温度計測装置
【課題】高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測する。
【解決手段】高温高圧環境下にある観察対象物の2次元画像を、冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1により伝送し、この伝送された2次元画像から波長フィルタ2により近赤外領域の光を取り出し、近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3で撮像する。画像処理部5は、CCDカメラ3により得られる輝度値を温度に変換し、観察対象物の2次元温度分布を表示するための2次元温度分布画像を生成してモニタ6に表示する。
【解決手段】高温高圧環境下にある観察対象物の2次元画像を、冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1により伝送し、この伝送された2次元画像から波長フィルタ2により近赤外領域の光を取り出し、近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3で撮像する。画像処理部5は、CCDカメラ3により得られる輝度値を温度に変換し、観察対象物の2次元温度分布を表示するための2次元温度分布画像を生成してモニタ6に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元の温度分布を計測して表示する温度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温高圧環境下のボイラー等で炉内の情報を二次元で取得するためには、石英系イメージファイバを用いた耐圧型プローブ構造を有するファイバスコープが用いられていた(例えば、特許文献1参照)。このようなファイバスコープを冷却管と組み合わせて炉壁等に設置し、可視画像を取得することで、炉内を観察、監視していた。
【特許文献1】実開平6−4725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように耐圧構造のファイバスコープを用いることで、高温高圧環境下の炉内を可視画像で観察することはできるが、炉内の2次元の温度分布を知ることはできない。また、サーモビュア等は高温高圧環境下では用いることができない。このため、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる装置が要望されていた。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる温度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち可視領域の光を反射し、所定波長以上の近赤外光を透過させる波長フィルタと、この波長フィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の温度計測装置は、前記波長フィルタで反射された前記可視領域の光を撮像する可視画像撮像手段をさらに備え、前記画像処理手段は、前記可視画像撮像手段で撮像された可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像が入射される所定位置へ着脱可能に挿入され、前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタの前記所定位置への着脱の切り替えを行うフィルタ駆動手段と、前記バンドパスフィルタが前記所定位置に挿入されているときに前記バンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成するとともに、前記バンドパスフィルタが前記所定位置から離脱しているときに前記画像伝送手段により伝送された前記2次元画像を撮像して可視画像信号を生成する撮像手段と、前記撮像手段で前記近赤外光を撮像して生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成し、前記撮像手段で前記2次元画像を撮像して生成された前記可視画像信号を画像化した可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を出力する画像処理手段と、この画像処理手段からの前記可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、耐圧構造を有し、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有する耐圧ファイバスコープからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、耐圧構造を有する耐圧ボアスコープからなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の温度計測装置は、前記画像伝送手段を収納して前記画像伝送手段を冷却する冷却管をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温度計測装置によれば、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段の伝送光から近赤外領域の光を取り出し、近赤外領域に感度を有する撮像手段で撮像して得られる輝度値を温度に変換することで、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。図1に示すように本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する耐圧ファイバスコープ1と、耐圧ファイバスコープ1により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に取り出す波長フィルタ2と、波長フィルタ2を透過した近赤外光を撮像して輝度信号を生成するCCDカメラ3と、CCDカメラ3から出力される輝度信号をA/D変換するA/D変換部4と、A/D変換部4から輝度データを受け取り、得られた輝度値を温度に変換して観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成するパーソナルコンピュータ(PC)等により構成される画像処理部5と、画像処理部5で生成された温度分布表示画像を表示するモニタ6と、耐圧ファイバスコープ1を収納してこれを冷却する冷却管7とを備える。
【0016】
図2はファイバスコープを示す構成図、図3は耐圧ファイバスコープ1の構成を示す断面図である。図2に示すように、ファイバスコープ10は、画像を伝送する石英系イメージファイバ11と、石英系イメージファイバ11の一端面に観察対象物の画像を結像させる対物レンズ12と、石英系イメージファイバ11の他端面側に設けられた接眼レンズ13とを備える。対物レンズ12および接眼レンズ13は、単レンズを複数枚組み合わせた光学系により構成される。
【0017】
耐圧ファイバスコープ1は、図3に示すように、例えばステンレスからなる円筒状の耐圧プローブ14を備える。耐圧プローブ14は、その外周に設けられたフランジ部15を有する。
【0018】
耐圧プローブ14の内部には図2に示したファイバスコープ10の対物レンズ12側が挿入され、耐圧プローブ14の先端に形成された開口には、サファイア等の透明硬質材料からなる耐圧窓16がロウ付けにより固着されている。耐圧窓16は、耐圧プローブ14の開口を完全に覆って耐圧プローブ14内を気密に保っている。
