説明

炎症疾患の治療において使用するための新規な組み合わせ

(a)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;及び(b)スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、併用製品を提供する。その様な併用製品は、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患の治療に特に有用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な医薬の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
冠状動脈性心臓病などの心臓血管疾患及び脳卒中は、特に先進国において、死亡、身体障害、及び医療負担の主要な原因である。その様な疾患は、多くの場合は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、並びに血漿低密度リポタンパク質(LDL)及びトリグリセリドの増加などのリスクを有するか又は喫煙している対象において選択的に発症する多数の原因を有する疾患であるアテローム性動脈硬化症から続く後遺症である。
【0003】
アテローム性動脈硬化症(斑)は、多くの場合には、数年及び時には数十年に亘って発症する。典型的には、動脈壁におけるコレステロールの蓄積、泡沫細胞の形成、炎症、及び細胞増殖などの病理過程を伴う。
【0004】
高密度リポタンパク質(HDL)、LDL、総コレステロール、及びトリグリセリドのレベルは全て、アテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患、例えば、冠動脈疾患(例えば、狭心症及び心筋梗塞など)、脳卒中(脳血管障害及び一過性脳虚血発作)、及び末梢動脈閉塞性疾患のリスクの測定における指標である。
【0005】
高いコレステロール及び/又はトリグリセリド全体のレベルを有する患者は、好ましいHDLレベルも有しているか否かにかかわらず、明らかにリスクを有する。正常なコレステロール全体のレベルを有するが低いHDLレベルを有する患者も、リスクが大きい。最近では、高レベルのアポリポタンパク質B(ApoB;非常に低密度のリポタンパク質(VLDL)及びLDLにおいて脂質を有する)及び/又は低レベルのアポリポタンパク質A−l(ApoA−l;HDLにおいて脂質を有する)を伴う心臓血管疾患のリスクのレベルが非常に高いことにも注意すべきである。
【0006】
血清中のLDLレベルを低減させる薬剤は、アテローム斑の形成を低減させ、かつ、粥腫崩壊及び関連する血栓塞栓性の合併症のリスクを(長期において)低減させ得る。血中コレステロールレベルを低減させるために役立ち得る薬剤には幾つかのタイプが存在する。最も一般的に処方されているものは、ヒドロキシメチルグルタリル−CoA(HMG−CoA)レダクターゼインヒビター(以下においては、それらの一般名にかかわらず「スタチン」と称する)であり、シンバスタチン及びアトルバスタチンを含む。これらの薬剤は、肝臓に存在するコレステロールの形成を直接妨害し、かくして心臓血管疾患のリスクを低減させる。
【0007】
他の処方される薬剤の種類は、レシン(例えば、コレスチラミン及びコレスチポール)を含み、胆汁酸に結合し、肝臓に後者を製造させ、そのプロセスにおいてコレステロールを使い果たさせることによって作用する。さらに、Bビタミンナイアシンは、高用量において、HDLレベルを増大させるのに加えてトリグリセリド及びLDLのレベルを低減させることが報告されている。フィブラート(ゲムフィブロジル及びフェノフィブレート)は、トリグリセリドを低減させて、HDLレベルを増大させ得ることが知られている。
【0008】
スタチンなどのコレステロール低下薬の導入によって、冠状動脈性心臓病及び脳卒中による死亡率を優位に低減させた。しかしながら、これらの薬剤は、全ての患者において等しく有効であるわけではなく、ある副作用(例えば、肝臓機能の変化、ミオパシー、及び黄紋筋融解症)を有することが知られている欠点に悩まされており、アテローム性動脈硬化症は依然として死亡及び身体障害の主要な原因である。事実、最近のレヴュー誌(Briel et al,JAMA,295,2046(2006))は、スタチンが、急性冠不全症候群患者の治療の最初の4ヶ月の間において深刻な心血管系イベントを低減しないと示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0014733号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0135577号
【特許文献3】米国特許出願第2006/0148830号
【特許文献4】米国特許出願第2003/0104080号
【特許文献5】米国特許出願第2006/0084695号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Briel et al,JAMA,295,2046(2006)
【非特許文献2】Tamoaki,Allergology International,53,55(2004)
【非特許文献3】Suwaki et al,International Immunopharmacology,2163(2001)
【非特許文献4】Umemoto et al,Heart Vessels,18,100(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
かくして、アテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患の、特に急性冠不全症候群患者における、より安全及び/又はより有効な治療方法が必要とされている。
【0012】
スプラタストは、Th2細胞からのIL−4及びIL−5の放出並びにマスト細胞からの化学伝達物質の放出を阻害するTh2サイトカインインヒビターである。したがって、スプラタストは、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、間質性膀胱炎、及び慢性非細菌性前立腺炎などの疾患の治療において示される。例えば、Tamoaki,Allergology International,53,55(2004)及びSuwaki et al,International Immunopharmacology,2163(2001)を参照のこと。スプラタストは、急性好酸球性肺炎を治療する可能性が示されている(Umemoto et al,Heart Vessels,18,100(2003))。
【0013】
米国特許出願第2007/0014733号は、ネビボロールの代謝物を含む心臓血管疾患の治療のための医薬組成物を開示している。スプラタストは、その様な組成物中でその様な代謝物と組み合わされてよい多くの有効成分の中に記載されている。
【0014】
米国特許出願第2006/0135577号及び第2006/0148830号は、とりわけ泌尿器系の疾患、例えば炎症などにおいて使用するためのLPA受容体(及び特にEDG−2受容体)の新規アンタゴニストを開示している。スプラタスト及びスタチンは、その様な新規化合物と併用してよい多数の異なる有効成分の中に別々に言及されている。
【0015】
米国特許出願第2003/0104080号は、シェルによってカプセル化された医薬有効成分を含む親水性界面活性剤含有フィラーを含む新規な医薬剤形を開示している。本明細書で挙げる化合物の幾つかを含む各種の化合物が、その様な剤形において使用する可能性がある多数の薬剤候補の中に記載されている。
【0016】
最後に、米国特許出願第2006/0084695号は、アテローム性動脈硬化症などの心臓血管疾患の治療において使用するためのMAPキナーゼ及び/又はHMG−CoAレダクターゼのインヒビターを開示している。
【0017】
具体的にスプラタストとスタチンとを含む併用製品の使用は、上述の文献のいずれにおいても具体的に開示されていない。さらに、アテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患の、特に急性冠障害症候群患者での、治療におけるその様な併用製品の使用は、それらの文献のいずれにおいても開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、
(a)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;及び
(b)スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む併用製品が提供される。当該併用製品を、以下においては「本発明に係る併用製品」と称する。
【0019】
用語「スタチン」は、1つ又は複数のスタチンを含む。用語「スタチン」及び「HMG−CoAレダクターゼインヒビター」は、本発明においては同意語として使用され、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、セリバスタチン、プラバスタチン、メバスタチン、ベルバスタチン、ダルバスタチン、及びアトルバスタチンを含む。
【0020】
挙げられてよい他のスタチンは、アシテメート、ベンフルオレックス、クレスチン、コレストロン、ジヒドロメビノリン、メグルトール、ラウソノール、並びに以下のコードネーム:ATI-16000, BAY-10-2987, BAY-x-2678, BB-476, BIO-002, BIO-003, BIO-2, BMS-180431, CP-83101, DMP-565, FR-901512, GR-95030, HBS-107, KS-01-019, L-659699, L-669262, NR-300, P-882222, PTX-023595, RP 61969, S-2468, SC-32561, sc-45355, SDZ-265859, SQ-33600, U-20685を有する化合物、並びにNO増加/放出スタチン、例えば、NCX−6560(ニトロプラバスタチン)を含む。
【0021】
より好ましいスタチンは、ピタバスタチン(例えば、Livalo(登録商標)、Pitava(登録商標))、及びより好ましくは、フルバスタチン(例えば、Lescol(登録商標)、シンバスタチン(Zocor(登録商標)、Lipex(登録商標))ロバスタチン(例えば、Mevacor(登録商標))、Altocor(登録商標))、ロスバスタチン(例えば、Crestor(登録商標))、プラバスタチン(例えば、Pravachol(登録商標)、Selektine(登録商標)、Lipostat(登録商標))、及びアトルバスタチン(例えば、Lipitor(登録商標)、Torvast(登録商標))を含む。特に好ましいスタチンは、シンバスタチン、とりわけアトルバスタチン、特にロスバスタチンである。
【0022】
挙げられてよい製薬学的に許容される塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。その様な塩は、従来の手法、例えば、有効成分の遊離酸又は遊離塩基の形態の、1以上の当量の適当な酸又は塩基との、任意に溶媒中又は塩が不溶性の媒体中でその後に標準的な技術(例えば、真空条件、凍結乾燥、又は濾過)を用いて前記溶媒又は媒体を除去することによる反応によって形成されてよい。塩は、例えば適切なイオン交換樹脂を用いて、他の対イオンと塩の形態における有効成分の対イオンを交換することによって調製されてもよい。
【0023】
スプラタストの好ましい塩の形態は、トシル酸塩である。
【0024】
スタチンの好ましい塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩を含み、例えば、ピタバスタチンカルシウム、フルバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウム、ロスバスタチンカルシウム、及びアトルバスタチンカルシウムを含む。
【0025】
本発明に係る併用製品において使用される有効成分(特にスプラタスト)は、ジアステレオマー豊富化及び/又はエナンチオマー豊富化された形態であってよい。「ジアステレオマー豊富化」及び「エナンチオマー豊富化」の各々によって、一方の異性体が他方よりも大きな割合を占める、有効成分のジアステレオマー/エナンチオマーの任意の混合物を意味する。例えば、90%超の光学純度(鏡像体過剰率)を有する(例えば、スプラタストの)エナンチオマーを使用してよい。
【0026】
本発明に係る併用製品は、上述のスタチンと組み合わせた上述のスプラタストの投与のために提供され、かくして、少なくとも1つの製剤がスプラタストを含み、かつ、少なくとも1つの製剤がスタチンを含む別々の製剤として提供されてもよく、又は組み合わされた調製物(すなわち、スプラタストとスタチンとを含む単独の製剤)として提供(すなわち製剤化)されてよい。
【0027】
かくして、
(1)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;及び製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体を含む医薬製剤(以下においては、当該製剤を「組み合わせた調製物」と称する);並びに
