説明

炎症性腸疾患治療用の組成物及び治療方法

【課題】セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)の治療のための組成物及び治療方法を提供すること。
【解決手段】組成物は、抗I型インターフェロン受容体抗体である拮抗物質、これらの断片、I型インターフェロンとこの受容体(IFNAR)との相互作用を阻害するポリペプチド、小分子等の一つ以上の抗I型インターフェロン拮抗物質を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、セリアック病、クローン病、及び潰瘍性大腸炎(ひとまとめにして炎症性腸疾患、又はIBDと呼ばれる)に関する。本発明は、さらに詳しくは、I型インターフェロンの拮抗物質、及び、この拮抗物質をIBDの治療のために使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎(炎症性腸疾患、又はIBDと呼ばれる)は、胃腸管の慢性炎症性疾患である。これらセリアック病とクローン病との間で臨床的特徴が幾分異なってはいるものの、いずれの疾患も、腹痛、(しばしば出血性の)下痢、多様なグループの「腸以外での」症状発現(関節炎、ブドウ膜炎、皮膚変化等)、小腸や結腸内での(病理生検及び外科試料において観察される)炎症性細胞の集積を特徴とする。
【0003】
IBDは、子供と大人の両方を冒し、二峰性の年齢分布を示す(一つのピ−クは約20歳、もう一つのピークは約40歳)。IBDは、慢性の、生涯にわたる疾病であり、しばしば他のいわゆる「自己免疫」疾患(例えば、リュウマチ性関節炎、I型糖尿病、多発性硬化症等)と同じグループに分類される。IBDは、ほとんどもっぱら工業化された社会においてのみ見出される。メイヨークリニークからの最新データによれば、アメリカにおいて10万人に1人以上の全般的な発生が示唆されており、いくつかの研究においては1000人に1人以上を示すデータもある。アメリカ及びヨーロッパでは、IBD、特にクローン病の発生増加の傾向が明らかである。この増加の根拠は今のところ明らかではない。このように、IBDは、アメリカにおける、(リュウマチ性関節炎に次ぐ)二番目に一般的な自己免疫疾患に相当する。
【0004】
I型インターフェロンは、炎症性腸疾患を持つ患者の腸で検出されている。例えば、インターフェロンαは、グルテン過敏性の腸症であるセリアック病患者の腸粘膜、及び、クローン病患者の粘膜固有層で過剰発現されていることが報告された(非特許文献1、非特許文献2参照)。これらの疾病患者の組織におけるI型インターフェロンの生物学的意義は、記述されていない。I型インターフェロンは炎症性腸疾患の患者の血流内については記述されておらず、また、これらの疾患の病理において、インターフェロンαが、あるとするならばどのような役割を演じているかは明らかではない。
【0005】
I型インターフェロン(即ち、インターフェロンα及びβ)は、多様な免疫応答系において重要な役割を果たす多機能のサイトカインである。I型インターフェロンの異常生成は、移植拒絶、リュウマチ性関節炎、全身性エリスマトーデス、インスリン依存性糖尿病等の自己免疫疾患を含むいくつかの病理的状態に関連している。I型インターフェロンの生物学的効果は、I型インターフェロンのすべてに結合するが、II型インターフェロン及びインターフェロンγには結合しない単一細胞表面受容体(IFNAR)を通して仲介される。I型インターフェロンの受容体は、生体のすべての有核細胞上に種々のレベルで発現される。この受容体は、IFNAR1及びIFNAR2と呼ばれる二つのポリペプチド鎖からなり、両方で、インターフェロンと結合して細胞内シグナル伝達を行うことができる高親和性受容体を構成する。
【0006】
ヒトI型インターフェロン受容体のIFNAR1鎖に対する、64G12と呼ばれるマウスモノクローナル抗体は、受容体へのサイトカインの結合を妨害することによってI型インターフェロンの活性を遮断することが示されている(特許文献1〜7参照)。霊長類の移植モデルにおいて、64G12は、シクロスポリンと共に投与され、皮膚の同種異型移植拒絶及び移植片対宿主病の防止について、顕著に長期間に渡る効果を与える(非特許文献3参照)。
【0007】
IBDの治療は多様である。第一線の治療は、典型的に、サリチル酸塩誘導体(例えば、5−ASA)の経口投与又は肛門投与を含む。非複雑クローン病における治療応答率は、(偽薬での20%と比較して)約40%である。コルチコステロイドは、不都合な副作用にも拘わらず、依然として、より「不応性」の疾患患者の治療における頼みの綱である。より新しい治療の選択肢には、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン)、免疫調節剤(例えば、レミケイド、つまりTNFα受容体に対するキメラヒト抗体)が含まれる。
【特許文献1】米国特許第5,889,151号公報
【特許文献2】米国特許第5,886,153号公報
【特許文献3】米国特許第5,731,169号公報
【特許文献4】米国特許第5,861,258号公報
【特許文献5】米国特許第5,919,453号公報
【特許文献6】米国特許第6,475,983号公報
【特許文献7】米国特許出願第20020055492号公開公報
【非特許文献1】Monteleoneら、Gut 48:p.425−429(2001)
【非特許文献2】FaIsら、J.Interferon Res.14:p.235−238(1994)
【非特許文献3】Benizriら、J.Interferon Cytokine Res.18:p.273(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの疾病の治療に関して少なからぬ研究が行われているにもかかわらず、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎は、依然として、効果的な治療が困難である。従って、これらの炎症性腸疾患に対する改善された治療方法への当業界の要望は、いまだ満たされていない。本発明は、これらの要望及び他の関連した要望を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患の治療用組成物、及び、治療方法を提供する。本発明の組成物は、一つ以上のI型インターフェロン拮抗物質、例えば、抗I型インターフェロン抗体、抗IFNAR抗体、これらの抗体のいずれかの断片、タンパク質(ポリペプチド)、小分子を含む。いくつかの実施形態においては、本発明の拮抗物質は、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体、減免疫化抗体、及び/又は、ヒト抗体又は断片結合受容体であってもよい。他の実施形態においては、本発明は、IBD罹患患者に、治療有効量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む治療方法を提供する。更に他の実施の形態は、(a)第一の時点で、前記患者に、寛容量の第一のI型インターフェロン拮抗物質を投与し、(b)第二の時点で、前記患者に、治療有効量の第二のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む治療方法を提供する。
【0010】
このようにして、本発明の実施形態では、I型インターフェロンリガンドの結合を妨害する拮抗物質、例えば、可溶性の受容体鎖(例えば、可溶性IFNAR2)が提供される。他の関連する実施形態は、選択的に一種以上のI型インターフェロン又はIFNAR受容体に結合して、例えば、競合的、非競合的、不競合的阻害によってリガンドの結合を妨害する抗体又はこの抗体の抗原結合断片を提供する。別の実施形態は、IFNAR受容体によるシグナル伝達を妨害する拮抗物質を提供する。更に他の実施形態は、I型インターフェロンが有する下流の効果と競合する拮抗物質を提供する。
【0011】
本発明の治療方法において使用する適切な抗体拮抗物質は、非ヒト抗体、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体、減免疫化抗体、及び/又は、完全ヒト抗体等のモノクローナル抗体、あるいはこれら抗体の抗原結合断片を含む。抗体拮抗物質は、抗体又はこの抗体の抗原結合断片の、循環中の半減期を増加させるために、例えば、ポリエチレングリコールへの架橋(例えば、PGE化)のような化学的改変を一つ以上含んでもよい。
【0012】
好ましい実施形態では、拮抗物質は、マウスモノクローナル抗体64G12、及び/又は、遺伝子組換えヒト化変異体CPI−1697によって認識されるIFNAR1の抗原決定基又はこの決定基の近傍に、結合する抗体である。モノクローナル抗体64G12は、ECACC(英国、ウイルトシアSP4 056、ソールズベリー、ポートンダウン所在の欧州動物細胞培養コレクション)に、1992年2月26日に寄託されている。
【0013】
本発明の更に他の実施形態は、一つ以上の追加の治療薬、例えば、免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、TNF拮抗物質を包む。免疫抑制剤としては、アザチオプリン、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチルが挙げられる。抗炎症剤としては、5−アミノサリチル酸、スルファサラジン、オルサラジンが挙げられる。ステロイドとしては、コルチコステロイド、糖質副腎皮質ステロイド、プレドニソン、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、デキサメタゾン、ACTHが挙げられる。免疫調節剤としては、PVAC、抗CD40リガンド、抗CD40、ナタリズマブ[Antegren(商標)]、抗VCAMI、抗ICAMIが挙げられる。サイトカインとしては、IL−10が挙げられる。TNF拮抗物質としては、インフリキシマブ[ラミケイド(登録商標)]、エタネルセプト[エンブレル(登録商標)]、アダリムマブ[フミラ(商標)]、CDP870が挙げられる。
【0014】
本発明の他の実施形態によって、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患の治療方法が提供される。この治療方法は、炎症性腸疾患の患者に、この明細書において開示される、治療有効量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む。
【0015】
本発明の治療方法によれば、拮抗物質は、適当な生体利用効率を確保するため、いずれかの適切な送達経路によって投与される。ある実施形態では、適切な投与の経路としては、静脈内への大量瞬時投与、大量低速投与、注入が挙げられる。他の実施形態では、I型インターフェロンの拮抗物質の投与は、皮下、筋肉内、経皮または皮内注射を通して行われてもよい。別の実施形態では、投与が、吸入、鼻咽頭投与、経口投与等の粘膜送達を通して行われてもよい。
【0016】
抗体及び/又はこの抗体の抗原結合断片等のタンパク質拮抗物質を使用する実施形態では、投与経路は、皮下、筋肉内及び/又は静脈内でよい。静脈内投与は、大量瞬時投与、大量低速投与又は注入でよい。別の実施形態では、このタンパク質拮抗物質は、経皮的、皮内、粘膜を介して送達されてもよい。
【0017】
典型的な投与量は、体重1kgあたり、0.1mg以上50mg以下でよく、より好ましくは0.5mg以上10mg以下、更に好ましくは2mg以上5mg以下である。ある実施形態においては、複数回反復で投与してもよい。
【0018】
タンパク質拮抗物質を使用する本発明の実施形態では、投与頻度は、1回/日以上1回/月以下でよく、より好ましくは2回/週以上2回/隔週以下、更に好ましくは1回/週程度である。拮抗物質は、適切な状況で使用される限りにおいて、おおよそ生体内半減期に投与すればよい。
【0019】
本発明の他の実施形態では、拮抗物質は、本明細書で特定された、免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、TNF拮抗物質等の他の治療薬と、組み合わせて投与してもよい。
【0020】
本発明の更に他の実施形態は、(a)患者に、寛容量のタンパク質を基盤とするI型インターフェロン拮抗物質を投与し、(b)この患者に、治療有効量のこのタンパク質を基盤とするI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む炎症性腸疾患患者の治療方法を提供する。これらの方法の好ましい実施形態では、インターフェロン拮抗物質は、I型インターフェロン受容体(IFNAR)に対する抗体でよい。抗I型インターフェロン抗体としては、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体、減免疫化抗体、ヒト抗体が挙げられる。好適な抗IFNAR抗体としては、マウスモノクローナル抗体64G12及び/又は遺伝子組換えヒト変異体CPI−1697等の、IFNAR1に結合する抗体が挙げられる。
【0021】
