説明

炎症におけるIL−18結合性タンパク質の使用

本発明は、炎症性疾患における、IL−1拮抗剤/阻害剤とIL−18結合性タンパク質との併用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患(たとえば関節リウマチ)におけるインターロイキン−1拮抗剤/阻害剤およびインターロイキン−18結合性タンパク質(IL−18BP)の併用に関する。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患および炎症性疾患は、いくつかの炎症誘発性(pro-inflammatory)サイトカイン(TNF、IL−1、IL−6、IL−12、IL−17、IL−18、IL−23およびインターフェロンγ(IFN−γ)が挙げられる)によって媒介される。これらのサイトカインの1種類以上をブロックすることが、これらの疾患の経過および症状に対して有意な効果を有し得る。
【0003】
関節リウマチは、関節(通常、手および足のものを含む)が炎症を起こし、関節の腫脹、痛み、そして多くの場合、破壊をもたらす炎症性の関節炎である。世界的には、関節リウマチは、民族や出生国とは無関係に、人口の約1%に発症しており、女性は男性よりも2〜3倍高い頻度で罹患している。通常、関節リウマチは、25〜50歳の年齢で最初に現れるが、あらゆる年齢で起こり得る。関節リウマチは、小児にも起こり得、この場合、該疾患は、若年性関節リウマチと呼ばれ、症状および予後は、いくぶん異なる。
【0004】
関節リウマチは、自己免疫疾患と考えられている。免疫系の構成成分が関節の内側を覆う軟組織を攻撃し、身体の多くの他の部分(たとえば、血管および肺など)の結合組織をも攻撃し得る。最終的に、関節の軟骨、骨および靱帯が破壊され、関節において変形、不安定性および瘢痕形成(scarring)が引き起こされる。関節は、非常に変動的な速度で崩壊する。
【0005】
いったん自己反応性T細胞が、外来抗原との接触により「抗原刺激を受ける(primed)」と、これらは、TNF、インターロイキン−1(IL−1)および他の免疫細胞を刺激して関節を攻撃させる他の物質を含む数種類のサイトカインを放出する。
【0006】
一般に炎症における、特にRAにおけるIL−1の中心的な役割により、現在、IL−1に対する拮抗薬の開発への取り組みに投資されている。
【0007】
IL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)は、IL−1分子の天然に存在する可溶性形態であり、これは、両IL−1レセプターに結合するが、生物学的効果を誘導しない。したがって、両IL−1バリアントの天然の活性と拮抗する。IL−1Raは、インビボでのIL−1活性の天然調節因子としての機能を果たすと考えられている。IL−1レセプター拮抗剤および補体レセプター拮抗剤の概説については、Mantovaniら(18)を参照のこと。
【0008】
Kineret−アナキンラ(anakinra)は、ヒトインターロイキン−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)の組換え型である。Kineretは、関節リウマチ(RA)の治療に承認されている。これは、炎症誘発性サイトカインIL−1αおよびβ(これらは、炎症部位で免疫細胞および局所組織細胞によって放出される)の競合的阻害剤として作用する。Kineretは、炎症プロセスに起因する軟骨および骨に対する損傷を予防することが示された臨床試験に基づいて、関節リウマチの治療に承認された。
【0009】
IL−1レセプターはクローン化されており、IL−1の拮抗剤、すなわち可溶性IL−1レセプター1および2型として、関節リウマチ、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および他の炎症性疾患の治療の可能性について開発中である(Biotechnology 編集 Rehm, Reed, Puhler および Stadler 第5a巻、第l50頁)。
【0010】
インターロイキン−18結合性タンパク質(IL−18BP)は、IL−18の特異的阻害剤(16)であり、関節炎と関連し(19)、多くの他の炎症性および/または自己免疫疾患と関連する(20、21、22)。IL−18BPは、いくつかの実験的自己免疫疾患の重篤度を低減した(19)。したがって、IL18BPは、天然の抗炎症性および免疫抑制性分子の機能を果たし、炎症中の高IL18レベルの効果を中和すると考えられている。IL−18BPは、IFN−γによって、IL−18によるIFN−γの誘導を調節する負のフィードバックループの一部として特異的に誘導される。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−1拮抗剤/阻害剤との、IL−18結合性タンパク質(IL−18BP)、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩の使用に関する。
【0012】
より詳しくは、IL−1の拮抗剤/阻害剤は、カスパーゼ−1(ICE)阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、IL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)およびIL−1結合性タンパク質、またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体、またはアンチセンスmRNA、可溶性IL−1レセプター、およびIL−1R抗体から選択される。
【0013】
本発明の好ましい実施態様において、IL−1拮抗剤はIL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)であり、より好ましくは、Kineretである。
【0014】
本発明の別の実施態様において、IL−18BPはペグ化されており、免疫グロブリンの全部または一部に、好ましくは免疫グロブリンの定常領域に融合させており、ここで、該融合タンパク質は、なおIL−18に結合することができる。より具体的には、免疫グロブリンは、IgG1またはIgG2アイソタイプであり得る。
【0015】
ある側面において、本発明は、IL−18BPとIL−1拮抗剤/阻害剤の同時または逐次使用に関する。
【0016】
別の側面において、本発明は、約0.0001〜10mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量でのIL−18BPの使用に関する。好ましくは、本発明は、約0.1〜1000mg/kg体重または1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量でのIL−18BPの使用に関する。
【0017】
IL−1拮抗剤/阻害剤は、本発明にしたがって、0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重(or body weight)または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約0.5〜2mg/kg体重または約1mg/kg体重から選択される量で、好ましくは約1mg/kg体重で使用する。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤は、皮下投与、筋肉内投与のために、毎日、1週間に3回および/または1週間に1回使用され得る。
【0019】
本発明は、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−1の拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクター、およびIL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターの使用を提供する。かかる医薬は、たとえば、遺伝子治療に使用され得る。
【0020】
加えて、本発明は、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導または増強するためのベクター、およびIL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導または増強するためのベクターの使用を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞、およびIL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞の使用が提供される。
【0022】
加えて、本発明は、治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、好ましくはIL−1Ra(たとえば、Kineretなど)、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩、および治療有効量のIL−18BP、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0023】
また、本発明によれば、治療有効量のIL−1の拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクターと、IL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターとを含有する医薬組成物が提供される。
【0024】
本発明はまた、治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターと、IL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターとを含有する医薬組成物を提供する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞と、IL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞とを含有する医薬組成物を提供する。
【0026】
加えて、本発明は、阻害有効量のIL−18BP、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩、およびIL−1拮抗剤/阻害剤、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩を、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防方法を提供する。
