説明

測定データの判定方法および測定データの判定プログラム

【目的】本発明は、定データの判定方法および測定データの判定プログラムに関し、複合的に判定する機能を実現することを目的とする。
【構成】取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上の測定対象のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準をそれぞれ作成して判定基準テーブルに登録するステップと、取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準に対応する測定データをそれぞれ算出するステップと、算出した複数の測定データについて、前記判定基準テーブルから取り出した複数の判定基準をもとにそれぞれ良否を判定するステップと、判定した判定結果を出力するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型電子顕微鏡を用いて測定したサンプル上のパターンの測定データの判定方法および測定データの判定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走査型電子顕微鏡を用いた測長装置において、マスク上に描画されたパターンの寸法の測定値が異常である異常点の判定は、デザイン値(CADデータなどの設計データ)と実際の測定値との差(デルタ)や、測定できているかどうか(位置ずれやフォーカスボケなどにより測定エラーになっていないか)を判定基準にしていた。
【0003】
例えば図7の従来技術の説明フローチャートに示すように、サンプルに応じたデルタの許容値を含むレシピを作成し(S21)、次に、測定を行い(S22)、測定が失敗しなかった場合はデルタの許容値を元に測定の判定を行い、測定が失敗した場合とデルタが許容値を超えた場合は異常点と判定する(S23)。測定終了後、全測定の集計を行い(S24)、結果を表示していた(S25)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の測定方法では、デルタの許容値を用いて異常点を判定しており、デルタを算出するにはデザイン値が必要であり、サンプルによってはデザイン値が分からないものもあり、測定値の良否の判定が不可となってしまうという問題があった。
【0005】
また、デザイン値があっても、チャージやデフォーカスなどの要因によって画像が歪んだりなどしてパターンの測定値がエラーとなったり、測定値は所定範囲内ではあるが正しい値ではない場合などの発生を防止できないなどの問題が発生した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するため、デザイン値がわからなく、またデザイン値はわかっても外部要因により画像が歪んだりなどした場合には、その他の評価方法が必要、例えば画質評価値(SN比)やフォーカス値などを用いた画像の評価方法が考えられるが、各評価方法(評価値)の単体ではサンプルによっては異常点を判定できない場合も更にあり、そのためにそれぞれの評価値(判定基準)の許容値を設定し、複合的に判定する機能が要望されている。
【0007】
本発明は、そのために、走査型電子顕微鏡を用いて測定したサンプル上のパターンの測定データの判定方法において、サンプルから画像および必要に応じて画像取得時のフォーカス情報を含む画像情報を取得するステップと、取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上の測定対象のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準をそれぞれ作成して判定基準テーブルに登録するステップと、取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準に対応する測定データをそれぞれ算出するステップと、算出した複数の測定データについて、判定基準テーブルから取り出した複数の判定基準をもとにそれぞれ良否を判定するステップと、判定した判定結果を出力するステップとを有する。
【0008】
この際、フォーカスは、サンプル上の基準位置におけるフォーカス値から予想されるパターンの位置の予想フォーカス値と、サンプル上のパターンの位置における実際のフォーカス値との差とするようにしている。
【0009】
また、デルタ、SN、シュルダ、スロープ値/テーパ幅は、サンプル上のパターンの信号強度分布からそれぞれ算出するようにしている。
【0010】