タンパク質を基盤とするI型インターフェロン拮抗物質の寛容量の好適な範囲は、体重1kgあたり10mg以上50mg以下である。より好ましい寛容量の範囲は、体重1kgあたり20mg以上40mg以下である。更に好ましい寛容量の範囲は、体重1kgあたり20mg以上25mg以下である。
【0022】
これらの治療投与においては、抗I型インターフェロン抗体の治療有効量は、好ましくは、体重1kgあたり0.1mg以上10mg以下である。より好ましい治療有効量は、体重1kgあたり0.2mg以上5mg以下である。更に好ましい治療有効量は、体重1kgあたり0.5mg以上2mg以下である。別の実施形態では、爾後の治療投与は、寛容量と同一又は異なる処方でよく、及び/又は、寛容量と同じ又は異なる経路で投与してもよい。治療投与は、静脈内、筋肉内又は皮下に投与されることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、一般に、炎症性腸疾患(IBD)、特にセリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎の処置に対する組成物、及び、治療方法におけるこの組成物の使用に関する。以下で更に詳細に述べるように、本発明の組成物としては、I型インターフェロン拮抗物質、特に、抗IFNAR抗体、抗I型インターフェロン抗体及び/又はこれら抗体の抗原結合断片、I型インターフェロン拮抗物質として機能するポリペプチド、小分子が挙げられる。いかなる特定の作動理論に限定されることも望まず、典型的な改造等によって得られる拮抗物質は、リガンドの結合及び/又はインターフェロンを介したシグナル伝達を妨害する、及び/又は、これらと競合する。本発明のI型インターフェロン拮抗物質は、循環血中での生体内半減期が長く、その結果、長期間の治療応答を達成するのに有効であることが好ましい。生体内における抗体の半減期を延長する方法としては、免疫グロブリンFcとの融合やポリエチレングリコールとの共役(PEG化)等の融合タンパク質の構成が挙げられる。
【0024】
本発明は、上記のようなI型インターフェロン拮抗物質の一つ以上をIBDの治療に用いる治療方法を提供する。典型的な方法によれば、I型インターフェロン拮抗物質に対する長期間の応答が得られる。更に、一つ以上のI型インターフェロンを寛容量投与して、治療タンパク質に対する免疫応答を阻害及び/又は最小化し、寛容量の投与の後に治療有効量の投与を行う治療方法が提供される。
【0025】
本発明の実施には、特に反対の指示がない限り、ウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学、DNA組換え技術の常法が使用され、これら常法の多くは、例示のために以下に記載されている。これらの技術は、次の文献において十分に説明される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989); Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual (1982); DNA Cloning:A Practical Approach, vol.I&II (D.Glover,ed.); Oligonucleotide Synthesis (N.Gait,ed.,1984); Nucleic Acid Hybridization(B.Hames& S.Higgins,eds.,1985); Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,eds.,1984); Animal Cell Culture(R.Freshney,ed.,1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照してよい。
【0026】
本明細書で引用されたすべての出版物、特許、特許出願は、上記と下記とにかかわらず、その全内容において本明細書に参照して組み込まれる。
【0027】
<I型インターフェロン拮抗物質としての抗体>
上述のように、本発明は、一般に、I型インターフェロン拮抗物質を含む組成物、ならびに、この組成物を炎症性腸疾患(IBD)、特に、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎の治療に用いられる有用な治療方法に関する。本発明の実施形態におけるI型インターフェロン拮抗物質としては、I型インターフェロン受容体に結合して、そのリガンド(即ち、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンω)の結合を妨害する、抗IFNAR抗体、及び/又は、この抗体の断片が挙げられる。代替物又は追加物として、I型インターフェロン拮抗物質は、I型インターフェロン(即ち、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンω)に結合して、受容体(即ち、IFNAR)へのI型インターフェロンの結合を妨害する、抗I型インターフェロン抗体及び/又はこれら抗体の断片でもよい。抗体を介したリガンド結合の阻害は、競合的阻害、非競合的阻害又は不競合的阻害でよい。代替的に、抗体を基盤とする拮抗物質は、I型インターフェロン受容体を介した細胞内シグナル伝達を阻害することによって作用してもよい。
【0028】
このように、キメラ抗体、霊長類化抗体、張り合わせ化抗体、ヒト化抗体、減免疫化抗体、ヒト抗体、抗IFNAR抗体、抗I型インターフェロン抗体及び/又はこれら抗体の抗原結合断片は、本発明の範囲に含まれる。このように、また、本明細書において更に開示されるように、本発明の抗体としては、前述したいずれかの抗体の一部、変異体、及び/又は、誘導体が挙げられる。
【0029】
抗体又はこの抗体の抗原結合断片は、(例えば、ELISAアッセイにおいて)検出可能なレベルでIFNAR又はI型インターフェロンに反応するが、II型インターフェロン受容体、インターフェロンγ又は他のタンパク質と反応しないことを条件に、I型インターフェロン受容体に「特異的に結合する」、「免疫学的に結合する」及び/又は「免疫学的に反応性がある」と称される。
【0030】
本明細書で使用されている「免疫学的結合」は、一般に、抗体又は抗体の断片と、抗体が特異的なI型インターフェロン又は受容体との間で起こる非共有結合タイプの相互作用を指す。免疫学的結合の相互作用の強度、即ち、親和性は、その相互作用の解離定数(Kd)によって表すことができ、Kdが小さいほど親和性が大きいことを表す。選択される抗体の免疫学的結合特性は、当分野で周知の方法を用いて定量化できる。このような方法の1つとしては、抗原結合部位/抗原複合体形成及び解離の速度の測定が挙げられ、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、両方向の速度に同等に影響を与える幾何学的パラメーターに依存する。このように、「on速度定数」(Kon)及び「off速度定数」(Koff)は、濃度と、会合及び解離の実速度との計算によって決定できる。Koff/Kon比は、親和性に無関係の全パラメーターの解除を可能とし、解離定数Kdに等しくなる。一般的には、Daviesら、Annual Rev. Biochem. 59:439−473(1990)を参照されたい。
【0031】
抗体の「抗原結合部位」又は「結合部分」は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(“H”)鎖及び軽(“L”)鎖のN末端可変(“V”)領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の変化に高度に富む三つのストレッチは、「フレームワーク領域」若しくは「FRs」として知られるより高度に保存される隣接ストレッチ間に介在する「超可変領域」を指す。ここで、「FRs」は、免疫グロブリン内の超可変領域の間及び近傍で、天然に見出されるアミノ酸配列を指す。一つの抗体分子内で、軽鎖の三つの超可変領域及び重鎖の三つの超可変領域は、抗原結合表面を形成するために、三次元空間内に互いに関連して配置される。抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面と相補的であり、重鎖及び軽鎖各々の三つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDRs」と呼ばれる。
【0032】
抗体は、当業者に周知の多様な技術のいずれかによって調製してよい。例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(1988)を参照されたい。一般に、抗体は、本明細書に記載のモノクローナル抗体の生成等の細胞培養技術によって、又は、組換え抗体の生成を可能にするために行う、適当な細菌宿主又は哺乳類細胞宿主への抗体遺伝子の形質導入を介して生成できる。ある技術において、I型インターフェロン受容体又はこの受容体の一部、からなる免疫原は、まず、多様な哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、ヤギ、ヒト抗体レパートリーを有する形質転換マウス)のいずれかに注射される。免疫原は、細胞、又は、受容体、(天然又は組換えの)受容体の細胞外領域を含有する細胞抽出物を含むもので代替してもよい。ウシ血清アルブミン又はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)といった担体タンパク質にI型インターフェロン受容体が結合すると、優れた免疫応答が誘発されることがある。免疫原は動物宿主に、好ましくは、一回以上の追加免疫を組み入れた所定の計画に従って注射され、動物は定期的に採血される。免疫処置は、完全フロインドアジュバント及び不完全フロインドアジュバントといった一種以上のアジュバントと共に行われる。次いで、I型インターフェロン受容体に特異的なポリクローナル抗体は、抗血清から、例えば、適切な固体支持体に結合されたI型インターフェロン受容体の免疫原領域を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製してよい。
【0033】
I型インターフェロン受容体に特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohler及びMilstein、Nature 256(5517):p.495−7(1975)に記載の技術、及び、その改良技術を用いて調製してもよい。簡単に述べると、これらの方法は、所望の特異性(即ち、対象のガングリオシドとの反応性)を有する抗体を生成できる不死化細胞株の調製に関する。このような細胞株は、例えば、上述のように免疫された動物から得られる脾臓細胞から樹立してよい。この脾臓細胞は、次いで、例えば、ミエローマ細胞融合パートナーとの融合、好ましくは、免疫された動物と同系のミエローマ細胞との融合によって不死化される。多様な融合技術を使用してよい。例えば、脾臓細胞及びミエローマ細胞を非イオン性界面活性剤と共に数分間混合し、次いで、ハイブリッド細胞の成長を維持し且つミエローマ細胞の成長は維持しない選択培地上に、低密度で塗布する。好適な選択技術では、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を用いる。充分な時間後、通常、約1から2週間後に、ハイブリッド細胞のコロニーは観察される。単一コロニーを選択し、その培養上清のI型インターフェロン受容体に対する結合活性を検査する。高い反応性及び特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0034】
モノクローナル抗体は、成長中のハイブリドーマコロニーの上清から単離してよい。加えて、収量を向上するために、ハイブリドーマ細胞株を、マウス等の適切な哺乳類宿主の腹腔に注射するといった種々の技術を用いてもよい。モノクローナル抗体は、次いで、腹水又は血液から採集してよい。クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、抽出等の常法によって、混入物質を抗体から除去してもよい。アフィニティークロマトグラフィー手順等の精製手順で、抗I型インターフェロン受容体抗体を使用してもよい。
【0035】
抗体分子の免疫学的結合特性を発揮できる抗原結合部位を含む、多数の治療に有用な分子がこの分野で知られている。タンパク質分解酵素パパインは優先的にIgG分子を切断して数種の断片を生成し、この断片のうちの二つ(「Fab」断片)の各々は、無傷の抗原結合部位を含む共有結合ヘテロダイマーからなる。酵素ペプシンはIgG分子を切断でき、両抗原結合部位を有する「Fab’2」断片を含む数個の断片が提供される。「Fv」断片は、IgM、及び、まれにはIgG又はIgAの、優先的なタンパク質切断によって生成され得る。しかし、Fv、Fab、Fab’2は、更に一般的には、この分野で周知の組換え技術を用いて得られる。Fv断片としては、未変性抗体分子の抗原認識及び抗原結合能力の大部分を維持する抗原結合部位を含む、非共有結合のV::Vヘテロダイマーが挙げられる(Inbarら、Proc.Nat.Acad.Sci. USA 69:p.2659−2662(1972); Hochmanら、Biochem 15:p.2706−2710(1976); and Ehrlichら、Biochem 19:p.4091−4096(1980)参照)。
