説明

測色装置

【課題】記録媒体の種類や環境温度に応じて記録媒体のカール状態が様々に変化しても、当該記録媒体を円滑に搬送し、カールを適切に抑えつつ、信頼性の高い測色を実行することが可能な測色装置を提供する。
【解決手段】搬送される記録媒体P1の情報と搬送の進度に応じて、搬送される記録媒体P1を抑えるための拍車14の位置を調整し、記録媒体P1に対する接触および離間を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の画像を測色する測色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置には測色機能を備えたものがある。このような記録装置によれば、記録ヘッドによって所定のカラーパッチを記録し当該カラーパッチを測色することにより、これ以降の画像記録時に測色の結果を反映させる、所謂カラーキャリブレーションを実行することができる。キャリブレーションを行うことにより、出力される画像の色再現を精度の高い状態に維持することが出来る。
【0003】
例えば特許文献1には、記録および測色を効率的に行うために、搬送方向の上流側から記録ユニット、測色ユニットの順番に配置する構成が開示されている。そして、測色の画像面を平滑した状態で測色が行われるように、用紙を押圧したりこれを解除したりすることが可能な測色ユニットの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−254221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録前の記録媒体が装置内でロール状に保持されている場合、ここから引き出された記録媒体には巻き癖が残っている場合がある。また、たとえ巻き癖が発生していなくても、記録ユニットによってインクが付与された後で、記録媒体が凸方向或いは凹方向に湾曲する場合もある。以下、上記いずれが原因であるにせよ、記録後の記録媒体が有する凹凸を、カールと称することとする。このようなカールは、記録媒体の種類や環境温度或いは環境湿度によって、向きや程度が様々に変化することが知られている。
【0006】
特許文献1のように、搬送される記録媒体に対して一律に押圧部材の昇降を行う構成では、カールの状況によって、好適に記録媒体を押さえることが出来ない場合があった。そして、押圧部材によって十分に押さえられないまま記録媒体を搬送すると、記録媒体の先端が測色ユニットに接触して互いに傷つけ合ったり、記録媒体が装置内で詰まったりする恐れがあった。また、測色センサと記録媒体との距離が不安定になるため、測色自体の性能が低下してしまった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、記録媒体の種類や環境温度に応じて記録媒体のカール状態が様々に変化しても、当該記録媒体を円滑に搬送し、カールを適切に抑えつつ、信頼性の高い測色を実行することが可能な測色装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために本発明は、搬送される記録媒体に記録された画像を測色する測色手段と、該測色手段が測色する領域の前記記録媒体を背面から支持する支持手段と、前記搬送の方向において前記測色手段よりも上流に配置され、前記搬送される記録媒体を前記支持手段に押し付けることが可能な押さえ手段と、前記搬送される記録媒体の情報を取得する取得手段と、前記押さえ手段の前記支持手段に対する位置を、前記取得手段が取得した前記情報と搬送の進度に応じて調整することが可能な制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の先端にカールが生じた場合であっても、カールを適切に抑えながら記録媒体を円滑に搬送し、信頼性の高い測色を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の外観図である。
【図2】記録装置内部の記録部および測色ユニットの配置構成を示す側断面図である。
【図3】本発明に使用可能な記録装置における制御の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)〜(d)は、実施例2において正カールに対する動作を示す側断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、実施例2において逆カールに対する動作を示す側断面図である。
【図6】実施例3の記録部と測色ユニットの構成を説明するための側断面図である。
【図7】(a)および(b)は、実施例3の測色ユニットの動作を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施例1]
