温度計測装置及び露光装置
【課題】極めて簡単な構成でウエハの精密温度計測を非接触で行う温度計測装置を提供する。
【解決手段】基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする温度計測装置。
【解決手段】基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする温度計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には温度計測装置に係り、特に真空雰囲気下で半導体ウエハを露光する半導体露光装置において、ウエハを温調する際に用いられる非接触式の温度計測装置及びそれを用いた露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、DRAM,MPU等の半導体デバイス製造に関して、デザインルールで0.1μm以下の線幅を有するデバイスの実現に向けて精力的に研究開発がなされている。この世代の半導体デバイス製造に用いられる露光装置は、その露光光にエレクトロンビーム(EB)、あるいは極端紫外域光(EUV)等が用いられると予測されている。EB露光装置、EUV露光装置では、大気中での露光は不可能になるため、真空中で露光を行うのが大きな特徴である。
【0003】
EB露光装置、EUV露光装置では露光動作が真空中で行われるため、ウエハの搬入、搬出にはロードロックチャンバーを介して行うことになる。露光装置のロードロックチャンバーは、大気圧下でウエハを受入れ、チャンバー内を真空排気した後、露光装置側の扉を開いて露光装置側にウエハを搬入する機能を有する。よってロードロック内が真空排気されると、内部ガスの断熱膨張によってガスの温度が低下し、それに伴いウエハの温度はチャンバーの大きさ、排気速度にもよるが露光装置の基準温度から数度低下する。
【0004】
また、一般にリソグラフィ工程のラインでは、ウエハにレジストを塗布した後にこれをベーキング(100〜200℃で数十分加熱)し、さらに冷却する前処理装置が、露光装置と連結されている。したがって、ここでの温調精度が不十分のままロードロックを介し、ウエハを露光装置内に搬入すると、ウエハが露光装置の基準温度範囲内に入らなくなる可能性がある。特に、ウエハがいったん真空チャンバー内に搬入されてしまうと、周辺雰囲気との熱伝導、熱伝達は期待できないため、基準温度からずれたままの状態を続けることになる。
【0005】
このように露光装置の基準温度範囲内に入っていない状態のウエハを、露光装置内に搬入し、ウエハチャックに保持させると、ウエハとチャックとの間の温度差により、アライメント動作中あるいは露光中に両者の温度が平衡に達するまでウエハがチャック上を滑りながら膨張又は収縮してしまう。一般に滑り摩擦は非線型な挙動なので、あらかじめ変形の挙動を予測してアライメント計測値や目標ショット座標等を補正することは非常に困難である。したがって、この状態のまま露光を行なった場合、大きな配列誤差が生じてしまうことになる。
【0006】
従来より、このような問題への対策としてロードロックチャンバー内にウエハを温調する機構を設けた提案がなされている。例えば、赤外線ランプで加熱する方法、ウエハを2つの恒温板で挟んで熱伝導で温調する方法、あるいはロードロック内のウエハ保持機構に温調機能を設ける方法等である。また、露光装置内のウエハステージとは別にウエハを温調する専用の温調ポートを設ける方法も提案されている。
【0007】
ウエハは露光装置内に搬入されウエハステージ上のチャックに吸着、保持されてから露光光の照射を受ける。そのエネルギーの一部がウエハに吸収されてしまうとウエハは温度上昇する。真空環境下では、ウエハの周辺雰囲気への放熱が期待できないため、温度上昇しやすい傾向にある。また、真空環境下では静電チャックを用いるが、この静電チャックは通電した際に発熱の問題があり、これもウエハの温度上昇を引き起こす原因になる。ウエハがウエハチャックに保持されてから温度上昇する場合も、前述の場合と同様にウエハとチャックとの間に温度差が生じるため、露光中に両者の温度が平衡に達するまで、ウエハがチャック上を滑りながら膨張してしまうという問題を発生する。
【0008】
この問題への対策として、ウエハチャックにウエハを温調する機能を設けた方法が多数提案されている。例えば、特許文献1〜3に記載されているような方法であり、具体的には、ウエハチャック間に温調されたガスを流す方法、ウエハチャック内にペルチェ素子を組み込んで温調する方法、あるいはウエハチャック内に配管を巡らせ、そこに温調された気体や液体を循環させる方法等である。
【特許文献1】特開平09-092613号公報(主に、図4や段落0055〜0056の記載)
【特許文献2】特開平11-026370号公報
【特許文献3】特開2002-305238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ウエハ温調に関しては、温調する箇所に応じてさまざまな方法が提案されているが、いずれもウエハを温調する際のウエハ温度計測に関しては不十分なものであった。ウエハ温度計測には接触式、非接触式の2つの温度計測方法がある。接触式温度計測の場合、センサ部がウエハに接触することがパーティクルの発生につながるという問題点がある。さらに、接触式なので接触界面での熱抵抗を常に一定に保つことは困難であり、正確な計測が不可能になったり、温度計の熱容量によってはウエハ面内に温度分布が生じたりする、という問題も生ずる。
【0010】
非接触温度計測の場合、通常は放射温度計を用いる。放射温度計は、赤外線の放射エネルギーを検知して、それを温度に換算するものである。露光装置の基準温度である296K付近の黒体放射の中心波長は図4からもわかるように5〜15μmである。しかし、シリコンは5〜10μmの波長域においては透過性を有している。例えば、厚さ0.725mmのシリコンウエハでは、波長5〜10μmの光の平均透過率は0.8〜0.9程度になる。したがって、何ら対策せずに放射温度計でシリコンウエハの温度を計測すると、ウエハの計測面(以下、第一面という。)からの放射エネルギーと、その反対面(以下、第二面という。)側のバックグランド環境からの放射エネルギーとが合計されたものになってしまい、ウエハの精密温度計測が困難になってしまう。
【0011】
この対策のために、ウエハの第二面側にバックグランド環境の赤外線をカットするバンドカットフィルタを設け、放射温度計の計測波長を避ける、という方法も考えられる。しかし、このフィルタが温度変動した場合は、やはりウエハの温度計測結果に合計されたものになってしまう、という問題を有する。また、放射温度計の赤外線入射窓にバックグランド環境の影響を排除するようなフィルタを用いることも可能であるが、放射エネルギー強度が弱くなり、SN比が悪くなってしまう、という問題もある。
【0012】
