説明

温水暖房装置

【課題】温水を循環させて暖房を行う温水暖房装置で熱交換器の上流側および下流側に設けられた温度センサーの異常の有無を判定する。
【解決手段】ガスバーナーの非燃焼時に循環ポンプを作動させて、循環回路に温水を循環させ、熱交換器の上流側および下流側で温水の温度を検出する。その温度差が閾値温度以上であった場合に、上流側温度検出手段または下流側温度検出手段の少なくとも一方が異常であると判定する。自然冷却させる場合とは異なり、循環回路内で温水を循環させるのであれば、短時間で温水の温度が均一化する。このため、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段での異常の有無を短時間で検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水端末に温水を供給して暖房等を行う温水暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナーで加熱した熱交換器に水を通して温水を生成し、得られた温水(湯)を給湯する給湯装置が知られている。この給湯装置では、出湯管に設けられたカランが開かれると熱交換器への給水が開始され、ガスバーナーで燃焼が開始されて温水が生成される。熱交換器の上流側および下流側にはそれぞれ温度センサーが設けられており、上流側の温度センサーで検出された給水温度や、下流側の温度センサーで検出された出湯温度などに基づいて、ガスバーナーへの燃料ガスの供給量が制御される。
【0003】
ここで、燃料ガスの供給量を適切に制御するためには、熱交換器への給水温度および熱交換器からの出湯温度を正確に検出する必要があり、そのためには、熱交換器の上流側および下流側の温度センサーが何れも正常に動作していることが重要である。そこで、ガスバーナーの運転が停止されて、加熱されていた温水の温度が常温まで低下する程度の時間が経過したら、熱交換器の上流側および下流側で検出した温度を比較することによって、温度センサーの異常の有無を判定する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、熱交換器をガスバーナーで加熱することによって温水を生成し、得られた温水を温水端末に導いて暖房等を行った後、循環ポンプを用いて熱交換器に還流させる温水暖房装置も知られている。この温水暖房装置においても、熱交換器の上流側および下流側にはそれぞれ温度センサーが設けられており、これら温度センサーで検出した温度差に基づいて、ガスバーナーへの燃料ガスの供給量が制御されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−316029号公報
【特許文献2】特開2007−107842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、温水暖房装置では、熱交換器の上流側および下流側に設けられた温度センサーでの異常の有無を判定する適切な方法が知られていなかった。もちろん、上記の特許文献1のように、ガスバーナーの運転が停止された後、温水の温度が常温まで冷める程度の時間が経過してから、2つの温度センサーで検出した温度を比較することは可能であるが、この方法では温度センサーの異常の有無を判定するために長い時間が必要となるので適切な方法ではない。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、温水を循環させて暖房を行う温水暖房装置で、熱交換器の上流側および下流側に設けられた温度センサーについての異常の有無を、短時間で判定可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の温水暖房装置は次の構成を採用した。すなわち、
ガスバーナーで加熱されることによって温水を生成する熱交換器と、
前記熱交換器から導出された温水を、循環回路を介して該熱交換器に循環させる循環ポンプと、
前記循環回路に接続されて前記温水の熱を放熱する温水端末と、
を有する温水暖房装置において、
前記熱交換器の上流側の前記循環回路には、該循環回路を介して該熱交換器に供給される温水の温度を検出する上流側温度検出手段が設けられ、
前記熱交換器の下流側の前記循環回路には、該熱交換器から導出された温水の温度を検出する下流側温度検出手段が設けられており、
前記ガスバーナーの非燃焼時に前記循環ポンプを作動させて、前記熱交換器の上流側および下流側での湯水の温度差を検出する温度差検出手段と、
