説明

炊飯器

【課題】炊飯中に排出される蒸気の低温化をはかった炊飯器において、送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態を検知することにより、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】送風手段4の回転数を検知する回転数検知手段7を備え、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段2による加熱を停止させ、調理動作を停止させるようにすることにより、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯中に排出される蒸気の低温化をはかった炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は蓋本体に送風手段を配置し、炊飯中に排出される蒸気へ送風して蒸気の濃度を下げ、空気混合蒸気を蓋本体の前方に排出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、空気混合蒸気を蓋本体の上方から排出するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第1823119号公報
【特許文献2】特許第3560203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、送風手段が正常に動作し続けていれば問題ないが、送風手段の故障や吸排気口の目詰まりなどにより送風手段の送風能力が低下した場合、排出される蒸気の温度が上昇したまま動作し続けることとなり、ユーザがそのことに気付かずに低温だと思っていた蒸気に触れるなどする危険性があるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態を検知することにより、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記炊飯器本体の外気を吸気して送風する送風手段と、前記送風手段から送風された外気を前記炊飯器本体外と連通した排気口に誘導する送風経路と、前記鍋内で発生した蒸気を前記送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路と、前記送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、前記鍋加熱手段による炊飯や保温などの調理動作中に前記送風手段を制御して前記鍋内から前記排気口へ排出される蒸気の温度を下げる制御を行う制御手段と、調理動作の設定や各種動作情報を表示する表示手段と、各種情報を音で報知する報知手段と、調理開始などの操作を行うための操作手段を備え、前記制御手段は、前記回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、前記鍋加熱手段による加熱を停止させて調理動作を停止させることとしたものである。
【0007】
これによって、送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態を検知することが可能となり、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態を検知することにより、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続
けることを防止し、ユーザが気付かずに低温だと思って誤って蒸気に触れるなどする危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態3における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態5における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態6における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態6における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態7における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態7における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャート
【図10】本発明の実施の形態8における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャート
【図11】本発明の実施の形態8における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態10における炊飯器が送風手段の回転数異常を検知した以降の動作を示すフローチャート
【図13】本発明の実施の形態11における送風手段の回転数異常を検知した以降の動作を示すフローチャート
【図14】本発明の実施の形態12における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャート
【図15】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図16】本発明の実施の形態1における炊飯器の一部切欠き上面図
【図17】炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置の駆動状態を示す図
【図18】本発明の実施の形態9における炊飯器が送風手段の回転数異常を検知した以降の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記炊飯器本体の外気を吸気して送風する送風手段と、前記送風手段から送風された外気を前記炊飯器本体外と連通した排気口に誘導する送風経路と、前記鍋内で発生した蒸気を前記送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路と、前記送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、前記鍋加熱手段による炊飯や保温などの調理動作中に前記送風手段を制御して前記鍋内から前記排気口へ排出される蒸気の温度を下げる制御を行う制御手段と、調理動作の設定や各種動作情報を表示する表示手段と、各種情報を音で報知する報知手段と、調理開始などの操作を行うための操作手段を備え、前記制御手段は、前記回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、前記鍋加熱手段による加熱を停止させて調理動作を停止させることにより、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止し、ユーザが気付かずに低温だと思って誤って蒸気に
触れるなどする危険性を低減することができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、待機状態(調理動作を実施していない状態)から調理動作を開始する時に所定の時間だけ送風手段を駆動させることにより、調理を開始する前に送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態であることを検知することが可能となるので、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止すると共に、調理が途中停止されることによる損害も防ぐことができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外である状態が所定の時間以上継続するまでは、調理動作を停止させないことにより、吸排気口を一時的に手で塞いだことによって一時的な送風能力が低下した場合や、ノイズによる回転検知手段の回転数誤検知の場合を除外できるようになるので、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止すると共に、一時的な送風能力低下やノイズによって不必要に調理動作を停止してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第3の発明の調理動作を停止させる条件である回転数は、所定の回転数の範囲外である状態の継続時間が、調理動作中よりも調理開始時の方が短いことにより、動作を停止しても調理物が無駄になるなどの損害が小さい調理開始時は、ユーザに送風手段の異常をより素早く気付かせて対処してもらうことができ、動作を停止すると調理物が無駄になるなどの損害が大きい調理時動作中は、より確実に送風手段の異常を検知してから動作停止させることができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の送風手段は、制御手段により少なくとも2段階以上の駆動能力の切替が可能で、調理動作を停止させる回転数の条件は送風手段の駆動能力毎に設定されていることにより、調理動作中の蒸気の排出される勢いなどに応じて送風手段の駆動能力を切替えるような場合であっても、それぞれの送風能力に応じた異常検知を実施することができる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の制御手段は、送風手段の駆動能力を切替えてから(停止状態から駆動開始への切替含む)所定の時間が経過するまでは、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数を制御に使用しないことにより、駆動能力切替時の回転数変化途中での回転数を使用してしまうことによって送風手段の異常を誤検知することを防ぐことができる。
【0016】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明の制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱及び調理動作を停止させると共に、表示手段に調理動作を停止させたことを表示することにより、調理動作が停止した理由をユーザにより確実に伝えることができる。
【0017】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱及び調理動作を停止させると共に、調理動作を停止させたことを報知手段によって報知することにより、調理動作を停止させたことを、炊飯器から離れた位置にいるユーザに対しても伝えることができる。
