説明

漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システム

【課題】建物内等のマルチパスが生じるような環境下においても被検出体の位置を精度よく検出することができる漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムを提供する。
【解決手段】所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブル内に異なる周波数の信号をそれぞれ送出する一対の送信機と、これら一対の送信機からそれぞれ送出されて、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射される前記信号をそれぞれ受信する受信機とを備え、前記受信機は、受信した前記各信号の受信電界強度をそれぞれ測定するレベル測定部と、このレベル測定部が測定した前記信号の受信電界強度の差分値により前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波を利用して位置を検出する方法として、予め位置および送信出力が既知の複数の無線機から送出される電波の強さを受信機等で計測し、これら無線機の位置情報および計測された電波の強さから三角測量することが行われている。しかし建物内などのようなマルチパスが生じる環境下においては、位置を検出する対象物(被検出体)に至る電波の伝搬経路が安定せず、上述した三角測量による方法では、位置検出が困難であるという問題があった。そこでこの種の問題を解決するべくなされた無線LANシステムによる屋内移動体の位置検出方法および装置(例えば、特許文献1を参照)や、無線LANシステムにおけるフォークリフトの位置検出装置(例えば、特許文献2を参照)が知られている。
【0003】
これらの位置検出システムは、格子状に多くのアクセスポイントとアンテナを配置するとともに、通信可能なアクセスポイントと受信電界強度との関係を利用して位置を割り出すよう構成されている。
【特許文献1】特開2005−109700号公報
【特許文献2】特開平7−154848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献に開示された発明は、格子状に多くのアクセスポイントとアンテナを配置する必要があり、それ故、多くの装置が必要であり、大がかりなシステムになることが否めなかった。そのためこれらの位置検出システムは、多大なコストがかかるという問題があった。また、この種の位置検出システムは、複数の無線機がそれぞれ送出する送信電力を適用される環境状況に応じて適切に調整しなければならず、その調整作業が多大であるという問題のほか、必ずしも適切な調整ができているとは言えなかった。このためこれらの位置検出システムは、高精度を維持することが困難であり、更には、複数の受信機の受信感度のバラツキが即、検出精度に影響を与えるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、建物内等のマルチパスが生じるような環境下においても被検出体の位置を精度よく検出することができる漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するべく本発明の請求項1に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブル内に異なる周波数の信号をそれぞれ送出する一対の送信機と、これら一対の送信機からそれぞれ送出されて、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射される前記信号をそれぞれ受信する受信機とを備え、
前記受信機は、前記各信号の受信電界強度をそれぞれ測定するレベル測定部と、このレベル測定部が測定した前記各信号の受信電界強度の差分値を導いて前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部とを備えることを特徴としている。
【0007】
また本発明の請求項2に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブル内に所定の信号をそれぞれ送出する一対の送信機と、これら一対の送信機からそれぞれ送出されて、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射される前記信号をそれぞれ受信する受信機とを備え、
前記一対の送信機は、前記漏洩同軸ケーブルの一端部から他端部に至るまでの前記信号の伝搬遅延時間よりも長い周期時間でその周波数が変化する第一のチャープ信号を送出する第一の送信機と、前記漏洩同軸ケーブルを介して、前記第一の送信機が送出した第一のチャープ信号を受けて、該漏洩同軸ケーブルに前記第一のチャープ信号と同一時間周期でその周波数が変化する第二のチャープ信号を送出する第二の送信機とからなり、
前記受信機は、受信した前記第一のチャープ信号および前記第二のチャープ信号の周波数をそれぞれ計測する周波数測定部と、この周波数測定部が測定した前記第一チャープ信号と第二のチャープ信号との周波数の差分値を求める差分演算部と、この差分演算部が求めた前記差分値の時間変化を求める微分演算部と、この微分演算部によって前記差分値に時間変化がないと検出されたとき、前記差分演算部が求めた差分値により前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部とを備えて提供される。
【0008】