また、判定基準テーブルにはサンプルに対応づけて測定データの良否を判定する複数の判定基準を登録し、判定時には登録されている複数の判定基準をもとに良否の判定を行い、登録されていない判定基準については良否の判定を行わないようにしている。
【0011】
また、良否の判定で否と判定されたパターンについて、測定する分割数を増やす、足し合わせるサミング数を増やす、および信号波形の最大値/最小値を所定の閾値に変える、のいずれか1つ以上を実行して測定精度を向上させ、再測定して良否を再判定するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、デザイン値がわからなく、またデザイン値はわかっても外部要因により画像が歪んだりなどした場合には、その他の評価方法が考えられるが、各評価方法(評価値)の単体ではサンプルによっては異常点を判定できない場合も更にあり、そのためにサンプルに応じた評価値(判定基準)の許容値をそれぞれ設定し、複合的に判定して判定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、デザイン値がわからなく、またデザイン値はわかっても外部要因により画像が歪んだりなどした場合には、その他の評価方法が考えられるが、各評価方法(評価値)の単体ではサンプルによっては異常点を判定できない場合も更にあり、そのためにそれぞれのサンプルに応じた評価値(判定基準)の許容値をそれぞれ設定し、複合的に判定して判定精度を向上させることを実現した。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
【0015】
図1において、SEM1は、走査型電子顕微鏡の鏡筒であって、ここでは、当該SEM1の鏡筒を測長装置に用いたものである。SEM1の鏡筒は、公知の電子銃、集束レンズ、対物レンズ、走査コイルなどから構成され、電子銃から放出された電子線ビームは、集束レンズで集束され、当該集束された電子線ビームが更に対物レンズでサンプル3上にフォーカス(焦点合わせ)され、フォーカスされた状態で走査コイルにより平面上でX方向およびY方向に走査される。そして、電子線ビームがサンプル3上を走査されたときに放出された2次電子、反射した反射電子、吸収した吸収電子などが図示外の検出器で検出され、表示装置60の画面上に拡大された像(例えば2次電子画像など)を表示する。
【0016】
試料室2は、サンプル3、ステージ4などを収納する真空の容器であって、ここでは、SEM1を構成する対物レンズにより電子線ビームを集束して走査するサンプル3、サンプル3を搭載してX方向、Y方向に図示外のレーザ干渉計で精密に位置測定しつつ移動させるステージ4などを真空中に収納する容器である。
【0017】
サンプル3は、マスク、ウェハなどのサンプルであって、ここでは、マスク、ウェハ上に形成された微細なパターンを持つサンプルである。
【0018】
ステージ4は、サンプル3を所定位置に正確に移動させるものであって、図示外の公知のレーザ干渉計により位置をそれぞれ計測しながら移動させるものである。
【0019】
パソコン5は、SEM1、ステージ4などをプログラムに従い制御するコンピュータであって、判定基準作成手段51、画像取得手段52、測定手段53、比較手段54、評価手段55、判定基準設定テーブル56、CADデータ57、測定結果ファイル58、入力装置59、および表示装置60などから構成されるものである。
【0020】
判定基準作成手段51は、サンプルに対応づけて当該サンプル上に形成されたパターンの判定基準を作成し、判定基準設定テーブル56に登録するものである(後述する図2から図6参照)。
【0021】
画像取得手段52は、SEM1,ステージ4などを制御し、CADデータ57(CADデータがないときはサンプル3上の所定基準位置をもとに指定されたパターンの座標情報)をもとにサンプル3である例えばマスク上のパターンを所定位置に位置づけ、当該位置づけた状態で電子線ビームをフォーカスして走査し、画像を取得するものである(後述する図2から図6を参照)。
【0022】
測定手段53は、画像取得手段52によって取得した画像をもとに、パターンの測長などを行うものである(後述する図2から図6を参照)。
【0023】
比較手段54は、測定手段53で測定した結果を、判定基準設定テーブル56を参照して比較し、良否を判定するものである。
【0024】
評価手段55は、比較手段54で比較した結果をもとに、評価を行うものである(後述する図2から図6を参照)。
【0025】
判定基準設定テーブル56は、サンプル3に対応づけて複数の判定基準を予め設定したものである(後述する図3などを参照)。
【0026】
