測定器具
【課題】内径、外径、間隙、板厚等の被測定箇所の寸法および真円度を正確かつ容易、安価に測定することができる測定器具を提供する。
【解決手段】本発明に係る測定器具11は、1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部12と、この測定部12のテーパー方向に沿って形成され、測定部12の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部15とを有することを特徴とする。測定部12の先端には挿入を容易にするガイド部13が設けられ、測定部12の後端には測定器具11全体を把持するための把持部14が設けられている。
【解決手段】本発明に係る測定器具11は、1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部12と、この測定部12のテーパー方向に沿って形成され、測定部12の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部15とを有することを特徴とする。測定部12の先端には挿入を容易にするガイド部13が設けられ、測定部12の後端には測定器具11全体を把持するための把持部14が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内径寸法、外径寸法、間隔寸法等の被測定箇所の測定および真円度、テーパー度等を測定するための測定器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、丸穴の内径寸法が公差範囲内に入っているか検査するために特許文献1に示されるような栓ゲージ(プラグゲージ)が用いられてきた。両頭式の栓ゲージの場合は一端に通り側、他端に止まり側のゲージ部(プラグ)がそれぞれ設けられ、通り側のゲージ部の直径が公差範囲の最小値、止まり側のゲージ部の直径が公差範囲の最大値に設定されている。
【0003】
通り側のゲージ部が丸穴に入って止まり側のゲージ部が丸穴に入らなければ丸穴の内径寸法は公差範囲内に入っており、通り側のゲージ部が丸穴に入らなければ穴の内径寸法は公差範囲よりも小さく、止まり側のゲージ部が丸穴に入れば丸穴の内径寸法は公差範囲よりも大きいことになる。
【0004】
一方、特許文献2に示すようなテーパーゲージも開発されている。このテーパーゲージは、テーパー状に形成された基板のテーパー方向に沿って目盛りを設けてあり、この基板を被測定箇所である内径部や間隙部等に挿入し、挿入された部分までの目盛りを読むことによって寸法を測定するものである。
【特許文献1】特開2001−116502号公報
【特許文献2】特開2001−343202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような栓ゲージでは丸穴の内径が公差範囲内に入っているか否かのみしか判定できず、正確な内径寸法を測定することができなかった。また、丸穴の真円度を測定することもできなかった。丸穴の内径寸法を精密に測定するには内径寸法用のダイヤルゲージとその保持機器類を用いる必要があり、測定が困難な上に設備面で高価であった。
【0006】
一方、特許文献2のようなテーパーゲージでは、そのテーパー度が多大なため、精密な測定には適さない。しかも、テーパーゲージの厚みが薄いため、丸穴の中に挿入した場合にはテーパーゲージが必ずしも丸穴の最大直径部に当てがわれず、測定誤差が生じる懸念があった。
【0007】
さらに、どちらの特許文献のものも丸穴の内径や間隙寸法を検査するものであり、例えば棒の外径や板厚等を測定することはできない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、内径、外径、間隙、板厚等の被測定箇所の寸法および真円度を正確かつ容易、安価に測定することができる測定器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る測定器具は、特許請求の範囲の請求項1に記載したように、1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部と、この測定部のテーパー方向に沿って形成され、測定部の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部とを有することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る測定器具は、請求項2に記載したように、上記測定部は丸穴状の被測定箇所の内径部に接触するテーパー円筒形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る測定器具は、請求項3に記載したように、上記測定部はその径方向の断面形状が楕円形であり、その長軸方向の頂点が上記被測定箇所の内径部に接触し、長軸方向の頂点付近の平均曲率が被測定箇所の半径以下であり、長軸方向の頂点付近以外の部分の平均曲率が被測定箇所の半径以上であることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明に係る測定器具は、請求項4に記載したように、1mm以下の公差範囲を必要とする外径および板厚状の被測定箇所を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部および測定直線部を有し、上記測定直線部と上記基準直線部との間にテーパー度1/10以下のテーパー角を付与し、上記測定直線部のテーパー方向に沿って寸法表示部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、測定部を被測定箇所に挿入し、テーパー棒状の測定部が止まった位置で寸法表示部の寸法を読み取ることにより、被測定箇所の寸法を正確かつ容易、安価に測定することができる。
【0014】
請求項2の構成によれば、特に丸穴状の被測定箇所の内径を正確かつ容易、安価に測定することができる。
【0015】
請求項3の構成によれば、測定部を丸穴状の被測定箇所の内径に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0016】
