説明

温度補償型水晶発振器

【課題】 小型化が可能であり、かつ、機械的強度に優れた温度補償型水晶発振器を提供することを目的とする。
【解決手段】 セラミック基板内部に回路部品121a〜121cが埋設された樹脂基板120上に、内部の空間113に水晶振動子114が収納されたパッケージ110を実装することにより、温度補償型水晶発振器100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度補償型水晶発振器(TCXO:temperature compensated crystal oscillator)に関する。
【0002】
【従来の技術】温度補償型水晶発振器は、携帯電話などの電子機器に広く用いられており、近年の電子機器の小型化にともない、温度補償型水晶発振器にも一層の小型化が求めれられている。図12は、特開2001−177044号公報に開示された温度補償型水晶発振器を示す断面図である。温度補償型水晶発振器300は、パッケージ310とセラミック基板320とからなる。パッケージ310内部の空間には水晶振動子311が収納され、セラミック基板320上部には側壁321に囲まれたキャビティ322が形成され、その中に回路部品323が実装されている。また、セラミック基板320の下面には抵抗膜324が形成されており、抵抗膜324をレーザートリミングすることにより、水晶振動子311の温度周波数特性が微調整される。
【0003】図13は、特開2000−151283号公報に開示された温度補償型水晶発振器を示す断面図である。温度補償型水晶発振器400は、セラミック基板420とセラミック基板420上に実装された水晶振動子411とからなる。水晶振動子411は、セラミック基板420上面の周縁部に形成されたシールリング412、およびシールリング412に溶接された金属蓋413により覆われている。セラミック基板420下部には側壁421に囲まれたキャビティ422が形成され、その中に回路部品423が実装されるとともに、樹脂424が充填されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の温度補償型水晶発振器では、以下の点から小型化に制約がある。まず、従来の温度補償型水晶発振器では、キャビティ内に回路部品を高精度に実装するために、キャビティ周囲の側壁と回路部品との間に一定の間隔を設ける必要がある。したがって、この間隔の分、温度補償型水晶発振器の面積が大きくなってしまう。
【0005】また、従来の温度補償型水晶発振器を小型化しようとすると、キャビティ周囲の側壁の幅を小さくする必要がある。しかし、このように側壁の幅を小さくすると、側壁の機械的強度が低下してしまう。また、特開2001−177044号公報のようにキャビティ上面にパッケージを実装する場合、側壁上に形成するパッケージ固着用の電極面積が十分に大きくとれなくなり、パッケージとセラミック基板の固着強度が低下してしまう。
【0006】また、従来の温度補償型水晶発振器においては、セラミック基板内に立体的に回路を形成してキャビティ内に実装する回路部品を減らすことにより、温度補償型水晶発振器の面積を小さくしている。しかし、この場合、温度補償型水晶発振器を低背化することができない。
【0007】本発明は、小型化が可能であり、かつ、機械的強度に優れた温度補償型水晶発振器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る温度補償型水晶発振器は、セラミック基板と、セラミック基板の上側主面上に形成された少なくとも1層の樹脂層と、樹脂層の上側主面上に搭載され、内部の空間に水晶振動子が収納されたパッケージと、からなり、セラミック基板の上側主面上には配線導体が形成され、樹脂層の内部には、配線導体と電気的に接続される回路部品が埋設されるとともに、配線導体と電気的に接続されるビア導体が形成され、樹脂層の上側主面上には、ビア導体と電気的に接続される表面導体が形成され、パッケージ下面には、水晶振動子および表面導体と電気的に接続される端子電極が形成されている、ことを特徴とする。
【0009】また、上記セラミック基板は、複数のセラミック層が積層されてなり、セラミック層間に配線導体が形成されていることが好ましい。
【0010】また、上記セラミック基板の下側主面上に抵抗膜が形成されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る温度補償型水晶発振器の一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、温度補償型水晶発振器100は、セラミック基板110と、セラミック基板110の上側主面上に形成された樹脂層120と、樹脂層120の上側主面上に搭載されたパッケージ130と、からなる。
【0012】セラミック基板110は、複数のセラミック層111が積層されたものである。セラミック基板110内部には、セラミック層111の積層方向に延びるようにビア導体112が形成されている。また、セラミック基板110の上側主面上には、ビア導体112と電気的に接続された配線導体113aが形成されている。また、セラミック基板110の内部には、ビア導体112と電気的に接続された配線導体113bが形成されている。配線導体113bは、セラミック層111を挟んで互いに対向するように形成されており、この対向部分でコンデンサを形成している。また、セラミック基板110の下側主面上には、配線導体113cおよび抵抗膜114が形成されている。
