説明

濃縮液体洗剤、パウチ入り濃縮液体洗剤及び被洗浄物の洗浄方法

【課題】洗浄成分をより高濃度化することができるため搬送性等に優れ、使用時には、所望の濃度の希釈液体洗剤を容易に得ることができる濃縮液体洗剤を提供すること。
【解決手段】
水で希釈して使用する濃縮液体洗剤であって、第一の相と第二の相とを含み、上記第一の相と上記第二の相とは非相溶性であり、水で所定の倍率に希釈すると、上記第一の相と上記第二の相とは相溶性を示して、均一に分散された一相の液体となることを特徴とする濃縮液体洗剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮液体洗剤、パウチ入り濃縮液体洗剤及び被洗浄物の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用、浴室用、厨房用等の洗剤として、液体洗剤が知られている。液体洗剤の中には、高濃度に濃縮した状態のものを、使用時に、所望の濃度に希釈して使用するものがある(例えば、特許文献1参照)。以下、このような液体洗剤を濃縮液体洗剤と称す。
濃縮液体洗剤は、例えば、保持用容器内に保持されてエンドユーザへと搬送され、エンドユーザが、濃縮液体洗剤を希釈用容器に移しかえ、水等の溶媒を用いて所望の濃度に希釈することにより使用する。以下、所望の濃度に希釈した液体洗剤を希釈液体洗剤と称す。
濃縮液体洗剤は、あらかじめ所望の濃度に設定された液体洗剤に比べて、保存場所や輸送重量を低減でき、これにより輸送費等のコストの削減が図れることから、より高濃度化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、濃縮液体洗剤には、アルカリ剤、キレート剤、界面活性剤等の各種成分が含まれている。濃縮液体洗剤の高濃度化を図るために可溶化剤の量を減らすと、これらの成分が分離することがある。
従来、均一な組成を有する希釈液体洗剤を作製するには、濃縮液体洗剤においても成分が分離することなく、均一な組成を有することが必要と考えられていた。
そのため、濃縮液体洗剤を用いて均一な組成を有する希釈液体洗剤を得ようとする場合、まずは均一な組成を有する濃縮液体洗剤の組成を見出すことに注力し、得られた濃縮液体洗剤を希釈することによって均一な組成を有する希釈液体洗剤を調製するという手法が採られていた。
【0005】
均一な組成を有する濃縮液体洗剤を調製するための手法として、可溶化剤を加える手法が知られていた。
可溶化剤は、洗浄成分の濃度が高くなるほど、多く配合する必要がある。
そのため、洗浄成分の濃度を高くした均一組成の濃縮液体洗剤では、可溶化剤の占める割合が高くなる。
しかしながら、可溶化剤は洗浄力の点では効果の少ない成分が多い。そのため、可溶化剤を多く配合することになると、可溶化剤を含めた濃縮液体洗剤において洗浄力に寄与する洗浄成分の割合が低くなってしまう。そして、本来の目的である洗剤の高濃度化が達成されなくなってしまう。
言い換えると、可溶化剤を多く配合することによって得られる、均一な組成を有する濃縮液体洗剤において、濃縮液体洗剤を高濃度化することには限界があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、洗浄成分をより高濃度化することができるため搬送性等に優れ、使用時には、所望の濃度の希釈液体洗剤を容易に得ることができる濃縮液体洗剤を提供することを目的とする。
また、洗浄成分がより高濃度化された濃縮液体洗剤が好ましい形態で保持されてなる、パウチ入り濃縮液体洗剤を提供することを目的とする。
また、洗浄成分がより高濃度化された濃縮液体洗剤を用いて被洗浄物を洗浄する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水で希釈して使用する濃縮液体洗剤について検討したところ、可溶化剤を多く配合して均一に分散させた濃縮液体洗剤を得ようとするのではなく、濃縮液体洗剤の状態では、成分が分離していることを許容して、洗浄成分の濃度が高い非相溶性の二相の液体の状態で保持するようにした。
そして、洗浄成分の濃度が高い非相溶性の二相の液体を、希釈用容器において水で希釈することによって、均一に分散された一相の液体からなり洗浄成分が所望の濃度を有する希釈液体洗剤を容易に得られることを見いだした。
更に、このようにして得られた希釈液体洗剤は、各種成分が均一に分散・溶解されており、所望の洗浄力が得られることを見出した。
また、洗浄成分がより高濃度化された非相溶性の二相の液体がプラスチックフィルム製の袋に保持された状態となったパウチ入り濃縮液体洗剤は、濃縮液体洗剤の梱包の形態として好ましいことを見出した。
【0008】
即ち、本発明の濃縮液体洗剤は、水で希釈して使用する濃縮液体洗剤であって、
第一の相と第二の相とを含み、
上記第一の相と上記第二の相とは非相溶性であり、
水で所定の倍率に希釈すると、上記第一の相と上記第二の相とは相溶性を示して、均一に分散・溶解された一相の液体となることを特徴とする。
本発明の濃縮液体洗剤は、使用時に所望の濃度に希釈して使用するものであるため、保存時(貯蔵時)の容積を小さくすることができ、搬送性に優れている。また、保管スペースの縮小にも寄与する。