本発明の請求項3に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブルを介して相互に自らの識別符号を付与したデータを送受する一対の送受信機と、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射された前記データを受信する受信機とを備え、
前記受信機は、受信した前記データに含まれる前記識別符号を検出するデータ識別部と、このデータ識別部が検出した識別符号により識別される前記各データの受信電界強度をそれぞれ測定するレベル測定部と、このレベル測定部が測定した前記各データの受信電界強度の差分値を導いて前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部とを備えることを特徴としている。
【0009】
また本発明の請求項4に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、この漏洩同軸ケーブルの近傍に位置し、所定の無線データを送出する送信機と、前記漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、この漏洩同軸ケーブルを介して前記送信機により送出された前記無線データをそれぞれ受信する一対の受信機とを備え、
前記一対の受信機は、前記漏洩同軸ケーブルから各受信機にそれぞれ導かれた前記無線データの受信レベルを測定するレベル測定部と、これらレベル測定部がそれぞれ計測した前記受信レベルの差分値を導いてこの差分値によって前記漏洩同軸ケーブルの一端からこの受信機に至るまでの距離を求める距離演算部とを備えて提供される。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明の請求項1に記載の漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCXの両端にそれぞれ接続された一対の送信機がLCX内に、互いに周波数の近い信号をそれぞれ送出する一方、LCXに設けられたスロットから電波として送出される前記各信号の電界強度を受信機の受信レベル測定部によって計測し、この電界強度の差分値が被検出体の位置によって変化することを利用しているので、複雑な装置を用いることなく簡易にしてしかも高精度に位置を検出することができるという優れた効果を奏し得る。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCXの両端にそれぞれ接続された一対の送信機から互いに同期したチャープ信号を送出する一方、受信機(被検出体)は、それぞれのチャープ信号の周波数の差分値を求め、この差分値が被検出体の位置によって変化することを利用しているので、複雑な装置を用いることなく高精度に位置を検出することができる。
【0012】
更に本発明の請求項3に記載の漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムによれば、LCXの両端にそれぞれ接続された一対の送受信機は、LCX内にそれぞれの送受信機を識別する識別符号(アドレス情報)を付与したパケットを相互に伝送する一方、LCXに設けられたスロットから電波として放射されるパケットを受信する受信機は、データ識別部によっていずれの送受信機から送出されたパケットであるかを判定するとともに、送受信機毎の電波の電界強度を測定するとともに距離演算部が電界強度の差分値を導き、この差分値が被検出体の位置によって変化することを利用しているので、複雑な装置を用いることなく高精度に位置を検出することができる。
【0013】
また本発明の請求項4に記載の漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムによれば、LCX近傍の送信機から送出された無線データ(電波)は、LCXに設けられたスロットを介してLCXの減衰を受けながらLCXの両端にそれぞれ接続された一対の受信機によって電界強度をそれぞれ測定するとともに、距離演算部がこれらの電界強度の差分値を導き、この差分値が被検出体の位置によって変化することを利用して送信機の位置を求めているので、複雑な装置を用いることなく高精度に位置を検出することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムにおける実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。尚、図1〜図17は、本発明を実施する形態の一例を示したものであって、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
さて、本発明の第一の実施形態を示す図1において1は、例えばビル等の建物内のフロア等に予め配設された漏洩同軸ケーブル(以下、LCXと称することがある)である。ちなみにこの図でLCX1は、理解を容易にするために直線状に描いているが、直線状の配置に限定されるものではなく、後述する位置検出対象物(被検出物)を検出する場所に適するよう配設される。
【0015】
LCX1の両端には、一対の送信機2a,2bがそれぞれ接続される。これらの送信機2a,2bは、LCX1内に例えば2.4GHz帯の高周波信号をそれぞれ送り込む。また二台の送信機2a,2bは、互いに近接した数100kHz離れた周波数の同一出力の高周波信号を出力する。例えば図1に示すように、LCX1における向かって左側の端部(接続点)1aに位置するA送信機2aは、LCX1に周波数fの高周波信号を、LCX1における向かって右側の端部(接続点)1bに位置するB送信機2bは、周波数fの高周波信号をそれぞれ送出する。そしてこれら送信機2a,2bからそれぞれLCX1に送り込まれた高周波信号は、LCX1の他端に向けてLCX1内を伝搬しながら、その一部がLCX1に設けられたスロット(図示せず)を介して、その近傍の空間に電波として放射される。そして電波として放射された高周波信号は、LCX1の近傍に位置する被検出体(受信機)10によって受信される。
