説明

炭疽菌(Bacillusanthracis)を検出するための方法及び組成物

本発明は、炭疽菌(B.anthracis)の存在と炭疽菌の結合パートナーを検出するための方法、組成物及びキットに関する。また本発明は、ポリヌクレオチド配列によってコードされている炭疽菌ゲノム及びタンパク質に特異的である、ポリヌクレオチド配列に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年12月6日出願の米国仮特許出願第60/632970号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、炭疽菌(Bacillus anthracis)の存在を検出するための方法、組成物及びキット、並びに炭疽菌の結合パートナーに関する。また本発明は、炭疽菌ゲノムに特異的であるポリヌクレオチド配列、及びそれらの配列によってコードされているタンパク質に関する。
【背景技術】
【0003】
炭疽菌は、ヒト及び動物において死に至る場合が多い、炭疽病の病原体である。この細菌は、栄養細胞と胞子からなる二段階の生活環を持っている。宿主が感染により死亡した場合、炭疽菌の栄養細胞が周囲に放たれる。次いで、これらの栄養細胞は胞子になり、炭疽菌の感染性胞子を形成する。例えば、ウシは汚染土壌中の胞子を取り込むことにより炭疽病にかかる可能性がある。ウシが死亡した場合、栄養細胞は土壌へ放たれ、そこで胞子形成が起こり新しい胞子が形成される。健康なウシが放牧期間中に炭疽菌胞子を取り込むと、このサイクルが繰り返される。炭疽菌胞子は、適当な土壌水分とpH値で出芽可能となり、胞子形成過程が再び始まる前に、生じた栄養細胞に自己複製を起こさせる。水源及び空気源もまた炭疽菌胞子で汚染される可能性がある。
【0004】
炭疽菌の胞子は、栄養細胞とは異なり、環境で非常に安定している。いくつかの研究では、胞子が付着後、土壌中で40〜60年間生存し続けている可能性があることが報告されている(Titballら、J.App.Bacter.Sympos.70:9S〜18S(1991))。炭疽菌は、胞子に安定性があること、この細菌は比較的容易に増殖させることができること、及び炭疽病に致死性があることから、残念なことにバイオテロリストの武器となったことがある。ヒトにおいては、健康な個体が炭疽菌胞子を吸入した場合に感染が起こることが多い。幸い、炭疽病は、感染の早い時期に正確な診断が行われた場合は、治療可能な疾患である。従って、炭疽菌の存在を迅速に検出する方法は、ヒトにおける炭疽病の適切な治療にとって、並びに、環境中の細菌を検出することによるヒト及び動物における感染予防にとって重要である。
【0005】
現在の検出方法として、細菌選択培地(ポリミキシン、リゾチーム、EDTA及び酢酸第1タリウム補充のハートインフュージョン寒天培地(PLET培地)など)の使用が挙げられる(Titballら、J.App.Bacter.Sympos.70:9S〜18S(1991))。しかし、この技術はいろいろな点で制限がある。第1に、寒天上でコロニーを成長させるには長時間が必要であり、胞子を迅速に検出することは不可能である。第2に、この方法は特に感度が高いわけでなく、試料中の細菌濃度を、より感度の高い検出方法を用いる場合よりも高濃度にすることが求められる。例えば、単独試料では、選択培地法は、土壌1グラム当たり芽胞を3個よりも多く必要とし得る。最後に、選択培地法は、炭疽菌の生育に必ずしも特異的であるとは限らない。
【0006】
現在の他の検出方法としては、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いるイムノアッセイ及び動物試験が挙げられる。イムノアッセイは、感染していることが疑われる宿主内の抗炭疽菌抗体の存在を検出する。残念ながら、この方法による診断は、病気の臨床症状が現れた数日後でしか得られないため、ごく初期の検出を行うことができない。或いは、イムノアッセイでは、炭疽菌調製物に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体が用いられる。これらのアッセイは感染の検出に必要な時間を短縮するものの、特異性に欠ける点で問題がある。炭疽菌胞子に対して産生される抗体は、セレウス菌(Bacillus cereus)をはじめとするバチルス属ファミリーの他の細菌とクロス反応する場合が多い。かかる交差反応性を低減するには、血清を、炭疽菌の検出で使用する前に、他のバチルス種と事前吸着させる。最後に、炭疽菌胞子が生息していることが疑われる試料(例えば土壌浸出液)を、モルモット又はマウスでの発症力について試験する。この技術では炭疽菌胞子の検出感度は良くなるが、コストがかかるとともに、炭疽病が動物で発症するまでに十分な時間が必要である。
【0007】
今日、炭疽菌の検出に分子生物学手法が用いられている。しかし、炭疽菌を検出するための分子アッセイは、炭疽菌のゲノムが同属他種のゲノムに高度に相同であることから、設計するのが特に困難である。具体的には、炭疽菌ゲノムは、B・セレウス及びB・チューリンゲンシス(B.thuringiensis)(これらの生物は同種であることが報告されている)のゲノムに非常に似ている。炭疽菌に対する慣用のアッセイは、毒性炭疽菌に存在するプラスミドを標的としている。しかし、これらのプラスミドはその細菌から欠失する可能性があるとともに、他の細菌に導入される可能性もあり、その結果、偽陰性及び偽陽性の結果が生じる。
【0008】
細菌の同定に一般に用いられているゲノムDNA標的(例えば16SリボソームRNA遺伝子)は、近縁種であるセレウス菌を炭疽菌と明確に区別するには不十分である(Sacchiら、Emer.Infect.Dis.8:1117〜22(2002))。別の研究者らは、異なる手法を用いて、ランダム増幅多型DNA(「RAPD」)のPCR産物をクローニングする炭疽菌に特異的な配列の同定を試みている(米国特許第6448016号、Rastogiら)。しかし、クローニングされたこれらの配列をBLAST分析により試験したところ、それらは炭疽菌に特異的でないことが明らかにされている。さらに別の研究者らは、炭疽菌の検出に有用であると考えられるgyr遺伝子の遺伝的変異について記載している(米国特許第6087103号、Yamadaら)。
【0009】
炭疽菌を検出するための核酸を利用した別の方法は、炭疽病外毒素遺伝子及び/又はポリグルタミン酸莢膜遺伝子(Jacksonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:1224〜29(1998))、又はatxA遺伝子(Hartley及びBaeumner、Anal.Bioanal.Chem.376:319〜27(2003))を利用する。これらの遺伝子はすべて毒性と関係があり、炭疽病細菌の2つのプラスミドであるpXO1(174kbp;毒素)及びpXO2(95kbp;莢膜)上に位置している。これらのプラスミドは、特定の条件下で、炭疽菌から近縁種であるセレウス菌及びバチルス・チューリンゲンシスに導入されることが知られている(Ruhfelら、J.Bact.157:708〜11(1984))。さらに、天然のセレウス菌及びバチルス・チューリンゲンシスは、炭疽病は引き起こさないが、これらのプラスミドの1つ又は両方由来のDNAを含有し得る(Beyerら、J.Appl.Microbiol.87:229〜36(1999))。従って、プラスミドDNA配列のみを利用した炭疽病の検出は、偽陽性の結果をもたらす可能性がある。
【0010】
炭疽病を引き起こす細菌の存在を特異的に同定するのに好適であると思われる炭疽菌由来の染色体DNA配列を同定しようと、多くの試みが行われてきた。同定された配列の1つ(以下、BA813という)は、277bp長のDNA断片である(Patraら、FEMS Microbiol.15:223〜31(1996))。もう1つの配列であるvrrAは、可変反復配列(caa tat caa caa)を含有する可変性配列領域である(Andersonら、J.Bacteriol.178:377〜84(1996))。さらに別の推定上の特定配列は、Rastogiらにより米国特許第6448016号に記載されている。しかし、これらの配列はいずれも炭疽菌に限定されていないことから、これもまた偽陽性の結果につながる。
【0011】
上述のように、慣用の病原性プラスミド上の遺伝子を標的とするアッセイと染色体配列に注目するアッセイは偽陽性の結果をもたらし、誤って試料中の炭疽菌の存在を示す可能性がある。
【0012】
別の研究者らは、炭疽菌に特異的であると考えられる一塩基多型(SNP)を同定した。これらには、DNAジャイレースサブユニットB遺伝子(gyrB)中のSNP(Yamadaら、米国特許第6087104号)及びRNAポリメラーゼサブユニットB遺伝子(rpoB)中のSNP(Qiら、Appl.Environ.Microbiol 67:3720〜27(2001))が含まれる。しかし、SNPアッセイは、ポリヌクレオチド配列の存在を検出するアッセイほど確実ではなく、その上、一般的にコストが高い。
【0013】
炭疽病に特異的な染色体DNA配列を同定する別の手法がRadnedgeらによって記載されている(Appl.Environ.Microbiol.69:2755〜64(2003))。Radnedgeは、差引きハイブリダイゼーション技術を用いて、炭疽菌の診断で利用の可能性があるゲノム差を同定した。これらの手法は、本明細書に記載した、異なる炭疽菌ゲノム配列が同定されるin silicoの(コンピューターを利用した)技術とは異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、一実施形態では、本発明は、炭疽菌ゲノム中に存在するが、近縁種である、セレウス菌及びバチルス・チューリンゲンシスには存在せず、炭疽菌の存在を検出するためのアッセイに有用である、DNA配列を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態では、本発明は、炭疽菌に特異的なポリヌクレオチド配列を提供する。別の実施態様では、本発明は、炭疽菌から得られた核酸とのハイブリダイズに好適なオリゴヌクレオチドプローブを提供する。別の実施態様の中で、本発明は、炭疽菌に存在する核酸配列の増幅に好適なオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。さらに別の実施態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つのプローブ及びプライマーを含む、炭疽菌を検出するためのキットを提供する。
【0016】
一部の実施態様では、本発明は、炭疽菌を特異的に認識する結合パートナーを提供する。
【0017】
一部の実施態様では、本発明による炭疽菌特異的配列は、試料中の炭疽菌の存在を検出する方法において使用する。これらの方法としては、核酸配列の増幅及びプローブを用いるアッセイが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに別の実施態様では、本発明は、コンピューターを利用した検索技術を用いて、炭疽菌に特異的な核酸配列を同定する方法を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、炭疽菌を検出する方法を提供し、この方法は
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸、少なくとも1つの第1のプライマー、及び少なくとも1つの第2のプライマーを含む組成物を形成すること;
(c)ステップ(b)のプライマーが増幅することができる任意の核酸を増幅させること;及び
(d)ステップ(c)の増幅産物を検出することにより炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれか1つの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプライマーが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌(B.subtilis)のDNA又はRNAのいずれにも結合せず;並びに/又は(ii)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む。特定の実施態様では、炭疽菌核酸は増幅されるが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌及びB.ハロデュランス(B.halodurans)由来の核酸は増幅されない。特定の実施態様では、1つのプライマー又は両プライマーは、検出可能な標識を含んでいてもよい。一部の実施態様では、アンプリコンのヌクレオチド配列は、配列番号1、2又は3のヌクレオチド配列の一部又は全部と実質的に同一である。
【0019】
一実施形態では、DNAは、(b)の組成物を形成する前に試料から抽出することができる。別の実施態様では、増幅は、例えばLyse−N−Go(商標)(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)などの試薬を用いて、試料で直接行うことができる。
【0020】
別の実施態様では、本発明は、炭疽菌を検出する方法を提供し、この方法は
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸を、ハイブリダイゼーションに好適な条件下で少なくとも1つのプローブと接触させること;及び
(c)ステップ(b)のハイブリダイゼーション産物に基づいて試料中の炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプローブが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAのいずれにも結合せず;且つ/又は(ii)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む。特定の実施態様では、プローブは、高ストリンジェンシーな条件下で炭疽菌核酸とハイブリダイズするが、高ストリンジェンシーな条件下で、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌及びB.ハロデュランス由来の核酸にはハイブリダイズしない。特定の実施態様では、プローブは、検出可能な標識を含んでいてもよい。一部の実施態様では、検出される核酸は、配列番号1、2若しくは3のヌクレオチド配列、又は配列番号1、2若しくは3の相補配列の一部と実質的に同一である。
【0021】
本発明のさらなる目的と利点については、以下の記載の中で一部を記載するか、或いは本発明を実施することにより理解することができる。本発明の目的と利点は、添付の特許請求の範囲で具体的に指摘した要素と組合せにより実現され、達成されるであろう。
【0022】
前述の一般的な記載と以下の詳細な記載は、両方とも単なる例示及び説明であって、特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではないことは理解されよう。添付の図面(これは本明細書に援用し、また本明細書の一部を構成するものである)は、本発明の実施態様を説明するものであり、また記述とともに、本発明の原理を説明する役目を担っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
I.配列
一実施形態では、本発明は、炭疽菌のゲノムで特異的に見出され、且つ、バチルス属の他の種をはじめとする他の細菌のゲノム中では見出されない、DNA配列を提供する。別の実施態様では、炭疽菌特異的DNA配列は、図1に示す配列番号1である。別の実施態様では、炭疽菌特異的DNA配列は、図2に示す配列番号2である。別の実施態様では、炭疽菌特異的DNA配列は、図3に示す配列番号3である。また炭疽菌特異的配列には、配列番号1、2又は3のDNA配列の一部も含まれる。
【0024】
II.定義
