説明

点弧補助電極付き放電灯の点灯装置

【課題】主電極の点弧の信頼性を向上させることができ、またイグナイタ変圧器の小型化を図ることができる点弧補助電極付き放電灯の点灯装置を提供する。
【解決手段】主電極15bに電圧を供給する二次巻線11、点弧補助電極16に補助放電用電圧を供給する二次巻線12を有するイグナイタ変圧器8を備え、イグナイタ変圧器8が、放電灯13を点灯始動するにあたり、二次巻線11による主電極15bへの点弧用電圧の供給と、二次巻線12による点弧補助電極16への補助放電用電圧の供給とを同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載ヘッドランプ用放電灯等の点弧補助電極を備えた放電灯を点灯する点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載前照灯(ヘッドランプ)用光源として、高圧放電灯(HIDランプ)を用いたものがある。この放電灯は、従来の光源であるハロゲンランプよりも明るく、夜間の視認性に優れているため、広く普及され始めている。この放電灯の内部には、キセノン及びメタルハライドが封入されており、これらのガスを放電することで自然な白色光に近い光を得ることができる。また、この放電灯は、対向した2つの電極間でのアーク放電によって封入ガスを励起して、その励起光を光源に利用している。
【0003】
この放電灯を点灯開始するには、高電圧パルスによって上記電極間の放電(絶縁破壊)を発生させた後、この放電がアーク放電へと移行することで光源として安定する。なお、この放電灯は、電極先端がアーク放電により磨耗するので、時間の経過とともに電極間の距離が拡がる。このため、経時変化した放電灯の始動時においては、初期の電極間距離が短いものより、さらに高い電圧値の高電圧パルスが必要となる。このように使用中の放電灯では必要とされる始動時の電圧が段々と高くなるので、イグナイタにも十分に高い電圧を発生する仕様が要求される。
【0004】
従来、イグナイタ設計において高電圧出力と耐電圧対策を十分に施す必要があり、高電圧印加に対して絶縁破壊しないようにそれぞれの電気回路素子間の距離を大きくしたり、イグナイタ変圧器内部の巻線間の絶縁距離を大きくしたりする設計が生じ、結果としてイグナイタが大きくなる欠点があった。
近年の車載用放電灯の点灯装置には、小型化や軽量化の要望があるものの、イグナイタに対して十分な高電圧発生能力と耐圧性を持たせた場合、放電灯点灯装置が大型化して、さらに重量増大が生じるような好ましくない状況に至ることがある。
【0005】
このような点灯装置の小型化の要望を鑑みて、放電灯の電極間に印加する高電圧パルスであるイグナイタパルス電圧を低減する技術が提案されている。例えば、放電灯の電極に紫外線を照射することによって、低いイグナイタパルス電圧値であっても電極間の絶縁破壊を可能とした技術がある。この方法では、紫外線照射により電極の金属表面から電子が放出、供給され、低いイグナイタパルス電圧値でも初期電子が多い状態を作り出すことができるため、短絡放電を容易に達成できる。
【0006】
また、紫外線照射を用いた方法では、アーク放電させる電極間の絶縁破壊に要する電圧を低減できるので、イグナイタ変圧器の巻線数を少なくして、それぞれの電気回路素子間の距離を短くすることができることから、装置の小型化が可能である。
【0007】
このような紫外線を照射する手段としては、紫外線発光管(UVランプ)や補助放電を用いるものがある。例えば、特許文献1に開示される放電灯点灯装置では、アーク放電させる主電極を設置したガラス発光管の外側に補助放電用の点弧補助電極を配置して、この点弧補助電極に高電圧パルスを印加することで、石英ガラスのガラス発光管面に向かってパルス状の放電を発生させる。このパルス状の放電から紫外線が発生して、この紫外線が主電極に照射されて主電極表面から電子が放出し、この電子の増加に伴って主電極間での絶縁破壊放電が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2008−537289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来では、通常点灯に使用する低圧の交流電圧を主電極間に印加しておき、石英ガラスの発光体と点弧補助電極との間で高電圧パルスを印加することで主電極間を点弧する方法がとられていた。この場合、主電極間には高電圧パルスが印加されないため、始動信頼性の向上に限界がある。この始動信頼性や主電極間の距離拡大に起因する始動性の経時劣化を考慮すると、主電極及び点弧補助電極の両方に高電圧パルスを同時に印加することが効果的である。