前記温度差が所定の閾値温度以上の場合に、前記上流側温度検出手段または前記下流側温度検出手段の少なくとも一方が異常であると判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の温水暖房装置においては、ガスバーナーが燃焼していない状態で循環ポンプを作動させて、循環回路に温水を循環させる。そして、熱交換器の上流側での温水の温度と、熱交換器の下流側での温水の温度とを検出し、それら温度の温度差が所定の閾値温度以上であった場合に、上流側温度検出手段または下流側温度検出手段の少なくとも一方が異常であると判定する。
【0010】
ガスバーナーが燃焼していない状態では、循環ポンプを作動させることによって循環回路内の温水の温度を均一化することができる。従って、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段が何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検出すると考えられる。このことから、上流側温度検出手段で検出した温度と、下流側温度検出手段で検出した温度との温度差を検出して、その温度差と所定の閾値温度とを比較することによって、上流側温度検出手段または下流側温度検出手段の少なくとも一方に異常が発生していることを検出することができる。
【0011】
もちろん、ガスバーナーの燃焼が停止しているので、循環ポンプを作動させなくても、自然冷却によって循環回路内の温水の温度は均一化する。しかし、自然冷却によって温水の温度が均一化されるまでには長い時間がかかるのに対し、循環ポンプを作動させて温度を均一化するのであれば、温水の温度が下がらなくても良いので短時間で均一化することができる。このため、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を短時間で判定することが可能となる。
【0012】
尚、本発明の温水暖房装置に設けられた温水端末は、熱交換器で加熱された温水の供給を受けて温水の熱を放熱させることによって、暖房あるいは追い焚きなどの機能を実現するものである。
【0013】
また、かかる本発明の温水暖房装置においては、ガスバーナーの燃焼停止後に、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段で温水の温度を検出して、異常の有無を判定しても良い。
【0014】
ガスバーナーの燃焼開始前に、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を判定したのでは、判定に要する時間だけガスバーナーの燃焼開始が遅くなり、温水暖房装置の起動が遅くなってしまう。上述したように本発明では、温水の温度が高いままでも異常の有無を判定することが可能であることから、ガスバーナーの燃焼停止後に上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を判定することで、温水暖房装置の起動が遅くなる事態を回避することができる。
【0015】
また、上述した本発明の温水暖房装置においては、次のようにしても良い。先ず、循環回路にバイパス弁を設けておき、バイパス弁を開くと、循環回路を循環する温水が温水端末をバイパスするようにしておく。そして、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を判定する際には、循環ポンプを作動させるとともに、バイパス弁を開いて温度差を検出することによって、異常の有無を判定してもよい。
【0016】
バイパス弁を開いて温水端末をバイパスさせれば、温水が循環する際の抵抗が少なくなるので流量が増加し、温水の温度の均一化が促進される。その結果、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を短時間で判定することが可能となる。また、本発明では、温度が高いままの温水を循環させて温度を均一化している。ところが、温水端末は温水の熱を放熱させるので、温水端末の前後で温度差が生じることになって、温度が均一化するための時間が長くなる。従って、バイパス弁を開いて温水端末をバイパスさせれば、より短時間で温水の温度を均一化することができ、上流側温度検出手段および下流側温度検出手段の異常の有無を短時間で判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例の温水暖房装置の構成を示す説明図である。