【0013】セラミック基板110が複数のセラミック層111で構成されることにより、配線導体113bを形成したり、セラミック層111を挟んでコンデンサを形成することができる。したがって、セラミック基板110内部において多様な回路設計が可能となる。
【0014】セラミック層111を構成する材料としては、例えば、BaO−Al23−SiO2系などの絶縁体材料を用いることができる。また、ビア導体112および配線導体113a〜113cとしては、例えば、Cu,Ag,Au,Ag−Pt,Ag−Pdなどの金属を用いることができる。
【0015】抵抗膜114は、パッケージ130に収納された水晶振動子134の温度周波数特性を微調整するためのものであり、後述する補正電圧発生回路を構成する回路要素の一つである。具体的には、抵抗膜114の一部をレーザーなどによりトリミングすることにより、水晶振動子134に入力される電圧を調整し、水晶振動子134の温度周波数特性を平坦化することができる。抵抗膜114は、例えば、RuO2とガラスとの混合材料を含むペーストを焼き付けることにより形成される。
【0016】樹脂層120内部には、配線導体113aと電気的に接続される回路部品121a〜121cが埋設されるとともに、配線導体113aと電気的に接続されるビア導体122が形成されている。また、樹脂層120の上側主面上には、ビア導体122と電気的に接続される表面導体123が形成されている。
【0017】樹脂層120は、例えば、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを混合したものからなる。無機フィラーとしては、例えば、Al23,SiO2,TiO2などを用いることができる。これらの無機フィラーを用いることにより、放熱性を向上させるとともに、樹脂層120の流動性、充填性を制御することができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などを用いることができる。中でも、エポキシ樹脂は、耐熱性、耐湿性に優れているため好ましい。
【0018】なお、図2に示すように、樹脂層120が複数の樹脂層120a,120bにより構成され、樹脂層120a,120b間に配線導体124が形成されていてもよい。これにより、樹脂層120内部において多様な回路設計が可能となる。
【0019】図1、図2において、回路部品121a〜121cとしては、発振回路や補正電圧発生回路など、温度補償型水晶発振器100に必要な回路を構成する。回路部品121a〜121cとしては、例えば、トランジスタ、IC、LSIなどの能動素子や、チップコンデンサ、チップ抵抗、チップサーミスタなどの受動素子を用いることができる。能動素子を配線導体113a上に実装する方法としては、例えば、能動素子の端子電極上に金や半田のバンプを形成し、超音波ボンディングを行う方法などが挙げられる。また、受動素子を配線導体113a上に実装する方法としては、導電性接着剤による接着や半田付けなどが挙げられる。なお、回路部品121a〜121cの端子電極については図示を省略している。
【0020】ビア導体122としては、例えば、金属粒子と熱硬化性樹脂とを混合した導電性樹脂組成物を用いることができる。金属粒子としては、Au,Ag,Cu,Niなどを用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などを用いることができる。
【0021】表面導体123としては、例えば、Cu,Ag,Au,Ag−Pt,Ag−Pdなどの金属を用いることができる。
【0022】パッケージ130は、上面が開口したパッケージ本体131と、パッケージ本体131の上面を被覆する金属製のシールド板132とからなる。また、パッケージ本体131とシールド板132とにより形成される空間133には、水晶振動子134が振動可能な状態で収納されている。また、水晶振動子134は、配線導体135およびビア導体136を介して,パッケージ本体131表面に形成された端子電極137と電気的に接続されている。
【0023】パッケージ本体131としては、例えば、セラミックなどの無機材料を用いることができる。また、シールド板132としては、例えば、コバールや42アロイなどの金属材料を用いることができる。また、水晶振動子134は、用途に応じて適当な発振周波数のものが用いられる。また、配線導体135、ビア導体136、および端子電極137としては、例えば、Cu,Ag,Au,Ag−Pt,Ag−Pdなどの金属を用いることができる。
【0024】図3は、温度補償型水晶発振器100の等価回路を示す回路図である。この回路は、発振回路140、補正電圧発生回路150、および緩衝増幅回路160からなる。
【0025】発振回路140は、水晶振動子134、ベース−エミッタ間をコンデンサ141aでつながれたトランジスタ142、抵抗143a〜143d、コンデンサ141bなどにより構成された、コレクタ接地のコルピッツ形発振回路である。
【0026】発振回路140では、抵抗143aおよびコンデンサ141cによって電源電圧Vccの直流成分がトランジスタ142のコレクタに印加され、トランジスタ142のエミッタが抵抗143bを介してグランドに接続され、抵抗143c,143dによって電源電圧Vccが分圧され、トランジスタ142のベースに印加されている。
