説明

災害緊急地盤変動解析システム及び災害緊急地盤変動解析方法

【課題】観察者の所望の時間において、大きな災害が発生する箇所を緊急に判定することのできる災害緊急地盤変動解析装置を提供する。
【解決手段】通信ネットワークによって接続され複数の異なる地点に固定設置された座標計測装置のそれぞれが位置観測用衛星から受信した衛星測位信号であって、座標計測装置のそれぞれが所定の時間間隔で24時間分取得した衛星測位信号を、所定の間隔毎に通信ネットワークを介して受信する。そして、受信した24時間分の衛星測位信号に基づいて、座標計測装置それぞれの24時間平均の地心直交座標を算出し、所定の間隔毎に24時間平均の地心直交座標の算出結果を表示した地心直交座標変動結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の緊急の地盤変動を解析することのできる災害緊急地盤変動解析システム及び災害緊急地盤変動解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全国を網羅する1200点余の国土地理院GPS電子基準点における日々の座標値を入手するには、当該座標値を算出するコンピュータに膨大な処理をさせる必要があることから、現在の時刻から約2〜3週間を要し、防災・減災の視点からの民間レベルでの地盤変動情報の即時の入手は困難であった。また地震観測網と違い、公共機関・大学・民間を含むGPSの地域ネットワークを組み、観測結果を緊急に広く利活用することは不可能であった。このような全国の座標情報の取得の困難さは、GPS受信機の型式の違いも加わってGPSの連続精密解析を困難にしてきた。さらに、これら解析において、精度を担保するのに長い時間と多大の費用が要することも、その一因になっている。ここで、複数の観測基準点の座標を定期的に観測し、各観測基準点の座標の変動量により災害発生地点を推定する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第4139229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の特許文献1の技術は、異常地盤を正確に把握でき、かつ的確に地盤災害の予測を行うことを課題としているが、通常、国土地理院GPS電子基準点における日々の座標値を入手するためには、上述したように2〜3週間の時間を要するため、現在、全国のどの地点においてどのような異常が発生しているかを瞬時に把握することはできず、緊急を要する災害発生箇所の検出などに用いることができなかった。例えば、地震が発生した直後は、災害が継続して発生してはいないが地震発生直後から地盤がずれ始め、数時間後に土砂崩れなどの災害が発生することがあるが、そのような箇所を判定することが難しかった。
【0005】
そこでこの発明は、観察者の所望の任意の時間において、大きな災害が発生する箇所を緊急に判定することのできる災害緊急地盤変動解析システム及び災害緊急地盤変動解析方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の座標計測装置と災害緊急地盤変動解析装置とが通信ネットワークを介して接続された災害緊急地盤変動解析システムであって、前記複数の座標計測装置それぞれが、前記通信ネットワークに接続され複数の異なる地点に固定設置された複数の衛星測位信号受信アンテナのそれぞれが位置観測用衛星から受信した衛星測位信号を、通信ネットワークを介して受信する衛星測位信号受信手段と、前記災害緊急地盤変動解析装置より算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を受信する基準時刻受信手段と、前記受信した24時間分の前記衛星測位信号と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記24時間平均の地心直交座標を算出する地心直交座標算出手段と、を備え、前記災害緊急地盤変動解析装置が、前記複数の座標計測装置それぞれに、前記算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を所定の間隔ずらして通知する基準時刻通知手段と、前記所定の間隔毎に、異なる前記座標計測装置から前記24時間平均の前記複数の衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標を受信して、各衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標を示す地心直交座標変動結果を出力する地心直交座標変動結果出力手段と、を備えることを特徴とする災害緊急地盤変動解析システムである。
【0007】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析システムにおいて、前記座標計測装置のそれぞれが、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を算出する楕円体高算出手段と、を備え、前記災害緊急地盤変動解析装置が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を示す楕円体高変動結果を出力する楕円体高変動結果出力手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の災害緊急地盤変動解析システムである。