本明細書では、「アンプリコン」は、増幅されるヌクレオチド配列を意味する。
【0025】
本明細書では、「bp」及び「kbp」という略語は、「塩基対」及び「キロ塩基対」を意味する。
【0026】
本明細書では、「結合パートナー」という用語は、目的の分析物に特異的に結合し得る物質を意味する。一般に、特異的結合は、相対的に高い親和性と相対的に軽度〜中程度のキャパシティーを特徴とする。通常、非特異的結合は、親和性が低く、キャパシティーが中程度〜高度である。一般に、親和定数Kaが約10−1より高い場合、結合は特異的であると考えられる。例えば、親和定数Kaが約10−1より高い場合、結合は特異的であると考えることができる。親和定数が高くなると親和性も増し、従って、一般的に特異性が高くなる。例えば、抗体は、一般に10−1〜10−1以上の範囲の親和定数で抗原と結合する。
【0027】
本明細書では、「抗体」という用語は免疫グロブリン又はその一部を意味するとともに、起源、産生方法又は他の特性にかかわらず、抗原結合部位を含んでいるすべてのポリペプチド(糖部分(単糖類及び多糖類)によりさらに修飾されているもの、又はその修飾のないもの)を包含する。この用語には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、及びCDR移植抗体、並びに融合タンパク質が含まれる。抗体の一部としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Facb、Fv、ScFv、Fd、抗体重鎖(V)の可変領域、及び抗体軽鎖(V)の可変領域をはじめとする、抗原に結合可能なすべてのフラグメントを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書では、「実質的に同一である」とは、高ストリンジェンシー条件下で2種類のポリヌクレオチドがハイブリダイズすることを意味する。
【0029】
「高ストリンジェンシー」という用語は、通常、解離温度よりも低い5℃〜15℃におけるハイブリダイゼーションを意味する。解離温度が、特にポリヌクレオチド塩基対組成物、ハイブリダイズ配列の長さ、プローブ濃度、塩濃度、及び使用する溶媒によって決まることは当業者には理解されよう。一部の実施態様では、高ストリンジェンシー条件には、42℃の恒湿槽中で一晩、50%ホルムアミド、5×SSC、0.2μg/μlポリ(dA)、0.2μg/μlのヒトcot1 DNA、及び0.5%SDSにおいてハイブリダイゼーションを行い、その後、55℃で5分間、1×SSC、0.2%SDS中で連続洗浄し、その後、55℃で20分間、0.1×SSC、0.2%SDSで洗浄することを挙げることができる。一部の実施態様では、高ストリンジェンシー条件には、50℃及び0.1×SSCでハイブリダイゼーションを行い、50%ホルムアミド、1×SSC、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、及び20μg/mlの変性断片化サケ精子DNAを含有する溶液中で42℃において一晩インキュベーションを行い、その後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルターを洗浄することを挙げることができる。別の実施態様では、高ストリンジェンシー条件に、65℃で約8時間(又はそれ以上)、6×SSC、1%(SDS)中で水性ハイブリダイゼーション(例えば、ホルムアミド非含有)を行い、次いで、65℃において0.2×SSC、0.1%SDS中で1回又は複数回洗浄することも含むことができる。一実施形態では、高ストリンジェンシーアニーリングは、プライマーの融解温度(T)より5℃低いアニール温度で起こり得る。一般に、おおよそのプライマーTは、プライマー中の各A又はTに対して2℃、プライマー中の各G又はCに対して4℃加えることにより算出することができる。
【0030】
本明細書では、ヌクレオチド配列が高ストリンジェンシー条件下で、炭疽菌からの核酸にはハイブリダイズするが、
(i)セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス又は枯草菌;
(ii)セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌、又はバチルス属の他の細菌;
(iii)セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌、又はB.ハロデュランス;及び/又は、
(iv)セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌、B.ハロデュランス、若しくはバチルス属の他の細菌
から選択される核酸にはハイブリダイズしない場合、「炭疽菌に特異的に結合する」という。
【0031】
本明細書では、「目的のポリヌクレオチド」という用語は、検出又は増幅しようとするポリヌクレオチドを意味する。アンプリコンは、目的のポリヌクレオチドの一例である。目的のポリヌクレオチドは、大型の核酸配列の断片であってもよい。
【0032】
「ポリヌクレオチド」という用語は、1ヌクレオチド長よりも長い、ヌクレオチド又は核酸類似体を含む分子を意味する。一実施形態では、ポリヌクレオチドはDNAである。一実施形態では、ポリヌクレオチドはRNAである。一部の実施態様では、ポリヌクレオチドは、例えば宿主細胞におけるクローニング及び発現などの組換え法によって産生される、組換え型ポリヌクレオチドであってもよい。一部の実施態様では、ポリヌクレオチドは、混入物を実質的に含まない、単離ポリヌクレオチドであってもよい。単離ポリヌクレオチドは、これらに限定されるものではないが、組換え法及び化学合成などの複数の方法によって調製することができる。ポリヌクレオチドに関する記載にはオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0033】
「プライマー」という用語は、標的核酸配列にハイブリダイズすることが可能で、且つ相補鎖を合成することができるオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドプライマー中の塩基は、リン酸ジエステル結合によって、又は、結合が標的核酸配列の一部へのハイブリダイゼーションを阻害しない限り、リン酸ジエステル結合以外の結合によって結合され得る。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、リン酸ジエステル結合以外のペプチド結合により結合されている構成塩基を有していてもよい。一部の実施態様では、プライマーは、標的核酸配列に実質的に同一であるように調製することができる。
【0034】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、100個未満のヌクレオチド長である、ヌクレオチド又は核酸類似体を含む分子を意味する。
【0035】
「試料」とは、炭疽菌生物又は胞子を含んでいることが疑われるすべての物質を意味する。また試料は、炭疽菌核酸を含んでいることが疑われるすべての物質も意味する。
【0036】
本明細書では、「検出可能な標識」とは、オリゴマー又はポリマーに結合し、それにより、機器又は方法により検出可能なオリゴマー又はポリマーを提供することができる部分を意味する。
【0037】
「ECL部分」という用語は電気化学発光部分を意味し、これは、電気エネルギー源に暴露することにより電磁放射を繰り返し放出するように誘導することができるすべての化合物である。一部のECL部分は、可視スペクトルである電磁放射を放出するが、他のECL部分は、赤外線又は紫外線、X線、マイクロ波などの別のタイプの電磁放射を放出することができる。本発明に関して、「電気化学発光」、「電気化学発光性」、「電気化学発光する」「発光」、「発光性」及び「発光する」という用語を使用する場合、発光が明るいことは要求されないが、発光が電磁放射などの別の形態であることは認められる。
【0038】
本明細書では、「プローブ」とは、目的の構造又は標的に結合する、「核酸」プローブ又は「核酸類似体」プローブを意味する。
【0039】
本明細書では、「核酸」とは、天然ヌクレオチド又は未修飾ヌクレオチドから単独で形成された主鎖を有する、オリゴマー、ポリマー又はポリマーセグメントを含有するヌクレオチド配列を意味する。
【0040】
本明細書では、「修飾核酸」とは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、又は修飾ヌクレオチドから直接誘導されるサブユニットからなる、オリゴマー、ポリマー又はポリマーセグメントを意味する。
【0041】
「核酸類似体」という用語は、核酸に結合可能な合成分子を意味する。例えば、核酸類似体は、リボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、及び/又はヌクレオチド類似体から構成されていてもよい。例えば、核酸類似体は検出可能な標識を含んでいてもよい。「ヌクレオチド類似体」という用語は、天然ヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドの代わりに使用可能な合成部分を意味する。核酸類似体は、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(Locked nucleic asid)(LNA)又は核酸の任意の誘導型であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0042】
「ヌクレオシド三リン酸」又は「ヌクレオチド」という用語は、三リン酸基に共有結合で結合し得るリボース又はデオキシリボースなどの糖分子に共有結合で結合することができる、プリン又はピリミジンなどの窒素含有塩基を意味する。ヌクレオシド三リン酸は、リボヌクレオシド三リン酸及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸の両方を包含することができる。ポリヌクレオチドの形成に、構成単位としてヌクレオシド三リン酸を用いることができる。窒素含有塩基は、これらに限定されるものではないが、シトシン、グアニン、アデニン、チミジン、ウラシル、及びイノシンであってもよい。ヌクレオシド三リン酸は、これらに限定されるものではないが、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウラシル三リン酸(dUTP)、及びデオキシイノシン三リン酸(dlTP)、7−デアザ−dGTP、2−アザ−dATP、及びN4−メチル−dCTPであってもよい。
【0043】
「修飾ヌクレオチド」という用語は、化学的に修飾されたヌクレオチドを意味する。修飾ヌクレオチドの例は、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシル及び2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)、及びN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本明細書では、「ペプチド核酸」又は「PNA」は、これらに限定されるものではないが、米国特許第5539082号、第5527675号、第5623049号、第5714331号、第5718262号、第5736336号、第5773571号、第5766855号、第5786461号、第5837459号、第5891625号、第5972610号、第5986053号、第6107470号、第6201103号、第6228982号、及び第6357163号にペプチド核酸として記載されているか、又は主張されているすべてのオリゴマー又はポリマーセグメントをはじめとする、少なくとも1種又は複数のPNAサブユニット(残基)を含む、すべてのオリゴマー又はポリマーを意味する。またPNAという用語は、以下の刊行物に記載されている核酸模倣体の1種又は複数のサブユニットを含む、すべてのオリゴマー又はポリマーセグメントに用いられる:Lagriffoulら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081〜82(1994);Petersenら、Bioorg.Med.Chem.Lett.6:793〜96(1996);Diderichsenら、Tett.Lett.37:475〜78(1996);Fujiiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:637〜40(1997);Jordanら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:687〜90(1997);Krotzら、Tett.Lett.36:6941〜44(1995);Lagriffoulら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081〜82(1994);Diederichsen,U.,Bioorg.Med.Chem.Lett.7:1743〜46(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:539〜46(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:547〜54(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:555〜60(1997);Howarthら、J.Org.Chem.62:5441〜50(1997);Altmann,K−Hら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:1119〜22(1997);Diederichsen,U.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.8:165〜168(1998);Diederichsenら、Angew.Chem.Int.編 37:302〜305(1998);Cantinら、Tett.Lett.38:4211〜4214(1997);Ciapettiら、Tetrahedron 53:1167〜76(1997);Lagriffouleら、Chem.Eur.J.3:912〜919(1997);Kumarら、Organic Letters 3:1269〜72(2001);及びWO 96/04000に記載されているShahらの「ペプチド系の核酸模倣体(PENAM)(Peptide−Based Nucleic Acid Mimic(PENAM))」。
【0045】
本明細書では、「ホスホロチオエート結合」という用語は、標準的なリン酸ジエステルではなく、ホスホロチオエートとの修飾ヌクレオチド間結合を含む核酸を意味する。これらのタイプの修飾は、ヌクレアーゼにより触媒されるオリゴマーの分解の可能性を低減し、本発明で用いることができる。
【0046】
本明細書では、「ロックされた核酸」又は「LNA」という用語は、少なくとも1つ又は複数のLNAサブユニットを含むオリゴマー又はポリマーを意味する。本明細書では、「LNAサブユニット」という用語は、リボースの2’−酸素を4’−炭素と連結するメチレン架橋を含有するリボヌクレオチドを意味する。一般には、Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628〜44(2003)を参照されたい。
【0047】
本明細書では、「結合する」という用語は、「ハイブリダイズする」と同意語である。2つの分子がハイブリダイズする場合、それらの分子は、1つ又は複数のタイプの化学結合を介して、或いは相補的塩基対合を介して、2つの分子の化合を形成する。
【0048】
本明細書では、「相補的な」という用語は、相互にハイブリダイズすることができる核酸塩基を意味する。例えば、アデニンはチミンに相補的であり、またシトシンはグアニンに相補的である。
【0049】
III.本発明の組成物
A.ポリヌクレオチド組成物