また、濃縮液体洗剤の状態では、成分は分離していてもよいため、可溶化剤の量を低減することができ、洗浄成分の高濃度化を図ることができる。
また、洗浄力の点で効果が少ない成分である可溶化剤を多く使用する必要がないため、洗浄成分の高濃度化を図ることができる。
なお、上記所定の倍率とは、非相溶性を示していた上記第一の相と上記第二の相とが相溶性を示して、均一に分散された一相の液体の希釈液体洗剤となるような希釈倍率であれば特に限定されるものではない。希釈倍率は、濃縮液体洗剤の組成及び希釈液体洗剤の使用時に望まれる洗浄成分の濃度等に応じて定まる。
【0009】
本発明の濃縮液体洗剤において、上記第一の相は、水溶性であり、上記第二の相は、非水溶性であることが望ましい。
【0010】
また、上記第一の相は、主に水と、アルカリ剤及び/又はキレート剤とを含み、上記第二の相は、主に溶剤及び界面活性剤を含むことが望ましい。
【0011】
本発明の濃縮液体洗剤において、上記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールアミン、炭酸塩、ケイ酸塩、及び、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、上記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、ポリリン酸塩、及び、低分子量の有機酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
【0012】
本発明のパウチ入り濃縮液体洗剤は、本発明の濃縮液体洗剤がプラスチックフィルム製のパウチ袋に保持されてなる。
本発明のパウチ入り濃縮液体洗剤には、洗浄成分が高濃度化された濃縮液体洗剤が保持されているので、プラスチックフィルム製のパウチ袋で保持可能な程度の少量の濃縮液体洗剤から、希釈により大量の希釈液体洗剤を得ることができる。
また、濃縮液体洗剤を収容する容器としては金属製缶容器などが用いられることが多いが、金属製缶容器は一般的に大きく、重く、使用後にゴミの量が多くなるものである。本発明のパウチ入り濃縮液体洗剤のように、濃縮液体洗剤の容器をプラスチック製のパウチ袋にすることにより、容器を金属製缶容器とした場合に比較して使用後のゴミの廃棄量を大幅に削減することができる。
【0013】
本発明の被洗浄物の洗浄方法は、本発明の濃縮液体洗剤を用いた被洗浄物の洗浄方法であって、上記第一の相と上記第二の相とが互いに分離した上記濃縮液体洗剤を水で所定の倍率に希釈することで、一相からなる希釈液体洗剤とし、該希釈液体洗剤を用いて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする。
本発明の被洗浄物の洗浄方法では、洗浄成分が高い濃度で含まれた濃縮液体洗剤を水で希釈することによって、一相からなる希釈液体洗剤を得ることができる。該希釈液体洗剤には被洗浄物の洗浄に適した濃度の洗浄成分が含まれているため、被洗浄物の洗浄を好適に行うことができる。
【0014】
上記濃縮液体洗剤は、プラスチックフィルム製のパウチ袋に保持されており、上記パウチ袋内で上記第一の相と上記第二の相とに分離していることが望ましい。
【0015】
本発明の被洗浄物の洗浄方法においては、上記濃縮液体洗剤を、水で2〜10倍に希釈して使用することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の濃縮液体洗剤は、洗浄成分をより高濃度化することができるため、可溶化剤の量を低減して保存時(貯蔵時)の容積を小さくすることができ、搬送性等に優れる。また、洗浄力の点で効果が少ない成分である可溶化剤を多く使用することがないため、洗浄成分の高濃度化を図ることができる。
本発明のパウチ入り濃縮液体洗剤では、洗浄成分が高濃度化された濃縮液体洗剤が保持されているので、プラスチックフィルム製のパウチ袋で保持可能な程度の少量の濃縮液体洗剤から、希釈により大量の希釈液体洗剤を得ることができる。
本発明の被洗浄物の洗浄方法では、洗浄成分が高い濃度で含まれた濃縮液体洗剤を水で希釈することによって、一相からなる希釈液体洗剤を得ることができる。該希釈液体洗剤には被洗浄物の洗浄に適した濃度の洗浄成分が含まれているため、被洗浄物の洗浄を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の濃縮液体洗剤を保存用容器に保持した状態を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の濃縮液体洗剤の使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の濃縮液体洗剤の使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明の濃縮液体洗剤、パウチ入り濃縮液体洗剤、及び、被洗浄物の洗浄方法の一実施形態である第一実施形態について図面を用いて説明する。
【0019】
