説明

温度制御式LEDアレイ

いずれの中にも同じ量の電流が流れるように、LEDアレイがトランジスタに接続されるランプ。トランジスタの制御(たとえば、ベース)端子における電圧レベルが、動作温度が上昇するときに電流の大きさが低減されるように制御される。結果として、LEDアレイ内のLEDの接合部から生成される熱が低減され、それによって、動作温度の上昇が補償される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)アレイに関し、より具体的には、より高い温度において動作するランプ内のLEDアレイの動作の信頼性を高める方法及び装置に関する。また本発明は、そのようなランプを自動車のブレーキ/テールランプとして用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、一般に半導体p−n接合部を含み、その中を順方向に流れる電流に正比例する強度を有する光を生成する。所望の強度レベルの光を生成するために、そのようなLEDの多くはアレイとして形成されることが多い。
LEDアレイはさらに、ドライバ回路及びケーシングのような他の構成要素と共にランプとしてパッケージされることがある。1つのそのような用途は、LEDアレイベースのランプを自動車のブレーキランプ及びテールランプとして用いることである。一般に、ブレーキライトは、ブレーキがかけられるのに応答して、1つの強度の光を生成し、テールランプは、特に夜間に別の強度の光を生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
LEDアレイベースのランプが抱える1つの問題は、LEDアレイが高い動作温度において(すなわち、ライト又は自動車の一般的な環境において)故障しやすいことである。その故障の原因は多くの場合、その動作温度が、LED内のP−N接合部の温度上昇を引き起こすことがあり、それによってLEDアレイのすぐ近くの温度がさらに上昇し、それによって、(P−N接合部、ケーシング、又はPN接合部の接続リード線へのワイヤボンディングを含む)LED材料が壊れる/焼ける可能性があることによるものである。
それゆえ、より高い温度において動作するランプ内のLEDアレイの動作の信頼性を高める方法及び装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した問題点を解決するために、本発明は、
ランプであって、
制御端子(114)を有し、該制御端子(114)の電圧によって決定される大きさの電流を流すトランジスタ(140)と、
前記トランジスタ(140)に接続され、前記電流の前記大きさに比例する強度の光を生成するLEDアレイ(130)と、
前記制御端子に接続され、前記ランプの動作温度が第1の値に等しい場合に、第1のレベルを有する前記電圧を生成し、前記ランプの動作温度が前記第1の値とは異なる第2の値に等しい場合に、前記第1のレベルとは異なる第2のレベルを有する前記電圧を生成するドライバブロック(110)と
を備えていることを特徴とするランプ
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明を、以下に簡潔に説明される添付の図面を参照しながら説明する。
図面において、類似の参照符号は、同じ、機能的に類似の、及び/又は構造的に類似の構成要素を包括的に示す。ある構成要素が最初に現れる図面は、対応する参照符号内の最も左側の数字(一桁とは限らない)によって示される。
【0006】
1.概説
本発明の一態様に従って提供されるランプは、制御端子における電圧によって決定される大きさの電流を流すトランジスタと、電流の大きさに比例する強度を有する光を生成するLEDアレイとを含む。その際、ドライバブロックが制御端子における電圧レベルを制御し、動作温度が上昇すると、電流の大きさが低減されるようにする。結果として、動作温度が上昇すると、LEDアレイによって生成される熱が減少し、それによってLED、又はランプの他の構成要素への損傷のような問題が回避される。
本発明の別の態様によれば、そのようなランプは、自動車のブレーキ/テールランプとして用いるようになっている。
【0007】
本発明のいくつかの態様が、例示のための実施例を参照しながら以下に説明される。本発明の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な細部、関係及び方法が説明されることは理解されたい。しかしながら、本発明が、具体的な細部のうちの1つ又は複数を用いることなく、又は他の方法等を用いて実施することができることは、当業者には容易に理解されよう。他の事例では、本発明を不明瞭にするのを避けるために、既知の構造又は動作は詳細には示されない。
