説明

潤滑剤塗布装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

【課題】 潤滑剤が、所定の姿勢を維持して塗布ローラに圧接したまま、加圧方向へのスムーズな移動が可能な潤滑剤塗布装置、この潤滑剤塗布装置を具えたプロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 像担持体7に潤滑剤31を塗布する潤滑剤塗布装置30,40において、前記像担持体7と潤滑剤31との間に配置された潤滑剤塗布ローラ32と、この潤滑剤塗布ローラ32に潤滑剤31を押圧付勢する加圧手段33とを有し、前記加圧手段33は、前記潤滑剤31を、前記潤滑剤塗布ローラ32に近づく加圧方向に所定にガイドするガイド部材36を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機などの画像形成装置が有した像担持体に、潤滑剤を塗布するために用いられる潤滑剤塗布装置、または、少なくとも像担持体および潤滑剤塗布装置を有したプロセスカートリッジ、およびこれらのいずれかを具えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリン酸亜鉛などが一般的に用いられた潤滑剤を、ブラシローラやスポンジローラなどの潤滑剤塗布用ローラ(以降、塗布ローラと称する)で、像担持体である感光体ドラムや中間転写体ベルトなどに塗布して、これらの感光体ドラム、および中間転写体ベルトの寿命向上や、画像転写時の虫食い対策などの転写性向上を図るようにしていた。
【0003】
すなわち、像担持体の像担持側表面に、その外周面が均一に接するように塗布ローラを回転可能に配置し、この塗布ローラを像担持体の回転に伴い従動回転させるか、回転駆動させるかするとともに、この回転する塗布ローラに、液体状や固形状の潤滑剤が所定圧を確保して接するように構成した潤滑剤塗布装置が、提案されていた。この潤滑剤は、おもりの自重、あるいはスプリングの弾性力などを用いて押圧付勢され、所定圧を確保するようにしている。
【0004】
また、この潤滑剤塗布装置としての潤滑剤塗布手段が、像担持体と潤滑剤との間に配置される潤滑剤掻き取り手段と、この潤滑剤掻き取り手段に潤滑剤を押圧付勢する加圧手段と、加圧手段の加圧力を所定に変更する加圧力変更手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、この構成では、潤滑剤掻き取り手段として、ファーブラシなどの塗布用ブラシを用い、たとえば潤滑剤の非ブラシ側となる背面側に、圧縮バネとして潤滑剤加圧スプリングを配置して、このスプリングの弾性復帰力により潤滑剤を押圧付勢するとともに、潤滑剤と反対側のスプリング端を深さの異なる階段状の段部で保持した構成の加圧力変更手段であるスプリングケース部を設けている。したがって、この構成によれば、塗布されて消費された潤滑剤が小さくなるのに伴い加圧スプリングが伸張して、スプリング力が弱まった場合には、加圧スプリングをより浅い段部で保持しなおすことにより、潤滑剤に接しさせながら加圧スプリングを圧縮して、加圧力を回復できる。
【0005】
このように塗布用ブラシに対する加圧力を調整可能に構成しているので、不足した加圧力を補充して、潤滑剤の塗布ムラ、塗布不足による虫食いやクリーニング不良を防止できる一方、加圧力を可変に構成したので、ブラシの毛倒れが発生しにくく、塗布用ブラシのトルク変動によるバンディングを防止できるとされている。
【特許文献1】特開2000−231298公報(第2,5頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の構成は、塗布ローラ側に加圧されて常時接した潤滑剤が、この回転する塗布ローラを介して像担持体に潤滑剤を供給する構成なので、潤滑剤自体は加圧方向に僅かでも移動可能とされている。たとえば固形潤滑剤は、供給して消費された分だけ潤滑剤が塗布ローラに近づく。このため、この潤滑剤は、塗布ローラの回転によって、潤滑剤を回転方向の下流側へ移動させようとする力を受けることになる。
【0007】
したがって、潤滑剤を保持する保持部材の両端部で、加圧方向の運動を一定方向に規制してガイドした構成では、潤滑剤とこの潤滑剤を保持する保持部材の係止もしくは係着部分で前記ローラの回転による力を受け留めることになり、潤滑剤の破損、脱落などの問題が発生してしまう。
【0008】
また、潤滑剤とこの潤滑剤を保持する保持部材の係止もしくは係着部分の保持力を高めて確保した構成では、保持部材の両端部のガイド部分には安定した摺動性が要求される。しかし、安定した摺動性が得られない場合には、塗布ローラへの当接力の変動や当接状態の不均一さが生じてしまう。この結果、潤滑剤塗布時のムラ、塗布不足による虫食いやクリーニング不良、塗布ローラのトルク変動によるバンディング等が発生してしまう。このバンディングとは、副走査方向(感光体ドラムの回転軸長方向または中間転写体ベルトのベルト幅方向)に画像濃度ムラが生じ、形成した画像にスジ状の痕跡が認められることである。
【0009】
そこでこの発明は、前記従来のものの問題点を解決し、潤滑剤を所定の姿勢を維持して塗布ローラに圧接したまま、加圧方向へのスムーズな移動が可能な潤滑剤塗布装置、少なくとも像担持体および潤滑剤塗布装置を有したプロセスカートリッジ、およびこれらのいずれかを具えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置において、前記像担持体と潤滑剤との間に配置された潤滑剤塗布ローラと、この潤滑剤塗布ローラに潤滑剤を押圧付勢する加圧手段とを有し、前記加圧手段は、前記潤滑剤を、前記潤滑剤塗布ローラに近づく加圧方向に所定にガイドするガイド部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ガイド部材は、少なくとも、前記潤滑剤に対して潤滑剤塗布ローラ回転下流側、かつ潤滑剤加圧方向とほぼ平行に配置して複数、設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、固形潤滑剤であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記ガイド部材は、像担持体を保持する枠体、もしくは潤滑剤を収める枠体と一体化した部材として構成することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記潤滑剤の加圧方向中心線が、前記潤滑剤塗布ローラ回転中心に対して該潤滑剤塗布ローラ回転上流側を通過するように配置し、かつ、前記塗布ローラに接した潤滑剤断面形状が、前記加圧方向中心線に対して非対称にしたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、前記請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を具えたことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、画像形成装置において、前記請求項7に記載のプロセスカートリッジを具えたことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、画像形成装置において、前記請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を具えたことを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の画像形成装置において、使用されるトナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項8または9に記載の画像形成装置において、使用されるトナーは、形状係数SF−1で100〜180の範囲にあり、かつ形状係数SF−2で100〜180の範囲にあることを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項8または9に記載の画像形成装置において、使用されるトナーは、略球形であり、長軸と短軸の比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲で、厚さと短軸の比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であって、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明は、前記のような構成であるから、塗布の進展に伴い潤滑剤が小さくなっても、ガイド部材によって、潤滑剤を所定の姿勢を維持して塗布ローラに圧接したまま、加圧方向へスムーズに移動させることができる。このため、潤滑剤を安定して像担持体に塗布させることができ、像担持体が形成した画像の画質向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明を実施するための最良の形態を、添付図面に示す第1の実施形態を参照して説明する。
【0024】
図1は、この発明の第1の実施形態としての潤滑剤塗布装置を用いたプロセスカートリッジ式のカラー画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図2は、潤滑剤塗布装置を有して画像形成装置に交換可能に装着されるプロセスカートリッジの詳細を示す拡大断面図であり、図3は、プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図であり、図4(a)〜(c)は、それぞれ潤滑剤塗布装置を拡大して示した概略断面図、斜視図である。
【0025】
カラー画像形成装置Aは、図1に示すように、カラー画像用の複数色からなるカラートナー像が形成される中間転写ベルト1と、このトナー像用の各色トナーを補給するトナーボトル2とを画像形成装置本体(以降、装置本体と称する)3内に収容して有し、装置本体3の下部に設けた複数枚の転写紙Sを収納した給紙カセット4から搬送した転写紙Sを、中間転写ベルト1に所定に接しさせてカラートナー像を転写しさらにトナー像を定着させて、上部から排出するようにしている。