【0016】
ちなみに接続端1a,1bから他端の接続端1b,1aに向かって伝搬する高周波信号は、LCX1の減衰特性に従って減衰していく。つまり、図2の実線に示されるようにA送信機2aがLCX1に送出した高周波信号は、LCX1の右方の接続点1bに向かうにつれてその一部が空間に電波として放射されるとともに、LCX1の伝搬損失を受けながら徐々に減衰していく。そのためLCX1のスロットから空間に放射される電波の電界強度は、LCX1の左方の接続点1aから右方の接続点1bに向かうにつれて徐々に弱くなっていく。
【0017】
同様にLCX1の右方の接続点1bに接続されたB送信機2bがLCX1内に送出した高周波信号は、図2の破線に示されるようにLCX1の左方の接続点1aに向かうにつれて徐々に減衰していく。そのため、LCX1のスロットから放射される電波の電界強度は、LCX1の右方の接続点1bから左方の接続点1aに向かうにつれて徐々に弱くなっていく。
【0018】
ところで受信機10は、詳しくは図3に示すようにLCX1のスロットから放射された電波を受けるアンテナ11、このアンテナ11が受けた電波を導き、復調する受信部12、二台の送信機2a,2bがそれぞれ送出した周波数f,fの電波を受信すべく受信部12の受信周波数を切り換える周波数切換部13、受信部12が受信した二つの周波数f,fの電波の受信電界強度を周波数切換部13の切換信号を参照しながらそれぞれ計測するレベル測定部14、このレベル測定部14が計測した二つの周波数f,fの電波における受信電界強度の差分値を求め、この差分値から受信機10の位置を求める距離演算部15、および距離演算部15が求めた受信機10の位置を出力する出力部16を備えて構成される。
【0019】
ここに図1でLCX1の長さ(接続点1aから接続点1bに至る長さ)をD[m]、LCX1の左方に位置する接続点1aから受信機10までの距離をX[m]とし、また二台の送信機2a,2bが、LCX1内にそれぞれ送出する電波の送信出力をTx[dBm]、LCX1の単位長さ当たりの減衰量をAt[dB/m]、LCX1と各送信機2a,2bとの間の結合損失をC[dB]、LCX1の左方に位置する一方の接続点1aから受信機10までの距離をX[m]、このX[m]の地点から受信機10までに至る空間伝搬損失をS[dB],受信機が受信する外来雑音等のノイズ成分をN[dB]とおく。
【0020】
すると受信機10が受信するA送信機2aが送出した周波数fの電波の電界強度Lは、
=Tx−(At・X+C+S)+N[dBm]
であり、B送信機2bが送出した周波数fの電波の電界強度Lは、
=Tx−{At・(D−X)+C+S}+N[dBm]
となる。距離演算部15は、レベル測定部14が測定した上記電界強度L,Lを受けて、それぞれの電界強度の差分Lを求める。この差分Lは、図4に示す周波数fの信号の電界強度Lと周波数fの信号における電界強度Lとの受信レベルの差であり、
=L−L=−At・X+At×(D−X)
=−2At・X+At・D[dB]
なる演算を施すことで求めることができる。したがって距離演算部15は、LCX1の左方に位置する一方の接続点1aから受信機10までの距離をXを
X=(At・D−L)/(2At)=(D/2)−(L/2At)[m]
としてノイズ成分の影響を受けることなく求めることができる。
【0021】
例えば、LCX1の長さD=200[m]、二台の送信機2a,2bのそれぞれの送信出力Tx=10[dBm]、LCX1の単位長さ当たりの減衰量At=0.2[dB/m]、LCX1と送信機2a,2bとの結合損失C=60[dB]、距離X[m]の地点から受信機10までに至る空間伝搬損失S=20[dB]であったならば、
X=100−2.5L[m]
なる演算を距離演算部15が施せば被検出体(受信機)10の位置を検出することができる。例えば、距離演算部15によって電界強度の差分L=0[dB]と求められた場合、距離Xは、100[m]となって被検出体がLCX1の中間に位置することがわかる。
【0022】
そうして求められた被検出体(受信機)10の位置は、出力部16から出力される。尚、この出力部16は、特に図示しないが表示器(例えば、LCD)から検出された位置情報を出力するようにしてもよいし、検出した位置を電波等で送出して他の装置がこの位置情報を受信して利用するように構成してもよい。
かくして本発明の第一の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCX1の両端にそれぞれ接続された一対の送信機2a,2bがLCX1内に、互いに周波数の近い高周波信号をそれぞれ送出する一方、このLCX1に設けられたスロットから電波として放射された信号を受信する受信機10は、レベル測定部14によって上記一対の送信機2a,2bによる電波の電界強度を測定するとともに、距離演算部15が測定した各電界強度の差分値Lを導き、この差分値Lが被検出体(受信機10)の位置によって変化することを利用しているので、この差分値Lを用いて被検出体に至るまでの距離を容易に求めることができる。
【0023】
次に本発明の第二の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムについて図面を参照しながら説明する。尚、前述した第一の実施形態と同様の部位には、同符号を付し、その説明を略述する。
