溶接部における欠陥のタイプ及び重度を分類するための方法及びシステム
【課題】溶接部における欠陥を検出し、検出された欠陥のタイプ及び重度を決定するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】溶接部内の欠陥のタイプを決定するための方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力される。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。また、教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて、欠陥の重度分類を決定し、欠陥の重度分類を出力することができる。
【解決手段】溶接部内の欠陥のタイプを決定するための方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力される。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。また、教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて、欠陥の重度分類を決定し、欠陥の重度分類を出力することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書は、同一出願人による“METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES UTILIZING PATTERN MATCHING”と題する2009年8月3日に出願された米国特許出願番号12/534296号、及び“METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES”と題する2009年6月19日に出願された米国特許出願番号12/488396号に関連する。
【0002】
本発明は、一般に、溶接構造における欠陥を検出且つ分類するための方法及びシステムに関し、特に、人工ニューラルネットワークと関連した超音波検査を用いた溶接構造における欠陥のタイプ及び重度を識別するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
種々の溶接技術が、金属部品を接合するために一般に用いられて、例えば、自動車部品、航空機部品、重機及び機械のような広い種類の製品が製造される。溶接の品質が、溶接が用いられている溶接構造の構造的完全性に重要な役割を果たし得る。しかし、溶接又は接合作業中に、溶接部に欠陥が導入されるか又は形成され得る。そのような欠陥は、気孔(blowhole)、空洞(void)、多孔(porosity)及び不十分な溶け込み深さ(insufficient weld penetration depth)を含み得る。これらの欠陥それぞれは、溶接構造の荷重負担能力を低減し得る。例えば、あるタイプの欠陥は、溶接部及び溶接構造の静的、動的及び疲労強度に影響を与え得る応力ライザー(stress riser)又は応力コンセントレータ(stress concentrator)として働き得る。従って、溶接部における潜在的欠陥を正確に検出し且つ位置づけることが重要である。
【0004】
自動化又はロボット溶接システムによるように、溶接部が自動的に形成される場合、溶接部の品質が、製造された溶接構造のランダムなサンプリングの破壊試験によって、評価され得る。カットチェック(cut−check)のような破壊試験は、時間がかかり且つ過剰な製品の無駄を生み出す。更に、そのような破壊試験方法の自動化は、不可能であろう。
【0005】
溶接部における欠陥を検出するための種々の非破壊試験技術を発展するべく努力が成されてきた。しかし、これらの技術の大部分は、製造環境の中に容易には取り込まれ得ない。更に、そのような非破壊試験技術は、溶接部内に存在する特定のタイプの欠陥を識別し且つ欠陥の重度を明らかにすることができない。
【0006】
従って、溶接部における欠陥を検出し、検出された欠陥のタイプ及び重度を決定するための代わりの方法及びシステムに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0007】
ある実施形態では、溶接部における欠陥のタイプを決定する方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力され得る。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。
【0008】
他の実施形態では、溶接部における欠陥の重度を決定するための方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力され得る。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて、欠陥位置に位置する欠陥の欠陥重度分類を決定すること、及び、欠陥位置に位置する欠陥の欠陥重度分類を出力することができる。
【0009】
また他の実施形態では、欠陥分類システムは、コントローラと、音響信号発生器と、音響信号検出器と、位置決め装置とを備える。音響信号発生器及び音響信号検出器及び位置決め装置は、電気的にコントローラと接続している。前記コントローラは、音響信号発生器を用いて、溶接部に沿った複数の測定箇所に超音波信号を誘導し、音響信号検出器を用いて、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を集め、それぞれの超音波応答信号を、コントローラに動作可能に関連するメモリに保存し、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び欠陥信号を決定し、欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号を決定し、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、コントローラと動作可能に関連する教育された人工ニューラルネットワークに入力する、ようにプログラムされており、教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。
【0010】
ここで説明される実施形態によって提供されるこれら及び追加の特徴は、図面と併せて、下記の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【0011】
図面に説明される実施形態は、本質的に実例及び例示であり、請求項によって定められる主題を限定することを意図するものではない。説明される実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の符号で示された下記の図面と併せて読まれて理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥分類システムのブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥分類システムを示す。
【図3】図3は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するためのプロセスフローの部分のブロックダイアグラムを示す。
【図4】図4は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するための人工ニューラルネットワークを模式的に示す。
【図5】図5は、複数の溶接部及び種々の製造上の特徴を有する試験サンプルを示す。
【図6】図6は、溶接部内に存在し得る種々の欠陥を示す図3の試験サンプルの溶接部の断面を示す。
【図7】図7は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る溶接部における欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法のフローダイアグラムである。
【図8】図8は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る溶接構造における欠陥の存在を決定するための方法のフローダイアグラムである。
【図9】図9は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る試験サンプルから集められた超音波応答信号のプロットである。
【図10】図10は、図9の超音波応答信号から得られたエネルギー分布のプロットである。
【図11A】図11Aは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11B】図11Bは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11C】図11Cは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11D】図11Dは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11E】図11Eは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11F】図11Fは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11G】図11Gは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11H】図11Hは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11I】図11Iは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11J】図11Jは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図12】図12は、潜在的欠陥位置が識別された図10のエネルギー分布のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、溶接部における欠陥のタイプ及び/又は存在及び位置を決定するための欠陥分類システムの一実施形態を概ね示す。システムは、通常、コントローラに接続された音響信号発生器及び音響信号検出器を有し得る。本明細書では、溶接構造における欠陥のタイプ及び/又は重度を決定するための欠陥分類システムの種々の構成要素及び欠陥分類システムを用いる方法が、より詳細に説明されるだろう。
【0014】
今、図1を参照して、欠陥分類システム100のブロックダイアグラムが示される。欠陥分類システム100は、通常、音響信号発生器104と、音響信号検出器106と、サンプルステージ108とを有し、それぞれは、コントローラ102に電気的に接続されている。従って、図1における実線及び矢印は、欠陥分類システム100の種々の構成要素の電気的相互接続を概ね示すと理解されるべきである。また、実線及び矢印は、欠陥分類システム100の種々の構成要素間を伝搬する制御信号及び/又はデータ信号のような電気信号を示すと理解されるべきである。更に、音響信号発生器104と試験サンプル110との間の鎖線及び矢印は、音響信号発生器104から試験サンプル110へ送信される励起信号112を示し、一方、試験サンプル110と音響信号検出器106との間の鎖線及び矢印は、音響信号発生器104から受け取った励起信号112に起因して試験サンプル110から放射された超音波応答信号114を示す。
【0015】
本明細書に示し且つ説明される実施形態では、音響信号発生器104は、試験サンプルに物理的に接触することなく、試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができる装置であり得る。一実施形態では、音響信号発生器104は、一連のレーザパルスを試験サンプルの表面上に向けることによって、試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができるパルスレーザ源を有し得る。他の実施形態では、音響信号発生器104は、電磁場を用いて試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができる電磁音響トランスデューサ(electromagnetic acoustic transducer:EMAT)を備え得る。音響信号発生器104は、試験サンプル110内に超音波信号を生成するのに適した他の装置を有しても良いことが理解されるべきである。
【0016】
音響信号検出器106は、通常、試験サンプルに物理的に接触することなく、試験サンプル110内に生成した超音波応答信号114を感知又は検出することができる装置であり得る。従って、一実施形態では、音響信号検出器106は、試験サンプル110内に生成した音響応答信号を検出することができるEMATセンサを有し得る。しかし、超音波応答信号114を検出するために、他の非接触トランスデューサ及び/又は音響センサが用いられ得ることを理解されるべきである。
【0017】
音響信号発生器がEMATである一実施形態(図示せず)では、EMATは、試験サンプル内に超音波信号を励起させること及び試験サンプルからの超音波応答信号を検出することの両方のために使用され得る。従って、一つのEMATは、音響信号発生器及び音響信号検出器の両方として使用され得る。
【0018】
図1に示す欠陥分類システム100の実施形態では、サンプルステージ108は、試験サンプルをサンプルステージに取り付けるための固定治具(図示せず)を有し得る。サンプルステージ108は、ステージに機械的に結合し且つコントローラ102に電気的に接続したモータ及び/又はステッピングモータのような、1つ又は複数のアクチュエータ(図示せず)を有し得る。コントローラ102は、信号発生器によって放射された励起信号112が試験サンプル110上で制御された方法で走査されるように、アクチュエータと協力して、音響信号発生器104及び音響信号検出器106に対して、サンプルステージ108及び試験サンプル110の位置を調整し得る。
【0019】
本明細書に示され且つ説明される実施形態は、試験サンプルが可動サンプルステージに固定されるとして示されているが、他の実施形態(図示せず)では、音響信号発生器及び音響信号検出器は、音響信号発生器及び音響信号検出器が試験サンプルに対して調整可能に位置決めされ得るように、コントローラに電気的に接続した可動ステージ又は同様の位置決め装置に取り付けられ得ることを理解されるべきである。従って、欠陥分類システムは、試験サンプルと音響信号発生器と音響信号検出器との間の相対的な方向を調整するための少なくとも1つの位置決め装置を有し得ることを理解されるべきである。
【0020】
コントローラ102は、プログラムされた命令セットを実行し且つ欠陥分類システム100のそれぞれの構成要素に制御信号を送信することができるコンピュータを備え得る。また、コントローラ102は、音響信号検出器106から受け取ったデータを保存し、保存したデータを解析して溶接部における欠陥の存在を決定し、溶接部に存在する欠陥のタイプ及び重度を識別し得る。例えば、一実施形態では、本明細書により詳細に説明されるように、コントローラ102は、コントローラにより欠陥の位置が決定された後、溶接部に存在する欠陥のタイプ及び重度を決定するように教育され得る人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いてプログラムされ得る。従って、コントローラ102は、プログラムされた命令セットと、ANNと、音響信号検出器から受け取った超音波応答信号データとを保存するための1つ又は複数のメモリ装置(図示せず)を含むか又は接続し得ることが理解されるべきである。また、コントローラ102は、欠陥の存在及び位置、並びにそのような欠陥のタイプ及び/又は重度の視覚的又は可聴式の表示をユーザに提供するために、ディスプレイ(図示せず)のような、1つ又は複数の視覚的又は可聴式インジケータと接続され得る。
【0021】
今、図2〜4を参照して、欠陥分類システムの一実施形態150が説明される。この実施形態では、音響信号発生器は、Continuum Lasers社によって製造されたパルスレーザであるInlite II−20 Nd:YAGのようなパルスレーザ源105である。パルスレーザ源105は、20Hzのパルス繰り返し率及び10nsのパルス幅を有し得る。レーザのスポットサイズは、約6mmであり、それぞれのパルスは約55mJ〜約450mJのエネルギーを有し得る。音響信号検出器は、EMATセンサ107であり得る。図2に示された実施形態では、EMATセンサ107は、BWXT Services社製であり、約200kHz〜約2.5MHzのバンド幅を有する4チャネルブロードバンドレシーバを有する。EMATセンサ107は、例えば、14ビットの解像度及び125MHzのデータサンプリングレートを有するGaGe Applied Technologies社製の4チャネルデータ取得カードであるCompuscope 8349のような、データ取得カードを備えたコントローラ(図示せず)と接続され得る。サンプルステージ108は、試験サンプル110を保持するためのクランプ、万力等のような1つ又は複数の固定装置109を有し得る。固定装置及び/又は試験サンプルは、試験サンプルがパルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対して実質的に同じ方向を有してサンプルステージ上に位置付けられるように、1つ又は複数の基準(図示せず)を有し得る。サンプルステージ108は、サンプルステージの位置がコントローラによって調整され得るようにコントローラに接続された、ステップモータにより駆動される送りネジ122に取り付けられ得る。
【0022】
上述したように、コントローラ(図示せず)は、溶接部から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥が溶接部中に存在するかどうかを決定するようにプログラムされ得る。更に、欠陥が溶接部中に存在すると決定された時、コントローラは、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するようにプログラムされ得る。例えば、欠陥が溶接部中に存在すると決定された後、コントローラは、溶接部から集められた超音波応答信号を、図4に示されるANN304のようなANNに通し得る。ANNは、溶接部中に存在する欠陥のタイプ及び/又は溶接部中の欠陥の重度を示す符号化されたベクトル(vector)を出力し得る。ANN304は、通常、次元nの入力ベクトルAを受け取る入力層Nx(図3中、306として示される)と、少なくとも1つの隠れ層Ny(図3中、一般に308として示される)と、次元qの出力ベクトルBを出力する出力層Nz(図3中、310として示される)とを有し得る。入力層Nxは、通常、図4でX1,X2,X3・・・Xnと示される複数のn入力ノードを有し得る。入力ノードの数は、通常、入力ベクトルAの成分の数に対応する。隠れ層Nyは、図4でY1,Y2,Y3・・・Ypと示される複数のpノードを有し得る。出力層Nzは、通常、図4でZ1,Z2,Z3・・・Zqと示される複数のqノードを有し得る。出力層におけるノードqの数は、出力ベクトルBの成分の望ましい数に対応する。
【0023】
更に図2〜4を参照して、入力層Nxは、入力層のそれぞれのノードが隠れ層Nyのそれぞれのノードと結合するように、次元n×pを有する重みの行列Vnpを用いて隠れ層Nyと結合し得る。同様に、隠れ層Nyは、隠れ層のそれぞれのノードが出力層Nzのそれぞれのノードと結合するように、次元p×qを有する重みの行列Wpqを用いて出力層Nzと結合し得る。各層のそれぞれのノードは、重みの行列と協働して働き、入力ベクトルAを出力ベクトルBに写像することによって、入力ベクトルAと出力ベクトルBとの間の関係の解を提供する。
【0024】