【0018】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱及び調理動作を停止させた後、所定の時間だけ前記送風手段を駆動して、その後、所定
の時間だけ前記送風手段を停止させることを所定の回数繰り返し、その間に、前記送風手段が駆動中に回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開することにより、送風手段の送風能力の低下の原因が、近くにあった紙を吸気口が吸いつけていた場合などの一時的なものであり、吸気を一時的に停止することで解消される(吸いつけていたものが落ちる)ものであった場合は、自動的に調理動作を再開させることが可能となるので、調理動作を途中停止したことによる損害を軽減することができる。
【0019】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか1つの発明の送風手段の回転数異常により調理動作を停止した状態で操作手段による操作が行われた時、制御手段は、所定の時間だけ前記送風手段を駆動させ、その際に回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開することにより、送風手段の送風能力の低下の原因が、吸排気口の目詰まりなどのユーザが対処できるものであった場合は、ユーザが対処した後に調理動作を再開させることが可能となるので、調理動作を途中停止したことによる損害を軽減することができる。
【0020】
第11の発明は、特に、第10の発明の送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であっても、前記送風手段の回転数異常により調理動作を停止してから所定の時間以上が経過していた場合は調理動作を再開しないことにより、調理動作停止から所定の時間以上経過したために、調理動作を再開しても無駄であるような場合は無駄な調理動作を実施しないようにすることができる。
【0021】
第12の発明は、特に、第1〜11のいずれか1つの発明の回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であり、且つ、所定の回転数の範囲の境界までの差が所定の値未満であった場合は、制御手段は、前記回転数の差が所定の値以上であることを検知するまで表示手段にその旨を表示することにより、送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態に近づいていることを事前にユーザに伝えることが可能となるので、送風手段の異常により、調理動作が途中で停止してしまうことを事前に防止することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器のブロック図を示すものである。
【0024】
図1において、鍋1は炊飯器本体(図示せず)の内部に収納され、内部に米と水を入れてインバータと加熱コイルからなる鍋加熱手段2によって加熱される。鍋1の温度はサーミスタである鍋温度検知手段101によって検知され、制御手段8に入力される。
蓋本体3は、ファンなどで構成される送風手段4と、送風手段4の回転数を検知する回転数検知手段7と、送風手段4の吸気側と外気を連通させる吸気口(図示せず)と、送風手段4からの気流を蓋本体3外側へ導出する排気口(図示せず)と、送風手段排気側と排気口とを連通接続する送風経路5と、鍋1と送風経路5とを連通接続する蒸気経路6などを内装し、鍋1の上面を覆うように炊飯器本体に設けられる。
【0025】
回転数検知手段7は、ホール素子を利用した回転数検知回路で、送風手段4の回転に応じてパルスを出力(本実施の形態では1回転で2パルス)し、出力されたパルスは制御手段8に入力される。制御手段8はマイクロコンピュータであり、計時手段102、シーケンス記憶手段103などが内装されている。計時手段102は、制御手段8(マイクロコンピュータ)に内蔵されているタイマであり、制御手段8が各種制御を行うための時間を
計測する。調理シーケンス記憶手段103は、制御手段8(マイクロコンピュータ)に内蔵される記憶領域で、鍋温度検知手段101によって検知された鍋1の温度や計時手段102が計時した時間などに基づいて鍋加熱手段2を制御して鍋1内の調理物を調理するための情報(炊飯シーケンスおよび保温シーケンス)を、操作手段11によって選択可能なメニュー毎に予め記憶している。
【0026】
表示手段9は、LCDやLEDであり、炊飯器からユーザへの各種情報を視覚的に伝達するためのものである。報知手段10はブザーであり、操作受付や調理動作の終了、異常発生などの際にその旨をユーザに音で伝達するためのものである。操作手段11はユーザが炊飯器の各種設定や調理動作開始などの操作を行うための入力スイッチである。
【0027】
更に、図15及び図16を用いて、本発明の第1の実施の形態にかかる炊飯器の構成について説明する。図15は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図、図16は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の一部切欠き上面図を示すものである。
【0028】
図15に示すように、炊飯器は、内部に鍋収納部15aが形成された略有底筒状の炊飯器本体15と、鍋収納部15aに収納される鍋1と、炊飯器本体15の開口部を開閉可能に炊飯器本体15に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋1の開口部を覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋1の開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋16と、鍋1を加熱(誘導加熱)する鍋加熱手段2とを有している。
【0029】
炊飯器本体15の鍋収納部15aは、炊飯器本体15の上部開口の内周部に嵌合された略環状の上枠15bと、鍋1の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠15bに一体的に接続されたコイルベース15cとで構成されている。
【0030】
コイルベース15cの外周面には、鍋加熱手段2を構成する底内加熱コイル2aと底外加熱コイル2bとが取り付けられている。底内加熱コイル2aは、コイルベース15cを介して鍋1の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外加熱コイル2bは、コイルベース15cを介して鍋1の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0031】
コイルベース15cの底部の中央部分には開口が設けられている。当該開口部分には、鍋1の温度を測定するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサ17が鍋1の底部に当接可能に配置されている。
【0032】
炊飯器本体15内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯を行う制御部8が設置されている。制御部8は、蓋本体3に設けられた操作部11を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0033】
炊飯器本体15の前壁上部(図15の左側上部)には、蓋本体3のフック18に係合可能なフック15dが設けられている。フック15dと上枠15bとの間にはバネ15eが設けられている。フック15dは、バネ15eにより前方(図15の左側)に付勢されている。
【0034】
蓋本体3には、内蓋温度検知部の一例である内蓋温度センサ19と、コイルなどの内蓋加熱装置20と、ヒンジ軸Aとが設けられている。内蓋温度センサ19は、内蓋16に当接可能に設けられ、内蓋16の温度を検知可能に構成されている。内蓋加熱装置20は、内蓋16を介して鍋1の上部開口部に対向するように蓋本体3内に配置された加熱コイルで構成され、制御部8の制御により内蓋16を誘導加熱する。ヒンジ軸Aは、蓋本体3の開閉軸であり、炊飯器本体15の上枠15cに両端部を回動自在に支持されている。蓋本
体3は、ヒンジ軸Aの近傍に設けたねじりコイルバネなどの回動バネ(図示せず)により、炊飯器本体15の上部開口から離れるように回転する方向に付勢されている。
【0035】
内蓋16の一部は、誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されている。内蓋16には、鍋1内で発生した蒸気を鍋1外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口16aが設けられている。内蓋16の外周部の鍋1側の面には、蓋本体3が閉状態にあるときに鍋1と密接する略環状の内蓋パッキン21が取り付けられている。内蓋パッキン21は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0036】
また、蓋本体3には、炊飯メニュー、炊飯時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部9と、炊飯メニューの選択、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示するための操作部11が設けられている。操作部11は、炊飯開始ボタンなどの複数のボタンで構成されている。使用者は、表示部9の表示内容を参照しつつ、操作部11にて炊飯開始を指示することによって、炊飯を行うことができる。炊飯開始の指示を受けた制御部8は、記憶した炊飯プログラムと鍋温度センサ17及び内蓋温度センサ19の検知温度とに基づいて、鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20の駆動を制御(動作又は停止)し、炊飯工程を実行する。
【0037】
また、蓋本体3には、蓋本体3の外壁に設けられた吸気口12を通じて外気を吸気して送風する送風装置4と、送風装置4から送風された空気(外気)を蓋本体3の外壁に設けられた排気口13に誘導する送風経路5と、鍋1内で発生した蒸気を送風経路5内に誘導する蒸気経路6とが設けられている。
【0038】
