無機−ポリマー複合材、粘着剤層および粘着フィルム
【課題】ポリマー粒子の機械物性を維持しつつ、種々の特性の向上を図ることのできる無機−ポリマー複合材、ならびに、それが用いられる粘着剤層および粘着フィルムを提供すること。
【解決手段】平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在している無機−ポリマー複合材を、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製し、水分散液とエチレン性不飽和モノマーと界面活性剤とを、親水性無機化合物の配合割合がエチレン性不飽和モノマー100重量部に対して4〜200重量部となるように、配合して、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製し、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより、調製する。
【解決手段】平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在している無機−ポリマー複合材を、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製し、水分散液とエチレン性不飽和モノマーと界面活性剤とを、親水性無機化合物の配合割合がエチレン性不飽和モノマー100重量部に対して4〜200重量部となるように、配合して、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製し、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより、調製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機−ポリマー複合材、および、それが用いられる粘着剤層および粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水分散型樹脂に粘土鉱物を添加することにより、種々の特性の向上を図ることが知られている。
例えば、モンモリロナイト粘土を水に配合してこれをスラリー化し、次いで、これに、膨潤剤(疎水化処理剤)としてドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを溶解させて、粘土スラリーを調製し、その後、粘土スラリーに、イソプレンおよびスチレンを含むモノマー溶液を加えて、攪拌(乳化)し、これを加熱(重合)することにより、ポリマーラテックスを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−518122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で提案されるポリマーラテックスでは、モンモリロナイト粘土は、粘土スラリーにおいて、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが配合されることよって疎水化され、互いに凝集している。そのため、かかる粘土スラリーにモノマー溶液を加えると、モノマー溶液が、凝集したモンモリロナイト粘土の間に浸入する。
そして、かかる粘土スラリー中のモノマー溶液を重合すれば、得られるポリマーの表面にモンモリロナイト粘土が担持されるよりも、むしろ、モンモリロナイト粘土がポリマー内部に入り込み、却って機械物性が低下するという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、ポリマー粒子の機械物性を維持しつつ、種々の特性の向上を図ることのできる無機−ポリマー複合材、ならびに、それが用いられる粘着剤層および粘着フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の無機−ポリマー複合材は、平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在していることを特徴としている。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記親水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、4〜200重量部であることが好適である。
【0007】
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、最大長さが1〜200nmである疎水性無機化合物を内包していることが好適である。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記疎水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好適である。
また、本発明の前記疎水性無機化合物が、バルク状、針状または板状の、疎水性無機化合物であることが好適である。
【0008】
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記ポリマー粒子が、水分散型ポリマー粒子であることが好適である。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記親水性無機化合物が、親水性の層状粘土鉱物、および/または、バルク状、針状または板状の、親水性無機化合物であることが好適である。
【0009】
また、本発明の粘着剤層は、上記した無機−ポリマー複合材を含有していることを特徴としている。
さらに、本発明の粘着フィルムは、支持体の少なくとも片面に上記した粘着剤層を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子の表面に親水性無機化合物が偏在している。そのため、ポリマー粒子の機械物性を維持しつつ、放熱性材料、導電性材料、さらには、接着性に優れる。
そのため、本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着剤層および粘着フィルムは、優れた接着性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着フィルムの一例の断面図を示す。
【図2】実施例1の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図3】実施例2の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図4】実施例4の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図5】実施例8の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図6】実施例9の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図7】実施例10の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図8】実施例13の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図9】実施例14の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図10】実施例15の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図11】実施例16の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図12】実施例17の