(2)以下の成分:
(A)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体と共に含む医薬製剤;及び
(B)スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体と共に含む医薬製剤
を含み、成分(A)及び(B)の各々が他方と併用して投与するために適切な形態で提供される、キットオブパーツ
が更に提供される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、上述の成分(A)を上述の成分(B)と関連させて、その2つの成分を互いに併用して投与するために適切なものとすることを含む、上述のキットオブパーツの製造方法を提供する。
【0029】
前記2つの成分を互いに「関連させる」ことによって、本発明者は、前記キットオブパーツの成分(A)及び(B)には、
(i)併用療法において互いに併用して使用するために実質的に一緒にされる別々の製剤(すなわち、互いに独立している)として提供されるか、又は
(ii)併用療法において互いに併用して使用するための「併用パック」の別々の成分として一緒に包装及び提供される
ことを含める。
【0030】
かくして、
(I)上述の成分(A)及び(B)の1つ;並びに
(II)その2つの成分の他方と共に当該成分を使用するための説明書
を含むキットオブパーツを更に提供する。
【0031】
本明細書に記載のキットオブパーツは、反復投与のために、スプラタスト/塩/溶媒和物の適当な量/用量を含む2つ以上の製剤、及び/又はスタチン/塩/溶媒和物の適当な量/用量を含む2つ以上の製剤を含んでよい。2以上の製剤(いずれかの活性化合物を含む)が存在する場合は、その様な製剤は、いずれかの化合物の用量、化学組成、及び/又は物理的形態について同一であるか又は異なるものであってよい。
【0032】
本発明に係る併用製品において使用してよいスタチンは、好ましくは、いわゆる「スタチンラクトン」の形態であってよい。本発明に係る併用製品は、ピタバスタチンラクトン及びメバスタチンラクトン、好ましくはフルバスタチンラクトン、ロスバスタチンラクトン、プラバスタチンラクトン、及びアトルバスタチンラクトン、特にロバスタチンラクトン及びシンバスタチンラクトンを含んでよい。
【0033】
本発明に係る併用製品は、炎症疾患の治療における有用性を示す。炎症疾患は、典型的には、ホストに対して有益というよりも有害な効果を生じる免疫防御機構の活性化によって特徴付けられる。その様な疾患は、一般的には、異なる程度の組織の赤み若しくは充血、腫脹、異常高温、痛み、かゆみ、細胞死及び細胞損傷、細胞増殖、及び/又は機能の損失と関連する。挙げられてよい炎症疾患は、アレルギー(アレルギー性結膜炎及びアレルギー性鼻炎を含む)、強直性脊椎炎、喘息、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、接触性皮膚炎、膀胱炎、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、変形性関節症、膵炎、前立腺塩、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、腱炎、滑液包炎、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、蕁麻疹、脈管炎、糖尿病性血管合併症、偏頭痛、アテローム性動脈硬化症、及び関連する心臓血管疾患を含む。挙げられてよい疾患は、偏頭痛、及びより好ましくは喘息、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、とりわけアテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患を含む。
【0034】
用語「アテローム性動脈硬化症」は、血管、特に動脈壁におけるコレステロール蓄積、泡沫細胞の形成、炎症、及び細胞増殖によって特徴付けられる任意の疾患を含むと当業者に理解されるであろう。アテローム性動脈硬化症と「関連する」心臓血管疾患は、大動脈瘤(腹部及び/又はアテローム硬化性動脈瘤を含む)、及びより好ましくは動脈硬化、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈疾患(例えば、狭心症、心筋梗塞、心臓麻痺など)、冠状動脈性心臓病(虚血心などの心臓病及び心臓疾患を含む)を含み、粥腫若しくは粉瘤の崩壊及び/又は不安定、血管又は動脈疾患、虚血性疾患/虚血、並びに脳卒中(脳血管障害及び一過性脳虚血発作)も含んでよい。
【0035】
挙げられてよい患者群は、急性冠症候群患者を含む。用語「急性冠症候群」は、任意の異常心筋及び虚血状態を含むが、多くの場合は胸痛及び/又は心電図異常(ECG)とのみ関連するものではないと当業者に理解されるであろう。その様な症候群は、心筋梗塞(心臓麻痺)の最も一般的な症状である。当業者は、「安定狭心症」(すなわち、運動中に発症し、かつ、休息時に消散する狭心症)の反対である用語「不安定狭心症」と同意義の用語であると解するであろう。同様に、悪化速度で発生する労作性狭心症(「漸増性狭心症」)は、「不安定」という定義の範囲内であると当業者に理解されるであろう。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、炎症疾患、特にアテローム性動脈硬化症及び/又は関連する心臓血管疾患の治療方法であって、その様な治療を必要とする患者に対して本発明に係る併用製品を投与することを含む方法が提供される。
【0037】
誤解を避けるために、本発明では、用語「治療」、「治療法」、及び「治療方法」は、必要がある患者の治療又は緩和処置並びにアテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患などの炎症疾患の疑いがある患者の予防処置及び/又は診断を含む。
【0038】
本明細書に記載のキットオブパーツに関しては、「と共に投与する」によって、本出願人は、スプラタスト(又はその塩/溶媒和物)及びスタチン(又はその塩/溶媒和物)を含む個々の製剤が、関連する疾患の治療の経過に亘って連続的に、別々に、及び/又は同時に投与されることを含める。
【0039】
かくして、本発明に係る併用製品に関しては、用語「と共に投与」は、併用製品の2つの成分(スプラタスト及びスタチン)を、一緒に又は実質的に近い時間で(任意に反復して)投与して、関連する疾患の治療の経過に亘って、スプラタストを含む製剤又はスタチンを含む製剤のいずれかを同じ治療の経過において単独で他の成分の不在下において(任意に反復して)投与するより大きな、患者により有益な効果を可能にする。特定の疾患の治療に関して、治療の経過に亘ってより大きな有益な効果が併用によって提供されるか否かの測定は、治療又は予防する疾患に依存するであろうが、当業者によって日常的な作業によって達成されてよい。
【0040】
さらに、本発明に係るキットオブパーツにおいては、用語「と共に」は、2つの製剤の一方が、他の成分の投与の前、後、及び/又は同時に投与(任意に反復投与)されてよいことを含む。この背景において使用される際には、用語「同時に投与」は、個々の用量のスプラタストとスタチンとが互いに48時間以内(例えば24時間以内)に投与されることを含む。
【0041】
「患者」は、哺乳動物(ヒトを含む)患者を含む。
【0042】
本発明にしたがって、スプラタスト及びスタチンが、局所的又は全身に、例えば、経口、静脈内若しくは動脈内(血管内ステント及び他の血管周囲の器具/剤形)、筋肉内、皮膚、皮下、経粘膜(例えば、舌下若しくは経頬)、直腸内、経皮、鼻内、肺(例えば、気管若しくは気管支)、局所、又は任意の他の非経口経路に、製薬学的に許容される剤形で化合物を含む医薬調製物の形態で好適に投与される。好ましい送達態様は、(特に)口腔、静脈内、皮膚若しくは皮下、鼻内、筋肉内、又は腹腔内送達を含む。
【0043】
スプラタスト及びスタチンは、一般的に、意図する投与経路及び標準的な製薬慣習に関して選択されてよい製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は単体と混合した1つ又は複数の医薬製剤の形態において一緒又は別々に投与されるであろう。その様な製薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であってよく、かつ、使用条件化において有害な副作用及び毒性を有しなくてよい。その様な製薬学的に許容される担体は、組み合わされた調製物又はキットオブパーツの形態で共に投与されるいずれかの活性化合物の迅速又は調節された放出を可能にする可能性もある。
【0044】
適切な医薬製剤は、市販されているか又は文献、例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy,19th ed.,Mack Printing Company,Easton,Pennsylvania(1995)及びMartindale−The Complete Drug Reference(34th Edition)並びにそれらが引用している文献に説明されており、これらの文献は参照することによって本明細書に取り込む。そうでなくとも、適切な製剤、特にスプラタスト及びスタチンの双方を含む組み合わされた調製物の調製は、日常的に用いられる技術によって当業者に容易に達成されてよい。
【0045】
前記製剤中の有効成分の量は、疾患の重度、治療しようとする患者、並びに使用する化合物に依存するであろうが、当業者によって容易に決定されてよい。
【0046】
疾患、治療しようとする患者、並びに投与経路に依存して、有効成分が、必要とする患者に対して異なる治療上有効量で投与されてよい。
【0047】
しかしながら、本発明において、哺乳動物、特にヒトに投与する用量は、適当な時間枠に亘って哺乳動物において治療反応をもたらすために十分であるべきである。当業者は、正確な用量及び組成並びに最も適当な送達計画は、とりわけ製剤の薬理学的性質、治療する疾患の性質及び重度、患者の体調及び精神力、特定の化合物の有効性、治療しようとする患者の年齢、状態、体重、性別、及び応答、疾患の段階/重度、並びに患者の間の遺伝的差異にも影響を受けるであろう。
【0048】
有効成分の投与は、連続的又は断続的(例えば、静脈内ボーラスによって)であってよい。用量は、投与時間及び頻度によって決定されてもよい。
【0049】
有効成分の適切な用量は、参照することによって本明細書に取り込むMartindale−The Complete Drug Reference (34th Edition)及びそこに引用されている文献などの医学文献において記載されているものを含む。したがって、有効成分の適切な用量は、約0.01mg/kg(体重)から約1,000mg/kg(体重)の範囲である。より好ましい範囲は、経口投与される際には、一日に約0.1mg/kgから約20mg/kgである。
【0050】
しかしながら、スプラタストの適切な用量は当業者に既知である。したがって、経口用量は、使用する製剤が上述の組み合わせた調製物であるかまたはキットオブパーツであるかにかかわらず、一日に約0.5mgから約1000mgの範囲、例えば、約2mgから約800mg、好ましくは約20mgから約600mg、例えば、約200mg(例えば、300mg)から約450mgの範囲である。
【0051】
同様に、スタチンの適切な用量は当業者に既知である。したがって、経口用量は、使用する製剤が上述の組み合わせた調製物であるか又はキットオブパーツであるかにかかわらず、典型的には、一日に約2mgから約150mg、例えば、5mgから約100mg、好ましくは約8mgから約90mg、例えば、約10mgから約80mgの範囲である。ピタバスタチンの適切な用量は、使用する製剤が上述の組み合わされた調製物であるか又はキットオブパーツであるかにかかわらず、約0.5から約10mgの範囲、例えば、約0.75mgから約5mg、好ましくは約1mgから約4mg、例えば約2mgである。
【0052】
いずれの場合においても、当業者又は医療従事者は、個々の患者に最も適切な実際の用量を日常的な作業によって決定することが可能であろう。上述の用量は、平均的な場合の例であって、言うまでもなくより高い又は低い用量が好ましい個々の場合があってよく、そのような場合も本発明の範囲内である。
【0053】
用語「約」が本明細書において、例えば、有効成分の用量との関連で使用される際は常に、その様な変動値は、近似値であり、±10%、例えば、±5%、好ましくは±2%(例えば、±1%)で特定の値から変動してよいと解されるであろう。
【0054】
本明細書に記載する併用製品/方法は、上述の疾患の治療において、炎症疾患など(例えば、アテローム性動脈硬化症及び関連する心臓血管疾患)の治療において使用するための従来技術における同様の方法(治療)よりも、医療従事者及び/又は患者にとって簡便であり、より有効であり、より毒性が少なく、より広い範囲の活性を有し、より強力であり、より少ない副作用を示し、又は他の有用な薬理学的特性を有する可能性があるという利点を有する。
