説明

演算装置、プログラムおよび通信端末

【課題】或る領域にいる人々の活動の度合いを評価する。
【解決手段】サーバ装置4の制御部41は、複数の通信端末から受信した収集データを、受信時刻とともに収集データ群421として蓄積する。制御部41は、各収集データから位置情報を取得して、或る領域内に存在している通信端末を特定し、その数が閾値を超えると、その領域に存在する通信端末の収集データに含まれる加速度情報を取得する。そして、制御部41は、これらの加速度情報を用いて統計量を領域ごとに算出する。領域ごとに統計量が算出されると、制御部41は、この統計量を上記の領域と関連付けて通信部43に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信端末の動作に基づいて統計を取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械的な機構と電子回路を一つの基板等に集積化したデバイスが開発され、自動車に搭載するカーナビゲーションシステムや、携帯電話機のユーザインターフェイス、ゲーム機のコントローラ等に応用されている。これらのデバイスはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等と呼ばれており、代表的なものとして、加速度センサや角速度センサ等がある。
【0003】
複数の通信端末にGPS(Global Positioning System)方式等による位置測定装置と、上述のデバイスとを搭載させた場合、これらの各通信端末から、各々のデバイスにおいて測定された測定量を収集して統計処理することにより有益な情報が得られることがある。特許文献1には、複数の車両の走行データを統計処理し、その結果を地図上で可視化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−110205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、スタジアムで行われるスポーツ競技や、コンサート会場で行われるコンサート等のような様々な催し物においてユーザの気分が高揚して活動的になっている場所(領域)を特定することができると便利である。
【0006】
しかし、特許文献1に開示された技術は、閾値以上の加速度を示す加速度データに対応付けられた位置データをイベントデータとして抽出することにより、危険と考えられる領域を導出しているだけであり、注目する領域において人が多く集まったときに、その領域にいる人々の高揚の度合いを評価するものではない。
【0007】
本発明の目的は、或る領域にいる人々の活動の度合いを評価することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る演算装置は、複数の通信端末から、各通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、或る領域に存在する前記通信端末を計数する計数手段と、前記計数手段により計数された前記通信端末の数が閾値を超える場合に、前記領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する加速度情報取得手段と、前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報を用いた統計を取って統計量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された統計量を示す統計量情報を前記領域に関連付けて出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記計数手段は、前記位置情報に基づいて、予め定められた複数の領域にそれぞれ存在する前記通信端末を計数し、前記加速度情報取得手段は、前記計数手段により計数された前記通信端末の数が、当該通信端末が存在する前記領域ごとに予め定められた閾値を超える場合に、当該各領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記算出手段は、前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報がそれぞれ示す加速度を平均した平均値と、前記計数手段により計数された前記通信端末の数との積を、前記統計量として算出するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記算出手段は、前記或る領域に存在する複数の通信端末の運動の方向を、前記加速度情報取得手段により取得された前記加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の方向の区分ごとに前記統計量を算出するとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記算出手段は、前記或る領域に存在する複数の通信端末の運動の周期を、前記加速度情報取得手段により取得された前記加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の周期の区分ごとに前記統計量を算出するとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記算出手段は、或る期間に亘って前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報により示される加速度を合計した合計値を、前記統計量として算出するとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記出力手段は、表示用空間において前記領域に対応する位置に前記算出手段により算出された前記統計量に応じた画像を配置した表示データを生成し、生成した当該表示データを前記統計量情報として出力するとよい。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、複数の通信端末から各通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップによって取得された前記位置情報に基づいて、或る領域に存在する前記通信端末を計数する計数ステップと、前記計数ステップにより計数された前記通信端末の数が閾値を超える場合に、前記領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する加速度情報取得ステップと、前記加速度情報取得ステップによって取得された前記加速度情報を用いた統計を取って統計量を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出された統計量を示す統計量情報を前記領域に関連付けて出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
