説明

滴下制御方法および滴下制御装置

【課題】インプリント材を適切な位置に滴下すること。
【解決手段】本発明の一つの実施形態によれば、インクジェットヘッドからインプリント材が滴下される基板を載置するステージと、前記基板上のインプリント材に押し付けられるテンプレートと、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量を、テンプレート位置ずれ量として検出する。前記ステージの移動方向と、前記インクジェットヘッドに設けられている複数からなるノズルのノズル列方向と、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量をノズル位置ずれ量として検出する。そして、前記テンプレート位置ずれ量および前記ノズル位置ずれ量に起因して生じる前記インプリント材の滴下位置の位置ずれを解消するよう、前記ステージの移動方向を制御するとともに、前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、滴下制御方法および滴下制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程において、100nm以下の微細パターンの形成と、量産性とを両立させる技術として、被転写基板(以下、基板という)に原版の型(テンプレート)を転写する光ナノインプリント法が注目されている。光ナノインプリント法では、転写すべきパターンを形成した原版の型が、基板上に塗布されている光硬化性有機材料層(インプリント材)に押し付けられる。この状態で、インプリント材に光照射が行なわれてインプリント材を硬化させ、これにより、インプリント材にパターンが転写される。
【0003】
インプリント材は、1ショットごとにインクジェット法で滴下され基板上に塗布される。光ナノインプリント法では、基板を載置するステージの位置と、テンプレートの押し付け位置との間に位置ずれが発生する場合がある。また、インクジェットヘッドのノズル列の位置が、ステージの移動方向対して傾く場合がある。このため、基板上へのインプリント材の滴下位置が、滴下予定位置に対してズレを生じる場合がある。インプリント材の滴下位置がショットに対して不適切な場合、滴下位置のズレが大きいショット外周部では、インプリント材の充填不良欠陥や膜厚のばらつきが発生する。この結果、加工後のパターン形成不良が発生し、デバイスの歩留まりを低下させる要因となる。したがって、インプリント材を適切な位置に滴下することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−68411号公報
【特許文献2】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの実施形態は、インプリント材を適切な位置に滴下する滴下制御方法および滴下制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、滴下制御方法が、位置ずれ量検出ステップと、補正値算出ステップと、制御ステップと、を含んでいる。前記位置ずれ量検出ステップは、テンプレート位置ずれ量を検出するとともにノズル位置ずれ量を検出する。前記テンプレート位置ずれ量は、インクジェットヘッドからインプリント材が滴下される基板を載置するステージと、前記基板上のインプリント材に押し付けられるテンプレートと、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量である。前記ノズル位置ずれ量は、前記ステージの移動方向と、前記インクジェットヘッドに設けられている複数からなるノズルのノズル列方向と、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量である。前記補正値算出ステップは、前記テンプレート位置ずれ量および前記ノズル位置ずれ量に起因して生じる前記インプリント材の滴下位置の位置ずれを解消する補正値として、ステージ移動方向補正値と、吐出タイミング補正値と、を算出する。前記ステージ移動方向補正値は、前記ステージの移動方向を補正する補正値である。前記吐出タイミング補正値は、前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを補正する補正値である。前記制御ステップは、前記ステージ移動方向補正値を用いて前記ステージの移動方向を制御するとともに、前記吐出タイミング補正値を用いて前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施の形態に係る滴下制御装置を備えたインプリント装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、レジストの吐出処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、テンプレート位置ずれ量とノズル位置ずれ量を説明するための図である。