【0055】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
MonoMac−6細胞炎症性メディエータ放出アッセイ
MonoMac−6(MM6)細胞(Xiegler−Heitbrock et al、Int,J.Cancer,41,456(1988))を、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸、1から100μg/mLインスリン、1mMオキサル酢酸、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640培地で培養した(37℃/5% CO)。分化させるために、TGFβ(2ng/ml)及び1.25(OH)D3(50nM)を一般的には約2から4日間に亘って添加した。
【0057】
炎症性メディエータであるロイコトリエンB(LTB)の放出を刺激するために、分化又は未分化のMM6細胞(1から15×10/mL;0.5から1mL)を、25から50μMのアラキドン酸及び2から10μMのカルシウムイオノフォアA23187(A23187はアラキドン酸無しで使用されてもよい)とともに、5から30分間に亘ってインキュベートした(カルシウムを含むPBS中で37℃)。MM6細胞は、文献に記載の生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)及び/又はトロンボキサンアナログU−46619を、上述のA23187及び/又はアラキドン酸と共に又はなしで用いて刺激してもよい。上述のMM6のインキュベート/刺激は、1:10から1:10000のMM6:血小板の比率でヒト血小板(健康な提供者に由来する)の存在下で実施してよい。前記インキュベート/刺激は、内部標準として添加した冷メタノール及びプロスタグランジンB(PGB)の2容量を用いて停止させる。サンプルを遠心分離して、上清を水で希釈して、最終的なメタノール濃度を30%とし、pHを3から4に調節する。上清中のアラキドン酸代謝物を、事前に調整した(1mLメタノールの後に1mL HO)C18固相カラム(Sorbent Technology,U.K.)で抽出した。代謝物をメタノールで溶出して、1容量の水を溶出物に添加する。逆相HPLCのために、各サンプルの76μLを39μL HO(他の容量比が使用されてもよい)と混合する。Waters RCM 8×10カラムをメタノール/アセトニトリル/HO/酢酸(30:35:35:0.01v/v)を用いて1.2mL/分で溶出する。PGB及びLTBの検出及び定量のために、溶出物の吸光度を270nmでモニターする。LTB4を測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISAキット)が、キット製造業者の指示に従って使用されてもよい。製造業者からの指示に従って市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を使用して、MM6をインキュベート/刺激したものの上清を、プロスタグランジンE2(PGE)及び/又はトロンボキサンB2(TXB)の含有量に関して分析してもよい。
【0058】
スプラタスト及びスタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)のストック溶液をエタノール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドン、PEG400、プロピレングリコール、及び/又は脱イオン水若しくは生理食塩水中で、必要であれば超音波処理、加熱、及びpHの調節を用いて調製する(他の媒体が使用されてもよい)。細胞を試験薬(スタチンと組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と、炎症性メディエータ放出のためのMM6刺激の前(MM6刺激と同時に試験薬を添加してもよい)に1分から24時間に亘ってインキュベートする(添加物を含むか又は含まない、カルシウムを含まないPBS又は1から10%のウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で37℃/5% CO)。
【0059】
IL−1β、IL−6、TNF、IL−8、IL−10、IL−12p70、MCP−1などの炎症性サイトカイン及びケモカインの放出を刺激するために、分化又は未分化のMM6細胞(1から10×10/mL)を、リポポリサッカリド(LPS,1から100ng/mLの終濃度)、ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA,1から100ng/mLの終濃度)、又はLPS/PMA混合物を用いて4から24時間に亘って(添加物を含むか又は含まない、1から10%のウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で)インキュベートする(37℃/5% CO)。MM6細胞は、上述のPMA及び/又はLPSとともに又はそれらなしで、文献に記載の生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸、カルシウムイオノフォア A23187、及び/又はトロンボキサンアナログ U−46619を用いて刺激してもよい。MM6細胞インキュベート/刺激は、1:10から1:10000のMM6:血小板の比率で(健康な提供者の血液に由来する)ヒト血小板の存在下で実施してもよい。細胞を試験薬(スタチンと組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独;上述のストック溶液及び濃度として)と共に、MM6刺激の前に1分から24時間に亘って(比較のために、幾つかの実験は試験薬無しで実施され;試験薬がMM6刺激と同時に添加されてもよい)インキュベートする(添加物を含むか又は含まない、1から10%のウシ胎仔血清を含むRPMI−1940中で37℃/5% CO)。インキュベート/刺激後に細胞を遠心分離した後に、上清中のヒトサイトカイン及びケモカイン濃度をCytometric Bead Array(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,USA)を製造業者の指示に従って用いて定量する。サイトカイン及びケモカインを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISAキット)を製造業者の指示に従って使用してもよい。細胞沈殿物をRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中でマイクロアレイ実験のために更に処理するまで凍結補存する(−80℃)(下記実施例12参照)。
【0060】
(実施例2)
ヒト末梢血細胞炎症メディエータ放出アッセイ
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)又は多型核細胞(PMN)を、Lymphoprep又はFicoll−Paque分離(Polymorphoprep分離及び/又はDextran沈殿と共に又はそれら無しで)によって、確立されたプロトコルを用いて健康な提供者の血液から単離する。
【0061】
炎症性メディエータであるロイコトリエンB4(LTB4)の放出を刺激するために、PBMC又はPMN(1から15×10/mL;0.5から1mL)を、25から50μMアラキドン酸及び2からら10μMカルシウムイオノフォアA23187(A23187はアラキドン酸なしで使用してもよい)と共に5から30分間に亘ってインキュベートした(カルシウムを含むPBS中で37℃)。PBMC及びPMNは、上述のA23187及び/又はアラキドン酸と共に又はそれらなしで、文献で説明されている生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)及び/又はトロンボキサンアナログU−46619で刺激してもよい。上述のPBMC/PMNインキュベート/刺激は、(健康な提供者の血液に由来する)ヒト血小板の存在下で、1:10から1:10000のPBMC/PMN:血小板の比率で実施されてもよい。前記インキュベート/刺激は、内部標準として添加した冷メタノール及びプロスタグランジンBの2容量を用いて停止されてよい。サンプルを遠心分離して、上清を水で希釈して、30%の最終的なメタノール濃度とし、pHを3から4に調節する。上清中のアラキドン酸代謝物を事前に調整した(1mLメタノールの後に1mL HO)C18固相カラム(Sorbent Technology,U.K.)で抽出する。代謝物をメタノールで抽出した後に、1容量の水を溶出物に添加する。逆相HPLCのために、76μlの各サンプルを39μL HOと混合する(他の容量比が用いられてもよい)。Waters RCM8×10カラムをメタノール/アセトニトリル/HO/酢酸(30:35:35:0.01 v/v)を用いて1.2mL/分で溶出する。PGB及びLTBの検出及び定量のために、溶出物の吸光度を270nmでモニターする。LTBを測定するために市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を製造業者の指示に従って使用してもよい。製造業者からの指示に従って市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を使用して、PBMC/PMNインキュベート/刺激したものに由来する上清を、炎症性メディエータであるプロスタグランジンE(PGE)及び/又はトロンボキサンB(TXB)の含有量について分析してもよい。細胞を試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共に、炎症メディエータ放出のためのPBMC/PMN刺激の前に1から24時間に亘ってインキュベート(カルシウムを含まないPBS又は0から10%のウシ胎仔血清を含むRPMI−1940中で37℃)する(薬剤ストック溶液及び濃度については実施例1参照。試験薬はPBMC/PMN刺激と同時に添加してもよい)。比較のために、幾つかの実験は薬剤なしで実施する。
【0062】
IL−1β、IL−6、TNF、IL−8、IL−10、IL−12p70、MCP−1、PBMC/PMNなどの炎症性サイトカイン及びケモカインの放出を刺激するために、PBMC/PMN(1から10×10/mL)を、リポポリサッカリド(LPS、1から100μg/mLの終濃度)、ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA,終濃度1から100ng/mL)、又はLPS/PMA混合物を用いて4から24時間に亘って(1から10%のウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で)インキュベート(37℃/5% CO)する。PBMC/PMN細胞は、文献に記載された生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸、カルシウムイオノフォアA2387、及び/又はトロンボキサンアナログU−46619と共に、上述のPMA及び/又はLPSとともに及び/又はなしで刺激してもよい。PBMC/PMNインキュベート/刺激は、1:10から1:10000のPBMC/PMN:血小板の比率で(健康な提供者の血液に由来する)ヒト血小板の存在下で実施されてもよい。細胞は、サイトカイン/ケモカイン放出のためのPBMC/PMN刺激の前に1分から24時間に亘って試験薬(スタチンと組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共にインキュベート(1から10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で37℃/5% CO)される(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施される;試験薬はPBMC/PMN刺激と同時に添加されてもよい)。インキュベート/刺激後に細胞を遠心分離した後に、上清中のヒトサイトカイン及びケモカイン濃度を製造業者の指示に従ってCtometric Bead Array(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,USA)を用いて定量する。サイトカイン及びケモカインを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を製造業者の指示に従って使用してもよい。マイクロアレイ実験のために更に処理する(実施例12参照)まで、細胞沈殿物をRLT干渉液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結保存(−80℃)する。
【0063】
(実施例3)
マウスマスト細胞炎症メディエータ放出アッセイ