【0016】
また、本発明に係る通信端末は、上述の演算装置によって出力される統計量情報と当該統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得する統計量情報取得手段と、自端末が向いている方位を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された方位に前記統計量情報取得手段が取得した領域情報により示される領域がある場合に、前記統計量情報取得手段により取得された当該領域の統計量情報に応じた報知をする報知手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る通信端末は、上述の演算装置によって出力される統計量情報と当該統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得する統計量情報取得手段と、撮影手段と、前記撮影手段により撮像された方位を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された方位に前記統計量情報取得手段が取得した領域情報により示される領域がある場合に、前記統計量情報取得手段により取得された当該領域の統計量情報に応じて、前記撮影手段が撮影した画像を加工する加工手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、或る領域にいる人々の活動の度合いを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る通信システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】加速度情報と位置情報とを含む収集データを説明する図である。
【図4】本実施形態に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】収集データ群の一例を示す図である。
【図6】統計量テーブルの一例を示す図である。
【図7】統計量区分と色との対応関係を表す対応表の一例を示す図である。
【図8】制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】通信システムの動作により通信端末に表示される地図の一例を示す図である。
【図10】運動の属性について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
1.構成
1−1.全体構成
図1は、本実施形態に係る通信システム9の全体構成を示す概略図である。通信システム9は、複数の通信端末1と、複数の基地局2と、通信回線3と、サーバ装置4とを備える。複数の基地局2の各々は、通信範囲内の通信端末1と無線通信を行うことにより各種情報を送受信する。通信端末1は、基地局2のいずれかと無線通信を行い、通信回線3を介して、他の通信端末1やサーバ装置4との間で通信を行う。通信端末1は、ユーザによって携帯されるものであり、自身の加速度と位置をそれぞれ測定する機能を有している。サーバ装置4は、通信回線3を介して、複数の通信端末1から各通信端末1の加速度を示す加速度情報をこれら各通信端末1の位置を示す位置情報とともに受信する。
【0021】
1−2.通信端末の構成
以下、通信システム9に含まれる或る通信端末1の構成について説明する。
図2は、通信端末1の構成を示すブロック図である。通信端末1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、音声処理部15、通信部16、位置測定部17、および加速度測定部18を有し、これらはバスを介して互いに接続されている。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、通信端末1の各部について、バスを介して制御し、通話機能や通信機能のほか、後述する機能等を実現する。また、RAMは、CPUが各データの加工等を行う際のワークエリアとして機能する。
【0023】
記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ等の大容量記憶手段である。なお、記憶部12は、外付けの不揮発性メモリ等の記録媒体であってもよい。この場合、図示しない接続インターフェイス等を介して記憶部12が通信端末1に接続されている。
【0024】
操作部13は、数字キー等の操作ボタンやタッチパネル等を有し、ユーザが操作ボタン等を操作するとその操作内容を表すデータを制御部11へ出力する。
【0025】
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、制御部11の制御により、表示画面141に画像を表示する。表示画面141に表示される画像は、操作に応じた表示やメニュー表示等の各種表示である。
【0026】
音声処理部15は、マイクロフォン、スピーカ、およびDSP(Digital Signal Processor)等の音声処理回路を有し、マイクロフォンによる収音内容を示す収音信号を音声処理回路により生成して出力するとともに、制御部11の制御により入力される音声信号に対し音声処理回路により音声処理を行って、その音声信号に応じた音をスピーカから出力させる。
【0027】
位置測定部17は、GPS方式を用い、複数の人工衛星から電波信号を受信して通信端末1の位置を測定する。そして、位置測定部17は、測定した位置を示す位置情報として緯度と経度により表される座標を出力する。
【0028】
加速度測定部18は、静電容量型加速度センサやピエゾ抵抗型加速度センサ等を備えており、X,Y,Zの3軸方向の加速度を測定する。そして、加速度測定部18は、測定した加速度を示す加速度情報として上記3軸方向のそれぞれの加速度を示す値を含む加速度ベクトルを出力する。なお、X軸、Y軸は水平面において互いに直交する軸であり、Z軸は、高さ方向すなわち重力方向の反対の方向に延びる軸である。
