説明

温度分布測定装置及びイメージガイド

【課題】温度分布の測定精度を向上させることができる温度分布測定装置を提供すること。
【解決手段】温度分布測定装置1は、ワークWの光を伝送するイメージガイド10と、イメージガイド10を透過した透過光を複数の画素31で撮像して輝度信号Aを生成するCCDカメラ30と、輝度信号Aにより得られる輝度値Bに対して換算係数Kを用いて画素31ごとに測定温度Tmを算出するパソコン40と、測定温度Tmに基づいてワークWの温度分布画像を表示するモニタ50とを備える。イメージガイド10は、長手方向に垂直な断面において、格子状に配置されていてCCDカメラ30の各画素31に対応するコア部14を有し、イメージガイド10の長手方向に垂直な断面において、軸中心O1に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観測対象物の温度を測定して温度分布画像を表示する温度分布測定装置、及び観測対象物の光を伝送するイメージガイドに関し、特に、温度分布の測定精度を向上させることができる温度分布測定装置及びイメージガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温環境下で観測対象物の温度測定を行う場合に、観測対象物の光を伝送するイメージガイドを用いて、観測対象物の温度分布画像を表示する方法が確立されつつある。この方法では、先ず、イメージガイドが観測対象物の光を伝送しつつ、イメージガイドに対して長手方向の前方側及び後方側に配置された光学系が観測対象物の光を結像させる。そして、撮像手段は、イメージガイドを透過した透過光を複数の画素で撮像して輝度信号を生成し、データ処理手段は、輝度信号により得られる輝度値に対して換算係数を用いて画素ごとに測定温度を算出する。これにより、表示手段は、測定温度に基づいて観測対象物の温度分布画像を表示するようになっている。
【0003】
ここで、イメージガイドとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。このイメージガイドは、図19に示したように、コア部114と各コア部114の外周に位置するクラッド部115とを有している。そして、各コア部114は、長手方向に垂直な断面において、異なる太さ(図19においてA〜Eの5種類の太さ)になっている。このイメージガイド110を用いれば、各コア部114内で伝送される光の一部がコア部114とクラッド部115との境界面からクラッド部115内に漏れ出るとともに、この漏れ出た光成分が他のコア部114内に混入する現象、所謂クロストークが発生し難くなる。なお、下記特許文献1に記載されている各コア部114の配置は、ランダムになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−222087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したイメージガイドや、コア部の太さ(断面積)が全て同一である一般的なイメージガイドを用いる場合、イメージガイドの長手方向の垂直な断面において、軸中心に対して径外方側に位置する外側コア部は、軸中心に対して径内方側に位置する内側コア部に比して、結像する光の光密度を小さくしてしまう。このため、観測対象物全体の実際の温度(以下、「実温度」と呼ぶ)が均一であっても、外側コア部に対応する撮像手段の画素では、内側コア部に対応する撮像手段の画素に比べて、輝度値が小さくなる。この結果、図20(A)(B)に示したように、表示手段の表示部151において、中心P1から遠い径外方部P3では中心P1に近い径内方部P2に比べて、測定温度Tmが低く表示され、測定温度分布が正確でないという問題があった。なお、中心P1で表示されている測定温度Tmが、従来のイメージガイドの軸中心に位置するコア部を透過した透過光に基づいて測定された温度である。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、温度分布の測定精度を向上させることができる温度分布測定装置、及びイメージガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を達成するために、本発明の温度分布測定装置は、以下の構成を有する。
(1)観測対象物の光を伝送するイメージガイドと、前記イメージガイドに対して長手方向の前方側及び後方側に配置されていて前記観測対象物の光を結像する光学系と、前記イメージガイドを透過した透過光を複数の画素で撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、前記輝度信号により得られる輝度値に対して換算係数を用いて画素ごとに測定温度を算出するデータ処理手段と、前記測定温度に基づいて前記観測対象物の温度分布画像を表示する表示手段とを備えた温度分布測定装置において、前記イメージガイドは、長手方向に垂直な断面において、格子状又は同心円状に配置されていて前記撮像手段の各画素に対応するコア部を有し、前記イメージガイドの長手方向に垂直な断面において、軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっていることを特徴とする。
(2)(1)に記載された温度分布測定装置において、前記コア部は、複数の異なる材質で構成されていて、前記撮像手段の一つの画素に対して、異なる材質で構成された複数のコア部から成るコア部ブロックが対応していることを特徴とする。
(3)(1)又は(2)に記載された温度分布測定装置において、前記データ処理手段は、前記外側コア部に対応する画素で用いる換算係数を、前記内側コア部に対応する画素で用いる換算係数に比して、大きくすることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)の何れかに記載された温度分布測定装置において、前記データ処理手段は、前記イメージガイドの長さが長いほど、前記換算係数を大きくすることを特徴とする。