【0008】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析システムにおいて、前記災害緊急地盤変動解析装置が、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地心直交座標に基づいて、当該地心直交座標毎に対応する前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量を算出する水平移動量算出手段と、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量の算出結果を表示した水平移動量変動結果を出力する水平移動量変動結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析システムにおいて、前記災害緊急地盤変動解析装置が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高に基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量を算出する地盤高変動量算出手段と、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量の算出結果を表示した地盤高変動量変動結果を出力する地盤高変動量変動結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、複数の座標計測装置と災害緊急地盤変動解析装置とが通信ネットワークを介して接続された災害緊急地盤変動解析システムにおける災害緊急地盤変動解析方法であって、前記複数の座標計測装置それぞれの衛星測位信号受信手段が、前記通信ネットワークに接続され複数の異なる地点に固定設置された複数の衛星測位信号受信アンテナのそれぞれが位置観測用衛星から受信した衛星測位信号を、通信ネットワークを介して受信し、前記複数の座標計測装置それぞれの基準時刻受信手段が、前記災害緊急地盤変動解析装置より算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を受信し、前記複数の座標計測装置それぞれの地心直交座標算出手段が、前記受信した24時間分の前記衛星測位信号と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記24時間平均の地心直交座標を算出し、前記災害緊急地盤変動解析装置の基準時刻通知手段が、前記複数の座標計測装置それぞれに、前記算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を所定の間隔ずらして通知し、前記災害緊急地盤変動解析装置の地心直交座標変動結果出力手段が、前記所定の間隔毎に、異なる前記座標計測装置から前記24時間平均の前記複数の衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標を受信して、各衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標を示す地心直交座標変動結果を出力することを特徴とする災害緊急地盤変動解析方法である。
【0011】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析方法において、前記座標計測装置のそれぞれの楕円体高算出手段が、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を算出し、前記災害緊急地盤変動解析装置の楕円体高変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を示す楕円体高変動結果を出力することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析方法において、前記災害緊急地盤変動解析装置の水平移動量算出手段が、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地心直交座標に基づいて、当該地心直交座標毎に対応する前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量を算出し、前記災害緊急地盤変動解析装置の水平移動量変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量の算出結果を表示した水平移動量変動結果を出力することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上述の災害緊急地盤変動解析方法において、前記災害緊急地盤変動解析装置の地盤高変動量算出手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高に基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量を算出し、前記災害緊急地盤変動解析装置の地盤高変動量変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量の算出結果を表示した地盤高変動量変動結果を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信ネットワークを介して日本全国に固定設置された多くの衛星測位信号受信アンテナ10からの衛星測位信号を座標計測装置2が受信し、そのデータに基づいて、特定の衛星測位信号受信アンテナ10の24時間平均の地心直交座標、楕円体高、水平移動量、地盤高変動量などの地盤変動を、座標計測装置2や災害緊急地盤変動解析装置1が即時に確認することができる。