説明

濾材及びその製造方法

【課題】本発明は光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材に関する。
【解決手段】本発明は光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材に関し、活性炭をベースにした第1の層、次いで光触媒剤をベースにした別個の第2の層、又はその反対の順で覆われた透過性の支持体を備える。本発明はまた、そのような濾材を製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は濾過用媒体すなわち濾材に関する。本発明はまた、該濾材を製造する方法に関する。本発明の目的は最終的には、ガス状又は液状の流出物を浄化するために本濾材を使用することである。
【背景技術】
【0002】
光触媒作用とも称されるいわゆる「光触媒」反応は、ガス状の流出物、特に空気、又は液状の流出物に存在する様々な有機及び/又は無機の汚染物質を光化学反応によって消滅させることであり、この反応は紫外線を用いて光触媒を照射することによって引き起こされる。
【0003】
光触媒作用は本質的に、380ナノメートル未満の波長のUV線を用いて半導体・固体(例えばTiOのような光触媒剤)を活性化させることによって開始され、これによって電子が半導体内で変化し、空気又は水のようなガス状又は液状の流出物の存在下、半導体表面に酸素処理されかつヒドロキシル基を含むラジカルが生成される。これらラジカルは、半導体上に吸着した有機化合物を攻撃し、一連の化学反応を経て最終段階である酸化に至るまで化合物を分解する。
【0004】
既述されているように、光触媒剤は光触媒反応を誘起することができるので、特にUV光によって活性化された二酸化チタンTiO鋭錐石をこれに限定されるわけではないが用いることができる。これによって、TiO上に吸着した有機炭素鎖(organic carbon chain)を攻撃し得るヒドロキシル基OH及び酸素Oラジカルが形成されるようにして電子的に変化し、有機炭素が完全に二酸化炭素へ転化されるまで有機炭素鎖を分解する。
【0005】
しかしながら、特に金属酸化物、アルカリ土類酸化物、アクチニド酸化物及び希土類酸化物からなる群の一部を形成するような他の光触媒剤を予想することは可能である。実際問題として光触媒剤は、特に天然又は合成の不織布、ガラス繊維、又は金属又はプラスチックのグリッドのような支持体に結合剤(binding agent)を用いて取り付けられている。
【0006】
光触媒剤と結合剤との混合物に由来する特に好都合な光触媒の混合物は、本出願人による文献、国際公開第99/51345号パンフレットに記述されている。
【0007】
これら混合物は空気を処理するために用いることができる。確かに空気は大量の汚染物質を収容することができ、空気中には、NO,NH,HS,CO,O,塩素化された又は塩素化されていないC−Cアルケン,クロロメタン,イソオクタン,ベンゼン,トルエン,キシレン,イソプロピルベンゼン,飽和脂肪族C−Cアルコール(saturated aliphatic C−C alcohols),メチルメルカプタン,クロロフェノール,ニトロフェノール,メチルt−ブチルエーテル,ジメトキシメタン,C−Cアルデヒド(C−C aldehydes),アセトン,ギ酸,酢酸,2−メチルプロピオン酸,ジクロロ塩化アセチル,ジメチルホルムアミド,トリメチルアミン,アセトニトリル,ピリジン,メタンチオール,ジメチルジスルフィドを収容することができる。
【0008】
光触媒の混合物はまた、液状の流出物、特に有機化合物、バクテリア、ウイルス、微生物、及び同様のもので汚染された水、を処理するために用いることができる。
【0009】
上述の文献、国際公開第99/51345号パンフレットにおいて、本出願人は、結合剤、光触媒剤及び活性炭の混合物に由来する混合物で被覆された支持体からなる、空気又は水を処理するための濾材について述べた。この文献で説明されたように、この種の濾材の目的は:
・まず第一に、活性炭の表面領域の高度な特殊性により、汚染ピークに存在する汚染物質を吸着し、
・次いで、紫外線下の光触媒反応によって、活性炭上に吸着した汚染物質を光触媒剤上に脱着させることによって分解し、かくして前記炭素の再生を可能にする
ことである。
【0010】
示されたように、活性炭及び光触媒剤をよく混合すると媒体の寿命を延ばすことが可能になるが、活性炭のサイトが汚染物質で飽和するのは必至である。というのも、特に層の表面に存在する活性炭は、UV線が光触媒剤の深部に達するのを妨げるからである。加えて、文献には、飽和することなく適切に汚染を除去するために必要な活性炭層の質量及び活性炭の割合に関しては何も示されていない。言い換えると、光触媒反応は活性炭の適切な再生を可能にするほど十分には効果的でないので、汚染物質で飽和した媒体を比較的頻繁に新しい媒体と取り替える必要がある。極めて明白なように、汚染物質で装填された濾材の処分は、環境に対して因果関係がないわけではない。
【0011】
