説明

測位方法

【課題】 GPS受信機用リアルタイムクロック
【解決手段】 ナビゲーション衛星受信機は、GPSシステムの高精度の時間ベースに対してスレーブとなることができるリアルタイムクロックを備える。そういう時に、補正量及び動作温度が観測される。後でリアルタイムクロックがGPSの時間ベースのスレーブになれなくなると、周波数エラーに最も影響するのは動作温度であると想定している。受信機のパワーダウン時でも、リアルタイムクロックは通電状態に保たれる。自走周波数は温度補正される。次回受信機をパワーアップすると、他の受信機の初期化処理に使用できるように一日の誤差が1ミリ秒以下の精度の時刻を即時に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション衛星受信機に関し、より具体的には、起動直後の受信機の時間の不確定さを減らすことによってナビゲーション衛星受信機の初期定点化時間(電源投入から最初の測位までの時間)(time-to-first-fix)を向上させるための方法並びにシステムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS)受信機は、ユーザの位置及び速度、その他のナビゲーションデータを判定するのにGPS衛星群の中のいくつかの地球の軌道を回る衛星から受信した信号を使用する。従来技術のナビゲーション受信機では、電源投入直後、その現在位置、現在時刻、或いは水晶発振器にどのくらいの誤差があるか分かっていない。これらは全て、衛星の送信を見つけ出して捕捉するのに必要だから、その可能性のあるところの探索を行なわなければならない。時間の節約のために最も有望な候補が先ず最初に探索される。
【0003】
高感度GPS受信機は、初期の時間及び周波数の不確定性が大きいときに問題になる。信号のエネルギーが極めて弱いときに信号エネルギーを見出すにはステップを小さくし且つステップ毎に留まる時間を長くしなければならない。そこで、ローカルの基準発振器の初期推定値がより優れているとそれだけ初期測位の時間を短くすることができる。
【0004】
−145dbm以上の信号レベルを有するGPS受信機は、ナビゲーション(NAV)データを解読するのに強力なGPS衛星(SV)を容易に捕捉することができる。そうすることによりGPS衛星の衛星暦及び位置を得ることができる。その後、ハードウェアのコード位相から全擬似距離を形成しなければならない。従来のGPS受信機は整数ミリ秒及びいわゆるZカウントを判定する。
【0005】
信号レベルがほぼ−145dbmから−150dbmにも満たないとき、実用の高感度GPS受信機ではエニウェア(anywere)測位のためにZカウント或いは整数ミリ秒を得るのにパターンマッチングを採用する。
【0006】
一つ以上のGPS衛星を捕捉して追跡しているGPS受信機は時刻を非常に高度な精度で知っている。これはGPSシステムが原子時計に基づいているからで、原子時計は使用する時間及び周波数の基準値を設定する。GPS衛星から送信されたコースアクイジション(C/A)コードは1ミリ秒の伝搬波長毎の繰り返しなので、GPS受信機がどのミリ秒を観測しているかに関して基本的なあいまい性がある。例えば、時刻を1ミリ秒よりも正確に知っているなど、整数ミリ秒が分かっている場合には、整数あいまい性を解く必要はない。Zカウントが分かっている。Zカウントを見つけて整数ミリ秒を設定するステップを飛ばすことによって、GPS受信機がコールドスタートから最初にナビゲーション解の測位を実現する作業でかなりの時間と労力を節約することができる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,781,156号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、パワーダウン後時間を記録することによってナビゲーション衛星受信機をより高速に初期化するためのリアルタイムクロックを提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、ナビゲーションデバイスの初期化に必要な時間を短縮するための方法並びにシステムを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、安価な衛星ナビゲーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
間単に言えば、本発明におけるナビゲーション衛星受信機の実施例は、GPSシステムに対する精度の高い時間ベースのスレーブとなることができる。そういう時に、補正量ならびに動作温度が観測される。リアルタイムクロックがGPS時刻ベースのスレーブになれないとき、動作温度が周波数エラーの影響を一番受けると想定される。受信機がパワーダウンになってもリアルタイムクロックは通電状態になっている。その自走周波数は温度補正される。次回受信機をパワーアップした時に、他の受信機の初期化処理に使用できるように一日につき1ミリ秒よりも優れた精度の時間を直ちに得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に、本発明の実施例におけるネットワークシステム100を示す。ネットワークシステム100は、基準局サーバシステム102、GPS測定プラットフォーム104、及びインターネットなど介在型コンピュータネットワーク106を含む。サーバシステム102はナビゲーション衛星受信機を備え、ナビゲーション衛星受信機はナビゲーションGPS衛星108、110、112からなる衛星群を捕捉して追跡している。これらのナビゲーションGPS衛星の中にはGPS測定プラットフォームから見えるものもあるかもしれない。ナビゲーション衛星114、116を含む別の衛星群はクライアントシステム104から見ることができる。GPS測定プラットフォーム104には自分のナビゲーション衛星受信機があるが、それはまだナビゲーション衛星112、114、116の衛星群を捕捉しておらず、追跡もしてないかもしれない。