骨髄由来の培養マウスマスト細胞(mMC)を、C57BL/6マウス由来の骨髄細胞を培養することによって得る。前記骨髄細胞(PBSで洗浄したマウス大腿骨由来)を、10%熱非導化ウシ胎仔血清、4mM L−グルタミン、50μM 2−メルカプトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、10mM Hepes、及び100μg/mLペニシリン/ストレプトマイシンを添加した、10%WEHI−3又はX−63豊富化調整RPMI−1640中で培養(37℃/5% CO)する。(懸濁物中で増殖させた)マスト細胞の発生を、(一般的には培養の少なくとも3から5週間後の)トルイジンブルー染色により及び/又は細胞表面上のKitの発現によって(フローサイトメトリーによって)確認する。
【0064】
結合組織型(CT型)の骨髄由来培養マウスマスト細胞を、C57BL/6マウス由来の骨髄細胞を培養することによって得る。50ng/mL組換えマウス幹細胞因子及び1ng/mLマウス組換えIL−4を添加した、10%の濾過したFCS、4mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、100IU/mLペニシリンG、100μg/mLストレプトマイシン、0.1mM MEM非必須アミノ酸、及び50μM 2−MEを含有するRPMI−1640中で骨髄細胞を培養(37℃/5% CO)する。マスト細胞の発生を、(一般的には培養の少なくとも3から5週間後の)トルイジンブルー染色により及び/又は細胞表面上のKitの発現によって(フローサイトメトリーによって)確認する。
【0065】
マウスマスト細胞株MC/9(ATCCから得られる、製品No CRL−8306)及びC.1MC/C57.1(Young et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,9175(1987))を使用してもよい。MC/9細胞は、ATCC(http://www.atcc.org)からの指示に従って培養し、C1.MC/C57.1細胞はRumsaeng et al(J.Immunol.158,1353(1997))に記載のように培養する。
【0066】
IgE受容体の架橋によって活性化/刺激するために、15%ハイブリドーマ上清として使用されるマウス抗TNP IgE抗体(IgE1−b4,ATCC,Rockville,MD,USA)を用いて、培養マスト細胞を最初に90分間に亘って37℃(5% CO2)で感作させる。N−アセチル−β−D−ヘキソサミニダーゼ(若しくはヒスタミン)又はサイトカイン/ケモカイン放出アッセイ(下記参照)において使用する細胞を、次いで、PBSで二回洗浄し、0.2%ウシ胎仔血清(BSA)(Sigma)を添加したRPMI−1640中で再懸濁し、その後に前記細胞(0.5から10×10/mL)を9/1のカップリング比率を有する100ng/mL TNP−BSA(Biosearch Technologies,San Francisco,CA)の添加によって活性化させる。TNP−BSAを用いたインキュベート(37℃/5% CO)は、β−へキソサミニダーゼ(又はヒスタミン)の分析については30分間であり、サイトカイン及びケモカイン放出の分析のためには6から24時間である。細胞は、試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくはシンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を用いてTNP−BSAの添加の前の1分から24時間に亘ってインキュベート(37℃/5% CO)する(薬剤ストック溶液及び濃度の詳細については上記の実施例1を参照)。比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する。インキュベート/刺激後に、サンプルを遠心分離して、下記のβ−へキソサミニダーゼ(ヒスタミン)及び/又はサイトカイン/ケモカインの含有量に関して上清を分析する。マイクロアレイ実験のために更に処理する(実施例12参照)まで、細胞沈殿物をRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結保存(−80℃)する。
【0067】
顆粒マスト細胞酵素β−へキソサミニダーゼのIgE依存放出を検出するために、酵素比色分析を使用する。各ウェルの上清60μLを96ウェルプレートに移し、同量の基質溶液(80mMクエン酸に溶解した7.5mM p−ニトロフェニル−N−アセチル−b−D−グルコサミニド,pH 4.5)と混合する。その混合物をロッカープラットホーム上で2時間に亘って37℃でインキュベートする。120μLのグリシン(0.2M,pH 10.7)を各ウェルに添加して、405及び490nmの吸収をEmax Precision Microplate Reader(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を用いて測定する。β−ヘキソサミニダーゼの放出は、細胞溶解後に測定した総β−ヘキソサミニダーゼの割合として表わす。顆粒マスト細胞ヒスタミンのIgE依存放出を検出するために、ヒスタミンを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を製造業者の指示に従って使用する。
【0068】
IL−6、IL−4、TNF、IL−1β、KC、MCP−1、IL−10、IL−12p70、IFNγなどのマウスマスト細胞サイトカイン及びケモカインのIgE依存放出を検出するために、Cytometric Bead Array(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,USA)を製造業者の指示に従って用いる。サイトカイン及びケモカインを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を、製造業者の指示に従って使用してもよい。
【0069】
上記のマスト細胞実験に加えて、(上述の)試験薬のマスト細胞阻害効果を、新たに単離した腹膜ラット又はマウスマスト細胞からのヒスタミン、β−ヘキソサミニダーゼ、又はトリプターゼの(IgE(ラット又はマウスIgEで細胞の事前処理をして又はそれ無しで)、コンカナバリンA、Lタンパク質、化合物48/80、イオノフォアA23187、PMAを用いて)誘導された放出の分析するための、よく確立されて文献に記載されている実験手法及びアッセイを用いて試験してもよい。
【0070】
(実施例4)
RAW264.7細胞炎症メディエータ放出アッセイ
RAW264.7細胞を、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM中で培養(37℃/5% CO)する。
【0071】
IL−6、TNF、IL−1β、KC、MCP−1、IL−10、IL−12p70、IFNγなどの炎症性サイトカイン及びケモカインの放出を刺激するために、RAW264.7細胞(1から10×10/mL)と、リポポリサッカリド(LPS,終濃度1から100ng/mL)、ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA,終濃度1から100ng/mL)、又はLPS/PMA混合物を用いて、4から4時間に亘ってインキュベート(37℃/5% CO)する。RAW264.7細胞は、文献に記載の生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸、カルシウムイオノフォアA23187、及び/又はトロンボキサンアナログU−46619を、上述のPMA及び/又はLPSと共に又はそれら無しで用いて刺激してもよい。RAW264.7インキュベート/刺激を、1:10から1:10000のRAW264.7:血小板の比率で、マウス又はヒト(健康な提供者の血液に由来する)血小板の存在下で実施してもよい。サイトカイン/ケモカイン放出のためのRAW264.7刺激の前に1分から24時間に亘って、試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共に細胞をインキュベート(添加物を含むか又は含まない、1から10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM中で37℃/5% CO)してよい(薬剤のストック溶液及び濃度の詳細に関しては実施例1を参照;試験薬はRAW264.7刺激と同時に添加されてもよい)。比較のために、幾つかの試験は薬剤無しで実施する。インキュベート/刺激後に細胞を遠心分離した後に、上清中のマウスサイトカイン及びケモカイン濃度を、製造業者の指示に従ってCytometric Bead Array(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,USA)を用いて定量する。サイトカイン及びケモカインを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を、製造業者の指示に従って使用してもよい。細胞沈殿物は、マイクロアレイ実験のために更に処理する(実施例12参照)までRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結保存(−80℃)する。
【0072】
(実施例5)
カラギーナンによって誘導されるラット後肢炎症
本アッセイは、本質的には、Winter et al(Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,111,544(1962))の説明に従うものである。0.03から50mg/kgの容量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、又はアトルバスタチン単独)を皮下、静脈内、腹腔内、又は経口に2から24時間毎に、約150から400gの体重のオスのSprague−Dawley又はWistarラットに投与する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与前に、薬剤のストック溶液(上記の実施例1参照)を必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与用)又は水(経口治療用)中の0.5%から1%メチルセルロースに希釈する。他の媒体を使用してもよい。最初の薬剤投与の1分から24時間後に、0.5、1.0、又は2.0%のカラギーナン(タイプIV λ,Sigma Chemical Co.)の0.9%生理食塩水溶液を、麻酔したラットの後肢の足底下の領域に注射する。カラギーナン注射の前及び3から24時間の所定の間隔で、デジタルインジケーターと共に圧力トランスデューサーと接続したdisplacement plethysmometerを用いて、注射した後肢の容積を測定する。腫脹の程度が炎症浮腫の程度を示す。カラギーナン注射の3から24時間後、ラットを屠殺して、生理食塩水又はPBS(他のかん流媒体を用いてもよい)でかん流させる。炎症を起こした後肢に由来する足裏軟組織生検を回収して、秤量し、凍結乾燥して(マイクロアレイ分析のためのサンプルを−80℃でTRIzol(Invitrogen,Carlsbad,CA)中で凍結させる)、その後に下記(実施例10及び12)のように、1)炎症性好中球蓄積を反映するミエロペルオキシダーゼ(MPO)蓄積;及び/又は2)マイクロアレイ技術を用いて組織遺伝子発現に関して分析する。未処理のラットに由来する炎症を起こしていない後肢の組織は、MPO及び遺伝子発現のベースラインを提供する。組織炎症は、従来の組織学的及び免疫組織学的技術を用いて試験してもよい。後肢の炎症は、(カラギーナンの代わりに)化合物48/80(48/80,50から100μl PBS又は生理食塩水中で1から5μg)の足裏下注射によって誘導し、48/80注射の30分から8時間後に炎症を起こした後肢の腫脹の測定並びにマイクロアレイ及び/又はMPO分析のための組織生検の回収を実施してよい。
【0073】
(実施例6)
クロトン油によって誘導されるマウスの耳の炎症
このアッセイは、本質的には、Tonelli et al(Endocrinology 77,625(1965))に記載されているアッセイに従うものである(他のマウスの種を使用してもよい)。0.03から50mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、又はアトルバスタチン単独)を皮下、静脈内、腹膜内、又は経口に2から24時間毎に投与する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与前に、薬剤のストック溶液(実施例1参照)を必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与用)又は水(経口治療用)中の0.5%から1%メチルセルロースで希釈する。他の媒体を使用してもよい。最初の薬剤投与の1分から24時間後に。10から30μLの2.0又は4.0% クロトン油のアセトン又はエタノール溶液を、一方又は双方の耳に局所的に適用する。クロトン油と適用した後の4から12時間の所定の間隔で、動物を屠殺して、耳のパンチ生検を秤量して、耳の炎症性腫脹を測定する(耳の厚みも測定して腫脹を測定する)。炎症を起こした耳に由来する生検を回収して、凍結保存(マイクロアレイ分析のためのサンプルを−80℃でTRIzol中において凍結する)し、その後に下記(実施例10及び12)のように、1)炎症性好中球蓄積を反映するミエロペルオキシダーゼ(MPO)蓄積;及び/又は2)マイクロアレイ技術を用いて組織遺伝子発現について分析する。未処理のマウスに由来する炎症を起こしていない耳の生検は、腫脹、MPO、及び遺伝子発現のベースラインを提供する。組織炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験されてもよい。
