説明

炎症性疾患の処置のためのキノリン誘導体

本発明は、式(I)の化合物、その製造方法、それを含む医薬組成物、医薬組成物の製造方法、および治療におけるその使用を提供する(式中、R、R、Rおよびnは明細書において定義の通りである。)


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン誘導体、その製造方法、それを含む医薬組成物、医薬組成物の製造方法、および治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リガンド開口型イオンチャネルであるP2X受容体(以前はP2Z受容体として知られていた)は、種々の細胞型、多くは炎症性/免疫工程に関与することが知られている細胞系、特に、マクロファージ、肥満細胞およびリンパ球(TおよびB)上に存在する。細胞外ヌクレオチド、特にアデノシン三リン酸によるP2X受容体の活性化は、インターロイキン−1β(IL−1β)の放出および巨細胞形成(マクロファージ/ミクログリア細胞)、脱顆粒(肥満細胞)および増殖(T細胞)およびアポトーシスおよびL−セレクチン遊離(shedding)(リンパ球)に至る。P2X受容体はまた抗原提示細胞(APC)、ケラチン生成細胞、唾液腺房細胞(耳下腺細胞)、肝細胞およびメサンギウム細胞にも存在する。P2X受容体が病因に関わる可能性のある炎症性、免疫または心血管疾患の処置において使用するためのP2X受容体アンタゴニストとして有効な化合物を製造することが望まれている。
【0003】
P2X受容体アンタゴニストとして作用する薬剤の重要な特性は、それが高い効力を有することである。さらに、薬剤効果をさらに増強するために、良好な選択性および薬物動態学的特性を有することもこのような薬剤に望まれる。一例として、ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに対して低活性を示すことがこのような薬剤にとって有利であり得る。これに関して、インビトロでのhERG結合に対する低活性が、インビボでの低活性の指標である。
【0004】
キノリニル基を含むP2Xアンタゴニストは、WO2003/080579、WO2004/106305、WO2005/009968およびWO2006/059945から既知である。本発明により、驚くべきことに、WO2004/106305に広く開示された化合物の狭い群が、有益な薬理特性を示すことが判明した。例えば、高い効果を有することに加えて、本発明の化合物は、hERG結合に対する非常に低い活性を示し、医薬として使用するための適性が高まっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明によって、それゆえ、式(I)
【化1】

〔式中、nは0または1であり;
nが0であるとき、Rは水素またはメチルであり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素であり;そして
nが1であるとき、Rは水素であり、RおよびRの一方はヒドロキシルであり、そしてRおよびRの他方は水素である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0006】
ある種の本発明の化合物は溶媒和された、例えば水和された、あるいは溶媒和されていない形態で存在し得ることは理解されよう。本発明は、全てのこのような溶媒和された形態を含むことは理解すべきである。
【0007】
本発明の化合物は、非常に高いP2Xアンタゴニスト活性を示す。加えて、それらはヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに対して特に低い親和性を有し、それ故、安全域に関して有利である。
【0008】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩を含み、これに限定されない。本発明の一つの態様において、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩から選択される。
【0009】
本発明の化合物は、式(I)のシクロヘキシル環内に位置する2個所のキラル中心を含む。キラル中心の一方は、ヒドロキシル置換基が直接結合しているシクロヘキシル環原子(1位)に位置し、他方は、メチル置換基が直接結合しているシクロヘキシル環原子(3位)に位置する。本発明において、これらのキラル中心の両方の立体化学配置は、Cahn-Ingold-Prelog系により割り当てられる通り、そして下記式(I)の構造により記載される通り、S((1S,3S)立体異性体)である。
【化2】

【0010】
nが0である本発明の態様において、式(I)の化合物は、RおよびRの両方が直接結合する炭素原子にさらなるキラル中心を有する。本発明は、この位置の全ての立体化学配置の化合物を、その混合物を含み、包含する。
【0011】
本発明の一つの態様において、nは0であり、Rは水素またはメチルであり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素である。
【0012】
本発明の一つの態様において、nは0であり、Rは水素であり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素である。この態様の一つの局面において、RおよびRの両方が直接結合する炭素原子のキラル中心は、S配置を有する。この態様の他の局面において、RおよびRの両方が直接結合する炭素原子のキラル中心はR配置を有する。
【0013】
本発明の一つの態様において、nは0であり、Rはメチルであり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素である。この態様の一つの局面において、RおよびRの両方が直接結合する炭素原子のキラル中心はS配置を有する。この態様の他の局面において、RおよびRの両方が直接結合する炭素原子のキラル中心はR配置を有する。
【0014】
本発明の一つの態様において、nは1であり、Rは水素であり、RおよびRの一方はヒドロキシルであり、そしてRおよびRの他方は水素である。
【0015】
本発明の一つの態様において、nは1であり、Rは水素であり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素である。
【0016】
本発明の一つの態様において、nは1であり、Rは水素であり、Rは水素であり、そしてRはヒドロキシルである。この態様による化合物は、Rが直接結合する炭素原子にさらなるキラル中心を有する。本発明は、この位置の全ての立体化学配置の化合物を、その混合物を含み、包含する。この態様の一つの局面において、Rが直接結合する炭素原子のキラル中心はS配置を有する。この態様の他の局面において、Rが直接結合する炭素原子のキラル中心はR配置を有する。
【0017】
本発明の化合物は、式(I)内のシクロヘキシル環に位置する2個所のキラル中心を有する。これらのキラル中心の両方の立体化学配置はSであり、すなわちそれらは(1S,3S)立体異性体である。疑いを避けるため、本発明の(1S,3S)立体異性体は、これらのキラル中心で可能性のある他の立体異性体、すなわち(1R,3R)、(1R,3S)および(1S,3R)立体異性体の1個以上との混合物として存在してよい。例えば、(1S,3S)立体異性体は、(1R,3R)立体異性体と1:1混合物で存在してよい。
【0018】
一つの態様において、本発明は、(1S,3S)キラル中心で光学的に純粋である式(I)の化合物を提供する。さらなる態様において、本発明は、そのキラル中心の全てで光学的に純粋である式(I)の化合物を提供する。
【0019】
本明細書の文脈において、用語光学的に純粋は、エナンチオマー過剰(e.e.)、およびジアステレオマー過剰(d.e.)の観点で定義し、それは、存在する各エナンチオマー/ジアステレオ異性体の量とこれらの量の合計の差異の比率から計算し、パーセンテージとして表す。説明のために、一つのエナンチオマー95%と他のエナンチオマー5%を含む調製物は、90%のエナンチオマー過剰(e.e.)である[すなわち(95−5)/(95+5)×100]。ジアステレオマー過剰はエナンチオマー過剰に準じて定義される。光学的に純粋な本発明の化合物は、少なくとも90%のe.e.を有する。本発明の一つの態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも95%のe.e.を有する。本発明のさらなる態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも98%のe.e.を有する。本化合物がジアステレオ異性体を有するとき、光学的に純粋な化合物は、少なくとも90%のe.e.および少なくとも90%のジアステレオマー過剰(d.e.)を有する。本発明の一つの態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも95%のe.e.および少なくとも95%のd.e.を有する。本発明のさらなる態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも98%のe.e.および少なくとも98%のd.e.を有する。
【0020】
本発明の一つの態様において、式(I)の化合物は:
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド、
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド、
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド、および
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(3−ヒドロキシ−3−メチルピロリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド
から選択されるか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0021】
本発明は、さらに、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって:
(a) 式
【化3】

〔式中、Xは適当な脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)である。〕
の化合物と、式(III)
【化4】

〔式中、R、R、Rおよびnは式(I)において定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、そして所望により本化合物の薬学的に許容される塩を形成させることを含む、方法を提供する。
【0022】
(II)と(III)の反応は、メタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは1−メチル−2−ピロリジノンのような有機溶媒中、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウムのような適当な塩基の存在下で、マイクロ波中でまたは慣用の熱条件により、50℃〜150℃、特に80℃〜120℃の範囲の温度で行い得る。
【0023】
式(III)の化合物は、遊離塩基としてまたは塩(式(III)の化合物の許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩を含み、これに限定されない)として、市販されているか、文献において既知であるか、または当業者に既知の方法を使用して製造し得る。
【0024】
式(II)の化合物は、式(IV)
【化5】

〔式中、Xは脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)であり、そしてYは適当な脱離基(例えばヒドロキシルまたはクロロ)である。〕
の化合物と、(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノール(化合物(V))を反応させることにより、製造し得る。
【化6】

【0025】
(IV)と(V)の反応に関して、Yが塩素ラジカルであるとき、本反応は、アセトン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリジノンのような有機溶媒中、炭酸カリウム、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンのような適当な塩基と共に行うのが好都合であり得る。Yがヒドロキシル基であるとき、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)またはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)のようなカップリング剤を使用する必要があるか、またはその使用が望まれるかもしれない。Yが塩素ラジカルであるとき、このような化合物は、対応するカルボン酸誘導体の標準条件下での処理により好都合に製造し得る(例えばジクロロメタン中の塩化チオニルまたは塩化オキサリル)。
【0026】
式(V)の化合物は新規化合物であり、本発明のさらなる局面を形成する。従って、本発明のさらなる局面は、(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールである化合物、またはその塩を提供する。この局面の一つの態様において、化合物(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールは光学的に純粋(光学的に純粋は、光学的に純粋な式(I)の化合物について定義の通りである)である。(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールの塩は、塩酸塩または臭化水素酸塩のような酸付加塩を含む。
【0027】
(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノール(V)は、式(VI)の化合物と、フタルイミド(ヒドラジンでの処理が続く)、ジ−tert−ブチルイミドジカーボネート(酸、例えば塩化水素での処理が続く)、ベンジルアミン類、例えば、4−メトキシベンジルアミン(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、またはベンジルアミン、N−ベンジル−1−メタンアミンまたは1,1−ジフェニルメタンアミン(適当な金属触媒存在下での水素による脱保護が続く)のような適当な保護されたアンモニア等価物の反応により製造し得る。
【化7】