【0008】
また、上記した課題を達成するために、本発明のイメージガイドは、以下の構成を有する。
(5)コア部を有し観測対象物の光を伝送するイメージガイドにおいて、長手方向に垂直な断面において、前記コア部は格子状又は同心円状に配置されていて、軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっていることを特徴とする。
(6)(5)に記載されたイメージガイドにおいて、前記コア部は、複数の異なる材質で構成されていることを特徴とする。
(7)(5)又は(6)に記載されたイメージガイドにおいて、前記コア部は、気体又は真空であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記した温度分布測定装置の作用及び効果について説明する。
(1)本発明の温度分布測定装置によれば、イメージガイドのコア部が格子状又は同心円状に配置されていて、イメージガイドの長手方向に垂直な断面において、軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっている。これにより、撮像手段において、イメージガイドの軸中心に対応する中心画素から外側に向かうに従って、結像された光の照射面積が大きくなる。このため、中心画素から外側に向かうほど、結像された光の光密度が小さくなるものの、光の照射面積が大きくなるため、輝度値の低下が抑制される。従って、観測対象物の実際の温度が均一である場合において、各画素から得られる輝度値が均一になる。この結果、表示手段において、中心から遠い径外方部では、中心に近い径内方部に比べて、測定温度が低く表示されることが抑制されて、温度分布の測定精度を向上させることができる。
(2)この場合には、コア部が単一の材質で構成されている場合に比して、イメージガイドを透過する波長の範囲が広くなる。これにより、撮像手段の各画素ごとに得られる輝度値の範囲が広くなる。この結果、温度測定範囲を広くすることができる。
(3)この場合には、各コア部の断面積の変更に加えて、各画素に対する換算係数の変更によって、表示手段において中心から遠い径外方部の測定温度が中心に近い径内方部の測定温度に比べて低く表示されることを、より確実に防止することができる。
(4)この場合には、イメージガイドの長さに応じて測定温度と観測対象物の実際の温度との差が変化することを防止できる。この結果、非常に長いイメージガイドであっても用いることができる。
【0010】
上記したイメージガイドの作用及び効果について説明する。
(5)本発明のイメージガイドによれば、長手方向に垂直な断面において、軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっている。このため、外側コア部によって結像される光の照射面積が、内側コア部によって結像される光の照射面積より大きくなる。この結果、外側コア部に基づく輝度値が内側コア部に基づく輝度値より小さくなること抑制でき、温度分布の測定精度を向上させることができる。
(6)この場合には、コア部が単一の材質で構成されている場合に比して、イメージガイドを透過する波長の範囲を広くすることができ、温度測定範囲を広くすることができる。
(7)この場合には、赤外領域全般において良好な透過性を有するため、温度測定範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】温度分布測定装置を概略的に示した全体構成図である。
【図2】図1に示したイメージガイドの長手方向に垂直な断面を示した断面図である。
【図3】(A)モニタの表示部に表示される温度分布画像の説明図である。(B)図1に示したイメージガイドを用いた場合において、表示部の中心からの径方向距離と測定温度との関係を示した説明図である。
【図4】図1に示したイメージガイドを長手方向に垂直な平面で切断したときの、イメージサークルを模式的に示した断面図である。
【図5】CCDカメラの各画素に対する光の照射面積を模式的に示した説明図である。
【図6】従来のイメージガイドの軸中心の位置にあるコア部からの距離と測定温度との関係を示した説明図である。
【図7】イメージガイドの軸中心に対応する画素からの距離と換算係数との関係を示した説明図である。
【図8】(A)イメージガイドの長さと透過率との関係を示した説明図である。(B)イメージガイドの長さと輝度値との関係を示した説明図である。(C)イメージガイドの長さと修正係数との関係を示した説明図である。
【図9】透過光の波長とイメージガイドの透過率との関係を示した説明図である。
【図10】測定温度に対する透過光の波長と分光放射輝度との関係を示した説明図である。
【図11】第2実施形態におけるイメージガイドを長手方向に垂直な平面で切断したときの、イメージサークルを模式的に示した断面図である。
【図12】第2実施形態における温度分布測定装置において、イメージガイドを透過した透過光を第1量子型光検出器で撮像するときの説明図である。
【図13】第2実施形態における温度分布測定装置において、イメージガイドを透過した透過光を第2量子型光検出器で撮像するときの説明図である。
【図14】第1,第2量子型光検出器の各画素に対する光の照射面積を模式的に示した説明図である。
【図15】第1実施形態の第1変形実施形態におけるイメージガイドの図4相当の断面図である。
【図16】第1実施形態の第2変形実施形態におけるイメージガイドの図4相当の断面図である。
【図17】第2実施形態の第1変形実施形態におけるイメージガイドの図4相当の断面図である。
