温度制御装置および温調システム
【課題】構造の複雑化を抑制しつつ、板状部材の冷却を効果的に行えるようにする。
【解決手段】吹き出しヘッダ34を複数個並列に設置し、その間に排気ヘッダ36が構成されるように、吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とが長手方向に対して側面を表裏に共有させながら、吹き出しヘッダ34は、ヘッダベース32側に開口するとともに、ガラス基板20側に吹き出し穴35を持ち、排気ヘッダ36はヘッダベース32側に閉じるとともに、ガラス基板20側に開口し、ヘッダベース32は、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36を支持しつつ、吹き出しヘッダ34側に開口するように構成する。
【解決手段】吹き出しヘッダ34を複数個並列に設置し、その間に排気ヘッダ36が構成されるように、吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とが長手方向に対して側面を表裏に共有させながら、吹き出しヘッダ34は、ヘッダベース32側に開口するとともに、ガラス基板20側に吹き出し穴35を持ち、排気ヘッダ36はヘッダベース32側に閉じるとともに、ガラス基板20側に開口し、ヘッダベース32は、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36を支持しつつ、吹き出しヘッダ34側に開口するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度制御装置および温調システムに関し、特に、板状部材を冷却するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より対象物を冷却する装置は多々考案されてきた。その特徴は、冷却ノズルや吸引ノズルを有し、冷却効率を上げる点を主体にしている点にある。そこで、冷媒の熱伝導率を工夫したり、冷却ノズルの噴出を強めたり、対象媒体への距離を最適にしたりして、様々な試行錯誤が繰り返されてきた。
そして、この種の従来の技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものが公知である。即ち、特許文献1に記載された冷却装置は、冷却対象である鋼帯に向けて冷却ガスを吐出する冷却ノズルの後方に、吐出した冷却ガスを吸い上げるガス吸込孔を設け、これにより、冷却能力の向上を図るというものであった。
【特許文献1】特開平9−194954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、形状が複雑になり、高価格化を招くとともに、吹き出しノズルおよび空気流入口の形状が複雑なため、製造設備としてのメンテナンス性が悪いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、構造の複雑化を抑制しつつ、板状部材の冷却を効果的に行うことが可能な温度制御装置および温調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の温度制御装置によれば、板状部材に対向、かつ所定の間隔で並列配置され、該板状部材に流体を吹き出す吹き出しヘッダと、前記板状部材に吹き出された流体を排気する通路として、前記吹き出しヘッダ間に形成される空間が用いられた排気ヘッダと、前記吹き出しヘッダおよび前記排気ヘッダを支持し、前記吹き出しヘッダに前記流体を供給するヘッダベースとを備えることを特徴とする。
【0005】
また、請求項2記載の温度制御装置によれば、請求項1記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとは、共通の隔壁で仕切られていることを特徴とする。
また、請求項3記載の温度制御装置によれば、請求項1又は2記載の温度制御装置において、前記ヘッダベースは、前記板状部材に対向し、かつ前記板状部材と対向する前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとを具備し、前記吹き出しヘッダは、前記ヘッダベース側および前記ヘッダベースと反対側の双方に開口部を持つとともに、前記排気ヘッダは、前記ヘッダベース側が閉じるとともに、前記ヘッダベースと反対側に開口部を持つように形成されていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項4記載の温度制御装置によれば、請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面において、複数の吹き出し穴を有するとともに、前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット形状を有することを特徴とする。
また、請求項5記載の温度制御装置によれば、請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面に通じる部分がスリット形状を有するとともに、前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット状に開口していることを特徴とする。
【0007】
また、請求項6記載の温度制御装置によれば、請求項4又は5記載の温度制御装置において、前記排気ヘッダの流体が流入される開口部は前記吹き出しヘッダに挟まれた流入スリットであり、前記排気ヘッダを流入スリットの巾方向で切った断面積をその流入スリットの巾寸法の二乗で割った値が6倍以上であることを特徴とする。
また、請求項7記載の温度制御装置によれば、請求項6記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように、その空間を板状部材の幅方向両側から両側から塞ぐヘッダサイド部を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項8記載の温度制御装置によれば、請求項7記載の温度制御装置において、前記ヘッダサイド部は、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間の長さ以上とすることを特徴とする。
また、請求項9記載の温調システムによれば、請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置と、前記流体を恒温状態に保ったまま前記温度制御装置に前記流体を送出する流体送出手段と、並列配置させた前記吹き出しヘッダに対して直交する方向で前記板状部材を前記温度制御装置に搬送する搬送手段と、前記流体が前記板状部材の片面に吹き付けられるように前記温度制御装置を支持する第1の支持手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項10記載の温調システムによれば、請求項9記載の温調システムにおいて、前記搬送手段は、前記温度制御装置の下部に前記板状部材を搬送することを特徴とする。
また、請求項11記載の温調システムによれば、請求項10記載の温調整システムにおいて、前記温度制御装置は、前記板状部材が前記温度制御装置の下部にないときは、前記吹き出しヘッダから下方に向かうダウンフローを生成し、前記板状部材があるときは前記排気ヘッダを経由するダウンフローを生成する空間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項12記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように両側から側面板で塞ぎ、該側面板を支持する第2の支持手段を更に設けることを特徴とする。
また、請求項13記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記空間内に生成されたダウンフローを前記温度制御装置に還流させる還流経路をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項14記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記排気ヘッダからの流体の流出方向に対向するように壁面が設けられ、前記壁面は下方に向かって傾斜されていることを特徴とする。
また、請求項15記載の温調整システムによれば、請求項9記載の温調システムにおいて、請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置がさらにもう一つ設けられ、前記温度制御装置を介して前記板状部材の他方の面からも前記流体が吹き付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、吹き出しヘッダをヘッダベースにて保持させつつ吹き出しヘッダと排気ヘッダとを一体的に構成することができ、吹き出しヘッダ、空気流入口から排気ヘッダまでの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
また、板状部材の有無に関わらず、温度制御装置における流体の流れをダウンフロー主体になるように構成することができ、吹き出しヘッダを介して吹き出された流体の対流を抑え、パーティクル対策の効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る温度制御装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る温調システムの概略構成を示す斜視図である。
図1において、温調システム90には、ガラス基板20の搬送経路に対向するように配置されたヘッダ部30が温度制御装置として設けられている。ここで、ヘッダ部30は、ガラス基板20に流体を吹き出すとともに、その流体を流入させることができる。これは、ガラス基板20とヘッダ部30とで形成される空間において、流体が吹き出されることにより圧力差が生じ、圧力の低い箇所へ流入するためである。なお、ヘッダ部30から吹き出される流体としては、空気を用いることができるが、窒素やヘリウムなどの不活性ガスを用いるようにしてもよい。そして、ヘッダ部30の上面は、ファンユニット4を介してダクト2に接続されている。
【0014】
また、ヘッダ部30下には、ヘッダ部30に対向する位置にガラス基板20を搬送するための複数本の基板支持軸6が互いに等間隔に且つ搬送方向に延びて配置されていて、基板支持軸6の一端部は搬送装置8に支持され、これにより、基板支持軸6はその長手方向である搬送方向に進退可能になっている。さらに、ヘッダ部30下には、ヘッダ部30から吹き出された流体のダウンフローを生成して流体の対流を抑える恒温制御室10が基板支持軸6を横切るようにして配置されている。
