説明

炭素を主成分とし、高い内部表面積を有するフォーム、及びその製造方法

本発明は、少なくとも70質量%の炭素を含み、そして20μmを超える平均気泡サイズ、この気泡サイズに対する35〜99.5%の空隙率及び90%を超える貫通気泡含有量、50m2/gを超える内部表面積を有し、さらに断面が凹状側部を有する三角形である壁体を有し、そして気泡骨格材料内に、0.2〜50nmの寸法及び0.01〜0.8cm3/gの容量を有する細孔を有するフォーム、及びその使用に関する。さらに本発明は、ポリマーフォームの熱分解により、少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを製造する方法であって、ポリマーフォームが、6質量%を超える窒素含有量を有し、35〜99.5%の空隙率及び1%を超える貫通気泡含有量を有する少なくとも30質量%のポリマー材料を含み、ポリマーフォームに組み込まれるか及び/又はその表面に施された、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム塩、金属粉末及びエクスパンドグラファイトから選択される無機材料を有し、及び/又は熱分解中及び/又は熱分解後に、水蒸気及び/又は二酸化炭素で400℃を超える温度にて処理されていることを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い内部表面積を有し、少なくとも70質量%の炭素を含むフォームに関し、またこのフォームをポリマーフォームの熱分解により製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素を主成分とし、炭素フォームとしても知られているフォームは、炭素材料の特性上、様々な用途に重要である。例えば、US−A−4067956及びSherman,A.J., Tuffias, R.H.,及びKaplan,R.B.(1991)Ceramic Bulletin,70,1025−1029には、このフォームをフィルタ材料(高温の用途を含む)として、高温の断熱材料として、触媒担体として、そして電池の電極材料として使用することが開示されている。また文献には、高性能キャパシタの電極材料(例、US−A−5300272)、医療の移植用電極材料(WO−A−98/02382)、担体(support)、例えば、固体/液体遷移により吸熱する材料(比較的高温での使用を含む)として(WO−A−99/64223)、又はクロマトグラフィのカラム材料として(DE−A−3135394)、又は酵素電極の電極材料として(Blaedel,W.J.及びWang,Joseph(1980),Anal.Chem.52,1426−1429)、炭素フォームを使用することが記載されている。
【0003】
これらの用途とは別に、炭素フォームは、高性能の材料を製造するのに使用される:EP−A−581696には、圧縮された炭素繊維材料を重質炭化水素に浸漬することにより製造される多孔構造から炭素/炭素複合材料を製造する方法が記載されている。この炭素/炭素複合材料は、特に効果の高いブレーキディスクの摩擦材料として、使用されている。WO−A−98/27023では、炭素フォームが同じ用途に直接使用されている。EP−A−0976698によれば、40〜95%の貫通気泡含有量を有する多孔性炭素層を、例えば溶融シリコンに浸漬し、次いで室温に冷却している。得られる複合材料の用途は、同様に自動車のブレーキディスク及びクラッチディスクである。
【0004】
これまで、炭素フォームの製造方法としては下記の方法が知られている:
1.貫通気泡ポリウレタンフォームの浸漬
浸漬は、500℃を超える温度、通常800℃を超える温度又は1000℃を遙かに超える温度での次の熱分解で高い炭素収率を与える材料を用いて行われる。このような浸漬剤(含浸剤)は、例えば、熱硬化性樹脂、通常フェノール樹脂、又はこのような樹脂とピッチ(通常”メソフェーズピッチ”)の混合物である。貫通気泡ポリウレタンフォームの浸漬及び次の熱分解の方法は、例えば、US−A−4067956、US−A−3922334、WO−A−98/02382、WO−A−00/15576及びUS−A−6040266に記載されている。
【0005】
この方法は、表面的には、ポリウレタンフォームの良好な気泡(セル)構造が、炭素フォームまでもたらすとの利点を有する。しかしながら、ポリウレタンフォームの浸漬後の気泡の単一の壁体の構造は、含浸剤の層で囲まれたポリウレタン壁体の構造である。従って、ポリウレタンフォームの浸漬は、緻密なポリウレタン気泡を含浸剤で浸透させることではなく、壁体の表面を被覆することである。この複合材料の熱硬化の場合(Aoki,Y.及びMcEnaney,B.,report,例えばBritish Ceramic Transactions,94,133−37(1995),160℃の温度)、まず使用される溶剤が蒸発し、樹脂の硬化が起こる。続いて、ポリウレタン材料は熱分解で分解し、ガス状物質を形成する。Aoki,Y.及びMcEnaney,B.,in British Ceramic Transactions,94,133−37(1995)では、1200℃で炭素として残るポリウレタンの割合は約3%であり、浸漬で使用されるフェノール樹脂の割合は約50%であると記載されている。従って、ポリウレタンのガス状熱分解生成物は、樹脂から形成される炭素壁を介して壁体から散逸する。その結果、炭素フォームの内部では中空である壁体が得られる。さらに、壁体の壁の構造は、比較的大量のポリウレタンの熱分解生成物の散逸により破壊される。従って、外見上はポリウレタンフォームの良好なフォーム構造を示す炭素フォームが形成されるが、それは、その構造が破壊された中空壁体及び壁体の壁によって損傷を受けている。この構造は、例えば、長さの損失に結びつく。この方法に基づくもっと最近の発明でさえ、例えばWO−A−00/15576及びUS−A−6040266でさえ、形成される炭素フォームの最適でない性質に結びつくこのような構造を示している。
【0006】
2.炭素フォームをもたらす有機ポリマーのエーロゲルの熱分解
有機ポリマーのエーロゲルは、例えばWO−A−93/14511に従い、ホルムアルデヒドとレゾルシノールを水性媒体の炭酸ナトリウム溶液中で、室温24時間にて反応させ、その後50℃24時間、次いで95℃で72時間反応させることにより製造される。形成されたゲルを、0.1%濃度トリフルオロ酢酸のアセトン溶液で洗浄し、その後純粋なアセトンで洗浄する。次いで、それは、液体CO2で、63バール(900psi)及び14℃にて1時間処理され、その後新しいCO2で1日当たり15分を6回、2日間処理され、そして最後に、50℃及び127バール(1800psi)の超臨界条件下において密閉容器中で4時間処理され、そして8時間に亘り徐々に減圧され、乾燥エーロゲルが得られる。続いて、600〜1200℃で熱分解され、炭素フォームが得られる。炭素フォームを製造する類似の複雑な方法は、以下の刊行物:Non−Crystalline Solids,225,64−68及びWO−A−98/44013(共に1998、各場合の有機主成分はイソシアネート付加体)、Polym.Prepr.Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem.,37(2),777−778(1996、有機主成分はフリーデル・クラフツ付加体)、US−A−5300272、US−A−5268395、US−A−5358802、Polym.Mater.Sci.Eng.,57,113−117及びWO−A−95/06002(有機主成分は各場合ポリアクリロニトリル)、Polym.Mater.Sci.Eng.,57,113−117(ポリアクリロニトリルと無水マレイン酸)、EP−A−0987294(有機主成分はポリイミド)、WO−A−99/01502、US−A−5420168、US−A−5529971、US−A−4997804及びUS−A−5402306(有機主成分はレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物)、US−A−4992254、US−A−5047225及びUS−A−5232772(有機主成分がスチレン、ジビニルベンゼン、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、”炭素化ポリスチレン−レゾルシノール(CPR)−ホルムアルデヒドフォーム”)に記載されている。
【0007】
