説明

測量装置

【課題】 光量調整を行わずに、広範囲のダイナミックレンジをカバーできる光の所要時間差又は測定対象物までの距離を測定する測量装置を提供する
【解決手段】 発光部1から射出したパルス光を参照光路F1への基準光と、測定対象物に照射され、反射されて戻る測定光路F2への測定光に分岐し、これらを受光部9で受光する。測定光路F2の途中に、多重反射光ファイバーMp1を挿入することにより、測定光は光量が順次一定の割合で減衰する多重パルス列となる。このパルス列から参照光の受光レベルと略同一の測定光を選択できる。この選択された測定光と基準光を基に、測定光が測定光路F2を通過する時間と基準光が参照光路F1を通過する時間との所要時間差又は測定対象物までの距離を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測量装置に関する。詳しくは、ターゲット等の測定対象物から反射されたパルス光を受光して時間差や距離の測定を行う測量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ターゲット等の測定対象物から反射されたパルス光を受光して時間差や距離の測定を行う装置があった。一般的に、測定対象物までの距離に応じて受光光量が大幅に変化する。測定対象物が遠距離にある場合などには、受光光量の増幅が必要になる一方、測定対象物が非常に近距離にある場合などには、測定光路中の反射パルス光の強度は非常に高く、そのままでは、受光信号がサチュレーションするなどにより測定誤差への影響が現われるという問題点があった。
【0003】
また、受光信号の強度が変化すると受光信号処理等の過程で測定誤差が生じることから、参照光路を設けて、発光部の発光時間遅れや、受光信号処理回路の遅れなどの影響を除去することが行われてきた。特に、精度の高い測定を行うためには、測定光路と参照光路での受光光量(受光レベル)は略同一であることが望ましく、このため、参照光路にNDフィルター(Neutral Density Filter:減光フィルター)などの光量調整装置を使用する方法、強度の異なる複数のパルスを射出し、近距離測定系用(低反射ミラーを使用)と遠距離測定系用に分けて利用する方法等が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開平2000−206246号公報(段落0016〜0024,図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高速に時間差や距離の測定を行う場合には光量調整を行わずに測定を行う必要がある。しかしながら、光量調整を省くと、測定対象物までの距離に応じて受光光量が大きく変化するため、すべての光量を受信するには非常に大きなダイナミックレンジが必要になるという問題があった。
【0006】
また、近距離測定系用(低反射ミラーを使用)と遠距離測定系用に分けて利用する方法を用いても、カバーできるダイナミックレンジに限度があった。
また、一般的に受光信号処理において、電気回路のダイナミックレンジは光のダイナミックレンジをカバーできるほど大きくはない。つまり光量調整を行わない場合の測定範囲は電気回路のダイナミックレンジで決まってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消し、光量調整を行わずに、広範囲のダイナミックレンジをカバーできる、時間差又は距離を測定する測量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の測量装置は、例えば図3に示されるように、パルス光を射出する発光部1と、発光部1から射出されたパルス光を、基準光と測定光に分岐する光分離器3と、基準光を通過させる参照光路F1と、測定光を測定対象物に照射するために通過させ、また、測定対象物から反射された測定光を通過させる測定光路F2の一部であって、測定光を基に生成時間及び強度の異なる多重パルス光を生成する多重パルス生成部Mp1(図1参照)を有する部分と、参照光路F1からの基準光及び測定光路F2からの多重パルス光を受光する受光部9と、参照光路F1からの光と測定光路F2からの光を受光部9に導くために結合する光結合器7と、受光部9で受光された多重パルス光から、測定に用いるパルス光を選択するパルス選択部38と、パルス選択部38で選択されたパルス光(測定光に含まれる)と基準光との受光時間差及び選択されたパルス光の受光順番に基づき、測定光が正規の測定光路を通過する時間と基準光が参照光路F1を通過する時間との所要時間差を算定する又は測定対象物までの距離を算定する測定量算定部39とを備える。
【0009】
ここにおいて、測量装置には距離や方向を測定する装置の他に、光の所要時間差や受光時間差を測定する装置も含むものとする。また、測定光路F2は本装置のインタフェース部INから測定対象物まで延びているので、測定光路F2の一部とはこの装置外の部分を除く意味である。また、多重パルス光とは単一のパルスから生成される一群のパルス列を意味する。また、パルス光の受光順番とは受光パルスの受光順番をいうが、多重パルス生成部Mp1で生成された多重パルス光の生成順番で採番しても、多重パルス生成部が1つの場合、受光順番=生成順番+1であり、このように換算可能な場合には実質的に受光順番に含まれる。また、正規の測定光路とはファイバー端面での反射や迂回による時間遅延が生じていない測定光路、すなわち、光学的距離が最短の測定光路を意味する。また、パルス選択部38、測定量算定部39等の各部は必ずしも一体的に構成されていなくても良く、例えば演算に用いるコンピュータは電気回路と別に構成されていても良い。このように構成すると、光量調整を行わずに、広範囲のダイナミックレンジをカバーできる、時間差又は距離を測定する測量装置を提供できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測量装置において、生成時間及び強度の異なる多重パルス光は、等しい時間間隔で光量が順次一定の割合で減衰するパルス列である。
【0011】