これにより、観察者の所望の時間において、大きな災害が発生する箇所を緊急に判定することのできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による災害緊急地盤変動解析装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による災害緊急地盤変動解析システムの構成を示すブロック図である。この図において、符号1は災害緊急地盤変動解析装置である。また2は座標計測装置である。また10は衛星測位信号受信アンテナである。また20は衛星測位信号受信装置である。
そして災害緊急地盤変動解析システムにおいては、衛星測位信号受信アンテナ10が例えば日本全国の1200点余りの多数の地点に分散して固定設置されており、その衛星測位信号受信アンテナがGPS衛星から受信した衛星測位信号を衛星測位信号受信装置20が通信ネットワークを介して受信する。また、複数の座標計測装置2は通信ネットワークを介して衛星測位信号受信装置20と災害緊急地盤変動解析装置1に接続されているものとする。座標計測装置2は、衛星測位信号受信装置20より、各衛星測位信号受信アンテナ10がGPS衛星から受信した衛星測位信号(GPSが発信する信号)を受信し、各衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置を検出する。そして、その算出された各衛星測位信号受信アンテナ10の位置に基づいて、特定の衛星測位信号受信アンテナ10の24時間平均の地心直交座標、24時間平均の楕円体高、24時間平均の水平移動量、24時間平均の地盤高変動量などの地盤変動を、座標計測装置2や災害緊急地盤変動解析装置1が算出する。
【0016】
図2は座標計測装置および災害緊急地盤変動解析装置の機能ブロック図である。
この図が示すように、災害緊急地盤変動解析装置1は、通信処理部11、制御部12、アンテナ位置算出結果受信部13、地盤変動解析部14、地盤変動結果出力部15、データベース16、基準時刻通知部17を少なくとも備えている。ここで通信処理部11は、通信ネットワークを介して情報を送受信する処理部である。また制御部12は、災害緊急地盤変動解析装置1の各処理部を制御する処理部である。またアンテナ位置算出結果受信部13は、座標計測装置2よりアンテナ位置の算出結果の情報を受信する処理部である。また地盤変動解析部14は、座標計測装置2より受信したアンテナ位置の算出結果の情報に基づいて、衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置に対応する地球重心を原点とした測地座標などにおける、当該固定設置された位置の地盤変動量を判定できる情報を算出する処理部である。また地盤変動結果出力部15は、地盤変動解析部14の算出した情報に基づいて所定の間隔毎の24時間平均の地盤変動の情報を出力する処理部である。またデータベース16はアンテナ位置算出結果受信部13が受信したアンテナ位置の算出結果の情報や地盤変動解析部14が算出した情報等を記憶する。また基準時刻通知部17は座標計測装置2が各衛星測位信号受信アンテナの固定設置された位置の地盤変動の24時間平均の情報を算出するための基準時刻を座標計測装置2へ通知する処理部である。
【0017】
また図2で示すように、座標計測装置2は、通信処理部21、制御部22、衛星測位信号受信部23、アンテナ位置算出部24、アンテナ位置算出結果出力部25、データベース26を備えている。ここで、通信処理部21は衛星測位信号受信装置20や災害緊急地盤変動解析装置1と通信を行う処理部である。また制御部22は座標計測装置2の各処理部を制御する処理部である。また衛星測位信号受信部23は衛星測位信号受信アンテナ10がGPS衛星から受信した衛星測位信号を、当該衛星測位信号受信アンテナ10から取りまとめて取得した衛星測位信号受信装置20を経由して受信する処理部である。またアンテナ位置算出部24は衛星測位信号に基づいて、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置を示す地心直交座標や楕円体高を算出する処理部である。またアンテナ位置算出結果出力部25は、アンテナ位置算出部24の算出した情報を災害緊急地盤変動解析装置1へ出力するする処理部である。またデータベース16は、衛星測位信号受信アンテナ10の受信した衛星測位信号のデータや、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置を示す地心直交座標や楕円体高等の情報を対応付けて記憶する記憶部である。
【0018】