送風装置4と送風経路5とは、表示部9及び操作部11よりもヒンジ軸Aに近い側(蓋本体3の後半部分)に配置されている。吸気口12は、蓋本体3の側壁を貫通するように設けられた複数のスリット状の貫通穴で構成されている。排気口13は、吸気口12が設けられた側壁と対向する蓋本体3の側壁を貫通するように設けられた複数のスリット状の貫通穴13aで構成されている。貫通穴13aは、蓋本体3の側壁を、蓋本体3の内部から外部に(側方に)向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように予め設定された角度で傾斜する方向に開けられている。これにより、各貫通穴13aの間には、排気方向規制部の一例である傾斜面14aが形成されている。傾斜面14aは、送風経路5を通じて排気口13に流れ込む蒸気と外気との混合流体の流れを、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように(炊飯器の斜め前方向に)規制する。
【0039】
送風経路5は、ヒンジ軸Aと略平行に配置された筒状の通路である。送風経路5は、略直線状に送風装置4の吹出し側部分4bと排気口13とを連結しており、断面積もほぼ均一である。
【0040】
蒸気経路6は、鍋1内の余分な蒸気を送風経路5へと排出できるように、一端を内蓋16の蒸気口16aと連通接続され、他端を送風経路5の下部(底面)の一部と連通接続されている。蒸気経路6と送風経路5との接続部分は、排気口13と送風装置4の吹出し側部分4bとの間に位置している。
【0041】
送風装置4としては、軸流ファン、シロッコファン、スクロールファン、ターボファンなど空気を発生する構成であればどれを用いてもよい。コストの観点からは、軸流ファンを用いることが好ましい。また、蓋本体3の大型化を最小限に抑え且つ風路圧損による風量低下を防ぐ観点からは、シロッコファンを用いることが好ましい。送風装置4の駆動は、制御部8によって制御される。制御部8は、炊飯プログラムの進行に応じて、送風装置4の駆動を制御(動作又は停止)する。
【0042】
なお、本実施の形態では、送風手段4の吸気側部分4aと吸気口12とを、図16に示すように互いに対向するように設置しているが、本発明はこれに限定されない。送風装置4の吸気側部分4aと吸気口12との間に一定の空間を確保する構成とすればよい。この場合、例えば、送風装置4の吸気側部分4aと吸気口12とを略直角に配置したとしても、使用する送風装置4の種類によっては吸気空気量を確保することができる。
【0043】
また、本第1実施形態では、排気口13と送風装置4の吹出し側部分4bとの間で蒸気経路6を送風経路5と接続して、鍋1内で発生した蒸気を送風装置4の吹出し側に誘導するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蒸気経路6の出口が送風装置4の吸気側に位置するようにしてもよい。
【0044】
次に、図17を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態にかかる炊飯器の動作について説明する。図17は、炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置(鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20)の駆動状態を示す図である。
【0045】
まず、使用者により、鍋1内に米と水がセットされ、操作部11にて炊飯メニューが選択された後、炊飯開始が指示されると、制御部8の制御により炊飯工程が開始される。
【0046】
ここで、炊飯工程とは、前炊き工程(浸漬工程ともいう)と、昇温工程(炊き上げ工程ともいう)と、沸騰維持工程と、蒸らし工程の主として4つの工程で構成されるものである。これらの工程の間に米の糊化が進められて米が炊飯される。この炊飯工程は、鍋温度センサ17及び内蓋温度センサ19の検知温度と、炊飯メニューに応じた炊飯プログラムとに従って、制御部8が鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20の鍋加熱動作を制御することにより行われる。本実施の形態においては、米の種類などに応じて複数の炊飯メニューが用意され、当該それぞれの炊飯メニューに応じた炊飯プログラムが制御部8に記憶されている。
【0047】
炊飯工程が開始されると、まず、前炊き工程が開始される。前炊き工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる工程である。この前炊き工程において、制御部8は、鍋1内の水の温度が米の糊化が始まる温度(約60℃)以上にならないように、鍋1の温度を鍋温度センサ17又は内蓋温度センサ19の検知温度に基づいて鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20を制御する。これにより、米の吸水が促進される。
【0048】
前炊き工程の開始から予め設定された時間経過すると、昇温工程に移行する。昇温工程は、鍋1を鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20により一気に加熱して、鍋1内の水を沸騰状態(約100℃)にする工程である。この昇温工程において、制御部8は、鍋1を急速に加熟して鍋1内の水を沸騰状態にするように、鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20の駆動を制御する。
【0049】
昇温工程の実施により、鍋温度センサ17の検知温度が約100℃になると、沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程は、米の澱粉を糊化させて、糊化度を50%〜60%程度まで引き上げる工程である。この沸騰維持工程において、制御部8は、鍋1内の水の沸騰状態を維持するように鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20を制御する。より具体的には、炊飯制御部8は、鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20の駆動、駆動停止を一定時間間隔で繰り返すデューティー制御を行い、鍋1を間欠加熱する。
【0050】
この昇温工程においては、連続的に水を沸騰させるため、約100℃の蒸気が大量に発生する。当該発生した蒸気で鍋1内が充満されると、余分な蒸気は、蒸気経路6を通じて送風経路5内に流れ込む。このとき、制御部8は、鍋1内の水が沸騰したことを鍋温度センサ17により検知し、送風装置4の駆動を開始させる。これにより、送風装置4は、吸
気口12から外気を吸い込み、当該外気を排気口13に向けて(図16中の矢印Bの方向に)送風する。蒸気経路6から送風経路5に流れ込んだ蒸気は、この送風装置4から送風された外気と送風経路5内で混合される。この外気と蒸気との混合流体は、送風装置4の風力により、蓋本体3の排気口13から炊飯器の外部へと排出される。蒸気(約100℃)を外気(例えば約25℃)と混合することで、排出される混合流体の温度を蒸気の温度よりも低下させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態において、蒸気経路6は送風経路5の下部(底面)の一部に連通接続されており、蒸気は外気よりも高温であるため軽いので、蒸気経路6から排出される蒸気は自然と上方へ移動し、送風経路5内で均一に外気と混ざりやすくなっている。
【0052】
排気口13から排気される混合流体は、傾斜面14aに規制されて、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように流れる。このとき、炊飯器が前方を除く周囲を棚板で囲まれた棚C内に配置されている場合には、排気口13から排気される混合流体は、図16に示すように棚Cの側壁に沿って矢印B1の方向に流れることになる。これにより、混合流体が棚C内で滞留することを防いで、棚板が吸湿して膨潤するなどの不具合を防ぐことができる。また、炊飯器の周囲の温度上昇を防ぐことができるので、例えば、制御部8の部品の温度が上昇することにより生じる動作不安定などを抑えることができる。
【0053】
沸騰維持工程の実施により、鍋1内のほとんどの水が無くなると、鍋1内の温度が水の沸点以上に上昇する。鍋温度センサ17が鍋1内の温度が水の沸点以上(例えば約130℃)に到達したことを検知すると、蒸らし工程に移行する。蒸らし工程は、予熱を利用して余分な水分を蒸発させ、米の糊化度を100%近くまで引き上げる工程である。この蒸らし工程において、制御部8は、鍋1の温度が一定温度以下に下がる毎に、鍋1を加熱するように鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20を制御する。より具体的には、制御部8は、沸騰維持工程と同様に、鍋加熱装置2及び内蓋加熱装置20の駆動、駆動停止を一定時間間隔で繰り返すデューティー制御を行い、鍋1を間欠加熱する。また、この蒸らし工程においても、蒸気経路6から僅かながらも蒸気が排出されるので、制御部8は、送風装置4が駆動を継続するように制御する。
【0054】
蒸らし工程の開始から予め設定された時間経過すると、蒸らし工程を終了(すなわち全ての炊飯工程を終了)し、自動的に保温工程に移行する。
【0055】
以上、本実施の形態によれば、送風装置4及び送風経路5を表示部9及び操作部11よりもヒンジ軸Aに近い場所に配置しているので、蓋本体3の前半部分の薄型化が可能であり、蓋本体3全体の小型化を図ることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、送風装置4及び送風経路5を表示部9及び操作部11よりもヒンジ軸Aに近い場所に配置しているので、蓋本体3の重心位置がヒンジ軸Aに近づくことになる。これにより、蓋本体3を開いたときの回転力が従来の炊飯器に比べて小さくなり、また、蓋本体3を開く際に必要な力を小さくすることができるので、蓋本体3の回動バネ(図示せず)の力を大きくする必要が無い。よって、炊飯器が倒れるなどの不具合を抑えることができ、蓋本体3の開閉操作の使い勝手を良くすることができる。なお、回動バネの力を大きくした場合には、蓋本体3が炊飯器本体15に対して略90°の角度まで開ききった場合においても回動バネの力が働いて、炊飯器本体15が浮き上がってしまうなどの不具合が生じる恐れがある。
【0057】
