説明

炊飯器

【課題】甘みがあって、美味しいご飯が炊ける炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器本体1の開口部1fを覆う蓋本体3は、鍋2の上層部を加熱する蓋加熱手段11の下部に配された内蓋4を有し、内蓋4の上部に、鍋2の上部と連通し蒸気筒吸気孔26を有する蒸気筒16と、蒸気筒16を収納し炊飯中の水蒸気を外気に排出する排気孔19を有する蒸気筒収納部15と、送風機20と、蓋本体3の外郭面に設けた外気吸気用の吸気口21と、送風機20と吸気口21を連結する吸気経路22と、送風機20と蒸気筒吸気孔26を連結する送風連結管A23と、送風機20と鍋2の上部とを連結する送風連結管B25と、送風連結管A23と送風連結管B25を切替える送風方向切替弁24を配設したもので、炊飯時に送風連結管A23側に切換えて、送風機20で温度の低い外気を蒸気筒16内に投入しておねばの上昇を押さえて、吹き零れを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美味しくご飯を炊く炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、市場において高価な炊飯器が導入され、その中で炊飯器としての基本性能である炊飯性能・保温性能の向上を目的とした機能を付加価値として商品化されている。従来の炊飯器として、図7に示されるようなものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、従来の炊飯器の断面図である。
【0004】
図7において、炊飯器本体41(以下「本体41」という)には、鍋42が収納され、鍋42を加熱するための鍋加熱手段43と、この鍋加熱手段43に電力を供給するための加熱制御手段44及び鍋42の温度を検知する鍋温度検知手段45が配設されている。
【0005】
本体41及び鍋42の上方には、蓋体46が開閉自在に配設されており、前記蓋体46は、外装部の外蓋47と鍋42の上部を加熱する加熱板48が配設されており、外蓋47と加熱板48の間に、外蓋47の外郭と鍋42を連通する蒸気経路49が配設されている。
【0006】
前記蒸気経路49には、蒸気検知手段50を備えているが、蒸気経路49の上方部には、炊飯中の鍋42内に発生するおねばのふきこぼれを防止するする蒸気筒は配設されていない。
【0007】
次に、上記のように構成された従来の炊飯器の炊飯時の動作について説明する。
【0008】
炊飯を開始すると、鍋42は、鍋加熱手段43によって加熱され、鍋42内の調理物(図示せず)は沸騰する。この過程において、鍋温度検知手段45が、まず鍋42の温度を検知するが、鍋42内の調理物の量が多い場合、鍋42より調理物は遅れて加熱されていくため、鍋温度検知手段45が水の沸点である100℃に達するのを検知してから蒸気検知手段50が沸騰温度に達したことを検知するまでに時間がかかる。
【0009】
この時間は、炊飯量に対して比例するものであり、この比例の関係に基づいて炊飯量の判定を行い、その炊飯量に合わせて適正な鍋42の加熱制御を行い炊飯ができる。
【0010】
また、炊飯の過程において、炊飯量の判定を終了してから炊き上げ過程までの間、鍋42内のご飯の多量の煮汁であるおねばが発生する。この過程で、鍋42を鍋加熱手段43で加熱すると、ぐつぐつとおねばは鍋42の上部までに達し、更には蒸気経路49内まで到達し、外蓋47の外方まで溢れだす場合がある。
【0011】
この現象が吹き零れであるが、蒸気経路49内に蒸気検知手段50を配設しているため、おねばが蒸気経路49内まで到達した時は、前記蒸気検知手段50を利用して、おねばの温度を検知して、鍋加熱手段43による鍋42の加熱を止めてふきこぼれを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−211999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