【図2】熱交換器の上流側および下流側に設けられた温度センサーの異常の有無を判定する処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図3】熱交換器の上流側および下流側に設けられた温度センサーの異常の有無を判定する処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図4】変形例の温水暖房装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施例の温水暖房装置1の構成を示す説明図である。図示されるように温水暖房装置1は、ガスバーナー10や、ガスバーナー10によって加熱される熱交換器20や、熱交換器20で生成された温水を循環させる循環ポンプ22や、熱交換器20で生成された温水が流出する往通路24aや、熱交換器20に温水が流入する戻通路24bなどから構成されている。尚、以下では、往通路24aおよび戻通路24bをまとめて循環回路24と呼ぶことがある。循環回路24には、浴室暖房装置などの高温端末2や、床暖房装置などの低温端末3や、シスターン26や、低温暖房端末弁28や、暖房バイパス弁30などが接続されている。また、往通路24aには、熱交換器20から流出した温水の温度を検出する高温温度センサー32が設けられており、戻通路24bには、熱交換器20に流入する温水の温度を検出する低温温度センサー34が設けられている。尚、本実施例では、高温温度センサー32が本発明の「下流側温度検出手段」に対応し、低温温度センサー34が本発明の「上流側温度検出手段」に対応する。また、暖房バイパス弁30が本発明の「バイパス弁」に対応する。
【0019】
ガスバーナー10には、ガス電磁弁12を介して燃料ガスが供給され、供給された燃料ガスは、暖房用燃焼ファン14によって供給される空気と混合して、図示しない点火プラグで点火されることによって燃焼する。また、温水暖房装置1には、全体の動作を制御するコントローラ40も搭載されており、高温温度センサー32や低温温度センサー34で検出された温度はコントローラ40に入力される。コントローラ40は、これら温度センサーの出力を初めとする種々の情報に基づいて、ガス電磁弁12や、低温暖房端末弁28、暖房バイパス弁30などの電磁弁、あるいは暖房用燃焼ファン14、更には図示しない点火プラグなどの動作を制御する。
【0020】
この温水暖房装置1は、次のようにして動作する。先ず、高温端末2の運転スイッチ(図示は省略)が「入」になると、高温端末2に内蔵された図示しない弁が開弁して高温端末2内を温水が通過可能となる。続いて、コントローラ40が循環ポンプ22および暖房用燃焼ファン14を回転させ、ガス電磁弁12を開いて点火プラグで火花を飛ばすことによって、ガスバーナー10での燃焼を開始する。すると、熱交換器20で生成された温水が往通路24aを介して高温端末2に供給され、高温端末2で放熱して冷やされた温水は、シスターン26に一旦流入した後、循環ポンプ22によって戻通路24bから熱交換器20に戻される。また、高温端末2の運転中は、高温温度センサー32および低温温度センサー34で検出された温度に基づいて、コントローラ40が燃料ガスの供給量や、暖房用燃焼ファン14の回転速度を制御する。そして、高温端末2の運転スイッチが「切」になると、コントローラ40がガス電磁弁12を閉じてガスバーナー10の燃料を停止させ、続いて暖房用燃焼ファン14および循環ポンプ22を停止させる。
【0021】
一方、低温端末3の運転スイッチ(図示は省略)が「入」になった場合は、コントローラ40が低温暖房端末弁28を開いて、循環ポンプ22および暖房用燃焼ファン14を回転させる。そして、ガス電磁弁12を開いて、図示しない点火プラグで火花を飛ばすことによって、ガスバーナー10での燃焼を開始する。すると、循環ポンプ22によってシスターン26から熱交換器20に戻される前の温水の一部が、低温暖房端末弁28を介して低温端末3に供給される。また、高温端末2の運転スイッチが「切」になっている場合は、暖房バイパス弁30が少しだけ開いた状態となり、往通路24aから流出した温水が暖房バイパス弁30を介してシスターン26に供給されて、シスターン26内の温水の温度が低温端末3に適した温度に保たれる。例えば、低温温度センサー34で検出した温水の温度(シスターン26内の温水の温度にほぼ等しい)が低い場合は、暖房バイパス弁30の開度を少しだけ増加させる。すると、熱交換器20に循環する温水の流量が増加して、シスターン26内の温水の温度が上昇する。逆に低温温度センサー34で検出した温水の温度(シスターン26内の温水の温度)が高い場合は、暖房バイパス弁30の開度を減少させる。すると、熱交換器20を通らずに低温端末3に供給される温水の流量が増加し、低温端末3で冷やされることによってシスターン26内の温水の温度が低下する。また、この間のガスバーナー10への燃料ガスの供給量や暖房用燃焼ファン14の回転速度は、高温温度センサー32および低温温度センサー34で検出された温度などに基づいてコントローラ40によって制御されている。そして、低温端末3の運転スイッチが「切」になると、コントローラ40がガス電磁弁12および低温暖房端末弁28を閉じ、暖房用燃焼ファン14および循環ポンプ22を停止する。