また、本実施の形態によれば、排気口13から排出される混合流体の流れを、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制する傾斜面14aを備え
ているので、混合流体が棚C内で滞留することを抑えることができる。従って、棚板の劣化や制御部8の動作不安定などの不具合を抑えることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、送風装置4から送風される外気が排気口13に向けてほぼ直線的に流れる構成であるため、送風装置4の送風性能を最大限に発揮させることができる。これにより、排気口13から排出される混合流体が棚C内で滞留する恐れをさらに低くすることができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、吸気口12及び排気口13を蓋本体3の側壁に設けているので、誤って蓋本体3の上方から液体などが落下した場合でも、当該液体などが吸気口12及び排気口13を通じて送風装置4に付着する恐れを低くすることができる。
【0060】
なお、本発明は第1の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本実施の形態では、図16に示すように、送風装置4を蓋本体3の後部左側に配置し、排気口13を蓋本体3の後部右側に配置したが、これとは逆に、送風装置4を蓋本体3の後部右側に配置し、排気口13を蓋本体3の後部左側に配置してもよい。これら両方の構成の炊飯器を用意することで、炊飯器の設置環境に応じて適当な炊飯器を使用者が選択することができる。
【0061】
また、蒸気経路6は、おねば(粘性の有る汁)が通りやすい通路であるので、少なくとも一部が着脱自在とされることが好ましい。これにより、蒸気通路6のお手入れを容易にすることができる。なお、前記構成に代えて、蒸気経路6に蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れを行うときに当該蓋を開けることで可能となるように構成してもよい。
【0062】
また、前述の実施の形態においては、鍋1内の水が沸騰したことを鍋温度センサ17により検知して送風装置4を動作させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。送風経路5内に蒸気が流れ込むときに送風装置4が駆動するようにすればよい。例えば、鍋1内の水が沸騰したことを内蓋温度センサ19などの他のセンサによって検知して、送風装置4を駆動するようにしてもよい。また、昇温工程に移行してから一定時間経過したときに、自動的に送風装置4の駆動が開始するようにしてもよい。
【0063】
また、前述の実施の形態においては、蒸気経路6を送風経路5の下部(底面)と接続するようにしたが、本発明はこれに限定されない。蒸気と空気とを略均一に混合できる構成であればよい。例えば、蒸気経路6を送風経路5の底面近傍の側面に接続しても同様の効果を得ることができる。また、蒸気経路6の接続箇所が送風経路5の底面付近で無かったとしても、送風経路5内に適宜リブなどを付加することでも実現可能である。
【0064】
また、吸気口12は、送風装置4の種類に合わせて送風装置4の性能が十分発揮できるように、すなわち圧力損失が少なくなるように設けられていればよく、位置及び形状は特に限定されない。また、蓋本体3の内部は、通常、完全な密閉空間ではなく、蓋本体3のどこかに存在する隙間によって蓋本体3の外部と連通している。このため、送風装置4の送風に支障がなければ、吸気口12を特に設ける必要はない。すなわち、前記隙間を吸気口12としてもよい。
【0065】
また、前記では、沸騰維持工程の開始時に送風装置4の駆動を開始するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、昇温工程においても僅かながらも蒸気(湯気)は発生するので、昇温工程中に送風装置4の駆動を開始するようにしてもよい。なお、このとき発生する蒸気は、沸騰維持工程で発生する蒸気よりも温度が低く且つ量も少ないので、送風装置4を駆動させる必要はない。
【0066】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
図2は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャートである。
【0068】
図2において、まず、ステップS1では、ユーザは操作手段11によって調理メニューの選択などの各種設定を行い(既に設定されている状態のままで調理する場合は何も行わない)、ステップS2に進む。
ステップS2では、ユーザが操作手段11によって調理開始入力を行ったかを判定し、調理開始入力が無かった場合はステップS1に戻り、調理開始入力があった場合はステップS3に進む。
【0069】
ステップS3では、制御手段8は、シーケンス記憶手段103に記憶されているステップS1でユーザが設定した調理メニューに対応した調理シーケンスデータと、計時手段102が計時した時間と、鍋温度検知手段101が検知した鍋1の温度に基づいて鍋加熱手段2を制御して鍋1を加熱することにより調理制御を開始し、ステップS9に進む。
【0070】
次にステップS9では、制御手段8は、ステップS3での調理の進行状況に応じて送風手段4の駆動レベルRLvを決定し、この駆動レベルに従って送風手段4を駆動することによって、鍋1内から発生し、蒸気経路6、送風経路5を介して炊飯器外部へ排出される蒸気の低温化を行い、ステップS4に進む。
【0071】
ステップS4では、制御手段8は、単位時間内(例えば1秒間)に回転数検知手段7が出力した送風手段4の回転数(R1)を計測し、ステップS5に進む。ステップS5では、制御手段8は、ステップS4で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数上限(Rmax:本実施の形態では60回転/秒)を超えているかを判定し、超えている場合(R1>Rmax)はステップS8へ進んで調理動作を停止(送風手段4の駆動も停止)し、フローを終了する。超えていない場合(R1≦Rmax)はステップS6へ進む。ここで、R1>Rmaxとなる(ステップS8へ進む)ケースとしては、外気と送風手段4の吸気側を連結する吸気口または、送風手段4からの気流を蓋本体3外側へ導出する排気口が塞がれた状態などが考えられ、この場合、調理動作中に鍋1内から発生し、蒸気経路6、送風経路5を介して蓋本体3外部へ排出される蒸気の温度は、送風手段4の回転数が正常回転数の範囲内である場合と比較して高温となる。
【0072】
次に、ステップS6では、制御手段8は、ステップS4で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数下限(Rmin:本実施の形態では20回転/秒)未満かを判定し、下限未満の場合(R1<Rmin)はステップS8へ進んで調理動作を停止(送風手段4の駆動も停止)し、フローを終了する。下限未満ではない場合(R1≧Rmin)はステップS7へ進む。ここで、R1<Rminとなる(ステップS8へ進む)ケースとしては、ファンロックなどのファンの故障が考えられ、この場合もステップS5で説明したケースと同様に蓋本体3外部へ排出される蒸気の温度は、送風手段4の回転数が正常回転数の範囲内である場合と比較して高温となる。
【0073】
ステップS7では、調理が完了したかを判定し、調理が完了した場合は動作を終了し、調理が完了していない場合はステップS3に戻り、調理制御を継続する。
【0074】
以上のように、本実施の形態においては、炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋1と、鍋1を加熱する鍋加熱手段2と、炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体3と、蓋本体3内に配置され、一端を外気と連通する吸気口とし吸気口から取り込んだ
外気を他端に送風する送風手段4と、送風手段4と一端を連結するとともに他端を外気と連通する排気口とした送風経路5と、一端を送風経路5と連結するとともに他端を鍋内と連通させた蒸気経路6と、送風手段4の回転数を検知する回転数検知手段7と、少なくとも、鍋加熱手段2を制御して炊飯や保温などの調理動作を行い、送風手段4を制御して調理動作中に鍋内から排気口へ排出される蒸気の温度を下げる制御を行う制御手段8と、調理動作の設定や各種動作情報を表示する表示手段9と、調理開始などの操作を行うための操作手段10を備え、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段2による加熱を停止させ、調理動作を停止させるように構成することにより、送風手段4が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態を検知して調理動作を停止させることが可能となるので、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、ステップS8で調理動作を停止させる際に送風手段4も停止させる構成で説明したが、調理動作停止直後は、鍋1内から発生した蒸気がまだ排出され続けている可能性を考慮し、調理動作停止から所定の時間が経過するまで、送風手段4を駆動させておいても良い。
【0076】
(実施の形態2)
図1において、制御手段8は、待機状態(調理動作を実施していない状態)から調理動作を開始する時に所定の時間だけ送風手段4を駆動させるように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0077】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図3のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS9までの動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0078】
図3は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャートである。
【0079】
図3において、ステップS2でユーザからの調理開始入力があった場合はステップS11へ進み、ステップS11では、制御手段8は送風手段4を駆動させてステップS12へ進む。即ち、調理動作開始時に送風手段4を駆動させ、ステップS12へ進む。