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、点弧補助電極及び主電極の両方に高電圧パルスを印加することで、誘電体バリア放電で発生した紫外線により主電極の放電を補助して主電極の点弧の信頼性を向上させることができ、またイグナイタ変圧器の小型化を図ることができる点弧補助電極付き放電灯の点灯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る点灯装置は、主電極の一方に接続され、当該主電極へ電圧を供給する第1の二次巻線と、点弧補助電極に接続され、当該点弧補助電極へ補助放電用電圧を供給する第2の二次巻線とを有するイグナイタ変圧器を備え、イグナイタ変圧器が、放電灯を点灯始動するにあたり、第1の二次巻線による主電極への点弧用電圧の供給と、第2の二次巻線による点弧補助電極への補助放電用電圧の供給とを同時に行うものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、主電極の一方に電圧を供給する第1の二次巻線、点弧補助電極に補助放電用電圧を供給する第2の二次巻線を有するイグナイタ変圧器を備え、イグナイタ変圧器が、放電灯を点灯始動するにあたり、第1の二次巻線による主電極への点弧用電圧の供給と、第2の二次巻線による点弧補助電極への補助放電用電圧の供給とを同時に行う。このようにすることで、主電極と点弧補助電極とに印加した電圧の電位差分の高電圧パルスで誘電バリア放電が発生し、この誘電バリア放電で発生した紫外線と主電極に印加される高電圧の点弧用電圧によって、主電極間をより確実に点灯始動させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1による放電灯の点灯装置の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態1による点弧補助電極付き放電灯を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1による点弧補助電極付き放電灯の概略的な構成を示す図である。
【図4】イグナイタ出力波形を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯を示す斜視図である。
【図6】実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯の概略的な構成を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図である。
【図8】この発明の実施の形態4によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図である。
【図10】この発明の実施の形態6による放電灯の点灯装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放電灯の点灯装置の構成を示す回路図であり、この発明を車載ヘッドランプ用放電灯の点灯装置に適用した場合を示している。図1に示す点灯装置1において、自動車のバッテリ2から電圧を取り出し、DC/DCコンバータ3により、12Vを任意の直流電圧へ変換する。インバータ5を用いて、この直流電圧を極性の反転する矩形波に変換し点弧補助電極付き放電灯13の一対の主電極に出力する。点弧補助電極付き放電灯13が、例えば水銀フリー放電灯である場合、定常点灯時には主電極間に±42V程度の矩形波電圧が400Hz程度の周期で印加される。
【0015】
点弧補助電極付き放電灯13を始動する場合、主電極間に高電圧パルスを印加して放電させる必要がある。この発明では、主電極間及び点弧補助電極の両方に高電圧パルスを印加し、高電圧パルスを印加した主電極と点弧補助電極との間において石英ガラスを介した誘電体バリア放電を発生させる。この誘電体バリア放電から生じる紫外線を主電極に照射することで、主電極間の放電を確実に発生できる。なお、紫外線照射による補助で主電極間を低い電圧で絶縁破壊することが可能である。
【0016】
従来の放電灯点灯装置では、1つの一次巻線に1つの二次巻線を有する変圧器で高電圧パルスを発生させたが、この発明では、1つのコアに対して2つの二次巻線11,12を巻回したイグナイタ変圧器8を用いて、点弧補助電極に印加する高電圧パルスと、一対の主電極に印加する高電圧パルスとを発生する。また、イグナイタ変圧器8は、主電極及び点弧補助電極へ同時に高電圧パルスを印加できる。なお、イグナイタ変圧器8の一次側では、高電圧パルスを発生させるためのパルス発生用のトリガ電圧を発生する。
【0017】
DC/DCコンバータ4は、自動車のバッテリ2から12Vの直流電圧を入力すると、この電圧値を12Vから800V程度に昇圧する。この昇圧された直流電圧とDC/DCコンバータ3で発生した電圧とを加算して点弧キャパシタ7を充電する。この点弧キャパシタ7は、イグナイタ変圧器8の一次巻線9とギャップスイッチ6と直列に接続される。
【0018】
一方、点弧キャパシタ7の一次巻線9と接続する一端は、インバータ出力5aにも接続しており、インバータ5は、点弧キャパシタ7が高電圧側に接続されるように動作する。また、インバータ出力5aは、イグナイタ変圧器8の二次巻線(第1の二次巻線)11を介して点弧補助電極側の主電極に接続し、二次巻線(第2の二次巻線)12を介して接点14で点弧補助電極に接続する。なお、インバータ5のインバータ出力5bは、点弧補助電極側でない他方の主電極に接続している。
【0019】