【0027】
本発明によれば、IL−1の拮抗剤/阻害剤は、たとえば、カスパーゼ−1(ICE)阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤(IL−1Ra、好ましくはKineretなど)、または野生型IL−1結合性タンパク質と本質的に同じ活性を有するそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体であり得る。他のIL−1阻害剤は、たとえば、IL−1アンチセンスmRNA、可溶性IL−1レセプターおよびIL−1抗体であり得る。
【0028】
本発明によれば、提供する方法におけるIL−18BPは、ペグ化されていてもよく、および/または別のタンパク質、たとえば免疫グロブリンに、好ましくは、免疫グロブリンのIgG1アイソタイプまたはその断片、たとえば定常部分に融合させてもよい。
【0029】
加えて、本発明の治療方法は、IL−18BPとIL−1拮抗剤/阻害剤の同時または逐次の共投与を想定する。
【0030】
より具体的には、本発明の方法は、約0.0001〜10mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量で投与されるIL−18BPを提供する。
【0031】
また、IL−18BPは、約0.1〜1000mg/kg体重または1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量で投与され得る。
【0032】
本発明の方法によれば、IL−1拮抗剤/阻害剤は、0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重(or body weight)または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約0.5〜2mg/kg体重または約1mg/kg体重から選択される量で投与され得、好ましくは約1mg/kg体重で投与され得る。
【0033】
本発明のある側面において、IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤は、毎日、1週間に3回および/または1週間に1回、皮下投与および/または筋肉内投与される。
【0034】
加えて、本発明は、阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクター、およびIL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターを、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防方法を提供する。本発明による方法の1つは、たとえば、遺伝子治療であり得る。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導および/または増強するためのベクター、ならびにIL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターを、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防方法を提供する。
【0036】
また、本発明は、阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞、およびIL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞を、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患、たとえば、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショック、変形性関節症および、好ましくは関節リウマチなどの治療および/または予防方法を提供する。
【0037】
本発明を、添付の図面を参照しながら、単に例示のために本明細書において記載する。次に、詳細な図面に特に関連して、示した特定の内容は、例示のため、および本発明の好ましい実施態様の実例の検討を目的とするにすぎず、本発明の原理および概念的側面の最も有用かつ容易に理解される記載と考えられるものを提供する理由で示したことを強調する。これに関連し、本発明の構造的詳細を、本発明の基本的な理解に必要とされる以上に詳細に示す試みはしておらず、本記載内容は、図面と合わせると、本発明のいくつかの態様がどのようにして実際に具現化され得るかが当業者に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、炎症性疾患の治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−18結合性タンパク質(IL−18BP)、またはそのムテイン、機能性誘導体、活性画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームおよび塩と、IL−1拮抗剤/阻害剤との併用に関する。
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載された詳細事項または実施例に例示された詳細事項に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施態様が可能であり、または種々の様式で実施もしくは実行することが可能である。また、本明細書で使用する表現および専門用語は、説明を目的としたものにすぎず、限定するものとみなされるべきでないことを理解されたい。
【0040】
本発明は、IL−1は、インターフェロンγによるIL−18BPの誘導に必須であるという、予期しない所見に基づく。かかる驚くべき結果に鑑み、本発明者らは、IL−1の阻害を標的化する目的の薬物療法を受けている炎症性疾患の患者にIL−18BPを補給することの必要性を考え出した。
【0041】
本発明者らは、IFN−γの免疫調節活性の多くがIL−1の存在に依存することを見出した。したがって、IFN−γ活性の効率的な誘導のためには、IL−1αおよびIL−1βのいずれかが存在しなくてはならない。本発明者らは、IL−1RaまたはIL−1に対する抗体により内因性IL−1をブロックすると、IFN−γ誘導性の活性の有意な低下がもたらされることを見出した。IFN−γの活性のほとんどは炎症誘発性であり、IL−1Raによるその阻害は、患者にとって有益である。しかしながら、抗炎症性であるIFN−γの活性が少なくとも1つあり、それはIL−18BPの誘導である。実際、得られた実験データは、IL−1Raもまた、IFN−γによるIL−18BPの誘導をブロックしたことを示す。
【0042】
したがって、本発明は、抗炎症性剤としてのIL−1拮抗剤/阻害剤の有効性を改善するために、IL−1拮抗剤/阻害剤での治療にIL−18BPを補足することに関する。
【0043】
当初は抗ウイルス剤として見出されたため(1)、IFN−γは、多形質発現性の免疫学的機能を有するサイトカインとして特徴付けされた。IFN−γは、主に、活性化T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞によって分泌され、マクロファージ活性化の促進、抗ウイルス免疫および抗菌性免疫の媒介、抗原提示の増強、先天性免疫系の活性化の組織化(orchestrate)、リンパ球/内皮相互作用の調整、Thl細胞媒介性応答に対するThl/Th2バランスの調節、および細胞増殖およびアポトーシスの制御を行い得る(2,3)。概して、IFN−γ作用の機序は、充分確立されている。その細胞表面レセプター、シグナル伝達経路およびIFN誘導性の遺伝子は、充分特性付けされている(4,5,6)。
【0044】
IFN−γによって誘導される生物学的応答および遺伝子は、TNFおよびIL−1によって増大する。かかる相乗効果は、たとえば、誘導性NOシンターゼ(7)、ケモカイン(8)接着分子ELAM−1およびICAM−1(9)、IP−10(10)、TLR−2および−4(11)ならびにMHCクラスII抗原(12)の誘導について報告された。相乗効果は、プロモーターレベルで、GAS(IFN−γ活性化応答エレメント)とTNF/IL−1活性化NF−κB応答エレメントとの協同性と関連した(13)。
【0045】
IL−1は、多くの細胞型によって内生的に産生され、媒体(medium)に分泌されるか(IL−1β)または細胞表面上に存在するか(IL−1α)のいずれかである。対照的に、TNFは、免疫細胞によってのみ産生される。その結果、IFN−γの生物学的活性を報告する研究の多くは、実際には、IL−1の存在下で行なわれた。
【0046】
これまでに、IFN−γの生物学的活性を意図的にIL−1の非存在下で測定した実験データは存在しない。本発明者らは、ここに、IFN−γのいくつかの生物学的活性を、IL−1に対する抗体またはIL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)(これは、IL−1レセプターに結合し、IL−1に応答するのをブロックする)のいずれかの存在下で測定した。意外なことに、IL−1は、IFN−γ作用を相乗的に増大させるだけでなく、IFN−γの多くの生物学的活性およびIFN−γによる遺伝子の誘導に必須であることがわかった。たとえば、本発明者らが、ヒトWISH細胞を用いて水疱性口内炎ウイルスに対するIFN−γの抗ウイルス性活性を測定したとき、IL−1の非存在下では、IFN−γの抗ウイルス効力は約90%低下することがわかった(図1)。したがって、IL−1活性の非存在下では、IFN−γの比活性は、大きさが2桁低下し、107IU/mgから105IU/mgとなった。これは、IL−1の非存在下では、IFN−γは、IFN−α/β(I型INF)(その比活性は108IU/mgである)よりも1000倍効力が小さいことを意味する。対照的に、IL−1Raの存在下では、I型INFの抗ウイルス性活性の低下は見られなかった。
【0047】
IFN−γがいくつかの遺伝子(IL−18BP、IRF−1、CIITAおよびHLA−DRが挙げられる)を誘導する能力に対するIL−1Raの効果を、さらに詳しく調べた。この目的のため、特異的プライマーを使用し、β−アクチンとの比較を行なう半定量的RT−PCRを用いた。観察された結果(図2)は、IL−1RaによりIL−1活性をブロックすると、IFN−γによるこれらの遺伝子の誘導が停止されることを示した。