【0027】また、発振回路140では、グランドから水晶振動子134の端子電極に向けて可変容量ダイオード144を接続しており、抵抗143eを介して補正電圧発生回路150の出力電圧を水晶振動子134へ入力させている。
【0028】補正電圧回路150は、周囲の温度変化に応じて水晶振動子134に印加する出力電圧の特性を変化させることにより、水晶振動子134の温度周波数特性を打ち消して周波数を安定させるものであり、抵抗、NTCサーミスタ(いずれも図示せず)などで構成されている。
【0029】緩衝増幅回路160は、コンデンサ161、トランジスタ162、抵抗163a〜163dなどにより構成されている。緩衝増幅回路160では、抵抗163aを介して電源電圧Vccがトランジスタ162のコレクタに入力され、抵抗163bおよびコンデンサ161を介してトランジスタ162のエミッタがグランドに接続され、抵抗163c,163dによって電源電圧Vccが分圧され、トランジスタ162のベースに印加されている。
【0030】温度補償型水晶発振器100においては、発振回路140で水晶振動子134を発振させ、水晶振動子134の付加容量を可変容量ダイオード144に印加する電圧で制御することにより、発振周波数を制御することが可能になる。発振出力は、トランジスタ142のエミッタにより取り出され、緩衝増幅回路160で増幅されてトランジスタ162のコレクタから出力される。また、出力周波数の温度による変動は、補正電圧発生回路150により補正される。
【0031】
【実施例】(実施例1)以下に、本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の一実施例を示す。まず、出発原料として、BaO、SiO2、Al23、B23、CaOを準備し、各出発原料を所定量秤量し、混合した。次に、得られた混合物を1300℃で2時間仮焼し、得られた仮焼物を粉砕して仮焼粉末を得た。
【0032】次に、この仮焼粉末に、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤を加えて混練し、セラミックスラリーを得た。次に、このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によりシート状に形成し、セラミックグリーンシートを得た。次に、セラミックグリーンシートの所定の位置にビアホールを形成した。
【0033】次に、Ag粉末、適当量のバインダ、ガラス粉末、分散剤からなる導体ペーストを作製し、この導体ペーストを、スクリーン印刷によりセラミックグリーンシート上に印刷し、セラミックグリーンシートのビアホールに充填した。
【0034】次に、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、圧着することによりセラミック積層体を作製した。次に、セラミック積層体を800〜1000℃の温度で5時間焼成し、図4(A)に示すように、複数のセラミック層211からなり、ビア導体212および配線導体213a〜213bが形成されたセラミック基板210を得た。
【0035】なお、セラミック基板の製造方法については上述の限りではなく、その他公知の製造方法を用いてもよい。
【0036】次に、図4(B)に示すように、セラミック基板210の下側主面上に、RuO2粉末、ガラス粉末、分散剤からなる抵抗ペーストを塗布し、焼き付けて抵抗膜214を形成した。その後、図4(B)に示すように、セラミック基板210の配線導体213a上にチップコンデンサ221a、能動素子221b、チップサーミスタ221cを搭載し、半田付けを行った。
【0037】次に、図5(A)に示すように、一方主面上に銅箔が形成されたエポキシ樹脂プリプレグシートを作製した。次に、樹脂プリプレグシート上に形成された銅箔をフォトリソグラフィーによりエッチングし、図5(B)に示すように、主面上に表面導体223が形成された樹脂プリプレグシート270を作製した。
【0038】次に、炭酸ガスレーザーを用いて、図5(C)に示すように、樹脂プリプレグシート270にビアホール271を形成した。次に、図5(D)に示すように、導体ペーストをスクリーン印刷によりビアホール271内に充填して、ビア導体222を形成した。
【0039】次に、図6に示すように、樹脂プリプレグシート270をセラミック基板210上に重ね、真空プレスにより160℃の温度で60分間圧着した。このようにして、樹脂プリプレグシート270にチップコンデンサ221a、能動素子221b、およびチップサーミスタ221cを埋没させるとともに、樹脂プリプレグシート270およびビア導体222を熱硬化させた。
【0040】次に、表面導体223上に半田ペーストを塗布し、図7に示すように、水晶振動子が収納されたパッケージ230を樹脂層220(樹脂プリプレグシート270が熱硬化したもの)上に搭載した。次に、リフローにより半田ペーストを溶解させ、端子電極237と表面導体223とを接合させて、温度補償型水晶発振器200aを作製した。なお、図7では、パッケージ230について詳細な図示を省略している。
【0041】また、複数の樹脂層を形成する場合は、樹脂層220を一層目の樹脂層として、樹脂層220上にさらに樹脂プリプレグシート270を積層し、同様の工程を繰り返して二層目、三層目、・・・の樹脂層を形成すればよい。