なお、温調システムにて設定温度範囲内に制御される対象は、ガラス基板20の他、ポリイミドやポリエチレンなどのフィルム基板や、シリコンなどの半導体基板、あるいはその他の板状部材であってもよい。
【0015】
そして、温調システム90は、例えば、生産現場に設置され、ガラス基板20等の板状部材を冷却する。ここで、ヘッダ部30では、不図示の精密温調装置から温調された温調空気(設定した目標温度、あるいは目標前後の温度)がダクト2を通して供給され、ファンユニット4により清浄度と静圧を得て、ヘッダ部30を介してガラス基板20に吹き出される。吹き出された流体はガラス基板20に衝突し、ほとんどは、ヘッダ部30に形成された空気流入口から排気ヘッダへ導入される。また、ガラス基板20に衝突した流体の一部は周囲に逃げる。これらの流体は、特に合流することなく、恒温制御室10外に排出される。あるいは、不図示の精密温調装置に還流されることにより循環利用するようにしてもよい。なお、ファンユニット4は、例えば、ファンフィルターユニットのようなフィルター機能を有するものを用いても構わない。
【0016】
なお、ファンユニット4の吹き出し形状に応じて、ヘッダ部30は接続されている。図1の場合、ファンユニット4の吹き出し形状が正方形の面全体だとすると、ヘッダ部30の上面も正方形にて開口されている。ファンユニット4が複数の長方形状の吹き出し口を具備する場合、ヘッダ部30の上面も対応する複数の長方形状の開口部を有する。
以降の説明の各図面において、ヘッダ部30(あるいは等価な機能を持つ部位)を示す際に、ファンユニット4とヘッダ部30との接続断面について特に説明しないが、その接続面においては互いに空気の流路を妨げない形状で相対している。
【0017】
ところで、上述の吹き出す流体に制限はなく、空気であっても、液状のものであってもよいが、板状部材がガラス基板20の場合は、高度に清浄化された空気を用いるのが一般的である(以降の説明では、空気と表記する)。そして、搬送装置8により基板支持軸6を一定速度で移動させることにより、矢印の搬送方向にガラス基板20が移動され、ヘッダ部30に対し、ガラス基板20が近接制御される。
【0018】
なお、ガラス基板20の搬送方法はどのような方法であっても構わない。例えば、ガラス基板20の端部を掴んだクレーンによる移動方法を用いるようにしてもよいし、ガラス部材20を下から支持し、ガラス基板20と共に移動する台車を用いるようにしてもよい。また、温調システム90は主要部のみを記載したが、恒温制御室10には、除電対策やパーティクル対策、振動低減対策などを施す装置を設けるようにしてもよい。
このような温調システム90では、ガラス基板20に空気を吹き付けて温度制御を行うヘッダ部30を主要部として挙げることができ、温度制御装置としてはヘッダ部(あるいはその外延部(例えば、ファンフィルタユニット4)を含むようにしてもよい)を指すものとする。
【0019】
図2(a)は、図1の温調システムのヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(c)は、吹き出しノズルのその他の概略構成を示す斜視図である。
図2において、ヘッダ部30には、ヘッダベース32、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36が設けられている。ここで、排気ヘッダ36は、ガラス基板20に向けて吹き出しヘッダ34から吹き出された空気を流入することができる。これは、ガラス基板20と、ヘッダベース32、吹き出しヘッダ34、排気ヘッダ36とで囲まれた空間において、排気ヘッダ36は圧力が低いため、周辺の空気をその開口部から流入することによる。
【0020】
吹き出しヘッダ34は、ガラス基板20に向けて空気を吹き出す吹き出し穴35が設けられる。ヘッダベース32は、排気ヘッダ36および吹き出しヘッダ34を支持し、ヘッダベース32から吹き出しヘッダ34へ向けて流体を供給することができる。
具体的には、吹き出しヘッダ34は、ヘッダベース32側に開口するとともに、ガラス基板20側に吹き出し穴35を持ち、排気ヘッダ36はヘッダベース32側に閉じるとともに、ガラス基板20側に開口し、ヘッダベース32は、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36を支持しつつ、吹き出しヘッダ34側に開口するように構成することができる。ここで、吹き出しヘッダ34は複数個並列に設置し、その間に排気ヘッダ36が構成されるように、吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とは長手方向(図2(a)のA−A断面に対して垂直方向)に対して側面である隔壁30Aを表裏に共有することができる。
【0021】
また、吹き出しヘッダ34間に挟まれる排気ヘッダ36の先端部はスリット状に構成され、空気流入口38が形成されている。また、吹き出しヘッダ34の空気の吹き出し面には、図2(b)に示すように、複数の吹き出し穴35が前後左右に形成されている。なお、図2(c)に示すように、吹き出し穴35の代わりに吹き出しノズル42が形成された吹き出しヘッダ37を用いるようにしてもよい。
【0022】
これら吹き出しヘッダ34の個数は、ガラス基板20のサイズと諸条件(目的の冷却温度やその温度に達するまでの時間)に基づいて設定することができ、十分に機能する個数とすることができる。なお、吹き出しヘッダ34の個数をn個とすれば、排気ヘッダ36の個数はn−1個になる(だだし、nは2以上の整数である)。また、排気ヘッダ36の空気流入口38は狭くてもよいのに対し、吹き出しヘッダ34から吹き出された空気に偏流が起きるのを抑制するため、排気ヘッダ36の断面積は広くするのが好ましく、排気ヘッダ36の奥側は先端部よりも幅が広くなるように構成することが好ましい。
【0023】
例えば、吹き出しヘッダ34の先端とガラス基板20との間隔H1は20mm、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36の高さH2は50mm、吹き出しヘッダ34の吹き出し面の幅W1は40mm、排気ヘッダ36の先端の幅W2は5mm、排気ヘッダ36の後端の幅W3は20mmとし、排気ヘッダ36の断面積は約600mm2とすることができる。なお、ここでいう断面積とは、A−A断面の方向に関してのものである。
【0024】
また、例えば、図2(b)の吹き出し穴35の穴径Bは3mmφ、吹き出し穴35の左右方向の間隔は20mm、吹き出し穴35の前後方向の間隔は20mmとすることができる。
そして、ヘッダベース32に供給された空気は吹き出しヘッダ34を介して吹き出し穴35に送られ、吹き出し穴35を介して空気がガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は、排気ヘッダ36を介して排気ヘッダ36の外部に排出される。
【0025】
ここで、吹き出しヘッダ34をヘッダベース32にて保持させつつ吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とを一体的に構成することにより、吹き出しヘッダ34、空気流入口38から排気ヘッダ36までの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
【0026】
図3(a)は、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図である。
図3において、ヘッダ部40には、ヘッダベース44、吹き出しヘッダ46および排気ヘッダ48が設けられている。ここで、排気ヘッダ48は、ガラス基板20に向けて吹き出しヘッダ46から吹き出された空気を流入させることができる。これは、ガラス基板20と、ヘッダベース44、吹き出しヘッダ46、排気ヘッダ48とで囲まれた空間において、排気ヘッダ48は圧力が低いため、周辺の空気をその開口部から流入することによる。吹き出しヘッダ46は、排気ヘッダ48間に形成される空間を介してガラス基板20に向けて空気を吹き出すことができる。ヘッダベース44は、排気ヘッダ48および吹き出しヘッダ46を支持し、排気ヘッダ48間に形成される空間に流体を供給することができる。
【0027】
具体的には、吹き出しヘッダ46は長手方向に伸びた直方体の形状を持ち、吹き出しヘッダ46の端部はスリット状に形成することができる。排気ヘッダ48も長手方向に伸びた直方体の形状を持ち、流入面の中央にスリット状の空気流入口50が設けられている。ここで、吹き出しヘッダ46と排気ヘッダ48とは長手方向(図3(a)のA−A断面に対して垂直方向)に対して側面である隔壁40Aを表裏に共有することができる。なお、排気ヘッダ48の空気流入口50は狭くてもよいのに対し、吹き出しヘッダ46から吹き出された空気に偏流が起きるのを抑制するため、排気ヘッダ48の断面積は広くするのが好ましく、排気ヘッダ48は空気流入口50よりも幅が広くなるように構成することが好ましい。
【0028】
例えば、吹き出しヘッダ46の先端とガラス基板20との間隔H11は10mm、吹き出しヘッダ46および排気ヘッダ48の高さH12は100mm、吹き出しヘッダ46の幅W11は30mm、排気ヘッダ48の空気流入口50の幅W12は30mm、排気ヘッダ48の幅W13は300mmとし、排気ヘッダ48の断面積は約2700mm2とすることができる。なお、ここでいう断面積とは、A−A断面の方向に関してのものである。
【0029】
そして、ヘッダベース44に供給された空気は吹き出しヘッダ46を介してガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は、空気流入口50を介して排気ヘッダ48の外部に排出される。
ここで、吹き出しヘッダ46をヘッダベース44にて保持させつつ吹き出しヘッダ46と排気ヘッダ48とを一体的に構成することにより、吹き出しヘッダ46、空気流入口50から排気ヘッダ48までの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
【0030】
図4は、図3の排気ヘッダの寸法と流量の関係の計算結果を示す図である。
図4において、図3の排気ヘッダ48の断面積寸法をスリット状の空気流入口50の巾寸法の二乗で割った値を横軸にとり、排気ヘッダ48の中央部と端部の流量比を縦軸にとった。
ここで、排気ヘッダ48の断面積寸法を排気ヘッダ48のスリット巾寸法の二乗で割った値を10倍以下にすると、吹き出しヘッダ46から出た空気に偏流が起き、特にその値が6倍以下になると偏流が無視できないレベルになって温度分布を損ねる可能性が高いことが判る。
【0031】
なお、図2の排気ヘッダ36の断面積寸法と空気流入口38の巾寸法との間にも同様の関係がある。
