説明

測位装置、測位方法およびプログラム

【課題】測位要求に応じて位置データを求める際に、測位衛星を利用した位置の測定が適切に遂行できなかった場合でも、位置データの欠落が生じることのない測位装置、測位方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】測位要求がなされた際に、測位衛星を利用した位置の測定を実行させ、この位置の測定が遂行された場合に、この測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する(S43,S44)一方、測位衛星を利用した位置の測定が遂行されなかった場合には、移動方向と移動量とを計測に基づく位置の測定結果データを測位要求に応じた位置データとして取得する(S42,S48)構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、測位衛星から信号を受信して位置の測定を行う測位装置、測位方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(全地球測位システム)機能を搭載した電子機器において、位置の測定を所定期間ごとに間欠的に行うようにしたものや、カメラ撮影など特定の動作に連動させて位置の測定を行うようにしたものがある(例えば特許文献1〜3を参照)。
【0003】
また、GPS測位装置では、位置の測定を速やかに遂行できるように、例えば、以前の測位処理で受信した各GPS衛星のエフェメリス情報をメモリに保存しておき、後の測位処理の際、このエフェメリス情報を使用して測位演算を実施することで、現在の位置データを短時間に取得できるようにした構成も一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−267734号公報
【特許文献2】特開2006−339723号公報
【特許文献3】特開2001−166366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
短時間で位置の測定を遂行できるようにしたGPS測位装置であっても、例えば、測位処理に費やすことのできる実行時間が極端に短く制限されている場合、ビルの谷間などで電波を捕捉できるGPS衛星の数が少なくなった場合、並びに、電波の電界強度が著しく弱くなった場合などに、測位処理が完了しないまま処理時間が経過して、位置データの取得が行えないことがある。
【0006】
この発明の目的は、測位要求に応じて位置データを求める際に、測位衛星を利用した位置の測定が適切に遂行できなかった場合でも、位置データの欠落が生じることのない測位装置、測位方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
測位衛星から信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定を行う第1測位手段と、
移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定を行う第2測位手段と、
外部から操作入力を受け付ける操作部と、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させるとともに、所定の条件で前記第1測位手段による位置の測定を実行させる測定制御手段と、
を備え、
前記測定制御手段は、
前記操作部を介して測位要求がなされた際に、前記第1測位手段による位置の測定を実行させ、この第1測位手段による位置の測定が遂行された場合に、この第1測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、
前記第1測位手段による位置の測定が遂行されなかった場合には、前記第2測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する
ことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の測位装置において、
前記操作部には、一部の電源供給をオン・オフする電源操作部が含まれ、
前記測位要求は、前記電源操作部による電源オンの操作により発生する構成であることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の測位装置において、
前記測定制御手段は、
前記電源操作部による電源オンの操作から次の電源オフの操作までに前記第1測位手段による位置の測定が遂行されなかった場合に、前記第2測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得することを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の測位装置において、
動きの有無を検出する動き検出手段を備え、
前記測定制御手段は、
前記動き検出手段の検出に基づき当該測位装置が静止状態にないと判別される期間に前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる一方、
前記動き検出手段の検出に基づき当該測位装置が静止状態にあると判別される期間に前記第2測位手段による位置の測定を停止させる
ことを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、測位衛星から信号を受信する受信手段と、前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定が可能な第1測位手段と、移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定が可能な第2測位手段とを用いて位置の測定を行う測位方法であって、