【0036】
一本鎖Fv(「sFv」)抗体は、共有結合のV::Vヘテロダイマーであって、ペプチドをコードするリンカーによって連結されたV及びVをコードする遺伝子を含む遺伝子融合から発現される(Hustonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):p.5879−5883(1988))。天然で凝集し且つ化学的に分離される、抗体のV領域からの抗抗I型インターフェロン受容体抗体の軽鎖及び重鎖を、抗原結合部位の構造に実質的に類似する三次元構造に折り畳まれるsFv分子に転換するための化学構造を識別する方法は、多数開示されている。例えば、Hustonらの米国特許第5,091,513号公報、米国特許第5,132,405号公報、Ladnerらにの米国特許第4,946,778号公報を参照されたい。
【0037】
上記の各分子は、重鎖及び軽鎖のCDRセットを有し、CDRを支持し且つCDR相互の空間的関係を規定する重鎖及び軽鎖のFRセットの間に各々挿入される。本明細書で使用されるように、術語「CDRセット」は、重鎖又は軽鎖のV領域にある三つの超可変領域を指す。これらの領域は、重鎖又は軽鎖のN末端から順に、「CDR1」、「CDR2」、「CDR3」と表示される。このため、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖の各V領域からのCDRセットからなる6つのCDRを有する。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2、CDR3)を有するI型インターフェロン拮抗物質を、本明細書では「分子認識ユニット」と称する。多数の抗原抗体複合体の結晶学的解析によって、複数のCDRのアミノ酸残基が結合抗原と広範な接触を形成し、最も広範な抗原接触が重鎖のCDR3との接触であることが証明されている。このように、分子認識ユニットは、抗原結合部位の特異性に第一に寄与している。
【0038】
本明細書で使用されているように、術語「FRセット」は、重鎖又は軽鎖のV領域にあるCDRセットの複数のCDRを形づくる隣接4アミノ酸配列を指す。いくつかのFRのアミノ酸残基が結合抗原に接触することはあるが、FRs、特にCDRsに直接隣接するFR残基は、V領域の抗原結合部位への折り畳みに第一に関与する。FRs内では、アミノ酸残基、及び、構造上の特徴が極めて高度に保存されている。この点について、すべてのV領域の配列は、約90アミノ酸残基の分子内ジスルフィド環状構造を含む。V領域が結合部位に折り畳まれると、CDRsは、抗原結合表面を形成する突出した環状構造モチーフとなる。CDRアミノ酸配列が正確であるにもかかわらず、CDR環状構造の「規範的な」構造への折り畳み形状に影響を与える、保存されたFRs構造領域があることが一般に認められている。さらに、一定のFR残基が、抗体の重鎖及び軽鎖の相互作用を安定化する、非共有結合のドメイン間接触に関与することが知られている。
【0039】
非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合部位を有する多数の「ヒト化」抗体分子が開示されており、ヒト定常ドメイン(Winter and Milstein Nature 349:p.293−299(1991); Lobuglioら、Proc.Nat.Acad. Sci.USA 86:p.4220−4224(1989); Shawら、J Immunol.138:p.4534−4538(1987); and Brownら、Cancer Res.47:p.3577−3583(1987)参照)、適当なヒト抗体定常ドメインとの融合前にヒト支持FRに移植された非ヒトCDRs(Riechmannら、Nature 332:p.323−327(1988); Verhoeyenら、Science 239:p.1534−1536(1988); and Jonesら、Nature 321:p.522−525(1986)参照)、組換えにより張り合わされたマウスFRsによって支持されるマウスCDRs(EP出願第519,596号1992年12月23日公開参照)に融合された非ヒトV領域を有する抗体が挙げられる。これらの「ヒト化」分子は、上述の構成成分を治療に応用したヒト受領者での持続性及び有効性を制限する、非ヒト抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫応答を最小化するために設計される。
【0040】
本明細書で使用されているように、術語「張り合わされたFRs」及び「組換えにより張り合わされたFRs」は、本来のFR折り畳み構造の実質的全部を保持する抗原結合部位を有する異種分子を提供するために、例えばラットの重鎖又は軽鎖のV領域由来の、FR残基がヒトFR残基によって選択的に置換されたことを指す。貼り合わせ技術は、抗原結合部位のリガンド結合特性が、主として、抗原結合表面内の重鎖及び軽鎖のCDRセットの構造及び相対的配置によって決定される、という理解に基づく(Daviesら、Ann.Rev.Biochem.59:p.439−473(1990)参照)。このように、抗原結合特異性は、ヒト化抗体において、CDR構造、これら構造同士の相互作用、これら構造とV領域ドメインの残りの部分との相互作用が、注意深く維持されている場合のみ、保存され得る。貼り合わせ技術を使用することにより、容易に免疫系に遭遇する外側(例えば、溶媒に近づきやすい)FR残基は、選択的にヒトFR残基に置換されることにより、弱免疫原性の、又は実質的に非免疫原性の張り合わせ表面を有する、ハイブリッド分子が提供される。
【0041】
張り合わせ手順は、KabatらによるSequences of Proteins of Immunological Interest、第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services,U.S.Government Printing OFFICE,1987)に編集され、Kabatのデータベース、他の入手し得る米国及び外国のデータベース(核酸とタンパク質の両方)にアップデートされた、ヒト抗体の可変ドメインに関する入手可能な配列データを使用する。V領域アミノ酸の溶媒接近性は、ヒト及びマウスの抗体断片の既知の三次元構造から推定できる。マウス抗原結合部位の張り合わせには、二つの一般的手順がある。まず、対象の抗体分子の可変領域のFRsを、上記の情報源から入手されるヒト可変領域の対応するFR配列と比較する。次いで、最も相同性の高いヒトV領域を、対応するマウスのアミノ酸と1残基ずつ比較する。ヒトの対応残基とは異なるマウスFR内の残基を、この分野で周知の組換え技術を用いて、ヒトFR構成部分に存在する残基に置換する。残基の置換は、少なくとも部分的に露出している(溶媒近接性の)部分との間でのみ行われ、V領域ドメインの三次元構造に大きな影響を与え得るプロリン、グリシン、荷電アミノ酸等のアミノ酸残基の置換には注意を要する。
【0042】
この方法で、結果として得られる「張り合わせの」マウス抗原結合部位は、マウスのCDR残基、CDRsに実質的に隣接する残基、埋没又はほぼ埋没していると確認される(溶媒近接不可能な)残基、重鎖及び軽鎖ドメイン間の非共役(例えば、静電気的、疎水的)接触に関与すると信じられている残基、CDR環状構造の「規範的」三次元構造に影響を与えると信じられているFRs保存構造領域からの残基を保持するように設計される。これらの設計基準は、次いで、マウス抗原結合部位の重鎖及び軽鎖両方のCDRsが、マウスの抗体分子の抗原特異性を示す組換えヒト抗体を発現させるために哺乳動物細胞に形質導入するのに使用できる、ヒト抗体に存在する複数のFR内に結合された組換えヌクレオチド配列の調製に用いられる。
【0043】
本発明では、また、上記に略述したように、又は、この分野で使用され得る方法によって、調製された抗体の生体内免疫原性を低減することが望ましい場合もあり得る。抗体の免疫原性を低減するための典型的な取り組みの一つは、Biovation(Aberdeen,英国)により提供されるデイミュニゼイション(登録商標)技術である。この方法によれば、MHCクラスII分子の結合配列を有するヒトヘルパーT細胞抗原決定基を同定し、治療用抗体から除去することで、抗体が生体内に投与されたときのヘルパーT細胞の活性化及び分化が最小化される。
【0044】
図14Aは、ヒト化抗IFNAR−1抗体CPI−1697の重鎖(H3)(配列番号1)を示し、図14Bは、軽鎖(K1)(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。下線はCDRを示す。
本発明の好適な抗体は、本明細書でCPI−1697と称するヒト化抗体である。この抗体は、H3と称する重鎖と、K1と称する軽鎖と、から構成される。H3重鎖及びK1軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、図14A(配列番号1)及び図14B(配列番号2)に示される。H3重鎖には、マウス抗IFNAR−1抗体64G12の重鎖由来のCDR1、CDR2、CDR3配列が、ヒト免疫グロブリン重鎖のフレームワークの共通配列に移植されたものが含まれ、一方、K1軽鎖には、マウス抗IFNAR−1抗体64G12の軽鎖由来のCDR1、CDR2、CDR3配列がヒト免疫グロブリンκ軽鎖のフレームワークの共通配列に移植されたものが含まれる。CPI−1697抗体は、更に、ヒトIgG4の定常領域を含む。
【0045】
本発明における使用に好適な、他の抗体に基盤をおくIFNAR−1拮抗物質は、「インターフェロンα受容体―1(IFNAR−1)に対するヒト化抗体」と題する2003年4月23日に提出した共有の米国特許出願第60/465,058号に、詳細に記載されており、その全容は参照して明白に本明細書に組み入れられる。
【0046】
<I型インターフェロン拮抗物質としての小分子及びポリペプチド>
抗体に基盤をおくI型インターフェロン拮抗物質に加えて、本発明では、例えば、受容体(即ち、IFNAR)へのI型インターフェロンの結合を妨害する小分子といった、一種以上の小分子を含む、I型インターフェロン拮抗物質及びその組成物も考慮される。
【0047】
実施形態において、小分子拮抗物質のコンビナトリアルライブラリーを、I型インターフェロン又はI型インターフェロン受容体への結合能力によって選抜してよい。通常、例えば阻害活性といった所望の性質又は活性を有する化合物(「リード化合物」と称される)を同定し、このリード化合物の変異体を作製し、これら変異体化合物の性質及び活性を評価することによって、有用な性質を有する新規化学物質は生成される。しばしば、配するープットスクリーニング(HTS)法がこのような解析に使用される。
【0048】
好ましい実施形態において、ハイスループットスクリーニング法は、治療に役立つ可能性のある化合物(候補化合物)を多数含有するライブラリーを提供することを含む。次いで、「コンビナトリアル化学ライブラリー」を一つ以上のアッセイで選抜し、所望の特徴的活性を示すライブラリー構成物(特定の化学種又はサブクラス)を同定する。同定された化合物は、通常の「リード化合物」として役立つことができ、或いは、潜在的な又は実際のIBD治療剤としてそれ自身が使用され得る。
【0049】
コンビナトリアル化学ライブラリーは、化学合成又は生物学的合成によって、試薬等の多数の化学的「構築ブロック」を結合することにより生成される、多様な化合物集団である。ポリペプチド(例えば、突然変異タンパク質)ライブラリー等の直鎖コンビナトリアル化学ライブラリーは、アミノ酸と呼ばれる化学的構築ブロックのセットを、あらゆる可能な方法で、化合物の特定の長さ(即ち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)に結合することによって形成される。化学的構築ブロックを組み合わせて混合することによって、非常に多くの化合物を合成できる(Gallopら、J.Med.Chem. 37 9:p.1233−1251(1994)参照)。
【0050】