特開平11−179118号公報は、薄層状形態の濾材について述べており、これは活性炭層を光触媒剤層と組み合わせたものである。ここでもまた、活性炭が飽和するのを予防する一方で効果的に汚染を除去し得るのに必要な、活性炭ベース層の質量と活性炭の割合とに関しては何も示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第99/51345号
【特許文献2】特開平11−179118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明が解決することを提案している問題は、上述の種類の新規な濾材を開発することであり、すなわち、特に活性炭が汚染物質で飽和するという問題に関して上述の不都合を表さない、光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開発を行うために、本発明の光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材は、第1の活性炭ベース層、次いで別個の第2の光触媒剤ベース層、又はこの反対の順序で覆われた透過性の支持体を備え、活性炭ベース層の質量は、10〜300g/mであり、活性炭を10〜100重量%含むことを特徴とする。
【0015】
驚くことに本出願人は、2つの独立した層形態の光触媒剤及び活性炭を提供することによって、光触媒剤とUV線との組合せによって生成された光触媒反応の効力が連続して飽和度が低下し得るのに十分な方法で増加し得、それ故に活性炭ベース層の質量が10〜300g/mでありかつ活性炭の割合が10〜100重量%であるときに、無限に再生する活性炭を得ることができる、ということを確かに観測した。結果として、例え、特に支持体の老化のために、媒体を除去せねばならない場合でも、媒体が有しているのは飽和度の低下した活性炭であり、それ故に環境に対して影響を与えない。
【0016】
上述の範囲以外では、濾材はもはや汚染ピークを効果的に回復させることができないか(上限)、又は前記層の厚さが大きくなり過ぎて層の底部又は頂部が、場合によって、光触媒剤の作用を得られなくなる(上限)。
【0017】
本明細書における以下の説明及び特許請求の範囲において、「透過性の支持体」という表現は、天然又は化学の、単独又は混合物の形態の、織物に使用するための繊維から得られるシートの形態で提供された、空気及び液状流出物の透過する構造を意味する。このシートは不織布、織物又はグリッドにさえすることができる。繊維はそのようなシートの構造に入り込むので、好ましくは但し制限なしに天然繊維、特にセルロース繊維、コットン繊維、有機化学繊維、特に加工セルロース繊維、メチルセルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、及び無機化学繊維、特にガラス繊維及び金属繊維が用いられる。
【0018】
好ましい実施形態では、支持体は、天然繊維及び有機化学繊維をベースにした不織布の形態で提供される。支持体の機械的耐久性を向上させるために、支持体は、40〜80重量%、好都合には50重量%がセルロース繊維からなり、100%にするために残りがポリプロピレン繊維からなる。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、機械的耐久性、及びそれ故に支持体の質量は、液状又はガス状の流出物の流れに応じて可変であり、特に5〜150g/mである。
【0020】
活性炭は当業者には良く知られており、様々な形態で提供されてよい。特に粉末、繊維又は穿孔したシートの形態で提供することができ、これらの製造方法はより詳しくは、参照として引用された米国特許第4069297号明細書及び米国特許第4285831号明細書に記述されている。しかしながら、活性炭の繊維又は粒子は互いに結合する能力がないことが知られている。
【0021】
この問題を解決するために、活性炭の形態が繊維であるにせよ又は粒子であるにせよ、活性炭は天然繊維及び/又は有機化学繊維、上で列挙されたものと同様の種類の混合物の中に含まれており、天然又は化学繊維は活性炭の繊維及び/又は粒子が互いに結合することを可能にする。この場合、活性炭ベース層はシートの形態で提供され、このシートは好都合には湿式法によって得られる。
【0022】
実際問題として、活性炭繊維は、10〜100マイクロメートルの直径に対して2〜7mmの長さを有する。同様に、活性炭粒子は粉末の形態で提供され、構成粒子の寸法は0.1〜100マイクロメートルである。
【0023】
第1実施形態では、活性炭ベース層は、20〜75重量%、好都合には50重量%が活性炭繊維からなる混合物と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物からなる100%にするための残部と、からなる。20%未満の濃度に関して、活性炭の量は大量の汚染ピークが吸着し得るのに十分でない。75%を超えた活性炭繊維の濃度に関しては、活性炭繊維のコストが高いので、濾材は経済的に利点が少なくなる。
【0024】
第2実施形態では、活性炭ベース層は、70〜90重量%、好都合には80重量%が活性炭粒子からなる混合物と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物からなる100%にするための残部と、からなる。上記のように、70%未満の濃度に関して、活性炭の量は大量の汚染ピークが吸着し得るのに十分でない。90%を超えた活性炭粒子の濃度に関しては、活性炭粒子のコストが高いので、濾材は利点が少なくなる。