【図4】図4は、レジストの吐出位置の位置ずれを説明するための図である。
【図5】図5は、レジストの吐出タイミングを説明するための図である。
【図6】図6は、レジストの吐出が終了した際のウエハを上面から見た図である。
【図7】図7は、滴下制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る滴下制御方法および滴下制御装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る滴下制御装置を備えたインプリント装置の構成を示す図である。インプリント装置100は、半導体装置の製造工程の1つであるインプリント法(光ナノインプリントリソグラフィなど)に用いられる装置である。インプリント装置100は、滴下制御装置1と、インクジェットヘッド2と、ステージ(基板搭載ステージ)4と、光源7と、を備えて構成されている。
【0010】
インプリント装置100は、レジスト(インプリント材)6をウエハ3などの被転写基板上に滴下するとともに、テンプレート5をウエハ3上に押し付けてウエハ3にテンプレートパターンを形成する。本実施の形態のインプリント装置100は、ステージ4に対するテンプレート5の位置ずれ量と、ステージ4の移動方向に対するノズル列の位置ずれ量と、を補正するよう、ステージ4の移動方向およびレジスト6の吐出タイミングを制御する。
【0011】
インクジェットヘッド2は、複数のノズルを有している。各ノズルは、所定方向に所定の間隔でノズル列として並べられている。インクジェットヘッド2は、各ノズルからレジスト6を吐出してウエハ3上に滴下(塗布)する。ステージ4は、ウエハ3を載置して保持するとともに、ウエハ3の面内(XY平面)方向に移動する。レジスト6は、例えば光硬化性有機材料である。
【0012】
テンプレート5は、原版の型であり、ウエハ3上に転写するパターン(半導体回路パターン)が形成されている。テンプレート5は、レジスト6が滴下されているウエハ3に押し付けられる。光源7は、テンプレート5とウエハ3との間に充填されたレジスト6にUV光などの光を照射する。
【0013】
滴下制御装置1は、テンプレート位置ずれ量検出部11、ノズル位置ずれ量検出部12、補正値算出部13、吐出タイミング制御部14、ステージ移動方向制御部15を有している。
【0014】
テンプレート位置ずれ量検出部11は、ステージ4とテンプレート5(ウエハ3)との間のステージ面内における回転方向の位置ずれ量(回転ずれ量)をテンプレート位置ずれ量として検出する。換言すると、テンプレート位置ずれ量検出部11は、ステージ4上でのテンプレート5の載置位置の位置ずれ量検出する。具体的には、テンプレート位置ずれ量検出部11は、ウエハ3上のレジスト6にテンプレート5を接触させた(押し付けた)際のテンプレート位置ずれ量を検出する。テンプレート位置ずれ量検出部11は、例えば、ステージ4の位置とテンプレート5の載置位置とを検出することによって、テンプレート位置ずれ量を検出する。テンプレート位置ずれ量検出部11は、検出したテンプレート位置ずれ量を、補正値算出部13に送る。
【0015】
ノズル位置ずれ量検出部12は、ステージ4の移動方向に対するノズル列の位置ずれ量をノズル位置ずれ量として検出する。具体的には、ノズル位置ずれ量検出部12は、ステージ4の移動方向(XY方向の移動軸)と、ノズル列の並んでいる方向と、の間のノズル位置ずれ量を面内方向のずれ量(回転ずれ量)として検出する。例えば、ステージ4がX軸方向に移動し、且つノズル列がY軸方向に並んでいる場合、ステージ4の移動方向とノズル列の並んでいる方向とのなす角度のずれ量(90度からのずれ量)がノズル位置ずれ量となる。ノズル位置ずれ量検出部12は、例えばステージ4の移動方向とノズル列の並んでいる方向とを検出することによって、ノズル位置ずれ量を検出する。ノズル位置ずれ量検出部12は、検出したノズル位置ずれ量を、補正値算出部13に送る。
【0016】
補正値算出部13は、テンプレート位置ずれ量およびノズル位置ずれ量に基づいて、ステージ4の移動方向を補正する補正値(ステージ移動方向補正値)と、レジスト6の吐出タイミングを補正する補正値(吐出タイミング補正値)と、を算出する。補正値算出部13は、ウエハ3上の所望の位置にレジスト6を滴下するためのステージ移動方向補正値と吐出タイミング補正値とを算出する。換言すると、補正値算出部13は、テンプレート位置ずれ量およびノズル位置ずれ量に起因して生じるレジストの滴下位置の位置ずれを解消するステージ移動方向補正値と吐出タイミング補正値とを算出する。補正値算出部13は、算出したステージ移動方向補正値をステージ移動方向制御部15に送り、算出した吐出タイミング補正値を吐出タイミング制御部14に送る。