測位要求に応じて前記第1測位手段による位置の測定を実行させる第1測定制御ステップと、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる第2測定制御ステップと、
前記第1測定制御ステップによる位置の測定が遂行された場合にこの測定の結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、前記第1測定制御ステップによる位置の測定が遂行されなかった場合には前記第2測定制御ステップの測定結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する位置データ取得ステップと、
を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明は、測位衛星から信号を受信する受信手段と、前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定が可能な第1測位手段と、移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定が可能な第2測位手段とを制御するコンピュータに、
測位要求に応じて前記第1測位手段による位置の測定を実行させる第1測定制御機能と、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる第2測定制御機能と、
前記第1測定制御機能による位置の測定が遂行された場合にこの測定の結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、前記第1測定制御機能による位置の測定が遂行されなかった場合には前記第2測定制御機能の測定結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する位置データ取得機能と、
を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従うと、第2測位手段による位置の測定が継続的に行われ、それにより、測位要求に従って実行された測位衛星を利用した位置の測定が適切に遂行されなかった場合でも、第2測位手段の測定結果データが測位要求に応じた位置データとして取得されるので、測位要求に応じた位置データの欠落を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の電子機器の全体を示すブロック図である。
【図2】図1の電子機器により実行される測位制御処理の動作の一例を表わした説明図である。
【図3】サブCPUにより実行される測位制御処理の手順を示すフローチャートの第1部である。
【図4】同、測位制御処理の手順を示すフローチャートの第2部である。
【図5】同、測位制御処理の手順を示すフローチャートの第3部である。
【図6】同、測位制御処理の手順を示すフローチャートの第4部である。
【図7】同、測位制御処理の手順を示すフローチャートの第5部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の測位装置の実施形態である電子機器の全体を示すブロック図である。
【0017】
この実施形態の電子機器1は、電気的に撮像を行って撮影画像を画像データとして保存する撮影機能と、GPS(全地球測位システム)や自律航法による測位機能とを備え、撮影機能により得られた画像データと測位機能により得られた位置データとを関連づけて記憶することのできる装置である。
【0018】
この電子機器1は、図1に示すように、撮影機能とユーザインターフェース機能に関する処理を担う第1処理部10と、測位機能に関する処理を担う第2処理部20と、各部に電源電圧を供給する電源35等を備えている。
【0019】
第1処理部10は、演算処理を行うメインCPU(中央演算処理回路)11と、メインCPU11が実行する制御プログラムや制御データが格納されたROM(Read Only Memory)12と、メインCPU11に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)13と、外部からの指令を入力する操作キー14と、電源の切換え操作を入力する電源キー15と、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により撮像を行う撮像部16と、種々の情報表示を行う液晶ディスプレイなどの表示部17等を備えている。
【0020】
第2処理部20は、演算処理を行うサブCPU21と、サブCPU21が実行する制御プログラムや制御データが格納されたROM22と、サブCPU21に作業用のメモリ空間を提供するRAM23と、制御データを記憶する不揮発性メモリ24と、GPS衛星から送られてくる電波の受信を行うGPS受信アンテナ25と、GPS衛星の送信信号を捕捉して復調するGPS受信回路26と、エフェメリス情報の間欠受信に関する制御を行う間欠受信制御回路27と、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ28と、3軸方向の地磁気の大きさを検出する3軸地磁気センサ29と、3軸加速度センサ28および3軸地磁気センサ29の出力に基づき自律航法によって現在位置データを求める自律航法制御処理回路30と、GPSによる位置測定が行われた際に自律航法により求められた位置データの補正を行う自律航法誤差補正処理回路31と、計時を行う計時回路32等を備えている。
【0021】