図4に示すANN304の実施形態は、1つの入力層Nxと、1つの出力層Nzと、1つの隠れ層Nyとを有するが、ANN304は、複数の隠れ層を有しても良いことが理解されるべきである。例えば、一実施形態では、ANNは、50ノードを有する第1隠れ層、35ノードを有する第2隠れ層、24ノードを有する第3隠れ層、5ノードを有する第4隠れ層という、4つの隠れ層を有し得る。ANNが複数の隠れ層を有する場合、上述したように、入力層Nxと出力層Nzのノードと同様に、図4に示すのと同様の方法で、追加の重み行列が異なる層のそれぞれのノードを相互接続し得る。
【0025】
図3及び図4を参照して、各層のそれぞれのノードは、ノードの出力を所定の範囲に制限する一般に活性化関数と呼ばれる関数を有する。活性化関数は、制限なく、線形関数、ステップ関数、ランプ関数(ramp function)、シグモイド関数、及びガウス関数を含む種々の形を取り得る。本明細書で説明されるANN304の実施形態では、各層(即ち、入力層、隠れ層及び出力層)のそれぞれのノードは、ノードの出力を所定の範囲に制限するシグモイド活性化関数を有する。シグモイド活性化関数は、以下の形を有し得る。
【0026】
【数1】
【0027】
しかし、シグモイド活性化関数は異なる形を取り得ることを理解されるべきである。
【0028】
再度、図2を参照して、図2に示される欠陥分類システム150の実施形態では、試験サンプル内に超音波信号を誘導するのに使用される励起信号は、1つ又は複数の鏡を用いて試験サンプル110と光学的に結合するパルスレーザ源105の出力ビーム113である。図2に示すように、鏡116、117及び118は、パルスレーザ源105の出力と、試験サンプル110の表面との間の光学経路を形成しており、この光学経路は、望ましい位置の試験サンプルの表面上に出力ビーム113を向ける。レンズ120は、出力ビーム113の光学経路内に配置されて出力ビームを合焦しても良い。また、例えば、コリメータ又はパルスレーザ源105の出力ビームを成形するのに用いられ得る他の要素のような、追加の光学要素(図示せず)が光学経路内に挿入されても良い。更に、図2に示される欠陥分類システム150の実施形態は、鏡を用いて試験サンプル110と結合された出力ビーム113を描いているが、出力ビームは、鏡によって最初にそらされるか又は反射されることなしに、試験サンプルと直接結合され得ることを理解されるべきである。代替の実施形態(図示せず)では、パルスレーザ源の出力ビーム113は、レーザビームを導波可能な光ファイバ又は同様の光導波路のような、1つ又は複数の光導波路を用いて、試験サンプルと結合されても良い。
【0029】
本明細書において上述したように、パルスレーザ源は、試験サンプル内に超音波信号を誘導するために用いられ得る。試験サンプルの表面に入射する出力ビームパルスのエネルギー密度又はパワーに依存して、パルスレーザ源は、熱弾性動作モード又は切除動作モードの何れかにおける超音波信号を生成するために用いられ得る。例えば、パルスレーザ源の出力ビームのパワー密度が比較的低い場合に、超音波信号生成の熱弾性モードが生じる。出力ビームは、レーザ放射の部分吸収によって、試験サンプルの表面の局所領域を材料の融点よりも低い温度に急速に加熱する。温度の急速な上昇は、熱弾性効果による加熱された材料の対応する膨張を伴う。急速な膨張は、軸対称な引っ張り応力を引き起こし、試験サンプルの表面に発現する。レーザが切られる(例えば、パルス間)と、加熱された領域は収縮する。試験サンプルの最表面の膨張及び収縮は、試験サンプル中を伝搬する超音波信号を誘導する。
【0030】
代わって、出力ビームのパワー密度が試験サンプルの表面を材料の融点を超えて加熱するぐらいに十分に高い場合、超音波信号生成の切除モードが生じる。急速加熱は、上述したように、試験サンプルの表面に軸対称な引っ張り応力を生成する。しかし、サンプルの表面上の温度が融点を超えるので、少量の材料が蒸発し、試験サンプルの表面から放出される。従って、引っ張り応力の形成に加えて、材料が放出される時にサンプルの表面に対して垂直方向の反力が生成される。垂直方向の反力並びに最表面の膨張及び収縮の組み合わせは、試験サンプル中を伝搬する超音波信号を誘導する。通常、切除モードにより生成される超音波信号は、熱弾性モードで生成されるものよりも強い。いずれの動作モードにおいても、試験サンプル内に誘導される超音波信号は、約200kHzから約MHzの範囲の周波数を有する。
【0031】
今、図5を参照して、試験サンプル110は、通常、少なくとも1つの溶接部140を有する金属構造を有し得る。図4に示される試験サンプル110の実施形態では、試験サンプル110は、上側部分142及び下側部分143を有する自動車のための支持構造部材であり、両方とも型打ちされた金属薄板の薄いプレートから形成されている。上側部分142は、溶接部140によって、重ね継ぎ(lap joint:例えば、図6に示される接合部)において下側部分143に接合される。また、試験サンプル110は、例えば、型打ち処理により生じるプレスマーク144及び部品を支持構造部材に結合するための様々な取り付け穴146を含む複数の製造上の特徴を有する。
【0032】
今、図5の試験サンプル110の上側部分142と下側部分143との間の重ね継ぎ及び溶接部140の断面を示す図6を参照して、溶接部140は、例えば、気孔(blowhole)、不適切な脚長(即ち、短脚)、不適切な溶け込み深さ(insufficient penetration depth)及び/又は不適切なのど厚(即ち、短のど:short throat)を含む1つ又は複数の異なるタイプの欠陥を有し得る。溶接部が形成されるか又は溶接部が冷える際に、溶接部内に閉じ込められた空気又はガスが抜け出ると、気孔欠陥が溶接部中に生じる。抜け出る空気又はガスは、溶接部内に空隙を残し及び/又は溶接部内に孔を形成し、それぞれは、溶接部の強度を低減し得る。
【0033】
溶接部の溶け込み深さは、例えば、試験サンプル110の上側部分142のように、溶接部の溶融部分がベース材料の中へ侵入する距離PDとして定義される。もし、溶け込み深さが、ベース材料の厚さの所定のパーセントよりも小さいと、不適切な溶け込み深さ又は溶け込み不良欠陥(lack−of−penetration defect)が生じる。本明細書で説明される実施形態では、距離PDが試験サンプルの上側部分142の厚さの約30%よりも小さいと、溶け込み不良欠陥が生じる。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、30%よりも大きいか又は30%よりも小さいくなり得ることを理解されるべきである。
【0034】
重ね継ぎ溶接部140の脚(leg)は、溶接部140のルート(root)と溶接部の止端(toe:例えば、溶接部がベース材料と交差する点)との間の距離として定義される。図6における溶接部140の脚は、距離S1及びS2として示される。本明細書で説明される実施形態では、もし距離S1又はS2のいずれかが試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143のいずれかの材料厚さの80%よりも小さい場合に、短脚欠陥が溶接部に存在する。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、80%よりも大きくなり得ることを理解されるべきである。
【0035】
のど厚THは、図6に示すように、溶接部140のルート141と溶接部の表面との間の最短距離として定義される。溶接部140ののど厚がベース材料の厚さの所定のパーセントよりも小さいと、短のど欠陥が生じる。本明細書に示され且つ説明される実施形態では、のど厚THが、試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143のいずれかの厚さの約70%よりも小さい場合に、短のど欠陥が生じる。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、70%よりも大きくなり得ることを理解されるべきである。
【0036】
今、図2、5及び6を参照して、パルスレーザ源を熱弾性モード又は切除モードのいずれかにおいて作動させることによって試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143を有する薄いプレート内に誘導された超音波信号は、試験サンプル内を伝搬する一連の超音波ラム波を生み出す。ラム波は、周波数及び波長のペアのセットによって決定される各モードを備えた多モードであり得る。異なる周波数及び波長のために、各モードのラム波は、試験サンプル内で遭遇した異なるタイプの欠陥に対して違う反応をし得る。例えば、所与のタイプの欠陥に対して、第1のセットの周波数及び波長のペアによって決定される第1モードは、欠陥によって反射され得るが、第2のセットの周波数及び波長のペアを有する第2モードは、欠陥を伝達し得る(即ち、欠陥は第2モードに影響を与えない)。従って、誘導されたラム波の異なるモードは、欠陥の異なるタイプに敏感であり、試験サンプルからの超音波応答信号を集め且つ解析することによって、本明細書においてより詳細に説明されるように、試験サンプル内の異なるタイプの欠陥の存在が決定され得る。
【0037】
今、図2を参照して、試験サンプル上の溶接部における欠陥の存在を決定するために、試験サンプル110は、サンプルステージ108上に配置されて、1つ又は複数の固定装置109を用いてサンプルステージ108に取り付けられ得る。パルスレーザ源105及びEMATセンサ107は、EMATセンサ107が、溶接部を伝達したか又は溶接部によって反射された音響応答信号を集めるように配置され得る。
【0038】
例えば、一実施形態では、溶接部を伝達した音響応答信号が望まれる時、図2に示すように、パルスレーザ源の出力ビームが溶接部140の一方の側に入射され、EMATセンサ107が溶接部140の他方の側に配置されて試験サンプル110に隣接するように、試験サンプル110が配置され得る。従って、溶接部140は、パルスレーザ源105の出力ビーム113が試験サンプル110及びEMATセンサ107に接触する点の間に配置されることを理解されるべきである。この実施形態では、試験サンプル110内に誘導され且つEMATセンサ107によって受け取られた超音波信号は、溶接部140内を通って伝達される。欠陥は溶接部内を通る超音波信号の伝搬を変えるので、超音波信号は、EMATセンサ107によって受け取られる超音波応答信号へ変換される。超音波応答信号は、溶接部140内の欠陥の存在に関する情報を一緒に運ぶ。更に、超音波応答信号は、試験サンプル110と、パルスレーザ源の出力ビームが試験サンプル110に接触する点及び/又はEMATセンサ107の位置との間の相対的な位置決めに基づいて、溶接部140及び試験サンプル110の長さに沿った位置に関連付けられ得る。
【0039】
他の実施形態(図示せず)では、溶接部によって反射された音響応答信号が望まれる時、EMATセンサは、溶接部の一方の側に配置されて、パルスレーザ源の出力ビームは、溶接部のEMATセンサと同じ側の試験サンプル上に向けられ得る。パルスレーザ源によって試験サンプル内に誘導された超音波応答信号は、試験サンプル内を通って、信号(例えば、超音波応答信号)の少なくとも一部分を反射する溶接部に伝搬し、この信号をEMATセンサが検出する。欠陥を含む溶接部の部分は、欠陥を有さない溶接部の部分とは異なって超音波信号を反射又は伝えるので、EMATセンサによって受け取られた反射した超音波応答信号は、溶接部内の欠陥の存在に関する情報を一緒に運ぶ。
【0040】
欠陥分類システム150を利用して、試験サンプル内の欠陥の存在を決定し、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類する前に、欠陥分類システム150のANNは、サンプルデータセットを用いて教育されなければならない。サンプルデータセットは、実験的に決定されており、溶接部中の欠陥の所定のタイプ及び/又は欠陥の重度に対応する超音波応答信号のコレクション(collection)を含み得る。サンプルデータセットは、超音波検査による1つ又は複数の試験サンプルにおける溶接部中の欠陥の存在及び位置を最初に決定にすることによって蓄積され得る。例えば、欠陥の存在及び位置は、図7に示される手順のステップ202、204及び206を用いることによって決定され得る。この方法については、本明細書においてより詳細に説明される。
【0041】
欠陥の位置が決定されると、溶接部サンプルは、破壊的に解析されて、欠陥位置における溶接部中に存在する欠陥のタイプを定性的に決定し、及び/又は欠陥に対して欠陥重度分類を割り当てる。例えば、溶接部サンプルは、溶接部サンプルが欠陥位置において切断される「カットチェック」を受け得る。そして、断面は、磨かれ、解析されて存在する欠陥のタイプ(例えば、気孔、短脚、短のど、溶け込み不良等)が決定され、後述するように、欠陥の定量的な評価に基づいて欠陥重度分類が割り当てられ得る。例えば、欠陥は、A,B,C又は<Cの分類文字が割り当てられ、Aは欠陥無しを示し、Bは容認できる許容範囲の欠陥を示し、Cは条件付きで容認できる許容範囲の欠陥を示し、<Cは容認できる許容範囲外の欠陥であり得る。
【0042】
欠陥のタイプが識別され及び/又は重度分類が欠陥に割り当てられた後、欠陥のタイプ及び/又は重度が、欠陥のタイプ及び/又は重度を表すベクトルに符号化され得る。例えば、一実施形態では、成分<bT1bT2bT3bT4>を有する4成分ターゲットベクトルBTが、欠陥に割り当てられ得る。成分BT1は溶け込み不良欠陥を示し、成分BT2は短脚欠陥を示し、BT3は気孔欠陥を示し、成分BT4は短のど欠陥を示す。ベクトルの各成分は、1が所定のタイプの欠陥の存在を示し、ゼロが欠陥の欠如を示す、ゼロ又は1の何れかである。以下に示す表1は、所定のタイプの欠陥を示す例となるターゲットベクトルを含む。ターゲット欠陥ベクトルは、また、欠陥の組み合わせを示し得ることを理解されるべきである。例えば、同じ位置に生じた溶け込み不良欠陥及び短脚欠陥は、<1100>と符号化されたベクトルによって表され得る。
【0043】
【表1】
【0044】
代わりに、欠陥の重度分類のみが割り当てられる時は、欠陥重度分類は、以下の表2に示すように、重度分類「A」が数字の値1を有し、重度分類「B」が数字の値2を有し、重度分類「C」が数字の値3を有し、重度分類「<C」が数字の値4を有するような、各欠陥重度分類が数字の値に割り当てられたベクトルに符号化され得る。
【0045】
【表2】
【0046】
また他の実施形態では、欠陥のタイプ及び重度の両方が、一つのターゲット欠陥ベクトルに符号化され得る。例えば、表1及び2に上述したきまりは、組み合わされて、最初の4成分が欠陥タイプを示し最後の成分が欠陥重度分類を示す5成分のターゲット欠陥ベクトルを形成し得る。従って、<10004>という値を有するターゲット欠陥ベクトルBTは、重度分類<Cを有する溶け込み不良欠陥を示し得る。
【0047】
欠陥のタイプ及び/重度が識別されて且つターゲット欠陥ベクトルに符号化されると、欠陥位置に対応する集められた超音波応答信号は、後述するように、欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号と一緒にANNに入力され得る。一実施形態では、信号をANNに入力する前に、本明細書に説明するように、超音波応答信号は、前処理されて、超音波応答信号内のデータポイントの全体的な数が低減され得る。初期化された重み行列Vnp及びWpq及び各ニューロンに対する活性化関数を用いて、上述したように、ANNはベクトルBを出力する。しかし、ANNに入力される所与のサンプル入力に対して、出力層Nzからの出力ベクトルBは、ターゲットベクトルBTと等しくないかも知れず、重み行列Vnp及びWpqの値が調整されるか又は教育される必要を示している。
【0048】
様々なニューラルネットワーク教育アルゴリズムが、ANNがANN内に入力されたサンプルデータのターゲットベクトルBに対応する出力ベクトルBを生成するように、重み行列Vnp及びWpqを調整するために使用され得る。そして、本明細書に説明される実施形態では、ANNは誤差逆伝播法アルゴリズム(back propagation algorithm)を用いて教育される。図4に示される実施形態では、コントローラによって実行され得る誤差逆伝播法アルゴリズムは、ANNの出力層Nzにわたって出力誤差関数E又は出力コスト関数Eを決定することを含む。誤差関数は、下記のように記載され得る。
【0049】
【数2】
【0050】
ここで、bTmは、ターゲットベクトルBTの成分mに対するターゲット値であり、bmは、対応する出力ニューロンZmの値である。変数mは、本明細書で示され且つ説明される例示のニューラルネットワークでは5である出力ベクトルBの次元qに対応する整数である。出力層Nzにおける各ニューロンZmの値bmは、次の式(2)に従って計算され得る。
【0051】
【数3】
【0052】
ここで、Yiは、前の隠れ層におけるニューロンの値であり、Wimは、重み行列Wpqの対応する重みである。変数mは、上述したように、1からqまでの整数であり、一方iは、1から隠れ層Nyのニューロンの総数までの整数であり、この例ではpである。
【0053】
Yiの値は、入力層ニューロン及び重み行列Vnpの値の関数として、次のように表され得る。
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、iは上述した整数であり、lは1から入力ニューロンの総数nまでの整数であり、fは活性化関数である。代わりに、Yiの値は、通常、隠れ層Nyにおける各ニューロンに対する活性化関数として表され得る。
【0056】
重み行列Vnp及びWpqにおける各重みに対する新しい又は調整された値は、所与のサンプル入力のセットに対するコスト関数Eを用いて決定され得る。具体的には、重み行列Vnp及びWpqにおける各成分の値は、コスト関数の最小値への勾配とは反対の方向にコスト関数を移動させることによって調整され得る(例えば、コスト関数Eの値が、入力/出力マッピングにおいてトータル誤差の最小の量を生成する場合)。隠れ層Ny及び出力層Nzの間の重み行列Wpqに対して、これは、重みWimに関してコスト関数Eの偏導関数をとることによって達成され、次のように数学的に表され得る。
【0057】
【数5】
【0058】
重み行列Wpqにおける所定のWimの値は、次のように、Wimに関してコスト関数の偏導関数を引き算することによって調整され得る。
【0059】
【数6】
【0060】
ここで、αは、コスト関数Eの勾配に沿った移動又はステップから調整される量を規格化する正の一定値である学習率である。同様に、入力層Nxと隠れ層Nyとの間の重み行列Vnpに対して、行列における各重みVliに対する新しい値は、Vliに対する新しい値のような重みVliに関して、コスト関数Eの偏導関数をとることによって、コスト関数から数学的に決定され、次のように記載され得る。
【0061】
【数7】
【0062】
ここで、βは、コスト関数Eの勾配に沿った各移動から調整される量を規格化する正の一定値である学習率である。
【0063】
式(6)及び式(7)は、ANNの出力ベクトルBが実験的に決定されたターゲットベクトルBTの値により近く接近するように、重み行列Vnp及びWpqにおける各重みの値を調整するために用いられ得る。同じアルゴリズムが、サンプルデータセットにおける各試験サンプルとあわせて、利用され得る。教育プロセスは、ANNの出力ベクトルBとターゲットベクトルBTとの間の誤差の総和が所定の許容範囲になるまで繰り返される。
【0064】
