説明

炎感知器

【課題】 炎感知器全体の消費電流の軽減を図ることができる炎感知器を提供することを目的とする。
【解決手段】 内部で駆動電流を消費する赤外線センサ1と、赤外線センサ1の出力信号を増幅する増幅手段4と、増幅手段4で増幅された出力信号に基づいて火災判別を行う火災判別部6と、少なくとも赤外線センサ1に駆動電圧を供給する電源回路32とを備えた炎感知器において、赤外線センサ1に対して直列に基準電位発生素子であるツエナーダイオード8を接続して赤外線センサ1とツエナーダイオード8との駆動電流を共通化したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炎感知器に関し、特に消費電流の軽減を図る炎感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は一例としての従来の炎感知器のセンサ出力を増幅する回路図である。
従来の炎感知器のセンサ出力を増幅する回路は、焦電素子を用いるもの等の赤外線センサ100のセンサ出力がコンデンサ101を介してオペアンプで構成された増幅部102に入力され、その増幅部102で増幅させて図示省略の炎判断手段に取り込み、炎判断手段で炎感知を行うようにしていた。
そして、電源としては、赤外線センサ100にアイドリング電流を流すためと、増幅部102を駆動させるための定電圧電源(図示省略)が設けられ、増幅部102の動作点を決定する基準電位を出力する基準電圧発生回路104が設けられている。
【0003】
また、従来の赤外線検出回路では、赤外線センサの電流信号を電流電圧変換回路で電圧信号に変換し、その電圧信号を電圧増幅回路で増幅させ、判別回路に出力し、判別回路で炎判断を行うようにしている。
そして、電源としては、電圧増幅回路の動作点を設定する基準電圧を出力する基準電圧源が設けられている。また、図示されていないが、赤外線センサと、増幅部102を駆動させるための定電圧電源が設けられているものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−227753号公報(第6頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に示す従来の炎感知器のセンサ出力を増幅する回路や特許文献1に記載の赤外線検出回路では、いずれも定電圧電源により赤外線センサ及び増幅回路に駆動電流を供給しながら、それとは別に増幅回路の動作点を設定するための基準電圧源にも駆動電流が必要となって電流が消費されるため、消費電流を低減できないという問題点があった。
【0005】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、炎感知器全体の消費電流の軽減を図ることができる炎感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炎感知器は、内部で駆動電流を消費する赤外線センサと、該赤外線センサの出力信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段で増幅された出力信号に基づいて火災判別を行う火災判別部と、少なくとも前記赤外線センサに駆動電圧を供給する電源回路とを備えた炎感知器において、前記赤外線センサに対して直列に基準電位発生素子を接続して前記赤外線センサと該基準電位発生素子との駆動電流を共通化したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上説明したように、少なくとも赤外線センサに駆動電圧を供給する電源回路を備え、赤外線センサに対して直列に基準電位発生素子を接続して赤外線センサと基準電位発生素子との駆動電流を共通化したので、赤外線センサの駆動電流を利用することができ、従来の基準電位発生用の電源の消費電流がなくなるため、その分の消費電流が軽減されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明に係る実施の形態1の炎感知器の構成を示すブロック図、図2は同炎感知器の主赤外線センサの出力信号をMPUに取り込むまでの具体的な構成を示す回路図、図3は同炎感知器の赤外線センサの内部構成を示す回路図である。
図3は主赤外線センサ1を示しており、この主赤外線センサ1は駆動電流を消費するものとして内部に赤外線を受けて電荷を発生させる焦電体1aと、焦電体1aの電荷を電圧に変換するゲート抵抗1bと、ゲート抵抗1bの電圧を増幅するFET1cとが組み込まれて構成されている。なお、副赤外線センサ11も同様である。
この主赤外線センサ1は赤外線を受光して電気信号に変換して増幅器2に出力する。この増幅器2及び周波数フィルタ3による増幅部4を介して増幅部42で増幅された信号は下側整流器5により下側整流されてMPU6に入力される。
【0009】
また、この炎感知器は主赤外線センサ1と同様の構成の副赤外線センサ11を備えており、この副赤外線センサ11も同様に赤外線を受光して電気信号を出力し、増幅器12及び周波数フィルタ13による増幅部14を介して増幅部14で増幅された信号は下側整流器15により下側整流されてMPU6に入力される。
MPU6は、詳細には示さないが、下側整流器5、15の出力をA/D変換して取り込んで、炎が発生しているかどうかを判別する。
【0010】
また、MPU6は火災信号発生部31と接続されている。火災信号発生部31は、MPU6からの検出信号を受信して火災信号を発生して出力するためのものである。
32は電源部で、MPU6に対して電源供給すると同時に増幅器2、12にも電源を供給する。33は電源部32に所定の直流電圧を供給する電源兼信号線、34は電源兼信号線33に設けられ、電源供給されていることを監視する回線電圧監視部で、火災の場合に電源兼信号線33の電圧が異常でないことを確認してMPU6に検出信号の出力動作を行わせるようにしている。
