炭素体の改良された製造方法
グラファイト炭素体の形成方法において、コークスおよびピッチの原料ブレンドを圧縮および抵抗加熱する。好ましくは、原料は、原料コークス、高融点ピッチ、およびピッチに由来する炭素繊維を含む。所望により、原料は、か焼されたコークス、グラファイト、炭素繊維、コールタールまたは石油ピッチ、もしくはコーキング触媒、例えば硫黄も含む。物体を成形する際、機械的圧力をかけながら抵抗加熱し、得られるプリフォーム物体の密度および炭素化度を増加させる。次いで、プリフォームをグラファイト化温度に加熱し、グラファイト系炭素体、例えばグラファイト電極またはピンを形成する。所望により、高温プレス加工の後、プリフォーム電極またはピンに、炭素化し得るピッチを使用して1回以上の緻密化工程を施し、グラファイト化工程の前に、プリフォームの密度をさらに増加させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、炭素体、例えばグラファイト電極や接続ピンの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、コークス、ピッチおよび炭素繊維の混合物を、圧縮力を作用させながら抵抗加熱することにより、グラファイト電極および接続ピンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素電極は、電熱炉中で金属および他の原料を融解させ、合金を形成するのに使用されている(ここで使用する用語「炭素電極」とは、グラファイト電極を包含するものである。)。一般的に、鋼炉で使用する電極は、それぞれ電極カラム、すなわち一連の個別電極を接合して形成した単一のカラムからなる。この工程では、電極が熱製法中に消耗するので、交換電極をカラムに接合し、炉中に伸びるカラムの長さを維持することができる。これらの電極は、隣接する電極の末端を接合するように機能するピンを介して、カラムの中に接合される。従来、電極は、隣接する電極の末端を接合するように機能するピン(ニップルと呼ばれることがある)を介して、カラムの中に接合される。典型的には、ピンは、対向する雄ネジ山を切った部分の形態をとり、各電極の少なくとも一端は、ピンの雄ネジ山を切った部分と噛み合うことができる雌ネジ山を切った部分を含む。従って、ピンの対向する雄ネジ山を切った各部分が、2本の電極の末端にある雌ネジ山を切った部分の中にねじ込まれると、これらの電極は一つの電極カラムに接合される。一般的に、隣接する電極の接合末端、およびそれらの電極間のピンは、この分野では接合部と呼ばれる。
【0003】
あるいは、電極の一端に雄ネジ山を切った突起または突出部を機械加工し、他端に雌ネジ山を切ったソケットを機械加工し、ある電極の雄突出部を第二の電極の雌ソケット中にねじ込むことにより、電極カラムを形成することもできる。そのような実施形態における2本の隣接する電極の接合された末端は、この分野では、はめ込み接合部と呼ばれる。
【0004】
炭素電極およびピンは、か焼した石油コークスおよびコールタールピッチ結合剤を組み合わせて原料ブレンドに加工する。この多工程方法では、か焼した石油コークスを先ず粉砕し、篩い分けし、細かい粉末にすりつぶす。一般的に、平均直径約25ミリメートル(mm)までの粒子をこのブレンドに使用する。粒子状画分は、小さな粒子径を有するコークス粉末充填材を包含する。小粒子径充填材に配合できる他の添加剤としては、発煙(コークス粒子の内側で炭素と結合した硫黄が放出されるために生じる)を抑制するための酸化鉄、コークス粉末および油または他の、混合物の押出を容易にするための潤滑剤がある。
【0005】
原料ブレンドをピッチの軟化温度に加熱し、プレス加工して「未焼成」原料体、例えば電極またはピン、を形成する。未焼成電極製造には、連続操作する押出プレスを使用し、「未焼成」電極と呼ばれる円筒形ロッドを形成することができる。ピン製造では、未焼成ピン物体を、ダイ押出により、または成形型中で成形により「未焼成ピン原料」を形成することにより、製造する。
【0006】
未焼成原料体を炉中で加熱してピッチを炭化させ、物体に永久的な形態およびより高い機械的強度を与える。電極またはピンのサイズ、および特定製造業者の製法に応じて、この「焼成」工程は、未焼成電極またはピン原料を温度約700℃〜約1100℃に加熱する必要がある。酸化を防止するために、未焼成原料体を空気の非存在下で焼成する。物体の温度は、一定速度で最終的な焼成温度に上昇させる。電極またはピンの製造には、未焼成原料体を、電極のサイズに応じて、最終的焼成温度に1〜2週間維持する。
【0007】
冷却および洗浄した後、焼成した電極またはピンに、コールタールまたは石油ピッチ、もしくは業界で公知の他の型のピッチを含浸させ、電極またはピンの開いた細孔の全てにピッチコークスをさらに堆積させることができる。含浸の都度、冷却および洗浄を包含する追加の焼成工程を行う。各再焼成工程の時間および温度は、特定製造業者の製法に応じて変えることができる。ピッチには、グラファイト電極またはピンの特性を改良するための添加剤を配合することができる。そのような緻密化工程の度に(すなわち追加の含浸および再焼成サイクルの度に)、一般的に原材料の密度が増加し、機械的強度が高くなる。典型的には、各電極またはピンの形成は、少なくとも一回の緻密化工程を包含する。そのような製品の多くは、所望の密度が達成されるまで、幾つかの個別緻密化工程を必要とする。
【0008】
緻密化の後、この段階では炭素化体と呼ばれる電極またはピンを、グラファイト化する。グラファイト化は、最終温度約1500℃〜約3400℃で、か焼されたコークスおよびピッチコークス結合剤中の炭素原子を、ほぼ無秩序の状態から、グラファイトの結晶化された構造に変換させるのに十分な時間、熱処理することにより行う。このような高温で、炭素以外の元素は蒸発し蒸気として放出される。
【0009】
グラファイト化が完了した後、電極またはピンを適当なサイズに切断し、機械加工または他の方式で、最終形状に成形する。その性質により、グラファイトは、融通性良く機械加工することができ、接合方式におけるピンと電極との間、または、はめ込み接合方式における電極とピンとの間を強力に接続することができる。グラファイト化された電極の機械加工により、電極材料全体の小さな部分が除去されるだけであるが、グラファイト化されたピンの機械加工により、典型的にはピン材料の約40%以上が除去される。従って、接続ピンの製造では、材料収率は約60%にしかならない。
【0010】
時間を要する緻密化サイクルは、グラファイト電極およびピンの製造にかかる費用および時間を増大させる。例えば、グラファイトピンを形成するのに、緻密化工程の数に応じて、約6ヶ月かかる場合がある。グラファイト電極も、緻密化工程の数に応じて、製造に約35日間を要する場合がある。そのような長いリードタイムのために、完成した商品の需要および原材料の供給の両方における変動を調整するのに、処理および完成した商品で、原料の多大な在庫が必要になる。その上、製造工程、例えば上記のグラファイト電極およびピンの製造は、時間のかかる焼成および含浸サイクルを繰り返すのに、多額の資本コストが必要である。そのようなサイクルの一つでも少なくなれば、資本コスト、在庫管理コストおよび労働経費の大きな節約になるであろう。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、グラファイト電極またはピン等の炭素体を形成するための、上記および他の問題を解決する、新規で改良された方法を提供する。
【0012】
本発明の態様は、グラファイト電極またはピン等の炭素体を形成するための方法を含む。この方法は、コークス、ピッチおよび所望により炭素繊維を組み合わせ、原料混合物を形成し、該原料混合物を、混合物の少なくとも一部を炭素化するのに十分な温度に加熱し、プリフォーム体を形成することを含む。高温プレス加工工程は、混合物中で熱が発生するように、原料混合物に電流を印加することにより行う抵抗加熱を含む。混合物を加熱している間に、圧力を原料混合物に作用させ、少なくとも部分的に炭素化された原料混合物を形成する。
【0013】
本発明の一態様においては、高温プレス加工工程により、原料混合物を炭素化するのに必要な処理時間が大幅に短縮される。代表的なプリフォーム処理時間は、20〜25キログラム(kg)の炭素体、例えばピンに対する約5分間の処理時間、および900kgの炭素体、例えば電極に対する約6時間の処理時間を含む。
【0014】
本発明の別の態様において、高温プレス加工工程は、原料混合物の一成分として高融点ピッチを使用する。高融点ピッチにより、これまで公知の方法と比較して、炭素化の際に、ピッチ成分の得られるコークス化収率が増加する。本発明の一実施態様では、典型的なコークス化収率約60%以下と比較して、約80%までのコークス化収率を提供する。
【0015】
本発明の別の態様による方法では、これまで公知の方法と比較して、最終的なグラファイト化された炭素体の所望の機械加工された寸法に十分に近い全体的な寸法を有するプリフォーム体を提供し、得られる材料収率、すなわち機械加工の後に残るグラファイト化された質量の量を増大させる。本発明の方法の一実施態様においては、典型的な材料収率約60%以下と比較して、約80%までの材料収率を有する、対向するテーパーの付いた雄部分が形成されている炭素ピンを提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、高温プレス加工工程が、高温プレス型の中で形成されたプリフォームの縦軸に対して直角に圧縮成形圧を作用させ、主として縦方向に配向したプリフォームが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
高温用途、例えば鋼アーク炉に使用する炭素電極またはピンを形成する方法は、コークス、ピッチおよび、所望により、炭素繊維の原料ブレンド、または他の、炭素充填材、補強およびマトリックス材料の好適な混合物を、抵抗加熱する。好ましくは、原料ブレンドは、原料コークス、高融点ピッチおよびピッチに由来する炭素繊維を包含する。所望により、原料ブレンドは、か焼されたコークス、グラファイト、炭素繊維、コールタールピッチ、石油ピッチ、またはコーキング触媒、例えば硫黄も包含することができる。所望により、添加剤を加え、ブレンドの処理特性を改良するか、またはグラファイト電極またはピンの物理的特性を改良することができる。そのような添加剤は、原料ブレンドの混合中、または形成後に加えることができる。高温プレス加工工程の際、機械的圧力(高温プレス加工)を加えながら抵抗加熱し、ブレンドの密度および炭化を増加させる。得られた炭化体または「プリフォーム」は、好ましくは、高温プレス加工の後に、プリフォームを最終温度約1500℃〜約3400℃に加熱することにより、グラファイト化し、残留する非炭素成分を除去し、ほとんどグラファイトのみからなる材料を形成する。所望により、高温プレス加工の後、プリフォーム電極またはピンを、炭素化し得るピッチを使用する一つ以上の緻密化工程を施し、グラファイト化の前にプリフォームの密度をさらに増加させることができる。