【0013】
概して、本発明のGPS測定プラットフォームの実施例は4タイプあり、それはサーバとはどれだけ無関係に独立して作動できるかによって分けられる。自律型クライアントは、例えば、ディファレンシャル補正データなど、サーバ106から最低限の支援を受けるだけで機能し、ユーザにナビゲーション解を提供することができる。デミクライアントは、例えば、軌道暦及び時間のバイアス計算を簡素化する多項式モデルなど、もう少し支援を必要とする。シンクライアントはほとんど全てのナビゲーション計算をサーバ106に頼り、基本的にそのGPS衛星群に対する視点からの観測測定値を提供するだけである。ユーザがそこにいてナビゲーション解を見たければ、ローカルに表示するためにナビゲーション解が返送される。
【0014】
4番目のタイプのクライアントは、クライアント104として接続された高感度GPS受信機で、本明細書ではOMNIと称する。そうした4番目のタイプが本明細書で問題としているものである。
【0015】
図2に示すのは、本発明におけるOMNIクライアントナビゲーション衛星受信機ネットワークの実施例である。本明細書では参照番号200で示す。OMNIクライアントナビゲーション衛星受信機ネットワークはネットワークサーバ204によってサポートされたナビゲーションプラットフォーム202を少なくとも一つを含む。
【0016】
一般に、GPS測定プラットフォーム202はそれぞれ、GPSアンテナ206、低雑音増幅器(LNA)208、GPS弾性表面波(SAW)フィルタ210、中間周波数(IF)SAWフィルタ214を有する無線周波数(RF)特定用途向け集積回路(ASIC)212、ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)216、基準水晶発振器218、及び基準水晶温度センサ220を備える。
【0017】
自律型クライアント222はサーバ204からほとんど支援を受けずに機能してユーザにナビゲーション解を提供することができる。デミクライアント224は、例えば、軌道暦及び時間のバイアス計算を簡素化する多項式モデルなどの支援を必要とする。シンクライアント226はナビゲーション解の処理の負担をローカルのホストにかけることをしない。ほとんど全てのナビゲーション計算をサーバ204に頼り、基本的にそのGPS衛星群に対する視点から観測測定値を提供するだけである。ナビゲーション解をユーザがそこにいて見たければ、ローカルに表示できるようにナビゲーション解を返送する。シンクライアント226において、DSPは何か他の非GPSアプリケーションとの共用部分となる。そうしたことから、クライアントではマルチスレッドのアプリケーションプログラムは必要なく、単純なプログラムループだけが実行される。
【0018】
OMNIクライアント227はほぼ完全に自律走行するが、周期的にコンピュータネットワークで完全セットの軌道暦を収集する。さらに、後からパワーアップされたときその位置の不確定性sigmaPosを150km以下に保持できるように電力供給切断時にも動作する。こうした状況により高感度オペレーションが可能になる。高感度オペレーションでは信号パワーを見出すのにはるかに細かい探索ステップが用いられ、各ステップに留まる時間が長い。OMNIクライアント227は、水晶発振器218を温度センサ220の温度測定値を使用するソフトウェア補償型にすれば、利することが多い。ナビゲーションプラットフォーム202がパワーアップされる毎に、真の時刻に1ミリ秒と違わない精度でリアルタイムクロック(RTC)は動き続ける。
【0019】
ローカルの基準発振水晶発振器218は温度の関数として変わる周波数ドリフト誤差を有する。ローカルの基準発振水晶発振器218の温度を測定するのに基準水晶温度センサ220が用いられる。ナビゲーションプラットフォーム202が初期化されGPS衛星を追跡しているとき製造時の校正曲線を構築するデータを収集するのに最初に使用される。次に、ナビゲーションプラットフォーム202を初期化しながらその最初のGPS衛星へのロックオンを試みている間に、保持された係数から9次の多項式を計算できるように指針値を提供するために使用される。
【0020】
一般に、サーバ204は、基準局マネージャ232へのGPS信号入力を可能にする多数の基準局アンテナ228、230を備える。ロケーションサーバ234は初期測位時間及び位置解の質の向上のためにデミクライアント224、シンクライアント226、OMNIクライアント227にサポート情報を提供することができる。OMNIクライアント227が高感度モードで動作している場合には、サーバ204によって収集され転送された情報により−150dbm以下のGPS衛星からの信号レベルのエニウェア(anywhere)測位が可能になる。
【0021】
本発明の方法の実施例では、例えば、クライアント104及びナビゲーションプラットフォーム202などOMNIクライアントがいつどのようにしてサーバ204に接続するかの決定が行なわれる。バイトあたりの通信費用が高い場合や、ネットワークに周期的にしかアクセスできない場合は、サーバ接続を少なくし、多くの場合最低限に抑えなければならない。
【0022】
信号の強度が高いとき、NAVデータを収集することによりZカウント及びBTTが実際に測定される。コード位相のロールオーバがあるときに、それをクリーンアップするためにBTTが使用される。概して、20ミリ秒以下の部分は一致するはずである。BTTはZカウントと比べ雑音がわずかに多い。しかしながら、コード位相がロールオーバする付近では短時間の間1ミリ秒だけZカウントがずれる可能性がある。