【0008】
2.ランプ
図1は、本発明の一態様による、ランプの一部の細部を示すブロック図である。LEDアレイ130、トランジスタ140、抵抗器(Re)150及びLEDドライバブロック110を含む図が示される。各構成要素が以下にさらに詳細に説明される。
説明を容易にするために、ただ1つのLEDアレイと、関連付けられるトランジスタ140及び抵抗器150を含む図1が示される。自動車の照明への応用形態は典型的には、多数のLEDアレイ(LEDアレイ130に類似)と、関連付けられるトランジスタ及び抵抗器とを用いる。その際、LEDドライバブロックは、そのようなLEDアレイのそれぞれに、以下に説明される信号を与えることができる。
【0009】
LEDアレイ130は、直列に接続されると共に、経路113上の電圧によって起動される1つ又は複数のLEDを含むことができる。LEDアレイ130によって発光される光の強度は、アレイの中に流れる(また、経路134上に見られる)電流に比例する。以下に説明される自動車内のテールランプとしての実施態様に関しては、ブレーキがかけられる場合には(経路101によって指示される)、より高い強度の光を生成し、そのランプがテールランプとして動作する場合には(経路103によって指示される)、低い強度の光を生成するように電流が制御される。
【0010】
トランジスタ140は、ベース端子(経路114に接続される)と、エミッタ端子(経路145に接続される)と、コレクタ端子(経路134に接続される)とを含むBJT(バイポーラ接合トランジスタ)として示される。トランジスタ140は、経路114上の電圧が所定のしきい値を超えるときにオン状態になり、そうでない場合にはオフ状態になる。
【0011】
また、トランジスタ140(したがって、LEDアレイ130)の中に流れる電流の大きさ(振幅)は、経路114上の電圧レベル、及び抵抗器150によって与えられる抵抗によって設定される。抵抗器150を用いて、要求されるベース電流値(経路145上)、及び結果として生成されるLED電流値(経路134上)を設定する。抵抗が一定であるものと仮定すると、経路114上の電圧を高くすることによって、電流も増大させることができる。
【0012】
LEDドライバブロック110は、ライトをオン/オフするために、またLEDアレイ130から所望の光強度を得るために、経路114上の電圧レベルを制御する。経路114上の電圧レベルは、動作温度が上昇するほど、電圧レベルが低くなるように制御される。結果として、経路134上のLED電流もそれに応じて減少し、それによって、LEDアレイ130内のLEDの接合温度が下がる。
【0013】
自動車への応用形態における使用に関しては、経路101が、ブレーキがかけられたことを指示するときには、経路114上に高い電圧が印加され、経路103によって指示されるように、そのランプが単にテールライトとして動作する必要があるときには、経路114上に低い(ただし、トランジスタ140をオンに切り替えるほど十分に高い)電圧が印加される。ブレーキライトに対応する高い電圧を印加するときであっても、潜在的には動作温度に比例して、経路114上の電圧レベル(それゆえ、経路134上の電流)は低減される。
【0014】
本発明の一態様に従って、そのような温度補償を達成することができる方法に関して、説明を続ける。その後、一実施形態におけるLEDドライバブロック110の回路レベルの実施態様で説明を続ける。
【0015】
3.温度補償
図2は、本発明の一態様による、温度補償が提供される態様を示す回路図である。LEDドライバブロック110内に抵抗器(R1)265及び(R3)270と、ダイオード(D1)280及び(D2)281とを含んでいる。図1の構成要素のいくつかは、以下の解析においても繰り返して用いられる。LEDドライバブロック110内の構成要素は、以下に示されるように、動作温度が上昇するのに応答して、経路114上の電圧を低下させ、それによって図1のLEDアレイ130内の電流を低減するように動作する。
【0016】
抵抗器R1、R2及びダイオードD1、D2は分圧器ネットワークを形成し、その分圧器ネットワークは、経路290上で電圧(図3に関して以下に説明されるように、経路101上の「ブレーキ動作」を指示する電圧から導出することができる)を受信し、以下に説明するように、経路114上に所望のレベルの電圧を与える。
【0017】
ダイオードD1及びD2は、経路134上のLED電流に温度補償を提供するように動作する。これは、図2から、経路114上に与えられる電圧が抵抗器R3、ダイオードD1及びダイオードD2での電圧降下の和に等しいことによるものである。ダイオードD1及びD2での電圧降下はそれぞれ、図2の回路の動作温度に反比例する。したがって、温度が変化すると、ダイオードD1及びD2での電圧降下は、対応する値だけ逆に(又は負の相関によって)変化し、それによって、経路114上に印加される電圧が変化する。