【0018】
図1に関し、本発明の、グラファイト電極またはピン等の炭素体の製造に関する方法の代表的な処理概要の、一連の工程を表すフローチャートを示す。一般的に、ブレンド成分を原料混合段階20で混合し、次いで高温プレス加工段階30で少なくとも部分的に炭素化し、プリフォーム炭素体を製造する。最後に、プリフォーム炭素体を、グラファイト化段階40でグラファイト化する。図2A−2D、3A、3B、4、5Aおよび5Bに関して、本発明の方法における様々な段階の代表的な処理概要に関する一連の工程を詳細に表すフローチャートを示す。
【0019】
ここで、図1および2Aに関し、101で示す工程1で、コークス、ピッチおよび炭素繊維、または他の、炭素充填材、補強およびマトリックス材料の好適な混合物を組み合わせて原料混合物を形成する。好ましくは、原料混合物は、原料コークス、高融点ピッチおよびピッチに由来する炭素繊維を包含する。所望により、原料混合物は、か焼されたコークス、グラファイト、炭素繊維、コールタールピッチ、または石油ピッチも包含することができる。さらに、コーキング触媒、例えば硫黄、を原料中に配合し、結合剤のコーキング収率を改良することができる。所望により、さらに他の、炭化し得る、および炭素質の添加剤をブレンドに配合し、最終製品であるグラファイト体の物理的特性および/または原料混合物の処理特性、例えば成形する際の原料混合物の軟化温度または抵抗加熱する際の原料混合物の導電性を改良することができる。
【0020】
好適な充填材としては、原料コークス、か焼されたコークス、およびグラファイトが挙げられる。充填材は、微粉、粉末または他の、平均粒子径が約25ミリメートル未満の細かく分割された材料の形態にあるのが好ましい。
【0021】
原料混合物に使用する好適な炭素繊維は、ピッチ、例えばメソフェーズピッチから形成された材料を包含する。炭素繊維の具体的な選択は、グラファイト炭素体に求められる必要条件によって異なる。炭素繊維は、熱分解の際に独立した炭素供給源を与える。
【0022】
ピッチは、融解性(すなわち溶融し得る)であり、揮発性および不揮発性成分の両方を含む。ピッチは、加熱により分解し、揮発性物質を放出し、主として炭素である非融解性材料を形成する。好ましいピッチ材料は、高融点ピッチ、より好ましくはMettler軟化点温度が約120℃〜約350℃、より好ましくは約150℃〜約200℃であるピッチである。好ましいピッチ材料は、コーキングの際に炭素収率が約70%以上、より好ましくは約80%以上であるピッチである。しかしながら、本発明は、高融点ピッチの使用に限定されるものではない。好適なピッチとしては、Mettler軟化点温度が約100℃〜約120℃、所望により約70℃〜約120℃であるピッチを包含する、コールタールまたは石油ピッチがある。コーキングの際の炭素収率が約50%以上であるピッチも、本発明の実施に使用できる。合成により形成されたピッチも、本発明の実施に使用できる。ピッチと硫黄の混合物も好適である。好適なピッチは、液体または半液体であるか、または細かい固体に粉砕またはすりつぶされたピッチを包含する。しかしながら、本発明は、細かく粉砕された固体の使用に限定されるものではなく、細かく粉砕されていない固体も、本発明の実施に使用できる。
【0023】
さらに図1および図2Aに関し、好ましくは、混合物を101で示す工程1で「乾式混合」により調製する、すなわち溶剤を添加せずに、ピッチ材料がなお固体である温度で混合する。次いで、104で示す工程4で、乾式混合された原料混合物を、高温プレスの型に移してから、以下に記載するように高温プレス加工する。
【0024】
ここで、図1および図2Bに関し、102で示す工程2において、混合物を「熱軟化」によりさらに調製するが、その際、混合中に熱を加え、ピッチの温度を一般的に約70℃〜約350℃であるピッチ軟化点よりも上に上昇させる。混合中に熱軟化される場合、原料混合物を、ピッチのMettler軟化点より30℃以上高く加熱し、原料混合物の粘度を下げるのが好ましい。101で示す工程1および/または102で示す工程2の混合処理は、液体、例えば水または有機溶剤を加えずに行うのが好ましいが、少量の有機溶剤を原料混合物と混合し、ピッチ材料用の可塑剤として作用させ、混合温度を下げることも意図している。
【0025】
図1および図2Cに関し、所望により103で示す工程3において、乾式混合した原料混合物を未焼成炭素体、例えば未焼成電極またはピンに成形してから、下記のように高温プレス加工を行う。103で示す工程3の一実施態様においては、原料混合物を高温プレス型とは別の成形形態に充填し、高温プレス型キャビティの寸法よりほんの僅かに小さな寸法を有する未焼成電極または未焼成ピンにプレス加工する。電極製造には、連続的に操作する押出プレスを使用して未焼成電極を形成することができる。ピン製造には、未焼成ピンをダイ押出により形成するか、または高温プレス型とは別の成形型の中で成形することができる。
【0026】
さらに、図1および図2Dに関し、所望により102で示す工程2および103で示す工程3において、乾式混合された原料を先ず熱軟化させ、熱軟化された原料混合物を形成する。次いで、熱軟化された混合物を上記のように未焼成炭素体に成型してから、下記のように高温プレス加工する。
【0027】
ここで、図1および2A−2Dに関し、原料混合段階20で製造され、104で示す工程4で高温プレス型に移された材料は、本明細書では、「高温プレス混合物」と呼ぶ。選択された特定の処理概要に応じて、用語「高温プレス混合物」は、乾式混合された原料混合物(図2A)、熱軟化された原料混合物(図2B)または未焼成炭素体(図2Cおよび2D)を説明する。
【0028】
再び図1に関し、高温プレス段階30の際に、高温プレス混合物を高温プレスし、プリフォーム体、例えばプリフォーム電極またはピンを形成する。高温プレス処理では、高温プレス混合物を、原料の少なくとも一部を融解させるのに十分な温度に加熱する。この加熱工程は、混合物の中で発熱するように、高温プレス混合物に電流を印加することを包含する。高温プレス混合物を加熱しながら、混合物に圧力を作用させ、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォーム電極またはピンを形成する。
【0029】
本発明の一実施態様においては、高温プレス混合物(すなわち乾式混合された原料または、所望により、熱軟化された原料または未焼成電極もしくはピン)を抵抗加熱し、水圧圧縮するのに好適な水圧高温プレス機構を使用し、プリフォーム炭素体、例えばプリフォーム電極またはピンを製造する。代表的な水圧高温プレス機構は、高温プレス型が一体的に取り付けられており、その型が、高温プレス混合物を受け容れ、所望のプリフォームを形成する形状を有するキャビティを備えている水圧プレスを包含する。好ましくは、高温プレス型は、所望のグラファイト化された炭素体、例えばグラファイトピンまたは電極の寸法に近い形状を有する。さらに、高温プレス型は、断熱されたハウジングの中に収容されているのが好ましい。圧力は、水圧ピストンにより高温プレス混合物に加えられ、好ましくは混合物に沿って一様な圧力が達成されるように加えられる。圧力も、縦方向が主となる(longitudinally preferred)炭素体、すなわち炭素体の縦軸に沿って最大の引張強度を与えるように配向した結晶性構造を有する炭素体が得られるように、プリフォームの縦軸に対して直角の成形方向に作用させるのが好ましい。好ましい配置では、プリフォームの縦軸を水平面内にしてプリフォームを成形するように、高温プレス型の方向を定める。次いで、圧力を、単動または複動で操作する上側および/または下側の垂直水圧ピストンにより作用させる。
【0030】
好ましい実施態様においては、高温プレス型の末端は、高温プレス混合物と電気的に接触するステンレス鋼末端板である。抵抗加熱機構は、これらの板を通して電流を高温プレス混合物に印加する。より好ましい実施態様においては、ピストンおよび高温プレス型が、それぞれ炭化ケイ素表面ライナーを有し、両方共、水圧高温プレス機構のフレームから電気的に絶縁されている。抵抗加熱機構は、高電流を低電圧で供給するための電力供給源、例えばDC電源を含む。高AC電流も意図している。DCまたはAC電源をステンレス鋼の末端板に電気的に接続する。水圧高温プレス機構は、高温プレス型キャビティ中にある高温プレス混合物の全部が実質的に一様な電流にさらされるような構造を有する。高温プレス混合物全体にわたって一般的に均一な電流および圧力条件下で、高温プレス混合物を抵抗加熱および圧縮成形することにより、プリフォーム電極またはピン全体にわたって実質的に均一な特性が得られ、さらに、使用中の破壊を引き起こす傾向がある亀裂やその他の不規則性が、著しく低減される。好ましくは、電流および圧力をプログラム化して印加することにより、高温プレス混合物に、とりわけ、所望の焼成処理に応じた、特定の原料動力学に基づいて計算される温度、圧力、加熱速度および加圧速度が与えられる。より好ましくは、水圧高温プレス機構と一体化されたプログラム化できる制御装置により、そのようなプログラム化された電流および圧力を印加する。
【0031】
再度図1に関し、104で示す工程4において、高温プレス混合物を高温プレス型のキャビティに移す。別の実施態様(図2Cまたは2D)では、未焼成炭素体は、高温プレス型のキャビティに移された高温プレス混合物である。別の実施態様(図2B)では、103で示す工程3が無く、熱軟化された原料混合物は、ミキサーから高温プレス型のキャビティに直接移された高温プレス混合物である。好ましい実施態様(図2A)では、102で示す工程2および103で示す工程3が無く、乾式混合された原料混合物は、ミキサーから高温プレス型のキャビティに直接移された高温プレス混合物である。
【0032】
104で示す工程4の、小さな炭素体の製造、例えばピンの製造に関する好ましい実施態様では、高温プレス型が水圧プレスに一体的に取り付けられている。104で示す工程4の、大きな炭素体の製造、例えば電極の製造に関する好ましい実施態様においては、高温プレス型が外部にあり、水圧プレス機構の水圧プレスから独立している。この実施態様においては、高温プレス混合物が、型に充填する場所で可動高温プレス型のキャビティに移される。高温プレス型に充填した後、型を水圧プレスの中に配置し圧縮する。高温プレス型は、上記と類似の設計であり、炭化ケイ素ライニングした側部および電気的接触に使用するステンレス鋼製末端板を有する。