【0042】(実施例2)以下に、本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す。まず、実施例1と同様にして、図4(A)に示すセラミック基板210を作製した。次に、図4(B)に示すように、セラミック基板210の下側主面上に、RuO2粉末、ガラス粉末、分散剤からなる抵抗ペーストを塗布して焼き付け、抵抗膜214を形成した。その後、図4(B)に示すように、セラミック基板210の配線導体213a上にチップコンデンサ221a、能動素子221b、チップサーミスタ221cを搭載し、半田付けを行った。
【0043】次に、図8(A)に示すように、セラミック基板210上にエポキシ樹脂材料272をコーターで流し込み、チップコンデンサ221a、能動素子221b、チップサーミスタ221cを覆った。
【0044】次に、エポキシ樹脂材料272でコートされたセラミック基板210を真空オーブンに入れ100℃で10分間加熱し、エポキシ樹脂材料272をチップコンデンサ221a、能動素子221b、およびチップサーミスタ221cの下面に回り込ませた。これにより、上側主面上にエポキシ樹脂材料272が形成されたセラミック基板210を作製した。なお、この温度では、エポキシ樹脂材料272は完全には熱硬化せず、半硬化の状態である。
【0045】次に、セラミック基板210を真空オーブンから取り出し、炭酸ガスレーザーを用いて、図8(B)に示すように、エポキシ樹脂材料272を貫通するビアホール271を形成した。次に、図8(C)に示すように、導体ペーストをスクリーン印刷によりビアホール271内に充填して、ビア導体222を形成した。
【0046】次に、一方主面が粗面化された電解銅箔を準備し、図9(A)に示すように、エポキシ樹脂材料272の上側主面と電解銅箔223aの粗面とを合わせるようにして、エポキシ樹脂材料272に電解銅箔223aを重ね、真空プレスにより160℃で60分間圧着した。なお、この温度で、エポキシ樹脂材料272、およびビア導体222は熱硬化した。
【0047】次に、図9(B)に示すように、樹脂層220(エポキシ樹脂材料272が熱硬化したもの)上に形成された電解銅箔223aをフォトリソグラフィーによりエッチングし、表面導体223を形成した。
【0048】次に、樹脂層220の表面導体223上に半田ペーストを塗布した。次に、図10に示すように、水晶振動子が収納されたパッケージ230を樹脂層220上に搭載し、リフローにより半田ペーストを溶解させ、端子電極237と表面導体223とを接合させて、温度補償型水晶発振器200bを作製した。なお、図10R>0では、パッケージ230について詳細な図示を省略している。
【0049】また、複数の樹脂層を形成する場合は、樹脂層220を一層目の樹脂層として、樹脂層220上にさらにエポキシ樹脂材料272を流し込んだ後、同様の工程を繰り返して二層目、三層目、・・・の樹脂層を形成すればよい。
【0050】(実施例3)以下に、本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す。まず、実施例1と同様にして、BaO、SiO2、Al23、B23、CaOからなるセラミックグリーンシートを作製し、これを第1のセラミックグリーンシートとした。次に、Agからなる導体ペーストを、スクリーン印刷により第1のセラミックグリーンシート上に印刷し、第1のセラミックグリーンシートのビアホールに充填した。
【0051】一方、Al23粉末に、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤を加えて混練し、セラミックスラリーを得た。次に、このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によりシート状に成形してセラミックグリーンシートを作製し、これを第2のセラミックグリーンシートとした。次に、第2のセラミックグリーンシートの4隅にビアホールを形成し、Agからなる導体ペーストを充填した。
【0052】次に、図11(A)に示すように、第1のセラミックグリーンシート273および第2のセラミックグリーンシート274を積層し、圧着することにより、配線導体213a〜213c、およびビア導体212、222が形成されたセラミック積層体210aを作製した。なお、セラミック積層体210aの最下層に配置された第1のセラミックグリーンシートの下側主面上には、RuO2粉末、ガラス粉末、分散剤からなる抵抗ペースト214が塗布されている。
【0053】次に、セラミック積層体210aを800〜1000℃の温度で5時間焼成した後、未焼結の第2のセラミックグリーンシート274を除去した。その結果、図11(B)に示すように、上側主面上にビア導体222が突起したセラミック基板210が得られた。次に、図11(C)に示すように、セラミック基板210の配線導体213a上にチップコンデンサ221a、能動素子221b、チップサーミスタ221cを搭載し、半田付けを行った。
【0054】次に、実施例1と同様にして、図5(B)に示すように、主面上に表面導体223が形成された樹脂プリプレグシート270を作製した。次に、炭酸ガスレーザーを用いて、図5(C)に示すように、樹脂プリプレグシート270にビアホール271を形成した。
【0055】次に、ビア導体222とビアホール271との位置を合わせながら、セラミック基板210上に樹脂層220を重ね、真空プレスにより160℃の温度で60分間圧着した。このようにして、図6に示すように、樹脂プリプレグシート270にチップコンデンサ221a、能動素子221b、およびチップサーミスタ221cを埋没させるとともに、樹脂プリプレグシート270を熱硬化させて樹脂層220を形成した。次に、実施例1と同様にして、図7に示す温度補償型水晶発振器200aを作製した。