今、図2及び図7を参照して、欠陥分類システム150を用いて、溶接部内の欠陥の存在、タイプ及び/又は重度を検出するための方法200の一実施形態が説明される。第1ステップ202では、コントローラは、上述したように、パルスレーザ源105を始動して、試験サンプルの表面上に一連のビームパルスを向けることによって、試験サンプル110内に超音波信号を誘導する。コントローラは、各測定箇所にパルスレーザを複数回始動するようにプログラムされ、且つ各測定箇所におけるパルスレーザの各発射によって生成され、集められた超音波応答信号は、平均化されて測定箇所における集められたパルスレーザの信号対ノイズ比を増加させる。ここで説明される実施形態では、パルスレーザ源は、切除モードで動作して、約200kHzから約15MHzの周波数を有する超音波応答信号を試験サンプル内に誘導する。しかし、パルスレーザ源は、また、熱弾性モードで動作して試験サンプル内に超音波信号を生成しても良いことを理解されるべきである。超音波信号は、試験サンプル110及び溶接部140中を伝搬し、超音波信号の一部は、溶接部140内の欠陥又は試験サンプル内の他の特徴によって反射され、一方、超音波応答信号の他の部分は、溶接部140中を透過し得る。この例では、超音波応答信号は、超音波信号の一部が、試験サンプル内の欠陥及び/又は他の特徴によって反射又は回折された後に、透過又は反射された信号である。
【0065】
第2ステップ204では、試験サンプル110内に誘導された超音波応答信号が、EMATセンサ107を用いて集められる。本明細書で説明される実施形態では、図2に示され且つ上述されたように、EMATセンサ107は、溶接部140中を伝達する超音波応答信号を集めるように配置される。EMATセンサ107は、集められた超音波応答信号を、超音波応答信号の振幅に比例した電圧を有する電気信号に変換する。従って、集められた超音波応答信号が溶接部140中に伝達される本明細書で説明される実施形態では、相対的に大きな電圧を有してEMATセンサ107によって生成される電気信号は相対的に大きな振幅を有する超音波応答信号に対応し、一方、相対的に低い電圧を有する電気信号は相対的に小さな振幅を有する超音波応答信号に対応する。超音波応答信号の相対的な大きさは、通常、欠陥及び/又は試験サンプル内の製造上の特徴の欠如又は存在を示しており、小さい振幅は欠陥及び/又は製造上の特徴の存在を示し、大きい振幅は欠陥及び/又は製造上の特徴の欠如を示す。
【0066】
EMATセンサ107によって生成された電気信号は、EMATセンサ107から、コントローラ(図示せず)に送信されて、電気信号がコントローラに関連するメモリ内に保存される。電気信号の振幅(例えば、電圧)は、時間の関数としてメモリ内に保存されて、試験サンプル110の溶接部140に沿った所定の位置に索引付けられるか又は関係付けられる。従って、超音波信号の振幅は、f(x、t)として記載され得るような、時間(t)及び溶接部140に沿った位置(x)の両方の関数になり得る。
【0067】
溶接部140に沿ったある測定箇所に対して、集められた超音波応答信号がメモリ内に保存された後、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置は、超音波応答信号が溶接部140に沿った異なる測定箇所において試験サンプル110から誘導され且つ集められ得るように調整され得る。図2に示される実施形態では、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置は、送りネジ122に結合されるステップモータ(図示せず)に制御信号を送るコントローラによって調整され得る。ステップモータの回転は、送りネジ122を回転させて、順々に、サンプルステージ108に縦方向の動きを与え、それによって、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置を調整する。
【0068】
試験サンプル110の位置が調整された後、ステップ202及び204は、溶接部140に沿った新しい位置において繰り返され、超音波応答信号の振幅が、時間(t)及び溶接部に沿った位置(x)の両方の関数として、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存される。超音波信号を誘導し、超音波応答信号を集め且つ試験サンプルの位置を調整するこのプロセスは、複数回繰り返されて、溶接部のある区間及び/又は溶接部140の全体の長さに対して、一連の超音波応答信号を形成する。
【0069】
今、図9を参照して、ある試験サンプルから集められた一連の超音波応答信号が図式的に示される。y軸は溶接部に沿った位置を示し、x軸は、超音波応答信号が集められた時間間隔を示しており、グレースケールは、ボルトを単位として、集められた超音波応答信号の相対振幅を示す。試験サンプルの位置は、大きいか又は小さい増加率が所望の欠陥分解能に依存して用いられ得るが、ミリメートル単位で調整された。
【0070】
また図9を参照して、試験サンプル内に誘導された超音波信号の内容である高い周波数/短い波長は、低い周波数という他のものよりも、試験サンプル内の特徴によって回折及び/又は反射の影響をより受けやすい。これらの特徴は、製造上の特徴(例えば、コネクタホール(connector hole)、スタンプマーク(stamp mark)等)のような標準的特徴(即ち、複数の試験サンプルのそれぞれに標準的に生じる特徴)と、欠陥のような非標準的特徴を含む。例えば、これらの特徴によって反射及び/又は回折の影響を特に受ける周波数範囲は、約0.977MHzから約1.464MHzであり得る。従って、試験サンプルから集められた超音波応答信号における対応する周波数は、そのような特徴の存在に関する情報を含み得る。
【0071】
一実施形態では、ステップ206において、コントローラは、試験サンプルから集められた超音波応答信号をフィルタリングして、製造上の特徴及び/又は欠陥のような特徴によって反射及び/又は回折の影響を特に受けた周波数を分離するようにプログラムされ得る。本明細書に説明される実施形態では、溶接部に沿った各測定箇所(x)に対する集められた超音波応答信号は、集められた超音波応答信号を離散ウェーブレット変換(DWT)によってまず分解することによって、試験サンプル内の特徴(欠陥のような)に敏感である周波数範囲にフィルタリングされ得る。具体的には、溶接部に沿った所定の位置xに対して、集められた超音波応答信号f(t)は、次の関係式に従って、ウェーブレット係数WS(h、k)のセットに分解され得る。
【0072】
【数8】
【0073】
ここで、Ψ*h、k(t)は、ウェーブレットΨh、k(t)の複素共役である。ウェーブレットΨh、k(t)は、次式に示すように、スケーリングパラメータs0hによってスケール化され且つシフトパラメータkτ0s0hによってシフトされたマザーウェーブレット関数Ψの関数であり得る。
【0074】
【数9】
【0075】
ここで、tは時間であり、h及びkは整数である。s0は、通常、2に選択され、シフトパラメータτ0は、通常、1に選択される。
【0076】
マザーウェーブレットΨの選択は、所与の超音波応答信号が信号の形状又は構造に類似したものを有するウェーブレットによってより良く近似され得るように、集められた超音波応答信号の形状又は構造に依存し得る。超音波応答信号の分解のためのマザーウェーブレットΨは、例えば、Daubechiesウェーブレットファミリー、Coifletウェーブレットファミリー、Haarウェーブレットファミリー、Symmletウェーブレットファミリー、離散Meyer(DMEY)又は同様のウェーブレットファミリーから選択され得る。例えば、一実施形態では、Daubechiesウェーブレットファミリーのウェーブレット6が、マザーウェーブレットΨとして用いられて、超音波応答信号が分解される。しかし、他のマザーウェーブレットが用いられ得ることを理解されるべきである。
【0077】
上述したように、各測定箇所xに対するDWTによる超音波応答信号の分解は、その測定箇所に対してウェーブレット係数WS(h、k)のセットを生成する。分解後、コントローラは、得られたウェーブレット係数のセットそれぞれをバンドパスフィルタリングして、欠陥に対して最も敏感な周波数範囲を分離するようにプログラムされ得る。この周波数範囲は、本明細書に説明される実施形態では、約0.977MHzから約1.464MHzである。ウェーブレット係数のセットをフィルタリングすることは、所望の周波数範囲外の周波数に対応するウェーブレット係数WS(h、k)の要素をゼロにすることによって実行される。本明細書に説明される実施形態では、DWTによる分解及びフィルタリングは、コントローラによって、溶接部に沿った各測定箇所に対して、バンドパスフィルタリングされたウェーブレット係数のセットを生成するMalleのフィルタバンクアルゴリズムを用いることによって実行され得る。
【0078】
各集められた超音波応答信号がDWTによって分解され、且つ得られたウェーブレット係数がフィルタリングされて所望の周波数内容に分離された後、コントローラは、逆離散ウェーブレット変換(IDWT)によって、対応するフィルタリングされたウェーブレット係数のセットから各測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号f(x、t)を再構成して、溶接部に沿った各測定箇所xに対するフィルタリングされた応答信号を形成するようにプログラムされ得る。例えば、溶接部に沿った120の分離した測定箇所がある時、120のフィルタリングされた応答信号が、IDWTによって生成される。
【0079】
再度図7を参照して、ステップ208では、コントローラは、溶接部内の欠陥の存在及び位置を識別して、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに用いるために、識別された欠陥に対応する位置及び超音波応答信号をメモリに保存するようにプログラムされ得る。欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号も、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに用いるために、メモリに保存され得る。コントローラは、溶接部に沿った各測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、溶接部内の欠陥の存在及び位置を識別するようにプログラムされ得る。例えば、一実施形態では、コントローラは、「METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES」と題された同時係属中の米国特許出願第12/488,396号に開示された方法を用いて、溶接部内の欠陥の位置を識別するようにプログラムされることができ、この出願の内容は参照されて本明細書に組み込まれる。本明細書でより十分に説明される他の実施形態では、コントローラは、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎをモニタすることによって、及び/又は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎを既知のエネルギー欠陥パターンと比較することによって、溶接部内の欠陥の位置を識別するようにプログラムされ得る。
【0080】
今、図8を参照して、ステップ208を実行するための方法の一実施形態のフローダイアグラムが示される。この実施形態では、溶接部内の欠陥の存在は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎをモニタすることによって、及び/又は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎを既知のエネルギー欠陥パターンと比較することによって、決定される。ステップ252では、コントローラは、測定箇所に対して対応するフィルタリングされた応答信号f(x、t)に基づいて、試験サンプル上の各測定箇所xに対するエネルギーE(x)を計算し且つ規格化するようにプログラムされ得る。各測定箇所xに対するエネルギーE(x)は、次式のように、信号の継続時間に亘って、対応するフィルタリングされた応答信号f(x、t)の2乗の和をとることによって、計算される。
【0081】
【数10】
【0082】
ここで、E(x)は位置xにおけるエネルギーであり、f(x、t)は、位置x及び時間tにおけるフィルタリングされた超音波応答信号の振幅である。
【0083】
溶接部に沿った各測定箇所に対するエネルギーE(x)に基づいて、エネルギー分布が図10に示すようにプロットされ得る。ここで、x軸は、溶接部に沿った測定箇所xに対応し、y軸は、各測定箇所に対する超音波信号エネルギーE(x)に対応する。プロットされたエネルギー分布は、超音波応答信号のエネルギーが溶接部の長さに沿ってゆらぐことを示す。エネルギーのこれらのゆらぎは、試験サンプル内に誘導された超音波信号を反射又は回折し得る試験サンプル及び/又は溶接部内の種々の特徴の存在によって生じ得る。そのような特徴は、上述したように、スタンプマーク、コネクタホール及びその他のような標準的特徴、又は、欠陥及び/又は溶接部の厚さの変化のような非標準的特徴を含み得る。
【0084】
今、図8、10及び12を参照して、次のステップ254では、コントローラは、各測定箇所に対するエネルギーE(x)及び/又は図10に示されたプロットされたエネルギー分布のようなプロットされたエネルギー分布を利用して、溶接部に沿った潜在的欠陥位置を識別するようにプログラムされ得る。潜在的欠陥位置を識別するために、コントローラは、各測定箇所xに対するエネルギーE(x)を、例えば測定箇所x−1及びx+1のような、隣接する測定箇所のエネルギーと比較し得る。もし、エネルギーE(x)が、極小であれば(例えば、E(x−1)>E(x)且つE(x+1)>E(x))、測定箇所xは潜在的欠陥位置である。潜在的欠陥位置の例が、図12に示すプロットされたエネルギー分布における円で囲まれたプロットにより示されている。E(x)が極小であると、コントローラは、極小の位置xを潜在的欠陥位置xpdとして指定して、潜在的欠陥位置xpdをコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存し得る。
【0085】
今、図8及び10〜12を参照して、ステップ256では、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdのエネルギーE(xpd)及び測定箇所の近傍のエネルギーを利用して、各潜在的欠陥位置xpdの近傍の測定箇所における超音波エネルギーのゆらぎを解析し、溶接部内の欠陥の存在を決定するようにプログラムされ得る。一実施形態では、コントローラは、潜在的欠陥位置のエネルギーE(xpd)及び隣接する測定箇所のエネルギーを、図11A〜11Jに図式的に示された例示の欠陥エネルギーパターンのような、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存されている欠陥エネルギーパターンのセットと比較することによって、欠陥の存在に対して各潜在的欠陥位置xpdを解析し得る。
【0086】
図11A〜11Jに示された欠陥エネルギーパターンは、上述したように超音波信号が試験サンプル内に誘導されて超音波応答信号が試験サンプルから集められた後に破壊的に試験された試験サンプルから導出され得る。各試験サンプルに対するエネルギー分布がプロットされ、各試験サンプルの破壊試験の結果が、対応するエネルギー分布と比較されて、エネルギー分布のゆらぎが破壊試験により識別された欠陥と関係づけられ得る。これらの比較に基づいて、欠陥エネルギーパターンのセットが、欠陥によって生じたエネルギー分布のゆらぎと対応するのかが識別され得る。
【0087】
潜在的欠陥位置xpdが実際の欠陥を含むのかを決定するために、コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdのエネルギーE(xpd)及び潜在的欠陥位置xpdの両側の近傍の測定箇所のエネルギーによって形成されるパターンを、欠陥エネルギーパターンと比較し、パターンが同様の形状を有するならば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして指定して、この位置を欠陥位置として、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。
【0088】
例として、図11及び12を参照して、潜在的欠陥位置xpdは、x=104mmに存在する。この潜在的欠陥位置のエネルギーE(xpd)及び潜在的欠陥位置の両側の測定箇所のエネルギーによって形成されるパターン(例えば、x=104mmの左の3つの測定箇所及びx=104mmの右の3つの測定箇所)は、図11Iの欠陥エネルギーパターンと同様のパターンを形成する。このような場合、コントローラは、x=104mmにおける潜在的欠陥位置を欠陥位置xDとして識別し、この位置を欠陥としてメモリ内に保存する。
【0089】
代わりの実施形態では、ステップ256において、コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdにおけるエネルギーE(x)を複数の近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、各潜在的欠陥位置xpdを解析するようにプログラムされ得る。コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdに対するエネルギーを、潜在的欠陥位置xpdの両側の少なくとも2つの連続した測定箇所に対するエネルギーと比較し得る。例えば、コントローラは、xpdの一方の側についてポイントxpd−1、xpd−2、・・・、xpd−iに対するエネルギーから、xpdの他方の側についてポイントxpd+1、xpd+2、・・・、xpd+jまでのエネルギーを比較しうる。ここで、i及びjは整数であり、i<xpd且つ1=<j=<n−xpdであり、nは溶接部に沿った測定箇所の総数である。
【0090】
もし、潜在的欠陥位置の両側の超音波エネルギーが、近傍の測定箇所のそれぞれに対して単調に増加するならば、そして、もし、単調に増加するエネルギーを備えた近傍の測定箇所の数が欠陥位置の両側で2と4との間であれば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして識別し、その位置をコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。図12に示すように、実線の円によって囲まれた位置(例えば、x=18mm、50mm及び104mm)は、欠陥位置を示しており、鎖線の円によって囲まれた位置(例えば、x=70mm及び88mm)は、潜在的欠陥位置である。この潜在的欠陥位置は、後のコントローラによる解析によって、欠陥の存在に対する基準を満たさなかった。(即ち、超音波エネルギーが、潜在的欠陥位置の両側において、少なくとも2つの近傍の測定箇所に亘って単調に増加していないか、又は、少なくとも4つよりも多い近傍の測定箇所に亘って単調に増加している)
【0091】
一実施形態では、潜在的欠陥位置の超音波エネルギーが、潜在的欠陥位置の両側において少なくとも2つの近傍の欠陥位置と比較されて、超音波エネルギーが単調に増加するのかを決定された後、潜在的欠陥位置のエネルギー及び近傍の測定箇所のエネルギーは、上述したように、メモリ内に保存された欠陥エネルギーパターンと比較されて、潜在的欠陥位置が、例えば図11Jに示されるような欠陥エネルギーパターンを有する溶け込み不良欠陥のような所定の欠陥を含むのかどうかが更に評価される。潜在的欠陥位置における超音波エネルギー及び近傍の欠陥位置における超音波エネルギーが欠陥エネルギーパターンと対応するならば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして指定し、その位置を欠陥としてメモリ内に保存する。
【0092】
他の実施形態では、図11Jに示されるような溶け込み不良欠陥を識別するために、コントローラは、各測定箇所のエネルギーを近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、極大及び極小のペアをまず識別するようにプログラムされ得る。例えば、図11Jに示すポイントXN1及びXN2は、それぞれ、極大及び極小を示す。従って、極大と極小との間の平均勾配は、次式を用いて決定され得る。
【0093】