点弧キャパシタ7の充電電圧が400Vに達すると、ギャップスイッチ6がオンして、パルス状の電流がイグナイタ変圧器8の一次側に流れる。これによって、二次側に高電圧パルスが発生して、主電極及び点弧補助電極の両方に高電圧パルスが同時に印加される。このとき、主電極と点弧補助電極との間で誘電バリア放電が発生し、この誘電バリア放電で発生した紫外線が主電極に照射されて主電極間の放電が補助され、さらに絶縁破壊してアーク放電に移行する。この後、インバータ5を動作させ、主電極間に印加する電圧を、周期が400Hz程度の±42V程度の矩形波電圧にして定常点灯状態に至る。
【0020】
図2は、実施の形態1による点弧補助電極付き放電灯を示す斜視図である。図2において、主電極15a,15bは、石英ガラスで形成した発光管17の内部に対向するように設けられる。点弧補助電極付き放電灯13は、これら主電極15a,15b間に発生するアーク放電の放電光を光源として用いている。
【0021】
また、主電極15a,15bは、発光管ネック17a,17bにおいて封止されており、さらにMo箔20a,20bを介して主電極リード線21a,21bにそれぞれ接続している。Mo箔20a,20b及び主電極リード線21a,21bを発光管17の両側に延びた石英ガラス管に挿入し、石英ガラス管を加熱軟化させてMo箔20a,20bごとピンチして発光管封止部18a,18bを形成することで、発光管17内部に充填されているキセノンガスとメタルハライドが漏れないように構成している。
【0022】
発光管封止部18bから外部へ出ている主電極リード線21bが、図1に示すイグナイタ変圧器8の二次巻線11の一端に接続しており、この二次巻線11を介してインバータ5におけるインバータ出力5aに接続している。また、発光管封止部18aから外部へ出ている主電極リード線21aは、外側リード線22を介して、インバータ5のインバータ出力5bに接続する。
【0023】
図2の例では、点弧補助電極16が発光管ネック17bに巻き付けて固定されており、点弧補助電極16の放電を発生させる部位が、発光管17の球体面の外側で主電極15bに近接する位置に配置されている。点灯始動時において、主電極15aにイグナイタ回路内部の接地極が接続され、高電圧側の主電極15bには、図4で後述するように、点灯補助電極16に対して逆極性の高電圧パルスが印加される。このとき、主電極15bと点弧補助電極16との間で誘電バリア放電が発生するが、主電極15bと点弧補助電極16との距離が近いほど、高電界が形成され、誘電バリア放電が発生しやすくなる。
【0024】
特に、図2に示すように、点弧補助電極16を、発光管17と発光管ネック17bとに接するように巻き付けると、点弧補助電極16となるワイヤが固定され、主電極15bと点弧補助電極16の間には発光管17の壁面が介在するようになる。この主電極15bと点弧補助電極16との間に位置する発光管17の石英ガラス内壁面が、誘電体バリア放電における誘電バリアとなる。
【0025】
一方、この点弧補助電極16に電圧を印加するための外部との接続線である点弧補助電極ワイヤ部23は、発光管封止部18bのMo箔20bが埋め込まれている部位から遠ざけるようにワイヤを張って構成する。例えば、外管19の直径がφ8mm程度であるが、この場合、点弧補助電極ワイヤ部23のワイヤを外管19の内壁面近傍に沿って張っている。
【0026】
点弧補助電極16において、誘電バリア放電が発生する部位は、点弧補助電極ワイヤ部23のワイヤ先端部となる。また、点弧補助電極ワイヤ部23とMo箔20bとの間は、図2に破線で示すように浮遊容量24が形成される。高電圧パルスの発生初期では、高電圧パルスが浮遊容量24の充電に費やされて、点弧補助電極16の先端部分の高電圧値が低下する。そこで、実施の形態1では、点弧補助電極ワイヤ部23とMo箔20bの間を遠ざけて配置して浮遊容量24の値を低減し、浮遊容量24が充電される時間を短くしている。
【0027】
図3は、実施の形態1による点弧補助電極付き放電灯の概略的な構成を示す図であり、点弧補助電極16と外管19との位置関係を明確にするために、外管19のみを断面で示している。点弧補助電極を備えていない従来の放電灯では、外管がその両端で発光管の端部と融着されて外気に対して閉じている。これに対して、実施の形態1による点弧補助電極付き放電灯13では、図3に示すように、外管19の内壁と発光管17の端部との接合部位に点弧補助電極ワイヤ部23が貫通している。
【0028】
図4は、イグナイタ出力波形を示す図であり、図4(a)は、点弧補助電極を設けず、主電極のみに高電圧パルスを印加する従来のイグナイタによる出力波形を示しており、図4(b)は、主電極と点弧補助電極の両方に高電圧パルスを印加する実施の形態1による構成の出力波形を示している。図4(a)において、主電極の電圧値M1として400Vの直流電圧を印加し、図1に示す点弧キャパシタの充電電圧が400Vに達するとギャップスイッチがオンしてパルス状の電流がイグナイタ変圧器の一次側に流れ、二次側に高電圧パルスが発生する。これにより、主電極の電圧値M1にパルス幅A(360ms程度)の−20kV程度の高電圧パルス(イグナイタパルス)が印加される。
【0029】