さて、本発明の第二の実施形態が前述した第一の実施形態と異なるところは、LCX1の両端に接続された一対の送信機がLCX1内にそれぞれチャープ信号を送出する一方、受信機10は、LCX1から電波となって放射されるこれらチャープ信号を受信し、それぞれのチャープ信号の周波数差分値から被検出体に至るまでの距離を求める点にある。
【0024】
このような特徴を備えた本発明の第二の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムにおける一対の送受信機3a,3bは、一方の送受信機(ここでは、第一の送受信機3aとする)がチャープ信号(ここでは、第一のチャープ信号ch1とする)をLCX1内に送出した後、このLCX1によって伝搬される第一のチャープ信号ch1を受信して、同一時間周期のチャープ信号(ここでは、第二のチャープ信号ch2とする)をLCX1に送出する。例えば、図5においてLCX1の左方の接続点(ここでは、第一の接続点1aとする)に接続された第一の送受信機3aがLCX1に送出した第一のチャープ信号は、LCX1内を伝搬しながら、その一部がLCX1に設けられたスロットから空間に電波として放射されるとともに、LCX1の伝搬損失を受けながらLCX1の右方の接続点(ここでは、第二の接続点1bとする)に向かい、第二の接続点1bに接続された送受信機(ここでは、第二の送受信機3bとする)に到達する。
【0025】
この第二の送受信機3bは、図6に示すようにLCX1により伝達されて送受信機3b内に取り込まれる高周波信号(この場合、第一のチャープ信号ch1)と、LCX1内に送出する高周波信号(この場合、第二のチャープ信号ch2)とを一本のケーブルを介して接続点1bに接続するアンテナ共用器4、アンテナ共用器4により導かれた高周波信号(第一のチャープ信号ch1)を復調して受信する受信部12、この受信部12が第一のチャープ信号ch1を受けて、第二のチャープ信号ch2の送出タイミング信号を生成する同期制御部5、この同期制御部5が生成した送信タイミング信号によって、第二のチャープ信号ch2をアンテナ共用器4から送出する送信部6の送信制御を行う送信制御部7を備えて構成される。
【0026】
尚、これらのチャープ信号ch1,ch2は、一方の端部(第一または第二の接続点1a,1b)から他方の端部(第二または第一の接続点1b,1a)に至るまでの伝搬遅延時間よりも長い周期時間でその周波数が変化する。
このように構成された本発明の第二の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、第一の送受信機3aが、時間的に周波数が変化する第一のチャープ信号ch1を生成する。この第一のチャープ信号ch1は、例えば図8に示すように時間の経過に比例して所定の周波数まで高くなり(UP変化)、次いで時間の経過に比例して変化前の周波数に到達する(DOWN変化)。第一の送受信機3aは、以降、このような周波数変化を繰り返す第一のチャープ信号ch1を送出する。尚、第一のチャープ信号ch1は、周波数が高くなる場合の周波数変化量の絶対値と、周波数が低くなる場合の時間に対する周波数の変化量の絶対値とが等しい。一方、第二の送受信機3bが送出する第二のチャープ信号ch2も、第一のチャープ信号ch1と同一時間周期でその周波数が変化する。
【0027】
一方、距離測定対象物(被検出体)である受信機10は、図7に示すようにLCX1に設けられたスロットから放射される電波を受けるアンテナ11、このアンテナ11が受けた電波を導いて復調する受信部12、二台の送受信機3a,3bがそれぞれ送出した第一および第二のチャープ信号ch1,ch2の周波数f,fをそれぞれ計測する第一のチャープ信号周波数計測部18および第二のチャープ信号周波数計測部19、第一のチャープ信号周波数計測部18および第二のチャープ信号周波数計測部19がそれぞれ計測した周波数f,fの周波数差分値の絶対値|f−f|を求める差分演算部20,差分演算部20が求めた周波数差分値が時間的に変化しているか否かを検出する微分演算部21、この微分演算部21が検出した周波数差分値に時間変化がないと判定したとき、差分演算部20が求めた周波数差分値によりLCX1の一端から受信機10に至るまでの距離を求める距離演算部15、この距離演算部15が求めた受信機10の位置を出力する出力部16を備えて構成される。
【0028】
次にこのように構成された本発明の第二の実施形態における漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムの作動について説明する。ここでは、理解をし易くするために受信機10が、LCX1の第一の接続点1aの近傍にあるとき、および第二の接続点1bの近傍にあるときを説明した後、LCX1の任意のところにあるときを順に説明する。
まず、受信機10がLCX1の第一の接続点1aの近くにある場合を説明する。ここでは第一の送受信機3aからLCX1に第一のチャープ信号ch1の送出を開始する時刻をt=0とし、この信号が第二の接続点1bに到達する時刻をt=Tとする。すると、第一の送受信機3aが送出した第一のチャープ信号ch1の周波数は、図8(a)に示すように時間の経過とともに変化しながら時刻t=Tのときに第二の接続点1bに到達する。
【0029】
すると、第二の送受信機3bは、アンテナ共用器4により導かれた第一のチャープ信号ch1を受信部12が復調し、この復調された信号から同期制御部5が第二のチャープ信号ch2の送出タイミング信号を生成する。すると送信制御部7は、同期制御部5からの送出タイミング信号を受けて、送信部6から第二のチャープ信号ch2を出力し、アンテナ共用器4を介してLCX1に送出する。したがって、第二の送受信機3bは、図8(b)に示すように時刻t=TのときにLCX1に第一のチャープ信号ch1と同一時刻周期の第二のチャープ信号ch2を送出する。