請求項4の構成によれば、被測定箇所を基準直線部と測定直線部との間に挟み、基準直線部と測定直線部との間のテーパーが狭まる方向に被測定箇所を移動させて被測定箇所が止まった位置で寸法表示部の寸法を読み取れば、被測定箇所の寸法を正確かつ容易に測定することができる。また、被測定箇所が丸棒状である場合には、その軸方向を中心に丸棒を90°回転させて2回測定することにより真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0018】
[第1実施例]
図1は、本発明に係る測定器具の第1実施例を示す側面図、図2は図1のII矢視図、図3は図1のIII-III線に沿う縦断面図である。
【0019】
この測定器具11は、例えばΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部12と、この測定部の先端に一体的に設けられたガイド部13と、測定部12の後端に一体的に設けられた把持部14とを備えて構成されている。
【0020】
測定部12は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成されており、その長さは例えば110mmとされ、測定部12の径方向の断面形状は真円形である。そして、測定部12のテーパー方向に沿って目盛状の寸法表示部15が形成されている。この寸法表示部15の各目盛は、その位置における測定部12の外径に正確に対応しており、測定部12の丸穴に挿入された部分の最大太さを寸法表示することができる。
【0021】
寸法表示部15の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部15の先端部における測定部12の直径が19.50mm、寸法表示部15の後端部における測定部12の直径が20.50mm、寸法表示部15の最小目盛は0.01mmとなっており、測定部12のテーパー度は1/100とされている。
【0022】
ガイド部13の長さは例えば20mm程度とされ、そのテーパー度は測定部12のテーパー度よりも著しく大きくされている。例えばガイド部13の先端部の外径よりも根元部の外径の方が10mm大きく、そのテーパー度は1/4に設定されている。把持部14の外径および長さは測定器具11を容易に把持できる寸法であればよく、例えば外径15mm、長さ50mm程度である。
【0023】
この測定器具11を用いて丸穴の内径寸法を測定する時は、図4に示すように測定部12を被測定箇所である丸穴16に挿入し、テーパー状の測定部12が止まった位置での寸法表示部15の最大寸法を読み取る。測定部12は丸穴16の内径部に接触するテーパー円筒形状であるため、測定部12と丸穴16との間の芯ずれを防止して丸穴16の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0024】
測定器具11を丸穴16に挿入する際には、測定部12よりもテーパー度が大きいガイド部13が先に丸穴16に挿入され、ガイド部13が測定部12を丸穴16の内部にスムーズに案内するため、テーパー度の小さな測定部12を容易に丸穴16に挿入することができる。また、把持部14により測定器具11全体を容易に把持して取り扱うことができる。
【0025】
この測定器具11を用いれば、従来のように内径寸法用のダイヤルゲージやその保持機器類といった設備が一切不要になるため、非常に安価に内径寸法を測定することができる。
【0026】
[第2実施例]
図5は、本発明に係る測定器具の第2実施例を示す側面図、図6は図5のVI矢視図、図7は図5のVII-VII線に沿う縦断面図である。
【0027】
この測定器具21も、第1実施例の場合と同様に、例えばΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部22と、この測定部22の先端に一体的に設けられたガイド部23と、測定部22の後端に一体的に設けられた把持部24とを備えて構成されている。
【0028】
測定部22は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成されており、その長さは例えば110mmとされている。測定部22の径方向の断面形状は第1実施例のような真円形ではなく楕円形であり、その長軸方向の頂点25,25が丸穴の内径部に接触し、頂点25,25付近の区間26,26の平均曲率が丸穴の半径以下、即ち10mm以下に設定されている。また、この区間26,26以外の区間、即ち短軸方向の頂点27,27付近の区間28,28の平均曲率が丸穴の半径以上、即ち10mm以上に設定されている。
【0029】
また、第1実施例と同様に測定部22のテーパー方向に沿って寸法表示部29が形成されている。寸法表示部29の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部29の先端部における測定部22の直径が19.50mm、寸法表示部29の後端部における測定部22の直径が20.50mm、寸法表示部29の最小目盛は0.01mm、測定部22のテーパー度は1/100である。なお、ガイド部23や把持部24の寸法形状等は第1実施例と同様である。
【0030】
この測定器具21で丸穴の内径寸法を測定する時は、図4と同様に測定部21を丸穴に挿入し、テーパー状の測定部21が止まった位置での寸法表示部29の最大寸法を読み取る。これにより、丸穴の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0031】
図8に示すように、丸穴30に挿入された測定部22は、その楕円形断面の長軸方向の頂点25,25が丸穴30の内径部に接触し、その他の部分は丸穴30の内径部に接触しないため、測定部22を丸穴30の内径部に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴30の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0032】
また、測定部22の楕円形断面の短軸方向の長さを長軸方向の長さよりもわずかに小さくするだけにして断面形状をほぼ真円形に近づけることにより、丸穴30の中に挿入された測定部22の長軸方向の頂点25,25を丸穴30の最大直径部に案内することができ、測定部22の芯ずれによる測定誤差を生じにくくすることができる。