【0017】
吐出タイミング制御部14は、ノズルから吐出するレジスト6の吐出タイミングを制御する。吐出タイミング制御部14は、吐出タイミング補正値を用いて、ノズルから吐出するレジスト6の吐出タイミングを補正する。ステージ移動方向制御部15は、ステージ4の移動方向を制御する。ステージ移動方向制御部15は、ステージ移動方向補正値を用いて、ステージ4の移動方向を補正する。
【0018】
つぎに、レジスト6の吐出処理手順について説明する。図2は、レジストの吐出処理手順を示すフローチャートである。テンプレート位置ずれ量検出部11は、ステージ4に対するテンプレート5の位置ずれ量をテンプレート位置ずれ量として検出する(ステップS10)。
【0019】
本実施の形態では、テンプレート5上に例えば複数の位置検出用のマークを設けておく。そして、テンプレート5を予めテスト用のウエハ上などにロードする。この後、テンプレート位置ずれ量検出部11は、位置検出用のマーク位置を測定することによって、テンプレート位置ずれ量を検出する。なお、テンプレート位置ずれ量検出部11は、テンプレート5上に形成されているパターンの一部を検出することによって、テンプレート位置ずれ量を検出してもよい。テンプレート位置ずれ量検出部11は、検出したテンプレート位置ずれ量を、補正値算出部13に送る。
【0020】
ノズル位置ずれ量検出部12は、ステージ4の移動方向に対するノズル列の位置ずれ量をノズル位置ずれ量として検出する(ステップS20)。換言すると、ノズル位置ずれ量検出部12は、インクジェット時(レジスト吐出時)のウエハスキャン方向とノズル列との傾きを検出する。ノズル位置ずれ量は、ステージ4の移動方向とノズル列の配置方向と、の相対的な位置ずれ量である。なお、ノズル位置ずれ量を検出した後に、テンプレート位置ずれ量を検出してもよい。また、ノズル位置ずれ量とテンプレート位置ずれ量を同時に検出してもよい。
【0021】
本実施の形態では、例えば、ノズルからテスト用のウエハなどに、ステージ4の移動方向および吐出タイミングを補正することなくレジスト6を滴下しておく。そして、テスト用のウエハをステージ4に載置したままの状態で、ノズル位置ずれ量検出部12が、レジスト6の滴下位置を測定することによってノズル位置ずれ量を検出する。
【0022】
ここで、テンプレート位置ずれ量とノズル位置ずれ量について説明する。図3は、テンプレート位置ずれ量とノズル位置ずれ量を説明するための図である。図3の(a)では、レジスト6の滴下を開始する際のウエハ3を上面から見た図を示している。
【0023】
図3の(a)に示す軸51〜53は、それぞれXY軸を示している。軸51は、ステージ4の本来の移動方向(ずれ量無し)に対応するXY軸である。したがって、テンプレート位置ずれ量とノズル位置ずれ量がともにずれ量無しの場合には、ステージ4に載置されたウエハ3は、軸51のうちの一方の軸(横軸)と平行な方向に移動する。
【0024】
軸52は、ウエハ3の配置位置(テンプレート5の押し付け位置)を基準としたXY軸であり、軸51から所定の回転量だけ位置ずれを生じている。この回転量が、テンプレート位置ずれ量に対応している。ウエハ3には、所望のレジスト滴下位置Pxが設定されている。軸52と軸51との間には位置ずれを生じているので、レジスト滴下位置Pxは、軸51から所定の回転量だけ位置ずれを生じている。
【0025】
軸53は、ノズル列に対するステージ4の移動方向を基準としたXY軸であり、軸51から所定の回転量だけ位置ずれを生じている。この回転量が、ノズル位置ずれ量に対応している。
【0026】
図3の(b)では、テンプレート位置ずれ量を、軸51と軸52との間の回転ずれ量θtで示し、ノズル位置ずれ量を、軸51と軸53との間の回転ずれ量θdで示している。本実施の形態では、回転ずれ量θt,θdを補正するよう、ステージ4の移動方向およびレジスト6の吐出タイミングが補正される。
【0027】
テスト用のウエハ3などを用いてテンプレート位置ずれ量およびノズル位置ずれ量が検出された後、テスト用のウエハ3は、ステージ4上からアンロードされる。そして、実際にテンプレートパターンを形成するウエハ3(製品ウエハなど)が、ステージ4上にロードされる。
【0028】