【0080】
ステップS12では、制御手段8は、単位時間内(本実施の形態では1秒間とする)に回転数検知手段7が出力した送風手段4の回転数(R1)を計測し、ステップS13に進む。
【0081】
ステップS13では、制御手段8は、ステップS12で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数上限(Rmax)を超えているかを判定し、超えている場合(R1>Rmax)はステップS16へ進んで調理動作を停止(送風手段4の駆動も停止)し、フローを終了する。超えていない場合(R1≦Rmax)はステップS14へ進む。
【0082】
次に、ステップS14では、制御手段8は、ステップS12で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数下限(Rmin)を未満かを判定し、下限未満の場合(R1<Rmin)はステップS16へ進んで調理動作を停止(送風手段4の駆動も停止)し、下限未満ではない場合(R1≧Rmin)はステップS15へ進む。
【0083】
ステップS15では、制御手段8は、送風手段4の駆動開始から所定の時間(本実施の形態では5秒間)が経過したかを判定し、経過している場合はステップS17に進んで送風手段4の駆動を停止した後、ステップS3に進んで調理動作を開始し、経過していない
場合はステップS12に戻り、送風手段4の回転数異常判定を継続する。
【0084】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、待機状態(調理動作を実施していない状態)から調理動作を開始する時に所定の時間だけ送風手段4を駆動させるように構成することにより、調理を開始する前に送風手段が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態であることを検知することが可能となるので、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止すると共に、調理が途中停止されることによる損害も防ぐことができる。
【0085】
なお、本実施の形態においては、鍋1からの蒸気が発生しない調理動作の前半は送風手段4を駆動させないことを想定し、調理開始直後のステップS11で送風手段4の駆動を開始してから所定時間経過した後、ステップS17で送風手段4の駆動を停止させる構成で説明したが、調理動作中は常に送風手段4を駆動させる場合には、ステップS17での送風手段4の駆動停止は省略しても構わない。
【0086】
(実施の形態3)
図1において、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外である状態が所定の時間以上継続するまでは、調理動作を停止させないように構成している。他の構成は上記実施の形態2と同じである。
【0087】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図4のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS17までの動作は、上記実施の形態2の動作と同じであるので説明を省略する。
【0088】
図4は、本発明の第3の実施の形態における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャートである。
【0089】
図4において、ステップS13またはステップS14で、送風手段4の回転数(R1)が正常回転数範囲外であった場合(R1>RmaxまたはR1<Rmin)はステップS21に進み、ステップS21では、制御手段8は、送風手段4の回転数が正常回転数範囲外であった状態の継続時間(Te)をカウントしてステップS22へ進む。ここで、本実施の形態では1秒毎に1秒間あたりの回転数で回転数異常判定を行っているので、回転数異常継続時間(Te)は1カウントあたり1秒となる。
【0090】
ステップS22では、制御手段8は、回転数異常継続時間(Te)が回転数異常継続時間上限(TeSmax:本実施の形態では2秒)以上かを判定し、上限以上であった場合はステップS16へ進んで調理動作を停止し、フローを終了する。上限未満であった場合は、ステップS15へ進み、送風手段4の回転数異常判定を継続する。
【0091】
一方、ステップS13、ステップS14の両方で、送風手段4の回転数(R1)が正常回転数の範囲内であった場合(Rmin≦R1≦Rmax)は、ステップS23に進み、ステップS23では、制御手段8は、回転数異常継続時間(Te)のカウントを「0」にクリアしてステップS15に進む。
【0092】
ステップS15では、実施の形態2と同様に、制御手段8は、送風手段4の駆動開始から所定の時間(本実施の形態では5秒間)が経過したかを判定し、経過している場合はステップS17に進んで送風手段4の駆動を停止した後、ステップS3に進んで調理動作を開始し、経過していない場合はステップS12に戻り、送風手段4の回転数異常判定を継続する。以降のフローは実施の形態2とほぼ同様である。
【0093】
なお、ステップS24からステップS26の動作は、ステップS21からステップS23の動作とほぼ同じであるため省略する。
【0094】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外である状態が所定の時間以上継続するまでは、調理動作を停止させないように構成することにより、吸排気口を一時的に手で塞いだことによって一時的な送風能力が低下した場合や、ノイズによる回転検知手段の回転数誤検知の場合を除外できるようになるので、排出される蒸気の低温化ができない状態のまま動作し続けることを防止すると共に、一時的な送風能力低下やノイズによって不必要に調理動作を停止してしまうことを防ぐことができる。
【0095】
(実施の形態4)
図1において、制御手段8が調理動作を停止させる条件である送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外である状態の継続時間が、調理動作中よりも調理開始時の方が短いように構成している。他の構成は上記実施の形態3と同じである。
【0096】
以上のように構成された炊飯器の動作は図4のフローチャートにおいて、ステップS22の判定条件である調理開始時の回転数異常時間上限(TeSmax:本実施の形態では3秒)が、ステップS25での判定条件である調理中の回転数異常時間上限(TeMmax:本実施の形態では5秒)よりも短いことを除いて、上記実施の形態3の動作と同じであるので説明を省略する。
【0097】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8が調理動作を停止させる条件である送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外である状態の継続時間が、調理動作中よりも調理開始時の方が短いように構成することにより、動作を停止しても調理物が無駄になるなどの損害が小さい調理開始時は、ユーザに送風手段4の異常をより素早く気付かせて対処してもらうことができ、動作を停止すると調理物が無駄になるなどの損害が大きい調理時動作中は、より確実に送風手段4の異常を検知してから動作停止させることができる。
【0098】
(実施の形態5)
図1において、送風手段4は、制御手段8により少なくとも2段階以上の駆動能力の切替が可能で、調理動作を停止させる回転数の条件は送風手段4の駆動能力毎に設定するように構成している。他の構成は上記実施の形態4と同じである。
【0099】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS26までの動作は、上記実施の形態4の動作と同じであるので説明を省略する。
【0100】
図5は、本発明の第5の実施の形態における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャートである。
【0101】
図5において、ステップS9では、制御手段8は、ステップS3での調理制御状態に応じて送風手段4の駆動レベルRLvを決定し、この駆動レベルに従って送風手段4の駆動能力を切替える制御を行い、ステップS4へ進む。ステップS51では、ステップS9で設定した送風手段4の駆動能力に応じた正常回転数上限値(Rxmax)を設定し(RmaxにRxmaxを代入)、ステップS5に進む。なお、本実施の形態においては、送風手段4の駆動能力を「強」「弱」の2段階に切り替え可能とし、「強」に対応する正常回転数上限値(Rxsmax)を60回転/秒とし、「弱」に対応する正常回転数上限値(Rxwmax)を45回転/秒としている。
【0102】
以上のように、本実施の形態においては、送風手段4は、制御手段8により少なくとも2段階以上の駆動能力の切替が可能で、調理動作を停止させる回転数の条件は送風手段4の駆動能力毎に設定するように構成することによって、調理動作中の蒸気の排出される勢いなどに応じて送風手段4の駆動能力を切替えるような場合であっても、それぞれの送風能力に応じた異常検知を実施することができる。
【0103】
なお、本実施の形態においては、調理動作を停止させる回転数の条件の内、正常回転数の下限値については送風手段4の駆動能力によらず一定としているが、正常回転数の上限値と同様に送風手段4の駆動能力毎に設定するようにしても良い。
【0104】
(実施の形態6)
図1において、制御手段8は、送風手段4の駆動能力を切替えてから(停止状態から駆動開始への切替含む)所定の時間が経過するまでは、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数を無視する(制御に使用しない)ように構成している。他の構成は上記実施の形態5と同じである。
【0105】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図6および図7のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS51までの動作は、上記実施の形態5の動作と同じであるので説明を省略する。
【0106】
図6は、本発明の第6の実施の形態における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャート、図7は、本発明の第6の実施の形態における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャートである。なお、図6の接続記号(2)と図7の接続記号(2)は動作として繋がっていることを示している。