【0028】
式(VI)の化合物とベンジルアミン類の反応は、メタノールまたはエタノール(所望によりトルエンとの混合溶媒系として)のようなプロトン性溶媒中またはアセトニトリル、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミドのような非プロトン性溶媒中、マイクロ波中でまたは慣用の熱条件により、25℃〜140℃、特に65℃〜100℃の範囲の温度で好都合に行い得る。続くベンジル保護基の除去は、メタノール、エタノールまたは酢酸のようなプロトン性溶媒中または酢酸エチルのような非プロトン性溶媒中、25℃〜100℃の範囲、好ましくは25℃の温度で、1〜5バール、好ましくは4バールの水素雰囲気下、パラジウム炭素、酸化白金またはロジウム炭素、好ましくはパラジウム炭素のような触媒の存在下、水素化分解条件下で好都合に行い得る。化合物(VI)は文献において既知である(Alexakis, A. et al., Synlett 2001, No.9, 1375)。(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールの製造の詳細な例は、実施例に後記する。
【0029】
が脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)であり、そしてYがヒドロキシルである式(IV)の化合物は、式(VII)
【化8】

〔式中、Xは脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)であり、そしてXはヨウ素または臭素ラジカルである。〕
の化合物から製造し得る。
【0030】
(VII)の(IV)への変換に関して、本反応は、金属/ハロゲン交換、続く二酸化炭素での求電子的クエンチにより行うのが好都合であり得る。本反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクライムまたはヘキサンのような有機溶媒中、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムまたはイソプロピルマグネシウムクロライドのような有機金属試薬と、−78℃〜25℃の範囲の温度(例えば金属/ハロゲン交換には25℃および二酸化炭素との反応には0℃)で行い得る。
【0031】
(VII)はまた、カルボニル化条件下、溶媒としての水中、25℃〜120℃の温度で、1〜8バールの一酸化炭素(carbon monoxide)の雰囲気下、金属触媒(例えば1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)または1,1'−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(Pd−118))の存在下、アミン塩基(例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下に反応させることにより(IV)に変換してもよい。
【0032】
が適当な脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)である式(II)の化合物は、Xが脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)であり、そしてXがヨウ素または臭素ラジカルである式(VII)の化合物から製造し得る。
【0033】
(VII)から(II)への反応に関して、本反応は、N−メチルピロリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルのような有機溶媒中、アミン(V)の存在下、25℃〜120℃の温度で、1〜8バールの一酸化炭素の雰囲気下、金属触媒(例えば1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)または1,1'−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(Pd−118))の存在下およびアミン塩基(例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下に行うのが好都合であり得る。
【0034】
が脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)であり、そしてXがヨウ素または臭素ラジカルである式(VII)の化合物は、式(VIII)
【化9】