本発明のポリヌクレオチド組成物は、炭疽菌特異的配列を含んでいる。特定の実施態様では、ポリヌクレオチドは配列番号1、2又は3を含んでいる。また別の実施態様では、ポリヌクレオチドは、
(i)配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一の配列を含み、且つ、炭疽菌のDNA又はRNAに特異的に結合するか、
(ii)配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、
配列番号1、2又は3の断片を含んでいる。本発明のポリヌクレオチド組成物は、炭疽菌の検出においてプライマー及びプローブとして使用可能であり、アンプリコンはそのプライマーを用いることにより産生することができる。本発明の特定の実施態様では、断片は、少なくとも10bp長、少なくとも12bp長、少なくとも15bp長、少なくとも20bp長、少なくとも30bp長、少なくとも40bp長、少なくとも50bp長、少なくとも60bp長、少なくとも70bp長、少なくとも80bp長、少なくとも90bp長、少なくとも100bp長、少なくとも200bp長、少なくとも300bp長、少なくとも400bp長、少なくとも500bp長、少なくとも600bp長、少なくとも700bp長、少なくとも800bp長、少なくとも900bp長、少なくとも1000bp長、少なくとも1360bp長、少なくとも1362bp長、少なくとも1500bp長、少なくとも2000bp長、少なくとも2500bp長、少なくとも2520bp長、又はその間の任意の長さである。
【0050】
一部の実施態様では、炭疽菌特異的配列は、配列番号1、2、又は3で確認される配列の突然変異を含有する配列を含んでいてもよい。突然変異には、これらに限定されるものではないが、1つ又は複数の塩基対の置換、付加及び欠失が含まれる。一部の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1、2、若しくは3で確認される配列又はそれらの相補配列に対して、ヌクレオチド塩基の0〜5、0〜10、0〜20、0〜30、0〜40、0〜50、0〜60、0〜70、0〜80、0〜90個のヌクレオチド付加、欠失又は置換を含んでいてもよい。一部の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1、2、3で確認される配列又はそれらの相補配列に対して、80%、85%、89%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有し得る。本発明のポリヌクレオチドがRNAである実施態様では、ポリヌクレオチド配列中の突然変異の同定目的において、配列番号1、2及び3中のチミジンヌクレオチドはRNA中のウラシルヌクレオチドに相当するものと見なす。
【0051】
特定の実施態様では、本発明にはまた、本節でこれより前に記載したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドも含まれる。一実施形態では、本発明は、配列番号1、2及び3の1つ又は複数で確認されている炭疽菌特異的配列を含む発現ベクターを提供する。発現ベクターは、発現しようとする配列に作動可能に連結されているプロモーターと複製起点を含んでいる。一実施形態では、発現ベクターは、発現をさらに調節する別の遺伝学的調節エレメント(例えばエンハンサーなど)をさらに含む。一実施形態では、本発明は、配列番号1、2及び3の1つ又は複数で確認されている炭疽菌特異的配列を含むクローニングベクターを提供する。クローニングベクターは、例えば複製開始点などのクローニングベクターの複製を調節する配列を含む。ベクターとしては、これらに限定されるものではないが、プラスミド、YACS及び人工染色体が挙げられる。また本発明は、これらの発現ベクター又はクローニングベクターを含む細胞も提供する。
【0052】
B.プライマー
一部の実施態様では、1対のオリゴヌクレオチドプライマーの各オリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、若しくは3の少なくとも12個の連続するヌクレオチド、又は、配列番号1、2、若しくは3に相補的な少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み、且つ、炭疽菌特異的核酸を増幅する。特定の実施態様では、プライマー対を用いることにより生成されるアンプリコンは、配列番号1、2、又は3の境界領域、及び炭疽菌ゲノムの周辺配列に及んでいてもよい。特定のこれらの実施態様では、第1のプライマーが配列番号1、2、又は3の一部と実質的に同一であり、且つ、炭疽菌に特異的に結合するが、第2のプライマーはそうではない、プライマー対を用いる。炭疽菌DNAは、第1のプライマーにより付与される特異性に基づいて、特異的に増幅させることができる。
【0053】
プライマーは、得られた伸長産物の1本鎖の5’末端を表す。3’末端で鋳型鎖上の目的の配列に対して相補的であるプライマーは、ポリメラーゼを用いて伸長させ、鋳型に相補的な配列を合成することができる。3’末端を修飾することで、プライマーとして機能するオリゴヌクレオチドの能力に変化をもたらすことができる。かかる修飾の例は、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドの取り込みである。前記ヌクレオチドは、プライマーの特異性を高めることができる(Latorraら、Hum.Mutat.22:79〜85(2003))。このプライマーの長さは、特定の用途に応じて調節することができるが、通常、15〜30塩基対の大きさである。本発明の一部の実施態様では、プライマーは、12〜60ヌクレオチド長であってもよい。他の実施態様では、プライマー長は、10〜30ヌクレオチドであってもよい。プライマーを対で用いて、目的の配列上のその2つのプライマーの結合部位間に収まる核酸配列を増幅させることができる。
【0054】
プライマーは、ハイブリダイゼーションを成功させ、増幅を起こすためには、完全な相補配列である必要はない。例えば、15〜60ヌクレオチド長のプライマーは、配列番号1、2、3、又はその相補配列に同一な連続する少なくとも12塩基を有していてもよい。良好な増幅におけるプライマーと標的との間の同一性に関する最適な量は、アニール温度、塩濃度、プライマー長、及びミスマッチの位置をはじめとする、容易に調節される多数の特性に応じて変わることは当業者に理解されよう。プライマーが完全ではない相補配列である場合には、そのプライマー配列を組み込んだ伸長産物が得られ、後のサイクル中に、そのプライマー配列に対する相補配列が鋳型配列へ組み込まれる。一実施形態では、プライマーは、任意の核酸塩基、任意の修飾核酸、又は核酸類似体を組み入れることができる。それによって、プライマー伸長産物には、プライマー伸長産物を分離及び検出することができるこれらの特徴が組み込まれる。一実施形態では、増幅産物が形成される場合、その増幅産物は、プライマーへ組み込まれた検出可能な標識(例えば[Ru(bpy)2+、[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+)の特性により検出することができる。或いは、1つのプライマー又は両プライマーに、分子(例えば、標識化結合パートナー(例えばアビジン)を用いてプライマーを検出することができるビオチン)を組み込むことができる。
【0055】
一部の実施態様では、1つのプライマーは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドと部分的に又は完全に同一であり、もう1つのプライマーは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドに相補的である。一部の実施態様では、両プライマー配列は、配列番号1から得られる。別の実施態様では、両プライマー配列は、配列番号2から得られる。別の実施態様では、両プライマー配列は、配列番号3から得られる。一部の実施態様では、試験物質が炭疽菌核酸を含有する場合には、何千〜何百万ものアンプリコンのコピーが合成される。一部の実施態様では、試験物質が炭疽菌核酸を含有していない場合には、検出可能なDNAは増幅されない。
【0056】
一実施形態では、検出可能な標識は、プライマーに直接的又は間接的に付着させることができる。例えば、リンカーを用いて、検出可能な標識をプライマー又はプローブに間接的に付着させることができる。検出可能な標識は、例えば、蛍光標識試薬、発色団、スピン標識、放射性同位元素、酵素、量子ドット、ビーズ、アミノヘキシル、ピレン、抗体により検出可能な抗原決定基、化学発光部分、又は電気化学発光部分(ECL部分)、ハプテン、発光標識、放射性標識、量子ドット、ビーズ、アミノヘキシル、ピレン、金属粒子、スピン標識、及び色素であってもよい。
【0057】
本発明の方法で使用可能な蛍光標識試薬としては、これらに限定されるものではないが、IR色素、Dyomics色素、フィコエリトリン(phycoerythrine)、カスケードブルー、オレゴングリーン488、パシフィックブルー、ローダミングリーンなどのローダミン誘導体、5(6)−カルボキシフルオレセイン、シアニン色素(すなわち、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、(ジエチル−アミノ)クマリン、フルオレセイン(すなわちFITC)、テトラメチルローダミン、リザミン(lissamine)、テキサスレッド、AMCA、TRITC、bodipy色素、Alexa色素、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP類似体、サンゴ礁由来蛍光タンパク質(RCFP)、RCFP類似体、並びに、米国特許第5783673号、第5272257号、及び第5171843号に記載のタンデム色素が挙げられる。
【0058】
本発明で使用可能な酵素標識としては、ダイズペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及び西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明で使用可能な放射性同位元素としては、32P及び35Sが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本発明で使用可能な化学発光部分としては、アクリジニウム、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、アクリジンジオン、1,2−ジオキセタン、ピリドピリダジンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
代表的なECL部分は、ELECTROGENERATED CHEMILUMINESCENCE,Bard,編集,Marcel Dekker,(2004);Knight,A及びGreenway,G.Analyst 119:879〜890 1994;並びに、米国特許第5221605号、第5591581号、第5858676号、及び第6808939号に記載されている。ECL部分を含むプライマーの調製は、例えば、米国特許第6174709号に記載のように、当技術分野で周知である。
【0062】
ECL部分は遷移金属であってもよい。例えば、ECL部分は、金属を、例えば、ルテニウム、オスミウム、レニウム、イリジウム、ロジウム、白金、パラジウム、モリブデン及びテクネチウムから選択することができる、金属含有有機化合物を含むことができる。例えば、金属はルテニウム又はオスミウムであってもよい。例えば、ECL部分は、ルテニウムキレート又はオスミウムキレートであってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)及びトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)を含んでいてもよい。例えば、ECL部分は、ルテニウム(II)トリスビピリジン([Ru(bpy)2+)であってもよい。また金属は、例えば、これらに限定されるものではないが、セリウム、ジスプロシウム、エルビウム、ユーロビウム、ガドリニウム、ホルミウム、ランタン、ルテチウム、ネオジム、プラセオジム、プロメチウム、テルビウム、ツリウム、及びイッテルビウムなどの希土類金属から選択することもできる。例えば、金属は、セリウム、ユーロビウム、テルビウム、又はイッテルビウムであってもよい。
【0063】
金属含有ECL部分は、次式:
M(P)(L1)(L2)(L3)(L4)(L5)(L6)
(式中、Mは金属であり;PはMの多座配位子であり;L1、L2、L3、L4、L5及びL6は、Mのリガンドであり、これらの各々は、同じであってもよく、又は互いに異なっていてもよく;mは1以上の整数であり;n、o、p、q、r及びsの各々は、0以上の整数であり;P、L1、L2、L3、L4、L5及びL6は、ECL部分が電磁放射を放出するように誘導され得るかかる組成物及び数であり、Mのリガンドにより提供されるMへの結合の総数は、Mの配位数に等しい)を有していてもよい。例えば、Mはルテニウムであってもよい。或いは、Mはオスミウムであってもよい。
【0064】
一部のECL部分の例は、1つのMの多座配位子を有していてもよい。またECL部分は、複数の多座配位子を有していてもよい。2つ以上のMの多座配位子を含む例では、多座配位子は、同一であっても、異なっていてもよい。多座配位子は、芳香族配位子又は脂肪族配位子であってもよい。好適な芳香族多座配位子は、芳香族複素環配位子であってもよく、また窒素を含有していてもよく、例えば、ビピリジル、ビピラジル、テルピリジル、1,10フェナントロリン、及びポルフィリンである。
【0065】
好適な多座配位子は、非置換であってもよいし、当技術分野で公知の任意の多数の置換基によって置換されていてもよい。好適な置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、カルボキシレート基、カルボキサルデヒド基、カルボキサミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イミノ基、ヒドロキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アミジン基、グアニジニウム基、ウレイド基、マレイミド基、硫黄含有基、リン含有基、及びN−ヒドロキシスクシンイミドのカルボン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
一部の実施態様では、L1、L2、L3、L4、L5及びL6の少なくとも1つは、多座芳香族複素環配位子であってもよい。各種の実施態様では、これらの多座芳香族複素環配位子の少なくとも1つは、窒素を含有していてもよい。好適な多座配位子としては、ビピリジル、ビピラジル、テルピリジル、1,10フェナントロリン、ポルフィリン、置換ビピリジル、置換ビピラジル、置換テルピリジル、置換1,10フェナントロリン、又は置換ポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの置換多座配位子は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、カルボキシレート基、カルボキサルデヒド基、カルボキサミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イミノ基、ヒドロキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アミジン基、グアニジニウム基、ウレイド基、マレイミド基、硫黄含有基、リン含有基、又はN−ヒドロキシスクシンイミドのカルボン酸エステルで置換されていてもよい。
【0067】
一部のECL部分は、2種の二座配位子を含有していてもよく、それらの各配位子は、ビピリジル、ビピラジル、テルピリジル、1,10フェナントロリン、置換ビピリジル、置換ビピラジル、置換テルピリジル、又は置換1,10フェナントロリンであってもよい。