そして、本実施形態による災害緊急地盤変動解析システムは、複数の座標計測装置2と災害緊急地盤変動解析装置1とが通信ネットワークを介して接続されており、複数の座標計測装置2のそれぞれが、通信ネットワークに接続され複数の異なる地点に固定設置された複数の衛星測位信号受信アンテナ10のそれぞれが位置観測用衛星(GPS衛星)から受信した衛星測位信号を、通信ネットワークを介して受信し、災害緊急地盤変動解析装置1より算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を受信し、受信した24時間分の衛星測位信号と基準時刻とに基づいて、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における24時間平均の地心直交座標を算出する。そして、災害緊急地盤変動解析装置1が、複数の座標計測装置2それぞれに、算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を所定の間隔ずらして通知し、所定の間隔毎に、異なる座標計測装置2から24時間平均の複数の衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの地心直交座標を受信して、各衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標を示す地心直交座標変動結果を出力する処理を行う。
【0019】
また本実施形態による災害緊急地盤変動解析システムでは、座標計測装置2のそれぞれが、算出した衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの地心直交座標と基準時刻とに基づいて、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の楕円体高を算出する。そして、災害緊急地盤変動解析装置1が、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の楕円体高を示す楕円体高変動結果を出力する処理を行う。
【0020】
また本実施形態による災害緊急地盤変動解析システムでは、災害緊急地盤変動解析装置1が、算出された衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標に基づいて、当該地心直交座標毎に対応する所定の間隔毎の24時間平均の水平移動量を算出する。そして、災害緊急地盤変動解析装置1は、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量の算出結果を表示した水平移動量変動結果を出力する処理を行う。
【0021】
また本実施形態による災害緊急地盤変動解析システムでは、災害緊急地盤変動解析装置1が、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の楕円体高に基づいて、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の地盤高変動量を算出し、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれの固定設置された位置における所定の間隔毎の24時間平均の地盤高変動量の算出結果を表示した地盤高変動量変動結果を出力する処理を行う。
そして災害緊急地盤変動解析装置1は、このような処理により、観察者の所望の時間において、大きな災害が発生する箇所を緊急に判定するための出力結果を出力する処理を行う。
【0022】
図3は災害緊急地盤変動解析装置の処理フローを示す図である。
図4は測地座標と楕円体高の算出概要を示す図である。
図5は楕円体高の説明図である。
図6は算出結果テーブルの例を示す図である。
次に図3〜図6を用いて災害緊急地盤変動解析装置の処理の詳細について説明する。
まず、衛星測位信号受信装置20は、通信ネットワークを介して日本全国の衛星測位信号受信アンテナ10から、当該衛星測位信号受信アンテナ10がGPS衛星から受信した衛星測位信号(地心直交座標を特定するための信号)を通信ネットワークを介して受信する。例えば、衛星測位信号受信アンテナ10は日本全国の1200地点に固定設置されており、衛星測位信号受信装置20は、30秒間隔で衛星測位信号受信アンテナ10から衛星測位信号を受信している。その衛星測位信号受信装置20が受信した衛星測位信号を、所定の時間毎(例えば10分毎)に座標計測装置2の衛星測位信号受信部23が受信する(ステップS101)。
【0023】
次に、座標計測装置2のアンテナ位置算出部24は、受信した衛星測位信号のうち複数地点の衛星測位信号受信アンテナ10で受信された30秒間隔の24時間分の衛星測位信号を用いて、三角網による網平均計算を行う(ステップS102)。ここで三角網とは、衛星測位信号受信アンテナ10の設置された複数の位置におけるある3点の三角形の頂点として互いに直線で結ぶことによって構成される三角形の集合体である。また、網平均計算とは、この三角形の頂点の位置を角条件や辺条件といった制約条件の下で最小二乗法を行うことによって位置データを確定する計算方法である。このような網平均計算については、例えば「最小二乗法の理論とその応用」(田島稔他著、東洋書店)等に詳述されている。
【0024】
