説明

測位システム及び移動体

【課題】GPS衛星から送信される電波を受信することなく、正確な測位結果を算出することができるようにする。
【解決手段】通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信時刻と送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出する伝播時間算出部4−1を設け、相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1が自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)及び伝播時間算出部4−1により算出された伝播時間τ(t)から、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の移動体間の相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する測位システムと、他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する移動体とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の移動体が共同作業を実施する場合(例えば、協調した測量等を実施する場合)、それぞれの移動体が自己位置を正確に測位する必要がある。
ただし、移動体が自己位置を測位する際には、移動体間の相対位置を正確に知る必要があり、絶対位置は相対位置ほど、精度を要求されないことがある。
【0003】
移動体の位置を計測する測位装置(測位システム)としては、位置が既知である複数の電波源(例えば、GPS衛星)から送信される電波(放射時刻が既知の電波)を受信し、その電波の送信時刻と受信時刻の差から移動体の位置を推定するものがある。
また、自律航法センサ(慣性航法センサ)により計測された加速度ベクトルを利用して、移動体の速度及び位置を計算するものがある。
一般的には、GPS衛星から送信される電波を受信して測位を実施し、GPS衛星から送信される電波を受信することができない場合に、自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを利用するものが多い。
ただし、自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを利用する場合、時間の経過に伴って測位結果の誤差が累積的に増加することが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−170289号公報(段落番号[0013]から[0019]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の測位システムは以上のように構成されているので、GPS衛星から送信される電波を受信することができない場合でも、移動体の位置を測位することができるが、自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを長時間に亘って利用する場合、時間の経過に伴って測位結果の誤差が累積的に増加して、正確な測位結果が得られなくなることがあるなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、GPS衛星から送信される電波を受信することなく、正確な測位結果を算出することができる測位システム及び移動体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る測位システムは、加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、事前に決定された送信時刻毎に自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを他の移動体に送信する一方、他の移動体から送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と送信時刻間の時刻差を算出する時刻差算出手段とを設け、相対諸元算出手段が自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、通信手段により受信された加速度ベクトル及び時刻差算出手段により算出された時刻差から、他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、事前に決定された送信時刻毎に自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを他の移動体に送信する一方、他の移動体から送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と送信時刻間の時刻差を算出する時刻差算出手段とを設け、相対諸元算出手段が自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、通信手段により受信された加速度ベクトル及び時刻差算出手段により算出された時刻差から、他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出するように構成したので、GPS衛星から送信される電波を受信することなく、正確な測位結果を得ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による測位システムを示す構成図である。
図1では、測位システムがM台の移動体1−1〜1−Mから構成されており、移動体1−1〜1−Mが、他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する例を示している。
図1において、自律航法センサ2−1〜2−Mは自己の移動体1−1〜1−Mの加速度ベクトルを計測する処理を実施する。
【0010】
通信部3−1〜3−Mは例えば無線機などを搭載しており、事前に決定された送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)になると、自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトルを他の移動体に送信し(例えば、移動体1−1→移動体1−M、移動体1−M→移動体1−1)、また、他の移動体から送信時刻t毎に送信された加速度ベクトルを受信する処理を実施する。なお、通信部3−1〜3−Mは通信手段を構成している。
【0011】
伝播時間算出部4−1〜4−Mは通信部3−1〜3−Mによる加速度ベクトルの受信時刻と、他の移動体に搭載されている通信部による加速度ベクトルの送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間を算出する処理を実施する。なお、伝播時間算出部4−1〜4−Mは時刻差算出手段を構成している。
