説明

炎感知器

【課題】例えばオフィスや自動車内の設置に好適で、構造を簡潔にし小形軽量で安価に製作でき、設置スペ−スに発生した炎を確実に検出するとともに、誤作動を防止し警報の信頼性を得られる炎感知器を提供する。
【解決手段】載置面2に設置可能な感知器筐体1を備える。前記感知器筐体1に、炎に含まれる光線を導入可能な光線導入部13と、前記光線を感知可能な炎感知センサとを設ける。前記炎感知センサに前記光線を導き、かつ炎の感知を介して警報を出力可能にした炎感知器であること。前記感知器筐体1の内部を仕切板を介して上下に区画する。前記仕切板の上側に炎検出室11を区画形成する。前記炎検出室11の内面と仕切板とを光を反射可能に形成する。前記炎検出室11内面の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部13を設ける。前記光線導入部13に入射した光線を炎検出室11の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオフィスや自動車内の設置に好適で、構造を簡潔にし小形軽量で安価に製作でき、設置スペ−スに発生した炎を確実に検出するとともに、誤作動を防止し警報の信頼性を得られるようにした炎感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
小形軽量で所望の位置に設置し得る炎感知器として、電池と、炎に含まれる紫外線を感知する紫外線センサと、報知器と、音声合成回路や炎識別回路、火災識別回路等の各種の電気回路とを、ケ−スに組み込み、炎識別回路では炎に含まれる紫外線を感知したのか、太陽光等の炎以外の紫外線を感知したのかを識別し、災に含まれる紫外線を感知した際、音声によって警告を発するようにし、また火災識別回路はライタ−やマッチ等の炎か、火災による炎かを識別し、火災による炎と判断した際、ブザ−等の火災警報を出力するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記炎感知器は種々の電気回路を組み込んでいるため、構造が複雑で高価になり、また紫外線を導入する開口窓をケ−スの正面だけに設けているため、炎の検出範囲が狭く、炎の検出を広範囲に行なうことができず、またスピ−カが前方に配置されているため、前記警告や警報が一方向に出力され、炎感知器周辺に万遍無く確実に警告することができない、という問題があった。
【0004】
また、他の炎感知器として、部屋の天井にベ−スを取付け、該ベ−スに放物体形状のカバ−を取付け、該カバ−の下端に感知窓を有する凹面鏡を設け、該凹面鏡内の上部に炎検出素子を配置し、炎に含まれる赤外線を凹面鏡内に導入し、かつこれを反射させて炎検出素子に集光し、炎検出素子で炎を検出して警告を発するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記炎感知器は、感知窓がカバ−の下端に設けられているため、炎の検出範囲が感知窓直下周辺に限られ、炎の検出を広範囲に行なうことができず、またカバ−の内側に凹面鏡を形成しているため、カバ−の大形化を助長するとともに、凹面鏡の内部に炎検出素子を表出させているため、炎検出素子に埃等が付着して検出精度が低下する等の問題があった。
【0006】
更に、別の炎感知器として、上面に一または二の開口窓を形成した筐体を設け、前記開口窓に臨ませて内面を反射面とした中空部材を配置し、該中空部材の直下に赤外線センサを配置し、炎に含まれる赤外線を開口窓から中空部材内部に入射し、かつ該赤外線を反射面に反射させて赤外線センサに集光し、該センサで炎を検出するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、前記炎感知器は、筐体の上面に開口窓を形成しているため、炎の検出範囲が筐体より上方位置に限られ、しかも開口窓が一または二つしかないため、炎の検出範囲が更に狭くなって検出精度の信頼性が得難く、更に中空部材の奥部に赤外線センサを配置しているため、反射光の減衰が大きくなって赤外線センサによる感知が低下し、前記検出精度の信頼性低下が助長されるという問題があった。
【0008】