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製及び選抜は、当業者に周知のことである。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーとしては、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号公報;Furka,Pept.Prot.Res.37:p.487−493(1991); Houghtonら、Nature,354:p.84−88(1991)参照)、ペプトイド(WO第91/19735号パンフレット参照)、コードされたペプチド(WO第93/20242号パンフレット)、ランダムバイオオリゴマー(WO第92/00091号パンフレット)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号公報参照)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ジペプチド等のダイバーソーマー(Hobbsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:p.6909−6913(1993)参照)、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら、J.Amer.Chem.Soc.114:p.6568(1992)参照)、β−D−グルコース骨格を有する非ペプチドのペプチド様物質(Hirschmannら、J.Amer.Chem.Soc.114:p.9217−9218(1992)参照)、小化合物ライブラリーの類似有機合成(Chenら、J.Amer.Chem.Soc.116:p.2661(1994)参照)、オリゴカーバメート(Choら、Science 261:p.1303(1993)参照)、及び/又は、ペプチヂルホスホネート(Campbellら、J.Org.Chem.59:p.658(1994)参照)が挙げられるが、これらには限定されない。一般的には、Gordonら、J.Med.Chem.37:p.1385(1994)が参照され、核酸ライブラリー(例えば、Strategene,Corp.)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology 14(3):p.309−314(1996)、PCT/US96/10287号参照)、炭化水素ライブラリー(例えば、Liangら、Science 274:p.1520−1522(1996);米国特許第5,593,853号公報参照)、小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピンはBaum,C&EN,Jan 18,p.33(1993)参照、イソプレノイドは米国特許第5,569,588号参照、チアゾリジノン及びメタチアザノンは米国特許第5,549,974号公報参照、ピロリジンは米国特許第5,525,735号公報、米国特許第5,519,134号公報参照、モルフォリノ化合物は米国特許第5,506,337号公報参照、ベンゾジアゼピンは米国特許第5,288,514号参照)を参照されたい。
【0051】
コンビナトリアルライブラリーの調製装置は、市販されている(例えば、357MPS,390MPS,Advanced Chem Tech,Louisville KY、Symphony,Rainin,Woburn,MA, 433A,Applied Biosystems,FosterCity,CA, 9050Plus,Millipore,Bedford,MA)。
【0052】
有名なロボットシステムも多数、溶液相化学のために開発されている。これらのシステムとしては、武田薬品工業株式会社(日本、大阪)によって開発された自動合成装置等の自動ワークステーション、ロボットアーム(ZymateII,Zymark Corporation,Hopkinton,Mass.; Orca,Hewlett−Packard,Palo Alto,Calif.)を利用する多くのロボットシステムが挙げられ、これらのロボットアームによれば化学者が行う手動の合成操作が模倣される。これらの装置は、適当な改変を加えることで、本発明での使用に好適となる。更に、コンビナトリアルライブラリー自身が多数市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,INC.,St.Louis,MO,ChemStar,LTD,Moscow,RU,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosciences,Columbia,MD)。
【0053】
インターフェロン−受容体間の相互作用を検出するために、ヒトの培養腫瘍細胞株における細胞増殖のIFNを介する阻害等の、IFNを介するシグナル伝達を検出するアッセイを使用してよい。更に、IFN感受性遺伝子プロモーターから発現されるレポーター遺伝子等を使用する等の、レポーター遺伝子アッセイを用いてもよい(Lallemandら、J.Leukocyte Biol.60:137−146(1996)参照)。好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。これらのアッセイにおいて、レポーター遺伝子の発現はIFN活性に依存し、IFN拮抗物質は、IFNによって刺激される遺伝子発現を選択的に阻害する。
【0054】
特定のポリペプチドの存在、非存在、定量化、その他の性質を評価するためのハイスループットアッセイは、当業者に周知である。同様に、結合アッセイ及びレポーター遺伝子アッセイも周知である。例えば、米国特許第5,559,410号公報はタンパク質に対するハイスループットスクリーニング法を開示しており、米国特許第5,585,639号公報は核酸結合に対するハイスループットスクリーニング法(即ち、アレイ)を開示しており、一方、米国特許第5,576,220号公報及び米国特許第5,541,061号公報は、リガンド/抗体結合に対するハイスループットスクリーニング法を開示している。
【0055】
更に、ハイスループットスクリーニングシステムは、市販されている(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,MA;AirTechnical Industries,Mentor,OH;Beckman Instruments,INC. Fullerton,CA;Precision SYSTEMS,INC.,Natick,MA)。これらのシステムによれば、試料及び試薬のピペッティング、液体の分配、時間設定されたインキュベーション、アッセイに適当な検出器におけるマイクロロプレートの最終読み取りを含む手順が、典型的に自動化される。これらの設定変更可能なシステムによれば、高処理量及び速やかな操業開始だけでなく、高度の柔軟性及びカスタマイズ化が提供される。このようなシステムの製造業者によって、種々のハイスループットシステムに対する詳細なプロトコルが提供されている。例えば、Zymark Corp.によって、遺伝子転写、リガンド結合等の変調を検出するためのスクリーニングシステムが記載された技術公報が提供されている。
【0056】
一実施形態では、調節因子はタンパク質であり、しばしば、天然由来タンパク質又は天然由来タンパク質の断片である。例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、タンパク性の細胞抽出物のランダム又は指定された消化物を使用してよい。このような方法で、本発明の方法においてスクリーニングされるタンパク質ライブラリーを作製してよい。この実施形態においては、細菌の、真菌の、ウイルスの、哺乳類のタンパク質ライブラリーが特に好ましく、哺乳類タンパク質ライブラリーが好ましく、ヒトタンパク質ライブラリーがより好ましい。特に有用な試験化合物は、酵素の基質又はリガンド及び受容体等の、標的が属するタンパク質クラスに向けられる。
【0057】
好ましい一実施形態では、活性調節因子は約5から約30アミノ酸のペプチドであり、約5から約20アミノ酸が好ましく、約7から約15アミノ酸が特に好ましい。このペプチドは、概説したように、天然由来のタンパク質の消化物、ランダムペプチド、「偏向された」ランダムペプチドであってもよい。本明細書において、「ランダム化された」又はこれと文法上同義の表現は、核酸又はペプチドが、各々、ヌクレオチド、アミノ酸の本質的に無作為な配列から構成されることを意味する。これらのランダム化ペプチド(又は後述する核酸)は、しばしば化学的に合成されるので、任意のヌクレオチド又はアミノ酸に任意の位置で組み入れてよい。合成手順は、ランダム化されたタンパク質又は核酸を生成するために設計でき、配列の長さに亘る全ての又は大部分の可能な組み合わせを形成できるように設計でき、これにより、ランダムな候補となる生理活性タンパク質のライブラリーが形成される。
【0058】
一実施形態では、ライブラリーは、完全にランダム化され、どの位置においても配列の優先性、恒常性がない。好ましい一実施形態では、ライブラリーは偏向されている。即ち、配列内のいくつかの位置は、恒常性が維持される、又は、限られた可能性から選ばれる。好ましい一実施形態では、ヌクレオチド又はアミノ酸残基は、疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏向された(小さい又は大きい)残基等の規定されたクラス内で、核酸結合ドメインの作製、架橋のためのシステインの作製、SH−3ドメインのためのプロリンの作製、リン酸化部位のためのセリン、トレオニン、チロシン、ヒスチジンの作製等に向けて、ランダム化される。
【0059】
<I型インターフェロン拮抗物質を含む組成物>
追加の実施形態では、本発明は、細胞又は動物への投与用として薬理学的に許容される担体中における、本明細書に開示された一種以上のI型インターフェロン拮抗物質の、単独又は一種以上の他の治療様式と組み合わせた製剤化に関する。例えば、特定の治療投薬計画に応じて、本発明の組成物は、更に、免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、TNF拮抗物質等の追加の治療薬を一つ以上含んでもよい。免疫抑制剤としては、アザチオプリン、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチルが挙げられる。抗炎症薬としては、5−アミノサリチル酸、スルファサラジン、オルサラジンが挙げられる。ステロイドとしては、コルチコステロイド、糖質副腎皮質ステロイド、プレドニソン、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、デキサメサゾン、ACTHが挙げられる。免疫調節剤としては、PVAC、抗CD40リガンド、抗CD40、ナタリズマブ(AntegrenTM)、抗VCAM1、抗ICAM1が挙げられる。サイトカインとしては、IL−10が挙げられる。TNF拮抗物質としては、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、エタナーセプト(Enbrel(登録商標))、アダリムマブ(HumiraTM)、CDP870が挙げられる。
【0060】
必要に応じて、本明細書に開示されている組成物は、他のタンパク質、ポリペプチド、種々の薬剤活性を有する医薬品といった他の薬品と組み合わせて投与してもよい。実際、追加の薬剤が標的細胞又は宿主の組織に接触して、重大に有害な効果を誘発しない限りにおいて、包含され得る他の成分には、実質的に制限がない。このように、この組成物は、特定の場合に要求されるように、種々の他の薬剤と共に投与してよい。このような組成物は、宿主細胞又は他の生物資源から精製してもよく、又は、その代わりに、本明細書に記載したように化学的に合成してもよい。
【0061】
このため、本発明の他の一面において、薬剤組成物は、本明細書に記載の一種以上の抗体、タンパク質、及び/又は小分子を含み、生理学的に許容される担体と組み合わせて提供される。
【0062】
本明細書に記載の薬剤組成物が、いずれも、本発明のポリペプチドの薬理学的に許容される塩を含んでもよいことは明白である。このような塩は、例えば、有機塩基(例えば、一級、二級、三級アミン、及び塩基性アミノ酸)及び無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウム塩)といった薬理学的に許容される無毒塩基から調製できる。
【0063】
当事者に周知の適当なすべての担体を本発明の組成物に用いてよいが、担体のタイプは、概して、投与様式によって変化する。本発明の組成物は、例えば、経口、経鼻、粘膜、静脈内、腹腔内、筋肉内投与といった、適当ないずれの投与様式にあわせて製剤化してよい。
【0064】
このような薬剤組成物において使用できる担体は、生体適合性であり、生分解性であってもよい。ある実施形態では、製剤設計は、活性成分の放出が比較的一定レベルとなるように行うことが好ましい。しかし、他の実施形態では、投与後迅速に、活性成分がより急速に放出されることが好ましいこともある。このような組成物の製剤設計は、公知技術を用いる通常技術の範疇である。この点に関して有用な担体としては、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストラン等の微粒子が挙げられる。徐放性担体としては、非液体の親水性コア(例えば、架橋化された多糖類やオリゴ糖)や、付帯的に、リン脂質(例えば、米国特許第5,151,254号公報、WO第94/20078号パンフレット、WO第94/23701号パンフレット、WO第96/06638号パンフレット参照)等の両親媒性化合物からなる外層等の超分子のバイオベクターが挙げられる。徐放性製剤内に含有される活性化合物の量は、注入部位、薬物放出の速度及び継続期間の期待値、治療又は予防すべき状況の特性に依存する。