【0025】
その上、天然及び/又は化学繊維が活性炭の粒子及び/又は繊維と結合するのを改善するために、活性炭ベース層はさらに、少なくとも一つの結合剤を含む。好都合には、活性炭ベース層は、加工澱粉を1〜10重量%、好都合には5重量%含む。本明細書における以下の説明及び特許請求の範囲において、「加工澱粉(modified starch)」という表現は、欧州特許第617742号明細書に記載されているような繊維の形態で提供された加工澱粉を意味する。非常に驚くべきことに、本出願人は、この澱粉は繊維が互いに結合するのを、層の厚さが繊維の結合によって著しく減少するような量まで、透過性を失うことなく高めることを可能にする、ということを確かに観測した。
【0026】
既述したように、活性炭はまた、穿孔したシートの形態で提供されてもよい。この実施形態によれば、活性炭ベース層は、メッシュが0.1〜5mm、好都合には2mmである活性炭繊維の形状で提供され、この繊維は、有機化学繊維から作られた繊維を900℃に加熱することによって得られる。
【0027】
一般に、光触媒反応を開始し、大部分の光触媒剤の粒子はUV線に接近可能である必要がある。
【0028】
結果として、活性炭が繊維又は粒子の形態で提供されたときには、活性炭ベース層は支持体と直接接触して第1の層を構成し、光触媒剤は第2の層の混合物の中に入り込む。確かにこれらの状況の下では、活性炭によって占められる体積は、UV線が光触媒剤に到達するのを妨げない。
【0029】
他方、活性炭ベース層が所定のメッシュを備えた織物の形態で提供されているときは、光触媒剤は支持体上に直接被覆してよく、活性炭ベース層は第2の層を構成する。確かに、織物のメッシュは放射線の透過を可能にし、それ故に光触媒剤が支持体上に直接被覆されている場合でさえ、光触媒剤と接触することを可能にする。しかしながら、他の実施形態では、活性炭織物は支持体上に直接設けられてよく、これによって第1の層が構成される。
【0030】
光触媒剤ベース層の混合物に入り込んでいる光触媒剤に関して、光触媒剤は、金属酸化物、アルカリ土類金属含有酸化物、アクチニド酸化物及び希土類酸化物からなる群より選択されてよい。
【0031】
本出願人によって国際公開第99/51345号パンフレットに記述されているような、好適な実施形態では、光触媒剤ベース層は、乾燥状態で10〜60部、好都合には50部が二酸化シリコン(SiO)の水性コロイド分散体からなり、100部にするために残りがTiO鋭錐石からなる混合物の形態で提供される。
【0032】
その上、TiO粒子が互いだけでなく、第1の層又は支持体を構成する繊維性のクッションにも効果的に結合することができるように、SiO粒子は、20〜50重量%が水性コロイド分散体であり、直径が10〜40ナノメートルである。
【0033】
その上、光触媒反応は効果的であり、活性炭の吸着は均一に起こるので、光触媒剤ベース層は、5〜40g/m、好都合には20g/mの光触媒剤を含む。5g/m未満の値に対して、層の厚さが過度に小さいことを考慮すると、光触媒反応は減少する。対照的に、40g/mを超える値に対しては、光触媒剤の質量が大きくなりすぎ、UV線が層の基部に存在する光触媒剤の粒子に到達するのを妨げる。
【0034】
その上、改善された実施形態では、光触媒作用の収量を向上させるために、2つの層で覆われていない支持体の自由面は、光触媒剤ベース層で被覆する。
【0035】
本発明はまた、上述の濾材を製造するための方法にも関する。
【0036】
もちろん製造方法は、支持体だけでなく活性炭ベース層の構造にも応じて変化する。
【0037】
第1実施形態によれば、本発明は、光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材を製造する方法であって、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした不織布からなる支持体上に、天然及び/又は有機化学繊維と活性炭の繊維及び/又は粒子とをベースにした第1の層を設け、次いで第2の光触媒剤ベース層を設け、前記活性炭ベース層の質量は、10〜300g/mであり、活性炭を10〜100重量%含むことを特徴とする方法に関する。
【0038】
第1の特徴によれば、支持体は湿式法によって製紙機械上に形成される。もちろん、支持体の混合物は可変であり、特に機械的耐久性及び所望の透過性に従って調整できる。セルロース繊維及びポリプロピレン型の有機化学繊維をベースにした支持体が好ましい。
【0039】
同様の方法で、第1の層を湿式法によって作成し、支持体へ直接設ける。取付けは排出する時に達成される。この方法は特に、製紙機械上で連続的に稼動することができるので好都合であり、設備は活性炭ベースのサスペンションを調整するよう意図された第2ヘッドボックスのために作られている。次いで活性炭ベース層を湿った支持体上に堆積し、次いで水を排出する時に支持体の表面で含浸されるようになる。次いで支持/第1層組立体を、第2の光触媒剤ベース層で被覆される前に乾燥する。他の実施形態では、第1の層は型押しによって支持体に設けられる。