このような問題を解決するものとして、部屋の天井に複雑な反射曲面を有する逆円錐台筒状の第1の反射鏡を配置し、その下端の開口窓に炎の放射光を検出する炎検出素子を配置し、該検出素子の直下に平板状の第2の反射鏡を配置し、遠方の炎の放射光を第1の反射鏡の内側曲面に反射させ、その反射光を第2の反射鏡に反射させて炎検出素子に導き、近くの炎の放射光を第1の反射鏡の外側曲面に反射させ、その反射光を第2の反射鏡に反射させて炎検出素子に導き、広い範囲に亘って炎を検出するようにした炎感知器がある(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
しかし、前記炎感知器は、二つの反射鏡を要する上に、複雑かつ高価な第1の反射鏡を要し、しかも炎検出素子を開口窓に表出して配置するため、炎検出素子に埃等が付着して検出精度が低下する等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3055822号公報
【特許文献2】特開平9−91566号公報
【特許文献3】特許第3425497号号公報
【特許文献4】特開平9−237394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決し、例えばオフィスや自動車内の設置に好適で、構造を簡潔にし小形軽量で安価に製作でき、設置スペ−スに発生した炎を確実に検出するとともに、誤作動を防止し警報の信頼性を得られるようにした炎感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、載置面に設置可能な感知器筐体を備え、該筐体に、炎に含まれる光線を導入可能な光線導入部と、前記光線を感知可能な炎感知センサとを設け、該センサに前記光線を導き、かつ炎の感知を介して警報を出力可能にした炎感知器において、前記感知器筐体の内部を仕切板を介して上下に区画し、該仕切板の上側に炎検出室を区画形成し、該炎検出室の内面と仕切板とを光を反射可能に形成するとともに、前記炎検出室内面の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部を設け、該光線導入部に入射した光線を炎検出室の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入可能にし、感知器筐体内の上部に炎検出室を区画形成し、炎検出室内への埃や異物の侵入を防止し、炎感知センサによる炎の感知の信頼性を図るとともに、前記炎検出室の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部を設けて、炎検出室から炎の発生を広範囲に監視し、炎の検出精度を向上し、また炎検出室に入射した光線を炎検出室の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入し、このための専用の反射板を要することなく部品点数を低減し構成を簡潔にして、炎を確実に検出し得るようにしている。
【0013】
請求項2の発明は、前記仕切板の中央に炎感知センサを配置し、炎検出室内に入射した光線を炎感知センサに確実に導入し、炎を確実に感知し得るようにしている。
請求項3の発明は、前記仕切板の下側に機器室を区画形成し、該機器室に警報を出力可能なスピ−カと電源を配置し、感知器筐体の重心を低位置に位置付け、感知器筐体を安定して設置し得るようにしている。
請求項4の発明は、前記感知器筐体を円錐形若しくは円錐台形状または角錐若しくは角錐台形状に形成し、感知器筐体の設置の安定性を増進し得るとともに、感知器筐体の美観を向上するようにしている。
ようにしている。
【0014】
請求項5の発明は、前記感知器筐体の底部を載置面に離間して設置可能に設けるとともに、前記感知器筐体の底部に複数の小孔を設け、該小孔を介し前記スピ−カの音声を発信可能にし、感知器筐体の底部からスピ−カによる警告メッセ−ジを発信し得るようにしている。
請求項6の発明は、前記炎感知センサは、炎に含まれる紫外線を感知可能であり、炎に殆ど含まれる紫外線を感知し、炎の感知を正確に行うようにしている。
請求項7の発明は、前記炎感知センサは、地表に到達しない太陽光に含まれる紫外線を感知可能であり、特定波長の紫外線を感知させて、炎に含まれる紫外線以外の太陽光の感知による誤作動ないし誤報を防止し得るようにしている。
【0015】
請求項8の発明は、前記光線導入部を、多数の透孔またはスリットを形成した透光板、若しくは前記光線を透過可能な板体、または開口部で形成し、前記透光板、若しくは板体の場合は、炎検出室内への埃や異物の侵入を防止し、炎感知センサによる炎の感知の信頼性を向上するとともに、開口部の場合は構成が容易になり、製作の容易化を図れるようにしている。