【0033】
再度図1に関し、111で示す工程11は、少なくとも部分的に炭素化された原料混合物を形成するために、高温プレス混合物に対して行う、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5、を含む。抵抗加熱工程、106で示す工程6は、原料混合物に電流を印加し、混合物中で発熱させることにより、達成される。圧縮成型工程、105で示す工程5は、原料混合物に圧力を作用させることにより、達成される。好ましい一実施態様においては、圧力を、高温プレス混合物全体にわたって一般的に一様な圧力がかかる方式で作用させる。別の好ましい実施態様においては、圧力を高温プレス混合物に、プリフォームの縦軸に対して直角の成形方向で作用させ、縦方向が主となる炭素体を得る。
【0034】
ここで、図1およびは3Aに関し、好ましい処理概要を示すが、そこでは高温プレス工程、111で示す工程11が、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5、が少なくとも部分的に重なり合っている。本発明を図に示す代表的な処理概要に関して説明するが、高温プレス工程、111で示す工程11は、抵抗加熱工程、106で示す工程6、と圧縮成型工程、105で示す工程5が重なり合っていない処理概要も包含する。特に、106で示す工程6および105で示す工程5を、連続的に行うか、または106で示す工程6および105で示す工程5を交互に、もしくはサイクル状に行う処理概要も意図している。
【0035】
ここで、図1および図3Bに関し、より好ましい処理概要を示すが、そこでは、高温プレス工程、111で示す工程11が、電流および圧力をプログラム化して印加し、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5が、高温プレス混合物に、所望の焼成処理に応じて、特定の原料動力学に基づいて計算される温度、圧力、加熱速度および加圧速度を与えることを含む。
【0036】
ここで、図1および図4に関し、代表的な処理概要を示すが、そこでは、プログラム化された印加230が、105で示す工程5で、高温プレス混合物を圧縮するための圧力印加開始310、圧力印加をある時間維持し、続いて圧力印加の終了340を包含する。印加される圧力は、部分的にグラファイト電極またはピンの所望の最終密度によって異なる。105で示す工程5の好ましい実施態様においては、水圧高温プレス機構に一体化された制御装置により、圧力のプログラム化された印加が行われる。
【0037】
さらに、図1および4に関し、プログラム化された印加230は、106で示す工程6で、高温プレス混合物を抵抗加熱するための電流印加開始320、電流印加を短時間維持し、続いて電流印加の終了330を含む。106で示す工程6の好ましい実施態様においては、制御装置により、温度のプログラム化された印加が行われる。加熱は、圧力印加の開始と同時に、またはその前に開始することができる。加熱は、圧力印加の終了と同時に、またはその後に停止することができる。好ましくは、処理時間の少なくとも一部、加熱および圧力印加の両方を同時に行い、揮発性材料を追い出して材料を緻密化する。
【0038】
ここで、図1および図3Aおよび3Bに関し、高温プレス工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)の際の高温プレス混合物の温度は、ピッチを融解させ、所望によりピッチから揮発性成分の少なくとも一部を除去し、ピッチ材料が堅くなる時に混合物の圧縮を容易にするのに十分であることが好ましい。ピッチは一般的に均質な材料ではないので、軟化点より著しく高い温度でも、ピッチマトリックス材料の一部が融解せずに残る場合があることを理解すべきである。さらに、この工程で揮発性成分の実質的に全てが除去されるが、揮発性成分の一部が、プリフォーム材料の特性を過度に損なわずに、残留することも意図している。
【0039】
本発明の別の代表的な処理概要における高温プレス工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)の際、抵抗加熱が、揮発性成分を除去し、ピッチを炭素化して混合物中に空隙または気泡を形成するのに好適な温度に、高温プレス混合物全体を急速に加熱する。加えた熱が揮発性材料を追い出す時に、機械的圧力を加え、高温プレス混合物を緻密化する。高温プレス混合物は、ピッチの場合には約500℃である炭素化温度より高い温度に達するのが好ましい。例えば、混合物を少なくとも約700℃に、より好ましくは約800℃〜約900℃に加熱するが、より高い温度も意図している。抵抗加熱の際に印加される電力は、高温プレス混合物の抵抗および所望のプログラム温度によって異なる。
【0040】
本発明の好ましい処理概要では、水圧プレス機構のプログラム化できる制御装置により、電流および圧力をプログラム化して作用させる。代表的なプログラム化された印加プロセスでは、圧縮および抵抗加熱の初期段階の際に、制御装置が先ず比較的低い電力をある時間印加する。この段階では、温度は好ましくは約300〜500℃の範囲内にある。この温度範囲で、揮発性成分の大部分が高温プレス混合物から除去される。この段階では、好ましくは温度をピッチ材料の硬化温度未満に維持する。予めプログラム化された条件、例えば経過時間および温度、で、温度をより高い温度(例えば約700℃より上、より好ましくは約800℃)に増加し、ピッチが炭化される。
【0041】
そのような代表的なプログラム化された印加プロセスでは、制御装置が、プログラム化された条件、例えば特に温度および処理時間によって異なった圧力を加えることができる。初期加熱の際は低い圧力を加え、揮発性ガスが高温プレス混合物中に捕獲される可能性を下げ、それらのガスが逃げる際の混合物の激しい破裂を阻止することができる。
【0042】
本発明の高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)は、そのような他の、代表的な水圧プレス機構または他の抵抗加熱および圧縮成形装置により行うことができるような、電流および圧力のプログラム化された印加230を包含し、原料混合物および所望のグラファイト体の動力学に応じて、所望の時間、温度および圧力プログラムにより、原料混合物の中に様々な温度および圧力を与えることを意図している。
【0043】
高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)は、原料が実質的に炭素化されているプリフォームを与える。高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)では、原料混合物の成分として高融点ピッチを使用するのが有利である。高融点ピッチは、これまで公知の方法と比較して、初期炭化の際に得られるピッチ成分のコーキング収率を大幅に増加することができる。本発明の方法の一実施態様、すなわち高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)により与えられるプリフォームは、典型的なコーキング収率約60%と比較して、約80%までのコーキング収率を有する。この高いコーキング収率は、本発明のプリフォームの炭素化度および密度が、従来の方法における初期焼成工程で製造される炭素化体と比較して、かなり高いことを反映している。
【0044】
高温プレス型のキャビティは、完成した炭素体、例えばグラファイト電極またはピンの寸法に近似するようにプリフォーム鋳造物を製造し、それによって、その後の所望の部品を形成するのに必要な機械加工を少なくするように形成するとよい。ピンの製造には、成形されたプリフォーム形状は、最終的なピン寸法に機械加工する際に、60%以下の典型的な材料収率と比較して、80%までの材料収率が達成できるように十分な寸法精度で鋳造することができる。
【0045】
図1に関し、107で示す工程7における好ましい一処理概要において、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォームを高温プレス型のキャビティから取り出し、冷却する。好ましくは、プリフォームを、酸化が著しく早く起こらなくなる温度に急冷する。例えば、プリフォームを水中に浸漬するか、または水滴または霧を吹き付け、その温度を約400〜500℃に下げる。あるいは、冷却を不活性ガス流で達成することができる。好ましくは、プリフォームを、プリフォームの亀裂を回避する速度で冷却する。
【0046】
所望により、107で示す工程7において、高温プレス加工したプリフォームを型のキャビティから取り出し、ほとんど冷却せずに、グラファイト化用の炉またはさらに緻密化するための含浸真空チャンバーに直接送ることができる。
【0047】
ここで、図1および図5Bに関し、グラファイト化段階40の所望により行う処理概要を示す。プリフォームのさらなる緻密化は、必要に応じて、一回以上の緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)を通して達成する。緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)では、ピッチまたは他の好適な炭化し得る材料をプリフォーム中に含浸させる。本発明の一実施態様においては、各含浸工程、108で示す工程8、を含浸真空チャンバー中で行う。各含浸工程、108で示す工程8の後、プリフォームを好ましくは109で示す工程9で再焼成し、ピッチを炭素化する。109で示す工程9では、プリフォームを炉中で加熱するか、または所望により高温プレス型または同等の構造物中で抵抗加熱する。プリフォームは高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)、で製造され、従って、最初から緻密であるので、従来の方法と比較して、所望の密度を達成するのに必要な緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)は少なくてよい。含浸および炭素化サイクルが少ないので、有利なことに全体的な緻密化時間が短縮される。
【0048】
ここで、図1および図5Aに関し、グラファイト化段階40の好ましい処理概要を示すが、そこでは、緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)を無くし、プリフォームに、グラファイト化処理、110で示す工程10、を直接行う。この工程では、プリフォームを不活性雰囲気中、例えば誘導炉中で、温度約1500℃以上、より好ましくは約2000℃、最も好ましくは約2400℃に加熱し、水素および他の異原子を全て(または実質的に全て)除去し、グラファイト電極またはピンを製造する。約2400℃より上で、複合材料は完全にグラファイト化する。グラファイト化温度は、最終製品の最終用途に応じて選択されるが、一般的に、電極またはピンが使用中にさらされる最高温度より上である。