補正値算出部13は、テンプレート位置ずれ量およびノズル位置ずれ量に基づいて、ステージ4の移動方向を補正するステージ移動方向補正値と、レジスト6の吐出タイミングを補正する吐出タイミング補正値と、を算出する(ステップS30)。インクジェットヘッド2には、複数のノズルが所定の間隔(ノズルピッチ)Dでy軸方向に配置されている。このため、補正値算出部13は、ノズル毎の吐出タイミング補正値を算出する。なお、ステージ移動方向補正値や吐出タイミング補正値の算出処理は、実際にテンプレートパターンを形成するウエハ3をステージ4上にロードする前に行ってもよい。
【0029】
補正値算出部13は、例えば、以下の式(1)、式(2)で示すステージ移動方向補正値Xc,Ycを算出し、以下の式(3)で示す吐出タイミング補正値X(Dn)を算出する。
【0030】
Xc=X×θt×cos((1−θt)/2)・・・(1)
Yc=X×sin((1−θt)/2)・・・(2)
X(Dn)=n(θt+θd×D)・・・(3)
【0031】
ここでのXは、ステージ4の補正前の移動方向であり、Dは、ノズル間の距離である。また、nは自然数である。基準となるノズル(最初にレジスト吐出位置に到達するノズル)が、n=1であり、M番目(Mは自然数)にレジスト吐出位置に到達するノズルが、n=Mである。したがって、Dnは、ノズルのノズル原点からの距離(y座標)である。
【0032】
補正値算出部13は、算出したステージ移動方向補正値をステージ移動方向制御部15に送り、算出した吐出タイミング補正値を吐出タイミング制御部14に送る。ステージ移動方向制御部15は、ステージ移動方向補正値を用いてステージ4の移動方向を補正しながら、ステージ4の移動方向を制御する。このとき、吐出タイミング制御部14は、吐出タイミング補正値を用いて吐出タイミングを制御しながら、レジスト6の吐出タイミングを制御する。換言すると、ステージ4の移動方向とレジスト6の吐出タイミングが補正されながら、レジスト6の吐出が行われる(ステップS40)。
【0033】
ステージ移動方向制御部15は、例えば、以下の式(4)、式(5)で示す方向X’,Y’にステージ4が移動するよう、ステージ4を制御する。また、吐出タイミング制御部14は、上述した式(3)に基づいてレジスト6の吐出タイミングを補正する。
【0034】
X’=X−Xc=X−(X×θt×cos((1−θt)/2))・・・(4)
Y’=Yc=X×sin((1−θt)/2)・・・(5)
【0035】
つぎに、レジスト6の吐出タイミングについて説明する。図4は、レジストの吐出位置の位置ずれを説明するための図であり、図5はレジストの吐出タイミングを説明するための図である。
【0036】
図4の(a)に示すように、インクジェットヘッド2には、例えば5つのノズル21〜25が間隔Dで配置されている。図4の(b)では、ウエハ3上に設定された所望のレジスト滴下位置Pxを、レジスト滴下位置P11〜P15,P21〜P25で示している。また、ステージ4に対するインクジェットヘッド2の相対位置を、位置N1〜N6で示している。
【0037】
図4の(b)に示すように、ステージ4が移動することによって、インクジェットヘッド2の相対位置が位置N1〜N6まで移動する。このとき、ノズル21〜25が、それぞれレジスト滴下位置P11〜P15上を通過し、さらにレジスト滴下位置P21〜P25上を通過するよう、ステージ移動方向補正値を用いてステージ4が移動させられる。
【0038】
図5では、所望のレジスト滴下位置Pxを、レジスト滴下位置P31〜P35で示している。また、ステージ4に対するインクジェットヘッド2の相対位置を、位置N11〜N13で示している。
【0039】
ノズル21〜25が、それぞれレジスト滴下位置P31〜P35上を通過するよう、ステージ4が移動する。位置N11では、ノズル21〜25が、レジスト滴下位置P31〜P35上に到達していないので、レジスト6の吐出は行われない。
【0040】
ステージ4に対するインクジェットヘッド2の相対位置が位置N12になると、ノズル25がレジスト滴下位置P35上に来るので、このタイミングでノズル25からレジスト6が吐出される。
【0041】
また、ステージ4に対するインクジェットヘッド2の相対位置が位置N13になると、ノズル24がレジスト滴下位置P34上に来るので、このタイミングでノズル24からレジスト6が吐出される。
【0042】
この後、同様に、ノズル23がレジスト滴下位置P33上に来ると、このタイミングでノズル23からレジスト6が吐出される。また、ノズル22がレジスト滴下位置P32上に来ると、このタイミングでノズル22からレジスト6が吐出され、ノズル21がレジスト滴下位置P31上に来ると、このタイミングでノズル21からレジスト6が吐出される。
【0043】
図6は、レジストの吐出が終了した際のウエハを上面から見た図を示している。同図に示すように、本実施の形態では、ステージ移動方向補正値および吐出タイミング補正値に基づいて、ステージ4を移動させるとともにレジスト6の吐出タイミングを補正しているので、ウエハ3上の所望位置にレジスト6を滴下することが可能となる。