【0048】
IFN−γ作用のIL−1に対する依存性をさらに確立するため、特異的ELISA(14)によりIL−18BPの発現を測定した。得られた結果は、RT−PCRの結果を確認するものであり、IFN−γによるIL−18BPの誘導は、IL−1Raの存在下でブロックされた(図3)。
【0049】
IFN−γの活性のほとんどは炎症誘発性であり、IL−1Raによるその阻害は、患者にとって有益である。しかしながら、抗炎症性であるIFN−γの活性が少なくとも1つあり、それはIL−18BPの誘導である。IL−1Raは、関節リウマチ(RA)の治療に承認されている(Kineret(登録商標))。本発明によれば、IL−1RaはIL−18BPの誘導を阻害し、IL−18の唯一の既知の特異的誘導物質はIFN−γである(15)。かかる阻害は、IL−18BPが炎症誘発性サイトカインIL−18の活性を阻害するため問題である(16)。実際、IL−18は、炎症性疾患および自己免疫疾患(関節リウマチなど)において重要な役割を果たす物質である(17)。したがって、IL−1Raの投与によるIL−18発現の阻害は不利益なことである。
【0050】
本発明は、IL−1拮抗剤/阻害剤と有効量のIL−18との併用療法を提供し、IL−1拮抗剤/阻害剤、たとえばIL−1Raを単独療法として炎症性疾患および自己免疫疾患に使用することにおける不利益を克服する。特に、本発明は、炎症性疾患、たとえばRAにおけるインターロイキン−1拮抗剤/阻害剤、たとえばIL−1RaとIL−18との併用療法に関する。
【0051】
用語「IL−1の阻害剤」は、本発明の文脈において、IL−1産生および/または作用が、減衰、低下、または一部、実質的にもしくは完全に阻止もしくはブロックされるような様式で、IL−1産生および/または作用をモジュレートする任意の分子をいう。用語「IL−1拮抗剤/阻害剤」は、IL−1産生の阻害剤およびIL−1作用阻害剤を包含することを意味する。
【0052】
産生の阻害剤は、IL−1の合成、プロセッシングまたは成熟に負の影響を与える任意の分子であり得る。本発明が該阻害剤とみなすものは、たとえば、インターロイキンIL−1の遺伝子発現の抑制物質、IL−1 mRNAの転写を低減または抑制するか、または該mRNAの分解を導くアンチセンスmRNA、正しいフォールディングを障害するか、またはIL−1の分泌を一部もしくは実質的に阻止するタンパク質、IL−1を分解するプロテアーゼ(いったん合成されると、プロテアーゼの阻害剤がプロIL−1を切断し、成熟IL−1を生成させる(たとえば、カスパーゼ−1の阻害剤))などであり得る。
【0053】
IL−1作用の阻害剤は、たとえば、IL−1拮抗剤であり得る。拮抗剤は、充分な親和性および特異性を伴ってIL−1分子それ自体に結合するか、またはこれを捕捉(sequester)し、IL−1またはIL−1のそのリガンド(たとえば、そのレセプターなど)への結合を担うIL結合性部位(1つまたは複数)を一部または実質的に中和し得る。拮抗剤はまた、IL−1/レセプター結合時に細胞内で活性化されるIL−1シグナル伝達経路を阻害し得る。
【0054】
IL−1作用の阻害剤はまた、可溶性IL−1レセプターもしくは該レセプターを模擬する分子、またはIL−1レセプターブロックする薬剤、またはIL−1抗体(ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体など)、またはIL−1のその標的への結合を妨げ、したがって、IL−1によって媒介される細胞内反応もしくは細胞外反応の誘発を減衰または阻止する任意の他の薬剤もしくは分子であり得る。
【0055】
IL−1の拮抗剤/阻害剤は、カスパーゼ−1(ICE)阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、IL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)およびIL−1結合性タンパク質、またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体から選択され得る。
【0056】
好ましい拮抗剤は、本発明によれば、IL−1Raおよび組換えIL−1Ra、たとえば、Kineret(登録商標)、またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体である。
【0057】
用語「インターロイキン−18結合性タンパク質」は、IL−18BPのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームおよびその塩もまた含む。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「ムテイン」は、IL−18BPのアナログまたはウイルス系IL−18BPのアナログであって、野生型のIL−18BPまたはウイルス系IL−18BPと比べて得られる生成物の活性を大幅に変化させることなく、天然のIL−18BPのまたはウイルス系IL−18BPのアミノ酸残基の1個以上が、異なるアミノ酸残基で置き換わっているか、もしくは欠損しているか、または1個以上のアミノ酸残基がIL−18BPまたはウイルス系IL−18BPの天然の配列に付加されているものをいう。これらのムテインは、公知の合成により、および/または部位特異的突然変異誘発技術、あるいは、これに適当な任意の他の公知の手法により調製される。
【0059】
任意のかかるムテインは、好ましくは、IL−18BPのものと充分に重複性(duplicative)の、またはウイルス系IL−18BPのものと充分に重複性のアミノ酸配列を有する(たとえば、IL−18BPと実質的に類似する活性を有する)。IL−18BPの活性の1つは、IL−18に結合できるその能力である。ムテインがIL−18に対する実質的な結合活性を有するならば、これは、IL−18の精製(たとえば、アフィニティークロマトグラフィーにより)において使用され得、したがって、これは、IL−18BPと実質的に類似した活性を有するとみなされ得る。したがって、任意の所与のムテインがIL−18BPと実質的に同じ活性を有するか否かは、かかるムテインを、たとえば、単純なサンドイッチ競合アッセイに供し、これが、適切に標識されたIL−18に結合するか否かを調べることを含む常套的な実験法(たとえば、ラジオイムノアッセイまたはELISAアッセイなど)によって決定され得る。
【0060】
本発明にしたがって使用され得るIL−18BPポリペプチドのムテインまたはウイルス系IL−18BPのムテイン、またはこれらをコードする核酸としては、本明細書に示した教示および手引きに基づき、必要以上の実験をせずに、当業者により常套的に得られ得る置換ペプチドまたはポリヌクレオチドに実質的に対応する有限な一群の配列が挙げられる。
【0061】
本発明によるムテインに対する好ましい変化は、「保存的」置換として知られるものである。IL−18BPポリペプチドもしくはタンパク質またはウイルス系IL−18BPの保存的アミノ酸置換には、充分に類似した物理化学的特性を有し、かつ群の構成要素間での置換が該分子の生物学的機能を保存する一群内の同義アミノ酸が含まれ得る(Grantham, 1974)。特に、挿入または欠失が数個のアミノ酸(たとえば30個未満、好ましくは10個未満)のみを伴い、かつ機能的コンホメーションに必須のアミノ酸(たとえば、システイン残基)が除去または置換されない場合、アミノ酸の挿入および欠失もまた、その機能を改変することなく前記規定配列において行なわれ得ることは明白である。かかる欠失および/または挿入によって生じるタンパク質およびムテインは、本発明の範囲に含まれる。
【0062】
好ましくは、同義アミノ酸群は表Iに規定されるものである。より好ましくは、同義アミノ酸群は表IIに規定されるものであり、最も好ましくは、同義アミノ酸群は表IIIに規定されるものである。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
本発明における使用のための、IL−18BPポリペプチドもしくはタンパク質のムテイン、またはウイルス系IL−18BPのムテインを得るのに使用され得るタンパク質内でのアミノ酸置換の生成の例としては、任意の公知の方法の工程(たとえば、米国特許再審査請求(RE)第33,653号、Markらの米国特許第4,959,314号、同第4,588,585号および同第4,737,462号;Kothsらの同第5,116,943号、Namenらの同第4,965,195号;Chongらの同第4,879,111号;およびLeeらの同第5,017,691号に示されるものなど)ならびに米国特許第4,904,584号(Shawら)に示されたリシン置換タンパク質が挙げられる。
【0067】
用語「融合タンパク質」は、IL−18BPもしくはウイルス系IL−18BP、またはムテインもしくはその断片を、別のタンパク質と融合された状態で含有するポリペプチドをいい、これは、体液中で長期の滞留時間を有する。したがって、IL−18BPまたはウイルス系IL−18BPは、別のタンパク質、ポリペプチドなど(たとえば、免疫グロブリンまたはその断片)と融合されたものであり得る。
【0068】
「機能性誘導体」は、本明細書で使用する場合、残基の側鎖またはNまたはC末端基として存在する官能基から、当該技術分野において公知の手段により調製され得る、IL−18BPまたはウイルス系IL−18BPの誘導体ならびにそのムテインおよび融合タンパク質を包含し、薬学的に許容され得る状態を維持している(すなわち、IL−18BPまたはウイルス系IL−18BPの活性と実質的に類似した該タンパク質の活性を破壊せず、かつこれを含有する組成物に対して毒性を付与しない)限り、本発明に含まれる。
【0069】
このような誘導体としては、たとえば、ポリエチレングリコール側鎖が挙げられ得、これは、抗原性部位をマスクし、体液中でのIL−18BPまたはウイルス系IL−18BPの滞留時間を延長し得る。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアもしくは第一級または第二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体(たとえば、アルカノイルまたは炭素環式アロイル基)またはアシル部分と形成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(たとえば、セリル残基もしくはスレオニル残基のもの)が挙げられる。