このような計算をアンテナ位置算出部24で行うことによって、特定した複数地点の三角網を用いて、それら複数地点における衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標(X,Y,Z)を衛星測位信号の受信時刻毎に算出する(ステップS103)。またアンテナ位置算出部24は、他の各衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置についても同様にその地心直交座標(X,Y,Z)を衛星測位信号の受信時刻毎に順次算出する。なお、この地心直交座標の算出処理は、衛星測位信号受信アンテナ10が日本全国に配置された1200地点を39グループに分け、それぞれのグループ毎の各衛星測位信号受信アンテナ10で受信された衛星測位信号を用いてグループ内の衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標(X,Y,Z)を算出する処理を、グループ毎に順次を行うようにする。またこのとき、日本周辺の国際測地基準点(IGS点;つくばTSKB、臼田USUD、北京BJFS、上海SHAO、台湾桃園TWTF、グアムGUAM)を用いて、IGS点を含む三角網により網平均計算を行って地心直交座標(X,Y,Z)を算出するようにする。そして、アンテナ位置算出部24は各衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標(X,Y,Z)を、対応する衛星測位信号受信アンテナ10のIDと、その衛星測位信号受信アンテナ10から衛星測位信号を受信した時刻と、に対応付けてデータベースへ登録する(ステップS104)。
【0025】
またアンテナ位置算出部24は、各衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標(X,Y,Z)を算出すると、各衛星測位信号受信アンテナ10の楕円体高を衛星測位信号の受信時刻毎に算出する(ステップS105)。図4、図5で示すように楕円体高は、地心直交座標(X,Y,Z)と地球重心とを結ぶ直線の距離から、当該直線が地球楕円体に交わる点と地球重心とを結ぶ直線の距離を減じた値により算出できる。なお、地球重心や、地心直交座標(X,Y,Z)と地球重心とを結ぶ直線が地球楕円体に交わる点と地球重心とを結ぶ直線の距離は既知の値であるとする。そして、アンテナ位置算出部24は、各衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標(X,Y,Z)における楕円体高を、対応する衛星測位信号受信アンテナ10のID、その衛星測位信号受信アンテナ10から衛星測位信号を受信した時刻と、に対応付けてデータベースへ登録する(ステップS106)。そしてアンテナ位置算出部24は、所定の間隔毎に受信した衛星測位信号に基づいて、各衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置における、所定の間隔毎の地心直交座標(X,Y,Z)と楕円体高の値を衛星測位信号の受信時刻毎に算出し続ける。
【0026】
ここで、各座標計測装置2は、予め災害緊急地盤変動解析装置1の基準時刻通知部17より、地心直交座標の24時間平均と、楕円体高の24時間平均を算出するための基準時刻の通知を受けている。例えば図1で示す各座標計測装置2が2A,2B,2C,…,2Hの8つの座標計測装置であるとすると、座標計測装置2Aに対しては基準時刻は9時、座標計測装置2Bに対しては基準時刻は12時、座標計測装置2Cに対しては基準時刻は15時、座標計測装置2Dに対しては基準時刻は18時、・・・、座標計測装置2Hに対しては基準時刻は6時、と3時間ずつずらした基準時刻を座標計測装置2A〜2Hのそれぞれへ通知する。すると、各座標計測装置2のアンテナ位置算出部24は、通知を受けた基準時刻に時刻計測処理部のタイマが達したことを検出し、上述の処理により算出した地心直交座標および楕円体高のうち、前日の基準時刻から当日の基準時刻の前に算出された所定の時間毎(10分毎)の情報をデータベース26から読み取り、それら読み取った地心直交座標および楕円体高の24時間平均を算出し、データベース26に算出対象の衛星測位信号受信アンテナ10のアンテナIDと地心直交座標および楕円体高の24時間平均を対応付けて登録する。そして、各座標計測装置2のアンテナ位置算出結果出力部15は、災害緊急地盤変動解析装置1からの要求に基づいて、所定の間隔毎の各衛星測位信号受信アンテナ10における地心直交座標と楕円体高の24時間平均を送信することとなる。
【0027】
次に、災害緊急地盤変動解析装置1においては、ある地域における地盤変動を解析するために、管理者の入力などにより受け付けた情報等に基づいて、解析対象となる地域に位置する衛星測位信号受信アンテナ10のアンテナIDとを格納したアンテナ位置要求情報を各座標計測装置2へ送信する。すると、各座標計測装置2はアンテナIDに対応付けられてデータベース26に登録されている地心直交座標と楕円体高の24時間平均を災害緊急地盤変動解析装置1へ送信する。なお、災害緊急地盤変動解析装置1は、アンテナ位置要求情報において、時間範囲指定の情報を格納することにより、当該時間範囲指定した時間帯に算出された24時間平均の地心直交座標と楕円体高を受信するようにしてもよい。そして、これにより、災害緊急地盤変動解析装置1は、例えば時間範囲指定の情報が9時00分〜8時59分までの24時間平均の地心直交座標と楕円体高のデータを座標計測装置2Aから受信し、12時00分〜11時59分までの24時間平均の地心直交座標と楕円体高のデータを座標計測装置2Bから受信し、15時00分〜14時59分までの24時間平均の地心直交座標と楕円体高のデータを座標計測装置2Cから受信し、同様に基準時刻を基準とした24時間平均の地心直交座標と楕円体高のデータを座標計測装置2D〜2Hから受信する。
