説明

湿潤化粧料

【課題】 肌の角質層に存在する天然保湿成分(NMF)を配合し、防腐剤フリーの保湿効果の高い、さっぱりとした使用感触の肌荒れ改善に優れた化粧料を提供すること。
【解決手段】 NMF成分としてアミノ酸、乳酸塩、クエン酸、ミネラル塩を配合し、多価アルコールを配合して防腐剤フリーにして安全性を高め上記課題を解決することを見出した。
【効果】 本発明の湿潤化粧料は、NMF成分を含むので、高い保湿性と肌改善効果を得ることができ、べたつきを抑えたさっぱりとした使用感触が得られ、さらに、多価アルコールを配合することで安全性を高めた防腐剤フリーの化粧料を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
肌の角質層に存在する天然保湿成分(Natural Moisturizing Factor NMF)を配合し、防腐剤フリーにした保湿効果の高い、さっぱりとした使用感触の肌荒れ改善にすぐれた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の角質層中にあるNMFは、アミノ酸、乳酸、尿素、クエン酸などで構成され、いずれも水を抱え込む力があり、肌をみずみずしく保つという働きがある。このNMFが減少すると肌の乾燥や肌荒れやしわの原因になる。
【0003】
NMF成分を配合して保湿効果を上げるために、特開平8-92060号公報ではベタインとカラギーナンに多糖類とNMF成分の少なくとも1成分を配合することで保湿効果と柔軟効果を向上させている。しかしながらNMF成分の中で、保湿効果の高いミネラルが配合されていないので、うるおい効果としては不十分である。また、安全性、防腐性に対して記述していないので、確かなことは言えないが、カラギーナンのような高分子を配合すれば防腐的に問題を生じる可能性がある。また、特開平11-228380号公報ではピリドキシンとNMFの1種または2種以上の配合により肌荒れを改善している。これも安全性、防腐性の記述が無く、実施例に防腐剤としてパラベンの配合があるので安全性について多少の不安がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-92060号公報
【特許文献2】特開平11-228380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでのNMF成分を含む化粧料は、保湿剤としてこれらの一部の組み合わせ配合が多く、水溶液は防腐性が弱く防腐剤の配合が不可欠であった。また本発明者らが使用性試験を実施した際、NMF成分単独ではパッチした肌が赤くなり、試験の続行に問題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはこれらの問題を解決するために、前記の成分に多価アルコールを配合することで、防腐剤フリーにするばかりでなく、安全性を改良することで前記の試験を実施できた。本発明では、NMF成分に防腐助剤として働く多価アルコールを高配合することで、防腐剤フリーの製剤を実現し、保湿効果があり、かつ、さっぱりとした使用感触のよい化粧料を提供するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のNMF成分にはアミノ酸、乳酸塩、クエン酸、ミネラル塩を、多価アルコールには1,3ブチレングリコール、グリセリンが組み合わされて配合される。
【0008】
NMF成分として、アミノ酸はセリン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、グルタミン酸、プロリンの10種類が挙げられ、8〜15%の配合が適当である。ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムは、全体の3〜8 %配合するのが適当で、クエン酸は、0.1〜1%の配合が適当である。ミネラル塩はCaイオン、Mgイオンが配合される。これらの二価金属は保湿効果を高めるために配合され、全体の0.5〜3%配合するのが適当である。いずれの配合割合でも、下限以下になるとうるおい効果が十分に発揮されない可能性があり、また、上限を超えるとべたつきが出るなど使用感が悪くなる。
【0009】
安全性を高め、防腐剤フリーにする目的で多価アルコールとして、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、1,2プロパンジオール、ペンチレングリコール、へキシレングリコールが全体の5〜50%配合される。好ましくは1,3-ブチレングリコール、グリセリンの組み合わせで20〜40%配合する。5%以下では防腐力が発揮されず、また50%を超えるとべたつきが出るなど使用感が悪くなる。
【0010】
本発明の湿潤化粧料は、通常のプロペラ攪拌で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の湿潤化粧料(美容液)に用いるミネラル塩の保湿効果を示す蒸発試験の結果を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例1(美容液)の保湿効果を示す蒸発試験の結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1(美容液)の保湿効果を示す角質水分量の測定試験の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2(化粧水)の保湿効果を示す使用前後における角質水分量の測定試験の結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例2(化粧水)の保湿効果を示す使用前後におけるTEWLの測定試験の結果を示すグラフである。
【0012】
以下、本発明の実験例と実施例を示し、本発明をより詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により、限定されるものではない。
【0013】
Caイオン、Mgイオンの保湿効果の評価
NMF成分のCaCl2、MgCl2、 NaClと精製水とで蒸発試験を行い、結果を比較し、その保湿効果を評価した。
【0014】
(実験方法)
CaCl2、MgCl2、 NaClの10%濃度の試料と精製水を各2.5cm四方のろ紙に浸み込ませ、電子天秤で10秒ごとに60秒まで重さの変化を量る。減少した量をプロットし、近似式の傾きを求め(PLOPE関数)、「傾きが小さい=蒸発が少ない=保湿力が高い」ことから保湿効果を評価する。
【0015】
前記の方法で行った実験結果から近似式を得た。その傾きの値を表1と図1に示す。
【0016】
(表1)