この実施形態の電子機器1では、電源35による各部への電源供給に対して3系統の切換制御が行われる。第1処理部10では、電源キー15の操作によって電源の供給と遮断が切り換えられ、それにより第1処理部10が作動状態と停止状態とに切り換えられる。
【0022】
第2処理部20の常時作動部20aは、常に電源が供給された状態にされる。常時作動部20aには、サブCPU21、計時回路32、および3軸加速度センサ28が含まれる。第2処理部20のその他の部分については、サブCPU21の制御によって電源の供給状態が切り換えられる。すなわち、サブCPU21は、第1処理部10の作動状態と3軸加速度センサ28の出力とに基づいてスリープ状態となったり起動状態となったり動作モードが切り換えられる。そして、起動状態のときには第2処理部20全体への電源供給を継続させるが、スリープ状態のときには常時作動部20a以外への電源供給を停止させる。
【0023】
GPS受信回路26は、複数のGPS衛星と処理タイミングの同期をとりながら所定の拡散符号を用いて逆拡散の処理を行うことで、スペクトル拡散された各GPS衛星の送信電波を捕捉して復調する。
【0024】
間欠受信制御回路27は、サブCPU21から間欠的に発行されるエフェメリス情報の受信指令に基づいて、GPS受信回路26を介して必要なエフェメリス情報が受信されるように制御を行う。具体的には、受信指令を受けると、GPS受信回路26から送られてくる復調データを入力して、必要なエフェメリス情報が受信されたか監視する。そして、必要数のGPS衛星のエフェメリス情報が受信されたら、サブCPU21に受信完了を知らせる。
【0025】
不揮発性メモリ24には、GPSおよび自律航法の位置測定の結果である複数の位置データが記憶されるとともに、間欠受信される複数のGPS衛星のエフェメリス情報が記憶される。
【0026】
サブCPU21は、第2処理部20の統括的な制御処理に加えて、GPS受信回路26を作動させて所定の測位演算を行うことで電子機器1の現在位置を算出する処理も行う。測位演算では、複数のGPS衛星から送られてくる測位符号に基づいて各GPS衛星までの擬似距離を算出し、且つ、不揮発性メモリ24に記憶されているエフェメリス情報を用いて各GPS衛星の位置を算出し、これらの算出結果に基づいて自己の位置を算出する。
【0027】
3軸加速度センサ28は、自律航法による位置測定を行うための自律航法用センサとしての機能と、電子機器1が使用状態にあるか否かを検出する動き検出手段としての機能とを兼ね備えている。
【0028】
すなわち、3軸加速度センサ28は、自律航法用センサの機能として、電子機器1の向き特定のために重力方向の測定を行い、且つ、電子機器1を携帯したユーザの歩行動作(歩数)を求めるために重力方向の加速度変化を計測する。
【0029】
また、3軸加速度センサ28は、動き検出手段の機能として、一定以上の加速度変化が一定時間(例えば30秒や1分など)以上発生していない状態か否かを判別し、この判別に基づく起動制御信号をサブCPU21の起動端子へ出力するようになっている。一定以上の加速度変化が有れば起動制御信号を有効レベルとし、一定以上の加速度変化が一定時間以上なければ起動制御信号を無効レベルとする。この3軸加速度センサ28による起動端子の制御によって、電子機器1の電源がオフにされている状態で、サブCPU21が起動状態となったりスリープ状態となったり切り換えられる。
【0030】
3軸地磁気センサ29は、自律航法による位置測定の際に電子機器1の向きを特定するために磁北の方向を計測する。
【0031】
自律航法制御処理回路30は、サブCPU21の演算処理を補助するための演算回路であり、所定のサンプリング周期で3軸地磁気センサ29と3軸加速度センサ28の計測データをサブCPU21を介して入力し、これらの計測データから電子機器1の移動方向と移動量とを算出していく。詳細には、3軸加速度センサ28による上下方向の加速度変化の計測結果に基づいて電子機器1を携帯したユーザの歩数を計数し、これに予め設定入力されている歩幅データを乗算することで、相対的な移動量を求める。また、3軸加速度センサ28の重力方向の計測結果と3軸地磁気センサ29の磁北方向の計測結果に基づいて電子機器1の向きを求める。
【0032】
また、自律航法制御処理回路30は、3軸加速度センサ28に現れる歩行動作特有の加速度変化から移動方向を作出する。具体的には、ユーザの胴体は左足を踏み出すときに前方やや左側に大きく加速し、右足を踏み出すときに前方やや右側に大きく加速する。このとき、装置がユーザの胴体に装着されていると、装置も同様の加速度運動を行うので、この加速度変化が3軸加速度センサの水平方向の成分に現れる。このようにして、3軸加速度センサ28による歩行動作の前後方向の揺れや左右方向のローリング動作の検出結果に基づいて電子機器1を携帯したユーザの歩行方向(すなわち移動方向)を求める。
【0033】
さらに、自律航法制御処理回路30は、上記のように求められた移動量および移動方向からなるベクトルデータを、サブCPU21から供給される基準地点の位置データに積算していくことで、移動経路に沿った各地点の位置データを求めて不揮発性メモリ24に記憶させていく。ここで、基準地点とは、GPSの測位が行われてGPSによる位置データが取得された地点のことである。GPSの測位は間欠的に複数の地点で行われるので、基準地点はGPSの測位がなされるごとに更新されていく。基準地点が更新されると自律航法制御処理回路30は、新たな基準地点の位置データに上記のベクトルデータを積算していくことで位置データを求めていくので、この基準地点の更新により自律航法測位の誤差が長い間累積されないようになっている。
【0034】