【0029】
通信部16は、制御部11の制御に応じて、通信範囲内の基地局2と無線通信を行って他端末と複数種類の通信を行う。また、通信部16は、加速度測定部18が出力する加速度情報を位置測定部17が出力する位置情報とともにサーバ装置4へ送る。
【0030】
図3は、通信部16から送られる加速度情報と位置情報とを含む収集データを説明する図である。制御部11は、例えば0.1秒〜10分というように、予め定められた期間において位置測定部17が出力する位置情報と、その期間において加速度測定部18が出力する加速度情報とを収集すると、収集したこの位置情報および加速度情報を、制御部11のROMに予め記憶された通信端末1を識別する端末IDと組み合わせて収集データ(図3(a)参照)とし、これを通信部16によってサーバ装置4へ送信させる。
【0031】
図3(b)に、送信されるこの収集データの一例を示す。この例によれば、この収集データに含まれる端末IDは「1002」であり、位置情報は「N35.705637, E139.751892」であり、加速度情報は「ddx=−5,ddy=0.2,ddz=9」である。なお、位置情報の「N」に続く数値は北緯を示しており、「E」に続く数値は東経を示している。また、加速度情報のddx,ddy,ddzはそれぞれ加速度のX軸,Y軸,Z軸方向の成分を示しており、単位はm/s2である。端末IDは説明の便宜のため4桁の数値としたが、桁数はこれよりも少なくても多くてもよく、誤り検知のためのチェックデジット等を含んでいてもよい。
【0032】
1−3.サーバ装置の構成
次に、サーバ装置4の構成について説明する。
図4は、サーバ装置4の構成を示すブロック図である。サーバ装置4は、制御部41、記憶部42、および通信部43を有し、これらはバスを介して互いに接続されている。
【0033】
制御部41は、CPU、ROM、RAM、およびタイマを有する。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、サーバ装置4の各部について、バスを介して制御する。また、RAMは、CPUが各データの加工などを行う際のワークエリアとして機能する。タイマは、水晶振動子を有する発振回路を備えており、その発振回路から出力される発振信号に基づいて時間を計測し、現在時刻を算出する。算出された現在時刻を示す情報は、CPUにより利用される。
【0034】
記憶部42は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記憶手段であって、収集データ群421および統計量テーブル422を記憶している。
また、記憶部42には、市町村等の地域を平面空間に表した地図データが記憶されている。この地図データは、複数の領域に区画されており、この領域ごとに識別情報が割り当てられている。この領域を示す識別情報を領域IDという。地図データは、東西南北を予め定めた距離(例えば20m等)ごとに格子状に切り分けることで区画されていてもよいし、スタジアムやコンサート会場等の施設ごとに区画されていてもよい。
【0035】
通信部43は、通信回線3と通信するための通信手段である。通信部43は、例えば各種のモデムやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインタフェース等の通信インターフェイスなどである。
【0036】
次に記憶部42に記憶される各種情報の構成を説明する。
1−4.収集データ群の構成
図5は、収集データ群421の一例を示す図である。制御部41は、通信部43が複数の通信端末1からそれぞれ上述した収集データを受信すると、その受信時においてタイマが示した現在時刻(以下、受信時刻という)とともに、これらを収集データ群421として追加(蓄積)する。例えば、図3(b)に示した収集データを、制御部41が0時10分12秒に受信したとすると、この収集データは図5の収集データ群421における一行目のように追加される。
【0037】
1−5.統計量テーブルの構成
図6は、統計量テーブル422の一例を示す図である。統計量テーブル422には、記憶部42に記憶された地図データにおける上記の領域IDごとに、その領域に存在している通信端末1の運動の統計を示す統計量が書き込まれる。統計量は、制御部41が収集データ群421を参照し、個々の収集データに含まれる加速度情報を用いた統計をとることによって算出される。この統計量は0以上の数値である。
【0038】
なお、記憶部42は、統計量の大きさごとに区分けされた統計量区分と、その統計量区分に該当する統計量の領域を表示するときの色とを予め対応付けて記憶している。
図7は、統計量区分と色との対応関係を表す対応表の一例を示す図である。統計量区分とは、算出される統計量がとり得る値を複数の範囲で区分した各区分であり、色名は表示される画像の色の名前である。なお、破線で示した表示色の欄は、図において色名に対応する表示態様を、説明の便宜のために示すものである。
【0039】
ここで、或る領域において算出された統計量は、大きいほどその領域に存在するユーザの行動が活発であることを示している。例えばスタジアムで行われるスポーツ競技や、コンサート会場で行われるコンサート等のような様々な催し物に参加しているユーザは、気分が高揚してくると、大きな声を上げたり、笑ったり、体を揺すったり、飛び跳ねたりするから、自然と行動が活発的になってくることがある。したがって、統計量区分に対応付けられた色は、その領域におけるユーザの気分の高揚の程度を表現していることになる。この場合、白→青→黄→赤の順で気分の高揚の程度が上昇する。例えば、統計量の数値が最も大きい統計量区分は赤色に関連付けられているので、領域が赤く表示される場合には、その領域においてユーザの気分が大いに高揚していることを示している。一方、統計量の数値が最も小さい統計量区分は白色に関連付けられているので、領域が白く表示される場合には、その領域においてユーザの気分がほとんど高揚していないことを示している。
【0040】
1−6.制御部の機能
図8は、制御部41の機能的構成を示すブロック図である。
蓄積部411は、通信部43が複数の通信端末1からそれぞれ受信した収集データを受信時刻とともに収集データ群421として蓄積する。