【0018】
たとえば、動作温度が上昇することによって、LEDアレイ130内のLEDの接合温度が上昇することがある。しかしながら、そのような動作温度の上昇は、対応する(そして場合によっては比例する)、ダイオードD1及びD2での電圧降下の減少を引き起こし、それによって、経路114上に与えられる電圧が減少する。結果として、経路134上のLED電流もそれ応じて減少し、LEDアレイ130内の電力損が減少し、LEDアレイ130内のLEDの接合温度が許容限度内に入るように維持される。
【0019】
図2の回路の動作を、例示するために設計仕様例に関して以下にさらに詳細に説明する。
4.設計仕様例による例示
例示するために、以下の設計仕様を有するランプが設計されることになるものと仮定する。
1.図2の回路の場合の動作温度範囲が−40℃〜+85℃である。
2.LED200、210、220及び230〜230のそれぞれの最大動作接合温度(Tj)は125℃である。
【0020】
必要とされる温度補償が提供されて上記の仕様例が満たされることを示すために、回路機能が以下に説明される。LED200、210、220及び230が自動車のブレーキランプに用いられ、対応するレベルの光強度を得るために、LED200〜230の中に65ミリアンペアの電流を流す必要があるものと仮定する。また、以下のことも仮定される。LED200〜230のそれぞれの定格最大順方向電流=70ミリアンペア(mA)である。
【0021】
LED200〜230のそれぞれの中の動作順方向電流=65mA。
LED200〜230のそれぞれの両端での65mA時の順方向電圧降下=2.1ボルト(V)。
経路113上の最小電圧=10.5V。
要求される適切な値の定電圧が経路101及び103上で得られる。
以下の計算は、例示のためにLED200に関して示される(LED200〜230は同じ特性を有するものと仮定するため、以下の計算はLED210〜230にも当てはまるであろう)。
動作順方向電流(経路134上のエミッタ電流Ie)=65mA・・・・・・・・式1
LED200の両端での順方向電圧降下(Vf)=2.10V・・・・・・・・・式2
式1及び式2から:電力損(Pd)
=Vf×IE=2.1×0.065=0.136W・・・・・・式3
LED200のケーシング(図示せず)の熱抵抗(Rj)=325℃/W・・・・式4
式3及び式4から:LED200の接合温度の上昇(ΔT)
=Pd×Rj=0.136×325=44.2℃・・・・・・・式5
それゆえ、85℃の最大周囲動作温度(Ta)の場合に、Tjは以下の式によって与えられる。
Tj=Ta+ΔT=129.2℃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式6
式6から、接合温度Tjが125℃の許容最大値を超えることが明らかであろう。
【0022】
ダイオード280/281の動作が周囲温度Taの上昇を実質的に補償し、LED200の接合温度Tjを許容限度(仕様例ごとのように、125℃の最大値)内に維持することが示される。
ブレーキの応用形態によって、定電圧Vbが経路101上に存在することになる。経路103は、いかなる電圧にも接続されないものと仮定される。
それゆえ、経路114上の電圧(Vbe)は以下の式によって与えられる。
Vbe=VD1+VD2+(R1×I)・・・・・・・・・・・・・・・・・・式7
ただし、VD1:ダイオードD1の両端での電圧降下
VD2:ダイオードD2の両端での電圧降下
R1:R1(270)の抵抗
:R1、D1及びD2を含む直列経路(275)の中の電流
【0023】
経路113上で定電圧が得られるものと仮定している。それゆえ、Iの値は、要求される動作温度範囲にわたって、概ね一定のままであると仮定することができる。したがって、式7は以下のように書き換えることができる。
Vbe=VD1+VD2+k1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式8
ただし、k1=式7の項(R1×I
既知であるように、ダイオードの両端での順方向電圧降下(式7のVD1及びVD2等)は以下の式によって与えられる。
順方向電圧降下VD=(nkT/q)In(I/I)・・・・・・・・・・・式9
ただし、VD:ダイオード順方向電圧
n:ダイオード発光係数
k:ボルツマン定数
T:温度(度)
q:電子の電荷
:ダイオード順方向電流
:ダイオードの逆方向飽和電流
【0024】