【0028】
次に、災害緊急地盤変動解析装置1においては、地盤変動解析部14が、各座標計測装置2からそれぞれ別々に受信した所定の間隔(基準時刻のずれである3時間)毎の24時間平均の地心直交座標(X,Y,Z)の受信に基づいて、その所定の間隔毎(3時間毎)の地心直交座標(X,Y,Z)のずれによる各衛星測位信号受信アンテナ10の水平移動量の24時間平均を算出する(ステップS107)。そしてその所定の間隔毎の水平移動量の24時間平均と、その水平移動量の算出対象である衛星測位信号受信アンテナ10のIDと、その水平移動量の24時間平均の算出に用いた地心直交座標の24時間平均と、その地心直交座標を受信した時刻と、を対応付けてデータベース16へ登録する(ステップS108)。24時間平均の水平移動量は、衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標の24時間平均を(X,Y,Z)、その時刻より所定の間隔の時間後の同じ衛星測位信号受信アンテナ10の地心直交座標の24時間平均を(X,Y,Z)とすると、(X−X,Y−Y)である。
【0029】
また地盤変動解析部14は、各座標計測装置2から受信した所定の間隔毎の24時間平均の楕円体高の受信に基づいて、その所定の間隔毎(本実施形態においては3時間毎)の楕円体高のずれによる各衛星測位信号受信アンテナ10の地盤高変動量の24時間平均を算出する(ステップS109)。そしてその所定の間隔毎の地盤高変動量の24時間平均と、その地盤高変動量の算出対象である衛星測位信号受信アンテナ10のIDと、その地盤高変動量の24時間平均の算出に用いた楕円体高の24時間平均と、その楕円体高を受信した時刻と、を対応付けてデータベース16へ登録する(ステップS110)。24時間平均の地盤高変動量は、ある時刻における衛星測位信号受信アンテナ10の楕円体高の24時間平均を(D)、その時刻より所定の間隔の時間後の同じ衛星測位信号受信アンテナ10の楕円体高の24時間平均を(D)とすると、(D−D)である。
【0030】
図6で示す算出結果テーブルは、衛星測位信号受信アンテナ10それぞれについて、所定の間隔である3時間毎に上述の処理により算出された地心直交座標、楕円体高、水平移動量、地盤高変動量を記憶するデータテーブルである。図6においては、アンテナID「00001」となる衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置の2008年1月1日12時00分(200801011200)において、地心直交座標の24時間平均は(X,Y,Z)、楕円体高の24時間平均は(D)、水平移動量の24時間平均は(値無し)、地盤高変動量の24時間平均は(値無し)であり、またその衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置の2008年1月1日15時00分(200801011500)において、地心直交座標の24時間平均は(X,Y,Z)、楕円体高の24時間平均は(D)、水平移動量の24時間平均は(X−X,Y−Y)、地盤高変動量の24時間平均は(D−D)であり、またその衛星測位信号受信アンテナ10の固定設置された位置の2008年1月1日18時00分(200801011800)において、地心直交座標の24時間平均は(X,Y,Z)、楕円体高の24時間平均は(D)、水平移動量の24時間平均は(X−X,Y−Y)、地盤高変動量の24時間平均は(D−D)であることを示している。
【0031】
そして、上述の地盤変動解析部14の処理により各衛星測位信号受信アンテナ10についての所定の間隔毎の地心直交座標の24時間平均、楕円体高の24時間平均、水平移動量の24時間平均、地盤高変動量の24時間平均の算出結果が算出結果テーブルに蓄積された後、例えば、地盤変動結果出力部15は、それら地心直交座標の24時間平均、楕円体高の24時間平均、水平移動量の24時間平均、地盤高変動量の24時間平均の、所定の間隔毎(本実施形態においては3時間毎)の結果をモニタに出力、またはプリント印刷する(ステップS111)。
【0032】
図7は楕円体高の地盤変動解析結果の出力例を示す図である。
この図が示すように地盤変動結果出力部15は、上述の処理により算出した24時間平均の衛星測位信号受信アンテナ10(ID=00001)の楕円体高を、所定の間隔毎に算出し、それらをグラフに表した出力結果をモニタ等に出力する。図7で示すような24時間平均の楕円体高等の地盤変動を表示することにより、地震後などに地盤変動の周期的な変化が収まらないような場合にも正確な地盤変動量を出力することが可能となり、その所定の間隔における変動量の大きさにより、災害が発生するか否かの判定に用いることができる。
【0033】