【0065】
他の実施形態では、本発明の組成物用の担体として、生分解性微粒子(例えば、ポリラクテートポリグリコレート)が使用される。適切な生分解性ミクロスフェアーは、例えば、米国特許第4,897,268号公報、米国特許第5,075,109号公報、米国特許第5,928,647号公報、米国特許第5,811,128号公報、米国特許第5,820,883号公報、米国特許第5,853,763号公報、米国特許第5,814,344号公報、米国特許第5,407,609号公報、米国特許第5,942,252号公報に開示されている。WO第99/40934号パンフレット、及びこのパンフレットで引用された参考文献に記載されているような改変B型肝炎コアタンパク質担体システムも、多くの応用に有用である。他の担体/送達システムは、米国特許第5,928,647号公報に記載されているような微粒子−タンパク質複合体を含む担体を使用でき、この複合体は、宿主内でのクラスI―限定細胞毒性Tリンパ球応答を誘導できる。
【0066】
本発明の薬剤組成物は、しばしば、一種以上の緩衝液(例えば、中性の緩衝食塩水又はリン酸緩衝食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース、デキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、グリシン等のアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、EDTAやグルタチオン等のキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、製剤を受容者の血液と等張、低張、又は弱高張とする溶質、懸濁化剤、濃稠化剤、及び/又は保存剤を更に含んでよい。代わりに、本発明の組成物は、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。
【0067】
本明細書に記載の薬剤組成物は、密封アンプル又はバイアル等の、一回又は多数回用量容器に入れて提供されてよい。この容器は、一般的に、製剤の無菌性及び安定性を保持できるように、使用時まで密封されている。一般に、製剤は、懸濁剤、油性又は水性の賦形剤中の溶液又はエマルジョンとして、貯蔵されてよい。代わりに、薬剤組成物は、無菌の液状担体を使用直前に添加しさえすればよい凍結乾燥状態で貯蔵してもよい。
【0068】
本明細書に記載の特定の組成物を、経口、静脈内、鼻内、筋肉内投与、製剤化等の多様な治療計画において使用するための、適切な投薬及び治療計画の開発は、この分野で周知のことである。このうちのいくつかについては、一般的な説明のために、以下で簡略に論じる。
【0069】
ある適用例では、本明細書に記載の薬剤組成物は、経口投与を介して動物に送達される。これら組成物は、不活性の賦形剤又は同化可能な食用の担体と共に製剤化してもよく、硬殻又は軟殻ゼラチンカプセルに封入されてもよく、圧縮して錠剤にしてもよく、食餌用食物内に直接組み入れられてもよい。
【0070】
活性化合物は、更に、賦形剤に組み込んでもよく、摂取可能な錠剤、口腔錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハー等の形で使用してもよい(例えば、Mathiowitzら、 Nature 1997 Mar 27;386(6623):p.410−4; Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998,15(3):p.243−84;米国特許第5,641,515号公報;米国特許第5,580,579号公報;米国特許第5,792,451号公報参照)。錠剤、トローチ、ピル、カプセル等は、多様な任意成分を含んでもよく、任意成分としては、例えば、トラガカントガム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン等の結合剤、燐酸カルシウム等の賦形剤、コーンスターチ、じゃがいもスターチ、アルギン酸等の分解剤、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、スクロース、ラクトース、サッカリン等の甘味剤、ペパーミントオイル、冬緑油、サクランボ香料等の調味料が挙げられる。用量単位の形態がカプセルである場合、このカプセルには、上記のタイプの物質に加えて、液状の担体が含有されてよい。コーティング剤として、又は、用量単位の物理的形態の修飾のために、種々の他の物質が含有されていてよい。例えば、錠剤、ピル、カプセルは、セラック、砂糖、又はそれら両者で、コーティングしてよい。もちろん、用量単位のいずれの形態の調製に使用される物質は、いずれも、薬理学的に純粋であり、使用される用量において実質的に無毒でなければならない。更に、活性化合物は、徐放性の調製品及び製剤に組み込まれてもよい。
【0071】
これらの製剤は、一般的に、少なくとも0.1%程度又はそれ以上の活性化合物を含有する。ただし、活性成分の含有量は、当然に変化し約1から2%程度の間となってよく、製剤全体の質量又は体積の約60%又は70%あるいはそれ以上でもよい。当然のことながら、治療に有用な各組成物内の活性化合物量は、この活性化合物の単位用量がいかなる量でも、適切な投用量が得られるような方法で調節してよい。これら医薬品製剤を調製する当業者が、溶解性、生体利用効率、生物学的半減期、投与経路、生成物の貯蔵寿命等の要因、及び他の薬理学的に考慮すべき事項を考慮することにより、多様な薬用量及び治療計画が好ましいものとなり得る。
【0072】
経口投与では、本発明の組成物は、代わりに、うがい薬、歯みがき、口腔錠剤、口腔スプレー、舌下口腔投与製剤の形態で、一種以上の賦形剤に組み込んでもよい。代わりに、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリン、重炭酸カリウムを含有する溶液等の口腔溶液に組み込んでもよく、歯みがき内に分散させてもよく、水、結合剤、研磨剤、香料、発泡剤、湿潤剤等の組成物内に治療有効量を加えてもよい。代わりに、この組成物は、舌下に載置され、又は口内で溶解される、錠剤状又は溶液状に形成してもよい。
【0073】
ある条件では、本明細書に記載された薬剤組成物は、静脈内又は筋肉内に送達することが好適となり得る。このような取り組みは当業者に周知のことであり、そのうちのいくつかは、米国特許第5,543,158号公報、米国特許第5,641,515号公報、及び米国特許第5,399,363号公報に更に記載されている。ある実施形態では、遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された水中で、調製してよい。分散剤は、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、これらの混合物、オイルの中で調製してよい。通常の貯蔵条件及び使用条件の下では、一般に、これらの調製品は、微生物の成長を阻害するために保存剤を含有する。
【0074】
注射用途に適する薬剤形態としては、無菌の水溶液又は分散剤、及び無菌の注射可能な溶液又は分散剤(例えば、米国特許第5,466,468号参照)の即席調製用の無菌粉末が挙げられる。すべての場合において、上記形態は、無菌でなければならず、容易に注射できる程度の流動性を有しなければならない。その形態は、製造条件及び貯蔵条件の下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物、及び/又は、植物油等の、溶媒又は分散媒質であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤を使用することにより、懸濁液の場合は好ましい粒子径を維持することにより、及び/又は、界面活性剤を使用することによって、維持してよい。微生物の作用の阻害は、例えば、パラベンス、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサル等の、種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって促進し得る。多くの場合において、砂糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物は、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン等の吸収遅延剤をこの組成物に使用することで、長時間吸収させ得る。
【0075】
一実施形態では、上記溶液は、必要に応じて適切に緩衝すべきで、希釈液は、まず十分な塩又はグルコースで等張にすべきである。これら特定の水溶液は、静脈内投与及び筋肉内投与に、特に適する。これに関連して、採用され得る無菌水性媒体は、本明細書の開示を考慮すれば、当業者に周知となるであろう。例えば、1薬用量は、1mlの等張塩化ナトリウム溶液に溶解され、1000mlの皮下注入流体に添加されるか、計画された注入部位に注射される(例えば、「Remingtonの薬科学」 第15版、1035〜1038頁及び1570〜1580頁参照)。治療される患者の状況によって、投用量には、多少の変更が必然的に起こるであろう。更に、ヒトへの投与に際しては、製剤が、FDAの生物学基準食品に要求される、無菌性、発熱原性、一般的な安全性及び純度の基準を満たすことが当然好ましい。
【0076】
本発明の他の実施形態では、本明細書に開示されている組成物は、中性又は塩の形態に製剤化される。薬理学的に許容される塩としては、(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)酸付加塩が挙げられ、これら酸付加塩は、塩酸又はリン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成される。遊離のカルボキシル基で形成された塩は、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、鉄等の無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導できる。製剤化して、溶液は、用量処方に適合した方法で、治療有効量を投与されるであろう。
【0077】
担体は、いずれかの且つすべての溶媒、分散剤、溶媒、コーティング剤、賦形剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張の吸収遅延剤、緩衝液、担体溶液、懸濁液、コロイド等を、更に含んでよい。このような媒質及び試薬の薬理学的活性物質への使用は、この分野では周知である。通常のいずれの媒質又は試薬は、活性成分と適合しない場合を除けば、その治療用組成物における使用が考慮される。補助活性成分も、上記の治療用組成物に組み入れることができる。「薬理学的に許容される」という語句は、ヒトに投与された場合、アレルギー性反応又はこれと類似する不都合な反応を生じない分子及び組成物を指す。
【0078】
ある実施形態では、薬剤組成物は、鼻腔内噴霧、吸入、及び/又は、他のエアロゾル送達媒体によって送達してもよい。遺伝子、核酸、及びペプチド組成物を、鼻腔エアロゾル噴霧を介して肺に直接送達する方法は、例えば、米国特許第5,756,353号公報及び米国特許第5,804,212号公報に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1−2):p.81−7)及びリゾホスファチジルグリセロール化合物(米国特許第5,725,871号公報)を用いる薬物送達も、製薬分野では周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での経粘膜薬物送達の実例は、米国特許第5,780,045号公報に記載されている。
【0079】
ある実施形態では、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子、小胞等が、本発明の組成物を適切な宿主細胞/生物体内へ導入するために使用される。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、ナノ粒子等の中に封入されて送達されるように、製剤化してもよい。代わりに、本発明の組成物は、共有結合又は非共有結合で、これら担体媒体の表面に結合させてもよい。
【0080】
有力な薬剤担体としてのリポソーム及びリポソーム様製品の形成及び使用は、一般に、当業者に周知である(例えば、Lasic, Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):p.307−21; Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3):p.691−5; Chandranら、Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8):p.801−9; Margalit, Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 1995;12(2−3):p.233−61; 米国特許第5,567,434号公報、米国特許第5,552,157号公報、米国特許第5,565,213号公報、米国特許第5,738,868号公報、米国特許第5,795,587号公報参照)。