例えば、図2(a)のヘッダ部30では、排気ヘッダ36の断面積が約600mm2、排気ヘッダ36のスリット幅が5mmであるとすると、排気ヘッダ36の断面積寸法を空気流入口38の巾寸法の二乗で割った値は24(=600÷(5×5))になり、図4の横軸で示すところの6を大きく越え10以上となるので、吹き出しヘッダ34から出た空気に偏流が起きるのを抑制することができる。
【0032】
同様に、図3(a)のヘッダ部40では、排気ヘッダ48の断面積が約2700mm2、排気ヘッダ48のスリット幅が30mmであるとすると、排気ヘッダ48の断面積寸法を空気流入口50の巾寸法の二乗で割った値は30(=2700÷(30×30))になり、図4の横軸で示すところの10以上となるので、吹き出しヘッダ46から出た空気に偏流が起きるのを抑制することができる。
なお、巾寸法の二乗で割った値については“6”以上であれば、中央部と端部の流量比は“0.95以上”となり、設計上実用性に十分な機能を発揮するのは明らかである。
なお、ガラス基板20とヘッダ部分の距離は20mmあるいは10mmに限定するものでなく、大凡10mm〜25mm程度であればよい。
【0033】
図5は、図1の温調システムにおける空気の流出方向を示す斜視図である。
図5において、恒温制御室10において、ガラス基板20及び基板支持軸6の下方には、ヘッダ部30から吹き出された空気のダウンフローを生成する十分な空間を設けることができる。ここで、恒温制御室10に設けられた空間は、ガラス基板20がヘッダ部30の下部にないときは、ヘッダ部30から下方に向かうダウンフローを生成し、ガラス基板20があるときはヘッダ部30を経由するダウンフローとガラス基板20の端部を経由するダウンフローを生成することができる。
これにより、ガラス基板20の有無に関わらず、ヘッダ部30から吹き出された流体の流れをダウンフロー主体になるように構成することができ、ヘッダ部30を介して吹き出された流体の対流を抑え、パーティクル対策の効果を奏することが可能となる。
【0034】
図6は、図5の温調システムの断面方向60から見たA−A断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図6において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20がないので、ヘッダ部30の吹き出し部(図2(b)の吹き出し穴35、あるいは図2(c)の吹き出しノズル42、あるいは図3の吹き出しヘッダ48の端部であるスリットなど)から下方に吹き出された空気をダウンフローさせることができる。
【0035】
図7は、図5の温調システムの断面方向60から見たB−B断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図7において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20がないので、ヘッダ部30の空気流入部(図2の空気流入口38、あるいは図3の空気流入口50)においては、特に空気の流れはないが、下方になるに従い、近接する吹き出し部からの空気の流れが拡散してくるので、やや弱いダウンフローが生成される。
図8は、図5の温調システムの断面方向60から見たC−C断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【0036】
図8において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20があるので、ヘッダ部30の吹き出し部(図2(b)の吹き出し穴35、あるいは図2(c)の吹き出しノズル42、あるいは図3の吹き出しヘッダ48の端部であるスリットなど)から下方に吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は近接する空気流入口38(50)に流れ、手前方向、あるいは奥方向に流れる。また、ガラス基板20の端部においては、ガラス基板20に吹き付けられた空気は下方に流れ、ダウンフローが生成される。
【0037】
図9は、図5の温調システムの断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図9において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20があるので、ヘッダ部30の空気流入部(図2の空気流入口38、あるいは図3の空気流入口50)においては、近接する吹き出し部からの空気が流入し、この空気が押し上げられる。そして、ヘッダ部30内に押し上げられた空気は、図2の排気ヘッダ36(あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を通り、ヘッダ部30の端部より吹き出された後、下方に流れることで、ダウンフローが生成される。また、ガラス基板20の端部においては、近接する吹き出し部から流入した空気は下方に流れ、ダウンフローが生成される。
【0038】
図10は、図5の温調システムにおいて還流壁を設けた時の断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図10において、恒温制御室10には、恒温制御室10の空間内に生成されたダウンフローをヘッダ部30に還流させる還流壁31が形成されている。ここで、還流壁31は、恒温制御室10の空間内に生成されるダウンフローの障害にならないようにするために、ヘッダ部30の側方に配置することができる。また、還流壁31には、ヘッダ部30内の図2の排気ヘッダ36(あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を空気が通った後、ヘッダ部30の端部から吹き出される位置に、下方に向かう傾斜角を付与することができる。
そして、ヘッダ部30の端部より吹き出された空気は恒温制御室10内をダウンフローした後、還流壁31にて隔てられた還流経路に恒温制御室10の下部から誘導され、ファンユニット4に還流される。あるいは、ダクト2や不図示の流路を通して、不図示の精密温調装置に還流させるようにしてもよい。
【0039】
図11は、本発明の第2実施形態に係る温調システムの概略構成を示す断面図である。
図11において、温調システムには、図1の構成に加え、ガラス基板20の下方においても、ガラス基板20の搬送経路に対向するように配置されたヘッダ部30´が温度制御装置として設けられている。ここで、ヘッダ部30´は、ガラス基板20の下方から流体を吹き出すとともに、その流体を流入させることができる。これは、ガラス基板20とヘッダ部30´とで形成される空間において、流体が吹き出されることにより圧力差が生じ、圧力の低い箇所へ流入するためである。そして、ヘッダ部30´の下面は、ファンユニット4´を介してダクト2´に接続され、ファンユニット4´は支持軸62にて恒温制御室10に固定されている。
【0040】
なお、図11の温調システムでは、図2のヘッダ部30、30´をガラス基板20の上下にそれぞれ設けるようにしてもよいし、図3のヘッダ部40をガラス基板20の上下にそれぞれ設けるようにしてもよい。
そして、ヘッダ部30´から吹き出された空気は、ガラス基板20の裏面に吹き付けられた後、ヘッダ部30´内の流入部(図2の排気ヘッダ36あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を通り、ヘッダ部30´の端部より吹き出された後にダウンフローになるか、ガラス基板20の端部において下方に遮断物が無い地点でダウンフローになる。
【0041】
図12(a)(b)は、それぞれ、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図である。
図12(a)に示す例では、ヘッダ部30のヘッダベース32に、各吹き出しヘッダ34の幅方向両端面を下方に向けて延長することにより、複数のヘッダサイド部34Aを設けている。各ヘッダサイド部34Aは、それらの下端がガラス基板20よりも下方に位置するように、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間に形成される空間の縦方向長さよりも長い寸法を有している。
【0042】
このため、ヘッダ部30の下方にガラス基板20が存在する状態では、そのガラス基板20は、その幅方向の両側からヘッダサイド部34Aに挟まれることになるから、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間に形成される空間は、ガラス基板20の幅方向両側から塞がれていることになる。よって、吹き出しヘッダ34からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇(幅方向の端部)から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図2に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ36を経由するようになる。
【0043】
図12(b)に示す例は、各ヘッダサイド部34Aのガラス基板20よりも上側に位置する部分に外側に膨らむように傾斜面34Bを形成した点を除いては、同(a)と同様の構成である。
傾斜面34Bをヘッダサイド部34Aに設けたため、ガラス基板20とヘッダサイド部34Aとの間の隙間は、図12(a)の場合よりも広くなっている。すると、ガラス基板20とヘッダサイド部34Aとが密着することが避けられるから、両者が密着することにより摩擦や静電気などが発生する可能性を低減することができる。
【0044】
図13は、ヘッダサイド部34Aの他の変形例を示すヘッダ部30の斜視図である。
図13(a)に示す例は、図12(a)に示したヘッダサイド部34A同士を連結して一つの大きなヘッダサイド部34Cとした例である。また、図13(b)に示す例は、図同(a)に示したサイドヘッド部34Cのガラス基板20よりも上側に位置する部分に外側に膨らむように傾斜面34Dを形成したものである。
図13(a)(b)に示す構成であれば、図12(a)(b)と同等の作用効果が得られるとともに、さらに、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローをさらに発生し難くすることができる。
【0045】
図14(a)(b)は、それぞれ、図3に示したヘッダ部40の変形例を示す斜視図である。
図14(a)に示す例は、各吹き出しヘッダ46の下端部にヘッダサイド部46Aを設けたものである。この例におけるヘッダサイド部46Aは、ガラス基板20の長手方向に沿って長細い板状であって、その板状の長手方向中央部が吹き出しヘッダ46に連続しており、ヘッダサイド部46Aの端部は、排気ヘッダ48の空気流入口50に至り、ヘッダサイド部46Aの下端部は、ガラス基板20よりも下側に位置している。
【0046】