【0107】
図7において、ステップS61では、制御手段8は、ステップS9で設定された送風手段4の駆動レベル(RLv)が前回の駆動レベル(RLvX)と変化があるかを判定し、変化がない(同じである)場合はステップS64へ進み、変化があった場合はステップS62へ進む。なお、前回の駆動レベル(RLvX)は、調理開始前の状態(待機状態)では「レベル0(停止)」に初期化することとしている。
【0108】
送風手段4の駆動レベルに変化があった場合に実施されるステップS62では、制御手段8は、前回の駆動レベル(RLvX)を今回の駆動レベル(RLv)で更新して(RLvX=RLv)ステップS63に進み、ステップS63では、駆動レベル切替後経過時間(Tc)を「0」にクリアしてステップS65へ進む。
【0109】
一方、送風手段4の駆動レベルが前回と同じであった場合に実施されるステップS64では、制御手段8は、駆動レベル切替後経過時間(Tc)をカウントしてステップS65に進む。
【0110】
ステップS65では、制御手段8は、駆動レベル切替後経過時間(Tc)が所定時間(TcLm)を経過したかを判定し、経過している場合(Tc≧TcLm)はステップS5へ進んで回転数異常判定を行い、経過していない場合は回転数異常判定をスキップしてステップS7へ進む。なお、所定時間(TcLm)には、送風手段4の駆動レベルを切替えてから回転数が安定するまでに要する時間以上の時間を設定することとしている。
【0111】
以上のように、本実施の形態においては、送風手段4の駆動能力を切替えてから(停止状態から駆動開始への切替含む)所定の時間が経過するまでは、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数を無視する(制御に使用しない)ように構成することにより、駆
動能力切替時の回転数変化途中での回転数を使用してしまうことによって送風手段4の異常を誤検知することを防ぐことができる。
【0112】
なお、本実施の形態においては、送風手段4の駆動能力を切替えてから所定の時間が経過するまでの間も、送風手段4の回転数の入力は実施する構成で説明したが、この時に入力された回転数は、回転数異常判定には使用していないので、送風手段4の駆動能力を切替えてから所定の時間が経過するまでの間は、送風手段4の回転数の入力も行わないようにしても構わない。
【0113】
(実施の形態7)
図1において、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段2による加熱を停止させ、調理動作を停止させると共に、表示手段9に調理動作を停止させたことを表示するように構成している。他の構成は上記実施の形態6と同じである。
【0114】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図8および図9のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS65までの動作は、上記実施の形態6の動作と同じであるので説明を省略する。
【0115】
図8は、本発明の第7の実施の形態における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャートで、図9は、本発明の第7の実施の形態における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャートである。なお、図8の接続記号(3)と図9の接続記号(3)は動作として繋がっていることを示している。
【0116】
図8において、ステップS16で送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止した後に実施されるステップS71では、制御手段8は、送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止させたことを表示手段9に表示させる(例えば、「蓋内の送風ファンの故障のため、動作を停止しました」と表示する)。
【0117】
図9において、ステップS8で送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止した後に実施されるステップS72では、制御手段8は、ステップS71と同様の表示を表示手段9に表示させる。
【0118】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段2による加熱を停止させ、調理動作を停止させると共に、表示手段9に調理動作を停止させたことを表示するように構成することにより、調理動作が停止した理由をユーザにより確実に伝えることができる。
【0119】
なお、本実施の形態においては、表示手段9に、「蓋内の送風ファンの故障のため、動作を停止しました」のように具体的な内容を表示する構成で説明したが、表示手段9として固定キャラクタしか表示させることができないLCDを使用する場合は「H01」などのようにエラーコードを表示するようにしても良い。また、本実施の形態においては、回転数が正常回転数の上限を超えた場合と下限を下回った場合で同じエラー表示を行う構成で説明したが、それぞれ別のエラー表示を行うようにしても良い。更に、調理動作開始時のエラー表示(ステップS71)と調理動作中のエラー表示(ステップS72)でそれぞれ別のエラー表示を行うようにしても良い。
【0120】
(実施の形態8)
図1において、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定
の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段2による加熱を停止させ、調理動作を停止させると共に、調理動作を停止させたことを報知手段10によって報知するように構成している。他の構成は上記実施の形態7と同じである。
【0121】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図10および図11のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS72までの動作は、上記実施の形態7の動作と同じであるので説明を省略する。
図10は、本発明の第8の実施の形態における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャートで、図11は、本発明の第8の実施の形態における炊飯器の調理動作中から調理制御終了までの動作を示すフローチャートである。なお、図10の接続記号(4)と図11の接続記号(4)は動作として繋がっていることを示している。
【0122】
図10において、ステップS16で送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止した後、ステップS71でのエラー表示と共に実施されるステップS81では、制御手段8は、送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止させたことを報知手段10を制御して報知する。この際の報知音は、操作手段11の操作受け付け時の報知音や調理終了時の報知音などの通常動作時の報知音とは明確に異なる報知音であるようにしている。
【0123】
図11において、ステップS8で送風手段4の回転数異常が原因で調理動作を停止した後、ステップS72でのエラー表示と共に実施されるステップS82では、制御手段8は、ステップS81と同様の報知を報知手段10を制御して報知する。
【0124】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段8は、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱を停止させ、調理動作を停止させると共に、調理動作を停止させたことを報知手段10によって報知するように構成することにより、調理動作を停止させたことを、炊飯器から離れた位置にいるユーザに対しても伝えることができる。
【0125】
なお、本実施の形態においては、報知手段10がブザーである構成で説明したが、報知手段10を音声ICやスピーカーなどで構成される音声再生装置で構成して、報知音と共に、エラーの内容を音声で報知するようにしても良い。また、エラー表示せずに音のみで報知する構成にしてもよいし、報知をした後にエラー表示をするようにしてもよい。
【0126】
(実施の形態9)
図1において、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止した時、制御手段8は、所定の時間だけ送風手段4を駆動して、その後、所定の時間だけ送風手段4を停止させることを所定の回数繰り返し、その間に、送風手段4が駆動中に回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0127】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図18のフローチャートを用いて説明する。
【0128】
図18は、本発明の第9の実施の形態における炊飯器が送風手段4の回転数異常を検知した(図2〜図11におけるステップS8またはステップS16で送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止する直前の状態)以降の動作を示すフローチャートである。
【0129】
図18において、送風手段4の回転数が異常であった場合に実施されるステップS91では、制御手段8は、現在の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)
を記録してステップS92へ進む。
【0130】
ステップS92では、制御手段8は、調理動作を停止してステップS94に進み、ステップS94では、制御手段8は、送風手段4を駆動させてステップS131に進む。
【0131】
ステップS131では、制御手段8は、送風手段4の駆動を開始させた回数をカウントしてステップS95に進み、ステップS95では、制御手段8は、単位時間内(例えば1秒間)に回転数検知手段7が出力した送風手段4の回転数(R1)を計測し、ステップS96に進む。
【0132】
ステップS96では、制御手段8は、ステップS94で送風手段4の駆動を開始してからの時間をカウントし、ステップS97に進む。