位置情報取得部412は、収集データ群421として蓄積された各収集データから位置情報を取得する。すなわち、位置情報取得部412は、複数の通信端末から、各通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段に相当する。計数部413は、位置情報取得部412が取得した各位置情報から、各通信端末1が地図データにおいてどの領域に存在しているかを特定し、予め定められた領域について、その領域内に存在している通信端末1を計数する。すなわち、計数部413は、位置情報取得手段によって取得された位置情報に基づいて、或る領域に存在する通信端末を計数する計数手段に相当する。
【0041】
特定部414は、計数部413が計数した数を予め定められた閾値と比較し、この数が閾値を超える場合に、その領域に存在する通信端末1の全部または一部を特定する。すなわち、特定部414は、計数手段により計数された通信端末1の数が閾値を超える場合に、予め定められた領域に存在する通信端末のうち少なくともいずれかを特定する特定手段に相当する。なお、特定部414が一部を特定する場合には、例えば、その領域に存在する通信端末1の総数に対して10%等、予め定められた割合で通信端末1を選択する。100%でない割合で通信端末1を選択することにより、その領域に存在するすべての通信端末1について統計を取る場合に比べて、サーバ装置4の処理負荷を抑制することができる。なお、この選択は乱数を用いてランダムに行ってもよいし、検討対象となっている領域を更に複数のブロックに区分し、各ブロックに含まれる通信端末のうち、例えば端末IDの最も小さいものを選択するというようにして行ってもよい。
【0042】
加速度情報取得部415は、収集データ群421として蓄積された各収集データのうち、特定部414が特定した通信端末1の端末IDを含む収集データを選択し、この収集データに含まれる加速度情報を取得する。すなわち、加速度情報取得部415は、計数手段により計数された通信端末1の数が閾値を超える場合に、その領域に存在する複数の通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する加速度情報取得手段に相当する。
【0043】
算出部416は、加速度情報取得部415によって取得された加速度情報を用いて統計量を算出する。すなわち、算出部416は、加速度情報取得手段によって取得された加速度情報を用いた統計を取って統計量を算出する算出手段に相当する。算出された統計量は、領域IDごとに統計量テーブル422に書き込まれる。ここで、算出部416は、具体的には、特定部414により特定された複数の通信端末1に係る加速度情報がそれぞれ示す加速度を平均した平均値と、計数部413により計数された通信端末1の数との積を、統計量として算出する。なお、この平均とは相加平均である。したがって、例えば、計数部413により計数された通信端末1の数をNa、特定部414により特定された通信端末1の数をNs、特定部414により特定された複数の通信端末1のうち、i番目の加速度をa(i)(ただし、添え字iは1からNsまでの整数)とすると、加速度の平均値aaveと、統計量Svは次式(1)で表される。
【0044】
【数1】

【0045】
出力部417は、算出部416が算出した統計量を統計量テーブル422から読み出し、検討対象である領域と関連付けて、通信部43に出力する。すなわち、出力部417は、算出手段により算出された統計量を示す統計量情報を領域に関連付けて出力する出力手段に相当する。通信部43に出力された統計量情報は、例えば、通信回線3を介して通信端末1へ送信される。
【0046】
蓄積部411、位置情報取得部412、計数部413、特定部414、加速度情報取得部415、算出部416、および出力部417は、制御部41がROMや記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
2.動作
次に、通信システム9の動作について説明する。
図9は、通信システム9の動作により通信端末1に表示される地図の一例を示す図である。この地図により示される地域には、領域IDが「0001」である施設B1と、領域IDが「0002」である施設B2と、領域IDが「0003」である施設B3とが設けられている。これら各領域IDは、統計量テーブル422に記述されている。
【0048】
複数の通信端末1から、その通信端末1の加速度を示す加速度情報と、その通信端末1の位置を示す位置情報とを含む収集データが、基地局2および通信回線3を介してサーバ装置4に送信されると、サーバ装置4の制御部41は、この収集データを受信時刻とともに収集データ群421として蓄積する。そして、制御部41は、収集データ群421として蓄積された各収集データから位置情報を取得して、その位置情報から、各通信端末1が地図データにおいてどの領域に存在しているかを特定し、領域ID「0001」「0002」「0003」のそれぞれに対応する領域内に存在している通信端末1を計数する。
【0049】
各領域内に存在している通信端末1の数が計数されると、制御部41は、計数された通信端末1の数をそれぞれ閾値と比較する。閾値は一定の値であってもよいが、ここでは、上記の施設ごとに定められている。例えば、これらの閾値は各施設の最大収容人数の50%等と定められている。そして、計数された通信端末1の数が閾値を超えると、制御部41は、その領域に存在する通信端末1のうち、10%をランダムに特定する。
【0050】
次に、制御部41は、収集データ群421として蓄積された各収集データのうち、特定した通信端末1の端末IDを含む収集データを選択し、この収集データに含まれる加速度情報を取得する。そして、制御部41は、これらの加速度情報を用いて統計量を算出する。各領域IDによって識別される領域ごとに統計量が算出されると、制御部41は、この統計量を上記の領域と関連付けて通信部43に出力する。この動作は具体的には以下のように行われる。
【0051】
制御部41は、領域ごとに算出された各統計量にそれぞれ応じた色を記憶部42の対応表を参照して決定する。そして、制御部41は、表示用空間に相当する地図データにおいて、上記の各領域に対応する位置に、それぞれ決定した各色を配置して表示データを生成する。これにより統計量を示す統計量情報は領域と関連付けられる。そして、制御部41は、生成したこの表示データを統計量情報として通信部43に出力する。通信部43は、この表示データを、通信回線3および基地局2を介して通信端末1へ送信する。