【図18】第2実施形態の第2変形実施形態におけるイメージガイドの図4相当の断面図である。
【図19】従来のイメージガイドの図4相当の断面図である。
【図20】(A)モニタの表示部に表示される温度分布画像の説明図である。(B)従来のイメージガイドを用いた場合において、表示部の中心からの径方向距離と測定温度との関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る温度分布測定装置について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、測定対象物であるワークWの温度分布を測定する温度分布測定装置1を概略的に示した全体構成図である。ワークWは、例えば、自動車部品に用いられるギヤであり、炉内に配置されている。このワークWは、例えば、浸炭焼入れ時にその温度が約1000度から約100度程度まで低下するようになっている。
【0013】
ここで、ワークWからの熱は、近赤外領域の光(電磁波)として放射される。そして、ワークWから放射される輻射エネルギーのスペクトルは、温度によりその形が決まるものである。このため、近赤外領域において、特定波長の光強度(輝度値)を測定することにより、輝度値からワークWの温度を推定できるようになっている。
【0014】
温度分布測定装置1は、図1に示したように、ワークWの光を伝送するイメージガイド10と、ワークWの光を結像させる光学系20と、撮像手段としてのCCDカメラ30と、データ処理手段としてのパソコン40と、表示手段としてのモニタ50とを備えている。ここで、図2は、図1に示したイメージガイド10の長手方向に垂直な断面を示した断面図である。
【0015】
イメージガイド10は、断面が円形の線であり、図2に示したように、断面が円形のイメージサークル11と、このイメージサークル11の外周を覆う石英ガラスジャケット12と、この石英ガラスジャケット12の外周を覆う樹脂製の被覆層13とを有している。イメージサークル11は、光の伝搬を許容してイメージガイド10の画素として機能する複数のコア部14と、これら複数のコア部14が貫通するクラッド部15とを有している。
【0016】
イメージサークル11の径は、例えば約2mm程度であり、このイメージサークル11の中に、約5万個〜約10万個程度のコア部14が形成されている。なお、図2において、コア部14の断面は、真円に描かれているが、現実には楕円形状や多角形等に変形している場合もある。また、コア部14の大きさとクラッド部15の大きさとの比率等は、概略的に示されている。
【0017】
複数のコア部14は、クラッド部15を共有していて、例えば酸化ゲルマニウム(Ge0)が添加された石英で構成されている。各コア部14の屈折率は同一である。クラッド部15は、例えば純粋な石英又はフッ素(F)が添加された石英で構成されている。こうして、各コア部14の屈折率は、クラッド部15の屈折率より大きくなっていて、イメージガイド10は、一端面に結像された画像を他端面に伝送することができる。このイメージガイド10は、石英ガラスをコア部14に用いた石英系イメージガイドであり、可視領域から波長が2μm程度の近赤外領域まで、良好な透過性を有するものである(図9の実線参照)。
【0018】
光学系20は、イメージガイド10を透過した透過光をCCDカメラ30の受光素子に結像するためのものである。光学系20は、図1に示したように、イメージガイド10に対して長手方向の前方側及び後方側に配置されている。具体的に、光学系20は、イメージガイド10の一端面にワークWの光を結像させる対物レンズ21と、イメージガイド10の他端面に設けられた接眼レンズ22とを有する。対物レンズ21及び接眼レンズ22は、単レンズを複数枚組み合わせたものである。
【0019】
CCDカメラ30は、イメージガイド10を透過した透過光を複数の画素31で撮像するものである。このCCDカメラ30の一つの画素31は、イメージガイド10の一つのコア部14に対応している。また、このCCDカメラ30は、近赤外領域に感度特性を有している。このため、CCDカメラ30は、近赤外領域の透過光から輝度信号Aを生成して、この輝度信号Aをパソコン40に出力するようになっている。
【0020】
パソコン40は、輝度信号Aに基づいてワークWの推定温度(測定温度Tm)を算出するものである。このパソコン40は、先ず、入力した輝度信号Aから近赤外領域の輝度値B(光強度)を得る。そして、パソコン40は、予め記憶している輝度値−温度変換データを用いて、画素31ごとに輝度値BからワークWの仮温度Tiを得る。ここで、ワークWの仮温度TiとワークWの実際の温度Tr(以下、「実温度Tr」と呼ぶ)とが、測定条件等によって、大きく異なる場合がある。このため、パソコン40は、仮温度Tiと換算係数Kとを積算することにより、ワークWの測定温度Tmを算出している。即ち、換算係数Kは、測定温度Tmが実温度Trに近づくように、仮温度Tiを補正するための係数である。
【0021】
モニタ50は、ワークWの温度分布画像を表示するものである。このモニタ50は、パソコン40からワークWの測定温度Tmを入力して、表示部51にワークWの二次元の温度分布画像をグレースケール又は擬似カラーとして表示するようになっている。ここで、図3(A)は、表示部51に表示される温度分布画像の説明図であり、図3(B)は、表示部51の中心P1からの径方向距離と測定温度Tmとの関係を示した説明図である。図3(A)に示したように、表示部51では、中心P1で表示されている測定温度Tmが、イメージガイド10の軸中心O1に位置するコア部14を透過した透過光に基づいて測定された温度である。なお、図3(A)(B)において、中心P1に近い径内方部をP2で示し、中心P1から遠い径外方部をP3で示す。
【0022】