【0033】
[第3実施例]
図9は、本発明に係る測定器具の第3実施例を示す側面図、図10は図9のX矢視図、図11は図9のXI-XI線に沿う縦断面図である。
【0034】
この測定器具31もΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部32と、この測定部32の先端に一体的に設けられたガイド部33と、測定部32の後端に一体的に設けられた把持部34とを備えて構成されている。
【0035】
測定部32は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状の両側部を削除して丸穴の内径寸法よりも薄い厚さ(例えば厚さ8mm程度)の平板状に形成したものである。そして、測定部32の接触面35,35がテーパー円筒面であり、この接触面35,35の全面、または頂点36,36が丸穴の内径部に接触する。接触面35,35の平均曲率Rは丸穴の半径以下、即ち10mm以下に設定される。
【0036】
測定部32の長さは例えば110mmであり、測定部32の長手方向に沿って寸法表示部37が形成されている。寸法表示部37の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部37の先端部における測定部32の幅が19.50mm、寸法表示部37の後端部における測定部32の幅が20.50mm、寸法表示部37の最小目盛は0.01mm、測定部32のテーパー度は1/100である。ガイド部33や把持部34の寸法形状等は第1〜第2実施例と同様である。
【0037】
この測定器具31で丸穴の内径寸法を測定する時は、図12に示すように測定部32を丸穴38に挿入し、テーパー状の測定部32が止まった位置での寸法表示部37の最大寸法を読み取る。これにより、丸穴38の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0038】
この測定器具31の場合も、丸穴38に挿入された測定部32の接触面35,35、または頂点36,36が丸穴38の内径部に接触し、その他の部分は接触しないため、測定部31を丸穴38の内径部に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴38の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0039】
しかも、測定部32と丸穴38との間に塵埃等の異物が噛み込んだ場合に、測定部32を丸穴38の内部で少し回転させることにより、この異物を測定部32と丸穴38との間から排出して精度の高い測定を行うことができる。
【0040】
また、測定部32が平板状に形成されているため、測定器具31の重量を大幅に軽量化し、その取り扱いを容易にすることができる。
【0041】
測定部32の径方向の断面形状は、例えば図13〜図16に示すような形状でもよい。これらの断面形状のように、2点以上の接触部39…を丸穴の内径部に接触させるようにすれば、測定部32と丸穴の芯ずれを防止すると同時に測定器具31の重量を軽量化することができる。
【0042】
図15の断面形状において、その縦寸法Yを横寸法Xよりも大きくすることにより、縦寸法Yの方向の接触部39,39のみを丸穴の内径部に接触させ、横寸法Xの方向の外周面を丸穴の内径部に接触させないようにし、丸穴の縦方向と横方向の内径を測定可能にして丸穴の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0043】
さらに、上記縦寸法Yを横寸法Xよりも大きくする量をごくわずかにして断面形状をほぼ正十字形にすることにより、丸穴の中に挿入された測定部32の縦寸法Y方向の接触部39を丸穴の最大直径部に案内することができ、測定部32の芯ずれによる測定誤差を生じにくくすることができる。
【0044】
[第4実施例]
図17は、本発明に係る測定器具の第4実施例を示す側面図である。この測定器具41は、測定部42とガイド部43と把持部44とを備えており、測定部42が丸穴45等の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成された点は第1実施例と同様である。
【0045】
測定部42は、そのテーパー中心軸C2が全体中心軸C1に対して傾斜しており、測定部42の外周の一辺46が全体中心軸C1に平行している。そして、この一辺46に沿って寸法表示部47が形成されている。
【0046】
このように測定部42の一辺46を全体中心軸C1に平行させることにより、一辺46を丸穴45の内壁に密着させて測定部42(寸法表示部47)の傾きを除去し、精度の高い測定を行うことができる。
【0047】
本実施例において、測定部42の径方向の断面形状は真円状であるが、図7に示すような楕円状、あるいは図11や図13〜図16等に示すような形状にしてもよい。しかし無論ここに描かれている形状のみには限定されない。
【0048】
[第5実施例]
図18は、本発明に係る測定器具の第5実施例を示す斜視図である。この測定器具51は、例えば20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする間隙56の寸法を測定するためのものであり、間隙56に挿入される測定部52と、この測定部52の先端に一体的に設けられたガイド部53と、測定部の後端に一体的に設けられた把持部54とを備えて構成されている。
【0049】
測定部52は、被測定箇所である間隙56の縦壁57,57に接触するテーパー角柱状、または楔状に形成されており、そのテーパー方向に沿って寸法表示部55が形成されている。この寸法表示部55は間隙56に挿入された測定部52の最大太さを寸法表示する。
【0050】
測定部52の長さは例えば110mm、寸法表示部55の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部55の先端部における測定部52の幅が19.50mm、寸法表示部55の後端部における測定部52の幅が20.50mm、寸法表示部55の最小目盛は0.01mm、測定部52のテーパー度は1/100とされる。
