説明

温度測定用ウエハ及び温度測定方法

【課題】半導体加熱装置において、赤外放射温度計が、半導体加熱装置によって加熱されるウエハの温度をより正確に測定できる温度測定用ウエハ及び温度測定方法を提供する。
【解決手段】半導体加熱装置1において、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計40を用いて、炭化珪素からなる基板20aと、基板20aの表面に形成された反射防止膜20bとからなり、反射防止膜20bは、炭化珪素からなり、反射防止膜20bの表面粗さは、Ra0.8μm以上である温度測定用ウエハ20の温度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体加熱装置における、赤外放射温度計を用いた温度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置に求められる性能として、半導体ウエハの全面を均等の温度に加熱できることが挙げられる。半導体ウエハの温度分布を調べるために、半導体ウエハに複数の熱電対が取り付けられた温度測定用ウエハが用いられてきた(例えば、特許文献1)。この温度測定用ウエハでは、所定位置に配置された熱電対で測定した温度から半導体ウエハ全面の温度分布が推測される。このため、熱電対を多くすれば、実際の半導体ウエハの温度分布に近い温度分布が求められる。しかし、熱電対から延びるケーブルの数も増えてしまうため、半導体加熱装置の密閉が困難になったり、ケーブルが半導体加熱装置の内部の温度に与える影響が無視できなくなったりしていた。従って、近年求められている口径の大きい半導体ウエハの温度を精度良く測定することは困難であった。
【0003】
このような問題を解決するため、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計を用いて、半導体ウエハの温度を測定する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−332075号公報
【特許文献2】特開2006−294717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、赤外放射温度計を用いた測定方法にも問題点がある。赤外放射温度計の測定には、4μmよりも大きい波長が測定波長として用いられる。半導体ウエハの表面は鏡面であるため、赤外放射温度計の測定波長領域において、反射率が高い。反射率が高いと、赤外放射温度計の測定精度は低くなるため、正確な温度が測定できなかった。
【0006】
半導体ウエハの表面は鏡面であるため、半導体ウエハが、半導体ウエハ以外の場所から放射された赤外線を反射する。その結果、赤外放射温度計は、反射された赤外線の強度まで測定する。加熱された半導体ウエハに比べ、半導体ウエハ以外の場所は温度が低いため、赤外放射温度計には、半導体ウエハの実際の温度よりも低い温度が測定されていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、半導体加熱装置において、赤外放射温度計が、半導体加熱装置によって加熱されるウエハの温度をより正確に測定できる温度測定用ウエハ及び温度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、半導体加熱装置(半導体加熱装置1)において、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計(赤外放射温度計40)を用いて温度が測定される温度測定用ウエハ(温度測定用ウエハ20)であって、炭化珪素からなる基板(基板20a)と、基板の表面に形成された反射防止膜(反射防止膜20b)とからなり、反射防止膜は、炭化珪素からなり、反射防止膜の表面粗さは、Ra0.8μm以上であることを要旨とする。
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、温度測定用ウエハの基板には、表面粗さがRa0.8μm以上の反射防止膜が形成される。このため、温度測定用ウエハの表面は、反射率が低下する。従って、温度測定用ウエハの表面において、温度測定用ウエハ以外の場所から放射された赤外線の反射が抑制される。赤外放射温度計が温度測定用ウエハから反射した赤外線の強度を測定しないため、温度測定用ウエハの実際の温度よりも低い温度が測定されない。また、温度測定用ウエハの反射率が低い、すなわち、放射率が高いため、赤外放射温度計の測定精度も向上する。これらの結果、温度測定用ウエハの温度をより正確に測定できる。
【0010】
温度測定用ウエハの基板は、炭化珪素からなる。半導体ウエハとして使用される珪素の熱拡散率は、0.97cm/sであり、炭化珪素の熱拡散率は、ほぼ同等の1.03cm/sである。従って、温度測定用ウエハは、実際の半導体ウエハと同等に熱拡散するため、温度測定用ウエハは、実際の半導体ウエハと同等の温度分布となる。
【0011】