【0026】
すなわち、カラー画像形成装置Aの概略下部から上部に掛けて、1枚の転写紙Sをフィードする給紙コロ21と、トナー像転写用の搬送タイミングを確保するレジストローラ22と、中間転写ベルト1に接するように対向配置され中間転写ベルト1との間に所定圧を確保したニップを形成した2次転写ローラ23と、対向配置された加熱ローラ24aおよび加圧する加圧ローラ24bを有した定着ユニット24と、転写紙Sを装置外に排出する排紙ローラ25とが配置されており、これらのコロやローラが形成した搬送経路によって転写紙Sを搬送する過程で、この搬送される転写紙Sに対して、順次、前記ニップにより中間転写ベルト1からトナー像を転写し、この転写したトナー像を、定着ユニット24により所定に加熱および加圧して転写紙Sに定着して、トナー像が定着された転写紙Sを排出している。
【0027】
中間転写ベルト1は、3つの支持ローラ11,12,13に張架されて、装置本体3の略中央で図中の斜め左上がりに傾斜して支持されており、図中に矢印で示す左回り方向の搬送方向にベルト送り駆動されている。また、これらの支持ローラ11,12,13および中間転写ベルト1は、装置本体3から着脱可能に一体にユニット化した転写ユニット5を形成している。さらに、この中間転写ベルト1の長手方向に沿って、4つの画像形成ステーションとしてプロセスカートリッジ6Y,6C,6M,6Kが、所定間隔をおいて配設され、各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、フルカラー画像を形成するために各色を担当して、その色のトナー像を形成する像担持体として感光体ドラム7Y,7C,7M,7Kをそれぞれ有している。
【0028】
各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、各感光体ドラム7Y〜7Kに形成した各色のトナー像を、静電転写方式を用いて中間転写ベルト1に転写しており、このように転写したトナー像が中間転写ベルト1の同じ位置に重ねて転写されるように、所定に作像タイミングをずらしている。すなわち、これらの感光体ドラム7Y〜7Kには、それぞれに対応して中間転写ベルト1の内側に1次転写ローラ14Y〜14Kが対向配置され、各1次転写ローラ14Y〜14Kにより押圧された中間転写ベルト1の部分と各感光体ドラム7Y〜7Kとの間に、所定圧を確保した1次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体ドラム7Y〜7K上のトナー像を中間転写ベルト1上に転写する際には、各1次転写ローラ14Y〜14Kに正極性のバイアスが印加され、各1次転写ニップ部に転写電界が形成され、各感光体ドラム7Y〜7K上のトナー像が、中間転写ベルト1上に静電的に付着して転写される。また、これらの各感光体ドラム7Y〜7Kはそれぞれ、露光装置9によって露光されて各色に対応した静電潜像を形成し、それぞれの静電潜像を各色のトナーで可像化して担当した色のトナー像を形成するようにしている。
【0029】
なお、15は、ベルトクリーニング装置であり、このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト1の表面に接するファーブラシやクリーニングブレードを有して、これらのファーブラシ及びクリーニングブレードが、2次転写したあとに中間転写ベルト1の表面に残留して付着した不要なトナーを掻き落して回収している。この回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段によって図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0030】
これらの各プロセスカートリッジ6Y〜6Kにトナーを供給して補給するトナーボトル2は、装置本体3内の上部で図中の左側から右側に順次、複数個、配置され、カラー画像形成装置Aに着脱自在な交換性を確保して設けられている。これらのトナーボトル2には、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナーが充填されている。各トナーボトル2Y,2C,2M,2Kから図示しない搬送経路を介して、各トナーボトル2に対応した各色のプロセスカートリッジ6Y〜6Kにトナー供給可能に接続され、所定の補給量だけ各色のトナーが補給されている。また装置本体3の下部には、装置外方に引出し可能に給紙カセット4が設けられ、この給紙カセット4には、所定の枚数の転写紙Sが積載されて収納されている。
【0031】
したがって、このように構成されたカラー画像形成装置Aでは、給紙カセット4に収納された転写紙Sが給紙コロ21で1枚ずつフィードされ、搬送経路上を運ばれ、その先端がレジストローラ22まで到達すると、この転写紙Sの先端が図示しないセンサによって検知される。そして、この検出信号に基づき同期のタイミングを取りながら、レジストローラ22によって2次転写ローラ23と中間転写ベルト1とにより形成したニップに転写紙Sを搬送し、中間転写ベルト1から転写紙Sに中間転写ベルト1上に形成したカラー画像を2次転写する。
【0032】
このように中間転写ベルト1上に画像を形成するプロセスカートリッジ6(6Y〜6K)は、図2に示すように、同図中の破線矢印で示す右回りに回転駆動される感光体ドラム7(7Y〜7K)を主体に構成され、この感光体ドラム7の周りで、その回転方向の上流側から下流側に渡って、ドラム表面を所定に帯電させる帯電装置27と、ドラム表面の潜像をトナー像で可像化するに現像装置28と、一次転写したあとにドラム表面に残留した不要トナーを除去するクリーニング装置29とを、順次、配置した構成とされ、回転方向におけるクリーニング装置29よりも上流側には、ドラム表面に潤滑剤を供給する潤滑剤塗布装置30が設けられている。
【0033】
また感光体ドラム7はそのドラム表面の一部を、所定形状のプロセスカートリッジ外装ケース(以降、外装ケースと称する)8の上部から外部に露出して設けられ、他の各装置は、外装ケース8内に収容され、一体にユニット化した感光体ユニットとしてプロセスカートリッジ6を形成しており、このプロセスカートリッジ6は装置本体3に簡易に着脱可能に構成されている。したがって、プロセスカートリッジ6内に収容された部品が消耗して耐用寿命に達したり、プロセスカートリッジ6が担当した色の画像形成機能メンテナンスが必要になったりしたときに、そのプロセスカートリッジ6だけを新品に交換すれば済むので、画像形成装置Aとしての修理を不要にして、利便性を向上させている。
【0034】
なお、この実施形態では、中間転写ベルト1を有する転写ユニット5、およびトナーボトル2Y〜2Kが、このプロセスカートリッジ6とは別個に装置本体3に着脱自在な構成とされて、それぞれ単体での交換性を確保しており、プロセスカートリッジ6と同様に利便性などの向上を図っている。
【0035】
帯電装置27は、感光体ドラム7の表面を一様な負極性に帯電するようにしている。この実施形態における帯電装置27は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行なっている。すなわち、帯電装置27は、帯電ローラ27aを有し、この帯電ローラ27aを感光体ドラム7の表面に接触させて所定に従動回転させるとともに、帯電ローラ27aに負極性バイアスを印加することにより、感光体ドラム7の表面を一様に帯電している。この実施形態では、感光体ドラム7の表面電位が一様に−(マイナス)500[V]となるような直流の帯電バイアスを帯電ローラ27aに印加している。なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させてもよい。しかし、重畳させる場合には、交流バイアスを生成する回路構成が必要となり、装置が大型化するので、装置の小型化の観点からは好ましくない。なお、27bは、帯電ローラ27aのローラ表面をクリーニングする帯電クリーニングローラであり、27cは、帯電された感光体ドラム7表面に接したドクターブレードである。
【0036】
このようにして一様に帯電した感光体ドラム7の表面は、露光装置9によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置9は、原稿などから読取った入力情報を各色に分解した画像情報を形成し、この画像情報に基づき露光Lを生成し、この露光Lによって各感光体ドラム7(7Y〜7K)に各色に対応した静電潜像を書き込むように構成されている。
【0037】
また、現像装置28は、その現像剤としてのトナーを収容した小室に設けた開口から現像剤担持体としての現像ローラ28aを部分的に露出して、感光体ドラム7の表面に対面させた構成とされている。この実施形態で使用する現像装置28では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しているが、キャリアを含まない一成分現像剤を使用してもよい。現像装置28は、図1に示されるトナーボトル2Y〜2Kから、対応する色のトナーの補給を受領してその内部に区画形成した小室に収容している。これらのトナーボトル2Y,2C,2M,2Kは、それぞれが単体で交換できるように、装置本体3に着脱可能に構成されている。したがって、トナーエンド時には、たとえば空になったトナーボトル2Y,2C,2M,2Kだけを交換すればよく、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用できるので、ユーザの出費を抑えることができる。他方、トナーエンド時には、ボトル交換するため以外に装置本体3が有したカバー部材や開閉扉の開け閉め、関連部材の出し入れをせずに済み、これらの回数を削減できるので、トナー飛散を防止したり、最小限に留めたりすることができる。このため、装置本体3内などのトナー汚れが抑制され、この面でも整備保守性の向上を図ることができる。
【0038】