【0133】
ステップS97では、制御手段8は、ステップS95で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数の範囲内であるかを判定し、正常回転数の範囲内であった場合(Rmin≦R1≦Rmax)ステップS98に進み、ステップS98では、制御手段8は、ステップS91で記録した情報に基づいて、送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止した直前の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)に復帰して調理を再開する。
【0134】
一方、正常回転数範囲外であった場合(R1>RmaxまたはR1<Rmin)は、ステップS99に進み、制御手段8は、ステップS94での送風手段4の駆動開始からの経過時間が所定時間(本実施の形態では5秒としている)を経過したかを判定し、経過していなかった場合は、ステップS95に戻り、送風手段4の回転数正常復帰判定を継続する。
【0135】
一方、ステップS94での送風手段4の駆動開始からの経過時間が所定時間を経過していた場合は、ステップS100へ進み、送風手段4の駆動を停止させた後、ステップS132に進む。
【0136】
ステップS132では、制御手段8は、ステップS94で送風手段4の駆動を開始した回数が所定の回数(本実施の形態では2回としている)に到達したかを判定し、到達していた場合は、送風手段4の回転数異常による調理動作停止状態からの自動復帰判定を終了する。
【0137】
一方、ステップS94で送風手段4の駆動を開始した回数が所定の回数に到達していなかった場合は、ステップS133に進み、制御手段8は、ステップS100で送風手段を停止してからの時間をカウントし、ステップS134に進む。
【0138】
ステップ134では、ステップS100での送風手段4の駆動停止からの経過時間が所定時間(本実施の形態では5秒としている)を経過したかを判定し、経過していなかった場合は、ステップS133に戻り、送風手段4の駆動停止からの経過時間が所定時間を経過するまでステップS133とステップS134を繰り返す。
【0139】
一方、ステップS100での送風手段4の駆動停止からの経過時間が所定時間を経過していた場合は、ステップS94に戻り、ステップS97で送風手段4の回転数が正常であったと判定して調理動作を再開するか、ステップS132で送風手段4の駆動開始回数が所定の回数に到達して自動復帰判定を停止するまで、ステップS94以降の動作を繰り返す。
【0140】
以上のように、本実施の形態においては、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止した時、制御手段8は、所定の時間だけ送風手段4を駆動して、その後、所定の時間だけ送風手段4を停止させることを所定の回数繰り返し、その間に、送風手段4が駆動中に回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開するように構成することにより、送風手段4の送風能力の低下の原因が、近くにあった紙を吸気口が吸いつけていた場合などの一時的なものであり、吸気を一時的に停止することで解消される(吸いつけていたものが落ちる)ものであった場合は、自動的に調理動作を再開させることが可能となるので、調理動作を途中停止したことによる損害を軽減することができる。
【0141】
(実施の形態10)
図1において、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止した状態で操作手段11による操作が行われた時、制御手段8は、所定の時間だけ送風手段4を駆動させ、その際に回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0142】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0143】
図12は、本発明の第10の実施の形態における炊飯器が送風手段4の回転数異常を検知した(図2〜図11におけるステップS8またはステップS16で送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止する直前の状態)以降の動作を示すフローチャートである。
【0144】
図12において、送風手段4の回転数が異常であった場合に実施されるステップS91では、制御手段8は、現在の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)を記録してステップS92へ進む。
【0145】
ステップS92では、制御手段8は、調理動作を停止(送風手段4の駆動も停止)して、ステップS93へ進み、ステップS93では、制御手段8は、ユーザによる操作手段11からの入力の有無を判定し、操作入力があった場合は、ステップS94に進み、操作入力がなかった場合は操作入力があるまでステップS93に留まる。
【0146】
送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止した後に操作手段11からの入力があった場合に実施されるステップS94では、制御手段8は、送風手段4を駆動させてステップS95に進み、ステップS95では、制御手段8は、単位時間内(例えば1秒間)に回転数検知手段7が出力した送風手段4の回転数(R1)を計測し、ステップS96に進む。
【0147】
ステップS96では、制御手段8は、ステップS94で送風手段4の駆動を開始してからの時間をカウントし、ステップS97に進む。
【0148】
ステップS97では、制御手段8は、ステップS95で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数の範囲内であるかを判定し、正常回転数の範囲内であった場合(Rmin≦R1≦Rmax)ステップS98に進み、ステップS98では、制御手段8は、ステップS91で記録した情報に基づいて、送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止した直前の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)に復帰して調理を再開する。
【0149】
一方、正常回転数範囲外であった場合(R1>RmaxまたはR1<Rmin)は、ス
テップS99に進み、制御手段8は、ステップS94での送風手段4の駆動開始からの経過時間が所定時間(本実施の形態では5秒としている)を経過したかを判定し、経過していた場合はステップS100へ進み、送風手段4の駆動を停止させた後、ステップS93に戻り、操作手段11からの入力があるまで待機する。
【0150】
一方、ステップS94での送風手段4の駆動開始からの経過時間が所定時間を経過していなかった場合は、ステップS99からステップS95に戻り、送風手段4の回転数正常復帰判定を継続する。
【0151】
以上のように、本実施の形態においては、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止した状態で操作手段11による操作が行われた時、制御手段8は、所定の時間だけ送風手段4を駆動させ、その際に回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開するように構成することにより、送風手段4の送風能力の低下の原因が、吸排気口の目詰まりなどのユーザが対処できるものであった場合は、ユーザが対処した後に操作入力することで、調理動作を再開させることが可能となるので、調理動作を途中停止したことによる損害を軽減することができる。
【0152】
なお、本実施の形態においては、操作手段11からの入力後の回転数正常復帰判定で回転数が正常と判定できない場合は、再度、操作手段11からの入力待機状態に戻る構成で説明したが、例えば、操作手段11からの入力が取消しボタン入力などの所定の入力であった場合は、操作手段11の入力待機状態には戻らずに、待機状態(調理動作開始前の状態)へ移行するようにしても良い。
【0153】
(実施の形態11)
図1において、送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であっても、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止してから所定の時間以上が経過していた場合は調理動作を再開せず、待機状態(調理動作開始前の状態)に移行するように構成している。他の構成は上記実施の形態10と同じである。
【0154】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図13のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS91からステップS100までの動作は、上記実施の形態10の動作と同じであるので説明を省略する。
【0155】
図13は、本発明の第11の実施の形態における炊飯器が送風手段4の回転数異常を検知した(図2〜図11におけるステップS8またはステップS16で送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止する直前の状態)以降の動作を示すフローチャートである。
【0156】
図13において、送風手段4の回転数が異常であった場合に実施されるステップS91では、制御手段8は、現在の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)を記録してステップS92へ進む。
【0157】
ステップS92で調理動作を停止した直後に実施されるステップS111では、制御手段8は、調理動作停止からの経過時間(Tsp)のカウントを開始してステップS93へ進む。以降ステップS93からステップS97までの動作は、上述したように上記実施の形態10の動作と同じであるので説明を省略する。
【0158】
ステップS97では、制御手段8は、ステップS95で計測した送風手段4の回転数(R1)が正常回転数の範囲内であるかを判定し、正常回転数の範囲内であった場合(Rmin≦R1≦Rmax)ステップS112に進み、正常回転数範囲外であった場合(R1
>RmaxまたはR1<Rmin)は、ステップS99に進む。
【0159】