【数11】
【0094】
ここで、E(XN2)は測定箇所XN2におけるエネルギーであり、E(XN1)は測定箇所XN1におけるエネルギーである。
【0095】
従って、XN1とXN2との間の各ポイントXiに対して、コントローラは、ポイントXiとXi-1との間の勾配及びポイントXiとXi+1との間の勾配を決定し、各勾配を平均勾配と比較するようにプログラムされ得る。ポイントXiとXi-1との間の勾配の絶対値とポイントXiとXi+1との間の勾配の絶対値との両方が、平均勾配よりも大きければ、ポイントXiは欠陥位置である。
【0096】
また他の実施形態では、ステップ256において、コントローラは、上述したように、各潜在的欠陥位置xpdにおけるエネルギーE(x)を複数の近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、各潜在的欠陥位置xpdを解析するようにプログラムされ得る。近傍の測定箇所のそれぞれに対して、潜在的欠陥位置の両側のエネルギーが単調に増加する時、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして識別し、その位置をコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。
【0097】
今図3及び9を参照して、一実施形態では、欠陥位置が識別された後、コントローラは、信号をANN304に入力する前に、信号処理モジュール302を用いて、欠陥位置及び欠陥位置の何れかの側の測定箇所に対応する超音波応答信号を任意に処理し得る。信号処理モジュールは、コントローラと一体であるか、又はコントローラと電気的に接続した分離装置の何れかであり得る。従って、方法200は、識別された欠陥位置に対応する超音波信号が処理されるステップ210に進む。ステップ210では、欠陥位置に対応する超音波信号(以降、欠陥信号と称される)は、欠陥信号内のデータポイントの全体的な数を低減するべく処理され得る。例えば、一実施形態では、欠陥信号は、時間に基づく複数のセグメント又はウインドウに分割され得る。用いられるセグメントの数は、欠陥信号内のデータポイントの総数に依存して変化し得る。本明細書で説明される実施形態では、200セグメントが使用された。欠陥信号がセグメント化された後、各セグメントの平均が計算されて、欠陥信号が各セグメントの平均を用いて再構成される。従って、処理後には、欠陥信号が、本明細書に説明する実施形態では200であるセグメントの数に等しいポイントの総数を含むことを理解されるべきである。
【0098】
次のステップ212では、コントローラは、欠陥位置の近傍の測定箇所に対応する超音波応答信号(以降、欠陥近接信号)を、欠陥信号と同様の方法で、任意に処理して、各欠陥近接信号内のポイントの総数が低減され得る。本明細書で説明するように、欠陥近接信号は、欠陥の存在によって影響され得る欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号であり、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに利用され得る。本明細書で説明するように、全部で10の欠陥近接信号が利用される(欠陥位置の片側について5つ)。しかし、より多いか又は少ない数の欠陥近接信号が利用されて溶接部内の欠陥のタイプ及び重度が決定されることを理解されるべきである。欠陥近接信号が処理された後には、各欠陥近接信号が、本明細書に説明する実施形態では200である処理に使用されたセグメントの数に等しいポイントの総数を含むことを理解されるべきである。
【0099】
今、図3、4及び7を参照して、次のステップ214では、コントローラは、欠陥信号及び欠陥近接信号を、予め教育されたANN304の入力層に入力し得る。本明細書に説明される実施形態では、コントローラは、欠陥信号及び欠陥近接信号を有する入力ベクトルAをまず生成することによって、欠陥信号及び欠陥近接信号をANN304の入力層に入力し得る。入力ベクトルAは、通常、ベクトルの成分(即ち、a1、a2、a3、・・・an)の数を表す整数であるnの次元を有する。本明細書に説明される実施形態では、入力ベクトルAが全部で11信号を有するように、1つの欠陥信号と、10の欠陥近接信号とがある。もし、各信号が上述したように処理されると、各信号は、トータルで200ポイントを有し、各ポイントはベクトルの一成分に対応する。従って、それぞれが200ポイントを有する11信号に対して、入力ベクトルAは、n=2200のような、11×200の次元nを有する。
【0100】
上述した例では入力ベクトルAの次元nが2200であるが、より大きいか又は小さい次元の入力ベクトルが使用され得ることを理解されるべきである。例えば、少ない数の欠陥近接信号が用いられる場合、入力ベクトルAの次元は少なくなり得る。しかし、信号を処理する際により多くのセグメントが用いられる場合、入力ベクトルの次元は大きくなり得る。更に、欠陥信号及び欠陥近接信号が処理されて各信号内のデータポイントの数が低減されない場合、入力ベクトルAの次元nは、欠陥信号及び欠陥近接信号それぞれのデータポイントの数に依存して非常に大きくなり得る。
【0101】
コントローラが欠陥信号及び欠陥近接信号から入力ベクトルAを生成した後、コントローラは、入力ベクトルAをANN304の入力層Nxに送る。図4に示し且つ上述したように、ANN304の入力層Nxはn個の入力ノードを有する。従って、入力ベクトルAの各成分は、ANN304の別個の入力ノードに送られる。ANN304の教育中に決定された重み行列及び各層の各ノードに関係付けられた活性化関数を利用して、ANN304は、入力ベクトルAに対して一連の数学的処理を実行して、欠陥信号に対応する欠陥の固有性及び/又は欠陥の重度分類に関係する符号化された欠陥ベクトルBを出力する。本明細書に説明される実施形態では、欠陥ベクトルBは、符号化されて、4つの異なるタイプの欠陥の内の1つ及び/又はそれらの組み合わせを識別する。また、欠陥ベクトルは、上述したように、識別された欠陥の重度分類を含む。従って、欠陥ベクトルBは、5の次元を有する(即ち、q=5)。
【0102】
例えば、欠陥ベクトルBに対して上述したきまりを用いると、教育されたANN304が入力ベクトルAは重度分類Bを有する短脚欠陥を示すと決定した時、ANN304は、位置b1における1は短脚欠陥を示し、位置b5における2は重度分類「B」の欠陥を示す<01002>の欠陥ベクトルを出力する。
【0103】
上述したように、ANN304の出力層Nzの次元(従って、欠陥ベクトルBの次元)は、欠陥タイプの異なる数及び/又は欠陥タイプの組み合わせを識別するために、低減又は増大され得る。更に、追加の重度分類又は重度サブ分類が出力層Nzに追加されて、欠陥の重度における追加の情報が提供され得る。
【0104】
更に、本明細書では欠陥ベクトルBは欠陥の識別及び欠陥の重度分類の両方を含むとして説明されたが、他の実施形態では、欠陥ベクトルBは、欠陥の識別又は欠陥重度分類の何れかを含むだけでも良いことを理解されるべきである。
【0105】
次のステップ216において、コントローラは、欠陥ベクトルBを復号し、欠陥ベクトルBによって示された欠陥タイプ及び/又は重度分類を出力するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラは、欠陥のタイプ及び/又は欠陥の重度の識別と共に、欠陥の存在の視覚的及び/又は聴覚的な表示を提供しても良い。欠陥分類システム150がディスプレイを有する一実施形態では、コントローラは、ディスプレイ上に図12に示すのと同様のエネルギー分布をプロットするようにプログラムされ得る。また、コントローラは、ディスプレイ上に欠陥位置を識別し、且つ各欠陥位置における各欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラがディスプレイ上にエネルギー分布のプロットを表示するようにプログラムされる場合、コントローラは、エネルギー分布上に欠陥の位置xDを図式的に示し、各欠陥位置のタイプ及び/又は重度の対応する表示を提供するようにプログラムされ得る。代わりに又は追加して、コントローラは、各欠陥の位置を表示するようにプログラムされ得る。例えば、図12に示すエネルギー分布のプロットを参照して、コントローラは、重度「B」の気孔欠陥がx=18mmに位置しており、重度「C」の溶け込み不良欠陥がx=50mmに位置しており、重度「<C」の溶け込み不良/短脚欠陥の組み合わせが、x=104mmに位置していることをディスプレイ上に示すように動作可能である。
【0106】
本明細書に示され且つ説明された欠陥分類システム及び方法は、超音波信号を用いて、溶接部内に存在する欠陥のタイプ及び/又は重度の分類を行うために使用され得ることを、今理解されるべきである。システムは、製造環境に組み込まれて、種々の構成の溶接構造の自動検査を実行し得る。システムは、製造された各溶接構造のための品質管理ツールとして使用され得る。また、システムは、代わりに、製造された溶接構造のランダムなサンプルリングを解析するためのツールとして使用され得る。
【0107】
本明細書で説明された欠陥分類システムは、試験サンプル内に超音波信号を誘導し且つ試験サンプルから超音波応答信号を集めるために非接触方法を利用したが、欠陥分類システムによって使用される方法は、また、試験サンプルに物理的に接触する音響信号発生器及び/又は音響信号検出器を利用する超音波検査システムによって使用され得ることを理解されるべきである。
【0108】
更に、本明細書の溶接部内の欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法は、試験サンプル内に超音波信号を誘導し且つ試験サンプルから超音波応答信号を集めることと併せて実行されるものとして説明されたが、溶接部内の欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法は、超音波信号を誘導し且つ超音波応答信号を集めるステップとは独立して、実行され得ることを理解されるべきである。例えば、集められた超音波応答信号は、コントローラ内に保存されて、本明細書に説明された方法に従って、後で解析されても良い。
【0109】
本明細書に用いられている用語「実質的」及び「約」は、定量的な比較、値、測定又は他の表示に起因する不確か性の固有の程度を表すために用いられていることに留意されたい。また、これらの用語は、本明細書では、それによって、問題となる主題の基本機能における変化がなくとも、定量的な表現が決められた基準から変化し得る程度を表すために用いられる。
【0110】
本明細書では具体的な実施形態が示され且つ説明されたが、クレームされた主題の精神及び範囲から逸脱することなく、他の種々の変化及び修正がなされ得ることを理解されるべきである。更に、本明細書では、クレームされた主題の種々の態様が説明されているが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。従って、添付の請求項は、クレームされた主題の範囲内にある全てのそのような変化及び修正をカバーすることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書は、同一出願人による“METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES UTILIZING PATTERN MATCHING”と題する2009年8月3日に出願された米国特許出願番号12/534296号、及び“METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES”と題する2009年6月19日に出願された米国特許出願番号12/488396号に関連する。
【0002】
本発明は、一般に、溶接構造における欠陥を検出且つ分類するための方法及びシステムに関し、特に、人工ニューラルネットワークと関連した超音波検査を用いた溶接構造における欠陥のタイプ及び重度を識別するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
種々の溶接技術が、金属部品を接合するために一般に用いられて、例えば、自動車部品、航空機部品、重機及び機械のような広い種類の製品が製造される。溶接の品質が、溶接が用いられている溶接構造の構造的完全性に重要な役割を果たし得る。しかし、溶接又は接合作業中に、溶接部に欠陥が導入されるか又は形成され得る。そのような欠陥は、気孔(blowhole)、空洞(void)、多孔(porosity)及び不十分な溶け込み深さ(insufficient weld penetration depth)を含み得る。これらの欠陥それぞれは、溶接構造の荷重負担能力を低減し得る。例えば、あるタイプの欠陥は、溶接部及び溶接構造の静的、動的及び疲労強度に影響を与え得る応力ライザー(stress riser)又は応力コンセントレータ(stress concentrator)として働き得る。従って、溶接部における潜在的欠陥を正確に検出し且つ位置づけることが重要である。
【0004】
自動化又はロボット溶接システムによるように、溶接部が自動的に形成される場合、溶接部の品質が、製造された溶接構造のランダムなサンプリングの破壊試験によって、評価され得る。カットチェック(cut−check)のような破壊試験は、時間がかかり且つ過剰な製品の無駄を生み出す。更に、そのような破壊試験方法の自動化は、不可能であろう。
【0005】
溶接部における欠陥を検出するための種々の非破壊試験技術を発展するべく努力が成されてきた。しかし、これらの技術の大部分は、製造環境の中に容易には取り込まれ得ない。更に、そのような非破壊試験技術は、溶接部内に存在する特定のタイプの欠陥を識別し且つ欠陥の重度を明らかにすることができない。
【0006】
従って、溶接部における欠陥を検出し、検出された欠陥のタイプ及び重度を決定するための代わりの方法及びシステムに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0007】
ある実施形態では、溶接部における欠陥のタイプを決定する方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力され得る。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。
【0008】
他の実施形態では、溶接部における欠陥の重度を決定するための方法は、溶接部に沿った複数の測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び対応する欠陥信号を決定することを含む。そして、欠陥信号及び欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号は、教育された人工ニューラルネットワークに入力され得る。教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて、欠陥位置に位置する欠陥の欠陥重度分類を決定すること、及び、欠陥位置に位置する欠陥の欠陥重度分類を出力することができる。
【0009】
また他の実施形態では、欠陥分類システムは、コントローラと、音響信号発生器と、音響信号検出器と、位置決め装置とを備える。音響信号発生器及び音響信号検出器及び位置決め装置は、電気的にコントローラと接続している。前記コントローラは、音響信号発生器を用いて、溶接部に沿った複数の測定箇所に超音波信号を誘導し、音響信号検出器を用いて、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を集め、それぞれの超音波応答信号を、コントローラに動作可能に関連するメモリに保存し、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び欠陥信号を決定し、欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号を決定し、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、コントローラと動作可能に関連する教育された人工ニューラルネットワークに入力する、ようにプログラムされており、教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥信号及び複数の欠陥近接信号に基づいて欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる。
【0010】
ここで説明される実施形態によって提供されるこれら及び追加の特徴は、図面と併せて、下記の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【0011】
図面に説明される実施形態は、本質的に実例及び例示であり、請求項によって定められる主題を限定することを意図するものではない。説明される実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の符号で示された下記の図面と併せて読まれて理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥分類システムのブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥分類システムを示す。
【図3】図3は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するためのプロセスフローの部分のブロックダイアグラムを示す。
【図4】図4は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するための人工ニューラルネットワークを模式的に示す。
【図5】図5は、複数の溶接部及び種々の製造上の特徴を有する試験サンプルを示す。
【図6】図6は、溶接部内に存在し得る種々の欠陥を示す図3の試験サンプルの溶接部の断面を示す。
【図7】図7は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る溶接部における欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法のフローダイアグラムである。
【図8】図8は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る溶接構造における欠陥の存在を決定するための方法のフローダイアグラムである。
【図9】図9は、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る試験サンプルから集められた超音波応答信号のプロットである。
【図10】図10は、図9の超音波応答信号から得られたエネルギー分布のプロットである。
【図11A】図11Aは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11B】図11Bは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11C】図11Cは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11D】図11Dは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11E】図11Eは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11F】図11Fは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11G】図11Gは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11H】図11Hは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11I】図11Iは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図11J】図11Jは、本明細書に示され且つ説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図10のエネルギー分布のような、エネルギー分布との比較によって溶接部における欠陥の存在を識別するために用いられ得る欠陥エネルギーパターンを模式的に示す。