かかる構成であっても、ヘッダ部40の下方にガラス基板20が存在する状態では、そのガラス基板20は、その幅方向の両側からヘッダサイド部46Aに挟まれることになるから、ガラス基板20と吹き出しヘッド46との間に形成される空間は、ガラス基板20の幅方向両側から塞がれていることになる。よって、吹き出しヘッダ46からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇(幅方向の端部)から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図3に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ48を経由するようになる。
【0047】
図14(b)に示す例は、各ヘッダサイド部46Aの上端部に外側に膨らむように湾曲部46Bを形成した点を除いては、同(a)と同様の構成である。
湾曲部46Bをヘッダサイド部46Aに設けたため、ガラス基板20とヘッダサイド部46Aとの間の隙間は、図14(a)の場合よりも広くなっている。すると、ガラス基板20とヘッダサイド部46Aとが密着することが避けられるから、両者が密着することにより摩擦や静電気などが発生する可能性を低減することができる。
【0048】
図15は、ヘッダサイド部46Aの他の変形例を示すヘッダ部40の斜視図である。
図15(a)に示す例は、図14(a)に示したヘッダサイド部46A同士を連結して一つの大きなヘッダサイド部46Cとした例である。また、図15(b)に示す例は、図同(a)に示したサイドヘッド部46Cの上端部に外側に膨らむように湾曲部46Dを形成したものである。
図15(a)(b)に示す構成であれば、図14(a)(b)と同等の作用効果が得られるとともに、さらに、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローをさらに発生し難くすることができる。
【0049】
図16は、図5に示した温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
図16に示す例では、複数本の基板支持軸6のうち、ガラス基板20の幅方向で最も外側に位置する2本の基板支持軸6のそれぞれに、側面板6Aを設けている。各側面版6Aは、ガラス基板20の搬送方向に細長い板状の部材であって、ガラス基板20の幅方向両端部が各側面板6Aの上下方向中央部に位置するように、基板支持軸6に固定されるとともに、側面板6Aの上端部は、ヘッダ部30の吹き出しヘッダ34の下端部まで達している。
【0050】
なお、ガラス基板20と共に各側面板6Aも搬送されるので、搬送方向に対してガラス基板20より長ければ良い。
これにより、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間にあいている空間のガラス基板20幅方向の両端部が、側面板6Aによって塞がれた状態となる。このため、図12、図13などに示した例と同様に、吹き出しヘッダ34からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図1に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ36を経由するようになる。図5に示した例と対比すると、C−C断面でのダウンフローは減少し、D−D断面でのダウンフローは増加するということになる。
【0051】
図17は、図16に示した温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
図17に示す例は、図16における側面板6Aに代えて、それと同等の働きをする側面板10Aを設けている。側面板10Aは、恒温制御室10の内側面に固定された支持具10Bの内面側にネジ止めされて固定されていて、側面板10Aの内面が、側面板6Aと同様にガラス基板20の幅方向の両側を外側から挟み込んでいる。したがって、この図17に示す構成においても、図16の構成と同等の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係る温調システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1の温調システムのヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(c)は、吹き出しノズルのその他の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3の排気ヘッダの寸法と流量の関係の計算結果を示す図である。
【図5】図1の温調システムにおける空気の流出方向を示す斜視図である。
【図6】図5の温調システムの断面方向60から見たA−A断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図7】図5の温調システムの断面方向60から見たB−B断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図8】図5の温調システムの断面方向60から見たC−C断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図9】図5の温調システムの断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図10】図5の温調システムにおいて還流壁を設けた時の断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る温調システムの概略構成を示す断面図である。
【図12】図2に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図13】図2に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図14】図3に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図15】図3に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
2、2´ ダクト
4、4´ ファンユニット
6 基板支持軸
6A 側面板
8 搬送装置
10 恒温制御室
10A 側面板
20 ガラス基板
30、30´、40 ヘッダ部
30A、40A 隔壁
31 還流壁
32、44 ヘッダベース
34、37、46 吹き出しヘッダ
34A、34C、46A、46C ヘッダサイド部
35 吹き出し穴
36、48 排気ヘッダ
42 吹き出しノズル
38、50 空気流入口
62 支持軸
90 温調システム
【技術分野】
【0001】
本発明は温度制御装置および温調システムに関し、特に、板状部材を冷却するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より対象物を冷却する装置は多々考案されてきた。その特徴は、冷却ノズルや吸引ノズルを有し、冷却効率を上げる点を主体にしている点にある。そこで、冷媒の熱伝導率を工夫したり、冷却ノズルの噴出を強めたり、対象媒体への距離を最適にしたりして、様々な試行錯誤が繰り返されてきた。
そして、この種の従来の技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものが公知である。即ち、特許文献1に記載された冷却装置は、冷却対象である鋼帯に向けて冷却ガスを吐出する冷却ノズルの後方に、吐出した冷却ガスを吸い上げるガス吸込孔を設け、これにより、冷却能力の向上を図るというものであった。
【特許文献1】特開平9−194954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、形状が複雑になり、高価格化を招くとともに、吹き出しノズルおよび空気流入口の形状が複雑なため、製造設備としてのメンテナンス性が悪いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、構造の複雑化を抑制しつつ、板状部材の冷却を効果的に行うことが可能な温度制御装置および温調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の温度制御装置によれば、板状部材に対向、かつ所定の間隔で並列配置され、該板状部材に流体を吹き出す吹き出しヘッダと、前記板状部材に吹き出された流体を排気する通路として、前記吹き出しヘッダ間に形成される空間が用いられた排気ヘッダと、前記吹き出しヘッダおよび前記排気ヘッダを支持し、前記吹き出しヘッダに前記流体を供給するヘッダベースとを備えることを特徴とする。
【0005】
また、請求項2記載の温度制御装置によれば、請求項1記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとは、共通の隔壁で仕切られていることを特徴とする。
また、請求項3記載の温度制御装置によれば、請求項1又は2記載の温度制御装置において、前記ヘッダベースは、前記板状部材に対向し、かつ前記板状部材と対向する前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとを具備し、前記吹き出しヘッダは、前記ヘッダベース側および前記ヘッダベースと反対側の双方に開口部を持つとともに、前記排気ヘッダは、前記ヘッダベース側が閉じるとともに、前記ヘッダベースと反対側に開口部を持つように形成されていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項4記載の温度制御装置によれば、請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面において、複数の吹き出し穴を有するとともに、前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット形状を有することを特徴とする。
また、請求項5記載の温度制御装置によれば、請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面に通じる部分がスリット形状を有するとともに、前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット状に開口していることを特徴とする。
【0007】
また、請求項6記載の温度制御装置によれば、請求項4又は5記載の温度制御装置において、前記排気ヘッダの流体が流入される開口部は前記吹き出しヘッダに挟まれた流入スリットであり、前記排気ヘッダを流入スリットの巾方向で切った断面積をその流入スリットの巾寸法の二乗で割った値が6倍以上であることを特徴とする。