炊飯する水の量が多い場合においては、炊飯中に発生するおねばの量は多大なものになるが、上記従来の炊飯器の構成では、その状態での炊き上げ過程で、多大な量のおねばが勢い良く蒸気経路58内まで上昇してくるので、前記蒸気検知手段50により温度検知によるおねばの上昇を検知した時には、外蓋47の外郭に若干のふきこぼれが発生する場合があった。よって、ふきこぼれを防止するために、鍋加熱手段43による加熱を少なくしたご飯の炊き方をするために、甘みがなく美味しくないご飯になる、という課題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのもので、炊飯する水の量が多い場合においても、甘く美味しいご飯が炊ける炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体は、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段の下部に配された内蓋を有し、前記内蓋には数箇所の蒸気口を配設し、前記内蓋の上部には、前記鍋の上部と連通すると共に蒸気筒吸気孔を有する蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部を配設し、前記蒸気筒収納部には、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を配設し、前記蒸気筒収納部の近傍には送風機を配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記蒸気筒吸気孔を連結する送風連結管Aと、前記送風機と前記鍋の上部とを連結する送風連結管Bと、前記送風連結管Aと前記送風連結管Bを切替える送風方向切替弁を配設したもので、炊飯を開始して、鍋加熱手段により鍋内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋内の水が無くなるまで、鍋の加熱を行う。その際、沸騰を維持している時に、おねばは、鍋上部まで上昇し、蓋本体内の蒸気経路及び蒸気筒内まで上昇し、加熱し続けるとおねばは蓋本体の外郭部に吹き零れてしまう。そこで、送風方向切替弁を送風連結管A側に切換えて、蓋本体内に配設した送風機で、おねばより温度の低い空気を吸気し、その空気を蒸気筒内に投入して、沸騰維持中に蒸気筒内まで上昇してきたおねばの上昇を押さえ、吹き零れを防止するとともに、吹き零れがないため、鍋加熱手段による多大な熱量でご飯を炊き上げることができるため、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができる。さらに、送風連結管Bを鍋と連結しているため、保温中において、送風方向切替弁を送風連結管Bに切換えて、蓋本体内に配設した送風機を動作し、鍋内に外気を投入する。保温中の鍋内は、ご飯の持つ水蒸気が充満しており、鍋及び内蓋の温度で水蒸気の露点温度以下の箇所があると、その箇所に結露が発生し、その水滴がご飯に滴下し、ご飯がふやけて食べれないご飯になってしまうが、鍋内に外気を投入することで、鍋内の絶対湿度を低減し、鍋及び内蓋に付着する結露の量を減らし、ご飯のふやけ現象を抑える効果があり、保温において炊き上がりのご飯を維持するねらいがある。上記に述べてきたように、本発明の最大の効果は、蓋本体内の送風機1個の構成で、炊飯の吹き零れを防止しつつ甘みのある美味しいご飯を炊き上げる効果と保温における鍋と内蓋の結露を防止してご飯のふやけを無くすという2つの機能があり、低コストの構成が実現できることにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の炊飯器によれば、蓋本体内に配設した送風機で、おねばより温度の低い空気を吸気し、その空気を蒸気筒内に投入して、沸騰維持中に蒸気筒内まで上昇してきたおねばの上昇を押さえ、吹き零れを防止するとともに、吹き零れがないため、鍋加熱手段による多大な熱量でご飯を炊き上げることができるため、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができる。さらに、送風連結管Bを鍋と連結しているため、保温中において、蓋本体
内に配設した送風機を動作し、鍋内に外気を投入する。保温中の鍋内は、ご飯の持つ水蒸気が充満しており、鍋及び内蓋の温度で水蒸気の露点温度以下の箇所があると、その箇所に結露が発生し、その水滴がご飯に滴下し、ご飯がふやけて食べれないご飯になってしまうが、鍋内に外気を投入することで、鍋内の絶対湿度を低減し、鍋及び内蓋に付着する結露の量を減らし、ご飯のふやけ現象を抑える効果があり、保温において炊き上がりのご飯を維持するねらいがあり、本発明の最大の目的は、蓋本体内の送風機1個の構成で、炊飯の吹き零れを防止しつつ甘みのある美味しいご飯を炊き上げる効果と保温における鍋と内蓋の結露を防止してご飯のふやけを無くすという2つの機能があり、低コストの構成が実現できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる炊飯器の縦断面図
【図2】同炊飯器の一部切欠き上面図
【図3】同炊飯器の炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置(鍋加熱手段及び蓋加熱手段)の駆動状態を示す図
【図4】本発明の実施の形態2にかかる炊飯器の縦断面図
【図5】本発明の実施の形態3にかかる炊飯器の縦断面図
【図6】同炊飯器の一部切欠き上面図
【図7】従来の炊飯器の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体は、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段の下部に配された内蓋を有し、前記内蓋には数箇所の蒸気口を配設し、前記内蓋の上部には、前記鍋の上部と連通すると共に蒸気筒吸気孔を有する蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部を配設し、前記蒸気筒収納部には、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を配設し、前記蒸気筒収納部の近傍には送風機を配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記蒸気筒吸気孔を連結する送風連結管Aと、前記送風機と前記鍋の上部とを連結する送風連結管Bと、前記送風連結管Aと前記送風連結管Bを切替える送風方向切替弁を配設したもので、炊飯を開始して、鍋加熱手段により鍋内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋内の水が無くなるまで、鍋の加熱を行う。その際、沸騰を維持している時に、おねばは、鍋上部まで上昇し、蓋本体内の蒸気経路及び蒸気筒内まで上昇し、加熱し続けるとおねばは蓋本体の外郭部に吹き零れてしまう。そこで、送風方向切替弁を送風連結管A側に切換えて、蓋本体内に配設した送風機で、おねばより温度の低い空気を吸気し、その空気を蒸気筒内に投入して、沸騰維持中に蒸気筒内まで上昇してきたおねばの上昇を押さえ、吹き零れを防止するとともに、吹き零れがないため、鍋加熱手段による多大な熱量でご飯を炊き上げることができるため、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができる。さらに、送風連結管Bを鍋と連結しているため、保温中において、送風方向切替弁を送風連結管Bに切換えて、蓋本体内に配設した送風機を動作し、鍋内に外気を投入する。保温中の鍋内は、ご飯の持つ水蒸気が充満しており、鍋及び内蓋の温度で水蒸気の露点温度以下の箇所があると、その箇所に結露が発生し、その水滴がご飯に滴下し、ご飯がふやけて食べれないご飯になってしまうが、鍋内に外気を投入することで、鍋内の絶対湿度を低減し、鍋及び内蓋に付着する結露の量を減らし、ご飯のふやけ現象を抑える効果があり、保温において炊き上がりのご飯を維持するねらいがある。上記に述べてきたように、本発明の最大の効果は、蓋本体内の送風機1個の構成で、炊飯の吹き零れを防止しつつ甘みのある美味しいご飯を炊き上げる効果と保温における鍋と内蓋の結露を防止してご飯のふやけを無くすという2つの機能があり、低コストの構成が実現できることにある。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の蒸気筒の内部に、熱伝導の高い金属で表面積を増やすフィンを配設した熱交換部を構成したもので、炊飯中に蒸気筒内部までおねばが上昇してきた際に、送風機で吸気された空気を前記フィンに噴きつけることにより、熱交換部の温度上昇がなく、熱交換部の熱容量の利用と空気の熱容量の総和で、より一層、おねばの上昇を抑えることができるもので、炊飯の沸騰維持での鍋加熱手段による鍋の加熱を維持できて、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができるものである。
【0020】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の吸気経路内に金属経路を内蔵し、前記金属経路にペルチェ等の熱交換器を配設したもので、蓋本体内の送風機により吸気された空気を、蒸気筒内に投入し、炊飯中に上昇してくるおねばの上昇を抑え、沸騰維持中の鍋加熱手段による鍋の加熱を維持し、甘みのある美味しいご飯を炊く効果は同じであるが、日本の四季において、外気の温度は、一般的に−5℃〜35℃まで変化し、四季により外気が35℃の吸気が行われたときに、鍋内の水の量が顧客の設定間違いが発生した時に吹き零れてしまう危険性が発生する。そのために、蓋本体内に配設した送風機と蓋本体の吸気口をつなぐ吸気経路の内部に金属経路を内蔵し、前記金属経路にペルチェ等の熱交換器を配設することにより、夏場の外気温度が35℃に達したとしても、送風機で一旦は、35℃の外気を吸気し、吸気した空気が金属経路を通過する時に、金属経路の温度を下げて、空気の温度を、吹き零れが発生しない温度まで低下させて、蒸気筒内に投入することで、外気の温度に影響を受けず、吹き零れが発生せず、多大な熱量でご飯を炊き上げることが可能になる。また、保温においては、外気が−5℃の場合、その低い温度の空気を鍋内に投入すると、鍋と内蓋の結露は防止できるが、鍋と内蓋更にはご飯の温度までも下げてしまうことになるため、外気温度が低い場合は、送風機により吸気された温度の低い空気が、前記金属経路内を通過する時に、金属経路の温度を上昇しておき、鍋内に投入される空気の温度を上げて、鍋と内蓋更にはご飯の温度が低下するのを防止し、外気が低い場合の保温の消費電力を低下することができ、省エネルギー化した炊飯器の実現ができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる炊飯器の縦断面図、図2は、同炊飯器の一部切欠き上面図である。
【0023】
図1、2において、本実施の形態にかかる炊飯器は、内部に鍋収納部1aが形成された略有底筒状の炊飯器本体1と、鍋収納部1aに収納される鍋2と、炊飯器本体1の開口部1fを開閉可能に炊飯器本体1に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋2の開口部2aを覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部2aを密閉可能な略円盤状の内蓋4と、鍋2を加熱(誘導加熱)する鍋加熱手段5とを有している。
【0024】
炊飯器本体1の鍋収納部1aは、炊飯器本体1の上部開口の内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。
【0025】
コイルベース1cの外周面には、鍋加熱手段5を構成する底内加熱コイル5aと、底外加熱コイル5bとが取り付けられている。底内加熱コイル5aは、コイルベース1cを介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外加熱コイル5bは、コイルベース1cを介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0026】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられている。当該開口部分には、鍋
2の温度を測定するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサ6が鍋2の底部に当接可能に配置されている。
【0027】
炊飯器本体1内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯を行う制御部7が設置されている。制御部7は、蓋本体3に設けられた後述の操作部8を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0028】
炊飯器本体1の前壁上部(図1の左側上部)には、蓋本体3のフック9に係合可能なフック1dが設けられている。フック1dと上枠1bとの間にはバネ1eが設けられている。フック1dは、バネ1eにより常時前方(図1の左側)に付勢されている。
【0029】
蓋本体3には、内蓋温度検知部の一例である内蓋温度センサ10と、蓋加熱手段11と、ヒンジ軸12とが設けられている。内蓋温度センサ10は、内蓋4に当接可能に設けられ、内蓋4の温度を検知可能に構成されている。
【0030】
蓋加熱手段11は、内蓋4を介して鍋2の上部開口部に対向するように、蓋本体3内に配置された加熱コイルで構成され、制御部7の制御により内蓋4を誘導加熱する。ヒンジ軸12は、蓋本体3の開閉軸であり、炊飯器本体1の上枠1bに両端部を回動自在に支持されている。蓋本体3は、ヒンジ軸12の近傍に設けたねじりコイルバネなどの回動バネ(図示せず)により、炊飯器本体1の上部開口から離れるように回転する方向に付勢されている。
【0031】
内蓋4の一部は、誘導加熱が可能なフェライト系ステンレスなどの金属で構成されている。内蓋4には、鍋2内で発生した蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4aが設けられている。内蓋4の外周部の鍋2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるときに鍋2と密接する略環状の鍋パッキン13が取り付けられている。鍋パッキン13は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0032】
また、蓋本体3には、炊飯メニュー、炊飯時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部14と、炊飯メニューの選択、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示するための操作部8が設けられている。
【0033】
操作部8は、炊飯開始ボタンなどの複数のボタン(図示せず)で構成されている。使用者は、表示部14の表示内容を参照しつつ、操作部8にて炊飯開始を指示することによって、炊飯を行うことができる。炊飯開始の指示を受けた制御部7は、記憶した炊飯プログラムと鍋温度センサ6及び内蓋温度センサ10の検知温度とに基づいて、鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11の駆動を制御(動作又は停止)し、炊飯工程を実行する。
【0034】
また、蓋本体3には、鍋2内の水が沸騰した水蒸気を外気に排気するための蒸気筒収納部15を配設している。前記蒸気筒収納部15には、蒸気筒16を配設し、前記蒸気筒16には、炊飯中に発生するおねばと水蒸気を通過させる蒸気筒孔A17を配設している。また、蒸気筒16の上面部には、蒸気筒収納部15の上部に蒸気のみを通過させる蒸気筒孔18が配設されている。さらに前記蒸気筒収納部15の上面部には、水蒸気を外気に放出するための排気孔19が配設されている。
【0035】
次に、前記蒸気筒収納部15の近傍には、送風機20を配設しており、蓋本体3の外郭面には、前記送風機20の吸気を行うための吸気口21が配設されており、送風機20と吸気口21を連結するために吸気経路22を具備している。そして、送風機20と蒸気筒収納部15をつなぐために送風連結管A23を配設し、前記送風連結管A23は、送風方向切替弁24を介し、送風機20と鍋2をも連結する送風連結管B25も配設している。
【0036】
蒸気筒16の上面部には、送風機20により吸気され、送風連結管A23に送られてきた空気を蒸気筒16内に投入する蒸気筒吸気孔26を配設している。また、前記蒸気筒吸気孔26と送風連結管A23を連結するために、蒸気筒16の上面部の蒸気筒吸気孔26の近傍に連結パッキン27を配設している。このような蒸気筒16の構成にすることで、蒸気筒16は、蓋本体3から着脱自在の構成が可能となる。
【0037】
次に、図1と図3を参照しつつ、本実施の形態にかかる炊飯器の動作について説明する。図3は、炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置(鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11)の駆動状態を示す図である。
【0038】
まず、使用者により、鍋2内に米と水がセットされ、操作部8にて炊飯メニューが選択された後、炊飯開始が指示されると、制御部7の制御により炊飯工程が開始される。
【0039】
ここで、炊飯工程とは、前炊き工程(浸漬工程ともいう)と、昇温工程(炊き上げ工程ともいう)と、沸騰維持工程と、蒸らし工程の主として4つの工程で構成されるものである。これらの工程の間に米の糊化が進められて米が炊飯される。
【0040】
この炊飯工程は、鍋温度センサ6及び内蓋温度センサ10の検知温度と、炊飯メニューに応じた炊飯プログラムとに従って、制御部7が鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11の加熱動作を制御することにより行われる。本実施の形態においては、米の種類などに応じて複数の炊飯メニューが用意され、当該それぞれの炊飯メニューに応じた炊飯プログラムが制御部7に記憶されている。
【0041】
炊飯工程が開始されると、まず、前炊き工程が開始される。前炊き工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる工程である。この前炊き工程において、制御部7は、鍋2内の水の温度が米の糊化が始まる温度(約60℃)以上にならないように、鍋2の温度を鍋温度センサ6又は内蓋温度センサ10の検知温度に基づいて鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11を制御する。これにより、米の吸水が促進される。
【0042】
前炊き工程の開始から予め設定された時間経過すると、昇温工程に移行する。昇温工程は、鍋2を鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11により一気に加熱して、鍋2内の水を沸騰状態(約100℃)にする工程である。この昇温工程において、制御部7は、鍋2を急速に加熟して鍋2内の水を沸騰状態にするように、鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11の駆動を制御する。
【0043】
前記昇温工程の実施により、鍋温度センサ6の検知温度が約100℃になると、沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程は、米の澱粉を糊化させて、糊化度を約60%程度まで引き上げる工程である。この沸騰維持工程において、制御部7は、鍋2内の水の沸騰状態を維持するように鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11を制御する。より具体的には、制御部7は、鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11の駆動、駆動停止を一定時間間隔で繰り返すデューティー制御を行い、鍋2を間欠加熱する。
【0044】
この昇温工程においては、連続的に水を沸騰させるため、約100℃の水蒸気とおねばが大量に発生する。当該発生した水蒸気とおねばで鍋2内が充満されると、余分な水蒸気とおねばは、内蓋4の蒸気口4aを通過して蒸気筒16に流入する。この時に、蓋本体3内に配設した送風機20を動作させ、外気を吸気する。
【0045】
吸気された外気は、送風連結管A23を介して蒸気筒16内に投入され、水蒸気やおねばの温度より低いため、おねばと水蒸気を完全分離して、水蒸気のみを蒸気筒16に配設
した蒸気筒孔18から排出し、蒸気筒収納部15の上方部へ送り、排気孔19を通過して、外気に水蒸気を放出する。
【0046】
そのため、蓋本体3内に配設した送風機20で、沸騰維持中に蒸気筒16内まで上昇してきたおねばの上昇を押さえ、吹き零れを防止するとともに、吹き零れがないため、鍋加熱手段5による多大な熱量でご飯を炊き上げることができるため、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態における炊飯器の構成では、送風連結管B25を鍋2と連結しているため、保温中に送風方向切替弁24を送風連結管B25側に切り変え、蓋本体3内に配設した送風機20を動作させることで、鍋2内に外気が投入される。保温中の鍋2内は、ご飯の持つ水蒸気が充満しており、鍋2及び内蓋4の温度で水蒸気の露点温度以下の箇所があると、その箇所に結露が発生し、その水滴がご飯に滴下し、ご飯がふやけて食べれないご飯になってしまうが、鍋2内に外気を投入することで、鍋2内の絶対湿度を低減し、鍋2及び内蓋4に付着する結露の量を減らし、ご飯のふやけ現象を抑える効果があり、保温において炊き上がりのご飯を維持するねらいがある。
【0048】
上記したように、本発明の最大の効果は、蓋本体3内の送風機20の1個の構成で、炊飯の吹き零れを防止しつつ甘みのある美味しいご飯を炊き上げる効果と、保温における鍋2と内蓋4の結露を防止してご飯のふやけを無くすという2つの機能があり、低コストの構成が実現できることにある。
【0049】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる炊飯器の縦断面図を示している。なお、上記実施の形態における炊飯器と同一構成部品については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
【0050】
本実施の形態における炊飯器の蓋本体3の構成は、上記実施の形態1で述べた蒸気筒16の内部に、熱伝導の高い金属で表面積を増やすフィン(図示せず)を配設した熱交換部28で構成している。前記熱交換部28のフィンとフィンの間には、水蒸気を蒸気筒収納部15の上方への送るための孔29を配設している。
【0051】
以上のように、本実施の形態における炊飯器においては、蒸気筒16の内部に、熱伝導の高い金属で表面積を増やすフィンを配設した熱交換部28が設けられているため、炊飯中に蒸気筒16内部までおねばが上昇してきた際に、送風機20で吸気された空気を前記フィンに噴きつける。
【0052】
この効果として、熱交換部28の温度上昇がなく、熱交換部28の熱容量の利用と空気の熱容量の総和で、上記実施の形態1における炊飯器の構成より、おねばの上昇を抑えることができるもので、炊飯の沸騰維持での鍋加熱手段5による鍋2の加熱を維持できて、甘みのある美味しいご飯を炊き上げることができるものである。保温の効果については、上記実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
【0053】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3にかかる炊飯器の縦断面図、図6は、同炊飯器の一部切欠き上面図である。なお、本実施の形態における炊飯器の基本構成は、上記実施の形態における炊飯器と同様なので、同一構成部品については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
【0054】
本実施の形態における炊飯器の蓋本体3の構成は、前記吸気経路22の内部に、金属経
路30を内蔵し、前記金属経路30にペルチェ等の熱交換器31を配設している。
【0055】
本実施の形態における炊飯器を上記のような構成にすることにより、蓋本体3内の送風機20により吸気された空気を、蒸気筒16内に投入し、炊飯中に上昇してくるおねばの上昇を抑え、沸騰維持中の鍋加熱手段5による鍋2の加熱を維持し、甘みのある美味しいご飯を炊く効果は同じであるが、日本の四季において、外気の温度は、一般的に−5℃〜35℃まで変化する。
【0056】
四季により、外気が35℃の吸気が行われたときに、鍋2内の水の量が顧客の設定間違いが発生した時に吹き零れてしまう危険性が発生する。そのために、蓋本体3内に配設した送風機20と蓋本体3の吸気口21をつなぐ吸気経路22に金属経路30を内蔵し、前記金属経路30にペルチェ等の熱交換器31を配設することにより、夏場の外気温度が35℃に達したとしても、送風機20で、一旦は、35℃の外気を吸気し、吸気した空気が金属経路30を通過する時に、ペルチェ等の熱交換器31により、金属経路30の温度を下げて、空気の温度を、吹き零れが発生しない温度まで低下させて、蒸気筒16内に投入することで、外気の温度に影響を受けず、吹き零れが発生せず、多大な熱量でご飯を炊き上げることが可能になる。
【0057】
また、保温においては、外気が−5℃の場合、その低い温度の空気を鍋2内に投入すると、鍋2と内蓋4の結露は防止できるが、鍋2と内蓋4、更にはご飯の温度までも下げてしまうことになるため、外気温度が低い場合は、送風機20により吸気された温度の低い空気が、前記金属経路30内を通過する時に、ペルチェ等の熱交換器31により、金属経路30の温度を上昇させておき、鍋2内に投入される空気の温度を上げて、鍋2と内蓋4、更にはご飯の温度が低下するのを防止し、外気が低い場合の保温の消費電力を低下させることができ、省エネルギー化した炊飯器の実現ができる。
【0058】
なお、上記実施の形態1〜3における送風機20として、ポンプやファン等を使用しても、同様の効果を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明にかかる炊飯器は、送風機を利用し、炊飯の吹き零れを抑え、美味しくご飯を炊くとともに保温におけるご飯のふやけを防止することが出来るもので、家庭用、業務用の各種炊飯器に適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
3 蓋本体
4 内蓋
4a 蒸気口
5 鍋加熱手段
11 蓋加熱手段
15 蒸気筒収納部
16 蒸気筒
20 送風機
21 吸気口
22 吸気経路
23 送風連結管A
24 送風方向切替弁
25 送風連結管B
26 蒸気筒吸気孔
27 連結パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体は、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段の下部に配された内蓋を有し、前記内蓋には数箇所の蒸気口を配設し、前記内蓋の上部には、前記鍋の上部と連通すると共に蒸気筒吸気孔を有する蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部を配設し、前記蒸気筒収納部には、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を配設し、前記蒸気筒収納部の近傍には送風機を配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記蒸気筒吸気孔を連結する送風連結管Aと、前記送風機と前記鍋の上部とを連結する送風連結管Bと、前記送風連結管Aと前記送風連結管Bを切替える送風方向切替弁を配設した炊飯器。
【請求項2】
蒸気筒の内部に、熱伝導の高い金属で表面積を増やすフィンを配設した熱交換部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
吸気経路内に金属経路を内蔵し、前記金属経路にペルチェ等の熱交換器を配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161544(P2012−161544A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25726(P2011−25726)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】