【0023】
sigmaTimeを1ミリ秒以下に抑えるためにOMNIクライアントは優れた時間ソースを必要とする。パターンマッチを行ない、間接的に時刻を見出すために50HzのNAVデータを用いることができる。そうすることにより、Zカウントを復調できないときにGPS受信機に妥当な時間ソースを提供することができる。パターンマッチに十分な信頼度があれば、GPS衛星に対して整数ミリ秒intMsを判定することができる。
【0024】
開始時刻の不確定性sigmaTimeが+/−10ミリ秒よりも大きければ、位置測位の解決ににいわゆる大デルタT項(DT)を使用しなければならない。そうすると必要なGPS衛星の数が一つ増える。位置の不確定性sigmaPosが150km以下で且つGPS衛星に対してintMsを利用できないときにはgridFix法を活用することができる。sigmaTimeが10ミリ秒以上のときは非Zカウント測位タイプが使用される。
【0025】
全てのGPS衛星の衛星暦ではなく軌道暦を有するサーバから完全なGPS衛星暦highAccAlmが送られる。もう一つの完全なGPS衛星暦mixAccAlmをサーバから送ることができる。それにはいま追跡していないGPS衛星の古い軌道暦が含まれている。
【0026】
完全なGPS衛星群を連続観測する能力を有するWWserverサーバが実現されるのが好ましい。同じ時刻に世界中でGPS衛星全てを見ることができる程度に空間的に離れた十分な数の基準局がある。サーバ204はローカルサーバLAserverを表わす。ローカルサーバは完全GPS衛星群の部分集合しか観測しない一つ以上の基準局を有する。従って、LAserverはhighAccAlmを提供することはできず、mixAccAlmしか提供できない。
【0027】
電源投入後、衛星暦は軌道暦を含み、その軌道暦は実際は衛星暦である。12時間サイクルが一回終わると、衛星暦の中のいくつかは軌道暦に基づく衛星暦で置き換えられる。
【0028】
GPS衛星からのNAVデータを−145dbmの低信号レベルまで直接収集することができる。従って、軌道暦、Zカウント、BTTをこのレベルで導出することができる。このレベルのGPS衛星はサーバとは別に動作することができるし、開始位置の精度を必要条件としない測位、例えば、エニウェア測位に使用することもできる。−145dbmからパターンマッチングが必要となり、低いところで−150dbmまで続行することができる。それによりZカウント又はintMsを得ることができるので、GPS衛星をエニウェア測位に使用することができる。しかしながら、そうした信号レベルでは、サーバ102、又は他のソースからネットワーク106で軌道暦を取得しなければならない。信号レベルが−150dbm以下になると、NAVデータはパターンマッチに使用できるほどの信頼性がない。NAVデータをサーバ102又は204から得なければならないし、そうした弱い信号のGPS衛星は、不確定性が150km以下のときにしか測位に加担することができない。
【0029】
初期のGPS衛星捕捉中、軌道暦レベルは正確でなくてもいい。プレポジションに必要なデータを予測するには、衛星暦、もしくはダウングレードされた軌道暦で十分である。測位を行なうのに軌道暦レベルは正確でなくてもいい。測位のための軌道暦のエージ(Age)のタイムアウトが定義される。そうしたしきい値を緩和しても、時間の関数として精度の質の低下が正しくモデル化されていれば、かなりの精度の測位を維持することができる。顧客が望ましい性能レベルを選択できるようにエージ(Age)のしきい値は制御可能なパラメータにすることができる。
【0030】
初期測位又は時刻を設定するにはサーバ102からのNAVデータのサブフレームデータが必要である。その後、クライアント104はsubFrameを二度と要求
しない。クライアント104によって解読されたNAVデータはサーバがパターンマッチングを行なうためにサーバ102に送られる。
【0031】
GPS衛星が3つ以上あってその全てが−145dbm以上の信号レベルを有していると、OMNIクライアント104はサーバ接続不要である。軌道暦を収集しなければならない場合には初期定点化時間(電源投入から最初の測位までの時間)(TTFF)が長くなる。場合によっては、前に収集した軌道暦を使用することができる。
【0032】
前に収集したGPS衛星の軌道暦が手元にあってしかもsigmaPosが150km
以下のとき、OMNIクライアント104はサーバ接続を必要としない。必要な最低限度のGPS衛星の数はsigmaTimeによって決まる。そうした時間の不確定性は、温度ドリフトをソフトウェア補償することのできるリアルタイムクロック(RTC)によって抑えることができる。そこで、RTCを用いる場合は3つのGPS衛星が、RTCを用いない場合には4つのGPS衛星が必要である。
【0033】
さもなければ、測位の解を見出すのにOMNIクライアント104はサーバ102に接続して特定の情報を要求しなければならない。GPS衛星の信号が−145dbmから−150dbmで且つsigmaPos>150kmになると、NAVデータサブフレームが必要となる。これらのGPS衛星が初期測位に加担するにはそうしたGPS衛星に対するintMsが要る。−145dbm以下のGPS衛星が3つしか利用できなくて、しかも正確な時間のいい手立てが他にない場合には、パターンマッチングを採用することができる。その場合には4つのGPS衛星によるいわゆる非zカウント測(no-z)位を用いる。
【0034】
GPS衛星の信号の強度が−145dbmまでいかず、しかもその軌道暦にタイムアウトがあると、軌道暦を要求しなければならない。そうした場合、可能な限りの高速なTTFFが望ましい。