自律航法誤差補正処理回路31は、サブCPU21の演算処理を補助するための演算回路であり、誤差が累積されていく自律航法の位置データに対して誤差補正を行うものである。具体的には、サブCPU21の指令に基づいて、1つの基準地点(第1基準地点と記す)から次の基準地点(第2基準地点と記す)までに自律航法により連続的に求められる複数の位置データに対して、次のような補正処理を行う。
【0035】
すなわち、GPSの測位によって第2基準地点の正確な位置データが求められたら、先ず、このタイミングで自律航法により求められている位置データを、正確な位置データと合致するようにその値をシフトさせる。次いで、このタイミング以前に自律航法により求められている第1基準地点から第2基準地点までの区間の複数の位置データについて、先にシフトした位置データと不連続にならないように、且つ、第1基準地点の位置データについては誤差が無いのでこの地点の位置データはずらされないように、各々のデータ値を連続的にシフトさせる。このような誤差補正により、第1基準地点と第2基準地点で誤差がゼロになるようにその途中の位置データも連続的にシフトされるので、全体的に誤差の少ない位置データに補正されることになる。
【0036】
第1処理部10のROM12には、操作キー14を介した外部からの入力に基づいて表示部17の表示内容を変更したり、撮像部16を駆動して画像データを取り込んだり、第2処理部20から現在位置データを取得して画像データと関連づけて保存したりする制御プログラムが記憶されている。
【0037】
第2処理部20のROM22には、GPSと自律航法による位置測定を制御するための測位制御処理のプログラムが記憶されている。この測位制御処理のプログラムは、ROM22に格納するほか、例えば、データ読取装置を介してサブCPU21が読み取り可能な、光ディスク等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納しておくことが可能である。また、このようなプログラムがキャリアウェーブ(搬送波)を媒体として通信回線を介して電子機器1にダウンロードされる形態を適用することもできる。
【0038】
次に、上記構成の電子機器1において実行される測位制御処理について説明する。
【0039】
図2には、電子機器1の測位制御処理の動作の一例を表わした説明図を示す。この説明図は、電源キー15をオフにした状態でユーザが電子機器1を持ち歩き、その途中のタイミングT1において短い時間だけ電源キーをオンにしたときの測位制御処理の動作を表わしている。
【0040】
図2に示すように、この実施形態の測位制御処理では、電源キー15をオフにした状態でも、電子機器1が持ち運ばれるなどして静止状態にない場合には、常時、第2処理部20が動作して、自律航法による位置測定が継続的に実行される。
【0041】
また、この実施形態の測位制御処理では、電源キー15がオン・オフ何れの場合でも、図2のタイミングTE1〜TE3に示すように、所定の周期(例えば30分)ごとにエフェメリス情報の受信処理が行われるようになっている。エフェメリス情報とは、GPS衛星の位置を特定するための航路情報であり、GPSの測位処理に必要な情報である。エフェメリス情報は、一度、受信して記憶しておけば、1つのGPS衛星の位置を算出するのに数時間は使用できる。従って、この間欠的な受信処理で記憶したエフェメリス情報を使用することで、任意のタイミングに測位要求があっても短時間のうちに測位演算を行って位置データを求めることが可能となる。
【0042】
上記のエフェメリス情報の受信処理の際には、複数のGPS衛星から測位符号も受信されるので、この測位符号の受信に基づき測位演算も行って位置データが求められるようになっている。従って、このエフェメリス情報の受信地点は、GPSの位置測定が行われる地点ともなり、自律航法の測位処理における基準地点とされる。
【0043】
上気のエフェメリス情報の受信処理や測位演算の際には、例えば、電子機器1がビルの谷間に位置するなどして電波の捕捉できるGPS衛星が少なく制限されている場合に、所定の処理時間(例えば40秒)内に全ての処理が完了しない場合が生じえる。従って、このような場合には、途中で処理を終了させる。
【0044】
なお、上記のエフェメリス情報を受信する周期は、一定期間とするのではなく、例えば、測位演算に使用できる有効なエフェメリス情報が多く残っていれば次の受信までの期間を長くし、有効なエフェメリス情報が少なくなっていれば次の受信までの期間を短くするなど、所定条件で受信周期が変化するようにしてもよい。
【0045】
この実施形態の電子機器1では、電源キー15をオンする操作がGPSの測位要求となるように設定されている。図2に示すように、タイミングT1で電源キー15がオンされると、サブCPU21はGPSによる測位処理を開始し、上記の記憶されているエフェメリス情報を用いて短時間のうちに位置の測定を遂行する。GPSによる位置の測定が完了したら、その測定結果データが測位要求に応じた位置データとして時刻情報と対応付けられて不揮発性メモリ24に記憶する。
【0046】
一方、電源キー15のオン操作があってGPSの位置測定の処理が開始された後、極短時間のうちに電源キー15がオフ状態に切り替えられた場合には、この間にGPSの測位処理が完了しない場合が生じえる。
【0047】
また、電源キー15のオン操作があってGPSの位置測定の処理が開始された際に、有効なエフェメリス情報が余り保持されていなかったり、ビルの谷間などで電波の捕捉できるGPS衛星が少なく制限されたりした場合には、測位処理に掛かる時間が長くなって、所定の処理時間(例えば20秒〜60秒)以内にGPSの測位処理が完了しない場合が生じえる。
【0048】