【0081】
ある実施形態では、リポソームは、水性の媒質に分散され、即時に多重膜同心円二重層[多重膜小胞(MLVs)とも称する]を形成するリン脂質から形成される。
【0082】
代わりに、他の実施形態では、本発明の組成物の薬理学的に許容されるナノカプセル製剤が提供される。ナノカプセルは、一般に、化合物を安定で再現性のある方法で封入される(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pharm.1998 Dec;24(12):1113−28参照)。細胞内ポリマーの過負荷による副作用を回避するために、これら超微細粒子(粒子径約0.1μm)が生体内で分解可能なポリマーを用いてデザインされる。このような粒子は、例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 1988; 5(1):p.1−20; zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):p.149−55; Zambauら、J Controlled Release. 1998 Jan 2;50(1−3):p.31−40;米国特許第5,145,684号公報に記載されるようにして、作製できる。
【0083】
<炎症性腸疾患処置のための治療方法>
本明細書で上述したように、本発明は、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患の処置のための治療法を提供する。この方法は、炎症性腸疾患に罹患した患者に、上述した抗体に基盤を置くI型インターフェロン拮抗物質のうちの一つ等のI型インターフェロン拮抗物質を含有する組成物を治療有効量投与する手順を備える。本発明は、更なる実施形態において、炎症性腸疾患処置のための治療方法を提供し、これらの方法は、(a)IBDに罹患した患者に、寛容量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順と、(b)この患者に、治療有効量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順とを備える。更に、一種以上のI型インターフェロン拮抗物質を、上述したような免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、TNF拮抗物質等の、他の治療剤と組み合わせて投与することが好ましいこともある。
【0084】
本明細書に記載される治療用組成物の投与の経路、頻度、及び投用量は、個人間で変動し、標準的技術を用いて容易に確立してよい。本発明の方法によれば、拮抗物質が適切ないずれかの送達経路で投与されることで、適切な生物学的利用能が確保される。このように、ある実施形態では、適切な投与経路として、静脈内大量瞬時投与、静脈内大量低速投与、注射が挙げられる。他の実施形態では、I型インターフェロン拮抗物質は、皮下、筋肉内、経皮、皮内注射を通じて投与してよい。他の実施形態では、I型インターフェロン拮抗物質は、吸入(例えば、吸引)、鼻咽頭投与、経口投与等の粘膜送達を通じて、投与される。
【0085】
抗体及び/又はこの抗体の抗原結合断片等の、タンパク質拮抗物質を使用する実施形態では、投与経路は、皮下、筋肉内、及び/又は、静脈内でよい。静脈内投与は、大量瞬時投与、大量低速投与、注入でよい。他の実施形態では、タンパク質拮抗物質は、経皮的に、皮内的に、又は、粘膜を介して、送達してよい。
【0086】
一般に、適切な投用量及び治療投薬計画によって、治療効果をもたらすのに充分な量の活性化合物が提供される。このような応答は、臨床上改善された成果(例えば、腹痛、出血性下痢、関節炎、ブドウ膜炎、皮膚変化等の「腸管外の」症状発現の軽減、小腸及び結腸内の炎症細胞の集積の軽減)を確認することにより監視できる。
【0087】
治療投薬計画の正確な性質によれば、本明細書に開示されたI型インターフェロン拮抗物質の適当な投用量は、体重1kgあたり0.1mg以上50mg以下であり、より好ましくは体重1kgあたり0.5mg以上10mg以下であり、更に好ましくは体重1kgあたり2mg以上5mg以下であってよい。ある実施形態では、多重反復投与で投与してよい。
【0088】
タンパク質拮抗物質を使用する本発明の実施形態では、投薬頻度は、1回/日以上1回/月以下であり、より好ましくは2回/週以上2回/隔週以下であり、更に好ましくは1回/週程度であってよい。
【0089】
本発明の更に他の実施形態では、炎症性腸疾患に罹患した患者の治療方法が提供され、この治療方法は、(a)寛容量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順であって、このI型インターフェロン拮抗物質がタンパク質拮抗物質である手順と、(b)治療有効量の上記I型インターフェロン拮抗物質を投与する手順と、を備える。これらの方法の実施形態では、インターフェロン拮抗物質は、I型インターフェロン受容体(IFNAR)に対する抗体でよい。抗I型インターフェロン抗体としては、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体、減免疫原化抗体、ヒト抗体が挙げられる。ある好適な抗IFNAR抗体としては、64G12と称するマウスモノクローナル抗体、及び/又は、CPI−1697と称する組換えヒト変異体等の、IFNAR1に結合する抗体が挙げられる。
【0090】
最初の寛容を達成するために、抗I型インターフェロン抗体は、ヒト及び非ヒト霊長類における免疫原性を有してよい。キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体の場合のように、抗体が部分的に又は主にヒト免疫グロブリン配列から構成されていても、免疫応答が生物学的に重大で、抗体の治療効力を損なう場合がある。ある実施形態では、最初に高用量の抗体を投与することにより、治療抗体に対するある程度の免疫寛容が確立される。寛容量は、抗IFNAR抗体の反復投与に対するIgG抗体応答の誘導を阻害又は低減するのに充分である。
【0091】
第一の抗I型インターフェロン拮抗物質の寛容量の好ましい範囲は、体重1kgあたり10mg以上50mg以下である。この寛容量のより好ましい範囲は、体重1kgあたり20mg以上40mg以下である。この寛容量の更に好ましい範囲は、体重1kgあたり20mg以上25mg以下である。
【0092】
これらの治療投薬計画では、抗I型インターフェロン抗体の治療有効量は、体重1kgあたり0.1mg以上10mg以下であることが好ましい。より好ましくは、第二の治療有効量が体重1kgあたり0.2mg以上5mg以下である。更に好ましい治療有効量は、体重1kgあたり0.5mg以上2mg以下である。他の実施形態では、爾後の治療投与(一回又は複数回)は、寛容量と同一又は異なる製剤設計でよく、及び/又は、寛容量と同じ又は異なる経路によって投与してよい。治療投与は、静脈内、筋肉内、又は皮下に投与することが好ましい。
【0093】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0094】
<炎症性腸疾患の治療におけるIFNAR−1拮抗物質の使用>
新世界の霊長類種であるワタボウシタマリン(CTT;Sanguinus oedips)における特発性大腸炎は、この分野において、ヒトにおける炎症性腸疾患(IBD)のモデルとして認められている。罹患動物は潰瘍性大腸炎と同様の病態生理を呈し、結腸に同様の組織学的変化が観察され、ヒトとCTTに共通の後遺症は、結腸癌である。CTTにおける結腸炎は、結腸炎相における、また結腸癌による、罹患率及び死亡率に関連する。結腸炎の特徴は、緩解を伴う症状の反復突発である。病気の期間は、個体間での変動がかなりあるものの、一般に約4週間続く。臨床的症状としては、便に出血、消化不良/吸収不良症候群を伴う下痢が挙げられる。この疾病の特徴は、組織学的には、大腸の粘膜上皮細胞への好中球の浸潤であり、この浸潤には、腸管陰窩の形態に対する進行性退化性変化が伴い、この変化によって、この疾病の進行段階の診断できる。原因は不明であるが、おそらく食餌性及び感染性の作用因子が一役を果たしており、ほぼ確実に状態の悪化につながる。
【0095】
マウス64G12抗体であるCPI−1697(IgG4k)の遺伝子組換えによるヒト化タイプが開発されており、IFNAR1に結合し、同様の抗原決定基への64G12の結合と競合する。CPI−1697は、CTTにおける特発性結腸炎を治療するため、以下のように使用した。実験参入時期における、結腸炎の病歴、下痢や体重減少等の臨床的症状の発症に基づいて、実験的に未処理の動物をコロニーから選択した。動物に対して、結腸の病理生検を行い、実験開始前2週間以内における結腸の炎症を確認した。すべての試験動物は、確立された定量化スキームに従い(Madaraら、Gastroenterology 88:p.13−19(1985)参照)、活性、過形成、慢性化について、0〜4の範囲(0=正常組織)において、陽性の組織学的結腸炎スコア2を示した。単離された末梢血白血球上のフィコエリトリン結合CPI−1697を使用し、フローサイトメトリーによって、動物をIFNAR−1レベルで予めスクリーンした。CPI−1697を無菌濾過し、媒体溶液[Dulbecco’s Na PBS(無菌、USP)]中で20mg/mLに調製した。
【0096】
二つの連続段階で実験を行った。第一実験(第1段階)においては、結腸炎を持つ5匹の動物にCPI−1697を、低速静脈内注入により最初の用量20mg/kg投与し、続いて、筋肉内投与により7回で10mg/kg投与するのを、週2回の頻度で4週間行った。同様の投薬計画に従って、同等容量の媒体溶液(Dulbecco Na PBS)を5匹の対照動物に投与した。第二実験(第2段階)では、6匹の動物にCPI−1697を、上述と等しく、最初の静脈内投与(20mg/kg)し、続いて、週2回の頻度での筋肉内投与(10mg/kg)し、これを8週間行った。同じ投薬計画に従って、5匹の対照動物に媒体溶液を投与した。両方の段階において、動物を、体重(週2回)及び下痢で監視し、結腸の病理生検による組織学的採点を定期的に行うことにより監視した。
【0097】
第1段階では、処理期間中及び処理期間の終了後6週間の両方で、第2段階では、処理終了後4週間、動物を評価した。体重及び結腸組織について、第1段階及び第2段階での処理の終了後、各々51週間、27週間、すべての動物を追跡調査した。下痢は、標準化された0〜5の尺度に基づき、少なくとも週に5回、目視によって等級をつけて採点した。この尺度では、0は正常な大便を、5は極めて水分の多い下痢を表す。霊長類の抗ヒト抗体免疫応答(PAHA)の解析のために、定期的間隔で静脈血試料を採取した。処理期間及び追跡調査期間中に間隔をあけ、3つの部位(結腸の遠位末端から1、3、6cm)から結腸の病理生検材料を採取した。採取した組織をホルマリン中で固定し、薄片化し、組織評価のためにヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
【0098】
各処理区を知らされていない獣医学組織病理学により、薄片の採点を行った。評点システムでは、0(正常)から4(重症)までで、以下に示す三つの独立した基準を用いた(Madaraら、1985)。第一のパラメーターは、「活性」、即ち、浸潤している好中球の数である。第二のパラメーターは、「慢性化」、即ち、結腸の形態に対する恒久的な変化の程度であり、陰窩の喪失及び腺構造の変化が含まれる。これらは、結腸炎の進行継続期間中に徐々に増加するのが特徴である。第三のパラメーターは、「過形成」、即ち、粘膜組織の厚さの異常な増加であり、細胞組織及び間質組織が含まれる。組織構造の平均スコアは、各時点における、これら三つのパラメーターの各々に対する、三つの病理生検のレベルから決定した。
【0099】
第1段階及び第2段階での体重を、図1A〜1D及び2A〜2Dに各々示す。第1段階及び第2段階での下痢のスコアを、図3A〜3D及び4A〜4Dに各々示す。第1段階及び第2段階での「活性」のスコアを、図5A〜5D及び6A〜6Dに各々示す。第1段階及び第2段階での「慢性化」のスコアを、図7A〜7D及び8A〜8Dに各々示す。第1段階及び第2段階での「過形成」のスコアを、図9A〜9D及び10A〜10Dに各々示す。
【0100】
図1A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。投薬開始日である0日の体重を基線として用い、各動物の体重変化割合を計算した。図2A〜Dは、第2段階でのIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