【0017】
図1は各種ミネラル塩の蒸発試験における「傾き」を示す表1の数値を夫々の棒状領域にグラフ化して示す。
【0018】
以上の結果からMNFに含まれるミネラルには、特にCaイオン、Mgイオンに保湿効果が高いことが分かる。
【実施例】
【0019】
本発明を実施例によって説明する。
【0020】
蒸発試験 in vitro
本発明化粧料の保湿力を評価する目的で蒸発試験を行った。本発明化粧料の基本的な組成を実施例1としてを表2に記す。
【0021】
(表2)

【0022】
本発明の湿潤化粧料の保湿力を調べるために実施例1の(美容液)と精製水で蒸発試験を行った。
【0023】
(実験方法)
本発明の実施例1の湿潤化粧料(美容液)と精製水を2.5cm四方のろ紙に浸み込ませ、30秒おきに10分間、電子天秤で計量した。その結果を図2に示す。蒸発速度が遅いほど保湿力があることを示す。
【0024】
図2中、太線は本発明の実施例1の湿潤化粧料(美容液)、細線は精製水の蒸発速度を示す。
【0025】
図2より本発明の湿潤化粧料(美容液)は蒸発速度が遅いことが確認され、保湿力があることが認められた。
【0026】
角質水分量測定実験 in vivo
男女3人を被験者とし、両腕で実施例1の角質水分量測定実験を行った。
【0027】
試験内容: N=6、塗布部位:上腕
使用機器: CORNEOMETER CM825(Courage+Khazaka Cologne Germany社製)
【0028】
実験方法
実施例1の湿潤化粧料(美容液)と精製水を各2 cm四方のろ紙に浸み込ませ、前腕に5分間塗布し、ろ紙をはがした後、その直後、30分、1時間、2時間後に角質水分を測定した。その結果を図3に示す。
【0029】
図3中、太線は本発明の実施例1の湿潤化粧料(美容液)を用いた場合、細線は精製水を用いた場合、点線は未処理の場合の蒸発量を夫々示す。
【0030】
図3より本発明の湿潤化粧料(美容液)は角質水分を高めることが確認され、保湿力があることが認められた。
【0031】
防腐防黴試験
本発明の湿潤化粧料(美容液)中のNMF成分だけでは防腐力が弱く、菌類が繁殖しやすい。そこでNMF成分に多価アルコールを40%加え、防腐力を高めた実施例1の湿潤化粧料(美容液)で防腐防黴テストを行った。
【0032】
実験方法
防腐防黴テストは、5種類の菌を108/mlに調整し、実施例1に接種し、25℃で培養した。培養直後、2週間後、4週間後の試験液の10倍希釈液を作成し、寒天培地に接種し培養した。形成されたコロニーをカウントし、生菌数に換算した。菌の種類と生菌数の結果を表3に示す。
【0033】
(表3)