【0052】
このようにして、通信端末1へ送信された表示データは、制御部11の制御の下、図9に示すように表示部14の表示画面141に地図として表示される。すなわち、表示される地図において、施設B1は赤色で表示され、施設B2は青色で表示され、施設B3は黄色で表示される。図7で示したように赤色で表示される領域は、統計量が10以上となっている統計量区分であるので、施設B1に居るユーザの気分は大いに高揚していることがわかる。
【0053】
また、地図で表示される各領域の色は、白→青→黄→赤の順で高揚の程度が上昇するので、ユーザの気分が最も高揚している施設から順に並べると、上記の各施設は、施設B1(赤)→施設B3(黄)→施設B2(青)の順となる。すなわち、この表示データによる地図を通信端末1において表示させることで、通信端末1のユーザは、各施設のうちユーザの気分が最も高揚している施設と最も高揚していない施設とを把握することができるので、ユーザの気分が最も高揚している施設では、どのような催し物が開催されているのか調べたり、より高揚の程度が高い施設に赴いたりすることができる。
【0054】
また、例えば、或る広告主が電子看板・デジタルサイネージ等による広告や、特定の無線基地局から携帯電話機に配信される広告等、限られた場所で見られる広告をする場合に、この地図を参照することで、この広告主は、ユーザの気分が高揚している場所を特定して、効率的な広告をすることができる。このように特定した場所において、広告を見たユーザは気分が高揚しているので、平静状態のユーザに広告を見せた場合と比較して、広告された商品を購買する確率が上昇することが見込まれる。
【0055】
3.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態において、統計量テーブル422には複数の領域IDが記述されていたが、領域IDの数は1つでもよい。この場合、検討対象である領域は単一であり、制御部41は、その領域についてのみ統計量を算出する。
【0056】
(2)上述の実施形態において、領域の統計量は、特定された各通信端末1の加速度に関わらず、それらの加速度を用いて統計をとることで算出された。これにより算出された統計量によって、その統計量に対応する領域におけるユーザの高揚の度合いが判断されたが、ユーザの気分が高揚している領域を特定するためには、その領域に存在する通信端末1の加速度の平均値やその平均値とその領域に存在する通信端末1の総数との積(すなわち、上記の統計量)が、単に閾値を超えたか否かを判定するだけでは足りない場合がある。
【0057】
例えば、複数のユーザの気分が高揚しているときには、演奏される楽曲に合わせて体を揺らしたり、隣の席のユーザに合わせて立ち上がった後に座るいわゆるウェーブと呼ばれる動作をしたりすること多い。このとき、この複数のユーザの運動は、一つの統一された意思に沿って動くことになるから、その運動の方向や強さ或いはタイミングなどの、運動の属性が共通するものとなる傾向が高い。
【0058】
一方、交差点等は人口密度が高く、動いている人も多数いるために、加速度の平均値も高い可能性がある。しかし、交差点において人々の歩くペースや方向は区々であるように、加速度の平均値が高い場合であっても、その領域にいる人々が一つの統一された意思に沿って動いているわけではないことがある。しかし、このような区々なペースや方向という共通していない属性を有する運動であっても、絶対値を積算すると、気分が高揚している人々が行う、共通する属性を有する運動と見分けがつかなくなることがある。
【0059】
すなわち、ユーザの気分が高揚している領域を特定するためには、人々の運動の大きさが閾値を超えていることに加えて、それらの運動の属性が共通しているか否かを判定する必要な場合がある。そこでサーバ装置4は、検討対象の領域に居る人々のうち、属性が共通の運動をしている人々を抽出して、その人々についての統計量を算出してもよい。具体的には、サーバ装置4の制御部41は、特定された各通信端末1の加速度に応じて運動の属性を特定し、予め定められた運動の属性の区分ごとにこれらの加速度の統計を取って統計量を算出してもよい。この場合、制御部41は、区分ごとに算出された各統計量に対し、予めこの区分ごとに定められた重み係数をそれぞれ乗算した上で合計し、この合計値をその領域の統計量として用いてもよい。
【0060】
(2−1)例えば、記憶部42は、運動の方向を複数のグループに区分する閾値を記憶している。運動の方向とは、X,Y,Zの3軸方向の組み合わせにより表されるベクトルである。例えば、このグループとは、Z軸に対する角度の閾値で区分される。
図10は、運動の属性について説明するための図である。図10(a)には、予め定められた運動の方向の区分として、加速度の方向とZ軸方向との成す角度による区分が示されている。方向区分1は、加速度の方向がZ軸方向に対して(0度以上)30度未満である区分であり、方向区分2は、加速度の方向がZ軸方向に対して30度以上150度未満である区分であり、方向区分3は、加速度の方向がZ軸方向に対して150度以上(180度以下)である区分である。なお、同図では横軸はX軸方向であるが、Y軸方向でも同じように区分される。そして、このことは、加速度の水平方向の成分を加速度の高さ方向の成分、すなわちZ軸方向の成分で割った値は30度の正接を超えないと表現することができるので、加速度が方向区分1に属している場合には、その加速度の値を3軸方向の各成分で(ddx,ddy,ddz)と表すとすると、次式(2)を満たす。
【0061】
【数2】

【0062】
コンサート会場等では、気分が高揚している複数のユーザが演奏に合わせて同時にジャンプするといったことがある。通信端末1の加速度の方向が方向区分1に属していれば、その通信端末1を所持しているユーザの運動は、高さ方向に対して(0度以上)30度未満の角度で加速する運動である。これはその場で飛び上がっているジャンプを意味している。或る領域内に存在する複数の通信端末1が同時または0.5秒以内等のように非常に近いタイミングで方向区分1に属する運動をしていたら、その複数の通信端末1は、属性が共通する運動をしているので、タイミングを合わせてジャンプしていると推測される。すなわち、その領域に居るユーザの気分は、高揚していると推測される。
【0063】