【0035】
主のプログラムアプリケーションがGPS受信機を周期的にオンにして測位を得ることができる。そうすることにより、受信機が最後の測位からどれだけ遠くに移動したか、或いは単にGPS受信機が予め定められたゾーンを出たかどうかが決定される。−145dbm以下の弱いGPS衛星に対するintMsが不要となるように、sigmaPosを150km以内に保つべく測位間の時間間隔が選択される。そうすることにより、サーバ接続してNAVデータsubFrameを要求しなくても高感度測位を保持する能力を延長することができる。サーバ要求のタイミングは適応型である。これは、変動の少ないクライアント/サーバ接続がなくても変動の少ないクライアント/サーバ接続を十分な性能があるときに実現するのに必要である。
【0036】
OMNIクライアントは手持ちのデータ、そのデータの年齢、及び捕捉成功の可能性、例えば、GPS衛星の数及び信号レベルを評価しなければならない。OMNIクライアントは次に、接続すべきかどうか、またどのデータを要求すべきか決定する。適応性をディセーブルにし、コマンドを出すことによってサーバ接続を行なうことができる。マスタアプリケーションが一時間毎にサーバ接続するように決定するようにしてもいい。従って、5分置きに行なわれる測位では、12番目の測位がサーバ接続を行なう。
【0037】
放送形軌道暦サービスを使用することができる。放送形軌道暦サービスではマスタアプリケーションが先ずデータを収集してそれを汎用のAPIでクライアントに送り出す。クライアントはセッション中いつでもサーバ接続することができる。
【0038】
一般に、クライアントは、測位前、1ミリ秒以上の時間の不確定性を有する。そのために、完全なコード位相の探索は従来、最初の測位の前に行なわれる。最初の測位後、或いはRTCを用いて何回か再起動すると、クライアントは1ミリ秒以下の時間不確定性を有する可能性がある。こうしたケースでは、クライアントはコード探索の時間帯を小さくすることができる。従って、クライアントが測定されたZカウントからの時刻を得た場合でも、全1023チップのコード不確定性を探索しなければならない。
【0039】
本発明の実施例全てにおいて、パワーダウン後もDSP216の一部(図2)は通電状態になっており、クライアントセッション間の時間ソースとして維持されることが非常に重要である。パワーダウン中、RFASIC212、sampleClock、sampleMem、OSMへの電力供給は実際切断される。しかし、水晶発振器218及びDSP216内部のミリ秒割り込みへの電力供給は活きているので、DSP216は割り込みを処理することができる。
【0040】
クライアント202は、発振器が最後の位置で計算された時間を次のGPSセッションまで比較的長い期間維持できる安定性を有するので有利である。
【0041】
クライアントは実現可能な精度を経験的事実に基づいて判定する。そうするために、クライアントは測位から時刻を先ず設定し、その後或る任意のオフ時間の間追跡を停止する。次に、クライアントは再び追跡をイネーブルにし、測定されたZカウントをクロックがどれだけ動いたかを示す表示として用いる。クライアントが測位の際中行なうクロック調整によりクロックがGPS時刻に対してどれだけ動いたか知ることができる。
【0042】
この技法では、クライアントが水晶発振器218及びDSP216への電力供給を維持しなければならない。クライアントはデバイスが見かけ上電力供給が切断されているときでもGPS回路への電力供給を維持する能力を有していなければならない。
【0043】
一般的なシャットダウンでは、全てのファームウェアのステートマシンがアイドル状態になると、全てのint1活動が止まるべきである。クライアントは自動出力もディセーブルにするのでint0活動も停止するべきである。この時点で、バックグラウンド活動さえもなく、DSP216はそのタスクを終えて休止モードになるべきである。休止モードは、割り込みがあるまでアイドル状態に留まりその時点で自動的にその割り込みサービスルーチンにジャンプするDSP216の特別な低電力機能である。
【0044】
ミリ秒割り込みが到着すると、DSP216は目を覚ましてその割り込みを処理して、GPS時刻推定値を含む全てのタイマを1ミリ秒だけ進ませる。その後、割り込みが終わるとDSP216はまた休止モードに戻る。
【0045】
クライアントは絶対時刻を出力する必要がある。そのために、GPS−TOW(秒単位)が604799から0に過ぎていくたびに、クライアントも週のカウンタを増分すべきである。クライアントはいまDSP216に絶対GPS時刻を保持していないので、このRTCモードの機能を追加しなければならない。但し、DSP216での処理のいずれも週番号を使用しない。DSP216の外に絶対GPS時刻を提供するために備えるだけである。クライアントは、再起動するときにクライアントが判読できるタイムオフ変数を維持していると有利である。
【0046】
そのサイクルはもう一つのクライアントセッションが始まると完了する。この時点で、クライアントは再び時刻メッセージの連続出力を要求し、且つクライアントはDSP216がオン又はオフのままかどうか、或いはその時刻を信頼しているかどうかを観測することができる。従って、クライアントは、DSP216からの時刻をどのように使用できるか決めるためにクライアントが使用できるバイアス及びドリフトの不確定性を構築することが必要となる。
【0047】
クライアントは時刻調整値を送るとき、時刻セットの推定精度も送るべきである。DSP216はこの精度を受け入れる。この精度は温度に対する水晶の安定性のモデルに従って自動的にDSP216内に伝搬される。温度変化が多ければ多いほど、バイアス及びドリフト不確定性がより高速に伝搬されるべきである。しかしながら、温度が一定の場合には、不確定性はよりゆっくりした速度で伝搬される。