【0019】
また、耐圧プローブ14の後端側には、石英系イメージファイバ11が挿通された状態で耐圧プローブ14に挿入され、気密耐圧構造をとるダム部17が設けられている。ダム部17は耐圧窓16の耐圧が破壊されたときのバックアップとして機能する。
【0020】
また、耐圧プローブ14の後端側には、例えばステンレスのフレキシブルチューブからなる外装管18の先端が突き合わされて固定されている。外装管18は内部の石英系イメージファイバ11が外力を受けることを防止するものである。また、外装管18の後端側には、接眼レンズ13を保持する円筒状の接眼部19が接続されている。
【0021】
図4(a)は石英系イメージファイバ11の構造を示す断面図、図4(b)は図4(a)に示す石英系イメージファイバ11におけるコア配列を示す拡大図である。
【0022】
石英系イメージファイバ11は、図4(a)に示すように、石英ガラスからなるイメージサークル11aと、このイメージサークル11aの外周を覆うように設けられた石英ガラスジャケット11bと、さらにこの石英ガラスジャケット11bの外周を覆うように設けられた樹脂製のコーティング11cとから構成されている。
【0023】
イメージサークル11aは、図4(b)に示すように、多数のコア11dと、それらを囲む共通のクラッド11eとからなる。この多数のコア11dの1つずつが独立に光を伝送するので、これらのコア11dの各々が石英系イメージファイバ11の画素となる。
【0024】
図5に石英系イメージファイバ11の伝送特性を示す。図5に示すように石英系イメージファイバ11は、可視領域から波長2μm程度の近赤外領域まで、良好な透過特性を有している。
【0025】
波長フィルタ2は、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に透過させ、可視領域の光を反射する。図6は第1の実施の形態で用いる波長フィルタ2の波長特性を示す図であり、波長フィルタ2に対する入射角度が0°の場合と45°の場合の波長特性を示している。図6に示すように波長フィルタ2は、およそ800nm以上の波長の近赤外光を透過させる。
【0026】
CCDカメラ3としては、近赤外領域に感度特性を有し、かつS/N比が50dB以上の高ダイナミックレンジのものが用いられる。図7は第1の実施の形態で用いるCCDカメラ3の波長感度特性を示す図であり、図7に示すようにCCDカメラ3は、およそ800nm以上の近赤外領域に感度特性を有する。
【0027】
図8は冷却管7の構成を示す断面図である。冷却管7は2重管構造の中空円筒体であって、外壁板71と内壁板72との間に円筒状の仕切板73が設けられている。この仕切板73で区分された内側空間74に、仕切板73に設けられた注水口75から冷却水が供給される。冷却水は内側空間74を通って冷却管先端に達しそこで折り返して外側空間76に入り、外側空間76を通って外壁板71に設けられた排水口77から外部に排出される。この冷却水により冷却管7の内部が冷却される。
【0028】
内壁板72の内側の空間には耐圧ファイバスコープ1が挿入され、内壁板72の後端側外周に設けられたフランジ部78と耐圧ファイバスコープ1のフランジ部15とを接続して固定している。
【0029】
外壁板71の外周にはフランジ部79が設けられている。冷却管7はボイラー等の炉壁に設けられた貫通穴に挿入され、フランジ部79により炉壁に固定される。
【0030】
冷却管7の先端には開口部があり、その内側に設けられた壁に、耐圧ファイバスコープ1先端の耐圧窓16に対向して、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、サファイア等の透明硬質材料からなる窓80が設置されている。
【0031】
窓80の周辺にはパージガス噴出孔81が設けられている。観察対象である炉内の浮遊物が冷却管7の内部に侵入し、ファイバスコープ10の視野部分に付着することを防ぐため、内壁板72に設けられたパージガス流入口82から内壁板72の内側の空間にパージガスを供給し、パージガス噴出孔81から炉内に噴出させる。
【0032】
図1に示す温度計測装置は、ボイラー等の炉壁に設けられた貫通穴に挿入して設置される冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1を用いて、高温高圧環境下の炉内を2次元で温度計測する。
【0033】
物体からの熱放射は、近赤外線の電磁波(光)として放出される。この物体から放射される輻射エネルギーのスペクトルは、図9に示すように、温度によりその形が決まるものである。したがって、近赤外領域において、特定波長の光強度を計測できれば、計測した光強度から観察対象物の温度を推定することができる。
【0034】
図1に示す温度計測装置は、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により炉内の観察対象物の2次元画像を伝送する。石英系イメージファイバ11は、図5に示したように、可視領域から波長2μm程度の近赤外領域まで、良好な透過特性を有している。
【0035】
そして、波長フィルタ2により、石英系イメージファイバ11で伝送された2次元画像から、およそ800nm以上の近赤外光を選択的に透過させ、この波長フィルタ2を透過した画像をカメラレンズ3aによりCCDカメラ3に結像させる。
【0036】
近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3は、波長フィルタ2を透過した画像を撮像して輝度信号を出力する。CCDカメラ3からの輝度信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5に入力される。
【0037】
ここで、得られた近赤外光の強度(=輝度値)を、観察対象物の輻射エネルギーとみなすと、CCDカメラ3からの輝度信号は輝度値に応じて温度へ換算することができる。画像処理部5は、予め設定した輝度−温度換算データを用いて輝度値を温度に変換する。
【0038】
輝度−温度換算データを作成する手順について説明する。まず、図1に示す温度計測装置で放射率ε=1.0の標準黒体を観察し、標準黒体に設定された複数点の温度に対してCCDカメラ3の輝度を測定する。そして、得られたCCDカメラ3の輝度値に対して、それぞれ標準黒体の温度を割り当てる。そして、複数点の測定結果をつなげて輝度値−温度の相関をとる。
【0039】
このようにして得られた輝度−温度換算データの一例を図10に示す。画像処理部5は、このような輝度−温度換算データを予め記憶しており、この輝度−温度換算データを用いて、観察対象物を撮像して得られたCCDカメラ3の輝度値を温度に換算することができる。
【0040】
ここで、輝度値と温度との相関は観察対象物の放射率によって異なるため、実際に得られた輝度値を温度に換算する際には、標準黒体を用いて作成した輝度−温度換算データをそのまま用いることはできない。そこで、観察対象物のなかで、少なくとも1点、温度が既知の部位があれば、その部位の換算温度を既知の温度値に合わせることで校正を行う。この際、図10に示す輝度−温度換算データの曲線は、傾斜は変わらないため、全体を上下に移動して合わせ込みを行う。なお、温度が既知の部位の情報は、例えば観察対象物に設置された熱電対などの温度計測器から取得することができる。また、観察対象物の放射率が既知の場合は、その放射率を用いて輝度−温度換算の係数の補正を行い、温度を校正することができる。