相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1〜5−Mは自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトル、通信部3−1〜3−Mにより受信された加速度ベクトル及び伝播時間算出部4−1〜4−Mにより算出された伝播時間から、他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する処理を実施する。なお、相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1〜5−Mは相対諸元算出手段を構成している。
【0012】
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、説明の便宜上、測位システムが2台(M=2)の移動体1−1,1−2から構成されており、移動体1−1,1−2が他の移動体1−2,1−1の相対位置等を算出するものを想定する。
特に、移動体1−2の通信部3−2が自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルを移動体1−1に送信し、移動体1−1の通信部3−1が移動体1−2から送信された加速度ベクトルを受信することにより、移動体1−1の相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1が移動体1−2との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する例を説明する。
【0013】
移動体1−1,1−2は、他の移動体1−2,1−1との相対位置等を算出する処理を開始する前の事前準備として、通信部3−1〜3−Mによる複数回(N回)の加速度ベクトルの送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)を決定する。
なお、加速度ベクトルの送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)は、事前に決定されていてもよいし、測定開始前に一方の移動体で送信時刻tを決定して、その送信時刻tを他の移動体に送信するようにしてもよい。
【0014】
移動体1−1,1−2の自律航法センサ2−1,2−2は、自己の移動体1−1,1−Mの加速度ベクトルA(t),A(t)を計測し、その加速度ベクトルA(t),A(t)を通信部3−1,3−2に出力するとともに、その加速度ベクトルA(t),A(t)を相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1,5−2に出力する。
【0015】
移動体1−1の通信部3−1は、事前に決定された送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)になると、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)を所定の送信周波数(キャリア周波数)を用いて、その加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を移動体1−2に送信する。
また、移動体1−2の通信部3−2は、事前に決定された送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)になると、自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルA(t)を所定の送信周波数(キャリア周波数)を用いて、その加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を移動体1−1に送信する。
【0016】
ここでは、通信部3−1,3−2が送信時刻tになると、自律航法センサ2−1,2−2により計測された加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波を他の移動体1−2,1−1に送信するものについて示したが、その送信時刻tでは、自律航法センサ2−1,2−2により計測された加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波の代わりに、例えば、加速度ベクトルA(t),A(t)などのデータを含まない通信電波を送信し、後で、まとめて、全ての送信時刻tの加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波を他の移動体1−2,1−1に送信するようにしてもよい。
【0017】
移動体1−1の通信部3−1は、移動体1−2の通信部3−2から送信された加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を受信すると、その通信電波から加速度ベクトルA(t)を復調し、その加速度ベクトルA(t)を伝播時間算出部4−1に出力する。
移動体1−1の伝播時間算出部4−1は、通信部3−1から加速度ベクトルA(t)を受けると、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信時刻と、送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出する。
この伝播時間τ(t)には、移動体1−2から実際に伝播に要した時間の他に、2つの移動体1−1,1−2における内部クロックの時刻ずれ(相対時刻)が反映された値である。
伝播時間算出部4−1は、伝播時間τ(t)を算出すると、その伝播時間τ(t)と通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)を相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1に出力する。
【0018】
移動体1−1の相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1は、伝播時間算出部4−1から伝播時間τ(t)と加速度ベクトルA(t)を受け、自律航法センサ2−1から加速度ベクトルA(t)を受けると、その加速度ベクトルA(t)、加速度ベクトルA(t)及び伝播時間τ(t)から、他の移動体1−2との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する。
以下、相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1の処理内容を具体的に説明する。
【0019】