従って、このような場合には、GPSの位置データの代わりに自律航法の測位によって求められている位置データを、測位要求に応じた位置データとして取得し、これを時刻情報と対応づけて不揮発性メモリ24に記憶するようになっている。このような位置データの代替的な取得によって、GPSの測位処理が適切に遂行されなかった場合でも、測位要求に対応する位置データの欠落が回避されるようになっている。
【0049】
続いて、上述した測位制御処理を実現する制御手順の一例をフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
図3〜図7には、サブCPU21により実行される測位制御処理のフローチャートを示す。
【0051】
この測位制御処理は、サブCPU21の電源投入とともに開始されて、常時、実行されるものである。また、このフローチャートにおいて、ステップS1〜S3の処理は、サブCPU21のソフトウェア処理ではなく、サブCPU21の起動状態を制御するステータスレジスタ中の機器オンフラグと、3軸加速度センサ28からサブCPU21へ出力される起動制御信号とに基づくハードウェア処理を表わしている。
【0052】
すなわち、サブCPU21は、電子機器1の電源の切換え状態を示す機器オンフラグが電源オンを示す値「1」であれば起動状態にされ、電源オフを示す値「0」であればスリープ状態に移行可能な状態にされる。さらに、機器オンフラグが「0」の状態において、3軸加速度センサ28の起動制御信号が無効レベルであればスリープ状態へ移行し、有効レベルになればスリープ状態が解除される。
【0053】
従って、先ず、機器オンフラグの判別(ステップS1)によって電子機器1(図3で「情報機器」と記す)の電源がオンであれば、サブCPU21は起動状態にあるので、サブCPU21はステップS6の処理から実行する。一方、電子機器1の電源がオフであれば、3軸加速度センサ28の起動制御信号による制御(ステップS2)によって、電子機器1が移動状態にあるか静止状態にあるか判別される(ステップS3)。そして、起動制御信号が無効レベルであれば(ステップS3で“No”)、サブCPU21はスリープ状態のままとなり、3軸加速度センサ28の起動制御信号が有効レベルとなれば(ステップS3で“Yes”)、サブCPU21は起動して、ステップS4の処理から実行する。
【0054】
その結果、ステップS4から処理が開始されたら、サブCPU21は、先ず、自己の起動処理を行い(ステップS4)、続いて、3軸加速度センサ28や3軸地磁気センサ29など第2処理部20の電源をオンする処理を行う(ステップS5)。そして、ステップS6へ移行する。
【0055】
ステップS6へ移行したら、サブCPU21は、まず、自律航法による測位の処理(S6〜S8)を実行する。すなわち、3軸加速度センサ28と3軸地磁気センサ29により加速度と方位の検出を行わせ(ステップS6)、その検出データを自律航法制御処理回路30へ送って現在位置データを算出させる(ステップS7)。そして、自律航法制御処理回路30により位置データが求められたら、この位置データを補正前の移動軌跡データとして不揮発性メモリ24へ記憶させる(ステップS8)。
【0056】
つまり、上記のステップS6〜S8の処理が、ステップS6〜S11等のループ処理により繰り返し行われることで、サブCPU21が起動している期間に常に自律航法の測位処理が背後で継続的に実行される。すなわち、これらの処理が第2測定制御ステップを構成する。
【0057】
自律航法の測位処理を行ったら、次に、サブCPU21は、電子機器1の電源状態に応じた分岐処理を行う(ステップS9)。そして、電源の切り換わりがなければステップS10へ、オフからオンへの切り換わりがあれば電源オン時の処理(図4のステップS21〜S27)へ、オンからオフへの切り換わりがあれば電源オフ時の処理(図5のステップS31〜S36)へ、それぞれ移行する。
【0058】
先ず、電源オン時の処理について説明する。ステップS9の判別処理で電源オン時の処理(図4のステップS21〜S27)へ分岐したら、先ず、サブCPU21は、電子機器1の電源状態を示す機器オンフラグを「1」にセットし(ステップS21)、次いで、メインCPU11との間で指令や情報のやり取りが可能なように電子機器1(「情報機器」と記す)の起動に対応する処理(ステップS22)を行う。さらに、サブCPU21は、GPS受信回路26の電源が既にオンになっているか確認し(ステップS23)、オフであれば電源オンにする(ステップS24)。
【0059】
続いて、サブCPU21は、電源オン操作に基づく測位要求の発行を表わす位置データ要求フラグを「1」に設定し(ステップS25)、GPS受信回路26にGPS衛星からの電波を受信させるとともに自ら位置の演算処理(GPS測位演算)を開始する(ステップS26:第1測定制御ステップ)。ここでの測位演算では、サブCPU21は、不揮発性メモリ24に記憶されているエフェメリス情報を用いて位置の演算を行う。また、GPS受信回路26によりGPS衛星の電波受信を行わせるので、これに伴って間欠受信制御回路27へエフェメリス情報の受信開始指令を発行して(ステップS27)、エフェメリス情報の受信も開始させる。そして、これらの処理を開始したら、ステップS6に戻る。
【0060】
つまり、上記のステップS25,S26の処理により、電源オン操作がなされたときに位置データの要求(測位要求)がなされ、GPSによる位置の測定処理が開始されるようになっている。
【0061】
次に、電源キー15の切り換わりがない時の処理について説明する。電子機器1の電源キー15がオンのまま或いはオフのままであり、ステップS9の判別処理でステップS10へ移行したら、先ず、サブCPU21は、GPS受信回路26が作動中でGPS衛星からの信号受信中であるか否かを判別する(ステップS10)。その結果、受信中でなければ前回のエフェメリス情報の受信から一定時間(例えば30分)が経過したか判別し(ステップS11)、経過していなければそのままステップS6へと戻る。