ここにおいて、等しい時間間隔、一定の割合とは装置の製造、組立のばらつきや測定誤差等を考慮して実質的に等しい時間間隔、一定の割合の意味である。このように構成すると、パルス光の発生順番と強度とを整然と対応付けられ、測定に用いるパルス光を選択するのに便宜であり、受光処理や算定の自動化も容易になる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の測量装置において、例えば図3に示すように、パルス選択部38は、受光された多重パルス光の受光レベルに基づき測定に用いるパルス光を選択する。
【0013】
ここにおいて、受光レベルに基づき選択するとは、典型的には参照光の受光光量(受光レベル)と略同一の測定光を選択する。このように構成すると、参照光の受光光量と略同一の測定光を選択でき、測定誤差を微小にでき又は高精度の補正が可能である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の測量装置において、例えば図1に示されるように、多重パルス生成部は、両端面に入射光束の一部を通過させ、一部を反射させる反射部を有する多重反射光ファイバーMp1を有する。
【0015】
このように構成すると、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列を生成でき、そのパルス列から、参照光の受光レベルと略同一の測定光を選択できる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の測量装置において、多重反射光ファイバーMp1には、反射部に所定の反射率のフィルターが形成されている。
【0017】
ここにおいて、所定の反射率のフィルターは典型的には端面コーティングにより形成される。反射率は例えばコーティング膜厚を調整して50%等所望の値に設計される。このように構成すると、多重反射光ファイバーMp1端面の反射率r、透過率tを調整することで受光光量の減衰の割合を自由に設定することが可能である。従ってそのパルス列の中に基準となる参照光の光量に近いものが存在するように多重反射光ファイバーMp1を設計することが可能である。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の測量装置において、所定の反射率は、装置のダイナミックレンジとの関係から設定される。
【0019】
このように構成すると、本測量装置の受光処理系のダイナミックレンジに応じて、基準となる参照光の光量に近いものが確実に存在するように多重反射光ファイバーMp1端面の反射率を設計することが可能である。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の測量装置において、多重パルス生成部は、入射光束の一部を迂回させる迂回路を有する。
【0021】
このように構成すると、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列を生成でき、そのパルス列から、参照光の受光レベルと略同一の測定光を選択できる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の測量装置において、例えば図9に示すように、多重パルス生成部Mp2は、一部反射ミラー43を介して正規の測定光路から光束の一部を分岐させ、分岐された光束を迂回路47に巡回させた後に、一部反射ミラー43を介して正規の測定光路に復帰させる。
【0023】
このように構成すると、光のエネルギーの使用効率をほぼ100%にすることも可能である。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の測量装置において、例えば図10に示すように、多重パルス生成部Mp3は、光結合器53を介して正規の測定光路から光束の一部を光ファイバーループからなる迂回路54に分岐させ、分岐された光束を光ファイバーループ54に巡回させた後に、光結合器を53介して正規の測定光路に復帰させる。
【0025】
このように構成すると、光のエネルギーの使用効率をほぼ100%にすることも可能である。
【0026】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の測量装置において、測定量算定部39は、受光信号の受光レベルに対応する補正データを記憶した補正テーブルを有し、補正テーブルを用いて所要時間差又は測定対象物までの距離を補正する。
【0027】
ここにおいて、受光レベルに対応する補正データとは、例えば光量差や振幅比(ピーク値の比)と補正量との対応関係を示すデータをいう。このように構成すると、基準光と測定光との厳密な光量差や振幅比を計算し、その差が原因で発生する時間差や距離の誤差を高精度に補正できる。
【0028】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の測量装置において、測定対象物がターゲットである。
【0029】
このように構成すると、ターゲットを用いて、効率良く高精度の測量を実行できる。なお、ターゲットとは、測量において測定対象物の位置、形状を高精度に特定するために、測定対象物に貼付する標識をいう。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、光量調整を行わずに、広範囲のダイナミックレンジをカバーできる、時間差又は距離を測定する測量装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1に本発明の第1の実施の形態における光回路の構成例を示す。
図1を用いて、本実施の形態の基本概念を説明する。発光部であるPLD(発光ダイオード)1からの光束はコリメートレンズ2で平行光束にされた後、光分離器としてのビームスプリッタ3へ入射され、外部測定光束(測定光)と内部測定光束(基準光)とに分けられる。ビームスプリッタ3で反射された基準光は、集光レンズ4により集光されて基準ファイバー5を通過した後、再びレンズ6により平行光束に変換されて光結合器としてのビームスプリッタ7に入射し、その反射光がレンズ8により受光部であるAPD(アバランシェフォトダイオード)9上に集光される。ここに、PLD1から、ビームスプリッタ3、基準ファイバー5、レンズ8を通過してAPD9に到る光路を参照光路F1といい、この基準光の受光される時間を基準時間として使用する。