これに対し、この発明では、イグナイタ変圧器8が、主電極15bと点弧補助電極16の両方に高電圧パルスを同時に印加する。このとき、点弧補助電極16に対して遠方の主電極15aが接地側となり、図4(b)に示すように、点灯補助電極16に近い主電極15bに負極性のイグナイタパルス(M1)が印加され、さらに点弧補助電極16に正極性のイグナイタパルス(S)が印加される。
【0030】
ここで、イグナイタ変圧器8の設計において、装置内部の絶縁破壊電圧の最大出力電圧をVdと設計とした場合、イグナイタ変圧器8の2次側の主電極15bへの最大出力値を−Vdとし、イグナイタ変圧器8の2次側の点弧補助電極16への最大出力値を+Vdとすることで、主電極15bと点弧補助電極16との間の電圧差を|2Vd|とすることができる。
【0031】
このように、主電極15a,15b間に従来通りに電圧値Vdを印加し、新たに設けた点弧補助電極16にもVd程度の電圧を逆極性で印加することから、イグナイタ変圧器の設計基準を変更せずに2Vd程度の電圧差が得られる。この電位差(図4(b)に示すイグナイタパルスS,M1のピーク値の差)によって、発光管17の石英ガラスを介して発光管17内部のガスが絶縁破壊(誘電バリア放電)し、紫外線が発生する。
【0032】
主電極15b及び点弧補助電極16への高電圧パルスの印加に起因した誘電バリア放電で紫外線が生じると、この紫外線が主電極15bに直ちに照射されて、光電効果によって主電極15bから電子が発生するので、主電極15a,15b間で絶縁破壊し易くなる。また、主電極15a,15b間での放電を補助されるので、図4に示すように、図4(a)のイグナイタパルスよりも、図4(b)のイグナイタパルスの電圧値の絶対値を小さくできる。つまり、点弧補助電極16による補助の結果として、主電極15bと点弧補助電極16の両方に印加するイグナイタパルスの電圧値Vdを押し下げることが可能となる。
【0033】
イグナイタ変圧器の出力値Vdを大きくするためには、その設計上、イグナイタ変圧器の二次巻線を巻回するボビンを大きくして、絶縁破壊に耐えうる耐圧をとる必要があり、小型化を妨げる要因となっていた。例えば、水銀を含む従来の放電灯では、定常点灯時に0.4A程度の電流が二次巻線に流れ、水銀フリー放電灯では0.8A程度の電流が二次巻線に流れる。このため、二次巻線としては、耐圧のある太い導線を多数巻回する必要があり、不可避的に二次巻線用ボビンが大きくなる。
【0034】
これに対して、この発明では、点弧補助電極16による補助の結果、主電極15bと点弧補助電極16の両方に印加するイグナイタパルスの電圧値Vdを押し下げることが可能である。従って、イグナイタ変圧器8における主電極15bに接続する二次巻線11は、耐圧のある太い導線を従来より少数巻回すればよい。
一方、イグナイタ変圧器8における点弧補助電極16に接続する二次側には、誘電バリア放電用としてインパルス(単発)電流を通電するだけでよいため、点弧補助電極16に接続する二次巻線12は、二次巻線11より耐圧の低い細い導線を多数巻回すればよい。これにより、二次巻線用ボビンのサイズを従来よりも小さくすることができ、ひいては点灯装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0035】
以上のように、この実施の形態1によれば、主電極15bに電圧を供給する二次巻線11、点弧補助電極16に補助放電用電圧を供給する二次巻線12を有するイグナイタ変圧器8を備え、イグナイタ変圧器8が、放電灯13を点灯始動するにあたり、二次巻線11による主電極15bへの点弧用電圧の供給と、二次巻線12による点弧補助電極16への補助放電用電圧の供給とを同時に行う。このように、主電極15b及び点弧補助電極16の両方に高電圧パルスを同時に印加して誘電体バリア放電を発生させ、この誘電体バリア放電で発生した紫外線により主電極15a,15b間の放電を補助することから、主電極の点弧の信頼性を向上させることができる。また、上記補助により、主電極15bと点弧補助電極16の両方に印加する電圧を低く抑えることが可能なため、イグナイタ変圧器8の小型化を図ることができる。
【0036】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯を示す斜視図である。図5において、固定金具(外部端子)25は、外部から外管19を支持して、実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯13を固定する。図5では、主電極15b側に上下2本の固定金具25を記載しているが、実際は、主電極15b側横にも同様に左右2本の固定金具25が設けられ、合計4本の固定金具25で外管19を挟み込むように支持する。
【0037】
また、実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯13では、上記実施の形態1で示した図2と異なり、点弧補助電極16とイグナイタ変圧器8の二次巻線12とが、固定金具25と点弧補助電極ワイヤ部23に接続する電極23aとの間に形成される容量結合コンデンサ26を介して接続される。
【0038】