30μmより遙かに小さい(屡々1μmより明確に小さい)微小気泡(セル)を有するこのような炭素フォームの構造は、多くの用途に適していない。それは、例えば、フィルタ材料、触媒担体、材料用支持体、又は複合材料製造用反応成分(例えばシリコン又は別の炭素との反応により)として使用する場合、極めて高い流れ抵抗性による。さらに、この極めて微小な気泡構造の製造は、扱いにくく、製造に長時間が費やされる。その結果、このフォーム構造を有する材料は多くの用途に適していないだけでなく、極めて高い製造コストを要するとの不利がある。
【0008】
3.比較的高温でのC−含有材料の発泡及び続く焼成
屡々記載される変法は、ピッチの発泡であり、例えばWO−A−99/11585、WO−A−99/61549、EP−A−0700106に記載されている。得られるフォーム構造の不利は、90%よりかなり低い貫通気泡の割合である。この値は、例えばUS−A−4276246で報告されている。この原因は、高温での複雑な発泡処理にある。これはまた、例えばWO−A−99/65843に記載されているような硬化性液体樹脂との混合物であるピッチから類序の方法で形成される、フォーム構造にも言える。生体材料を使用する場合、例えばWO−A−99/11581に記載されているのと同様に、発泡炭素体は熱分解で形成される。その性質により、この発泡炭素体は実用的なフォーム構造をもたないし、このため炭素フォームの最も多い用途に適していない。
【0009】
4.マトリックスへの有機材料の充填、その後の焼成及び適宜のマトリックス材料の除去
Pekala,R.W.& Hopper,R.W.(1987),Low−density microcellular carbon foams,Journal of Materials Science,22,1840−1844によれば、微粒子塩化ナトリウムの成形体(compact)を、例えば、このためのフェノール樹脂に浸漬する。フェノール樹脂を硬化した後、塩化ナトリウムを水を用いて浸出させる。得られた多孔性構造はその後乾燥され、熱分解される。得られた構造は、圧縮粉末床の空隙を表している。塩化ナトリウム粉末粒子との必要な密な接触の結果、この構造は、ポリマー材料が到達できない多数の場所を有し、このため浸出後に形成された構造は対応する多数の弱い地点を有することになる。これにより、極めて低い強度なり、熱分解後に形成される炭素フォームの強度にも反映される。上記著者により報告された密度50mg/cm3の炭素フォームの圧縮強度はわずか0.00011MPaであり、これは得られるフォーム構造の欠点を確認させるものであり、このフォーム構造はまた、例えばDE−A−3135394に記載された方法と同様に形成される。
【0010】
フェノール樹脂の微小球(microsphere)又は炭素の微小球を炭素化樹脂に浸漬することは、Benton,S.T.& Schmitt,C.R.in (1972),Carbon,10,185に記載されている。形成された複合材料は、900℃及び2150℃で熱分解される。得られた炭素フォームは、良好な圧縮特性、例えば170kg/cm3における425lb/in2(3.2N/mm2)を有しているが、貫通気泡含有量が極めて小さいことから、多くの用途に使用することができない。不十分な貫通気泡含有量とは別に、炭素フォーム構造が150kg/m3未満の密度を達成できないとの不利もある。
【0011】
5.炭素繊維構造から製造された多孔性炭素材料
多孔性構造は、高密度の炭素材料、例えばディスクブレーキを製造するのに使用される。WO−A−00/39043によれば、炭素繊維を炭化可能な液体に高温及び過圧の条件で浸漬する。急な減圧及び冷却によりフォーム構造が得られ、これは600〜1000℃で熱分解され、適宜2200〜2300℃で後処理される。出発材料として炭素繊維を使用することにより、その複雑な製造とは別に、高コストとなり、そしてこれらの繊維は通常のフォーム構造の形成を妨げる。同じ不利を有する類似の方法はEP−A−581696に記載されている。
【0012】
6.ポリマーフォームの熱分解
この方法は、例えば、ZHOU Jia−hong,XUE Kuan−hong,XU Shi−min,SUN Dong−mei,& GU Wei−jin(2000)in Chinese Journal of Power Sources 24 (3),157−158,177によって利用されている。しかしながら、その著者らが使用する、ポリウレタンフォームから誘導される炭素フォームの構造は、異質部分(例えば、クラック状又は高密度領域)があり、これは特に機械特性に悪影響がある。このような好ましくない構造はまた、他のポリマーフォームの以前から公知の直接熱分解においても得られるものである。
【0013】
出願人自身の特許出願番号No.10156132.6(先行技術ではない)によれば、もはや1.〜6.で記載された欠点(例、低い強度、過剰に高い流れ抵抗性、又は過剰に複雑で、従って高価な製造方法)のない炭素フォームを製造することが可能である。不運にも、これらのフォームの内部表面積は、常に50m2/g未満、通常30m2/g未満、極めて屡々20m2/g未満である。この低い内部面積は、多くの用途、例えばスーパーキャパシタの電極材料(高い内部表面積を有する材料が必要)にとって不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、DE出願番号No.10156132.6に記載された利点を有し、且つ同時に容易に使用可能な高い内部表面積も有する炭素フォームを製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明等は、上記目的が、少なくとも70質量%の炭素を含み、6質量%を超える窒素含有量を有し、35〜99.5%の空隙率及び1%を超える貫通気泡含有量を有する少なくとも30質量%のポリマー材料を含み、熱処理中に、ポリマーフォームに組み込まれるか及び/又はその表面に存在する無機材料の作用により、及び/又は水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素の作用により、70質量%の炭素を含むフォームを製造することにより達成されることを見いだした。さらに、炭素を主成分とするこのフォームは、20μmを超える平均気泡サイズ、この気泡サイズに対する35〜99.5%の空(孔)隙率及び90%を超える貫通気泡含有量を有し、さらに断面が凹状側部を有する三角形である壁体(strut)を有し、そして気泡骨格材料内に、0.2〜50nmの寸法及び0.01〜0.8cm3/gの容量を有する細孔を有する。
【0016】
従って、本発明は、少なくとも70質量%の炭素を含み、そして20μmを超える平均気泡サイズ、この気泡サイズに対する35〜99.5%の空(孔)隙率及び90%を超える貫通気泡含有量、50m2/gを超える内部表面積を有し、さらに断面が凹状側部を有する三角形である壁体を有し、そして気泡骨格材料内に、0.2〜50nmの寸法及び0.01〜0.8cm3/gの容量を有する細孔を有するフォームを提供し;さらにまた、炭素を主成分とするこのようなフォームを、電気及び電気化学の用途に、特にスーパーキャパシタの電極材料及び燃料電池の電極として、断熱材料及びフィルタとして、記憶材料及び支持体として、及び別の反応の出発材料として使用する方法を提供する。
【0017】
さらに本発明は、ポリマーフォームの熱分解により、少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを製造する方法であって、ポリマーフォームが、6質量%を超える窒素含有量を有し、35〜99.5%の空隙率及び1%を超える貫通気泡含有量を有する少なくとも30質量%のポリマー材料を含み、ポリマーフォームに組み込まれるか及び/又はその表面に施された無機材料を有し、及び/又は熱分解中及び/又は熱分解後に、水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素で400℃を超える温度にて処理されていることを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
炭素を主成分とする新規なフォームは、少なくとも70質量%、好ましくは75〜99.5質量%、特に好ましくは80〜99質量%の炭素を含んでいる。その平均気泡サイズは、20μmを超え、好ましくは50μmを超え、そしてこの気泡サイズに対する空隙率は35〜99.5%、好ましくは60〜98%、特に好ましくは70〜97%である。本発明の炭素フォームでは、同様にこの気泡サイズに対する貫通気泡含有量が90%を超え、好ましくは93%を超えている。
【0019】