順方向電流の低い値では、接合温度(ダイオードD1及びD2のためのTjd)と順方向電圧VD(図2のVD1及びVD2)との間の関係は概ね線形であり、それゆえ、接合温度が変化するのに応じて、K倍だけ変化が引き起こされる。この関係は以下の式によって与えられる。
ΔVD=ΔTjd/K・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式10a
ただし、ΔVD:ダイオード順方向電圧の変化
ΔTjd:ダイオードの接合温度の(対応する)変化
K:比例定数
Kの単位は℃/mVであり、その値は典型的には0.4〜0.8C/mVの範囲内にある。この式は、本発明人の応用形態に合わせて、以下のように簡単にすることができる。
【0025】
式10aは以下のように書き換えることができる。
ΔVD=ΔTj×K1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式10b
式中:K1=1/Kであり、典型的には1.25〜2.5mV/℃の範囲内にある。
この例において仮定される85℃の最大動作温度及び25℃の周囲温度の場合に、ダイオード接合温度の変化は以下の式によって与えられる。
ΔTjd=85−25=60℃
K1として1.25mV/℃の最小値を仮定すると、ダイオード順方向電圧の変化は以下の式によって与えられる。
ΔVD=75mV・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式11a
このように、25℃〜85℃までの周囲温度の変化の場合、ダイオードD1及びD2のそれぞれでの順方向電圧降下の変化は75mVであり、ダイオードD1及びD2を直列に組み合わせたものによる電圧降下の全変化は以下の式によって与えられる。
ΔVD1+ΔVD=150mV・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式11b
【0026】
経路114がLEDドライバブロック110から切断される場合は、経路114上の電圧(Vbe)は以下の式によって与えられる。
Vbe(LEDドライバブロック110を用いない場合)
=(12×0.065)+0.7
=1.48ボルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式12
ただし、12オーム=Reの抵抗値
0.065(65mA、先に仮定された動作順方向電流)=Reの中の電流
0.7=はトランジスタ140のカットインベース/エミッタ間電圧
【0027】
経路114にLEDドライバブロックが接続される場合、式12のVbeは150mV(式11b)だけ減少し、以下の式によって与えられる。
Vbe(LEDドライバブロック110が接続される場合)
=1.48−0.15
=1.33V・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式13
こうして、ダイオードD1及びD2を接続することによって、85℃の動作温度において、Vbeが1.48Vから1.33Vに実質的に低減されている。
【0028】
したがって、経路134(及び、トランジスタ140のベース電流を無視すると、145)上の順方向電流(Ie)の対応する値は以下の式によって与えられる。
Ie=(1.33−0.7)/12=52.5mA・・・・・・・・・・・・式14
ただし、1.33=式13において計算されたVbeの値
0.7=トランジスタ140のカットインベース/エミッタ間電圧
12オーム:Reの抵抗値
それゆえ、LED200の接合温度の変化の対応する値は、以下の式によって与えられる。
ΔTj=Pd×Rj=0.052.5×2.1×325=35.5℃・・・・式15
ただし、Pdは電力損であり、0.052アンペア(式14において計算された52mA)に2.1V(LED200の両端での順方向電圧降下)を掛けた値に等しい。Rjは式4において与えられる。
【0029】
こうして、式15から、LED200の接合温度Tjは以下の式によって与えられる。
Tj=Ta+ΔTj=85+35.35=120.5℃・・・・・・・・・式16
式16から、LED200の接合温度Tjは、設計仕様によって許容される125℃の最大値よりも小さいことは明らかである。
したがって、ダイオードD1及びD2での順方向電圧降下の変化が温度補償すること、及びLED200の接合温度を許容限度内に維持するのを容易にすることが明らかである。LED210〜230の接合温度も同じく、LEDドライバブロック110のダイオードD1及びD2の動作によって、許容限度内に維持されるであろう。
【0030】