【0074】
(実施例7)
ホルボールエステル又はアラキドン酸によって誘導されるマウス耳の炎症
これらのアッセイは、本質的には、Chang et al(Eur.J.Pharmacol.142,197(1987))に記載されているアッセイに従うものである(しかしながら、他のマウスの種を使用してもよい)。0.03から500mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、皮下、静脈内、腹膜内、又は経口で2から24時間毎にオス又はメスのマウスに投与する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与前に、薬剤のストック溶液(上記の実施例1参照)を、必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与容)又は水(経口治療用)中の0.5%又は1%のメチルセルロースで希釈する。他の媒体が使用されてもよい。10から30μlのアセトン又はエタノール中の1から10μgのホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)、テトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)、又は1から5mgのアラキドン酸を一方又は両方の耳に局所的に適用する。PAM又はTPA適用の4から12時間後及びアラキドン酸適用の30分から6時間後に、動物を屠殺して、耳のパンチ生検を秤量して、耳の炎症性腫脹を測定する(耳の厚みも測定して腫脹を測定してよい)。炎症を起こした耳に由来する生検を回収して、凍結保存し(マイクロアレイのためのサンプルをTRIzol中で−80℃において凍結する)、その後に下記(実施例10及び12)のように、1)炎症性好中球蓄積を反映するミエロペルオキシダーゼ(MPO)蓄積;及び/又は2)マイクロアレイ技術を用いて組織遺伝子発現に関して分析する。未処理のマウスに由来する炎症を起こしていない耳の生検は、腫脹、MPO、及び遺伝子発現のベースラインを提供する。組織炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験してもよい。
【0075】
(実施例8)
マウス及びラットにおける損傷に対する急性組織反応及び炎症
約15から30gの体重のオスのCBA及びNMRIマウス又は約150から450gの体重のSrague−Dawleyラットを使用する(他のマウス及びラットの種を使用してもよい)。急性の組織損傷及び急性の炎症が、無菌状態で外科用メスを用いて、尻尾の末端部分又は耳の一方において得られる。1、2、又は3つの平行した約5から15mmの長さの縦方向の切片を皮膚の全ての層から作製した。0.03から50mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピ多スタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、スタチン単独)を、皮下、静脈内、腹膜内、又は経口に、2から24時間毎に投与し、最初の投与は組織損傷の1分から24時間前に与える(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与前に、薬剤のストック溶液(実施例1参照)を必要に応じて、例えば、水(経口治療用)又は生理食塩水(非経口投与用)中の0.5%から1%のメチルセルロースで希釈する。他の媒体を使用してもよい。損傷の2から48時間後に、前記動物を屠殺して、組織の損傷した部位を取り出して、秤量し、凍結保存して(マイクロアレイ分析のためのサンプルを−80℃で凍結する)、その後に下記(実施例10及び12)のように、1)炎症性好中球蓄積を反映するミエロペルオキシダーゼ(MPO)蓄積;及び/又は2)マイクロアレイ技術を用いて組織遺伝子発現に関して分析する。未処理の動物に由来する対応する非損傷/非炎症組織は、MPO及び遺伝子発現のベースラインのレベルを提供する。損傷に対する組織反応及び炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験してもよい。
【0076】
(実施例9)
ラットにおける損傷に対する急性組織反応及び炎症
350から500gの体重のオスのSprague−Dawleyラットを使用する(他のラットの種を使用してもよい)。動物を酸素中のイソフルレンを用いて麻酔をして、急性組織損傷及び急性炎症を、以下のように左総頚動脈において達成した:左総外及び内頚動脈の外科的露出及び一時的な結紮糸による局部血流量の一時的停止後に、バルーン付きカテーテル(2つのフレンチ・フォガティ)を外頚動脈から大動脈内に入れる。次に、バルーンを十分な水で膨らませて、総頚動脈を膨張させ、次いで外頚動脈へと引き戻した。この手順を三回繰返し、次いで、カテーテルを除去して、外頚動脈を結紮し、傷を閉じた。0.03から50mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、皮下、静脈内、腹膜内、又は経口に2から24時間毎に投与し、最初の投与を組織損傷の1分から24時間前に与えた(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与の前に、薬剤のストック溶液(実施例1参照)を必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与用)又は水(経口治療用)中の0.5%又は1%のメチルセルロースで希釈する。他の媒体を使用してもよい。損傷の2から48時間後に、動物を酸素中のイソフルレンで麻酔して、それらの左頚動脈を露出する。クランプを総及び内頚動脈の各々の非常に近接した部位に置き、次いで、クランプの間の血管を滅菌生理食塩水及び/又はTRIzolでやさしく洗い流し、取り出して、秤量し、凍結保存し(マイクロアレイのためのサンプルをTRIzol中で−80℃において凍結する)、その後に下記のように、1)炎症性好中球蓄積を反映するミエロペルオキシダーゼ(MPO)蓄積;及び/又は2)マイクロアレイ技術を用いて組織遺伝子発現に関して分析する。未処理のラットに由来する対応する非損傷/炎症血管は、MPO及び遺伝子発現のベースラインのレベルを提供する。損傷に対する組織反応及び炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験されてもよい。
【0077】
(実施例10)
組織ミエロペルオキシダーゼの炎症による蓄積
酵素ミエロペルオキシダーゼ(MPO)が好中球において豊富であり、多くの場合に、炎症組織における好中球の蓄積の検出のためのマーカーとして使用される。炎症マウス及びラット組織において炎症性ミエロペルオキシダーゼ蓄積を測定するために(実施例5から9に記載のように)、0.5%ヘキサデシルトリメチル−アンモニウムブロミド中で組織をホモジナイズして、凍結融解する。上清のMPO活性を、MPOに触媒されるH−テトラメチルベンジジンの酸化還元反応において生じる650nm(25℃)の吸光度における変化として分光学的に測定する。
【0078】
(実施例11)
平滑筋細胞アッセイ
ラット大動脈平滑筋細胞(RASMC)を、過去に文献(Hedin et al,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,17,1977(1997))に説明されているように単離する。10%ウシ胎仔血清、50μg/mL L−アスコルビン酸、50μg/mLストレプトマイシン、50IU/mLペニシリン(F−12/10%ウシ胎仔血清)を添加したHam’s培地F−12中で細胞を培養(37℃/5% CO)して、コンフルエントになるまで増殖させ、トリプシン処理をして連続的に継代し、2から6回継代したところで実験に使用する。RASMCを24ウェルプレートwに約4×104細胞/ウェルの密度でF−12/10%ウシ胎仔血清中で播種する(1つのプレートにより多くのウェルを有するプレート及びより少ないウェル毎の細胞数を用いてもよい)。24時間後に、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、50μg/mL L−アスコルビン酸、50μg/mLストレプトマイシン、及び50IU/mLペニシリン(F−12/0.1 BSA)を添加したHam’s培地F−12中で24から48時間に亘って飢餓状態にすることによって、細胞をG0/G1期に同期させる。DNA合成を推定するために、飢餓状態のRASMCを10ng/mL IGF−1又は10%ウシ胎仔血清のいずれかを用いて12から48時間に亘って刺激する(他のよく確立されたマイトジェン、例えば、PDGFを用いてよい)。試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、刺激前の1分から24時間に添加する(薬剤ストック溶液及び濃度に関しては上記実施例1参照;試験薬は刺激と同時に投与されてもよい)。比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する。刺激期間の最後の8時間に、細胞を1μCi[3H]−チミジンで標識する。次いで、プレートを氷冷PBSで洗浄し、氷冷10%(w/v)トリクロロ酢酸を用いて一晩インキュベートし、0.2M水酸化ナトリウム中で可溶化し、放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する。刺激したRASMC増殖は、市販のブロモデオキシウリジン(BrdU)細胞増殖アッセイ(例えば、細胞増殖ELISA、BrdU、Roche Applied Science社製)、細胞増殖試薬WST−1(Roche Diagnostics Scandinavia AB,Bromma,Sweden)(どちらも製造業者の指示に従って)、或いは細胞計数によって分析されてもよい。(遺伝子発現を試験するための)別の実験で、より多くの数の飢餓RASMC(1から5×10細胞/ウェル)を、上述のように10ng/ml IGF−1又は10%ウシ胎仔血清(若しくはPDGF)或いは1から10%のウシ胎仔血清と共にLPS(1から100ng/mL)で4から48時間に亘って刺激してよい(全ての刺激は上述のように試験薬とともに又は無しで実施する)。次いで、細胞を回収して、マイクロアレイ実験のために更に処理する(実施例12参照)までRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結保存する。
【0079】
ヒト気管支平滑筋(HBSMC,Promocell,Heidelberg,Germany)を、10%FBS、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.12IU/mLインスリンを添加し、2μg/mLアンホテリシンBを添加しているか又はしていないDMEM中で培養する。実験前に、低FBS(0.3から5%)のインスリンを含まない培地中で、細胞増殖を24時間に亘って停止させてよい。IL−8及びエオタキシンなどの炎症性サイトカイン及びケモカインの形成及び放出を刺激するために、HBSMC(80%コンフルエント、約8×10/25cmフラスコ)を、24から48時間に亘って(添加物を含むか又は含まない、1から10%のウシ胎仔血清を含むDMEM中で)、IL−1β及びTNF−α(双方1から50ng/mL)の異なる組み合わせと共にインキュベート(37℃/5% CO)する。試験薬(上述のスタチンと組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)とともに、HBSMC刺激の前の1分から24時間に亘って細胞をインキュベート(添加物を含むか又は含まない、0.3から10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で37℃/5% CO)する(薬剤ストック溶液及び濃度の詳細に関しては実施例1参照;試験薬はHBSMC刺激と同時に添加してもよい)。比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する。インキュベート/刺激後に、上清中のヒトサイトカイン及びケモカイン濃度を、製造業者の指示に従って市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を用いて定量する。次いで、細胞を回収し、マイクロアレイ実験のために更に処理する(下記の実施例12参照)まで、RLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結(−80℃)保存する。
【0080】
(実施例12)