図6は、実施の形態2による点弧補助電極付き放電灯の概略的な構成を示す図であり、点弧補助電極16と外管19との位置関係を明確にするために、外管19のみを断面で示している。この実施の形態2では、点弧補助電極ワイヤ部23を外管19から貫通させて接続するのではなく、イグナイタ変圧器8の出力が急峻な高電圧パルスであることを考慮して、図5及び図6に示すように、点弧補助電極16とイグナイタ変圧器8の結線の間に容量結合コンデンサ26を挿入する。
【0039】
従来でも固定金具25によって放電灯が固定されており、固定金具25は、他から絶縁された状態で電源回路の接地電極やイグナイタ変圧器8などと接続していない。従って、外管19の固定金具25に対向する内壁に電極を貼り付ければ、固定金具25と外管19とが接している外管19の壁部位で容量結合コンデンサを形成できる。
【0040】
そこで、この実施の形態2では、点弧補助電極ワイヤ部23の末端を、外管19の固定金具25に対向する内壁に設けた電極23aに接続し、さらに固定金具25をイグナイタ変圧器8の二次巻線12に接続することで、外管19を貫通することなく、点弧補助電極16とイグナイタ変圧器8とを電気回路的に接続している。
【0041】
なお、容量結合コンデンサ26の静電容量C26と、点弧補助電極ワイヤ部23がMo箔20bとの間で形成する浮遊容量24(図2参照)の容量C24とは、C26>C24の関係になるように容量結合コンデンサ26を形成する。これは、主電極15bと点弧補助電極16の間で誘電バリア放電を発生させる際、浮遊容量24を小さくすれば、浮遊容量24を充電する時間を短くでき、直ちに主電極15bと点弧補助電極16と間での印加電圧が高電圧に達するからである。さらに、静電容量C26が容量C24よりも大きくなるようにすることで、立ち上がりの速い高圧パルスを、容量結合コンデンサ26において通過し易くなる。
【0042】
コンデンサは周波数の速い電圧を通過させることが容易なので、容量結合コンデンサ26の静電容量をできるだけ大きくすべきであるが、実際には、固定金具25が外管19に当接する部分の面積も決まっており、さらに高圧放電灯で発光された光を遮蔽しないようにする必要もある。このため、固定金具25が外管19に当接する部分と同等の面積の電極23aを外管19の内壁に設け、この面積をコンデンサ面積とすればよい。
【0043】
以上のように、この実施の形態2によれば、点弧補助電極16と接続するイグナイタ側の電極23aを外管19の内側壁面に沿わせて配置し、外管19を介してイグナイタ変圧器8の出力端子を電極23aに対向する位置に配置して、この出力端子及び電極23aと外管19の壁面の間に形成される容量結合コンデンサ26を介して点弧補助電極16とイグナイタ出力を接続する。このように点弧補助電極ワイヤ部23で外管19を貫通しない構造としたので、外管19の構造的な耐久性や気密性を損なわず、点弧補助電極16に高電圧パルスを印加することができる。
【0044】
特に、イグナイタ変圧器8の出力端子として、点弧補助電極付き放電灯13を支持する固定金具25を用いれば、固定金具25が外管19との接触面積が大きく、静電容量の大きな容量結合を実現することができる。なお、従来では、固定金具25に点弧補助電極が接続されていない場合、意図しない部分放電が生じて放電エネルギーのロスとなっていたが、点弧補助電極16を容量結合することにより点弧補助電極16へ高電圧パルスを印加することができ、意図しない部分放電がなくなり、放電エネルギーのロスがなくなる。
【0045】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図であり、実施の形態3によるイグナイタ変圧器8は、例えば実施の形態1,2の構成に適用される。この発明によるイグナイタ変圧器8は、棒状のコア(例えば、鉄及びフェライト)に絶縁被覆層付きの巻線が巻回される構造を有し、特に1つの一次巻線9に対して、2つの二次巻線11,12が巻回される。
【0046】
実施の形態3によるイグナイタ変圧器8では、図7に示すように、一次巻線9を棒状のコア27のほぼ中心部に巻回して、その両側に二次巻線11,12をそれぞれ巻回する。二次巻線11,12は高電圧を発生する巻線であり、さらに、図7では1つのコア27に2つの二次巻線11,12を巻回するため、高電圧に対する絶縁対策が必要となる。
【0047】
そこで、実施の形態3では、コア27の一端から主電極用の二次巻線11として導線を絶縁距離LS2だけとって巻回し、コア27の他端から点弧補助電極用の二次巻線12として導線を絶縁距離LS1だけとって巻回し、さらにコア27に巻回した二次巻線11,12の間に二次巻線11,12間で絶縁がとれる絶縁距離LPだけとって一次巻線9となる導線を巻回する。
【0048】
また、二次巻線11,12は、上記実施の形態1で示した図1のように結線することから、これらの端部を同電位にするため、図7に示すように、一次巻線9と隣接している二次巻線11,12の各端部11a,12aを結線している。
【0049】
さらに、2つの二次巻線11,12の巻回方向を一次巻線9と同一方向にすることで、同電位に結線された端部11a,12aを基準として、正と負の両極性の高電圧を取り出すことが可能となる。ここで、端部11a,12aは、図1に示すインバータ5の出力5b,5aにそれぞれ接続され、端部11b,12bは、主電極15b,点弧補助電極16にそれぞれ接続される。この場合、高電圧部となる二次巻線11,12が、それぞれコア27の末端部に位置してコア27上で最も離れた部位となり、絶縁距離を十分にとることが可能となる。なお、このイグナイタ変圧器8を絶縁油や絶縁用の樹脂の中に挿入してもよい。