〔式中、Xは脱離基(例えばハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)である。〕
の化合物から製造し得る。
【0035】
(VIII)から(VII)への変換に関して、Xがヨウ素ラジカルであるとき、本反応は、発煙硫酸またはトリフル(triflic)酸のような酸中、ヨウ素(I)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)または一塩化ヨウ素(ICl)のようなヨウ素源の存在下、金属塩(例えばトリフルオロメタンスルホン酸銀または硫酸銀)の存在下または非存在下で行うのが好都合であり得る。
【0036】
式(VIII)の化合物は、市販されているか、文献において既知であるか、または当業者に既知の方法を使用して製造し得る。例えば、Xが塩素ラジカルである式(VIII)の化合物は、文献において既知である(Inglis, S.R., et al., J. Med. Chem., 2004, 47, 5405)。
【0037】
が塩素ラジカルであり、そしてXがヨウ素ラジカルである式(VII)の化合物は新規化合物であり、本発明のさらなる局面を形成する。従って、本発明のさらなる局面は、2,6−ジクロロ−5−ヨードキノリンである化合物を提供する。
【0038】
式(II)の化合物は新規化合物であり、本発明のさらなる局面を形成する。本発明の一つの態様は、Xがハロゲン、パラトルエンスルホネート、メタンスルホネートおよびトリフルオロメタンスルホネートから選択される式(II)の化合物を提供する。
【0039】
本発明の他の態様は、Xが塩素ラジカルである式(II)の化合物を提供する。従って、本発明のさらなる局面は、2,6−ジクロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}キノリン−5−カルボキサミドである化合物を提供する。
【0040】
当業者には当然であるが、本発明の方法において、出発物質または中間体化合物中のヒドロキシ、カルボキシルまたはアミノ基のようなある種の官能基が、保護基により保護する必要があるかもしれない。それ故、式(I)の化合物の製造は、ある段階での1個以上の保護基による保護および/または1個以上の保護基の除去を含み得る。官能基の保護および脱保護は‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 2nd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1991)および‘Protecting Groups’, P.J. Kocienski, Georg Thieme Verlag (1994)に記載されている。上記式(I)の化合物は、慣用法を使用して薬学的に許容される塩に変換してよい。
【0041】
本発明の化合物は有利な効果、選択性および/または薬物動態学的特性を有する。例えば、本発明の化合物はヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに低い親和性を有する。これに関して、hERGがコードするカリウムチャネルと相互作用し、その結果としてK流出により負の細胞電位を回復させる薬剤は、後天性QT延長症候群(LQT)に至る、QT間隔延長を引き起こし得る[M. C. Sanguinetti, C Jiang, M. E. Curran, M. T. Keating, Cell 1995, 81, 299-307;およびK. Finlayson et al., Eur. J. Pharm. 2004, 500, 129-142]。これは、結果として、トルサード・ド・ポアンツ(TdP)として知られる死に至る可能性のある不整脈を誘発し得る[W. Haferkamp et al., Eur. Heart J. 2000, 21, 1216-1331]。それ故に、心臓チャネル、および特にhERGチャネルに対する作用を欠く新規化学物質は、心血管使用を意図しないならば、改善された安全性プロファイルを提供し、QT延長作用を有する薬剤よりも治療的および調節的利点を獲得する。Kiss et al(Assay Drug Dev. Technol. 2003, 1,127-135)は、hERGのようなイオンチャネル活性を阻害する化合物の能力についてアッセイする方法を記載する。SpringthorpeおよびStrandlund(WO2005037052)は、IKrカリウム(hERG)と結合する化合物の能力をアッセイする方法を記載する。
【0042】
本発明の化合物はまた薬物動態学的パラメーターにより測定して、良好なバイオアベイラビリティも示す。例えば、本発明の化合物は低い血漿タンパク質結合を示す。本発明の化合物はまたインビトロリン脂質代謝異常スクリーニングで低活性を示し得る。
【0043】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、次のものの処置に有益であり得る:
1. 呼吸器:次のものを含む気道の閉塞性疾患:間欠性および永続性両方の、全ての重症度の、および気道過敏反応性の他の原因を含む、気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息を含む、喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染を含む慢性感染に付随する線維症を含む、肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態が関連する慢性咳、および医原性咳の処置を含む鎮咳活性;薬物性鼻炎、および血管運動性鼻炎を含む、急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む、通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む、急性ウイルス感染;
【0044】
2. 骨および関節:原発性、または、例えば、先天的股関節異形成症二次性の両方の、骨関節症/骨関節症に関連するまたはそれを含む関節炎(arthritides);頚部および腰部脊椎炎、および背下部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)を含む血清反応陰性脊椎関節症;敗血症性関節炎および他の感染関連関節症(arthopathies)およびポット病およびポンセ病を含む結核のような骨障害;尿酸塩痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症を含む、急性および慢性結晶誘発滑膜炎;ベーチェット病;原発性および二次性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;皮膚筋炎および多発性筋炎を含む炎症性ミオパシー;リウマチ性多発筋痛症;どんな関節分布であれ、特発性炎症性関節炎(arthritides)を含む若年性関節炎および関連症候群、およびリウマチ熱およびその全身合併症;巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、およびウイルス感染、過敏症反応、クリオグロブリン、およびパラプロテインと関連する脈管炎を含む脈管炎;背下部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、キクチ病;薬剤誘発性関節痛(arthalgias)、腱炎(tendonititides)、およびミオパシー;
【0045】
3. 傷害[例えば運動傷害]または疾患による筋骨格障害の疼痛および結合組織リモデリング:関節炎(arthritides)(例えばリウマチ性関節炎、骨関節症、痛風または結晶性関節症)、他の関節疾患(例えば椎間板変性または側頭下顎関節変性)、骨リモデリング疾患(例えば骨粗鬆症、ページェット病または骨壊死)、多発性軟骨炎、強皮症、混合型結合組織障害、脊椎関節症または歯周疾患(例えば歯周炎);
【0046】
4. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎、および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害;
【0047】
5. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫性;網膜に影響する変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌、および細菌を含む感染;
【0048】
6. 胃腸管:舌炎、歯肉炎、歯周炎;逆流性を含む食道炎;好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む大腸炎、直腸炎、肛門掻痒症;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れて作用し得る食物関連アレルギー(例えば偏頭痛、鼻炎または湿疹);
【0049】
7. 腹部:自己免疫性、アルコール性およびウイルス性を含む、肝炎;肝臓の線維症および硬変;胆嚢炎;急性および慢性両方の膵炎;
【0050】
8. 尿生殖器:間質性および糸球体腎炎を含む腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎およびハンナー潰瘍を含む膀胱炎;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部腟炎;ペイロニー病;勃起不全(男女両方);
【0051】
9. 同種移植片拒絶反応:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚または角膜の移植後または輸血後の、急性および慢性のもの;または慢性移植片対宿主病;
【0052】
10. CNS:アルツハイマー病およびCJDおよびnvCJDを含む他の認知症になる障害;アミロイド症;多発性硬化症および他の脱髄症候群;脳アテローム性動脈硬化症および脈管炎;側頭動脈炎;重症筋無力症;内臓痛、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、非定型顔面痛、関節および骨痛、癌および腫瘍侵襲に起因する疼痛、糖尿病性、ヘルペス後、およびHIV関連ニューロパシーを含む神経障害性疼痛症候群を含む、急性および慢性疼痛(中枢起源であれ、末梢起源であれ、急性、間欠性または永続性の);神経サルコイドーシス;悪性、感染性または自己免疫性過程の中枢および末梢神経系合併症;
【0053】
11. 橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群を含む、他の自己免疫およびアレルギー性障害;
【0054】
12. 炎症性または免疫学的要素を伴う他の障害;後天性免疫不全症候群(AIDS)、ハンセン病、セザリー症候群、および新生物随伴症候群を含む;
【0055】
13. 心血管:冠血管および末梢循環に影響するアテローム性動脈硬化症;心膜炎;心筋炎、心筋サルコイドを含む、炎症性および自己免疫心筋症;虚血再灌流傷害;感染性(例えば梅毒性)を含む、心内膜炎、弁膜炎、および大動脈炎;脈管炎;深部静脈血栓症および静脈瘤の合併症を含む、静脈炎および血栓症を含む、近位および末梢静脈の障害;
【0056】
14. 腫瘍学:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖性系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置;転移疾患および腫瘍再発、および新生物随伴症候群の予防および処置を含む;および
【0057】
15. 胃腸管:セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、判定不能大腸炎、過敏性腸障害、過敏性腸症候群、非炎症性下痢、腸から離れた部位に発現する食物関連アレルギー、例えば、偏頭痛、鼻炎および湿疹。
【0058】
従って、本発明は、治療に使用するための、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0059】
他の局面において、本発明は、治療において使用するための医薬の製造における、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0060】
本明細書の文脈において、用語“治療”は、反する具体的な指示がない限り、“予防”も含む。用語“治療する”および“治療的”はこれに従い解釈すべきである。
【0061】
他の局面において、本発明は、リウマチ性関節炎を処置するための上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0062】
他の局面において、本発明は、炎症性腸疾患を処置するための上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0063】
他の局面において、本発明は、クローン病を処置するための上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0064】
他の局面において、本発明は、リウマチ性関節炎の処置において使用するための医薬の製造における、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0065】
他の局面において、本発明は、喘息または慢性閉塞性肺疾患の処置において使用するための医薬の製造における、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0066】
他の局面において、本発明は、炎症性腸疾患の処置において使用するための医薬の製造における、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0067】
他の局面において、本発明は、クローン病の処置において使用するための医薬の製造における、上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0068】
本発明はまた、リウマチ性関節炎の処置方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0069】
本発明はまた、炎症性腸疾患の処置方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0070】
本発明はまた、クローン病の処置方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0071】
本発明はまた、閉塞性気道疾患(例えば喘息またはCOPD)の処置方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0072】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、ヒトのような温血動物の治療的処置に使用するために、該成分は、通常、標準薬務に従い医薬組成物として製剤される。
【0073】
それ故、他の局面において、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩(活性成分)、および薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含む、医薬組成物を提供する。さらなる局面において、本発明は、活性成分と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、該組成物の製造方法を提供する。投与の方式によって、本医薬組成物は、例えば、0.05〜99%w(重量パーセント)、例えば0.05〜80%w、例えば0.10〜70%w、例えば0.10〜50%wの活性成分を含み、全ての重量パーセントは全組成物に基づく。
【0074】
本発明の医薬組成物は、処置が望まれる疾患状態について標準的な方法で、例えば局所(例えば肺および/または気道または皮膚に)、経口、直腸または非経腸投与により投与してよい。この目的のために、本発明の化合物は、当分野で既知の手段により、例えば、エアロゾル剤、乾燥粉末製剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤、水性または油性溶液または懸濁液、(脂質)エマルジョン、分散性粉末、坐薬、軟膏、クリーム、滴剤および滅菌注射可能水性または油性溶液または懸濁液に製剤し得る。
【0075】
適当な本発明の医薬組成物は、単位投与形態の経口投与に適するもの、例えば0.1mg〜1gの活性成分を含む錠剤またはカプセル剤である。
【0076】
他の局面において、本発明の医薬組成物は、静脈内、皮下または筋肉内注射に適するものである。各患者は、例えば、0.01mgkg-1〜100mgkg-1の化合物、例えば0.1mgkg-1〜20mgkg-1の本発明化合物の静脈内、皮下または筋肉内投与量を投与されてよく、本組成物は1日1〜4回投与される。静脈内、皮下および筋肉内投与量は、ボーラス注射の手段により与えてよい。あるいは、静脈内投与量を一定期間にわたる連続輸液により与えてよい。あるいは、各患者は、1日非経腸投与量と大凡等量の1日経口投与量を投与され、本組成物は1日1〜4回投与される。
【0077】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本発明の化合物を含む医薬組成物または製剤を、記載の1種以上の状態の処置のために、他の1種または多種の治療剤と同時にまたは連続的にまたは組み合わせ製剤として投与する、組み合わせ治療に関する。
【0078】
特に、リウマチ性関節炎、骨関節症、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、および炎症性腸疾患のような(しかしこれに限定されない)炎症性疾患の処置のために、本発明の化合物を次に記載する薬剤と組み合わせ得る。
【0079】
局所適用であれ、全身適用であれ、非選択的シクロオキシゲナーゼCOX−1/COX−2阻害剤を含む非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAID)(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸類、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート類、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン類、例えばフェニルブタゾン、サリチレート類、例えばアスピリン);選択的COX−2阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害性一酸化窒素ドナー(CINOD);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内、または関節内経路のいずれで投与するものであれ);メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたは他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
【0080】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アルファ−、ベータ−、およびガンマ−インターフェロン;インシュリン様増殖因子I型(IGF−1)、インターロイキン(IL)1〜17を含むIL、およびインターロイキンアンタゴニストまたは阻害剤、例えばアナキンラ;腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ;アダリムマブ、およびCDP−870)および免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)を含むTNF受容体アンタゴニストおよび低分子量薬剤、例えばペントキシフィリンを含むサイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストまたはアンタゴニスト(サイトカインシグナル伝達経路に作用する薬剤、例えばSOCS系のモジュレーターを含む)の組み合わせに関する。加えて、本発明は、本発明の化合物とB−リンパ球を標的とするモノクローナル抗体(例えばCD20(リツキシマブ)、MRA-aILl6RおよびT−リンパ球、CTLA4-Ig、HuMax Il-15)の組み合わせに関する。
【0081】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーについて)およびC−X−CファミリーについてCXCR1のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0082】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とドキシサイクリンの様な薬剤を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)、すなわち、ストロメライシン、コラゲナーゼ、およびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)、およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤の組み合わせに関する。
【0083】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT-761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott-79175;Abbott-85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン類;メトキシテトラヒドロピラン類、例えばZeneca ZD-2138;化合物SB-210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えばL-739,010;2−シアノキノリン化合物、例えばL-746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えばMK-591、MK-886、およびBAY x 1005の組み合わせに関する。
【0084】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、フェノチアジン−3−1s、例えばL−651,392;アミジノ化合物、例えばCGS−25019c;ベンゾキサルアミン類、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミドアミド類、例えばBIIL 284/260;および化合物、例えばザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP 45715A)、およびBAY x 7195から選択される、ロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4、およびLTE4の受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0085】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン;PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4Dの阻害剤、またはPDE5の阻害剤を含む選択的PDEアイソザイム阻害剤の組み合わせに関する。
【0086】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、経口的、局所的または非経腸的に適用するヒスタミン1型受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジン、またはミゾラスチンの組み合わせに関する。
【0087】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とプロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0088】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とヒスタミン4型受容体のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0089】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮性交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリンまたは塩酸エチルノルエピネフリンの組み合わせに関する。
【0090】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン作動剤、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピンまたはテレンゼピンの組み合わせに関する。
【0091】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とベータ−アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1−4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、メシル酸ビトルテロール、またはピルブテロール、またはそのキラルエナンチオマーの組み合わせに関する。
【0092】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とクロモン、例えばナトリウムクロモグリケートまたはネドクロミルナトリウムの組み合わせに関する。
【0093】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とグルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾンの組み合わせに関する。
【0094】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と核ホルモン受容体を調節する薬剤、例えばPPARsの組み合わせに関する。
【0095】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはIg機能を調節するアンタゴニストまたは抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)の組み合わせに関する。
【0096】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と他の全身的または局所的に適用する抗炎症剤、例えばサリドマイドまたはその誘導体、レチノイド類、ジトラノールまたはカルシポトリオールの組み合わせに関する。
【0097】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アミノサリチレートおよびスルファピリジン、例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジド、およびオルサラジン;および免疫調節剤、例えばチオプリン類、およびコルチコステロイド、例えばブデソニドの組み合わせの組み合わせに関する。
【0098】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン系、マクロライド系、ベータ−ラクタム系、フルオロキノロン系、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピンまたはエファビレンツの組み合わせに関する。
【0099】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と心血管剤、例えばカルシウムチャネルブロッカー、ベータ−アドレナリン受容体ブロッカー、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチンまたはフィブラート;血液細胞形態学の調節剤、例えばペントキシフィリン;血栓溶解、または抗凝血剤、例えば血小板凝集阻害剤の組み合わせに関する。
【0100】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩とCNS剤、例えば抗鬱剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばデプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)、または抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホナートの組み合わせに関する。
【0101】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、急性または慢性疼痛の処置剤、例えば中枢性または末梢性に作用する鎮痛剤(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、ナトリウムバロプロエート、アミトリプチリン(amitryptiline)または他の抗鬱剤、パラセタモール、または非ステロイド性抗炎症剤の組み合わせに関する。
【0102】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、非経腸的または局所的に適用される(吸入を含む)局所麻酔剤、例えばリグノカインまたはその誘導体の組み合わせに関する。
【0103】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩はまた、ホルモン剤、例えばラロキシフェン、またはビホスホネート、例えばアレンドロネートを含む、抗骨粗鬆症剤と組み合わせても使用できる。
【0104】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはメシル酸イマチニブ)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えばMAPキナーゼ、例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BまたはC、またはIKKの阻害剤)、または細胞周期制御に関連するキナーゼ(例えばサイクリン依存性キナーゼ)の阻害剤;(viii)グルコース−6ホスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B1.−またはB2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)カプサイシンクリーム;(xviii)タキキニンNK1またはNK3受容体アンタゴニスト、例えばNKP-608C、SB-233412(タルネタント)またはD-4418;(xix)エラスターゼ阻害剤、例えばUT-77またはZD-0892;(xx)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxi)TH2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxii)P38の阻害剤;(xxiii)トール様受容体(TLR)の機能を制御する薬剤、(xxiv)他のプリン作動性受容体の機能を制御する薬剤;または(xxv)転写因子活性化の阻害剤、例えばNFkB、API、またはSTATSの組み合わせに関する。
【0105】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩はまた眼の処置のために存在する治療剤と組み合わせても使用でき、例えば、適当な薬剤は次のものを含む:
(i)内科的腫瘍学において使用される、抗増殖性/抗新生物剤、またはそれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば葉酸代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシルまたはテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビン、またはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール);またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体下方制御剤(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドまたは酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
(iii)癌細胞侵襲を阻害する薬剤(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能の阻害剤);
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブ、または抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI 774)または6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、または肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;
【0106】
(v)抗血管新生剤、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856またはWO98/13354に開示の化合物)、または他の機構により作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤またはアンジオスタチン);
(vi)血管傷害剤、例えばコンブレタスタチンA4、またはWO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434またはWO02/08213に開示の化合物;
(vii)アンチセンス治療、例えば上記の標的の一つを指向するものに使用される薬剤、例えば、抗rasアンチセンスであるISIS 2503;
(viii)遺伝子治療手法、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1またはBRCA2を置き換える手法、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ治療)手法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用するものおよび化学療法または放射線療法に対する患者耐容性を増加するための手法、例えば多剤耐性遺伝子治療に使用される薬剤;または
(ix)免疫治療的手法、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのエクスビボおよびインビボ手法、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子でのトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させるための手法、トランスフェクト免疫細胞、例えばサイトカイントランスフェクト樹状細胞を使用する手法、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用する手法および抗イディオタイプ抗体を使用する手法に使用される薬剤。
【0107】
本発明を、ここで、次の説明的実施例を参照してさらに説明する。実施例中、NMRスペクトルは、300または400MHzのプロトン周波数でVarian Unity分光計で測定した。MSスペクトルは、Agilent 1100 MSD G1946D分光計またはHewlett Packard HP1100 MSD G1946A分光計で測定した。分取HPLC分離は、Waters Symmetry(登録商標)またはXterra(登録商標)カラムを使用して、0.1%水性トリフルオロ酢酸:アセトニトリル、0.1%水性アンモニア:アセトニトリルまたは0.1%酢酸アンモニウム:アセトニトリルを溶離剤として使用して行った。マイクロ波反応は、CEM Discover単一モードマイクロ波で行った。化合物および中間体は、ACD Labs, Toronto, Canadaにより提供されたIUPAC naming packageにより名前を付した。
【実施例】
【0108】
実施例1
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド
【化10】