本発明の第2の特徴は、半導体加熱装置において、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計を用いてウエハの温度を測定する温度測定方法であって、炭化珪素からなる基板と、基板の表面に形成された反射防止膜とからなり、反射防止膜は、炭化珪素からなり、反射防止膜の表面粗さは、Ra0.8μm以上である温度測定用ウエハを、半導体ウエハを載置する試料台に、反射防止膜が赤外放射温度計に対向するように載置し、赤外放射温度計は、放射率が70%以上となる波長を測定波長に含むことを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、赤外放射温度計は、8μm以上、10.4μm以下の範囲に含まれる波長を測定に利用することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体加熱装置において、赤外放射温度計が温度をより正確に測定できる温度測定用ウエハ及び温度測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】半導体加熱装置1の縦断側面図である。
【図2】本実施形態に係る温度測定方法の工程を説明する図である。
【図3】ウエハの放射率と表面粗さ及び反射防止膜との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る温度測定ウエハ及び温度測定方法の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
(1)半導体加熱装置1及び温度測定用ウエハ20の構成
半導体加熱装置1及び本実施形態に係る温度測定用ウエハ20の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、半導体加熱装置1の縦断側面図である。
【0017】
図1に示すように、半導体加熱装置1は、チャンバー10とチャンバー10の内部にある試料台30と赤外放射温度計40とを備える。
【0018】
チャンバー10は、チャンバー10の内部に試料台30を備えている。図示していないが、チャンバー10は、真空ポンプを備えており、チャンバー10の内部を真空にすることができる。チャンバー10内部の上側であるチャンバー上部10aには、赤外線を透過する赤外線透過窓15が備えられている。赤外線透過窓15は、セレン化亜鉛(ZnSe)からなる。半導体製造プロセスにおいて、チャンバー10の内部において、半導体ウエハの表面に膜を生成したり、半導体ウエハの表面をエッチングしたりする表面処理が行われる。
【0019】
試料台30は、ウエハが載置される基体30aと基体30aを支持する管状部材30bとを備える。基体30aは、温度測定用ウエハ20が載置される載置面32を有する。基体30aの内部には、載置面32を加熱する発熱体34を備える。管状部材30bは、管状であり、内部に給電部材36を備える。給電部材36は、発熱体34と電気的に接続される。給電部材36は、発熱体34に電力を供給する。電力が供給された発熱体34が発熱することによって、載置面32が加熱される。
【0020】
試料台30は、例えば、ホットプレス法を用いてセラミックスを焼成することにより、得られる。セラミックスには、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、サイアロンが含まれる。発熱体34には、高融点材料が用いられる。高融点材料として、例えば、タングステン、モリブデン、炭化珪素が挙げられる。給電部材36には、給電ロッド、給電線(給電ワイヤー)等を用いることができる。
【0021】
赤外放射温度計40は、チャンバー10の外側に備えられる。赤外線透過窓15と赤外放射温度計40との間には、広角レンズ45が備えられている。赤外放射温度計40は、赤外線透過窓15を通じて入射してくる温度測定用ウエハ20の赤外線の強度を測定することにより、温度測定用ウエハ20の温度を測定する。具体的には、赤外放射温度計40の内部に備えられた赤外線センサ(不図示)が、赤外線の強度を測定する。測定された赤外線の強度を温度に換算することで温度を表示する。赤外放射温度計40の測定波長は、4μm以上である。
【0022】
広角レンズ45には、凸レンズ又は凹レンズが用いられる。広角レンズ45は、温度測定用ウエハ20の口径に応じて、適宜変更するのが好ましい。
【0023】
図1に示すように、温度測定用ウエハ20は、基板20aと反射防止膜20bとからなる。
【0024】
基板20aは、炭化珪素からなる薄板状のウエハである。基板20aの大きさ及び厚さは、半導体加熱装置1により実際に加熱される半導体ウエハと同じであることが好ましい。基板20aは、例えば、炭化珪素焼結体をウエハ状にスライスすることにより形成される。
【0025】
反射防止膜20bは、基板20aの表面に形成される。反射防止膜20bの表面粗さは、Ra0.8μm以上である。これによって、反射防止膜20bの放射率が70%以上となる。すなわち、反射防止膜20bの反射率が低下するため、温度測定用ウエハ20以外の場所から放射された赤外線の反射が抑制される。
【0026】
反射防止膜20bは、例えば、化学気相蒸着法(CVD法)を用いて、炭化珪素を基板20aの表面に蒸着させることによって、形成される。他には、スパッタリング法によって、反射防止膜20bを形成しても良い。本実施形態では、基板20aの片面にのみ反射防止膜20bが形成されているが、基板20aの基板の表面を全て覆うように形成しても良い。形成された反射防止膜20bに、例えば、研磨剤を吹き付けるブラスト工程を施すことによって、表面粗さをRa0.8μm以上とする。
【0027】
(2)温度測定方法