また、同様に、地盤変動の出力の指示入力、またはプログラムによる地盤変動の出力処理の開始時刻の検出に基づいて、地盤変動結果出力部15は、特定の衛星測位信号受信アンテナ10の24時間平均の地心直交座標、水平移動量、地盤高変動量などの出力結果を出力する。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、通信ネットワークを介して日本全国に固定設置された多くの衛星測位信号受信アンテナ10からの衛星測位信号を座標計測装置2が受信し、そのデータに基づいて、特定の衛星測位信号受信アンテナ10の24時間平均の地心直交座標、楕円体高、水平移動量、地盤高変動量などの地盤変動を、座標計測装置2や災害緊急地盤変動解析装置1が即時に確認することができる。これにより、観察者の所望の時間において、大きな災害が発生する箇所を緊急に判定することのできるようになる。
また、座標計測装置2それぞれが異なる基準時刻で地心直交座標と楕円体高の24時間平均を算出するので、処理負荷が分散されるとともに、1時間以上かかる24時間平均の算出処理を、24時間より短い所定の時間毎(本実施形態では3時間毎)に災害緊急地盤変動解析装置1で受信することができ、緊急性を要する地域の地盤変動を解析することができる。
【0035】
なお、上述の処理においては、災害緊急地盤変動解析装置1が、座標計測装置2から衛星測位信号を直接受信する場合について説明したが、何らかの衛星測位信号の蓄積サーバを経由して、当該衛星測位信号を受信するようにしてもよい。
【0036】
上述の災害緊急地盤変動解析装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0037】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】災害緊急地盤変動解析システムの構成を示すブロック図である。
【図2】災害緊急地盤変動解析装置の機能ブロック図である。
【図3】災害緊急地盤変動解析装置の処理フローを示す図である。
【図4】測地座標と楕円体高の算出概要を示す図である。
【図5】楕円体高の説明図である。
【図6】算出結果テーブルの例を示す図である。
【図7】楕円体高の地盤変動解析結果の出力例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・災害緊急地盤変動解析装置
2・・・座標計測装置
10・・・衛星測位信号受信アンテナ
20・・・衛星測位信号受信装置
11,21・・・通信処理部
12,22・・・制御部
13・・・アンテナ位置算出結果受信部
14・・・地盤変動解析部
15・・・地盤変動結果出力部
16,26・・・データベース
23・・・衛星測位信号受信部
24・・・アンテナ位置算出部
25・・・アンテナ位置算出結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座標計測装置と災害緊急地盤変動解析装置とが通信ネットワークを介して接続された災害緊急地盤変動解析システムであって、
前記複数の座標計測装置それぞれが、
前記通信ネットワークに接続され複数の異なる地点に固定設置された複数の衛星測位信号受信アンテナのそれぞれが位置観測用衛星から受信した衛星測位信号を、通信ネットワークを介して受信する衛星測位信号受信手段と、
前記災害緊急地盤変動解析装置より算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を受信する基準時刻受信手段と、
前記受信した24時間分の前記衛星測位信号と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記24時間平均の地心直交座標を算出する地心直交座標算出手段と、を備え、
前記災害緊急地盤変動解析装置が、
前記複数の座標計測装置それぞれに、前記算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を所定の間隔ずらして通知する基準時刻通知手段と、
前記所定の間隔毎に、異なる前記座標計測装置から前記24時間平均の前記複数の衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標を受信して、各衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標を示す地心直交座標変動結果を出力する地心直交座標変動結果出力手段と、
を備えることを特徴とする災害緊急地盤変動解析システム。
【請求項2】
前記座標計測装置のそれぞれが、
前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を算出する楕円体高算出手段と、を備え、
前記災害緊急地盤変動解析装置が、
前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を示す楕円体高変動結果を出力する楕円体高変動結果出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の災害緊急地盤変動解析システム。
【請求項3】
前記災害緊急地盤変動解析装置が、
前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地心直交座標に基づいて、当該地心直交座標毎に対応する前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量を算出する水平移動量算出手段と、
前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量の算出結果を表示した水平移動量変動結果を出力する水平移動量変動結果出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の災害緊急地盤変動解析システム。