a) (3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクタン
副題化合物を、文献法(Weijers, C.A.G.M. et al., JOC. 2005, 70, 6639-6646)に従い、ジメチルスルホキシド(200ml)中のカリウムtert−ブトキシド(7.84g)溶液とジメチルスルホキシド(100ml)中の(3S)−3−メチルシクロヘキサノン(4.0g、>98%ee)(Alexakis, A. et al., Synlett 2001, No.9, 1375およびHiemstra, HおよびWynberg, H., Tetrahedron Lett., 1977, 2183)およびトリメチルスルフオキソニウムアイオダイド(15.4g)の混合物を反応させることにより製造し、副題化合物を得た(3.5g)。
1H NMR δ(CDCl3) 2.62 (2H, m), 1.86 - 1.56 (5H, m), 1.26 (2H, m), 0.99 (1H, m), 0.92 (3H, d), 0.86 (1H, m).
【0109】
b) (1S,3S)−1−[(ベンジルアミノ)メチル]−3−メチルシクロヘキサノール
ベンジルアミン(5.9g)および(3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクタン(3.5g)のメタノール(1ml)溶液を、マイクロ波(100W)で、30分間、100℃で加熱し、次いで真空濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、溶離剤として20%酢酸エチル/イソヘキサン)で精製して、副題化合物を無色油状物として得た(4.5g)。
m/z 234(M+H、100%)。
【0110】
c) (1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノール.HCl
メタノール(40ml)中の(1S,3S)−1−[(ベンジルアミノ)メチル]−3−メチルシクロヘキサノール(4.5g)および5%パラジウム炭素(500mg)の混合物を、4バールの水素雰囲気下、72時間撹拌した。反応物をセライトを通して濾過し、メタノール(2x)で洗浄し、真空で濃縮して、(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールを無色油状物として得た(2.5g)。
1H NMR δ(CDCl3) 2.53 (2H, d), 1.50-1.90 (6H, cm), 1.06 (2H, m), 0.87 (3H, d) and 0.81 (2H, m).
(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールは、ジエチルエーテルの溶液として、1モル当量の1,4−ジオキサン中4M HClでの処理により副題化合物に直ぐに変換した。
【0111】
d) 2,6−ジクロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}キノリン−5−カルボキサミド
撹拌しているジクロロメタン(100ml)中の2,6−ジクロロ−キノリン−5−カルボン酸(2.40g)(WO2004/106305、実施例76、工程b)の懸濁液に、塩化オキサリル(3.15g、2.16ml)および1滴のN,N−ジメチルホルムアミドを添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、その後揮発物を真空で除去し、残渣をジクロロメタン(100ml)で希釈した。この溶液に(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノール.HCl(1.78g)およびジイソプロピルエチルアミン(6.70ml)を添加し、反応物を20時間撹拌し、その後水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、揮発物を蒸発させて、粗固体を得た。本物質をトルエンから再結晶して、副題化合物をベージュ色固体として得た(2.5g)。
1H NMR δ(CDCl3) 8.24 (1H, d), 7.99 (1H, d), 7.71 (1H, t), 7.46 (1H, d), 6.34 (1H, s), 3.56 (2H, d), 1.82 - 1.52 (7H, m), 1.35 (1H, td), 1.07 (1H, t), 0.93 (3H, d), 0.88 (1H, dd).
【0112】
e) 6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド
(S)−3−ヒドロキシピロリジン(80mg)を、アセトニトリル(3ml)中の工程d)の生成物(0.2g)およびジイソプロピルエチルアミン(300μl)の懸濁液に添加した。反応混合物をマイクロ波(100W)により、30分間、120℃で加熱し、その後真空濃縮した。水(15ml)を添加し、懸濁液を10分間超音波処理した。固体を濾過し、真空で一夜撹拌させて、表題化合物をクリーム色固体として得た(180mg)。m.p. 222℃(アセトニトリル)。
m/z 418 (M+H, 100%), 416 (M-H, 100%)
1H NMR δ(DMSO) 8.49 (1H, t), 7.81 (1H, d), 7.54 (1H, d), 7.49 (1H, d), 6.95 (1H, d), 4.99 (1H, d), 4.42 (1H, s), 4.15 (1H, s), 3.59 (3H, m), 3.47 (1H, s), 3.28 (2H, d), 2.04 (1H, m), 1.92 (1H, m), 1.73 (1H, m), 1.64 - 1.41 (5H, m), 1.29 (1H, m), 1.04 (1H, t), 0.84 (3H, d), 0.75 (1H, m).
【0113】
実施例2
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド
【化11】