【0011】
次に、本発明の実施の形態1に係る炎感知器の主赤外線センサの出力信号をMPUに取り込むまでの具体的な構成について図2に基づいて説明する。
図2において、図示しない光学フィルタによって炎のゆらぎ成分であるCO2共鳴放射の波長帯域(例えば、4.4μm)の信号を出力する主赤外線センサ1の出力を増幅する増幅部4はオペアンプで構成され、炎のゆらぎ成分を通過させる周波数フィルタ3はハイパスフィルタ3aと、ローパスフィルタ3bとからなる。
【0012】
その増幅部4の出力側はコンデンサ8を介して下側整流器5に接続されている。その下側整流器5はオペアンプ5aと、ダイオード5b及び抵抗5cと、コンデンサ8との間に設けられた抵抗5dとで構成されている。
そして、オペアンプ5aの帰還経路にダイオード5bが配置されているため、基準電位の上側はほぼクリップされて高い電圧とはならず、オペアンプ5aは下側波を出力し、MPU6に入力される。
【0013】
電源部32はMPU6に対して電源供給する第1の定電圧IC32aと、増幅器2や主赤外線センサ1等の各部に電源供給する第2の定電圧IC32bとで構成されている。その電源部32には電源兼信号線33より所定の直流電圧が供給されている
また、第2の定電圧IC32bは主赤外線センサ1と主赤外線センサ1に直列に接続される基準電位発生素子であるツエナーダイオード8に接続されている。
この構成により、主赤外線センサ1の出力は、基準電位に重畳され、この基準電位は増幅器2による交流増幅の中点となるように設定されている。また、9はソース抵抗、10はコンデンサである。
なお、基準電位を発生させる基準電位発生素子としてツエナーダイオード8を用いているが、ツエナーダイオード8の代わりにシャントレギュレータを用いることもできる。
【0014】
また、図2は炎感知器のの主赤外線センサの出力信号をMPUに取り込むまでの具体的な構成を示すが、図1に示す副赤外線センサ11にも図2に示す増幅部4及び下側整流器5等と同様の構成の回路が設けられている。
なお、主赤外線センサ1側と相違するのは、副赤外線センサ11側では図示しない光学フィルタが炎の成分の波長帯域より少しずれた波長帯域(例えば、5.0μm)の信号を出力するように構成されている点である。
【0015】
次に、本発明に係る実施の形態1の炎感知器の動作について説明する。
主赤外線センサ1と副赤外線センサ11のセンサ出力は、増幅部4、14で各々増幅された後に、下側整流器5、15を介してMPU6に入力される。
MPU6では、A/D変換されたされた主・副赤外線センサ1、11に基づく下側波の信号をサンプリングする。
そして、MPU6は波形データを作成するために所定の閾値以上のものだけを取り出す波形データ作成処理を行って波形データを作成し、炎が発生したかどうかを波形データに基づいて判断する。
【0016】
このとき、例えば主・副赤外線センサ1、11側に基づく波形データの出力値が所定の比のとき(例えば、主赤外線センサ1の出力値と副赤外線センサ11の出力値が3:1のとき)に火災と判断することしている。
【0017】
以上のように本実施の形態1によれば、電源回路である第2の定電圧IC32bから主赤外線センサ1に供給される電源が基準電位発生素子であるツエナーダイオード8を駆動できるようにしたので、基準電位発生に必要な消費電流がなくなり、その分の消費電流が軽減されることとなる。
【0018】
上記実施の形態1では、主・副赤外線センサ1、11のセンサ出力についてそれぞれMPU22に入力するようにし、火災判別を行うようにしているが、主赤外線センサ1側の出力をMPU22に入力するようにしても閾値を設けることによってMPU22で火災判別を行うことができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る実施の形態1の炎感知器の構成を示すブロック図。
【図2】同炎感知器の主赤外線センサの出力信号をMPUに取り込むまでの具体的な構成を示す回路図。
【図3】同炎感知器の赤外線センサの内部構成を示す回路図。
【図4】従来の炎感知器のセンサ出力を半波整流する回路図。
【符号の説明】
【0020】
1 主赤外線センサ、2 増幅器、3 周波数フィルタ、4 増幅部、5 下側整流器、6 MPU(火災判別部)、8 ツエナーダイオード(基準電位発生素子)、9 ソース抵抗、11 副赤外線センサ、12 増幅器、13 バンドパスフィルタ、14 増幅部、15 下側整流器、32b 第2の定電圧IC(電源回路)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で駆動電流を消費する赤外線センサと、該赤外線センサの出力信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段で増幅された出力信号に基づいて火災判別を行う火災判別部と、少なくとも前記赤外線センサに駆動電圧を供給する電源回路とを備えた炎感知器において、
前記赤外線センサに対して直列に基準電位発生素子を接続して前記赤外線センサと該基準電位発生素子との駆動電流を共通化したことを特徴とする炎感知器。
【請求項2】
前記基準電位発生素子はツエナーダイオード又はシャントレギュレータであることを特徴とする請求項1記載の炎感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133861(P2006−133861A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319257(P2004−319257)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】