【図12】図12は、潜在的欠陥位置が識別された図10のエネルギー分布のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、溶接部における欠陥のタイプ及び/又は存在及び位置を決定するための欠陥分類システムの一実施形態を概ね示す。システムは、通常、コントローラに接続された音響信号発生器及び音響信号検出器を有し得る。本明細書では、溶接構造における欠陥のタイプ及び/又は重度を決定するための欠陥分類システムの種々の構成要素及び欠陥分類システムを用いる方法が、より詳細に説明されるだろう。
【0014】
今、図1を参照して、欠陥分類システム100のブロックダイアグラムが示される。欠陥分類システム100は、通常、音響信号発生器104と、音響信号検出器106と、サンプルステージ108とを有し、それぞれは、コントローラ102に電気的に接続されている。従って、図1における実線及び矢印は、欠陥分類システム100の種々の構成要素の電気的相互接続を概ね示すと理解されるべきである。また、実線及び矢印は、欠陥分類システム100の種々の構成要素間を伝搬する制御信号及び/又はデータ信号のような電気信号を示すと理解されるべきである。更に、音響信号発生器104と試験サンプル110との間の鎖線及び矢印は、音響信号発生器104から試験サンプル110へ送信される励起信号112を示し、一方、試験サンプル110と音響信号検出器106との間の鎖線及び矢印は、音響信号発生器104から受け取った励起信号112に起因して試験サンプル110から放射された超音波応答信号114を示す。
【0015】
本明細書に示し且つ説明される実施形態では、音響信号発生器104は、試験サンプルに物理的に接触することなく、試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができる装置であり得る。一実施形態では、音響信号発生器104は、一連のレーザパルスを試験サンプルの表面上に向けることによって、試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができるパルスレーザ源を有し得る。他の実施形態では、音響信号発生器104は、電磁場を用いて試験サンプル110内に超音波信号を励起させることができる電磁音響トランスデューサ(electromagnetic acoustic transducer:EMAT)を備え得る。音響信号発生器104は、試験サンプル110内に超音波信号を生成するのに適した他の装置を有しても良いことが理解されるべきである。
【0016】
音響信号検出器106は、通常、試験サンプルに物理的に接触することなく、試験サンプル110内に生成した超音波応答信号114を感知又は検出することができる装置であり得る。従って、一実施形態では、音響信号検出器106は、試験サンプル110内に生成した音響応答信号を検出することができるEMATセンサを有し得る。しかし、超音波応答信号114を検出するために、他の非接触トランスデューサ及び/又は音響センサが用いられ得ることを理解されるべきである。
【0017】
音響信号発生器がEMATである一実施形態(図示せず)では、EMATは、試験サンプル内に超音波信号を励起させること及び試験サンプルからの超音波応答信号を検出することの両方のために使用され得る。従って、一つのEMATは、音響信号発生器及び音響信号検出器の両方として使用され得る。
【0018】
図1に示す欠陥分類システム100の実施形態では、サンプルステージ108は、試験サンプルをサンプルステージに取り付けるための固定治具(図示せず)を有し得る。サンプルステージ108は、ステージに機械的に結合し且つコントローラ102に電気的に接続したモータ及び/又はステッピングモータのような、1つ又は複数のアクチュエータ(図示せず)を有し得る。コントローラ102は、信号発生器によって放射された励起信号112が試験サンプル110上で制御された方法で走査されるように、アクチュエータと協力して、音響信号発生器104及び音響信号検出器106に対して、サンプルステージ108及び試験サンプル110の位置を調整し得る。
【0019】
本明細書に示され且つ説明される実施形態は、試験サンプルが可動サンプルステージに固定されるとして示されているが、他の実施形態(図示せず)では、音響信号発生器及び音響信号検出器は、音響信号発生器及び音響信号検出器が試験サンプルに対して調整可能に位置決めされ得るように、コントローラに電気的に接続した可動ステージ又は同様の位置決め装置に取り付けられ得ることを理解されるべきである。従って、欠陥分類システムは、試験サンプルと音響信号発生器と音響信号検出器との間の相対的な方向を調整するための少なくとも1つの位置決め装置を有し得ることを理解されるべきである。
【0020】
コントローラ102は、プログラムされた命令セットを実行し且つ欠陥分類システム100のそれぞれの構成要素に制御信号を送信することができるコンピュータを備え得る。また、コントローラ102は、音響信号検出器106から受け取ったデータを保存し、保存したデータを解析して溶接部における欠陥の存在を決定し、溶接部に存在する欠陥のタイプ及び重度を識別し得る。例えば、一実施形態では、本明細書により詳細に説明されるように、コントローラ102は、コントローラにより欠陥の位置が決定された後、溶接部に存在する欠陥のタイプ及び重度を決定するように教育され得る人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いてプログラムされ得る。従って、コントローラ102は、プログラムされた命令セットと、ANNと、音響信号検出器から受け取った超音波応答信号データとを保存するための1つ又は複数のメモリ装置(図示せず)を含むか又は接続し得ることが理解されるべきである。また、コントローラ102は、欠陥の存在及び位置、並びにそのような欠陥のタイプ及び/又は重度の視覚的又は可聴式の表示をユーザに提供するために、ディスプレイ(図示せず)のような、1つ又は複数の視覚的又は可聴式インジケータと接続され得る。
【0021】
今、図2〜4を参照して、欠陥分類システムの一実施形態150が説明される。この実施形態では、音響信号発生器は、Continuum Lasers社によって製造されたパルスレーザであるInlite II−20 Nd:YAGのようなパルスレーザ源105である。パルスレーザ源105は、20Hzのパルス繰り返し率及び10nsのパルス幅を有し得る。レーザのスポットサイズは、約6mmであり、それぞれのパルスは約55mJ〜約450mJのエネルギーを有し得る。音響信号検出器は、EMATセンサ107であり得る。図2に示された実施形態では、EMATセンサ107は、BWXT Services社製であり、約200kHz〜約2.5MHzのバンド幅を有する4チャネルブロードバンドレシーバを有する。EMATセンサ107は、例えば、14ビットの解像度及び125MHzのデータサンプリングレートを有するGaGe Applied Technologies社製の4チャネルデータ取得カードであるCompuscope 8349のような、データ取得カードを備えたコントローラ(図示せず)と接続され得る。サンプルステージ108は、試験サンプル110を保持するためのクランプ、万力等のような1つ又は複数の固定装置109を有し得る。固定装置及び/又は試験サンプルは、試験サンプルがパルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対して実質的に同じ方向を有してサンプルステージ上に位置付けられるように、1つ又は複数の基準(図示せず)を有し得る。サンプルステージ108は、サンプルステージの位置がコントローラによって調整され得るようにコントローラに接続された、ステップモータにより駆動される送りネジ122に取り付けられ得る。
【0022】
上述したように、コントローラ(図示せず)は、溶接部から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥が溶接部中に存在するかどうかを決定するようにプログラムされ得る。更に、欠陥が溶接部中に存在すると決定された時、コントローラは、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するようにプログラムされ得る。例えば、欠陥が溶接部中に存在すると決定された後、コントローラは、溶接部から集められた超音波応答信号を、図4に示されるANN304のようなANNに通し得る。ANNは、溶接部中に存在する欠陥のタイプ及び/又は溶接部中の欠陥の重度を示す符号化されたベクトル(vector)を出力し得る。ANN304は、通常、次元nの入力ベクトルAを受け取る入力層Nx(図3中、306として示される)と、少なくとも1つの隠れ層Ny(図3中、一般に308として示される)と、次元qの出力ベクトルBを出力する出力層Nz(図3中、310として示される)とを有し得る。入力層Nxは、通常、図4でX1,X2,X3・・・Xnと示される複数のn入力ノードを有し得る。入力ノードの数は、通常、入力ベクトルAの成分の数に対応する。隠れ層Nyは、図4でY1,Y2,Y3・・・Ypと示される複数のpノードを有し得る。出力層Nzは、通常、図4でZ1,Z2,Z3・・・Zqと示される複数のqノードを有し得る。出力層におけるノードqの数は、出力ベクトルBの成分の望ましい数に対応する。
【0023】
更に図2〜4を参照して、入力層Nxは、入力層のそれぞれのノードが隠れ層Nyのそれぞれのノードと結合するように、次元n×pを有する重みの行列Vnpを用いて隠れ層Nyと結合し得る。同様に、隠れ層Nyは、隠れ層のそれぞれのノードが出力層Nzのそれぞれのノードと結合するように、次元p×qを有する重みの行列Wpqを用いて出力層Nzと結合し得る。各層のそれぞれのノードは、重みの行列と協働して働き、入力ベクトルAを出力ベクトルBに写像することによって、入力ベクトルAと出力ベクトルBとの間の関係の解を提供する。
【0024】
図4に示すANN304の実施形態は、1つの入力層Nxと、1つの出力層Nzと、1つの隠れ層Nyとを有するが、ANN304は、複数の隠れ層を有しても良いことが理解されるべきである。例えば、一実施形態では、ANNは、50ノードを有する第1隠れ層、35ノードを有する第2隠れ層、24ノードを有する第3隠れ層、5ノードを有する第4隠れ層という、4つの隠れ層を有し得る。ANNが複数の隠れ層を有する場合、上述したように、入力層Nxと出力層Nzのノードと同様に、図4に示すのと同様の方法で、追加の重み行列が異なる層のそれぞれのノードを相互接続し得る。
【0025】
図3及び図4を参照して、各層のそれぞれのノードは、ノードの出力を所定の範囲に制限する一般に活性化関数と呼ばれる関数を有する。活性化関数は、制限なく、線形関数、ステップ関数、ランプ関数(ramp function)、シグモイド関数、及びガウス関数を含む種々の形を取り得る。本明細書で説明されるANN304の実施形態では、各層(即ち、入力層、隠れ層及び出力層)のそれぞれのノードは、ノードの出力を所定の範囲に制限するシグモイド活性化関数を有する。シグモイド活性化関数は、以下の形を有し得る。
【0026】
【数1】
【0027】
しかし、シグモイド活性化関数は異なる形を取り得ることを理解されるべきである。
【0028】
再度、図2を参照して、図2に示される欠陥分類システム150の実施形態では、試験サンプル内に超音波信号を誘導するのに使用される励起信号は、1つ又は複数の鏡を用いて試験サンプル110と光学的に結合するパルスレーザ源105の出力ビーム113である。図2に示すように、鏡116、117及び118は、パルスレーザ源105の出力と、試験サンプル110の表面との間の光学経路を形成しており、この光学経路は、望ましい位置の試験サンプルの表面上に出力ビーム113を向ける。レンズ120は、出力ビーム113の光学経路内に配置されて出力ビームを合焦しても良い。また、例えば、コリメータ又はパルスレーザ源105の出力ビームを成形するのに用いられ得る他の要素のような、追加の光学要素(図示せず)が光学経路内に挿入されても良い。更に、図2に示される欠陥分類システム150の実施形態は、鏡を用いて試験サンプル110と結合された出力ビーム113を描いているが、出力ビームは、鏡によって最初にそらされるか又は反射されることなしに、試験サンプルと直接結合され得ることを理解されるべきである。代替の実施形態(図示せず)では、パルスレーザ源の出力ビーム113は、レーザビームを導波可能な光ファイバ又は同様の光導波路のような、1つ又は複数の光導波路を用いて、試験サンプルと結合されても良い。
【0029】
本明細書において上述したように、パルスレーザ源は、試験サンプル内に超音波信号を誘導するために用いられ得る。試験サンプルの表面に入射する出力ビームパルスのエネルギー密度又はパワーに依存して、パルスレーザ源は、熱弾性動作モード又は切除動作モードの何れかにおける超音波信号を生成するために用いられ得る。例えば、パルスレーザ源の出力ビームのパワー密度が比較的低い場合に、超音波信号生成の熱弾性モードが生じる。出力ビームは、レーザ放射の部分吸収によって、試験サンプルの表面の局所領域を材料の融点よりも低い温度に急速に加熱する。温度の急速な上昇は、熱弾性効果による加熱された材料の対応する膨張を伴う。急速な膨張は、軸対称な引っ張り応力を引き起こし、試験サンプルの表面に発現する。レーザが切られる(例えば、パルス間)と、加熱された領域は収縮する。試験サンプルの最表面の膨張及び収縮は、試験サンプル中を伝搬する超音波信号を誘導する。
【0030】
代わって、出力ビームのパワー密度が試験サンプルの表面を材料の融点を超えて加熱するぐらいに十分に高い場合、超音波信号生成の切除モードが生じる。急速加熱は、上述したように、試験サンプルの表面に軸対称な引っ張り応力を生成する。しかし、サンプルの表面上の温度が融点を超えるので、少量の材料が蒸発し、試験サンプルの表面から放出される。従って、引っ張り応力の形成に加えて、材料が放出される時にサンプルの表面に対して垂直方向の反力が生成される。垂直方向の反力並びに最表面の膨張及び収縮の組み合わせは、試験サンプル中を伝搬する超音波信号を誘導する。通常、切除モードにより生成される超音波信号は、熱弾性モードで生成されるものよりも強い。いずれの動作モードにおいても、試験サンプル内に誘導される超音波信号は、約200kHzから約MHzの範囲の周波数を有する。
【0031】
今、図5を参照して、試験サンプル110は、通常、少なくとも1つの溶接部140を有する金属構造を有し得る。図4に示される試験サンプル110の実施形態では、試験サンプル110は、上側部分142及び下側部分143を有する自動車のための支持構造部材であり、両方とも型打ちされた金属薄板の薄いプレートから形成されている。上側部分142は、溶接部140によって、重ね継ぎ(lap joint:例えば、図6に示される接合部)において下側部分143に接合される。また、試験サンプル110は、例えば、型打ち処理により生じるプレスマーク144及び部品を支持構造部材に結合するための様々な取り付け穴146を含む複数の製造上の特徴を有する。
【0032】
今、図5の試験サンプル110の上側部分142と下側部分143との間の重ね継ぎ及び溶接部140の断面を示す図6を参照して、溶接部140は、例えば、気孔(blowhole)、不適切な脚長(即ち、短脚)、不適切な溶け込み深さ(insufficient penetration depth)及び/又は不適切なのど厚(即ち、短のど:short throat)を含む1つ又は複数の異なるタイプの欠陥を有し得る。溶接部が形成されるか又は溶接部が冷える際に、溶接部内に閉じ込められた空気又はガスが抜け出ると、気孔欠陥が溶接部中に生じる。抜け出る空気又はガスは、溶接部内に空隙を残し及び/又は溶接部内に孔を形成し、それぞれは、溶接部の強度を低減し得る。
【0033】
溶接部の溶け込み深さは、例えば、試験サンプル110の上側部分142のように、溶接部の溶融部分がベース材料の中へ侵入する距離PDとして定義される。もし、溶け込み深さが、ベース材料の厚さの所定のパーセントよりも小さいと、不適切な溶け込み深さ又は溶け込み不良欠陥(lack−of−penetration defect)が生じる。本明細書で説明される実施形態では、距離PDが試験サンプルの上側部分142の厚さの約30%よりも小さいと、溶け込み不良欠陥が生じる。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、30%よりも大きいか又は30%よりも小さいくなり得ることを理解されるべきである。
【0034】
重ね継ぎ溶接部140の脚(leg)は、溶接部140のルート(root)と溶接部の止端(toe:例えば、溶接部がベース材料と交差する点)との間の距離として定義される。図6における溶接部140の脚は、距離S1及びS2として示される。本明細書で説明される実施形態では、もし距離S1又はS2のいずれかが試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143のいずれかの材料厚さの80%よりも小さい場合に、短脚欠陥が溶接部に存在する。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、80%よりも大きくなり得ることを理解されるべきである。
【0035】
のど厚THは、図6に示すように、溶接部140のルート141と溶接部の表面との間の最短距離として定義される。溶接部140ののど厚がベース材料の厚さの所定のパーセントよりも小さいと、短のど欠陥が生じる。本明細書に示され且つ説明される実施形態では、のど厚THが、試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143のいずれかの厚さの約70%よりも小さい場合に、短のど欠陥が生じる。しかし、試験サンプル110が使用されるアプリケーションに依存して、所定のパーセントが、70%よりも大きくなり得ることを理解されるべきである。
【0036】
今、図2、5及び6を参照して、パルスレーザ源を熱弾性モード又は切除モードのいずれかにおいて作動させることによって試験サンプル110の上側部分142又は下側部分143を有する薄いプレート内に誘導された超音波信号は、試験サンプル内を伝搬する一連の超音波ラム波を生み出す。ラム波は、周波数及び波長のペアのセットによって決定される各モードを備えた多モードであり得る。異なる周波数及び波長のために、各モードのラム波は、試験サンプル内で遭遇した異なるタイプの欠陥に対して違う反応をし得る。例えば、所与のタイプの欠陥に対して、第1のセットの周波数及び波長のペアによって決定される第1モードは、欠陥によって反射され得るが、第2のセットの周波数及び波長のペアを有する第2モードは、欠陥を伝達し得る(即ち、欠陥は第2モードに影響を与えない)。従って、誘導されたラム波の異なるモードは、欠陥の異なるタイプに敏感であり、試験サンプルからの超音波応答信号を集め且つ解析することによって、本明細書においてより詳細に説明されるように、試験サンプル内の異なるタイプの欠陥の存在が決定され得る。
【0037】
今、図2を参照して、試験サンプル上の溶接部における欠陥の存在を決定するために、試験サンプル110は、サンプルステージ108上に配置されて、1つ又は複数の固定装置109を用いてサンプルステージ108に取り付けられ得る。パルスレーザ源105及びEMATセンサ107は、EMATセンサ107が、溶接部を伝達したか又は溶接部によって反射された音響応答信号を集めるように配置され得る。
【0038】