【0030】
一方、第一の接続点1aの近傍にある受信機10は、図8(c)に示すように第一のチャープ信号ch1を時刻t=0のときに受信する一方、第二のチャープ信号ch2は、LCX1の伝送遅延時間によって時刻t=2Tのときに受信する。したがって受信機10に到達する第一のチャープ信号ch1および第二のチャープ信号ch2の周波数の差分値は、時刻t=2Tの後半から時刻t=3Tの前半の間、図示しない範囲の時刻t=4Tから時刻t=5Tの間等で一定値となる。
【0031】
次に受信機10が第二の接続点1bの近傍にある場合を説明する。図9(a)に示すように前述したときと同様に時刻t=0のときに第一の送受信機3aがLCX1に第一のチャープ信号ch1を送出すると、時刻t=Tのとき、この信号が第二の接続点1bに到達する。すると第二の送受信機3bは、図9(b)に示すように時刻t=TのときからLCX1に第二のチャープ信号ch2を送出する。したがって受信機10が受信するチャープ信号は、図9(c)に示されるように第一および第二のチャープ信号ch1,ch2とも同じように周波数が変化することになる。つまり、第一のチャープ信号ch1の周波数と第二のチャープ信号ch2の周波数の差分値は、零となる。
【0032】
次に、受信機10が第一および第二の接続点1a,1bの間に位置する場合を説明する。第一の送受信機3aが時刻t=0のときに送出する第一のチャープ信号ch1および第二の送受信機3bが時刻t=Tのときに送出する第二のチャープ信号ch2は、前述したとおりであって、これを再掲すれば図10(a),(b)に示されるようになる。またこの図に示されるよう第一のチャープ信号ch1が受信機10に到達する時刻をt=tとする。すると第二のチャープ信号ch2が受信機10に到達する時刻は、図10(c)を参照すれば、t=T+(T−t)となる。したがって受信機10に到達する第一のチャープ信号ch1および第二のチャープ信号ch2の周波数の差分値は、時刻t=2Tから時刻t=3Tの前半の間等で一定値となる。
【0033】
ここにLCX1の長さをL[m]、第一の接続点1aから受信機までの位置をX[m]とすれば、
=(X/L)T
の関係式を得ることができる。また第一および第二のチャープ信号ch1,ch2の最低周波数をf、これらチャープ信号の周波数変化率をΔfとすれば、受信機10がそれぞれ検出する第一のチャープ信号ch1の周波数fおよび第二のチャープ信号ch2の周波数fは、それぞれ、
=f+Δf(t−t
=f+Δf(t+t−2T)
なる式で求めることができる。差分演算部20は、これら第一のチャープ信号ch1の周波数fと第二のチャープ信号ch2の周波数fとの周波数差分値fを求める。つまり差分演算部20は、
=|f−f|=2Δf(T−t
を求める。差分演算部20の次段に設けられた微分演算部21は、差分演算部20が求めたfの値が時間的に変化しないかどうかを検出する。つまり、上述したように第一のチャープ信号ch1の周波数fと第二のチャープ信号ch2の周波数fとの周波数差分値fが短時間の範囲内で一定の差分値であるかどうかを検出する。この周波数差分値fが一定値であれば、距離が計測できる。つまり距離演算部15は、微分演算部21によって周波数差分値fに時間変化がないと検出されたとき、差分演算部20が求めた周波数差分値から次式に示す演算を施して受信部に至るまでの距離を求める。つまり、上式を変形すると、
=T−(f/2Δf)
となるから、この式を[t=(X/L)T]の式を変形して導かれる[X=(t/T)L]に代入すれば、
X=L[1−{fd/(2ΔfT)}][m]
として求めることができる。
【0034】
かくして本発明の第二の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCX1の第一の接続点1aに接続された第一の送受信機3aがLCX1の第二の接続点1bに至るまでの伝搬遅延時間よりも長い周期時間でその周波数が変化する第一のチャープ信号ch1を送出するとともに、LCX1の第二の接続点1bに接続された第二の送信機3bがLCX1を介して第一のチャープ信号ch1を受けて、LCX1に第一のチャープ信号ch1と同一時間周期で変化する第二のチャープ信号ch2を送出する一方、受信機10は、受信した第一および第二のチャープ信号の周波数をそれぞれ第一の周波数計測部18および18で測定し、この測定されたそれぞれのチャープ信号ch1,ch2の周波数の差分を差分演算部20にて求めている。そして受信機10は、差分演算部20が求めた周波数差分値fが時間的に一定であるとき、周波数差分値fが受信機10の位置により変化することを利用して距離演算部15に距離を求める指令を出しているので、受信機10(被計測体)を求めることができる。
【0035】
尚、出力部16は、特に図示しないが表示器(例えば、LCD)などで構成されて求めた位置情報を出力するようにしてもよいし、検出した位置情報を更に電波等で送出して他の装置が受信して利用するように構成してもよい。
次に本発明の第三の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムについて説明する。この第三の実施形態が前述した第一および第二の実施形態と異なるところは、LCX1の両端に接続された一対の送受信機3a,3bが、互いに同じ周波数の高周波信号を異なる時刻で重複することなくLCX1内に送出する点と、どちらの送受信機3a,3bが送出した高周波信号であるのかを識別可能にする識別符号を備えるとともに、受信機10は、LCX1に設けられたスロットから電波として放射される上記高周波信号に含まれる識別符号を識別して、識別された電波毎の受信電界強度の差分値から被検出体の位置を求める点にある。