CADデータ57は、サンプル3上に形成したパターンのCADデータであって、設計データの一例である。
【0027】
測定結果ファイル58は、測定結果を格納するファイルである(後述する図6を参照)。
【0028】
入力装置59は、表示装置60上から各種データを入力したり、指示したりなどするものであって、マウス、キーボード、タッチパネルなどである。
【0029】
表示装置60は、画像などを表示する表示装置である。
【0030】
次に、図2のフローチャートの順番に従い、図1の構成の全体の動作を説明する。
【0031】
図2は、本発明の動作説明フローチャートを示す。
【0032】
図2において、ステップS1は、CADデータを取得する。これは、指定されたマスクの設計データであるCADデータを取得する。尚、CADデータがないときは、サンプル3上の測定対象のパターンの座標データなどを取得する。
【0033】
ステップS2は、測定箇所の指定を行う。これは、ステップS1で取得したCADデータなどの上で、測定箇所を利用者が指定、あるいは予め指定された測定箇所(光学顕微鏡などの低倍率の画像で観察して指定された測定箇所(測定座標))を取り込む。
【0034】
ステップS3は、マスクの画像を取得する。これは、図1の画像取得手段52が、ステップS2で指定された測定箇所を含む画像(例えば2次電子画像)を取得する。
【0035】
ステップS4は、パターンの測定を行う。これは、ステップS3で取得した画像の信号強度分布をもとに、指定されたパターンの測定データの測定(算出)を行う。
【0036】
ステップS5は、比較する。これは、図1の比較手段53が、ステップS4で算出したパターンの測定データと、ステップS1で取得したCADデータの値(設計値)とを比較する。ここでは、例えばパターンのライン幅を算出する場合には、各測定点の近傍の20ラインの信号強度分布から各測定点のパターンを横切る幅(平均の幅(測定値))をそれぞれ算出し、更にこれら算出した幅(測定値)とCADデータとをそれぞれ比較する。尚、フォーカス値については、マスク上の基準点のフォーカス値から予想される予想フォーカス値と、当該マスク上の各パターンのフォーカス値との差をそれぞれ算出して比較する。
【0037】
ステップS6は、平均を算出する。これは、ステップS5で比較した複数の測定値と、CADデータとの平均を算出する。ここでは、判定種別(デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、テーパ幅/スロープ値などの判定種別)についてそれぞれ平均を算出し、当該平均をもとに許容値を加味した判定基準データ(良否を判定するための判定基準データ)を算出、例えば、
判定種別 : 判定基準データ
・デルタ : ±30nm
・フォーカス: 予想値からのずれ量が2310/216以内
・SN : 2.213以上
・ショルダ : 21nm以内
・その他(テーパ幅/スロープ値):(T1〜T2)nm/(S1〜S2)
のように算出する。尚、フォーカスは、マスク上の基準点のフォーカス値から予想される予想フォーカス値と、パターン上の実際のフォーカス値との平均を求め、当該平均をもとに許容値を加味して判定基準データとして算出する(通常のマスクの平坦度であれば許される範囲内(平均値に実験で求めた許容値を加味した値)を判定基準データとして算出する)。
【0038】
ステップS7は、ステップS6で算出したマスク上の全パターンの測定種別(ライン、スペース、ドットなどの測定種別)毎の判定基準データを登録する。これにより、サンプル上のパターンについて、当該パターン(測定種別毎)の良否を判定する判定基準データを算出して登録することが可能となる。
【0039】
以上のステップS1からステップS7により、マスク上のサンプル毎(更に測定種別毎)の測定データを求め、当該測定データから平均を算出して許容値を加味して判定基準データを算出して判定基準設定テーブル56に図3に示すように判定種別毎(デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、テーパ幅/スロープ値)に登録することが可能となる。
【0040】
次に、マスク上のパターンの測長時の動作を説明する。
【0041】
ステップS8は、評価する。これは、ステップS1からS4で測定した測定値と、既述した図3の判定基準設定テーブル56に登録されている当該測定対象のマスクに適用される判定基準データとを比較して評価する(良否を判定する)。例えばステップS1からS4で測定したパターンの幅の測定値が図3の判定基準設定テーブル56の判定名aaa_bbbのエントリのデルタの値の範囲内にあるときは良、範囲外のときは否と判定する。他の判定種別(フォーカス、SN,ショルダ、テーパ幅/スロープ)についても同様に良否を判定する。