例えば、一実施形態では、溶接部を伝達した音響応答信号が望まれる時、図2に示すように、パルスレーザ源の出力ビームが溶接部140の一方の側に入射され、EMATセンサ107が溶接部140の他方の側に配置されて試験サンプル110に隣接するように、試験サンプル110が配置され得る。従って、溶接部140は、パルスレーザ源105の出力ビーム113が試験サンプル110及びEMATセンサ107に接触する点の間に配置されることを理解されるべきである。この実施形態では、試験サンプル110内に誘導され且つEMATセンサ107によって受け取られた超音波信号は、溶接部140内を通って伝達される。欠陥は溶接部内を通る超音波信号の伝搬を変えるので、超音波信号は、EMATセンサ107によって受け取られる超音波応答信号へ変換される。超音波応答信号は、溶接部140内の欠陥の存在に関する情報を一緒に運ぶ。更に、超音波応答信号は、試験サンプル110と、パルスレーザ源の出力ビームが試験サンプル110に接触する点及び/又はEMATセンサ107の位置との間の相対的な位置決めに基づいて、溶接部140及び試験サンプル110の長さに沿った位置に関連付けられ得る。
【0039】
他の実施形態(図示せず)では、溶接部によって反射された音響応答信号が望まれる時、EMATセンサは、溶接部の一方の側に配置されて、パルスレーザ源の出力ビームは、溶接部のEMATセンサと同じ側の試験サンプル上に向けられ得る。パルスレーザ源によって試験サンプル内に誘導された超音波応答信号は、試験サンプル内を通って、信号(例えば、超音波応答信号)の少なくとも一部分を反射する溶接部に伝搬し、この信号をEMATセンサが検出する。欠陥を含む溶接部の部分は、欠陥を有さない溶接部の部分とは異なって超音波信号を反射又は伝えるので、EMATセンサによって受け取られた反射した超音波応答信号は、溶接部内の欠陥の存在に関する情報を一緒に運ぶ。
【0040】
欠陥分類システム150を利用して、試験サンプル内の欠陥の存在を決定し、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類する前に、欠陥分類システム150のANNは、サンプルデータセットを用いて教育されなければならない。サンプルデータセットは、実験的に決定されており、溶接部中の欠陥の所定のタイプ及び/又は欠陥の重度に対応する超音波応答信号のコレクション(collection)を含み得る。サンプルデータセットは、超音波検査による1つ又は複数の試験サンプルにおける溶接部中の欠陥の存在及び位置を最初に決定にすることによって蓄積され得る。例えば、欠陥の存在及び位置は、図7に示される手順のステップ202、204及び206を用いることによって決定され得る。この方法については、本明細書においてより詳細に説明される。
【0041】
欠陥の位置が決定されると、溶接部サンプルは、破壊的に解析されて、欠陥位置における溶接部中に存在する欠陥のタイプを定性的に決定し、及び/又は欠陥に対して欠陥重度分類を割り当てる。例えば、溶接部サンプルは、溶接部サンプルが欠陥位置において切断される「カットチェック」を受け得る。そして、断面は、磨かれ、解析されて存在する欠陥のタイプ(例えば、気孔、短脚、短のど、溶け込み不良等)が決定され、後述するように、欠陥の定量的な評価に基づいて欠陥重度分類が割り当てられ得る。例えば、欠陥は、A,B,C又は<Cの分類文字が割り当てられ、Aは欠陥無しを示し、Bは容認できる許容範囲の欠陥を示し、Cは条件付きで容認できる許容範囲の欠陥を示し、<Cは容認できる許容範囲外の欠陥であり得る。
【0042】
欠陥のタイプが識別され及び/又は重度分類が欠陥に割り当てられた後、欠陥のタイプ及び/又は重度が、欠陥のタイプ及び/又は重度を表すベクトルに符号化され得る。例えば、一実施形態では、成分<bT1bT2bT3bT4>を有する4成分ターゲットベクトルBTが、欠陥に割り当てられ得る。成分BT1は溶け込み不良欠陥を示し、成分BT2は短脚欠陥を示し、BT3は気孔欠陥を示し、成分BT4は短のど欠陥を示す。ベクトルの各成分は、1が所定のタイプの欠陥の存在を示し、ゼロが欠陥の欠如を示す、ゼロ又は1の何れかである。以下に示す表1は、所定のタイプの欠陥を示す例となるターゲットベクトルを含む。ターゲット欠陥ベクトルは、また、欠陥の組み合わせを示し得ることを理解されるべきである。例えば、同じ位置に生じた溶け込み不良欠陥及び短脚欠陥は、<1100>と符号化されたベクトルによって表され得る。
【0043】
【表1】
【0044】
代わりに、欠陥の重度分類のみが割り当てられる時は、欠陥重度分類は、以下の表2に示すように、重度分類「A」が数字の値1を有し、重度分類「B」が数字の値2を有し、重度分類「C」が数字の値3を有し、重度分類「<C」が数字の値4を有するような、各欠陥重度分類が数字の値に割り当てられたベクトルに符号化され得る。
【0045】
【表2】
【0046】
また他の実施形態では、欠陥のタイプ及び重度の両方が、一つのターゲット欠陥ベクトルに符号化され得る。例えば、表1及び2に上述したきまりは、組み合わされて、最初の4成分が欠陥タイプを示し最後の成分が欠陥重度分類を示す5成分のターゲット欠陥ベクトルを形成し得る。従って、<10004>という値を有するターゲット欠陥ベクトルBTは、重度分類<Cを有する溶け込み不良欠陥を示し得る。
【0047】
欠陥のタイプ及び/重度が識別されて且つターゲット欠陥ベクトルに符号化されると、欠陥位置に対応する集められた超音波応答信号は、後述するように、欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号と一緒にANNに入力され得る。一実施形態では、信号をANNに入力する前に、本明細書に説明するように、超音波応答信号は、前処理されて、超音波応答信号内のデータポイントの全体的な数が低減され得る。初期化された重み行列Vnp及びWpq及び各ニューロンに対する活性化関数を用いて、上述したように、ANNはベクトルBを出力する。しかし、ANNに入力される所与のサンプル入力に対して、出力層Nzからの出力ベクトルBは、ターゲットベクトルBTと等しくないかも知れず、重み行列Vnp及びWpqの値が調整されるか又は教育される必要を示している。
【0048】
様々なニューラルネットワーク教育アルゴリズムが、ANNがANN内に入力されたサンプルデータのターゲットベクトルBに対応する出力ベクトルBを生成するように、重み行列Vnp及びWpqを調整するために使用され得る。そして、本明細書に説明される実施形態では、ANNは誤差逆伝播法アルゴリズム(back propagation algorithm)を用いて教育される。図4に示される実施形態では、コントローラによって実行され得る誤差逆伝播法アルゴリズムは、ANNの出力層Nzにわたって出力誤差関数E又は出力コスト関数Eを決定することを含む。誤差関数は、下記のように記載され得る。
【0049】
【数2】
【0050】
ここで、bTmは、ターゲットベクトルBTの成分mに対するターゲット値であり、bmは、対応する出力ニューロンZmの値である。変数mは、本明細書で示され且つ説明される例示のニューラルネットワークでは5である出力ベクトルBの次元qに対応する整数である。出力層Nzにおける各ニューロンZmの値bmは、次の式(2)に従って計算され得る。
【0051】
【数3】
【0052】
ここで、Yiは、前の隠れ層におけるニューロンの値であり、Wimは、重み行列Wpqの対応する重みである。変数mは、上述したように、1からqまでの整数であり、一方iは、1から隠れ層Nyのニューロンの総数までの整数であり、この例ではpである。
【0053】
Yiの値は、入力層ニューロン及び重み行列Vnpの値の関数として、次のように表され得る。
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、iは上述した整数であり、lは1から入力ニューロンの総数nまでの整数であり、fは活性化関数である。代わりに、Yiの値は、通常、隠れ層Nyにおける各ニューロンに対する活性化関数として表され得る。
【0056】
重み行列Vnp及びWpqにおける各重みに対する新しい又は調整された値は、所与のサンプル入力のセットに対するコスト関数Eを用いて決定され得る。具体的には、重み行列Vnp及びWpqにおける各成分の値は、コスト関数の最小値への勾配とは反対の方向にコスト関数を移動させることによって調整され得る(例えば、コスト関数Eの値が、入力/出力マッピングにおいてトータル誤差の最小の量を生成する場合)。隠れ層Ny及び出力層Nzの間の重み行列Wpqに対して、これは、重みWimに関してコスト関数Eの偏導関数をとることによって達成され、次のように数学的に表され得る。
【0057】
【数5】
【0058】
重み行列Wpqにおける所定のWimの値は、次のように、Wimに関してコスト関数の偏導関数を引き算することによって調整され得る。
【0059】
【数6】
【0060】
ここで、αは、コスト関数Eの勾配に沿った移動又はステップから調整される量を規格化する正の一定値である学習率である。同様に、入力層Nxと隠れ層Nyとの間の重み行列Vnpに対して、行列における各重みVliに対する新しい値は、Vliに対する新しい値のような重みVliに関して、コスト関数Eの偏導関数をとることによって、コスト関数から数学的に決定され、次のように記載され得る。
【0061】
【数7】
【0062】
ここで、βは、コスト関数Eの勾配に沿った各移動から調整される量を規格化する正の一定値である学習率である。
【0063】
式(6)及び式(7)は、ANNの出力ベクトルBが実験的に決定されたターゲットベクトルBTの値により近く接近するように、重み行列Vnp及びWpqにおける各重みの値を調整するために用いられ得る。同じアルゴリズムが、サンプルデータセットにおける各試験サンプルとあわせて、利用され得る。教育プロセスは、ANNの出力ベクトルBとターゲットベクトルBTとの間の誤差の総和が所定の許容範囲になるまで繰り返される。
【0064】
今、図2及び図7を参照して、欠陥分類システム150を用いて、溶接部内の欠陥の存在、タイプ及び/又は重度を検出するための方法200の一実施形態が説明される。第1ステップ202では、コントローラは、上述したように、パルスレーザ源105を始動して、試験サンプルの表面上に一連のビームパルスを向けることによって、試験サンプル110内に超音波信号を誘導する。コントローラは、各測定箇所にパルスレーザを複数回始動するようにプログラムされ、且つ各測定箇所におけるパルスレーザの各発射によって生成され、集められた超音波応答信号は、平均化されて測定箇所における集められたパルスレーザの信号対ノイズ比を増加させる。ここで説明される実施形態では、パルスレーザ源は、切除モードで動作して、約200kHzから約15MHzの周波数を有する超音波応答信号を試験サンプル内に誘導する。しかし、パルスレーザ源は、また、熱弾性モードで動作して試験サンプル内に超音波信号を生成しても良いことを理解されるべきである。超音波信号は、試験サンプル110及び溶接部140中を伝搬し、超音波信号の一部は、溶接部140内の欠陥又は試験サンプル内の他の特徴によって反射され、一方、超音波応答信号の他の部分は、溶接部140中を透過し得る。この例では、超音波応答信号は、超音波信号の一部が、試験サンプル内の欠陥及び/又は他の特徴によって反射又は回折された後に、透過又は反射された信号である。
【0065】
第2ステップ204では、試験サンプル110内に誘導された超音波応答信号が、EMATセンサ107を用いて集められる。本明細書で説明される実施形態では、図2に示され且つ上述されたように、EMATセンサ107は、溶接部140中を伝達する超音波応答信号を集めるように配置される。EMATセンサ107は、集められた超音波応答信号を、超音波応答信号の振幅に比例した電圧を有する電気信号に変換する。従って、集められた超音波応答信号が溶接部140中に伝達される本明細書で説明される実施形態では、相対的に大きな電圧を有してEMATセンサ107によって生成される電気信号は相対的に大きな振幅を有する超音波応答信号に対応し、一方、相対的に低い電圧を有する電気信号は相対的に小さな振幅を有する超音波応答信号に対応する。超音波応答信号の相対的な大きさは、通常、欠陥及び/又は試験サンプル内の製造上の特徴の欠如又は存在を示しており、小さい振幅は欠陥及び/又は製造上の特徴の存在を示し、大きい振幅は欠陥及び/又は製造上の特徴の欠如を示す。
【0066】
EMATセンサ107によって生成された電気信号は、EMATセンサ107から、コントローラ(図示せず)に送信されて、電気信号がコントローラに関連するメモリ内に保存される。電気信号の振幅(例えば、電圧)は、時間の関数としてメモリ内に保存されて、試験サンプル110の溶接部140に沿った所定の位置に索引付けられるか又は関係付けられる。従って、超音波信号の振幅は、f(x、t)として記載され得るような、時間(t)及び溶接部140に沿った位置(x)の両方の関数になり得る。
【0067】
溶接部140に沿ったある測定箇所に対して、集められた超音波応答信号がメモリ内に保存された後、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置は、超音波応答信号が溶接部140に沿った異なる測定箇所において試験サンプル110から誘導され且つ集められ得るように調整され得る。図2に示される実施形態では、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置は、送りネジ122に結合されるステップモータ(図示せず)に制御信号を送るコントローラによって調整され得る。ステップモータの回転は、送りネジ122を回転させて、順々に、サンプルステージ108に縦方向の動きを与え、それによって、パルスレーザ源105及びEMATセンサ107に対する試験サンプル110の位置を調整する。
【0068】
試験サンプル110の位置が調整された後、ステップ202及び204は、溶接部140に沿った新しい位置において繰り返され、超音波応答信号の振幅が、時間(t)及び溶接部に沿った位置(x)の両方の関数として、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存される。超音波信号を誘導し、超音波応答信号を集め且つ試験サンプルの位置を調整するこのプロセスは、複数回繰り返されて、溶接部のある区間及び/又は溶接部140の全体の長さに対して、一連の超音波応答信号を形成する。
【0069】
今、図9を参照して、ある試験サンプルから集められた一連の超音波応答信号が図式的に示される。y軸は溶接部に沿った位置を示し、x軸は、超音波応答信号が集められた時間間隔を示しており、グレースケールは、ボルトを単位として、集められた超音波応答信号の相対振幅を示す。試験サンプルの位置は、大きいか又は小さい増加率が所望の欠陥分解能に依存して用いられ得るが、ミリメートル単位で調整された。
【0070】
また図9を参照して、試験サンプル内に誘導された超音波信号の内容である高い周波数/短い波長は、低い周波数という他のものよりも、試験サンプル内の特徴によって回折及び/又は反射の影響をより受けやすい。これらの特徴は、製造上の特徴(例えば、コネクタホール(connector hole)、スタンプマーク(stamp mark)等)のような標準的特徴(即ち、複数の試験サンプルのそれぞれに標準的に生じる特徴)と、欠陥のような非標準的特徴を含む。例えば、これらの特徴によって反射及び/又は回折の影響を特に受ける周波数範囲は、約0.977MHzから約1.464MHzであり得る。従って、試験サンプルから集められた超音波応答信号における対応する周波数は、そのような特徴の存在に関する情報を含み得る。
【0071】
一実施形態では、ステップ206において、コントローラは、試験サンプルから集められた超音波応答信号をフィルタリングして、製造上の特徴及び/又は欠陥のような特徴によって反射及び/又は回折の影響を特に受けた周波数を分離するようにプログラムされ得る。本明細書に説明される実施形態では、溶接部に沿った各測定箇所(x)に対する集められた超音波応答信号は、集められた超音波応答信号を離散ウェーブレット変換(DWT)によってまず分解することによって、試験サンプル内の特徴(欠陥のような)に敏感である周波数範囲にフィルタリングされ得る。具体的には、溶接部に沿った所定の位置xに対して、集められた超音波応答信号f(t)は、次の関係式に従って、ウェーブレット係数WS(h、k)のセットに分解され得る。
【0072】
【数8】
【0073】
ここで、Ψ*h、k(t)は、ウェーブレットΨh、k(t)の複素共役である。ウェーブレットΨh、k(t)は、次式に示すように、スケーリングパラメータs0hによってスケール化され且つシフトパラメータkτ0s0hによってシフトされたマザーウェーブレット関数Ψの関数であり得る。
【0074】
【数9】
【0075】
ここで、tは時間であり、h及びkは整数である。s0は、通常、2に選択され、シフトパラメータτ0は、通常、1に選択される。
【0076】
マザーウェーブレットΨの選択は、所与の超音波応答信号が信号の形状又は構造に類似したものを有するウェーブレットによってより良く近似され得るように、集められた超音波応答信号の形状又は構造に依存し得る。超音波応答信号の分解のためのマザーウェーブレットΨは、例えば、Daubechiesウェーブレットファミリー、Coifletウェーブレットファミリー、Haarウェーブレットファミリー、Symmletウェーブレットファミリー、離散Meyer(DMEY)又は同様のウェーブレットファミリーから選択され得る。例えば、一実施形態では、Daubechiesウェーブレットファミリーのウェーブレット6が、マザーウェーブレットΨとして用いられて、超音波応答信号が分解される。しかし、他のマザーウェーブレットが用いられ得ることを理解されるべきである。
【0077】
上述したように、各測定箇所xに対するDWTによる超音波応答信号の分解は、その測定箇所に対してウェーブレット係数WS(h、k)のセットを生成する。分解後、コントローラは、得られたウェーブレット係数のセットそれぞれをバンドパスフィルタリングして、欠陥に対して最も敏感な周波数範囲を分離するようにプログラムされ得る。この周波数範囲は、本明細書に説明される実施形態では、約0.977MHzから約1.464MHzである。ウェーブレット係数のセットをフィルタリングすることは、所望の周波数範囲外の周波数に対応するウェーブレット係数WS(h、k)の要素をゼロにすることによって実行される。本明細書に説明される実施形態では、DWTによる分解及びフィルタリングは、コントローラによって、溶接部に沿った各測定箇所に対して、バンドパスフィルタリングされたウェーブレット係数のセットを生成するMalleのフィルタバンクアルゴリズムを用いることによって実行され得る。
【0078】
各集められた超音波応答信号がDWTによって分解され、且つ得られたウェーブレット係数がフィルタリングされて所望の周波数内容に分離された後、コントローラは、逆離散ウェーブレット変換(IDWT)によって、対応するフィルタリングされたウェーブレット係数のセットから各測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号f(x、t)を再構成して、溶接部に沿った各測定箇所xに対するフィルタリングされた応答信号を形成するようにプログラムされ得る。例えば、溶接部に沿った120の分離した測定箇所がある時、120のフィルタリングされた応答信号が、IDWTによって生成される。
【0079】
