙って設けられている。したがって切り欠き溝46の1次側端部(下端部)46aはピストン42の1次側端部(下端部)に開口しており、これに対し切り欠き溝46の2次側端部(上端部)46bは先止まり状とされている。
【0031】
上記ピストン42の外周面に設けられた切り欠き溝46は、流出側2次圧Pの変動に伴うダイアフラム21およびシャフト23の移動(変位)ならびに流入側1次圧Pの変動に伴うシャフト23に対するピストン42のストロークによって、弁ハウジング2のボディ3に保持された外周側シール部材44に対する相対位置を以下のように変化させるものとされている。
【0032】
(a)減圧弁の弁開時
流出側2次圧Pが一定値未満であるとき、図1および図2に示すように当該減圧弁1は開弁しており、すなわち弁体部27は弁座部14から離れた位置にあり、シャフト23は比較的下がった位置にあり、ピストン42はその内周面に設けた内向き鍔部42aがシャフト23の外周面に設けた外向き鍔部23aと接触していてシャフト23に対するストロークの初動位置にある。このとき、図2に示すように切り欠き溝46はその2次側端部(上端部)46bが外周側シール部材44の2次側空間44aに達していない。ここに外周側シール部材44の2次側空間44aとは、外周側シール部材44におけるリップ背面側空間のことを云い、この空間44aは、ピストン42およびシール押さえ16間の間隙c、ダイアフラム室13、連通孔15ならびに2次側流路12を介して2次側ポート8に連通している。したがって1次側流路9と上記外周側シール部材44の2次側空間44aは外周側シール部材44で遮断されたままで連通しておらず、よってブローバルブ機構41は閉弁した状態とされている。
【0033】
(b)減圧弁の弁閉時であって流入側1次圧が所定値未満のとき
上記(a)の状態から流出側2次圧Pが上昇して一定値xに達すると当該減圧弁1が閉弁し、この分、シャフト23がダイアフラム室13の方向(上方)へ向けて移動するが、このように閉弁ないし移動しても流入側1次圧Pが所定値y未満のときには、図3に示すようにピストン42はシャフト23に対して未だストロークせず、切り欠き溝46はその2次側端部(上端部)46bが外周側シール部材44の2次側空間44aに達していない。したがって1次側流路9と上記外周側シール部材44の2次側空間44aは外周側シール部材44で遮断されたままで連通しておらず、よってブローバルブ機構41は依然閉弁した状態とされている。
【0034】
(c)減圧弁の弁閉時であって流入側1次圧が所定値に達したとき
上記(b)の状態から流入側1次圧Pが所定値yに達すると、図4に示すようにピストン42が復帰スプリング45の弾性に抗してこれを押し縮めながらシャフト23に対しダイアフラム室13の方向(上方)へストロークし、切り欠き溝46がその2次側端部(上端部)46bにおいて外周側シール部材44の2次側空間44aに達する。したがって1次側流路9と上記外周側シール部材44の2次側空間44aが切り欠き溝46を介して連通し、ブローバルブ機構41が開弁する。そしてこのようにブローバルブ機構41が開弁すると、流入側1次圧Pが切り欠き溝46、外周側シール部材44の2次側空間44aならびにピストン42およびシール押さえ16間の間隙cを経由してダイアフラム室13へ放出され、さらに連通孔15、2次側流路12および2次側ポート8を経由して弁外部へ放出される。したがって樹脂製のボディ3の耐圧値よりも低い流入側1次圧Pでブローバルブ機構41を開弁させ、高圧を放出することで、ボディ3が破損するのを防止することができる。尚、ピストン42がシャフト23に対しストロークすると、ピストン42に設けた内向き鍔部42aがシャフト23に設けた外向き鍔部23aと所定距離L軸方向に離れるので、これがピストン42のストローク量と云うことになる。
【0035】
(d)その後
上記(c)により流入側1次圧Pが放出されて所定値y未満になると、ピストン42が復帰スプリング45の弾性で戻されるかたちで、図4の状態から図3の状態へ復帰する。したがってブローバルブ機構41は再び閉弁した状態とされる。
【0036】
上記構成の減圧弁1においては、上記したとおり、比較すべき部品点数は、円筒状のピストン42、内周側シール部材43、外周側シール部材44および復帰スプリング45よりなる「4」であって、従来対比マイナス1の部品点数削減が実現されている。また、ブローバルブ機構41がシャフト23の外周側に同軸上に配置される構造であるために、シャフト挿通孔6を若干拡径するのみでブローバルブ機構41を組み込むことが可能とされている。したがって以上により、ブローバルブ機構41の構造を簡素化し、もって部品点数を削減するとともに弁を小型化する減圧弁1を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 減圧弁
2 弁ハウジング
3 ボディ
3a,23b 装着溝
4 カバー
5 フタ
6 シャフト挿通孔
7 1次側ポート
8 2次側ポート
9 1次側流路
10 弁孔
11 弁室
12 2次側流路
13 ダイアフラム室
14 弁座部
15 連通孔
16 シール押さえ
21 ダイアフラム
22 スプリング
23 シャフト
23a 外向き鍔部
24 ダイアフラムリテーナ
25 スプリングリテーナ
26,30 ナット
27 弁体部
28 弁体
29 弁体カバー
31 調整ネジ
41 ブローバルブ機構
42 ピストン
42a 内向き鍔部
43 内周側シール部材
44 外周側シール部材
44a 2次側空間
45 復帰スプリング
46 切り欠き溝
46a 1次側端部
46b 2次側端部
c 径方向間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管に用いられる減圧弁であって、当該減圧弁の流出側2次圧とこれに対抗するよう配置したスプリングのバネ荷重との均衡点を求めて作動するダイアフラムに連結されて往復動することにより弁体部を弁座部に対して接近離反させるシャフトを有し、さらに当該減圧弁の弁閉時に流入側1次圧が所定値に達したときに開弁して前記流入側1次圧を2次側へ開放するブローバルブ機構を当該減圧弁内に組み込んでなる減圧弁において、
前記ブローバルブ機構は、前記シャフトの外周側に同軸上に配置された円筒状のピストンと、前記ピストンの内周側に配置されて前記ピストンおよびシャフト間をシールする内周側シール部材と、前記ピストンの外周側で弁ハウジングに保持されて前記ピストンおよび弁ハウジング間をシールする外周側シール部材と、前記ピストンを復帰動させる復帰スプリングとを有し、前記ピストンの外周面には1次圧開放流路として作用する切り欠き溝が設けられ、
当該減圧弁の弁開時、前記切り欠き溝は前記外周側シール部材の2次側に達しておらず前記ブローバルブ機構は閉じており、
当該減圧弁の弁閉時であって前記流入側1次圧が所定値未満のときにも、前記切り欠き溝は前記外周側シール部材の2次側に達しておらず前記ブローバルブ機構は閉じており、
前記流入側1次圧が所定値に達したとき、前記ピストンが前記シャフトに対しストロークして前記切り欠き溝が前記外周側シール部材の2次側に達し、前記外周側シール部材の1次側と2次側とを連通させることにより前記ブローバルブ機構が開弁作動することを特徴とする減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97712(P2013−97712A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242219(P2011−242219)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000101879)イーグル工業株式会社 (119)
【Fターム(参考)】