トナーボトル2Y,2C,2M,2Kから現像装置28内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー28bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ28a上に担持されることになる。この現像ローラ28aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ28aの外周表面上に穂立ちした状態となって感光体ドラム7と対向する現像領域に搬送される。この現像領域において、現像ローラ28aの外周速度が、感光体ドラム7の外周速度よりも速い線速となるように、現像ローラ28aは回転駆動されている。したがって、現像ローラ28a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム7の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーが感光体ドラム7の表面に移行して、トナーを供給する。このとき、現像ローラ28aには、図示しない電源から−300[V]の現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム7上の静電潜像と現像ローラ28aとの間では、現像ローラ28a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。したがって、現像ローラ28a上のトナーは、感光体ドラム7上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム7上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像を可視像化して現像される。
【0039】
なお、帯電装置27と現像装置28との間には、露光装置9から発した潜像形成用の光Lが感光体ドラム7にまで到達できるように、外装ケース8に形成されたスリット状の開口から感光体ドラム7表面に至るまで、妨害物のない直線状の空隙が確保されている。
【0040】
クリーニング装置29は、感光体ドラム7表面に接して残留トナーを掻き落とすクリーニングブレード29aを主体に構成され、クリーニングブレード29aと、このクリーニングブレード29aを揺動可能に支持する支持部材29bと、この支持部材29bを所定の揺動方向に付勢してクリーニングブレード29aが接する所定圧を確保する加圧スプリング29cとを有している。なお、29dは、クリーニングブレード29aが掻き落とした残留トナーを図示しない廃トナータンクまで搬送する回収スクリューである。
【0041】
感光体ドラム7表面に潤滑剤を塗布して供給する潤滑剤塗布装置30は、図2ないし図4(a)〜(c)に示すように、像担持体としての感光体ドラム7と潤滑剤31との間に配置された潤滑剤塗布ローラである塗布ローラ32と、この塗布ローラ32に向けて潤滑剤31を所定に押圧付勢する加圧手段33とを有し、この加圧手段33は、塗布ローラ32に先端を向けた潤滑剤31を収納した潤滑剤ケース34と、この潤滑剤ケース34に収納され潤滑剤31の基端を押圧する加圧スプリング35とを有し、また潤滑剤ケース34には、潤滑剤31を加圧方向に所定にガイドするガイド部材36が設けられている。そして、この潤滑剤塗布装置30では、所定に回転駆動される塗布ローラ(ブラシローラ)32の回転によって、塗布ローラ32が、潤滑剤(コーティングバー)31を削り取って、この削り取った潤滑剤31を、感光体ドラム7表面に塗布して供給している。すなわち、この潤滑剤31の供給量は、所定の量が必要になるため、所定の圧で塗布ローラ32に当接するように、スプリングなどの弾性部材によって潤滑剤31を加圧している。
【0042】
塗布ローラ32は、感光体ドラム7の長手方向の長さよりも長い軸長を確保した中心軸32aと、この中心軸32aの径方向全周に渡って放射状に植設された多数のブラシ毛からなるブラシ32bとを有している。この塗布ローラ32の中心軸32aは、感光体ドラム7の回転中心軸と平行で、かつ所定間隔をおいて、外装ケース8の側壁に回転可能に軸支されている。したがって、塗布ローラ32のブラシ32bの先端が、感光体ドラム7の表面、かつドラム長手方向に沿った全域に渡って、直線帯状に接するようにしている。また中心軸32aは、図示しない駆動モータを駆動源にした回転駆動機構に接続され、この回転駆動機構によって、塗布ローラ32は、同図中に破線矢印で示すように反時計方向である左回りに、所定の速度で、回転駆動されている。したがって、同図中に破線矢印で示す右回りに回転駆動される感光体ドラムの回転抵抗を増加させずに、感光体ドラムに塗布ローラ32が同期的に回転してブラシ32bのブラシ毛先端が接し、このブラシ毛先端からドラム表面に潤滑剤31が載り移って塗布される。
【0043】
このように感光体ドラム7に潤滑剤31を供給する目的としては、感光体ドラムの摩耗を抑制し高寿命化を図ることが挙げられる。すなわち、摩耗によって、感光体ドラム表面の感光層が、ある一定量以上に削れてしまうと、感光体としての電気特性が変化してしまい、所定の作像プロセスが行なえなくなるので、耐用寿命に達してしまう。この摩耗は、作像プロセスにおいて、作像に関連した他のユニットの部材が接触した感光体ドラム表面上の各部位におけるすべての部位で発生している。
【0044】
しかし、このような摩耗に関して一番問題となる感光体ドラムに関連したユニットとしての装置は、感光体ドラム表面に残留したトナーを力学的、機械的に除去するクリーニングブレード29aであり、他のユニットとしての装置による摩耗はあるものの、感光体寿命に実質的に影響するほどではない。
【0045】
このように感光体寿命に大きな影響を与えるクリーニングブレード29aによる摩耗に関して、さらに考察を進めると、クリーニングブレード29aのブレードエッジが感光体ドラム7の表面に接して形成したクリーニング部で発生する摩耗は、主に2つの形態に分けられる。一つは、感光体とブレードに発生する剪断力による摩耗である。もう一つは、トナーがブレードと感光体との間に挟まれて、この挟まれたトナーが砥石のような働きをし、摩耗させる「ざらつき摩耗」である。
【0046】
これらの磨耗の度合いを決定する要因としては、感光体の構造上の強さ、クリーニングブレードの当接圧、トナー粒子の組成、感光体の表面摩擦係数μ(この摩擦係数μが低下すると、結果として摩耗量が減少する)などがある。
【0047】
したがって、このような感光体の表面摩擦係数μの低下を図る低μ化潤滑剤を、感光体に付加させると、その効果として、感光体とクリーニングブレードとの間の摩擦係数が低下し、その摩耗量を減少させることが可能になる。したがって、この実施形態における低μ化潤滑剤は、この目的を達成するために感光体の表面に付加される。
【0048】
次に、像担持体(感光体)の静止摩擦係数について、オイラー・ベルト方式(オイラーの公式から導き出された式)によって測定したデータを用いて検証した。すなわち、ベルトとして、中厚の上質紙を、紙すき(紙繊維)がベルト長手方向になるように所定のベルト形状に裁断し、このベルトを、台座上に固定した測定用の感光体に所定に接するように掛け渡し、ベルトの一端におもりを取付け、他端を引っ張ったときに、感光体との間に生じた摩擦力に抗してベルトが動き出す引っ張り力を測定し、所定式を用いて、静止摩擦係数を求めた。すなわち、一方のベルト端部におもりを取付けて荷重(たとえば、100gr)をかけ、ベルト中間部が感光体のドラム円周1/4に渡って接するようにベルトを張架し、他方のベルト端部にフォースゲージを接続して設置し、フォースゲージをゆっくり一定の速度で引き、ベルトが移動を開始した時点でのゲージに示された値を読みとり、この測定値と設定された各値とを以下の式に代入して静止摩擦係数を算出する。なお、この測定法(オイラー・ベルト方式)については特開平9−166919号公報にも記載されている。
μs=2/π×ln(F/W)
但し、μs:静止摩擦係数、F:測定値(ゲージ読みとり)、W:荷重(分銅の重さ)、π:円周率
【0049】
今回、上述した摩耗に関する観点から見ると、オイラー・ベルト方式を用いた実証データによって、感光体表面の静止摩擦係数が、0.4以下でその摩耗を減少した効果が得られることが解かっている。したがって、この実施形態においては、その感光体静止摩擦係数を0.4以下に低下させるように構成している。但し、摩擦係数が常に0.4以下を維持するのではなく、ある程度の摩耗量をコントロールする場合は任意の時間、0.4を超えることが有ってもよい。また、摩耗に関して更に効果の高い領域として0.3〜0.1にもコントロールすることができる。この場合は、摩耗量に関しては更に少なくなることが観察されている。なお、摩擦係数の下限に関しては、その環境条件等に適合させた形で、任意に設定してよい。
【0050】
なお、像担持体については感光体ドラム7を用いて、その説明を行なうが、この実施形態の潤滑剤塗布装置30の適用対象については、感光体だけに限られるものではない。例えば、画像を担持すると言う意味で、中間転写ベルト1などにも同様に適用することが可能である。また、この実施の形態では、プロセスカートリッジ6が潤滑剤塗布装置30を有し、このプロセスカートリッジ6が上記の各装置を有している構成を示したが、装置本体3に容易に着脱可能な構成であれば、これに限られることはない。すなわち、プロセスカートリッジとして、帯電手段である帯電装置、現像手段である現像装置、クリーニング手段であるクリーニング装置のうち、少なくとも1つ以上と、像担持体である感光体ドラムとをカートリッジ状の外装ケース8に収容して一体化した構成であり、かつ装置本体3に容易に着脱可能な構成であればよく、適宜、画像形成装置の設計仕様などに応じて、外装ケース8内に収容する装置を選択したものとする。
【0051】
さらに、使用する潤滑剤であるが、例として以下に示したものが考えられる。但しこれらはあくまで一例であり、これに制限されるものではない。
すなわち、潤滑剤としては、液体・固体・粉末等の各種潤滑作用を有する材料を用いることができる。
シリコンオイル・フッ素オイル…等の潤滑性液体。