【0032】
一方、ビームスプリッタ3を透過した測定光は、集光レンズ10により発光ファイバー11に集光される。この発光ファイバー11として多重反射光ファイバーMp1を使用する。多重反射光ファイバーMp1とは、光ファイバー端面をコーティング等により加工して、透過率tと反射率rを意図的に設定したものである。透過率tと反射率rは例えばコーティング膜厚を調整して所定の値に設定できる。たとえば光ファイバーの両端が透過率t=50[%]、反射率r=50[%]である場合、光量100の単一パルス光が入射されると、そのまま通過するパルスの他に、端面間を往復してから通過するパルスが生成され、出力には25、6.25、1.56、0.39、・・・・という、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列が現れる。発光ファイバー11としてこの多重反射光ファイバーMp1を用いた場合、発光部1から射出された単一パルスは、多重反射光ファイバーMp1を通過することにより、順次一定の割合で減衰するパルス列となって出力され、多重反射光ファイバーMp1は多重パルス生成部として機能する。なお、本装置と測定対象物との間で測定光を送受するためのインタフェース部IN(本装置に含まれる)において、13’はミラー、14’はレンズである。
【0033】
この発光ファイバー11を基準ファイバー5に対して十分に長くすることで、測定光を基準光に対し時間的に遅延させる遅延ファイバーとして機能させ、パルス列のパルス間隔を充分長くとることが出来る。また光源の発光ムラやスペックルを除去するためのミキシング機能を有させることも出来る。
【0034】
発光ファイバー11からの射出光は装置外部へと導かれ、図示しないターゲット等の測定対象物へ照射される。測定対象物から反射して戻ってきた反射光はパルス列となり、このパルス列の光量は順次一定の割合で減衰する。測定対象物から反射された測定光は、受光ファイバー15に集光される。受光ファイバー15を透過した測定光はレンズ16により平行光束に変換され、ビームスプリッタ7を透過してレンズ8により受光部APD9上に集光される。ここに、PLD1から、ビームスプリッタ3、発光ファイバー11を通過し、測定対象物で反射され、受光ファイバー15、レンズ8を通過してAPD9に到る光路を測定光路F2という。
【0035】
図2に光回路内の各所におけるパルス光の状況を示す。図2(a)に示すように発光部1から射出される発光パルスPaは単一のパルスである。また、図2(b)に示すように、発光ファイバー11から射出されて測定対象物に到る対物出力パルスPbは、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列となる。また、図2(c)に示すように、受光部9に受光される受光パルスPcは、まず、参照光路F1を通過した単一のパルスが現れ、次に測定対象物によって反射された、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列が現れる。よって、パルス列の複数のパルス(測定光)のうち基準となる参照光量に最も近いものを測定光として選択することができ、これにより、光量調整を行わずに時間差測定や距離測定が可能となる。
【0036】
また、受光光量の減衰の割合は多重反射光ファイバーMp1端面の反射率r、透過率tを調整することにより自由に調整可能である。従ってそのパルス列のなかに基準となる参照光の光量に近い測定光が存在するように多重反射光ファイバーMp1を設計することが可能である。このように、受光処理系が有する有限なダイナミックレンジに最適な光量のパルスを検出可能となり、ターゲットから反射される光の大きなダイナミックレンジを無調整ですべてカバーする、時間差又は距離を測定する測量装置を構成することができる。
【0037】
そして、測定光が測定光路F2を通過する時間と基準光が参照光路F1を通過する時間との所要時間差を求めることにより、測定対象物までの距離(測定対象距離)Lを求めることが可能になる。もし、参照光路F1における基準ファイバー5長が正規の測定光路における発光ファイバー11長と受光ファイバー15長の和に等しい場合には、上記所要時間差が測定光が受光された受光時間と基準光が受光された基準時間との受光時間差に等しくなるので、この受光時間差を求めることで、測定対象距離Lを求めることが可能になる。なお、測定対象距離L算定の詳細については後述する。
【0038】
図3に本発明の第1の実施の形態における測量装置100の構成例のブロック図を示す。
発光部1、受光部9、参照光路F1、発光ファイバー11、受光ファイバー15などの光回路構成は図1と同様である。インタフェース部INにおいて、発光ファイバー11からの射出光は、レンズ12によりコリメートされた後ミラー13により反射されて測量装置外部へと導かれ、図示しない測定対象物へ照射される。測定対象物から反射された測定光は、レンズ14により受光ファイバー15に集光される。
【0039】
図4に受光後の測量装置100各所における信号の様子を示す。図4において、最左側に装置各所(a)〜(i)を示す。横軸は時間軸であり、時間との関係から、左側に基準光に係る信号が、右側に測定光に係る信号が表示される。
【0040】
図5のフローチャートに、本実施の形態における測定量算定の処理フロー例を示す。図3〜図5を用いて受光以後の処理の流れを説明する。
【0041】
まず、受光とタイミング信号発生について説明する。