制御部41は、加速度から通信端末1の運動の方向を特定し、その運動の方向が属する区分ごとに統計量を算出する。この場合、算出部416を実現する制御部41は、或る領域に存在する複数の通信端末の運動の方向を、加速度情報取得手段により取得された加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の方向の区分ごとに統計量を算出する算出手段に相当する。これにより、ばらばらな方向に動いている集団と統一した方向に動いている集団とが区別して評価される。
【0064】
(2−2)また、制御部41は、加速度から通信端末1の運動の周期を特定し、その運動の周期が属する区分ごとに統計量を算出してもよい。この場合、記憶部42は、運動の周期を複数のグループに区分する閾値を記憶している。
図10(b)および図10(c)には、加速度の時間変化の例が示されている。これらの図は、横軸が時刻であり、縦軸が加速度のZ軸成分である。図10(b)の加速度が観測された場合には、その周期はT1(秒)である。一方、図10(c)の加速度が観測された場合には、その周期はT1よりも長いT2(秒)である。コンサート会場で演奏される楽曲をユーザが聴いているとき、その楽曲のテンポに合わせて体を揺らすことが多い。一分あたりの拍子を示した数値であるBPM(Beats Per Minute)が120の楽曲であれば、ユーザはその楽曲に合わせて、拍子の度に地面を踏むステップを繰り返すので、上記の周期は0.5秒である。BPMが60の楽曲に合わせてステップを踏むユーザの場合、上記の周期は1秒である。このように2つの加速度の周期が離れているときは、これら2つの加速度が測定された各通信端末1は、互いに異なる属性の運動をしていると判断するのが妥当である。そこで、この変形例においてサーバ装置4の記憶部42は、運動の属性を加速度の周期ごとに区分する閾値として0.7秒を記憶する。そして、その周期が0.7秒未満の区分と、0.7秒以上の区分とにそれぞれ属する加速度について、制御部41は、それぞれ別々に統計を取る。
【0065】
なお、運動の周期は例えば、いわゆるゼロクロスの周期、つまり加速度を積分して得られた速度が0になるタイミングや、加速度が正から負または負から正に切り替わるタイミングの間隔で決定してもよいし、或る期間に亘って蓄積された加速度の振幅を表す波形データに対し、離散フーリエ変換を行うことによって決定してもよい。この場合、算出部416を実現する制御部41は、或る領域に存在する複数の通信端末の運動の周期を、加速度情報取得手段により取得された加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の周期の区分ごとに統計量を算出する算出手段に相当する。これにより、ばらばらな周期で動いている集団と統一した周期で動いている集団とが区別して評価される。
【0066】
(3)上述の実施形態において、領域の統計量は、加速度を平均した平均値と、その領域で計数された通信端末1の数との積であったが、領域の統計量は様々なものを採用し得る。
例えば、制御部41は、5分や1時間等のように予め定められた期間に亘って、検討対象である領域に存在する通信端末1の全部または一部について、その加速度情報が示す加速度を合計し、合計した合計値を統計量として算出してもよい。この場合、算出部416を実現する制御部41は、或る期間に亘って加速度情報取得手段によって取得された加速度情報により示される加速度を合計した合計値を、統計量として算出する算出手段に相当する。これにより、突発的に生じたノイズを除外することができ、また評価するデータ量も増えるため信頼性の高い評価を行うことができる。
【0067】
(4)上述の実施形態において、サーバ装置4は、領域と関連付けられた統計量に基づいて生成した表示データを統計量情報として通信端末1に送信していたが、統計量情報が送信される態様はこれに限られない。例えば、サーバ装置4は、領域IDと統計量との組を示すデータを送信してもよい。この場合、通信端末1の記憶部12は各領域の領域IDをその領域の位置と関連付けて記憶していればよい。また、サーバ装置4は、領域IDの位置を東経と北緯で示した座標情報を統計量と関連付けて統計量情報として送信してもよい。要するにサーバ装置4は、統計量情報をその領域に関連付けて送信すればよい。
【0068】
(4−1)また、この場合、通信端末1は、通信端末が向いている方位を検知する検知手段を備えていて、統計量情報とその統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得し、検知手段が検知する方位と取得した領域情報および統計量情報とに応じた報知を行ってもよい。具体的には、以下の通りである。
通信端末1は、通信部16により、サーバ装置4によって出力される統計量情報と領域情報の組を取得する。すなわち、通信部16は、サーバ装置4等の演算装置によって出力される統計量情報と当該統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得する統計量情報取得手段に相当する。
【0069】
この通信端末1は、光ファイバジャイロ、リング・レーザ・ジャイロ等のジャイロセンサを備えている。ジャイロセンサは検知手段の一例であり、基板の角速度を測定することにより、通信端末1の方位を検知する。通信端末1の制御部11は、位置測定部17が測定した通信端末の位置とジャイロセンサが検知した方位とに基づいて、通信端末が向いている方位に通信部16が受信した領域情報により示される領域があるか否かを判断する。そして、この方位にこの領域があると判断すると、制御部11は、通信部16が受信した統計量情報に応じて報知をする。
【0070】
例えば、記憶部12には、予め統計量の区分と音量とが対応付けて記憶されている。制御部11は、検知した方位に上記の領域があると判断すると、その領域についてサーバ装置4において算出された統計量の属する統計量区分を特定する。そして、制御部11は、その統計量区分に応じて設定された音量で音声処理部15によりアラーム音を放音する。これにより、携帯電話機等の通信端末1のユーザは、この通信端末1を様々な方位に向けて放音されるアラーム音を聞き比べることにより、どの方位にユーザの気分が高揚している施設があるかを知ることができる。
【0071】
(4−2)また、携帯電話機等の通信端末1にデジタル・スチル・カメラ(以下、単にカメラという)等の撮影手段が備えられている場合には、この撮影手段によって撮影された画像を、統計量情報に応じて加工してもよい。