PTFE・PVDF等の各種フッ素含有樹脂・シリコーン樹脂・ポリオレフィン系樹脂・シリコングリース・フッ素グリース・パラフィンワックス・ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩・黒鉛・二硫化モリブデン…等の潤滑性固体等。
【0052】
さらに、上記のフッ素樹脂について詳細に説明する。
一般的にフッ素樹脂とは、分子中にフッ素原子を含有する合成高分子のことであり、通常ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂:略称PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂:略称PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(四フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂:略称FEP)、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体(四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂:E/TFE)、ポリビニリデンフルオライド(フッ化ビニリデン樹脂:PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化塩化エチレン樹脂:略称PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(三フッ化塩化エチレン・エチレン共重合樹脂:略称E/CTFE)、テトラフロオエチレン−パーフロロジメチルジオキソール共重合樹脂(略称TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(フッ化ビニル樹脂:略称PVF)の9種類を指す。
【0053】
フッ素樹脂は、表面摩擦係数が低いものが多い。これは1)フッ素分子の分極率が小さいため、含フッ素化合物の分子間凝集エネルギーが低いこと、2)構造的に分子鎖表面が滑らかなこと、3)配向によって摩擦抵抗が緩和されること等によると考えられる。一般的に、フッ素樹脂は耐熱性、耐薬品性に優れ、電気絶縁性が良好であるという特徴を持つ。
【0054】
この実施形態の潤滑剤塗布装置30では、潤滑剤31は、ステアリン酸亜鉛を主成分としたもの、または、少なくともステアリン酸亜鉛を含んで所定に均質に固形化されたものを用いている。したがって、潤滑剤31が、ステアリン酸亜鉛を主体に構成されているので、固形化した潤滑剤として、正確かつ高精度に所定の形状に形成できる。他方、潤滑剤31としての塗布性が良好となり、塗布むらを防止できる。このため、塗布量のムラによって生じる感光体ドラム7などの像担持体の転写効率が不安定になることを抑制できる。この結果、画質の向上が図れる。
【0055】
潤滑剤31は、加圧方向とほぼ平行に平らな面を持ち、加圧方向に長くガイド部材36に沿うことが可能な形状とされている。すなわち、潤滑剤31は、少なくとも、塗布ローラ32のローラ長さと略等しい全長の長さを確保した略長方体形状に形成され、かつ加圧方向に長い長方形状に形成されている。また潤滑剤31は、その塗布ローラ32の回転方向における幅が、塗布ローラ32の回転外周直径よりも、所定に短い幅が設定されている。すなわち、この幅としては、中心線を境にした左右半分での摩擦力のバランスが大きく損なわれない程度の幅が設定されている。
【0056】
また、潤滑剤31は、その塗布ローラ32に対して背面となる一面に、剛性強度を充分に確保した略板状の潤滑剤保持部材(以降、保持部材と称する)31aが貼着されて設けられており、この保持部材31aによって、潤滑剤31を所定に補強するとともに、加圧スプリング35などによる押圧力が、片寄ることなく、充分な剛性強度の保持部材31aを介して潤滑剤31に伝達され、保持部材31aが接した潤滑剤31の一面全域に均等に行き渡るようにしている。すなわち、潤滑剤31は、板金製の保持部材31aに両面テープで貼り付けた状態で用いられ、取り扱う上で折れたり割れたりしないようにしている。
【0057】
潤滑剤ケース34は、潤滑剤31と加圧スプリング35とを収納可能な内部空間を確保した有底の中空ケース状に形成され、その開口側が、塗布ローラ32の回転外周面に対面させて位置され、かつプロセスカートリッジの外装ケース8の一部を構成するように、外装ケース8に組み込まれて設けられている。加圧スプリング35は、コイルスプリング(線型バネ)であり、線条材を用いて、所定のスプリング長さで所定の巻数を有したらせん状に形成され、加圧条件に応じたバネ定数が確保されている。
【0058】
したがって、保持部材31aに加圧スプリング35を取付け、潤滑剤31を収める枠体である潤滑剤ケース34へ挿入して所定にセットすると、潤滑剤31は、その基端が、圧縮された加圧スプリング35によって、加圧方向先にある塗布ローラ32側に押圧され付勢され、その先端が塗布ローラ32の外周に常時、所定圧を確保して接する。
【0059】
すなわち、潤滑剤ケース34は、加圧スプリング35による潤滑剤31の加圧方向中心線が、潤滑剤31の中心線に略一致させるように形成されており、またこれらの中心線は、塗布ローラ32の回転中心を通過するように、塗布ローラ32に対する潤滑剤ケース34の相対位置および向きが決められている。
【0060】
そして、この潤滑剤ケース34には、潤滑剤31の塗布ローラ32回転下流側に加圧方向とほぼ平行に配置した複数のガイド部材36を配置している。すなわち、このガイド部材36には、潤滑剤31の側面を潤滑剤ケース34の内壁面に接することなく離せる程度の突出高さが確保されている。このガイド部材36は、潤滑剤ケース34内の底部から塗布ローラ32に面した開口周縁の近傍にまで、加圧スプリング35による加圧方向の中心線に平行な直線に沿った長片状に形成され、一体成形などによって潤滑剤ケース34と一体の構造とされている。
【0061】
したがって、ガイド部材36は像担持体を保持する枠体であるプロセスカートリッジ6の外装ケース8、もしくは潤滑剤31を収める枠体である潤滑剤ケース34と一体の部材として形成し、さらには固形の潤滑剤31と組合せているので、部品の少数化、低コスト化に有利となる。すなわち、部品の少数化による信頼性の向上が図れるとともに、潤滑剤塗布装置30として、多数のガイド部材36を追加しても、部品点数が以前のまま維持されて、別部材のガイド部材を潤滑剤ケース34に取付ける手間が省けるので、製造コストや組立てコストの節減が図れる。また外装ケース8の一部を成形して潤滑剤ケース34とし、さらにこの潤滑剤ケース34にガイド部材36を一体の部材として形成した場合には、同様な理由から、より一層、信頼性の向上が図れ、製造,組立てコストの節減が図れる。さらに、別部材のガイド部材を潤滑剤ケース34に取付けた構成では、取付け部材として結合強度や、取付け位置やガイド部材としての向き精度に充分に配慮して組付ける必要があるのに対して、一体化した構成では、このような配慮を不要にして、強度や向き精度などを充分に確保できるので、ガイド部材36によるガイド性能を充分にかつ安定して発揮させることができる。他方、このようにガイド部材36を潤滑剤ケース34の側壁に一体化した構造としているので、この側壁を補強するリブとしての機能をガイド部材36が果たすことができ、潤滑剤ケース34全体の形状を維持する性能を高めることができる。
【0062】
このガイド部材36が潤滑剤31に接するガイド面は、平坦で滑らかな面に形成され、加圧スプリング35による加圧方向である塗布ローラ32の外周面に近づく方向に向って細長い形状に形成されており、またこのガイド面の幅として、少なくとも、図4(b)に示すように、感光体ドラム表面に潤滑剤を供給して小さくなった潤滑剤31にも、充分な面積を確保して接することができ、かつ安定してガイドできる幅が設定されている。またこのガイド部材36における塗布ローラ32側の先端は、塗布ローラ32に接しないように先細りのテーパ形状に切り欠かれている。
【0063】
ガイド部材36は、潤滑剤31が、塗布ローラ32の回転により変形させられる力をより小さい力で受け止めるため、潤滑剤31の長手幅より内側に配置されている。すなわち、図4(c)に示すように、ガイド部材36は、必要最小限の個数として2つ、潤滑剤ケース34の内壁の2個所に設けている。このようにガイド部材36を設ける2個所としては、潤滑剤31の長手方向における略中央位置を中心にした対称的な位置に対応した箇所とされ、互いに所定の間隔が設定されている。すなわち、これらの2個所の位置でガイド部材36が、潤滑剤31の長手方向における側面を支持しても、潤滑剤31を折損することなく、しかも潤滑剤31の長手方向におけるバランスを良好に保って支持できるようにしている。
【0064】
したがって、ガイド部材36は、その接触箇所を潤滑剤31の長手方向における中心線対称的な2つの箇所としているので、潤滑剤31との接触抵抗を小さくしながら、そのガイド面に潤滑剤31を接しさせて、潤滑剤31をガイド面が連続した方向に摺動させるとともに、長手方向におけるバランスを良好に確保してガイドすることができる。
【0065】
すなわち、従来の構成では、塗布ローラ32の回転で生じた潤滑剤31に作用する摩擦力によって潤滑剤31が押されることを、潤滑剤ケース34の内側壁が、潤滑剤31の側面に直接的に面接触して潤滑剤31を保持するとともに加圧方向にガイドしていたのに対して、この実施形態では、潤滑剤ケース34の内側壁に潤滑剤31の加圧方向に向かった略直線状のガイド部材36を設け、このガイド部材36のガイド面が、潤滑剤31の側面に線接触して潤滑剤31を保持しガイドするようにしてるので、両者間の摺動抵抗を大幅に軽減しながらスムーズにガイドできるとともに、このガイド方向を、線接触による方向性を明確に規定したものとできる。
【0066】