【0068】
一部のECL部分は、3種の二座配位子を含有していてもよく、それらの各配位子は、ビピリジル、ビピラジル、テルピリジル、1,10−フェナントロリン、置換ビピリジル、置換ビピラジル、置換テルピリジル、又は置換1,10−フェナントロリンであってもよい。例えば、ECL部分は、ルテニウム、2種の二座ビピリジル配位子、及び1種の置換二座ビピリジル配位子を含んでいてもよい。例えば、ECL部分は、ポルフィリン又は置換ポルフィリンなどの四座配位子を含有していてもよい。
【0069】
一部の実施態様では、ECL部分は、1種又は複数の単座配位子(その多種多様の配位子が当技術分野では周知である)を有していてもよい。好適な単座配位子は、例えば、一酸化炭素、シアン化物、イソシアン化物、ハロゲン化物、並びに脂肪族ホスフィン、芳香族ホスフィン及び複素環ホスフィン、アミン、スチビン、及びアルシンであってもよい。
【0070】
一部の実施態様では、1種又は複数のMの配位子は、例えば、放射性同位体、蛍光成分、又はさらなる発光ルテニウム若しくはオスミウム含有中心などの追加の化学標識に結合させることができる。
【0071】
例えば、ECL部分は、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス[(4,4’−カルボメトキシ)−2,2’−ビピリジン]2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)プロピル]−1,3−ジオキソランルテニウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’ビピリジン[4−(ブタン−1−アール)−4’−メチル−2,2’−ビピリジン]ルテニウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)−酪酸]ルテニウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、(2,2’−ビピリジン)[シス−ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エチレン]{2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)プロピル]−1,3−ジオキソラン}オスミウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン)−ブチルアミン]ルテニウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’−ビピリジン)[1−ブロモ−4(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)ブタン]ルテニウム(II)であってもよい。例えば、ECL部分は、ビス(2,2’−ビピリジン)マレイミドヘキサン酸、4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−ブチルアミドルテニウム(II)であってもよい。
【0072】
例えば、ECL部分は、構造が、
【化1】


(式中、Wは、生物材料、結合試薬、酵素基質又は他のアッセイ試薬と反応して、NHSエステル、活性化カルボキシル、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドラジド、マレイミド、又はホスホルアミダイトなどの共有結合を形成し得る、ECL部分に結合されている官能基である)
である、[(Ru(スルホ−bpy))bpy]2+である。
【0073】
本発明の特定の実施態様では、検出可能な標識は、例えば、Kostrikis,L.ら、Science 279:1228〜29(1998)及びTyagi,S.ら、Nat.Biotechnol.16:49〜52(1998)に記載されている、分子指標(すなわち、ヘアーピンループ含有のオリゴヌクレオチドに結合している構造−感度標識)であってもよい。
【0074】
特定の実施態様では、プライマーは、結合部分をプライマーへ組み入れることにより標識化することができる。本発明で使用可能な結合部分には、ビオチン及びジゴキシゲニンが含まれる。例えば、ビオチンは、ビーズにコーティングされた別の指標部分(ストレプトアビジンなど)をプローブ又はプライマーに特異的に結合させる。
【0075】
C.アンプリコン
特定の実施態様では、配列番号1、2、又は3の一部に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、プライマーが結合する位置の間に収まる試料ヌクレオチド配列が増幅され、アンプリコンが形成されるように調製することができる。一部の実施態様では、アンプリコンは、2つのプライマー配列と、2つのプライマー結合部位の間に位置する核酸配列を含んでいる。一部の実施態様では、アンプリコンは、配列番号1、2、又は3の検出可能な一部である。特定の実施態様では、アンプリコンは、50塩基対〜100,000塩基対、50塩基対〜3000塩基対、50塩基対〜2500塩基対、50塩基対〜2000塩基対、50塩基対〜1500塩基対、50塩基対〜1000塩基対、50塩基対〜500塩基対、又は50塩基対〜100塩基対の長さであってもよく、或いは任意の中間の長さであってもよい。
【0076】
特定の実施態様では、アンプリコンヌクレオチド配列又はプローブヌクレオチド配列は、アンプリコンヌクレオチド配列又はプローブヌクレオチド配列が炭疽菌に特異的に結合するように、目的のポリヌクレオチド配列又はその相補配列の検出可能な一部と実質的に同一であってもよい。
【0077】
PCR反応の場合には、例えば、高ストリンジェンシー条件は、10mMのトリスHCl(pH8.3)、50mMのKCl、2mMのMgCl溶液における64℃でのハイブリダイゼーションを用いる。サザンブロット又はドットブロットなどのブロットの場合には、例えば、高ストリンジェンシー条件は、(1)洗浄において低イオン強度及び高温(例えば、50℃で、0.015M NaCl/0.0015M クエン酸ナトリウム/0.1%SDS)を使用するか、(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミドなどの変性剤(例えば、42℃で、750mM NaCl、75mM クエン酸ナトリウムを補充した、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)を用いた50%(vol/vol)ホルムアミド)を使用する。別の実施例では、42℃にて、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075M クエン酸ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50g/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを使用し、42℃にて0.2×SSC及び0.1%SDS中で洗浄する。また高ストリンジェンシー条件には、0.1×SSC及び0.1%SDSを用いた65℃での洗浄が含まれる。
【0078】
アンプリコンヌクレオチド配列は、目的のポリヌクレオチド配列の検出可能な一部に対して、ヌクレオチド塩基に少数の付加、欠失又は置換を含んでいてもよい。アンプリコンヌクレオチド配列中に存在し得る付加、欠失又は置換の数は、アンプリコンの長さ及び組成によって決まることが、当業者には理解されよう。一部の実施態様では、アンプリコンヌクレオチド配列は、目的のポリヌクレオチド配列の検出可能な一部に対して、0〜5、0〜10、0〜20、0〜30、0〜40ヌクレオチドのヌクレオチド塩基の付加、欠失又は置換を含有することができる。
【0079】
D.プローブ
プローブヌクレオチド配列もまた、目的のポリヌクレオチド配列の検出可能な一部に対して、ヌクレオチド塩基の軽微な付加、欠失又は置換を含有することができる。プローブヌクレオチド配列中に存在し得る付加、欠失又は置換の数は、プローブ配列の長さ及び組成によって決まることが、当業者には理解されよう。一部の実施態様では、プローブヌクレオチド配列は、目的のポリヌクレオチド配列の検出可能な一部に対して、0〜5、0〜10、0〜15、0〜20ヌクレオチドのヌクレオチド塩基の付加、欠失又は置換を含有し得る。一部の実施態様では、目的のポリヌクレオチド配列は、配列番号1、2、又は3である。一部の実施態様では、目的のポリヌクレオチド配列は、少なくとも12塩基対の長さである、配列番号1、2、又は3の一部である。一部の実施態様では、目的のポリヌクレオチド配列は、少なくとも15塩基対の長さである、配列番号1、2、又は3の一部である。
【0080】
一部の実施態様では、プローブは検出可能な標識を含んでいてもよい。別の実施態様では、検出可能な標識は、プライマーについて上述したように、プローブに直接的又は間接的に結合させることができる。特定の実施態様では、プライマーについて上述したように、プローブへ結合部分を組み込むことによりプローブを標識化することができる。
【0081】
一部の実施態様では、プローブは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドであるDNA配列であってもよい。各種の実施態様では、プローブは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドに相補的なDNA配列であってもよい。核酸には、これらに限定されるものではないが、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)が含まれる。天然の核酸塩基の例としては、アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、プローブは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドに結合する核酸類似体であってもよい。別の実施態様では、プローブは、配列番号1、2、又は3の少なくとも12個の連続するヌクレオチドの相補配列に結合する核酸類似体であってもよい。
【0082】
プローブは、修飾ヌクレオチド又は核酸類似体を含有していてもよい。修飾ヌクレオチドの例としては、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、シュードイソシトシン、2−チオウラシル及び2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)、及びN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の好適な核酸塩基の例としては、Buchardtら(米国特許第6357163号)の図2(A)及び2(B)に例示されている核酸塩基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。核酸類似体プローブは、例えば、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、又は核酸の任意の誘導体形態を含んでいてもよい。
【0083】
特定の実施態様では、プローブは、核酸、修飾核酸、又は核酸類似体の混合物を含み得る。別の実施態様では、プローブは、核酸セグメント、修飾核酸セグメント、又は核酸類似体セグメント(各セグメントは、検出可能な標識でそれぞれ標識化される)を含むことができる。
【0084】
プローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションを妨げない限り、リン酸ジエステル結合以外の結合によって結合させることができる。従って、オリゴヌクレオチドプローブは、ホスホジエステル結合ではなく、ペプチド結合により結合されている構成塩基を有していてもよい。プローブは特定の条件下で核酸に結合する。
【0085】
一部の実施態様では、プライマー又はプローブとして使用可能なオリゴヌクレオチドは、10〜100ヌクレオチド長、10〜90ヌクレオチド長、10〜70ヌクレオチド長、10〜50ヌクレオチド長、10〜40ヌクレオチド長、10〜30ヌクレオチド長、又は10〜20ヌクレオチド長であってもよい。
【0086】
IV.プライマーを用いる検出方法
一部の実施態様では、本発明は、増幅の標的として配列番号1、2、又は3のヌクレオチド配列の全部又は一部を用いる、炭疽菌の検出方法を提供する。ヌクレオチド配列の増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列ベース増幅(nucleic acid sequence based amplification)(NASBA;米国特許第5409818号)、リガーゼ連鎖反応(LCR;Wu,D.Y.ら、Genomics 4:560〜569(1989))、転写媒介性増幅(transcription mediated amplification)(TMA;Kwoh,D.Y.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173〜77(1989))、鎖置換増幅(SDA;Walkerら、Nucleic Acids Res.20:1691〜96(1992))、自立的配列複製(self−sustained sequence replication)(SSSR;Guatelli,J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874〜78(1990))、及びQベータレプリカーゼ系(Lizardi,P.M.ら、BioTechnology 6:1197〜1202(1988))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
DNA配列の増幅技術は、当技術分野で周知である。例えば、Saiki R.K.ら、Science 230:1350〜1354(1985);Mullisら.、米国特許第4683195号、及びMullisら、米国特許第4683202号を参照されたい。一実施形態では、2つのプライマーを試料から抽出したDNAと、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、バッファー、及び塩とともに混合し、典型的なPCR反応のサーモサイクラー装置に置く。
【0088】
試料としては、土壌試料、空気試料、水試料、宿主からの組織試料、及び宿主からの喀痰が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的な宿主としては、ヒト及び有蹄動物(ウシ及びヒツジなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる試料から核酸を抽出する方法は、当技術分野で周知である。慣用の方法には、タンパク分解酵素で試料を処理し、続いて、有機溶媒(例えばフェノール、クロロホルム)で抽出を行い、カオトロピック剤の存在下でシリカに結合させることが含まれる(Boomら、米国特許第5234809号)。血液検体と鼻腔用綿棒の取扱い方法は、例えば、Rantakokko−Jalava K.及びViljanen,M.K.,Clin.Microbiol.Infect.9:1051〜56(2003)に記載されている。土壌試料中の炭疽菌胞子からDNAを調製する具体的な方法は、Cheun H.I.ら、J.Appl.Microbiol.95:728〜33(2003)に記載されている。
【0089】