表題化合物を、実施例1、工程e)の方法により、アセトニトリル(3ml)中で(R)−3−ヒドロキシピロリジン(80mg)((S)−3−ヒドロキシピロリジンの代わり)と実施例1、工程d)の生産物(0.2g)およびジイソプロピルエチルアミン(300μl)を反応させることにより、表題化合物をクリーム色固体として得た(190mg)。m.p. 222−223℃(アセトニトリル)。
m/z 418 (M+H, 100%).
1H NMR δ(CD3OD) 7.92 (1H, d), 7.65 (1H, d), 7.49 (1H, d), 6.94 (1H, d), 4.54 (1H, d), 3.69 (3H, m), 3.62 (1H, m), 3.41 (2H, s), 2.15 (1H, m), 2.10 (1H, m), 1.86-1.53 (6H, br. m), 1.40 (1H, m), 1.12 (1H, t), 0.89 (3H, d), 0.85 (1H, q).
【0114】
実施例3
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド
【化12】

表題化合物を、実施例1、工程e)の方法により、アセトニトリル(2ml)中でピペリジン−4−オール(28mg)((S)−3−ヒドロキシピロリジンの代わり)と、実施例1、工程d)の生成物(0.10g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.11g)を反応させることにより、表題化合物を白色固体として得た(99mg)。m.p. 120℃分解。
m/z 432 (M+H, 100%), 430 (M-H, 100%)
1H NMR δ(DMSO) 8.46 (1H, t), 7.79 (1H, d), 7.52 (1H, d), 7.49 (1H, d), 7.32 (1H, d), 4.71 (1H, d), 4.18 (2H, m), 4.13 (1H, s), 3.73 (1H, m), 3.37 - 3.20 (4H, m), 1.84 - 1.21 (11H, m), 1.02 (1H, t), 0.82 (3H, d), 0.73 (1H, m)
【0115】
実施例4
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(3−ヒドロキシ−3−メチルピロリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド
【化13】

a) 1−ベンジル−3−メチルピロリジン−3−オール
メチルマグネシウムブロマイド(ジエチルエーテル中3M溶液4ml)を、テトラヒドロフラン(50ml)中の1−ベンジルピロリジン−3−オン(1.75g)の溶液に0℃で滴下した。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後水およびジエチルエーテルを添加し、層を分離した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮した。粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、溶離剤として5%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、副題化合物を薄褐色油状物として得た(0.8g)。
1H NMR δ(CDCl3) 7.34-7.20 (5H, m), 3.63 (2H, s), 3.00-2.92 (1H, m), 2.71 (1H, d), 2.37-2.28 (1H, m), 2.22 (1H, d), 1.92-1.84 (2H, m), 1.33 (3H, s).
【0116】
b) 3−メチルピロリジン−3−オール
エタノール(1ml)中の5%パラジウム炭素のスラリーを、メタノール(10ml)中の1−ベンジル−3−メチルピロリジン−3−オール(0.8g)の溶液に添加し、反応物を5バールの水素雰囲気下、4日間撹拌し、その後セライトを通して濾過し、エタノール(100ml)で洗浄した。揮発物を真空で除去して、副題生成物を黄色油状物として得た(0.42g)。
1H NMR δ(CDCl3) 3.18 (1H, m), 2.96 (1H, m), 2.90 (1H, d), 2.68 (1H, d), 1.82 (2H, m), 1.41 (3H, s).
【0117】
c) 6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(3−ヒドロキシ−3−メチルピロリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド
表題化合物を、実施例1、工程e)の方法により、アセトニトリル(1ml)中で3−メチルピロリジン−3−オール(0.42g)((S)−3−ヒドロキシピロリジンの代わり)と2,6−ジクロロ−キノリン−5−カルボン酸(1−ヒドロキシ−3−メチル−シクロヘキシルメチル)−アミド(0.10g)およびトリエチルアミン(0.38ml)(ジイソプロピルエチルアミンの代わり)を反応させることにより製造して、粗製表題化合物をジアステレオマーの1:1混合物として得た。反応物を真空濃縮し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、溶離剤として4%メタノール/ジクロロメタン)により無色固体(70mg)として単離した。ジアステレオマーを、溶離剤として25%エタノール/二酸化炭素を使用するOJ Daicelカラムの超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により分離して、異性体1を無色固体(18mg)として得た;m.p. 195−200℃分解。
m/z 432 (M+H, 100%),
1H NMR δ(DMSO) 8.48 (1H, t), 7.80 (1H, d), 7.55-7.46 (2H, m), 6.92 (1H, d), 4.82 (1H, s), 4.14 (1H, s), 3.70-3.49 (2H, m), 3.38 (1H, d), 3.27 (1H, d), 2.54-2.46 (2H, m), 1.99-1.42 (8H, m), 1.37 (3H, s), 1.34-1.22 (1H, m), 1.04 (1H, t), 0.84 (3H, d), 0.81-0.68 (1H, m),
そして異性体2を無色固体(17mg)として得た;m.p. 200−202℃、
m/z 432 (M+H, 100%),
1H NMR δ(DMSO) 8.48 (1H, t), 7.80 (1H, d), 7.54-7.48 (2H, m), 6.83 (1H, d), 4.82 (1H, s), 4.14 (1H, s), 3.70-3.48 (2H, m), 3.38 (1H, d), 3.28 (1H, d), 2.53-2.48 (2H, m), 2.02-1.42 (8H, m), 1.37 (3H, s), 1.33-1.21 (1H, m), 1.04 (1H, t), 0.84 (3H, d), 0.80-0.68 (1H, m).
【0118】
実施例5
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド(実施例2の別製造法)
【化14】

