説明

点鼻用懸濁水性液剤

【課題】調製が容易で、長期にわたり安定性を保ち、再分散性が良好で、点鼻後の滞留性が高く、かつ使用感に優れた点鼻用懸濁水性液剤を提供すること。
【解決手段】次の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f):
(a)式(1)


[式中、Rは水酸基又はシクロヘキシルカルボニルオキシ基を示す。]
で表される化合物又はその溶媒和物
(b)結晶セルロース・カルメロースナトリウム 0.1〜5w/w%(c)ヒドロキシプロピルセルロース 0.05〜1w/w%(d)非イオン性界面活性剤 0.001〜0.2w/w%(e)湿潤剤
(f)緩衝剤
を含有する点鼻用懸濁水性液剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロイド系抗炎症剤を主剤とする安定性、再分散性、点鼻後の滞留性及び使用感に優れた点鼻用懸濁水性液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式で表されるステロイド誘導体は、強力な局所抗炎症作用を有すると共に経皮吸収による全身的副作用が減弱された化合物である(特許文献1)。
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、R1は特許文献1で定義されたものである。)
【0005】
当該化合物は、選択性の高い局所抗炎症作用を有するため、気管支喘息等の炎症性気道疾患の治療に有用な粉末状吸入剤として製剤化されているが(特許文献2)、近年、当該化合物の性質を利用した、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎等の鼻過敏症、副鼻腔炎等の上気道炎症性疾患の予防及び治療を目的とした点鼻用水性液剤の開発が望まれている。
【0006】
一方、水難溶性の薬物を水性液剤とするには、懸濁化剤として結晶セルロース・カルメロースナトリウムを用いる方法が知られている(特許文献3〜5)。結晶セルロース・カルメロースナトリウムの添加により、不均一化が生じにくい液剤が得られる。しかし、薬物によっては、経時的に不均一化が起こるため、結晶セルロース・カルメロースナトリウムにアルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムを更に添加する方法(特許文献6)、薬物粒子の形状を球形にする方法(特許文献7及び8)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの非イオン性セルロースエーテル類を更に添加する方法(特許文献9)が提案されている。
【0007】
式(I)で表される化合物を点鼻用懸濁水性液剤とするには、当該化合物が極めて難溶性であり、また鼻粘膜に適用する製剤の刺激性は極力低いほうが望ましく、大量の界面活性剤や有機溶媒を用いた薬物の可溶化は困難なことから、懸濁液の剤形を取らざるを得ない。懸濁剤としては結晶セルロース・カルメロースナトリウムが汎用されているが、上記化合物を結晶セルロース・カルメロースナトリウムのみで懸濁液とすることは難しい。また、懸濁液剤は、スプレー式の点鼻用定量噴霧容器で投与されることが多いが、容器のノズル部分に微粒子の凝集・付着が生じ、一定量が噴射されない場合もある。
【特許文献1】特公平7−116215号公報
【特許文献2】特開平2004−18440号公報
【特許文献3】特開平10−259132号公報
【特許文献4】特表2003−506396号公報
【特許文献5】特表2004−503486号公報
【特許文献6】特開平11−130658号公報
【特許文献7】特開平11−130659号公報
【特許文献8】特表2004−503489号公報
【特許文献9】特開平11−130660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、調製が容易で、長期にわたり安定性を保ち、スプレーで定量噴射され、再分散性が良好で、点鼻後の滞留性が高く、かつ使用感に優れた点鼻用懸濁水性液剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討を行った結果、下記式(1)で表される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物を特定量の結晶セルロース・カルメロースナトリウム及び特定量のヒドロキシプロピルセルロースで懸濁し、更に特定量の非イオン性界面活性剤、湿潤剤及び緩衝剤を添加してなる水性液剤が、調製時の凝集がなく製造が容易で、当該化合物の含量低下がなく、懸濁安定性に優れ、再分散性が良好なうえ、鼻粘膜に対する刺激が少なく、かつ粘膜滞留時間が長いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、次の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f):
(a)式(1)
【0011】
【化2】