そこで、本発明は、極めて簡単な構成でウエハの精密温度計測を非接触で行う温度計測装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としての温度計測装置は、基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の別の側面としての露光装置は、露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、レチクルを駆動するレチクル駆動系と、レチクル上のパターンを基板上へ投影する投影光学系と、基板を駆動する基板駆動系と、上述の温度計測装置を有することを特徴とする。本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上記の露光装置によって基板にパターンを投影露光する工程と、露光された基板を現像する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態により明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板表面以外から受ける赤外線を減少させることができるため、基板の温度を高精度に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず本実施例の温度計測装置を有する露光装置について図面を用いて説明する。図3は、EUV光(13〜15nmの波長の光)を露光光源とする半導体投影露光装置(EUV露光装置)の概略構成を示す要部構成図である。図3において、符号1はウエハ、符号2は電子回路パターンが形成されている反射型マスク(レチクル)で、符号3はその反射型マスクを保持し、スキャン方向に粗微動させるためのマスクステージである。符号5は反射型マスク2からのEUV反射光をウエハ1に投影露光するための投影光学系である。符号6はウエハ1を保持して6軸方向に粗動、微動可能なウエハステージであり、そのxy位置は不図示のレーザ干渉計によって常にモニターされている。通常、マスクステージ3及びウエハステージ6のスキャン動作は、投影光学系5の縮小倍率を1/βとし、マスクステージの走査速度をVr、ウエハステージの走査速度をVwとすると、両者の走査速度の間には、Vr/Vw=βの関係が成立するように同期制御される。
【0018】
符号8はロードロックチャンバー15とウエハ温調ポート16との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドで、符号18はウエハ温調ポート16とウエハステージ6との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドである。前述したユニットは露光装置チャンバー4の中に配置され、その露光装置チャンバー4内が真空にされて露光が行われる。符号7はチャンバー内を真空排気するための真空ポンプである。符号9はロードロックチャンバー15内を真空排気するための真空ポンプ、符号10はロードロックチャンバー15内の真空状態を大気圧に戻すための真空破壊バルブ、符号11は露光装置チャンバー4とロードロックチャンバー15との間を仕切る装置側ゲートバルブ、符号12はロードロックチャンバー15と後述するウエハ交換室との間を仕切る交換室側ゲートバルブである。符号14はウエハを大気圧下で一時保管するウエハ交換室であり、符号13はウエハ交換室14とロードロックチャンバー15との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドである。
【0019】
露光装置内で、ウエハを温調する方式は、大きく2つのタイプに分けられる。一方はウエハをウエハステージのチャックに保持する前に温調を行うタイプであり、他方はウエハをチャックに保持した後に温調を行うタイプである。前者は主にロードロック内温度変動やプリベイク後の温調精度に対応するものであり、後者は主にウエハの露光熱吸収に対応するものである。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の第1の実施例の非接触温度計測を説明する。本実施例においては、ウエハをウエハチャックに保持する前に温調を行う。
【0021】
図1は、本実施例に係る非接触温度計測を説明するための、計測対象としてのウエハ1近傍を示す概略構成図である。ロードロックチャンバー15を経たウエハ1の温度は装置基準温度よりも低いので、その温度低下を補償するためにホットプレート、ランプ等の温調装置23によりウエハ1が加熱されるようになっている。符号20はサーモパイル等の赤外線エネルギーを検出する放射型温度センサであり、符号21はその視野角を示している。符号22は赤外線エネルギー遮蔽部であり、温調装置23からの赤外線がウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するの防ぐためのものである。そして、赤外線エネルギー遮蔽部22が放射型温度センサ20の視野角21に相当する領域以上の面積を有することにより、温調装置20からの赤外線の迷光を遮蔽することが可能となっている。したがって、ウエハ1の温度を精密に計測するための赤外線エネルギー遮蔽部22としては、温調装置23から放射され、ウエハ1に対して透過性のある296K付近の波長5〜10μmの波長域の赤外線を良好に反射し、かつ、赤外線エネルギー遮蔽部22からのこの波長域の熱放射も極力小さくなるものを配置すればよい。具体的には、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄等を材料として両面が鏡面仕上げになっているものが望ましい。鏡面仕上げをすることにより、296K付近での放射率を0.01〜0.02程度の範囲に抑えることが可能になる。以下、モデルを用いて説明する。
【0022】
図5のように放射型温度センサ20、測定対象としてのウエハ1、ウエハ1の裏面側に配置されたバックグランド部材121からなる1次元の簡単なケースを考える。ウエハ1が5〜10μmの波長域で透過性があるので、放射型温度センサ20に入射するエネルギーQ[W/m2]はウエハ1からの放射エネルギーq1とバックグランド部材121からの放射エネルギーq2との線形結合、
【0023】
【数1】
【0024】
で表現できる。ここでa,bは比例係数であるが、aはウエハ1から放射型温度センサ20に入射するまでの透過率、bはバックグランド部材121からウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するまでの透過率と考えてよい。
【0025】
q1,q2は、各表面からの放射エネルギーであって、
【0026】
【数2】
【0027】
と表現できる。ここでε1、ε2はそれぞれウエハ1とバックグランド部材121の放射率、σはステファンボルツマン定数(σ=5.67E−8W/m2K4)、T1、T2はそれぞれウエハ1とバックグランド部材121の表面温度である。式(1)及び式(2)をまとめると、
【0028】
【数3】
【0029】
となる。したがって、放射型温度センサ20に入射するエネルギーQからバックグランド部材121の影響を排除するためには、放射率ε2ができるだけ小さくなるような方法をとり、ウエハ温度計測値がT2の温度変動に鈍感な構成にすればよい。それを実現するために、ウエハ1とバックグランド部材121との間に、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄などを鏡面仕上げした部材を挿入するか、あるいはバックグランド部材121表面に、これらの金属を直接蒸着することが望ましい。
【0030】
本実施例では、ウエハ1をウエハステージ6のチャックに保持する前に、温調を行うタイプにおけるウエハ1の非接触温度計測である。具体的には、図6に示すように、ウエハ1をロードロックチャンバー15に搬入する前にウエハ1の温度を計測し、ロードロックチャンバー15内での温度低下量を予測して予めウエハ1を加熱しておく、いわゆるプレヒートの場合に本実施例は適用可能である。図6中、符号1はウエハであり、ウエハ1を挟むようにして放射型温度センサ20と赤外線エネルギー遮蔽部22とが対向して配置されている。符号23は例えばヒーター等の温調装置、符号31は温度制御部であり、放射型温度センサ20の出力が目標温度となるように温調装置23の出力を制御する。