実施例5の一般的条件:NMRスペクトルを、Bruker Avance 360MHz、Bruker Avance 400MHzまたはBruker DPX250 250MHz分光計で測定した。分析的立体化学HPLC決定を、ACE 3 Phenyl、150×3mmおよびChirapak AD-H 150×4.6mmカラムで、各々0.1%水性酢酸アンモニウム:アセトニトリル勾配溶出および19.9:80:0.1 イソプロパノール:イソヘキサン:トリエチルアミン定組成溶出を使用して行った。
【0119】
a) 2,6−ジクロロキノリン
オキシ塩化リン(16.72Kg)を、6−クロロキノリン−2(1H)−オン(12.50Kg)(Johnston K.M. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1972, 1648およびその中の引用文献の方法に従い製造)、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム(1.575Kg)および1,2−ジメトキシエタン(87.8Kg)を含む反応器に、70℃で添加した。1,2−ジメトキシエタン(22.5Kg)を内壁洗浄液として添加した。反応物を70℃〜75℃で約6時間撹拌し、その後、反応液を真空蒸留(<40℃)により約44Lに濃縮した。濃縮物をジクロロメタン(253.1Kg)で希釈し、38℃〜45℃に合わせ、温度を38℃〜45℃に維持しながら水(37.5Kg)の添加により反応を停止した。70分後、反応液を25℃〜30℃に冷却し、セライト(1.30Kg)で40分間処理した。スラリーを1μmフィルター膜を通して、加圧濾過し、濾液をジクロロメタン(87.5Kg)で分離した。相を分離し、水性相を2回ジクロロメタン(82Kg)で抽出した。合わせた有機抽出物を連続的に5%w/w炭酸水素ナトリウム溶液(37L)、水(37Kg)で洗浄し、次いで25℃〜40℃で約75Lに濃縮した。イソプロパノール(96.5Kg)を添加し、次いで、混液を25℃〜40℃で約75Lに濃縮した。イソプロパノール(95.4Kg)を添加し、次いで、混液を25℃〜40℃で約75Lに濃縮した。得られたスラリーを、16℃〜18℃で2時間撹拌し、次いで濾過した。フィルターケーキをイソプロパノール(19.7Kg)で約20℃で洗浄し、次いで50℃までの温度で真空で乾燥させて、副題化合物を灰白色固体として得た(12.04Kg)。
1H NMR δ(DMSO) 8.45 (1H, d), 8.22 (1H, d), 7.99 (1H, d), 7.86 (1H, dd), 7.68 (1H, d).
【0120】
b) 2,6−ジクロロ−5−ヨードキノリン
2,6−ジクロロキノリン(12.04Kg)を、15℃〜25℃の温度が維持されるように、約10等分でトリフルオロメタンスルホン酸(80.6Kg)に添加した。次いでN−ヨードスクシンイミド(13.74Kg)を、15℃〜25℃の温度が維持されるように、約5等分で添加した。反応物を20℃〜25℃で約36時間撹拌した。温度を15℃〜20℃に調節し、ジクロロメタン(159.4Kg)で希釈し、5℃〜10℃に調節し、温度を5℃〜23℃に維持しながら水(96.5Kg)でクエンチした。スラリーを1μmフィルター膜を通して浄化し、内壁をジクロロメタン(16.1Kg)で洗浄した。相を分離し、水性相をジクロロメタン(48.2Kg)で抽出した。合わせた有機抽出物を5%w/w炭酸水素ナトリウム溶液(48L)で洗浄した。炭酸水素ナトリウム相をジクロロメタン(15.4Kg)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を20%w/wチオ硫酸ナトリウム溶液(48L)で洗浄した。チオ硫酸ナトリウム相をジクロロメタン(16.3Kg)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を水(47L)で洗浄した。水相をジクロロメタン(16.4Kg)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を再び反応器に入れ、内壁をジクロロメタン(31.3Kg)で洗浄し、大気圧で約48Lに濃縮した。ジクロロメタン(63Kg)を添加し、混液を大気圧で約48Lに濃縮した。ジクロロメタン(66Kg)を添加し、混液を大気圧で約48Lに濃縮した。ジクロロメタン(63.6Kg)を添加し、混液を大気圧で約48Lに濃縮した。ジクロロメタン(63.8Kg)を添加し、混液を大気圧で約48Lに濃縮した。ジクロロメタン(77.8Kg)を添加し、混液を大気圧で約48Lに濃縮した。アセトニトリル(47.7Kg)を添加し、混液を大気圧で約96Lに濃縮した。アセトニトリル(46.4Kg)を添加し、混液を大気圧で約96Lに濃縮した。混液を18℃〜23℃に冷却し、2.5時間撹拌し、次いで濾過した。フィルターケーキを2回アセトニトリル(19.6Kg)で約20℃で洗浄し、次いで55℃までの温度で真空で乾燥させて、副題化合物を薄黄色固体として得た(16.74Kg)。
1H NMR δ(DMSO) 8.51 (1H, d), 8.01-7.94 (2H, m), 7.72 (1H, d).
【0121】
c) 2,6−ジクロロ−キノリン−5−カルボン酸
2.09M イソプロピルマグネシウムクロライド(27.0L)を、2,6−ジクロロ−5−ヨードキノリン(15.0Kg)および脱気テトラヒドロフラン(103.4Kg)を含む反応器に、18℃〜25℃で添加した。テトラヒドロフラン(13.9Kg)を内壁洗浄液として添加した。反応物を18℃〜25℃で15分間撹拌し、10℃〜15℃に冷却し、5℃〜25℃の温度を維持しながらガス状二酸化炭素を約6時間送気した。メタノール(12.3Kg)を15℃〜20℃で反応器に添加し、約30分間撹拌し、次いでさらに水(134.0Kg)で希釈した。反応液を、真空蒸留(<40℃)により約135Lに濃縮した。濃縮物を水(121Kg)、酢酸エチル(40.7Kg)で希釈し、20℃〜25℃に調節した。相を分離し、水性相を酢酸エチル(3×40.8Kg)で洗浄した。水性相のpHを1M 塩酸(3.97L)を使用してpH5.09に調節し、2回tert−ブチルメチルエーテル(23.4Kg)で洗浄した。水性相のpHを、2M 塩酸(25.5L)を使用してpH1.35に調節し約1時間、22℃で撹拌し、濾過した。フィルターケーキを4回水(約60L)で約20℃で洗浄し、次いで55℃までの温度で真空で乾燥させて、副題化合物を薄黄色固体として得た(8.74Kg)。
1H NMR δ(DMSO) 14.41 (1H, br s), 8.32 (1H, d), 8.10 (1H, dd), 7.97 (1H, d), 7.77 (1H, d).
【0122】
d) O,O'−(S)−(1,1'−ジナフチル−2,2'−ジイル)−N,N'−ジ−(R,R)−1−フェニルエチルホスホロアミデイト
(R−(R,R))−(+)−ビス(アルファ−メチルベンジル)アミン(0.35Kg)を、温度を18℃〜25℃に維持しながら、三塩化リン(0.1365Kg)、トルエン(3.15L)およびトリエチルアミン(0.714L)を含む反応器に添加した。トルエン(0.35L)をライン濯ぎ液として添加した。3.5時間後、温度を20℃〜26℃に維持しながら、(S)−(−)−1,1'−ビ(2−ナフトール)(0.445Kg)をテトラヒドロフラン(0.70L)溶液として添加した。テトラヒドロフラン(0.35L)を内壁洗浄液として添加した。反応混合物を18時間、環境温度で撹拌し、次いでシリカ[9cm(h)×19cm(w)]で濾過した。生成物をトルエン(10×1.75L)で溶出した。合わせた濾液を<35℃で約1Lに真空濃縮し、次いでアセトニトリル(5.6L)で希釈した。得られたスラリーを0℃〜5℃に冷却し、約1時間撹拌し、次いで濾過した。フィルターケーキをアセトニトリル(2×0.70L)で洗浄し、窒素下、フィルターで乾燥させて、副題化合物を無色固体として得た(0.65Kg)。
1H NMR δ(CDCl3) 7.95-7.87 (4H, m), 7.59 (1H, s), 7.47-7.36 (4H, m), 7.29-7.20 (3H, m), 7.18-7.03 (10H, m), 4.58-4.44 (2H, m), 1.72 (6H, d).
【0123】
e) (S)−3−メチルシクロヘキサノン
トルエン(38.1Kg)を、O,O'−(S)−(1,1'−ジナフチル−2,2'−ジイル)−N,N'−ジ−(R,R)−1−フェニルエチルホスホロアミデイト(0.448Kg)および銅(II)トリフルオロ−メタンスルホネート(0.132Kg)を含む反応器に添加し、21℃で約90分間撹拌した。反応器をアルゴンでパージし、−25℃〜−30℃に冷却し、−25℃〜−30℃の温度を維持しながら、シクロヘキシ−2−エン−1−オン(14.0Kg)を添加した。トルエン(12.1Kg)を内壁洗浄液として添加した。トルエン中2M ジメチル亜鉛(約84.5L)を、−20℃〜−30℃の温度を維持しながら約4.5時間にわたり添加した。トルエン(12.5Kg)を内壁/反応器洗浄液として添加した。反応物を−20℃〜−30℃で約10時間撹拌し、その後反応液を、温度を<10℃に維持しながら、冷メタノール(54.5Kg)で約45分間かけて反応停止した。混液をトルエン(5.5Kg)で希釈し、7℃で1時間で撹拌し、18℃に温め、次いでさらに6時間撹拌した。反応混合物を100μmおよび1μmフィルター膜を使用して濾過し、フィルターケーキを2回トルエン(13Kg)で約20℃で洗浄した。反応混合物を大気圧で70Lに濃縮し、次いでワイプドフィルム蒸発(wiped film distillation)により精製して、副題化合物(13.13Kg)をトルエン中の溶液として得た。
1H NMR δ(CDCl3) 2.45-2.15 (3H, m), 2.10-1.80 (4H, m), 1.75-1.55 (1H, m), 1.40-1.25 (1H, m), 1.05 (3H, d).
【0124】
f) (3S,5S)−5−メチル−1−オキサ−スピロ[2.5]オクタン
ジメチルスルホキシド(36Kg)中のカリウムtert−ブトキシド(11.6Kg)の溶液を、15℃〜25℃の温度を維持しながら、ジメチルスルホキシド(36.2Kg)中のトリメチルスルフオキソニウムアイオダイド(22.68Kg)の混合物に添加した。ジメチルスルホキシド(11.5Kg)を内壁/反応器洗浄液として添加し、混液を15℃〜25℃で90分間撹拌した。3−メチル−シクロヘキサノン(10.50Kg)含有トルエン溶液(61.02Kg)を、15℃〜25℃の温度を維持しながら反応に添加した。トルエン(9.9Kg)を内壁/反応器洗浄液として添加した。反応液を2時間撹拌し、15℃〜25℃の温度を維持しながら水(94.5Kg)で反応停止し、次いで濾過した。水(11.0Kg)を内壁/反応器洗浄液として添加した。相を分離し、有機相を副題化合物(11.1Kg)のトルエン中の溶液として保持した。
1H NMR δ(CDCl3) 2.61 (2H, dd), 2.00-1.36 (6H, m), 1.32-1.16 (2H, m), 1.05-0.80 (4H, m).
【0125】
g) (1S,3S)−1−[(ベンジルアミノ)メチル]−3−メチル−シクロヘキサノール.HCl
ベンジルアミン(20.4Kg)を、15℃〜25℃の温度を維持しながら、(3S,5S)−5−メチル−1−オキサ−スピロ[2.5]オクタン(9.69Kg)およびイソプロパノール(22.2Kg)のトルエン溶液(72.3Kg)に添加した。イソプロパノール(15.6Kg)を内壁/反応器洗浄液として添加し、反応混液を68℃〜72℃に調節した。約5.5時間後、混液を6℃に冷却し、イソプロパノール中の塩酸[アセチルクロライド(24.4Kg)とイソプロパノール(26.7Kg)から調製]を、温度が0℃〜20℃に維持されるように添加した。冷却したtert−ブチルメチル−エーテル(35.9Kg)を、0℃〜20℃の温度を維持しながら添加し、次いで約10℃で90分間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキを2回tert−ブチルメチルエーテル(約35Kg)で、約10℃で洗浄し、次いで真空下、フィルター上で約10時間乾燥させて、副題化合物を無色固体として得た(20.29Kg)。
1H NMR δ(CDCl3) 9.40 (1H, br s), 7.63-7.60 (2H, m), 7.44-7.36 (3H, m), 4.31 (1H, s), 4.23 (2H, s), 2.74 (2H,s), 2.10-1.45 (7H, m), 1.11 (1H. dt), 0.83 (3H, d), 0.87-0.68 (1H, m).
【0126】
h) (1S,3S)−1−アミノメチル−3−メチル−シクロヘキサノール.HCl
20%w/v水酸化ナトリウム(50L)を、18℃〜25℃の温度を維持しながら、(1S,3S)−1−[(ベンジルアミノ)メチル]−3−メチルシクロヘキサノール.HCl(25Kg、13.93Kg含む)およびtert−ブチルメチルエーテル(88.6Kg)を含む反応器に添加した。相を分離し、水性相を2回tert−ブチルメチルエーテル(37.2Kg)で抽出した。合わせた有機抽出物を反応器に再び入れ、内壁をtert−ブチルメチルエーテル(20.2Kg)で洗浄し、大気圧で約75Lに濃縮した。tert−ブチルメチルエーテル(52.6Kg)を添加し、反応液を大気圧で約75Lに濃縮した。無水エタノール(118.6Kg)を添加し、反応液を30℃〜45℃で約75Lに濃縮した。温度を約20℃に調節し、次いで5%パラジウム炭素(5.00kg)を含む、窒素パージした反応器に添加した。無水エタノール(63.0Kg)を反応器/内壁洗浄液として添加した。反応器を水素雰囲気下に置き、58℃〜62℃に調節し、12時間撹拌した。反応物を18℃〜25℃に冷却し、窒素でパージし、濾過した。無水エタノール(20.8Kg)を、反応器/内壁および濾過ケーキ中を循環させて、生成物を回収した。さらに、無水エタノール(19.7Kg)を、反応器/内壁および濾過ケーキケーキ中を循環させ、生成物を回収した。合わせた濾液を30℃〜45℃で約75Lに濃縮し、次いでジイソプロピルエーテル(132.3Kg)で希釈した。反応混合物を加熱還流し、大気圧で約75Lに濃縮した。ジイソプロピルエーテル(124.6Kg)を添加し、混液を大気圧で約75Lに濃縮した。ジイソプロピルエーテル(123Kg)を添加し、混液を大気圧で約75Lに濃縮した。混合物を5℃〜10℃に冷却し、エタノール中のHCl[アセチルクロライド(7.68Kg)とエタノール(49.9Kg)から調製]を、5℃〜20℃の温度を維持するように添加した。冷却したジイソプロピルエーテル(73.2Kg)を、5℃〜20℃の温度を維持しながら添加し、次いで約7℃で1時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し。フィルターケーキを2回ジイソプロピルエーテル(約38Kg)で約20℃で洗浄し、次いで真空下、フィルター上で約10時間乾燥させて、副題化合物を無色固体として得た(8.02Kg)。
1H NMR δ(D2O) 3.06 (2H, s), 1.84-1.60 (7H, m), 1.44-1.30 (1H, m), 1.10 (1H, t), 1.02-0.87 (4H, m).
【0127】
i) 2,6−ジクロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−キノリン−5−カルボキサミド
塩化チオニル(7.2Kg)を、2,6−ジクロロ−キノリン−5−カルボン酸(5.00Kg)およびトルエン(43.0Kg)を含む反応器に添加した。トルエン(13.1Kg)をライン濯ぎ液として添加した。反応物を82℃〜84℃に調節し、約7時間撹拌した。反応液を<40℃に冷却し、30℃〜40℃で真空蒸留により約25Lに濃縮した。トルエン(43.5Kg)を添加し、バッチを30℃〜40℃で約25Lに濃縮した。トルエン(22.0Kg)を添加し、温度を20℃〜25℃に調節した。次いで、このトルエン溶液を、冷却した、(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールヒドロクロライド(3.70Kg)、テトラヒドロフラン(43.5Kg)およびトリエチルアミン(6.26Kg)の混合物に、5℃〜10℃の温度を維持するように添加した。トルエン(4.6Kg)を内壁洗浄液として添加した。4時間後、温度を20℃〜25℃に調節し、20℃〜25℃の温度を維持しながら、水(25Kg)の添加により反応を停止した。温度を40℃〜45℃で20分間調節し、その後相を分離した。有機相を水(25L)で40℃〜45℃で洗浄し、次いで25℃〜40℃で45Lに濃縮した。トルエン(42.7Kg)を添加し、混液を、25℃〜40℃で約45Lに濃縮した。トルエン(43.2Kg)を添加し、混液を、25℃〜40℃で約45Lに濃縮した。次いで反応混合物を完全に溶解させるために加熱還流し、20℃〜25℃に2.5時間にわたり冷却し、次いで2.5時間、20℃〜25℃で撹拌した。得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキを2回トルエン(約9Kg)で約20℃で洗浄し、次いで55℃までの温度で真空で乾燥させて、副題化合物を無色固体として得た(5.88Kg)。
1H NMR δ(DMSO) 8.66 (1H, t), 8.25 (1H, d), 8.04 (1H, d), 7.91 (1H, d), 7.76 (1H, d), 4.24 (1H, s), 3.35-3.25 (2H, dであることが予測されたが、シグナルは水シグナルにより不明瞭である), 1.85-1.45 (6H, m), 1.32 (1H, dt), 1.05 (1H, t), 0.92-0.71 (4H, m).
【0128】
j) 6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド
メタノール(36.9Kg)を、2,6−ジクロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−キノリン−5−カルボキサミド(5.85Kg)、(R)−3−ヒドロキシピロリジンヒドロクロライド(4.15Kg)、アセトニトリル(32.5Kg)およびトリエチルアミン(9.8Kg)を含む反応器に添加した。反応器を加熱還流した。約70時間後、反応液を40〜45℃に冷却し、1μmフィルター膜を通して浄化した。メタノール(4.7L)を反応器/内壁洗浄液として添加し、混液を大気圧で約29Lに濃縮した。アセトニトリル(46.8Kg)を添加し、混液を大気圧で約29Lに濃縮した。アセトニトリル(46.8Kg)を添加し、混液を大気圧で約29Lに濃縮した。混液を18℃〜25℃に冷却し、水(56.5Kg)で希釈し、1時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキを2回水(約30Kg)で洗浄し、次いで45℃までの温度で真空で乾燥させて、表題化合物を無色固体として得た[5.6Kg、100%ee、98.5%de(分析的立体化学HPLCにより測定して、全ての可能な立体異性体を超えて過剰)]。
1H NMR δ(DMSO) 8.53 (1H, t), 7.84 (1H, d), 7.59-7.51 (2H, 2 x d), 6.99 (1H, d), 5.03 (1H, d), 4.45 (1H, br s), 4.19 (1H, s), 3.79-3.41 (4H, m), 3.31 (2H, d), 2.13-1.29 (9H, m), 1.08 (1H, t), 0.94-0.73 (4H, m).
【0129】
薬理学的分析
P2Xアッセイ
ある種の化合物、例えばベンゾイルベンゾイルアデノシン三リン酸(bbATP)は、原形質膜における孔形成に作用する、P2X受容体のアゴニストであることが既知である(Drug Development Research(1996), 37(3), p.126)。その結果、この受容体が臭化エチジウム(蛍光DNAプローブ)存在下でbbATPを使用して活性化されたとき、細胞内DNAに結合した臭化エチジウムの蛍光の増加が観察される。蛍光増加は、P2X受容体活性化およびの使用として、それゆえ、P2X受容体に対する化合物の効果を定量するために使用できる。
【0130】
この方法で、各実施例の表題化合物を、P2X受容体でのアンタゴニスト活性について試験した。それ故、本試験は96ウェル平底マイクロタイタープレートで行い、ウェルには、10−4M 臭化エチジウムを含むTHP−1細胞(2.5×10細胞/ml)の200μlの懸濁液、10−5M bbATPを含む25μlの高カリウム緩衝液および典型的に30μM−0.001μMの種々の濃度の試験化合物を含む25μlの高カリウム緩衝液を含む、250μlの試験溶液が充填された。プレートをプラスチックシートで覆い、37℃で1時間インキュベートした。次いでプレートをPerkin-Elmer蛍光プレートリーダーで、励起520nm、放出595nm、スリット幅:励起15nm、放出20nmで読んだ。比較目的で、bbATP(P2X受容体アゴニスト)およびピリドキサール5−ホスフェート(P2X受容体アンタゴニスト)を、コントロールとして試験に別々に使用した。得られた読み取り値から、各化合物についてpIC50値を計算し、この値は、bbATPアゴニスト活性を50%低下させるのに必要な試験化合物の濃度の負の対数である。
【0131】
hERG結合プロトコール
hERGアッセイをWO2005/037052に記載の方法で行った。ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)遺伝子によりコードされるイオンチャネルサブユニットに対する化合物の親和性(pIC50)を、放射性リガンド3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの、hERGを発現するHEK(ヒト胚腎臓)細胞膜への競合アッセイにより、フィルター・洗浄フォーマットで測定した。
【0132】
膜を、3時間、室温で試験化合物の連続希釈物、1nM最終濃度の放射性リガンド3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、およびアッセイ緩衝液(10mM HEPES、130mM NaCl、5mM KCl、1mM EGTA、0.8mM MgCl2、pH7.4)とインキュベートした。本アッセイを、200μLの最終体積で、1%(v/v)ジメチルスルホキシド存在下で行った。非特異的結を、10μMアステミゾール存在下での3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの結合を測定することにより決定した。このインキュベーション中GF/Bフィルタープレートを、コーティング溶液0.3%(v/v)ポリエチレンイミンおよび0.2%(w/v)BSAに浸した。インキュベーション後、アッセイプレートを、Tomtec harvesterを使用してGF/Bフィルタープレートに採取した。
【0133】
3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン結合の50%低下に必要な化合物濃度の負の対数として定義されるpIC50を決定した。‘未満’の数値は、試験した最高濃度である記載の濃度での50%未満の阻害を示す。
【0134】
結果
各実施例の化合物は、非常に高いP2Xアンタゴニスト活性を示し、≧8.0のpIC50値を有した。さらに、各化合物は特に低いhERG活性を示し、試験した最高濃度で50%未満の阻害であった。表1は、実施例1−4(異性体2)、およびWO2004/106305に例示された比較化合物(実施例29、36,44および50)のP2X pIC50値およびhERG pIC50値を示す。
【0135】
【表1】