【0070】
IL−18BPまたはウイルス系IL−18BPの誘導体、ムテインおよび融合タンパク質の画分として、本発明は、該タンパク質分子のポリペプチド鎖の任意の断片または前駆体(単独のもの、または分子と会合したもの、または残基(たとえば、糖残基もしくはリン酸残基)に結合したもの)またはタンパク質分子同士または糖残基との凝集体を包含する。ただし、前記断片はIL−18BPと実質的に類似した活性を有するものとする。
【0071】
用語「塩」は、本明細書において、IL−18BP分子またはそのアナログのカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方をいう。カルボキシル基の塩は、当該技術分野において公知の手段により形成され得、無機塩(たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄または亜鉛の塩など)、および有機塩基との塩(たとえば、トリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンまたはリシン、ピペラジン、プロカインなどと形成されるものなど)が挙げられる。酸付加塩としては、たとえば、鉱酸(たとえば、塩酸酸または硫酸など)との塩および有機酸(たとえば、酢酸またはシュウ酸など)との塩が挙げられる。もちろん、任意のかかる塩は、IL−18BPの生物学的活性(たとえば、IL−18に結合する能力)を維持していなければならない。
【0072】
IL−18BPの「アイソフォーム」は、IL−18に結合することができるタンパク質、または選択的スプライシングによって生成し得るその断片である。
【0073】
用語「円順列変異」は、本明細書で使用する場合、末端同士を直接またはリンカーを介してのいずれかで互いに結合して環状分子を作製し、次いで該環状分子を別の位置で開裂して末端が元の分子の末端と異なる新たな線状分子が作製された線状分子をいう。円順列変異のものとしては、その構造が、環化した後開裂された分子に相当する分子が挙げられる。したがって、円順列変異分子は、線状分子として最初から合成され、環化工程および開裂工程を経ないものであってもよい。円順列変異誘導体の調製は、W095/27732に記載されている。
【0074】
これらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質または機能性誘導体は、IL−18BPの生物学的活性、特にIL−18への結合性を保持しており、好ましくは、本質的に少なくともIL−18BPと類似する活性を有する。理想的には、かかるタンパク質は、非修飾(unmodified)IL−18と比べてさらに増大した生物学的活性を有する。好ましい活性画分は、IL−18BPの活性よりも優れた活性、またはさらなる利点を有する活性(より良好な安定性、またはより低い毒性もしくは免疫原性)を有するか、または大量に作製するのがより容易であるか、もしくは精製がより容易である。
【0075】
IL−18BPの配列およびそのスプライスバリアント/スプライスアイソフォームは、国際公開第99/09063号パンフレットまたはNovickら, 1999(16)、および(24)から取得され得る。
【0076】
IL−18BPの機能性誘導体は、該タンパク質の性質、たとえば、安定性、半減期、バイオアベイラビリティ、ヒト身体による耐容性または免疫原性を改善するために、高分子に結合させてもよい。この目的を達成するため、IL−18BPは、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)に連結され得る。ペグ化は、公知の方法、たとえば、国際公開第92/13095号パンフレットに記載のものなどにより行い得る。
【0077】
したがって、本発明の好ましい実施態様では、IL−18BPはがペグ化されている。本発明のさらに好ましい実施態様では、IL−18BPは、免疫グロブリンの全部または一部に融合させたIL−18BPの全部または一部を含有する融合タンパク質である。当業者には、得られる融合タンパク質が、IL−18BPの生物学的活性(特にIL−18BPへの結合性)を保持していることが理解されよう。融合は、直接であってもよく、または短鎖のリンカーペプチド(これは、長さ1〜3個のアミノ酸残基またはそれ以上、たとえば、長さ13個のアミノ酸残基であり得る)を介したものであってもよい。前記リンカーは、たとえば、E−F−M(Glu−Phe−Met)の配列のトリペプチドであり得、またはGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13アミノ酸リンカー配列がIL−18BP配列と免疫グロブリン配列とのあいだに導入され得る。得られる融合タンパク質は、改善された性質(たとえば、体液中での滞留時間(半減期)の延長、比活性の増大、発現レベルの増加など)を有し、または該融合タンパク質の精製が促進される。
【0078】
好ましい実施態様では、IL−18BPは、Ig分子の定常領域に融合される。好ましくは、たとえばヒトIgG1の重鎖領域(CH2およびCH3ドメインなど)と融合させ得る。IL−18BPおよび免疫グロブリンの一部を含有する特定の融合タンパク質の作製は、たとえば、国際公開第99/09063号パンフレットの実施例11に記載されている。Ig分子の他のアイソフォームもまた、本発明による融合タンパク質の作製に適する(たとえば、アイソフォームIgG2もしくはIgG4、または他のIgクラス(IgMもしくはIgA)など)。融合タンパク質は、単量体または多量体、ヘテロ多量体もしくはホモ多量体であり得る。
【0079】
IL−1拮抗剤/阻害剤は、炎症性疾患、たとえばRAにおいて、IL−18BPと同時、逐次または独立して使用され得る。好都合には、IL−18BPとIL−1阻害剤(好ましくはIL−1Ra、より好ましくはKineret(登録商標))の組合せを、RAに罹患した患者のための医薬の製造に使用するのがよい。IL−1拮抗剤/阻害剤とIL−18BPの組合せは、関節炎、特に関節リウマチの治療および/または予防に好適である。活性成分は、同時、逐次または独立して使用され得る。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、IL−18BPを、約0.0001〜10mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量で使用する。またさらに好ましい実施態様では、IL−18の阻害剤を、約0.1〜1000mg/kg体重または1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量で使用する。
【0081】
本発明は、さらに、関節炎状態または関節炎、特に関節リウマチの予防および/または治療のため、および炎症性疾患の治療のための医薬の調製における、IL−1の拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクターと、IL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターとの組合せに関する。したがって、遺伝子治療アプローチが、該疾患の治療および/または予防に使用される。好都合には、このとき、IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤の発現はインサイチュであり得、したがって、該疾患に罹患した組織(1種類または複数種類)および/またはIL−1または細胞において、直接、IL−18が効率的にブロックされる。
【0082】
炎症、好ましくは関節炎を治療および/または予防するため、IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤の配列を含有する遺伝子治療用ベクターを、疾患組織、たとえば疾患のある関節内に直接注射し得、したがって、遺伝子治療用ベクターの全身性投与に伴う問題(ベクターの希釈)、標的細胞または組織への到達および標的化に伴う問題、および副作用の問題が回避される。
【0083】
通常IL−18BPに関してサイレントな細胞、またはIL−1拮抗剤/阻害剤および/またはIL−18BPをそれぞれ充分でない量で発現する細胞における、IL−1拮抗剤/阻害剤、または内因性IL−1拮抗剤/阻害剤を誘導または増強するベクターと、IL−18BP、またはIL−18BPの内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターとの併用もまた、本発明にしたがって想定される。該ベクターは、IL−1拮抗剤/阻害剤および/またはIL−18BPを発現することが所望される細胞において機能性の調節配列を含有し得る。かかる調節配列は、たとえば、プロモーターまたはエンハンサーであり得る。調節配列は、このとき、相同組換えによってゲノムの正しい遺伝子座内に導入され得、したがって、該調節配列が、その発現が誘導または増強されることが必要な遺伝子と作動可能に連結される。この手法は、通常、「内在(内因性)遺伝子活性化」(EGA)と呼ばれ、たとえば、国際公開第91/09955号パンフレットに記載されている。
【0084】
本発明は、さらに、炎症性疾患、たとえば関節リウマチの治療および/または予防用の医薬の製造のための、IL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞と、IL−18BP、またはIL−18BPの阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞との併用に関する。
【0085】
本発明は、さらに、炎症性疾患、たとえば、関節リウマチ、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショックおよび変形性関節症から選択されるもの予防および/または治療に特に有用な、治療有効量のIL−18BPおよび治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤(たとえばIL−1Ra、好ましくはKineret(登録商標))を含有する医薬組成物に関する。IL−1の阻害剤として、該組成物は、カスパーゼ−1阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、および結合性タンパク質、同じ活性を有するそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分または円順列変異誘導体を含有し得る。