図1は本発明を適用したインクジェット記録装置1(以下、「記録装置」と呼ぶ)の外観図である。装置内においてロール紙Rあるいはカット紙Cのような記録媒体は、装置内部に給紙された後、記録ヘッドによって画像データに従った記録が行われる。記録後のロール紙R(実線)あるいはカット紙C(破線)は、図のようにZ方向に引き出されるが、その途中には画像を測色するための測色ユニット200が配備されている。ユーザは、操作部2に設けられた各種スイッチを用いて、記録媒体のサイズ指定、オンライン/オフラインの切り替えなど、記録装置1に対する各種コマンドの入力を行うことが出来る。
【0012】
図2は記録装置内部の記録部および測色ユニット200の配置構成を説明するための側断面図である。給紙された記録媒体P1は、搬送ローラ3とピンチローラ4のローラ対、および排出ローラ22と補助ローラ23のローラ対に挟持されながら、搬送ローラ3および排出ローラ22の回転に伴ってZ方向に搬送される。
【0013】
記録ヘッド5はZ方向とは交差するX方向に所定の速度で移動しながら、画像データに従ってインクを吐出し、記録媒体P1に所定の画像を記録する。記録ヘッド5によって記録が行われる領域の記録媒体P1は、その背面に設置されたプラテン6によって支持されている。プラテン6には、多数の吸引孔7が形成されており、その背後にはダクト8および吸引ファン9が配置されている。このような構成の下、吸引ファン9の回転によって記録中の記録媒体P1が−Y方向に吸着され、記録面が平滑に保たれる。
【0014】
記録が完了した領域の記録媒体P1は、排紙ガイド11に背面が支持されながら、これに沿って徐々にZ方向に搬送される。プラテン6と排紙ガイド11の間にはカッター10が配備されており、記録媒体P1がロール紙Rであった場合にこれを切断する。
【0015】
搬送方向において記録ヘッド5よりも下流側には測色ユニット200が配備されている。測色ユニット200は、主に押え部12と測色センサ201から構成されており、押え部12によって排紙ガイド11上に平滑に維持された記録媒体P1の画像を、測色センサ201がX方向に移動しながら測色する仕組みになっている。
【0016】
押え部12は、正反転可能な昇降駆動モータ15と、これに連結された可動部材13と、可動部材13の先端に取り付けられた拍車14とから構成され、可動部材13と拍車14は、図の実線で示した押さえ位置と点線で示した退避位置の間を移動可能になっている。例えば、カールした記録媒体P1の先端が押え部12の下方を通過する場合、拍車14を退避位置に移動させる。これにより、記録媒体P1の先端と可動部材13や拍車14が接触するのを回避し、記録媒体P1が破損したり装置内で詰まったりするのを防ぐことが出来る。一方、カールした記録媒体P1が押え部12の下方を通過してしまった後は、拍車14を押え位置に移動させ、記録媒体P1の表面を平滑な排紙ガイド11に押し当てる。これにより、測色センサと記録媒体P1との距離は略一定となり、高精度な測色を行うことが可能となる。このように、本実施例の押え部12は、記録媒体P1のカールの状態において適切な位置に移動することが出来る。
【0017】
図3は、本実施例の記録装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。CPU300は、ROM305に格納されたプログラムに従い、RAM304をワークエリアとして使用しながら、記録装置1全体を制御する。例えばCPU300は、外部に接続されたホストコンピュータ302で生成された画像データを、入力インターフェイス303を介して受信し、記録ヘッド5を用いて記録媒体に画像を記録する。この際、CPU300は、キャリッジモータ307を駆動して記録ヘッド5が搭載されたキャリッジを移動させながら、画像データに従って記録ヘッド5からインクを吐出させる。また、搬送ローラ3や排出ローラ22に連結された搬送モータ306を駆動し、画像の記録や測色に伴って記録媒体を搬送する。更に、吸引ファン9を駆動することにより、記録中の記録媒体をその裏側から吸引する。
【0018】
測色センサ駆動モータ202は測色センサ201をX方向に移動させるためのモータである。CPU500は、測色センサ駆動モータ202を駆動しながら測色センサ201の測色結果を取得することにより、記録媒体におけるX方向の1バンド分の測色走査を実行する。
【0019】
昇降駆動モータ15は可動部材13および拍車14を昇降するためのモータであり、昇降位置検出センサ110は、可動部材13および拍車14の現在位置を取得するためのセンサである。CPU300は、ホストコンピュータ302や操作部2から受信した記録媒体情報、温湿度計401の検出結果、時間計測部400の計測結果、および昇降位置検出センサ110の検出結果に応じて、昇降駆動モータ15を駆動して拍車14を最適な位置に配置する。
【0020】