【0050】
点弧補助電極用の二次巻線12に印加される電圧をVS1とし、主電極用の二次巻線11に印加される電圧をVS2とした場合、これら電圧値がVS1>0>VS2の関係になるようにする。つまり、点弧補助電極用の二次巻線12に印加される電圧VS1は正極で、主電極用の二次巻線11に印加される電圧VS2は負極となる。
【0051】
このように、点弧補助電極16に正極の電圧VS1を印加し、主電極15bに負極の電圧VS2を印加することによって、主電極15bと点弧補助電極16との間で|VS1|+|VS2|の高電圧が印加され、発光管17の石英ガラス壁面を介していても十分な誘電体バリア放電を発生することが可能となる。
【0052】
例えば、VS2は−25〜−20kVになるように設定するとよい。この範囲の高電圧パルスを印加することができれば、車載用放電灯の初期から寿命末期まで十分に短絡放電を形成することができる電圧値である。また、VS1は、+20〜+25kVの値の範囲で設定される。この範囲の電圧を点弧補助電極16に印加することで、主電極15bと点弧補助電極16との間に上記高電圧が印加され、極めて強い誘電体バリア放電が形成される。なお、イグナイタ変圧器8では、高電圧の目標値をVS1及びVS2に設定することができる。
【0053】
イグナイタ変圧器8が始動すると、二次巻線11,12からの高電圧が時間の経過と共に徐々に上昇する。この高電圧が上昇する割合(単位時間あたりの上昇電圧値)は、主電極15a,15b間よりも、点弧補助電極16と主電極15bとの間で電圧が上昇する割合の方が大きい。
【0054】
さらに、主電極15bと点弧補助電極16との間は、発光管17の石英ガラス壁面を介しているものの、極めて近接しており、主電極15a,15b間の短絡放電よりも、時間的に早く誘電体バリア放電が発生する。この誘電体バリア放電で発生した紫外線を主電極15bに照射することができる。
【0055】
主電極15bも高電圧VS2に向かって電圧が上昇している過程にあるが、紫外線照射によって極めて速く短絡放電に移行するため、電圧がVS2に達する前に主電極15a,15b間の短絡放電が形成される。この現象により、主電極15a,15b間の短絡放電が容易に達成しやすくなり、放電灯13の始動の信頼性が向上する。さらに、寿命末期には主電極15a,15b間が磨耗のため間隔が拡がっているが、このような距離でも短絡放電を形成することができ、始動性を維持できる。
【0056】
以上のように、この実施の形態3によれば、棒状のコア27に対して二次巻線11,12を軸方向の両端部に分配して巻回し、二次巻線11,12をそれぞれ巻回した部位の間となるコア27の中央部に一次巻線9を巻回し、二次巻線11,12の隣接する端部11a,12aを結線してイグナイタ変圧器8を構成したので、1つのイグナイタ変圧器8から出力として2つの高電圧パルスを得ることができる。
【0057】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図であり、実施の形態4によるイグナイタ変圧器8は、例えば実施の形態1,2の構成に適用される。実施の形態4によるイグナイタ変圧器8は、上記実施の形態3で図7を用いて示した構成とほぼ同様であるが、一次巻線9が二次巻線11,12上に巻回されている点で異なる。ここで、二次巻線11,12は、上記実施の形態3と同様に絶縁距離をとるために、コア27の両端にそれぞれ導線を巻回して構成する。また、上記実施の形態1で示した図1のように結線することから、二次巻線11,12の一端を同電位にするため、二次巻線11,12上に巻回された一次巻線9の間から引き出した二次巻線11,12の端部11a,12aをそれぞれ結線している。
【0058】
二次巻線11,12の巻回方向は、一次巻線9と同一方向とすることで、同電位に結線された端子11a,12aを基準として、正と負の両極性の高電圧を取り出すことが可能となる。ここで、端部11a,12aは、図1に示すインバータ5の出力5b,5aにそれぞれ接続し、端部11b,12bは、主電極15b,点弧補助電極16にそれぞれ接続する。この場合、高電圧部となる二次巻線11,12がそれぞれコア27の両端部に位置し、正と負の高電圧部である二次巻線11,12が最も離れた位置になるように構成されているため、絶縁距離を十分にとることができる。また、一次巻線9は、高電圧を発生する二次巻線11,12上に巻回するため、絶縁対策を施す必要があり、例えば一次巻線9として絶縁耐力のあるテフロン(登録商標)皮膜の導線を用いる。
【0059】
以上のように、この実施の形態4によれば、棒状のコア27に対して二次巻線11,12を軸方向の両端部に分配して巻回し、二次巻線11,12上に耐圧被覆を施した導線からなる一次巻線9を巻回し、二次巻線11,12の隣接する端部11a,12aを結線してイグナイタ変圧器8を構成したので、上記実施の形態1の構成と比較して一次巻線9分のスペースが短くなることから、イグナイタ変圧器8の小型化を図ることができ、さらに結合が高まり性能向上も図ることができる。