駆動部35は、発光部PLD1を駆動するPLDドライバー36と、受光部APD9のバイアスを調整するバイアス調整器37等で構成される。PLDドライバー36の駆動によりPLD1から単一パルスが発生される(図4(a)参照)。また、バイアス調整器37はAPD9の増幅率に対応する逆バイアス電圧を生成する。受光処理部20はAPD9により受光された受光信号を算定回路部21の処理前に処理するもので、負荷17、プリアンプ18、コンパレータ19、ピークホールド回路32等により構成される。受光信号はAPD9に入射され、バイアス調整器37で決定された増幅率で増幅され電気信号に変換される。APD9の出力は負荷17により電流電圧変換され、プリアンプ18によってさらに増幅される。受光信号は、プリアンプ18出力に示すように基準光信号、測定光信号の順に発生し、測定光信号は、発光側に配置した多重反射光ファイバーMp1を通過するため、光量が順次一定の割合で減衰する複数個(図ではo、o、oの3個)の信号となる(図4(b)参照)。
【0042】
基準光信号rおよび測定光信号o、o、oはコンパレータ19によりそれぞれデジタル的なタイミング信号r’、o’、o’に変換される(図4(c)参照)。このコンパレータ19の出力信号r’、o’、o’は、後段に続く算定回路部21の制約を緩和するため、所望のパルス幅を生成するように、回路設計することができる。なお、多重反射光ファイバーMp1の設計により所望のパルス間隔を生成できる。この段階で、コンパレータ19に入力されるプリアンプ18の出力のうちコンパレータ19に設定されたスレッショルドのレベルを超えないoのような信号は、測定にふさわしくない信号として除去される。
【0043】
算定回路部21は、基準クロック発生回路22、基準SIN/COS信号発生回路23、2回路(基準SIN/COS信号用)入りA/Dコンバータ24、第1のメモリー25、波数カウンタ/割り込み発生回路26、アドレスカウンター27、第1の遅延回路28、光量検出用A/Dコンバータ29、第2のメモリー30等により構成され、演算部33と協働して所要時間差や測定対象物までの距離を算定する。すなわち、所要時間差や測定対象物までの距離を算出する測定量算定部39は演算部33と算定回路部21により構成される。コンパレータ19の出力であるタイミング信号r’、o’、o’は、一方で波数カウンタ/割り込み発生回路26に入力されて、時間差や距離の疎測定に用いられ、他方で精密測定のための2回路入りA/Dコンバータ24のサンプリングクロックとして用いられる。
【0044】
次に、疎測定およびタイミング信号取り込み終了通知について説明する。
波数カウンタ/割り込み発生回路26では、全ての測定光タイミング信号o’,o’を取り込んだ時点でCPU(中央処理装置)34にタイミング信号取り込み終了を通知し、CPU34はこの通知を受信する(ステップS01)。通知と同時に又は通知後に疎測定が開始される。ただし、測定光タイミング信号数はターゲットからの光量レベルにより増減するため一定ではない。そこであらかじめ測定光タイミング信号の有効最大数を決定しておき、測定光タイミング信号の第1の信号o’から有効最大数分の信号が受信できる時間の経過後に、CPU34タイミング信号取り込み終了通知を行うことにする。
【0045】
波数カウンタ/割り込み発生回路26では、発生したタイミング信号の総数Tをカウントする(ステップS02)。1番目のカウントは基準光タイミング信号r’によって発生し、2番目以降は測定光タイミング信号o’、o’によって発生する。本実施の形態ではT=3である。
【0046】
次に基準光タイミング信号r’から複数の測定光タイミング信号o’,o’までのおよその時間を測定する。基準となるクロックを基準クロック発生回路22により発生させ、基準SIN/COS信号発生回路23で作成される基準SIN/COS信号(図4(d),(e)参照)のクロック数を用いて、波数カウンタ/割り込み発生回路26で基準光タイミング信号r’から測定光タイミング信号o’,o’までの時間におけるクロック数をカウントし、それらのカウントされたクロック数Mn(nは測定光タイミング信号の順番)を保持する。本実施の形態ではr’とo’間のクロック数をM、r’とo’間のクロック数をMとする。ここで計測されたそれぞれのクロック数Mnは後で説明する精密測定の計算値と組み合わされ、所要時間差及び測定対象物までの距離の算定に利用される。
【0047】
この疎測定の分解能dは基準SIN/COS信号発生回路23で作成される基準信号の周波数をfr[Hz]、光速を3×10[m/sec]とすると(式1)で決定される。

d=(3×10/fr)/2[m]‥‥‥‥‥‥‥‥(式1)

なお、基準信号の周波数frとして例えば90MHzを使用できる。
【0048】
次に、精密測定のためのデータ収集について説明する。
精密測定のため、2回路入りA/Dコンバータ24には基準SIN信号、基準COS信号が被サンプリング波形として入力され、デジタルデータに変換される。この2つの波形はコンパレータ19の出力r’、o’、o’の立ちあがりのタイミングで同時にサンプリングされ、サンプリングされた基準SIN波形のデータ(値)Dsx、基準COS波形のデータ(値)Dcxは第1のメモリー25に記憶される。
【0049】
第1のメモリー25のアドレスa11〜a13はアドレスカウンター27によって生成される。このアドレスカウンター27のサンプリングクロックもコンパレータ19の出力であるタイミング信号r’、o’、o’を使うことができる。タイミング信号r’によりサンプリングされたデータDsrとDcrはアドレスa11に記憶される。同様にタイミング信号o’によりサンプリングされたデータDs1とDc1はアドレスa12に、タイミング信号o’によりサンプリングされたデータDs2とDc2はアドレスa13に記憶される。以上の処理により、基準光に係る1組のデータ[Dsr,Dcr]と測定光に係る2組のデータ[Ds1,Dc1]、[Ds2,Dc2]が第1のメモリー25に記憶される。
【0050】
次に、受光信号が適正範囲にあるか否かの判断について説明する。
以上の手順で記憶されたデータは基準光および測定光の光量が受光回路の最適なダイナミックレンジの範囲内にある場合に高精度の測定に有用である。そこで基準光および測定光の光量が適正であるかどうかを判断するためプリアンプ18の出力をピークホールドしそのレベルで適正を判断する。
【0051】