【0041】
そして、画像処理部5は、温度に変換された輝度値に合わせて、グレースケール表示あるいは擬似カラー表示するための2次元温度分布画像を生成し、これをモニタ6に表示させる。
【0042】
第1の実施の形態に係る温度計測装置によりフレーム(炎)を観察して得られた2次元温度分布画像を図11に示す。図11は、得られた輝度値から温度に換算した結果を計測のフルスケール928℃〜2087℃の範囲で擬似カラー表示したものである。フレームの形状、温度分布に応じて2次元で温度計測表示ができていることがわかる。
【0043】
このように第1の実施の形態に係る温度計測装置によれば、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元画像を、冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1により伝送し、この伝送された2次元画像から波長フィルタ2により近赤外領域の光を選択的に取り出し、近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3で撮像して得られる輝度値を温度に変換することで、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測し、2次元温度分布画像を表示することができる。
【0044】
なお、上記第1の実施の形態では、耐圧構造を有する耐圧ファイバスコープ1と冷却管7とを組み合わせ、高温炉、高温高圧炉などの内部温度の計測を行う場合について説明したが、耐圧ファイバスコープ1や冷却管7を用いなくても、ファイバスコープ10を用いて上記説明と同様の処理を行うことで、赤外線カメラ(サーモビュア)を使用することができない狭窄部、放射線環境下、電磁波環境下等で温度計測を行うことができる。
【0045】
また、図3に示した耐圧ファイバスコープ1のファイバスコープ10を、図12に示したボアスコープ20に置き換えて耐圧ボアスコープを構成し、この耐圧ボアスコープを、図1に示す温度計測装置の耐圧ファイバスコープ1と置き換えてもよい。
【0046】
図12に示すようにボアスコープ20は、金属管からなる本体21の先端側に対物レンズ22、他端側に接眼レンズ23を備え、本体21内にレンズ24を所定間隔で共軸に配列したレンズ系25を備える。このようなボアスコープ20によっても、ファイバスコープ10と同様に、近赤外領域の光を含む2次元画像を伝送することができる。
【0047】
また、CCDカメラ3の替わりに、撮像部にビジコン(Vidicon)を用い、2μmを超える波長感度を有する近赤外用カメラを用いてもよい。このようなカメラは、撮像部が撮像管タイプであるために感度のダイナミックレンジが狭く、このため温度計測の対象範囲が狭くなる。しかし、図9から分かるように、長い波長の光を用いたほうが低温域まで計測できるため、低温域の温度計測を行う場合には適している。
【0048】
また、波長フィルタ2として、図6に示したような所定波長以上の光を透過させる特性を有するフィルタを用いる替わりに、図13,14に示すような、所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタを用いてもよい。図13は、900nmを中心波長とし、波長約880〜920nmの近赤外光を透過させるバンドパスフィルタの特性を示し、図14は、950nmを中心波長とし、波長約930〜970nmの近赤外光を透過させるバンドパスフィルタの特性を示している。
【0049】
第1の実施の形態に係る温度計測装置で温度計測に用いる近赤外光としては、波長が長く、かつ波長幅が狭いほうが波長対温度の対応がより正確になるため、図13,14に示すような特性を有するバンドパスフィルタを用いることにより、精度良く温度を計測することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
図15は本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。なお、図15に示す第2の実施の形態に係る温度計測装置の構成のうち図1に示す第1の実施の形態に係る温度計測装置の構成と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図15に示すように本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置は、図1に示す第1の実施の形態の温度計測装置に対し、耐圧ファイバスコープ1と波長フィルタ2との間に挿入され、耐圧ファイバスコープ1の伝送光が略45°の入射になるように配置された波長フィルタ8と、可視光を撮像して画像信号をA/D変換部4に出力する可視画像用のCCDカメラ9とを追加した構成である。
【0052】
波長フィルタ8は、波長フィルタ2と同様の波長特性を有しており、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に透過させる。また、波長フィルタ8は、耐圧ファイバスコープ1からの可視領域の光を反射してその光軸を90°折り曲げ、CCDカメラ9のカメラレンズ9aに入射させる。
【0053】
図6に示すように、入射角度が45°の場合には、入射角度が0°の場合よりもやや短い波長の光が透過するため、波長フィルタ8の後段の波長フィルタ2により、所定波長以上の近赤外領域の光をCCDカメラ3のカメラレンズ3aに入射させる。
【0054】
CCDカメラ3により近赤外光を撮像して得られる輝度値を用いて温度に換算し、2次元温度分布画像を表示する動作は第1の実施の形態と同様である。
【0055】
波長フィルタ8で反射された可視光は、カメラレンズ9aによりCCDカメラ9に結像される。CCDカメラ9は、波長フィルタ8で反射された可視光を撮像して画像信号を出力する。CCDカメラ9からの画像信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5によりモニタ6に表示される。
【0056】
なお、表示形式としては、2次元温度分布画像と可視画像の両方を同時にモニタ6に表示するようにしてもよいし、2次元温度分布画像と可視画像とを切り替えて一方を表示するようにしてもよい。
【0057】
第2の実施の形態によれば、温度計測用のCCDカメラ3に加えて可視画像用のCCDカメラ9を用いることで、1本の耐圧ファイバスコープ1により可視画像監視と2次元温度分布監視の両方を行うことができる。
【0058】
(第3の実施の形態)
図16は本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。なお、図16に示す第3の実施の形態に係る温度計測装置の構成のうち図1に示す第1の実施の形態に係る温度計測装置の構成と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図16に示すように本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置は、図1に示す第1の実施の形態の温度計測装置に対し、波長フィルタ2を省略し、バンドパスフィルタ31と、画像処理部5からの制御信号によりバンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行うフィルタ駆動ユニット32とを追加した構成である。