請求項9の発明は、前記炎検出室内の炎感知センサの直上に、前記光線導入部に臨ませて反射板を配置し、光線導入部から炎検出室に入射する光線を炎感知センサに確実に導入し得るようにしている。
請求項10の発明は、前記反射板は略円錐若しくは角錐形またはV字形断面であり、炎検出室に入射する光線を炎感知センサに確実に導入し得るようにしている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、感知器筐体の内部を仕切板を介して上下に区画し、該仕切板の上側に炎検出室を区画形成し、該炎検出室の内面と仕切板とを光を反射可能に形成するとともに、前記炎検出室内面の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部を設け、該光線導入部に入射した光線を炎検出室の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入可能にしたから、感知器筐体内の上部に炎検出室を区画形成し、炎検出室内への埃や異物の侵入を防止し、炎感知センサによる炎の感知の信頼性を図れるとともに、前記炎検出室の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部を設けて、炎検出室から炎の発生を広範囲に監視し、炎の検出精度を向上し、また炎検出室に入射した光線を炎検出室の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入し、このための専用の反射板を要することなく部品点数を低減し構成を簡潔にして、炎を確実に検出することができる。
【0017】
請求項2の発明は、前記仕切板の中央に炎感知センサを配置したから、炎検出室内に入射した光線を炎感知センサに確実に導入し、炎を確実に感知することができる。
請求項3の発明は、前記仕切板の下側に機器室を区画形成し、該機器室に警報を出力可能なスピ−カと電源を配置したから、感知器筐体の重心を低位置に位置付け、感知器筐体を安定して設置することができる。
請求項4の発明は、前記感知器筐体を円錐形若しくは円錐台形状または角錐若しくは角錐台形状に形成したから、感知器筐体の設置の安定性を増進するとともに、感知器筐体の美観を向上することができる。
【0018】
請求項5の発明は、前記感知器筐体の底部を載置面に離間して設置可能に設けるとともに、前記感知器筐体の底部に複数の小孔を設け、該小孔を介し前記スピ−カの音声を発信可能にしたから、感知器筐体の底部からスピ−カによる警告メッセ−ジを発信することができる。
請求項6の発明は、前記炎感知センサは、炎に含まれる紫外線を感知可能であるから、炎に殆ど含まれる紫外線を感知し、炎の感知を正確に行うことができる。
請求項7の発明は、前記炎感知センサは、地表に到達しない太陽光に含まれる紫外線を感知可能であるから、特定波長の紫外線を感知させ、炎に含まれる紫外線以外の太陽光の感知による誤作動ないし誤報を防止することができる。
【0019】
請求項8の発明は、前記光線導入部を、多数の透孔またはスリットを形成した透光板、若しくは前記光線を透過可能な板体、または開口部で形成したから、前記透光板、若しくは板体の場合は、炎検出室内への埃や異物の侵入を防止し、炎感知センサによる炎の感知の信頼性を向上するとともに、開口部の場合は構成が容易になり、製作の容易化を図ることができる。
請求項9の発明は、前記炎検出室内の炎感知センサの直上に、前記光線導入部に臨ませて反射板を配置したから、光線導入部から炎検出室に入射する光線を炎感知センサに確実に導入することができる。
請求項10の発明は、前記反射板は略円錐若しくは角錐形またはV字形断面であるから、炎検出室に入射する光線を炎感知センサに確実に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図で、炎の検出状況を示している。
【0021】
【図5】本発明の第2の実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図6のC−C線に沿う断面図である。
【図8】図6のD−D線に沿う断面図である。
【0022】
【図9】本発明の第3の実施形態に適用した感知器筐体の平面図である。
【図10】図9のE−E線に沿う断面図である。
【図11】図10の要部を拡大して示す断面図である。
【0023】
【図12】本発明の第4の実施形態に適用した感知器筐体の平面図である。
【図13】図12のF−F線に沿う断面図である。