【0042】
ステップS9は、結果を表示する。これは、ステップS8で評価した結果(良否)および総合結果(1つでも否があるときは総合結果が否)を表示する。
【0043】
以上のステップS1からS4、S8、S9により、マスク上のパターンについて測定種別毎(ライン、スペース、ドットなどの測定種別毎)に測定した実測値について、当該マスクに対応する図3の判定基準設定テーブル56のエントリの判定種別毎の基準データをもとに各判定種別毎の良否を判定し、更に総合結果を判定することが可能となる。これにより、1つの判定種別ではなく、図3の判定基準設定テーブル56に設定した判定種別の基準データに従い複合的に総合判定(CADデータがないときはデルタの基準データなしなど)することを自動的に行うことが可能となる。
【0044】
図3は、本発明の判定基準設定テーブル例を示す。図示の判定基準設定テーブル56は、既述した図2のステップS1からS7の手順で登録されたものであって、マスクに対応づけて判定名を登録し、当該判定名で指定されたエントリの基準データをもとに、既述した図2のステップS1からS4、S8、S9の手順でマスク上のパターンの測定値の良否、更に、複合的な総合結果を自動判定することが可能となる。
【0045】
ここで、判定名は、マスクに対応づけた判定名であって、下段に記載したように、マスクの種類(ハーフトーン、バイナリマスク)、マスクメーカ(A社、B社)などにより分類した判定名である。
【0046】
デルタ、フォーカス、SN、ショルダ、テーパ幅/スロープ値は、判定種別であって、マスク上のパターンの測定値の良否を判定する判定種別である。
【0047】
デルタは、CADデータと、実測値との差をもとに良否を判定する基準である。
【0048】
フォーカスは、マスク上の基準点のフォーカス値から予想される予想フォーカス値と、パターンの測定点における実際のフォーカス値との差をもとに良否を判定する基準である(基準データを超えたときは否、超えないときは良と判定)(図5参照)。ここで、例えば2310は、216分の2310を表す、デフォーカス量がこれ以下のときは良(フォーカスされている)、以上のときは(フォーカスされていない)と判定する。
【0049】
SNは、パターンの信号強度分布上のエッジ部分の最大ピークと、最小ピークとの比であって、例えば2.213以上のときは良、以下のときは否と判定する基準データである(図4参照)。
【0050】
ショルダは、図4に示すように、パターンのエッジ部分のショルダ(肩)部分の幅である。
【0051】
テーパ幅は、図4の信号強度分布の最大ピーク(あるいは所定閾値1)と最小ピーク(所定閾値2)との間の幅である。スロープ値は、例えば図4の信号強度分布の((閾値0.9のときのパターン幅)−(閾値0.1のときのパターン幅))/(09.−0.1)である(特願2005−194819号参照)。これらテーパ幅、スロープ値が所定範囲(基準データ)内のときに良、それ以外のときに否と判定する。
【0052】
図4は、本発明の説明図(その1)を示す。
【0053】
図4の(a)は、画像例を示す。図示の画像は、マスクのパターン上のラインの画像(2次電子画像)を示す。
【0054】
図4の(b)は、図4の(a)のラインの信号強度分布の例を示す。図4の(a)の画像(2次電子画像)の場合には、ラインの両端で上方向と下方向の図示の信号波形がそれぞれ得られる。そして、当該信号波形上で既述したデルタ、SN,ショルダ、テーパ幅/スロープ値をそれぞれ測定する。
【0055】
デルタの場合には、ラインの幅を測定する場合、ラインの左と右のエッジ部分の例えば最大ピークの間の幅を測定する(実際は、測定点のラインの近傍の20ラインについて測定してその平均値を求めて実測値とする)。測定した実測値と、CADデータ上のデータとの差がデルタとなり、基準データの範囲内のときに良、範囲外のときに否と判定する。
【0056】
フォーカスは、図4の(a)の画像を取得したときのフォーカス電流(対物レンズのレンズ電流値)と、マスクの基準点にフォーカスしたときのフォーカス電流(対物レンズのレンズ電流値)から予想される予想フォーカス値との差である。当該差が、基準データの範囲内のときにフォーカスは良、それ以外は否と判定する。
【0057】
SNは、ラインのエッジ部分の最大ピークの値Sと、最小ピークの値Nとの比である。パターンの信号強度分布のSNが、SNの基準データよりも大きいときは良、小さいときは否と判定する。
【0058】