【0136】
本発明の化合物は、10nM以下の濃度でP2X IC50値を示した。さらに、それらは、100μMの濃度でhERGについてIC50を記録するほど十分な活性を示さなかった。従って、本発明の化合物は、>10,000のP2X:hERG親和性の比を有する。比較化合物であるWO2004/106305の実施例29、36、44および50は、各々、32μM、8μM、13μMおよび13μMの濃度でhERG IC50を記録し、P2X IC50を記録するために63nM、6nM、13nMおよび32nMの濃度が必要であった。従って、それらのP2X:hERG親和性比は、各々ほんの502、1258、1000および398である。
【0137】
バイオアベイラビリティ − ラットPK
薬物動態学的パラメーターおよび概念を、体内での化合物の運命を述べるためにDMPKにおいて使用する。化合物の分布および排出は、血漿濃度−時間プロファイルに反映される。適切な投薬、サンプリングおよび分析により、鍵となるパラメーター(クリアランス、体積、半減期、バイオアベイラビリティなど)を決定できる。
【0138】
試験化合物を、典型的に、DMA:水(40:60v/v)中3mg/kg(1ml/kg)の投与量で、雄Sprague Dawleyラットの右外側尾静脈に静脈内投与した。ラットに0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、w/v)/0.1%Tween 80(v/v)の水溶液)の5mg/kg(2ml/kg)の投与量で経口投与した。IV投与後、連続血液サンプル(200μl)を、左外側尾静脈から2、4、8、15、30、60、120、180、300、420、720および1440分後に、および経口投与0、20、40、60、120、180、300、420、720および1440分後に採取した。血漿を遠心分離により調製した。
【0139】
試験化合物の血漿濃度を決定するために、50μlのメタノールを、各50μlの試験サンプルに添加し、一方40μlのメタノールを、検量線およびQCを作るために使用する確実な標準品を10μl添加されたコントロール血漿の50μlアリコートに添加した。最後に、化学的に同等な内部標準品を含む100μlのメタノールを各サンプル、標準およびQCに添加し、最終体積200μlとした。次いで、全血漿サンプルを激しく混合し、−20℃に少なくとも1時間置き、その後遠心分離した。得られた上清を、コーン・ボルト数および衝突エネルギーの両方を最適化することにより適切な、選択的および感受性の方法が作られた後にHPLC−MSMSにより分析した。
【0140】
薬物動態学的パラメーターを、WinNonLin(登録商標)での非比区画化分析を使用して濃度−時間から導いた。バイオアベイラビリティを次の式
F=AUCPO*用量IV/AUCIV*用量PO
を使用して計算した。
実施例2のラットpoバイオアベイラビリティ=59%
【0141】
インビトロリン脂質代謝異常プロトコール
化合物のリン脂質代謝異常を引き起こす可能性の評価を、一次ラット肝細胞におけるリン脂質の蓄積を報告するインビトロ蛍光アッセイにより決定した。肝細胞をHan Wistarラットから、2段階コラゲナーゼ消化法により単離した。次いで肝細胞を、William's E培地中で、コラーゲン被覆96ウェルプレートに播種した。細胞を1時間接着させ、次いで培地をHepatozyme細胞培養培地中、250μg.ml−1 コラーゲンの溶液に置き換えた。
【0142】
次いで細胞を48時間培養し、培地を24時間で変えた。単離48時間後、培地を蛍光リン脂質N−(6−テトラメチルローダミンチオカルバモイル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DHPE−TRITC)(5μg.ml−1)を添加したHepatozymeに変えた。この時点で、試験化合物を、0.4%の最終濃度のジメチルスルホキシド(試験化合物用溶媒として使用)で連続希釈された一定範囲の濃度で肝細胞に添加した。
【0143】
細胞をさらに24時間インキュベートし、次いで核染料Hoechst 33342(最終濃度2μM)およびパラホルムアルデヒド溶液(最終濃度4%)を含むリン酸緩衝化食塩水(PBS)溶液の添加により固定した。プレートを室温で30分間維持し、次いで3回PBS溶液で洗浄した。
【0144】
次いで肝細胞の画像を、自動化顕微鏡プラットホーム(GE In Cell Analyser 3000)を使用して獲得した。次いで画像分析アルゴリズムを使用して、細胞生存能および生存肝細胞内へのDHPE−TRITC標識の蓄積を評価した。試験化合物において観察された定量かした蓄積を、次いで、媒体のみに曝された細胞において観察された蓄積を示す0から10μMアミオダロンに曝された細胞を示す1までの範囲に標準化した。細胞生存能が>50%であるときの試験化合物の用量応答にわたる最大蓄積を、その最大が観察された用量として報告する。>50%細胞毒性を引き起こした最低投与量も報告する。個々の細胞における毒性を、凝縮した、斑点のある形態学への核標識の変化として定義する。
【0145】
リン脂質代謝異常が観察される投与量は、リン脂質代謝異常のインビボ発生率と逆相関することが知られている(David K Monteith, Ryan E Morgan & Bartley Halstead (2006) “In vitro assays and biomarkers for drug-induced phospholipidosis”. Expert Opinion on Drug Metabolism & Toxicology, vol.2 (5), pp687-696)。
【0146】
本発明の実施例2は、250uMの最大試験濃度でさえ、測定可能な蓄積を記録しなかった。さらにそれは>250uMの最小毒性濃度を記録した。
【0147】
血漿タンパク質結合の測定
血漿タンパク質結合の程度を、ヒト血漿と水性緩衝液間の37℃での化合物の平衡透析およびHPLC−MS/MSによる血漿および緩衝液中の化合物の濃度の測定により決定した。
【0148】
透析セル(分子量カットオフ5000)を、水で濯ぎ、その後透析緩衝液で最小限1時間浸すことにより調製した。透析緩衝液は等張緩衝化食塩水pH7.4であった。ジメチルスルホキシド中の化合物の貯蔵溶液を0.5mM濃度で調製した。
【0149】
化合物の貯蔵DMSO溶液を、血漿に1mlの血漿あたり10μlのDMSOの比で添加した。これにより、5μMの濃度の各化合物を含む、血漿溶液中1%DMSOを得た。
【0150】
次いで、透析セルを調製し、セルの半分に750μlの透析緩衝液を満たし、セルの残り半分に750μlの化合物の血漿溶液を満たした。調製ができたら、セルを密閉し、37℃でインキュベーターボックスに入れた。次いでこれらのセルを平衡化するために最小限4時間回転させた。
【0151】
平衡化後500μlの緩衝液サンプルを採り、100μlの血漿と共にHPLCバイアルに添加し(6倍希釈血漿中のサンプル)。
【0152】
次いでサンプルをHPLC−MS/MSを使用して分析した。4点較正曲線を、緩衝液サンプル、次いで血漿サンプルが続くこの順序で注入した、貯蔵溶液の6倍希釈血漿での0.013μM、0.05μM、0.25μMおよび1.25μMの濃度への希釈により得た。
【0153】
計算
サンプル中の化合物の濃度を、較正曲線を自動的に計算し、検体中の化合物の濃度を内挿するMassLynx version 4.1 software(produced by Waters/Micromass)を使用して決定した。血漿タンパク質結合は、次の式を使用して、血漿中で結合している化合物のパーセンテージ(結合%)として、測定した濃度から決定した;
【数1】