生存動物の、個々及びグループの平均体重変化ならびにグループ平均体重を、パーセント表示でプロットした。処理区及び対照区に対して、すべての時点について統計分析(一元配置分散分析)を行った。**は、第1段階試験の55週目において、処理動物が対照動物と比べて、統計的に有意の体重変化を示した(p<0.01)ことを表す。矢印は投薬スケジュールを表す。
【0101】
第1段階の対照区の1匹の動物(#25285)は、処理期間中に、潰瘍性結腸炎又は治療投薬計画とは無関係に増大する鼠徑ヘルニアを発症したため、安楽死させた。第1段階では、処理区で、1匹の動物も死亡しなかった。第2段階では、処理期間中に、対照区及び処理区の両方で1匹の動物が死亡した。試験期間中を通じて第1段階及び第2段階の両方で、生存動物のうち処理区が、対照区よりもより大きな体重増加割合を示した(図1A〜1D、及び図2A〜2D)。体重増加は、投薬期間の終了後、4週から6週で最も顕著であった。最も興味深いのは、第1段階試験での投薬期間後51週まで、及び第2段階試験での投薬期間後27週又は43週まで、の動物の長期追跡調査により、対照区の動物と比較して、処理区の動物において、更により大きな体重増加割合を示したことである。特に、第1段階での処理区の動物は、対照区の動物と比較して、統計的に有意な体重増加割合を示した(p<0.01)。良好な体重増加を示した処理区内の3匹の動物(#4199、12300、52099)は、調査開始時点で20月齢以下であったことが判明し、この体重増加は若い動物の正常な成長によるものであった可能性がある。
【0102】
図3A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。図4A〜Dは、第2段階でのIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
対照区及び処理区について、生存動物の毎週の平均下痢スコア(5週日(5平日)の平均)をプロットした。対照区及び処理区について、毎週の平均下痢スコアのグループ平均、及び毎週の下痢スコアのグループ平均を、投薬開始直前の1週目を基線としてプロットした。矢印は投薬スケジュールを表す。
【0103】
CTTの下痢スコアに対するCPI−1697処理の効果を、図3A〜3D及び図4A〜4Dにまとめた。グループ平均の週平均下痢スコアは、第2段階試験における調査経過中に、処理区において改善(スコアの低下)を示したが、対照区では何ら改善を示さなかった(図4A〜4D)。下痢スコアの改善は、処理開始直後に始まり、第2段階試験における処理終了後も維持される傾向があった。第1段階試験では、下痢スコアの改善は、処理との関係が明白でなかった(図3A〜3D)。
【0104】
図5A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。図6A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
対照区及び処理区について、生存動物の好中球の浸潤(3病理生体組織検査試料の平均)を表す活性スコアをプロットした。活性スコアのグループ平均、及び毎週の活性スコア変化のグループ平均のパーセント表示を、第1段階については投薬開始前の1週目を、第2段階については2週目を基線としてプロットした。矢印は投薬スケジュールを表す。
【0105】
CTTの結腸における好中球の浸潤を表す、「活性」スコアに対するCPI−1697処理の効果を、図5A〜5D及び図6A〜6Dにまとめた。第1段階試験では、対照区及び処理区の両方とも、好中球の浸潤が、調査開始直後に減少した(図5A〜5D)。処理区では、0週から8週の期間に亘って好中球の浸潤が増加したが、8週から10週にかけて好中球の浸潤が実質的には減少した。これと対照的に、対照区では、好中球の浸潤が0週から10週にかけてやや減少した。しかし、55週までに、処理区では対照区よりもやや少ない好中球の浸潤を示した。第2段階試験においては(図6A〜6D)、処理区では、12週間の調査に亘って好中球の浸潤が減少し(グループ平均)、35週まで更に減少したが、対照区では何ら減少を示さなかった。
【0106】
図7A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。図8A〜Dは、第2段階でのIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
対照区及び処理区について、生存動物の陰窩の喪失及び腺状構造における変化(3生体組織検査試料の平均)を含む結腸形態の恒久的変化の程度を表す慢性化スコアを、プロットした。グループ平均活性スコア、及びグループ平均の毎週の慢性化スコア変化のパーセント表示を、第1段階については投薬開始前の1週目を、第2段階については投薬開始前の2週目を、基線としてプロットした。矢印は投薬スケジュールを表す。
【0107】
CTTの陰窩の喪失及び腺構造の変化を含む、結腸の形態への恒久的変化の程度を表す、「慢性化」スコアに対するCPI−1697処理の効果を、図7A−7D及び8A−8Dにまとめた。第1段階試験では(図7A〜7D)、対照区及び処理区の両方において、処理開始直後に直腸形態が改善したが、この改善は継続しなかった。処理区では、対照区と比較して、結腸形態に対する有益な付加的効果を何ら示さなかった。第2段階試験では、処理区において、投薬開始後2週間で結腸形態が改善し、対照区とは正反対であった(図8A〜8D)。しかも、処理区では、12週と比較して、長期の35週において、対照区よりも結腸形態の改善を示した。
【0108】
図9A〜Dは、第1段階でのIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。図10A〜Dは、第2段階でのIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
対照区及び処理区について、生存動物の細胞組織及び間質組織を含む粘膜組織の厚さの異常増大(3生体組織検査試料の平均)を表す過形成スコアをプロットした。グループ平均活性スコア、及びグループ平均の毎週の過形成スコア変化のパーセント表示を、第1段階については投薬開始前の1週目を、第2段階については投薬開始前の2週目を、基線としてプロットした。矢印は投薬スケジュールを表す。
【0109】
CTTの細胞組織及び間質組織を含む粘膜組織の厚さの異常な増加を表す、「過形成」スコアに対するCPI−1697処理の効果を、図9A〜9D及び図10A〜10Dにまとめた。第1段階試験では、結腸形態の変化と同様に、対照区及び処置区の両方において、粘膜組織の厚さが処置開始直後に減少したが、この改善は継続しなかった(図9A〜9D)。処理区では、対照区と比較して、粘膜組織の厚さに対する有益な付加的効果を何ら示さなかった。第2段階試験においては、処理区では、対照区と同様な粘膜組織の厚さの変化を、12週の調査期間に亘って示した(図10A〜10D)。しかし、長期の追跡調査では、処理区において、長期の35週において、対照区と比較して、粘膜組織の厚さが減少した。
【0110】
図11Aは第1段階試験、図12Bは第2段階試験、における個々の動物の血清中のCPI−1697レベルを示すグラフである。
図12Aは第1段階試験、図12Bは第2段階試験、におけるCPI−1697処理動物のPAHA応答相対レベルを示すグラフである。
【0111】
各動物からの血清試料を、ELISAにより、ヒトIgG4を検出して薬物(CPI−1697抗IFNAR−1抗体)レベルを検査し、霊長類の抗ヒト抗体(PAHA)応答を検査した。図11A〜11Bに示されるように、血漿の約50〜270ng/mlの薬物レベルは処理段階を通して維持され、PAHAレベルは大多数の動物において低い又は検出不能であった(図12A〜12B)。体重基準で等しい用量をすべての動物に投与したが、ある動物では、3倍以上高いCPI−1697の循環レベルを示すことが観察された。CPI−1697の濃度範囲は、IFNAR−1の遮断に試験管内で有効であることが、既に霊長類の検討で証明されている。第1段階における2匹の動物(#8494 and #52099)は検出可能なPAHA応答を発現し、第2段階ではいずれの動物においても検出可能なPAHA応答が観察されなかった(図12A〜12B)。これらの結果によって、行った投薬計画が、CPI−1697の最初の高用量を含め、このタンパク質(ヒト抗体)に対して有意な免疫応答をもたらさないことが示唆される。これら2匹の動物では、低い薬物レベルを示した(図11A〜11B)。
【0112】
図13は、第2段階試験における個々の動物のB細胞上のIFNAR1発現の標準化レベルを示すグラフである。種々の時点における個々の動物のB細胞上のIFNAR1発現レベルが対照動物では比較的安定であるとの仮定のもとに、各時点における対照動物の平均IFNAR1レベルを用いて標準化した。
【0113】
白血球細胞上のIFNAR1レベルをフローサイトメトリーより検査し、第2段階試験の標準化した受容体レベルを図13にまとめた。FACS検査が当時最適化されていなかったため、第1段階試験の受容体レベルは得られなかった。処理された動物では、完全ではないものの、種々のレベルまでインターフェロン受容体がブロックされた。より高いレベルの血清CPI−1697を有する動物が、より良好な受容体ブロックを示す傾向があった。
【0114】
以上をまとめると、第1段階及び第2段階の調査の両方において、CPI−1697処理により、対照と比較して、結腸炎罹患のタマリンにおける体重増加の効果があった。CPI−1697処理をより長い期間行う第2段階の調査では、下痢スコア、及び「活性」、「慢性化」、「過形成」を含む組織変化のスコアの改善について、より優れた効果を示した。第2段階の調査では、陽性の臨床応答と、より高い循環CPI−1697レベルのとの間に、相関が存在した。PAHA応答の欠如と、改善された臨床的スコアとの間にも、正の相関があった。これらの相関は、第1段階の調査では見られなかった。上記検討での試料数が小さかったため、これらの相関を統計的方法で検討することはできなかった。総じていえば、これらの結果は、IFNAR−1に対するヒト化抗体による治療によって、結腸炎のCTTにおける臨床的改善が生じることを示唆する。上記の効果は、長期の追跡調査により示されたように、急性というよりむしろ長期性であり、治療段階を超えて維持される傾向があった。第2段階試験におけるより長期間に亘る治療によって、より短期間の治療よりも、より強い効果がもたらされた。CPI−1697への暴露の増加は、時間及び血清レベルの両方において、より大きな応答と関連していた。
【0115】
前述の内容から認識されるように、本明細書には、本発明の実施形態が例示されているが、本発明の精神と範囲から逸脱しない限りにおいて、種々の改変が行われてよいことは当然である。従って、本発明は、特許請求の範囲以外によって限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1A】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図1B】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図1C】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図1D】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図2A】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図2B】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図2C】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図2D】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの体重の経時的変化を示すグラフである。