【0051】
ガイド部53の長さは例えば20mm程度とされ、そのテーパー度は測定部52のテーパー度よりも著しく大きく、例えば1/4に設定されている。把持部54の寸法は例えば外径15mm、長さ50mm程度である。
【0052】
この測定器具51を用いて間隙56の寸法を測定する時は、測定部52を間隙56に挿入し、テーパー状の測定部52が止まった位置での寸法表示部55の最大寸法を読み取る。測定部52は間隙56の縦壁57,57に接触するテーパー角柱状であるため、間隙56の寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0053】
[第6実施例]
図19は、本発明に係る測定器具の第6実施例を示す側面図である。この測定器具61は、例えば1mm以下の公差範囲を必要とする丸棒62の外径やブロック等の板厚等の被測定箇所の寸法を測定するものであり、被測定箇所(丸棒62等)を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部63および測定直線部64を有し、測定直線部64は基準直線部63に対してテーパー度1/10以下(例えば1/100)のテーパー角を付与され、測定直線部64のテーパー方向に沿って寸法表示部65が形成されている。
【0054】
この測定器具61を用いて丸棒62の外径寸法を測定する時は、丸棒62を基準直線部63と測定直線部64との間に挟み、基準直線部63と測定直線部64との間のテーパーが狭まる方向に丸棒62を移動させて丸棒62が止まった位置で寸法表示部65の寸法を読み取れば、丸棒62の寸法を正確かつ容易に測定することができる。また、丸棒62をその軸方向を中心に90°回転させて2回測定することにより、丸棒62の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0055】
被測定物がブロックや角棒状である場合も、同様に被測定物を基準直線部63と測定直線部64との間に挟んで基準直線部63と測定直線部64との間のテーパーが狭まる方向に被測定物を移動させ、被測定物が止まった位置で寸法表示部65の寸法を読み取れば被測定物の寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0056】
図20に示すように、例えば基準直線部63のテーパー角度をゼロにすれば、ブロックや角棒状の被測定物66の一辺67を基準直線部63(寸法表示部65)に密着させて被測定物66の傾きを除去し、精度の高い測定を行うことができる。
【0057】
また、図21に示すように、基準直線部63と測定直線部64の接触面68,68を円筒面状に形成してもよい。このようにすれば、基準直線部63と測定直線部64とが被測定物に対して線または点で接触するため、基準直線部63および測定直線部64と被測定物との間に塵埃等の異物が噛み込むことを防止して精度の高い測定を行うことができる。
【0058】
[各実施例について]
上記各実施例に示した各種形状は、あくまでも一例であり、本発明に係る測定器具がこれらの実施例の態様のみに限定されることはなく、また各実施例の形状を組み合わせることも考えられる。
【0059】
なお、上記各実施例における測定部のテーパー部は直線テーパー状であるが、図22(A),(B)に示すような二次曲線状等にしてもよい。こうすることにより、測定部と被測定個所との間の抜き差しを容易にしたり、両者間の食い付きを防止することができる。
【0060】
また、本発明に係る測定器具は、例えば部品の内外径を自動測定する測定機等にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る測定器具の第1実施例を示す側面図。
【図2】図1のII矢視図。
【図3】図1のIII-III線に沿う縦断面図。
【図4】測定器具の使用状態を示す側面図。
【図5】本発明に係る測定器具の第2実施例を示す側面図。
【図6】図5のVI矢視図。
【図7】図5のVII-VII線に沿う縦断面図。
【図8】測定器具の使用状態を示す縦断面図。
【図9】本発明に係る測定器具の第3実施例を示す側面図。
【図10】図9のX矢視図。
【図11】図9のXI-XI線に沿う縦断面図。
【図12】測定器具の使用状態を示す縦断面図。
【図13】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図14】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図15】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図16】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図17】本発明に係る測定器具の第4実施例を示す側面図。
【図18】本発明に係る測定器具の第5実施例を示す斜視図。
【図19】本発明に係る測定器具の第6実施例を示す側面図。
【図20】本発明に係る測定器具の変形例を示す側面図。
【図21】本発明に係る測定器具の変形例を示す斜視図。
【図22】(A),(B)とも測定部のテーパー部を二次曲線状等にした例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
11 測定器具
12 測定部
13 ガイド部
14 把持部
15 寸法表示部
16 被測定箇所の一例である丸穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、内径寸法、外径寸法、間隔寸法等の被測定箇所の測定および真円度、テーパー度等を測定するための測定器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、丸穴の内径寸法が公差範囲内に入っているか検査するために特許文献1に示されるような栓ゲージ(プラグゲージ)が用いられてきた。両頭式の栓ゲージの場合は一端に通り側、他端に止まり側のゲージ部(プラグ)がそれぞれ設けられ、通り側のゲージ部の直径が公差範囲の最小値、止まり側のゲージ部の直径が公差範囲の最大値に設定されている。
【0003】