【0034】
表中数値は<101ならば、培養液の培養後の試験液0.1mLより菌が検出されないことを示す。
【0035】
以上より、本発明の湿潤化粧料(美容液)は多価アルコールを加えることにより、防腐剤フリーで菌の繁殖を抑える効果があることがわかり、防腐防黴に強い化粧料であることが確認された。
【0036】
なお、本発明の湿潤化粧料(美容液)を用いた態様は任意であり、そのまま単品でも使用でき、上記構成成分の他に水や、必要に応じ化粧料に配合される各種成分を配合することができる。例えば、油性成分、界面活性剤、高級アルコール、高分子、抽出液、シリコーン、保湿剤、薬剤、粉体、紫外線吸収剤等がある。
【0037】
油性成分として、例えば、スクワラン、流動パラフィン、オレフィンオリゴマー、ホホバ油、マカデミアナッツ油、精製オリーブ油などの植物油、テトラ2 -エチルヘキサン酸ペンタエリストール、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソパルミチン酸オクチル、コハク酸2−エチルヘキシル、トリメチルヘキサノインなどの合成油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルサルコシンイソプロピルなどのアミノ酸系油などが挙げられる。
【0038】
アニオン界面活性成分として、例えば、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテールリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
【0039】
カチオン界面活性成分として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのアルキル四級アンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
【0040】
両性界面活性成分として、例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド-1- カルボキシエチロキシ2 ナトリウム塩等の、イミダゾリン系両性界面活性剤、2-ヘプタデシル-N- カルボキシメチル-N-
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0041】
非イオン界面活性成分として、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0042】
高級アルコール成分として、例えば、ラウリルアルコール、ミスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる
【0043】
高分子成分として、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチンメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0044】
抽出液成分として、例えば、カミツレエキス、パセリエキス、スイカズラエキス、コメエキス、コメヌカエキス、ホップエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、ユーカリエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス、チンピエキス、ピーカンナッツエキス、グレープフルーツエキス、シークワーサーエキス、パッションフルーツエキス、ビワエキス、ブドウエキス等の各種抽出成分が挙げられる。
【0045】
シリコーン成分として、例えば、トリシロキサン、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキフェニルトリメチコン、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、ステアロキシメチルポリシロキサン、シメチコン、ジメチコノール、メチルエーテルジメチコン、ブチルエーテルジメチコン、ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0046】
保湿成分として、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレンブリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、エラスチン、グルコサミン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、コラーゲン、胆汁酸塩、ジグリセリン等が挙げられる。
【0047】
薬効成分として、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類およびそれらの誘導体、グリチルリチン酸及びの誘導体、グリチルレチン酸及びの誘導体、尿素などの各種塩、クレアチニン、CoQ10、アスタキサンチン、ポリフェノール、セラミドなどの成分が挙げられる。
【0048】
粉体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、酸化セリウム、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、ベントナイト、クレー、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、含フッ素金雲母、合成タルク、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、チッ化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン、炭酸マグネシウム、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、及びこれらの複合体等の無機粉末;ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ナイロン粉末、PMMA粉末、スターチ、ポリエチレン粉末、及びこれらの複合体等の有機粉末等が挙げられる。
【0049】
紫外線吸収剤として、例えば、2‐ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’メトキシジベンゾイルメタン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0050】
なお、本発明の湿潤化粧料(美容液)の用途は任意であり、精製水のほか前記化粧品成分で希釈すれば化粧水、クリーム、乳液、サンケア製品、ボディケア製品、メーキャップ製品、ヘアケア製品、トイレタリー製品などに幅広く応用することができる。
【0051】
以下本発明の湿潤化粧料(美容液)の使用態様の実施例を示し、本発明をより詳しく説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
使用性テスト
男女3名を被験者として実施例2、3としての化粧水についてしっとりさ、さっぱりさ、べたつきのなさ、清涼感、なめらかさについての使用性を評価した。配合成分と結果を表4に示す。表5には本発明(組成物)の配合例を示す。
【0053】
(表4)