ここでは、送信時刻tにおける移動体1−1を基準とする相対位置をδ、相対速度をδでベクトル表現するものとする。
δ=(δpx,δpy,δpz
δ=(δvx,δvy,δvz
このベクトル表現は、移動体1−1,1−2が3次元空間を移動する場合であるが、移動体1−1,1−2が2次元平面内、もしくは、1次元直線内で移動する場合には、2次元もしくは1次元で表現すればよい。
【0020】
次に、移動体1−1の内部クロックの時刻に対する移動体1−2の内部クロックの時刻のずれ(相対時刻)をδτ、光速をC、ユークリッド距離を‖・‖で表すものとすると、送信時刻tにおける伝播時間τ(t)に関して、下記の式(1)が成立する。
τ(t)・C=‖δ‖−δτ・C (1)
送信時刻tにおける伝播時間τ(t)に関しては、送信時刻tにおける加速度ベクトルA(t),A(t)が計測されているため、例えば、近似的に下記の式(2)が成立する。
τ(t)・C
=‖(A(t)−A(t))(t−t/2+(t−t)+δ
−δτ・C
(2)
式(2)では、送信時刻tにおける加速度ベクトルA(t),A(t)を用いて計算しているが、送信時刻tと送信時刻tの平均の加速度ベクトルを用いて計算してもよい。
【0021】
同様にして、送信時刻t(3≦n≦N)における伝播時間τ(t)に関する方程式をたてることができる。
相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1が算出する対象は、式(1)における相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτであるので、移動体1−1,1−2が3次元空間を移動する場合には、合計7(=3×2+1)個の推定すべきパラメータがある。
この場合、加速度ベクトルの計測(通信)を7回実施すれば、推定すべきパラメータの数と方程式の数が同数となり、各パラメータを算出することができる。
ただし、実際には、計測誤差等が含まれるため、算出対象のパラメータの数と同数、もしくは、同数以上の計測(通信)を実施して、最小二乗解を求めることにより、各パラメータを算出することになる。
【0022】
上記の方程式は非線形であるので、最小二乗解の求め方としては、非線形最小二乗法を用いるのが一般的である。
非線形最小二乗法としては、例えば、Newton法、Gauss−Newton法、修正Marquardt法、ハイブリッド法など、多種のアルゴリズムが知られている。
相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1は、上記のようにして、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出すると、その相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを出力する。
【0023】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、加速度ベクトルA(t)を計測する自律航法センサ2−1と、事前に決定された送信時刻毎tに自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)を他の移動体2−2に送信する一方、他の移動体2−2から送信時刻t毎に送信された加速度ベクトルA(t)を受信する通信部3−1と、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信時刻と送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出する伝播時間算出部4−1とを設け、相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1が自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)及び伝播時間算出部4−1により算出された伝播時間τ(t)から、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出するように構成したので、GPS衛星から送信される電波を受信することなく、正確な測位結果を得ることができる効果を奏する。
即ち、GPS衛星等のように正確な位置や時刻が分る電波源を必要とせずに、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出することができる。また、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)を利用するが、複数回の計測によって、その都度、相対位置δ・相対速度δを求めることが可能であり、誤差が累積してしまうことがない。
【0024】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による測位システムを示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1〜11−Mは通信部3−1〜3−Mによる加速度ベクトルの受信時刻と送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出するとともに、通信部3−1〜3−Mによる加速度ベクトルの受信周波数と送信周波数間の周波数差を示すドップラ周波数D(t)を算出する処理を実施する。なお、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1〜11−Mは時刻差・周波数差算出手段を構成している。
【0025】
相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1〜12−Mは自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトル、通信部3−1により受信された加速度ベクトル及び伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1〜11−Mにより算出された伝播時間・ドップラ周波数から、他の移動体との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出する処理を実施する。なお、相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1〜12−Mは相対諸元算出手段を構成している。
【0026】
上記実施の形態1では、移動体1−1〜1−Mの相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1〜5−Mが、他の移動体との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出するものについて示したが、移動体1−1〜1−Mの相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1〜12−Mが、他の移動体との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出する他に、相対周波数δを算出するようにしてもよい。