また、請求項7記載の温度制御装置によれば、請求項6記載の温度制御装置において、前記吹き出しヘッダは、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように、その空間を板状部材の幅方向両側から両側から塞ぐヘッダサイド部を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項8記載の温度制御装置によれば、請求項7記載の温度制御装置において、前記ヘッダサイド部は、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間の長さ以上とすることを特徴とする。
また、請求項9記載の温調システムによれば、請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置と、前記流体を恒温状態に保ったまま前記温度制御装置に前記流体を送出する流体送出手段と、並列配置させた前記吹き出しヘッダに対して直交する方向で前記板状部材を前記温度制御装置に搬送する搬送手段と、前記流体が前記板状部材の片面に吹き付けられるように前記温度制御装置を支持する第1の支持手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項10記載の温調システムによれば、請求項9記載の温調システムにおいて、前記搬送手段は、前記温度制御装置の下部に前記板状部材を搬送することを特徴とする。
また、請求項11記載の温調システムによれば、請求項10記載の温調整システムにおいて、前記温度制御装置は、前記板状部材が前記温度制御装置の下部にないときは、前記吹き出しヘッダから下方に向かうダウンフローを生成し、前記板状部材があるときは前記排気ヘッダを経由するダウンフローを生成する空間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項12記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように両側から側面板で塞ぎ、該側面板を支持する第2の支持手段を更に設けることを特徴とする。
また、請求項13記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記空間内に生成されたダウンフローを前記温度制御装置に還流させる還流経路をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項14記載の温調システムによれば、請求項11記載の温調システムにおいて、前記排気ヘッダからの流体の流出方向に対向するように壁面が設けられ、前記壁面は下方に向かって傾斜されていることを特徴とする。
また、請求項15記載の温調整システムによれば、請求項9記載の温調システムにおいて、請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置がさらにもう一つ設けられ、前記温度制御装置を介して前記板状部材の他方の面からも前記流体が吹き付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、吹き出しヘッダをヘッダベースにて保持させつつ吹き出しヘッダと排気ヘッダとを一体的に構成することができ、吹き出しヘッダ、空気流入口から排気ヘッダまでの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
また、板状部材の有無に関わらず、温度制御装置における流体の流れをダウンフロー主体になるように構成することができ、吹き出しヘッダを介して吹き出された流体の対流を抑え、パーティクル対策の効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る温度制御装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る温調システムの概略構成を示す斜視図である。
図1において、温調システム90には、ガラス基板20の搬送経路に対向するように配置されたヘッダ部30が温度制御装置として設けられている。ここで、ヘッダ部30は、ガラス基板20に流体を吹き出すとともに、その流体を流入させることができる。これは、ガラス基板20とヘッダ部30とで形成される空間において、流体が吹き出されることにより圧力差が生じ、圧力の低い箇所へ流入するためである。なお、ヘッダ部30から吹き出される流体としては、空気を用いることができるが、窒素やヘリウムなどの不活性ガスを用いるようにしてもよい。そして、ヘッダ部30の上面は、ファンユニット4を介してダクト2に接続されている。
【0014】
また、ヘッダ部30下には、ヘッダ部30に対向する位置にガラス基板20を搬送するための複数本の基板支持軸6が互いに等間隔に且つ搬送方向に延びて配置されていて、基板支持軸6の一端部は搬送装置8に支持され、これにより、基板支持軸6はその長手方向である搬送方向に進退可能になっている。さらに、ヘッダ部30下には、ヘッダ部30から吹き出された流体のダウンフローを生成して流体の対流を抑える恒温制御室10が基板支持軸6を横切るようにして配置されている。
なお、温調システムにて設定温度範囲内に制御される対象は、ガラス基板20の他、ポリイミドやポリエチレンなどのフィルム基板や、シリコンなどの半導体基板、あるいはその他の板状部材であってもよい。
【0015】
そして、温調システム90は、例えば、生産現場に設置され、ガラス基板20等の板状部材を冷却する。ここで、ヘッダ部30では、不図示の精密温調装置から温調された温調空気(設定した目標温度、あるいは目標前後の温度)がダクト2を通して供給され、ファンユニット4により清浄度と静圧を得て、ヘッダ部30を介してガラス基板20に吹き出される。吹き出された流体はガラス基板20に衝突し、ほとんどは、ヘッダ部30に形成された空気流入口から排気ヘッダへ導入される。また、ガラス基板20に衝突した流体の一部は周囲に逃げる。これらの流体は、特に合流することなく、恒温制御室10外に排出される。あるいは、不図示の精密温調装置に還流されることにより循環利用するようにしてもよい。なお、ファンユニット4は、例えば、ファンフィルターユニットのようなフィルター機能を有するものを用いても構わない。
【0016】
なお、ファンユニット4の吹き出し形状に応じて、ヘッダ部30は接続されている。図1の場合、ファンユニット4の吹き出し形状が正方形の面全体だとすると、ヘッダ部30の上面も正方形にて開口されている。ファンユニット4が複数の長方形状の吹き出し口を具備する場合、ヘッダ部30の上面も対応する複数の長方形状の開口部を有する。
以降の説明の各図面において、ヘッダ部30(あるいは等価な機能を持つ部位)を示す際に、ファンユニット4とヘッダ部30との接続断面について特に説明しないが、その接続面においては互いに空気の流路を妨げない形状で相対している。
【0017】
ところで、上述の吹き出す流体に制限はなく、空気であっても、液状のものであってもよいが、板状部材がガラス基板20の場合は、高度に清浄化された空気を用いるのが一般的である(以降の説明では、空気と表記する)。そして、搬送装置8により基板支持軸6を一定速度で移動させることにより、矢印の搬送方向にガラス基板20が移動され、ヘッダ部30に対し、ガラス基板20が近接制御される。
【0018】
なお、ガラス基板20の搬送方法はどのような方法であっても構わない。例えば、ガラス基板20の端部を掴んだクレーンによる移動方法を用いるようにしてもよいし、ガラス部材20を下から支持し、ガラス基板20と共に移動する台車を用いるようにしてもよい。また、温調システム90は主要部のみを記載したが、恒温制御室10には、除電対策やパーティクル対策、振動低減対策などを施す装置を設けるようにしてもよい。
このような温調システム90では、ガラス基板20に空気を吹き付けて温度制御を行うヘッダ部30を主要部として挙げることができ、温度制御装置としてはヘッダ部(あるいはその外延部(例えば、ファンフィルタユニット4)を含むようにしてもよい)を指すものとする。
【0019】
図2(a)は、図1の温調システムのヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(c)は、吹き出しノズルのその他の概略構成を示す斜視図である。
図2において、ヘッダ部30には、ヘッダベース32、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36が設けられている。ここで、排気ヘッダ36は、ガラス基板20に向けて吹き出しヘッダ34から吹き出された空気を流入することができる。これは、ガラス基板20と、ヘッダベース32、吹き出しヘッダ34、排気ヘッダ36とで囲まれた空間において、排気ヘッダ36は圧力が低いため、周辺の空気をその開口部から流入することによる。
【0020】
吹き出しヘッダ34は、ガラス基板20に向けて空気を吹き出す吹き出し穴35が設けられる。ヘッダベース32は、排気ヘッダ36および吹き出しヘッダ34を支持し、ヘッダベース32から吹き出しヘッダ34へ向けて流体を供給することができる。
具体的には、吹き出しヘッダ34は、ヘッダベース32側に開口するとともに、ガラス基板20側に吹き出し穴35を持ち、排気ヘッダ36はヘッダベース32側に閉じるとともに、ガラス基板20側に開口し、ヘッダベース32は、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36を支持しつつ、吹き出しヘッダ34側に開口するように構成することができる。ここで、吹き出しヘッダ34は複数個並列に設置し、その間に排気ヘッダ36が構成されるように、吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とは長手方向(図2(a)のA−A断面に対して垂直方向)に対して側面である隔壁30Aを表裏に共有することができる。
【0021】
また、吹き出しヘッダ34間に挟まれる排気ヘッダ36の先端部はスリット状に構成され、空気流入口38が形成されている。また、吹き出しヘッダ34の空気の吹き出し面には、図2(b)に示すように、複数の吹き出し穴35が前後左右に形成されている。なお、図2(c)に示すように、吹き出し穴35の代わりに吹き出しノズル42が形成された吹き出しヘッダ37を用いるようにしてもよい。
【0022】
これら吹き出しヘッダ34の個数は、ガラス基板20のサイズと諸条件(目的の冷却温度やその温度に達するまでの時間)に基づいて設定することができ、十分に機能する個数とすることができる。なお、吹き出しヘッダ34の個数をn個とすれば、排気ヘッダ36の個数はn−1個になる(だだし、nは2以上の整数である)。また、排気ヘッダ36の空気流入口38は狭くてもよいのに対し、吹き出しヘッダ34から吹き出された空気に偏流が起きるのを抑制するため、排気ヘッダ36の断面積は広くするのが好ましく、排気ヘッダ36の奥側は先端部よりも幅が広くなるように構成することが好ましい。
【0023】