【図14】図12のG−G線に沿う断面図である。
【0024】
【図15】本発明の第5の実施形態に適用した感知器筐体の平面図である。
【図16】図15のH−H線に沿う断面図である。
【図17】図15のI−I線に沿う断面図である。
【0025】
【図18】前記第5の実施形態に適用した感知器筐体の機器室部の平面図である。
【図19】図17の要部を拡大して示す断面図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に適用した感知器筐体の正面図である。
【図21】図20のJ−J線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図示の実施形態について説明すると、図1乃至図4において1はオフィス、会議室、劇場、車室等の適所の平坦な載置面2に載置した合成樹脂製または金属製の感知器筐体で、底辺の長さ約70mm、高さ約80mmの正四角錐形状に樹脂成形またはダイカスト成形されている。
前記感知器筐体1の底部は底板3で閉塞され、該底板3の内側上方に略中空の機器室4を区画形成している。
【0027】
前記底板3は載置面2から離間して配置され、その板面にスピ−カ孔である多数の小孔5が形成され、後述する警告メッセ−ジを外部へ発信可能にしている。図中、6は感知器筐体1の底部四隅に設けた脚で、載置面2に立設可能にしている。
【0028】
前記機器室4に、音声回路に記録されたデ−タから音声信号を発生させ、その音声信号を増幅して警告メッセ−ジを出力するスピ−カ7と、前記音声回路と後述する炎感知センサの駆動回路、および各種機器と電気回路に給電するDCまたはAC電源、実施形態ではDC電源である単三電池二本8と、前記音声回路と炎感知センサの駆動回路を備えた基板9とを、上下に離間して配置している。
【0029】
このうち、前記スピ−カ7は大きな内空面積を得られる機器室4の下部位置に配置され、その大形大能力化を可能にし、該スピ−カ7の配置によって感知器筐体1の安定化を図るとともに、その拡声部を下向きに配置して、警告メッセ−ジを警報として感知器筐体1の下部から外側へ発信可能にしている。
【0030】
前記音声回路には、マイクロフォン(図示略)を介して、所望の警告メッセ−ジを所望の言語で音声入力可能にされ、その蓄積デ−タの中から所望の警告メッセ−ジを選択的に出力可能にしている。前記警告メッセ−ジは、例えば「ここは禁煙です。」、「煙草はご遠慮下さい。」、「ここは火気厳禁です。」等が各種の言語で記録されている。
【0031】
前記スピ−カ7の上方に二本の電池8が水平に配置され、該電池8の上方に基板9が配置されている。前記基板9は機器室4の上部を略閉塞可能な正方形に形成され、該基板9の上方に機器室4の上部を区画する仕切板10が配置されている。
前記仕切板10は感知器筐体1の上部位置に配置され、その上方の前記筐体1内部に炎検出室11を区画形成している。
【0032】
前記炎検出室11は、感知器筐体1の上部と仕切板10とで正四角錐に区画形成され、その内面を平滑に形成しており、このうち仕切板10の中央に炎を検出可能な公知の炎感知センサ12が設けられている。
この場合、上記内面を平滑面の代わりに、光を乱反射可能な凹凸面にしたり、多数の凹部または凸部を散点模様に配置したり、樹脂面の場合はシボ加工する等してもよい。
前記炎感知センサ12は、炎検出室11に入射する炎の特定の光線を感知して作動し、その検出信号を前記音声回路に出力可能にしている。
【0033】
実施形態の炎感知センサ12は紫外線センサを使用し、炎に殆ど含まれる紫外線を感知可能にしている。
その際、例えば地表に到達しない太陽光に含まれる特定波長(200〜280nm)の紫外線(UV−C)を感知可能な紫外線センサを、炎感知センサ12として使用すれば、太陽光に含まれる他の紫外線の感知による誤作動を防止し、炎感知の正確性と信頼性を得られる。
【0034】
前記炎検出室11の中高位置周面に光線導入部13が設けられ、該導入部13として、実施形態では前記位置周面に微小な透孔またはスリットを多数形成した透光板14を配置している。
この場合、前記光線導入部13として、前記透光板14の代わりに、前記紫外線を透過可能な透明なガラス板若しくは合成樹脂板を使用しても良く、そのようにすれば光線導入部13ないし炎検出室11の密閉性が保たれ、炎感知センサ12に対する埃や異物の付着を免れ、前記センサ12による感知精度の信頼性が向上する。
【0035】