ところで、従来においては、測定対象物全体(任意の部位)の実温度Trが均一であっても、モニタ50の表示部51において、径外方部P3では径内方部P2に比べて測定温度Tmが低く表示され、温度分布測定が正確でないという問題があった。これは、イメージガイドの長手方向の垂直な断面において、軸中心から遠い径内方向側に位置する外側コア部が、軸中心に近い径内方向側に位置する内側コア部に比して、結像する光の光密度を小さくするためである。このため、本実施形態においては、上記した問題に対処すべく、イメージガイド10が以下のように構成されている。
【0023】
図4は、図1に示したイメージガイド10を長手方向に垂直な平面で切断したときの、イメージサークル11を模式的に示した断面図である。図4では、コア部14の構成を分かり易く説明するために、5行5列のコア部14が示されている。なお、実際には上述したように、約5万個〜約10万個程度のコア部14が形成されている。また、図5は、コア部14が5行5列であると仮定した場合に、CCDカメラ30の各画素31に対する光の照射面積を模式的に示した説明図である。
【0024】
ここで、図4では、イメージガイド10の軸中心O1の位置にあるコア部14を第1コア部14aとし、第1コア部14aの外側を囲んでいるコア部14を第2コア部14bとし、第2コア部14bを囲んでいるコア部14を第3コア部14cとする。また、図5では、第1コア部14aに対応する画素31を第1画素(中心画素)31aとし、第2コア部14bに対応する画素31を第2画素31bとし、第3コア部14cに対応する画素31を第3画素31cとする。
【0025】
図4に示したように、コア部14は、格子状(マトリクス状)に配置されている。これにより、イメージガイド10において、CCDカメラ30の各画素31に対する光の照射面積をコントロールし易くなる。また、各コア部14では、イメージガイド10の軸中心O1から径外方向に向かうに従って順に断面積が大きくなっている。言い換えると、第3コア部14cの断面積は第2コア部14bの断面積より大きく、第2コア部14bの断面積は第1コア部14aの断面積より大きい。これにより、図5に示したように、CCDカメラ30において、第1画素31aから外側に向かうに従って結像された光の照射面積が大きくなっている。なお、第3コア部14cと第2コア部14bとの関係において、第3コア部14cが外側コア部であり、第2コア部14bが内側コア部である。また、第2コア部14bと第1コア部14aとの関係において、第2コア部14bが外側コア部であり、第1コア部14aが内側コア部である。
【0026】
このため、CCDカメラ30において、第1画素31aでは光密度が大きいものの光の照射面積が小さく、第2画素31bでは光密度及び光の照射面積が中程度の大きさであり、第3画素31cでは光密度が小さいものの光の照射面積が大きくなる。従って、ワークW全体の実温度Trが均一である場合において、CCDカメラ30の各画素31(第1画素31a,第2画素31b,第3画素31c)から得られる輝度値B(光強度)が均一になる。この結果、モニタ50の表示部51において、図3(B)に示したように、径外方部P3の測定温度Tmと径内方部P2の測定温度Tmとが均一になるように表示され、径外方部P3の測定温度Tmが径内方部P2の測定温度Tmより小さくなること(温度ムラ)が抑制される。
【0027】
ここで、第1コア部14a(イメージガイド10の軸中心O1の位置にあるコア部14)から距離Rだけ離れたコア部14(以下、「Rコア部14r」と呼ぶ)の径について、図6を用いて説明する。図6は、第1コア部14aからの距離Rと測定温度Tmとの関係を示した説明図である。図6に示した実線は、従来のイメージガイド(コア部の径が全て同一であるイメージガイド)を用いて温度測定をした場合の測定結果である。また、図6に示した仮想線は、測定対象の実際の温度である。
【0028】
図6に示したように、第1コア部14a,Rコア部14rを真円として、第1コア部14aの径をDとし、Rコア部14rの径をDとする。ここで、本実施形態のイメージガイド10は径Dが径Dより大きいものであり、従来のイメージガイドは径Dと径Dとが同じであるものとする。そして、従来のイメージガイドを用いた場合に、第1コア部14aに対応する位置の測定温度TmをTmとし、Rコア部14rに対応する位置の測定温度TmをTmとする。ここで、コア部14a,14rの断面積と測定温度Tm,Tmとの積が一定であると仮定すると、以下の数1が成り立つ。
[数1] π/4×D×Tm=π/4×D×Tm
上記した数1をDについて展開すると、以下の数2が得られる。
[数2] D=(Tm/Tm1/2×D
このようにして、Rコア部14rの径Dを設定することができる。
【0029】
上述したイメージガイド10の作製方法について説明する。先ず、周知のVAD法により、ゲルマニウムが添加された石英コアプリフォームスートを作製する。次に、このプリフォームスートを焼却炉で加熱して透明ガラス化し、コア用ガラスロッドを作製する。続いて、周知のプラズマ外付け法又はスート外付け法により、コア用ガラスロッドの外周にイメージガイド10のクラッド部15となる石英ガラス層を形成して、光ファイバ母材を作製する。次に、この光ファイバ母材を線引きして、径が数十μmから数百μmまでの間である光ファイバ素線を作製する。
【0030】
そして、この光ファイバ素線を所定の長さで切断し、径が数十μmから数百μmまでの間である光ファイバ素線を合計5万本〜10万本程度作製する。その後、これらの光ファイバ素線を円筒状の石英管の中に挿入する際に、各光ファイバ素線を格子状に配置するとともに、径が小さい光ファイバ素線を石英管の軸中心に近い位置に配置し、径が大きい光ファイバ素線を石英管の軸中心から遠い位置に配置する。そして、第1コア部14aの径がDになり、且つRコア部14rの径が上述したDになるように、光ファイバ素線が挿入された石英管を線引きする。最後に、周囲に被覆層13(図2参照)を形成することで、上述したイメージガイド10を作製できる。