【0022】
以上のように温水暖房装置1では、高温温度センサー32および低温温度センサー34で検出した温水の温度に基づいて、燃料ガスの供給量や、暖房用燃焼ファン14、暖房バイパス弁30などが制御されている。従って、高温温度センサー32および低温温度センサー34の特性がずれると、温水暖房装置1を正常に運転することができなくなる。そこでコントローラ40は以下のような処理を行うことにより、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を判定している。
【0023】
B.温度センサー異常判定処理 :
図2および図3は、本実施例の温水暖房装置1が高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を判定するために行う温度センサー異常判定処理のフローチャートである。この処理は、コントローラ40によって行われる。温度センサー異常判定処理を開始すると、コントローラ40はガスバーナー10が燃焼中であるか否かを判断する(STEP10)。その結果、ガスバーナー10が燃焼中であった場合は(STEP10:yes)、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を判定せずに、図2および図3の温度センサー異常判定処理を終了する。
【0024】
これに対して、ガスバーナー10が燃焼中では無かった場合は(STEP10:no)、燃焼が終了してから第1閾値時間が経過したか否かを判断する(STEP12)。コントローラ40には図示しないタイマーが内蔵されており、ガスバーナー10の燃焼が終了してからの経過時間が計時されている。このためコントローラ40は、第1閾値時間が経過したか否かを判断することができる。また、第1閾値時間は、ガスバーナー10で加熱されていた熱交換器20が常温まで自然に冷える程度の時間(例えば10分)に設定されている。その結果、第1閾値時間が経過していない場合は(STEP12:no)、熱交換器20の冷却を促進するべく、暖房用燃焼ファン14の駆動を開始する(STEP14)。一方、第1閾値時間が経過していると判断した場合は(STEP12:yes)、暖房用燃焼ファン14の駆動は開始しない。
【0025】
そして、循環ポンプ22の駆動を開始して(STEP16)、暖房バイパス弁30を一定開度(例えば全開状態)まで開放する(STEP18)。暖房バイパス弁30を開いた状態で循環ポンプ22を駆動すると、熱交換器20、シスターン26、循環ポンプ22の間を温水が循環する(図1を参照)。また、このとき、ガスバーナー10は燃焼していないので、循環するうちに温水が混合して温水の温度が均一化する。
【0026】
続いてコントローラ40は、循環ポンプ22の駆動を開始してから第2閾値時間が経過したか否かを判断する(STEP20)。前述したようにコントローラ40にはタイマーが内蔵されているので、循環ポンプ22の駆動を介してから第2閾値時間が経過したか否かを判断することができる。また、第2閾値時間は、ガスバーナー10の燃焼を停止したまま循環ポンプ22で温水を循環させたときに、温水の温度が均一化する程度の時間(例えば60秒)に設定されている。尚、本実施例の温水暖房装置1では、循環する温水がシスターン26を経由しているので、シスターン26内で温水の混合が促進される。このため、第2閾値時間を比較的短い時間に設定することができる。
【0027】
また、循環ポンプ22の駆動を開始する際には、熱交換器20がほぼ常温まで冷めている場合(STEP12で「yes」と判断した場合)と、熱交換器20がまだ冷めていない場合(STEP12で「no」と判断した場合)とが存在する。熱交換器20が常温付近まで冷めている場合でも循環ポンプ22の駆動を開始するのは、熱交換器20の上の方にある温水と下の方にある温水とで温度差が生じている可能性があるので、温水の温度を均一化するためである。もっとも、熱交換器20がほぼ常温まで冷えている場合は、熱交換器20が冷えていない場合よりも温水の温度が均一化しやすいと考えられる。そこで、熱交換器20が冷えている場合は、熱交換器20が冷えていない場合よりも、第2閾値時間を短い時間に設定しても良い。
【0028】