炭素フォーム体の気泡壁体の大部分は、凹状側部を有する三角形と記載することができる断面を有している。気泡骨格材料は、0.2〜50nm、好ましくは0.5〜20nm、特に好ましくは0.8〜10nmの寸法を有し、そして0.01〜0.8cm3/gの容量を有すると共に、50m2/gを超える、好ましくは150m2/gを超える、特に好ましくは300m2/gを超える(これは500m2/gを超える用途に、1000m2/gを超える特別な場合に好適)内部表面積を有する。
【0020】
さらにまた、炭素フォームは、3質量%未満、好ましくは2質量%未満の水素含有量、そして0.01質量%を超える、好ましくは0.05質量%を超える、特に好ましくは1質量%を超える窒素含有量を有する。
【0021】
本発明のフォームの骨格材料は、0.8〜2.3g/cm3、好ましくは1.2〜2.0g/cm3の密度を有する。骨格材料の密度は、炭素の構造、及び0.2〜50nmの範囲の寸法を有する孔の割合に依存する。炭素の構造のほとんどが、比較的低密度を有するガラス質/X線−非結晶質であるか、又は比較的高い密度を有するグラファイト状/X線−結晶質であることができる。グラファイト状/X線−結晶質材料の割合は、熱分解の温度の上昇と共に増加する。約500℃〜約1200℃の熱分解温度では、X線−非晶質炭素フォームが得られ、より高い温度では、X線−結晶質のフォームが得られ、温度の上昇と共に増加ずる。
【0022】
炭素フォームの骨格材料は、10-10〜5000S/cm、好ましくは10-5〜1000S/cm、特に好ましくは10-2〜500S/cmの電気伝導度を有する。電気伝導度は、熱分解温度の選択により設定することができる。例えば、極めて低い電気伝導度を有する炭素フォームは、約500℃で形成されるが、2300℃付近の温度では高電気伝導度のフォームが得られる。高電気伝導度は、熱処理の時間を長くすることにより及び熱分解前にポリマーフォームにグラファイトを導入することよりさらに増加することができる。温度に依存する中間の電気伝導度はその間の温度で得ることができる。
【0023】
グラファイトに代えて、熱分解中に容易にグラファイトに転化される物質を加えることが好ましい。このような物質の例としては、メソフェーズピッチを挙げることができ、例えば、Mitsubishi製のMitsubishi ARA−24 Mesophaseである。
【0024】
本発明の炭素フォームの骨格材料における、固体状態(solid-state)13C核磁気共鳴分光学により測定された信号は、100〜200ppmの範囲にあり、この範囲の信号がスペクトルの面積で95%を超えている。
【0025】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームは、機械粉砕により粉末状に変換することができ、特別な用途に有利である。機械粉砕は、公知のどのような方法でも行うことができる。ボールミルが特に有用である。上述の特性の他に、微粉末炭素材料は1000μm未満、好ましくは500μm未満、特に好ましくは100μm未満の最大粒径を有する。
【0026】
少なくとも70質量%の炭素を含む新規なフォームは、ポリマーフォームの熱分解により製造することができる。用いられるポリマーフォームは、少なくとも30質量%のポリマー材料又は複数のポリマー材料の混合物からなるものであり、そしてこのポリマー材料は6質量%を超える、好ましくは8質量%を超える、特に好ましくは9質量%を超える窒素含有量及び35〜99.5%の空隙率、そしてまた1%を超える、好ましくは30%を超える、特に好ましくは70%を超える貫通気泡含有量を有している。
【0027】
使用されるポリマー材料は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、又は高分子のイソシアネート付加体であるか、これらのいずれかを含んでいることが好ましい。
【0028】
使用される尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、先行技術の公知の方法で製造される。このようなフォームの例としては、BASF Aktiengesellschaft社製のメラミン−ホルムアルデヒドフォームBasotectRを挙げることができる。
【0029】
特に好ましいポリマー材料は、高分子のイソシアネート付加体を含むものである。この高分子のイソシアネート付加体は、製造後、臭化カリウム圧縮ペレット法を用いて記録された赤外線の中央領域の約1410cm-1におけるイソシアヌレートバンドの吸光度の、約1600cm-1における芳香族バンドの吸光度に対する比Arが1.5を超える値である、ポリイソシアヌレート構造を含んでいることが有利である。3を超える、特に好ましくは4.5を超える値を有するフォームを用いることが好ましい。イソシアヌレート構造の約1410cm-1の指示波長及び芳香族の1600cm-1の指示波長は、バンドの最大の値である。これらの値は、当該技術者には公知であるが、それぞれ、サンプル製造した場合、±20cm-1だけ変動し得る(例えば芳香族の置換パターンの作用で)。本発明では、「赤外線の中央領域の約1410cm-1におけるイソシアヌレートバンド」及び「約1600cm-1における芳香族バンド」との表現はこの変動を反映している。
【0030】
高分子イソシアネート付加体は、ポリイソシアネートを、それ自体相互に、活性水素基含有化合物と、或いはイソシアネートと反応する別の化合物と、触媒、安定剤、発泡剤及び必要により別の助剤の存在下に反応させることにより製造される。
【0031】
用いられるポリイソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネートの異性体、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートの異性体、特に好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートの異性体と種々の縮合段階のポリフェニルポリイソシアネートとの混合物である。
【0032】
例えばWO00/11059に記載されているようなポリウレタン化学における他のポリイソシアネートの慣用技術を使用することも可能である。
【0033】
活性水素基含有化合物として、特に、200g/モルを超える、好ましくは500g/モルを超える、特に好ましくは1000g/モルを超えるモル質量及び1を超える、好ましくは2を超える官能価を有するヒドロキシル含有重合生成物を使用することが可能である。
【0034】
公知の方法で、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと活性水素基含有開始物質との重合により好ましく得られる、エーテル構造含有化合物を使用することが有利である。
【0035】
芳香族ポリカルボン酸と多官能アルコールに基づくポリエステルオール(好ましくは芳香族エステル構造)を、活性水素基含有化合物として使用することも有利である。
【0036】
さらに好適な活性水素基含有化合物は、専門書及び特許文献、例えばWO00/11059に記載の材料である。
【0037】
活性水素化合物とは別に、イソシアネートと反応する別の化合物を使用することも可能である。このような化合物の例としては、反応してイミド構造を形成する有機酸無水物基を有する化合物、及び反応してオキサゾリジノン構造を形成するエポキシド基を有する化合物を挙げることができる。イミド構造及びオキサゾリジノン構造とは別に、上記比Arによる上述の最低量のイソシアヌレート構造が、ポリマーフォーム内に存在しなければならない。
【0038】
ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物との反応は、触媒の存在下に行われる。ポリウレタン化学における慣用の触媒は、例えばWO00/11059に記載されているが、この目的に使用される。これらの触媒、例えばアミンは、通常追加されるか、又はアルカリ金属塩(特にカリウム塩)及び/又はトリアジン(特にイソシアヌレート構造の形成に)と交換される。本発明によれば、クラウンエーテル構造を有する少なくとも1種の化合物、例えば1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(”18−クラウン−6”)を助触媒として使用することが有利である。
【0039】