【0060】
バンドパスフィルタ31は、図13,14に示したような特性を有し、フィルタ駆動ユニット32により耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間の所定位置への挿入と離脱とを切り替え可能とする機構を用いて設置される。バンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行う機構としては、ソレノイドによりバンドパスフィルタ31を前後に移動させる機構や、回転盤にバンドパスフィルタ31を装着して定速で回転させる機構などが用いられる。
【0061】
バンドパスフィルタ31が耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間の所定位置に挿入されているときは、バンドパスフィルタ31を透過した所定波長領域の近赤外光がCCDカメラ3に取り込まれる。CCDカメラ3により近赤外光を撮像して得られる輝度値を用いて温度に換算し、2次元温度分布画像を表示する動作は第1の実施の形態と同様である。
【0062】
バンドパスフィルタ31が耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間に挿入されていないときは、耐圧ファイバスコープ1により伝送された観察対象物の可視画像がカメラレンズ3aによりCCDカメラ3に結像される。CCDカメラ3は観察対象物の可視画像を撮像して画像信号を出力し、CCDカメラ3からの画像信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5によりモニタ6に表示される。
【0063】
第3の実施の形態によれば、バンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行うことで、1台のCCDカメラ3により、バンドパスフィルタ31が挿入されているときは2次元温度分布監視を行い、バンドパスフィルタ31が挿入されていないときは可視画像監視を行うことができる。また、任意にバンドパスフィルタ31のON/OFFを切り替えて可視画像監視と2次元温度分布監視の両方を行うことも可能である。
【0064】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【図2】ファイバスコープを示す構成図である。
【図3】図1に示す温度計測装置における耐圧ファイバスコープの構成を示す断面図である。
【図4】(a)は石英系イメージファイバの構造を示す断面図、(b)は石英系イメージファイバにおけるコア配列を示す拡大図である。
【図5】石英系イメージファイバの伝送特性を示す図である。
【図6】図1に示す温度計測装置における波長フィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図7】図1に示す温度計測装置におけるCCDカメラの波長感度特性を示す図である。
【図8】図1に示す温度計測装置における冷却管の構成を示す断面図である。
【図9】温度に対する輻射エネルギーのスペクトルを示す図である。
【図10】輝度−温度換算データの一例を示す図である。
【図11】図1に示す温度計測装置によりフレーム(炎)を観察して得られた2次元温度分布画像を示す図である。
【図12】ボアスコープを示す構成図である。
【図13】バンドパスフィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図14】バンドパスフィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 耐圧ファイバスコープ
2,8 波長フィルタ
3,9 CCDカメラ
4 A/D変換部
5 画像処理部
6 モニタ
7 冷却管
10 ファイバスコープ
11 石英系イメージファイバ
20 ボアスコープ
31 バンドパスフィルタ
32 フィルタ駆動ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元の温度分布を計測して表示する温度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温高圧環境下のボイラー等で炉内の情報を二次元で取得するためには、石英系イメージファイバを用いた耐圧型プローブ構造を有するファイバスコープが用いられていた(例えば、特許文献1参照)。このようなファイバスコープを冷却管と組み合わせて炉壁等に設置し、可視画像を取得することで、炉内を観察、監視していた。
【特許文献1】実開平6−4725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように耐圧構造のファイバスコープを用いることで、高温高圧環境下の炉内を可視画像で観察することはできるが、炉内の2次元の温度分布を知ることはできない。また、サーモビュア等は高温高圧環境下では用いることができない。このため、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる装置が要望されていた。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる温度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち可視領域の光を反射し、所定波長以上の近赤外光を透過させる波長フィルタと、この波長フィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の温度計測装置は、前記波長フィルタで反射された前記可視領域の光を撮像する可視画像撮像手段をさらに備え、前記画像処理手段は、前記可視画像撮像手段で撮像された可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像が入射される所定位置へ着脱可能に挿入され、前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタの前記所定位置への着脱の切り替えを行うフィルタ駆動手段と、前記バンドパスフィルタが前記所定位置に挿入されているときに前記バンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成するとともに、前記バンドパスフィルタが前記所定位置から離脱しているときに前記画像伝送手段により伝送された前記2次元画像を撮像して可視画像信号を生成する撮像手段と、前記撮像手段で前記近赤外光を撮像して生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成し、前記撮像手段で前記2次元画像を撮像して生成された前記可視画像信号を画像化した可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を出力する画像処理手段と、この画像処理手段からの前記可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、耐圧構造を有し、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有する耐圧ファイバスコープからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の温度計測装置に係る前記画像伝送手段は、耐圧構造を有する耐圧ボアスコープからなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の温度計測装置は、前記画像伝送手段を収納して前記画像伝送手段を冷却する冷却管をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温度計測装置によれば、観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段の伝送光から近赤外領域の光を取り出し、近赤外領域に感度を有する撮像手段で撮像して得られる輝度値を温度に変換することで、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。