具体的には、以下の通りである。
【0027】
この実施の形態2では、説明の便宜上、測位システムが2台(M=2)の移動体1−1,1−2から構成されており、移動体1−1,1−2が他の移動体1−2,1−1の相対位置等を算出するものを想定する。
特に、移動体1−2の通信部3−2が自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルA(t)を移動体1−1に送信し、移動体1−1の通信部3−1が移動体1−2から送信された加速度ベクトルA(t)を受信することにより、移動体1−1の相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1が移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出する例を説明する。
【0028】
移動体1−1,1−2は、上記実施の形態1と同様に、他の移動体1−2,1−1との相対位置等を算出する処理を開始する前の事前準備として、通信部3−1〜3−Mによる複数回(N回)の加速度ベクトルの送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)を決定する。
また、通信部3−1,3−2が加速度ベクトルを送信する際のキャリア周波数である送信周波数fを決定する。
【0029】
移動体1−1,1−2の自律航法センサ2−1,2−2は、上記実施の形態1と同様に、自己の移動体1−1,1−Mの加速度ベクトルA(t),A(t)を計測し、その加速度ベクトルA(t),A(t)を通信部3−1,3−2に出力するとともに、その加速度ベクトルA(t),A(t)を相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1,12−Mに出力する。
【0030】
移動体1−1の通信部3−1は、事前に決定された送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)になると、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)を事前に決定された送信周波数fを用いて、その加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を移動体1−2に送信する。
また、移動体1−2の通信部3−2は、事前に決定された送信時刻t(n=1,2,3,・・・,N)になると、自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルA(t)を事前に決定された送信周波数fを用いて、その加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を移動体1−1に送信する。
【0031】
ここでは、通信部3−1,3−2が送信時刻tになると、自律航法センサ2−1,2−2により計測された加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波を他の移動体1−2,1−1に送信するものについて示したが、その送信時刻tでは、自律航法センサ2−1,2−2により計測された加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波の代わりに、例えば、加速度ベクトルA(t),A(t)などのデータを含まない通信電波を送信し、後で、まとめて、全ての送信時刻tの加速度ベクトルA(t),A(t)に係る通信電波を他の移動体1−2,1−1に送信するようにしてもよい。
【0032】
移動体1−1の通信部3−1は、移動体1−2の通信部3−2から送信された加速度ベクトルA(t)に係る通信電波を受信すると、その通信電波から加速度ベクトルA(t)を復調し、その加速度ベクトルA(t)を伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1に出力する。
移動体1−1の伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1は、通信部3−1から加速度ベクトルA(t)を受けると、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信時刻と、送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出する。
この伝播時間τ(t)には、移動体1−2から実際に伝播に要した時間の他に、2つの移動体1−1,1−2における内部クロックの時刻ずれ(相対時刻)が反映された値である。
【0033】
また、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1は、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信周波数と、事前に決定された送信周波数f間の周波数差を示すドップラ周波数D(t)を算出する。
伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1は、伝播時間τ(t)及びドップラ周波数D(t)を算出すると、その伝播時間τ(t)及びドップラ周波数D(t)と通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)を相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1に出力する。
【0034】
移動体1−1の相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1は、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1から伝播時間τ(t)、ドップラ周波数D(t)及び加速度ベクトルA(t)を受け、自律航法センサ2−1から加速度ベクトルA(t)を受けると、その伝播時間τ(t)、ドップラ周波数D(t)及び加速度ベクトルA(t),A(t)から、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出する。
以下、相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1の処理内容を具体的に説明する。
【0035】