また、ガイド部材36は、このように潤滑剤31の長手方向の両端ではなく、これらの両端の略中間である2つの箇所を保持しているので、潤滑剤31を損傷させずに済み、しかも潤滑剤31の長手方向における中心から線対称の箇所を保持しているので、バランスよく保持され、潤滑剤31に作用する摩擦力に抗した適切な保持が可能となる。したがって、塗布ローラ32の回転方向に対する潤滑剤31の姿勢を、正確に所定の姿勢に保たせ、この姿勢を安定して維持できる。このため、潤滑剤31から研削されて塗布される潤滑剤供給量の安定化や、塗布ムラの解消ができ、この結果として、潤滑剤が供給された像担持体である感光体ドラム7が関与した画像形成の画質向上を図れる。特に、塗布ローラ回転方向における潤滑剤の断面形状に比べて、潤滑剤の長手方向の長さが長くなるのに従って、つまり潤滑剤の全体形状が細長くなるに従って、前記したガイド部材による効果が顕著に得られることになる。
【0067】
次に、この画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。この画像形成装置の現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるものを用いている。したがって、このようなトナーによれば、トナーの帯電量分布が均一となり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができる。また、静電転写方式を用いた画像形成装置では、転写率を高くすることができる。
【0068】
近年の高画質要請に対応して、形成した画像に600dpi以上の微小ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。他方、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は、1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。すなわち、この比(Dv/Dn)が、1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このように小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になるので、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0069】
また、トナーは、その形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものが用いられている。したがって、トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーとの接触状態、あるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるので、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率が高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため、SF−1、SF−2の範囲を100〜180とすることで転写率を高くすることができる。
【0070】
すなわち、トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。これらの形状係数SF−1、形状係数SF−2を、図5(a),(b)にトナーDの形状を模式的に表した図に基づき、説明する。
【0071】
形状係数SF−1は、図5(a)に示すように、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。SF−1は、トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を、図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合には、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0072】
また、形状係数SF−2は、図5(b)に示すように、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合には、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0073】
したがって、トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になる。このため、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなり、従って転写率は高くなる。しかし、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0074】
また、この実施形態の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーとしている。
【0075】
以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0076】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0077】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性が低下する傾向、特に環境変動の影響を受けやすい傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が低下するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が低下するため好ましくない。
【0078】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0079】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0080】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が低下する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
【0081】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が低下するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が低下する。
【0082】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
【0083】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0084】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
【0085】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が低下する。
【0086】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0087】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0088】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0089】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が低下する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が低下する。
【0090】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合に得られた画像の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでもよい。
【0091】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0092】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が低下するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0093】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が低下し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0094】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0095】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0096】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0097】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大して、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0098】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しなくても高温オフセットに対して有用な効果が得られる。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0099】
なお、荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えてもよい。