【0048】
クライアントがセッションを終えようとしているとき、クライアントは全てのGPS追跡機能をディセーブルにするようDSP216に通信する。これによりRFASIC212への電力供給が切断され、全てのGPSステートマシンがディセーブルになる。クライアントはディープスリープモードかRTCモードかいずれかを選択することができる。ディープスリープモードを選択すると、クライアントは水晶発振器218への電力供給を切断することになる。しかしながら、RTCモードを要求すると、クライアントは水晶をオン状態に保つ。
【0049】
クライアントは、DSP216がそのミリ秒クロックを維持することを要求することもできる。電力消費を最低にしたければ、ミリ秒を含み、全てをシャットオフすることもできる。消費電力が最も大きいのはトランジスタが状態を変えるどきだけだから、全ての回路をオフにすれば、電力消費は最低限度に抑えられる。ディープスリープでは、DSP216がdeepSleepモードを検出し、休止命令が送られてくると、発振器への電力供給も切断される。
【0050】
クライアントがDSP216への電力供給を切断してもミリ秒のオプションを要求する場合には、ファームウェアができる限り全てのモードをディセーブルにするが、ミリ秒と発振器だけをアクティブに保つ。DSP216を極力静かにしておくために、クライアントは時刻メッセージの自動出力をディセーブルにすることもできる。
【0051】
埋め込み型アプリケーションでは、しかるべきシャットダウン処理を用いずに電源が切られる可能性が常にある。クライアントを用いるアプリケーションからクライアントがターンオフ要求を受け取るのが理想的である。これにより、次のテーブルに示す事象連鎖が始まる。
【0052】
クライアントが、GPSをオフにしない要求をホストアプリケーションから受け取る;
クライアントが、全てのGPS追跡エンジン(ODSM,IDSM,TSM)をオフにするようメッセージをDSP216に送る;
クライアントが、好ましいDSP216シャットダウンモードを送り、受入応答が来るのを待つ。最低限のパワーモードにしたければ、DEEP_SLEEP_MODEを要求する。最大限の情報が欲しければ、RTC_MODEを要求する;
クライアントが、シリアルバッファから全てのデータをフラッシュする;
クライアントが、全ての事象の処理を終え、しかるに、バッテリで支援している主要なメモリ要素がスタティックになる;
バッテリ支援データが保存される;
クライアントが、シャットダウンしても安全な状態になっている旨のメッセージをホストアプリケーションに返信する;
ホストアプリケーションが、クライアントアプリケーションの割り当てを解除する。
【0053】
こうした処理は、シャットダウンが制御されたやり方で発生する場合好ましい方法である。
【0054】
それほど秩序正しくないシャットダウンが発生する可能性もある。そうしたケースでは、シャットダウン処理を実行できるようになる前に、ホストアプリケーションがクライアントコードを突如終了する。例えば、DSP216が正しくシャットダウンされなかった、或いは電力供給がシステムから取りはずされた。これは、誰かが電池を取り外したり、しかるべき動作レベルを維持できる程度の電流を電池が供給できないときに発生する。
【0055】
DSP216に未だ電力が供給されている場合、クライアントとの通信が停止しているかどうかの検出を行なうために検査ロジックを組み込むことができる。その場合、DSP216は自分のパワーダウンシーケンスを行なう。DSP216が単にパワーダウンされていたら、再び電源投入したときデフォルトの状態になるので問題ない。しかしながら、クライアントがそのときバッテリで支援されているファイルの或るセクションに書き込みを行なっているとデータが破損する危険性がある。DSP216が正しくシャットダウンされたことを示すフラグに変数を書き込むことができる。その変数が起動時のデータ書き込み時に設定されていなければ、そのデータは無効と考え、明示的に無効状態に設定される。
【0056】
電源投入時に、クライアントアプリケーションは起動されて、DSP216を起こすために合図を送り、時間のステータスを要求する。そうした合図によりDSP216の中のTCOも直ちに起動する。時間のステータスを受け取ると、クライアントは、時間のステータスが無効の場合、自分のバイアス及びドリフトの不確定性を未知の状態に設定する。このようにして、電池で支援されているデータ或いはサーバからのデータは最小のシグマになるように自ら解決する。クライアントが他の情報ソースに問合せるまで、GPS時刻もこの時点でゼロになる。
【0057】
時間のステータスが有効ならば、クライアントは時間の不確定性データをコピーし、内部データ構造をそのデータを用いて初期化する。他のソースからもっと良好なデータを利用できる場合には、その良好なデータが使用可能になると不確実性を解決することができる。クライアントは次に電池バックアップデータに関するステータスを読み取る。クライアントはデータ有効性フラグが設定されているデータセクションを同化する。そして、クライアントは利用可能な情報を評価してサーバにデータを要求し始める準備ができる。
【0058】
手順通りのシャットダウン時に、RTC_MODEが選択されると、時間データがDSP216に送られる。シャットダウン処理の一部として受入応答が来るのを待つ。時間データがシャットダウン処理中にだけ送られる場合には、クライアントの手順通りでないシャットダウンが発生し、DSP216への電力供給はオンのままである。この場合には、RTC_MODEはイネーブルにされず、DSP216は走行し続ける。ステートマシンは相変わらず走行しており、時間の情報が失われる。