本実施形態に係る温度測定方法を図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る温度測定方法の工程を説明する図である。
【0028】
(2−1)載置工程S1
載置工程S1は、温度測定用ウエハ20を試料台30に載置する工程である。図1に示すように、温度測定用ウエハ20をチャンバー10の内部に入れ、試料台に載置する。反射防止膜20bが赤外放射温度計40に対向するように、温度測定用ウエハ20を載置する。
【0029】
(2−2)加熱工程S2
加熱工程S2は、載置された温度測定用ウエハ20を加熱する工程である。発熱体34を発熱させ、載置面32を加熱する。これによって、載置面32に載置された温度測定用ウエハ20が加熱される。実際の半導体加熱プロセスにおけるウエハの温度を正確に測定するため、実際の半導体ウエハを製造するプロセスと同様の昇温速度で加熱することが好ましい。
【0030】
(2−3)温度測定工程S3
温度測定工程S3は、加熱された温度測定用ウエハ20の温度を測定する工程である。温度測定には、4μm以上の波長が測定波長である赤外放射温度計40を用いる。赤外放射温度計40は、反射防止膜20bの放射率が70%以上となる波長を持つ赤外線の強度を測定して温度を測定する。
【0031】
加熱された温度測定用ウエハ20から放射される赤外線は、赤外線透過窓15を透過して、赤外放射温度計40に入射する。赤外放射温度計40は、入射した赤外線の強度を測定することによって、温度測定用ウエハ20の温度が測定される。
【0032】
温度測定用ウエハ20は、表面粗さがRa0.8μm以上の反射防止膜20bを備えている。これによって、反射防止膜20bの放射率が70%以上となる波長を持つ赤外線が放射される。すなわち、反射防止膜20bの反射率が低下するため、温度測定用ウエハ20以外の場所から放射された赤外線の反射が抑制される。従って、このため、温度測定用ウエハ20から放射される赤外線のみが、赤外放射温度計40に入射するため、半導体ウエハの温度をより正確に測定できる。
【0033】
赤外放射温度計40に広角レンズ45が取り付けられると、サーモビューアの測定領域は拡大する。このため、半導体ウエハの口径に関係なく、半導体ウエハの温度を測定できる。
【0034】
本実施形態に係る温度測定方法では、加熱工程S2を行った後に、温度測定工程S3を行っているが、これに限られない。すなわち、加熱工程S2を行いながら、温度測定工程S3を行っても良い。これにより、実際の半導体ウエハの温度分布を時系列的に把握できる。
【0035】
(3)比較評価
(3−1)放射率と表面粗さ及び反射防止膜との関係
本発明に係る反射防止膜の効果を確かめるため、表面粗さの違い及び反射防止膜の有無による放射率を比較した。結果を図3に示す。図3は、ウエハの放射率と表面粗さ及び反射防止膜との関係を示すグラフである。横軸は、ウエハの表面から放射された波長を表している。縦軸は、ウエハの表面の放射率を表している。評価に用いた温度測定用ウエハは、本実施形態を具現化した実施例1のウエハと、比較例1〜4のウエハである。ウエハは、300mmの直径を持つ円盤状である。基板となるウエハの材料は、炭化珪素焼結体である。
【0036】
実施例1のウエハは、基板に、表面粗さがRa0.8であり、炭化珪素からなる反射防止膜が形成されている。反射防止膜は、CVD法によって、形成されている。
【0037】
比較例1〜4のウエハは、基板のみからなる。すなわち、比較例1〜4のウエハには、反射防止膜は形成されていない。比較例1から4に係る基板の表面粗さは、それぞれRa0.025、Ra0.2、Ra1.0、Ra1.5である。
【0038】
図3に示されるように、実施例1のウエハでは、10.4μm以下、15.0μm以上の波長を持つ赤外線の放射率が、70%以上となっている。一方、比較例のウエハでは、8μm以上の波長を持つ赤外線の放射率は、70%よりも小さい。放射率+反射率=1という関係が成り立つため、実施例1のウエハは、比較例1〜4のウエハと比べて、反射率が高いことがわかる。特に、放射される赤外線の波長が8.0μm以上、10.4μm以下の範囲における放射率は、約90%以上となるため、この範囲の波長を持つ赤外線の強度を利用して温度を測定するのが好ましいことがわかる。
【0039】
(3−2)温度測定
本発明の効果を確かめるために、半導体加熱装置を用いて、同一条件の下、ウエハを加熱し、その温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0040】
温度測定に用いたウエハは、本実施形態を具現化した実施例2及び比較例2の温度測定用ウエハである。基準として、熱電対が取り付けられた温度測定用ウエハを用いた。熱電対は、ウエハの中心を交点とし、直角に交わる2つの軸に沿って配置されている。ウエハの中心に1個の熱電対を配置し、中心から軸に沿って等間隔(35mm間隔)に、熱電対を配置する。中心の熱電対を除いて、軸には8個ずつ熱電対が配置されており、ウエハ全体には、合計17個の熱電対が配置されている。ウエハの大きさはいずれも300mmである。
【0041】
実施例2の温度測定用ウエハは、炭化珪素からなる基板に、表面粗さがRa4.0であり、炭化珪素からなる反射防止膜が形成されている。反射防止膜は、CVD法によって、形成されている。
【0042】
比較例2のウエハは、表面粗さがRa0.2である炭化珪素からなる基板である。比較例2のウエハには、反射防止膜は形成されていない。