【0040】
光触媒剤ベース層は好ましくは、本出願人による上述の文献に記載された光触媒の混合物に一致する。
【0041】
この第2の層は、均一な厚さの層又は光触媒剤の斑点のどちらかを与えるような様々な方法で設けることができる。結果として、第1実施形態では、第2の層は型押しを用いて噴霧又は被覆によって第1の層に設けられる。第2実施形態では、第2の層は回転フレームローラを用いて設けられ、光触媒剤の斑点を得ることを可能にする。
【0042】
この発明はまた、光触媒剤及び活性炭をベースにした濾材を製造する方法であって、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした不織布からなる支持体に、第1の光触媒剤ベース層を設け、次いで活性炭織物からなる第2の層を設け、活性炭ベース層の質量は、10〜300g/mであり、活性炭を10〜100重量%含む方法に関する。
【0043】
上記のように、支持体は湿式法によって製紙機械上に形成される。もちろん、支持体の混合物は可変であり、特に所望の機械的耐久性に従って調整できる。セルロース繊維及びポリプロピレン型の有機化学繊維をベースにした支持体が好ましい。
【0044】
同様の方法で、第1の層を型押し又は回転フレームローラを用いて噴霧又は被覆することによって支持体に設ける。
【0045】
その上、他の特徴によれば、活性炭織物を、あらゆる公知の手段によって、特にニードル結合型(needle bonding type)である第1の光触媒剤ベース層で被覆された支持体に取り付ける。裁縫は好都合には外縁を構成する。
【0046】
本発明はまた、空気を処理するために、また液状の流出物を処理するために、上述の濾材を使用することに関する。
【0047】
本発明及び本発明から到達する利点は、続く添付の図面の助けを借りて、例として示した実施形態からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】試験的な空気処理の概略図である。
【図2】UV線の下での時間に応じた汚染物質の分解、及び光触媒剤のみで覆われた濾材を用いたこの試薬のCOへの転化を示すグラフである。
【図3】UV線を用いずに、次いでUV線の下における、本発明の濾材を用いた汚染物質の分解、及び時間に応じたこの試薬のCOへの転化を示すグラフである。
【図4】UV線の下で本発明の濾材を用いた汚染材の分解、及び時間に応じたこの試薬のCOへの転化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1において、2つの端部で、汚染された空気のインレットパイプ2と汚染除去された空気のアウトレットパイプ3とに接続された100リットルベッセル1からなる試験的な空気処理が表されている。2つのパイプはループを形成し、換気システム4によって互いに隔離されている。汚染物質Pがベッセル1の上流で導入される。ベッセルはさらに、空気の流れに対して垂直に配置された濾材5と、紫外(UV)線源とを備えており、前記UV線源は光触媒混合物で覆われた支持体の表面を照射するように配置されている。400mg/mのトルエンを空気の回路に注入することによって、このパイロットを用いて3つの比較に関する試行が実施された。処理の間のトルエン濃度の分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)によって実施された。
【0050】
第1試行は、濾材として、不織布(40g/m)(それぞれ20g/mの量で、50重量%の合成ポリプロピレン繊維、MITSUIから販売されているY600/50重量%のセルロース繊維(CHAMPIONから販売されている、PENSACOLA);TiO及びSiOをベースにした光触媒混合物(SEPPICから販売されている、SNOWTEX50)で被覆されている)を用いたものである。
【0051】
図2において、UV線の下におけるこの媒体の容量、したがって時間に応じた汚染物質を低下させるための光触媒混合物の容量が示されている。この図が示すように、汚染物質の濃度は徐々に減少し(曲線6)、同じ割合でCOに転化している(曲線7)。ループを稼動してから12時間後、汚染物質全体が分解し、COに転化している。
【0052】
第2及び第3試行は、濾材として、本発明の濾材を用いたものである。この濾材は次の方法で作られている。
【0053】
2つのヘッドボックスを備えた製紙機械で、湿式法によって第1ボックスから、(50%の合成ポリプロピレン繊維、MITSUIから販売されているY600/50重量%のセルロース繊維(CHAMPIONから販売されているPENSACOLA))で構成された乾燥状態で30g/mの繊維混合物からなる支持体を製造する。
【0054】
この支持体に対して、第2ボックスによって、SOFRANCEから販売されている活性炭繊維71重量%と、CHAMPIONから販売されているPENSACOLA天然繊維混合物21重量%と、商標CHARTBIという名称でBEGHINから販売されている加工澱粉8%と、からなる70g/mの繊維シートを設ける。ここで活性炭繊維は、長さが2〜7mmであり、直径が10〜100マイクロメートルである。