【0059】
クライアントとDSP216間に周期的ハンドシェイクがあるのが好ましい。そのハンドシェイクが失われても、DSP216に未だ電力供給されていれば、DSP216は自らを静状態にしなければならない。
【0060】
タイミングデータが定期的に送られてくる場合、クライアントは相変わらず時間をアクティブに保つことができる。しかしながら、タイミングデータの維持は計算上高価になるので、クライアントは優先順位を非常に低くするためにこうした計算を調整する必要がでてくる。
【0061】
下記の時間及び不確定性の維持方程式を設計に用いることができる。いつか或る時点で、クライアントは、位置測位、Zカウント、パターンマッチからか、又は別のリアルタイムクロックなど他のソースからか、或いはサーバのレイテンシ推定量からか、いずれかから時刻情報を得る。クライアントはバイアス並びにドリフトに関する各データソースの精度のモデルを生成することができる。バイアスはメートルで、ドリフトはm/sで、計算される。使用するSCXOモデルは単位がm/sである。予備測位では、クライアントが必ず先ず擬似距離、擬似距離レートを計算してから、64チップというハードウェア単位と搬送波NCO単位に変換する。従って、クライアントがDSP216にその番号を直接使用したい場合には、クライアントはNCO単位に変換しなければならない。
【0062】
Drift(m/s)/λ(m/cycle)*bits/Hz
=drift*(1575.42e6/2.99792458e8)*224/528,000
=drift*166.9789113
Drift NCO units (bits/Hz)=drift(m/s)*166.9789113
【0063】
クライアントは周期的に下記の原子時計データセットを送るべきである:
1. 2-6をLSBとしメートルを単位とした今のバイアス(bfix)
2. 2-12をLSBとしメートル/秒単位の今のドリフト(dfix)
3. 2-6をLSBとしメートルを単位をとした今のバイアスシグマ(σbf)
4. 1ミリ秒をLSBとしミリ秒を単位としたミリ秒シグマ(σmillisecond)
5. 2-12をLSBとしメートル/秒を単位としたドリフトシグマ(σdf)
6. をLSBとしカウントを単位としたドリフト推定値に最も近いTCO測定値(TCOfix)
7. バイアスに正確に一致し且つその他のパラメータにも一致する
【0064】
周波数の不確定性の場合、クライアントは一つのパラメータσdfしか有していない。しかしながら、時間の不確定性の場合、クライアントは2つのパラメータを使用できるのが好ましい。多くのケースで、最初の測位前、時間の不確定性が多数ミリ秒にもなるので、クライアントは時間の不確定性を2つの成分、つまり、多数ミリ秒の部分と、ミリ秒以下の部分、に分割するのが好ましい。
【0065】
【表1】

【表2】

【0066】
伝搬方程式は、TCO及び前のドリフトを更新し、ドリフトと共にバイアスを伝搬し、バイアスが+/−1/2ミリ秒を超えるとミリ秒調整を行ない、ドリフトの不確定性を更新し、そしてバイアスの不確定性を更新する。バイアス及びバイアスシグマを伝搬するために、クライアントはドリフト及びドリフトシグマを更新する必要がある。基本的に、バイアスはドリフトの積分で、バイアスシグマはドリフトシグマの積分である。
【0067】
クライアントは、測位時のドリフトデータに基づいてドリフトを推定するとともに判読中の今のTCOに基づいて今のSCXOデータを推定する。
driftHat=function(drift at fix, SCXO drift at fix, current SCXO drift)
【0068】
バイアスがドリフトの推定値とともに伝搬される。バイアスが+/−1/2ミリ秒を超えると、クライアントはミリ秒が正確なまま変わらないようにDSP216のミリ秒を調整する。
Bias=bias+driftHat*dt
If(bias>millisecond/s){
Bias−=millisecond
Adjust DSP 216 millisecond+1 millisecond

else if(bias<−millisecond/2){
bias+=millisecond
Adjust DSP 216 millisecond−one millisecond

【0069】
クライアントは、フィックス時のドリフトに基づいてドリフトシグマを更新し、今のTCOに基づいて今のドリフトモデルを更新する。
driftSigma(t)=function(drift sigma at fix, SCXO sigma at fix, current SCXO sigma)
【0070】
クライアントはバイアス不確定性をドリフト不確定性の積分として伝搬する。
biasSigma=biasSigmaAtFix+integral(driftSigma(t))*dt
【0071】
次のセッションが始まると、クライアントはバイアス、ドリフト、並びにシグマを送り返す。バイアスシグマは大きくても10又は20ミリ秒以下で、言い換えれば、クライアントは他のソースに基づく時刻に頼らなくても実際に測位を行なえるのが望ましい。
そこで、下記のパラメータは観測に基づき定義される:
1. δ(tfix)=dfix−dscxo(tfix). この符号付きパラメータは測位時に測定され、その測位時のモデル誤差を表わす。プロセスが再開されるまで不変である。
2. δ(tnow)=dscxo(tnow)−dscxo(tfix). これは符号付きパラメータで、測位時からのモデルの変化を表わす。
【0072】