通り側のゲージ部が丸穴に入って止まり側のゲージ部が丸穴に入らなければ丸穴の内径寸法は公差範囲内に入っており、通り側のゲージ部が丸穴に入らなければ穴の内径寸法は公差範囲よりも小さく、止まり側のゲージ部が丸穴に入れば丸穴の内径寸法は公差範囲よりも大きいことになる。
【0004】
一方、特許文献2に示すようなテーパーゲージも開発されている。このテーパーゲージは、テーパー状に形成された基板のテーパー方向に沿って目盛りを設けてあり、この基板を被測定箇所である内径部や間隙部等に挿入し、挿入された部分までの目盛りを読むことによって寸法を測定するものである。
【特許文献1】特開2001−116502号公報
【特許文献2】特開2001−343202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような栓ゲージでは丸穴の内径が公差範囲内に入っているか否かのみしか判定できず、正確な内径寸法を測定することができなかった。また、丸穴の真円度を測定することもできなかった。丸穴の内径寸法を精密に測定するには内径寸法用のダイヤルゲージとその保持機器類を用いる必要があり、測定が困難な上に設備面で高価であった。
【0006】
一方、特許文献2のようなテーパーゲージでは、そのテーパー度が多大なため、精密な測定には適さない。しかも、テーパーゲージの厚みが薄いため、丸穴の中に挿入した場合にはテーパーゲージが必ずしも丸穴の最大直径部に当てがわれず、測定誤差が生じる懸念があった。
【0007】
さらに、どちらの特許文献のものも丸穴の内径や間隙寸法を検査するものであり、例えば棒の外径や板厚等を測定することはできない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、内径、外径、間隙、板厚等の被測定箇所の寸法および真円度を正確かつ容易、安価に測定することができる測定器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る測定器具は、特許請求の範囲の請求項1に記載したように、1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部と、この測定部のテーパー方向に沿って形成され、測定部の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部とを有することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る測定器具は、請求項2に記載したように、上記測定部は丸穴状の被測定箇所の内径部に接触するテーパー円筒形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る測定器具は、請求項3に記載したように、上記測定部はその径方向の断面形状が楕円形であり、その長軸方向の頂点が上記被測定箇所の内径部に接触し、長軸方向の頂点付近の平均曲率が被測定箇所の半径以下であり、長軸方向の頂点付近以外の部分の平均曲率が被測定箇所の半径以上であることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明に係る測定器具は、請求項4に記載したように、1mm以下の公差範囲を必要とする外径および板厚状の被測定箇所を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部および測定直線部を有し、上記測定直線部と上記基準直線部との間にテーパー度1/10以下のテーパー角を付与し、上記測定直線部のテーパー方向に沿って寸法表示部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、測定部を被測定箇所に挿入し、テーパー棒状の測定部が止まった位置で寸法表示部の寸法を読み取ることにより、被測定箇所の寸法を正確かつ容易、安価に測定することができる。
【0014】
請求項2の構成によれば、特に丸穴状の被測定箇所の内径を正確かつ容易、安価に測定することができる。
【0015】
請求項3の構成によれば、測定部を丸穴状の被測定箇所の内径に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0016】
請求項4の構成によれば、被測定箇所を基準直線部と測定直線部との間に挟み、基準直線部と測定直線部との間のテーパーが狭まる方向に被測定箇所を移動させて被測定箇所が止まった位置で寸法表示部の寸法を読み取れば、被測定箇所の寸法を正確かつ容易に測定することができる。また、被測定箇所が丸棒状である場合には、その軸方向を中心に丸棒を90°回転させて2回測定することにより真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0018】
[第1実施例]
図1は、本発明に係る測定器具の第1実施例を示す側面図、図2は図1のII矢視図、図3は図1のIII-III線に沿う縦断面図である。
【0019】
この測定器具11は、例えばΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部12と、この測定部の先端に一体的に設けられたガイド部13と、測定部12の後端に一体的に設けられた把持部14とを備えて構成されている。
【0020】
測定部12は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成されており、その長さは例えば110mmとされ、測定部12の径方向の断面形状は真円形である。そして、測定部12のテーパー方向に沿って目盛状の寸法表示部15が形成されている。この寸法表示部15の各目盛は、その位置における測定部12の外径に正確に対応しており、測定部12の丸穴に挿入された部分の最大太さを寸法表示することができる。
【0021】
寸法表示部15の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部15の先端部における測定部12の直径が19.50mm、寸法表示部15の後端部における測定部12の直径が20.50mm、寸法表示部15の最小目盛は0.01mmとなっており、測定部12のテーパー度は1/100とされている。
【0022】