図1に示すように本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置は、観察対象物の2次元画像を伝送する耐圧ファイバスコープ1と、耐圧ファイバスコープ1により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に取り出す波長フィルタ2と、波長フィルタ2を透過した近赤外光を撮像して輝度信号を生成するCCDカメラ3と、CCDカメラ3から出力される輝度信号をA/D変換するA/D変換部4と、A/D変換部4から輝度データを受け取り、得られた輝度値を温度に変換して観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成するパーソナルコンピュータ(PC)等により構成される画像処理部5と、画像処理部5で生成された温度分布表示画像を表示するモニタ6と、耐圧ファイバスコープ1を収納してこれを冷却する冷却管7とを備える。
【0016】
図2はファイバスコープを示す構成図、図3は耐圧ファイバスコープ1の構成を示す断面図である。図2に示すように、ファイバスコープ10は、画像を伝送する石英系イメージファイバ11と、石英系イメージファイバ11の一端面に観察対象物の画像を結像させる対物レンズ12と、石英系イメージファイバ11の他端面側に設けられた接眼レンズ13とを備える。対物レンズ12および接眼レンズ13は、単レンズを複数枚組み合わせた光学系により構成される。
【0017】
耐圧ファイバスコープ1は、図3に示すように、例えばステンレスからなる円筒状の耐圧プローブ14を備える。耐圧プローブ14は、その外周に設けられたフランジ部15を有する。
【0018】
耐圧プローブ14の内部には図2に示したファイバスコープ10の対物レンズ12側が挿入され、耐圧プローブ14の先端に形成された開口には、サファイア等の透明硬質材料からなる耐圧窓16がロウ付けにより固着されている。耐圧窓16は、耐圧プローブ14の開口を完全に覆って耐圧プローブ14内を気密に保っている。
【0019】
また、耐圧プローブ14の後端側には、石英系イメージファイバ11が挿通された状態で耐圧プローブ14に挿入され、気密耐圧構造をとるダム部17が設けられている。ダム部17は耐圧窓16の耐圧が破壊されたときのバックアップとして機能する。
【0020】
また、耐圧プローブ14の後端側には、例えばステンレスのフレキシブルチューブからなる外装管18の先端が突き合わされて固定されている。外装管18は内部の石英系イメージファイバ11が外力を受けることを防止するものである。また、外装管18の後端側には、接眼レンズ13を保持する円筒状の接眼部19が接続されている。
【0021】
図4(a)は石英系イメージファイバ11の構造を示す断面図、図4(b)は図4(a)に示す石英系イメージファイバ11におけるコア配列を示す拡大図である。
【0022】
石英系イメージファイバ11は、図4(a)に示すように、石英ガラスからなるイメージサークル11aと、このイメージサークル11aの外周を覆うように設けられた石英ガラスジャケット11bと、さらにこの石英ガラスジャケット11bの外周を覆うように設けられた樹脂製のコーティング11cとから構成されている。
【0023】
イメージサークル11aは、図4(b)に示すように、多数のコア11dと、それらを囲む共通のクラッド11eとからなる。この多数のコア11dの1つずつが独立に光を伝送するので、これらのコア11dの各々が石英系イメージファイバ11の画素となる。
【0024】
図5に石英系イメージファイバ11の伝送特性を示す。図5に示すように石英系イメージファイバ11は、可視領域から波長2μm程度の近赤外領域まで、良好な透過特性を有している。
【0025】
波長フィルタ2は、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に透過させ、可視領域の光を反射する。図6は第1の実施の形態で用いる波長フィルタ2の波長特性を示す図であり、波長フィルタ2に対する入射角度が0°の場合と45°の場合の波長特性を示している。図6に示すように波長フィルタ2は、およそ800nm以上の波長の近赤外光を透過させる。
【0026】
CCDカメラ3としては、近赤外領域に感度特性を有し、かつS/N比が50dB以上の高ダイナミックレンジのものが用いられる。図7は第1の実施の形態で用いるCCDカメラ3の波長感度特性を示す図であり、図7に示すようにCCDカメラ3は、およそ800nm以上の近赤外領域に感度特性を有する。
【0027】
図8は冷却管7の構成を示す断面図である。冷却管7は2重管構造の中空円筒体であって、外壁板71と内壁板72との間に円筒状の仕切板73が設けられている。この仕切板73で区分された内側空間74に、仕切板73に設けられた注水口75から冷却水が供給される。冷却水は内側空間74を通って冷却管先端に達しそこで折り返して外側空間76に入り、外側空間76を通って外壁板71に設けられた排水口77から外部に排出される。この冷却水により冷却管7の内部が冷却される。
【0028】
内壁板72の内側の空間には耐圧ファイバスコープ1が挿入され、内壁板72の後端側外周に設けられたフランジ部78と耐圧ファイバスコープ1のフランジ部15とを接続して固定している。
【0029】
外壁板71の外周にはフランジ部79が設けられている。冷却管7はボイラー等の炉壁に設けられた貫通穴に挿入され、フランジ部79により炉壁に固定される。
【0030】
冷却管7の先端には開口部があり、その内側に設けられた壁に、耐圧ファイバスコープ1先端の耐圧窓16に対向して、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、サファイア等の透明硬質材料からなる窓80が設置されている。
【0031】
窓80の周辺にはパージガス噴出孔81が設けられている。観察対象である炉内の浮遊物が冷却管7の内部に侵入し、ファイバスコープ10の視野部分に付着することを防ぐため、内壁板72に設けられたパージガス流入口82から内壁板72の内側の空間にパージガスを供給し、パージガス噴出孔81から炉内に噴出させる。
【0032】
図1に示す温度計測装置は、ボイラー等の炉壁に設けられた貫通穴に挿入して設置される冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1を用いて、高温高圧環境下の炉内を2次元で温度計測する。
【0033】