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図13】実施例18の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図14】実施例19の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図15】実施例20の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図16】実施例20の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図17】実施例21の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図18】実施例22の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図19】実施例23の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図20】実施例24の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図21】実施例25の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図22】実施例26の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図23】実施例27の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図24】実施例28の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図25】実施例29の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図26】実施例30の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図27】実施例31の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図28】実施例32の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図29】比較例3の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図30】比較例4の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図31】比較例5の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図32】比較例6の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図33】比較例7の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図34】比較例8のポリマーのTEM写真の画像処理図を示す。
【図35】比較例9の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図36】比較例10の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図37】比較例11の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の無機−ポリマー複合材は、ポリマー粒子の表面に親水性無機化合物が偏在している。つまり、ポリマー粒子の表面に、親水性無機化合物が、分散状態で担持されている。このような、本発明の無機−ポリマー複合材は、次に述べる製造方法によって、ポリマーラテックスとして、得ることができる。
すなわち、本発明の無機−ポリマー複合材は、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製する工程(水分散液調製工程)と、水分散液とエチレン性不飽和モノマーとを配合して、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製する工程(モノマーエマルション調製工程)と、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマーおよびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する工程(界面活性剤配合工程)と、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させる工程(重合工程)とを備える製造方法により、ポリマーラテックスとして、得ることができる。
【0013】
親水性無機化合物としては、例えば、親水性の層状粘土鉱物、および/または、特定形状(層状を除く)の親水性無機化合物が挙げられる。
親水性の層状粘土鉱物としては、例えば、2次元に広がる層が複数積層されたフィロ珪酸塩鉱物が挙げられ、例えば、スメクタイトが挙げられる。
スメクタイトは、モンモリロン石群鉱物であって、例えば、モンモリロン石(モンモリロンナイト)、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石(サポナイト)、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ベントナイトなどが挙げられる。
【0014】
また、親水性の層状粘土鉱物としては、例えば、バーミキュル石(バーミキュライト)、ハロイサイト、膨潤性マイカ、黒鉛なども挙げられる。
これら親水性の層状粘土鉱物は、単独使用または2種以上併用することができる。
このような親水性の層状粘土鉱物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、より具体的には、天然品として、例えば、クニピアシリーズ(モンモリロナイト、クニミネ工業社製)、ベンゲルシリーズ(ベントナイト、ホージュン社製)、ソマシフMEシリーズ(膨潤性マイカ、コープケミカル社製)などが挙げられ、合成品として、例えば、スメクトン(サポナイト、クニミネ工業社製)、ルーセンタイトSWNシリーズ(ヘクトライト、コープケミカル社製)、ラポナイト(ヘクトライト、ロックウッドホールディングス社製)が挙げられる。好ましくは、一般に、合成品は天然品よりも最大長さが小さいため、小さい油滴を得ることができる観点から、合成品が挙げられる。
【0015】
親水性の層状粘土鉱物のサイズは、各層の厚みが、例えば、0.5〜2nm、具体的には、約1nmであり、各層の長さ(最大長さ)が、例えば、1〜1000nm、好ましくは、20〜800nm、さらに好ましくは、30〜700nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。
特定形状の親水性無機化合物は、親水性であり、かつ、バルク形状、針形状、または、板形状(層状を除く)をなしている。
【0016】
バルク形状の親水性無機化合物には、例えば、球形状、直方体形状、または、それらの異形形状の親水性無機化合物などが含まれる。バルク形状の親水性無機化合物としては、例えば、親水性の、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化スズ(アンチモンドープ酸化スズを含む。)、アルミナ、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭素(ダイヤモンド)、金属微粒子などが挙げられる。
【0017】