例えば、吹き出しヘッダ34の先端とガラス基板20との間隔H1は20mm、吹き出しヘッダ34および排気ヘッダ36の高さH2は50mm、吹き出しヘッダ34の吹き出し面の幅W1は40mm、排気ヘッダ36の先端の幅W2は5mm、排気ヘッダ36の後端の幅W3は20mmとし、排気ヘッダ36の断面積は約600mm2とすることができる。なお、ここでいう断面積とは、A−A断面の方向に関してのものである。
【0024】
また、例えば、図2(b)の吹き出し穴35の穴径Bは3mmφ、吹き出し穴35の左右方向の間隔は20mm、吹き出し穴35の前後方向の間隔は20mmとすることができる。
そして、ヘッダベース32に供給された空気は吹き出しヘッダ34を介して吹き出し穴35に送られ、吹き出し穴35を介して空気がガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は、排気ヘッダ36を介して排気ヘッダ36の外部に排出される。
【0025】
ここで、吹き出しヘッダ34をヘッダベース32にて保持させつつ吹き出しヘッダ34と排気ヘッダ36とを一体的に構成することにより、吹き出しヘッダ34、空気流入口38から排気ヘッダ36までの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
【0026】
図3(a)は、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図である。
図3において、ヘッダ部40には、ヘッダベース44、吹き出しヘッダ46および排気ヘッダ48が設けられている。ここで、排気ヘッダ48は、ガラス基板20に向けて吹き出しヘッダ46から吹き出された空気を流入させることができる。これは、ガラス基板20と、ヘッダベース44、吹き出しヘッダ46、排気ヘッダ48とで囲まれた空間において、排気ヘッダ48は圧力が低いため、周辺の空気をその開口部から流入することによる。吹き出しヘッダ46は、排気ヘッダ48間に形成される空間を介してガラス基板20に向けて空気を吹き出すことができる。ヘッダベース44は、排気ヘッダ48および吹き出しヘッダ46を支持し、排気ヘッダ48間に形成される空間に流体を供給することができる。
【0027】
具体的には、吹き出しヘッダ46は長手方向に伸びた直方体の形状を持ち、吹き出しヘッダ46の端部はスリット状に形成することができる。排気ヘッダ48も長手方向に伸びた直方体の形状を持ち、流入面の中央にスリット状の空気流入口50が設けられている。ここで、吹き出しヘッダ46と排気ヘッダ48とは長手方向(図3(a)のA−A断面に対して垂直方向)に対して側面である隔壁40Aを表裏に共有することができる。なお、排気ヘッダ48の空気流入口50は狭くてもよいのに対し、吹き出しヘッダ46から吹き出された空気に偏流が起きるのを抑制するため、排気ヘッダ48の断面積は広くするのが好ましく、排気ヘッダ48は空気流入口50よりも幅が広くなるように構成することが好ましい。
【0028】
例えば、吹き出しヘッダ46の先端とガラス基板20との間隔H11は10mm、吹き出しヘッダ46および排気ヘッダ48の高さH12は100mm、吹き出しヘッダ46の幅W11は30mm、排気ヘッダ48の空気流入口50の幅W12は30mm、排気ヘッダ48の幅W13は300mmとし、排気ヘッダ48の断面積は約2700mm2とすることができる。なお、ここでいう断面積とは、A−A断面の方向に関してのものである。
【0029】
そして、ヘッダベース44に供給された空気は吹き出しヘッダ46を介してガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は、空気流入口50を介して排気ヘッダ48の外部に排出される。
ここで、吹き出しヘッダ46をヘッダベース44にて保持させつつ吹き出しヘッダ46と排気ヘッダ48とを一体的に構成することにより、吹き出しヘッダ46、空気流入口50から排気ヘッダ48までの部分を合わせた構造を簡素化することが可能となるとともに、作製面においても一枚のプレートの折り返しによってプレス加工が可能となり、安価でメンテナンス性の良い温度制御装置を提供することが可能となる。
【0030】
図4は、図3の排気ヘッダの寸法と流量の関係の計算結果を示す図である。
図4において、図3の排気ヘッダ48の断面積寸法をスリット状の空気流入口50の巾寸法の二乗で割った値を横軸にとり、排気ヘッダ48の中央部と端部の流量比を縦軸にとった。
ここで、排気ヘッダ48の断面積寸法を排気ヘッダ48のスリット巾寸法の二乗で割った値を10倍以下にすると、吹き出しヘッダ46から出た空気に偏流が起き、特にその値が6倍以下になると偏流が無視できないレベルになって温度分布を損ねる可能性が高いことが判る。
【0031】
なお、図2の排気ヘッダ36の断面積寸法と空気流入口38の巾寸法との間にも同様の関係がある。
例えば、図2(a)のヘッダ部30では、排気ヘッダ36の断面積が約600mm2、排気ヘッダ36のスリット幅が5mmであるとすると、排気ヘッダ36の断面積寸法を空気流入口38の巾寸法の二乗で割った値は24(=600÷(5×5))になり、図4の横軸で示すところの6を大きく越え10以上となるので、吹き出しヘッダ34から出た空気に偏流が起きるのを抑制することができる。
【0032】
同様に、図3(a)のヘッダ部40では、排気ヘッダ48の断面積が約2700mm2、排気ヘッダ48のスリット幅が30mmであるとすると、排気ヘッダ48の断面積寸法を空気流入口50の巾寸法の二乗で割った値は30(=2700÷(30×30))になり、図4の横軸で示すところの10以上となるので、吹き出しヘッダ46から出た空気に偏流が起きるのを抑制することができる。
なお、巾寸法の二乗で割った値については“6”以上であれば、中央部と端部の流量比は“0.95以上”となり、設計上実用性に十分な機能を発揮するのは明らかである。
なお、ガラス基板20とヘッダ部分の距離は20mmあるいは10mmに限定するものでなく、大凡10mm〜25mm程度であればよい。
【0033】
図5は、図1の温調システムにおける空気の流出方向を示す斜視図である。
図5において、恒温制御室10において、ガラス基板20及び基板支持軸6の下方には、ヘッダ部30から吹き出された空気のダウンフローを生成する十分な空間を設けることができる。ここで、恒温制御室10に設けられた空間は、ガラス基板20がヘッダ部30の下部にないときは、ヘッダ部30から下方に向かうダウンフローを生成し、ガラス基板20があるときはヘッダ部30を経由するダウンフローとガラス基板20の端部を経由するダウンフローを生成することができる。
これにより、ガラス基板20の有無に関わらず、ヘッダ部30から吹き出された流体の流れをダウンフロー主体になるように構成することができ、ヘッダ部30を介して吹き出された流体の対流を抑え、パーティクル対策の効果を奏することが可能となる。
【0034】
図6は、図5の温調システムの断面方向60から見たA−A断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図6において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20がないので、ヘッダ部30の吹き出し部(図2(b)の吹き出し穴35、あるいは図2(c)の吹き出しノズル42、あるいは図3の吹き出しヘッダ48の端部であるスリットなど)から下方に吹き出された空気をダウンフローさせることができる。
【0035】
図7は、図5の温調システムの断面方向60から見たB−B断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図7において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20がないので、ヘッダ部30の空気流入部(図2の空気流入口38、あるいは図3の空気流入口50)においては、特に空気の流れはないが、下方になるに従い、近接する吹き出し部からの空気の流れが拡散してくるので、やや弱いダウンフローが生成される。
図8は、図5の温調システムの断面方向60から見たC−C断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【0036】
図8において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20があるので、ヘッダ部30の吹き出し部(図2(b)の吹き出し穴35、あるいは図2(c)の吹き出しノズル42、あるいは図3の吹き出しヘッダ48の端部であるスリットなど)から下方に吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられる。そして、ガラス基板20に吹き付けられた空気は近接する空気流入口38(50)に流れ、手前方向、あるいは奥方向に流れる。また、ガラス基板20の端部においては、ガラス基板20に吹き付けられた空気は下方に流れ、ダウンフローが生成される。
【0037】
図9は、図5の温調システムの断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図9において、ヘッダ部30の下方にガラス基板20があるので、ヘッダ部30の空気流入部(図2の空気流入口38、あるいは図3の空気流入口50)においては、近接する吹き出し部からの空気が流入し、この空気が押し上げられる。そして、ヘッダ部30内に押し上げられた空気は、図2の排気ヘッダ36(あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を通り、ヘッダ部30の端部より吹き出された後、下方に流れることで、ダウンフローが生成される。また、ガラス基板20の端部においては、近接する吹き出し部から流入した空気は下方に流れ、ダウンフローが生成される。
【0038】
図10は、図5の温調システムにおいて還流壁を設けた時の断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
図10において、恒温制御室10には、恒温制御室10の空間内に生成されたダウンフローをヘッダ部30に還流させる還流壁31が形成されている。ここで、還流壁31は、恒温制御室10の空間内に生成されるダウンフローの障害にならないようにするために、ヘッダ部30の側方に配置することができる。また、還流壁31には、ヘッダ部30内の図2の排気ヘッダ36(あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を空気が通った後、ヘッダ部30の端部から吹き出される位置に、下方に向かう傾斜角を付与することができる。
そして、ヘッダ部30の端部より吹き出された空気は恒温制御室10内をダウンフローした後、還流壁31にて隔てられた還流経路に恒温制御室10の下部から誘導され、ファンユニット4に還流される。あるいは、ダクト2や不図示の流路を通して、不図示の精密温調装置に還流させるようにしてもよい。