【0044】
インプリントを行う際には、インプリント装置100によってウエハ3上の所望位置(テンプレート5の1ショット分の有効領域)にレジスト6が滴下される。そして、転写すべきパターンが形成されたテンプレート5が、ウエハ3上のレジスト6に押し付けられる。これにより、テンプレート5とウエハ3との間にレジスト6が充填される。この状態で、光源7からレジスト6に光照射が行なわれ、レジスト6を硬化させる。この後、テンプレート5がレジスト6から引き離される(離型処理)。これにより、ウエハ3上のレジスト6に、テンプレート5のパターン(型)が転写される。
【0045】
この後、パターン転写されたレジスト6をマスクとしてウエハ3の下層側がエッチングされる。これにより、テンプレート5のパターンに対応する実パターンがウエハ3上に形成される。半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、上述したレジスト6の滴下処理、レジスト6の硬化処理、テンプレート5の離型処理、ウエハ3のエッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0046】
つぎに、滴下制御装置1のハードウェア構成について説明する。図7は、滴下制御装置のハードウェア構成を示す図である。滴下制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。滴下制御装置1では、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
【0047】
CPU91は、コンピュータプログラムである補正値算出プログラム97を用いてステージ移動方向補正値と吐出タイミング補正値を算出する。表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、テンプレート位置ずれ量、ノズル位置ずれ量、ステージ移動方向補正値、吐出タイミング補正値などを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(ステージ移動方向補正値と吐出タイミング補正値の算出に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
【0048】
補正値算出プログラム97は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。図7では、補正値算出プログラム97がRAM93へロードされた状態を示している。
【0049】
CPU91はRAM93内にロードされた補正値算出プログラム97を実行する。具体的には、滴下制御装置1では、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内から補正値算出プログラム97を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。
【0050】
滴下制御装置1で実行される補正値算出プログラム97は、テンプレート位置ずれ量検出部11、ノズル位置ずれ量検出部12、補正値算出部13、吐出タイミング制御部14、ステージ移動方向制御部15を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
【0051】
なお、本実施の形態では、滴下制御装置1がテンプレート位置ずれ量検出部11、ノズル位置ずれ量検出部12を備える構成としたが、テンプレート位置ずれ量検出部11と滴下制御装置1とを別構成としてもよい。また、ノズル位置ずれ量検出部12と滴下制御装置1とを別構成としてもよい。さらに、吐出タイミング制御部14と滴下制御装置1とを別構成としてもよい。また、ステージ移動方向制御部15と滴下制御装置1とを別構成としてもよい。
【0052】
このように実施の形態によれば、テンプレート位置ずれ量とノズル位置ずれ量とに起因して生じる前記インプリント材の滴下位置の位置ずれを解消するよう、ステージ4の移動方向およびレジスト6の吐出タイミングを制御するので、ウエハ3上の適切な位置(滴下予定位置)にレジスト6を滴下することが可能となる。これにより、レジスト6の充填不良欠陥や膜厚のばらつきを防止できる。この結果、パターン形成不良を防止でき、デバイスの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…滴下制御装置、2…インクジェットヘッド、3…ウエハ、4…ステージ、5…テンプレート、6…レジスト、7…光源、11…テンプレート位置ずれ量検出部、12…ノズル位置ずれ量検出部、13…補正値算出部、14…吐出タイミング制御部、15…ステージ移動方向制御部、21〜25…ノズル、100…インプリント装置、P11〜P15,P21〜P25,P31〜P35…レジスト滴下位置、θt,θd…回転ずれ量 。