【0036】
このような特徴を備えた本発明の第三の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムにおける送受信機3a,3bは、図11に示すようにLCX1を介して相互にデータを送受する機能を有するものである。具体的に本発明の第三の実施形態は、例えばIEEE802.15.4;ZigBee(登録商標、以下同じ)などの無線通信システムに好適である。
【0037】
さて本発明の第三の実施形態において受信機10は、図12に示されるように二台の送受信機3a,3bがそれぞれ送出した高周波信号がLCX1のスロットから電波として放射されたパケットを受けるアンテナ11、このアンテナが受けたパケットを復調して受信する受信部12、この受信部12が受信したパケットに含まれる識別符号を認識し、二台の送受信機3a,3bのどちらが送出したパケットであるかを識別するデータ識別部17、データ識別部の識別結果を参照しながら受信部12が受信した受信電界強度を計測するレベル測定部14、このレベル測定部14が計測した二台の送受信機3a,3bが発したパケットの受信電界強度の差分値を求め、この差分値から受信機10の位置を求める距離演算部15および、この距離演算部15が求めた受信機10の位置を出力する出力部16を備えて構成される。
【0038】
このように構成された第三の実施形態における二台の送受信機3a,3bには、予め送受信機3a,3bを識別するユニークな識別子(ID)が予め付与されている。例えばZigBeeの場合、この識別子は、送受信機毎に予め割り当てられたアドレス情報を用いることができる。そして送受信機3a,3bは、LCX1を介して相互にパケットの送受を行う。このパケットは、ZigBeeの仕様に定められた所定のフォーマットに従って送受される。このパケットには、送信元アドレス、宛先アドレスのほか、受信した信号の電界強度(RSSI)の情報等が含まれている。そうして一方の送受信機が他方の送受信機にLCX1を介してパケットを送信した際、他方の送受信機は、このパケットを確かに受け取ったことを示すACKパケットを、そのパケットを送信した送受信機へ送り返す。
【0039】
例えば、時刻tのとき、LCX1の左方の接続端1aに接続されたA送受信機3aがLCX1の右方の接続端1bに接続されたB送受信機3bに対してパケットを送出したとする。B送受信機3bは、このパケットが正しく受信できたとき、そのパケットを送出したA送受信機3aへACKパケットを送出する(例えば時刻tのとき)。二台の送受信機3a,3bがこのようなパケットの送受を行うと、これらのパケットは、LCX1に設けられたスロットから電波として空間に放射される。
【0040】
そしてLCX1の近傍に位置する受信機10は、上述したようにしてLCX1のスロットから放射されたパケットを受信する。このパケットには、送信元を識別する送信元アドレス情報(識別子)が含まれている。受信機10のデータ識別部17は、受信したパケットに含まれる送信元アドレス情報(識別子)から、どちらの送受信機からパケットが送出されたかを判定する。そしてレベル測定部14は、データ識別部17が判定した送受信機の情報を受けて、受信部12が受信した電波(パケット)の受信電界強度を計測する。尚、レベル測定部14は、他方の送受信機が送出するACKパケットに付いても同様に受信電界強度の計測を行う。
【0041】
例えば受信機10が、図13においてLCX1の左端の接続端1aからXの位置(B送受信機3bに近い位置)にある場合、前述した第一の実施形態で説明したようにLCX1内を伝搬する電波(パケット)は、一方の接続端1a,1bから他端の接続端1b,1aに向かって伝搬する際、LCX1の減衰特性に従って減衰していく。つまり、図13の実線で示されるようにLCX1の左方の接続点1aに接続されたA送受信機3aがLCX1に送出したパケットは、LCX1の右方の接続点1bに向かうにつれて徐々に減衰していく。そのためLCX1に設けられたスロットから電波として空間に放射されるパケットの電界強度は、LCX1の左方の接続点1aから右方の接続点1bに向かうにつれて徐々に弱くなっていく。
【0042】
同様にLCX1の右方の接続点1bに接続されたB送受信機3bがLCX1に送出したパケットは、図13の破線に示されるようにLCX1の左方の接続点1aに向かうにつれて徐々に減衰していく。そのためLCX1に設けられたスロットから電波として空間に放射されるパケットの電界強度は、LCX1の右方の接続点1bから左方の接続点1aに向かうにつれて徐々に弱くなっていく。
【0043】
このため時刻tで送受信機3aが送出したパケットの受信電界強度(受信レベルL)と、時刻tで送受信機3bが送出したパケットの受信電界強度(受信レベルL)の間には、図14に示されるように電界強度(受信レベルL)差が生じる。したがって距離演算部15は、前述した第一の実施形態と同様にLCX1の左方に位置する一方の接続点1aから受信機10までの距離X[m]を
X=(D/2)−(L/2At)[m]
として求めることができる。
【0044】
かくして本発明の第三の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCX1の両端にそれぞれ接続された一対の送受信機3a,3bがLCX1内に、それぞれの送受信機を識別する識別符号(アドレス情報)を付与したパケットを相互に伝達する一方、このLCX1に設けられたスロットから放射された電波を受信する受信機10は、この受信機10が備えるデータ識別部17によって、どちらの送受信機から送出されたパケットであるかを判定するとともに、この判定された情報を参照して送受信機3a,3b毎のパケットの受信電界強度を測定する。そしてこれらの情報に基づき、距離演算部15によって受信電界強度の差分値Lを導いているので、本発明の第三の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、この差分値Lを用いることによって前述した第一の実施形態と同様にして被検出体(受信機10)の位置を求めることができる。