この他、図中15a,15bは感知器筐体1周辺または遠方に位置するライタ−で、その炎16a,16bが光線導入部13位置より上方または下方に位置している。
【0036】
このように構成した炎感知器を製作する場合は、感知器筐体1を合成樹脂または亜鉛含金ダイカスト等の金属で正四角錐形状に成形し、その上部周面に光線導入部13を設ける
実施形態の光線導入部13は、感知器筐体1の周面を適宜な支持枠(図示略)を残して開口し、該支持枠に微小な透孔またはスリットを多数形成した透光板14を取付けて形成している。
【0037】
次に、前記光線導入部13の直下に、炎感知センサ12を取付けた仕切板10を配置し、該仕切板10を介して感知器筐体1の上部に略密閉状態の炎検出室11を区画し、この下方に広い機器室4を区画形成する。
【0038】
そして、機器室4の上部に音声回路と炎感知センサ12の駆動回路を備えた基板9を取付け、該基板9と炎感知センサ12を配線し、前記基板9の直下にDC電源である二本の電池8を配置し、該電池8の直下にスピ−カ7を下向きに取付け、これらを配線後、感知器筐体1の底部に底板3を取付け、機器室4の底部を閉塞する。
【0039】
このように前記炎感知器は、炎に含まれる光線を炎感知センサ12側に反射させる専用の反射板を要しないから、その分部品点数が低減して構成が簡単になり、これを容易かつ安価に製作し得る。
【0040】
こうして製作した炎感知器は図1のようで、底辺の長さ約70mm、高さ約80mmの正四角錐形状に形成され、その上部周面の光線導入部13は略密閉され、底部は底板3によって略密閉されている。したがって、光線導入部13や小孔5からの埃や異物の侵入が防止され、前記侵入に伴う各種機器や電気回路の故障、炎感知センサ12の作動不良や感度の低下を防止し得る。
【0041】
次に、前記炎感知器を使用する場合は、オフィス、会議室、劇場、車室等の適所の載置面2に脚6を介して立設する。この状況は図1のようである。
この場合、前記炎感知器は小形軽量であるから、所望の位置に容易に設置し得、設置後は設置環境に違和感なく溶け込み、周辺の体裁を損なうことがない。
【0042】
このような使用状況の下で、例えば炎感知器の近辺で、かつ光線導入部13の上方位置でライタ−15aが使用され、炎16aが生成されると、該炎16aに含まれる特定の光線、実施形態では紫外線が、光線導入部13の微小な透孔またはスリットを介して炎検出室11に入射する。
前記入射光線は入射面と対向する炎検出室11内の内面に反射し、その反射光が仕切板10の上面に反射して入射面側の内面に反射し、この反射光が炎感知センサ12に入射して紫外線を感知する。この状況は図4のようである。
【0043】
このため、炎感知センサ12が作動し、紫外線の感知ないし検出信号を音声駆動回路に入力し、音声回路に記録されたデ−タから音声信号を発生させ、その音声信号を増幅回路で増幅し、感知器筐体1の底部のスピ−カ7から警告メッセ−ジを外部に発信する。
前記警告メッセ−ジは予めマイクロフォン(図示略)を介して、所望の警告メッセ−ジを所望の言語で音声回路に音声入力され、その蓄積デ−タの中から所望の警告メッセ−ジを選択的に出力される。前記警告メッセ−ジは、例えば「ここは禁煙です。」、「煙草はご遠慮下さい。」、「ここは火気厳禁です。」等が各種の言語で用意されている。
したがって、前記警告メッセ−ジによって、ライタ−15aの使用者は炎感知器を設置した場所が禁煙ないし火気厳禁であることを知得する。
【0044】
一方、例えば炎感知器の遠方で、かつ光線導入部13の下方位置でライタ−15bが使用され、炎16bが生成されると、該炎16bに含まれる特定の光線、実施形態では紫外線が、光線導入部13の微小な透孔またはスリットを介して炎検出室11に入射し、これが入射面と対向する炎検出室11内の内面に反射し、その反射光が炎感知センサ12に入射され、該センサ12が紫外線を感知する。この状況は図4のようである。前記紫外線感知後の作動状況は、前述と同様である。
【0045】
このように前記炎感知器は、炎の発生位置が感知器からの遠近位置、または光線導入部13からの上下位置に拘わらず、炎に含まれる紫外線を光線導入部13から炎検出室11に導入し、該炎検出室11の内面で反射して炎感知センサ12に入射させ、紫外線を感知させる。
また、炎感知器の上部周面の全域に光線導入部13を配置しているから、光線導入部13を通して全ての方向の炎を炎検出室11に導入し、炎感知センサ12で紫外線を感知し得る。
【0046】