【0086】
前記にあるようにIL−18BPおよびそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分または円順列変異誘導体、ならびにIL−1の阻害剤、たとえば、カスパーゼ−1阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、IL−1レセプター拮抗剤、ならびにIL−1結合性タンパク質またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体(それぞれ、野生型分子と類似するか、または増強されたIL−18およびIL−1活性を有する)は、医薬組成物の好ましい活性成分である。
【0087】
医薬組成物に含有されるIL−1拮抗剤/阻害剤は、好ましくは、IL−1Raであり、より好ましくはKineret(登録商標)である。
【0088】
「薬学的に許容され得る」の定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げず、かつ投与対象の宿主に対して毒性でない任意の担体を包含することを意味する。たとえば、非経口投与では、タンパク質(1種類または複数種類)は、ビヒクル(たとえば、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルビミンおよびリンゲル溶液)中にて注射用の単位投薬形態に製剤化され得る。
【0089】
本発明による医薬組成物の活性成分は、個体に、種々の様式で投与され得る。投与経路としては、皮内、経皮(たとえば、低速放出製剤にて)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内経路が挙げられる。任意の他の治療上有効な投与経路が使用され得、たとえば、上皮または内皮の組織からの吸収、または活性剤をコードするDNA分子を患者に投与し(たとえば、ベクターにより)、インビボで該活性剤の発現および分泌を引き起こす遺伝子治療によるものである。加えて、本発明による活性タンパク質(1種類または複数種類)は、生物学的に活性な薬剤の他の成分(たとえば、薬学的に許容され得る界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルなど)とともに投与してもよい。
【0090】
非経口(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内)投与のためには、活性タンパク質(1種類または複数種類)のバイオアベイラビリティーは、薬学的に許容され得る非経口用ビヒクル(たとえば、水、生理食塩水、デキストロース溶液)ならびに等張性を維持する添加剤(たとえば、マンニトール)または化学的安定性を維持する添加剤(たとえば、保存剤およびバッファー)と組み合せて、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥した散剤として製剤化され得る。製剤は、一般的に用いられる手法によって滅菌する。
【0091】
本発明による活性タンパク質(1種類または複数種類)は、コンジュゲート手順を用いることによって改善され得、これにより、ヒト身体内での該分子の半減期が増大する。たとえば、国際公開第92/13095号パンフレットに記載のようにして、該分子ポリエチレングリコールに連結させる。
【0092】
活性タンパク質の治療有効量は、たとえば、拮抗剤型、IL−1に対する拮抗剤の親和性、拮抗剤により示されるいくらかの残存する細胞傷害活性、投与経路、患者の臨床症状(内在IL−18活性の非毒性レベルの維持の望ましさを含む)など多くの変数の関数である。
【0093】
「治療有効量」は、投与した場合、IL−18BPがIL−18の生物学的活性の阻害をもたらす、およびIL−1拮抗剤/阻害剤がIL−1の生物学的活性の阻害をもたらすようなものである。
【0094】
個体に、各々、単回用量または反復用量として投与されるIL−18BPおよびIL−1拮抗剤/阻害剤の投薬は、種々の要因(IL−18BPおよびIL−1拮抗剤/阻害剤の薬物動態学的性質、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格)、症状の程度、併用療法、治療の頻度ならびに所望の効果が挙げられる)に応じて異なる。確立された投薬範囲の調整および操作は、充分、当業者の能力の範囲であり、個体におけるIL−18の阻害のインビトロおよびインビボ測定方法も同様である。
【0095】
本発明によれば、IL−18BPを、約0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重(or body weight)または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量で使用する。IL−18阻害剤のさらに好ましい量は、約0.1〜1000mg/kg体重または約1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量である。IL−1拮抗剤は、約0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重(or body weight)または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約0.5〜2mg/kg体重の量で、好ましくは約1mg/kg体重で使用する。
【0096】
IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤投与の経路は、本発明にしたがって好ましいのは、皮下経路による投与である。筋肉内投与は、本発明によれば、さらに好ましい。
【0097】
さらに好ましい実施態様では、IL−18BPおよび/またはIL−1拮抗剤/阻害剤を、毎日、1日おき、1週間に3回または1週間に1回投与する。
【0098】
日用量は、通常、分割量で、または所望の成績を得るのに有効な徐放性形態で与える。第2回目またはその後の投与は、個体に投与した最初の投与量または前回の投与量と同じ、それより少ない、またはそれより多い用量で行い得る。第2回目またはその後の投与は、疾患の発症時、またはその前に行ない得る。
【0099】
本発明によれば、IL−18阻害剤は、個体に、IL−1拮抗剤/阻害剤の前、これと同時、または順次(たとえば、反復投薬計画)、治療有効量で、予防的または治療的に投与し得る。他の治療剤と同時に投与される活性剤は、同じまたは異なる組成物にて投与し得る。
【0100】
加えて、本発明は、阻害有効量のIL−18BP、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩、およびIL−1拮抗剤/阻害剤を、その必要性がある宿主に投与することを含む炎症性疾患の治療および/または予防方法に関する。
【0101】
本発明は、さらに、有効量のIL−18 BPおよびIL−1拮抗剤/阻害剤(好ましくはIL−1Ra)を薬学的に許容され得る担体と混合することを含む、医薬組成物の調製方法に関する。
【0102】
本発明を記載してきたが、例示のために提供し、本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されよう。
【実施例】
【0103】
一般的に、本明細書において使用する命名法および本発明において用いる実験手順は、分子的、生化学的、微生物学的および組換えDNA技術を含む。かかる技術は、文献に充分に説明されている。たとえば、“Molecular Cloning: A laboratory Manual” Sambrookら, (1989); “Current Protocols in Molecular Biology”第I〜III巻 Ausubel, R. M.編 (1994); Ausubelら, “Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal, “A Practical Guide to Molecular Cloning”, John Wiley & Sons, New York (1988);Watsonら, “Recombinant DNA”, Scientific American Books, New York;Birrenら, (編) “Genome Analysis: A Laboratory Manual Series”, 第1〜4巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に記載の方法論;“Cell Biology: A Laboratory Handbook”, 第I〜III巻 Cellis, J. E.編 (1994); “Current Protocols in Immunology”第I〜III巻 Coligan J. E.編 (1994); Stitesら, (編), “Basic and Clinical Immunology” (第8版), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994);Mishell および Shiigi (編), “Selected Methods in Cellular Immunology”, W. H. Freeman and Co., New York (1980) を参照のこと;利用可能なイムノアッセイは特許文献および科学文献にさらに記載されている。たとえば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号;および同第5,281,521号;“Olignucleotide Synthesis” Gait, M. J.編 (1984); “Nucleic Acid Hybridization” Hames, B. D., および Higgins S. J.編 (1985); “Transcription and Translation” Hames, B. D.および Higgins S. J.編 (1984); “Animal Cell Culture” Freshney, R. I.編 (1986); “Immobilized Cells and Enzymes” IRL Press, (1986); “A Practical Guide to Molecular Cloning” Perbal, B., (1984) および “Methods in Enzymology”第1-317巻, Academic Press ; “PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications”, Academic Press, San Diego, CA (1990);Marshakら, “Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual” CSHL Press (1996)を参照のこと;これらのすべては、引用により、本明細書に完全に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書中に提供されている。本発明における手順は、当該技術分野において周知であると考え、読み手の便益のために提供する。