以下、図2を参照しながら本実施例の記録装置において、記録媒体P1に対する記録、測色および排出の一連の動作を説明する。搬送ローラ3によって給紙された記録媒体P1は、吸引ファン9によってプラテン6に押し付けられた状態で、記録ヘッド5の下方に搬送される。記録ヘッド5は、図のX方向に移動しながら画像データに従ってインクを吐出し、平滑な記録媒体P1に1行分の画像を記録する。このような1行分の記録が終了すると、搬送ローラ3が所定量回転し、記録媒体Pは1バンドに相応する量だけZ方向に搬送される。以上のような記録ヘッド5による記録走査と記録媒体P1の搬送動作を繰り返すことにより、記録媒体P1上に段階的に画像が形成される。
【0021】
記録が完了した領域の記録媒体P1は、そのまま排紙ガイド11上に搬送されるが、プラテン6を外れた記録媒体P1には吸引ファン9の吸引力が働かない。よって、状況によっては記録媒体P1がカールし、その先端がY方向に持ち上がる場合がある。このようなカールの発生の有無やカールの向きおよび程度は、記録媒体P1がロール紙Rであるかカット紙Cであるか、記録媒体の材質、環境温度や湿度、記録が完了してからの時間などによって変化する。よって、本実施例のCPU300は、ホストコンピュータ302や操作部2から受信した記録媒体情報、温湿度計401の検出結果、時間計測部400の計測結果に応じて、昇降駆動モータ15を駆動して拍車14を最適な位置に配置する。例えば、記録媒体P1が図の点線で示したように凸方向にカール(正カール)していた場合、CPU300は、昇降駆動モータ15を駆動して、拍車14を退避位置に移動させる。図では正カールの場合を示しているが凹方向にカール(逆カール)していた場合であっても、やはり同様に拍車14を退避位置に移動させる。このように、拍車14を退避させることによって、カールした記録媒体P1の先端と拍車14や可動部材13の接触を回避し、両者の損傷を防止することが出来る。
【0022】
記録媒体の先端が拍車14の下方を通過した後、CPU300は、昇降駆動モータ15を反回転に駆動して、拍車14を押え位置に移動させる。これにより、記録媒体P1の表面は拍車14によって−Y方向に押さえられ、図の実線で示したように排紙ガイド11に沿って平滑になる。このような平滑な姿勢を保った状態で記録媒体P1の先端は測色センサ201の測色可能領域に突入する。
【0023】
CPU300は、記録ヘッド5で記録した測色用の画像が測色センサ201の測色可能領域に配置されたタイミングで、測色センサ駆動モータ202を駆動し、測色センサ201をX方向に移動しながら測色結果を受信する。1行分の測色動作が完了すると、次の測色対象位置が測色センサ201の測色可能領域に配置されるまで、記録媒体P1を搬送する。このような1行分の測色動作と搬送動作とを繰り返すことにより、記録ヘッド5によって記録された測色用の画像の測色が段階的に行われていく。
【0024】
上述したような測色用画像の記録と当該画像の測色は、装置内で同時進行させることができる。そして記録媒体P1がロール紙Rの場合、CPU300は、測色用画像の記録が完了すると、その後端部がカッター10の位置に来たタイミングでこれを切断する。切断されたロール紙R、あるいは後端がカッター10の位置を通過したカット紙Cは、排出ローラ22と補助ローラ23からなるローラ対によって搬送が継続される。全ての測色用画像の測色が完了すると、記録媒体P1は排出ローラ22と補助ローラ23によって装置外に排出される。
【0025】
以上説明したように本実施例によれば、搬送される記録媒体を押さえるための拍車14が、記録媒体のカールの状況および搬送の進度に応じて、退避位置および押え位置の間を移動する。よって、記録媒体の先端にカールが生じた場合であっても、カールを適切に抑えながら記録媒体を円滑に搬送し、信頼性の高い測色を実行することが可能となる。
【0026】
なお、図2では拍車14の退避位置を可動部材13がZ方向に平行になる位置で示したが、本実施形態はこのような退避位置に限定されるものではない。状況によって、カールの程度は様々であり、記録媒体の浮きが少ない場合には、より低い位置を退避位置とすることが出来る。この場合、拍車14の移動に要する時間が短縮され、早期に測色動作を開始出来る。また、押え位置についても、記録媒体の厚さや剛性、あるいは表面の傷つき易さなどに応じて適切に調整してもよい。このように、本実施例の測色ユニット200は、拍車14の位置を、時々の記録媒体の状態に応じた適切な高さに調整することが出来る。
【0027】
[実施例2]
本実施例においても、図1および図3で説明した記録装置を使用する。
【0028】
図4(a)〜(d)は、本実施例の測色ユニット200の構成および正カールを有する記録媒体に対する動作を説明するための側断面図である。また、図5(a)〜(d)は、逆カールを有する記録媒体に対する動作を説明するための側断面図である。実施例1を含め、各図面を通して同一の符号は、同一または対応部分を示す。