【0031】
また、図7に示すように、ロードロックチャンバー15内で温度計測を行うことも可能である。ウエハ1の温調装置23をロードロックチャンバー15内に配置し、真空排気中にウエハ1の温度を放射型温度センサ20で非接触温度計測し、その結果に基づいて温調装置23で必要な熱量を加えて、ウエハ1の温度低下を補償する。温度制御部31は、放射型温度センサ20の出力が目標温度になるように温調装置23の出力を制御する。
【0032】
さらに、図8に示すように、露光装置チャンバー4内での温度計測を行うことも可能である。この方法は、ロードロックチャンバー15内で温度低下したウエハ1を露光装置チャンバー4内に搬入してウエハステージ6のチャックに保持する直前で温調を行う、いわゆるポストヒートと呼ばれるものである。温度制御部31は、放射型温度センサ20の出力が目標温度になるように温調装置23の出力を制御する。
【0033】
上記いずれの場合も、ヒーター、ランプ等の温調装置23を用いて、ウエハ1の温度をコントロールする場合のブロック線図は図9に示すようになる。温度制御部31は、制御対象であるウエハ1の非接触温度計(放射型温度センサ)20の出力Tをフィードバックして、この温度とウエハ1の目標温度Tsとの偏差Teが0になるように、PID制御器50により温調装置23の出力を制御する。
【0034】
以上のように、ウエハの温度を非接触で計測する場合、ウエハ計測面の裏面側に加熱・冷却手段が配置されている場合であっても、ウエハと加熱・冷却手段との間に、両面に鏡面研磨された上述の金属遮蔽部材を配置することにより、又は母材は上述の金属ではないがその両面に上述の金属膜を形成して鏡面仕上げした遮蔽部材を配置することにより、ウエハ裏面の熱的影響を排除することができる。それにより、ウエハの精密な非接触温度計測が可能になる。そして、この温度計測結果に基づき、ウエハ温度を精度良くコントロールすることが可能になる。
【実施例2】
【0035】
以下、本発明の第2の実施例の非接触温度計測を説明する。本実施例においては、ウエハをウエハステージ上のウエハチャックに保持する前に温調を行う。
【0036】
図2は、本実施例に係る非接触温度計測を説明するための、計測対象としてのウエハ1近傍を示す概略構成図である。図中符号40はウエハを吸着、保持するための静電チャックであり、ウエハ1は多数のピン43によって保持されている。このピン43とウエハ1との接触面積はウエハ1全体の面積の数%以下であり、かつこれらは真空環境下にあるため、ウエハ1とウエハチャック40とは断熱に近い状態と考えてよい。したがって、ウエハ1はウエハチャック40との間の輻射エネルギーの授受により温度がコントロールされる。
【0037】
符号42はウエハ1の露光光の吸収による温度上昇を防ぐために、ウエハチャック40を温調する冷媒である。ウエハチャック40の冷却手段としては、これ以外にも様々な方法があり、例えば、ペルチェ素子を配置するような方法も考えられる。符号20は前実施例と同様のサーモパイルなど、赤外線エネルギーを検出する放射型温度センサ、21はその視野角を示している。
【0038】
符号41はウエハチャック40表面の特定箇所に設けられた赤外線エネルギー遮蔽部である。これはウエハ1のバックグランドであるウエハチャック40からの赤外線エネルギーがウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するのを防ぐためのものである。そして、その面積は放射型温度センサ20の視野角に相当する領域以上となっている。この赤外線エネルギー遮蔽部41のウエハチャック40上の配置の一例を図12に示す。符号70a,70b,70cは不図示の搬送ハンドがウエハ1をウエハチャック40に受け渡す際の3本ピンである。この例では、ウエハチャック40上の赤外線エネルギー遮蔽部41は1箇所であるが、ウエハ表面温度を複数点計測する場合には、図13に示すように、複数箇所(例えば4箇所)設けることも可能で、露光装置の仕様によって配置箇所とその個数はこれに限定されない。
【0039】
このようにウエハ温度を精密に計測するためには、赤外線エネルギー遮蔽部41としてウエハチャック40から放射されウエハ1に対して透過性のある296K付近の5〜10μm波長域の赤外線放射を極力小さくする金属を配置するか、又はウエハチャック40表面に蒸着すればよい。具体的には、第1の実施例と同様に、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄などで、ウエハ1側が鏡面仕上げになっているものが望ましい。鏡面仕上げをすることにより、296K付近での放射率を0.01〜0.02程度の範囲に抑えることが可能になる。また、これらの金属をウエハチャック40表面に蒸着し、鏡面を形成することも可能である。
【0040】
本実施例は、ウエハを露光装置内に搬入し、ウエハチャックに保持した後に温調を行うタイプの非接触温度計測に係るものである。具体的には、図10に示すように、ウエハ1はウエハチャック40に保持され、アライメント動作完了後に露光が開始され、全ショットの露光が完了すると、ウエハ1枚の露光が完了する。本実施例では、ウエハ1がウエハチャック40に保持され、露光が完了するまでのウエハ1の温度を非接触で計測することが可能である。ウエハ1を吸着保持するエハチャック40には、金属の赤外線遮蔽部材が組み込まれている。符号20は投影光学系の鏡筒部に組み込まれた非接触温度センサであり、XYステージ61により非接触温度センサ20の視野角内にウエハチャック40の赤外線遮蔽部を移動させることで、ウエハ1の温度を非接触で計測することが可能になる。31は温度制御部であり、温度センサ20の出力が目標温度になるように冷却手段の出力を制御する。
【0041】
本実施例における、冷媒、ペルチェ素子、等の冷却手段を用いたウエハ温度のコントロールをブロック線図に示すと図11に示すようになる。温度制御部31は、制御対象であるウエハ1の非接触温度計(放射型温度センサ)20の出力Tをフィードバックして、この温度とウエハの目標温度Tsとの偏差Teが0になるように、PID制御器50により冷却手段63の出力を制御する。
【0042】
以上のように、ウエハチャックに吸着、保持された状態のウエハにおいても、高精度な非接触温度計測と温度コントロールが可能になる。また、本実施例においては、ウエハチャック表面に上述の金属の遮蔽部材を配置することにより、又はウエハチャック表面に上述の金属を蒸着することにより、極めてシンプルな構成でウエハの温度計測及び温度コントロールが可能となる。
【実施例3】
【0043】
次に、図14及び図15を参照して、上記半導体露光装置を利用したデバイスの製造方法の実施の形態を説明する。図14は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ101(回路設計)ではデバイスの回路設計を行う。ステップ102(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ103(ウエハ製造)ではシリコンなどの材料を用いてウエハ(基板)を製造する。ステップ104(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ105(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ104によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ106(検査)では、ステップ105で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ107)される。