再度図7を参照して、ステップ208では、コントローラは、溶接部内の欠陥の存在及び位置を識別して、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに用いるために、識別された欠陥に対応する位置及び超音波応答信号をメモリに保存するようにプログラムされ得る。欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号も、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに用いるために、メモリに保存され得る。コントローラは、溶接部に沿った各測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、溶接部内の欠陥の存在及び位置を識別するようにプログラムされ得る。例えば、一実施形態では、コントローラは、「METHODS AND SYSTEMS FOR DETECTING DEFECTS IN WELDED STRUCTURES」と題された同時係属中の米国特許出願第12/488,396号に開示された方法を用いて、溶接部内の欠陥の位置を識別するようにプログラムされることができ、この出願の内容は参照されて本明細書に組み込まれる。本明細書でより十分に説明される他の実施形態では、コントローラは、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎをモニタすることによって、及び/又は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎを既知のエネルギー欠陥パターンと比較することによって、溶接部内の欠陥の位置を識別するようにプログラムされ得る。
【0080】
今、図8を参照して、ステップ208を実行するための方法の一実施形態のフローダイアグラムが示される。この実施形態では、溶接部内の欠陥の存在は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎをモニタすることによって、及び/又は、超音波応答信号のエネルギーのゆらぎを既知のエネルギー欠陥パターンと比較することによって、決定される。ステップ252では、コントローラは、測定箇所に対して対応するフィルタリングされた応答信号f(x、t)に基づいて、試験サンプル上の各測定箇所xに対するエネルギーE(x)を計算し且つ規格化するようにプログラムされ得る。各測定箇所xに対するエネルギーE(x)は、次式のように、信号の継続時間に亘って、対応するフィルタリングされた応答信号f(x、t)の2乗の和をとることによって、計算される。
【0081】
【数10】
【0082】
ここで、E(x)は位置xにおけるエネルギーであり、f(x、t)は、位置x及び時間tにおけるフィルタリングされた超音波応答信号の振幅である。
【0083】
溶接部に沿った各測定箇所に対するエネルギーE(x)に基づいて、エネルギー分布が図10に示すようにプロットされ得る。ここで、x軸は、溶接部に沿った測定箇所xに対応し、y軸は、各測定箇所に対する超音波信号エネルギーE(x)に対応する。プロットされたエネルギー分布は、超音波応答信号のエネルギーが溶接部の長さに沿ってゆらぐことを示す。エネルギーのこれらのゆらぎは、試験サンプル内に誘導された超音波信号を反射又は回折し得る試験サンプル及び/又は溶接部内の種々の特徴の存在によって生じ得る。そのような特徴は、上述したように、スタンプマーク、コネクタホール及びその他のような標準的特徴、又は、欠陥及び/又は溶接部の厚さの変化のような非標準的特徴を含み得る。
【0084】
今、図8、10及び12を参照して、次のステップ254では、コントローラは、各測定箇所に対するエネルギーE(x)及び/又は図10に示されたプロットされたエネルギー分布のようなプロットされたエネルギー分布を利用して、溶接部に沿った潜在的欠陥位置を識別するようにプログラムされ得る。潜在的欠陥位置を識別するために、コントローラは、各測定箇所xに対するエネルギーE(x)を、例えば測定箇所x−1及びx+1のような、隣接する測定箇所のエネルギーと比較し得る。もし、エネルギーE(x)が、極小であれば(例えば、E(x−1)>E(x)且つE(x+1)>E(x))、測定箇所xは潜在的欠陥位置である。潜在的欠陥位置の例が、図12に示すプロットされたエネルギー分布における円で囲まれたプロットにより示されている。E(x)が極小であると、コントローラは、極小の位置xを潜在的欠陥位置xpdとして指定して、潜在的欠陥位置xpdをコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存し得る。
【0085】
今、図8及び10〜12を参照して、ステップ256では、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdのエネルギーE(xpd)及び測定箇所の近傍のエネルギーを利用して、各潜在的欠陥位置xpdの近傍の測定箇所における超音波エネルギーのゆらぎを解析し、溶接部内の欠陥の存在を決定するようにプログラムされ得る。一実施形態では、コントローラは、潜在的欠陥位置のエネルギーE(xpd)及び隣接する測定箇所のエネルギーを、図11A〜11Jに図式的に示された例示の欠陥エネルギーパターンのような、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存されている欠陥エネルギーパターンのセットと比較することによって、欠陥の存在に対して各潜在的欠陥位置xpdを解析し得る。
【0086】
図11A〜11Jに示された欠陥エネルギーパターンは、上述したように超音波信号が試験サンプル内に誘導されて超音波応答信号が試験サンプルから集められた後に破壊的に試験された試験サンプルから導出され得る。各試験サンプルに対するエネルギー分布がプロットされ、各試験サンプルの破壊試験の結果が、対応するエネルギー分布と比較されて、エネルギー分布のゆらぎが破壊試験により識別された欠陥と関係づけられ得る。これらの比較に基づいて、欠陥エネルギーパターンのセットが、欠陥によって生じたエネルギー分布のゆらぎと対応するのかが識別され得る。
【0087】
潜在的欠陥位置xpdが実際の欠陥を含むのかを決定するために、コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdのエネルギーE(xpd)及び潜在的欠陥位置xpdの両側の近傍の測定箇所のエネルギーによって形成されるパターンを、欠陥エネルギーパターンと比較し、パターンが同様の形状を有するならば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして指定して、この位置を欠陥位置として、コントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。
【0088】
例として、図11及び12を参照して、潜在的欠陥位置xpdは、x=104mmに存在する。この潜在的欠陥位置のエネルギーE(xpd)及び潜在的欠陥位置の両側の測定箇所のエネルギーによって形成されるパターン(例えば、x=104mmの左の3つの測定箇所及びx=104mmの右の3つの測定箇所)は、図11Iの欠陥エネルギーパターンと同様のパターンを形成する。このような場合、コントローラは、x=104mmにおける潜在的欠陥位置を欠陥位置xDとして識別し、この位置を欠陥としてメモリ内に保存する。
【0089】
代わりの実施形態では、ステップ256において、コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdにおけるエネルギーE(x)を複数の近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、各潜在的欠陥位置xpdを解析するようにプログラムされ得る。コントローラは、各潜在的欠陥位置xpdに対するエネルギーを、潜在的欠陥位置xpdの両側の少なくとも2つの連続した測定箇所に対するエネルギーと比較し得る。例えば、コントローラは、xpdの一方の側についてポイントxpd−1、xpd−2、・・・、xpd−iに対するエネルギーから、xpdの他方の側についてポイントxpd+1、xpd+2、・・・、xpd+jまでのエネルギーを比較しうる。ここで、i及びjは整数であり、i<xpd且つ1=<j=<n−xpdであり、nは溶接部に沿った測定箇所の総数である。
【0090】
もし、潜在的欠陥位置の両側の超音波エネルギーが、近傍の測定箇所のそれぞれに対して単調に増加するならば、そして、もし、単調に増加するエネルギーを備えた近傍の測定箇所の数が欠陥位置の両側で2と4との間であれば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして識別し、その位置をコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。図12に示すように、実線の円によって囲まれた位置(例えば、x=18mm、50mm及び104mm)は、欠陥位置を示しており、鎖線の円によって囲まれた位置(例えば、x=70mm及び88mm)は、潜在的欠陥位置である。この潜在的欠陥位置は、後のコントローラによる解析によって、欠陥の存在に対する基準を満たさなかった。(即ち、超音波エネルギーが、潜在的欠陥位置の両側において、少なくとも2つの近傍の測定箇所に亘って単調に増加していないか、又は、少なくとも4つよりも多い近傍の測定箇所に亘って単調に増加している)
【0091】
一実施形態では、潜在的欠陥位置の超音波エネルギーが、潜在的欠陥位置の両側において少なくとも2つの近傍の欠陥位置と比較されて、超音波エネルギーが単調に増加するのかを決定された後、潜在的欠陥位置のエネルギー及び近傍の測定箇所のエネルギーは、上述したように、メモリ内に保存された欠陥エネルギーパターンと比較されて、潜在的欠陥位置が、例えば図11Jに示されるような欠陥エネルギーパターンを有する溶け込み不良欠陥のような所定の欠陥を含むのかどうかが更に評価される。潜在的欠陥位置における超音波エネルギー及び近傍の欠陥位置における超音波エネルギーが欠陥エネルギーパターンと対応するならば、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして指定し、その位置を欠陥としてメモリ内に保存する。
【0092】
他の実施形態では、図11Jに示されるような溶け込み不良欠陥を識別するために、コントローラは、各測定箇所のエネルギーを近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、極大及び極小のペアをまず識別するようにプログラムされ得る。例えば、図11Jに示すポイントXN1及びXN2は、それぞれ、極大及び極小を示す。従って、極大と極小との間の平均勾配は、次式を用いて決定され得る。
【0093】
【数11】
【0094】
ここで、E(XN2)は測定箇所XN2におけるエネルギーであり、E(XN1)は測定箇所XN1におけるエネルギーである。
【0095】
従って、XN1とXN2との間の各ポイントXiに対して、コントローラは、ポイントXiとXi-1との間の勾配及びポイントXiとXi+1との間の勾配を決定し、各勾配を平均勾配と比較するようにプログラムされ得る。ポイントXiとXi-1との間の勾配の絶対値とポイントXiとXi+1との間の勾配の絶対値との両方が、平均勾配よりも大きければ、ポイントXiは欠陥位置である。
【0096】
また他の実施形態では、ステップ256において、コントローラは、上述したように、各潜在的欠陥位置xpdにおけるエネルギーE(x)を複数の近傍の測定箇所のエネルギーと比較することによって、各潜在的欠陥位置xpdを解析するようにプログラムされ得る。近傍の測定箇所のそれぞれに対して、潜在的欠陥位置の両側のエネルギーが単調に増加する時、コントローラは、潜在的欠陥位置xpdを欠陥位置xDとして識別し、その位置をコントローラに動作可能に関連するメモリ内に保存する。
【0097】
今図3及び9を参照して、一実施形態では、欠陥位置が識別された後、コントローラは、信号をANN304に入力する前に、信号処理モジュール302を用いて、欠陥位置及び欠陥位置の何れかの側の測定箇所に対応する超音波応答信号を任意に処理し得る。信号処理モジュールは、コントローラと一体であるか、又はコントローラと電気的に接続した分離装置の何れかであり得る。従って、方法200は、識別された欠陥位置に対応する超音波信号が処理されるステップ210に進む。ステップ210では、欠陥位置に対応する超音波信号(以降、欠陥信号と称される)は、欠陥信号内のデータポイントの全体的な数を低減するべく処理され得る。例えば、一実施形態では、欠陥信号は、時間に基づく複数のセグメント又はウインドウに分割され得る。用いられるセグメントの数は、欠陥信号内のデータポイントの総数に依存して変化し得る。本明細書で説明される実施形態では、200セグメントが使用された。欠陥信号がセグメント化された後、各セグメントの平均が計算されて、欠陥信号が各セグメントの平均を用いて再構成される。従って、処理後には、欠陥信号が、本明細書に説明する実施形態では200であるセグメントの数に等しいポイントの総数を含むことを理解されるべきである。
【0098】
次のステップ212では、コントローラは、欠陥位置の近傍の測定箇所に対応する超音波応答信号(以降、欠陥近接信号)を、欠陥信号と同様の方法で、任意に処理して、各欠陥近接信号内のポイントの総数が低減され得る。本明細書で説明するように、欠陥近接信号は、欠陥の存在によって影響され得る欠陥位置の近傍の測定箇所に対する超音波応答信号であり、欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するのに利用され得る。本明細書で説明するように、全部で10の欠陥近接信号が利用される(欠陥位置の片側について5つ)。しかし、より多いか又は少ない数の欠陥近接信号が利用されて溶接部内の欠陥のタイプ及び重度が決定されることを理解されるべきである。欠陥近接信号が処理された後には、各欠陥近接信号が、本明細書に説明する実施形態では200である処理に使用されたセグメントの数に等しいポイントの総数を含むことを理解されるべきである。
【0099】
今、図3、4及び7を参照して、次のステップ214では、コントローラは、欠陥信号及び欠陥近接信号を、予め教育されたANN304の入力層に入力し得る。本明細書に説明される実施形態では、コントローラは、欠陥信号及び欠陥近接信号を有する入力ベクトルAをまず生成することによって、欠陥信号及び欠陥近接信号をANN304の入力層に入力し得る。入力ベクトルAは、通常、ベクトルの成分(即ち、a1、a2、a3、・・・an)の数を表す整数であるnの次元を有する。本明細書に説明される実施形態では、入力ベクトルAが全部で11信号を有するように、1つの欠陥信号と、10の欠陥近接信号とがある。もし、各信号が上述したように処理されると、各信号は、トータルで200ポイントを有し、各ポイントはベクトルの一成分に対応する。従って、それぞれが200ポイントを有する11信号に対して、入力ベクトルAは、n=2200のような、11×200の次元nを有する。
【0100】
上述した例では入力ベクトルAの次元nが2200であるが、より大きいか又は小さい次元の入力ベクトルが使用され得ることを理解されるべきである。例えば、少ない数の欠陥近接信号が用いられる場合、入力ベクトルAの次元は少なくなり得る。しかし、信号を処理する際により多くのセグメントが用いられる場合、入力ベクトルの次元は大きくなり得る。更に、欠陥信号及び欠陥近接信号が処理されて各信号内のデータポイントの数が低減されない場合、入力ベクトルAの次元nは、欠陥信号及び欠陥近接信号それぞれのデータポイントの数に依存して非常に大きくなり得る。
【0101】
コントローラが欠陥信号及び欠陥近接信号から入力ベクトルAを生成した後、コントローラは、入力ベクトルAをANN304の入力層Nxに送る。図4に示し且つ上述したように、ANN304の入力層Nxはn個の入力ノードを有する。従って、入力ベクトルAの各成分は、ANN304の別個の入力ノードに送られる。ANN304の教育中に決定された重み行列及び各層の各ノードに関係付けられた活性化関数を利用して、ANN304は、入力ベクトルAに対して一連の数学的処理を実行して、欠陥信号に対応する欠陥の固有性及び/又は欠陥の重度分類に関係する符号化された欠陥ベクトルBを出力する。本明細書に説明される実施形態では、欠陥ベクトルBは、符号化されて、4つの異なるタイプの欠陥の内の1つ及び/又はそれらの組み合わせを識別する。また、欠陥ベクトルは、上述したように、識別された欠陥の重度分類を含む。従って、欠陥ベクトルBは、5の次元を有する(即ち、q=5)。
【0102】
例えば、欠陥ベクトルBに対して上述したきまりを用いると、教育されたANN304が入力ベクトルAは重度分類Bを有する短脚欠陥を示すと決定した時、ANN304は、位置b1における1は短脚欠陥を示し、位置b5における2は重度分類「B」の欠陥を示す<01002>の欠陥ベクトルを出力する。
【0103】
上述したように、ANN304の出力層Nzの次元(従って、欠陥ベクトルBの次元)は、欠陥タイプの異なる数及び/又は欠陥タイプの組み合わせを識別するために、低減又は増大され得る。更に、追加の重度分類又は重度サブ分類が出力層Nzに追加されて、欠陥の重度における追加の情報が提供され得る。
【0104】
更に、本明細書では欠陥ベクトルBは欠陥の識別及び欠陥の重度分類の両方を含むとして説明されたが、他の実施形態では、欠陥ベクトルBは、欠陥の識別又は欠陥重度分類の何れかを含むだけでも良いことを理解されるべきである。
【0105】
次のステップ216において、コントローラは、欠陥ベクトルBを復号し、欠陥ベクトルBによって示された欠陥タイプ及び/又は重度分類を出力するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラは、欠陥のタイプ及び/又は欠陥の重度の識別と共に、欠陥の存在の視覚的及び/又は聴覚的な表示を提供しても良い。欠陥分類システム150がディスプレイを有する一実施形態では、コントローラは、ディスプレイ上に図12に示すのと同様のエネルギー分布をプロットするようにプログラムされ得る。また、コントローラは、ディスプレイ上に欠陥位置を識別し、且つ各欠陥位置における各欠陥のタイプ及び/又は重度を識別するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラがディスプレイ上にエネルギー分布のプロットを表示するようにプログラムされる場合、コントローラは、エネルギー分布上に欠陥の位置xDを図式的に示し、各欠陥位置のタイプ及び/又は重度の対応する表示を提供するようにプログラムされ得る。代わりに又は追加して、コントローラは、各欠陥の位置を表示するようにプログラムされ得る。例えば、図12に示すエネルギー分布のプロットを参照して、コントローラは、重度「B」の気孔欠陥がx=18mmに位置しており、重度「C」の溶け込み不良欠陥がx=50mmに位置しており、重度「<C」の溶け込み不良/短脚欠陥の組み合わせが、x=104mmに位置していることをディスプレイ上に示すように動作可能である。
【0106】
本明細書に示され且つ説明された欠陥分類システム及び方法は、超音波信号を用いて、溶接部内に存在する欠陥のタイプ及び/又は重度の分類を行うために使用され得ることを、今理解されるべきである。システムは、製造環境に組み込まれて、種々の構成の溶接構造の自動検査を実行し得る。システムは、製造された各溶接構造のための品質管理ツールとして使用され得る。また、システムは、代わりに、製造された溶接構造のランダムなサンプルリングを解析するためのツールとして使用され得る。
【0107】
本明細書で説明された欠陥分類システムは、試験サンプル内に超音波信号を誘導し且つ試験サンプルから超音波応答信号を集めるために非接触方法を利用したが、欠陥分類システムによって使用される方法は、また、試験サンプルに物理的に接触する音響信号発生器及び/又は音響信号検出器を利用する超音波検査システムによって使用され得ることを理解されるべきである。
【0108】
更に、本明細書の溶接部内の欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法は、試験サンプル内に超音波信号を誘導し且つ試験サンプルから超音波応答信号を集めることと併せて実行されるものとして説明されたが、溶接部内の欠陥のタイプ及び/又は重度を分類するための方法は、超音波信号を誘導し且つ超音波応答信号を集めるステップとは独立して、実行され得ることを理解されるべきである。例えば、集められた超音波応答信号は、コントローラ内に保存されて、本明細書に説明された方法に従って、後で解析されても良い。
【0109】