相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1は、図1の相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1と同様にして、伝播時間に関する方程式をたてることができる。
さらに、相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1は、ドップラ周波数に関する方程式をたてることができる。
【0036】
移動体1−1の送信周波数f対する移動体1−2の送信周波数fのずれ(2つの移動体の基準周波数のずれ)をδで表すと、送信時刻tにおけるドップラ周波数D(t)に関して、下記の式(3)が成立する。
【数1】

【0037】
送信時刻tにおけるドップラ周波数D(t)に関しては、送信時刻tにおける加速度ベクトルA(t),A(t)が計測されているため、例えば、近似的に下記の式(4)が成立する。
【数2】

式(4)では、送信時刻tにおける加速度ベクトルA(t),A(t)を用いて計算しているが、送信時刻tと送信時刻tの平均の加速度ベクトルを用いて計算してもよい。
【0038】
同様にして、送信時刻t(3≦n≦N)におけるドップラ周波数D(t)に関する方程式をたてることができる。
相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1が算出する対象は、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δであるので、移動体1−1,1−2が3次元空間を移動する場合には、合計8(=3×2+1+1)個の推定すべきパラメータ(上記実施の形態1で示したパラメータに、さらに相対周波数を加えたパラメータ)があるが、1回の加速度ベクトルの計測(通信)で伝播時間とドップラ周波数に関して2つの方程式が得られる。
このため、加速度ベクトルの計測(通信)を4回実施すれば、推定すべきパラメータの数と方程式の数が同数となり、各パラメータを算出することができる。
ただし、実際には、計測誤差等が含まれるため、算出対象のパラメータの数と同数、もしくは、同数以上の計測(通信)を実施して、最小二乗解を求めることにより、各パラメータを算出することになる。
最小二乗解の求め方は、上記実施の形態1と同様に、非線形最小二乗法を用いるのが一般的である。
【0039】
事前に送信周波数fに関する校正が厳密に終了している場合には、送信周波数fのずれはないと想定することができるが、この場合は、δを変数ではなく、既知の値として非線形最小二乗法を解くことにより、推定すべきパラメータ数を減らすことができる。
相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1は、上記のようにして、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数τを算出すると、その相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数τを出力する。
【0040】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、加速度ベクトルA(t)を計測する自律航法センサ2−1と、事前に決定された送信時刻t毎に自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)を他の移動体2−2に送信する一方、他の移動体2−2から送信時刻t毎に送信された加速度ベクトルA(t)を受信する通信部3−1と、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信時刻と送信時刻t間の時刻差を示す伝播時間τ(t)を算出するとともに、通信部3−1による加速度ベクトルA(t)の受信周波数と送信周波数間fの周波数差を示すドップラ周波数D(t)を算出する伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1とを設け、相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1が自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)及び伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1により算出された伝播時間τ(t)・ドップラ周波数D(t)から、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出するように構成したので、GPS衛星から送信される電波を受信することなく、正確な測位結果を得ることができる効果を奏する。また、移動体1−1,1−2の間で基準周波数にずれがあっても、その基準周波数の差分を求めることができる効果を奏する。
また、上記実施の形態1よりも、少ない加速度ベクトルの計測(通信)回数で、他の移動体1−2との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出することができる効果を奏する。
【0041】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による測位システムを示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
差分値算出部21−1〜21−Mは伝播時間算出部4−1〜4−Mが伝播時間τ(t)を算出する毎に、その伝播時間の差分値(例えば、τ(t)−τ(tn−1))を算出する処理を実施する。
相対位置・相対速度算出部22−1〜22−Mは差分値算出部21−1〜21−Mにより算出された差分値、自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトル及び通信部3−1〜3−Mにより受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対位置δ及び相対速度δを算出する処理を実施する。
【0042】
相対時刻算出部23−1〜23−Mは相対位置・相対速度算出部22−1〜22−Mにより算出された他の移動体との相対位置δ及び相対速度δ、伝播時間算出部4−1〜4−Mにより算出された伝播時間τ(t)、自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトル及び通信部3−1〜3−Mにより受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対時刻δτを算出する処理を実施する。
なお、差分値算出部21−1〜21−M、相対位置・相対速度算出部22−1〜22−M及び相対時刻算出部23−1〜23−Mから相対諸元算出手段が構成されている。
【0043】