アンプリコンは、当業者に周知の種々の手段により検出することができる。一実施形態では、アンプリコンは、ゲル電気泳動法を行い、続いてDNA特異的染色で染色することにより検出することができる。かかる分析に好適なゲルとしては、アガロースゲル及びポリアクリルアミドゲルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。染色剤としては、エチジウムブロミド、SYBR(登録商標)ゴールド及びSYBR(登録商標)グリーン(Molecular Probes,Eugene,OR)、及び銀染色剤(Bassam B.J.ら、Anal.Biochem.196:80(1991))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様では、染色剤(例えばエチジウムブロミド)をゲル中に組み入れることができる。
【0090】
特定の実施態様では、本発明の炭疽菌検出アッセイは、特異性又は感度を高める成分を添加することにより改良することができる。かかる添加剤としては、ウシ血清アルブミン、ジメチルスルホキシド、ベタイン、及び塩化テトラメチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様では、取扱いをより容易にする成分を添加することができる。
【0091】
本発明の一部の実施態様では、試料中の目的の核酸の存在は、標識プライマーを組み入れた後、標識増幅産物を測定することにより検出することができる。一実施形態では、ECL標識は、1つ又は両方のPCRプライマーに組み入れることができる。例えば、オリゴデオキシヌクレオチドプライマーは、目的の炭疽菌核酸配列に十分に相補的であるように調製することができる。プライマーは、合成中に導入されるアミノ基で標識化することができるか、直接合成中に標識NHS及び標識ホスホルアミダイト(この場合、標識はそれぞれECL部分である)を用いて標識化することができる。一部の実施態様では、化学発光反応によってジゴキシゲニン標識を検出する。
【0092】
別の実施態様では、検出可能な標識は、合成中に増幅DNAへ組み入れることができる。別の実施態様では、検出可能な標識は、オリゴヌクレオチドプライマーの1つ又は両方に結合させることができる。別の実施態様では、検出可能な標識は、新しく合成されたDNAに特異的に結合され得る。核酸を分析し、染色し、標識化する具体的な技術は当技術分野で周知であり、例えば、Biren,B,Green,E.D.,Klapholz,S.,Myers,R.M.、及びRoskams,J.,1997,Analyzing DNA,Cold Spring Harbor Press、並びに、Kricka,L,(編者)、1995,Nonisotopic Probing,Blotting,and Sequencing,Academic Pressで確認することができる。
【0093】
特定の実施態様では、試料中の目的の炭疽菌核酸は、
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸、少なくとも1つの第1のプライマー、及び少なくとも1つの第2のプライマーを含む組成物を形成すること;
(c)ステップ(b)のプライマーを増幅することができる任意の核酸を増幅すること;及び
(d)ステップ(c)の増幅産物を検出することにより炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一のヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプライマーが炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合し、並びに/又は、(ii)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む方法により検出することができる。
【0094】
特定の実施態様では、本方法は、アンプリコンを変性させるのに十分な温度でアンプリコンをインキュベートすること、及びアンプリコンを検出する前に、変性させたアンプリコンを、磁化可能なビーズ上に固定化することができるオリゴヌクレオチド又は固定化されているオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることをさらに含んでいてもよい。本明細書では、「磁化可能な」という用語は、物質の透磁率が自由空間のものとは異なっている、物質の特性を意味する。この用語には、常磁性及び超常磁性が含まれる。
【0095】
特定の実施態様では、核酸はポリメラーゼ連鎖反応を用いて増幅させることができる。
【0096】
特定の実施態様では、配列番号1、2、3、又はそれらの相補配列に存在する配列を用いて炭疽菌核酸を増幅させることができる。一実施形態では、炭疽菌配列は、さらなるクローニング用のベクターへ、又は配列番号1、2、3の全部若しくは一部によってコードされているタンパク質の発現用ベクター中にクローニングするために増幅させることができる。クローニング法は、当技術分野で周知である。発現ベクターは、発現させようとする配列に作動可能に連結されているプロモーターと複製起点を含む。一実施形態では、発現ベクターは、発現をさらに調節するために、エンハンサーなどの他の遺伝子調節エレメントをさらに含む。ベクターとしては、プラスミド、YACS及び人工染色体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
一実施形態では、本発明は、炭疽菌核酸を増幅する方法を提供し、この方法は、
(a)炭疽菌核酸の試料を提供すること;
(b)核酸及びプライマー対を含む組成物を形成すること;
(c)プライマー対の第1のプライマーとプライマー対の第2のプライマーの間のヌクレオチド配列を増幅して、アンプリコンを形成させること;及び
(d)アンプリコンを検出すること
を含み、
(i)プライマー対の少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプライマーが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合し、並びに/又は、(ii)プライマー対の少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む。
【0098】
V.プローブを利用した検出方法
本発明の炭疽菌特異的配列は、増幅を利用した方法の他に、別の技術による試料中の炭疽菌核酸の存在の検出において、プローブとして使用することができる。例えば、核酸試料中の成分は、ゲル上で分離し、膜に移し、次いで、プローブを用いたハイブリダイゼーションにより検出することができる。特定の実施態様では、配列番号1、2、若しくは3の配列の全部若しくは一部、又は配列番号1、2、若しくは3の配列の全部若しくは一部の相補配列は、核酸試料中の炭疽菌特異的配列の存在を検出するプローブとして用いることができる。一部の実施態様では、プローブは少なくとも12個以上の塩基を含み得る。特定の実施態様では、プローブは検出可能な標識を含んでいてもよい。プローブ分子は、プローブ分子が試料中の炭疽菌核酸に特異的に結合する条件下で、試料から抽出した核酸と接触させることができ、それによって、炭疽菌核酸を検出することができる。
【0099】
各種の実施態様では、プローブを利用したアッセイはサザンブロット法である。特定の実施態様では、プローブを利用したアッセイはノーザンブロット法である。プローブを利用したアッセイは、当業者に周知である。例えば、Southern,E.M.,J.Mol.Biol.98:503〜17(1975);Smith,G.E.及びSummers,M.D.,Anal.Biochem.109:123〜129(1980)を参照されたい。
【0100】
適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubelら(1995),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons、第2節、第4節及び第6節に例示されている周知のパラメーターに基づいて、当業者により選択され得る。さらに、ストリンジェンシー条件は、Sambrookら(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Press、第7章、第9章及び第11章に記載されており、例えば、100mM〜1MのNaCl、及び40℃〜65℃である。最適のハイブリダイゼーション条件は、プローブの長さ及び組成によって変わることは、当然、当業者には理解されよう。
【0101】
別の実施態様では、プローブは固相支持体に結合させることができる。具体的な固相支持体としては、ガラスビーズ、シリカビーズ、磁化可能なビーズ、マルチウェルプレート及びディップスティックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別の実施態様では、プローブは、固相支持体への結合を容易にするため、化学的に活性な基をさらに含んでいてもよい。化学的に活性な基は、オリゴヌクレオチドがそれを介して支持体に結合され得る部分である。特定の実施態様では、化学的に活性な基はアミノ基であってもよい。
【0102】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1、2、若しくは3のヌクレオチド配列、又は配列番号1、2、若しくは3に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含み、オリゴヌクレオチドプローブは、炭疽菌に特異的に結合する。
【0103】
特定の実施態様では、試料中の目的の炭疽菌核酸は、
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸を、ハイブリダイゼーションに好適な条件下で少なくとも1つのプローブと接触させること;及び
(c)ステップ(b)のハイブリダイゼーション産物に基づいて、試料中の炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3、又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプローブが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合し、並びに/又は(ii)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3、又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む方法によって検出することができる。
【0104】
特定の実施態様では、プローブは固相支持体に結合される。固相支持体は、例えば、ビーズ又はマイクロタイタープレートであってもよい。
【0105】
各種の実施態様では、プローブは、ハイブリダイゼーション後に固相支持体に結合させることができる。例えば、プローブは、ビオチン及び/又はジゴキシゲニンを含有していてもよく、また、アビジン、ストレプトアビジン又は抗ジゴキシゲニン抗体を含む固相支持体上に固定化されていてもよい。
【0106】
各種の実施態様では、1種又は複数の相補オリゴヌクレオチドは、合成中に導入されるアミノ基を介して少なくとも1つの結合部分に結合される。
【0107】
VI.キット
別の実施態様では、本発明の1つ又は複数のプローブを含むキットは、炭疽菌を検出する本発明の方法の実施に用いることができる。別の実施態様では、本発明の1つ又は複数のプライマーを含むキットは、炭疽菌を検出する本発明の方法の実施に用いることができる。さらに別の実施態様では、キットは、本発明のプローブ及びプライマーの両方を含んでいてもよい。
【0108】
一実施形態では、キットは、プライマー対が、配列番号1、2、若しくは3の少なくとも12個の連続するヌクレオチド、又は、配列番号1、2、若しくは3に相補的な少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み、且つ、プライマー対が、炭疽菌DNAを特異的に増幅するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌からのDNAは増幅しない、少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
【0109】
別の実施態様では、キットは、配列番号1、2、若しくは3のヌクレオチド配列の一部又は配列番号1、2、若しくは3に相補的なヌクレオチド配列の一部を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを含み、そのオリゴヌクレオチドプローブは炭疽菌に特異的に結合する。
【0110】
VII.結合パートナー
特定の実施態様では、本発明は、炭疽菌タンパク質に特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス、又は枯草菌タンパク質には結合しない、結合パートナー、及び結合パートナーの製造方法を提供する。結合パートナーの例としては、相補的ポリヌクレオチド(例えば、相互にハイブリダイズする2つのDNA配列;相互にハイブリダイズする2つのRNA配列;相互にハイブリダイズするDNA及びRNA配列)、抗体及び抗原、受容体及びリガンド(例えば、TNF及びTNFr−I、CD142及びVIIa因子、B7−2及びCD28、HIV−1及びCD4、ATR/TEM8又はCMG及び炭疸毒素の保護抗原部分)、酵素及び基質、或いは分子及び結合タンパク質(例えば、ビタミンB12と内因子、葉酸と葉酸結合タンパク質)が挙げられる。
【0111】
特定の実施態様では、炭疽菌特異的結合パートナーは、炭疽菌感染によって起こる病気の治療又は予防用の医薬組成物の一部であり得る。特定の実施態様では、医薬用担体は、製薬上許容され得る担体をさらに含む。かかる担体の例としては、殺菌済みの液体、例えば、水、油類(石油系油、動物油、植物油、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。食塩水、水性デキストロース、及びグリセリン溶液もまた液体担体として用いることができる。さらなる担体の例としては、リポソーム、水中油型エマルション、及び/又は、アルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウム)をはじめとする金属塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる好適な医薬用担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版)に記載されている。
【0112】
特定の実施態様では、結合パートナーは、組換えDNA手法により産生される。特定の実施態様では、結合パートナーは、完全抗体の酵素的切断又は化学的切断によって産生される。特定の実施態様では、結合パートナーは、組換えDNA手法によって産生される。
【0113】
一部の実施態様では、結合パートナーは抗体である。タンパク質抗原に対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を産生する技術は、当技術分野で周知である。逆ワクチン学の分野では、病原菌ゲノムについて、その配列を決定し、分析を行って、タンパク質をコードしている潜在的なオープンリーディングフレームを探索することができる。一般には、Capecchiら、Curr.Issues Mol.Biol.6:17〜28(2004)を参照されたい。このコンピューターでの(in silico)分析中に、これらのタンパク質は、別の公知のタンパク質との相同性の保存領域について分析され、各タンパク質が感染及び複製で果たし得る有望な役割を決定することができる。ゲノム研究所(The Institute for Genomic Research(TIGR))では、炭疽菌ゲノム全体の配列を決定し、ゲノム中で同定される推定上の各タンパク質について有望な機能を特定することにより、これらの最初の一部のステップが達成されている。この細菌遺伝子全体又はその一部は、大腸菌などの非病原菌での発現用の発現ベクター中にクローニングすることができる。タンパク質が当技術分野の標準技術により発現され、精製されると、ウサギ又はマウスなどの宿主からポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を産生する免疫原として使用することができる。さらに、特定遺伝子産物に対する抗体の調製に、ファージディスプレイ法などのインビトロセレクション法を使用することができる。次いで、得られた抗体が細菌上の表面抗原を認識するか否かを決定するため、抗体をELISAなどのイムノアッセイによりスクリーニングすることができる。得られた抗体が中和するか否かを評価するには、細菌感染用又は病因用の動物モデルを用いることができる。