【0044】
図15は、ステップ104のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ111(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ112(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ113(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ114(イオン打ち込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ115(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ116(露光)では、露光装置Sによってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ117(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ118(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ119(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施の形態の製造方法によれば従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0046】
上記実施例によれば、ウエハの温度計測面(表面)側にウエハの赤外線放射エネルギーを検出する放射温度センサを配置し、ウエハの裏面側で、かつ放射温度センサと対向する位置に放射率が極めて小さい鏡面で構成された赤外線エネルギー遮蔽部を配置することにより、裏面側のバックグランド環境に影響されることなく、ウエハ温度を高精度に非接触に計測することが可能になる。その計測結果を温度コントロールに反映すれば、高精度な温度コントロールが可能になる。
【0047】
赤外線放射温度センサの視野角に相当する領域(全検出領域)内が赤外線エネルギー遮蔽部に覆われていれば、ウエハバックグランドに加熱、冷却手段が存在している場合であっても赤外線の迷光がセンサに入射することはない。また、赤外線エネルギー遮蔽部の放射率が極めて低いため、赤外線エネルギーの放射を極めて小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測を説明するためのウエハ近傍を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を説明するためのウエハ近傍を示す概略構成図である。
【図3】半導体露光装置の概略構成を示す要部構成図である。
【図4】296K付近の黒体放射の中心波長と放射エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図5】ウエハ近傍における熱の流れを説明するためのモデル図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の一例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の他の例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の更に他の例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測を説明するブロック線図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を説明するブロック線図である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるウエハチャック上の赤外線エネルギー遮蔽部の配置例を示す配置図である。
【図13】本発明の第2の実施例におけるウエハチャック上の赤外線エネルギー遮蔽部の配置の他の例を示す配置図である。
【図14】半導体露光装置によるデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図15】図14に示すステップ104の詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
20:放射型温度センサ
22,41:赤外線エネルギー遮蔽部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には温度計測装置に係り、特に真空雰囲気下で半導体ウエハを露光する半導体露光装置において、ウエハを温調する際に用いられる非接触式の温度計測装置及びそれを用いた露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、DRAM,MPU等の半導体デバイス製造に関して、デザインルールで0.1μm以下の線幅を有するデバイスの実現に向けて精力的に研究開発がなされている。この世代の半導体デバイス製造に用いられる露光装置は、その露光光にエレクトロンビーム(EB)、あるいは極端紫外域光(EUV)等が用いられると予測されている。EB露光装置、EUV露光装置では、大気中での露光は不可能になるため、真空中で露光を行うのが大きな特徴である。
【0003】
EB露光装置、EUV露光装置では露光動作が真空中で行われるため、ウエハの搬入、搬出にはロードロックチャンバーを介して行うことになる。露光装置のロードロックチャンバーは、大気圧下でウエハを受入れ、チャンバー内を真空排気した後、露光装置側の扉を開いて露光装置側にウエハを搬入する機能を有する。よってロードロック内が真空排気されると、内部ガスの断熱膨張によってガスの温度が低下し、それに伴いウエハの温度はチャンバーの大きさ、排気速度にもよるが露光装置の基準温度から数度低下する。
【0004】
また、一般にリソグラフィ工程のラインでは、ウエハにレジストを塗布した後にこれをベーキング(100〜200℃で数十分加熱)し、さらに冷却する前処理装置が、露光装置と連結されている。したがって、ここでの温調精度が不十分のままロードロックを介し、ウエハを露光装置内に搬入すると、ウエハが露光装置の基準温度範囲内に入らなくなる可能性がある。特に、ウエハがいったん真空チャンバー内に搬入されてしまうと、周辺雰囲気との熱伝導、熱伝達は期待できないため、基準温度からずれたままの状態を続けることになる。
【0005】
このように露光装置の基準温度範囲内に入っていない状態のウエハを、露光装置内に搬入し、ウエハチャックに保持させると、ウエハとチャックとの間の温度差により、アライメント動作中あるいは露光中に両者の温度が平衡に達するまでウエハがチャック上を滑りながら膨張又は収縮してしまう。一般に滑り摩擦は非線型な挙動なので、あらかじめ変形の挙動を予測してアライメント計測値や目標ショット座標等を補正することは非常に困難である。したがって、この状態のまま露光を行なった場合、大きな配列誤差が生じてしまうことになる。
【0006】
従来より、このような問題への対策としてロードロックチャンバー内にウエハを温調する機構を設けた提案がなされている。例えば、赤外線ランプで加熱する方法、ウエハを2つの恒温板で挟んで熱伝導で温調する方法、あるいはロードロック内のウエハ保持機構に温調機能を設ける方法等である。また、露光装置内のウエハステージとは別にウエハを温調する専用の温調ポートを設ける方法も提案されている。