【請求項4】
前記災害緊急地盤変動解析装置が、
前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高に基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量を算出する地盤高変動量算出手段と、
前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量の算出結果を表示した地盤高変動量変動結果を出力する地盤高変動量変動結果出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の災害緊急地盤変動解析システム。
【請求項5】
複数の座標計測装置と災害緊急地盤変動解析装置とが通信ネットワークを介して接続された災害緊急地盤変動解析システムにおける災害緊急地盤変動解析方法であって、
前記複数の座標計測装置それぞれの衛星測位信号受信手段が、前記通信ネットワークに接続され複数の異なる地点に固定設置された複数の衛星測位信号受信アンテナのそれぞれが位置観測用衛星から受信した衛星測位信号を、通信ネットワークを介して受信し、
前記複数の座標計測装置それぞれの基準時刻受信手段が、前記災害緊急地盤変動解析装置より算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を受信し、
前記複数の座標計測装置それぞれの地心直交座標算出手段が、前記受信した24時間分の前記衛星測位信号と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記24時間平均の地心直交座標を算出し、
前記災害緊急地盤変動解析装置の基準時刻通知手段が、前記複数の座標計測装置それぞれに、前記算出対象に係わる24時間平均の算出に用いる基準時刻を所定の間隔ずらして通知し、
前記災害緊急地盤変動解析装置の地心直交座標変動結果出力手段が、前記所定の間隔毎に、異なる前記座標計測装置から前記24時間平均の前記複数の衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標を受信して、各衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の24時間平均の地心直交座標を示す地心直交座標変動結果を出力する
ことを特徴とする災害緊急地盤変動解析方法。
【請求項6】
前記座標計測装置のそれぞれの楕円体高算出手段が、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの地心直交座標と前記基準時刻とに基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を算出し、
前記災害緊急地盤変動解析装置の楕円体高変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高を示す楕円体高変動結果を出力する
ことを特徴とする請求項5に記載の災害緊急地盤変動解析方法。
【請求項7】
前記災害緊急地盤変動解析装置の水平移動量算出手段が、前記算出した前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地心直交座標に基づいて、当該地心直交座標毎に対応する前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量を算出し、
前記災害緊急地盤変動解析装置の水平移動量変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の水平移動量の算出結果を表示した水平移動量変動結果を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の災害緊急地盤変動解析方法。
【請求項8】
前記災害緊急地盤変動解析装置の地盤高変動量算出手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の楕円体高に基づいて、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量を算出し、
前記災害緊急地盤変動解析装置の地盤高変動量変動結果出力手段が、前記衛星測位信号受信アンテナそれぞれの前記固定設置された位置における前記所定の間隔毎の前記24時間平均の地盤高変動量の算出結果を表示した地盤高変動量変動結果を出力する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の災害緊急地盤変動解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−139335(P2010−139335A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314949(P2008−314949)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年10月22日 発行の「日本測地学会第110回講演会要旨集」に発表
【出願人】(501078421)株式会社日豊 (2)
【Fターム(参考)】