【0114】
一実施形態では、少なくとも1つの炭疽菌タンパク質に特異的に結合する抗体を産生する方法は、
(a)配列番号1、2及び3の少なくとも1つの核酸配列の全部又は一部を含んでいる発現ベクターを宿主細胞に導入し、炭疽菌タンパク質を発現させること;
(b)炭疽菌タンパク質を単離すること;及び
(c)動物宿主を単離した炭疽菌タンパク質を含む組成物で免疫化し、抗体を産生させること
を含む。
【0115】
特定の実施態様では、宿主細胞は細菌などの原核細胞であるが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様では、宿主細胞は古細菌細胞である。特定の実施態様では、宿主細胞は真核細胞である。特定の実施態様では、発現ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、コスミド、複製欠損型アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はレトロウイルスである。特定の実施態様では、動物宿主はマウス又はウサギである。
【0116】
以下の実施例は、単に例示目的で提供するものであり、本発明の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0117】
(実施例1)
炭疽菌特異的ゲノム配列の同定
配列データベースの「Genbank nr」を用いて、炭疽菌の毒性株(Ames)の配列を公知のすべての細菌DNA配列と比較するために、診断アッセイに好適な標的となるであろう炭疽菌DNAのセグメントを、BLAST相同性検索プログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTで利用可能)を用いて確認した。Genbank nrデータベースのBLAST探索に炭疽菌ヌクレオチド配列をランダムに書き入れた。別の細菌の遺伝子配列に対してほとんど同一性を有しておらず、従って炭疽菌の検出において良好な標的である、炭疽菌の核酸配列が同定された。炭疽菌以外の配列に対するビットスコアは100未満であった。同定した炭疽菌配列に対するビットスコアは、配列番号1、2及び3に関して、それぞれ、4948、2658及び2529であった。
【0118】
配列番号1、2及び3に記載したこれらの配列は、Genbankデータベース中の炭疽菌Ames株の完全DNA配列由来のセグメントであった(アクセッション番号AE016879)。
【0119】
(実施例2)
PCRを用いた炭疽菌特異的核酸配列の検出
同定した配列の特異性をPCRアッセイで証明した。簡単に説明すると、配列番号1又は配列番号3の一部を効率的に増幅できるように、PCRプライマーオリゴヌクレオチドを設計した。配列番号1のヌクレオチド配列の一部の増幅には、以下のプライマーを用いた:
【化2】


このアンプリコンの想定される大きさは154bpであった(図1、パネルB)。配列番号3のヌクレオチド配列の一部の増幅には、以下のプライマーを用いた:
【化3】


このアンプリコンの想定される大きさは、248塩基対であった(図1、パネルA)。これらのプライマーは、ポジティブコントロールとして、炭疽菌DNAとのPCR反応で用いた。また、別の細菌、例えば、大腸菌(E.coli)、枯草菌、バチルス・ハロデュランス、又は近縁種であるセレウス菌及びバチルス・チューリンゲンシス由来のゲノムDNA試料をネガティブコントロールとして用いた。
【0120】
各反応は、10mMのトリス−HCl(pH8.3)、50mMのKCl、2mMのMgCl、0.2mMのdNTP、0.2μMの各プライマー、1単位のAmpliTaq Gold(Applied Biosystems)、及び200pgのDNA鋳型を含有する25μl容量中で実施した。95℃で7分、続いて95℃で30秒、45℃で30秒、及び72℃で30秒の35サイクル、最終の伸長インキュベーションとして72℃で2分のインキュベーションを行うように設定されたサーマルサイクラー中で試料を増幅させた。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動によって可視化し、続いてエチジウムブロミドの存在下で染色した。
【0121】
図4から明らかなように、アガロースゲルで、炭疽菌レーンに想定した大きさの鮮やかに染色されたPCR産物が認められたが、他の細菌DNA試料のレーンにはエチジウムブロミド染色のPCR産物は認められなかった。マーカーレーンにおける大きさの基準は、上から下に、2000、1200、800、400、200及び100塩基対の長さであった。
【0122】
(実施例2)
PCRとECL検出の組合せを用いた炭疽菌特異的核酸配列の検出
本実施例は、PCRプライマーの1つを[Ru(bpy)2+で標識することを含む、炭疽菌を検出するためのECL標識プライマーの使用について記載する。配列番号4及び5に記載したプライマーを用いた。配列番号5のプライマーは、Gudibandeらの米国特許第5686244号の記載のようにして、[Ru(bpy)2+ホスホルアミダイトを用いて、合成中にオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端に[Ru(bpy)2+を加えることにより標識化した。炭疽菌、大腸菌、枯草菌、又は、セレウス菌から単離したDNAについて、上述したPCRプロトコルを用いてアンプリコンを作製した。
【0123】
PCR反応で上記プライマーを用いることにより、得られたアンプリコンに相補的であるオリゴヌクレオチドを調製した。この捕捉オリゴヌクレオチドは、PCRプライマー間の20塩基領域に相補的となるように合成した。この捕捉オリゴヌクレオチド配列は、5’−アミンAATCAGCCAATCAACATTAA(配列番号8)であった。この捕捉オリゴヌクレオチドは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の試薬を用いてメーカーの取扱説明書(Dynal Biotech,Cat.No.143.05)に従って、Dynalカルボキシル化M−270超常磁性ビーズ上に、ビーズ上のカルボキシル基にオリゴヌクレオチドアミノ基が結合するように固定化した。
【0124】
アンプリコンを固定化した捕捉オリゴヌクレオチドと混合し、ハイブリダイズさせた。詳しくは、25μlのPCR産物を、15μgのオリゴヌクレオチドビーズを含有する、600mMのNaCl、20mMのトリスHCl(pH8.0)、10mMのEDTA、0.2%のTWEEN(商標)20の等量(もう1つの25μl)と混合した。この懸濁液を95℃で5分間、続いて45℃で30分間インキュベートした。次いで、超常磁性ビーズ担持増幅産物と相補的オリゴヌクレオチドの複合体を、自動リーダー(M1R、BioVeris Corporation)で結合されている[Ru(bpy)2+について分析した。
【0125】
図5に示される通り、炭疽菌DNAだけが、[Ru(bpy)2+標識プライマーからシグナル(DNAインプットの3つの対数に対する半対数グラフで直線に丁度重なっている)を生成した。大腸菌、枯草菌、又は、セレウス菌のDNAでは同様の結果は得られなかった。
【0126】
(実施例3)
PCR特異性の普遍性に関する証明
炭疽菌特異性に関する配列番号1及び2のヌクレオチド配列全体にわたるさらなる部位を試験するため、これらの2つの配列に基づいて、以下の1対のPCRプライマーを設計した:
【化4】

【0127】
炭疽菌DNA(Sterne株)によるPCR反応で、上記の各プライマー対をポジティブコントロールとして用いた。またネガティブコントロールとして、下記の表1に掲げた43種類の他の細菌由来のゲノムDNA試料を用いた。各反応は、10mMのトリス−HCl(pH8.3)、50mMのKCl、2mMのMgCl、0.2mMのdNTP、0.2μMの各プライマー、1単位のAmpliTaq Gold(商標)(Applied Biosystems)、及び1ngのDNA鋳型を含有する25μl容量中で実施した。試料は、95℃で7分、続いて95℃で30秒、45℃で30秒、及び72℃で30秒の35サイクル、最終の伸長インキュベーション72℃で2分、PCR反応物をインキュベートするように設定されたサーマルサイクラー中で増幅させた。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動によって可視化し、続いてエチジウムブロミドの存在下で染色した。各組のプライマーにおいて、表1に記載したすべての株由来のDNAは陰性であり、炭疽菌DNAは陽性であった。
【表1−1】


【表1−2】

【0128】
(実施例4)
炭疽菌特異的タンパク質に結合する抗体の産生及びワクチンの産生
炭疽菌Ames株のゲノムの配列を決定した。Ames遺伝子配列は、例えば、Genbankアクセッション番号NC003997を利用することができる。TIGRデータベースによれば、配列番号1、2及び3に記載したヌクレオチド配列は、推定上の炭疽菌タンパク質をコードしているヌクレオチド配列の一部である。具体的には、配列番号1のヌクレオチド配列は、プロファージLambdaBa02、FtsK/SpoIIIEファミリータンパク質又は保存されたドメインタンパク質をコードし得る遺伝子で確認される。配列番号2のヌクレオチド配列は、推定上のランチビオティックス生合成センサーヒスチジンキナーゼをコードする遺伝子で確認される。配列番号3のヌクレオチド配列は、推定上のABCトランスポーター、ATP結合タンパク質をコードする遺伝子で確認される。
【0129】
配列番号1、2、又は3の核酸配列の全部又は一部は、ヒスチジン標識タンパク質としてそのコードされているタンパク質を発現するための発現ベクターに入れられる。例えば、pET−21b+ベクター(Novogen)又はPGEX−KGベクター(Guan及びDixon,Anal.Biochem.192:262(1991))を用いて、ヒスチジン標識タンパク質又はGST標識タンパク質としてそのコードされているタンパク質を発現させることができる。次いで得られた融合タンパク質を、ヒスチジン標識タンパク質についてはNi2+結合キレーティングセファロース(商標)(Pharmacia)、又はGST標識タンパク質についてはグルタチオンセファロース(商標)(Pharmacia)を用いたクロマトグラフィーにより精製する。得られた単離タンパク質の試料は、純度について試験するためSDS−PAGEゲルで分析した後、可溶化し、宿主動物を免疫するためフロイントアジュバントと混合する。
【0130】
次いで、マウス又はウサギを免疫化し、続いて1種又は複数の追加免疫投与を行い、試験用抗体を産生させる。例えば、マウスに、最初、精製タンパク質20μgを投与し、続いて、初回接種から21日及び35日後に追加免疫注射を行う。次いで、免疫したマウスから取得した血清試料から抗体を回収し、表面結合を検出するELISAで、又は中和活性を測定する炭疽菌動物モデルで分析する。例えば、炭疽菌細菌を免疫動物由来の血清で事前インキュベートし、続いて、事前インキュベートした細菌を感受性宿主に注射することができる。次いで、事前処理した細菌を注射した宿主の生存を、未処理の細菌を注射した宿主の生存と比較する。事前処理した細菌を注射した宿主の高生存率は、ポリクローナル抗体に中和活性があることを証明している。モノクローナル抗体及びそれらの遺伝子操作した対応物(例えば、キメラ抗体及びヒト化抗体など)において、同様のタイプのELISA及び中和アッセイを実施する。
【0131】
本明細書は、明細書中に引用した文献の教示に照らすと、ほぼ完全に理解される。本明細書中の実施態様は、本発明の実施態様の例を提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者は、他の多数の実施態様が本発明に包含されることを容易に理解するであろう。本開示で引用したすべての刊行物及び特許は、その全体を本明細書に援用するものとする。引用により援用されている材料が本明細書に相反する、又は矛盾する限りは、本明細書はかかるすべての材料に優先する。本明細書中のすべての文献の引用は、かかる文献が本発明に対する先行技術であるということを認めるものではない。
【0132】
特に明記しない限り、本明細書(特許請求の範囲を含む)で用いている成分の量、反応条件等の記載を表すすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語により修飾されているものと理解されたい。従って、逆に特に明記しない限りは、数値パラメーターは近似であり、本発明により得ようと求めている所望の特性に応じて変わり得る。少なくとも、特許請求の範囲の等価物の原則の適用を限定することを意図するものではなく、各数値パラメーターは、有効数字及び通常の四捨五入を考慮して解釈すべきである。
【0133】
特に明記しない限り、一連の要素の前の「少なくとも」という用語は、一連のすべての要素を意味するものと理解されたい。当業者は、いつもと同じ程度の実験操作を行うことにより、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に関する多くの等価物を理解するか、確認することができるであろう。かかる等価物は、添付の特許請求の範囲により包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】5’から3’方向の配列番号1のDNA配列を提供する図である。
【図2】5’から3’方向の配列番号2のDNA配列を提供する図である。
【図3】5’から3’方向の配列番号3のDNA配列を提供する図である。
【図4】炭疽菌ゲノムの一部を増幅することによって産生されたPCR産物の臭化エチジウム染色アガロースゲルを示す図である。炭疽菌から単離したDNAをPCR反応のポジティブコントロールとして用い、一方、大腸菌、枯草菌、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・ハロデュランス由来のDNAをPCR反応のネガティブコントロールとして用いた。アガロースゲルでは、炭疽菌のレーンで鮮やかに染色されたPCR産物が認められたが、他の細菌DNA試料のレーンではPCR産物は認められない。図の左側パネル(パネルA)に示した反応で用いたプライマー(配列番号6及び7)は、配列番号3の一部を増幅した。図の右側パネル(パネルB)に示した反応で用いたプライマー(配列番号4及び5)は、配列番号1の一部を増幅した。
【図5】PCRプライマーの1つを電気化学発光性ルテニウムキレートのルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)で標識した、PCR実験をまとめたグラフである。標識PCR産物は超常磁性ビーズに捕捉され、自動リーダー(M1R、BioVeris Corporation)で分析された。炭疽菌DNAだけが[Ru(bpy)2+標識BA4070プライマーからのシグナルを確かに発生し、これは、DNAインプットの3つの対数に対する半対数グラフにおいて直線状である。大腸菌、枯草菌又は、セレウス菌からのDNAを用いるネガティブコントロールは、シグナルを示さなかった。またこのグラフは、炭疽菌のデータポイントの中で最小二乗適合を提供する。
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭疽菌(Bacillus anthracis)を検出する方法であって、
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸、少なくとも1つの第1のプライマー、及び少なくとも1つの第2のプライマーを含む組成物を形成すること;