例えば、通信端末1は撮影手段に相当するカメラを備えており、上述のジャイロセンサはカメラが撮影した方位を検知する。通信端末1の制御部11は、位置測定部17が測定した通信端末の位置とジャイロセンサが検知した方位とに基づいて、カメラが撮影した方位に通信部16が受信した領域情報により示される領域があるか否かを判断する。そして、この方位にこの領域があると判断すると、制御部11は、通信部16が受信した統計量情報に応じて、カメラが撮影した画像を加工する。
【0072】
記憶部12には、予め統計量の区分と色とが対応付けて記憶されており、制御部11は、上記の方位にある領域についてサーバ装置4において算出された統計量の属する統計量区分に応じた色を、カメラが撮影した画像に重畳する。検知される方位の精度が、カメラが撮影した画像の画角に比較して高い場合には、この色は、カメラが撮影した画像のうち、その領域のある方位に応じた部分に重畳されてもよい。通信端末1のユーザは、この加工された画像を見ることで、どの方位にユーザの気分が高揚している施設があるかを知ることができる。
【0073】
(5)上述の実施形態において、制御部11は、予め定められた期間において位置測定部17が出力する位置情報と、その期間において加速度測定部18が出力する加速度情報とを収集すると、収集したこの位置情報および加速度情報を、制御部11のROMに予め記憶された通信端末1を識別する端末IDと組み合わせて収集データとして、通信部16を介してサーバ装置4へ送信していたが、位置情報と加速度情報は別々にサーバ装置4へ送信されてもよい。
【0074】
例えば、通信端末1は、端末IDと位置情報とを組み合わせた第1の収集データと、端末IDと加速度情報とを組み合わせた第2の収集データとを送信してもよい。この場合、サーバ装置4において第1の収集データが受信されると、制御部41はこれを収集データ群421として蓄積する。そして、収集データ群421に基づいて、検討対象である領域において閾値を超える数の通信端末1が存在する場合に、受信した第2の収集データの中から、その領域に存在する通信端末1の端末IDを含んでいるものだけを抽出して統計量を算出すればよい。
【0075】
(6)通信端末1がサーバ装置4に送信する収集データには、通信端末1において測定された時刻が含まれていてもよい。例えば、通信端末1は、収集データを収集する時の時刻や送信する時の時刻を示す端末時刻情報を制御部11に備えらたタイマ(図示せず)によって取得し、この端末時刻情報と関連付けてこの収集データをサーバ装置4に送信してもよい。複数の通信端末1において、それぞれ測定される時刻は一致していない場合が多い。したがって、サーバ装置4の制御部41が、収集データを受信したときの受信時刻とその収集データに関連付けられた端末時刻情報が示す時刻との差を端末IDごとに記憶部42に記憶させ、各通信端末1における時刻のずれを補正してもよい。
【0076】
(7)また、この場合、通信端末1は、単一の収集データをその都度、サーバ装置4に送信するのではなく、複数の収集データを蓄積し、各収集データにそれぞれ対応する端末時刻情報を付して、ひとまとまりとしてサーバ装置4に送信してもよい。このひとまとまりの収集データを受信すると、サーバ装置4の制御部41は、これら複数の収集データ含まれる各端末時刻情報が示す時刻のうち、最も新しい時刻と受信時刻との差に応じて、これら複数の収集データに付された端末時刻情報を補正して記憶部42に蓄積すればよい。
【0077】
(8)上述の実施形態において、位置測定部17はGPS方式を用いて通信端末1の位置を測定していたが、通信端末1が通信端末1の位置を認識する方法はこれに限られない。
例えば、周知のように、移動通信サービスにおいては、携帯電話機等の通信端末がどこにあっても着信できるように、位置管理装置に各通信端末の位置を記憶しておくのが一般的である。具体的には、移動通信サービスの通信回線に備えられた複数の基地局はそれぞれ自局の識別情報(以下、基地局IDという)を含んだ信号を定期的に発信しており、通信端末はこれらの信号を受信して、そのうち最も強い信号から基地局IDを抽出する。そして、抽出した基地局IDを既に不揮発性メモリ等に記憶されている基地局IDと比較し、異なっている場合には抽出した基地局IDによって記憶を上書きするとともに、上述の位置管理装置へ各通信端末からその通信端末の識別情報とその通信端末が受信した基地局の識別情報とを含む位置登録要求を送信する。位置管理装置は、位置登録要求を受信してこれをHDD等の記憶装置に登録する。
【0078】
通信システム9は、この位置管理装置を備えており、通信端末1は基地局2が発信する基地局IDを記憶することにより通信端末1の位置を認識すればよい。この場合、位置測定部17はなくてもよい。また、サーバ装置4は、各通信端末1が送信する位置登録要求に含まれた基地局IDを位置情報として用いればよい。サーバ装置4が位置管理装置を兼ねてもよい。
【0079】
(9)上述の実施形態において、位置情報は、北緯を表す数値と東経を表す数値の組であったが、位置情報は領域IDであってもよい。この場合、通信端末1の記憶部12は各領域の領域IDをそれぞれの領域の位置とともに記憶しており、位置測定部17が通信端末1の位置を測定すると、制御部11は記憶部12を参照して、測定されたこの位置が属する領域の領域IDを特定すればよい。
【0080】
また、位置情報は、北緯、東経、および高さをそれぞれ表す数値の組であってもよい。この場合、地図データは、市町村等の地域を立体空間に表したものとなる。これにより、通信システム9は、ビル内の異なる階をそれぞれ示す各領域や、歩道橋の上と下をそれぞれ示す各領域のように高さ方向にのみ異なる領域を互いに区別することができる。
【0081】