【0062】
一方、ステップS11で時間経過と判別された場合には、順次、間欠受信制御回路27へのエフェメリス情報の受信開始指令の発行(ステップS12)と、サブCPU21自らの位置の演算処理(GPS測位演算)の開始(ステップS13)とを行った後に、間欠受信に対応する信号受信の制御ステップ(図7のステップS61〜S70)へ移行する。
【0063】
また、ステップS10の判別処理で信号受信中と判別されたら、RAM23中の位置データ要求フラグの値を確認して、これが「1」であるか否かを判別する(ステップS14)。そして、「1」であれば測位要求に対応した信号受信の制御ステップ(図6のステップS41〜S53)へ移行するが、「1」でなければエフェメリス情報の間欠受信に対応した信号受信の制御ステップ(図7のステップS61〜S70)へ移行する。
【0064】
位置データ要求フラグが「1」で、測位要求に対応した信号受信の制御ステップへ移行すると、先ず、サブCPU21は現在の処理ステータスが位置演算処理中であるか確認し(ステップS41)、処理中であれば処理時間が制限時間(例えば20秒〜60秒の範囲内の設定値)を超えたか判別する(ステップS42)。
【0065】
さらに、制限時間を超えていなければ位置演算が終了したか確認し(ステップS43)、位置演算が終了していれば、順次、算出された位置データを現在時刻データと対応づけて不揮発性メモリ24の測位要求に応じた記憶領域に記憶させ(ステップS44:位置データ取得ステップ)、RAM23中の位置データ要求フラグを「0」に設定する(ステップS45)。さらに、自律航法測位の基準ポイント(基準地点)の位置データを更新し(ステップS46)、この位置データを自律航法誤差補正処理回路31へ送って自律航法測位で過去に求められた位置データの補正処理を実行させる(ステップS47)。そして、次の処理ステップS50〜S54へ移行する。
【0066】
一方、ステップS42で制限時間を超えたと判別されたら、GPSによる位置の演算を途中で終了させるとともに、図3のステップS8で記憶している自律航法の位置データのうち最新のものを読み出して、この位置データを測位要求に応じた位置データとして、現在時刻データと対応づけて不揮発性メモリ24に記憶させる(ステップS48:位置データ取得ステップ)。そして、RAM23中の位置データ要求フラグを「0」に設定して(ステップS49)、ステップS6へ戻る。
【0067】
なお、制限時間を超えたと判別された場合には、自律航法の位置データを代わりに取得するステップS48,S49の処理を実行する一方、GPSによる位置の演算は途中で終了させずに、そのまま続行させるようにしても良い。例えば、測位要求に応じた位置データの取得処理の制限時間が20秒で、エフェメリス情報の間欠受信に伴った位置データの取得処理の制限時間が40秒など、後者の方が長い場合には、20秒のGPS測位処理で位置データが取得されなかったら、自律航法の位置データを代替的に取得する一方、GPS測位処理はそのまま40秒になるまで継続して、GPSによる位置データが取得されたら、先に取得した自律航法の位置データを、GPSによる位置データに基づき補正してより正確なデータに修正するようにしても良い。
【0068】
また、上記のステップS41で位置演算処理中でないと判別されたら、そのまま次の処理ステップS50〜S54へ移行し、ステップS43で位置演算終了でないと判別されたらステップS6へ戻る。
【0069】
つまり、電源キー15のオン操作により測位要求が発行された後は、上記の位置演算に関する制御処理(ステップS41〜S49)が繰り返し実行されて、その間に位置の演算処理が制限時間を超過していないか、制限時間を超えていないか確認が行われ、位置の演算が終了すれば、GPSの位置データが測位要求に対応する位置データとして記憶される一方、制限時間中に位置の演算が終了しなければ、自律航法の位置データが代替的に測位要求に対応した位置データとして記憶されるようになっている。
【0070】
次へ移行したら、先ず、サブCPU21は現在の処理ステータスがエフェメリス情報の受信処理中か確認し(ステップS50)、処理中であれば処理時間が制限時間(例えば20秒〜60秒の範囲内の設定値)を超えたか判別する(ステップS51)。さらに、超えていなければ間欠受信制御回路27に問い合わせてエフェメリス情報の受信が終了したか確認する(ステップS52)。そして、受信が終了していれば、このエフェメリス情報を不揮発性メモリ24へ記憶させて(ステップS53)、次のステップS54へ移行する。一方、ステップS50でエフェメリス情報の受信中でないと判別されたら、そのまま次のステップS54へ移行し、ステップS51,S52で制限時間の超過または受信の未終了と判別されたらステップS6へ戻る。
【0071】
そして、位置の演算処理やエフェメリス情報の受信が終了したら、ステップS54に移行して、サブCPU21が自らスリープ状態に移行する処理を行う。ここで、電子機器1の電源がオフで3軸加速度センサ28の起動制御信号が無効レベルであれば、サブCPU21はスリープ状態へ移行して、第2処理部20の電源もオフにされる。そして、ステップS2,S3の起動待ちの処理状態へ移行する。一方、電子機器1の電源がオンであるか、或いは、3軸加速度センサ28の起動制御信号が有効レベルであれば、サブCPU21はスリープ状態へ移行せずに、ステップS6からの処理を続行する。
【0072】