【0055】
次いで、それぞれが20g/mである、TiO(MILLENNIUMから販売されている)と二酸化シリコンの水性分散体(SEPPICから販売されている、SNOWTEX50)との混合物からなる光触媒混合物を、回転フレームを用いて被覆する。
【0056】
図3において、最初はUV線を用いずに、次いでUV線下における、時間に応じた汚染物質の低下レベル(曲線8a,8b)と、汚染物質のCOへの転化とが表されている。
【0057】
この図が示すように、汚染物質がシステムに注入された瞬間とUVランプが電流源に接続された瞬間との間で、活性炭のサイト、小さな部分ではTiOのサイトに汚染物質が吸着するのに伴って、汚染物質の濃度がかなり急速に減少している(曲線8a)。UVランプが電流源に接続されたとき、光触媒反応に伴って、汚染物質の分解が続く(曲線8b)。同時に、汚染物質の転化に由来する、COの放出(曲線4)が観測された。
【0058】
図4において、放射線の下での時間に応じた、汚染物質の分解レベル(曲線10)と、汚染物質のCOへの転化(曲線11)とが表されている。
【0059】
この図が示すように、活性炭のサイトに吸着した汚染物質が光触媒作用によって同時にCOに分解される(曲線11)ので、汚染物質の分解(曲線10)は、開始時点で非常に急速である。炭素サイトは連続的に脱着され、汚染除去の加速を可能にする。したがって、本発明の濾材はUV線の下で、同一濃度の汚染物質を、特に放射線のない状態(図2参照)と比べて半分の時間(7時間)で処理することができる、ということがわかった。
【0060】
本発明及び本発明の利点は、前述の記述から明らかとなる。光触媒剤のみをベースにした媒体と比べて、本発明の濾材の汚染除去率が改善されていることに特に留意されたい。他の利点は、汚染物質によって活性炭のサイトが飽和しないことであり、これによって前記活性炭の連続した再生が可能となる。
【符号の説明】
【0061】
5 濾材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材を製造する方法であって、
前記濾材が、光触媒剤ベース層及び活性炭ベース層の各々の2つの独立した層で覆われた透過性の支持体により構成され、
前記活性炭ベース層が、
20から75重量%の活性炭繊維と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物により構成された100%にするための残部と、を含む混合物、又は、
70から90重量%の活性炭粒子と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物により構成された100%にするための残部と、を含む混合物、
のいずれかにより構成されたシート形態で設けられ、前記活性炭ベース層の質量は、10〜300g/mであり、
前記光触媒剤ベース層が、光触媒剤を5〜40g/m含む光触媒の組成物により構成され、
前記濾材が、前記支持体、前記光触媒剤ベース層、前記活性炭ベース層の順に配置された構成を有する、又は
前記濾材が、前記支持体、前記活性炭ベース層、前記光触媒剤ベース層の順に配置された構成を有し、
天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした不織布からなる支持体上に、天然及び/又は有機化学繊維と活性炭の繊維又は粒子とをベースにした第1の層を設け、次いで第2の光触媒剤ベース層を設け、
前記支持体を湿式法によって作成することを特徴とする方法。
【請求項2】
濾材を製造する方法であって、
前記濾材が、光触媒剤ベース層及び活性炭ベース層の各々の2つの独立した層で覆われた透過性の支持体により構成され、
前記活性炭ベース層が、
20から75重量%の活性炭繊維と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物により構成された100%にするための残部と、を含む混合物、又は、
70から90重量%の活性炭粒子と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物により構成された100%にするための残部と、を含む混合物、
のいずれかにより構成されたシート形態で設けられ、前記活性炭ベース層の質量は、10〜300g/mであり、
前記光触媒剤ベース層が、光触媒剤を5〜40g/m含む光触媒の組成物により構成され、
前記濾材が、前記支持体、前記光触媒剤ベース層、前記活性炭ベース層の順に配置された構成を有する、又は
前記濾材が、前記支持体、前記活性炭ベース層、前記光触媒剤ベース層の順に配置された構成を有し、
天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした不織布からなる支持体に、第1の光触媒剤ベース層を設け、次いで天然及び/又は有機化学繊維と活性炭の繊維又は粒子とをベースにした第2の層を設け、