【0049】
一般的に、従来方法の初期焼成および含浸/再焼成サイクルにかかる処理時間は、炭素体、例えばグラファイト電極およびピンをこれらの方法により製造する際の全体的な処理時間の重大な要素である。本発明においては、高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)が、原料混合物を最初に炭素化するのに必要な処理時間を大幅に短縮させる。代表的なプリフォーム処理時間は、50 lbsの炭素体、例えばピンに対する処理時間約5分間、および2000 lbsの炭素体、例えば電極に対する処理時間約6時間を包含する。
【0050】
本発明においては、高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)で形成されたプリフォーム体、例えばプリフォーム電極またはピンの密度が、従来方法で一般的に達成される密度よりはるかに高い。その結果、本発明の方法により最終的な所望の密度を達成するのに使用される緻密化サイクル220は、従来の未焼成電極またはピンを焼成および再焼成する方法より少ない。これによって、さらに処理工程数が減少し、全体的な処理時間が短縮される。例えば、炭素ピンを形成するための従来の処理では6回以上の含浸工程が使用されることがあるのに対し、本発明による方法の一実施態様においては、同等の最終密度を有する炭素ピンを1または2回の含浸工程だけで達成する。
【0051】
炭素電極およびピンの製造で本発明の方法を実施することにより達成できる処理時間により、従来方法と比較して、製造過程のリードタイムが大幅に短縮されることが分かる。本発明の代表的なプロセスでは、グラファイトピンまたはグラファイト電極を形成するための全体的な製造処理時間が、従来方法における6ヶ月および35日間と比較して、約10日間である。そのような短縮されたリードタイム(すなわち全体的な製造処理時間)により、完成した商品に対する需要および原材料の供給の両方における変動を調整するための処理中の原料および完成した商品の在庫がはるかに少なくて済む。高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)に必要な処理時間は、従来方法の初期焼成工程よりも、はるかに短いので、製造工程の処理量が増加する。同様に、本発明の方法を実施することにより達成される緻密化サイクル数の減少により、処理時間がさらに短縮され、処理量がさらに増加する。処理量の増加により、装置および労働力を大幅に低減することができる。本発明の方法により、リードタイムを大幅に短縮し、資本コスト、在庫管理コスト、および労働力経費を著しく節約して、炭素体が製造される。
【0052】
本発明を、新規で有用な、改良された炭素体の製造方法の好ましい実施態様に関して説明したが、そのような説明は、特許請求の範囲に規定される内容を除いて、本発明の範囲を制限するものではない。無論、上記の詳細な説明を読み、理解することにより、当業者は修正および変形を行うことができる。そのような修正および変形は、全て、請求項またはその等価物の範囲内に入る限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の炭素電極またはピンを形成するための代表的な処理概要の段階および工程を示すフローチャートである。
【図2A】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2B】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2C】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2D】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図3A】高温プレス加工段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図3B】高温プレス加工段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図4】高温プレス加工段階の圧縮成形および抵抗加熱工程における代表的な処理概要を示す、図3Bのフローチャートの詳細図である。
【図5A】グラファイト化段階における工程の別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図5B】グラファイト化段階における工程の別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、炭素体、例えばグラファイト電極や接続ピンの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、コークス、ピッチおよび炭素繊維の混合物を、圧縮力を作用させながら抵抗加熱することにより、グラファイト電極および接続ピンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素電極は、電熱炉中で金属および他の原料を融解させ、合金を形成するのに使用されている(ここで使用する用語「炭素電極」とは、グラファイト電極を包含するものである。)。一般的に、鋼炉で使用する電極は、それぞれ電極カラム、すなわち一連の個別電極を接合して形成した単一のカラムからなる。この工程では、電極が熱製法中に消耗するので、交換電極をカラムに接合し、炉中に伸びるカラムの長さを維持することができる。これらの電極は、隣接する電極の末端を接合するように機能するピンを介して、カラムの中に接合される。従来、電極は、隣接する電極の末端を接合するように機能するピン(ニップルと呼ばれることがある)を介して、カラムの中に接合される。典型的には、ピンは、対向する雄ネジ山を切った部分の形態をとり、各電極の少なくとも一端は、ピンの雄ネジ山を切った部分と噛み合うことができる雌ネジ山を切った部分を含む。従って、ピンの対向する雄ネジ山を切った各部分が、2本の電極の末端にある雌ネジ山を切った部分の中にねじ込まれると、これらの電極は一つの電極カラムに接合される。一般的に、隣接する電極の接合末端、およびそれらの電極間のピンは、この分野では接合部と呼ばれる。
【0003】
あるいは、電極の一端に雄ネジ山を切った突起または突出部を機械加工し、他端に雌ネジ山を切ったソケットを機械加工し、ある電極の雄突出部を第二の電極の雌ソケット中にねじ込むことにより、電極カラムを形成することもできる。そのような実施形態における2本の隣接する電極の接合された末端は、この分野では、はめ込み接合部と呼ばれる。
【0004】
炭素電極およびピンは、か焼した石油コークスおよびコールタールピッチ結合剤を組み合わせて原料ブレンドに加工する。この多工程方法では、か焼した石油コークスを先ず粉砕し、篩い分けし、細かい粉末にすりつぶす。一般的に、平均直径約25ミリメートル(mm)までの粒子をこのブレンドに使用する。粒子状画分は、小さな粒子径を有するコークス粉末充填材を包含する。小粒子径充填材に配合できる他の添加剤としては、発煙(コークス粒子の内側で炭素と結合した硫黄が放出されるために生じる)を抑制するための酸化鉄、コークス粉末および油または他の、混合物の押出を容易にするための潤滑剤がある。
【0005】
原料ブレンドをピッチの軟化温度に加熱し、プレス加工して「未焼成」原料体、例えば電極またはピン、を形成する。未焼成電極製造には、連続操作する押出プレスを使用し、「未焼成」電極と呼ばれる円筒形ロッドを形成することができる。ピン製造では、未焼成ピン物体を、ダイ押出により、または成形型中で成形により「未焼成ピン原料」を形成することにより、製造する。
【0006】
未焼成原料体を炉中で加熱してピッチを炭化させ、物体に永久的な形態およびより高い機械的強度を与える。電極またはピンのサイズ、および特定製造業者の製法に応じて、この「焼成」工程は、未焼成電極またはピン原料を温度約700℃〜約1100℃に加熱する必要がある。酸化を防止するために、未焼成原料体を空気の非存在下で焼成する。物体の温度は、一定速度で最終的な焼成温度に上昇させる。電極またはピンの製造には、未焼成原料体を、電極のサイズに応じて、最終的焼成温度に1〜2週間維持する。
【0007】
冷却および洗浄した後、焼成した電極またはピンに、コールタールまたは石油ピッチ、もしくは業界で公知の他の型のピッチを含浸させ、電極またはピンの開いた細孔の全てにピッチコークスをさらに堆積させることができる。含浸の都度、冷却および洗浄を包含する追加の焼成工程を行う。各再焼成工程の時間および温度は、特定製造業者の製法に応じて変えることができる。ピッチには、グラファイト電極またはピンの特性を改良するための添加剤を配合することができる。そのような緻密化工程の度に(すなわち追加の含浸および再焼成サイクルの度に)、一般的に原材料の密度が増加し、機械的強度が高くなる。典型的には、各電極またはピンの形成は、少なくとも一回の緻密化工程を包含する。そのような製品の多くは、所望の密度が達成されるまで、幾つかの個別緻密化工程を必要とする。
【0008】
緻密化の後、この段階では炭素化体と呼ばれる電極またはピンを、グラファイト化する。グラファイト化は、最終温度約1500℃〜約3400℃で、か焼されたコークスおよびピッチコークス結合剤中の炭素原子を、ほぼ無秩序の状態から、グラファイトの結晶化された構造に変換させるのに十分な時間、熱処理することにより行う。このような高温で、炭素以外の元素は蒸発し蒸気として放出される。
【0009】
グラファイト化が完了した後、電極またはピンを適当なサイズに切断し、機械加工または他の方式で、最終形状に成形する。その性質により、グラファイトは、融通性良く機械加工することができ、接合方式におけるピンと電極との間、または、はめ込み接合方式における電極とピンとの間を強力に接続することができる。グラファイト化された電極の機械加工により、電極材料全体の小さな部分が除去されるだけであるが、グラファイト化されたピンの機械加工により、典型的にはピン材料の約40%以上が除去される。従って、接続ピンの製造では、材料収率は約60%にしかならない。
【0010】