【0104】
特に記載のない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または均等な方法および材料が、本発明の実施および試験において使用され得るが、好適な方法および材料は以下に記載するものである。
【0105】
実施例1:
IL−1RaはIFN−γの抗ウイルス活性を阻害する
IFN−γの抗ウイルス性活性の誘導にIL−1が存在するはずであるか否かを調べるため、インターフェロンγの保護的抗ウイルス性効果における、内因性および/または外因性IL−1をブロックする効果を、IL−1RaまたはIL−1特異的抗体を用いて調べた。
【0106】
ヒトWISH細胞(4×104細胞/ウェル;ATCC CCL−25)を、96ウェルプレート内の0.1ml DMEM+10%FBS中に播種した。IFN−γ(0.1ml、2000IU/ml)を、第1(上側)の列の各ウェルに添加し、次いで、段階的に2倍希釈した。次いで、種々の試薬を、所与の各ウェルに、以下のとおりに添加した。カラム1、添加なし;カラム2、抗IL−1β抗体(PeproTech Inc. Rocky Hill NJ、0.5μg/ml);カラム3、IL−1Ra 0.1mg/ml;カラム4、IL−1Ra 0.01mg/ml;カラム5、IL−1β 200IU/mlおよびIL−1Ra 1mg/ml;カラム6、IL−1β 200IU/mlおよびIL−1Ra 0.1mg/ml;カラム7、IL−1 β200IU/mlおよびIL−1Ra 0.01mg/ml;カラム8、IL−1β 200IU/ml。培養物を一晩、37℃および5%CO2でインキュベートした。翌日、培養物は水疱性口内炎ウイルスを検証し、20時間後、プレートをクリスタルバイオレットで染色し、細胞変性作用の程度を顕微鏡により評価した(23)。
【0107】
図1からわかるように、IFN−γ単独は、ウェル番号5において50%保護をもたらし、1000IU/mlを表す。IL−1βに対する抗体(カラム2)またはIL−1Ra(カラム3)の添加により、IFN−γの抗ウイルス性活性が低下し、終点(ウイルス系細胞変性作用からの50%保護)は、すでにウェル番号2で見られた。これは、125IU/ml、またはIFN−γ単独と比べて約90%不活化に相当する。対照的に、外因性IL−1βの添加(第8列)により、IFN−γの抗ウイルス効力は約3倍増大した。したがって、IFN−γの抗ウイルス性活性は、内因性または外因性IL−1の存在に大きく依存する。
【0108】
実施例2:
IL−1Raは、IFN−γによるいくつかの転写物の誘導を阻害する
IFN−γがいくつかの遺伝子、たとえば、IL−18BP、IRF−1、CIITAおよびHLA−DRを誘導する能力に対するIL−1Raの効果をさらに詳しく調べた。この目的のため、特異的プライマーを使用し、β−アクチンとの比較を行なう半定量的RT−PCRを用いた。
【0109】
ヒトWISH細胞またはヒトHaCat細胞(106)を、それぞれ、10%FBS(2ml)を加えた6ウェルプレート内のMEMおよびDMEM中にプレーティングした。プレートを一晩、37℃および5%CO2でインキュベートした。翌日、細胞を洗浄し、後続の処理を、2%FBSを含有する培地中で行なった。細胞は、IFN−γ(100IU/ml)、IL−1−β(200IU/ml)、IL−1Ra(10マイクログラム/ml)および抗ヒトIL−1b 0.05mg/mlの種々の組合せで処理した(INF−γの1時間前に添加)。
【0110】
6時間後、細胞を回収し、全RNAをTRI試薬(シグマ)を用いて抽出した。cDNAを、該RNAから、ランダムヘキサマーおよびSuperscriptII(インビトロジェン(登録商標)、リーク(Leek)、オランダ)を用い、製造業者の使用説明書にしたがって調製した。
【0111】
半定量PCRは、下記のプライマー:
hIL−18BP、5’CACGTCGTCACTCTCCTGGおよび5’CGACGTGACGCTGGACAAC;
hIRF−1、5’GACCCTGGCTAGAGATGCAGおよび5’GAGCTGCTGAGTCCATCAG;
hCIITA、5’CTGAAGGATGTGGAAGACCTGGGAAAGCおよび
5’GTCCCCGATCTTGTTCTCACTC;
hHLA−DR、5’GAGTTTGATGCTCCAAGCCCTCTCCCAおよび
5’CAGAGGCCCCCTGCGTTCTGCTGCATT;
ヒトβアクチン,5’GTGGGGCGCCCCAGGCACCAおよび
5’CTCCTTAATGTCACGCACGATTTC
を用いて行った。
【0112】
増幅は、初期変性(92℃、2分間)、23サイクルの変性(92℃、45秒間)、アニーリング(62℃、45秒間)および伸長(72℃、45秒間)、ならびに最終伸長(72℃、10分間)により行なった。得られたPCR産物は、アガロース(1%)ゲル電気泳動によって分離した。
【0113】
図2からわかるように、IL−1Raは、IL−18BP、IRF−1、CIITAおよびHLA−DR(これらはすべて、確立されたIFN−γ誘導性の遺伝子である)のmRNAの誘導を完全にブロックした。
【0114】
実施例3:
IL−1Raは、IFN−γによるIL−18BPの誘導を阻害する
IFN−γの作用のIL−1に対する依存性をさらに確立するため、特異的ELISA(14)によりIL−18BPの発現を測定した。
【0115】
IFN−γによるIL−18BPの誘導に対するIL−1Raの効果を、HaCat細胞において調べた。HaCat細胞の培養物を、IFN−γ(100IU/ml)により、IL−1Raの存在下または非存在下で、実施例2に記載のようにして処理した。培養上清みを48時間後に回収し、IL−18BPの濃度を、(14)に記載の二抗体(double antibody)ELISAにより測定した。簡単には、モノクローナル抗体No582.10をIL−18BPの捕捉に使用し、ヒトIL−18BPに対するウサギ抗血清を検出に使用した。組換えヒトIL−18BPの調製物(セロノ ファーマシューティカル リサーチ インスティチュート(Serono Pharmaceutical Research Institute)(ジュネーブ、スイス)により提供)を標準として使用した。図3からわかるように、対照培養物の培養上清み中のIL−18BPのレベルは、0.39±0.03ng/mlであった。IFN−γにより誘導されると、そのレベルは、2.77±0.024ng/mlまで上昇したが、IL−1Raの存在下ではIFN−γによる誘導は得られなかった(0.35±0.003ng/ml)。
【0116】
得られた結果により、RT−PCRの結果を確認し、IFN−γによるIL−18BPの誘導がIL−1Raの存在下でブロックされた。
【0117】
実施例4:
関節リウマチ患者におけるIL−1RaとIL−18BPの共投与
Kineret(登録商標)を、使い捨て保存剤不含の1ml容充填済み(prefilled)ガラスシリンジ(27ゲージ針を有する)内に加える。各充填済みガラスシリンジは、0.67ml(100mg)のアナキンラ/Kineretを含む。Kineret(登録商標)を、7個のシリンジを含むパック(NDC 55513−177−07)に分配する。また、4×7シリンジの28個のシリンジを含む分配用パック(NDC 55513−177−28)も入手可能である。
【0118】
Kineretで治療した関節リウマチの成人患者(100mgを毎日投与)に、IL−18BPをさらに投与する。米国リウマチ学会(The American College of Rheumatology)(ACR)による応答を、かかる患者において、IL−18BP治療の開始前、開始時および開始後に測定する。
【0119】
リウマチ患者に、KineretとIL−18BPの両方を、毎日、皮下注射により、以下のとおり:Kineretを100mg/日およびIL−18BPを0.01〜1000mg/日の範囲内の投与量で投与する。
【0120】
血液検査および/または滑液検査、および/または軟組織X線検査は、併用治療を受けている患者における改善を調べるのに役立つ。
【0121】
米国リウマチ学会(ACR)による応答基準には、腫脹関節の数の変化、関節の圧痛、医師による疾患の国際的評価、患者による疾患の国際的評価、患者による痛みの評価、C反応性タンパク質、赤血球沈降得度、および健康状態評価のアンケートスコアが含まれる。
【0122】
IL−18BPおよびKineretを含む併用治療を受けている患者では、Kineret単独で治療した患者よりも良好なACR応答を有することが期待される。
【0123】
ACR20応答は、患者が腫脹関節および関節の圧痛の数の20%低下、ならびに以下の5つの指標:医師による疾患の国際的評価、患者による疾患の評価、痛み、C反応性タンパク質、赤血球沈降得度および健康状態評価のアンケートスコアのうち3つの20%の低下を有することを要する。
【0124】
ACR50応答は、患者が腫脹関節および関節の圧痛の数の50%低下、ならびに以下の5つの指標:医師による疾患の国際的評価、患者による疾患の評価、痛み、C反応性タンパク質、赤血球沈降得度および健康状態評価のアンケートスコアのうち3つの50%の低下を有することを要する。
【0125】
ACR70応答は、患者が腫脹関節および関節の圧痛の数の70%低下、ならびに以下の5つの指標:医師による疾患の国際的評価、患者による疾患の評価、痛み、C反応性タンパク質、赤血球沈降得度および健康状態評価のアンケートスコアのうち3つの70%の低下を有することを要する。
【0126】
実施例5:
IL−1Raでの治療前および治療後のRA患者における血清IL−18BPaおよびIL−18のレベル