遺伝子発現の分析
マウス及びラット組織(実施例5から9、15、及び16参照)由来の総RNAを、TRIzol(Invitrogen,Carlsbad,CA)、その後に製造業者の指示に従ってRNeasy cleanup(QIAGEN,Valencia,CA)を用いて単離する。上記及び下記の実施例に記載の細胞インキュベート物及び刺激物(マウスマスト細胞、MonoMac−6、PBMC、PMN、RAW 264.7、RASMC、HBSMC、NB4、HL−60)に由来する総RNAを、製造業者のプロトコルに従ってRNeasy Mini Kit(QIAGEN)をRNase Free DNase set(QIAGEN)とともに又はそれなしで単離する。異なる組織及び細胞の起源である種に依存して、マイクロアレイ分析を製造業者の指示に従ってGeneChip(登録商標) Human Genome U133 Plus 2.0 Array、GeneChip(登録商標) Mouse Genome 430 2.0 Array、又はGeneChip(登録商標) Rat Genome 230 2.0 Array、或いはこれらのチップの対応するより新しいバージョン(全てのアレイはAffymetrix,Santa Clara,CA社製)を用いて実施する。マイクロアレイ発現データは、例えば、GeneChip Operating Software(Affymetrix)及びBioconductor/R(www.bioconductor.org)を用いて分析する。他の関連するソフトウェアも使用してよい。
【0081】
各種の種からの遺伝子発現は、製造業者であるApplied Biosystems(Foster City,CA)からのプロトコルに従ってHuman Genome Survey Microarray V2.0,Mouse Genome Survey Microarray V2.0又はRat Genome Survey Microarray(或いはこれらのアレイの対応するより新しいバージョン)を用いて分析してもよい。これらのマイクロアレイ発現データは、例えば、Oracle(登録商標)アノテーションデータベース、GeneSpring 7.2(Agilent Technologies,Inc.,Palo Alto,CA)、及びMicroarray Suite version 5.0 software(MAS 5.0,Affymetrix)を備えた1700 Chemiluminescent Microarray Analyzer(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して分析する。他の関連するソフトウェアを使用してもよい。
【0082】
遺伝子発現(mRNAレベル)は、定量又は半定量PCRを用いて分析してもよい。タンパク質レベルの遺伝子発現の分析は、(製造業者の指示に従って)市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)又は従来のウエスタンブロット及び/若しくは免疫組織学的手法を用いて分析してもよい。
【0083】
(実施例13)
細胞増殖アッセイ
上記及び下記の実施例に記載の刺激及び未刺激のマウスマスト細胞、MonoMac−6細胞、RAW 264.7細胞、NB4細胞、HL−60細胞、及びHBSMCの増殖(24から72時間に亘る個々の試験薬の添加並びに/又は上記及び下記の実施例に記載の刺激の前に、0.1から5%のウシ胎仔血清中で24から48時間に亘る増殖停止を実施するか又はしないで)は、製造業者の指示に従って細胞増殖試薬であるWST−1(Roche Diagnostics Scandinavia AB,Bromma,Sweden)又は市販のブロモデオキシウリジン(BrdU)細胞増殖アッセイ(例えば、細胞増殖ELISA、BrdU、Roche Applied Science社製)を用いて測定する。他の従来の細胞増殖試験を使用してもよい。
【0084】
(実施例14)
血小板凝集試験
アデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸、コラーゲン、又はトロンボキサンアナログU−46619によって誘導されるウサギ又はヒト血小板の凝集(血小板の豊富な血漿又は全血)を、例えばBertele et al(Eur.J.Pharmacol.85,331(1982))に記載のような凝集測定を用いて分析する。(上述のように)誘導された血小板凝集は、洗浄したヒト又はウサギ血小板を用いて、及び/又は他の確立された凝集測定若しくは他の対応する血小板凝集測定方法を用いて分析してもよい。試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、血小板凝集の1から120分前に添加する(薬剤ストック溶液及び濃度に関する詳細は上記の実施例1参照;試験薬は血小板凝集誘導と同時に添加してもよい)。比較のために、幾つかの実験は薬剤なしで実施する。
【0085】
(実施例15)
ザイモサン及び他の刺激によって誘導されるマウス腹膜炎
このアッセイは、本質的には、Rao et al(J.Pharmacol.Exp.Ther.269,917(1994))に従うアッセイである(他のマウスの種を使用してもよい)。0.03から50mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、皮下、静脈内、腹膜内、又は経口に2から24時間毎に動物に投与する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与の前に、薬剤のストック溶液(上記の実施例1参照)を、必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与用)又は水(経口治療用)中の0.5%又は1%メチルセルロースで希釈する。他の媒体を使用してもよい。最初の薬剤投与の1分から24時間後に、0.5から1mL 滅菌PBS(超音波処理及びよく混合)中の0.5から2mgのザイモサン A(Sigma,cat.no.Z4250)を腹膜に注射する(ザイモサンAを使用する代わりに、腹膜炎は、炎症性濃度の他のよく確立された炎症性刺激、例えば、抗マウスIgE(1から3日間に亘るマウスIgEを用いて腹膜内の事前処理あり又はなしで)、コンカナバリンA、カラギーナン、プロテオースペプトン、LPS、PMA、チオグリコレート、アラキドン酸、fMLP、TNF、IL−1βの腹膜内注射によって誘導されてもよい。試験薬はザイモサンの腹膜内注射又は他の炎症性刺激と同時に投与されてもよい。)。ザイモサン注射(又は1つ若しくは複数の他の炎症性刺激)の2から24時間後に、動物を屠殺する。次いで、腹膜腔を1から3mLの洗浄緩衝液(3から5mM EDTA又は5から10単位/mLのヘパリンを含むか又は含まない氷冷PBS)で洗浄する。洗浄液中の全体又は分化した白血球数を、チュルク液で染色下のあとに染色血球計を用いて計測し、及び/又はcytospin調製物のMay−Grunwald Giemsaによる染色若しくは修飾Wright’s(Diff−Quik)の各々を、標準形態学的基準を用いて光学顕微鏡によって計数する。全体又は分化した白血球の計数のための他の確立された方法を使用してもよい。残部の洗浄液を遠心分離(300から3000×g、4℃、3から10分)して、細胞を含まない洗浄液上清を、炎症メディエータであるLTB、PGE、TXBの含有量、及び/又は上記の実施例1に記載のマウスサイトカイン/ケモカイン(例えば、IL−4、IL−6、TNF、IL−1β、KC、MCP−1、IL−10、IL−12p70、IFNγ)の含有量について分析するまで凍結保存(−20℃から−80℃)する。洗浄液上清中のヒスタミンの含有量は、製造業者の指示に従って市販のヒスタミン酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を用いて測定する。炎症性腹膜細胞活性化は、実施例3に記載のβ−ヘキソサミニダーゼアッセイを用いる洗浄液中のβ−ヘキソサミニダーゼ活性を測定することによって試験してもよい。洗浄液の細胞沈殿物は、0.5% HTABを含む0.1から1.0mLの0.05M KHPO pH 6.0中に再懸濁し、Rao et al(J.Pharmacol.Exp.Ther.269,917−25(1994))に記載のミエロペルオキシダーゼ(MPO)含有量の分析まで凍結保存(−20℃から−80℃)する。別々の動物に由来する同一の細胞沈殿物をRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中でマイクロアレイのために更に処理する(実施例12参照)まで凍結保存(−80℃)する。洗浄緩衝液で腹膜腔を洗浄するのと同時に、炎症を起こした腹膜腔に由来する組織(腹膜壁、小腸、及び/又は他の腹膜内若しくは腹膜後の器官/組織)生検を回収し、秤量し、凍結保存(TRIzol,Invitrogen,Carlsbad,CA中でマイクロアレイ分析のためのサンプルを−80℃で凍結する)し、実施例12に記載のように、その後にマイクロアレイ技術を用いて組織の遺伝子発現に関して分析する。未処理の動物に由来する非炎症腹膜腔は、MPO、炎症性メディエータ、サイトカイン/ケモカイン、及び遺伝子発現のベースラインのレベルを提供する。組織炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験してもよい。
【0086】
(実施例16)
ザイモサン及び他の刺激によって誘導されるラット腹膜炎
約150から450gの体重のオスのWistar又はSprague Dawleyラットを使用する。0.03から50mg/kgの用量の試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)を、皮下、静脈内、腹膜内、又は経口に2から24時間毎に動物に投与する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する)。投与の前に、薬剤のストック溶液(上記の実施例1参照)を、必要に応じて、例えば、生理食塩水(非経口投与用)又は水(経口治療用)中の0.5又は1%のメチルセルロースで希釈する。他の媒体を使用してもよい。最初の薬剤投与の1分から24時間後に、1から10mLのPBS中の1から100mgのザイモサン(Sigma,cat.no.Z4250)(超音波処理及びよく混合)を腹腔内に注射する(ザイモサンAを使用する代わりに、腹膜炎は、炎症性濃度の他のよく確立された炎症性刺激、例えば抗ラットIgE(1から3日間に亘るラットIgEを用いた腹膜内事前処理あり又はなしで)、コンカナバリンA、タンパク質L、化合物48/80、カラギーナン、プロテオースペプトン、LPS、PMA、チオグリコレート、アラキドン酸、fMLP、TNF、IL−1βの腹膜内注射によって誘導されてもよい。試験薬は、ザイモサンの腹膜内注射又は他の炎症性刺激と同時に投与されてもよい。)。ザイモサン注射(又は1つ若しくは複数の他の刺激)の2から24時間後に、動物を屠殺する。次いで、腹膜腔を10から20mlの洗浄緩衝液(例えば、3から5mMのEDTA又は5から10単位/mLのヘパリンを含むか又は含まない氷冷PBS)を用いて洗浄する。洗浄液中の全体及び分化した白血球数の計測を、チュルク液で染色下のあとに染色血球計を用いて計測し、及び/又はcytospin調製物のMay−Grunwald Giemsaによる染色若しくは修飾Wright’s(Diff−Quik)染色の各々を、標準形態学的基準を用いて光学顕微鏡によって計数する。全体又は分化した白血球の計数のための他の確立された方法を使用してもよい。残部の洗浄液を遠心分離(300から3000×g、4℃、3から10分)して、細胞を含まない洗浄液上清を、炎症メディエータであるLTB、PGE、TXBの含有量、及び/又は上記の実施例1及び4に記載のマウスサイトカイン/ケモカイン(例えば、IL−4、IL−6、TNF、IL−1β、KC、MCP−1、IL−10、IL−12p70、IFNγ)の含有量について分析するまで凍結保存(−20℃から−80℃)する。洗浄液上清中のヒスタミンの含有量は、製造業者の指示に従って市販のヒスタミン酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を用いて測定する。炎症性腹膜細胞活性化は、実施例3に記載のβ−ヘキソサミニダーゼアッセイを用いる洗浄液中のβ−ヘキソサミニダーゼ活性を測定することによって試験してもよい。洗浄液の細胞沈殿物は、0.5% HTABを含む0.1から1.0mLの0.05M KHPO pH 6.0中に再懸濁し、Rao et al(J.Pharmacol.Exp.Ther.269,917−25(1994))に記載のミエロペルオキシダーゼ(MPO)含有量の分析まで凍結保存(−20℃から−80℃)する。別々の動物に由来する同一の細胞沈殿物をRLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中でマイクロアレイのために更に処理する(実施例12参照)まで凍結保存(−80℃)する。洗浄緩衝液で腹膜腔を洗浄するのと同時に、炎症を起こした腹膜腔に由来する組織(腹膜壁、小腸、及び/又は他の腹膜内若しくは腹膜後の器官/組織)生検を回収し、秤量し、凍結保存(TRIzol,Invitrogen,Carlsbad,CA中でマイクロアレイ分析のためのサンプルを−80℃で凍結する)し、実施例12に記載のように、その後にマイクロアレイ技術を用いて組織の遺伝子発現に関して分析する。未処理の動物に由来する非炎症腹膜腔は、MPO、炎症性メディエータ、サイトカイン/ケモカイン、及び遺伝子発現のベースラインのレベルを提供する。組織炎症は、従来の組織学及び免疫組織学的技術を用いて試験してもよい。