【0012】
[式中、Rは水酸基又はシクロヘキシルカルボニルオキシ基を示す。]
で表される化合物又はその溶媒和物
(b)結晶セルロース・カルメロースナトリウム 0.1〜5w/w%(c)ヒドロキシプロピルセルロース 0.05〜1w/w%(d)非イオン性界面活性剤 0.001〜0.2w/w%(e)湿潤剤
(f)緩衝剤
を含有する点鼻用懸濁水性液剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤は、調製が容易で、スプレーで定量噴射され、薬剤の含量低下がなく、懸濁安定性に優れ、再分散性が良好であり、鼻粘膜に対する刺激が少なく、かつ滞留時間が長いため、安全性、安定性、使用感及び製造性に優れ、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎等の鼻過敏症、副鼻腔炎等の上気道炎症性疾患の予防及び治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
前記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」)のRとしては、水酸基又はシクロヘキシルカルボニルオキシ基であり、シクロヘキシルカルボニルオキシ基が好ましい。また、化合物(1)は、製造時、精製時に用いた溶媒、例えば水、アルコール等が付加した水和物又は溶媒和物として存在することもある。
【0015】
化合物(1)は無色結晶であり、例えば、特公平7−116215号公報記載の方法によって製造できる。化合物(1)は、懸濁安定性の点から、平均粒径20μm以下のものが好ましく、より好ましくは7μm以下、特に5μm以下のものが好ましい。
【0016】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤中の化合物(1)又はその溶媒和物の含有量は、水性液剤全重量に対し、通常0.01〜1w/w%であり、好ましくは0.05〜0.5w/w%、特に好ましくは0.1〜0.3w/w%である。
【0017】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、懸濁化剤として、結晶セルロース・カルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルセルロースを添加する。
結晶セルロース・カルメロースナトリウムは、通常、結晶セルロース含量が80重量%以上でカルメロースナトリウムが9〜13重量%の混合物であり、例えば、アビセルRC−A591NF(旭化成)として容易に入手し得る。
結晶セルロース・カルメロースナトリウムの本発明の点鼻用懸濁水性液剤への添加量は、水性液剤全重量に対し、0.1〜5w/w%であり、好ましくは1〜2w/w%である。
【0018】
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は、通常ヒドロキシプロポキシル基を53〜78%含むものである。HPCとしては、2%水溶液のB型粘度計使用(20℃)の粘度が2.0〜2.9cps(例:日曹HPC SSL Type:日本曹達)、3.0〜5.9cps(例:日曹HPC SL Type:日本曹達)、6.0〜10.0cps(例:日曹HPC L Type:日本曹達)、150〜400cps(例:日曹HPC M Type:日本曹達)、1000〜4000cps(例:日曹HPC H Type:日本曹達)などの極低粘度品から高粘度品まで各種の粘度のものが入手できる。本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、これらから選ばれる一種又は二種以上が使用できるが、特に上記粘度が150〜400cpsのHPC(例:日曹HPC M Type:日本曹達)を用いることが好ましい。本発明の点鼻用懸濁水性液剤へのHPC添加量は、HPCのタイプによっても異なるが、水性液剤全重量に対し、0.05〜1w/w%であり、好ましくは0.1〜0.5w/w%である。
【0019】
化合物(1)又はその溶媒和物は、極めて少量で薬理効果を発揮するが、水性溶媒にはほとんど溶解せず、濡れも極めて悪い。そこで、点鼻用懸濁水性液剤調製時の化合物(1)の分散性を向上させ、かつ安定な分散状態を持続させ、再分散性を良好にする点から、本発明の点鼻用懸濁水性液剤には非イオン性界面活性剤を添加する。非イオン性界面活性剤としては、化合物(1)に対して高い懸濁化効果を有するものが好ましい。このような非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられ、特にポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレートが好ましい。
【0020】
点鼻用懸濁水性液剤への非イオン性界面活性剤の添加量が少ないと、調製時に化合物(1)の凝集が起こり、分散性が低下し、均一な水性製剤を得ることができない。一方、添加量が多すぎると再分散性が低下し、一定量を投与するのが難しくなる。非イオン性界面活性剤の添加量は、非イオン性界面活性剤の種類によって異なる。例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレートの添加量は、水性液剤全重量に対し、0.001〜0.2w/w%とすることが好ましく、特に好ましくは0.005〜0.1w/w%である。
【0021】
水性の点鼻薬には、一般に、粘膜の乾燥を防ぎ、刺激が起こらないようにするため、湿潤剤を添加する。本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、化合物(1)に対して高い懸濁化効果を有する湿潤剤を用いる。このような湿潤剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、ポピドン、ポリエチレングリコール、カンテン又はこれらの混合物が挙げられ、好ましくはプロピレングリコール又はグリセリンである。プロピレングリコール、グリセリンは各々単独で用いてもよいが、これらを併用すると化合物(1)に対する懸濁化効果が向上する。
【0022】
湿潤剤の添加量は、本発明の点鼻用懸濁水性液剤全重量に対し、0.05〜30w/w%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5w/w%である。また、プロピレングリコールとグリセリンを併用した場合には、点鼻用懸濁水性液剤へのプロピレングリコールの添加量は、好ましくは0.05〜20w/w%であり、特に好ましくは0.1〜1w/w%であり、グリセリンの添加量は、好ましくは0.1〜6w/w%であり、特に好ましくは1〜4w/w%である。
【0023】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、更に緩衝剤を添加する。緩衝剤としては、化合物(1)の懸濁安定性を阻害せず、また、水性液剤のpHを、鼻粘膜に対して刺激の少ない5〜7に保持できるものが好ましく、特に好ましくは6〜7に保持できるものが好ましい。このような緩衝剤としては、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、結晶リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩;ホウ酸、ホウ砂;酢酸ナトリウムなどの酢酸塩;クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウムなどのクエン酸又はクエン酸塩;グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸塩;クレアチニン等が挙げられる。これらの中で、リン酸塩が好ましく、特にリン酸水素ナトリウムとリン酸二水素カリウムを併用することが好ましい。上記緩衝剤を用いて本発明の点鼻用懸濁水性液剤のpHを好ましくは5〜7、特に好ましくは6〜7に調整する。
【0024】
緩衝剤の添加量は、本発明の点鼻用懸濁水性液剤全重量に対し、0.005〜2w/w%が好ましく、特に0.02〜0.1w/w%が好ましい。また、リン酸水素ナトリウムとリン酸二水素カリウムを併用した場合は、リン酸水素ナトリウムの添加量は、好ましくは0.01〜1w/w%であり、特に好ましくは0.03〜0.04w/w%であり、リン酸二水素カリウムの添加量は、好ましくは0.005〜0.5w/w%であり、特に好ましくは0.02〜0.03w/w%である。
【0025】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、更に防腐剤を添加することが好ましい。防腐剤としては、化合物(1)の懸濁安定性を阻害せず、かつ鼻粘膜に対する刺激が少ないものが好ましい。このような防腐剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クロルヘキシジンなどのフェノール類;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第四アンモニウム化合物;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどのパラヒドロキシ安息香酸エステル類;エタノール、クロロブタノールなどのアルコール類;チメロサールなどの水銀剤;デヒドロ酢酸ナトリウム;カアトレジン(ミリストイル・ガンマー塩化ピコリニウム)などが挙げられ、これらの一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、フェノール類(好ましくは、フェニルエチルアルコール)及び/又は第四アンモニウム化合物(好ましくは、塩化ベンザルコニウム)が好ましく、特にフェニルエチルアルコール及び塩化ベンザルコニウムを併用することが好ましい。
【0026】
防腐剤の添加量は、本発明の点鼻用懸濁水性液剤全重量に対し、0.001〜1w/w%が好ましく、特に0.04〜0.4w/w%が好ましい。また、フェニルエチルアルコール及び塩化ベンザルコニウムを併用した場合、フェニルエチルアルコールの点鼻用懸濁水性液剤への添加量は、好ましくは0.1〜0.5w/w%であり、特に好ましくは0.2〜0.3w/w%であり、塩化ベンザルコニウムの添加量は、好ましくは0.001〜0.08w/w%であり、特に好ましくは0.004〜0.006w/w%である。
【0027】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤は、通常、点鼻用懸濁水性液剤に使用される浸透圧の範囲内となるように、懸濁化剤、湿潤剤、非イオン性界面活性剤、緩衝剤、防腐剤の添加量を調整する。浸透圧としては、0.1〜5w/w%の食塩水に等しい浸透圧が好ましく、特に0.5〜1.5w/w%の食塩水に等しい浸透圧が好ましい。また、本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、必要により、等張化剤として塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖、果糖などを化合物(1)の懸濁安定性を阻害しない範囲で添加してもよい。
【0028】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤には、更に必要に応じて、アセトアニリド、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド、塩酸、水酸化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ジブチルヒドロキシトルエン、フェナセチン、プロピオオン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの安定化剤;ハッカ水、ハッカ油、l−メントールなどの清涼化剤を化合物(1)の懸濁安定性を阻害しない範囲で添加してもよい。
【0029】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤は、公知の方法に従って製造できる。すなわち、化合物(1)、上記懸濁剤及び上記添加剤を精製水、注射用蒸留水などの薬学的に許容される水性媒体に加え、プロペラミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザーなどで均一な懸濁液とすることにより製造できる。
【0030】
本発明の点鼻用懸濁水性液剤は、噴霧法、滴下法などの点鼻薬一般に用いられる方法によって鼻腔内に投与される。例えば、噴霧法では、本発明の点鼻用水性懸濁液を、1日1〜2回、両鼻腔内に噴霧器を用いて1回噴霧量約25〜200μLをスプレーする。滴下法により、本発明の点鼻用懸濁水性液剤を外鼻孔から滴下してもよい。また、投与量は、年令、体重、症状等により適時増減してもよい。
【実施例】
【0031】
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
化合物(1a)[式(1)において、R=シクロヘキシルカルボニルオキシ基](平均粒子径2.35μm)、結晶セルロース・カルメロースナトリウム(アゼビルRC−A591NF:旭化成)、ヒドロキシプロピルセルロース(日曹HPC M Type:日本曹達)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(TO−10MV:日光ケミカルズ)、プロピレングリコール、グリセリン、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、フェニルエチルアルコール、10%塩化ベンザルコニウム液を表1の処方量で取り、精製水90gに投入し、ホモミキサー(6000rpm)で30分間撹拌した。得られた懸濁液に、全量100gとなるように精製水を加えて更に10分間撹拌して、実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−2の点鼻用懸濁水性液剤を調製した。
【0033】
【表1】

【0034】
試験例1
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−2の点鼻用懸濁水性液剤をスプレー式点鼻用ポリエチレン容器(10mL)に充填し、以下の方法で懸濁安定性試験、再分散性試験、噴霧試験を実施した。結果を表2に示す。
【0035】
<調製時の分散性>
点鼻用懸濁水性液剤を調製したときの分散のし易さを、「◎:容易に分散できた。」、「○:分散できた。」、「×:凝集が見られた。」で示した。
<懸濁安定性試験>
点鼻用懸濁水性液剤を点鼻用容器に充填した直後及び調製後20℃で24時間保存後に、液面、底面より0.5mLを採取し、HPLCにて化合物(1a)の含量を測定し(n
=3)、その処方量に対する割合を%で示した。
<再分散性試験>
点鼻用容器に充填した点鼻用懸濁水性液剤を調製後40℃で3か月間保存後の再分散性を、「○:括弧内の回数の反転で再分散した。」、「×:20回の反転で再分散しなかった。」で示した。
<噴霧試験>
点鼻用容器に充填した点鼻用懸濁水性液剤を連続15日間、1日1回、1回につき2度噴霧した後のノズルの様子を、「○:付着物は無かった。」、「△:わずかに付着物が見られた。」、「×:付着物が見られた。」で示した。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例2
実施例1と同様にして、表3の処方量にて実施例2−1〜2−4及び比較例2-1〜2−2の点鼻用懸濁水性液剤を調製した。
【0038】
【表3】

【0039】
試験例2
実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−2の点鼻用懸濁水性液剤をスプレー式点鼻用ポリエチレン容器(10mL)に充填し、試験例1と同様の方法で懸濁安定性試験、
再分散性試験、噴霧試験を実施した。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】

【0041】
実施例3
実施例1と同様にして、表5の処方量にて実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−2の点鼻用懸濁水性液剤を調製した。
【0042】
【表5】

【0043】
試験例3
実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−2の点鼻用懸濁水性液剤をスプレー式点鼻用ポリエチレン容器(10mL)に充填し、試験例1と同様の方法で懸濁安定性試験、再分散性試験、噴霧試験を実施した。結果を表6に示す。
【0044】
【表6】

【0045】
実施例4
実施例1と同様にして、表7の処方量にて実施例4−1〜4−3及び比較例4−1〜4−2の点鼻用懸濁水性液剤を調製した。
【0046】
【表7】

【0047】
試験例4
実施例4−1〜4−3及び比較例4−1〜4−2の点鼻用懸濁水性液剤をスプレー式点鼻用ポリエチレン容器(10mL)に充填し、試験例1と同様の方法で懸濁安定性試験、再分散性試験、噴霧試験を実施した。結果を表8に示す。
【0048】
【表8】

【0049】
試験例5
<使用感試験>
実施例1−1、4−1、比較例4−1及び4−2のスプレー式点鼻用ポリエチレン容器(10mL)に充填された点鼻用懸濁水性液剤を用いて、それぞれ5名に100μLを1回鼻腔内に噴霧し、「液だれ:液だれがあった人数で示した。」及び「刺激:刺激があった人数で示した。」を観測して使用感試験を実施した。結果を表9に示す。
【0050】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f):
(a)式(1)
【化1】

[式中、Rは水酸基又はシクロヘキシルカルボニルオキシ基を示す。]
で表される化合物又はその溶媒和物
(b)結晶セルロース・カルメロースナトリウム 0.1〜5w/w%(c)ヒドロキシプロピルセルロース 0.05〜1w/w%(d)非イオン性界面活性剤 0.001〜0.2w/w%(e)湿潤剤
(f)緩衝剤
を含有する点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項2】
式(1)で表される化合物又はその溶媒和物を0.01〜1w/w%、湿潤剤を0.05〜30w/w%、緩衝剤を0.005〜2w/w%及び防腐剤を0.001〜1w/w%を含有する請求項1記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項3】
式(1)で表される化合物又はその溶媒和物を0.1〜0.3w/w%、結晶セルロース・カルメロースナトリウムを1〜2w/w%、ヒドロキシプロピルセルロースを0.1〜0.5w/w%、非イオン性界面活性剤を0.005〜0.1w/w%、湿潤剤を0.1〜5w/w%、緩衝剤を0.02〜0.1w/w%及び防腐剤を0.04〜0.4w/w%を含有する請求項1記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項4】
式(1)で表される化合物又はその溶媒和物の平均粒子径が20μm以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項5】
式(1)で表される化合物又はその溶媒和物の平均粒子径が5μm以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項6】
ヒドロキシプロピルセルロースの2%水溶液のB型粘度計使用(20℃)の粘度が150〜400cpsである請求項1〜5のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項7】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項8】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレートである請求項1〜7のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項9】
湿潤剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、ポピドン、ポリエチレングリコール及びカンテンから選ばれる一種又は二種以上である請求項1〜8のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項10】
湿潤剤が、グリセリン0.1〜6w/w%及びプロピレングリコール0.05〜20w/w%である請求項1〜9のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項11】
湿潤剤が、グリセリン1〜4w/w%及びプロピレングリコール0.1〜1w/w%である請求項1〜10のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項12】
緩衝剤が、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、結晶リン酸二水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、酢酸ナトリウム、クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム及びクレアチニンから選ばれる一種又は二種以上である請求項1〜11のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項13】
緩衝剤が、リン酸水素ナトリウム0.01〜1w/w%及びリン酸二水素カリウム0.005〜0.5w/w%である請求項1〜12のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項14】
緩衝剤が、リン酸水素ナトリウム0.03〜0.04w/w%及びリン酸二水素カリウム0.02〜0.03w/w%である請求項1〜13のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項15】
防腐剤が、フェノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、エタノール、クロロブタノール、チメロサール、デヒドロ酢酸ナトリウム及びカアトレジンから選ばれる一種又は二種以上である請求項2〜14のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項16】
防腐剤が、フェニルエチルアルコール0.1〜0.5w/w%及び塩化ベンザルコニウム0.001〜0.08w/w%である請求項2〜15のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項17】
防腐剤が、フェニルエチルアルコール0.2〜0.3w/w%及び塩化ベンザルコニウム0.004〜0.006w/w%である請求項2〜16のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項18】
pH5〜7である請求項1〜17のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。
【請求項19】
pH6〜7である請求項1〜18のいずれか1項記載の点鼻用懸濁水性液剤。

【公開番号】特開2006−131619(P2006−131619A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290698(P2005−290698)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(305004457)久光メディカル株式会社 (6)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】