【0060】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5によるイグナイタ変圧器を模式的に示す図であり、実施の形態5によるイグナイタ変圧器8は、例えば実施の形態1,2の構成に適用される。図9において、実施の形態5によるイグナイタ変圧器8は、上記実施の形態3と同様に、棒状のコア27の軸方向の両端に二次巻線11,12が巻回され、それぞれ絶縁板29を介してコア27の中央部に一次巻線9が巻回される。二次巻線11,12のコア27の端部側には、平面コア28がそれぞれ配置される。
【0061】
また、実施の形態5による一次巻線9及び二次巻線11,12のコイルは、上記実施の形態3,4と異なり、導線を薄く円盤状に巻回して構成されている。さらに、高電圧部となる二次巻線11,12の絶縁距離をとるため、上記実施の形態3,4と同様に、二次巻線11,12となる導線がコア27の両端部にそれぞれ巻回される。なお、図9では、説明の簡単のため、棒状のコア27を含めた構成部品を分離して記載しているが、実際には、一次巻線9や二次巻線11,12によるコイルと平面コア28、絶縁板29は密着して配置され、コア27はこれらの中央を貫通している。
【0062】
実施の形態5においても、上記実施の形態1で示した図1のように結線することから、二次巻線11,12の一端を同電位にするため、互いに隣接する端部11a,12aを上記実施の形態3,4と同様に結線する。ここで、端部11a,12aは、図1に示すインバータ5の出力5b,5aにそれぞれ接続され、端部11b,12bは、主電極15b,点弧補助電極16にそれぞれ接続される。
【0063】
このように、高電圧部となる二次巻線11,12が薄い円盤状に巻回されて、巻線の中心部分又はコア27の極近傍に配置されることから、イグナイタ変圧器8を放電灯点灯装置内部に組み込んだ場合に周囲との絶縁性を高めることができる。
【0064】
一次巻線9及び二次巻線11,12のコイルをそれぞれ円盤状に薄く巻回することで、一次巻線9から放射される磁束を近接する二次巻線11,12が受け取ることができ、磁束の漏れを少なくし、効率のよいトランスを実現することが可能である。また、二次巻線11,12にコア27の端部側に隣接して平面コア28を配置することで、磁束の漏れを抑制することができる。さらに、高電圧部となる二次巻線11,12と一次巻線9との間の絶縁性を確保するために、絶縁板29を挿入して絶縁耐力を高めている。
【0065】
以上のように、この実施の形態5によれば、棒状のコア27に対して二次巻線11,12を軸方向の両端に分配して平面コア28を挟んで円盤状に巻回し、さらに絶縁板29をそれぞれ介してコア27の中央部に一次巻線9を円盤状に巻回し、二次巻線11,12の隣接する端部11a,12aを結線してシート状のイグナイタ変圧器8を構成したので、上記実施の形態3,4と同様に1つのイグナイタ変圧器8から2つの高電圧パルスを得ることができる。また、一次巻線9及び二次巻線11,12を平板の円盤状に巻くことで、薄型化を図ることができる
【0066】
なお、上記実施の形態3〜5では、コア27として棒状コアを用いる場合を示したが、管状のコアであっても同様の効果を得ることができる。
【0067】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6による放電灯の点灯装置を示す図である。図10において、イグナイタ変圧器8は、上記実施の形態5とほぼ同様の構成であるが、中心部分のコアを管状のコア30としている点で異なる。点弧補助電極付き放電灯13は、上記実施の形態1,2と同様の構成を有しており、主電極15bに接続する主電極リード線21bが、図10に示すように、外管19と同軸状に延びて設けられ、石英ガラスにより筒状に覆われた部分が突き出すように成型される。主電極リード線21bを覆う筒状部分が、イグナイタ変圧器8の管状のコア30を貫通して主電極リード線21bとイグナイタ変圧器8との絶縁が保持される。
【0068】
主電極リード線21bは、イグナイタ変圧器8の主電極接点31bを介して、二次巻線11の端部11bと接続されており、イグナイタ変圧器8の二次側高電圧端子から高電圧が供給される。主電極15aに接続する外側リード線22は、放電灯13の下側に配線され、主電極接点31aを介してインバータ5のインバータ出力5bに接続される。インバータ5のインバータ出力5aは、図1に示すように配線するため、図10のように一次巻線9及び二次巻線11,12の一端に接続される。一次巻線9の他端は、一次巻線端子9aとしてインバータ出力5aとの間にギャップスイッチ6及び点弧キャパシタ7を介して接続される。
【0069】
一方、点弧補助電極16は、接点14を介してイグナイタ変圧器8のもう一方の高電圧側端子である二次巻線12の端部12bに接続される。この点弧補助電極16の接点方式としては、溶接や半田付けによる他、接触するだけの接触方式を使用することができる。これは、主電極接点31a,31bには定常点灯時に0.4〜3Aの電流が流れるため、確実に接点が保持される必要がある一方、点弧補助電極16の接点14には始動時の高電圧しか印加されないため、接触点が少々浮いても高電圧のために火花が飛んで電流を流すことができるからである。