図3は、種々の値の周囲温度の場合にLEDアレイ130の中に流れる順方向電流の値を含む表である。第1列は周囲温度を列挙し、対応する順方向電流が第2列に列挙される。第2列内に列挙される種々の値の順方向電流の場合に対応する接合温度が、この例において要求される許容限度内にあることを確かめることができる。
【0031】
LEDアレイ130のLEDの強度レベルを制御することができることも望ましいことがある。たとえば、自動車では、「ブレーキ」指示は一般的に、「テール」ライト強度よりも高い強度を必要とする。図1及び図2のLEDドライバブロック110は、上記の温度補償機能を提供しながら、(ブレーキ指示及びテールライト動作用の)LEDの強度制御を容易にする機構を組み込むことができる。したがって、本発明の別の態様に従って、そのような機構を例示するために説明を行う。
【0032】
5.ブレーキ指示及びテール指示を与えるLED強度制御
図4は、本発明の一実施形態において、LEDアレイの種々の強度レベルが与えられる態様を示す、LEDドライバブロック110及び関連付けられるLEDアレイの回路図である。LEDアレイ130、トランジスタ140、抵抗器(Re)150及びLEDドライバブロック110を含む図が示される。
【0033】
LED200、210、220及び230を含むLEDアレイ130が示されており、抵抗器(R1)265、(R2)266、(R3)270、(R4)495及び(R5)491と、ダイオード(D1)280、(D2)281、(D3)410、(D4)450及び(D5)440と、抵抗器ツェナーダイオード(Z1)481及び(Z2)482と、トランジスタ460とを含むLEDドライバブロック110が示される。説明を容易にするために、図1の残りの構成要素が繰り返し用いられる。
【0034】
抵抗器R1、R2及びダイオードD1、D2は、経路290上で電圧を受信する分圧器ネットワークを形成し、上記で言及されたように、LEDアレイ130から対応する所望のレベルの強度を得るために、経路114上に所望の電圧レベルを与える。抵抗器R5及びR4は電流制限抵抗器である。ダイオードD5を用いて、ブレーキ(101)とグランド(105)との間の電圧が負である場合にツェナーダイオードZ2への損傷を防ぐ。ダイオードD1及びD2は、上記で説明されたように、経路134上のLED電流に温度補償を提供するように動作するが、簡潔にするために、ここではその説明は繰り返さない。
【0035】
「ブレーキ」動作及び「テールランプオン」動作を指示する電圧はそれぞれ、経路101及び103上に外部から与えられ、一般的には、同じ電圧源によって与えられる。ダイオードD3は、経路101上に与えられる電圧が経路103上に現れるのを阻止する。同様に、ダイオードD4は、経路103上に与えられる電圧が、経路101上に現れるのを阻止する。こうして、ダイオードD3及びD4は、経路101及び103上にそれぞれ対応する「ブレーキ」電圧及び「テールランプオン」電圧を与える電圧源を保護する。LEDアレイ130に電流を供給するための経路112上の電圧は、経路101及び103上の電圧のうちの大きい方から、D4又はD3に起因するダイオード電圧降下を減算した値に等しい。図4に示される例示的な実施形態では、経路101及び103上の電圧は等しく、14Vになるように選択される。
【0036】
ツェナーダイオードZ1は、5.1ボルト(V)の降伏電圧を有する。したがって、経路103上の電圧が、5.1Vに、D3に起因するダイオード電圧降下(典型的には0.7V)を加算した値よりも高くなる場合には、Z1の動作によって、経路290上に5.1Vの電圧が現れる。同様に、ツェナーダイオードZ2は、5.1ボルト(V)の降伏電圧を有する。したがって、経路101上の電圧が、5.1Vに、D5に起因するダイオード電圧降下(典型的には0.7V)を加算した値よりも高くなる場合には、Z2の動作によって、経路291上に5.1Vの電圧が現れる。
【0037】
トランジスタ460は、ベース(制御)端子(経路291に接続される)、エミッタ端子(経路292に接続される)及びコレクタ端子(経路290に接続される)を含むBJT(バイポーラ接合トランジスタ)として示される。エミッタ端子及びコレクタ端子は、その間に電流経路が存在することになる一対の端子を形成する。経路101上の電圧が、5.1VにD5に起因するダイオード電圧降下(典型的には0.7V)を加算した値を超える場合には、トランジスタ460はオン状態になり、そうでない場合には、オフ状態になる。
【0038】
ブレーキがかけられる(すなわち、対応する電圧が経路101上に存在する)場合には、対応するLEDアレイ130の一方の(高い)強度レベルが得られること、及び、テールランプ機能だけが必要とされる(すなわち、対応する電圧が経路103上に存在し、経路101上には電圧が存在しない)場合には、対応するLEDアレイ130の第2の(低い)強度レベルが得られることを例示するために、ここで、図4の回路の動作が説明される。