針形状の親水性無機化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、セピオライト、針状酸化スズ、針状水酸化マグネシウム、アルミナなどが挙げられる。
板形状の親水性無機化合物は、親水性の層状粘土鉱物などの層形状の無機化合物(親水性無機化合物)を除く、板形状の親水性無機化合物であって、例えば、窒化ホウ素、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0018】
これら親水性無機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、アンチモンドープ酸化スズ、酸化チタン、酸化スズ、アルミナ、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭素(ダイヤモンド)が挙げられる。
このような特定形状の親水性無機化合物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、より具体的には、アンチモンドープ酸化スズとしては、例えば、石原産業社製のSN−100S、SN−100P、SN−100D(水分散品)、酸化チタンとしては、例えば、石原産業社製のTTOシリーズ、酸化亜鉛としては、例えば、住友大阪セメント社製のSnO−310、SnO−350、SnO−410、アルミナとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のNANOBYKシリーズや、日産化学工業社製のアルミナゾルシリーズ、炭化ケイ素としては、例えば、住友大阪セメント社製のSiCシリーズ、ダイヤモンドとしては、例えば、ダイヤモンドパウダーシリーズなどが挙げられる。
【0019】
特定形状の親水性無機化合物のサイズは、バルク形状(球状)の親水性無機化合物の場合には、1次平均粒子径として、例えば、1〜400nm、好ましくは、1〜200nm、さらに好ましくは、5〜100nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。
また、針形状の親水性無機化合物または板形状の親水性無機化合物の場合には、最大長さとして、例えば、1〜400nm、好ましくは、1〜200nm、さらに好ましくは、5〜200nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。さらに、これらのアスペクト比(針状の場合には、長軸長さ/短軸長さ、または、長軸長さ/厚みで表現される。また、板状の場合には、対角長さ/厚み、または、長辺長さ/厚みで表現される。)が、例えば、5〜200、好ましくは、10〜100である。
【0020】
また、特定形状の親水性無機化合物は、モノマーエマルション調製工程では、水とエチレン性不飽和モノマーの油滴との間の界面に存在し、重合工程後においては、ポリマー粒子の表面に偏在するように担持される必要がある。
そのため、親水性無機化合物が疎水性であると、モノマーエマルション調製工程において、油相中に安定して存在してしまい、水と油滴との間の界面に存在できず、その結果、乳化できなくなる。その一方、親水性無機化合物の親水性が過度に高いと、水中に安定して存在してしまい、やはり、水とエチレン性不飽和モノマーの油滴との間の界面に存在できず、その結果、乳化できない場合を生じる。
【0021】
よって、親水性無機化合物の親水性が過度に高く、乳化ができない場合には、必要により、親水性無機化合物の表面を、表面処理剤によって、部分的に表面処理する。
表面処理剤としては、一般的な表面改質剤、例えば、カップリング剤や脂肪酸などが挙げられる。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
【0022】
シラン系シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチル−ジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチル−ジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチル−ジエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチル−ジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリルオキシデシルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ヘキサメチレンジシラザンなどが挙げられる。
【0023】
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
【0024】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
また、脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などが挙げられる。
このような表面処理剤による表面処理としては、例えば、特定形状の親水性無機化合物を、ミキサー中で撹拌しながら、表面処理剤のアルコール水溶液、有機溶媒溶液(アルコールを除く有機溶媒。例えば、アセトンなど。)または水溶液を添加する乾式法、例えば、特定形状の親水性無機化合物をアルコール水溶液または水溶液中に分散させた後、表面処理剤を添加する湿式法、例えば、特定形状の親水性無機化合物に表面処理剤を噴霧するスプレー法などが挙げられる。
【0025】
なお、親水性が過度に高い特定形状の親水性無機化合物は、予め表面処理された市販品を用いることもできる。
エチレン性不飽和モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、炭素数が1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステル)であって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルブチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘプタデシル((メタ)アクリル酸イソステアリル)、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキサデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜18の直鎖または分岐アルキル)エステルが挙げられる。
【0026】
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、好ましくは、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキサデシルが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性ポリマーを挙げることができる。
【0027】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有不飽和モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有不飽和モノマー、その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのビニル基含有複素環化合物、例えば、フッ素(メタ)アクリレートなどの、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
【0028】