実施例2のヒト血漿タンパク質結合(結合%)=88%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、nは0または1であり;
nが0であるとき、Rは水素またはメチルであり、Rはヒドロキシルであり、そしてRは水素であり;そして
nが1であるとき、Rは水素であり、RおよびRの一方はヒドロキシルであり、そしてRおよびRの他方は水素である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
nが0であり、Rが水素またはメチルであり、Rがヒドロキシルであり、そしてRが水素である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が水素である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
がメチルである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
nが1であり、Rが水素であり、RおよびRの一方がヒドロキシルであり、そしてRおよびRの他方が水素である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
がヒドロキシルであり、そしてRが水素である、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が水素であり、そしてRがヒドロキシルである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド、
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]キノリン−5−カルボキサミド、
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド、および
6−クロロ−N−{[(1S,3S)−1−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル]メチル}−2−(3−ヒドロキシ−3−メチルピロリジン−1−イル)キノリン−5−カルボキサミド
から選択される、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、請求項9に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
治療において使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
リウマチ性関節炎の処置において使用するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
(a) 式(II)
【化2】

〔式中、Xは適当な脱離基である。〕
の化合物と、式(III)
【化3】

〔式中、R、R、Rおよびnは式(I)において定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、そして所望により本化合物の薬学的に許容される塩を形成させることを含む、方法。
【請求項14】
(1S,3S)−1−(アミノメチル)−3−メチルシクロヘキサノールである化合物、またはその塩。
【請求項15】
2,6−ジクロロ−5−ヨードキノリンである化合物。

【公表番号】特表2010−522227(P2010−522227A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500344(P2010−500344)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000946
【国際公開番号】WO2008/114002
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】