物体からの熱放射は、近赤外線の電磁波(光)として放出される。この物体から放射される輻射エネルギーのスペクトルは、図9に示すように、温度によりその形が決まるものである。したがって、近赤外領域において、特定波長の光強度を計測できれば、計測した光強度から観察対象物の温度を推定することができる。
【0034】
図1に示す温度計測装置は、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により炉内の観察対象物の2次元画像を伝送する。石英系イメージファイバ11は、図5に示したように、可視領域から波長2μm程度の近赤外領域まで、良好な透過特性を有している。
【0035】
そして、波長フィルタ2により、石英系イメージファイバ11で伝送された2次元画像から、およそ800nm以上の近赤外光を選択的に透過させ、この波長フィルタ2を透過した画像をカメラレンズ3aによりCCDカメラ3に結像させる。
【0036】
近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3は、波長フィルタ2を透過した画像を撮像して輝度信号を出力する。CCDカメラ3からの輝度信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5に入力される。
【0037】
ここで、得られた近赤外光の強度(=輝度値)を、観察対象物の輻射エネルギーとみなすと、CCDカメラ3からの輝度信号は輝度値に応じて温度へ換算することができる。画像処理部5は、予め設定した輝度−温度換算データを用いて輝度値を温度に変換する。
【0038】
輝度−温度換算データを作成する手順について説明する。まず、図1に示す温度計測装置で放射率ε=1.0の標準黒体を観察し、標準黒体に設定された複数点の温度に対してCCDカメラ3の輝度を測定する。そして、得られたCCDカメラ3の輝度値に対して、それぞれ標準黒体の温度を割り当てる。そして、複数点の測定結果をつなげて輝度値−温度の相関をとる。
【0039】
このようにして得られた輝度−温度換算データの一例を図10に示す。画像処理部5は、このような輝度−温度換算データを予め記憶しており、この輝度−温度換算データを用いて、観察対象物を撮像して得られたCCDカメラ3の輝度値を温度に換算することができる。
【0040】
ここで、輝度値と温度との相関は観察対象物の放射率によって異なるため、実際に得られた輝度値を温度に換算する際には、標準黒体を用いて作成した輝度−温度換算データをそのまま用いることはできない。そこで、観察対象物のなかで、少なくとも1点、温度が既知の部位があれば、その部位の換算温度を既知の温度値に合わせることで校正を行う。この際、図10に示す輝度−温度換算データの曲線は、傾斜は変わらないため、全体を上下に移動して合わせ込みを行う。なお、温度が既知の部位の情報は、例えば観察対象物に設置された熱電対などの温度計測器から取得することができる。また、観察対象物の放射率が既知の場合は、その放射率を用いて輝度−温度換算の係数の補正を行い、温度を校正することができる。
【0041】
そして、画像処理部5は、温度に変換された輝度値に合わせて、グレースケール表示あるいは擬似カラー表示するための2次元温度分布画像を生成し、これをモニタ6に表示させる。
【0042】
第1の実施の形態に係る温度計測装置によりフレーム(炎)を観察して得られた2次元温度分布画像を図11に示す。図11は、得られた輝度値から温度に換算した結果を計測のフルスケール928℃〜2087℃の範囲で擬似カラー表示したものである。フレームの形状、温度分布に応じて2次元で温度計測表示ができていることがわかる。
【0043】
このように第1の実施の形態に係る温度計測装置によれば、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元画像を、冷却管7に収納された耐圧ファイバスコープ1により伝送し、この伝送された2次元画像から波長フィルタ2により近赤外領域の光を選択的に取り出し、近赤外領域に感度を有するCCDカメラ3で撮像して得られる輝度値を温度に変換することで、高温高圧環境下にある観察対象物の2次元の温度分布を計測し、2次元温度分布画像を表示することができる。
【0044】
なお、上記第1の実施の形態では、耐圧構造を有する耐圧ファイバスコープ1と冷却管7とを組み合わせ、高温炉、高温高圧炉などの内部温度の計測を行う場合について説明したが、耐圧ファイバスコープ1や冷却管7を用いなくても、ファイバスコープ10を用いて上記説明と同様の処理を行うことで、赤外線カメラ(サーモビュア)を使用することができない狭窄部、放射線環境下、電磁波環境下等で温度計測を行うことができる。
【0045】
また、図3に示した耐圧ファイバスコープ1のファイバスコープ10を、図12に示したボアスコープ20に置き換えて耐圧ボアスコープを構成し、この耐圧ボアスコープを、図1に示す温度計測装置の耐圧ファイバスコープ1と置き換えてもよい。
【0046】
図12に示すようにボアスコープ20は、金属管からなる本体21の先端側に対物レンズ22、他端側に接眼レンズ23を備え、本体21内にレンズ24を所定間隔で共軸に配列したレンズ系25を備える。このようなボアスコープ20によっても、ファイバスコープ10と同様に、近赤外領域の光を含む2次元画像を伝送することができる。
【0047】
また、CCDカメラ3の替わりに、撮像部にビジコン(Vidicon)を用い、2μmを超える波長感度を有する近赤外用カメラを用いてもよい。このようなカメラは、撮像部が撮像管タイプであるために感度のダイナミックレンジが狭く、このため温度計測の対象範囲が狭くなる。しかし、図9から分かるように、長い波長の光を用いたほうが低温域まで計測できるため、低温域の温度計測を行う場合には適している。
【0048】
また、波長フィルタ2として、図6に示したような所定波長以上の光を透過させる特性を有するフィルタを用いる替わりに、図13,14に示すような、所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタを用いてもよい。図13は、900nmを中心波長とし、波長約880〜920nmの近赤外光を透過させるバンドパスフィルタの特性を示し、図14は、950nmを中心波長とし、波長約930〜970nmの近赤外光を透過させるバンドパスフィルタの特性を示している。
【0049】
第1の実施の形態に係る温度計測装置で温度計測に用いる近赤外光としては、波長が長く、かつ波長幅が狭いほうが波長対温度の対応がより正確になるため、図13,14に示すような特性を有するバンドパスフィルタを用いることにより、精度良く温度を計測することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
図15は本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。なお、図15に示す第2の実施の形態に係る温度計測装置の構成のうち図1に示す第1の実施の形態に係る温度計測装置の構成と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図15に示すように本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置は、図1に示す第1の実施の形態の温度計測装置に対し、耐圧ファイバスコープ1と波長フィルタ2との間に挿入され、耐圧ファイバスコープ1の伝送光が略45°の入射になるように配置された波長フィルタ8と、可視光を撮像して画像信号をA/D変換部4に出力する可視画像用のCCDカメラ9とを追加した構成である。