【0087】
(実施例17)
NB4及びHL−60細胞炎症性メディエータ放出アッセイ
ヒトNB4細胞(Lanotte et al,Blood,77,1080(1991))を、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、および10%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640中で培養(37℃/5% CO)する。分化のために、1から5μMのオールトランスレチノイン酸(ATRA)を一般的には3日毎に添加する。
【0088】
ヒトHL−60細胞(Steinhilber et al,Biochim.Biophys.Acta 1178,1(1993))を、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10から20%(v/v)のウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640培地に培養(37℃/5% CO2)する。分化のために、ATRA(1から5μM)、DMSO(1から2%)、PMA(100から500ng/mL)、又はビタミンD3(1から15μM)を5日間に亘って添加した。
【0089】
炎症性メディエータであるロイコトリエンB(LTB)の形成及び放出を刺激するために、分化又は未分化NB4又はHL−60細胞(1から15×10/mL)を、10から40μMアラキドン酸及び/又は2から10μMカルシウムイオノフォアA23187と共に5から30分間に亘ってインキュベート(カルシウムを含むPBS中で37℃)する。NB4及びHL−60細胞は、文献に記載の生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)、fMLP、及び/又はトロンボキサンアナログU−46619と共に、上記のA23187及び/又はアラキドン酸有り又は無しで刺激してもよい。上記のNB4及びHL−60インキュベート/刺激は、1:10から1:10000のNB4/HL−60:血小板の比率で(健康な提供者の血液に由来する)ヒト血小板の存在下で実施してもよい。前記インキュベート/刺激は、内部標準として添加する1mLの冷メタノール及びプロスタグランジンB(PGB)を用いて停止する。サンプルを遠心分離して、上清を水で希釈して、メタノールの終濃度を30%とし、かつ、pHを3から4に調節する。上清中のアラキドン酸代謝物を、事前に調整(1mLメタノールの後に1mL HO)したC18固相カラム(Sorbent Technology,U.K.)で抽出する。代謝物をメタノールで溶出し、1容量の水を溶出物に添加する。逆相HPLCのために、76μLの各サンプルを39μLのHOと混合する(他の容量比を使用してもよい)。Waters RCM 8×10カラムを、メタノール/アセトニトリル/HO/酢酸(30:35:35:0.01 v/v)を用いて1.2mL/分で溶出する。溶出物の吸光度を、PGB及びLTBの検出及び低量のために270nmでモニターする。LTBを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を、キットの製造業者の指示に従って使用してもよい。製造業者の指示に従って市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISA)を使用して、上記のNB4/HL−60インキュベート物/刺激物に由来する上清を、炎症性メディエータであるプロスタグランジンE(PGE)及び/又はトロンボキサンB(TXB)の含有量に関して分析してもよい。細胞は、試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共に、炎症性メディエータ放出のためのNB4又はHL−60刺激の前に1分から24時間に亘ってインキュベート(添加物を含むか又は含まない、カルシウムを含まないPBS中又は1から20%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で37℃)する(薬剤ストック溶液及び濃度に関しての詳細は上記の実施例1参照;試験薬はNB4/HL−60刺激と同時に添加してよい)。比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する。
【0090】
IL−1β、IL−6、TNF、IL−8、IL−10、IL−12p70、MCP−1、PAF、C5aなどの炎症性サイトカイン、ケモカイン、及びメディエータの形成及び放出を刺激するために、分化又は未分化のNB4又はHL−60(1から10×10/mL)を、リポポリサッカリド(LPS 1から100ng/mL)、ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA 1から100ng/mL)、又はカルシウムイオノフォアA23187(1から10μM)、或いはそれらの刺激の組み合わせと共に、4から24時間に亘って(添加物を含むか又は含まない、1から10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で)インキュベート(37℃/5% CO)する。NB4及びHL−60細胞は、文献に記載の生物学的に有効な濃度のアデノシン二リン酸(ADP)及び/又はトロンボキサンアナログU−46619とともに、上記のLPS、PMA、及び/又はA23187あり又はなしで刺激してもよい。NB4及びHL−60インキュベート/刺激は、1:10から1:10000のNB4/HL−60:血小板の比率でヒト血小板(健康な提供者の血液由来)の存在下で実施してもよい。細胞は、サイトカイン/ケモカイン/メディエータ放出のためのNB4又はHL−60刺激の前の1分から24時間に亘って、試験薬(上記のスタチンと組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共に、インキュベート(添加物を含むか又は含まない、1から10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で37℃/5% CO)する(比較のために、幾つかの実験は薬剤無しで実施する;試験薬はNB4/HL−60刺激と同時に添加してもよい)。細胞を遠心分離した後に、上清中のヒトサイトカイン/ケモカイン及びメディエータの濃度を、製造業者の指示に従ってCytometric Bead Array(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,USA)を用いて定量する。サイトカイン/ケモカイン及びメディエータを測定するための市販の酵素イムノアッセイキット(EIA/ELISAキット)を、製造業者による指示に従って使用してもよい。細胞沈殿物は、マイクロアレイ実験のために更に処理するまで(上記実施例12参照)、RLT緩衝液(QIAGEN,Valencia,CA)中で凍結保存(−80℃)する。
【0091】
好中球様NB4及びHL−60細胞由来のメディエータ及びケモカイン/サイトカインの放出に対する上記の薬剤の効果を試験することに加えて、自発的又は刺激による当該細胞の接着及び/又は移動に対する薬剤の効果を分析してもよい(標準的なプロトコルによって新しく単離したヒト血液多形核細胞(PMN)を使用してもよい)。自発的又は刺激(fMLP、IL−8、PAF、LTB、又は他の関連するPMN活性化因子)によるPMN又は好中球様細胞の、例えば、培養内皮細胞又はタンパク質被覆人工表面に対する接着は、よく確立され、かつ、文献に記載された実験手法及びアッセイを使用して試験する。PMN又は好中球様細胞の移動(fMLP、IL−8、PAF、LTB、又は他の関連するPMN活性化因子を用いた刺激による)は、よく確立され、かつ、文献に記載された実験手法及びアッセイ、例えば、その様な移動の試験のために設計された市販のタンパク質被覆膜を通過する移動を使用して試験する。
【0092】
(実施例18)
ヒト全血中の血小板及び白血球活性化
鬱血させずに、1/10容量の129mMクエン酸トリナトリウム(Becton Dickinson,Meylan,France)を含有するシリコン処理バキュテナーチューブを用いて、静脈穿刺によって静脈血を回収する。全血血小板P−セレクチン発現(血小板活性を反映する)、白血球CD11b発現(白血球活性を反映する)単独血小板及び血小板−血小板微小凝集塊計数、並びに血小板−白血球凝集(PLA)を、本質的には過去に文献(Li et al.Circulation 100,1374(1999))に記載されているように、フローサイトメトリーアッセイを用いて測定する。簡潔には、5μLの一定分量の全血を、アデノシン二リン酸(ADP)、U−46619、U−44069、血小板活性化因子(PAF)、アラキドン酸、コラーゲン、若しくはトロンビンなどの血小板活性化刺激及び/又はN−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(fMLP)、アラキドン酸、PAF、LPS、A23187、又はLTBなどの白血球活性化刺激の存在下又は不在下において、適当に希釈した抗体(下記参照)を含有する45μLのHepes緩衝化生理食塩水(150mM NaCl、5mM KCl、1mM MgSO4、10mM Hepes、pH7.4)に添加する。血液を血小板及び/又は白血球活性化刺激+抗体に曝露する前に、血液サンプル(0.1から1ml)を試験薬(スタチン(ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、又はアトルバスタチン)と組み合わせたスプラタスト、スプラタスト単独、及びスタチン単独)と共に、1から60分間に亘ってインキュベートする(試験薬は上記刺激と同時に添加されてもよい)。比較のために、幾つかの血液サンプルは薬剤への曝露無しで刺激する。血小板P−セレクチン発現は、R−フィコエチスリン(RPE)−CD62Pモノクローナル抗体(MAb)AC1.2(Becton Dickinson,San Jose,CA,USA)によって測定する。白血球CD11b発現は、蛍光イソチオシアネート(FITC)結合MAb BEAR1(Innunotech,Marseille,France)によって測定する。FITC及びRPE結合同形MAbは、ネガティブコントロールとして使用する。血小板計数のために使用する蛍光ビーズ(SPHERO(商標)Rainbow particles,1.8から2.2μm)は、PharMingen社製(San Diego,CA,USA)のものである。血小板はFITC結合抗CD42a(GPIX)MAb Bed1(Becton Dickinson)を用いて同定し、白血球はRPE結合抗CD45MAb J33(Immunotech)を用いて同定する。サンプル(上記の刺激あり又はなしの薬剤処理又は未処理の血液+抗体)を、20分間に亘って暗所で室温においてインキュベートする。その後、サンプルを希釈して、0.5%(v/v)ホルムアルデヒド生理食塩水を用いて穏やかに固定化し、Beckman−Coulter EPICS XL−MCL cytometer(Beckman−Coulter Corp.,Hialeah,FL)を用いて各種の血小板及び白血球パラメータについて分析する。血小板P−セレクチン発現データは、血小板集団におけるP−セレクチン陽性細胞の割合及びP−セレクチン陽性血小板数の絶対値として報告する。白血球CD11b発現は、白血球集団全体及び白血球亜集団の平均蛍光強度(MFI)として報告する。血小板−白血球凝集(PLA)は、絶対数並びに白血球集団全体及び白血球、単球、及び好中球の間の血小板結合白血球の割合の双方として表わす。ヒト全血中の対応する血小板及び白血球活性化を測定するための他の関連する試薬、実験条件/手法、装置、及び分析態様を使用してもよい。
【0093】
(実施例19)
マクロファージからの腫瘍壊死因子放出のスプラタスト及びロスバスタチンによる阻害
ヒトマクロファージ細胞株MonoMac−6(MM6)(Ziegler−Heitbrock et al,Int.J.Cancer,41,456(1988))に由来する細胞を、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸、10μg/mLインスリン、1mMオキサル酢酸、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び5%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640培地中で培養(37℃/5% CO)した。実験の始めに、MM6細胞を96ウェルプレートに1×10細胞/mLの密度で播種した(細胞生存率実験において100μL/ウェル、及びTNF放出実験において150μL/ウェル −下記参照)。