プリアンプ18の出力r、o、oはピークホールド回路32に入力され、ある一定時間ピーク値に相応するDCレベルを保つ(図4(f)参照)。プリアンプ18の出力r、o、oに対応するピークホールド回路32の出力はPr、P1、P2である。このDCレベル信号は光量検出用A/Dコンバータ29に入力される。ピークホールド値が適正範囲にある信号をサンプリングするため第1の遅延回路28を通過した受信タイミング信号r’1、o’11、o’21(図4(g)参照)がA/Dコンバータ29のサンプリングクロックとして入力され、光量(ピークホールド値)Pr、P1、P2がデジタルデータに変換され、第2のメモリー30に格納される。第2のメモリー30のアドレスは測定光タイミング信号データを格納する第1のメモリー25と同じアドレスカウンター27の出力を利用できる。よって本実施の形態の場合は、遅延出力r’1によりサンプリングされたピークホールド値Prはアドレスa21に、遅延出力o’11によりサンプリングされたピークホールド値P1はアドレスa22に、遅延出力o’21によりサンプリングされたピークホールド値P2はアドレスa23に格納される。
【0052】
なおピークホールド回路32に保持されたピークホールド値Pr、P1、P2は次の信号を受信するために一定時間の後リセットされる必要がある。本実施の形態ではこのリセット信号として第2の遅延回路31を通過した後のコンパレータ19の出力(r’2,o’12,o’22)を利用している。
【0053】
演算部33はCPU34等で構成され、時間差や距離に関する算定を行う。また、ピークホールド回路32等と協働して、受光部9で受光された多重パルス光から、時間差や距離の測定に用いるパルス光を選択するパルス選択部38としての機能を果たす。すなわち、パルス選択部38は、演算部33、ピークホールド回路32、光量検出用A/Dコンバータ29、第2のメモリー30、第2の遅延回路31等から構成される。
【0054】
第2のメモリー30に記憶された受信レベルに係るピークホールド値Pr、P1、P2は演算部33にあるCPU34により読み込まれ(ステップS03)、測定光のピークホールド値P1、P2が予め決められた光量レベルの適正範囲にあるか否か、すなわち、基準光のピークホールド値Prと略同一か否かが判断され、適正範囲と判断されたデータの測定光タイミング信号の順番nを記憶する(ステップS04)。仮に測定光信号oが受信回路のダイナミックレンジを超え飽和してしまっているような場合、CPU34はアドレスa21に格納されているピークホールド値P1から適正光量の範囲外であると判断する。また測定光信号oが適正光量の範囲内である場合CPU34はアドレスa22に格納されているピークホールド値P2から適正光量であると判断する。このようにしてCPU34は複数の測定光信号o、o、oのうち2番目の信号o が測定にふさわしい信号であると判断する。
【0055】
このようにして、受光部9で受光された多重パルス光から、所要時間差や測定対象物の距離の算出に用いるためのパルス光が選択され、演算部33はピークホールド回路32、光量検出用A/Dコンバータ29、第2のメモリー30、第2の遅延回路31等と協働してパルス選択部38の機能を果たす。測定にふさわしいと判断した測定光信号oの番号を測定光信号の第1の信号oを1番としてかぞえた順番、すなわち測定光タイミング信号の順番nで記憶しておく。本実施の形態ではn=2である。ここでは、パルス光の受光順番に代えて、多重パルス生成部Mp1で生成された多重パルス光の生成順番で採番しているが、受光パルスの受光順番を使用しても良い。
【0056】
次に、精密測定について説明する。
次にCPU34は以上収集したデータを用いて測定対象物までの距離の計算を行う。
測定光信号oが測定にふさわしい信号であると判断されたので、算定に用いるデータは、疎測定のためのクロック数M2、精密測定のための基準SIN/COS信号データ[Dsr,Dcr]と[Ds2,Dc2]となる。CPU34はこれらのデータを波数カウンタ/割り込み発生回路26及び第1のメモリー25から読み込む(ステップS05)。
【0057】
真に取得したい測定対象距離は図4中のL(測定光信号oが測定光路F2を通過する時間と基準光信号rが参照光路F1を通過する時間との時間差に対応する距離)であるが、測定光信号oが適正光量ではないためL’(測定光信号oが測定光路F2を通過する時間と基準光信号rが参照光路F1を通過する時間との時間差に対応する距離)を計算し、その後多重反射光ファイバーMp1の光学的ファイバー長Lfによる遅延分Lf×(n−1)を引算する。なお、参照光路F1における基準ファイバー5長が正規の測定光路における発光ファイバー11長と受光ファイバー15長の和に等しい場合であるものとする。まず、先に疎測定のために計測されたクロック数M2から(式2)に従って疎距離Lmを計算する(ステップS06)。

Lm={(3×10/fr)×M2}/2‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(式2)

なお、2で除算するのは、測定光が本装置と測定対象物間を往復するからである。
【0058】
次に基準光信号、測定光信号における1周期未満の距離Lr、Ln(ここではL2)を(式3)、(式4)で計算する(ステップS07)。

Lr={(3×10/fr)×(1−tan−1(Dsr/Dcr)/2π)}/2‥‥‥‥‥‥‥‥(式3)

Ln=L2
={(3×10/fr)×(tan−1(Ds2/Dc2)/2π)}/2‥‥‥‥‥‥‥‥‥(式4)

(式2)〜(式4)よりL’を(式5)で計算する(ステップS08)。

L’=Lm+Lr+Ln‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・(式5)
【0059】
また光学的ファイバー長Lfはあらかじめ決まっているので最終的に求めるべき測定対象距離Lは(式6)で表される(ステップS09)。

L=L’−Lf×(n−1)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(式6)