また、共重合性ビニルモノマーとしては、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルt−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
【0029】
さらに、上記した官能基含有ビニルモノマーとしては、多官能性モノマーが挙げられる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0030】
さらにまた、共重合性ビニルモノマーとしては、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。アルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0031】
また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0032】
これら共重合性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
これら共重合性ビニルモノマーのうち、好ましくは、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしてアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを用いることにより、ポリマー鎖にアルコキシシリル基が導入され、それら同士の反応により架橋構造を形成することができる。
【0033】
このような共重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと必要により任意的に併用し、あるいは、単独使用することができる。
共重合性ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸アルキルエステルと併用される場合には、共重合性ビニルモノマーの配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、40重量部以下、好ましくは、30重量部以下、さらに好ましくは、20重量部以下である。共重合性ビニルモノマーが、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーである場合には、その配合割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部である。
【0034】
界面活性剤としては、例えば、公知の界面活性剤(「界面活性剤 物性・性能要覧、森山登著、技術情報協会出版」」に掲載されている界面活性剤)が挙げられ、例えば、液体および固体の間の界面に主に作用する分散剤、例えば、液体および液体の間の界面に主に作用する乳化剤が挙げられる。
分散剤としては、例えば、リン酸系分散剤やカルボン酸系分散剤などが挙げられる。リン酸系分散剤として、例えば、オルトリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどが挙げられる。カルボン酸系分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸系、ポリメタクリル酸系、アクリル酸/マレイン酸共重合体系、スチレン/マレイン酸共重合体系などの高分子分散剤が挙げられる。
【0035】
高分子分散剤は、一般の市販品を用いることができ、例えば、アクアリックシリーズ(ポリアクリル酸系、または、アクリル酸/マレイン酸共重合体系、日本触媒社製)、アロンシリーズ(ポリアクリル酸系、東亞合成社製)、シャロールシリーズ(ポリアクリル酸系、第一工業製薬社製)、ポイズシリーズ(アクリル酸/マレイン酸共重合体系、花王社製)、SNディスパーサントシリーズ(ポリカルボン酸共重合体系、サンノプコ社製)、例えば、EFKAシリーズ(ポリアクリル酸系、チバ・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0036】
また、乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
【0037】
また、乳化剤としては、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(反応性基)が導入されたラジカル重合性(反応性)乳化剤などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
そして、本発明において、例えば、まず、上記した親水性無機化合物と水とを配合し、続いて、これらを攪拌混合することによって、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製する(水分散液調製工程)。
【0038】
親水性無機化合物の配合割合は、水100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、0.2〜40重量部、さらに好ましくは、0.5〜30重量部である。また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、水100重量部に対して、例えば、0.1〜11重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲を超えると、水分散液の粘度が過度に高くなる場合や、重合工程において凝集を生じる場合がある。
【0039】
一方、親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲に満たないと、無機−ポリマー複合材における親水性無機化合物の含有割合が過度に低くなり、親水性無機化合物をポリマー粒子の表面に均一に担持させることができない場合がある。
また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合において、親水性の層状粘土鉱物の配合割合が上記した範囲を超えると、水分散液の粘度が過度に高くなり、水分散液の流動性が過度に低下するため、親水性の層状粘土鉱物を均一かつ十分に膨潤させることができない場合がある。また、モノマーエマルション調製工程において、モノマーエマルションの粘度を低下させて、重合工程において、得られる重合体の固形分濃度を一定範囲内にする必要が生じ、煩雑となる場合がある。
【0040】
一方、親水性の層状粘土鉱物の配合割合が上記した範囲に満たないと、無機−ポリマー複合材における親水性の層状粘土鉱物の含有割合が過度に低くなり、親水性の層状粘土鉱物をポリマー粒子の表面に均一に担持させることができない場合がある。
親水性無機化合物が配合された水を攪拌混合するには、例えば、ディスパー、超音波ホモジナイザーなどの公知の攪拌機を用いる。
【0041】
なお、親水性の無機化合物が親水性層状粘土鉱物である場合には、上記の攪拌混合の前に、親水性の層状粘土鉱物が配合された水を、例えば、12〜48時間、好ましくは、24〜36時間、予め静置させることができる。親水性の層状粘土鉱物が配合された水を静置させることにより、例えば、親水性の層状粘土鉱物を水に膨潤させることができ、その後の攪拌混合により、親水性の層状粘土鉱物同士を剥離させてこれらを水中に確実に分散させることができる。
【0042】
なお、この攪拌混合において、特定形状の親水性無機化合物の表面を部分的に表面処理することもできる。
次いで、例えば、水分散液とエチレン性不飽和モノマーとを配合し、続いて、これらを攪拌混合することによって、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製する(モノマーエマルション調製工程)。
【0043】