【0045】
特に本発明の第三の実施形態においては、受信機10が受信した時点で、測定した結果の電界強度(RSSI)情報を付加している。したがって、受信機10は、この電界強度(RSSI)情報を用いて、それぞれの送受信機3a,3bが送出した出力レベルを補正することで、より正確に被検出物(受信機10)の位置を検出することができる。
次に本発明の第四の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムについて説明する。この実施形態が前述した第一〜第三の実施形態と異なるところは、概略的には図15に示すように予め所定の場所に配設されたLCX1と、このLCX1の近傍に位置し、所定の周波数(例えば、2.4GHz帯)の電波を送出する被検出物(送信機2)と、この送信機2が送信した電波をLCX1を介して、このLCX1の両端の接続端1a,1bに接続された一対の受信機10a,10bがそれぞれ受信した受信レベルを測定し、この測定した受信レベルの差分値から被検出物の位置を検出する点にある。
【0046】
このように構成された本発明の第四の実施形態は、図15において送信機2がLCX1の左端の接続端から受信点Xの位置(LCX1の右方側に位置するB受信機10bに近い位置)にあるとする。この場合、前述した本発明の第一〜第三の実施形態とは逆にLCX1のスロットからLCX1内に導かれた電波(高周波信号)が、その両端に接続された受信機10a,10bに向かって伝搬する際、LCX1の減衰特性に従って減衰していく。つまり、図16の実線に示されるように受信点XからLCX1の左方の接続点1aに接続されたA受信機10aに向かう高周波信号は、受信点Xの位置がLCX1の右方の接続点1bに向かうにつれてLCX1内での減衰量が増加していく。このためA受信機10aの受信レベルは、送信機2が、このA受信機10aが接続された接続点1aから遠ざかるにつれて弱まる。
【0047】
同様にLCX1の右方の接続点1bに接続されたB受信機10bの受信レベルは、図16の破線に示されるように送信機2が、このB受信機10bが接続された接続点1bから遠ざかるにつれて徐々に減衰していく。
例えばLCX1の長さ(接続点1aから接続点1bに至る長さ)がD[m]、図15で左方に位置する一方の接続点1aから送信機2までの距離がX[m]であり、送信機2がややLCX1の右方に位置するB受信機10bに近いところに位置しているとすると、この送信機2が送出した電波は、LCX1内で減衰しながら伝搬するものの、B受信機10bにおける受信電界強度(受信レベルL)が、A受信機10aの受信電界強度(受信レベルL)より大きい。このため図17に示すように受信機間での受信レベル差Lとなって現れる。この受信レベル差Lは、前述した第一の実施形態における受信レベルの差分値と同様である。したがって、図15には、特に図示しないがそれぞれの受信機10a,10bが受信した受信レベルの受信レベル差Lを求めることで第一の実施形態に準じて送信機2の位置を検出することができる。
【0048】
かくして本発明の第四の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、LCX1近傍の送信機2から送出された所定の無線データ(電波)が、このLCX1のスロットを介してその両端にそれぞれ接続された一対の受信機10a,10bに到達する。このLCX1における減衰量は、LCX1内を伝搬する伝搬長さに比例する。したがって本発明の第四の実施形態に係る位置検出システムは、それぞれの受信機10a,10bが受信した電波の受信レベルを測定するとともに、これら受信レベルの差分値を導き、前述した第一の実施形態を準用すれば送信機2の位置を求めることができる。
【0049】
尚、本発明の漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】図1に示すLCXケーブル内の信号レベルを示すグラフ。
【図3】図1に示す受信機の内部概略構成を示すブロック図。
【図4】図1に示す受信機が受信した受信レベル(電界強度)の一例を示すグラフ。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムの概略構成を示すブロック図。
【図6】図5に示す送受信機の内部概略構成を示すブロック図。
【図7】図5に示す受信機の内部概略構成を示すブロック図。
【図8】図5に示す二台の送信機が送信するチャープ信号とLCXケーブルを介して放射された電波を受信する受信機の変化する周波数の一例を示す図。
【図9】図7に示した二台の送信機が送信するチャープ信号とLCXケーブルを介して放射された電波を受信する受信機の変化する周波数の別の例を示す図。
【図10】図7および図9に示した二台の送信機が送信するチャープ信号とLCXケーブルを介して放射された電波を受信する受信機の変化する周波数のさらに別の例を示す図。
【図11】本発明の第三の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムの概略構成を示すブロック図。
【図12】図11に示す受信機の内部概略構成を示すブロック図。
【図13】図11に示すLCXケーブル内の信号レベルを示すグラフ。
【図14】図11に示す受信機が受信した受信レベル(電界強度)の一例を示すグラフ。