時間を要する緻密化サイクルは、グラファイト電極およびピンの製造にかかる費用および時間を増大させる。例えば、グラファイトピンを形成するのに、緻密化工程の数に応じて、約6ヶ月かかる場合がある。グラファイト電極も、緻密化工程の数に応じて、製造に約35日間を要する場合がある。そのような長いリードタイムのために、完成した商品の需要および原材料の供給の両方における変動を調整するのに、処理および完成した商品で、原料の多大な在庫が必要になる。その上、製造工程、例えば上記のグラファイト電極およびピンの製造は、時間のかかる焼成および含浸サイクルを繰り返すのに、多額の資本コストが必要である。そのようなサイクルの一つでも少なくなれば、資本コスト、在庫管理コストおよび労働経費の大きな節約になるであろう。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、グラファイト電極またはピン等の炭素体を形成するための、上記および他の問題を解決する、新規で改良された方法を提供する。
【0012】
本発明の態様は、グラファイト電極またはピン等の炭素体を形成するための方法を含む。この方法は、コークス、ピッチおよび所望により炭素繊維を組み合わせ、原料混合物を形成し、該原料混合物を、混合物の少なくとも一部を炭素化するのに十分な温度に加熱し、プリフォーム体を形成することを含む。高温プレス加工工程は、混合物中で熱が発生するように、原料混合物に電流を印加することにより行う抵抗加熱を含む。混合物を加熱している間に、圧力を原料混合物に作用させ、少なくとも部分的に炭素化された原料混合物を形成する。
【0013】
本発明の一態様においては、高温プレス加工工程により、原料混合物を炭素化するのに必要な処理時間が大幅に短縮される。代表的なプリフォーム処理時間は、20〜25キログラム(kg)の炭素体、例えばピンに対する約5分間の処理時間、および900kgの炭素体、例えば電極に対する約6時間の処理時間を含む。
【0014】
本発明の別の態様において、高温プレス加工工程は、原料混合物の一成分として高融点ピッチを使用する。高融点ピッチにより、これまで公知の方法と比較して、炭素化の際に、ピッチ成分の得られるコークス化収率が増加する。本発明の一実施態様では、典型的なコークス化収率約60%以下と比較して、約80%までのコークス化収率を提供する。
【0015】
本発明の別の態様による方法では、これまで公知の方法と比較して、最終的なグラファイト化された炭素体の所望の機械加工された寸法に十分に近い全体的な寸法を有するプリフォーム体を提供し、得られる材料収率、すなわち機械加工の後に残るグラファイト化された質量の量を増大させる。本発明の方法の一実施態様においては、典型的な材料収率約60%以下と比較して、約80%までの材料収率を有する、対向するテーパーの付いた雄部分が形成されている炭素ピンを提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、高温プレス加工工程が、高温プレス型の中で形成されたプリフォームの縦軸に対して直角に圧縮成形圧を作用させ、主として縦方向に配向したプリフォームが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
高温用途、例えば鋼アーク炉に使用する炭素電極またはピンを形成する方法は、コークス、ピッチおよび、所望により、炭素繊維の原料ブレンド、または他の、炭素充填材、補強およびマトリックス材料の好適な混合物を、抵抗加熱する。好ましくは、原料ブレンドは、原料コークス、高融点ピッチおよびピッチに由来する炭素繊維を包含する。所望により、原料ブレンドは、か焼されたコークス、グラファイト、炭素繊維、コールタールピッチ、石油ピッチ、またはコーキング触媒、例えば硫黄も包含することができる。所望により、添加剤を加え、ブレンドの処理特性を改良するか、またはグラファイト電極またはピンの物理的特性を改良することができる。そのような添加剤は、原料ブレンドの混合中、または形成後に加えることができる。高温プレス加工工程の際、機械的圧力(高温プレス加工)を加えながら抵抗加熱し、ブレンドの密度および炭化を増加させる。得られた炭化体または「プリフォーム」は、好ましくは、高温プレス加工の後に、プリフォームを最終温度約1500℃〜約3400℃に加熱することにより、グラファイト化し、残留する非炭素成分を除去し、ほとんどグラファイトのみからなる材料を形成する。所望により、高温プレス加工の後、プリフォーム電極またはピンを、炭素化し得るピッチを使用する一つ以上の緻密化工程を施し、グラファイト化の前にプリフォームの密度をさらに増加させることができる。
【0018】
図1に関し、本発明の、グラファイト電極またはピン等の炭素体の製造に関する方法の代表的な処理概要の、一連の工程を表すフローチャートを示す。一般的に、ブレンド成分を原料混合段階20で混合し、次いで高温プレス加工段階30で少なくとも部分的に炭素化し、プリフォーム炭素体を製造する。最後に、プリフォーム炭素体を、グラファイト化段階40でグラファイト化する。図2A−2D、3A、3B、4、5Aおよび5Bに関して、本発明の方法における様々な段階の代表的な処理概要に関する一連の工程を詳細に表すフローチャートを示す。
【0019】
ここで、図1および2Aに関し、101で示す工程1で、コークス、ピッチおよび炭素繊維、または他の、炭素充填材、補強およびマトリックス材料の好適な混合物を組み合わせて原料混合物を形成する。好ましくは、原料混合物は、原料コークス、高融点ピッチおよびピッチに由来する炭素繊維を包含する。所望により、原料混合物は、か焼されたコークス、グラファイト、炭素繊維、コールタールピッチ、または石油ピッチも包含することができる。さらに、コーキング触媒、例えば硫黄、を原料中に配合し、結合剤のコーキング収率を改良することができる。所望により、さらに他の、炭化し得る、および炭素質の添加剤をブレンドに配合し、最終製品であるグラファイト体の物理的特性および/または原料混合物の処理特性、例えば成形する際の原料混合物の軟化温度または抵抗加熱する際の原料混合物の導電性を改良することができる。
【0020】
好適な充填材としては、原料コークス、か焼されたコークス、およびグラファイトが挙げられる。充填材は、微粉、粉末または他の、平均粒子径が約25ミリメートル未満の細かく分割された材料の形態にあるのが好ましい。
【0021】
原料混合物に使用する好適な炭素繊維は、ピッチ、例えばメソフェーズピッチから形成された材料を包含する。炭素繊維の具体的な選択は、グラファイト炭素体に求められる必要条件によって異なる。炭素繊維は、熱分解の際に独立した炭素供給源を与える。
【0022】
ピッチは、融解性(すなわち溶融し得る)であり、揮発性および不揮発性成分の両方を含む。ピッチは、加熱により分解し、揮発性物質を放出し、主として炭素である非融解性材料を形成する。好ましいピッチ材料は、高融点ピッチ、より好ましくはMettler軟化点温度が約120℃〜約350℃、より好ましくは約150℃〜約200℃であるピッチである。好ましいピッチ材料は、コーキングの際に炭素収率が約70%以上、より好ましくは約80%以上であるピッチである。しかしながら、本発明は、高融点ピッチの使用に限定されるものではない。好適なピッチとしては、Mettler軟化点温度が約100℃〜約120℃、所望により約70℃〜約120℃であるピッチを包含する、コールタールまたは石油ピッチがある。コーキングの際の炭素収率が約50%以上であるピッチも、本発明の実施に使用できる。合成により形成されたピッチも、本発明の実施に使用できる。ピッチと硫黄の混合物も好適である。好適なピッチは、液体または半液体であるか、または細かい固体に粉砕またはすりつぶされたピッチを包含する。しかしながら、本発明は、細かく粉砕された固体の使用に限定されるものではなく、細かく粉砕されていない固体も、本発明の実施に使用できる。
【0023】
さらに図1および図2Aに関し、好ましくは、混合物を101で示す工程1で「乾式混合」により調製する、すなわち溶剤を添加せずに、ピッチ材料がなお固体である温度で混合する。次いで、104で示す工程4で、乾式混合された原料混合物を、高温プレスの型に移してから、以下に記載するように高温プレス加工する。
【0024】
ここで、図1および図2Bに関し、102で示す工程2において、混合物を「熱軟化」によりさらに調製するが、その際、混合中に熱を加え、ピッチの温度を一般的に約70℃〜約350℃であるピッチ軟化点よりも上に上昇させる。混合中に熱軟化される場合、原料混合物を、ピッチのMettler軟化点より30℃以上高く加熱し、原料混合物の粘度を下げるのが好ましい。101で示す工程1および/または102で示す工程2の混合処理は、液体、例えば水または有機溶剤を加えずに行うのが好ましいが、少量の有機溶剤を原料混合物と混合し、ピッチ材料用の可塑剤として作用させ、混合温度を下げることも意図している。
【0025】
図1および図2Cに関し、所望により103で示す工程3において、乾式混合した原料混合物を未焼成炭素体、例えば未焼成電極またはピンに成形してから、下記のように高温プレス加工を行う。103で示す工程3の一実施態様においては、原料混合物を高温プレス型とは別の成形形態に充填し、高温プレス型キャビティの寸法よりほんの僅かに小さな寸法を有する未焼成電極または未焼成ピンにプレス加工する。電極製造には、連続的に操作する押出プレスを使用して未焼成電極を形成することができる。ピン製造には、未焼成ピンをダイ押出により形成するか、または高温プレス型とは別の成形型の中で成形することができる。
【0026】
さらに、図1および図2Dに関し、所望により102で示す工程2および103で示す工程3において、乾式混合された原料を先ず熱軟化させ、熱軟化された原料混合物を形成する。次いで、熱軟化された混合物を上記のように未焼成炭素体に成型してから、下記のように高温プレス加工する。
【0027】
ここで、図1および2A−2Dに関し、原料混合段階20で製造され、104で示す工程4で高温プレス型に移された材料は、本明細書では、「高温プレス混合物」と呼ぶ。選択された特定の処理概要に応じて、用語「高温プレス混合物」は、乾式混合された原料混合物(図2A)、熱軟化された原料混合物(図2B)または未焼成炭素体(図2Cおよび2D)を説明する。
【0028】
再び図1に関し、高温プレス段階30の際に、高温プレス混合物を高温プレスし、プリフォーム体、例えばプリフォーム電極またはピンを形成する。高温プレス処理では、高温プレス混合物を、原料の少なくとも一部を融解させるのに十分な温度に加熱する。この加熱工程は、混合物の中で発熱するように、高温プレス混合物に電流を印加することを包含する。高温プレス混合物を加熱しながら、混合物に圧力を作用させ、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォーム電極またはピンを形成する。
【0029】
本発明の一実施態様においては、高温プレス混合物(すなわち乾式混合された原料または、所望により、熱軟化された原料または未焼成電極もしくはピン)を抵抗加熱し、水圧圧縮するのに好適な水圧高温プレス機構を使用し、プリフォーム炭素体、例えばプリフォーム電極またはピンを製造する。代表的な水圧高温プレス機構は、高温プレス型が一体的に取り付けられており、その型が、高温プレス混合物を受け容れ、所望のプリフォームを形成する形状を有するキャビティを備えている水圧プレスを包含する。好ましくは、高温プレス型は、所望のグラファイト化された炭素体、例えばグラファイトピンまたは電極の寸法に近い形状を有する。さらに、高温プレス型は、断熱されたハウジングの中に収容されているのが好ましい。圧力は、水圧ピストンにより高温プレス混合物に加えられ、好ましくは混合物に沿って一様な圧力が達成されるように加えられる。圧力も、縦方向が主となる(longitudinally preferred)炭素体、すなわち炭素体の縦軸に沿って最大の引張強度を与えるように配向した結晶性構造を有する炭素体が得られるように、プリフォームの縦軸に対して直角の成形方向に作用させるのが好ましい。好ましい配置では、プリフォームの縦軸を水平面内にしてプリフォームを成形するように、高温プレス型の方向を定める。次いで、圧力を、単動または複動で操作する上側および/または下側の垂直水圧ピストンにより作用させる。
【0030】
好ましい実施態様においては、高温プレス型の末端は、高温プレス混合物と電気的に接触するステンレス鋼末端板である。抵抗加熱機構は、これらの板を通して電流を高温プレス混合物に印加する。より好ましい実施態様においては、ピストンおよび高温プレス型が、それぞれ炭化ケイ素表面ライナーを有し、両方共、水圧高温プレス機構のフレームから電気的に絶縁されている。抵抗加熱機構は、高電流を低電圧で供給するための電力供給源、例えばDC電源を含む。高AC電流も意図している。DCまたはAC電源をステンレス鋼の末端板に電気的に接続する。水圧高温プレス機構は、高温プレス型キャビティ中にある高温プレス混合物の全部が実質的に一様な電流にさらされるような構造を有する。高温プレス混合物全体にわたって一般的に均一な電流および圧力条件下で、高温プレス混合物を抵抗加熱および圧縮成形することにより、プリフォーム電極またはピン全体にわたって実質的に均一な特性が得られ、さらに、使用中の破壊を引き起こす傾向がある亀裂やその他の不規則性が、著しく低減される。好ましくは、電流および圧力をプログラム化して印加することにより、高温プレス混合物に、とりわけ、所望の焼成処理に応じた、特定の原料動力学に基づいて計算される温度、圧力、加熱速度および加圧速度が与えられる。より好ましくは、水圧高温プレス機構と一体化されたプログラム化できる制御装置により、そのようなプログラム化された電流および圧力を印加する。
【0031】
再度図1に関し、104で示す工程4において、高温プレス混合物を高温プレス型のキャビティに移す。別の実施態様(図2Cまたは2D)では、未焼成炭素体は、高温プレス型のキャビティに移された高温プレス混合物である。別の実施態様(図2B)では、103で示す工程3が無く、熱軟化された原料混合物は、ミキサーから高温プレス型のキャビティに直接移された高温プレス混合物である。好ましい実施態様(図2A)では、102で示す工程2および103で示す工程3が無く、乾式混合された原料混合物は、ミキサーから高温プレス型のキャビティに直接移された高温プレス混合物である。
【0032】
104で示す工程4の、小さな炭素体の製造、例えばピンの製造に関する好ましい実施態様では、高温プレス型が水圧プレスに一体的に取り付けられている。104で示す工程4の、大きな炭素体の製造、例えば電極の製造に関する好ましい実施態様においては、高温プレス型が外部にあり、水圧プレス機構の水圧プレスから独立している。この実施態様においては、高温プレス混合物が、型に充填する場所で可動高温プレス型のキャビティに移される。高温プレス型に充填した後、型を水圧プレスの中に配置し圧縮する。高温プレス型は、上記と類似の設計であり、炭化ケイ素ライニングした側部および電気的接触に使用するステンレス鋼製末端板を有する。
【0033】
再度図1に関し、111で示す工程11は、少なくとも部分的に炭素化された原料混合物を形成するために、高温プレス混合物に対して行う、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5、を含む。抵抗加熱工程、106で示す工程6は、原料混合物に電流を印加し、混合物中で発熱させることにより、達成される。圧縮成型工程、105で示す工程5は、原料混合物に圧力を作用させることにより、達成される。好ましい一実施態様においては、圧力を、高温プレス混合物全体にわたって一般的に一様な圧力がかかる方式で作用させる。別の好ましい実施態様においては、圧力を高温プレス混合物に、プリフォームの縦軸に対して直角の成形方向で作用させ、縦方向が主となる炭素体を得る。
【0034】
ここで、図1およびは3Aに関し、好ましい処理概要を示すが、そこでは高温プレス工程、111で示す工程11が、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5、が少なくとも部分的に重なり合っている。本発明を図に示す代表的な処理概要に関して説明するが、高温プレス工程、111で示す工程11は、抵抗加熱工程、106で示す工程6、と圧縮成型工程、105で示す工程5が重なり合っていない処理概要も包含する。特に、106で示す工程6および105で示す工程5を、連続的に行うか、または106で示す工程6および105で示す工程5を交互に、もしくはサイクル状に行う処理概要も意図している。
【0035】
ここで、図1および図3Bに関し、より好ましい処理概要を示すが、そこでは、高温プレス工程、111で示す工程11が、電流および圧力をプログラム化して印加し、抵抗加熱工程、106で示す工程6、および圧縮成型工程、105で示す工程5が、高温プレス混合物に、所望の焼成処理に応じて、特定の原料動力学に基づいて計算される温度、圧力、加熱速度および加圧速度を与えることを含む。
【0036】
ここで、図1および図4に関し、代表的な処理概要を示すが、そこでは、プログラム化された印加230が、105で示す工程5で、高温プレス混合物を圧縮するための圧力印加開始310、圧力印加をある時間維持し、続いて圧力印加の終了340を包含する。印加される圧力は、部分的にグラファイト電極またはピンの所望の最終密度によって異なる。105で示す工程5の好ましい実施態様においては、水圧高温プレス機構に一体化された制御装置により、圧力のプログラム化された印加が行われる。
【0037】
さらに、図1および4に関し、プログラム化された印加230は、106で示す工程6で、高温プレス混合物を抵抗加熱するための電流印加開始320、電流印加を短時間維持し、続いて電流印加の終了330を含む。106で示す工程6の好ましい実施態様においては、制御装置により、温度のプログラム化された印加が行われる。加熱は、圧力印加の開始と同時に、またはその前に開始することができる。加熱は、圧力印加の終了と同時に、またはその後に停止することができる。好ましくは、処理時間の少なくとも一部、加熱および圧力印加の両方を同時に行い、揮発性材料を追い出して材料を緻密化する。
【0038】
ここで、図1および図3Aおよび3Bに関し、高温プレス工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)の際の高温プレス混合物の温度は、ピッチを融解させ、所望によりピッチから揮発性成分の少なくとも一部を除去し、ピッチ材料が堅くなる時に混合物の圧縮を容易にするのに十分であることが好ましい。ピッチは一般的に均質な材料ではないので、軟化点より著しく高い温度でも、ピッチマトリックス材料の一部が融解せずに残る場合があることを理解すべきである。さらに、この工程で揮発性成分の実質的に全てが除去されるが、揮発性成分の一部が、プリフォーム材料の特性を過度に損なわずに、残留することも意図している。
【0039】
本発明の別の代表的な処理概要における高温プレス工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)の際、抵抗加熱が、揮発性成分を除去し、ピッチを炭素化して混合物中に空隙または気泡を形成するのに好適な温度に、高温プレス混合物全体を急速に加熱する。加えた熱が揮発性材料を追い出す時に、機械的圧力を加え、高温プレス混合物を緻密化する。高温プレス混合物は、ピッチの場合には約500℃である炭素化温度より高い温度に達するのが好ましい。例えば、混合物を少なくとも約700℃に、より好ましくは約800℃〜約900℃に加熱するが、より高い温度も意図している。抵抗加熱の際に印加される電力は、高温プレス混合物の抵抗および所望のプログラム温度によって異なる。
【0040】
本発明の好ましい処理概要では、水圧プレス機構のプログラム化できる制御装置により、電流および圧力をプログラム化して作用させる。代表的なプログラム化された印加プロセスでは、圧縮および抵抗加熱の初期段階の際に、制御装置が先ず比較的低い電力をある時間印加する。この段階では、温度は好ましくは約300〜500℃の範囲内にある。この温度範囲で、揮発性成分の大部分が高温プレス混合物から除去される。この段階では、好ましくは温度をピッチ材料の硬化温度未満に維持する。予めプログラム化された条件、例えば経過時間および温度、で、温度をより高い温度(例えば約700℃より上、より好ましくは約800℃)に増加し、ピッチが炭化される。
【0041】
そのような代表的なプログラム化された印加プロセスでは、制御装置が、プログラム化された条件、例えば特に温度および処理時間によって異なった圧力を加えることができる。初期加熱の際は低い圧力を加え、揮発性ガスが高温プレス混合物中に捕獲される可能性を下げ、それらのガスが逃げる際の混合物の激しい破裂を阻止することができる。
【0042】
本発明の高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)は、そのような他の、代表的な水圧プレス機構または他の抵抗加熱および圧縮成形装置により行うことができるような、電流および圧力のプログラム化された印加230を包含し、原料混合物および所望のグラファイト体の動力学に応じて、所望の時間、温度および圧力プログラムにより、原料混合物の中に様々な温度および圧力を与えることを意図している。
【0043】
高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)は、原料が実質的に炭素化されているプリフォームを与える。高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)では、原料混合物の成分として高融点ピッチを使用するのが有利である。高融点ピッチは、これまで公知の方法と比較して、初期炭化の際に得られるピッチ成分のコーキング収率を大幅に増加することができる。本発明の方法の一実施態様、すなわち高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)により与えられるプリフォームは、典型的なコーキング収率約60%と比較して、約80%までのコーキング収率を有する。この高いコーキング収率は、本発明のプリフォームの炭素化度および密度が、従来の方法における初期焼成工程で製造される炭素化体と比較して、かなり高いことを反映している。
【0044】
高温プレス型のキャビティは、完成した炭素体、例えばグラファイト電極またはピンの寸法に近似するようにプリフォーム鋳造物を製造し、それによって、その後の所望の部品を形成するのに必要な機械加工を少なくするように形成するとよい。ピンの製造には、成形されたプリフォーム形状は、最終的なピン寸法に機械加工する際に、60%以下の典型的な材料収率と比較して、80%までの材料収率が達成できるように十分な寸法精度で鋳造することができる。
【0045】
図1に関し、107で示す工程7における好ましい一処理概要において、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォームを高温プレス型のキャビティから取り出し、冷却する。好ましくは、プリフォームを、酸化が著しく早く起こらなくなる温度に急冷する。例えば、プリフォームを水中に浸漬するか、または水滴または霧を吹き付け、その温度を約400〜500℃に下げる。あるいは、冷却を不活性ガス流で達成することができる。好ましくは、プリフォームを、プリフォームの亀裂を回避する速度で冷却する。
【0046】
所望により、107で示す工程7において、高温プレス加工したプリフォームを型のキャビティから取り出し、ほとんど冷却せずに、グラファイト化用の炉またはさらに緻密化するための含浸真空チャンバーに直接送ることができる。
【0047】
ここで、図1および図5Bに関し、グラファイト化段階40の所望により行う処理概要を示す。プリフォームのさらなる緻密化は、必要に応じて、一回以上の緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)を通して達成する。緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)では、ピッチまたは他の好適な炭化し得る材料をプリフォーム中に含浸させる。本発明の一実施態様においては、各含浸工程、108で示す工程8、を含浸真空チャンバー中で行う。各含浸工程、108で示す工程8の後、プリフォームを好ましくは109で示す工程9で再焼成し、ピッチを炭素化する。109で示す工程9では、プリフォームを炉中で加熱するか、または所望により高温プレス型または同等の構造物中で抵抗加熱する。プリフォームは高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)、で製造され、従って、最初から緻密であるので、従来の方法と比較して、所望の密度を達成するのに必要な緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)は少なくてよい。含浸および炭素化サイクルが少ないので、有利なことに全体的な緻密化時間が短縮される。
【0048】
ここで、図1および図5Aに関し、グラファイト化段階40の好ましい処理概要を示すが、そこでは、緻密化工程220(108で示す工程8および109で示す工程9)を無くし、プリフォームに、グラファイト化処理、110で示す工程10、を直接行う。この工程では、プリフォームを不活性雰囲気中、例えば誘導炉中で、温度約1500℃以上、より好ましくは約2000℃、最も好ましくは約2400℃に加熱し、水素および他の異原子を全て(または実質的に全て)除去し、グラファイト電極またはピンを製造する。約2400℃より上で、複合材料は完全にグラファイト化する。グラファイト化温度は、最終製品の最終用途に応じて選択されるが、一般的に、電極またはピンが使用中にさらされる最高温度より上である。
【0049】
一般的に、従来方法の初期焼成および含浸/再焼成サイクルにかかる処理時間は、炭素体、例えばグラファイト電極およびピンをこれらの方法により製造する際の全体的な処理時間の重大な要素である。本発明においては、高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)が、原料混合物を最初に炭素化するのに必要な処理時間を大幅に短縮させる。代表的なプリフォーム処理時間は、50 lbsの炭素体、例えばピンに対する処理時間約5分間、および2000 lbsの炭素体、例えば電極に対する処理時間約6時間を包含する。
【0050】
本発明においては、高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)で形成されたプリフォーム体、例えばプリフォーム電極またはピンの密度が、従来方法で一般的に達成される密度よりはるかに高い。その結果、本発明の方法により最終的な所望の密度を達成するのに使用される緻密化サイクル220は、従来の未焼成電極またはピンを焼成および再焼成する方法より少ない。これによって、さらに処理工程数が減少し、全体的な処理時間が短縮される。例えば、炭素ピンを形成するための従来の処理では6回以上の含浸工程が使用されることがあるのに対し、本発明による方法の一実施態様においては、同等の最終密度を有する炭素ピンを1または2回の含浸工程だけで達成する。
【0051】
炭素電極およびピンの製造で本発明の方法を実施することにより達成できる処理時間により、従来方法と比較して、製造過程のリードタイムが大幅に短縮されることが分かる。本発明の代表的なプロセスでは、グラファイトピンまたはグラファイト電極を形成するための全体的な製造処理時間が、従来方法における6ヶ月および35日間と比較して、約10日間である。そのような短縮されたリードタイム(すなわち全体的な製造処理時間)により、完成した商品に対する需要および原材料の供給の両方における変動を調整するための処理中の原料および完成した商品の在庫がはるかに少なくて済む。高温プレス加工工程、111で示す工程11(105、106で示す工程5および6)に必要な処理時間は、従来方法の初期焼成工程よりも、はるかに短いので、製造工程の処理量が増加する。同様に、本発明の方法を実施することにより達成される緻密化サイクル数の減少により、処理時間がさらに短縮され、処理量がさらに増加する。処理量の増加により、装置および労働力を大幅に低減することができる。本発明の方法により、リードタイムを大幅に短縮し、資本コスト、在庫管理コスト、および労働力経費を著しく節約して、炭素体が製造される。
【0052】
本発明を、新規で有用な、改良された炭素体の製造方法の好ましい実施態様に関して説明したが、そのような説明は、特許請求の範囲に規定される内容を除いて、本発明の範囲を制限するものではない。無論、上記の詳細な説明を読み、理解することにより、当業者は修正および変形を行うことができる。そのような修正および変形は、全て、請求項またはその等価物の範囲内に入る限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の炭素電極またはピンを形成するための代表的な処理概要の段階および工程を示すフローチャートである。
【図2A】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2B】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2C】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図2D】原料混合段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図3A】高温プレス加工段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図3B】高温プレス加工段階の工程の、別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図4】高温プレス加工段階の圧縮成形および抵抗加熱工程における代表的な処理概要を示す、図3Bのフローチャートの詳細図である。
【図5A】グラファイト化段階における工程の別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【図5B】グラファイト化段階における工程の別の代表的な処理概要を示す、図1のフローチャートの詳細図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コークス材料とピッチ材料とを組み合わせて、原料混合物を形成し、
(b)前記原料混合物を、抵抗圧縮加熱し、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォーム物体を形成することを含んでなる、炭素体を形成する方法であって、
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
前記原料混合物に電流を印加し、前記原料混合物中で発熱させること、および
前記原料混合物に圧力を印加すること
を包含する、方法。
【請求項2】
前記工程(b)が、前記原料混合物を、処理時間の間に抵抗圧縮加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(b)が、前記処理時間の少なくとも一部の間、前記電流および前記圧力の両方を同時に印加することをさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(b)が、前記処理時間の間、前記電流および前記圧力をプログラム化して印加することを包含し、前記プログラム化された印加により、前記原料混合物の温度が制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(b)が、前記処理時間の間、前記電流および前記圧力をプログラム化して印加することをさらに含んでなり、前記プログラム化された印加により、前記原料混合物の圧力が制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ピッチ材料が炭素化温度を有し、前記工程(b)が、前記原料混合物を、前記ピッチ材料の炭素化温度よりも高い温度に加熱することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記原料混合物が、約700℃〜約1100℃の温度に加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォーム物体を少なくとも約1500℃の最終温度に加熱し、前記炭素化されたプリフォーム物体を、少なくとも部分的にグラファイト化する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プリフォーム物体を不活性雰囲気中で、約2400℃の最終温度に加熱し、前記炭素化されたプリフォーム物体を、完全にグラファイト化する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ピッチ材料が、少なくとも約70%のコーキング収率を有するピッチを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ピッチ材料が、少なくとも約80%のコーキング収率を有するピッチを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