【0056】なお、実施例2と同様にして、上側主面上にビア導体222が突起したセラミック基板210上に、エポキシ樹脂材料をコーターで流し込みむことにより、樹脂層220を形成してもよい。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る温度補償型水晶発振器においては、温度補償回路を構成する回路部品が樹脂層に埋設されているため、回路基板上面にキャビティを形成してキャビティ内に回路部品を実装する必要がない。
【0058】したがって、キャビティ側壁の寸法や、キャビティ側壁と回路部品との間隔を考慮する必要がないため、設計上の規制が大幅に緩和され、より小型化しやすくなる。また、狭いキャビティ側壁ではなく、平坦な樹脂層上にパッケージ実装用電極を形成することができるため、パッケージと回路基板との固着強度が高い。
【0059】また、パッケージの真下に位置する樹脂層に回路部品を埋設するため、温度補償型水晶発振器の面積をパッケージの面積と同程度にすることができる。
【0060】また、セラミック基板上に形成された樹脂層は、回路部品を隙間なく埋設するとともに、セラミック基板との密着性も良好であるため、機械的強度に優れた温度補償型水晶発振器を提供することができる。さらに、樹脂層をエポキシ樹脂で構成することにより、耐候性に優れた温度補償型水晶発振器を提供することができる。
【0061】また、セラミック基板を複数のセラミック層で構成し、セラミック層間に配線導体を形成することにより、多様な回路設計が可能となる。
【0062】また、セラミック基板の下側主面上に形成された抵抗膜をレーザーなどでトリミングし、水晶振動子の温度周波数特性を微調整することにより、より安定した温度周波数特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度補償型水晶発振器の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す温度補償型水晶発振器の変形例を示す断面図である。
【図3】図1に示す温度補償型水晶発振器の等価回路を示す回路図である。
【図4】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図5】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図6】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図7】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図8】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す工程図である。
【図9】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す工程図である。
【図10】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す工程図である。
【図11】本発明に係る温度補償型水晶発振器の製造方法の他の実施例を示す工程図である。
【図12】従来の温度補償型水晶発振器を示す断面図である。
【図13】従来の温度補償型水晶発振器を示す断面図である。
【符号の説明】
100 温度補償型水晶発振器
110 セラミック基板
111 セラミック層
112 ビア導体
113a〜113c 配線導体
114 抵抗膜
120 樹脂層
121a〜121c 回路部品
122 ビア導体
123 表面導体
130 パッケージ
131 パッケージ本体
132 シールド板
133 空間
134 水晶振動子
135 配線導体
136 ビア導体
137 端子電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】 セラミック基板と、前記セラミック基板の上側主面上に形成された少なくとも1層の樹脂層と、前記樹脂層の上側主面上に搭載され、内部の空間に水晶振動子が収納されたパッケージと、からなり、前記セラミック基板の上側主面上には配線導体が形成され、前記樹脂層の内部には、前記配線導体と電気的に接続される回路部品が埋設されるとともに、前記配線導体と電気的に接続されるビア導体が形成され、前記樹脂層の上側主面上には、前記ビア導体と電気的に接続される表面導体が形成され、前記パッケージ下面には、前記水晶振動子および前記表面導体と電気的に接続される端子電極が形成されている、ことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
【請求項2】 前記セラミック基板は、複数のセラミック層が積層されてなり、前記セラミック層間に配線導体が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の温度補償型水晶発振器。
【請求項3】 前記セラミック基板の下側主面上に抵抗膜が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の温度補償型水晶発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【図13】
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