コントローラ40は、循環ポンプ22の駆動を開始してからまだ第2閾値時間が経過していないと判断した場合は(STEP20:no)、同じ判断を繰り返すことによってそのまま待機状態となる。そして、第2閾値時間が経過したと判断したら(STEP20:yes)、今度は、暖房用燃焼ファン14が駆動中である否かを判断する(STEP22)。その結果、暖房用燃焼ファン14が駆動中の場合は(STEP22:yes)、暖房用燃焼ファン14を停止した後(STEP24)、暖房用燃焼ファン14を停止してから第3閾値時間が経過したか否かを判断する(STEP26)。暖房用燃焼ファン14の駆動中は、暖房用燃焼ファン14からの風の当たり方の違いによって、熱交換器20内の温水に温度差が発生している可能性がある。そこで、暖房用燃焼ファン14の停止後は第3閾値時間をおくことによって、この温度差を解消する。尚、本実施例の温水暖房装置1では、第3閾値時間として約30秒の時間が設定されている。また、コントローラ40は、第3閾値時間が経過したか否かについても、内蔵したタイマーを用いて判断する。
【0029】
その結果、暖房用燃焼ファン14を停止してから第3閾値時間が経過していない場合は(STEP26:no)、同じ判断を繰り返すことによって待機状態となる。そして、第3閾値時間が経過したと判断したら(STEP26:yes)、高温温度センサー32および低温温度センサー34を用いて、熱交換器20の下流側(往通路24a内)の温水の温度と、熱交換器20の上流側(戻通路24b内)の温水の温度とを検出する(図3のSTEP28)。一方、STEP22で暖房用燃焼ファン14を駆動していないと判断した場合は(STEP22:no)、暖房用燃焼ファン14を停止したり、第3閾値時間の経過を確認したりすることなく、熱交換器20の上流側および下流側での温水の温度を検出する(STEP28)。上述したように、循環ポンプ22を用いて温水を循環させて温水の温度を均一化しているので、高温温度センサー32と低温温度センサー34とはほぼ同じ温度を検出する筈である。逆に言えば、検出した温度が大きく異なっている場合、高温温度センサー32あるいは低温温度センサー34の何れかに異常が発生したものと判断できる。
【0030】
そこでコントローラ40は、高温温度センサー32で検出した温度と低温温度センサー34で検出した温度との温度差を算出して、得られた温度差が閾値温度(例えば10℃)以上であるか否かを判断する(STEP30)。その結果、温度差が閾値温度よりも大きかった場合は(STEP30:yes)、高温温度センサー32あるいは低温温度センサー34の何れかに異常が発生したものと判断してエラー停止状態、すなわち、エラー表示を行うとともに温水暖房装置1が運転できない状態にする(STEP32)。そして、循環ポンプ22を停止し(STEP34)、暖房バイパス弁30を閉じて(STEP36)、図2および図3の温度センサー異常判定処理を終了する。尚、ガスバーナー10の非燃焼時に循環ポンプ22を作動させて、高温温度センサー32および低温温度センサー34での温度差を検出する処理や、検出した温度差に基づいて異常の有無を判定する処理は、コントローラ40が行っている。従って、本実施例においてはコントローラ40が、本発明の「温度差検出手段」および「異常判定手段」に対応する。
【0031】
一方、STEP30において、高温温度センサー32で検出した温度と低温温度センサー34で検出した温度との温度差が、閾値温度よりも小さいと判断した場合は(STEP30:no)、高温温度センサー32および低温温度センサー34は何れも正常と判断できる。そこで、循環ポンプ22を停止した後(STEP34)、暖房バイパス弁30を閉じて(あるいは初期開度に戻して)(STEP36)、図2および図3の温度センサー異常判定処理を終了する。
【0032】
以上のように本実施例の温水暖房装置1は、ガスバーナー10の非燃焼時に、循環ポンプ22で温水を循環させて温水の温度を均一化した上で、高温温度センサー32および低温温度センサー34で温度を検出し、その温度差に基づいて異常の有無を判定する。ガスバーナー10の燃焼が停止した後に自然冷却させて温水の温度を均一化するのとは異なり、循環ポンプ22で温水を循環させて温度を均一化にするのであれば短時間で均一化することができる。このため、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を短時間で判定することが可能となる。
【0033】
また、温水を循環させて温度を均一化した場合、均一化された温度は、熱交換器20から流出する側(下流側)の温度と、熱交換器20に流入する側(上流側)の温度との間の温度となる。このため、自然冷却させて温水の温度を均一化した場合とは異なり、温水暖房装置1が運転中の温水の温度に近い温度で異常の有無を判定できるので、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を、高い精度で判定することが可能となる。
【0034】