(c)ステップ(b)のプライマーが増幅することができる任意の核酸を増幅すること;及び
(d)ステップ(c)の増幅産物を検出することにより炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプライマーが、炭疽菌のDNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌(B.cereus)、バチルス・チューリンゲンシス(B.thuringiensis)及び枯草菌(B.subtilis)のDNA又はRNAのいずれにも結合せず;並びに/又は、(ii)少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む方法。
【請求項2】
各プライマーが、次の6つの配列:配列番号1、2、3及びそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料が炭疽菌非特異的DNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
試料が宿主の組織、宿主の喀痰、土壌、水及び空気から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
宿主がヒト又は有蹄動物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有蹄動物がウシ又はヒツジである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
試料から核酸を抽出することをさらに含み、前記核酸がDNA又はRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
核酸をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号4のヌクレオチド配列又は配列番号4の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号5のヌクレオチド配列又は配列番号5の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号6のヌクレオチド配列又は配列番号6の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号7のヌクレオチド配列又は配列番号7の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号9のヌクレオチド配列又は配列番号9の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号10のヌクレオチド配列又は配列番号10の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号11のヌクレオチド配列又は配列番号11の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号12のヌクレオチド配列又は配列番号12の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号13のヌクレオチド配列又は配列番号13の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号14のヌクレオチド配列又は配列番号14の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号15のヌクレオチド配列又は配列番号15の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号16のヌクレオチド配列又は配列番号16の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプライマーの少なくとも1つが配列番号17のヌクレオチド配列又は配列番号17の相補配列を有し、前記第2のプライマーの少なくとも1つが配列番号18のヌクレオチド配列又は配列番号18の相補配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの第1のプライマー又は少なくとも1つの第2のプライマーがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの第1のプライマー又は第2のプライマーが検出可能な標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ECL部分が金属を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(c)の増幅産物を、その増幅産物を変性させるのに十分な温度でインキュベートすること、及びアンプリコンを検出する前に、変性させた増幅産物を、磁化可能なビーズ上に固定化することができるオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(c)の増幅産物が、配列番号1、2、3の配列又はそれらの相補配列の全部又は一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(c)の増幅産物が、配列番号1、2、3の配列又はそれらの相補配列の全部又は一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
炭疽菌を検出する方法であって、
(a)炭疽菌を含んでいることが疑われる試料を提供すること;
(b)試料からの核酸を、ハイブリダイゼーションに好適な条件下で少なくとも1つのプローブと接触させること;及び
(c)ステップ(b)のハイブリダイゼーション産物に基づいて試料中の炭疽菌を検出すること
を含み、
(i)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプローブが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAのいずれにも結合せず;並びに/又は(ii)少なくとも1つのプローブが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、方法。
【請求項26】
プローブを高ストリンジェンシー条件下で炭疽菌核酸とハイブリダイズすることができる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
試料が炭疽菌非特異的DNAを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
試料が宿主の組織、宿主の喀痰、土壌、水及び空気から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
宿主がヒト又は有蹄動物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
有蹄動物がウシ又はヒツジである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
試料から核酸を抽出することをさらに含み、前記核酸がDNA又はRNAである、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
プローブが固相支持体に結合される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
ハイブリダイゼーション後にプローブを固相支持体に結合させることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
プローブが配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18の配列、又は配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18に相補的な配列を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つのプローブがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つのプローブが検出可能な標識を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ECL部分が金属を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
サザンブロット法である、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
ノーザンブロット法である、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
(i)配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかのヌクレオチド配列の一部と実質的に同一であり(ここで、ポリヌクレオチドは、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAのいずれにも結合しない);並びに/又は(ii)配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの少なくとも12個の連続するヌクレオチドに実質的に同一であるセクションを含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項44】
炭疽菌染色体DNAから精製される、請求項43に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項45】
組換え法により調製される、請求項43に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項46】
組換えポリヌクレオチドがプラスミドを形成する、請求項45に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項47】
セクションが、配列番号1、2、3、又はそれらの相補配列のいずれかの少なくとも12個の連続するヌクレオチドと実質的に同一である、請求項43に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項48】
増幅に基づいた炭疽菌の検出で使用するための1対のオリゴヌクレオチドプライマーであって、各プライマーが、次の6つの配列:配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む、1対のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項49】
第1のプライマーが配列番号4のヌクレオチド配列又は配列番号4のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号5のヌクレオチド配列又は配列番号5のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項50】
第1のプライマーが配列番号6のヌクレオチド配列又は配列番号6のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号7のヌクレオチド配列又は配列番号7のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項51】
第1のプライマーが配列番号9のヌクレオチド配列又は配列番号9のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号10のヌクレオチド配列又は配列番号10のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項52】
第1のプライマーが配列番号11のヌクレオチド配列又は配列番号11のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号12のヌクレオチド配列又は配列番号12のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項53】
第1のプライマーが配列番号13のヌクレオチド配列又は配列番号13のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号14のヌクレオチド配列又は配列番号14のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項54】
第1のプライマーが配列番号15のヌクレオチド配列又は配列番号15のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号16のヌクレオチド配列又は配列番号16のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項55】
第1のプライマーが配列番号17のヌクレオチド配列又は配列番号17のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号18のヌクレオチド配列又は配列番号18のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項56】
少なくとも1つのプライマーが検出可能な標識をさらに含む、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項57】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項56に記載のプライマー対。
【請求項58】
ECL部分が金属を含む、請求項57に記載のプライマー対。
【請求項59】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項58に記載のプライマー対。
【請求項60】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項57に記載のプライマー対。
【請求項61】
少なくとも1つのプライマーがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項48に記載のプライマー対。
【請求項62】
ハイブリダイゼーションに基づいた炭疽菌の検出で使用するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、プローブが、次の6つの配列:配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み、プローブが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAには結合しない、オリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項63】
プローブが固相支持体に結合される、請求項62に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項64】
検出可能な標識をさらに含む、請求項62に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項65】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項64に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項66】