最初のゴールは最良のドリフト推定値とともにバイアスを伝搬することである。言うまでもなく、推定バイアスシグマが真のバイアスエラーの最小上界(LUB)になるという必要条件がクライアントにもある。このようにすると、クライアントがバイアスシグマを伝搬すると、それは十分に小さいままだから、長時間経過した後シグマはクライアントが測位を計算するためにバイアスを使用できることを示す。逆に言えば、バイアスシグマが大き過ぎると、クライアントは測位を計算するのに自信をもってバイアス推定値を用いることができない。
【0073】
測位時刻付近で、測定ドリフト値はクライアントが使用できる最良の推定値であることは間違いない。温度が測位時の温度に近い温度のままで変わらない限り、クライアントは伝播ソースとして測位時のドリフトを使用したがる。これにより、最小のドリフトシグマを得ることができるので、バイアスシグマがゆっくりと積分し、LUB判定基準の生成の助けになる。
【0074】
逆に、最後の測位からの時間が長いと、クライアントは基準点としての測位時のドリフトに対する信頼を失う傾向があり、クライアントは完全にモデル化されたデータに移行したがる。しかしながら、クライアントは伝搬するために大きい方のシグマを使用しなければならない。
【0075】
この二つの極端なケースの中間で、2つのソース(測位とモデル)をブレンドして一つにするのが論理的なように思える。経験的事実に基づくと、クライアントはドリフト軌道が長時間SCXOモデルから幾分片寄ってるのは普通であることを知っている。しかしながら、一日一日では、バイアスがモデル以上又は以下になる可能性も同様に高い。クライアントがデータをブレンドして、今日のバイアスを得るためにできるだけ長く測位時のドリフトに頼る場合、クライアントはより正確なドリフトを得て、それを小さめのドリフトシグマに反映できるのが望ましい。
【0076】
一つのキーとなる測定は、測位時の測定ドリフトとモデル化されたドリフトとの差|δ(tfix)|である。クライアントは測位に使用した測定値及び測位自体に何らかの完全性検査を行なうと仮定しよう。例えば、計算された速度がゼロに近ければ、これは安定点のようなもので、ドップラー測定誤差は小さい。従って、クライアントは、測位からの測定ドリフトは高い信頼度を有していると想定する。屋内の測定値を使用することに起因する精度の低下は測位からのドリフトシグマを反映している。この観点から、クライアントは最近の測定データにより高い信頼を寄せがちである。
【0077】
水晶のエージング又は衝撃は水晶とモデルとの間にバイアスが生じさせやすい。クライアントは、測定されたデータとモデル化されたデータとの間には食い違いがあることを受け入れなければならない。クライアントは、測定から時間が経つにつれて測定データに対してより強力な重み付けを有するけれどもモデル化されたドリフト寄りにゆっくりと収束する、バイアス及びバイアスシグマをドリフト及びドリフトシグマとともに伝搬するための方法論を開発することになる。
【0078】
測位時に推定されたドリフトとSCXOに基づくドリフト推定値との間のマイグレーション用の単純な公式化が定義される。クライアントは2つの単純なパラメータを介してマイグレーションの速度を制御する。
【0079】
クライアントは、ドリフトの2つの推定値、すなわち、一つは今のTCOに基づくSCXOモデルで、もう一つは調整された測位スドリフト、をブレンドしている。調整された測位ドリフトとは、現在時刻と測位時刻との差に起因するモデルの変化を補正した測位からのドリフトである。
調整後の測位ドリフトは:
da(tk)=d(tfix)+dscxo(tk)−dscxo(tfix)
クライアントはブレンド後のドリフト推定値を次のように定義する:
d^(tk)=[1−α]*da(tk)+α*dscxo(tk)
なお、クライアントは、クライアントがパラメータαとブレンドする2つのドリフト推定値を有する。このパラメータは下記を実現する:
1. tk=tfixのとき、クライアントはd^(tk)=da(tk)にしたい。そうするにはα=0でなければならない。
2. tk≫tfixのとき、クライアントはd^(tk)=dscxo(tk)にしたい。そうするにはα=1でなければならない。
従って、パラメータN、すなわち、フィルタが更新された回数を次のように定義する:
k=1ならば、N1=1
k<=Nmaxならば、Nk=k
k>Nmaxならば、Nk=Nmax
クライアントは整数計算を用いて乗算も実行したいので、クライアントは下記を定義する:
a=Nk/2M
1−a=(2M−Nk)/2M
max=2M
クライアントは一つのパラメータMだけを指定するだけでいい。そうすると、変化率が完全に定義される。
【0080】
【表3】

【0081】
ドラフトシグマに同じ公式化を採用する。
σd(tk)=[1−α]*σfix+α*σscxo (tk)
モデルは毎秒更新されるので、間接的に1秒を掛ける掛け算があり、クライアントはバイアスを次のように更新することができる:
b(tk)=b(tk-1)+d^(tk)
クライアントはバイアスシグマをドラフトシグマの積分として更新するので、次のように暗に1秒を掛ける掛け算がある:
σb(t1)=σbfix
σb(tk)=σb(tk-1)+σd(tk)
【0082】
モデルの精度を検証するとともに正しい時刻定数を選択するのに水晶発振器218及びDSP216のハードウェア類を使用することができる。クライアントは常に真のバイアス及びドリフトを測定できるように、実際のDSP216ハードウェアは少なくとも一つの衛星を追跡している。クライアントはこれを次のように真の位置を中心として擬似距離及び擬似距離レートを線形化することによって行なう:
a. LPR=intms*cmsec+codePhase−rangeHat−corr
b. LPRR=rangeRate−rangeRateHat