上述のポリイソシアネートとは別に、活性水素基含有化合物及び触媒、さらに安定剤、発泡剤及び他の助剤等の化合物及び添加剤が、高分子イソシアネート付加体に製造では加えられる。例えばWO00/11059に記載されているポリウレタン化学で慣用の化合物がここでは使用され得る。安定剤として、有機シリコン化合物、特にポリエーテルシロキサン、及び発泡剤として、空気及び/又は窒素及び/又はCO2及び/又は水及び/又は蒸発性有機液体(例、n−ペンタン、イソペンタン及び/又はシクロペンタン)を用いることが有利である。水とイソシアネートとの反応により形成されるCO2を、単独で若しくはペンタンと組み合わせて用いることが有利である。有用と分かっている他の助剤及び添加剤としては、例えばポリマー内に取り込まれ、流動性を改良する低粘度物質、(例、フルフリルアルコール)、或いは次の熱分解で炭化を促進する物質(例、トリエチルホスフェート)を挙げることができる。高い炭素含有量を有するフィラー(例、カーボンブラック及び/又はグラファイト)の付随的使用も有利である。
【0040】
気泡骨格材料において本発明に従い規定された0.2〜50nmの寸法及び高い内部表面積を有する孔を形成するために、次いで熱分解されるポリマーフォーム中に無機フィラーを導入することが有利である。このようなフィラーとしては、特に、無機塩(好ましくは、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム)を、単独で若しくは混合物として、及び/又はエクスパンドグラファイト及び/又は金属粉末(例、亜鉛ダスト及び/又は粉末アルミニウム)を挙げることができる。無機材料を、炭素フォームの合計質量に対して、それぞれ0.1〜60質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に好ましくは1〜25質量%の量で使用することが有利である。
【0041】
イソシアネートに基づくポリマーフォームの場合、これらの材料の導入は、合成に使用される液体成分の1種と混合することにより容易に行うことができる。しかしながら、用いられるポリマーフォームは、無機塩、金属粉末又はエクスパンドグラファイトの水若しくは有機溶剤の溶液又は分散液に浸漬することもでき、この際0.1〜60質量%の量、好ましくは上記好ましい量の無機材料が、溶剤の蒸発後フォーム上に残るように浸漬される。2つの手段、即ち無機材料の導入又は施与(浸漬)も組み合わせて用いることもできる。
【0042】
本発明の炭素フォームを製造するのに使用されるポリマーフォームは、1%を超える、好ましくは30%を超える、特に好ましくは7%を超える貫通気泡含有量を有している。所望の貫通気泡含有量は、液体の、比較的高分子量の不飽和炭化水素(例、ポリブタジエン又はポリオクテニレン)を用いることにより有利に得ることができる。これらの不飽和炭化水素は、例えばDE−A−430809に記載されている。
【0043】
ポリマーフォームの窒素含有量は、6質量%を超える、好ましくは8質量%を超える、特に好ましくは9質量%を超える量である。イソシアネート付加体の場合、処方におけるMDIの量により決定される。純粋なMDIは11.2質量%の窒素含有量を有する。尿素−ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン樹脂の場合、知られているように、窒素含有量は通常6質量%を超えている。
【0044】
用いられるポリマーフォームの空隙率は、35〜99.5%の範囲にある。空隙率はフォームの密度及び気泡骨格材料の密度から計算することができる(空隙率の計算は実施例に記載されている)。空隙率の範囲は、40〜95%の範囲、特に50〜90%の範囲が好ましい。
【0045】
本発明の炭素フォームを製造するために熱分解を受けるポリマー組成物は、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%の上述のポリマーフォームを含んでいる。熱分解の前に組成物に添加することができる別の成分は、別のポリマー材料及び/又は例えばフィラーである。このようなフィラーは、熱分解時に炭素を生成するもの、例えばピッチ又はグラファイト状の炭素が好ましい。良好な結果は、まだ硬化していないフェノール樹脂成分として1種以上の成分に混合することにより、フェノール樹脂を付随使用することにより得られる。
【0046】
ポリマーフォームの熱分解は、室温から500℃を超える温度、好ましくは800℃を超える温度、特に3000℃まで及び3000℃を超える温度、に加熱することにより行われる。特に1500℃を超える高温では、熱分解は、アルゴン又は他の貴ガスの雰囲気下、及び/又は減圧下に行うことが有利である。
【0047】
加熱は、1500℃を超える温度で、窒素及び/又は貴ガスの雰囲気で、特に好ましくは貴ガスの雰囲気、所望により、酸素及び/又は二酸化炭素の部分存在下、即ち一部の時間において酸素及び/又は二酸化炭素及び/又はその/それらの存在下に行われることが好ましい。酸素及び/又は二酸化炭素の存在は、室温〜1500℃、さらに150〜600℃、特に250〜450℃の温度範囲において用いられることが好ましい。
【0048】
本発明によれば、加熱は、熱分解中に0.05〜10K/分、好ましくは1〜8K/分の加熱速度で行うことが有利である。熱分解中、ガス流は、使用されるフォーム1g当たり0.1リットル/時間〜10リットル/分の流速で、フォームを通過する。好ましい変更方法では、最大の熱分解温度は5分〜2日間保持される。
【0049】
冷却は、0.05〜40K/分、好ましくは15〜25K/分の冷却速度で室温まで行うことが好ましい。
【0050】
加熱されたカーボンフォームの約20〜25℃の室温雰囲気への導入により、2500℃の最大値から室温までの急速冷却も可能である。
【0051】
さらに、温度を、5分から8日間の”ランプ(ramps)”で温度を一定に保つことにより加熱及び冷却の中断も有利であり得る。
【0052】
気泡骨格材料における0.2〜50nmの寸法及び高い内部表面積を有する本発明の孔の形成は、ポリマーフォームの熱分解中における水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素の目的の作用により、又は予め窒素及び/又は貴ガス中の熱分解により形成された完成した炭素フォームに対する水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素の作用により得ることができる。水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素による処理は、400℃を超える温度で行われるが、温度の増加及び濃度の増加に伴い効果も増大する。
【0053】
内部表面積は、水蒸気、二酸化炭素及び/又は酸素による処理時間の増加と共に、温度の上昇と共に、そしてガスの濃度の増加と共に増大する。しかしながら、孔の形成に必要な材料の分解が余りにも大きくなると機械特性が大きく損なわれるので、内部表面積を2000m2/gを超えるまで増加させないことが有利である。内部表面積は、0.2〜50nmの寸法を有するこれらの孔により主として形成される。
【0054】
熱分解中に行われる水蒸気による処理は、水蒸気及び/又は窒素及び/又は貴ガスの混合物中における、0.5〜80容量%、好ましくは10〜60容量%、特に10〜50容量%の範囲の水蒸気濃度で行うことが有利である。水蒸気処理の温度は、400℃を超える、好ましくは1200℃未満、有利には500〜1100℃の範囲、特に好ましくは600〜1000度の範囲である。
【0055】
熱分解中に行われる二酸化炭素による処理は、二酸化炭素及び/又は窒素及び/又は貴ガスの混合物中における1容量%を超える二酸化炭素濃度で行うことが有利である。20容量%を超える、特に50容量%を超える濃度が好ましい。作用は、純粋な二酸化炭素を用いた場合に強力である。二酸化炭素処理の温度は、400℃を超える、好ましくは1500℃未満、有利には600〜1300℃の範囲、特に好ましくは700〜1100℃の範囲である。
【0056】
上記処理は、室温〜1500℃、好ましくは>300℃から1200℃、特に300〜800℃の範囲において、ガス混合物中に、0.05〜30容量%の酸素が時々同時に存在するようにして行うことができる。酸素濃度は、1〜20容量%、特に3〜15容量%の範囲が好ましい。酸素は、上述の全ての変形法との組合せで使用することができる。それは、炭素フォームの収率の増加及び内部表面積の増加に影響を与える。収率は、特に室温から600℃の範囲における炭素フォームの熱分解中の酸素の作用により増加する。
【0057】
類似の方法で、炭素フォームはまず窒素及び/又は貴ガスにおける熱分解により製造され、次いでこの炭素フォームは水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素で処理され得る。このために、次いで、充分に熱分解された炭素フォームは、水蒸気及び/又は窒素及び/又は貴ガスの混合物中の1〜80容量%の水蒸気濃度で500℃を超える温度にて処理されるか、或いは二酸化炭素及び/又は窒素及び/又は貴ガスの混合物中の1容量%を超える、好ましくは5〜90容量%の二酸化炭素で、或いは純粋な二酸化炭素で、500℃を超える温度にて処理される。
【0058】
2000℃未満、好ましくは1700℃未満、特に好ましくは1500℃未満にて、窒素単独又は不活性ガス/不活性ガス混合物として貴ガスとの混合物を使用することが可能である。同様に、窒素は、2000℃を超える、好ましくは1700℃超える、特に好ましくは1500℃を超える温度でさえ使用すべきでない。これはまた、減圧下での熱分解においても確保されなければならない。
【0059】
炭素を主成分とし、高い内部表面積を有する新規なフォームは、電気用途及び電気化学用途に、フィルタ及び断熱材料として、支持体(担体)及び記憶材料として、そして別の反応の出発材料として、さらにまた炭素フォームの別の用途に好適である。
【0060】
それは、例えば、電気化学合成用、電気化学センサ用の電池の電極材料として、例えば酵素電極、特にスーパーキャパシタ或いは燃料電池の電極材料として、液体金属(例、銅)用フィルタ材料として、熱移動マトリックスとして、クロマトグラフィのカラム材料として、シリコンカーバイド体(例えば、高性能摩擦材料用又はシリコンカーバイドフォーム)を形成するためにシリコンと反応する出発材料として、又は炭素−炭素複合材料を得るための別の炭素との反応のための出発材料として、高温用断熱材料として、触媒の担体として、宇宙旅行の熱シールド材料として、及びガス貯蔵材料として使用することが有利である。
【0061】
微粉の炭素材料は、特にスーパーキャパシタ用の電極材料及び/又は燃料電池の電極材料として特に好適である。
【0062】
本発明を、下記の実施例により記載するが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
I.イソシアネートに基づくポリマーフォーム製造するために使用される原材料
1.イソシアネート
イソシアネート1
ポリイソシアネートLupranatR M50(BASF);ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリイソシアネートの混合物で、31.5質量%のNCO含有量及び25℃で550mPasの粘度を有するもの。
【0064】
イソシアネート2
ポリイソシアネートLupranatR M70(BASF);ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリイソシアネートの混合物で、31質量%のNCO含有量及び25℃で750mPasの粘度を有するもの。
【0065】
2.ポリオールとして公知の、エステル構造及びエーテル構造を有するヒドロキシル−含有化合物
ポリオール1
アジピン酸/無水フタル酸/オレイン酸(1:2:1のモル比)と1,1,1−トリメチロールプロパンとの反応により製造されたポリエステルアルコールで、385mgKOH/gのヒドロキシル数、75℃で1370mPasの粘度及び3.7の平均官能価を有するもの。
【0066】
ポリオール2
スタータとしてのグリセロールと第1ブロックとしてプロピレンオキシドと、最終ブロックとしてエチレンオキシドと反応することにより製造されたポリエーテルアルコールで、35mgKOH/gのヒドロキシル数及び25℃で850mPasの粘度を有するもの。プロピレンオキシドのエチレンオキシドに対する質量比は6.4である。平均モル質量は4350g/モルで、平均官能価は2.7である。
【0067】
II.イソシアヌレート構造を有するポリマーフォームの製造(表1a及び1b)
カップでの発泡
A成分:ポリオール、触媒、安定剤及び発泡剤、必要により別の添加剤の混合物。フィラーをポリオール成分に導入することができる。
【0068】
B成分:ポリイソシアネート又はポリイソシアネートの混合物。フィラーをイソシアネート成分に導入することができる。
【0069】
A及びB成分を20℃±0.5Kにした。合計78gのA及びB成分を、約660mlの容量のカードボードカップで、Vollrath社製の混合ヘッド(直径:65mm)を備えた実験室用スターラ(撹拌速度:1750rpm)で10分間混合した。AのBに対する比は、それぞれの処方に対応している。クリーム(cream)時間、上昇(rise)時間及び繊維時間は、上昇するフォームについて測定した。そしてフォーム密度(表では単に密度と言う)は硬化フォームについて測定した。
【0070】
空隙率はフォームの密度Ds(kg/m3)及び1250kg/m3のポリマー材料の密度から計算される。
【0071】
空隙率(%)=[1−Ds/1250]・100
貫通気泡含有量は、ASTM−D2856−87、方法Cに従い測定した。
【0072】
ポリイソシヌレート含有量は、圧縮KBrペレット法により作製された微粉状サンプルについての赤外線中央領域において、約1410cm-1(イソシヌレート)におけるバンドの吸光度の約1595cm-1(芳香族)におけるバンドの吸光度に対する比を測定することにより決定され、”Ar(PIR)”として報告される。
【0073】
窒素含有量は処方から計算され、元素分析で測定された値に一致している。
【0074】
表1:イソシアネートに基づくポリマーフォームを製造するための処方
部は質量部である。
【0075】
C=カップでの発泡
M=機械による発泡:成分を、Elastogran GmbH社製の高圧発泡機PUROMATR HD30により連続的に混合し、次いでキャスティングレーキにより2重のコンベアベルトに塗布した。この方法は、例えば、R.Wiedermann及びR.Zollner,272−273頁,Kunststoff−Handbuch,第7巻,Polyurethane,G.Oertel編集,Hanser Verlag出版,Munich,Vienna,1993に記載されている。
【0076】
機械実験の条件:合計吐出=15000kg/分。ベルト速度:4.1m/分。
【0077】
【表1a】

【0078】
1)Th.Goldschmidt AG。
2)質量比(部)での組成物:120部の水、62部のジプロピレングリコール、18部のグリセロール。
3)質量比(部)での組成物:54部のモノエチレングリコール、46部の酢酸カリウム。
4)1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン。
5)N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン。
6)Th.Goldschmidt AG社製の、DE4303809に記載されているような、液体の比較的高分子量の不飽和炭化水素。
【0079】
表1b(表1aの続き)
イソシアネートに基づくポリマーフォームを製造するための処方
【0080】
【表1b】

【0081】
III.炭素フォームの製造
炭素フォームの特性
全ての実施例において、内径55mm及び長さ1100mmの溶融シリカ管を装着したCarbolite GmbH社製のモヂュール管炉モデルGTF12/50/546/E2408 CPを使用した。
【0082】
フォーム密度及び貫通気泡含有量の測定を、ポリマーフォームと同様に行った。
【0083】
空隙率を計算するための気泡骨格材料(炭素フォームマトリックス)の密度の測定を、比重ビンを用いて行った。
【0084】
空隙率は、下記式に従い計算した:
空隙率(%)=[1−Ds/Dg]・100
Ds: 炭素フォームのフォーム密度(kg/m3)、
Dg: 気泡骨格材料の密度(kg/m3)。
【0085】
この密度は、”ナノポーラス”骨格材料の密度である。ナノメータ範囲の孔は、20μmを超える気泡に基づくこの空隙率を報告する場合には無視されている。
【0086】
気泡壁体断面の評価は、走査型電子顕微鏡を用いて行った。
【0087】
内部表面積は、DIN66131(ラングミュア表面積)に従い測定した。孔径及びnm範囲の孔の対応する孔容積として報告された、気泡骨格の孔の寸法は、DIN66131に基づく方法を用いる測定法及びラングミュア/Horvath Kavazoe法による評価により決定された。
【0088】
[実施例1](比較用)
6cm×3.5cm×1.7cmの寸法及び2.5gの質量を有する試験片を、表1のシステムNo.1で作製されたイソシアネートを基礎とするポリマーから鋸で挽いて作製し、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。窒素流を、実験の全期間を通して5L/分の流速で管を通過させた。試験片を5K/分の加熱速度で800℃に加熱し、800℃の最高温度Tmaxで1時間保持し、20K/分で30℃に冷却した。これにより、0.72gの質量の割れのない均一な炭素フォームが得られた(即ち炭素フォームの収率は28.8%)。炭素フォームの密度は105kg/m3であり、炭素含有量が79質量%であり、水素含有量が2.5質量%であった。骨格材料の密度が1.6kg/m3、空隙率が92.5%、そして貫通気泡含有量が93%であった。内部表面積はDIN66131に従い4.1m2/gと測定された。
【0089】
[実施例1a](本発明)
実施例1に記載されたように製造された炭素フォームを、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉にもう一度設置した。窒素流を実験の全期間を通して5L/分の流速で管を通過させた。試験片を5K/分の加熱速度で800℃に加熱し、その後2L/分の窒素と1.2L/分の水蒸気で、800℃の最高温度Tmaxにおいて30分間処理し、20K/分で30℃に冷却した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して16%であった。
【0090】
[実施例1b](本発明)
実施例1に記載のように製造された炭素フォームを、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉にもう一度設置した。窒素流を実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。300〜500℃の温度間隔で、5L/分の空気を窒素の代わりに炉を通過させた。試験片を5K/分の加熱速度で800℃に加熱し、その後2L/分の窒素と1.2L/分の水蒸気で、800℃の最高温度Tmaxにおいて15分間処理し、20K/分で30℃に冷却した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して18%であった。
【0091】
[実施例1c](本発明)
実施例1の方法により製造された炭素フォームを、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。窒素流を実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。650〜750℃の温度間隔において、2L/分の窒素と0.44L/分の水蒸気を純粋な窒素の代わりに炉を通過させた。このようにして、水蒸気処理を熱分解と同時に行った。試験片を、750℃の一定の温度で5L/分の流速にて純粋な窒素でさらに30分間処理した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して75.1%であった。
【0092】
[実施例1d](本発明)
実施例1に記載されたように製造された炭素フォームを、再び溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。窒素流を実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。加熱速度は5K/分。800〜900℃の温度間隔において、2L/分の窒素と1L/分の二酸化炭素を純粋な窒素の代わりに炉を通過させた(2K/分で)。900℃で、温度を上述のガス流で1時間保持した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して9.1%であった。
【0093】
[実施例1e](本発明)
実施例1の方法で製造された炭素フォームを、再び溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。窒素流を実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。加熱速度:5K/分。800〜900℃の温度間隔において、2L/分の窒素と1L/分の二酸化炭素を純粋な窒素の代わりに炉を通過させた。このようにして、二酸化炭素処理を熱分解と同時に行った。900℃で、温度を上述のガス流で1時間保持した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して74.0%であった。
【0094】
[実施例2](比較用)
6cm×3.5cm×1.7cmの寸法及び9.2gの質量を有する試験片を、表1のシステムNo.2で作製されたイソシアネートを基礎とするポリマーから鋸で挽いて作製し、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。窒素流を、実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。試験片を3K/分の加熱速度で500℃に加熱し、次いで5K/分の加熱速度で800℃に加熱した。窒素下の800℃の保持時間は10分間であった。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して68%であった。
【0095】
[実施例2a、2b、2c、2d及び2e](本発明)
これらの実施例は、内部表面に導入されたフィラー(塩基性酢酸アルミニウム、エクスパンドグラファイト、炭酸カルシウム及びポリリン酸アンモニウム)の効果を示している。
【0096】
実施例2a、2b及び2cのポリマーフォームは、表1のそれぞれのシステムNo.2a〜2cから製造した。6cm×3.5cm×1.7cmの寸法を有する試験片を、そのフォームから鋸で挽いて作製し、溶融シリカ管の中央のモヂュール管炉に設置した。これらを、5L/分の窒素下3K/分の加熱速度で500℃に加熱し、次いで5K/分の加熱速度で800℃に加熱した。窒素下の800℃の保持時間は10分間であった。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して70%(2a)又は62%(2b)又は63%(2c)であった。
【0097】
実施例2d及び2eのポリマーフォームは、実施例1cと類似の方法により窒素/水蒸気で処理した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して69%(2d)又は72%(2e)であった。
【0098】
[実施例3](本発明)
実施例2に記載のように製造された炭素フォームを、1モルの塩化亜鉛ジエチルエーテル溶液に減圧下に浸漬し、次いで乾燥した。こうして、34.4質量%のZnCl2をフォームの表面に残した。このように処理されたフォームを、モヂュール管炉で、5L/分の窒素下、5K/分の加熱速度で900℃に加熱した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して68.1%であった。
【0099】
[実施例4](本発明)
メラミン樹脂(BasotectR、BASF社製)に基づくポリマーフォームを、実施例1eと類似の方法でモヂュール管炉に設置した。窒素流を実験の間を通して5L/分の流速で管を通過させた。加熱速度:5K/分。800〜900℃の温度間隔において、2L/分の窒素と1L/分の二酸化炭素を純粋な窒素の代わりに炉を通過させた。900℃で、温度を上述のガス流で1時間保持した。質量の損失は、使用した炭素フォームの質量に対して61.0%であった。
【0100】
【表2】

【0101】
比較実験において、炭素フォームの内部表面積は本発明の値(50m2/g)より遙かに低く、このため孔サイズ及び孔容積の分析は不要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも70質量%の炭素を含み、そして20μmを超える平均気泡サイズ、この気泡サイズに対する35〜99.5%の空隙率及び90%を超える貫通気泡含有量、50m2/gを超える内部表面積を有し、さらに断面が凹状側部を有する三角形である壁体を有し、そして気泡骨格材料内に、0.2〜50nmの寸法及び0.01〜0.8cm3/gの容量を有する細孔を有するフォーム。
【請求項2】
3質量%未満の水分含有量及び0.01質量%を超える窒素含有量を有する請求項1に記載のフォーム。
【請求項3】
フォームの骨格材料が、0.8〜2.3g/cm3の密度を有する請求項1又は2に記載のフォーム。
【請求項4】
フォームの骨格材料が、10-10〜5000S/cmの電気伝導度を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォーム。
【請求項5】
フォームの骨格材料の、固体状態13C核磁気共鳴分光学により測定される信号が、100〜200ppmの範囲にあり、この範囲の信号がスペクトルの面積で95%を超えている請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォーム。
【請求項6】
フォームの骨格材料が、X線−結晶質又はX線−非晶質である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォーム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォームの機械粉砕により得られる微粉状炭素材料。
【請求項8】
ポリマーフォームの熱分解により、少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを製造する方法であって、ポリマーフォームが6質量%を超える窒素含有量を有し、35〜99.5%の空隙率及び1%を超える貫通気泡含有量を有する少なくとも30質量%のポリマー材料を含み、ポリマーフォームに組み込まれるか及び/又はその表面に施された無機材料を有し、及び/又は熱分解中及び/又は熱分解後に、水蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又は酸素で400℃を超える温度にて処理されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
使用されるポリマーフォームが、尿素−ホルムアルデヒド樹脂であるか、尿素−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
使用されるポリマーフォームが、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるか、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
使用されるポリマーフォームが、高分子のイソシアネート付加体であるか、高分子のイソシアネート付加体を含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項12】
使用される高分子のイソシアネート付加体が、製造後、臭化カリウム圧縮ペレット法を用いて記録された赤外線の中央領域の約1410cm-1におけるイソシアヌレートバンドの吸光度の、約1600cm-1における芳香族バンドの吸光度に対する比Arが1.5を超える値である、ポリイソシアヌレート構造を含んでいる請求項8又は11に記載の方法。
【請求項13】
使用される高分子のイソシアネート付加体が、ポリイソシアネートを、それ自体相互に、活性水素基含有化合物と、或いはイソシアネートと反応する別の化合物と、触媒、安定剤、発泡剤及び必要により別の助剤の存在下に反応させることにより製造される請求項8、11又は12に記載の方法。
【請求項14】
200g/モルを超えるモル質量及び1を超える官能価を有するヒドロキシル含有重合生成物を、活性水素基含有化合物として使用する請求項8及び11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
活性水素基含有化合物として、芳香族ポリカルボン酸及び多官能アルコールに基づくポリエステルオールを使用する請求項8及び11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
イソシアネートと反応する別の化合物が、有機酸無水物の構造を含んでいる請求項8及び11〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
イソシアネートと反応する別の化合物が、エポキシド構造を含んでいる請求項8及び11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
クラウンエーテル構造を有する少なくとも1種の化合物を触媒として使用する請求項8及び11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
用いられるポリマーフォームに加えて、まだ未硬化のフェノール樹脂成分が使用される請求項8〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ポリマーフォームの製造においてフィラーとして、無機塩、金属粉末又はエクスパンドグラファイトを、ポリマーフォームの合計質量に対して1〜60質量%の量で、使用する請求項8及び11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
使用するポリマーフォームを、無機塩、金属粉末又はエクスパンドグラファイトの水溶液若しくは有機溶剤溶液又は水分散液若しくは有機溶剤分散液に浸漬して、溶剤の蒸発後に、0.1〜60質量%の量の無機材料がフォーム上に残存するようにする請求項8〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
使用する無機塩が、塩化亜鉛、炭酸カルシウム及び/又はポリリン酸アンモニウム塩である請求項8〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ポリマーフォームの熱分解を、室温から500℃を超える温度そして500℃を超えて3000℃以下の温度で加熱することにより行う請求項8〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
加熱を、熱分解中に0.05〜10K/分の加熱速度で行う請求項8〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーフォームの熱分解を窒素及び/又は貴ガスの雰囲気中で行う請求項8〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1200℃の温度までの範囲に加熱し、そして0.5〜80容量%の水蒸気を含む、水蒸気と窒素及び/又は貴ガスとの混合物中でより高い温度で加熱することにより行う請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1500℃の温度までの範囲に加熱し、そして1容量%を超える二酸化炭素を含む、二酸化炭素と窒素及び/又は貴ガスとの混合物中でより高い温度で加熱することにより行う請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1500℃の温度までの範囲に加熱し、そして二酸化炭素中でより高い温度で加熱することにより行う請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて、1〜80容量%の水蒸気を含む、水蒸気と窒素及び/又は貴ガスとの混合物で処理する請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて、1容量%を超える二酸化炭素を含む、二酸化炭素と窒素及び/又は貴ガスとの混合物で処理する請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて二酸化炭素で処理する請求項8〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
ポリマーフォームの熱分解を、室温〜1500℃の範囲の温度で、ガスの全量に対して0.05〜30容量%の量の酸素の存在下に行う請求項8〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームの熱分解中又は後処理中におけるガス流の流速が、フォーム1g及び1時間当たり0.01リットルからフォーム1g及び1分当たり10リットルである請求項8〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォームを電気及び電気化学の用途に、フィルタ及び断熱材料として、支持体及び記憶材料として、及び別の反応の出発材料として使用する方法。