更に、自然冷却させて温水の温度を均一化した場合には、熱交換器20の上の方と下の方とで温水の温度差が生じるので、高温温度センサー32が設けられた箇所と、低温温度センサー34が設けられた箇所とで、温水の温度を均一にすることが難しい。これに対して循環ポンプ22で温水を循環させるのであれば、高温温度センサー32が設けられた箇所と低温温度センサー34が設けられた箇所とで、温水の温度を均一にすることができる。その結果、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を精度良く判定することが可能となる。
【0035】
C.変形例 :
以上では、循環回路24に高温端末2および低温端末3が接続された温水暖房装置1について説明した。しかし本願発明は、風呂の追い焚き機能を備えた温水暖房装置1に対しても適用することができる。図4には、風呂の追い焚き機能を備えた変形例の温水暖房装置1が例示されている。変形例の温水暖房装置1は、図1を用いて前述した本実施例の温水暖房装置1に加えて、風呂用熱交換器50や、風呂用熱交換器50の一次側に温水を供給するための追い焚き弁59を備えている。また、風呂用熱交換器50の二次側には、風呂用循環ポンプ52が設けられて、風呂4内の温水を風呂用熱交換器50に送り込み、風呂用熱交換器50で温められた温水を風呂4に戻す風呂用の循環回路が形成されている。
【0036】
このような温水暖房装置1で風呂4の追い焚きを行う場合には、風呂用循環ポンプ52を駆動して、風呂4の温水を風呂用熱交換器50の二次側に循環させ、更に、追い焚き弁59を開いて、熱交換器20で加熱した温水を風呂用熱交換器50の一次側に導くことによって、二次側で循環する風呂4の温水を加熱する。このとき、一次側の温水は熱を奪われて冷やされた状態で熱交換器20に戻される。この場合でも、適切に追い焚きを行うためには、熱交換器20の高温温度センサー32および低温温度センサー34が正しい温度を検出する必要がある。従って、図4に例示した変形例の温水暖房装置1においても、図2および図3に示した温度センサー異常判定処理を行うことで、高温温度センサー32および低温温度センサー34の異常の有無を判定することができる。
【0037】
以上、本実施例の温水暖房装置1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…温水暖房装置、 2…高温端末、 3…低温端末、
4…風呂、 10…ガスバーナー、 12…ガス電磁弁、
14…暖房用燃焼ファン、 20…熱交換器、 22…循環ポンプ、
24…循環回路、 24a…往通路、 24b…戻通路、
26…シスターン、 28…低温暖房端末弁、 30…暖房バイパス弁、
32…高温温度センサー、 34…低温温度センサー、 40…コントローラ、
50…風呂用熱交換器、 52…風呂用循環ポンプ、 59…追い焚き弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナーで加熱されることによって温水を生成する熱交換器と、
前記熱交換器から導出された温水を、循環回路を介して該熱交換器に循環させる循環ポンプと、
前記循環回路に接続されて前記温水の熱を放熱する温水端末と、
を有する温水暖房装置において、
前記熱交換器の上流側の前記循環回路には、該循環回路を介して該熱交換器に供給される温水の温度を検出する上流側温度検出手段が設けられ、
前記熱交換器の下流側の前記循環回路には、該熱交換器から導出された温水の温度を検出する下流側温度検出手段が設けられており、
前記ガスバーナーの非燃焼時に前記循環ポンプを作動させて、前記熱交換器の上流側および下流側での湯水の温度差を検出する温度差検出手段と、
前記温度差が所定の閾値温度以上の場合に、前記上流側温度検出手段または前記下流側温度検出手段の少なくとも一方が異常であると判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水暖房装置において、
前記温度差検出手段は、前記ガスバーナーの燃焼停止後に前記温度差を検出する手段であることを特徴とする温水暖房装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の温水暖房装置において、
前記循環回路には、該循環回路を循環する温水に前記温水端末をバイパスさせるバイパス弁が設けられており、
前記温度差検出手段は、前記循環ポンプを作動させるとともに、前記バイパス弁を開いて前記温水に前記温水端末をバイパスさせた状態で、前記温度差を検出する手段であることを特徴とする温水暖房装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate