説明

炊飯用補助材

【課題】本発明は、麦飯石を微細化して窯業系粘土と混練し、焼成することにより直焚きを可能とした炊飯用補助材を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の炊飯用補助材は、粒状化された麦飯石と、この麦飯石を結合する結合材を含む焼結体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯用補助材に関する。詳しくは炊飯時に釜の中に入れて使用し、ご飯をふっくらと炊けるようにする炊飯用補助材に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、炊飯時に釜の中に入れて使用することでご飯をふっくらと炊けるようにした炊飯用補助材が提案されており、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。具体的には図3に示すように、気孔を有する溶岩102を小石状に形成し、なおかつ通水性を備えた網容器101に収納され、炊飯時に釜の中にいれて使用することで、ご飯をふっくら炊けるようにする炊飯用の補助材としての発明が開示されている(例えば特許文献1参照)。
また、図4に示すように、比較的粒度の小さい麦飯石103をステンレス金網の容器104に封入し、炊飯器やの内部に浸漬するのみで水中の異物を除去し、更に人体に有益なミネラル分を放出し米飯の品質、風味を向上させる構成の発明が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録番号第3048985号公報
【特許文献2】特開2003−136076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1、あるいは特許文献2における発明では、溶岩、あるいは麦飯石を小粒状に砕いて網容器に封入する構成としている。ここで、炊飯中においては100℃前後の湯によって浸されると共に、湯の対流により網容器内の溶岩、あるいは麦飯石が激しく衝突を繰り返すことにより細かく砕けた石片が網容器外へ流出する恐れがある。
【0005】
また、炊飯に使用する場合には溶岩、あるいは麦飯石表面に米のとき汁が付着し、このとき汁が熱によって糊状になることから小粒状の溶岩、あるいは麦飯石が固まった状態となる。そして、使用後に網容器から溶岩、あるいは麦飯石を取り出して糊状のとき汁が取れるまで一粒づつ水洗いをしなければならず非常に手間がかかると共に、小粒状の溶岩、あるいは麦飯石表面は凹凸状となっており糊状のとき汁の残滓によってカビの発生や腐敗することによる食中毒の発生の原因ともなるなどの問題がある。
【0006】
また、網容器の網目にとき汁が付着することにより溶岩から発せられる遠赤外線や麦飯石から溶出されるミネラル成分を充分に放出することができない恐れがあり、かつ網容器に付着した糊状のとき汁の洗浄にも非常に手間がかかる問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、麦飯石を微細化して窯業系粘土と混練し、焼成することにより直焚きを可能とした炊飯用補助材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る炊飯用補助材は、粒状化された麦飯石と、前記麦飯石を結合する結合材を含む焼結体である。
【0009】
ここで、粉砕機によって粒状化された麦飯石と、窯業系粘土である結合材とを混練し、真空押出成形機等によって空気を抜いた状態で所定の形状に成形して高温で焼結することにより表面が非常に硬い焼結体となる。
【0010】
この焼結体からなる炊飯用補助材は、炊飯器にとき米と一緒に入れて炊き上げても熱によって焼結体が割れる、あるいは崩れることがなく使用することが可能となる。
【0011】
また、粒状化された麦飯石の主成分である無水珪酸、酸化アルミニウム、酸化鉄によりミネラル成分が溶出されると共に、微量元素のパナジウム、ジルコニウム、ストロンチウムなどによる遠赤外線効果によって米を活性化させてふっくらとしたおいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
【0012】
また、麦飯石と結合材との配合割合が重量比で6対4とされることにより、麦飯石による効果を得るとともに、結合材により強度を保持することが可能となる。すなわち、麦飯石の配合割合が6を超え、結合材の配合割合が4未満となると麦飯石の効果は向上するが焼結体の強度が低下して脆くなることが確認できた。更に、麦飯石の配合割合が6未満となり、かつ結合材の配合割合が4を超えると強度は増すが、充分な麦飯石の効果を得ることができない。
【0013】
また、結合材により結合された麦飯石が1,300℃以上の温度により焼結されることにより、焼結体表面が高硬度となり、かつ無数の孔が形成されることによりとき汁との接触面性が大きくなりより一層のミネラル成分の溶出効果を得ることができると共に、遠赤外線を発揮して米を活性化させてふっくらとしたおいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
なお、1,300℃未満の温度により焼結される場合には、焼結体表面が充分な硬度を得ることができず、炊飯器に一緒に入れて炊き上げる際にひび割れが生じたり、たわしなどによって糊状にとき汁を擦りとる際に焼結体表面が削り取られる恐れが生じる。
【0014】
なお、窯業系粘土とは陶器を作成する場合に使用される粘土状の土であり、例えば佐賀県の有田で産出される土や福岡県の小石原で産出される土などであり粒状化された麦飯石を結合し、高温で焼結するのに最も適した結合材となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の炊飯用補助材によれば、麦飯石を微細化して窯業系粘土と混練して高温で焼成することにより表面が非常に硬く、炊飯器に直接に入れて炊いても割れたり、砕けたりすることがなく安全に使用することが可能となる。
【0016】
また、炊き上げた後に焼結体表面に付着した糊状のとき汁などは金属タワシなどによって強く擦ることで容易に取り除くことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した炊飯用補助材の製造工程の一例を示すフローチャート図、図2は、本発明を適用した炊飯用補助材の一例を示す斜視図である。
【0018】
本実施例では、補助材の岩石として大分県の九重山群で採掘された安山斑岩(以下「麦飯石」と称呼する。)を使用した。
この麦飯石の主成分は無水珪酸、酸化アルミニウム、酸化鉄であり、その他に微量ではあるがチタン、マグネシウム、イオウ、カリウム、カルシウム、マンガンの酸化物を含み、微量元素のパナジウム、ジルコニウム、ストロンチウムも僅かながら含んでいる。
【0019】
ここで、掘り出された原石は直径が10cm以上あるために粉砕機によって段階的に荒目、細目、微細目の段階で粉砕される。次に微細目に粉砕された原石と窯業系粘土とを重量比で6:4の割合で調合し、続いて混練し補助部材原料とする。
【0020】
なお、原石が小さく砕かれた状態で破砕機によって微細目に粉砕する場合には、必ずしも荒目、細目、微細目の3段階で粉砕する必要性は無く、細目、微細目の2段階、あるいは微細目による1段階であっても構わない。
【0021】
次に、補助部材原料は真空押出成形機によって成形されるために、成形されるに必要な量ごとの大きさのブロックに仮成型される。
【0022】
更に、ブロックごとに仮成型された補助部材原料は真空押出成形機によって空気を抜いた状態で円柱形状に成形し、続いて50〜80℃の温度により2〜3日の間乾燥させることにより原石と窯業系粘土が互いに馴染み合うことで焼結の際のひび割れを防止することができる。そして乾燥された円柱形状の補助部材原料は、トンネル釜によって5日間かけてゆっくり温度を上げて最高1,300℃(約1.5時間)からゆっくり温度を下げての焼結を行う。
【0023】
そして焼成後の円柱形状の補助部材原料を一定間隔ごとに裁断機によって切断し、切断面周縁の面取りを行い完成させる。
【0024】
前述した製造工程によって完成された炊飯用補助材1は図2に示すように円柱形状に形成され、かつ高温で焼成されることにより、その表面には無数の孔2が形成された構成とされている。
【0025】
この炊飯用補助材1を、炊飯器の内釜の中央に置いて炊くことによって炊飯用補助材1に含まれる麦飯石の主成分である無水珪酸、酸化アルミニウム、酸化鉄によって人体に必要なミネラル(鉄、カルシウム、ケイ酸など)を水中に溶出し、かつ微量元素のバナジウム、ジルコニウム、ストロンチウムによって遠赤外線を放射することで米の芯に遠赤外線が作用することによりふっくらとした炊き上がりとなる。
【0026】
また、麦飯石に含まれる微量元素のバナジウム、ジルコニウム、ストロンチウムには抗酸化力を有するために水が活性化され、この抗酸化力の作用により炊き上げたご飯の鮮度が本発明の炊飯用補助材を使用しない場合に比べて長い時間鮮度を保持すること可能となる。
【0027】
また、炊き上げた後の炊飯用補助材の表面には米のとき汁が固まった状態で付着しているが、高温で補助材原料が焼成されるために、炊飯用補助材1の表面が非常に硬く、タワシなどによって強く擦ることにより容易に取り除くことができ、かつ炊飯用補助材の表面を傷つけることがないために炊飯用補助材を半永久的に繰返し使用することができる。
【0028】
また、本実施例では炊飯用補助材を円柱形状とするものであるが、必ずしも円柱形状とする必要性は無く、例えば角形状、あるいは板形状などいかなる形状であっても構わないが真空押出成形機によって成形し易い形状とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した炊飯用補助材の製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図2】本発明を適用した炊飯用補助材の一例を示す斜視図である。
【図3】従来の炊飯用補助材の一例を示す説明図である。
【図4】従来の炊飯用補助材の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 炊飯用補助材
2 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状化された麦飯石と、
前記麦飯石を結合する結合材を含む焼結体である
炊飯用補助材。
【請求項2】
前記結合材が、窯業系粘土からなる
請求項1記載の炊飯用補助材。
【請求項3】
前記麦飯石と結合材との配合割合が重量比で6対4とされた
請求項1、または2記載の炊飯用補助材。
【請求項4】
前記結合材により結合された麦飯石が1,300℃以上の温度により焼結される
請求項1、2または3記載の炊飯用補助材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−22207(P2010−22207A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183553(P2008−183553)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(503219019)
【Fターム(参考)】