【0031】
次に、パソコン40が設定する換算係数Kについて、図7を用いて説明する。図7は、第1画素31a(図5参照)からの距離と換算係数Kとの関係を示した説明図である。上述したようにコア部14の径D,Dを設定しようとしても、製作誤差や製作条件の制約等により、未だ、モニタ50の表示部51において径外方部P3の測定温度Tmが径内方部P2の測定温度Tmより小さくなるおそれがある。このため、本実施形態では、パソコン40が、CCDカメラ30の画素31ごとに測定温度Tmを算出するための換算係数Kを変化させるようになっている。
【0032】
具体的に、パソコン40は、図7に示したように、第1画素31a、第2画素31b、第3画素31cの順に、対応する換算係数Kが大きくなるように設定している。即ち、パソコン40は、イメージガイド10の軸中心O1に対応する画素31から外側に向かうに従って、対応する換算係数Kが大きくなるように設定している。これにより、第3画素31cにおいて輝度値Bが低くなっていても、測定温度Tmの低下を抑えることができる。この結果、本実施形態の温度分布測定装置1では、従来の温度分布測定装置に比べて、ハード部分の変更(各コア部14の断面積)に加えて、ソフト部分(各画素31における換算係数K)の変更により、モニタ50の表示部51において径外方部P3の測定温度Tmが径内方部P2の測定温度Tmより小さくなることを確実に防止できる。
【0033】
続いて、イメージガイドの長さL(以下、「ファイバ長さL」と呼ぶ)に応じた換算係数Kの修正について、図8を用いて説明する。図8(A)は、透過率Iとファイバ長さLとの関係を示した説明図であり、図8(B)は、所定位置の画素における輝度値B(測定温度Tm)とファイバ長さLとの関係を示した説明図であり、図8(C)は、換算係数Kを修正するための修正係数Jとファイバ長さLとの関係を示した説明図である。
【0034】
図8(A)に示したように、イメージガイド10は、その長さLが長いほど透過率Iが低下するものである。このため、図8(B)に示したように、所定位置の画素における輝度値B(測定温度Tm)は、ファイバ長さLが長いほど小さくなる。即ち、ファイバ長さLに応じて、測定温度Tmと実温度Trとの差が変化する。この結果、従来では、非常に長いイメージガイドを用いた場合に、測定温度Tmと実温度Trと差が大きくなるおそれがあった。
【0035】
そこで、本実施形態において、パソコン40は、ファイバ長さLに応じて換算係数Kを修正するようになっている。具体的に、パソコン40は、図8(C)に示したように、ファイバ長さLが長くなるほど大きくなる修正係数Jを記憶していて、この修正係数Jと換算係数Kとを積算することにより、最終的に換算係数Kを決定している。こうして、本実施形態の温度分布測定装置1では、ファイバ長さLが長いほど換算係数Kを大きくすることにより、測定温度Tmと実温度Trとの差が大きくなることを抑制でき、非常に長いイメージガイド10であっても用いることができる。
【0036】
本実施形態の温度分布測定装置1及びイメージガイド10の作用効果について説明する。
この温度分布測定装置1によれば、先ず、イメージガイド10はワークWの光を伝送しつつ、光学系20がワークWの光を結像させる。そして、CCDカメラ30はイメージガイド10を透過した透過光を複数の画素31で撮像して輝度信号Aを生成し、パソコン40は輝度信号Aにより得られる輝度値Bに対して換算係数Kを用いて画素31ごとに測定温度Tmを算出する。これにより、モニタ50は、測定温度Tmに基づいてワークWの温度分布画像を表示する。
【0037】
ここで、本実施形態では、イメージガイド10のコア部14が、図4に示したように格子状に配置され、イメージガイド10の軸中心O1から径外方向に向かうに従って順に断面積が大きくなっている。これにより、CCDカメラ30において、図5に示したように、イメージガイド10の軸中心O1に対応する中心画素(第1画素)31から外側に向かうに従って結像された光の照射面積が大きくなる。このため、中心画素31aから外側に向かうほど、結像する光の光密度が小さくなるものの、光の照射面積が大きくなるため、輝度値Bの低下が抑制される。従って、ワークW全体の実温度Trが均一である場合において、各画素31から得られる輝度値B(光強度)が均一になる。この結果、図3(B)に示したように、径外方部P3の測定温度Tmが径内方部P2の測定温度Tmより小さくなること(温度ムラ)が抑制され、温度分布の測定精度を向上させることができる。
【0038】
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、作用効果を分かり易くするために、先ず従来のイメージガイドの問題点について説明する。一般的に、従来のイメージガイドのコア部は単一の材質で構成されていて、イメージガイドを透過する光の波長の範囲が決まっている。ここで、図9は、透過光の波長とイメージガイドの透過率との関係を示した説明図であり、図10は、測定温度に対する透過光の波長と分光放射輝度との関係を示した説明図である。
【0039】
図9の実線で示したように、コア部が石英ガラスで構成された石英系イメージガイドである場合、透過できる光の波長、即ち、透過率が100パーセントであるときの波長は、約2μmまでである。この場合には、図10において、透過する光の波長が約2μmまでの部分を見ると、約400度以上の温度のみを測定することができ、約400度以下の温度を測定することができない。
【0040】