第一電力レベルの電流を、前記処理時間の第一部分の間印加し、前記原料混合物を第一温度に加熱すること、および
第二電力レベルの電流を、前記処理時間の第二部分の間印加し、前記原料混合物を、前記第一温度より高い第二温度に加熱すること
を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記ピッチ材料が炭素化温度を有し、前記第二温度が前記炭素化温度よりも高く、前記炭素化温度が前記第一温度よりも高い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
前記原料混合物に、第一圧力を、前記処理時間の第一部分の間かけること、および
前記原料混合物に、前記第一圧力よりも高い第二圧力を、前記処理時間の第二部分の間かけること、を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
グラファイト体を形成する方法であって、
(a)コークス材料とピッチ材料と炭素繊維材料とを含んでなる、炭素化し得る原材料を、圧縮し、
(b)前記圧縮工程の際に、前記混合物に電流を印加し、その混合物は、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォームを形成するのに十分な温度に達するように、前記電流に対して十分な電気的抵抗を有するものであり、
(c)前記含浸されたプリフォームを、少なくとも約1500℃の最終温度にグラファイト化し、グラファイト体を形成する、ことを含んでなる、方法。
【請求項16】
前記炭素化し得る原材料が、炭素化し得る原料混合物または未焼成炭素体を含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ピッチ材料が軟化点温度を有し、前記混合工程が、前記コークス材料および前記ピッチ材料を前記軟化点温度よりも高い温度に加熱することをさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炭素化し得る原料混合物を成形し、未焼成炭素体を形成する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
高温プレス機構を準備し、その高温プレス機構は、
水圧プレスと、
ある形状を有する型キャビティを有し、前記キャビティが電気的接点を包含する高温プレス型と、
前記高温プレス型に電流を供給するのに適した電力供給回路と、
を有するものであり、
前記炭素化し得る原材料を、前記キャビティの中に配置し、そして
前記高温プレス機構を操作して、前記工程(a)および(b)を達成すること、
をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
(a)コークス材料とピッチ材料とを組み合わせて、原料混合物を形成し、
(b)前記原料混合物を、抵抗圧縮加熱し、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォーム物体を形成することを含んでなる、炭素体を形成する方法であって、
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
前記原料混合物に電流を印加し、前記原料混合物中で発熱させること、および
前記原料混合物に圧力を印加すること
を包含する、方法。
【請求項2】
前記工程(b)が、前記原料混合物を、処理時間の間に抵抗圧縮加熱することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(b)が、前記処理時間の少なくとも一部の間、前記電流および前記圧力の両方を同時に印加することをさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(b)が、前記処理時間の間、前記電流および前記圧力をプログラム化して印加することを包含し、前記プログラム化された印加により、前記原料混合物の温度が制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(b)が、前記処理時間の間、前記電流および前記圧力をプログラム化して印加することをさらに含んでなり、前記プログラム化された印加により、前記原料混合物の圧力が制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ピッチ材料が炭素化温度を有し、前記工程(b)が、前記原料混合物を、前記ピッチ材料の炭素化温度よりも高い温度に加熱することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記原料混合物が、約700℃〜約1100℃の温度に加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォーム物体を少なくとも約1500℃の最終温度に加熱し、前記炭素化されたプリフォーム物体を、少なくとも部分的にグラファイト化する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プリフォーム物体を不活性雰囲気中で、約2400℃の最終温度に加熱し、前記炭素化されたプリフォーム物体を、完全にグラファイト化する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ピッチ材料が、少なくとも約70%のコーキング収率を有するピッチを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ピッチ材料が、少なくとも約80%のコーキング収率を有するピッチを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
第一電力レベルの電流を、前記処理時間の第一部分の間印加し、前記原料混合物を第一温度に加熱すること、および
第二電力レベルの電流を、前記処理時間の第二部分の間印加し、前記原料混合物を、前記第一温度より高い第二温度に加熱すること
を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記ピッチ材料が炭素化温度を有し、前記第二温度が前記炭素化温度よりも高く、前記炭素化温度が前記第一温度よりも高い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抵抗圧縮加熱する工程が、
前記原料混合物に、第一圧力を、前記処理時間の第一部分の間かけること、および
前記原料混合物に、前記第一圧力よりも高い第二圧力を、前記処理時間の第二部分の間かけること、を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
グラファイト体を形成する方法であって、
(a)コークス材料とピッチ材料と炭素繊維材料とを含んでなる、炭素化し得る原材料を、圧縮し、
(b)前記圧縮工程の際に、前記混合物に電流を印加し、その混合物は、少なくとも部分的に炭素化されたプリフォームを形成するのに十分な温度に達するように、前記電流に対して十分な電気的抵抗を有するものであり、
(c)前記含浸されたプリフォームを、少なくとも約1500℃の最終温度にグラファイト化し、グラファイト体を形成する、ことを含んでなる、方法。
【請求項16】
前記炭素化し得る原材料が、炭素化し得る原料混合物または未焼成炭素体を含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ピッチ材料が軟化点温度を有し、前記混合工程が、前記コークス材料および前記ピッチ材料を前記軟化点温度よりも高い温度に加熱することをさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炭素化し得る原料混合物を成形し、未焼成炭素体を形成する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
高温プレス機構を準備し、その高温プレス機構は、
水圧プレスと、
ある形状を有する型キャビティを有し、前記キャビティが電気的接点を包含する高温プレス型と、
前記高温プレス型に電流を供給するのに適した電力供給回路と、
を有するものであり、
前記炭素化し得る原材料を、前記キャビティの中に配置し、そして
前記高温プレス機構を操作して、前記工程(a)および(b)を達成すること、
をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【公表番号】特表2008−535751(P2008−535751A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500727(P2008−500727)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006076
【国際公開番号】WO2006/096322
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(500500125)グラフテック インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006076
【国際公開番号】WO2006/096322
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(500500125)グラフテック インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】
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