【0054】
真皮成分とは、コラーゲン、エラスチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、N-アセチルグルコサミンを含む10%水溶液である。
【0055】
(表5)

【0056】
実施例2、3の化粧水は、水相部(イ)および油相部(ロ)(可溶化部)を、それぞれ完全に溶解したのちに、(ロ)を(イ)に混合攪拌して製造した。
【0057】
以上より、実施例2、3の化粧水はべたつきのないさっぱりとしたものであった。
【0058】
本発明の化粧料の他の態様である実施例4、5のクリームについてしっとりさ、なめらかさ、べたつきのなさ、さっぱりさ、のびについての使用性の評価をした。配合成分と結果を表6に示す。表7には本発明組成物(美容液)の配合を示す。
【0059】
(表6)

【0060】
(表7)

【0061】
実施例4、5のクリームは、前記表6の水相部(イ)および油相部(ロ)をそれぞれ70℃に加熱し、完全に溶解したのちに、(ロ)を(イ)に混合し、攪拌機で攪拌する。乳化物を冷水にて30℃まで冷却し、作成した。
【0062】
以上より、実施例4、5のクリームは、しっとりとしたべたつきの少ないものであった。
【0063】
有用性試験
実施例2の化粧水につき、肌改善テストを実施した。実施方法は、被験者6名に、朝晩1日2回、洗顔後に実施例2の化粧水を4週間使用してもらい角質水分とTEWL(経表皮水分蒸散量)を測定した。
【0064】
試験内容: N=6、使用条件:朝晩2回塗布、塗布部位:頬
使用機器: 角質水分測定はCORNEOMETER CM825を使用、TEWL測定でTEWAMETER TM300を使用(Courage+Khazaka Cologne Germany社製)
【0065】
角質水分測定
被験者の角質水分を測定した。図4は、被験者6名の実施例2の化粧水の使用前後の角質水分の平均値のグラフであり、値が高いほど角質水分を多く含むことを示す。
【0066】
図4中、左側の領域は実施例2の化粧水の使用前の、右側の領域は実施例2の化粧水の使用後の角質水分の平均値を夫々示す。
【0067】
TEWL測定
被験者のTEWLを測定した。図5は被験者6名の実施例2の化粧水の使用前後のTEWLの平均値のグラフであり、値が低いほど肌の水分の蒸散が少ないことを示す。
【0068】
図5中、左側の領域は実施例2の化粧水の使用前の、右側の領域は実施例2の化粧水の使用後のTEWLの値を夫々示す。
【0069】
図4、図5より、本発明の実施例2の化粧水は、角質水分を高め、肌の水分蒸散量を減少させることから、保湿力が高いことが認められる。
【0070】
以上より、本発明の湿潤化粧料は、NMF成分を含むので、高い保湿性と肌改善効果を得ることができ、べたつきを抑えたさっぱりとした使用感触の化粧料である。さらに、多価アルコールを配合することで安全性を高めた防腐剤フリーの化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然保湿成分(NMF)である、アミノ酸8〜15%、ピロリドンカルボン酸塩3〜8%、乳酸塩3〜8%、クエン酸0.1〜1%、ミネラル塩0.5〜3%を含み、さらに多価アルコールを5〜50%配合し、防腐剤フリーにした保湿性、安全性に優れた湿潤化粧料。
【請求項2】
天然保湿成分(NMF)であるアミノ酸が、セリン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、グルタミン酸、プロリンの組み合わせで8〜15%含有していることを特徴とする請求項1記載の湿潤化粧料。
【請求項3】
NMF成分であるピロリドンカルボン酸塩、乳酸塩を各3〜8%、クエン酸を0.1〜1%、ミネラル成分としてMgイオンとCaイオンの二価金属塩を0.5〜3%含有していることを特徴とする請求項1記載の湿潤化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−42588(P2011−42588A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190024(P2009−190024)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(507097040)
【出願人】(509233714)
【出願人】(509233725)株式会社JC皮膚科学研究所 (2)
【Fターム(参考)】