図3のステップS13の後、或いは、図3のステップS10,S14でGPS信号の受信中で且つ位置データ要求フラグが「0」と判別された場合には、エフェメリス情報の間欠受信に対応する信号受信の制御ステップ(図7)へ移行する。図7の処理は、前述した図6の制御処理から、測位要求に関する処理(ステップS44,S45,S48,S49)を省いたものであり、その他の処理内容および処理手順はほぼ同様のものである。
【0073】
異なる点は、ステップS62,S68の制限時間の超過を判別する処理おいて、その制限時間が例えば40秒と異なる時間になっている点と、ステップS64において位置演算が終了したら単純にその位置データによって現在位置を確定する処理行う点のみである。
【0074】
それゆえ、詳細な説明は省略するが、エフェメリス情報の間欠受信が開始されて、図7の処理が繰り返し行われることで、必要なエフェメリス情報の受信が完了したか、位置演算の処理が完了したか、或いは制限時間を超えていないか確認が行われ、受信が完了したり、位置演算の処理が完了すれば、それに応じた処理がなされるようになっている。
【0075】
次に、電源オフ時の処理について説明する。電源キー15がオンからオフに切り替えられて、ステップS9の判別処理で電源オフ時の処理(図5のステップS31〜S36)へ分岐したら、先ず、サブCPU21は、RAM23中の位置データ要求フラグを確認して、この値が「1」であるか判別する(ステップS31)。その結果、「1」でなければ、そのままステップS34へジャンプするが、「1」であれば、図3のステップS8で記憶している自律航法の位置データのうち最新のものを読み出して、この位置データを現在時刻データと対応づけて不揮発性メモリ24の測位要求に応じた記憶領域に記憶させる(ステップS32:位置データ取得ステップ)。そして、RAM23中の位置データ要求フラグを「0」に設定する(ステップS33)。
【0076】
つまり、このステップS31〜S33の処理により、電源キー15がオンされて測位要求が発行された後、極短時間に電源キー15がオフに切り替えられて、GPSの測位処理が完了できなかった場合には、自律航法により得られた位置データが代替的に取得されるようになっている。
【0077】
続いて、サブCPU21は、電子機器1の電源状態を示す機器オンフラグを「0」にセットし(ステップS34)、次いで、メインCPU11との通信状態を終了するなど電子機器1(「情報機器」と記す)の電源オフに対応する処理(ステップS35)を行って、サブCPU21が自らスリープ状態に移行する処理を行う(ステップS36)。そして、電子機器1が静止状態にあって3軸加速度センサ28の起動制御信号が無効レベルになっていれば、サブCPU21はスリープ状態へ移行して、第2処理部20の電源もオフにされる。そして、ステップS2,S3の起動待ちの処理状態へ移行する。一方、3軸加速度センサ28が加速度変化を検出していて起動制御信号が有効レベルであれば、サブCPU21はスリープ状態へ移行せずに、ステップS6からの処理を続行する。
【0078】
上記の測位制御処理によれば、図2の説明図に示したような、自律航法による位置の測定が継続的に実行されるとともに、エフェメリス情報の受信処理が間欠的に行われて、GPSによる位置の測定が短時間で遂行できる状態が実現される。そして、電源キー15がオンされて測位要求がなされた際には、速やかにGPSによる位置測定がなされて位置データが取得されるか、或いは、GPSによる位置の測定が適切に行われない場合には自律航法の位置データが代替的に取得されるようになっている。
【0079】
以上のように、この実施形態の電子機器1およびその測位制御の方法によれば、自律航法による位置データの代替的な取得が行われるので、測位要求に応じて開始されたGPSの測位処理が適切に遂行できなかった場合でも、測位要求に応じた位置データの欠落が生じない。
【0080】
また、この実施形態の電子機器1では、電源オンの操作により測位要求が出されて、電源オンからオフするまでの期間にGPSの測位処理が完了しなかった場合に、自律航法の位置データが代替的に取得される構成なので、電源オンしたときの位置データを他と区別して残すことができ、さらに、電源が極短時間に切られたときでもこの位置データの欠落が生じることがない。
【0081】
また、この実施形態の電子機器1では、電源オフのときでも機器が持ち運ばれているなど機器の動きが検知されているときには、自律航法による継続的な位置の測定および間欠的なエフェメリス情報の受信処理が実行されるが、電源オフで3軸加速度センサ28により機器の動きも検知されないときには、これら自律航法による位置の測定やエフェメリス情報の間欠受信も停止されるようになっている。従って、完全に使用されていない場合の動作が停止されて無駄な電力消費を省くことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態では、GPS衛星を利用した測位処理を適用した例を示したが、GPS以外の測位衛星を利用した測位処理を同様に適用することもできる。また、上記実施形態では、自律航法による測位処理として、3軸加速度センサと3軸地磁気センサの検出に基づき歩行者の移動方向と移動量を求めて位置データを算出する構成を示したが、ジャイロセンサや車両の速度センサを用いて車両の移動方向と移動量を求めて位置データを算出する構成を適用しても良い。
【0083】
また、上記実施形態では、電源キー15のオン操作で測位要求が発行される例を示したが、例えば、撮影操作によって測位要求が発行されて、所定時間以内に測位衛星による測位処理が完了しなかった場合に、自律航法の位置データを代替的に取得するように構成するようにしても良い。その他、実施形態で示した細部構成および細部方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 電子機器