ショルダは、信号強度分布の図4の(b)の図示の肩の部分の幅(最大ピークと最小ピークとの幅)である。パターンの信号強度分布のショルダの値が、ショルダの基準データの値より小さいときは良、大きいときは否と判定する。
【0059】
テーパ幅/スロープ値は、既述したように、前者は信号強度波形の例えば最大ピーク値と最小ピーク値との幅、スロープ値は最大ピーク値と最小ピーク値との差を規格化した値である。パターンのテーパ幅/スロープ値が基準データの範囲内のときは良、範囲外のときは否と判定する。
【0060】
尚、良否の判定で否と判定されたパターンについては、その測定精度を向上させて再測定するために、測定する分割数を増やしたり、測定データの足し合わせるサミング数を増やしたり、更に、信号強度分布の波形の最大値/最小値を所定の閾値に変えたりなどして測定精度をより向上させ、再測定して良否の判定を向上させるようにする。
【0061】
図5は、本発明の説明図(その2)を示す。これは、各基準データの良否の判定方法をわかり易く図で表したものである。
【0062】
図5において、デルタ評価は、平均を中心に、左右に所定許容値を持つ基準データであって、これの範囲内のときは良(OK)、範囲外のときは否(NG)と判定する。
【0063】
フォーカス評価は、マスクの基準点のフォーカス電流値から予想される予想フォーカス値(予想フォーカス電流値)F0を中心に、ここでは、左右に2310ダックだけの許容値の範囲内のときは良(OK)、範囲外のときは否(NG)と評価する。ここで、2310ダックは、216ダックに対する割合が2310(10進数)を表す。尚、フォーカス評価の基準値(F0)は、通常周囲5点の平均値で表すが、これの精度を高める場合には測定点5点を更に増やしてフォーカス値の算出精度を高める。
【0064】
尚、マスクの複数の基準点のフォーカス電流値から算出した、パターンの測定点における予想される予想フォーカス電流値F0と、実際のパターンの測定点のフォーカス電流値との差を算出し、差が所定範囲内のときに良、所定範囲外のときに否と判定することにより、マスクの傾きによるフォーカス値に与える影響を除去している。この本願の実施例の方法の他に、マスクの複数の基準点のフォーカス電流値(マスクが傾いた場合のフォーカス電流値の違い)をもとに、マスクのパターンに実際に流す電流値を補正したり、測定した電流値(フォーカス電流値)を補正したりしなどし、マスクが傾むいていることによるフォーカス電流値の補正を行うようにしてもよい。
【0065】
SN評価は、既述した図4の測定対象のパターンのエッジ部分の最大ピークと最小ピークとの比であって、基準データSNよりも大きいときに良(OK),小さいときに比(NG)と評価する。
【0066】
ショルダ評価は、既述した図4の測定対象のパターンのエッジ部分の肩の幅(最大ピークと最小ピークとの幅)であって、所定ショルダ値よりも小さいときに良(OK).大きいときに否(NG)と評価する。
【0067】
テーパ幅/スロープ値は、測定対象のパターンのテーパ幅、スロープ値が所定範囲内(基準データ)のときは良(OK),範囲外のは否(NG)と評価する。
【0068】
図6は、本発明の測定結果ファイル例を示す。
【0069】
図6の(a)は、測定結果ファイル例を示す。ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0070】
・X座標:
・Y座標:
・条件番号:
・測定値:
・評価:
ここで、X座標、Y座標は、測定対象のパターンのX座標、Y座標(例えば中心座標)である。条件番号は、判定種別を表し、ここでは、1はライン、2はスペース、3はピッチ、4は横ラインをそれぞれ表す。測定値は、条件番号で表される判定種別の測定値である。評価は、総合評価であって、図3の判定基準設定テーブル56に設定されている全部の判定種別がOK(良)のときにOK(良)、1つでもNG(否)のときは当該NG(否)のType(図6の(b)で後述)を設定したものである。
【0071】
図6の(b)は、タイプがいずれのエラーであったかを表すテーブルを示す。ここでは、
Type1(1):デルタエラー
Type1(2):フォーカスエラー
Type1(3):SNエラー
Type1(4):ショルダエラー
をそれぞれ表す。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の動作説明フローチャートである。
【図3】本発明の判定基準設定テーブル例である。
【図4】本発明の説明図(その1)である。
【図5】本発明の説明図(その2)である。
【図6】本発明の測定結果ファイル例である。