【0007】
ウエハは露光装置内に搬入されウエハステージ上のチャックに吸着、保持されてから露光光の照射を受ける。そのエネルギーの一部がウエハに吸収されてしまうとウエハは温度上昇する。真空環境下では、ウエハの周辺雰囲気への放熱が期待できないため、温度上昇しやすい傾向にある。また、真空環境下では静電チャックを用いるが、この静電チャックは通電した際に発熱の問題があり、これもウエハの温度上昇を引き起こす原因になる。ウエハがウエハチャックに保持されてから温度上昇する場合も、前述の場合と同様にウエハとチャックとの間に温度差が生じるため、露光中に両者の温度が平衡に達するまで、ウエハがチャック上を滑りながら膨張してしまうという問題を発生する。
【0008】
この問題への対策として、ウエハチャックにウエハを温調する機能を設けた方法が多数提案されている。例えば、特許文献1〜3に記載されているような方法であり、具体的には、ウエハチャック間に温調されたガスを流す方法、ウエハチャック内にペルチェ素子を組み込んで温調する方法、あるいはウエハチャック内に配管を巡らせ、そこに温調された気体や液体を循環させる方法等である。
【特許文献1】特開平09-092613号公報(主に、図4や段落0055〜0056の記載)
【特許文献2】特開平11-026370号公報
【特許文献3】特開2002-305238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ウエハ温調に関しては、温調する箇所に応じてさまざまな方法が提案されているが、いずれもウエハを温調する際のウエハ温度計測に関しては不十分なものであった。ウエハ温度計測には接触式、非接触式の2つの温度計測方法がある。接触式温度計測の場合、センサ部がウエハに接触することがパーティクルの発生につながるという問題点がある。さらに、接触式なので接触界面での熱抵抗を常に一定に保つことは困難であり、正確な計測が不可能になったり、温度計の熱容量によってはウエハ面内に温度分布が生じたりする、という問題も生ずる。
【0010】
非接触温度計測の場合、通常は放射温度計を用いる。放射温度計は、赤外線の放射エネルギーを検知して、それを温度に換算するものである。露光装置の基準温度である296K付近の黒体放射の中心波長は図4からもわかるように5〜15μmである。しかし、シリコンは5〜10μmの波長域においては透過性を有している。例えば、厚さ0.725mmのシリコンウエハでは、波長5〜10μmの光の平均透過率は0.8〜0.9程度になる。したがって、何ら対策せずに放射温度計でシリコンウエハの温度を計測すると、ウエハの計測面(以下、第一面という。)からの放射エネルギーと、その反対面(以下、第二面という。)側のバックグランド環境からの放射エネルギーとが合計されたものになってしまい、ウエハの精密温度計測が困難になってしまう。
【0011】
この対策のために、ウエハの第二面側にバックグランド環境の赤外線をカットするバンドカットフィルタを設け、放射温度計の計測波長を避ける、という方法も考えられる。しかし、このフィルタが温度変動した場合は、やはりウエハの温度計測結果に合計されたものになってしまう、という問題を有する。また、放射温度計の赤外線入射窓にバックグランド環境の影響を排除するようなフィルタを用いることも可能であるが、放射エネルギー強度が弱くなり、SN比が悪くなってしまう、という問題もある。
【0012】
そこで、本発明は、極めて簡単な構成でウエハの精密温度計測を非接触で行う温度計測装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としての温度計測装置は、基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の別の側面としての露光装置は、露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、レチクルを駆動するレチクル駆動系と、レチクル上のパターンを基板上へ投影する投影光学系と、基板を駆動する基板駆動系と、上述の温度計測装置を有することを特徴とする。本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上記の露光装置によって基板にパターンを投影露光する工程と、露光された基板を現像する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態により明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板表面以外から受ける赤外線を減少させることができるため、基板の温度を高精度に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず本実施例の温度計測装置を有する露光装置について図面を用いて説明する。図3は、EUV光(13〜15nmの波長の光)を露光光源とする半導体投影露光装置(EUV露光装置)の概略構成を示す要部構成図である。図3において、符号1はウエハ、符号2は電子回路パターンが形成されている反射型マスク(レチクル)で、符号3はその反射型マスクを保持し、スキャン方向に粗微動させるためのマスクステージである。符号5は反射型マスク2からのEUV反射光をウエハ1に投影露光するための投影光学系である。符号6はウエハ1を保持して6軸方向に粗動、微動可能なウエハステージであり、そのxy位置は不図示のレーザ干渉計によって常にモニターされている。通常、マスクステージ3及びウエハステージ6のスキャン動作は、投影光学系5の縮小倍率を1/βとし、マスクステージの走査速度をVr、ウエハステージの走査速度をVwとすると、両者の走査速度の間には、Vr/Vw=βの関係が成立するように同期制御される。
【0018】
符号8はロードロックチャンバー15とウエハ温調ポート16との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドで、符号18はウエハ温調ポート16とウエハステージ6との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドである。前述したユニットは露光装置チャンバー4の中に配置され、その露光装置チャンバー4内が真空にされて露光が行われる。符号7はチャンバー内を真空排気するための真空ポンプである。符号9はロードロックチャンバー15内を真空排気するための真空ポンプ、符号10はロードロックチャンバー15内の真空状態を大気圧に戻すための真空破壊バルブ、符号11は露光装置チャンバー4とロードロックチャンバー15との間を仕切る装置側ゲートバルブ、符号12はロードロックチャンバー15と後述するウエハ交換室との間を仕切る交換室側ゲートバルブである。符号14はウエハを大気圧下で一時保管するウエハ交換室であり、符号13はウエハ交換室14とロードロックチャンバー15との間でウエハを搬入、搬出する搬送ハンドである。
【0019】
露光装置内で、ウエハを温調する方式は、大きく2つのタイプに分けられる。一方はウエハをウエハステージのチャックに保持する前に温調を行うタイプであり、他方はウエハをチャックに保持した後に温調を行うタイプである。前者は主にロードロック内温度変動やプリベイク後の温調精度に対応するものであり、後者は主にウエハの露光熱吸収に対応するものである。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の第1の実施例の非接触温度計測を説明する。本実施例においては、ウエハをウエハチャックに保持する前に温調を行う。