調理動作停止後に操作手段11の入力によって行われる送風手段4の回転数判定で正常と判定された場合に実施されるステップS112では、制御手段8は、調理動作停止からの経過時間が所定時間(Tspmax)を超えているかを判定し、所定時間を超えている場合(Tsp>Tspmax)はステップS113に進み、待機状態(調理動作開始前の状態)へ復帰し、所定時間を超えていない場合(Tsp≦Tspmax)はステップS98に進み、ステップS91で記録した情報に基づいて、送風手段4の回転数異常によって調理動作を停止した直前の状態(選択されている調理メニューや調理の進行状況など)に復帰して調理を再開する。
【0160】
以上のように、本実施の形態においては、送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であっても、送風手段4の回転数異常により調理動作を停止してから所定の時間以上が経過していた場合は調理動作を再開せず、待機状態(調理動作開始前の状態)に移行するように構成することにより、調理動作停止から所定の時間以上経過したために、調理動作を再開しても無駄であるような場合は無駄な調理動作を実施しないようにすることができる。
【0161】
(実施の形態12)
図1において、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であり、且つ、所定の回転数の範囲の境界までの差が所定の値未満であった場合は、制御手段8は、前記回転数の差が所定の値以上であることを検知するまで表示手段9にその旨を表示するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0162】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を図14のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS1からステップS9までの動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0163】
図14は、本発明の第12の実施の形態における炊飯器の調理動作開始時の動作を示すフローチャートで、図11は、本発明の第8の実施の形態における炊飯器の調理開始前から調理終了までの動作を示すフローチャートである。
【0164】
図14において、ステップS5及びステップ6で、制御手段8は、送風手段4の回転数(R1)が正常回転数の範囲内であるかを判定し、正常回転数の範囲内であった場合(Rmin≦R1≦Rmax)、ステップS121に進む。
【0165】
ステップS121では、制御手段8は、ステップS4で計測された送風手段4の回転数(R1)と所定の回転数の範囲の境界(Rmax、Rmin)までの差が所定の値未満(Rmax−R1<RwまたはR1−Rmin<Rw)であるかを判定し、所定の値未満であった場合は、ステップS122へ進み、ステップS122では、制御手段8は、送風手段4の回転数が異常境界に近づいていることを警告する表示を表示手段9に表示する(例えば、「吸排気口確認」と表示)。
【0166】
一方所定の値以上であった場合(Rmax−R1≧RwまたはR1−Rmin≧Rw)は、ステップS123へ進み、ステップS123では、制御手段8は、表示手段9に表示している警告表示を停止する(元々警告表示を行っていない状態であった場合は、何も行わない)。
【0167】
以上のように、本実施の形態においては、回転数検知手段7が検知した送風手段4の回転数が所定の回転数の範囲内であり、且つ、所定の回転数の範囲の境界までの差が所定の
値未満であった場合は、制御手段8は、前記回転数の差が所定の値以上であることを検知するまで表示手段9にその旨を表示するように構成することにより、送風手段4が蒸気の低温化を実現するのに十分な送風能力が発揮できない状態に近づいていることを事前にユーザに伝えることが可能となるので、送風手段4の異常により、調理動作が途中で停止してしまうことを事前に防止することができる。
【0168】
尚、本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して説明したが、第2〜第8の実施の形態のステップS6、ステップS14以降に適用してもよく、また、第9〜第11の実施の形態を本実施の形態のS8以降に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0169】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、調理中に排出される蒸気の冷却機能に関するものであるので、他の蒸気を排出する調理機器の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0170】
1 鍋
2 鍋加熱手段
3 蓋本体
4 送風手段
4b 送風手段の吹出し側部分
5 送風経路
6 蒸気経路
7 回転数検知手段
8 制御手段
9 表示手段
10 報知手段
11 操作手段
12 吸気口
13 排気口
14a 傾斜面
15 炊飯器本体
15a 鍋収納部
15b 上枠
15c コイルベース
15d フック
16 内蓋
16a 内蓋の蒸気口
17 鍋温度センサ
18 フック
19 内蓋温度センサ
20 内蓋加熱装置
101 鍋温度検知手段
102 計時手段
103 シーケンス記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記炊飯器本体の外気を吸気して送風する送風手段と、前記送風手段から送風された外気を前記炊飯器本体外と連通した排気口に誘導する送風経路と、前記鍋内で発生した蒸気を前記送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路と、前記送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、前記鍋加熱手段による炊飯や保温などの調理動作中に前記送風手段を制御して前記鍋内から前記排気口へ排出される蒸気の温度を下げる制御を行う制御手段と、調理動作の設定や各種動作情報を表示する表示手段と、各種情報を音で報知する報知手段と、調理開始などの操作を行うための操作手段を備え、前記制御手段は、前記回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、前記鍋加熱手段による加熱を停止させて調理動作を停止させることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
制御手段は、待機状態(調理動作を実施していない状態)から調理動作を開始する時に所定の時間だけ送風手段を駆動させることを特徴とした請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外である状態が所定の時間以上継続するまでは、調理動作を停止させないことを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
調理動作を停止させる条件である回転数が所定の回転数の範囲外である状態の継続時間が、調理動作中よりも調理開始時の方が短いことを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
送風手段は、制御手段により少なくとも2段階以上の駆動能力の切替が可能で、調理動作を停止させる回転数の条件は送風手段の駆動能力毎に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
制御手段は、送風手段の駆動能力を切替えてから(停止状態から駆動開始への切替含む)所定の時間が経過するまでは、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数を制御に使用しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱及び調理動作を停止させると共に、表示手段に調理動作を停止させたことを表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による及び調理動作を停止させると共に、調理動作を停止させたことを報知手段によって報知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
制御手段は、回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲外であった場合は、鍋加熱手段による加熱及び調理動作を停止させた後、所定の時間だけ前記送風手段を駆動して、その後、所定の時間だけ前記送風手段を停止させることを所定の回数繰り返し、その間に、前記送風手段が駆動中に回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
送風手段の回転数異常により調理動作を停止した状態で操作手段による操作が行われた時
、制御手段は、所定の時間だけ前記送風手段を駆動させ、その際に回転数検知手段が検知した前記送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であった場合は、調理動作を停止する直前の状態に戻って調理を再開することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項11】
送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であっても、前記送風手段の回転数異常により調理動作を停止してから所定の時間以上が経過していた場合は調理動作を再開しないことを特徴とする請求項10に記載の炊飯器。
【請求項12】
回転数検知手段が検知した送風手段の回転数が所定の回転数の範囲内であり、且つ、所定の回転数の範囲の境界までの差が所定の値未満であった場合は、制御手段は、前記回転数の差が所定の値以上であることを検知するまで表示手段にその旨を表示することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の炊飯器。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−240393(P2010−240393A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60606(P2010−60606)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】