健常者および疾患者における特定の循環サイトカインおよびその天然阻害剤の測定は、疾患の進行および重篤度におけるこれらの関与に関する情報を提供する。IL−18およびその天然阻害剤であるIL−18BPのスプライスバリアントaのレベルを、RA患者およびKineret(登録商標)で治療したRA患者(100mgの投与量を毎日)においてモニターし、健常な非処置被験体で見られるレベルと、特異的ELISAs(14)を用いて比較する。
【0127】
A.健常被験体におけるIL−18およびIL−18BPaのレベル
107例の健常なドナーにおけるIL−18の平均レベルは64±17pg/mlである(14)。IL−18BPaのレベルは、0.5ng/mlから7ng/mlの高値までの範囲であり、平均値は2.15±0.15ng/mlである(14)。IL−18およびIL−18BPaは、ともに血清中に同時に存在するため、IL−18の一部は、IL−18BPaとの複合体として存在し得る。遊離のIL−18のレベルを、全IL−18の平均レベル(2.15ng/ml)に基づいて計算する。遊離のIL−18は、質量作用の法則にしたがって調べた。計算は、下記のパラメータ:ECLアッセイによって測定される全IL−18の濃度;ELISAによって測定される全IL−18BPaの濃度;IL−18BPaとIL−18の複合体における1:1 化学量論および0.4nMの解離定数(Kd)に基づく(16および24)。L+R=LR(式中、LはIL−18を表し、RはIL−18BPを表す)である平衡系では、以下の等式が適用可能である:
1.Kd=[LR]/[遊離L][遊離R]
2.遊離L=全L−LR
3.遊離R=全R−LR
全L=64±17pg/ml(平均レベル)、全R=2.15±0.15ng/ml(平均値)およびKd=0.4nMを代入することにより、健常被験体では、約51.2pg/mlのIL−18(全量の約80%)がその遊離形態であることがわかった(14)。
【0128】
B.RA患者におけるIL−18およびIL−18BPaのレベル
IL−18およびIL−18BPaのレベルを、60例のRA患者由来血清試料において試験する。IL−18およびIL−18BPaのレベルはともに、健常被験体と比べてRA患者において有意により高値であり得、値の広範囲の分布が観察され得る。これらの血清において、クレアチニンレベルと、IL−18またはIL−18BPaのいずれかの濃度とのあいだに統計学的に有意な相関性が観察されない場合(APACHE II スコア(Knausら 1993)により評価する)、これは、これらの患者におけるIL−18とIL−18BPaのレベルの上昇は、腎不全によるものではないことを示唆する。
【0129】
RA患者において血清中のIL−18とIL−18BPaのレベルが大きく異なる場合、個々の試料中の遊離の血清IL−18のレベルを計算し得る。計算は、先に記載のようにして、同じ3つの等式を用い、実験によりわかったKd、全L、全Rの値の代入を用いて行なう(14)。計算値により、IL−18BPaは、ほとんどのRA患者において遊離のIL−18のレベルを低下させることが示され得る。この効果は、全IL−18が非常に高値である場合に特に強くなり得る。したがって、かかる場合では、血清IL−18のほとんどが循環IL−18BPaによってブロックされる。
【0130】
C.IL−1Rで治療したRA患者におけるIL−18およびIL−18BPaのレベル
IL−1Rでの治療前および治療後に、IL−18およびIL−18BPaのレベルを、60例のRA患者由来血清試料において試験する。IL−18BPaのレベルは、治療前のRA患者(B)のIL−18BPaのレベルと比べ、IL−18BPaで治療したRA患者では、上昇が有意に低減され得る。同じ3つの等式を用い、実験によりわかったKd、全L、全Rの値の代入を用い(14)、遊離のIL−18のレベルを計算し得、これらは、遊離のIL−18のレベルがIL−18BPaで治療した患者において増加することを示し得る。また、計算値は、ほとんどのIL−1Ra治療RA患者において遊離のIL−18のレベルを低下させるために、循環系内におけるIL−18BPaが非常に低いことを示し得る。
【0131】
したがって、IL−18BPaで治療したRA患者への外因性IL−18BPaの投与により、遊離の循環IL−18レベルがさらに低下し、疾患の転帰(outcome)の緩和がもたらされることが期待される。
【0132】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】IFN−γの抗ウイルス性活性に対するIL−1RAの効果を示す。各カラムは、IFN−γの2倍希釈列を表す。以下の試薬を添加した:カラム1、対照;2、IL−1−βに対する抗体;3、IL−1RA 0.1mg/ml;4、IL−1RA 0.01mg/ml;5、IL−1 200IU/ml+IL−1Ra 1mg/ml;6、IL−1 200IU/ml+IL−1Ra 0.1mg/ml;7、IL−1 200IU/ml+IL−1Ra 0.01mg/ml;8、IL−1 200IU/ml。
【図2】ヒトHaCat細胞における、いくつかのIFN−γ誘導性の転写物のレベルに対するIL−1Raの効果を示す(半定量的逆転写PCRにより測定)。βアクチンを対照として使用した。
【図3】HaCat細胞における、IFN−γによるIL−18BPの誘導に対するIL−1RAの効果を示す(細胞上清をELISAにより測定)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性疾患の治療および/または予防用の医薬の製造における、IL−1拮抗剤/阻害剤との、IL−18結合性タンパク質(IL−18BP)、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩の使用。
【請求項2】
IL−1の拮抗剤/阻害剤が、カスパーゼ−1(ICE)阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合し、かつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、IL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)およびIL−1結合性タンパク質、またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列変異誘導体から選択される請求項1記載の使用。
【請求項3】
IL−1拮抗剤がIL−1レセプター拮抗剤(IL−1Ra)である請求項2記載の使用。
【請求項4】
IL−1RaがKineretである請求項3記載の使用。
【請求項5】
IL−1拮抗剤/阻害剤が、アンチセンスmRNA、可溶性IL−1レセプター、およびIL−1R抗体から選択される請求項1、2または3記載の使用。
【請求項6】
IL−18BPがペグ化されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
IL−18の阻害剤が、免疫グロブリンの全部または一部に融合させたIL−18BPの全部または一部を含有する融合タンパク質であり、該融合タンパク質がIL−18に結合する請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
融合タンパク質が、免疫グロブリンの定常領域の全部または一部を含有する請求項7記載の使用。
【請求項9】
免疫グロブリンがIgG1またはIgG2アイソタイプである請求項8記載の使用。
【請求項10】
IL−18BPおよびIL−1拮抗剤/阻害剤を、同時に、または逐次使用する請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
IL−18BPを、約0.0001〜10mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量で使用する請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
IL−18BPを、約0.1〜1000mg/kg体重または1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量で使用する請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
IL−1拮抗剤/阻害剤を、0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約0.5〜2mg/kg体重または約1mg/kg体重から選択される量で使用する請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
IL−1拮抗剤/阻害剤を約1mg/kg体重で使用する請求項13記載の使用。
【請求項15】
IL−18BPが皮下投与のために使用される請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
IL−18BPが筋肉内投与のために使用される請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
IL−1拮抗剤/阻害剤が皮下投与のために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
IL−1拮抗剤/阻害剤が筋肉内投与のために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
IL−18BPが毎日使用される請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
IL−18BPが1週間に3回使用される請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
IL−18BPが1週間に1回使用される請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
IL−1拮抗剤/阻害剤が毎日使用される請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
IL−1拮抗剤/阻害剤が1週間に3回使用される請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
IL−1拮抗剤/阻害剤が1週間に1回使用される請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
炎症性疾患の治療および/または予防用の医薬の製造における、IL−1の拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクター、およびIL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターの使用。