この場合、前記炎感知センサ12として、例えば地表に到達しない太陽光に含まれる特定波長(200〜280nm)の紫外線(UV−C)を感知可能な紫外線センサを使用すれば、太陽光に含まれる他の紫外線の感知による誤作動を防止し、炎の感知の正確性と信頼性を得られる。
なお、前記炎感知器の構造は、炎に含まれる紫外線の感知の他に、炎に含まれる赤外線の感知にも適用することができ、その場合は炎感知センサ12として、紫外線センサの代わりに赤外線センサを用いることで対応し得る。
【0047】
また、光線導入部13を前記透光板14の代わりに、前記紫外線を透過可能な透明なガラス板若しくは合成樹脂板を使用しても良く、そのようにすれば光線導入部13ないし炎検出室11の密閉性が保たれ、炎感知センサ12に対する埃や異物の付着を免れ、前記センサ12による感知精度の信頼性が向上する。
更に、光線導入部13を前記透光板14の代わりに、支持枠(図示略)を残して開口するだけでも良く、そのようにすれば炎の光線を減衰させることなく、炎感知センサ12に入射させ感知精度を向上し得る。
【0048】
図5乃至図20は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図5乃至図8は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は感知器筐体1を正四角錐形状の代わりに円錐台形状に形成し、その上部の炎検出室11の周面に光線導入部13を円錐面状に形成し、種々の方向の炎を炎検出室11に導入可能にし、炎検出室11内の反射光を該室11の中央に集光させ、炎感知センサ12への入射を促し、炎の感知を確実に行なうようにしている。
この実施形態の炎感知器の使用法および動作は前述の実施形態と同様である。
なお、感知器筐体1を円錐台形状の代わりに、円錐形状または角錐台形状に形成しても良く、そのようにすれば美観の向上や炎感知器の多様性が得られる。
【0049】
図9乃至図11は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は感知器筐体1の上部に炎検出室11を形成した検出筒15を突設し、該検出筒15の周面に光線導入部である複数の開口部13を設けている。
前記炎検出室11内の炎感知センサ12の直上に、円錐形または多角錐形の反射板16を下向きに配置し、開口部13に入射した炎16からの光線を反射板16の錐面に反射させ、その反射光を直接または仕切板10の上面に反射させて、炎感知センサ12に入射し、炎16を感知するようにしている。この状況は図11のようである。
【0050】
すなわち、この実施形態は炎検出室11を感知器筐体1の上部に設け、炎16の監視ないし検出範囲を広げるとともに、複数の開口部13から炎16に含まれる光線を入射させ、この光線を炎検出室11に設けた反射板16に反射させて、周囲の炎を精密に感知させるとともに、前記光線の減衰を可及的に抑えて炎感知センサ12に確実に入射し、炎16を精度良く感知し得るようにしている。
また、電池8と基板9を立位姿勢で配置し、感知器筐体1の小形軽量化を図るようにしている。
【0051】
図12乃至図14は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態は感知器筐体1を円筒状に形成し、広い炎検出室11を確保するとともに、その上面にスピ−カ孔である小孔5を複数設け、その直下にスピ−カ7を配置して、警告メッセ−ジを上向きに発信可能にしている。
【0052】
前記感知器筐体1の周面に、前記実施形態よりも長尺の複数の開口部3を設け、また炎感知センサ12の直上に、円錐形または多角錐形の反射板16を下向きに配置し、開口部13に入射した炎16からの光線を反射板16の錐面に反射させ、その反射光を直接または仕切板10の上面に反射させて、炎感知センサ12に入射し、炎16を感知するようにしている。
そして、機器室4の下部に二本の電池8を配置し、その直上に円形の基板9を配置し、炎感知器の設置の安定性を図るようにしている。その他の炎感知器の使用および作動は、第3の実施形態と実質的に同一である。
【0053】
図15乃至図19は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は感知器筐体1を略四角柱状に形成し、その上部の薄肉板製の方物体の内部に炎検出室11を設け、その周面に複数の透光板14または開口部を配置し、該透光板14または開口部に臨ませて略楕円錐状の反射板16を配置し、透光板14に入射した炎16からの光線を反射板16の凹状錐面に反射させ、その反射光を直接または仕切板10の上面に反射させて、炎感知センサ12に集光し、炎16を感知するようにしている。