【請求項35】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォーム又は請求項7に記載のフォームから得られる微粉状材料を、スーパーキャパシタの電極材料及び/又は燃料電池の電極材料として使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフォームの熱分解により、少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを製造する方法であって、ポリマーフォームが、6質量%を超える窒素含有量を有し、35〜99.5%の空隙率及び1%を超える貫通気泡含有量を有する少なくとも30質量%のポリマー材料を含み、ポリマーフォームに組み込まれるか及び/又はその表面に施された、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム塩、金属粉末及びエクスパンドグラファイトから選択される無機材料を有し、及び/又は熱分解中及び/又は熱分解後に、水蒸気及び/又は二酸化炭素で400℃を超える温度にて処理されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
使用されるポリマーフォームが、尿素−ホルムアルデヒド樹脂であるか、尿素−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用されるポリマーフォームが、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるか、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
使用されるポリマーフォームが、高分子のイソシアネート付加体であるか、高分子のイソシアネート付加体を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用される高分子のイソシアネート付加体が、製造後、臭化カリウム圧縮ペレット法を用いて記録された赤外線の中央領域の約1410cm-1におけるイソシアヌレートバンドの吸光度の、約1600cm-1における芳香族バンドの吸光度に対する比Arが1.5を超える値である、ポリイソシアヌレート構造を含んでいる請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
使用される高分子のイソシアネート付加体が、ポリイソシアネートを、それ自体相互に、活性水素基含有化合物と、或いはイソシアネートと反応する別の化合物と、触媒、安定剤、発泡剤及び必要により別の助剤の存在下に反応させることにより製造される請求項1、4又は5に記載の方法。
【請求項7】
200g/モルを超えるモル質量及び1を超える官能価を有するヒドロキシル含有重合生成物を、活性水素基含有化合物として使用する請求項1及び4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
活性水素基含有化合物として、芳香族ポリカルボン酸及び多官能アルコールに基づくポリエステルオールを、使用する請求項1及び4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
イソシアネートと反応する別の化合物が、有機酸無水物の構造を含んでいる請求項1及び4〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
イソシアネートと反応する別の化合物が、エポキシド構造を含んでいる請求項1及び4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
クラウンエーテル構造を有する少なくとも1種の化合物を触媒として使用する請求項1及び4〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
用いられるポリマーフォームに加えて、まだ未硬化のフェノール樹脂成分が使用される請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
用いられるポリマーフォームの製造においてフィラーとして、無機塩、金属粉末又はエクスパンドグラファイトを、ポリマーフォームの合計質量に対して0.1〜60質量%の量で使用する請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
使用するポリマーフォームを、無機塩、金属粉末又はエクスパンドグラファイトの水溶液若しくは有機溶剤溶液又は水分散液若しくは有機溶剤分散液に浸漬して、溶剤の蒸発後に、0.1〜60質量%の量の無機材料がフォーム上に残存するようにする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
使用する無機塩が、塩化亜鉛、炭酸カルシウム及び/又はポリリン酸アンモニウム塩である請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーフォームの熱分解を、室温から500℃を超える温度そして500℃を超えて3000℃以下の温度で加熱することにより行う請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
加熱を、熱分解中に0.05〜10K/分の加熱速度で行う請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ポリマーフォームの熱分解を窒素及び/又は貴ガスの雰囲気中で行う請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1200℃の温度までの範囲に加熱し、そして0.5〜80容量%の水蒸気を含む、水蒸気と窒素及び/又は貴ガスとの混合物中でより高い温度で加熱することにより行う請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1500℃の温度までの範囲に加熱し、そして1容量%を超える二酸化炭素を含む、二酸化炭素と窒素及び/又は貴ガスとの混合物中でより高い温度で加熱することにより行う請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ポリマーフォームの熱分解を、窒素及び/又は貴ガス中で室温から400〜1500℃の温度までの範囲に加熱し、そして二酸化炭素中でより高い温度で加熱することにより行う請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて、1〜80容量%の水蒸気を含む、水蒸気と窒素及び/又は貴ガスとの混合物で処理する請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて、1容量%を超える二酸化炭素を含む、二酸化炭素と窒素及び/又は貴ガスとの混合物で処理する請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームを、まず窒素及び/又は貴ガス中で熱分解することにより製造し、次いで500℃を超える温度にて二酸化炭素で処理する請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーフォームの熱分解を、室温〜1500℃の範囲の温度で、ガスの全量に対して0.05〜30容量%の量の酸素の存在下に行う請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも70質量%の炭素を含むフォームの熱分解中又は後処理中におけるガス流の流速が、フォーム1g及び1時間当たり0.01リットルからフォーム1g及び1分当たり10リットルである請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法に従って製造され、且つ
少なくとも70質量%の炭素を含み、そして20μmを超える平均気泡サイズ、この気泡サイズに対する35〜99.5%の空隙率及び90%を超える貫通気泡、50m2/gを超える内部表面積を有し、さらに断面が凹状側部を有する三角形である壁体を有し、そして気泡骨格材料内に、0.2〜50nmの寸法及び0.01〜0.8cm3/gの容量を有する細孔を有するフォーム。
【請求項28】
請求項27に記載のフォームを電気及び電気化学の用途に、フィルタ及び断熱材料として、支持体及び記憶材料として、及び別の反応の出発材料として使用する方法。
【請求項29】
請求項27に記載のフォーム又は請求項7に記載のフォームから得られる微粉状材料を、スーパーキャパシタの電極材料及び/又は燃料電池の電極材料として使用する方法。

【公表番号】特表2006−512265(P2006−512265A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537012(P2004−537012)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009943
【国際公開番号】WO2004/026792
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】