ECL部分が金属を含む、請求項65に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項67】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項66に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項68】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項65に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項69】
プローブがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項62に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項70】
化学的に活性な基をさらに含む、請求項62に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項71】
化学的に活性な基がアミノ基である、請求項70に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項72】
プローブが配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18の配列、又は配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18に相補的な配列を有する、請求項62に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項73】
炭疽菌を検出するためのキットであって、少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含み、各プライマーが、次の6つの配列:配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み、少なくとも1つのプライマーが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAには結合しないキット。
【請求項74】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号4及び配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号4及び配列番号5のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項75】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号6及び配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号6及び配列番号7のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項76】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号9及び配列番号10のヌクレオチド配列、又は配列番号9及び配列番号10のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項77】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号11及び配列番号12のヌクレオチド配列、又は配列番号11及び配列番号12のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項78】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号13及び配列番号14のヌクレオチド配列、又は配列番号13及び配列番号14のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項79】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号15及び配列番号16のヌクレオチド配列、又は配列番号15及び配列番号16のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項80】
少なくとも1つのプライマー対が、配列番号17及び配列番号18のヌクレオチド配列、又は配列番号17及び配列番号18のヌクレオチド配列に相補的な配列を有する、請求項73に記載のキット。
【請求項81】
少なくとも1つのプライマーが検出可能な標識を含む、請求項73に記載のキット。
【請求項82】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項81に記載のキット。
【請求項83】
ECL部分が金属を含む、請求項82に記載のキット。
【請求項84】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項82に記載のプライマー対。
【請求項86】
少なくとも1つのプライマーがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項73に記載のキット。
【請求項87】
炭疽菌を検出するためのキットであって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを含み、プローブが、次の6つの配列:配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含み、且つ、プローブが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAには結合しないキット。
【請求項88】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが固相支持体に結合される、請求項87に記載のキット。
【請求項89】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが固相支持体に結合され得る、請求項87に記載のキット。
【請求項90】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが検出可能な標識をさらに含む、請求項87に記載のキット。
【請求項91】
検出可能な標識が、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光部分又はECL部分である、請求項90に記載のキット。
【請求項92】
ECL部分が金属を含む、請求項91に記載のキット。
【請求項93】
金属がルテニウム、レニウム又はオスミウムである、請求項92に記載のキット。
【請求項94】
ECL部分が、ルテニウム(II)トリス−ビピリジル([Ru(bpy)2+)又は[Ru(スルホ−bpy)bpy]2+である、請求項91に記載のキット。
【請求項95】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが化学的に活性な基をさらに含む、請求項87に記載のキット。
【請求項96】
化学的に活性な基がアミノ基である、請求項95に記載のキット。
【請求項97】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18の配列、又は配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17若しくは18に相補的な配列を有する、請求項87に記載のキット。
【請求項98】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブがビオチン又はジゴキシゲニンを含む、請求項87に記載のキット。
【請求項99】
少なくとも1つの炭疽菌タンパク質に特異的に結合する抗体を産生する方法であって、
(a)配列番号1、2又は3の連続する一部によりコードされているタンパク質の少なくとも12個のアミノ酸をコードしている発現ベクターを宿主細胞に導入して、炭疽菌タンパク質を発現させること;
(b)炭疽菌タンパク質を単離すること;及び
(c)抗体を産生するように、動物宿主を、単離した炭疽菌タンパク質を含む組成物で免疫すること
を含む方法。
【請求項100】
免疫された動物宿主から炭疽菌特異的抗体を単離することをさらに含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
発現ベクターが、プラスミド又はバクテリオファージ、コスミド、複製欠損型アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はレトロウイルスである、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
宿主細胞が真核細胞である、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
宿主細胞が原核細胞である、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
細菌宿主が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
動物宿主がウサギ又はマウスである、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
請求項99の方法により調製される抗体。
【請求項107】
炭疽菌核酸を増幅する方法であって、
(a)炭疽菌核酸の試料を提供すること;
(b)核酸及びプライマー対を含む組成物を形成することと;
(c)プライマー対の第1のプライマーとプライマー対の第2のプライマーの間のヌクレオチド配列を増幅して、アンプリコンを形成すること;及び
(d)場合によってアンプリコンを検出すること
を含み、
(i)プライマー対の少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列のいずれかの一部と実質的に同一であるヌクレオチド断片を含み、その少なくとも1つのプライマーが、炭疽菌DNA又はRNAに特異的に結合するが、セレウス菌、バチルス・チューリンゲンシス及び枯草菌のDNA又はRNAのいずれにも結合せず、並びに/又は、(ii)プライマー対の少なくとも1つのプライマーが、配列番号1、2、3又はそれらの相補配列の一部と実質的に同一である、少なくとも12個の連続するヌクレオチドを含む方法。
【請求項108】
核酸がRNA又はDNAである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
第1のプライマー又は第2のプライマーの少なくとも1つが検出可能な標識を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
アンプリコンが、配列番号1、2、3の配列又はそれらの相補配列の全部又は一部である、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
第1のプライマーが配列番号4のヌクレオチド配列又は配列番号4のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号5のヌクレオチド配列又は配列番号5のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
第1のプライマーが配列番号6のヌクレオチド配列又は配列番号6のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号7のヌクレオチド配列又は配列番号7のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
第1のプライマーが配列番号9のヌクレオチド配列又は配列番号9のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号10のヌクレオチド配列又は配列番号10のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
第1のプライマーが配列番号11のヌクレオチド配列又は配列番号11のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号12のヌクレオチド配列又は配列番号12のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
第1のプライマーが配列番号13のヌクレオチド配列又は配列番号13のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号14のヌクレオチド配列又は配列番号14のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
第1のプライマーが配列番号15のヌクレオチド配列又は配列番号15のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号16のヌクレオチド配列又は配列番号16のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
第1のプライマーが配列番号17のヌクレオチド配列又は配列番号17のヌクレオチド配列の相補配列を有し、第2のプライマーが配列番号18のヌクレオチド配列又は配列番号18のヌクレオチド配列の相補配列を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
炭疽菌タンパク質を発現させる方法であって、
(a)配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列から選択される少なくとも1つの配列の全部又は一部を発現ベクターに導入すること;及び
(b)炭疽菌タンパク質を発現させること
を含む方法。
【請求項119】
炭疽菌タンパク質が融合タンパク質である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
炭疽菌タンパク質に特異的に結合するが、セレウス菌タンパク質、バチルス・チューリンゲンシスタンパク質、及び枯草菌タンパク質には結合しない結合パートナーであって、前記タンパク質が、配列番号1、2、若しくは3、又は配列番号1、2、若しくは3の相補配列を含む遺伝子によりコードされている結合パートナー。
【請求項121】
抗体又はそのフラグメントである、請求項120に記載の結合パートナー。
【請求項122】
請求項120の結合パートナーと許容され得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項123】
次の6つの配列:配列番号1、2、3、及びそれらの相補配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列の一部と実質的に同一であるDNAのセクションを含み炭疽菌以外である細胞。
【請求項124】
大腸菌である、請求項123に記載の細胞。
【請求項125】
真核細胞である、請求項123に記載の細胞。
【請求項126】
タンパク質を発現させる方法であって、配列番号1、2、又は3によりコードされているタンパク質の少なくとも12個のアミノ酸をコードしている発現ベクターを宿主細胞に導入し、炭疽菌タンパク質を発現させることを含む方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522588(P2008−522588A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544585(P2007−544585)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/043889
【国際公開番号】WO2007/044031
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505000103)バイオヴェリス コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】