ガイド部13の長さは例えば20mm程度とされ、そのテーパー度は測定部12のテーパー度よりも著しく大きくされている。例えばガイド部13の先端部の外径よりも根元部の外径の方が10mm大きく、そのテーパー度は1/4に設定されている。把持部14の外径および長さは測定器具11を容易に把持できる寸法であればよく、例えば外径15mm、長さ50mm程度である。
【0023】
この測定器具11を用いて丸穴の内径寸法を測定する時は、図4に示すように測定部12を被測定箇所である丸穴16に挿入し、テーパー状の測定部12が止まった位置での寸法表示部15の最大寸法を読み取る。測定部12は丸穴16の内径部に接触するテーパー円筒形状であるため、測定部12と丸穴16との間の芯ずれを防止して丸穴16の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0024】
測定器具11を丸穴16に挿入する際には、測定部12よりもテーパー度が大きいガイド部13が先に丸穴16に挿入され、ガイド部13が測定部12を丸穴16の内部にスムーズに案内するため、テーパー度の小さな測定部12を容易に丸穴16に挿入することができる。また、把持部14により測定器具11全体を容易に把持して取り扱うことができる。
【0025】
この測定器具11を用いれば、従来のように内径寸法用のダイヤルゲージやその保持機器類といった設備が一切不要になるため、非常に安価に内径寸法を測定することができる。
【0026】
[第2実施例]
図5は、本発明に係る測定器具の第2実施例を示す側面図、図6は図5のVI矢視図、図7は図5のVII-VII線に沿う縦断面図である。
【0027】
この測定器具21も、第1実施例の場合と同様に、例えばΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部22と、この測定部22の先端に一体的に設けられたガイド部23と、測定部22の後端に一体的に設けられた把持部24とを備えて構成されている。
【0028】
測定部22は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成されており、その長さは例えば110mmとされている。測定部22の径方向の断面形状は第1実施例のような真円形ではなく楕円形であり、その長軸方向の頂点25,25が丸穴の内径部に接触し、頂点25,25付近の区間26,26の平均曲率が丸穴の半径以下、即ち10mm以下に設定されている。また、この区間26,26以外の区間、即ち短軸方向の頂点27,27付近の区間28,28の平均曲率が丸穴の半径以上、即ち10mm以上に設定されている。
【0029】
また、第1実施例と同様に測定部22のテーパー方向に沿って寸法表示部29が形成されている。寸法表示部29の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部29の先端部における測定部22の直径が19.50mm、寸法表示部29の後端部における測定部22の直径が20.50mm、寸法表示部29の最小目盛は0.01mm、測定部22のテーパー度は1/100である。なお、ガイド部23や把持部24の寸法形状等は第1実施例と同様である。
【0030】
この測定器具21で丸穴の内径寸法を測定する時は、図4と同様に測定部21を丸穴に挿入し、テーパー状の測定部21が止まった位置での寸法表示部29の最大寸法を読み取る。これにより、丸穴の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0031】
図8に示すように、丸穴30に挿入された測定部22は、その楕円形断面の長軸方向の頂点25,25が丸穴30の内径部に接触し、その他の部分は丸穴30の内径部に接触しないため、測定部22を丸穴30の内径部に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴30の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0032】
また、測定部22の楕円形断面の短軸方向の長さを長軸方向の長さよりもわずかに小さくするだけにして断面形状をほぼ真円形に近づけることにより、丸穴30の中に挿入された測定部22の長軸方向の頂点25,25を丸穴30の最大直径部に案内することができ、測定部22の芯ずれによる測定誤差を生じにくくすることができる。
【0033】
[第3実施例]
図9は、本発明に係る測定器具の第3実施例を示す側面図、図10は図9のX矢視図、図11は図9のXI-XI線に沿う縦断面図である。
【0034】
この測定器具31もΦ20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする丸穴の内径寸法を測定するためのものであり、丸穴に挿入される測定部32と、この測定部32の先端に一体的に設けられたガイド部33と、測定部32の後端に一体的に設けられた把持部34とを備えて構成されている。
【0035】
測定部32は丸穴の内径部に接触するテーパー円筒形状の両側部を削除して丸穴の内径寸法よりも薄い厚さ(例えば厚さ8mm程度)の平板状に形成したものである。そして、測定部32の接触面35,35がテーパー円筒面であり、この接触面35,35の全面、または頂点36,36が丸穴の内径部に接触する。接触面35,35の平均曲率Rは丸穴の半径以下、即ち10mm以下に設定される。
【0036】
測定部32の長さは例えば110mmであり、測定部32の長手方向に沿って寸法表示部37が形成されている。寸法表示部37の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部37の先端部における測定部32の幅が19.50mm、寸法表示部37の後端部における測定部32の幅が20.50mm、寸法表示部37の最小目盛は0.01mm、測定部32のテーパー度は1/100である。ガイド部33や把持部34の寸法形状等は第1〜第2実施例と同様である。
【0037】
この測定器具31で丸穴の内径寸法を測定する時は、図12に示すように測定部32を丸穴38に挿入し、テーパー状の測定部32が止まった位置での寸法表示部37の最大寸法を読み取る。これにより、丸穴38の内径寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0038】