水分散液とエチレン性不飽和モノマーとの配合において、親水性無機化合物の配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、4〜200重量部、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、8〜100重量部である。
親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲未満であると、モノマーエマルション調製工程において、安定なエマルション形態を得ることができず、ポリマー粒子における親水性無機化合物の被覆率が過度に低くなる。
【0044】
一方、親水性無機化合物の配合割合が上記範囲を超えると、ポリマー粒子における親水性無機化合物の被覆率が過度に高くなり、粘度が上昇し、粘度調整する必要を生じる場合がある。
また、モノマーエマルション調製工程において、予め、疎水性無機化合物を上記したエチレン性不飽和モノマーに分散させて、疎水性無機化合物のモノマー分散液を調製(モノマー分散液調製工程)し、これにより得られる疎水性無機化合物のモノマー分散液を乳化させることもできる。これによって、無機−ポリマー複合材に疎水性無機化合物を内包させることができる。
【0045】
疎水性無機化合物の形状は、特に限定されず、好ましくは、バルク形状、針形状、または、板形状(層状を除く)などの特定形状をなしている。
バルク形状の疎水性無機化合物には、例えば、球形状、直方体形状、または、それらの異形形状の疎水性無機化合物などが含まれる。バルク形状の疎水性無機化合物としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化スズ(アンチモンドープ酸化スズを含む。)、アルミナ、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、金属微粒子などが挙げられる。
【0046】
針形状の疎水性無機化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、セピオライト、針状酸化スズ、針状水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
板形状の疎水性無機化合物は、層形状の疎水性無機化合物を除く、板形状の疎水性無機化合物であって、例えば、窒化ホウ素、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0047】
これら疎水性無機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
好ましくは、シリカ、酸化チタン、アンチモンドープ酸化スズ、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素が挙げられる。
また、疎水性無機化合物としては、上記した特定形状(バルク形状、針形状、または、板形状)の親水性無機化合物を上記した表面処理剤を用いて表面処理することにより疎水化したものを用いることもできる。表面処理の方法は、上記と同様である。
【0048】
このような疎水性無機化合物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、シリカとして、アエロジルシリーズ(日本アエロジル社製)など、例えば、酸化チタンとして、TTOシリーズ(石原産業社製)などが挙げられる。
アエロジルシリーズとしては、例えば、アエロジルR8200(1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)、アエロジルR104(1次平均粒子径12nm、オクタメチルシクロテトラシロキサン処理)、アエロジルR974(1次平均粒子径12nm、ジメチルジクロロシラン処理)、アエロジルR812(1次平均粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン処理)などが用いられる。TTOシリーズとしては、例えば、TTO−51(C)(1次平均粒子径10〜30nm、水酸化アルミニウム/ステアリン酸処理)、TTO−55(C)(1次平均粒子径30〜50nm、水酸化アルミニウム/ステアリン酸処理)、TTO−55(D)(1次平均粒子径30〜50nm、水酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム処理)などが挙げられる。
【0049】
疎水性無機化合物のサイズは、1次平均粒子径(針状、板状の場合は最大長さ)として、1〜200nm、好ましくは、5〜150nm、さらに好ましくは、5〜100nm、もっとも好ましくは、5〜50nmである。疎水性無機化合物の1次平均粒子径が上記した範囲より大きければ、疎水性無機化合物が、所望の粒子径の油滴に内包されず、重合中に凝集するおそれがある。
【0050】
モノマー分散液を調製するには、上記した疎水性無機化合物とエチレン性不飽和モノマーとを配合して、上記した公知の攪拌機にて攪拌混合することにより、疎水性無機化合物をエチレン性不飽和モノマーに分散させる。
疎水性無機化合物の配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。換言すると、無機−ポリマー複合材において、疎水性無機化合物の含有割合は、ポリマー粒子100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。
【0051】
疎水性無機化合物の配合割合(含有割合)が上記した範囲を超えると、疎水性無機化合物が油滴に完全に内包されず、重合中に凝集する場合がある。
そして、エチレン性不飽和モノマー(またはモノマー分散液)を乳化させるには、例えば、水分散液と、エチレン性不飽和モノマーを含む油相液とを配合し、続いて、例えば、これらを乳化装置により乳化させる。
【0052】
油相液は、例えば、エチレン性不飽和モノマーを必須成分として含み、開始剤や疎水性化合物(あるいはモノマー分散液)を必要により任意成分として含んでいる。
開始剤としては、例えば、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられ、例えば、油溶性開始剤または水溶性開始剤が用いられる。
油溶性開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシドなどの油溶性過酸化物系開始剤、例えば、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(市販品として、例えば、V−601、和光純薬工業社製)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ系開始剤などが挙げられる。
【0053】
水溶性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤(油溶性アゾ系開始剤を除く。)、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤(油溶性過酸化物系開始剤を除く。)、例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤、例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せなどのレドックス系開始剤などが挙げられる。
【0054】
これら開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。開始剤のうち、好ましくは、油溶性開始剤、さらに好ましくは、油溶性アゾ系開始剤が用いられる。
開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部である。