【0039】
テールライトオン動作
経路101上に電圧が存在しない場合、トランジスタ460はオフ状態にある。(テールライトオン状態を指示するために)要求される電圧値が経路103(テール)上に存在する場合には、ツェナーダイオードZ1が降伏領域において動作し、経路290上に5.1Vが現れる。
R1、R3、D1及びD2は分圧器ネットワークを形成する。それゆえ、経路290上に5.1Vの電圧がある場合、経路114上の電圧値は以下の式によって与えられる。
Vbe
=[(5.1−0.78)×(33/33033)]+0.78ボルト・・・・式17
ただし、Vbe=経路114上の電圧
5.1V=経路290上の電圧
33=抵抗器R3の抵抗値
33000=抵抗器R1の抵抗値
0.78V=D1及びD2のダイオード電圧降下(0.39V)の和
【0040】
式17から、Vbe(テールライトオンの場合)は約1.3Vに等しい。
それゆえ、エミッタ電流(経路145)、及び結果としてLED電流(経路134)の値は以下の式によって与えられる。
LED電流=(0.78−0.7)/12(近似的に)=6.66mA・・・・式18
こうして、LEDアレイ130によって、6.66mAに対応する光強度が与えられる。
【0041】
ブレーキライト動作
要求される電圧値(ブレーキ動作を指示する)が経路101上に印加される。それゆえ、ツェナーダイオードZ2は降伏領域において動作し、経路291上に5.1Vが現れ、それによって、トランジスタ460がオンに切り替わる。こうして、抵抗器R2が経路290に接続される。これによって、実質的に、抵抗器R1及びR2が並列に接続される。R2の値680オーム(この例において仮定される)は、R1の値(33000オーム)よりもはるかに小さいため、R1及びR2の実効的な並列抵抗はR2の値、すなわち680オームによって近似することができ、抵抗器R1の影響は以下の計算から削除されてもよい。
【0042】
R2、R3、D1及びD2は分圧器ネットワークを形成する。それゆえ、経路291上に5.1Vの電圧が現れる場合に、経路114上の電圧値は以下の式によって与えられる。
Vbe=[(5.1−1.3)×(33/713)]+1.3ボルト・・・・・式19
ただし、Vbe=経路114上の電圧
5.1V=経路290上の電圧
33オーム=抵抗器R3の抵抗値
713オーム=抵抗R2(680オーム)とR3(33オーム)との和
1.3V=ダイオード電圧降下(D1及びD2のそれぞれにおいて0.39Vであると仮定される)に、BJT460のベース/エミッタ接合部に起因する0.52V電圧降下を加算した和
式19から、Vbe(ブレーキライト動作の場合)は約1.48Vに等しい。
【0043】
それゆえ、エミッタ電流(経路145)、及び結果としてLED電流(経路134)の値は以下の式によって与えられる。
LED電流=(1.48−0.7)/12(近似的に)=65mA・・・・・・式20
こうして、LEDアレイ130によって、65mAに対応するより高い光強度が与えられる。
したがって、LEDドライバブロックによって、LEDアレイ130が、2つの強度レベルを与えることができるようになり、テールライト動作の場合には低いレベル、ブレーキ動作の場合には高いレベルを与えることができることが示された。
【0044】
6.結論
上記で本発明の種々の実施形態が説明されてきたが、それらの実施形態は例示としてのみ提示されており、制限するものではないことは理解されたい。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上記で説明された例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物に従ってのみ規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一態様による、ランプの一部の細部を示すブロック図である。
【図2】本発明の一態様による、温度補償が提供される態様を示す回路図である。
【図3】一実施形態における、周囲/動作温度の種々の値に対するLEDアレイの中を順方向に流れる電流の値を含む表の図である。
【図4】本発明の一実施形態においてLEDアレイの種々の強度レベルが与えられる態様を示す、LEDドライバブロック110及び関連付けられるLEDアレイの回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプであって、
制御端子(114)を有し、該制御端子(114)の電圧によって決定される大きさの電流を流すトランジスタ(140)と、