一方、図9の破線で示したように、コア部がフッ化物ガラスで構成されたフッ化物系イメージガイドである場合、透過できる光の波長は約3.5μmまでである。このため、図10において、透過する光の波長が約3.5μmまでの部分を見ると、約400度以下の温度(例えば、100度)を測定することができる。しかし、この場合には、図9に示したように、透過する光の波長は約1μm以上であるため、図10に示したように、約400度より非常に大きな温度(例えば1000度)を測定できなくなる。従って、イメージガイドのコア部を単一の材質で構成した場合、透過する波長の範囲が限られているため、温度測定範囲が狭いという問題があった。そこで、この第2実施形態では、上記した問題に対処すべく、イメージガイドが以下のように構成されている。
【0041】
図11は、イメージガイド60を長手方向に垂直な平面で切断したときの、イメージサークル11を模式的に示した図4相当の断面図である。図11では、縦方向及び横方向に二個ずつ配置されたコア部64を1つのコア部ブロック64Aとすると、5行5列のコア部ブロック64Aが示されている。ここで、図11では、イメージガイド60の軸中心O1の位置にあるコア部ブロック64Aを第1コア部ブロック64Aaとし、第1コア部ブロック64Aaの外側を囲んでいるコア部ブロック64Aを第2コア部ブロック64Abとし、第2コア部ブロック64Abの外側を囲んでいるコア部ブロック64Aを第3コア部ブロック64Acとする。
【0042】
図11に示したように、コア部ブロック64Aは、格子状(マトリクス状)に配置されている。また、各コア部ブロック64Aの中の4個のコア部64は格子状に配置され、4個全てのコア部64の断面積は同一である。そして、第3コア部ブロック64Acの中の各コア部64の断面積は、第2コア部ブロック64Abの中の各コア部64の断面積より大きく、第2コア部ブロック64Abの中の各コア部64の断面積は、第1コア部ブロック64Aaの中の各コア部64の断面積より大きい。
【0043】
更に、この第2実施形態では、各コア部ブロック64Aのコア部64のうち、2個のコア部64が石英ガラスで構成され、2個のコア部64がフッ化物ガラスで構成されている。図11では、石英ガラスで構成されたコア部64を白い丸で石英コア部64xとして表し、フッ化物ガラスで構成されたコア部64をドット付の丸でフッ化物コア部64yとして表す。こうして、このイメージガイド60では、波長が約1μm以下の光が石英コア部64xを透過し、波長が約1μm以上であり且つ約2.0μm以下である光が石英コア部64x及びフッ化物コア部64yを透過し、波長が約2.0μm以上の光がフッ化物コア部64yを透過するようになっている。
【0044】
次に、この第2実施形態の温度分布測定装置2について、図12〜図14を用いて説明する。温度分布測定装置2は、図13に示したように、上述したイメージガイド60と、ワークWの光を結像させる光学系20と、撮像手段としての第1量子型光検出器71及び第2量子型光検出器72と、データ処理手段としてのパソコン40と、表示手段としてのモニタ50と、反射板80と、回転駆動装置90とを備えている。ここで、図12は、イメージガイド60を透過した透過光を第1量子型光検出器71で撮像するときの説明図であり、図13は、イメージガイド60を透過した透過光を第2量子型光検出器72で撮像するときの説明図である。
【0045】
第1量子型光検出器71及び第2量子型光検出器72は、イメージガイド60を透過した透過光を複数の画素73,74で撮像するものである。ここで、図14は、上述したようにコア部ブロック64Aが5行5列であると仮定した場合に、第1,第2量子型光検出器71,72の各画素73,74に対する光の照射面積を模式的に示した説明図である。図14に示したように、第1,第2量子型光検出器71,72の一つの画素73,74は、一つのコア部ブロック64Aに対応している。即ち、第1,第2量子型光検出器71,72の一つの画素73,74に対して、4個のコア部64が対応している。
【0046】
第1量子型光検出器71は、約0.5μmから約2.0μmまでの波長領域に感度特性を有するものである。このため、第1量子型光検出器71は、図12に示したように、約0.5μmから約2.0μmまでの波長領域の透過光から輝度信号Cを生成して、この輝度信号Cをパソコン40に出力するようになっている。一方、第2量子型光検出器72は、約2.0μmから約3.5μmまでの波長領域に感度特性を有するものである。このため、第2量子型光検出器72は、図13に示したように、約2.0μmから約3.5μmまでの波長領域の透過光から輝度信号Dを生成して、この輝度信号Dをパソコン40に出力するようになっている。
【0047】
反射板80は、イメージガイド60を透過した透過光を第1量子型光検出器71又は第2量子型光検出器72に向けて反射するものである。この反射板80は、軸中心Q1周りに回転できるように構成されている。そして、反射板80は、図12に示したように、第1回転状態であるとき、イメージガイド60を透過した透過光を第1量子型光検出器71に向けて反射できるようになっている。また、反射板80は、図13に示したように、第2回転状態にあるとき、イメージガイド60を透過した透過光を第2量子型光検出器72に向けて反射できるようになっている。なお、反射板80は、初期状態として図12に示した第1回転状態になっている。
【0048】
回転駆動装置90は、反射板80を軸中心Q1周りに回転させるものである。この回転駆動装置90は、パソコン40から入力した第1回転信号θ1に基づいて、反射板80が図12に示した第1回転状態になるように駆動する。また、回転駆動装置90は、パソコン40から入力した第2回転信号θ2に基づいて、反射板80が図13に示した第2回転状態になるように駆動する。
【0049】