上記実施の形態1では、相対位置・相対速度・相対時刻算出部5−1〜5−Mが他の移動体との相対位置δ、相対速度δ及び相対時刻δτを算出するものについて示したが、相対位置・相対速度算出部22−1〜22−Mが他の移動体との相対位置δ及び相対速度δを算出してから、相対時刻算出部23−1〜23−Mが他の移動体との相対時刻δτを算出するようにしてもよい。
具体的には、以下の通りである。
【0044】
この実施の形態3では、説明の便宜上、測位システムが2台(M=2)の移動体1−1,1−2から構成されており、移動体1−1,1−2が他の移動体1−2,1−1の相対位置等を算出するものを想定する。
特に、移動体1−2の通信部3−2が自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルA(t)を移動体1−1に送信し、移動体1−1の通信部3−1が移動体1−2から送信された加速度ベクトルA(t)を受信することにより、移動体1−1の相対位置・相対速度算出部22−1〜22−Mが移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出して、相対時刻算出部23−1が移動体1−2との相対時刻δτを算出する例を説明する。
【0045】
移動体1−1の差分値算出部21−1は、伝播時間算出部4−1が上記実施の形態1と同様にして、伝播時間τ(t)を算出する毎に、その伝播時間の差分値を算出する。
伝播時間の差分値の取り方としては、例えば、τ(t)−τ(t)(2≦n≦N)としてもよいし、τ(t)−τ(tn−1)(2≦n≦N)としてもよいし、τ(t2n)−τ(t2n−1)(1≦n≦N/2)としてもよい。
【0046】
移動体1−1の相対位置・相対速度算出部22−1は、差分値算出部21−1が伝播時間の差分値を算出すると、その伝播時間の差分値、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)及び通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)から、移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出する。
相対位置・相対速度算出部22−1の算出方法を以下に説明する。
【0047】
差分値算出部21−1が伝播時間の差分値を算出すると、その差分の方程式から相対時刻δτを消去することができる。
例えば、上記の式(2)−式(1)を計算すると、相対時刻δτの項がなくなることが分る。
このため、差分の方程式が相対位置δ及び相対速度δのパラメータ数、即ち、移動体1−1,1−2が3次元空間を移動する場合には6回以上、2次元空間を移動する場合には4回以上、伝播時間の差分を求めることができれば、上記実施の形態1と同様に、非線形最小二乗法等に基づいて移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出することができる。
【0048】
移動体1−1の相対時刻算出部23−1は、相対位置・相対速度算出部22−1が移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出すると、例えば、式(1)や式(2)等の伝播時間に関する方程式に、移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δ、伝播時間算出部4−1により算出された伝播時間τ(t)、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)を代入することにより、移動体1−2との相対時刻δτを算出する。
【0049】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、相対位置・相対速度算出部22−1〜22−Mが移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出してから、相対時刻算出部23−1が移動体1−2との相対時刻δτを算出するように構成したので、非線形最少二乗法等で求める際に、パラメータ数を1つ減らした状況で、パラメータ値を推定することができるようになり、パラメータの推定の容易化を図ることができる効果を奏する。
【0050】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による測位システムを示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
差分値算出部31−1〜31−Mは伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1〜11−Mが伝播時間τ(t)及びドップラ周波数D(t)を算出する毎に、その伝播時間の差分値(例えば、τ(t)−τ(tn−1))及びドップラ周波数の差分値(例えば、D(t)−D(t))を算出する処理を実施する。
相対位置・相対速度算出部32−1〜32−Mは差分値算出部31−1〜31−Mにより算出された伝播時間の差分値及びドップラ周波数の差分値、自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトル及び通信部3−1〜3−Mにより受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対位置δ及び相対速度δを算出する処理を実施する。
【0051】
相対時刻・相対周波数算出部33−1〜33−Mは相対位置・相対速度算出部32−1〜32−Mにより算出された他の移動体との相対位置δ及び相対速度δ、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1〜11−Mにより算出された伝播時間τ(t)及びドップラ周波数D(t)、自律航法センサ2−1〜2−Mにより計測された加速度ベクトル及び通信部3−1〜3−Mにより受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対時刻δτ及び相対周波数δを算出する処理を実施する。
なお、差分値算出部31−1〜31−M、相対位置・相対速度算出部32−1〜32−M及び相対時刻・相対周波数算出部33−1〜33−Mから相対諸元算出手段が構成されている。
【0052】
上記実施の形態2では、相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部12−1〜12−Mが他の移動体との相対位置δ、相対速度δ、相対時刻δτ及び相対周波数δを算出するものについて示したが、相対位置・相対速度算出部32−1〜32−Mが他の移動体との相対位置δ及び相対速度δを算出してから、相対時刻・相対周波数算出部33−1〜33−Mが他の移動体との相対時刻δτ及び相対周波数δを算出するようにしてもよい。