はじめに、本実施形態に係る濃縮液体洗剤及びパウチ入り濃縮液体洗剤について説明する。
本発明の濃縮液体洗剤は、水で希釈して使用する濃縮液体洗剤であって、
第一の相と第二の相とを含み、
上記第一の相と上記第二の相とは非相溶性であり、
水で所定の倍率に希釈すると、上記第一の相と上記第二の相とは相溶性を示して、均一に分散された一相の液体となることを特徴とする。
【0020】
本発明の濃縮液体洗剤は、水で希釈して使用するものである。例えば、保存用容器に保持された濃縮液体洗剤を他の容器に移し、水で希釈する。
水で希釈することによって、均一に分散された一相の液体の希釈液体洗剤が得られる。
図1は、本発明の濃縮液体洗剤を保存用容器に保持した状態を模式的に示す平面図である。
図1において、濃縮液体洗剤100は、保存用容器に保持されている。ここでは、保存用容器として、プラスチックフィルム製の袋であるパウチ110を用いている。パウチ110は、製品包装の簡易化・軽量化が図れるものであり、廃棄物を低減することもできることから、濃縮液体洗剤100の保存用容器として好適である。パウチ110には、開封する際に引き裂く起点となるノッチ111が設けられている。
パウチ110に保持された濃縮液体洗剤100は、第一の相101と第二の相102との二相に分離している。第一の相101と第二の相102とは、非相溶性であり、例えば、パウチ110を振る等して、第一の相101と第二の相102とが一時的に混ざりあったような状態になっても、時間の経過とともに第一の相101と第二の相102とは二相に分離する。
【0021】
本発明の濃縮液体洗剤において水で希釈する倍率(所定の倍率)は、二相に分離している第一の相101と第二の相102とが相溶性を示して、均一に分散された一相の液体となるような倍率であれば特に限定されるものではなく、濃縮液体洗剤100の組成及び希釈液体洗剤の使用時に望まれる洗浄成分の濃度等に応じて定まる。
【0022】
本発明の濃縮液体洗剤において、第一の相101は水溶性であり、第二の相102は非水溶性であることが望ましい。
第一の相101としては、水と、アルカリ剤及び/又はキレート剤とを含むものが挙げられる。
アルカリ剤としては、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールアミン、炭酸塩、ケイ酸塩、及び、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
キレート剤としては、特に限定されるものではないが、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、ポリリン酸塩、及び、低分子量の有機酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本明細書において、低分子量の有機酸塩とは、分子量が1000以下のものをいう。このような分子量を有する有機酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム等のクエン酸塩、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カルシウム等のリンゴ酸塩、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム等のグルコン酸塩等が挙げられる。
【0023】
第二の相102としては、溶剤及び界面活性剤を含むものが挙げられる。
溶剤としては、特に限定されるものではないが、エーテル類、アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類等を使用することができる。この中でグリコールエーテル類又はアルコール類が好ましく、グリコールエーテル類としてはジエチレングリコールモノブチルエーテル、モノアルキルプロピレングリコール等が挙げられる。
【0024】
界面活性剤の具体例としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤の中では、低HLBの界面活性剤等の、難水溶性の界面活性剤が好ましい。
【0025】
なお、本明細書において、「濃縮液体洗剤」とは、アルカリ剤、キレート剤、及び、界面活性剤からなる洗浄成分が、液体洗剤中に50重量%以上含まれるものをいう。
【0026】
本発明の濃縮液体洗剤には、上記成分の他に必要に応じて、泡調整剤、除菌剤、香料、色粉、防腐剤、中和剤、増粘剤、pH調整剤、殺菌剤等が含まれていてもよい。
【0027】
また、本発明の濃縮液体洗剤には少量の可溶化剤が含まれていてもよい。可溶化剤の配合量は、濃縮液体洗剤を希釈して得られる希釈液体洗剤において、希釈液体洗剤を均一な液組成とするために必要な量であればよい。
可溶化剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、カプリル酸塩、オクチル酸塩等が挙げられる。
【0028】
本実施形態に係るパウチ入り濃縮液体洗剤は、本実施形態に係る濃縮液体洗剤がプラスチックフィルム製のパウチ袋に保持されてなる。
既に説明した通り、濃縮液体洗剤はパウチ袋内で二相に分離している。