パソコン40は、輝度信号C又は輝度信号Dに基づいて、上記した第1実施形態のパソコン40と同様の方法で、ワークWの測定温度Tmを算出するものである。このパソコン40は、約0.5μmから約2.0μmまでの波長領域の透過光から得られた輝度信号Cに基づいて、約400度から約1000度まで間のワークWの測定温度Tmを算出するようになっている。そして、パソコン40は、測定温度Tmが約400度から約1000度までの間の温度であると判定した場合には、回転駆動装置90に第1回転信号θ1を出力するようになっている。更に、パソコン40は、測定温度Tmが約400度より小さくなったと判定した場合には、回転駆動装置90に第1回転信号θ1に換えて第2回転信号θ2を出力するようになっている。
【0050】
また、パソコン40は、約2.0μmから約3.5μmまでの波長領域の透過光から得られた輝度信号Dに基づいて、約100度から約400度までの間のワークWの測定温度Tmを算出するようになっている。そして、パソコン40は、測定温度Tmが約100度から約400度までの間の温度であると判定した場合には、回転駆動装置90に第2回転信号θ2を出力するようになっている。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
第2実施形態の温度分布測定装置2及びイメージガイド60の作用効果について説明する。
このイメージガイド60では、図11に示したように、コア部64が石英ガラスとフッ化物ガラスの異なる材質で構成されている。そして、図14に示したように、第1,第2量子型光検出器71,72の一つの画素73,74に対して、石英ガラスで構成された2個の石英コア部64xとフッ化物ガラスで構成された2個のフッ化物コア部64yから成るコア部ブロック64Aが対応している。これにより、ワークWから放射される光のうち、波長が約1μm以下の光が石英コア部64xを透過し、波長が約1μm以上であり且つ約2.0μm以下である光が石英コア部64x及びフッ化物コア部64yを透過し、波長が約2.0μm以上であり且つ約3.5μm以下である光がフッ化物コア部64yを透過する。
【0052】
ところで、このワークWは浸炭焼入れ時にその温度が約1000度から約100度程度まで低下するものである。このため、ワークWの温度が約1000度から約400度まで低下するときには、ワークWから波長が約0.5μmから約2.0μmまでの光が放射され、ワークWの温度が約400度から約100度まで低下するときには、ワークWから波長が約2.0μmから約3.5μmまでの光が放射される。
【0053】
従って、ワークWの温度が約1000度から約400度まで低下するとき、ワークWから放射される光は、石英コア部64xのみ、又は、石英コア部64x及びフッ化物コア部64yを透過して、図12に示したように、反射板80によって第1量子型光検出器71に向けて反射する。これにより、第1量子型光検出器71は、約0.5μmから約2.0μmまでの波長領域の透過光から輝度信号Cを生成して、この輝度信号Cをパソコン40に出力する。そして、パソコン40は、輝度信号Cに基づいて約1000度から約400度までワークWの測定温度Tmを算出する。このとき、パソコン40は、測定温度Tmが約400度から約1000度までの間の温度であると判定するため、回転駆動装置90に第1回転信号θ1を出力している。
【0054】
ここで、ワークWの温度が約400度を下回るときには、パソコン40が、輝度信号Cに基づいて測定温度Tmが約400度より小さくなったと判定するため、回転駆動装置90に第2回転信号θ2を出力する。これにより、反射板80は、回転駆動装置90の駆動によって、図13に示した第2回転状態になる。
【0055】
従って、ワークWの温度が約400度から約100度まで低下するとき、ワークWから放射される光は、フッ化物コア部64yのみを透過して、図13に示したように、反射板80によって第2量子型光検出器72に向けて反射する。これにより、第2量子型光検出器72は、約2.0μmから約3.5μmまでの波長領域の透過光から輝度信号Dを生成して、この輝度信号Dをパソコン40に出力する。そして、パソコン40は、輝度信号Dに基づいて約400度から約100度までワークWの測定温度Tmを算出する。このとき、パソコン40は、測定温度Tmが約100度から約400度までの間の温度であると判定するため、回転駆動装置90に第2回転信号θ2を出力している。
【0056】
こうして、モニタ50は、約400度から約1000度までの測定温度Tmに加えて、約100度から約400度までの測定温度Tmに基づいて、ワークWの温度分布画像を表示することができる。従って、この第2実施形態によれば、イメージガイドのコア部を単一の材質で構成した場合に比して、透過する波長の範囲を約0.5μm〜約3.5μmまで広くすることができ、温度測定範囲を広くすることができる。なお、その他の第2実施形態の作用効果は、第1実施形態の作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0057】
以上、本発明に係る温度分布測定装置及びイメージガイドにおいて、本発明はこれに限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態において、イメージガイド10(イメージサークル11)は、図2に示したように、断面が円形あるが、図15に示した第1変形実施形態のように、断面が矩形であっても良い。この場合には、コア部14が格子状に配置されているため、イメージサークル11に対するコア部14の充填率を向上させることができる。
また、第1実施形態において、コア部14は、図2に示したように、格子状に配置されているが、図16に示した第2変形実施形態のように、同心円状に配置されていても良い。
【0058】