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドからインプリント材が滴下される基板を載置するステージと、前記基板上のインプリント材に押し付けられるテンプレートと、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量を、テンプレート位置ずれ量として検出するとともに、前記ステージの移動方向と、前記インクジェットヘッドに設けられている複数からなるノズルのノズル列方向と、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量を、ノズル位置ずれ量として検出する位置ずれ量検出ステップと、
前記テンプレート位置ずれ量および前記ノズル位置ずれ量に起因して生じる前記インプリント材の滴下位置の位置ずれを解消する補正値として、前記ステージの移動方向を補正するステージ移動方向補正値と、前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを補正する吐出タイミング補正値と、を算出する補正値算出ステップと、
前記ステージ移動方向補正値を用いて前記ステージの移動方向を制御するとともに、前記吐出タイミング補正値を用いて前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とする滴下制御方法。
【請求項2】
前記テンプレート位置ずれ量は、前記テンプレートが前記ステージ上にロードされた際に、前記テンプレート上に形成されたマークまたはパターンの位置が測定されることによって検出されることを特徴とする請求項1に記載の滴下制御方法。
【請求項3】
前記ノズル位置ずれ量は、前記ステージの移動方向および前記インプリント材の吐出タイミングを補正することなく前記インクジェットヘッドから前記インプリント材を前記基板上に滴下した場合の滴下位置を測定することによって検出されることを特徴とする請求項1または2に記載の滴下制御方法。
【請求項4】
前記制御ステップでは、
前記テンプレート位置ずれ量がθtであり、前記ノズル位置ずれ量がθdであり、前記ノズル列のノズルピッチがDであり、前記ステージの移動方向を補正する前の前記ステージの移動方向がX方向である場合に、前記ステージの移動方向を補正した後の前記ステージの移動方向X’,Y’は、それぞれX’=X−(X×θt×cos((1−θt)/2))、Y’=X×sin((1−θt)/2)であり、基準となるノズルの位置からn番目に配置されているノズルの前記インプリント材の吐出タイミング補正値X(Dn)は、X(Dn)=n(θt+θd)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の滴下制御方法。
【請求項5】
インクジェットヘッドからインプリント材が滴下される基板を載置するステージと、前記基板上のインプリント材に押し付けられるテンプレートと、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量を、テンプレート位置ずれ量として検出する第1の検出部と、
前記ステージの移動方向と、前記インクジェットヘッドに設けられている複数からなるノズルのノズル列方向と、の間の前記ステージ面内の回転方向の位置ずれ量を、ノズル位置ずれ量として検出する第2の検出部と、
前記テンプレート位置ずれ量および前記ノズル位置ずれ量に起因して生じる前記インプリント材の滴下位置の位置ずれを解消する補正値として、前記ステージの移動方向を補正するステージ移動方向補正値と、前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを補正する吐出タイミング補正値と、を算出する補正値算出部と、
前記ステージ移動方向補正値を用いて前記ステージの移動方向を制御する第1の制御部と、
前記吐出タイミング補正値を用いて前記各ノズルから吐出するインプリント材の吐出タイミングを制御する第2の制御部と、
を備えることを特徴とする滴下制御装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−69758(P2012−69758A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213615(P2010−213615)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】