【0070】
以上のように、この実施の形態6によれば、コイルを管状コア30上に円盤状に形成したイグナイタ変圧器8を設け、管状コア30を介して点弧補助電極付き放電灯13をイグナイタ変圧器8と一体に構成したので、放電灯13とイグナイタ変圧器8の各構成部品を密接して組み立てることが可能である。これにより、上記実施の形態5によるイグナイタ変圧器8と同様の効果が得られ、かつ放電灯点灯装置の小型化、薄型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 点灯装置、2 バッテリ、3,4 DC/DCコンバータ、5 インバータ、5a,5b インバータ出力、6 ギャップスイッチ、7 点弧キャパシタ、8 イグナイタ変圧器、9 一次巻線、11,12 二次巻線(第1の二次巻線、第2の二次巻線)、11a,11b,12a,12b 端部、13 点弧補助電極付き放電灯、14,31a,31b 接点、15a,15b 主電極、16 点弧補助電極、17 発光管、17a,17b 発光管ネック、18a,18b 発光管封止部、19 外管、20a,20b Mo箔、21a,21b 主電極リード線、22 外側リード線、23 点弧補助電極ワイヤ部、23a 電極、24 浮遊容量、25 固定金具(外部端子)、26 容量結合コンデンサ、27,30 コア、28 平面コア、29 絶縁板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒体となるガスが内部に封入され、対向して配置した一対の主電極を有する発光管と、前記発光管外に設けられ、前記主電極間の放電を補助する補助放電を行う点弧補助電極とを備えた放電灯を点灯する点灯装置において、
前記主電極の一方に接続され、当該主電極へ電圧を供給する第1の二次巻線と、前記点弧補助電極に接続され、当該点弧補助電極へ補助放電用電圧を供給する第2の二次巻線とを二次側に有するイグナイタ変圧器を備え、
前記イグナイタ変圧器は、
前記放電灯を点灯始動するにあたり、前記第1の二次巻線による前記主電極への点弧用電圧の供給と、前記第2の二次巻線による前記点弧補助電極への補助放電用電圧の供給とを同時に行うことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
イグナイタ変圧器は、第1の二次巻線により主電極へ負極性の点弧用電圧を供給し、第2の二次巻線により点弧補助電極へ正極性の補助放電用電圧を供給することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
第1の二次巻線に接続する主電極の近傍に点弧補助電極を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の点灯装置。
【請求項4】
点弧補助電極と第1の二次巻線とを接続する配線を、第1の二次巻線と主電極との接続経路から最も離して配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項5】
点弧補助電極は、発光管の主電極近傍の外壁部に一端を配置し、当該主電極を前記発光管内に封止する封止部に他端を巻き付けて固定したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項6】
イグナイタ変圧器は、棒状又は管状のコアの軸方向の両端に第1及び第2の二次巻線をそれぞれ巻回し、前記コアの中央部に一次巻線を巻回したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項7】
イグナイタ変圧器は、棒状又は管状のコアの軸方向の両端に第1及び第2の二次巻線をそれぞれ巻回し、前記第1及び前記第2の二次巻線を巻回した部位の上側に一次巻線を巻回したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項8】
イグナイタ変圧器は、棒状又は管状のコアの軸方向の両端に、当該コアが貫通する平面コアを前記両端側に介して第1及び第2の二次巻線を円盤状にそれぞれ巻回し、当該コアが貫通する絶縁板をそれぞれ介した当該コアの中央部に一次巻線を円盤状に巻回したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項9】
放電管は、発光管を収納し、内部が外気から密閉された外管を備え、
前記外管内の前記発光管の外部に保持された点弧補助電極に接続され、前記外管の内壁に設けた電極と、前記外管の前記電極に対向する外壁部に設けた外部端子との間に形成される容量結合コンデンサを介して、前記点弧補助電極と前記第2の二次巻線とを接続したことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−225376(P2010−225376A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70273(P2009−70273)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】