具体的には、以下の通りである。
【0053】
この実施の形態4では、説明の便宜上、測位システムが2台(M=2)の移動体1−1,1−2から構成されており、移動体1−1,1−2が他の移動体1−2,1−1の相対位置等を算出するものを想定する。
特に、移動体1−2の通信部3−2が自律航法センサ2−2により計測された加速度ベクトルA(t)を移動体1−1に送信し、移動体1−1の通信部3−1が移動体1−2から送信された加速度ベクトルA(t)を受信することにより、移動体1−1の相対位置・相対速度算出部32−1が移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出して、相対時刻・相対周波数算出部33−1が移動体1−2との相対時刻δτ及び相対周波数δを算出する例を説明する。
【0054】
移動体1−1の差分値算出部31−1は、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1が上記実施の形態2と同様にして、伝播時間τ(t)及びドップラ周波数D(t)を算出する毎に、その伝播時間の差分値及びドップラ周波数の差分値を算出する。
伝播時間の差分値の取り方としては、例えば、τ(t)−τ(t)(2≦n≦N)としてもよいし、τ(t)−τ(tn−1)(2≦n≦N)としてもよいし、τ(t2n)−τ(t2n−1)(1≦n≦N/2)としてもよい。
また、ドップラ周波数の差分値の取り方としては、例えば、D(t)−D(t)(2≦n≦N)としてもよいし、D(t)−D(tn−1)(2≦n≦N)としてもよいし、D(t2n)−D(t2n−1)(1≦n≦N/2)としてもよい。
【0055】
移動体1−1の相対位置・相対速度算出部32−1は、差分値算出部31−1が伝播時間の差分値及びドップラ周波数の差分値を算出すると、その伝播時間の差分値、そのドップラ周波数の差分値、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)及び通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)から、移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出する。
相対位置・相対速度算出部22−1の算出方法を以下に説明する。
【0056】
差分値算出部31−1が伝播時間の差分値を算出すると、その差分の方程式から相対時刻δτを消去することができる。また、ドップラ周波数の差分値を算出すると、その差分の方程式から相対周波数δを消去することができる。
このため、差分の方程式が相対位置δ及び相対速度δのパラメータ数、即ち、移動体1−1,1−2が3次元空間を移動する場合には3回以上、2次元空間を移動する場合には2回以上、伝播時間及びドップラ周波数の差分を求めることができれば、上記実施の形態2と同様に、非線形最小二乗法等に基づいて移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出することができる。
【0057】
移動体1−1の相対時刻・相対周波数算出部33−1は、相対位置・相対速度算出部32−1〜32−Mが移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δを算出すると、例えば、式(1)や式(2)等の伝播時間に関する方程式に、移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δ、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1により算出された伝播時間τ(t)、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)を代入することにより、移動体1−2との相対時刻δτを算出する。
また、相対時刻・相対周波数算出部33−1は、例えば、式(3)や式(4)等のドップラ周波数に関する方程式に、移動体1−2との相対位置δ及び相対速度δ、伝播時間・ドップラ周波数算出部11−1により算出されたドップラ周波数D(t)、自律航法センサ2−1により計測された加速度ベクトルA(t)、通信部3−1により受信された加速度ベクトルA(t)を代入することにより、移動体1−2との相対周波数δを算出する。
【0058】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、相対位置・相対速度算出部32−1〜32−Mが他の移動体との相対位置δ及び相対速度δを算出してから、相対時刻・相対周波数算出部33−1〜33−Mが他の移動体との相対時刻δτ及び相対周波数δを算出するように構成したので、非線形最少二乗法等で求める際に、パラメータ数を2つ減らした状況で、パラメータ値を推定することができるようになり、パラメータの推定の容易化を図ることができる効果を奏する。
【0059】
なお、上記実施の形態1〜4では、移動体1−1〜1−Mが加速度ベクトルに係る通信電波を送受信することにより測位するものについて示したが、電波を用いた通信に限るものではなく、例えば、音波や光波などに用いて加速度ベクトルを送受信するようにしてもよい。
また、移動体1−1〜1−Mの位置を3次元で測位するものについて示したが、2次元の場合でも、高度方向は地上の表面に移動体が存在するなどの条件を用いて計算すれば可能である。
さらに、移動体1−1〜1−Mの測位に関する機能は、ソフトウェアプログラムに基づいてCPUを動作させることにより実行することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態1による測位システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による測位システムを示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による測位システムを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4による測位システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0061】