以上の計算から測定対象距離Lを求めることができる。
【0060】
一連の処理が終了したらCPU34は次の受光のために波数カウンタ/割り込み発生回路26、アドレスカウンター27、第1のメモリー25および第2のメモリー30をクリアする。
【0061】
なお、測定対象距離Lでなく、所要時間差を求める場合には、(式2)〜(式4)において、光速(3×10/fr)を乗算しないで計算すれば良い。結果として、求めるべき所要時間差は(式6)で求めた測定対象距離Lを光速で除算した値と一致する。
【0062】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では発光ファイバーとして多重反射光ファイバーを使用する例を説明したが、本実施の形態では受光ファイバーとして多重反射光ファイバーを使用する例を示す。
【0063】
図6に多重反射光ファイバーを受光側に設けた場合の光回路の構成例を示す。図6において、図1と異なる点は、発光ファイバー11に代えて受光ファイバー15を多重反射光ファイバーMp1とした点のみであり、他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0064】
図7に光回路内の各所におけるパルス光の状況を示す。図7(a)に示すように発光部1から射出される発光パルスPaは単一のパルスである。また、図7(b)に示すように、発光ファイバー11から射出されて測定対象物に到る対物出力パルスPbも単一のパルスである。また、図7(c)に示すように、受光部9に受光される受光パルスPcは、まず、参照光路F1を通過した単一のパルスが現れ、次に測定対象物から反射後に多重反射光ファイバーMp1を通過することにより、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列が現れる。よって、パルス列の複数のパルスのうち基準となる参照光量に最も近いものを測定光として選択することができ、これにより、光量調整を行わずに所要時間差や測定対象物までのや距離の測定が可能となる。
【0065】
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態又は第2の実施の形態を基に、高精度化ための補正機能を有するものである。
【0066】
まず、光量誤差による時間差や距離の変動の補正が行われる。すなわち、基準光と測定光との厳密な光量差を計算し、その差が原因で発生する時間差や距離の誤差を補正することにより、より精度の高い測定結果を得ることができる。この場合、測定量算定部39は、受光信号の受光レベルに対応する補正データとして光量差と補正量の関係を記憶した補正テーブルを有し、測定の度にこの補正テーブルに基づいて補正を実行すればよい。
【0067】
さらに、複数最適パルスによる測定値の平均化を行なうことにより、測定精度を向上できる。すなわち、第1、第2の実施の形態では測定光の最適な信号が1つだけの場合を説明したが、多重反射光ファイバーMp1の減衰率を適切に設定することにより、受光光量が適正範囲に入る測定光信号を複数発生させることも可能である。この場合は適正範囲に入った各測定光信号について第1、第2の実施の形態で行った時間差計算や距離計算を行い、上記補正を行った上で、求めた全ての時間差値又は距離値の平均を最終結果として採用することにより、平均効果が加未され、より安定した測定結果を得ることができる。
【0068】
なお、上記補正と平均化の順序を逆に行っても良く、或は、上記補正と平均化の一方のみを行っても良い。
【0069】
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第3の実施の形態と同様に、第1の実施の形態又は第2の実施の形態を基に、高精度化ための補正機能を有するものである。第3の実施の形態では光量差に対して誤差を補正したが、本実施の形態では振幅比に対して誤差を補正する。測定量算定部39は、受光信号の受光レベルに対応する補正データとして振幅比と補正量の関係を記憶した補正テーブルを有し、測定の度にこの補正テーブルに基づいて補正を実行すればよい。
【0070】
図8に、本実施の形態における補正テーブルの例を示す。この補正テーブルには振幅比に対する誤差の補正量(mm単位)が示されている。あらかじめ距離の解っているターゲットについて時間差や距離を実測し、振幅比に対する誤差の補正量のテーブルを作成したものである。
【0071】
振幅比とは、(基準光による電気信号の振幅)÷(測定光による電気信号の振幅)である。
時間差算定や距離算定に採用するパルスを2番目のパルスとすると、振幅比Gは(式7)で表される。
G=P2/Pr・・・・・・(式7)
【0072】
演算部33は、このGの値に近い値を補正テーブルから2点又は数点選び、この選択した値から線形(2点選ぶ)或いは非線形(数点選ぶ)近似による計算で振幅比Gに対する補正量dgを求める。さらに(式6)で求められた測定対象距離Lに補正量dgを加算して補正後の最終的な測定値とする。なお、時間差を求める場合には、補正量dg及び測定対象距離Lを光速で除算すれば良い。
【0073】
このように、振幅比に対して誤差を補正することにより、第3の実施の形態と同様に、より精度の高い測定結果を得ることができる。この補正においても、平均化と併用しても良い。
【0074】
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。第1〜第4の実施の形態では、多重パルス生成部として、多重反射光ファイバーMp1を使用する例を説明したが、本実施の形態では、多重パルス生成部として、入射光束の一部を迂回させる迂回路を有する例を説明する。
【0075】