【図7】従来技術の説明フローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1:SEM
2:試料室
3:サンプル
4:ステージ
5:パソコン
51:判定基準作成手段
52:画像取得手段
53:測定手段
54:比較手段
55:評価手段
56:判定基準設定テーブル
57:CADデータ
58:測定結果ファイル
59:入力装置
60:表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型電子顕微鏡を用いて測定したサンプル上のパターンの測定データの判定方法において、
サンプルから画像および必要に応じて画像取得時のフォーカス情報を含む画像情報を取得するステップと、
前記取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上の測定対象のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準をそれぞれ作成して判定基準テーブルに登録するステップと、
前記取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準に対応する測定データをそれぞれ算出するステップと、
前記算出した複数の測定データについて、前記判定基準テーブルから取り出した複数の判定基準をもとにそれぞれ良否を判定するステップと、
前記判定した判定結果を出力するステップと
を有する測定データの判定方法。
【請求項2】
前記フォーカスは、サンプル上の基準位置におけるフォーカス値から予想されるパターン位置における予想フォーカス値と、サンプル上のパターンの位置における実際のフォーカス値との差としたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の測定データの判定方法。
【請求項3】
前記デルタ、SN、シュルダ、スロープ値/テーパ幅は、サンプル上のパターンの信号強度分布からそれぞれ算出したことを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の測定データの判定方法。
【請求項4】
前記判定基準テーブルにはサンプルに対応づけて測定データの良否を判定する複数の判定基準を登録し、判定時には当該登録されている複数の判定基準をもとに良否の判定を行い、登録されていない判定基準については良否の判定を行わないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の測定データの判定方法。
【請求項5】
前記良否の判定で否と判定されたパターンについて、測定する分割数を増やす、足し合わせるサミング数を増やす、および信号波形の最大値/最小値を所定の閾値に変える、のいずれか1つ以上を実行して測定精度を向上させ、再測定して良否を再判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の測定データの判定方法。
【請求項6】
走査型電子顕微鏡を用いて測定したサンプル上のパターンの測定データの判定プログラムにおいて、
コンピュータに、
サンプルから画像および必要に応じて画像取得時のフォーカス情報を含む画像情報を取得するステップと、
前記取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上の測定対象のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準をそれぞれ作成して判定基準テーブルに登録するステップと、
前記取得した画像および必要に応じて取得した画像情報をもとに、サンプル上のパターンの、デルタ、フォーカス、SN,ショルダ、スロープ値/テーパ幅を含むうちから複数の判定基準に対応する測定データをそれぞれ算出するステップと、
前記算出した複数の測定データについて、前記判定基準テーブルから取り出した複数の判定基準をもとにそれぞれ良否を判定するステップと、
前記判定した判定結果を出力するステップと
結果を出力するステップと
を実行させる測定データの判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221740(P2012−221740A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86377(P2011−86377)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(591012668)株式会社ホロン (63)
【Fターム(参考)】