前記トランジスタ(140)に接続され、前記電流の前記大きさに比例する強度の光を生成するLEDアレイ(130)と、
前記制御端子に接続され、前記ランプの動作温度が第1の値に等しい場合に、第1のレベルを有する前記電圧を生成し、前記ランプの動作温度が前記第1の値とは異なる第2の値に等しい場合に、前記第1のレベルとは異なる第2のレベルを有する前記電圧を生成するドライバブロック(110)と
を備えていることを特徴とするランプ。
【請求項2】
請求項1記載のランプにおいて、前記第1の値は前記第2の値よりも大きく、前記第1のレベルは、前記大きさを、前記第2のレベルによって引き起こされる該大きさと比べて小さくして、前記LEDアレイ(130)内のLEDが動作温度が上昇するほど低い電流を流すようにしたことを特徴とするランプ。
【請求項3】
請求項2記載のランプにおいて、前記LEDアレイ(130)は前記トランジスタ(140)に接続され、前記トランジスタ(140)及び前記LEDアレイ(130)の両方に同じ大きさの電流が流れるように構成されていることを特徴とするランプ。
【請求項4】
請求項2記載のランプにおいて、
前記ドライバブロック(110)は、前記動作温度と負の相関関係にあるクロス電圧を有する少なくとも1つの構成要素(280、281)を備え、
前記電圧は前記構成要素(280、281)の両端に導出される
ことを特徴とするランプ。
【請求項5】
請求項4記載のランプにおいて、前記少なくとも1つの構成要素(280、281)はダイオードを含むことを特徴とするランプ。
【請求項6】
請求項4記載のランプにおいて、該ランプは自動車において用いられ、前記ドライバブロックは、ブレーキがかけられていることを指示する第1の信号と、テールライトが点灯すべきであることを指示する第2の信号とを受信し、前記ドライバブロック(110)は、ブレーキがかけられていることを指示する第1の信号(101)と、テールライトが点灯すべきであることを指示する第2の信号(103)とを受信し、前記ドライバブロック(110)は、前記第1の信号(101)及び前記第2の信号(103)を受信して、前記ブレーキがかけられることを前記第1の信号(101)が指示する場合に第3の電圧レベルを有し、前記テールライトが点灯すべきであることを前記第2の信号(103)が指示する場合に第4の電圧レベルを有する前記電圧を生成することを特徴とするランプ。
【請求項7】
請求項6記載のランプにおいて、前記ドライバブロック(110)は、
第1の抵抗器(270)、第2の抵抗器(265)及び第3の抵抗器(266)と、
制御端子(291)と、その間に電流チャネルを有する一対の端子(290、292)とを有する第1のトランジスタ(460)と、
第1の定電圧基準(481)及び第2の定電圧基準(482)と
を備え、
前記第2の抵抗器(265)、及び前記第1のトランジスタ(460)と前記第3の抵抗器(266)との組み合わせは、第1のノードと第2のノードとの間に並列に接続され、前記第1の信号(101)及び前記第2の信号(103)のそれぞれは前記第1のノードに接続され、
前記第1の定電圧基準(481)の1つの端子は前記第1のノードに接続され、前記第1の定電圧基準の別の端子は定電圧レベルに接続され、
前記第2の定電圧基準(482)の一方の端子は、前記第1のトランジスタ(460)の前記制御端子(291)及び前記第1の信号(101)に接続され、前記第2の定電圧基準(482)の他方の端子は定電圧レベルに接続され、
前記第1のトランジスタ(460)の前記一対の端子の一方(290)は該第1のノードに接続され、前記第1のトランジスタ(460)の前記一対の端子の他方(292)は前記第3の抵抗器(266)に接続され、
前記第1の抵抗器(270)は、前記第2のノードと前記少なくとも1つの構成要素(280、281)との間に接続されている
ことを特徴とするランプ。
【請求項8】
請求項7記載のランプにおいて、前記少なくとも1つの構成要素(280、281)はダイオードを含み、前記第1の定電圧基準(481)はツェナーダイオードを含むことを特徴とするランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−525617(P2009−525617A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553385(P2008−553385)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/002971
【国際公開番号】WO2007/092355
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】