【0021】
図1は、本実施例に係る非接触温度計測を説明するための、計測対象としてのウエハ1近傍を示す概略構成図である。ロードロックチャンバー15を経たウエハ1の温度は装置基準温度よりも低いので、その温度低下を補償するためにホットプレート、ランプ等の温調装置23によりウエハ1が加熱されるようになっている。符号20はサーモパイル等の赤外線エネルギーを検出する放射型温度センサであり、符号21はその視野角を示している。符号22は赤外線エネルギー遮蔽部であり、温調装置23からの赤外線がウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するの防ぐためのものである。そして、赤外線エネルギー遮蔽部22が放射型温度センサ20の視野角21に相当する領域以上の面積を有することにより、温調装置20からの赤外線の迷光を遮蔽することが可能となっている。したがって、ウエハ1の温度を精密に計測するための赤外線エネルギー遮蔽部22としては、温調装置23から放射され、ウエハ1に対して透過性のある296K付近の波長5〜10μmの波長域の赤外線を良好に反射し、かつ、赤外線エネルギー遮蔽部22からのこの波長域の熱放射も極力小さくなるものを配置すればよい。具体的には、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄等を材料として両面が鏡面仕上げになっているものが望ましい。鏡面仕上げをすることにより、296K付近での放射率を0.01〜0.02程度の範囲に抑えることが可能になる。以下、モデルを用いて説明する。
【0022】
図5のように放射型温度センサ20、測定対象としてのウエハ1、ウエハ1の裏面側に配置されたバックグランド部材121からなる1次元の簡単なケースを考える。ウエハ1が5〜10μmの波長域で透過性があるので、放射型温度センサ20に入射するエネルギーQ[W/m2]はウエハ1からの放射エネルギーq1とバックグランド部材121からの放射エネルギーq2との線形結合、
【0023】
【数1】
【0024】
で表現できる。ここでa,bは比例係数であるが、aはウエハ1から放射型温度センサ20に入射するまでの透過率、bはバックグランド部材121からウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するまでの透過率と考えてよい。
【0025】
q1,q2は、各表面からの放射エネルギーであって、
【0026】
【数2】
【0027】
と表現できる。ここでε1、ε2はそれぞれウエハ1とバックグランド部材121の放射率、σはステファンボルツマン定数(σ=5.67E−8W/m2K4)、T1、T2はそれぞれウエハ1とバックグランド部材121の表面温度である。式(1)及び式(2)をまとめると、
【0028】
【数3】
【0029】
となる。したがって、放射型温度センサ20に入射するエネルギーQからバックグランド部材121の影響を排除するためには、放射率ε2ができるだけ小さくなるような方法をとり、ウエハ温度計測値がT2の温度変動に鈍感な構成にすればよい。それを実現するために、ウエハ1とバックグランド部材121との間に、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄などを鏡面仕上げした部材を挿入するか、あるいはバックグランド部材121表面に、これらの金属を直接蒸着することが望ましい。
【0030】
本実施例では、ウエハ1をウエハステージ6のチャックに保持する前に、温調を行うタイプにおけるウエハ1の非接触温度計測である。具体的には、図6に示すように、ウエハ1をロードロックチャンバー15に搬入する前にウエハ1の温度を計測し、ロードロックチャンバー15内での温度低下量を予測して予めウエハ1を加熱しておく、いわゆるプレヒートの場合に本実施例は適用可能である。図6中、符号1はウエハであり、ウエハ1を挟むようにして放射型温度センサ20と赤外線エネルギー遮蔽部22とが対向して配置されている。符号23は例えばヒーター等の温調装置、符号31は温度制御部であり、放射型温度センサ20の出力が目標温度となるように温調装置23の出力を制御する。
【0031】
また、図7に示すように、ロードロックチャンバー15内で温度計測を行うことも可能である。ウエハ1の温調装置23をロードロックチャンバー15内に配置し、真空排気中にウエハ1の温度を放射型温度センサ20で非接触温度計測し、その結果に基づいて温調装置23で必要な熱量を加えて、ウエハ1の温度低下を補償する。温度制御部31は、放射型温度センサ20の出力が目標温度になるように温調装置23の出力を制御する。
【0032】
さらに、図8に示すように、露光装置チャンバー4内での温度計測を行うことも可能である。この方法は、ロードロックチャンバー15内で温度低下したウエハ1を露光装置チャンバー4内に搬入してウエハステージ6のチャックに保持する直前で温調を行う、いわゆるポストヒートと呼ばれるものである。温度制御部31は、放射型温度センサ20の出力が目標温度になるように温調装置23の出力を制御する。
【0033】
上記いずれの場合も、ヒーター、ランプ等の温調装置23を用いて、ウエハ1の温度をコントロールする場合のブロック線図は図9に示すようになる。温度制御部31は、制御対象であるウエハ1の非接触温度計(放射型温度センサ)20の出力Tをフィードバックして、この温度とウエハ1の目標温度Tsとの偏差Teが0になるように、PID制御器50により温調装置23の出力を制御する。
【0034】
以上のように、ウエハの温度を非接触で計測する場合、ウエハ計測面の裏面側に加熱・冷却手段が配置されている場合であっても、ウエハと加熱・冷却手段との間に、両面に鏡面研磨された上述の金属遮蔽部材を配置することにより、又は母材は上述の金属ではないがその両面に上述の金属膜を形成して鏡面仕上げした遮蔽部材を配置することにより、ウエハ裏面の熱的影響を排除することができる。それにより、ウエハの精密な非接触温度計測が可能になる。そして、この温度計測結果に基づき、ウエハ温度を精度良くコントロールすることが可能になる。
【実施例2】
【0035】
以下、本発明の第2の実施例の非接触温度計測を説明する。本実施例においては、ウエハをウエハステージ上のウエハチャックに保持する前に温調を行う。
【0036】
図2は、本実施例に係る非接触温度計測を説明するための、計測対象としてのウエハ1近傍を示す概略構成図である。図中符号40はウエハを吸着、保持するための静電チャックであり、ウエハ1は多数のピン43によって保持されている。このピン43とウエハ1との接触面積はウエハ1全体の面積の数%以下であり、かつこれらは真空環境下にあるため、ウエハ1とウエハチャック40とは断熱に近い状態と考えてよい。したがって、ウエハ1はウエハチャック40との間の輻射エネルギーの授受により温度がコントロールされる。
【0037】
符号42はウエハ1の露光光の吸収による温度上昇を防ぐために、ウエハチャック40を温調する冷媒である。ウエハチャック40の冷却手段としては、これ以外にも様々な方法があり、例えば、ペルチェ素子を配置するような方法も考えられる。符号20は前実施例と同様のサーモパイルなど、赤外線エネルギーを検出する放射型温度センサ、21はその視野角を示している。
【0038】