パウチ袋内で洗剤が二相に分離していても、パウチ袋入り濃縮液体洗剤を使用する際に、希釈用容器に濃縮液体洗剤を全量投入して希釈することによって、均一な組成の希釈液体洗剤を得ることができる。
【0029】
次に、本発明の濃縮液体洗剤を用いた洗浄方法の一例について説明する。
本発明の濃縮液体洗剤を用いた被洗浄物の洗浄方法は、
上記第一の相と上記第二の相とが互いに分離した上記濃縮液体洗剤を水で所定の倍率に希釈することで、一相からなる希釈液体洗剤とし、該希釈液体洗剤を用いて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする。
【0030】
図2及び図3は、本発明の濃縮液体洗剤の使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
本実施形態の濃縮液体洗剤100をパウチ110に入れて使用する場合は、図2に示すように、濃縮液体洗剤100が入ったパウチ110を両手で持ち、ノッチ111を始点として、ノッチ111の延長線上に沿ってフィルムを引き裂いて、注ぎ口部112の先端をパウチ110から切り取り、適当な広さの注ぎ口部112を開口する。
フィルムを引き裂く前に、濃縮液体洗剤が全て下方に溜まった状態としておき、注ぎ口部112の先端に泡などが付着していないようにしておくことが望ましい。
【0031】
そして、図3に示すように、開口したパウチ110の注ぎ口部112を希釈用容器120の投入口121に差し込む。
注ぎ口部112の先端を投入口121に差し込むようにすると、濃縮液体洗剤100が全て自重によって希釈用容器120内に注入されるため、濃縮液体洗剤100をスムーズに希釈用容器120内に注ぐことができる。
このような手順で希釈用容器120に濃縮液体洗剤100を注ぐと、パウチ110に保持された濃縮液体洗剤100が作業者の手に付着することを避けることができる。
【0032】
次いで、濃縮液体洗剤100を注いだ希釈用容器120に更に水を注いで濃縮液体洗剤100を所定の倍率に希釈する。水を注いだ希釈用容器120を手で持ち、軽く振る等して容器内の液体を攪拌する。
所定の倍率とは、第一の相と第二の相とが均一に分散して一相からなる希釈液体洗剤が得られる程度の倍率であり、好ましくは、2〜10倍に希釈する。
【0033】
そして、この希釈された希釈液体洗剤を用いて被洗浄物の洗浄を行う。
被洗浄物は、特に限定されるものではなく、希釈液体洗剤の組成に応じて定まる。
また、洗浄方法も特に限定されるものではなく、被洗浄物に応じて、手洗い、漬け置き洗い等の方法を定めればよい。
被洗浄物としては、例えば、浴室や浴槽といった浴室用具が挙げられる。浴室用具の洗浄に使用される希釈液体洗剤は、風呂用洗剤である。
他の被洗浄物としては、例えば、食器や調理器具等の台所用具が挙げられる。台所用具の手洗い洗浄に使用される希釈液体洗剤は、台所用手洗い洗剤である。
他の被洗浄物としては、例えば、油汚れが付着する厨房用具が挙げられる。厨房用具の洗浄に使用される希釈液体洗剤は、厨房用洗剤であり、アルカリ洗剤が適している。
【実施例】
【0034】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
アルカリ剤として水酸化カリウム水溶液(純分48wt%)26.93wt%、キレート剤としてEDTA溶液16.5wt%、泡調整剤としてカプリル酸1.75wt%、カプリン酸1.75wt%、アニオン性界面活性剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム13.43wt%、非イオン系界面活性剤1.50wt%、除菌剤として2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル0.50wt%、溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル33.53wt%、非イオン系界面活性剤3.00wt%、香料としてD−リモネン1.00wt%、色粉0.0075wt%、防腐剤0.05wt%を混合攪拌し、濃縮液体洗剤を得た。
そして、得られた濃縮液体洗剤1000gを、透明なプラスチックフィルム製のパウチに入れて保存したところ、パウチ内の液体は、二相に分離していた。
【0036】
(希釈及び洗浄)
パウチ内の濃縮液体洗剤(1000g)を希釈用容器に全て入れ、水4000gを投入して攪拌し、希釈液体洗剤を得た。希釈倍率は、5倍であった。
希釈液体洗剤の状態を目視にて観察したところ、希釈液体洗剤は二相に分離しておらず、均一に分散した一相の液体となった。得られた希釈液体洗剤を用いて浴槽に付着した湯垢汚れの洗浄を行ったところ、良好な洗浄性が得られた。
【0037】
(実施例2)