【0029】
本実施例の排紙ガイド11は水平な領域と傾いた領域を有しており、記録媒体は水平な領域から斜面領域に向かって排紙ガイド11上を移動する。測色ユニット200において、回動部材16はX方向に延在する平板であり、昇降駆動モータ15によって回動軸17を中心に回転する。回動部材16の搬送方向の下流側には測色センサ201が取り付けられており、上流側には拍車14が取り付けられている。測色センサ201および拍車14は回動部材16の回転に伴ってY方向に昇降し、測色センサ201が下がれば拍車14が上がり、測色センサ201が上がれば拍車14が下がる構成になっている。
【0030】
正カールを有する記録媒体P2が測色部に進入する際、CPU300は、昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図4(a)で示した定常姿勢に配置する。定常姿勢において、回動部材16は水平になり、図のB位置にある拍車14も測色センサ201も、排紙ガイド11から離間した位置に配置される。記録媒体P2が排紙ガイド11の水平領域に進入しても、正カールであればその先端が浮き上がることはないので、記録媒体P2の先端が拍車14と接触することはない。拍車14は記録媒体の浮いた表面に接触し、その紙浮きをB位置で押さえる。記録媒体P2は、排紙ガイド11と拍車14との間を円滑に進行することが出来る。
【0031】
記録媒体P2が排紙ガイド11の斜面まで進行すると、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図4(b)で示した押さえ姿勢に配置する。押さえ姿勢において、回動部材16は図面右方向に傾き、拍車14はC位置まで下降して記録媒体P2の表面を排紙ガイドの水平面に押さえつける。記録媒体P2のカールした先端は測色センサ201の下方まで到達しているが、押さえ姿勢において測色センサ201は定常姿勢よりも更に排紙ガイド11から離間している。よって、この段階で両者が接触することはない。
【0032】
記録媒体P2が排紙ガイド11の斜面を更に進行すると、排紙ガイド11の水平領域にある記録媒体P2は殆ど紙浮きしなくなる。すなわち水平領域において記録媒体を押さえる必要がなくなるため、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図4(c)のように定常姿勢に戻す。
【0033】
その後、記録媒体P2の測色対象となる画像が測色センサ201の測色領域に到達した時、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図4(d)で示した測色姿勢に配置する。測色姿勢において、回動部材16は図面左方向に傾き、測色センサ201は排紙ガイド11の斜面に沿う位置まで下降する。そして、このような測色姿勢を維持したまま、CPU300は測色センサ駆動モータ202を駆動し、測色センサ201をX方向に一定速度で移動させながら、1バンド分の測色を実行する。一方、測色姿勢において、拍車14はA位置まで上昇し記録媒体P2とは大きく離間している。
【0034】
このように、本実施例の測色ユニット200は、正カールの記録媒体に接触することなく、円滑な搬送と正確な測色を実行することが出来る。
【0035】
次に、逆カールを有する記録媒体P3に対する動作を説明する。逆カールを有する記録媒体P3が測色部に進入する前、CPU300は、昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を測色姿勢に配置する(図5(a))。逆カールの場合、記録媒体の先端は浮き上がり、その先端と拍車14が接触する可能性は正カールの場合よりも大きい。よって、本実施例のCPU300は、逆カールを有する記録媒体P3が進入してきた時、拍車14をA位置まで上昇させ、両者の接触を回避する。測色ユニット200が測色姿勢に配置されることにより、逆カールを有する記録媒体P3は、排紙ガイド11と拍車14との間を円滑に進行することが出来る。
【0036】
記録媒体P3が排紙ガイド11の斜面まで進行すると、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図5(b)で示した押さえ姿勢に配置する。逆カールを有する記録媒体P3は、その先端が拍車14の下方を通過すると、次に測色センサ201と接触する懸念が生じる。しかし、このタイミングで測色ユニット200を押さえ姿勢に切り替えることにより、拍車14を記録媒体P3の表面に接触させてその紙浮きを押えるとともに、測色センサ201を記録媒体P3の先端から離間することが出来る。
【0037】
記録媒体P3が排紙ガイド11の斜面を更に進行すると、排紙ガイド11の水平領域にある記録媒体P3は殆ど紙浮きしなくなる。すなわち水平領域において記録媒体を押さえる必要がなくなる。よって、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図5(c)のように定常姿勢に戻す。
【0038】
その後、記録媒体P3の測色対象となる画像が測色センサ201の測色領域に到達した時、CPU300は昇降駆動モータ15を駆動して、測色ユニット200を図5(d)で示した測色姿勢に配置する。そして、このような測色姿勢を維持したまま、正カールの場合と同様、1バンド分の測色を実行する。
【0039】
このように、本実施例の測色ユニット200は、逆カールの記録媒体ついても、これに接触することなく円滑な搬送と正確な測色を実行することが出来る。
【0040】
以上説明したように本実施例によれば、搬送される記録媒体を抑えるための拍車14および測色センサ201の両方が、記録媒体のカールの状況および搬送の進度に応じて、3段階の位置を移動することが可能になっている。よって、記録媒体の先端にカールが生じた場合であっても、カールを適切に抑えながら記録媒体を円滑に搬送し、信頼性の高い測色を実行することが出来る。
【0041】
[実施例3]
本実施例においても、図1および図3で説明した記録装置を使用する。
【0042】
図6は、本実施例の記録部と測色ユニット200の配置および構成を説明するための側断面図である。記録部、カッター10、および測色ユニット200の配置関係は実施例1と同様である。但し、本実施例において、記録ヘッド5の近傍には検出センサ24が備えられており、記録媒体のカール量や向き、記録媒体の種類、記録媒体の端部が通過したことを検出することができる。本実施例のCPU300は、検出センサ24が検出した情報に基づいて、測色ユニット200の動作をコントロールする。なお、排紙ガイド11については、実施例2と同様の形状になっている。
【0043】
本実施例の正反転可能な昇降駆動モータ15には、測色センサ201を昇降するための回動用ギア21と連結ギア19が連結されており、連結ギア19には更に拍車14を昇降するための回動ギア18が接続されている。但し、昇降駆動モータ15と連結ギア19については、ソレノイド20によって連結および解除が切り替え可能になっている。このような構成によれば、昇降駆動モータ15の正転と逆転の切り替え、及びソレノイド20による昇降駆動モータ15と連結ギア19の連結と解除の切り替え、を制御することにより、測色センサ201と拍車14を個別に且つ任意な位置に移動させることが出来る。
【0044】
図7(a)および(b)は、本実施例の測色ユニット200が記録媒体に対して行う動作を説明するための側断面図である。
【0045】
図7(a)は、ソレノイド20が矢印で示された下方向に移動し、連結ギア19が昇降駆動モータ15と連結した状態を示している。この時、昇降駆動モータ15には、連結ギア19と回動用ギア21の両方が連結しているため、拍車14と測色センサ201は連動して回動可能となる。例えば、昇降駆動モータ15がR1方向に回転すると、連結ギア19と回動用ギア21はR1とは逆のR2方向に回転し、更に回動用ギア18はR1方向に回転する。そして、拍車14は排紙ガイド11の上流側の水平面に向けて下降し、測色センサ201は排紙ガイド11の斜面に向けて下降する。その後、昇降駆動モータ15が逆転すれば、全てのギアも逆回転し拍車14と測色センサ201は排紙ガイド11から離れるように上昇する。このように、連結ギア19が昇降駆動モータ15と連結している場合、記録媒体P5は、拍車14によって押圧された状態で測色センサ201による測色が施されたり、拍車14と測色センサ201の両方から開放されたりする。
【0046】
一方、図7(b)は、ソレノイド20が矢印で示された上方向に移動し、連結ギア19が昇降駆動モータ15と離間した状態を示している。この時、昇降駆動モータ15には回動用ギア21のみが連結しているため、測色センサ201のみが回動可能となる。例えば、昇降駆動モータ15がR1方向に回転すると、回動用ギア21はR1とは逆のR2方向に回転し、測色センサ201のみが排紙ガイド11に向けて下降する。また、昇降駆動モータ15が逆転すれば、回動用ギア21も逆回転し測色センサ201は排紙ガイド11から離れるように上昇する。この間、拍車14はソレノイド20が上方向に移動するまで配置されていた位置に留まったままである。このように、連結ギア19と昇降駆動モータ15との連結を解除する仕組みを備えていることにより、拍車14を任意の位置に固定した状態で、測色センサ201を昇降させることが出来る。
【0047】
本実施例のCPU300は、検出センサ24が検出した情報に基づいて、搬送される記録媒体のカールの状況や搬送の進行状態を把握し、これに応じて図7(a)および(b)で説明したような方法を組み合わせて、拍車14と測色センサ201の位置を調整する。すなわち本実施例によれば、1つのモータを駆動源として、拍車14と測色センサ201とを、個別に且つ任意な位置に移動することが出来、様々なカール状態に適切に対応しながら記録媒体を円滑に搬送し、信頼性の高い測色を実行することが可能となる。