【0094】
MM6細胞は、所定の終濃度の試験薬を用いて、細胞生存率/増殖の定量又はホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA;Sigma Aldrich,Stockholm,Sweden)を用いて刺激をする前に48時間に亘って処理し、その後にPMA誘導TNF−放出の測定を実施した(詳細は下記参照)。
【0095】
主張壊死因子(TNF)の形成及び放出を刺激するために、MM6細胞を、10ng/mLの終濃度のPMAと共に、5時間に亘って(上記の添加物を含み5%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640中で)インキュベート(37℃/5% CO)した。
【0096】
各種のMM6インキュベート/刺激の後に細胞を遠心分離して(上記及び下記参照)、その後に上清中のTNFの濃度を、製造業者の指示にしたがってBD Biosciences Pharmingen(San Diego,USA)社製のヒトTNF ELISA Kit IIを用いて定量した。
【0097】
MM6細胞増殖/生存率を、細胞増殖試薬WST−1(Roche Diagnostisc Scandinavia AB,Bromma,Sweden)を使用して測定した。WST−1試薬は、例えば、細胞増殖及び生存率の分光光学的定量に使用するように設計されており、製造業者の指示にしたがって使用した。吸光度の測定のための波長は450nmであり、WST−1試薬に曝露したMM6細胞の入った全てのウェルの吸光度は0.95超であった(各試験条件についてn=3)。
【0098】
スプラタスト(American Custom Chemicals Corporation,San Diego,USAから購入されるトシレート塩)及びロスバスタチン(ナトリウム塩;ロスバスタチンは市販のCrestor(登録商標)錠剤から抽出及び精製し、Bioorganic & Medicinal Chemistry,Vol.5,No.5,pp.437−444,1997に記載のようにナトリウム塩として単離した)のストック溶液を滅菌生理食塩水で作製した。
【0099】
PMAに曝露していないMM6細胞は、検出可能なレベルのTNFを生産しなかった。しかしながら、PMA刺激の五時間後に、未処理のMM6細胞の上清中の平均TNF濃度が41.1.pg/mL(n=2)となった。
【0100】
10μM又は30μMの終濃度でロスバスタチン単独でMM6細胞を処理した後に、PMA刺激後の平均TNF濃度が、76.7pg/mL及び84.0pg/mLの各々に増大した(未処理の細胞と比較)(各濃度においてn=2)。
【0101】
10μM又は10μMの終濃度でスプラタスト単独でMM6細胞を処理した後に、39.6pg/mL(3.8%の低減)および34.8pg/mL(15.4%の低減)の各々への対応する平均TNF濃度における小さな低減が存在した(未処理の細胞と比較)(各濃度においてn=2)。
【0102】
10μM又は30μMロスバスタチンの存在下において1μMスプラタストでMM6細胞を処理した際は、各々、10μM又は30μMの各々のロスバスタチン単独で処理した際(上記参照)と比較して、相乗的に36.1%及び34.6%というPMA誘導TNF放出の阻害が見られた(平均値、各組み合わせにおいてn=2)。さらに、10μM又は30μMロスバスタチンの存在下で10μMスプラタストを用いてMM6を処理した際は、各々、10μM又は30μMの各々のロスバスタチン単独で処理した際(上記参照)と比較して、相乗的に88.5%及び75.1%というTNF放出の阻害が見られた(平均値、各組み合わせにおいてn=2)。
【0103】
未処理のMM6細胞と比較して、10μM又は30μMロスバスタチンを用いて48時間に亘って処理したMM6細胞の生存率(上記のWST−1アッセイを用いてアッセイする)は、105%及び102%の各々であった。1μM又は10μMスプラタストについての対応する値は、94%及び92%の各々であり、上記の4つの異なるロスバスタチン−スプラタストの組み合わせについては、その値が124%(スプラタスト1μM+ロスバスタチン10μM)、125%(スプラタスト1μM+ロスバスタチン30μM)、114%(スプラタスト10μM+ロスバスタチン10μM)、及び121%(スプラタスト10μM+ロスバスタチン30μM)であった。かくして、ロスバスタチン−スプラタストの組み合わせによるTNF放出の相乗的な阻害は、細胞増殖又は生存率の低減によって引き起こされたものではなかった。
【0104】
(実施例20)
マクロファージからの腫瘍壊死因子放出のスプラタスト及びアトルバスタチンによる阻害
上記の実施例19の手法を、ロスバスタチンに代えてアトルバスタチン(ナトリウム塩;Biocon,Ltd.,Bangalore,Indiaからの贈り物としてアトルバスタチンカルシウムを受け取り、塩酸水溶液の添加によってカルシウム塩を遊離酸に変換し、次いで、抽出によって単離した後に1当量のNaOH水溶液を添加することによってナトリウム塩に変換した)について繰り返した。
【0105】
10μM又は30μMの終濃度でアトルバスタチン単独でMM6を処理した後に、PMA刺激後の平均TNF濃度が、(未処理の細胞と比較して)133.6pg/mL及び59.7pg/mLの各々に増大した(各濃度においてn=2)。
【0106】
10μM又は30μMのアトルバスタチンの存在下において1μMスプラタストでMM6細胞を処理した際は、各々、10μM又は30μMの各々のアトルバスタチン単独で処理した際(上記参照)と比較して、相乗的に35.0%及び76.9%というPMA誘導TNF放出の阻害が見られた(平均値、各組み合わせにおいてn=2)。さらに、10μM又は30μMのアトルバスタチンの存在下で10μMスプラタストを用いてMM6を処理した際は、各々、10μM又は30μMの各々のアトルバスタチン単独で処理した際(上記)と比較して、相乗的に84.0%及び93.9%というTNF放出の阻害が見られた。
【0107】
未処理のMM6細胞と比較して、10μM又は30μMアトルバスタチンを用いて48時間に亘って処理したMM6細胞の生存率(上記のWST−1アッセイを用いてアッセイした)は、94%及び79%の各々であった。上記の4つの異なるアトルバスタチン−スプラタストの組み合わせについての対応する値は、110%(スプラタスト1μM+アトルバスタチン10μM)、85%(スプラタスト1μM+アトルバスタチン30μM)、97%(スプラタスト10μM+アトルバスタチン10μM)、及び90%(スプラタスト10μM+アトルバスタチン30μM)であった。かくして、また、アトルバスタチン−スプラタストの組み合わせによるTNF放出の相乗的な阻害は、細胞増殖又は生存率の低減によって引き起こされたものではなかった。
【0108】
上記の実施例の一つ又は複数が、スプラタストとスタチン(例えば、シンバスタチン、とりわけ、ロスバスタチン及び/又はアトルバスタチン)との組み合わせの明確な相乗的な効果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;及び
(b)スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む、併用製品。
【請求項2】
前記スタチンが、ピタバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、及びアトルバスタチンから選択される、請求項1に記載の併用製品。
【請求項3】
前記スタチンがロスバスタチン及びアトルバスタチンから選択される、請求項2に記載の併用製品。
【請求項4】
スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;及び製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体を含む医薬製剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の併用製品。
【請求項5】
以下の成分:
(A)スプラタスト又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体とともに含む、医薬製剤;並びに
(b)スタチン又はその製薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体とともに含む、医薬製剤
を含むキットオブパーツを含み、成分(A)及び(B)の各々が他方と併用して投与するために適切な形態で提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の併用製品。
【請求項6】
成分(A)を成分(B)と関連させて、互いに併用して投与するために適切な2つの成分とする工程を含む、請求項5に規定のキットオブパーツの製造方法。
【請求項7】
(I)請求項5に規定の成分(A)及び(B)の一方;並びに
(II)当該成分を2つの前記成分の他方と併用するための説明書
を含む、キットオブパーツ。
【請求項8】
前記スタチンがスタチンラクトンの形態で使用されない、請求項1から5及び7のいずれか一項に記載の併用製品。
【請求項9】
使用される前記スタチンがロバスタチンラクトン又はシンバスタチンラクトンである、請求項1から5及び7のいずれか一項に記載の併用製品。
【請求項10】
成分(A)及び(B)が、炎症疾患の治療において連続的に、別々に、及び/又は同時に使用するために適切なものである、請求項5、7、8、及び9(請求項5又は7に従属する場合)のいずれか一項に記載のキットオブパーツ。
【請求項11】
炎症疾患の治療のための医薬の製造のための、請求項1から5及び7から10のいずれか一項に記載の併用製品の使用。
【請求項12】
炎症疾患の治療を必要とする患者に、請求項1から5及び7から10のいずれか一項に記載の併用製品を投与する工程を含む、炎症疾患の治療方法。
【請求項13】
前記疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、偏頭痛、クローン病、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、又は潰瘍性大腸炎から選択される、請求項10に記載のキットオブパーツ、請求項11に記載の使用、又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記疾患がアテローム性動脈硬化症又は関連する心臓血管疾患である、請求項10に記載のキットオブパーツ、請求項11に記載の使用、又は請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患がアテローム性動脈硬化症である、請求項14に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項16】
アテローム性動脈硬化症に関連する前記心臓血管疾患が、大動脈瘤、動脈硬化、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心臓病、粥腫崩壊及び/又は不安定粥腫、粉瘤崩壊及び/又は不安定粉瘤、血管疾患、動脈疾患、虚血性疾患、虚血、及び脳卒中から選択される、請求項14に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項17】
前記冠動脈疾患が、狭心症、心筋梗塞、及び心臓麻痺から選択される、請求項16に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項18】
前記冠状動脈性心臓病が、心臓病及び心臓疾患から選択される、請求項16に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項19】
前記脳卒中が、脳血管障害及び一過性脳虚血発作から選択される、請求項16に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項20】
前記疾患が、粥腫崩壊及び/若しくは不安定粥腫又は粉瘤崩壊及び/若しくは不安定粉瘤である、請求項16に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。
【請求項21】
前記患者が急性冠不全症候群を有する、請求項10から20のいずれか一項に記載のキットオブパーツ、使用、又は方法。

【公表番号】特表2010−523486(P2010−523486A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500362(P2010−500362)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001142
【国際公開番号】WO2008/119988
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(509171232)カルドズ・アーベー (4)
【Fターム(参考)】