可溶化剤としてエタノール1.0wt%、プロピレングリコール1.0wt%、中和剤及び増粘剤として水酸化マグネシウム1.1wt%、pH調製剤としてトリエタノールアミン8.8wt%、界面活性剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩38.0wt%、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン1.6wt%、アルキルグルコシド1.6wt%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル6.2wt%、防腐剤としてイソチアゾリン・臭素化合物混合系防腐剤0.007wt%、水40.7wt%を混合して攪拌し、濃縮液体洗剤を得た。
そして、得られた濃縮液体洗剤1000gを、透明なプラスチックフィルム製のパウチに入れて保存したところ、パウチ内の液体は、20℃で二相に分離していた。
【0038】
(希釈及び洗浄)
パウチ内の濃縮液体洗剤(1000g)を希釈用容器に全て入れ、水4000gを投入して攪拌し、希釈液体洗剤を得た。希釈倍率は、5倍であった。
希釈液体洗剤の状態を目視にて観察したところ、希釈液体洗剤は二相に分離しておらず、均一に分散した一相の液体となった。得られた希釈液体洗剤を用いて食器に付着した食品汚れの洗浄を行ったところ、良好な洗浄性が得られた。
【0039】
(実施例3)
アルカリ剤として水酸化カリウム水溶液(純分48wt%)4.8wt%、モノエタノールアミン12.6wt%、界面活性剤としてアルキルアミンオキシド13.0wt%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル7.6wt%、キレート剤としてEDTA2.0wt%、溶剤としてモノアルキルプロピレングリコール5.4wt%、殺菌剤として塩化ベンザルコニウム0.3wt%、香料0.2wt%、水54.1wt%を混合して攪拌し、濃縮液体洗剤を得た。
そして、得られた濃縮液体洗剤1000gを、透明なプラスチックフィルム製のパウチに入れて保存したところ、パウチ内の液体は、二相に分離していた。
【0040】
(希釈及び洗浄)
パウチ内の濃縮液体洗剤(1000g)を希釈用容器に全て入れ、水4000gを投入して攪拌し、希釈液体洗剤を得た。希釈倍率は、5倍であった。
希釈液体洗剤の状態を目視にて観察したところ、希釈液体洗剤は二相に分離しておらず、均一に分散した一相の液体となった。得られた希釈液体洗剤を用いて厨房用具に付着した油汚れの洗浄を行ったところ、良好な洗浄性が得られた。
【符号の説明】
【0041】
100 濃縮液体洗剤
101 第一の相
102 第二の相
110 パウチ
111 ノッチ
112 注ぎ口部
120 希釈用容器
121 投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水で希釈して使用する濃縮液体洗剤であって、
第一の相と第二の相とを含み、
前記第一の相と前記第二の相とは非相溶性であり、
水で所定の倍率に希釈すると、前記第一の相と前記第二の相とは相溶性を示して、均一に分散された一相の液体となることを特徴とする濃縮液体洗剤。
【請求項2】
前記第一の相は、水溶性であり、
前記第二の相は、非水溶性である請求項1記載の濃縮液体洗剤。
【請求項3】
前記第一の相は、水と、アルカリ剤及び/又はキレート剤とを含み、
前記第二の相は、溶剤及び界面活性剤を含む請求項2記載の濃縮液体洗剤。
【請求項4】
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールアミン、炭酸塩、ケイ酸塩、及び、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、ポリリン酸塩、及び、低分子量の有機酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項3に記載の濃縮液体洗剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の濃縮液体洗剤がプラスチックフィルム製のパウチ袋に保持されてなる、パウチ入り濃縮液体洗剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の濃縮液体洗剤を用いた被洗浄物の洗浄方法であって、
前記第一の相と前記第二の相とが互いに分離した前記濃縮液体洗剤を水で所定の倍率に希釈することで、一相からなる希釈液体洗剤とし、該希釈液体洗剤を用いて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする被洗浄物の洗浄方法。
【請求項7】
前記濃縮液体洗剤は、プラスチックフィルム製のパウチ袋に保持されており、前記パウチ袋内で前記第一の相と前記第二の相とに分離している請求項6記載の被洗浄物の洗浄方法。
【請求項8】
前記濃縮液体洗剤を、水で2〜10倍に希釈して使用する請求項6又は7に記載の被洗浄物の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−255121(P2012−255121A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130233(P2011−130233)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】