【請求項26】
遺伝子治療のための請求項25記載の使用。
【請求項27】
炎症性疾患の治療および/または予防用の医薬の製造における、IL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導または増強するためのベクター、およびIL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導または増強するためのベクターの使用。
【請求項28】
炎症性疾患の治療および/または予防用の医薬の製造における、IL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞、およびIL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞の使用。
【請求項29】
炎症性疾患が、関節リウマチ、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショックおよび変形性関節症から選択される請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
炎症性疾患が関節リウマチである請求項29記載の使用。
【請求項31】
治療有効量のIL−1の拮抗剤/阻害剤、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩、および治療有効量のIL−18BP、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩を含有する医薬組成物。
【請求項32】
IL−1の拮抗剤/阻害剤がIL−1Raである請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
IL−1RaがKineretである請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクターと、IL−18BPまたはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターとを含有する医薬組成物。
【請求項35】
治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターと、IL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターとを含有する医薬組成物。
【請求項36】
治療有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞と、IL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞とを含有する医薬組成物。
【請求項37】
阻害有効量のIL−18BP、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩、およびIL−1拮抗剤/阻害剤、またはそのムテイン、機能性誘導体、画分、円順列変異誘導体、融合タンパク質、アイソフォームもしくは塩を、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患の治療および/または予防方法。
【請求項38】
IL−1の拮抗剤/阻害剤が、カスパーゼ−1(ICE)阻害剤、IL−1に対する抗体、任意のIL−1レセプターサブユニットに対する抗体、IL−1シグナル伝達経路の阻害剤、IL−1と競合しかつIL−1レセプターをブロックするIL−1の拮抗剤、およびIL−1結合性タンパク質、IL−1結合性タンパク質と本質的に同じ活性を有するそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分または円順列変異誘導体から選択される請求項37記載の方法。
【請求項39】
IL−1拮抗剤がIL−1Raである請求項38記載の方法。
【請求項40】
IL−1RaがKineretである請求項39記載の方法。
【請求項41】
拮抗剤/阻害剤が、アンチセンスmRNA、可溶性IL−1レセプターおよびIL−1R抗体から選択される請求項37または38記載の方法。
【請求項42】
IL−18BPがペグ化されている請求項37〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
IL−18の阻害剤が、免疫グロブリンの全部または一部に融合させたIL−18BPの全部または一部を含有する融合タンパク質であり、該融合タンパク質がIL−18に結合する請求項37〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
融合タンパク質が、免疫グロブリンの定常領域の全部または一部を含有する請求項43記載の方法。
【請求項45】
免疫グロブリンがIgG1またはIgG2アイソタイプである請求項44記載の方法。
【請求項46】
IL−18BPおよびIL−1拮抗剤/阻害剤を、同時に、または逐次使用する請求項37〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
IL−18BPを、約0.0001〜10mg/kg体重または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/kg体重または約1〜2mg/kg体重の量で投与する請求項37〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
IL−18BPを、約0.1〜1000mg/kg体重または1〜100mg/kg体重または約10〜50mg/kg体重の量で投与する請求項37〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
IL−1拮抗剤/阻害剤を、0.0001〜10mg/kgまたは約0.01〜5mg/kg体重、または約0.01〜5mg/kg体重または約0.1〜3mg/体重または約0.5〜2mg/kg体重または約1mg/kg体重から選択される量で投与する請求項37〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
IL−1拮抗剤/阻害剤を約1mg/kg体重で投与する請求項49記載の方法。
【請求項51】
IL−18BPが皮下投与される請求項37〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
IL−18BPが筋肉内投与される請求項37〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
IL−1拮抗剤/阻害剤が皮下投与される請求項37〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
IL−1拮抗剤/阻害剤が筋肉内投与される請求項37〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
IL−18BPが毎日投与される請求項37〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
IL−18BPが1週間に3回投与される請求項37〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
IL−18BPが1週間に1回投与される請求項37〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
IL−1拮抗剤/阻害剤が毎日投与される請求項37〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
IL−1拮抗剤/阻害剤が1週間に3回投与される請求項37〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
IL−1拮抗剤/阻害剤が1週間に1回投与される請求項37〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1の拮抗剤/阻害剤のコード配列を含む発現ベクター、およびIL−18BP、またはIL−18BPのコード配列を含む発現ベクターを、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患の治療および/または予防方法。
【請求項62】
遺伝子治療のための請求項61記載の治療および/または予防方法。
【請求項63】
阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤または細胞内でのIL−1拮抗剤/阻害剤の内生的産生を誘導および/または増強するためのベクター、ならびにIL−18BPまたはIL−18BPの内生的産生を誘導および/または増強するためのベクターを、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患の治療および/または予防方法。
【請求項64】
阻害有効量のIL−1拮抗剤/阻害剤、またはIL−1拮抗剤/阻害剤を産生するように遺伝子操作された細胞、およびIL−18BP、またはIL−18BPを産生するように遺伝子操作された細胞を、その必要性がある宿主に投与することを含む、炎症性疾患の治療および/または予防方法。
【請求項65】
炎症性疾患が、関節リウマチ、アレルギー、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)、IBD、敗血症性ショックおよび変形性関節症から選択される請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
炎症性疾患が関節リウマチである請求項65記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−517020(P2007−517020A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546476(P2006−546476)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001170
【国際公開番号】WO2005/063290
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】