【0100】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10-3〜2μmであることが好ましく、特に5×10-3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0101】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10-2μm以下のものを使用して攪拌混合を行なった場合には、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上する。このため、所望の帯電レベルを得るために行なわれる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られ、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0102】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性を低下させる傾向がある。このため、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、この副作用の影響に配慮した、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量を0.3〜1.5wt%の範囲にすれば、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られる。すなわち、コピーつまり画像形成を繰り返しても、安定した画像品質が得られる。
【0103】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0104】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0105】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0106】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N、N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0107】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0108】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0109】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0110】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0111】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0112】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行なわせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0113】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行なうことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0114】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行なわれる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることによって、真球状からラクビーボール状までの間でその形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも、滑らかなものから凹凸が激しい梅干形状のものまでの間で、任意に制御することができる。
【0115】
したがって、このようにしたトナー構成材料及び製造方法によれば、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状までの間の範囲でその形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状までの間の範囲で制御することができる。
【0116】
さらに、この実施形態の画像形成装置に好適に用いられるトナーの形状は、略球形状であり、以下の形状規定によって表されたトナーの形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲のものを用いている。
【0117】
すなわち、このトナーDの形状を模式的に示す図6(a)〜(c)に基づき、説明する。図6(a)に示すように、略球形状のトナーを、長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、このトナーは、図6(b)に示すように、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、図6(c)に示すように、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。
【0118】
長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、トナーが球形状として、真球形状から離れるのでドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
【0119】
なお、具体的なr1、r2、r3の測定方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0120】
したがって、画像形成装置に用いられるトナーの形状を、略球形状にしたので、ドット再現性および転写効率を向上できる。特に、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、この発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)を0.5〜1.0、厚さと短軸との比(r3/r2)を0.7〜1.0の範囲にした構成の場合には、トナー形状が真球形状に近くなる。このため、ドット再現性及び転写効率を向上させることができる。この結果、高品位な画質が得られる。
【0121】
このように第1の実施形態の潤滑剤塗布装置によれば、塗布の進展に伴い潤滑剤が小さくなっても、ガイド部材によって、潤滑剤を所定の姿勢を維持して塗布ローラに圧接したまま、加圧方向へスムーズに移動させることができる。すなわち、潤滑剤ケースの内側壁に潤滑剤の加圧方向に向った略線状のガイド部材を設け、このガイド部材のガイド面が、潤滑剤の一側面に線接触して、潤滑剤に作用する摩擦力に抗して潤滑剤を保持しガイドするようにしているので、両者間の摺動抵抗を大幅に軽減しながらスムーズにガイドできるとともに、このガイド方向を、線接触による方向性を明確に規定したものとできる。このため、塗布ローラに対する潤滑剤の姿勢が常時安定化され、この潤滑剤から塗布ローラによって潤滑剤を確実に感光体ドラム表面に塗布させることができるので、塗布ムラの解消や、供給量を安定化できる。この結果、像担持体としての感光体ドラムが形成する画像の画質向上を図れる。
【0122】
また、このように潤滑剤が安定して塗布された感光体ドラム表面は、その摩擦係数が所定に低減されて、表面層の磨耗の進行が抑制されるので、ドラム表面の電気特性が低下することも抑制される。このため、高画質化を長期に渡って維持することが可能となる。他方、感光体として耐用寿命の長期化を図れ、経済性を向上できる。
【0123】
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。図7は、第2の実施形態の潤滑剤塗布装置を示し、(a)は、潤滑剤塗布装置を主体に示す縦断面図であり、(b)は、潤滑剤塗布装置を示す縦断面図であり、(c)は、この潤滑剤塗布装置と対比した他の構成例である。すなわち、この第2の実施形態の潤滑剤塗布装置は、塗布ローラに接する潤滑剤の断面形状を、塗布ローラ回転方向において非対称形状となるようして、塗布ローラに対して潤滑剤をより正確にガイドするとともに、経時で接触面積が一定になるようにしている。なお、第2の実施形態の潤滑剤塗布装置を有したプロセスカートリッジおよびこのプロセスカートリッジが交換可能に着脱される画像形成装置は、この潤滑剤塗布装置に関連した構成以外は上記の第1の実施形態と同一とされており、上記の実施形態と同一の構成の部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。
【0124】
この第2の実施形態の潤滑剤塗布装置40は、図7(a)に示すように、潤滑剤31の加圧方向を、塗布ローラ32回転中心方向に対して塗布ローラ32回転上流側に配置し、かつ、潤滑剤断面を加圧方向に対して非対称とすることにより、ガイド部材36をより塗布ローラ32の近傍に近接させて位置させて、このガイド部材36による潤滑剤31を摺動させたガイドに有利にしたうえ、経時で潤滑剤31と塗布ローラ32との接触面積が一定となるようにしている。
【0125】
すなわち、潤滑剤31の加圧方向を、塗布ローラ32の回転中心から該塗布ローラ32回転方向における上流側にズラして、潤滑剤31の加圧中心線が、塗布ローラ32の回転中心から上流側に変位した箇所を通過するように、潤滑剤31およびこの潤滑剤31の加圧方向を規定した潤滑剤ケース41を所定に配置した構成とされている。この潤滑剤ケース41は、加圧スプリング35による潤滑剤31の加圧方向中心線が、潤滑剤31の中心線に略一致させるように形成されている。そして、これらの中心線が、塗布ローラ32の回転中心から上流側に変位した箇所を通過するように、塗布ローラ32に対する潤滑剤ケース41の相対位置および向きが決められている。
【0126】
したがって、塗布ローラ32回転方向における潤滑剤31の横断面形状を、塗布ローラ32の回転中心を通過した中心線に対して対称形状にした構成では、この中心線にほぼ直交した線状に沿って塗布ローラ32が潤滑剤31を削り取るのに対して、この第2の実施形態によれば、潤滑剤31を概略斜めに横切る線状に沿って塗布ローラ32が潤滑剤31を削り取ることになるので、潤滑剤31の大きさを大きくしなくても、潤滑剤31と塗布ローラ32との充分な接触面積を確保でき、潤滑剤31の供給量を所定に増加でき、かつ経時で供給量の安定化が図れる。