【0043】
実施例2及び比較例2のウエハは、赤外放射温度計を用いて、ウエハの温度を測定した。赤外放射温度計の測定波長は、8μm〜14μmである。
【0044】
【表1】

【0045】
表1において、最高温度とは、ウエハにおいて、最も高い温度である。最低温度とは、ウエハにおいて、最も低い温度である。なお、基準の最低温度及び最高温度は、熱電対で測定した温度である。
【0046】
表1に示されるように、実施例1では、最高温度、最低温度ともに、実際に熱電対で測定した温度との差が、比較例2よりも小さいことが分かる。実施例2のウエハからは、実施例2のウエハから放射された赤外線がサーモビューアにほぼ入射したためと考えられる。一方、比較例2のウエハは、反射率が高いため、チャンバー上部から放射された赤外線が、比較例2のウエハ表面で反射し、サーモビューアに入射したことにより、実施例2と比べ、基準との差が大きくなったと考えられる。
【0047】
これらの結果、実施例2のウエハの方が、比較例2のウエハと比べ、温度をより正確に測定できることが確認できた。
【0048】
(4)作用・効果
温度測定用ウエハ20において、温度測定用ウエハ20の基板20aには、表面粗さがRa0.8μm以上の反射防止膜20bが形成される。このため、温度測定用ウエハ20の表面は、反射率が低下する。従って、温度測定用ウエハ20の表面において、温度測定用ウエハ20以外の場所から放射された赤外線の反射が抑制される。赤外放射温度計40が温度測定用ウエハ20から反射した赤外線の強度を測定しなくなるため、温度測定用ウエハ20の実際の温度よりも低い温度が測定されない。また、温度測定用ウエハ20の反射率が低い、すなわち、放射率が高いため、赤外放射温度計40の測定精度も向上する。これらの結果、温度測定用ウエハ20の温度をより正確に測定できる。
【0049】
温度測定用ウエハ20の基板20aは、炭化珪素からなる。半導体ウエハとして使用される珪素の熱拡散率は、0.97cm/sであり、炭化珪素の熱拡散率は、ほぼ同等の1.03cm/sである。従って、温度測定用ウエハ20は、実際の半導体ウエハと同等に熱拡散するため、温度測定用ウエハ20は、実際の半導体ウエハと同等の温度分布となる。従って、半導体ウエハの温度測定に用いることができる。
【0050】
本実施形態に係る温度測定方法によれば、半導体ウエハを載置する試料台30の載置面32に、反射防止膜20bが赤外放射温度計40に対向するように、温度測定用ウエハ20を載置する。表面粗さが、Ra0.8μm以上の反射防止膜20bによって、放射率70%以上の波長を有する赤外線が放射される。赤外放射温度計40は、反射防止膜20bの放射率が70%以上となる波長を測定波長に含む。このため、測定精度の高いデータが得られる。また、温度測定用ウエハ20は、反射率が低いため、温度測定用ウエハ20における赤外線の反射が抑制される。
【0051】
本実施形態に係る温度測定方法によれば、赤外放射温度計40は、8μm以上、10.4μm以下の範囲に含まれる波長を測定に利用する。8μm以上、10.4μm以下の波長を持つ赤外線の放射率は、約90%以上であるため、測定精度の高いデータが得られる。また、温度測定用ウエハ20における赤外線の反射が抑制される。
【符号の説明】
【0052】
1…半導体加熱装置
10…チャンバー
10a…チャンバー上部
15…赤外線透過窓
20…温度測定用ウエハ
20a…基板
20b…反射防止膜
30…試料台
30a…基体
30b…管状部材
32…載置面
34…発熱体
36…給電部材
40…赤外放射温度計
45…広角レンズ
S1…載置工程
S2…加熱工程
S3…温度測定工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体加熱装置において、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計を用いて温度が測定される温度測定用ウエハであって、
炭化珪素からなる基板と、
前記基板の表面に形成された反射防止膜とからなり、
前記反射防止膜は、炭化珪素からなり、
前記反射防止膜の表面粗さは、Ra0.8μm以上である温度測定用ウエハ。
【請求項2】
半導体加熱装置において、物体から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する赤外放射温度計を用いてウエハの温度を測定する温度測定方法であって、
炭化珪素からなる基板と、前記基板の表面に形成された反射防止膜とからなり、前記反射防止膜は、炭化珪素からなり、前記反射防止膜の表面粗さは、Ra0.8μm以上である温度測定用ウエハを、半導体ウエハを載置する試料台に、前記反射防止膜が前記赤外放射温度計に対向するように載置し、
前記赤外放射温度計は、放射率が70%以上となる波長を測定波長に含む温度測定方法。
【請求項3】
前記赤外放射温度計は、8μm以上、10.4μm以下の範囲に含まれる波長を測定に利用する請求項2に記載の温度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−106997(P2011−106997A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263233(P2009−263233)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】