符号41はウエハチャック40表面の特定箇所に設けられた赤外線エネルギー遮蔽部である。これはウエハ1のバックグランドであるウエハチャック40からの赤外線エネルギーがウエハ1を透過して放射型温度センサ20に入射するのを防ぐためのものである。そして、その面積は放射型温度センサ20の視野角に相当する領域以上となっている。この赤外線エネルギー遮蔽部41のウエハチャック40上の配置の一例を図12に示す。符号70a,70b,70cは不図示の搬送ハンドがウエハ1をウエハチャック40に受け渡す際の3本ピンである。この例では、ウエハチャック40上の赤外線エネルギー遮蔽部41は1箇所であるが、ウエハ表面温度を複数点計測する場合には、図13に示すように、複数箇所(例えば4箇所)設けることも可能で、露光装置の仕様によって配置箇所とその個数はこれに限定されない。
【0039】
このようにウエハ温度を精密に計測するためには、赤外線エネルギー遮蔽部41としてウエハチャック40から放射されウエハ1に対して透過性のある296K付近の5〜10μm波長域の赤外線放射を極力小さくする金属を配置するか、又はウエハチャック40表面に蒸着すればよい。具体的には、第1の実施例と同様に、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄などで、ウエハ1側が鏡面仕上げになっているものが望ましい。鏡面仕上げをすることにより、296K付近での放射率を0.01〜0.02程度の範囲に抑えることが可能になる。また、これらの金属をウエハチャック40表面に蒸着し、鏡面を形成することも可能である。
【0040】
本実施例は、ウエハを露光装置内に搬入し、ウエハチャックに保持した後に温調を行うタイプの非接触温度計測に係るものである。具体的には、図10に示すように、ウエハ1はウエハチャック40に保持され、アライメント動作完了後に露光が開始され、全ショットの露光が完了すると、ウエハ1枚の露光が完了する。本実施例では、ウエハ1がウエハチャック40に保持され、露光が完了するまでのウエハ1の温度を非接触で計測することが可能である。ウエハ1を吸着保持するエハチャック40には、金属の赤外線遮蔽部材が組み込まれている。符号20は投影光学系の鏡筒部に組み込まれた非接触温度センサであり、XYステージ61により非接触温度センサ20の視野角内にウエハチャック40の赤外線遮蔽部を移動させることで、ウエハ1の温度を非接触で計測することが可能になる。31は温度制御部であり、温度センサ20の出力が目標温度になるように冷却手段の出力を制御する。
【0041】
本実施例における、冷媒、ペルチェ素子、等の冷却手段を用いたウエハ温度のコントロールをブロック線図に示すと図11に示すようになる。温度制御部31は、制御対象であるウエハ1の非接触温度計(放射型温度センサ)20の出力Tをフィードバックして、この温度とウエハの目標温度Tsとの偏差Teが0になるように、PID制御器50により冷却手段63の出力を制御する。
【0042】
以上のように、ウエハチャックに吸着、保持された状態のウエハにおいても、高精度な非接触温度計測と温度コントロールが可能になる。また、本実施例においては、ウエハチャック表面に上述の金属の遮蔽部材を配置することにより、又はウエハチャック表面に上述の金属を蒸着することにより、極めてシンプルな構成でウエハの温度計測及び温度コントロールが可能となる。
【実施例3】
【0043】
次に、図14及び図15を参照して、上記半導体露光装置を利用したデバイスの製造方法の実施の形態を説明する。図14は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ101(回路設計)ではデバイスの回路設計を行う。ステップ102(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ103(ウエハ製造)ではシリコンなどの材料を用いてウエハ(基板)を製造する。ステップ104(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ105(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ104によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ106(検査)では、ステップ105で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ107)される。
【0044】
図15は、ステップ104のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ111(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ112(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ113(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ114(イオン打ち込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ115(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ116(露光)では、露光装置Sによってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ117(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ118(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ119(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施の形態の製造方法によれば従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0046】
上記実施例によれば、ウエハの温度計測面(表面)側にウエハの赤外線放射エネルギーを検出する放射温度センサを配置し、ウエハの裏面側で、かつ放射温度センサと対向する位置に放射率が極めて小さい鏡面で構成された赤外線エネルギー遮蔽部を配置することにより、裏面側のバックグランド環境に影響されることなく、ウエハ温度を高精度に非接触に計測することが可能になる。その計測結果を温度コントロールに反映すれば、高精度な温度コントロールが可能になる。
【0047】
赤外線放射温度センサの視野角に相当する領域(全検出領域)内が赤外線エネルギー遮蔽部に覆われていれば、ウエハバックグランドに加熱、冷却手段が存在している場合であっても赤外線の迷光がセンサに入射することはない。また、赤外線エネルギー遮蔽部の放射率が極めて低いため、赤外線エネルギーの放射を極めて小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測を説明するためのウエハ近傍を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を説明するためのウエハ近傍を示す概略構成図である。
【図3】半導体露光装置の概略構成を示す要部構成図である。