この測定器具31の場合も、丸穴38に挿入された測定部32の接触面35,35、または頂点36,36が丸穴38の内径部に接触し、その他の部分は接触しないため、測定部31を丸穴38の内径部に縦方向と横方向に挿入することにより、丸穴38の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0039】
しかも、測定部32と丸穴38との間に塵埃等の異物が噛み込んだ場合に、測定部32を丸穴38の内部で少し回転させることにより、この異物を測定部32と丸穴38との間から排出して精度の高い測定を行うことができる。
【0040】
また、測定部32が平板状に形成されているため、測定器具31の重量を大幅に軽量化し、その取り扱いを容易にすることができる。
【0041】
測定部32の径方向の断面形状は、例えば図13〜図16に示すような形状でもよい。これらの断面形状のように、2点以上の接触部39…を丸穴の内径部に接触させるようにすれば、測定部32と丸穴の芯ずれを防止すると同時に測定器具31の重量を軽量化することができる。
【0042】
図15の断面形状において、その縦寸法Yを横寸法Xよりも大きくすることにより、縦寸法Yの方向の接触部39,39のみを丸穴の内径部に接触させ、横寸法Xの方向の外周面を丸穴の内径部に接触させないようにし、丸穴の縦方向と横方向の内径を測定可能にして丸穴の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0043】
さらに、上記縦寸法Yを横寸法Xよりも大きくする量をごくわずかにして断面形状をほぼ正十字形にすることにより、丸穴の中に挿入された測定部32の縦寸法Y方向の接触部39を丸穴の最大直径部に案内することができ、測定部32の芯ずれによる測定誤差を生じにくくすることができる。
【0044】
[第4実施例]
図17は、本発明に係る測定器具の第4実施例を示す側面図である。この測定器具41は、測定部42とガイド部43と把持部44とを備えており、測定部42が丸穴45等の内径部に接触するテーパー円筒形状に形成された点は第1実施例と同様である。
【0045】
測定部42は、そのテーパー中心軸C2が全体中心軸C1に対して傾斜しており、測定部42の外周の一辺46が全体中心軸C1に平行している。そして、この一辺46に沿って寸法表示部47が形成されている。
【0046】
このように測定部42の一辺46を全体中心軸C1に平行させることにより、一辺46を丸穴45の内壁に密着させて測定部42(寸法表示部47)の傾きを除去し、精度の高い測定を行うことができる。
【0047】
本実施例において、測定部42の径方向の断面形状は真円状であるが、図7に示すような楕円状、あるいは図11や図13〜図16等に示すような形状にしてもよい。しかし無論ここに描かれている形状のみには限定されない。
【0048】
[第5実施例]
図18は、本発明に係る測定器具の第5実施例を示す斜視図である。この測定器具51は、例えば20mm前後で1mm以下の公差範囲を必要とする間隙56の寸法を測定するためのものであり、間隙56に挿入される測定部52と、この測定部52の先端に一体的に設けられたガイド部53と、測定部の後端に一体的に設けられた把持部54とを備えて構成されている。
【0049】
測定部52は、被測定箇所である間隙56の縦壁57,57に接触するテーパー角柱状、または楔状に形成されており、そのテーパー方向に沿って寸法表示部55が形成されている。この寸法表示部55は間隙56に挿入された測定部52の最大太さを寸法表示する。
【0050】
測定部52の長さは例えば110mm、寸法表示部55の長さは例えば100mmとされ、寸法表示部55の先端部における測定部52の幅が19.50mm、寸法表示部55の後端部における測定部52の幅が20.50mm、寸法表示部55の最小目盛は0.01mm、測定部52のテーパー度は1/100とされる。
【0051】
ガイド部53の長さは例えば20mm程度とされ、そのテーパー度は測定部52のテーパー度よりも著しく大きく、例えば1/4に設定されている。把持部54の寸法は例えば外径15mm、長さ50mm程度である。
【0052】
この測定器具51を用いて間隙56の寸法を測定する時は、測定部52を間隙56に挿入し、テーパー状の測定部52が止まった位置での寸法表示部55の最大寸法を読み取る。測定部52は間隙56の縦壁57,57に接触するテーパー角柱状であるため、間隙56の寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0053】
[第6実施例]
図19は、本発明に係る測定器具の第6実施例を示す側面図である。この測定器具61は、例えば1mm以下の公差範囲を必要とする丸棒62の外径やブロック等の板厚等の被測定箇所の寸法を測定するものであり、被測定箇所(丸棒62等)を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部63および測定直線部64を有し、測定直線部64は基準直線部63に対してテーパー度1/10以下(例えば1/100)のテーパー角を付与され、測定直線部64のテーパー方向に沿って寸法表示部65が形成されている。
【0054】
この測定器具61を用いて丸棒62の外径寸法を測定する時は、丸棒62を基準直線部63と測定直線部64との間に挟み、基準直線部63と測定直線部64との間のテーパーが狭まる方向に丸棒62を移動させて丸棒62が止まった位置で寸法表示部65の寸法を読み取れば、丸棒62の寸法を正確かつ容易に測定することができる。また、丸棒62をその軸方向を中心に90°回転させて2回測定することにより、丸棒62の真円度を正確かつ容易に測定することができる。
【0055】
被測定物がブロックや角棒状である場合も、同様に被測定物を基準直線部63と測定直線部64との間に挟んで基準直線部63と測定直線部64との間のテーパーが狭まる方向に被測定物を移動させ、被測定物が止まった位置で寸法表示部65の寸法を読み取れば被測定物の寸法を正確かつ容易に測定することができる。
【0056】