【0052】
波長フィルタ8は、波長フィルタ2と同様の波長特性を有しており、耐圧ファイバスコープ1の石英系イメージファイバ11により伝送された2次元画像から所定波長以上の近赤外領域の光を選択的に透過させる。また、波長フィルタ8は、耐圧ファイバスコープ1からの可視領域の光を反射してその光軸を90°折り曲げ、CCDカメラ9のカメラレンズ9aに入射させる。
【0053】
図6に示すように、入射角度が45°の場合には、入射角度が0°の場合よりもやや短い波長の光が透過するため、波長フィルタ8の後段の波長フィルタ2により、所定波長以上の近赤外領域の光をCCDカメラ3のカメラレンズ3aに入射させる。
【0054】
CCDカメラ3により近赤外光を撮像して得られる輝度値を用いて温度に換算し、2次元温度分布画像を表示する動作は第1の実施の形態と同様である。
【0055】
波長フィルタ8で反射された可視光は、カメラレンズ9aによりCCDカメラ9に結像される。CCDカメラ9は、波長フィルタ8で反射された可視光を撮像して画像信号を出力する。CCDカメラ9からの画像信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5によりモニタ6に表示される。
【0056】
なお、表示形式としては、2次元温度分布画像と可視画像の両方を同時にモニタ6に表示するようにしてもよいし、2次元温度分布画像と可視画像とを切り替えて一方を表示するようにしてもよい。
【0057】
第2の実施の形態によれば、温度計測用のCCDカメラ3に加えて可視画像用のCCDカメラ9を用いることで、1本の耐圧ファイバスコープ1により可視画像監視と2次元温度分布監視の両方を行うことができる。
【0058】
(第3の実施の形態)
図16は本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。なお、図16に示す第3の実施の形態に係る温度計測装置の構成のうち図1に示す第1の実施の形態に係る温度計測装置の構成と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図16に示すように本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置は、図1に示す第1の実施の形態の温度計測装置に対し、波長フィルタ2を省略し、バンドパスフィルタ31と、画像処理部5からの制御信号によりバンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行うフィルタ駆動ユニット32とを追加した構成である。
【0060】
バンドパスフィルタ31は、図13,14に示したような特性を有し、フィルタ駆動ユニット32により耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間の所定位置への挿入と離脱とを切り替え可能とする機構を用いて設置される。バンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行う機構としては、ソレノイドによりバンドパスフィルタ31を前後に移動させる機構や、回転盤にバンドパスフィルタ31を装着して定速で回転させる機構などが用いられる。
【0061】
バンドパスフィルタ31が耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間の所定位置に挿入されているときは、バンドパスフィルタ31を透過した所定波長領域の近赤外光がCCDカメラ3に取り込まれる。CCDカメラ3により近赤外光を撮像して得られる輝度値を用いて温度に換算し、2次元温度分布画像を表示する動作は第1の実施の形態と同様である。
【0062】
バンドパスフィルタ31が耐圧ファイバスコープ1とCCDカメラ3との間に挿入されていないときは、耐圧ファイバスコープ1により伝送された観察対象物の可視画像がカメラレンズ3aによりCCDカメラ3に結像される。CCDカメラ3は観察対象物の可視画像を撮像して画像信号を出力し、CCDカメラ3からの画像信号はA/D変換部4によりA/D変換された後、画像処理部5によりモニタ6に表示される。
【0063】
第3の実施の形態によれば、バンドパスフィルタ31の着脱切り替えを行うことで、1台のCCDカメラ3により、バンドパスフィルタ31が挿入されているときは2次元温度分布監視を行い、バンドパスフィルタ31が挿入されていないときは可視画像監視を行うことができる。また、任意にバンドパスフィルタ31のON/OFFを切り替えて可視画像監視と2次元温度分布監視の両方を行うことも可能である。
【0064】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【図2】ファイバスコープを示す構成図である。
【図3】図1に示す温度計測装置における耐圧ファイバスコープの構成を示す断面図である。
【図4】(a)は石英系イメージファイバの構造を示す断面図、(b)は石英系イメージファイバにおけるコア配列を示す拡大図である。
【図5】石英系イメージファイバの伝送特性を示す図である。
【図6】図1に示す温度計測装置における波長フィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図7】図1に示す温度計測装置におけるCCDカメラの波長感度特性を示す図である。
【図8】図1に示す温度計測装置における冷却管の構成を示す断面図である。
【図9】温度に対する輻射エネルギーのスペクトルを示す図である。
【図10】輝度−温度換算データの一例を示す図である。
【図11】図1に示す温度計測装置によりフレーム(炎)を観察して得られた2次元温度分布画像を示す図である。
【図12】ボアスコープを示す構成図である。
【図13】バンドパスフィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図14】バンドパスフィルタの波長特性の一例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る温度計測装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 耐圧ファイバスコープ
2,8 波長フィルタ
3,9 CCDカメラ
4 A/D変換部
5 画像処理部
6 モニタ
7 冷却管
10 ファイバスコープ
11 石英系イメージファイバ
20 ボアスコープ
31 バンドパスフィルタ
32 フィルタ駆動ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち可視領域の光を反射し、所定波長以上の近赤外光を透過させる波長フィルタと、
この波長フィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、
この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、
この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
前記波長フィルタで反射された前記可視領域の光を撮像する可視画像撮像手段をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記可視画像撮像手段で撮像された可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項3】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、
このバンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、
この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、
この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項4】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像が入射される所定位置へ着脱可能に挿入され、前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、
このバンドパスフィルタの前記所定位置への着脱の切り替えを行うフィルタ駆動手段と、
前記バンドパスフィルタが前記所定位置に挿入されているときに前記バンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成するとともに、前記バンドパスフィルタが前記所定位置から離脱しているときに前記画像伝送手段により伝送された前記2次元画像を撮像して可視画像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像手段で前記近赤外光を撮像して生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成し、前記撮像手段で前記2次元画像を撮像して生成された前記可視画像信号を画像化した可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を出力する画像処理手段と、
この画像処理手段からの前記可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項5】
前記画像伝送手段は、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項6】
前記画像伝送手段は、耐圧構造を有し、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有する耐圧ファイバスコープからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項7】
前記画像伝送手段は、耐圧構造を有する耐圧ボアスコープからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項8】
前記画像伝送手段を収納して前記画像伝送手段を冷却する冷却管をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の温度計測装置。
【請求項1】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち可視領域の光を反射し、所定波長以上の近赤外光を透過させる波長フィルタと、
この波長フィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、
この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、
この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
前記波長フィルタで反射された前記可視領域の光を撮像する可視画像撮像手段をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記可視画像撮像手段で撮像された可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
【請求項3】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、
このバンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成する撮像手段と、
この撮像手段で生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成する画像処理手段と、
この画像処理手段で生成された前記温度分布表示画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項4】
観察対象物の2次元画像を伝送する画像伝送手段と、
この画像伝送手段により伝送された前記2次元画像が入射される所定位置へ着脱可能に挿入され、前記2次元画像のうち所定波長領域の近赤外光を透過させるバンドパスフィルタと、
このバンドパスフィルタの前記所定位置への着脱の切り替えを行うフィルタ駆動手段と、
前記バンドパスフィルタが前記所定位置に挿入されているときに前記バンドパスフィルタを透過した前記近赤外光を撮像して輝度信号を生成するとともに、前記バンドパスフィルタが前記所定位置から離脱しているときに前記画像伝送手段により伝送された前記2次元画像を撮像して可視画像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像手段で前記近赤外光を撮像して生成された前記輝度信号により得られる輝度値を、予め設定した換算データを用いて温度に変換するとともに、変換により得られた温度に基づいて前記観察対象物の2次元温度分布を表示するための温度分布表示画像を生成し、前記撮像手段で前記2次元画像を撮像して生成された前記可視画像信号を画像化した可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を出力する画像処理手段と、
この画像処理手段からの前記可視画像または前記温度分布表示画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする温度計測装置。
【請求項5】
前記画像伝送手段は、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項6】
前記画像伝送手段は、耐圧構造を有し、画像伝送媒体として石英系イメージファイバを有する耐圧ファイバスコープからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項7】
前記画像伝送手段は、耐圧構造を有する耐圧ボアスコープからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置。
【請求項8】
前記画像伝送手段を収納して前記画像伝送手段を冷却する冷却管をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の温度計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図11】
【公開番号】特開2008−249535(P2008−249535A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92151(P2007−92151)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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