【図15】本発明の第四の実施形態に係る漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システムの概略構成を示すブロック図。
【図16】図15に示す受信機が受信した受信レベル(電界強度)と受信機の位置との関係の一例を示すグラフ。
【図17】図15に示す受信機が受信した受信レベル(電界強度)の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0051】
1 LCX(漏洩同軸ケーブル)
1a,1b 接続点
2a,2b 送信機
10 受信機
11 アンテナ
12 受信部
13 周波数切換部
14 レベル測定部
15 距離演算部
16 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、
この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブル内に異なる周波数の信号をそれぞれ送出する一対の送信機と、
これら一対の送信機からそれぞれ送出されて、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射される前記信号をそれぞれ受信する受信機と
を備え、
前記受信機は、前記各信号の受信電界強度をそれぞれ測定するレベル測定部と、
このレベル測定部が測定した前記各信号の受信電界強度の差分値を導いて前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部と
を備えることを特徴とする漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システム。
【請求項2】
所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、
この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブル内に所定の信号をそれぞれ送出する一対の送信機と、
これら一対の送信機からそれぞれ送出されて、前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射される前記信号をそれぞれ受信する受信機と
を備え、
前記一対の送信機は、前記漏洩同軸ケーブルの一端部から他端部に至るまでの前記信号の伝搬遅延時間よりも長い周期時間でその周波数が変化する第一のチャープ信号を送出する第一の送信機と、
前記漏洩同軸ケーブルを介して、前記第一の送信機が送出した第一のチャープ信号を受けて、該漏洩同軸ケーブルに前記第一のチャープ信号と同一時間周期でその周波数が変化する第二のチャープ信号を送出する第二の送信機とからなり、
前記受信機は、受信した前記第一のチャープ信号および前記第二のチャープ信号の周波数をそれぞれ計測する周波数測定部と、
この周波数測定部が測定した前記第一のチャープ信号と第二のチャープ信号との周波数の差分値を求める差分演算部と、
この差分演算部が求めた前記差分値の時間変化を求める微分演算部と、
この微分演算部によって前記差分値に時間変化がないと検出されたとき、前記差分演算部が求めた差分値により前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部と
を備えることを特徴とする漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システム。
【請求項3】
所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、
この漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、該漏洩同軸ケーブルを介して相互に自らの識別符号を付与したデータを送受する一対の送受信機と、
前記漏洩同軸ケーブルから電波として空間に放射された前記データを受信する受信機と
を備え、
前記受信機は、受信した前記データに含まれる前記識別符号を検出するデータ識別部と、
このデータ識別部が検出した識別符号により識別される前記各データの受信電界強度をそれぞれ測定するレベル測定部と、
このレベル測定部が測定した前記各データの受信電界強度の差分値を導いて前記漏洩同軸ケーブルの一端から前記受信部に至るまでの距離を求める距離演算部と
を備えることを特徴とする漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システム。
【請求項4】
所定の場所に配設された漏洩同軸ケーブルと、
この漏洩同軸ケーブルの近傍に位置し、所定の無線データを送出する送信機と、
前記漏洩同軸ケーブルの両端にそれぞれ接続されて、この漏洩同軸ケーブルを介して前記送信機により送出された前記無線データをそれぞれ受信する一対の受信機と
を備え、
前記一対の受信機は、前記漏洩同軸ケーブルから各受信機にそれぞれ導かれた前記無線データの受信レベルを測定するレベル測定部と、
これらレベル測定部がそれぞれ計測した前記受信レベルの差分値を導いてこの差分値によって前記漏洩同軸ケーブルの一端からこの受信機に至るまでの距離を求める距離演算部と
を備えることを特徴とする漏洩同軸ケーブルを用いた位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−304048(P2007−304048A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135130(P2006−135130)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】