c. モデルは、LPR=biasTrue and LPRR=driftTrue
【0083】
一番最初の測定で、クライアントはLPR及びLPRRがゼロになるように受信機のクロック項を設定する。+/- 1/2ミリ秒よりも
大きいLPRを有する成分はすべてミリ秒クロック調整値に入れられる。ミリ秒以下の部分残余が開始バイアスとなる。一回目の調整後、クライアントは今ではSCXOデータ及び上記の方程式からバイアス及びドリフトを形成し始める。バイアスが+/- 1/2ミリ秒台以上に大きくなった場合には、クライアントはいつものようにクロック調整を行なう。LPR及びLPRRは真のバイアス及びドリフトを提供し、方程式は推定バイアス及びドリフトを提供する。また、Zカウントを測定している場合でも、クライアントが70を推定するよりも真のintMsを用いてこれを補正すれば、クライアントは真のミリ秒時刻誤差を得ることができる。
【0084】
現時点で好適な実施例により本発明を説明してきたが、開示は限定と解釈してはならないことが理解できる。上記の開示を読めば、当業者なら、様々な変更並びに変形が明白になることは疑いの余地がない。従って、添付した特許請求の範囲は発明の「真の」精神並びに範囲から逸脱しない限りにおいてあらゆる変形・変更を含むと解釈されるものと考える。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明におけるネットワークシステムの実施例の機能ブロック図。
【図2】本発明におけるナビゲーションプラットフォームの実施例の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0086】
100 ネットワークサーバ
102、204 サーバ
104、202 GPS測定プラットフォーム
106 インターネット
108、110、112、114、116 GPS衛星
200 OMNIクライアントナビゲーション衛星受信機
206、228、230 アンテナ
208 低雑音増幅器
210、214 SAWフィルタ
212、216 ASIC
218 基準水晶発振器
220 温度センサ
222 自律型クライアント
224 デミクライアント
226 シンクライアント
227 OMNIクライアント
232 基準局マネージャ
234 ロケーションサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション衛星受信機の高速初期化のための方法であって、当該方法は、
一般的なパワーダウン時にディジタル信号処理プロセッサのリアルタイムクロック部分を通電状態に保ち、水晶発振器を用いてミリ秒以下の正確な時刻を維持するステップと、
前記水晶発振器を含むナビゲーションプラットフォームがGPS衛星を捕捉して追跡しているときに前記水晶発振器を原子標準精度に設定するステップと、
前記ナビゲーションプラットフォームが見かけ上電力供給されていない期間に前記水晶発振器の温度を測定するステップと、
1)前記水晶発振器のドリフト変化がモデル化されたモデル式に前記水晶発振器による現在時刻を代入することで求められる発振器ドリフトと、2)前記モデル式に前記水晶発振器による現在時刻を代入することで求められるドリフトと測位によって算出される測位時刻を代入することで求められるドリフトとの差で、前記測位時刻のドリフト変化がモデル化されたモデル式に測位時刻を代入することで求められるドリフトを補正した測位ドリフトとをブレンドしてドリフト推定値を算出するステップと、
前記ナビゲーションプラットフォームがGPS衛星を追跡していないときに前記温度測定ステップで得たデータを用いて前記水晶発振器の自走時刻を補正するステップと、
次の測位の前に前記ナビゲーションプラットフォームにミリ秒以下の正確な時刻を供給するステップと、
を有するとともに、
前記維持ステップは、1)前記水晶発振器のドリフト変化がモデル化されたモデル式に前記水晶発振器による現在時刻を代入することで求められる発振器ドリフトと、2)前記モデル式に前記水晶発振器による現在時刻を代入することで求められるドリフトと測位によって算出される測位時刻を代入することで求められるドリフトとの差で、前記測位時刻のドリフト変化がモデル化されたモデル式に測位時刻を代入することで求められるドリフトを補正した測位ドリフトとをブレンドしてドリフト推定値を算出するステップを有し、この算出されたドリフト推定値を用いて正確な時刻を維持するステップである、
方法。
【請求項2】
前記ドリフト推定値算出ステップは、前記発振器ドリフトと前記測位ドリフトとの重み付けを可変してブレンドするとともに、前記水晶発振器による現在時刻と測位時刻とが同じ場合には、前記測位ドリフトを前記ドリフト推定値とするように前記重み付けを可変する請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−197114(P2008−197114A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72149(P2008−72149)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【分割の表示】特願2003−41703(P2003−41703)の分割
【原出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(501396026)イーライド,インク. (10)
【氏名又は名称原語表記】eRide,Inc.
【住所又は居所原語表記】One Letterman Drive,Bldg.C,Suite 310 The Presidio of San Francisco San Francisco,CA USA
【Fターム(参考)】