図9に第5の実施の形態における多重パルス生成部Mp2の構成例を示す。図9は正規の測定光路から迂回路へ光信号を分岐し、また、分岐された光束を迂回路に巡回させた後に、迂回路から正規の測定光路に光信号を復帰させるために、一部反射ミラー(ハーフミラー)43を用いる例である。この方法は入力ファイバー41と出力ファイバー45の途中にハーフミラー43を配置し、入力された光束の一部を分岐させて帰還用ファイバー(迂回路)47へ導くものである。帰還用ファイバー47に導かれた光はその中を巡回し、巡回後に再度ハーフミラー43を介して出力ファイバー45に反射される。初めにハーフミラー43を透過して帰還用ファイバー47を通過しない測定光、すなわち正規の測定光路を通過する測定光は、最も光量が大きいパルス光として最初に出力ファイバー45から射出され、以下帰還用ファイバー47を1巡、2巡、…した測定光の順に、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列となって、出力ファイバー45から射出される。42,48は平行光を形成するコリメータレンズ、44,46は光ファイバー45,47に集光するための集光レンズである。
【0076】
多重パルス生成部Mp2をこのような構成とすることでエネルギーロスのない多重パルス発生が可能となる。すなわち、第1〜第4の実施の形態における多重反射光ファイバーMp1の場合には、ファイバー端面でその透過率分だけ光が外に漏れて、光のエネルギーの使用効率が低くなるが、このハーフミラーによる構成では、光の系外への漏れをなくすことができ、ほぼ100%の使用効率とすることも可能である。
【0077】
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第5の実施の形態と同様に、多重パルス生成部として、入射光束の一部を迂回させる迂回路を有する例を説明する。
【0078】
図10に第6の実施の形態における多重パルス生成部Mp3の構成例を示す。図10は正規の測定光路から迂回路へ光信号を分岐し、また、分岐された光束を迂回路に巡回させた後に、迂回路から正規の測定光路に光信号を復帰させるために、光結合器53を用いる例である。光結合器53として途中が二股に分かれたファイバーを用いても良い。この例では入力ファイバー51と出力ファイバー52の途中光結合器53を配置し、光束の一部を光ファイバーループ54からなる迂回路に分岐させ、分岐された光束を光ファイバーループ54に巡回させた後に、光結合器53を介して正規の測定回路に復帰させるものである。光ファイバーループ54を通過しない測定光、すなわち正規の測定光路を通過する測定光は、最も光量が大きいパルス光として最初に出力ファイバー52から射出され、光ファイバーループ54を1巡、2巡、…した測定光の順に、光量が順次一定の割合で減衰するパルス列となって、出力ファイバー52から射出される。このような多重パルス生成部Mp3でも使用効率100%の多重パルス生成も可能である。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜実施の形態に変更を加えられることは明白である。
【0080】
例えば、第1〜第4の実施の形態では、発光ファイバー又は受光ファイバーとして多重反射光ファイバーを使用する例を説明したが、発光ファイバー又は受光ファイバーの一部に多重反射光ファイバーを使用しても良い。また、第1〜第6の実施の形態では多重パルス生成部が1つの例を説明したが、複数使用しても良く、ネスティング構成にしても良い。これらの場合、パルス列が複数になるため、生成される多重パルスは必ずしも光量が順次一定の割合で減衰するパルス列とはならない。
【0081】
また、上記実施の形態では、参照光路F1における基準ファイバー5長が正規の測定光路における発光ファイバー11長と受光ファイバー15長の和に等しく、測定光が測定光路F2を通過する時間と基準光が参照光路F1を通過する時間との所要時間差が測定光が受光された受光時間と基準光が受光された基準時間との受光時間差に等しくなり、受光時間差から測定対象距離Lを求める例を説明したが、ファイバー長が上記関係にない場合には、光学長の差に相当する分の時間差や距離を補正すれば良い。また、インタフェース部INで上記関係から差異が生じる場合にも、光学長の差に相当する分の時間差や距離を補正すれば良い。
【0082】
また、上記実施の形態では、パルス光の受光順番として多重パルス生成部で生成された多重パルス光の生成順番で採番する例を説明したが、受光パルスの受光順番で採番しても良いことは明らかである。また、インタフェース部INにおいて、レンズ14と測定対象物との間にミラーを挿入し、さらにこのミラーをレンズ14の光軸の回りに回転可能な構成にすると、本装置の外周360度全域に在る測定対象物との距離を測定可能にできる。また、発光部としてPLDの他に別のレーザー等、その他の発光素子、光源も使用でき、受光部としてAPDの他に、その他の受光素子、受光機器も使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、ターゲットからの反射されたパルス光束を受光して時間差や距離測定を行う装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光回路の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における光回路内のパルス光の状況を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における装置構成例のブロック図である。
【図4】受光後の装置各所における信号の様子を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における測定量算定の処理フロー例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における光回路の構成例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における光回路内のパルス光の状況を示す図である。
【図8】第4の実施の形態における補正テーブルの例を示す図である。
【図9】第5の実施の形態における多重パルス生成部の構成例を示す図である。
【図10】第6の実施の形態における多重パルス生成部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 発光部(PLD)