前記支持体を湿式法によって作成することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記第1の層を湿式法によって作成し、液体の排除によって前記支持体へ取り付けることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記第2の層を、型押し又は回転フレームローラを用いて噴霧又は被覆することによって、前記第1の層に設けることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法において、
前記第1の層を、型押し又は回転フレームローラを用いて噴霧又は被覆することによって、前記支持体に設けることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2記載の方法において、
活性炭織物を、ニードル結合によって前記支持体に取り付けることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の方法において、
前記支持体は、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした不織布の形態で提供されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1又は2記載の方法において、
前記支持体は、40〜80重量%がセルロース繊維からなり、100%にするために残りがポリプロピレン繊維からなることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1又は2記載の方法において、
前記支持体は、50重量%がセルロース繊維からなり、100%にするために残りがポリプロピレン繊維からなることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1又は2記載の方法において、
前記支持体は、5〜150g/mの質量を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層は、50重量%の活性炭繊維と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物からなる100%にするための残部とを含む混合物、からなることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層は、80重量%の活性炭粒子と、天然繊維及び/又は有機化学繊維をベースにした混合物からなる100%にするための残部とを含む混合物、からなることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層はさらに、加工澱粉を1〜10重量%含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層はさらに、加工澱粉を5重量%含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層は、メッシュが0.1〜5mmである活性炭織物の形状で提供されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層は、メッシュが2mmである活性炭織物の形状で提供されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1又は2記載の方法において、
前記光触媒剤ベース層は、乾燥状態で10〜60部が二酸化シリコンの水性コロイド分散体からなり、100部にするために残りがTiO鋭錐石からなる混合物の形態で提供されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1又は2記載の方法において、
前記光触媒剤ベース層は、乾燥状態で50部が二酸化シリコンの水性コロイド分散体からなり、100部にするために残りがTiO鋭錐石からなる混合物の形態で提供されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17又は18記載の方法において、
SiO粒子は、前記水性コロイド分散体の20〜50重量%に相当し、直径が10〜40ナノメートルであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1又は2記載の方法において、
前記光触媒剤ベース層は、20g/mの光触媒剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1又は2記載の方法において、
前記活性炭ベース層及び前記光触媒剤ベース層で覆われていない前記支持体の自由面は、第2光触媒剤ベース層で覆われていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240338(P2011−240338A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−142813(P2011−142813)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【分割の表示】特願2002−519084(P2002−519084)の分割
【原出願日】平成13年8月1日(2001.8.1)
【出願人】(302000036)アフルストロム・リサーチ・アンド・サービシーズ (2)
【Fターム(参考)】