【0039】
図11は、本発明の第2実施形態に係る温調システムの概略構成を示す断面図である。
図11において、温調システムには、図1の構成に加え、ガラス基板20の下方においても、ガラス基板20の搬送経路に対向するように配置されたヘッダ部30´が温度制御装置として設けられている。ここで、ヘッダ部30´は、ガラス基板20の下方から流体を吹き出すとともに、その流体を流入させることができる。これは、ガラス基板20とヘッダ部30´とで形成される空間において、流体が吹き出されることにより圧力差が生じ、圧力の低い箇所へ流入するためである。そして、ヘッダ部30´の下面は、ファンユニット4´を介してダクト2´に接続され、ファンユニット4´は支持軸62にて恒温制御室10に固定されている。
【0040】
なお、図11の温調システムでは、図2のヘッダ部30、30´をガラス基板20の上下にそれぞれ設けるようにしてもよいし、図3のヘッダ部40をガラス基板20の上下にそれぞれ設けるようにしてもよい。
そして、ヘッダ部30´から吹き出された空気は、ガラス基板20の裏面に吹き付けられた後、ヘッダ部30´内の流入部(図2の排気ヘッダ36あるいは図3の排気ヘッダ48)の内部を通り、ヘッダ部30´の端部より吹き出された後にダウンフローになるか、ガラス基板20の端部において下方に遮断物が無い地点でダウンフローになる。
【0041】
図12(a)(b)は、それぞれ、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図である。
図12(a)に示す例では、ヘッダ部30のヘッダベース32に、各吹き出しヘッダ34の幅方向両端面を下方に向けて延長することにより、複数のヘッダサイド部34Aを設けている。各ヘッダサイド部34Aは、それらの下端がガラス基板20よりも下方に位置するように、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間に形成される空間の縦方向長さよりも長い寸法を有している。
【0042】
このため、ヘッダ部30の下方にガラス基板20が存在する状態では、そのガラス基板20は、その幅方向の両側からヘッダサイド部34Aに挟まれることになるから、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間に形成される空間は、ガラス基板20の幅方向両側から塞がれていることになる。よって、吹き出しヘッダ34からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇(幅方向の端部)から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図2に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ36を経由するようになる。
【0043】
図12(b)に示す例は、各ヘッダサイド部34Aのガラス基板20よりも上側に位置する部分に外側に膨らむように傾斜面34Bを形成した点を除いては、同(a)と同様の構成である。
傾斜面34Bをヘッダサイド部34Aに設けたため、ガラス基板20とヘッダサイド部34Aとの間の隙間は、図12(a)の場合よりも広くなっている。すると、ガラス基板20とヘッダサイド部34Aとが密着することが避けられるから、両者が密着することにより摩擦や静電気などが発生する可能性を低減することができる。
【0044】
図13は、ヘッダサイド部34Aの他の変形例を示すヘッダ部30の斜視図である。
図13(a)に示す例は、図12(a)に示したヘッダサイド部34A同士を連結して一つの大きなヘッダサイド部34Cとした例である。また、図13(b)に示す例は、図同(a)に示したサイドヘッド部34Cのガラス基板20よりも上側に位置する部分に外側に膨らむように傾斜面34Dを形成したものである。
図13(a)(b)に示す構成であれば、図12(a)(b)と同等の作用効果が得られるとともに、さらに、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローをさらに発生し難くすることができる。
【0045】
図14(a)(b)は、それぞれ、図3に示したヘッダ部40の変形例を示す斜視図である。
図14(a)に示す例は、各吹き出しヘッダ46の下端部にヘッダサイド部46Aを設けたものである。この例におけるヘッダサイド部46Aは、ガラス基板20の長手方向に沿って長細い板状であって、その板状の長手方向中央部が吹き出しヘッダ46に連続しており、ヘッダサイド部46Aの端部は、排気ヘッダ48の空気流入口50に至り、ヘッダサイド部46Aの下端部は、ガラス基板20よりも下側に位置している。
【0046】
かかる構成であっても、ヘッダ部40の下方にガラス基板20が存在する状態では、そのガラス基板20は、その幅方向の両側からヘッダサイド部46Aに挟まれることになるから、ガラス基板20と吹き出しヘッド46との間に形成される空間は、ガラス基板20の幅方向両側から塞がれていることになる。よって、吹き出しヘッダ46からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇(幅方向の端部)から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図3に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ48を経由するようになる。
【0047】
図14(b)に示す例は、各ヘッダサイド部46Aの上端部に外側に膨らむように湾曲部46Bを形成した点を除いては、同(a)と同様の構成である。
湾曲部46Bをヘッダサイド部46Aに設けたため、ガラス基板20とヘッダサイド部46Aとの間の隙間は、図14(a)の場合よりも広くなっている。すると、ガラス基板20とヘッダサイド部46Aとが密着することが避けられるから、両者が密着することにより摩擦や静電気などが発生する可能性を低減することができる。
【0048】
図15は、ヘッダサイド部46Aの他の変形例を示すヘッダ部40の斜視図である。
図15(a)に示す例は、図14(a)に示したヘッダサイド部46A同士を連結して一つの大きなヘッダサイド部46Cとした例である。また、図15(b)に示す例は、図同(a)に示したサイドヘッド部46Cの上端部に外側に膨らむように湾曲部46Dを形成したものである。
図15(a)(b)に示す構成であれば、図14(a)(b)と同等の作用効果が得られるとともに、さらに、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローをさらに発生し難くすることができる。
【0049】
図16は、図5に示した温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
図16に示す例では、複数本の基板支持軸6のうち、ガラス基板20の幅方向で最も外側に位置する2本の基板支持軸6のそれぞれに、側面板6Aを設けている。各側面版6Aは、ガラス基板20の搬送方向に細長い板状の部材であって、ガラス基板20の幅方向両端部が各側面板6Aの上下方向中央部に位置するように、基板支持軸6に固定されるとともに、側面板6Aの上端部は、ヘッダ部30の吹き出しヘッダ34の下端部まで達している。
【0050】
なお、ガラス基板20と共に各側面板6Aも搬送されるので、搬送方向に対してガラス基板20より長ければ良い。
これにより、ガラス基板20と吹き出しヘッド34との間にあいている空間のガラス基板20幅方向の両端部が、側面板6Aによって塞がれた状態となる。このため、図12、図13などに示した例と同様に、吹き出しヘッダ34からガラス基板20に向けて吹き出された空気は、ガラス基板20に吹き付けられても、ガラス基板20の両脇から漏れ落ちるダウンフローには成り難くいため、図1に示した構成の場合よりも多くの空気が排気ヘッダ36を経由するようになる。図5に示した例と対比すると、C−C断面でのダウンフローは減少し、D−D断面でのダウンフローは増加するということになる。
【0051】
図17は、図16に示した温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
図17に示す例は、図16における側面板6Aに代えて、それと同等の働きをする側面板10Aを設けている。側面板10Aは、恒温制御室10の内側面に固定された支持具10Bの内面側にネジ止めされて固定されていて、側面板10Aの内面が、側面板6Aと同様にガラス基板20の幅方向の両側を外側から挟み込んでいる。したがって、この図17に示す構成においても、図16の構成と同等の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係る温調システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1の温調システムのヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図、図2(c)は、吹き出しノズルのその他の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、図1の温調システムのヘッダ部のその他の概略構成を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)のA−A線で切断したヘッダ部の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3の排気ヘッダの寸法と流量の関係の計算結果を示す図である。
【図5】図1の温調システムにおける空気の流出方向を示す斜視図である。
【図6】図5の温調システムの断面方向60から見たA−A断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図7】図5の温調システムの断面方向60から見たB−B断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図8】図5の温調システムの断面方向60から見たC−C断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図9】図5の温調システムの断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図10】図5の温調システムにおいて還流壁を設けた時の断面方向60から見たD−D断面における空気の流出方向を示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る温調システムの概略構成を示す断面図である。