2 コリメートレンズ
3 光分離器(ビームスプリッタ)
4 集光レンズ
5 基準ファイバー
6 レンズ
7 光結合器(ビームスプリッタ)
8 レンズ
9 受光部(APD)
10 集光レンズ
11 発光ファイバー
12 レンズ
13,13’ ミラー
14,14’ レンズ
15 受光ファイバー
16 レンズ
17 負荷
18 プリアンプ
19 コンパレータ
20 受光処理部
21 算定回路部
22 基準クロック発生回路
23 基準SIN/COS信号発生回路
24 A/Dコンバータ
25 第1のメモリー
26 波数カウンタ/割り込み発生回路
27 アドレスカウンター
28 第1の遅延回路
29 光量検出用A/Dコンバータ
30 第2のメモリー
31 第2の遅延回路
32 ピークホールド回路
33 演算部
34 CPU(中央処理装置)
35 駆動部
36 PLDドライバー
37 バイアス調整器
38 パルス選択部
39 測定量算定部
41 入力ファイバー
42 コリメータレンズ
43 ハーフミラー(一部反射ミラー)
44 集光レンズ
45 出力ファイバー
46 集光レンズ
47 帰還用ファイバー(迂回路)
48 コリメータレンズ
51 入力ファイバー
52 出力ファイバー
53 光結合器
54 光ファイバーループ
100 測量装置
a1n 第1のメモリーにおけるn番目の測定光タイミング信号データのアドレス
a2n 第2のメモリーにおけるサンプリングされたピークホールド値のアドレス
Dsx 基準SIN信号のデータ
Dcx 基準COS信号のデータ
F1 参照光路
F2 測定光路
IN インタフェース部
L 測定対象距離
Lf 多重反射光ファイバーの光学的ファイバー長
Lm 疎距離
Mn クロック数
Mp1 多重反射光ファイバー
Mp2、Mp3 多重パルス生成部
n 測定光タイミング信号の順番
、o、o 測定光信号
Pa 発光パルス
Pb 対物出力パルス
Pc 受光パルス
Pr、P1、P2 ピークホールド回路の出力
r’、o’、o’ タイミング信号
r 基準光信号
反射率
T タイミング信号の総数
透過率


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光を射出する発光部と;
前記発光部から射出されたパルス光を、基準光と測定光に分岐する光分離器と;
前記基準光を通過させる参照光路と;
前記測定光を測定対象物に照射するために通過させ、また、前記測定対象物から反射された測定光を通過させる測定光路の一部であって、前記測定光を基に生成時間及び強度の異なる多重パルス光を生成する多重パルス生成部を有する部分と;
前記参照光路からの基準光及び前記測定光路からの前記多重パルス光を受光する受光部と;
前記参照光路からの光と前記測定光路からの光を前記受光部に導くために結合する光結合器と;
前記受光部で受光された前記多重パルス光から、測定に用いるパルス光を選択するパルス選択部と;
前記パルス選択部で選択されたパルス光と前記基準光との受光時間差及び前記選択されたパルス光の受光順番に基づき、前記測定光が正規の測定光路を通過する時間と前記基準光が前記参照光路を通過する時間との所要時間差を算定する又は前記測定対象物までの距離を算定する測定量算定部とを備える;
測量装置。
【請求項2】
前記生成時間及び強度の異なる多重パルス光は、等しい時間間隔で光量が順次一定の割合で減衰するパルス列である;
請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記パルス選択部は、受光された前記多重パルスの受光レベルに基づき前記測定に用いるパルス光を選択する;
請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
【請求項4】
前記多重パルス生成部は、両端面に入射光束の一部を通過させ、一部を反射させる反射部を有する多重反射光ファイバーを有する;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項5】
前記多重反射光ファイバーには、前記反射部に所定の反射率のフィルターが形成されている;
請求項4に記載の測量装置。
【請求項6】
前記所定の反射率は、装置のダイナミックレンジとの関係から設定される;
請求項4又は請求項5に記載の測量装置。
【請求項7】
前記多重パルス生成部は、入射光束の一部を迂回させる迂回路を有する;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項8】
前記多重パルス生成部は、一部反射ミラーを介して前記正規の測定光路から光束の一部を分岐させ、分岐された光束を前記迂回路に巡回させた後に、前記一部反射ミラーを介して前記正規の測定光路に復帰させる;
請求項7に記載の測量装置。
【請求項9】
前記多重パルス生成部は、光結合器を介して前記正規の測定光路から光束の一部を光ファイバーループからなる前記迂回路に分岐させ、分岐された光束を前記光ファイバーループに巡回させた後に、前記光結合器を介して前記正規の測定光路に復帰させる;
請求項7に記載の測量装置。
【請求項10】
前記測定量算定部は、受光信号の受光レベルに対応する補正データを記憶した補正テーブルを有し、前記補正テーブルを用いて前記所要時間差又は前記測定対象物までの距離を補正する;
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項11】
前記測定対象物がターゲットである;
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の測量装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−51877(P2007−51877A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235287(P2005−235287)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】