【0048】
なお、以上では、記録ヘッド5や測色センサ201がX方向に移動する工程と、記録媒体を搬送する工程とを交互に実行する、所謂シリアル型の記録装置或いは測色装置を例に説明してきたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。記録ヘッドと測色センサの一方或いは両方が、記録媒体のX方向の幅に相当する分だけ記録素子或いは測色素子を有し、これらがX方向に移動することなく記録或いは測色を実行するフルラインタイプの装置であっても本発明は無論有効である。
【0049】
また、以上では、測色ユニット200を備えた記録装置を例に説明したが、本発明を適用可能な構成はこれに限定されるものではない。カールした記録媒体を押さえながら測色可能な装置であれば、記録部を備えていなくても、本発明の効果を十分に発揮することは出来る。上述した実施例のように記録部を備えた記録装置であっても記録部を備えない構成であっても、上述したような特徴を有する測色ユニットが備えられていれば、本発明の測色装置とみなすことが出来る。
【符号の説明】
【0050】
1 記録装置
2 記録媒体
4 測色ユニット
8 記録ヘッド
14 押圧板
15 測色キャリッジ
16 測色センサ
17 スリット
18 排紙ガイド
22 シート部材
27 ベルト
30 測色キャリッジ駆動モータ
500 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体に記録された画像を測色する測色手段と、
該測色手段が測色する領域の前記記録媒体を背面から支持する支持手段と、
前記搬送の方向において前記測色手段よりも上流に配置され、前記搬送される記録媒体を前記支持手段に押し付けることが可能な押さえ手段と、
前記搬送される記録媒体の情報を取得する取得手段と、
前記押さえ手段の前記支持手段に対する位置を、前記取得手段が取得した前記情報と搬送の進度に応じて調整することが可能な制御手段と
を備えることを特徴とする測色装置。
【請求項2】
前記制御手段は、同一の駆動源を用いて、前記押さえ手段と共に、前記測色手段の前記支持手段に対する位置も調整することを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
【請求項3】
前記制御手段は、同一の駆動源を用いて、前記押さえ手段と前記測色手段の前記支持手段に対する位置を、個別に調整することが可能であることを特徴とする請求項2に記載の測色装置。
【請求項4】
前記測色手段は、前記搬送の方向と交差する方向に移動しながら前記記録媒体に記録された画像を測色することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の測色装置。
【請求項5】
前記搬送の方向において前記押さえ手段よりも更に上流に配置され、前記搬送される記録媒体に画像を記録することが可能な記録手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の測色装置。
【請求項6】
前記記録手段は、インクを吐出することにより前記記録媒体に画像を記録することを特徴とする請求項5に記載の測色装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記搬送の方向において前記押さえ手段よりも更に上流に配置され、前記記録媒体のカールの状態、前記記録媒体の種類、前記記録媒体の端部が通過したことを検出することが可能な検出センサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の測色装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記記録媒体の種類およびサイズを、ユーザが入力することが可能な操作部であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の測色装置。
【請求項9】
前記押さえ手段は、拍車を前記記録媒体に接触させることにより、前記記録媒体を前記支持手段に押し付けることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の測色装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112430(P2013−112430A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257445(P2011−257445)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】