【図3A】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図3B】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図3C】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図3D】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図4A】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図4B】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図4C】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図4D】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの下痢スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図5A】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図5B】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図5C】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図5D】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図6A】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図6B】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図6C】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図6D】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの活性スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図7A】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図7B】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図7C】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図7D】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図8A】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図8B】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図8C】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図8D】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの慢性化スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図9A】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図9B】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図9C】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図9D】本発明の実施例の第1段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図10A】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図10B】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図10C】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図10D】本発明の実施例の第2段階試験におけるIBD罹患CTTマウスの過形成スコアの経時的変化を示すグラフである。
【図11A】第1段階試験における個々の動物の血清中のCPI−1697レベルを示すグラフである。
【図11B】第2段階試験における個々の動物の血清中のCPI−1697レベルを示すグラフである。
【図12A】第1段階試験におけるCPI−1697処理動物のPAHA応答相対レベルを示すグラフである。
【図12B】第2段階試験におけるCPI−1697処理動物のPAHA応答相対レベルを示すグラフである。
【図13】第2段階試験における個々の動物のB細胞上のIFNAR1発現の標準化レベルを示すグラフである。
【図14A】ヒト化抗IFNAR−1抗体CPI−1697の重鎖(H3)(配列番号1)のアミノ酸配列を示す。
【図14B】ヒト化抗IFNAR−1抗体CPI−1697の軽鎖(K1)(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性腸疾患の治療のための組成物であって、(a)治療有効量のI型インターフェロン拮抗物質、及び、(b)薬理学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項2】
前記炎症性腸疾患は、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎からなる群より選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記I型インターフェロン拮抗物質は、抗体、ポリペプチド、小分子からなる群より選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記I型インターフェロン拮抗物質は、ポリエチレングリコールへの共役、免疫グロブリンFc領域との融合からなる群より選ばれる化学修飾を有する請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記I型インターフェロン拮抗物質は抗体であり、この抗体は抗I型インターフェロン受容体モノクローナル抗体及び抗I型インターフェロンモノクローナル抗体からなる群より選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記抗体は、非ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体からなる群より選ばれる請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記非ヒト抗体は、64G12である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記ヒト抗体は、CPI−1697である請求項6記載の組成物。
【請求項9】
免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調整剤、サイトカイン、TNF拮抗物質からなる群より選ばれる治療薬を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記免疫抑制剤は、アザチオプリン、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチルからなる群より選ばれる請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記抗炎症剤は、5−アミノサリチル酸、スルファサラジン、オルサラジンからなる群より選ばれる請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記ステロイドは、コルチコステロイド、糖質副腎皮質ステロイド、プレドニソン、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、デキサメタゾン、ACTHからなる群より選ばれる請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記免疫調整剤は、PVAC、抗CD40リガンド、抗CD40、ナタリズマブ、抗VCAMI、抗ICAMIからなる群より選ばれる請求項9記載の組成物。
【請求項14】
前記サイトカインは、IL−10である請求項9記載の組成物。
【請求項15】
前記TNF拮抗物質は、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、CDP870からなる群より選ばれる請求項9記載の組成物。
【請求項16】
炎症性腸疾患に罹患している患者の治療方法であって、前記患者に、治療有効量のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む治療方法。
【請求項17】
前記炎症性腸疾患は、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎からなる群より選ばれる請求項16記載の治療方法。
【請求項18】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、静脈内大量瞬時投与、静脈内大量低速投与、注入からなる群より選ばれる経路によって投与する請求項16記載の治療方法。
【請求項19】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、皮下、筋肉内、経皮、皮内、静脈内からなる群より選ばれる経路によって投与する請求項16記載の治療方法。
【請求項20】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、吸入、鼻咽頭投与、経口投与からなる群より選ばれる粘膜送達経路によって投与する請求項16記載の治療方法。
【請求項21】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、体重1kgあたり、0.1mg以上50mg以下の投与量で投与する請求項16記載の治療方法。
【請求項22】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、体重1kgあたり、0.5mg以上10mg以下の投与量で投与する請求項21記載の治療方法。
【請求項23】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、体重1kgあたり、2mg以上5mg以下の投与量で投与する請求項22記載の治療方法。
【請求項24】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、1回/日以上1回/月以下の頻度で投与する請求項16記載の治療方法。
【請求項25】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、2回/週以上2回/隔週以下の頻度で投与する請求項24記載の治療方法。
【請求項26】
前記I型インターフェロン拮抗物質を、1回/週程度の頻度で投与する請求項24記載の治療方法。
【請求項27】
免疫抑制剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、TNF拮抗物質からなる群より選ばれる第二治療薬の投与を含む請求項16記載の治療方法。
【請求項28】
炎症性腸疾患に罹患している患者の治療方法であって、(a)第一の時点で、前記患者に、寛容量の第一のI型インターフェロン拮抗物質を投与し、(b)第二の時点で、前記患者に、治療有効量の第二のI型インターフェロン拮抗物質を投与する手順を含む治療方法。
【請求項29】
前記第一のI型インターフェロン拮抗物質は、抗IFNAR抗体である請求項28記載の治療方法。
【請求項30】
前記第二のI型インターフェロン拮抗物質は、抗I型インターフェロン抗体である請求項28記載の治療方法。
【請求項31】
前記第一のI型インターフェロン拮抗物質の前記寛容量は、前記第一のI型インターフェロン拮抗物質の反復投与に対するIgG抗体応答の誘導を抑制又は低減可能な充分量である請求項28記載の治療方法。
【請求項32】
前記第一のI型インターフェロン拮抗物質の前記寛容量は、体重1kgあたり、10mg以上50mg以下である請求項28記載の治療方法。
【請求項33】
前記第一のI型インターフェロン拮抗物質の前記寛容量は、体重1kgあたり、20mg以上40mg以下である請求項32記載の治療方法。
【請求項34】
前記第一のI型インターフェロン拮抗物質の前記寛容量は、体重1kgあたり、20mg以上25mg以下である請求項33記載の治療方法。
【請求項35】
前記第二のI型インターフェロン拮抗物質の前記治療有効量は、体重1kgあたり、0.1mg以上10mg以下である請求項28記載の治療方法。
【請求項36】
前記第二のI型インターフェロン拮抗物質の前記治療有効量は、体重1kgあたり、0.2mg以上5mg以下である請求項35記載の治療方法。
【請求項37】
前記第二のI型インターフェロン拮抗物質の前記治療有効量は、体重1kgあたり、0.5mg以上2mg以下である請求項36記載の治療方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公表番号】特表2006−524703(P2006−524703A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513278(P2006−513278)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012651
【国際公開番号】WO2004/093908
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504378238)メダレックス インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】