図20に示すように、例えば基準直線部63のテーパー角度をゼロにすれば、ブロックや角棒状の被測定物66の一辺67を基準直線部63(寸法表示部65)に密着させて被測定物66の傾きを除去し、精度の高い測定を行うことができる。
【0057】
また、図21に示すように、基準直線部63と測定直線部64の接触面68,68を円筒面状に形成してもよい。このようにすれば、基準直線部63と測定直線部64とが被測定物に対して線または点で接触するため、基準直線部63および測定直線部64と被測定物との間に塵埃等の異物が噛み込むことを防止して精度の高い測定を行うことができる。
【0058】
[各実施例について]
上記各実施例に示した各種形状は、あくまでも一例であり、本発明に係る測定器具がこれらの実施例の態様のみに限定されることはなく、また各実施例の形状を組み合わせることも考えられる。
【0059】
なお、上記各実施例における測定部のテーパー部は直線テーパー状であるが、図22(A),(B)に示すような二次曲線状等にしてもよい。こうすることにより、測定部と被測定個所との間の抜き差しを容易にしたり、両者間の食い付きを防止することができる。
【0060】
また、本発明に係る測定器具は、例えば部品の内外径を自動測定する測定機等にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る測定器具の第1実施例を示す側面図。
【図2】図1のII矢視図。
【図3】図1のIII-III線に沿う縦断面図。
【図4】測定器具の使用状態を示す側面図。
【図5】本発明に係る測定器具の第2実施例を示す側面図。
【図6】図5のVI矢視図。
【図7】図5のVII-VII線に沿う縦断面図。
【図8】測定器具の使用状態を示す縦断面図。
【図9】本発明に係る測定器具の第3実施例を示す側面図。
【図10】図9のX矢視図。
【図11】図9のXI-XI線に沿う縦断面図。
【図12】測定器具の使用状態を示す縦断面図。
【図13】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図14】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図15】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図16】測定部の径方向の断面形状例を示す縦断面図。
【図17】本発明に係る測定器具の第4実施例を示す側面図。
【図18】本発明に係る測定器具の第5実施例を示す斜視図。
【図19】本発明に係る測定器具の第6実施例を示す側面図。
【図20】本発明に係る測定器具の変形例を示す側面図。
【図21】本発明に係る測定器具の変形例を示す斜視図。
【図22】(A),(B)とも測定部のテーパー部を二次曲線状等にした例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
11 測定器具
12 測定部
13 ガイド部
14 把持部
15 寸法表示部
16 被測定箇所の一例である丸穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部と、この測定部のテーパー方向に沿って形成され、測定部の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部とを有することを特徴とする測定器具。
【請求項2】
上記測定部は丸穴状の被測定箇所の内径部に接触するテーパー円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載の測定器具。
【請求項3】
上記測定部はその径方向の断面形状が楕円形であり、その長軸方向の頂点が上記被測定箇所の内径部に接触し、長軸方向の頂点付近の平均曲率が被測定箇所の半径以下であり、長軸方向の頂点付近以外の部分の平均曲率が被測定箇所の半径以上であることを特徴とする請求項2に記載の測定器具。
【請求項4】
1mm以下の公差範囲を必要とする外径および板厚状の被測定箇所を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部および測定直線部を有し、上記測定直線部と上記基準直線部との間にテーパー度1/10以下のテーパー角を付与し、上記測定直線部のテーパー方向に沿って寸法表示部を形成したことを特徴とする測定器具。
【請求項1】
1mm以下の公差範囲を必要とする内径および間隙状の被測定箇所に挿入されるテーパー度1/10以下のテーパー棒状の測定部と、この測定部のテーパー方向に沿って形成され、測定部の被測定箇所に挿入された部分の最大太さを寸法表示する寸法表示部とを有することを特徴とする測定器具。
【請求項2】
上記測定部は丸穴状の被測定箇所の内径部に接触するテーパー円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載の測定器具。
【請求項3】
上記測定部はその径方向の断面形状が楕円形であり、その長軸方向の頂点が上記被測定箇所の内径部に接触し、長軸方向の頂点付近の平均曲率が被測定箇所の半径以下であり、長軸方向の頂点付近以外の部分の平均曲率が被測定箇所の半径以上であることを特徴とする請求項2に記載の測定器具。
【請求項4】
1mm以下の公差範囲を必要とする外径および板厚状の被測定箇所を挟むことが可能なように対向して相対位置固定された基準直線部および測定直線部を有し、上記測定直線部と上記基準直線部との間にテーパー度1/10以下のテーパー角を付与し、上記測定直線部のテーパー方向に沿って寸法表示部を形成したことを特徴とする測定器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−10385(P2006−10385A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184863(P2004−184863)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(397067624)ヒット工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(397067624)ヒット工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]