【図4】296K付近の黒体放射の中心波長と放射エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図5】ウエハ近傍における熱の流れを説明するためのモデル図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の一例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の他の例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測の更に他の例を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る非接触温度計測を説明するブロック線図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を適用する半導体露光装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る非接触温度計測を説明するブロック線図である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるウエハチャック上の赤外線エネルギー遮蔽部の配置例を示す配置図である。
【図13】本発明の第2の実施例におけるウエハチャック上の赤外線エネルギー遮蔽部の配置の他の例を示す配置図である。
【図14】半導体露光装置によるデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図15】図14に示すステップ104の詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
20:放射型温度センサ
22,41:赤外線エネルギー遮蔽部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、
前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
前記基板を温調するための温調装置を有しており、
前記放射エネルギー遮蔽部が、該温調装置から放射される放射エネルギーのうち前記検出器に到達する量を減少させるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の温度計測装置。
【請求項3】
前記検出器が非接触放射温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項4】
前記検出器からの検出結果に基づいて、前記基板の温度を制御する温度制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項5】
前記赤外線エネルギー遮蔽部の表面が鏡面であることを特徴とする請求項3に記載の温度計測装置。
【請求項6】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が前記検出器の全検出領域を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項7】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくともいずれか1つの金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項8】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が、その母材にアルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくともいずれか1つの金属を蒸着したもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項9】
露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、
該レチクルを駆動するレチクル駆動系と、
前記レチクル上のパターンを前記基板上へ投影する投影光学系と、
該基板を駆動する基板駆動系と、
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の温度計測装置を有することを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置によって前記基板にパターンを投影露光する工程と、
投影露光された前記基板に所定のプロセスを行う工程とを有するデバイスの製造方法。
【請求項1】
基板の表面から放射される放射エネルギーを検出する検出器と、
前記基板の裏面側に配置され、前記基板以外の部材から前記検出器に到達する放射エネルギーを減少させる放射エネルギー遮蔽部と、を有することを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
前記基板を温調するための温調装置を有しており、
前記放射エネルギー遮蔽部が、該温調装置から放射される放射エネルギーのうち前記検出器に到達する量を減少させるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の温度計測装置。
【請求項3】
前記検出器が非接触放射温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項4】
前記検出器からの検出結果に基づいて、前記基板の温度を制御する温度制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項5】
前記赤外線エネルギー遮蔽部の表面が鏡面であることを特徴とする請求項3に記載の温度計測装置。
【請求項6】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が前記検出器の全検出領域を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項7】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくともいずれか1つの金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項8】
前記赤外線エネルギー遮蔽部が、その母材にアルミニウム、金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マグネシウム合金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくともいずれか1つの金属を蒸着したもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項9】
露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、
該レチクルを駆動するレチクル駆動系と、
前記レチクル上のパターンを前記基板上へ投影する投影光学系と、
該基板を駆動する基板駆動系と、
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の温度計測装置を有することを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の露光装置によって前記基板にパターンを投影露光する工程と、
投影露光された前記基板に所定のプロセスを行う工程とを有するデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−105789(P2006−105789A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293047(P2004−293047)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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