【0127】
他方、同様の効果を塗布ローラ32の回転方向における潤滑剤31の幅を大きくすることで得ようとした場合には、経時で潤滑剤31と塗布ローラ32との接触面積が異なってしまうので、消費量の安定化には不利となる。すなわち、図7(c)に示すように、横断面形状を対称形状にしたまま、潤滑剤31の幅を広げて接触面積を大きく確保した構成の潤滑剤塗布装置40Aでは、潤滑剤31に作用する摩擦力における加圧方向に対する分力は、図中の中心線を境にした左右で大きく不均衡な状態となり、当接圧やこの当接圧の結果としての当接状態も不均一化し、塗布ローラ32によって運びさられる消費量つまり潤滑剤31の供給量が不安定となる。
【0128】
つまり、潤滑剤31と塗布ローラ32との間に生じる摩擦力は、ベクトル力として円弧状の軌跡に沿った両者の接触箇所で、この円の接線方向に向う。このため、中心線と円弧との交点箇所では、ベクトル力として潤滑剤31に作用する摩擦力が、加圧方向に直交した方向にその作用方向が向うので、加圧力に影響を与えない中立的な力となる。この中心線から円弧上に沿って離れるに伴って摩擦力の向きが変化し、両者の接触箇所おける右端では、摩擦力が左上向きに最も深く傾斜した角度となるのに対して、左端では、左下向きに最も深く傾斜した角度となる。したがって、中心線を境にした潤滑剤31における回転方向の上流側となる右半分では、摩擦力が加圧力に対抗する分量が多くなり、加圧力を弱めているのに対して、左半分では、摩擦力が加圧力の方向に向う分量が多くなり、加圧力を強めることになる。
【0129】
そして、図7(c)の構成の潤滑剤塗布装置40Aでは、図4(a)の構成に比べて、潤滑剤31が、図中における左右方向の幅を延長して接触面積を拡大しているので、摩擦力の総量は増加しており、しかも中心線を境にして加圧力を弱めるまたは加圧力を強める傾向が、より一層拡大されることになる。したがって、図7(c)の潤滑剤塗布装置40Aでは、潤滑剤31における左右の半分で加圧力つまり当接圧が不均衡となっているので、塗布ローラ32が削り取る量も不均衡となり、潤滑剤31の供給量が不安定となる。また、潤滑剤塗布装置40Aでは、潤滑剤31の接触側端面が平坦な状態から、図示された塗布ローラ32の回転外周面に沿った形状に研削された状態になるまで、これらの間の接触面積が、大きく変化するので、当然、潤滑剤31の供給量の変動幅も大きくなり、不安定となる。
【0130】
これに対して、図7(a),(b)に示す第2の実施形態の潤滑剤塗布装置40では、潤滑剤31の加圧方向に対して作用する摩擦力を、上流側となる右半分だけで、その大部を占めるように構成しているので、不均衡となる傾向を回避でき、安定した潤滑剤31の供給量を確保できる。すなわち、経時で潤滑剤31が消費されても、潤滑剤31と塗布ローラ32との接触面全体で当接圧および当接状態が変動することが抑制され、両者31,32間の接触面積を常に一定にできる。
【0131】
また、図中に示した潤滑剤31が塗布ローラ32に接する断面形状における左半分は、略中心線に直交した線上に揃った形状にできるので、開口周縁まで設けたガイド部材36の先端が、塗布ローラ32の回転周面の近くに位置することになる。したがって、ガイド部材36によって、潤滑剤31を、塗布ローラ32の回転周面の近くまで正確にガイドできるので、これによっても結果として、安定した供給量を確保できる。すなわち、一般的な研削工程における被削材と研削部材との関係から明らかなように、被削材を研削部材の近くに正確にガイドして位置決めできれば、研削部材による切削を安定化でき、また切削量を高精度に制御できるので、同様に潤滑剤31の削り取られる端部を、常に塗布ローラ32の回転周面の近くに正確にガイドしたこのガイド部材36を有した潤滑剤塗布装置40の構成によれば、潤滑剤31の切削量つまり供給量の安定化や高精度な設定化を図ることができる。
【0132】
このように第2の実施形態の潤滑剤塗布装置によれば、塗布ローラに対して潤滑剤を所定に配置して、塗布ローラに潤滑剤が接する部位の横断面形状を非対称とさせるように構成したので、より潤滑剤の塗布ムラを解消できるとともに、経時で塗布供給量を一定に安定化でき、高画質化を図れる。すなわち、ガイド部材の先端側をより塗布ローラに近接させて配置できるので、塗布ローラに対して潤滑剤をより正確にガイド部材がガイドできる。したがって、塗布ローラに対する潤滑剤の姿勢を、安定して正確に確保でき、姿勢精度を高めることができる。このため、塗布ローラに対する潤滑剤の姿勢の不安定さや不正確さを要因にした塗布ムラを解消できる。他方、経時で潤滑剤が消費されても、潤滑剤と塗布ローラとの接触面積が常に一定となる。この結果、潤滑剤の消費量が経時変化することが抑制され、常に安定した潤滑剤の供給量を確保できるので、画質を向上できる。
【0133】
なお、プロセスカートリッジとしては、上記した第1,2の実施形態の構成に限ることなく、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、少なくとも1つの手段と、像担持体である電子写真感光体(感光体ドラム)とを有して一体に構成され、この構成が画像形成装置の装置本体に対して簡易に着脱可能にしたものであればよい。
【0134】
また、上記した第1,2の実施形態では、塗布ローラを、ブラシ毛を有したブラシローラとしたが、これに限られることなく、弾性変形可能な多孔質材料を用いたスポンジローラとしたり、弾性変形可能な繊維質材料を用いたフェルトローラとしたりしてもよく、ローラ状に形成した回転体であり、その外周面に潤滑剤を付着させて塗布対象に乗り移らせることができるものであれば、各種の条件に応じて適宜、変更してよい。すなわち、潤滑剤の塗布対象である像担持体が必要とした潤滑条件に応じて、潤滑剤体の性状や、この潤滑剤を効率的に塗布できる塗布ローラの構成を、適宜、採用して組合せてよい。
【0135】
さらに、上記した第1,2の実施形態では、カラー画像形成装置に適用した例を説明したが、像担持体である感光体を1つだけ有したモノクロの画像形成装置に適用してもよく、同様に2色の画像形成装置に適用してもよい。また像担持体である感光体を交換式のプロセスカートリッジに収納した例を説明したが、フルカラー、2色などからなる複数色、単色かのいずれかの画像形成装置において、プロセスカートリッジを用いることなく、装置本体内に感光体などの像担持体を直接収納し、この像担持体に潤滑剤を塗布する構成に適用してもよい。したがって、これらの構成の場合にも、上記の第1,2の実施形態の構成と同様な作用効果が得られ、高画質でクリーニング性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0136】
また、上記した第1,2の実施形態では、2つのガイド部材を設けたが、これに限られることなく、ガイド部材と潤滑剤との擦動抵抗を大幅に増加させず、またガイド方向を規定した性能を低下させずに済めば、より多数のガイド部材を設けてもよい。すなわち、この場合には、ガイド部材として、個数や合計数として偶数に制約されず、これらのガイド部材が潤滑剤をその長手方向でバランスよく保持できれものであればよい。
【0137】
請求項2の発明によれば、請求項1において、潤滑剤加圧方向と平行に配置した複数のガイド部材を設けて潤滑剤をガイドするように構成したので、各ガイド部材による潤滑剤との接触面積を最小限にしてガイドすることができ、スムーズなガイドが可能となる。
【0138】
請求項3の発明によれば、請求項1または2において、固形潤滑剤を用いているので、潤滑剤自体の取扱いが簡易化され、装置として低コスト化が図れる。すなわち、液状の潤滑剤を塗布する構成では、液体としての潤滑剤を液密に貯留する構成や、一定の液量を供給する機構などが必要となり、構造が複雑化するのに対して、固形状の潤滑剤を塗布した構成では、この固形潤滑剤を物として保持するだけで済み、また供給量を調整する構成として、所定圧を確保して付勢する加圧手段だけで済むので、構造の簡素化が図れ、コストダウンできる。
【0139】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかにおいて、潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛を含んでいるので、塗布性が良好となり、塗布むらを防止できる。このため、塗布量のムラによって発生する像担持体における転写効率の不安定化を抑制できる。この結果、画質の向上が図れる。
【0140】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかにおいて、ガイド部材を所定の部材に一体化した構成としているので、部品の少数化、低コスト化を図れる。すなわち、ガイド部材を追加しても、部品点数が以前のまま維持され、潤滑剤塗布装置を少数の部品で構成でき、このような少数部品化による信頼性の向上が図れる。また製造コストや組立てコストの節減も図れる。
【0141】
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかにおいて、潤滑剤を所定に配置して、塗布ローラに潤滑剤が接する部位の横断面形状を非対称とさせるように構成したので、より潤滑剤の塗布ムラを解消できるとともに、経時で塗布供給量を一定に安定化でき、高画質化を図れる。すなわち、ガイド部材の先端側をより塗布ローラに近接させて配置できるので、塗布ローラに対して潤滑剤をより正確にガイド部材がガイドできる。このため、塗布ローラに対する潤滑剤の姿勢を、安定して正確に確保でき、姿勢精度を高めることができる。この結果、潤滑剤の姿勢の不安定さや不正確さを起因とした塗布ムラを解消できる。このため、経時で潤滑剤が消費されても、潤滑剤と塗布ローラとの接触面積が常に一定となる。この結果、経時で潤滑剤を安定して供給できるので、画質を向上できる。
【0142】