本明細書に用いられている用語「実質的」及び「約」は、定量的な比較、値、測定又は他の表示に起因する不確か性の固有の程度を表すために用いられていることに留意されたい。また、これらの用語は、本明細書では、それによって、問題となる主題の基本機能における変化がなくとも、定量的な表現が決められた基準から変化し得る程度を表すために用いられる。
【0110】
本明細書では具体的な実施形態が示され且つ説明されたが、クレームされた主題の精神及び範囲から逸脱することなく、他の種々の変化及び修正がなされ得ることを理解されるべきである。更に、本明細書では、クレームされた主題の種々の態様が説明されているが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。従って、添付の請求項は、クレームされた主題の範囲内にある全てのそのような変化及び修正をカバーすることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接部における欠陥のタイプを決定する方法であって、
溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び前記欠陥位置に対応する欠陥信号を決定すること、及び、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、教育された人工ニューラルネットワークに入力することであって、前記複数の欠陥近接信号は前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応し、前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる、入力すること、
を備える方法。
【請求項2】
更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理することを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号は、各信号を複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって処理される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、気孔欠陥、溶け込み不良欠陥、短脚欠陥、溶け込み不良/短脚欠陥、又はこれらの組み合わせとして、欠陥のタイプを識別することができる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、更に、
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、
前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプ及び重度分類を示す符号化されたベクトルを出力する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたサンプルデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記欠陥の位置は、
それぞれの測定箇所からの超音波応答信号をフィルタリングして、それぞれの測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号を生成すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、それぞれの測定箇所に対応する前記フィルタリングされた応答信号を用いて計算すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、隣接する測定箇所の超音波エネルギーと比較して潜在的欠陥位置を識別することであって、測定箇所の超音波エネルギーが隣接する測定箇所の超音波エネルギーよりも小さい時に、測定箇所が前記潜在的欠陥位置であると、識別すること、及び、
前記潜在的欠陥位置の近傍の測定箇所の超音波エネルギーのゆらぎを解析して、欠陥が前記溶接部に存在するかを決定すること、
によって決定される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶接部における欠陥の重度を決定する方法であって、
溶接部に沿った複数の測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び前記欠陥位置に対応する欠陥信号を決定すること、及び、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、教育された人工ニューラルネットワークに入力することであって、前記複数の欠陥近接信号は前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応し、前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる、入力すること、
を備える方法。
【請求項10】
更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理することを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号は、各信号を複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって処理される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたサンプルデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥位置は、
それぞれの測定箇所からの超音波応答信号をフィルタリングして、それぞれの測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号を生成すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、それぞれの測定箇所に対応する前記フィルタリングされた応答信号を用いて計算すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、隣接する測定箇所の超音波エネルギーと比較して潜在的欠陥位置を識別することであって、測定箇所の超音波エネルギーが隣接する測定箇所の超音波エネルギーよりも小さい時に、測定箇所が前記潜在的欠陥位置であると識別すること、及び、
前記潜在的欠陥位置の近傍の測定箇所の超音波エネルギーのゆらぎを解析して、前記溶接部に欠陥が存在するかを決定すること、
によって決定される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
溶接部における欠陥のタイプを識別するための欠陥分類システムであって、
前記欠陥分類システムは、コントローラと、音響信号発生器と、音響信号検出器と、位置決め装置とを備え、前記音響信号発生器及び前記音響信号検出器及び前記位置決め装置は、前記コントローラと電気的に接続されており、
前記コントローラは、
前記音響信号発生器を用いて、前記溶接部に沿った複数の測定箇所に超音波信号を誘導し、
前記音響信号検出器を用いて、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を集めて、それぞれの超音波応答信号を前記コントローラに動作可能に関連するメモリに保存し、
それぞれの測定箇所からの前記超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び欠陥信号を決定し、
前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号を決定し、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、前記コントローラと動作可能に関連する教育された人工ニューラルネットワークに入力する、
ようにプログラムされており、
前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる、欠陥分類システム。
【請求項15】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプを示す符号化されたベクトルを出力する請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項16】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、更に、
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、
前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項17】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプ及び重度分類を示す符号化されたベクトルを出力する請求項16に記載の欠陥分類システム。
【請求項18】
前記コントローラは、更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理するようにプログラムされている請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号それぞれを複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって、信号を処理するようにプログラムされている請求項18に記載の欠陥分類システム。
【請求項20】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項1】
溶接部における欠陥のタイプを決定する方法であって、
溶接部に沿った複数の測定箇所から集められた超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び前記欠陥位置に対応する欠陥信号を決定すること、及び、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、教育された人工ニューラルネットワークに入力することであって、前記複数の欠陥近接信号は前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応し、前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる、入力すること、
を備える方法。
【請求項2】
更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理することを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号は、各信号を複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって処理される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、気孔欠陥、溶け込み不良欠陥、短脚欠陥、溶け込み不良/短脚欠陥、又はこれらの組み合わせとして、欠陥のタイプを識別することができる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、更に、
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、
前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプ及び重度分類を示す符号化されたベクトルを出力する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたサンプルデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記欠陥の位置は、
それぞれの測定箇所からの超音波応答信号をフィルタリングして、それぞれの測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号を生成すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、それぞれの測定箇所に対応する前記フィルタリングされた応答信号を用いて計算すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、隣接する測定箇所の超音波エネルギーと比較して潜在的欠陥位置を識別することであって、測定箇所の超音波エネルギーが隣接する測定箇所の超音波エネルギーよりも小さい時に、測定箇所が前記潜在的欠陥位置であると、識別すること、及び、
前記潜在的欠陥位置の近傍の測定箇所の超音波エネルギーのゆらぎを解析して、欠陥が前記溶接部に存在するかを決定すること、
によって決定される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶接部における欠陥の重度を決定する方法であって、
溶接部に沿った複数の測定箇所からの超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び前記欠陥位置に対応する欠陥信号を決定すること、及び、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、教育された人工ニューラルネットワークに入力することであって、前記複数の欠陥近接信号は前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応し、前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる、入力すること、
を備える方法。
【請求項10】
更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理することを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号は、各信号を複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって処理される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたサンプルデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥位置は、
それぞれの測定箇所からの超音波応答信号をフィルタリングして、それぞれの測定箇所に対するフィルタリングされた応答信号を生成すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、それぞれの測定箇所に対応する前記フィルタリングされた応答信号を用いて計算すること、及び、
それぞれの測定箇所に対する超音波エネルギーを、隣接する測定箇所の超音波エネルギーと比較して潜在的欠陥位置を識別することであって、測定箇所の超音波エネルギーが隣接する測定箇所の超音波エネルギーよりも小さい時に、測定箇所が前記潜在的欠陥位置であると識別すること、及び、
前記潜在的欠陥位置の近傍の測定箇所の超音波エネルギーのゆらぎを解析して、前記溶接部に欠陥が存在するかを決定すること、
によって決定される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
溶接部における欠陥のタイプを識別するための欠陥分類システムであって、
前記欠陥分類システムは、コントローラと、音響信号発生器と、音響信号検出器と、位置決め装置とを備え、前記音響信号発生器及び前記音響信号検出器及び前記位置決め装置は、前記コントローラと電気的に接続されており、
前記コントローラは、
前記音響信号発生器を用いて、前記溶接部に沿った複数の測定箇所に超音波信号を誘導し、
前記音響信号検出器を用いて、それぞれの測定箇所からの超音波応答信号を集めて、それぞれの超音波応答信号を前記コントローラに動作可能に関連するメモリに保存し、
それぞれの測定箇所からの前記超音波応答信号を解析することによって、欠陥位置及び欠陥信号を決定し、
前記欠陥位置の両側の測定箇所からの超音波応答信号に対応する複数の欠陥近接信号を決定し、
前記欠陥信号及び複数の欠陥近接信号を、前記コントローラと動作可能に関連する教育された人工ニューラルネットワークに入力する、
ようにプログラムされており、
前記教育された人工ニューラルネットワークは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを識別して、前記欠陥位置に位置する欠陥のタイプを出力することができる、欠陥分類システム。
【請求項15】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプを示す符号化されたベクトルを出力する請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項16】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、更に、
前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号に基づいて、前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を決定すること、及び、
前記欠陥位置に位置する欠陥の重度分類を出力することができる請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項17】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、欠陥のタイプ及び重度分類を示す符号化されたベクトルを出力する請求項16に記載の欠陥分類システム。
【請求項18】
前記コントローラは、更に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を前記教育された人工ニューラルネットワークに入力する前に、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号を処理するようにプログラムされている請求項14に記載の欠陥分類システム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記欠陥信号及び前記複数の欠陥近接信号それぞれを複数のセグメントに分割して各セグメントを平均化することによって、信号を処理するようにプログラムされている請求項18に記載の欠陥分類システム。
【請求項20】
前記教育された人工ニューラルネットワークは、破壊試験された溶接サンプルから得られたデータセットを用いて、誤差逆伝播法アルゴリズムにより教育される請求項14に記載の欠陥分類システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図12】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図12】
【図9】
【公開番号】特開2011−33627(P2011−33627A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−173705(P2010−173705)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(506282595)ジョージア テク リサーチ コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173705(P2010−173705)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(506282595)ジョージア テク リサーチ コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】
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