また、感知器筐体1の幅広な前面に複数の小孔5を設け、その内側にスピ−カ7を配置し、警告メッセ−ジを前方に発信可能にしている。その他の炎感知器の使用および作動は、前述の実施形態と実質的に同一である。
【0054】
図20および図21は本発明の第6の実施形態を示し、この実施形態は感知器筐体1を略薄肉板製の四角柱状に形成し、上部の炎検出室11の前後面に開口部13を設け、該開口部13に臨ませてV字形断面の反射板16を配置し、また炎検出室11の底部に炎感知センサ12を挟んで略V字形断面の仕切板10を対向して配置している。
そして、開口部13に入射した炎16からの光線を反射板16の錐面に反射させ、その反射光を直接または仕切板10の上面に反射させて、炎感知センサ12に入射し、炎16を感知するようにしている。この状況は図21のようである。
また、感知器筐体1の幅広な前面に複数の小孔5を設け、その内側にスピ−カ7を配置し、警告メッセ−ジを前方に発信可能にしている。その他の炎感知器の使用および作動は、前述の実施形態と実質的に同一である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
このように本発明の炎感知器は、構造を簡潔にし小形軽量で安価に製作でき、設置スペ−スに発生した炎を確実に検出するとともに、誤作動を防止し警報の信頼性を得られるから、例えばオフィスや自動車内の設置に好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 感知器筐体
2 載置面
4 機器室
5 小孔
7 スピ−カ
8 電源(電池)
【0057】
10 仕切板
11 炎検出室
12 炎感知センサ
13 光線導入部
16,16a,16b 炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に設置可能な感知器筐体を備え、該筐体に、炎に含まれる光線を導入可能な光線導入部と、前記光線を感知可能な炎感知センサとを設け、該センサに前記光線を導き、かつ炎の感知を介して警報を出力可能にした炎感知器において、前記感知器筐体の内部を仕切板を介して上下に区画し、該仕切板の上側に炎検出室を区画形成し、該炎検出室の内面と仕切板とを光を反射可能に形成するとともに、前記炎検出室内面の中間部全域またはその複数箇所に光線導入部を設け、該光線導入部に入射した光線を炎検出室の内面または仕切板の反射を介して炎感知センサに導入可能にしたことを特徴とする炎感知器。
【請求項2】
前記仕切板の中央に炎感知センサを配置した請求項1記載の炎感知器。
【請求項3】
前記仕切板の下側に機器室を区画形成し、該機器室に警報を出力可能なスピ−カと電源を配置した請求項1記載の炎感知器。
【請求項4】
前記感知器筐体を円錐形若しくは円錐台形状または角錐若しくは角錐台形状に形成した請求項1または請求項3記載の炎感知器。
【請求項5】
前記感知器筐体の底部を載置面に離間して設置可能に設けるとともに、前記感知器筐体の底部に複数の小孔を設け、該小孔を介し前記スピ−カの音声を発信可能にした請求項3記載の炎感知器。
【請求項6】
前記炎感知センサは、炎に含まれる紫外線を感知可能である請求項1記載の炎感知器。
【請求項7】
前記炎感知センサは、地表に到達しない太陽光に含まれる紫外線を感知可能である請求項1記載の炎感知器。
【請求項8】
前記光線導入部を、多数の透孔またはスリットを形成した透光板、若しくは前記光線を透過可能な板体、または開口部で形成した請求項1、6または7記載の炎感知器。
【請求項9】
前記炎検出室内の炎感知センサの直上に、前記光線導入部に臨ませて反射板を配置した請求項1記載の炎感知器。
【請求項10】
前記反射板は略円錐若しくは角錐形またはV字形断面である請求項1記載の炎感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−58945(P2012−58945A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200590(P2010−200590)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(592049564)理研精工株式会社 (9)
【Fターム(参考)】