10 第1処理部
15 電源キー(電源操作部)
20 第2処理部
21 サブCPU(コンピュータ、第1測位手段、測定制御手段)
22 ROM
23 RAM
24 不揮発性メモリ
25 GPS受信アンテナ(受信手段)
26 GPS受信回路(受信手段)
28 3軸加速度センサ(動き検出手段、第2測位手段)
29 3軸地磁気センサ(第2測位手段)
30 自律航法制御処理回路(第2測位手段)
35 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星から信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定を行う第1測位手段と、
移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定を行う第2測位手段と、
外部から操作入力を受け付ける操作部と、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させるとともに、所定の条件で前記第1測位手段による位置の測定を実行させる測定制御手段と、
を備え、
前記測定制御手段は、
前記操作部を介して測位要求がなされた際に、前記第1測位手段による位置の測定を実行させ、この第1測位手段による位置の測定が遂行された場合に、この第1測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、
前記第1測位手段による位置の測定が遂行されなかった場合には、前記第2測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する
ことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記操作部には、一部の電源供給をオン・オフする電源操作部が含まれ、
前記測位要求は、前記電源操作部による電源オンの操作により発生する構成であることを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項3】
前記測定制御手段は、
前記電源操作部による電源オンの操作から次の電源オフの操作までに前記第1測位手段による位置の測定が遂行されなかった場合に、前記第2測位手段の測位結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得することを特徴とする請求項2記載の測位装置。
【請求項4】
動きの有無を検出する動き検出手段を備え、
前記測定制御手段は、
前記動き検出手段の検出に基づき当該測位装置が静止状態にないと判別される期間に前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる一方、
前記動き検出手段の検出に基づき当該測位装置が静止状態にあると判別される期間に前記第2測位手段による位置の測定を停止させる
ことを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項5】
測位衛星から信号を受信する受信手段と、前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定が可能な第1測位手段と、移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定が可能な第2測位手段とを用いて位置の測定を行う測位方法であって、
測位要求に応じて前記第1測位手段による位置の測定を実行させる第1測定制御ステップと、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる第2測定制御ステップと、
前記第1測定制御ステップによる位置の測定が遂行された場合にこの測定の結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、前記第1測定制御ステップによる位置の測定が遂行されなかった場合には前記第2測定制御ステップの測定結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する位置データ取得ステップと、
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項6】
測位衛星から信号を受信する受信手段と、前記受信手段を介して受信される前記測位衛星の信号に基づいて位置の測定が可能な第1測位手段と、移動方向と移動量とを計測してこれら移動方向と移動量からなる移動ベクトルを積算することで相対的な位置の測定が可能な第2測位手段とを制御するコンピュータに、
測位要求に応じて前記第1測位手段による位置の測定を実行させる第1測定制御機能と、
前記第2測位手段による位置の測定を継続的に実行させる第2測定制御機能と、
前記第1測定制御機能による位置の測定が遂行された場合にこの測定の結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する一方、前記第1測定制御機能による位置の測定が遂行されなかった場合には前記第2測定制御機能の測定結果データを前記測位要求に応じた位置データとして取得する位置データ取得機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−164089(P2011−164089A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236963(P2010−236963)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】