【図12】図2に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図13】図2に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図14】図3に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図15】図3に示したヘッダ部のその他の構成例を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る温調システムの他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
2、2´ ダクト
4、4´ ファンユニット
6 基板支持軸
6A 側面板
8 搬送装置
10 恒温制御室
10A 側面板
20 ガラス基板
30、30´、40 ヘッダ部
30A、40A 隔壁
31 還流壁
32、44 ヘッダベース
34、37、46 吹き出しヘッダ
34A、34C、46A、46C ヘッダサイド部
35 吹き出し穴
36、48 排気ヘッダ
42 吹き出しノズル
38、50 空気流入口
62 支持軸
90 温調システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材に対向、かつ所定の間隔で並列配置され、該板状部材に流体を吹き出す吹き出しヘッダと、
前記板状部材に吹き出された流体を排気する通路として、前記吹き出しヘッダ間に形成される空間が用いられた排気ヘッダと、
前記吹き出しヘッダおよび前記排気ヘッダを支持し、前記吹き出しヘッダに前記流体を供給するヘッダベースと
を備えることを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとは、共通の隔壁で仕切られていることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記ヘッダベースは、前記板状部材に対向し、かつ前記板状部材と対向する前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとを具備し、
前記吹き出しヘッダは、前記ヘッダベース側および前記ヘッダベースと反対側の双方に開口部を持つとともに、
前記排気ヘッダは、前記ヘッダベース側が閉じるとともに、前記ヘッダベースと反対側に開口部を持つように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面において、複数の吹き出し穴を有するとともに、
前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面に通じる部分がスリット形状を有するとともに、
前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット状に開口していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記排気ヘッダの流体が流入される開口部は前記吹き出しヘッダに挟まれた流入スリットであり、
前記排気ヘッダを流入スリットの巾方向で切った断面積をその流入スリットの巾寸法の二乗で割った値が6倍以上であることを特徴とする請求項4または5記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記吹き出しヘッダは、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように、その空間を板状部材の幅方向両側から塞ぐヘッダサイド部を有することを特徴とする請求項6記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記ヘッダサイド部は、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間の長さ以上とすることを特徴とする請求項7記載の温度制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置と、
前記流体を恒温状態に保ったまま前記温度制御装置に前記流体を送出する流体送出手段と、
並列配置させた前記吹き出しヘッダに対して直交する方向で前記板状部材を前記温度制御装置に搬送する搬送手段と、
前記流体が前記板状部材の片面に吹き付けられるように前記温度制御装置を支持する第1の支持手段とを有することを特徴とする温調システム。
【請求項10】
前記搬送手段は、前記温度制御装置の下部に前記板状部材を搬送することを特徴とする請求項9記載の温調システム。
【請求項11】
前記温度制御装置は、前記板状部材が前記温度制御装置の下部にないときは、前記吹き出しヘッダから下方に向かうダウンフローを生成し、前記板状部材があるときは前記排気ヘッダを経由するダウンフローを生成する空間が設けられていることを特徴とする請求項10記載の温調システム。
【請求項12】
前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように両側から側面板で塞ぎ、該側面板を支持する第2の支持手段を更に設けることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項13】
前記空間内に生成されたダウンフローを前記温度制御装置に還流させる還流経路をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項14】
前記排気ヘッダからの流体の流出方向に対向するように壁面が設けられ、前記壁面は下方に向かって傾斜されていることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置がさらにもう一つ設けられ、前記温度制御装置を介して前記板状部材の他方の面からも前記流体が吹き付けられることを特徴とする請求項9記載の温調システム。
【請求項1】
板状部材に対向、かつ所定の間隔で並列配置され、該板状部材に流体を吹き出す吹き出しヘッダと、
前記板状部材に吹き出された流体を排気する通路として、前記吹き出しヘッダ間に形成される空間が用いられた排気ヘッダと、
前記吹き出しヘッダおよび前記排気ヘッダを支持し、前記吹き出しヘッダに前記流体を供給するヘッダベースと
を備えることを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとは、共通の隔壁で仕切られていることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記ヘッダベースは、前記板状部材に対向し、かつ前記板状部材と対向する前記吹き出しヘッダと前記排気ヘッダとを具備し、
前記吹き出しヘッダは、前記ヘッダベース側および前記ヘッダベースと反対側の双方に開口部を持つとともに、
前記排気ヘッダは、前記ヘッダベース側が閉じるとともに、前記ヘッダベースと反対側に開口部を持つように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面において、複数の吹き出し穴を有するとともに、
前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記吹き出しヘッダは、前記流体の吹き出し面に通じる部分がスリット形状を有するとともに、
前記排気ヘッダは、前記流体の流入面がスリット状に開口していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記排気ヘッダの流体が流入される開口部は前記吹き出しヘッダに挟まれた流入スリットであり、
前記排気ヘッダを流入スリットの巾方向で切った断面積をその流入スリットの巾寸法の二乗で割った値が6倍以上であることを特徴とする請求項4または5記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記吹き出しヘッダは、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように、その空間を板状部材の幅方向両側から塞ぐヘッダサイド部を有することを特徴とする請求項6記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記ヘッダサイド部は、前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間の長さ以上とすることを特徴とする請求項7記載の温度制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置と、
前記流体を恒温状態に保ったまま前記温度制御装置に前記流体を送出する流体送出手段と、
並列配置させた前記吹き出しヘッダに対して直交する方向で前記板状部材を前記温度制御装置に搬送する搬送手段と、
前記流体が前記板状部材の片面に吹き付けられるように前記温度制御装置を支持する第1の支持手段とを有することを特徴とする温調システム。
【請求項10】
前記搬送手段は、前記温度制御装置の下部に前記板状部材を搬送することを特徴とする請求項9記載の温調システム。
【請求項11】
前記温度制御装置は、前記板状部材が前記温度制御装置の下部にないときは、前記吹き出しヘッダから下方に向かうダウンフローを生成し、前記板状部材があるときは前記排気ヘッダを経由するダウンフローを生成する空間が設けられていることを特徴とする請求項10記載の温調システム。
【請求項12】
前記板状部材と前記吹き出しヘッダとの間にあいている空間から前記流体が漏れ難くなるように両側から側面板で塞ぎ、該側面板を支持する第2の支持手段を更に設けることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項13】
前記空間内に生成されたダウンフローを前記温度制御装置に還流させる還流経路をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項14】
前記排気ヘッダからの流体の流出方向に対向するように壁面が設けられ、前記壁面は下方に向かって傾斜されていることを特徴とする請求項11記載の温調システム。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか1項記載の温度制御装置がさらにもう一つ設けられ、前記温度制御装置を介して前記板状部材の他方の面からも前記流体が吹き付けられることを特徴とする請求項9記載の温調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−274884(P2009−274884A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124821(P2008−124821)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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