請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を、プロセスカートリッジが具えているので、メンテナンス性や保守作業性の向上が図れるとともに、プロセスカートリッジ自体の長寿命化が可能となる。すなわち、プロセスカートリッジが前記した部材や装置に起因した故障が生じた場合には、新たなプロセスカートリッジに交換するだけで、故障前の状態に原状回復させることができる。このため、プロセスカートリッジ交換だけで故障対処が済み、必要なサービス時間を短縮できる。他方、潤滑剤塗布装置によって潤滑剤が所定に塗布される像担持体には、良好なクリーニング性を確保できるので、画質を低下させる異物を像担持体の表面上に残存させずに済み、像担持体の耐久性や転写性の向上が図れる。
【0143】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載のプロセスカートリッジを、画像形成装置が具えているので、画像形成装置のメンテナンス性や保守作業性の向上が図れるとともに、画質の向上が図れる。すなわち、プロセスカートリッジが前記した部材や装置に起因した故障が生じた場合には、新たなプロセスカートリッジに交換するだけで、画像形成装置から故障原因を取り除き、故障前の状態に原状回復させることができる。このため、プロセスカートリッジ交換だけで故障対処が済み、必要なサービス時間を短縮できる。特に、たとえば各色をそれぞれが担当した複数のプロセスカートリッジを用いたカラー画像形成装置では、プロセスカートリッジの個数が増加しているので、故障対処などをプロセスカートリッジ交換するだけで済む早期回復や、短縮したサービス時間などの効果が顕著に得られる。
【0144】
他方、潤滑剤塗布装置によって潤滑剤が所定に塗布される像担持体には、良好なクリーニング性を確保できるので、画質を低下させる異物を像担持体の表面上に残存させずに済み、像担持体の耐久性や転写性を向上できる。この結果、像担持体の高寿命化を図れるとともに、画像形成装置として画質を向上できる。
【0145】
請求項9の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を、画像形成装置が具えているので、画像形成装置自体の主要な画像形成機能の長寿命化、安定化が可能になるとともに、画質の向上が図れる。すなわち、潤滑剤塗布装置によって潤滑剤が所定に塗布される像担持体には、良好なクリーニング性を確保できるので、画質を低下させる異物を像担持体の表面上に残存させずに済み、像担持体の耐久性や転写性を向上できる。この結果、像担持体の高寿命化を図れるとともに、画像形成装置として画質を向上できる。他方、これに伴い画像形成装置に搭載した像担持体を交換する間隔を長くできるので、保守整備に手間が掛からなくなり、画像形成装置自体のメンテナンス性を向上できる。
【0146】
請求項10の発明によれば、請求項8または9に記載の画像形成装置において、小粒径でしかも粒径分布が狭いトナーを用いているので、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができる。特に、静電転写方式を用いた場合では転写率を高くすることができ、画像形成に用いられないトナー量を抑制でき、結果としてトナー消費量を低減できる。
【0147】
請求項11の発明によれば、請求項8または9に記載の画像形成装置において、形状係数SF−1で示されたトナー形状の丸さの割合と、形状係数SF−2で示されたトナーの形状の凹凸の割合とが、それぞれ所定の数値の範囲内に収まるように確保したので、個々のトナー粒子同士あるいはトナー粒子と像担持体表面との接触状態が点接触になる。このため、トナー同士の吸着力は弱くなり、従ってトナー全体として流動性が高くなり、またトナーと像担持体との吸着力も弱くなり、これらの結果、像担持体からのトナーの転写率は高くなる。したがって、画質のさらなる向上化と、画像形成に関与しないトナー消費量のより低減化とが図れる。
【0148】
請求項12の発明によれば、請求項8または9に記載の画像形成装置において、略球形状のトナーを用いて、しかもこのトナーの長軸r1、短軸r2、厚さr3が所定の比率となるように確保したので、トナー粒子形状が真球形状に近くなる。このため、ドット再現性及び転写効率を向上させることができる。この結果、高品位な画質が得られる。他方、転写効率を向上できるので、画像形成に用いられないトナー量を抑制でき、結果としてトナー消費量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】この発明の第1の実施形態の潤滑剤塗布装置を具えた画像形成装置を示し、画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】この第1の実施形態の潤滑剤塗布装置を有したプロセスカートリッジの詳細を示し、プロセスカートリッジ単体を切断して示した概略図である。
【図3】この第1の実施形態のプロセスカートリッジを示し、カートリッジの全体構成を示す斜視図である。
【図4】この第1の実施形態の潤滑剤塗布装置の詳細を示し、(a)は、潤滑剤を消費した初期状態を示す部分断面図、(b)は、潤滑剤を消費した後期状態を示す部分断面図、(c)は、潤滑剤に対するガイド部材の立体的な位置関係を示す概略斜視図である。
【図5】この実施形態の画像形成装置に用いられるトナー形状の概要を示し、(a)は、トナーの形状係数SF−1を説明する模式図、(b)は、トナーの形状係数SF−2を説明する模式図である。
【図6】この実施形態の画像形成装置に用いられるトナーの球形状の概要を示し、(a)は、トナーの長軸、短軸、厚さの規定の仕方を説明する模式図、(b)は、長軸と短軸との比を説明する模式図、(c)は、厚さと短軸との比を説明する模式図である。
【図7】この発明の第2の実施形態の潤滑剤塗布装置の詳細を示し、(a)は、潤滑剤を消費した初期状態を示す部分断面図、(b)は、潤滑剤を消費した後期状態を示す部分断面図、(c)は、対比例である。
【符号の説明】
【0150】
1 中間転写ベルト 2Y〜2K トナーボトル
3 画像形成装置本体 4 給紙カセット
5 転写ユニット 6Y〜6K プロセスカートリッジ
7Y〜7K 感光体ドラム(プロセスカートリッジに備えらえた像担持体)
8 プロセスカートリッジ外装ケース 9 露光装置
11,12,13 支持ローラ 14Y〜14K 1次転写ローラ
27 帯電装置(プロセスカートリッジが有した感光体ドラム用の帯電手段)
28 現像装置(プロセスカートリッジが有した感光体ドラム用の現像手段)
29 クリーニング装置(プロセスカートリッジが有した感光体ドラム用のクリーニング手段)
30,40潤滑剤塗布装置 31 潤滑剤
31a 潤滑剤保持部材 32 塗布ローラ
33 加圧手段 34,41 潤滑剤ケース
35 加圧スプリング 36 ガイド部材
A カラー画像形成装置 S 転写紙
D トナー(トナー粒子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置において、
前記像担持体と潤滑剤との間に配置された潤滑剤塗布ローラと、この潤滑剤塗布ローラに潤滑剤を押圧付勢する加圧手段とを有し、
前記加圧手段は、前記潤滑剤を、前記潤滑剤塗布ローラに近づく加圧方向に所定にガイドするガイド部材を設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、少なくとも、前記潤滑剤に対して潤滑剤塗布ローラ回転下流側、かつ潤滑剤加圧方向とほぼ平行に配置して複数、設けたことを特徴とする請求項1記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記潤滑剤は、固形潤滑剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、像担持体を保持する枠体、もしくは潤滑剤を収める枠体と一体化した部材として構成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
前記潤滑剤の加圧方向中心線が、前記潤滑剤塗布ローラ回転中心に対して該潤滑剤塗布ローラ回転上流側を通過するように配置し、かつ、前記塗布ローラに接した潤滑剤断面形状が、前記加圧方向中心線に対して非対称にしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を具えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記請求項7に記載のプロセスカートリッジを具えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潤滑剤塗布装置を具えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
使用されるトナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
使用されるトナーは、形状係数SF−1で100〜180の範囲にあり、かつ形状係数SF−2で100〜180の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
使用されるトナーは、略球形であり、長軸と短軸の比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲で、厚さと短軸の比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であって、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を満足することを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−3537(P2006−3537A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178507(P2004−178507)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】