1−1〜1−M 移動体、2−1〜2−M 自律航法センサ、3−1〜3−M 通信部(通信手段)、4−1〜4−M 伝播時間算出部(時刻差算出手段)、5−1〜5−M 相対位置・相対速度・相対時刻算出部(相対諸元算出手段)、11−1〜11−M 伝播時間・ドップラ周波数算出部(時刻差・周波数差算出手段)、12−1〜12−M 相対位置・相対速度・相対時刻・相対周波数算出部(相対諸元算出手段)、21−1〜21−M 差分値算出部(相対諸元算出手段)、22−1〜22−M 相対位置・相対速度算出部(相対諸元算出手段)、23−1〜23−M 相対時刻算出部(相対諸元算出手段)、31−1〜31−M 差分値算出部(相対諸元算出手段)、32−1〜32−M 相対位置・相対速度算出部(相対諸元算出手段)、33−1〜33−M 相対時刻・相対周波数算出部(相対諸元算出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体間の相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する測位システムにおいて、上記複数の移動体は、加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、事前に決定された送信時刻毎に上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを他の移動体に送信する一方、上記他の移動体から上記送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、上記通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と上記送信時刻間の時刻差を算出する時刻差算出手段と、上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、上記通信手段により受信された加速度ベクトル及び上記時刻差算出手段により算出された時刻差から、上記他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する相対諸元算出手段とを備えていることを特徴とする測位システム。
【請求項2】
複数の移動体間の相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する測位システムにおいて、上記複数の移動体は、加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、事前に決定された送信時刻毎に上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを事前に決定された送信周波数で他の移動体に送信する一方、上記他の移動体から上記送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、上記通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と上記送信時刻間の時刻差を算出するとともに、上記通信手段による加速度ベクトルの受信周波数と上記送信周波数間の周波数差を算出する時刻差・周波数差算出手段と、上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、上記通信手段により受信された加速度ベクトル及び上記時刻差・周波数差算出手段の算出結果から、上記他の移動体との相対位置、相対速度、相対時刻及び相対周波数を算出する相対諸元算出手段とを備えていることを特徴とする測位システム。
【請求項3】
相対諸元算出手段は、時刻差算出手段が時刻差を算出する毎に、その時刻差間の差分値を算出する差分値算出部と、上記差分値算出部により算出された差分値、自律航法センサにより計測された加速度ベクトル及び通信手段により受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対位置及び相対速度を算出する相対位置・相対速度算出部と、上記相対位置・相対速度算出部の算出結果と上記時刻差算出手段により算出された時刻差から、他の移動体との相対時刻を算出する相対時刻算出部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の測位システム。
【請求項4】
相対諸元算出手段は、時刻差・周波数差算出手段が時刻差及び周波数差を算出する毎に、その時刻差間の差分値及び周波数差間の差分値を算出する差分値算出部と、上記差分値算出部により算出された差分値、自律航法センサにより計測された加速度ベクトル及び通信手段により受信された加速度ベクトルから、他の移動体との相対位置及び相対速度を算出する相対位置・相対速度算出部と、上記相対位置・相対速度算出部の算出結果と上記時刻差・周波数差算出手段の算出結果から、上記他の移動体との相対時刻及び相対周波数を算出する相対時刻・相対周波数算出部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載の測位システム。
【請求項5】
通信手段は、事前に決定された送信時刻では、自律航法センサにより計測された加速度ベクトルを送信する代わりに、加速度ベクトルデータを含まない電波を他の移動体に送信し、後で、まとめて、全ての送信時刻の加速度ベクトルを他の移動体に送信することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の測位システム。
【請求項6】
加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、他の移動体から事前に決定された送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、上記通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と上記送信時刻間の時刻差を算出する時刻差算出手段と、上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、上記通信手段により受信された加速度ベクトル及び上記時刻差算出手段により算出された時刻差から、上記他の移動体との相対位置、相対速度及び相対時刻を算出する相対諸元算出手段とを備えた移動体。
【請求項7】
加速度ベクトルを計測する自律航法センサと、他の移動体から事前に決定された送信時刻毎に送信された加速度ベクトルを受信する通信手段と、上記通信手段による加速度ベクトルの受信時刻と上記送信時刻間の時刻差を算出するとともに、上記通信手段による加速度ベクトルの受信周波数と自己の送信周波数間の周波数差を算出する時刻差・周波数差算出手段と、上記自律航法センサにより計測された加速度ベクトル、上記通信手段により受信された加速度ベクトル及び上記時刻差・周波数差算出手段の算出結果から、上記他の移動体との相対位置、相対速度、相対時刻及び相対周波数を算出する相対諸元算出手段とを備えた移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−204579(P2009−204579A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49916(P2008−49916)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】