また、第2実施形態において、イメージガイド60(イメージサークル11)は、図11に示したように、断面が円形あるが、図17に示した第1変形実施形態のように、断面が矩形であっても良い。この場合には、コア部ブロック64Aが格子状に配置されているため、イメージサークル11に対するコア部ブロック64Aの充填率を向上させることができる。
また、第2実施形態において、コア部ブロック64A(コア部64)は、図11に示したように、格子状に配置されているが、図18に示した第2変形実施形態のように、同心円状に配置されていても良い。
【0059】
また、第2実施形態において、図14に示したように、第1,2量子型光検出器71,72の一つの画素73,74に対して、石英ガラスで構成された2個の石英コア部64xとフッ化物ガラスで構成された2個のフッ化物コア部64yとが対応しているが、一つの画素73,74に対応するコア部64の数は、4個に限定されるものではない。例えば、一つの画素73,74に対して、石英ガラスで構成された1個の石英コア部64xとフッ化物ガラスで構成された1個のフッ化物コア部64yとが対応していても良い。
【0060】
また、第1実施形態において、撮像手段としてCCDカメラ30を用い、第2実施形態において、撮像手段として第1,第2量子型光検出器71,72を用いたが、撮像手段は、適宜変更可能であり、例えば、熱型光検出器、InGaAs(インジウムガリウムヒ素)センサーを使用したInGaAsカメラであっても良い。
【0061】
また、第1実施形態において、コア部14が石英ガラスで構成され、第2実施形態において、石英コア部64xが石英ガラスで構成されるとともに、フッ化物コア部64yがフッ化物ガラスで構成されているが、コア部の構成は、石英ガラス、フッ化物ガラスに限定されるものではない。例えば、コア部は、気体又は真空で構成されていても良い。コア部が気体又は真空で構成されたイメージガイドは、赤外領域全般において良好な透過性を有するため、温度測定範囲を広くすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 温度分布測定装置
10 イメージガイド
14 コア部
14a 第1コア部
14b 第2コア部
14c 第3コア部
15 クラッド部
20 光学系
30 CCDカメラ
31 画素
31a 第1画素
31b 第2画素
31c 第3画素
40 パソコン
50 モニタ
60 イメージガイド
64 コア部
64x 石英コア部
64y フッ化物コア部
64A コア部ブロック
71,72 第1,第2量子型光検出器
80 反射板
90 回転駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象物の光を伝送するイメージガイドと、
前記イメージガイドに対して長手方向の前方側及び後方側に配置されていて前記観測対象物の光を結像する光学系と、
前記イメージガイドを透過した透過光を複数の画素で撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、
前記輝度信号により得られる輝度値に対して換算係数を用いて画素ごとに測定温度を算出するデータ処理手段と、
前記測定温度に基づいて前記観測対象物の温度分布画像を表示する表示手段とを備えた温度分布測定装置において、
前記イメージガイドは、長手方向に垂直な断面において、格子状又は同心円状に配置されていて前記撮像手段の各画素に対応するコア部を有し、
前記イメージガイドの長手方向に垂直な断面において、軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっていることを特徴とする温度分布測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載された温度分布測定装置において、
前記コア部は、複数の異なる材質で構成されていて、
前記撮像手段の一つの画素に対して、異なる材質で構成された複数のコア部から成るコア部ブロックが対応していることを特徴とする温度分布測定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された温度分布測定装置において、
前記データ処理手段は、前記外側コア部に対応する画素で用いる換算係数を、前記内側コア部に対応する画素で用いる換算係数に比して、大きくすることを特徴とする温度分布測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載された温度分布測定装置において、
前記データ処理手段は、前記イメージガイドの長さが長いほど、前記換算係数を大きくすることを特徴とする温度分布測定装置。
【請求項5】
コア部を有し観測対象物の光を伝送するイメージガイドにおいて、
長手方向に垂直な断面において、前記コア部は格子状又は同心円状に配置されていて、
軸中心に対して径外方向側に位置する外側コア部の断面積は、軸中心に対して径内方向側に位置する内側コア部の断面積に比して、大きくなっていることを特徴とするイメージガイド。
【請求項6】
請求項5に記載されたイメージガイドにおいて、
前記コア部は、複数の異なる材質で構成されていることを特徴とするイメージガイド。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載されたイメージガイドにおいて、
前記コア部は、気体又は真空であることを特徴とするイメージガイド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−181303(P2012−181303A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43541(P2011−43541)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】