(10)通信端末1の制御部11やサーバ装置4の制御部41によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11および制御部41によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…通信端末、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、14…表示部、141…表示画面、15…音声処理部、16…通信部、17…位置測定部、18…加速度測定部、2…基地局、3…通信回線、4…サーバ装置、41…制御部、411…蓄積部、412…位置情報取得部、413…計数部、414…特定部、415…加速度情報取得部、416…算出部、417…出力部、42…記憶部、421…収集データ群、422…統計量テーブル、43…通信部、9…通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末から、各通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、或る領域に存在する前記通信端末を計数する計数手段と、
前記計数手段により計数された前記通信端末の数が閾値を超える場合に、前記領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する加速度情報取得手段と、
前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報を用いた統計を取って統計量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された統計量を示す統計量情報を前記領域に関連付けて出力する出力手段と
を具備することを特徴とする演算装置。
【請求項2】
前記計数手段は、前記位置情報に基づいて、予め定められた複数の領域にそれぞれ存在する前記通信端末を計数し、
前記加速度情報取得手段は、前記計数手段により計数された前記通信端末の数が、当該通信端末が存在する前記領域ごとに予め定められた閾値を超える場合に、当該各領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報がそれぞれ示す加速度を平均した平均値と、前記計数手段により計数された前記通信端末の数との積を、前記統計量として算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の演算装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記或る領域に存在する複数の通信端末の運動の方向を、前記加速度情報取得手段により取得された前記加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の方向の区分ごとに前記統計量を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の演算装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記或る領域に存在する複数の通信端末の運動の周期を、前記加速度情報取得手段により取得された前記加速度情報が示す加速度によって特定し、予め定められた運動の周期の区分ごとに前記統計量を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の演算装置。
【請求項6】
前記算出手段は、或る期間に亘って前記加速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報により示される加速度を合計した合計値を、前記統計量として算出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の演算装置。
【請求項7】
前記出力手段は、表示用空間において前記領域に対応する位置に前記算出手段により算出された前記統計量に応じた画像を配置した表示データを生成し、生成した当該表示データを前記統計量情報として出力する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の演算装置。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の通信端末から各通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップによって取得された前記位置情報に基づいて、或る領域に存在する前記通信端末を計数する計数ステップと、
前記計数ステップにより計数された前記通信端末の数が閾値を超える場合に、前記領域に存在する複数の前記通信端末から、当該通信端末の加速度を示す加速度情報を取得する加速度情報取得ステップと、
前記加速度情報取得ステップによって取得された前記加速度情報を用いた統計を取って統計量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された統計量を示す統計量情報を前記領域に関連付けて出力する出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の演算装置によって出力される統計量情報と当該統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得する統計量情報取得手段と、
自端末が向いている方位を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された方位に前記統計量情報取得手段が取得した領域情報により示される領域がある場合に、前記統計量情報取得手段により取得された当該領域の統計量情報に応じた報知をする報知手段と
を具備することを特徴とする通信端末。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の演算装置によって出力される統計量情報と当該統計量情報に関連付けられた領域を示す領域情報とを取得する統計量情報取得手段と、
撮影手段と、
前記撮影手段により撮像された方位を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された方位に前記統計量情報取得手段が取得した領域情報により示される領域がある場合に、前記統計量情報取得手段により取得された当該領域の統計量情報に応じて、前記撮影手段が撮影した画像を加工する加工手段と
を具備することを特徴とする通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−193078(P2011−193078A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55535(P2010−55535)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】