疎水性化合物は、上記した疎水性無機化合物を除く疎水性有機化合物であって、例えば、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの炭素数8〜30の高級アルカン類、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの炭素数8〜30のアルキル基を有する高級アルコール類、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの炭素数8〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類、例えば、ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタンなどの炭素数8〜30のアルキル基を有するチオール類、例えば、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートなどのポリマー類などが挙げられる。これら疎水性化合物は、単独または2種以上併用することができる。好ましくは、高級アルカン類が挙げられる。なお、エチレン性不飽和モノマーとして、炭素数8〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類を用いる場合には、かかるアルキル(メタ)アクリレート類が疎水性化合物としても機能する場合があるので、配合しなくてもよい場合がある。
【0055】
疎水性化合物の配合割合は、例えば、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、1〜80重量部、好ましくは、1〜60重量部である。
疎水性化合物を油相液に配合させれば、モノマーエマルション中の油滴を特定範囲のメジアン径に維持することができる。
任意成分を油相液に含ませるには、エチレン性不飽和モノマーに、開始剤および疎水性化合物を加えて、これを溶解させる。
【0056】
なお、上記した説明では、任意成分を、油相液に配合したが、例えば、モノマーエマルション中に直接加えることもできる。
乳化装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K、NIRO−SOAVI社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)、ナノマイザー(吉田機械興業社製)、TKホモミキサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)などが用いられる。
【0057】
超音波ホモジナイザーでは、使用される超音波の周波数は特に制限されず、例えば、20〜40kHzである。超音波ホモジナイザーでは、超音波照射によるキャビテーション効果によって、エチレン性不飽和モノマーの油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよびナノマイザーでは、加圧される圧力は特に制限されず、例えば、10〜300MPaである。高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよびナノマイザーでは、分散液を加圧しながら、これを微細孔から吐出させて、かかる吐出において発生する高剪断力の付加により、油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
【0058】
TKホモミキサーおよびTKフィルミックスは、回転体の高速回転を利用する乳化装置であって、混合液中で回転体が高速回転することにより、高剪断力が混合液に付加されて、油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
これら乳化装置は、単独使用することができ、また、2種以上を組み合わせて多段で使用することもできる。
【0059】
これにより、乳化されるエチレン性不飽和モノマーの油滴の体積基準のメジアン径は、例えば、100μm以下、好ましくは、40μm以下、さらに好ましくは、4μm以下、通常、0.05μm以上である。
また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、乳化されるエチレン性不飽和モノマーの油滴の体積基準のメジアン径は、好ましくは、4μm以下、さらに好ましくは、1μm以下、とりわけ好ましくは、0.5μm以下、通常、0.05μm以上である。
【0060】
油滴のメジアン径が上記した範囲を超えると、重合工程において、凝集物が発生する場合がある。
このモノマーエマルションにおける油滴の体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定される。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、LS13 320(ベックマンコールター社製)などが用いられ、測定条件は、レーザー光源がレーザーダイオードおよびタングステンランプであり、波長が450〜900nmである。
【0061】
次いで、モノマーエマルションを、例えば、加熱することによって、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させる。
加熱温度(重合温度)を、例えば、40〜90℃に設定し、重合時間を、例えば、1〜10時間に設定する。
また、モノマーエマルションを上記した反応条件で一度に重合することができ、また、モノマーエマルションの一部を重合させた後、残りのモノマーエマルションを、例えば、滴下重合することができ、さらには、反応容器に予め水を仕込んでこれを上記した温度に昇温した後、モノマーエマルションを滴下、あるいは、分割して仕込むこともできる。
【0062】
また、本発明において、界面活性剤を、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマーおよびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する。界面活性剤の配合割合は、親水性無機化合物100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.05〜15重量部である。
界面活性剤を水に配合する場合には、水分散液調製工程において、親水性無機化合物が配合される前の水、あるいは、親水性無機化合物が配合されて、分散される前の水に、界面活性剤を添加する。好ましくは、分散剤を配合する。界面活性剤を水に配合することにより、凝集する親水性無機化合物の1次粒子同士を分散させることができる。また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、水分散液における親水性の層状粘土鉱物の分散性を向上させて、水分散液の粘度を低下させ、得られるエマルションの固形分濃度を一定範囲に容易に調整することができる。
【0063】
また、界面活性剤を水分散液に配合する場合には、モノマーエマルション調製工程(水分散液調製工程後)において、調製された水分散液に、界面活性剤を添加する。好ましくは、分散剤を添加する。界面活性剤を水分散液に配合することにより、水分散液における親水性無機化合物の分散性を向上させて、水分散液の粘度を低下させ、得られるエマルションの固形分濃度を一定範囲に容易に調整することができる。
【0064】
また、界面活性剤を油相液に配合する場合には、モノマーエマルション調製工程において、調製した油相液(具体的には、エチレン性不飽和モノマー)に、界面活性剤を添加する。好ましくは、乳化剤を配合する。界面活性剤を油相液に配合することにより、モノマーエマルションの、安定したエマルション形態を得ることができる。
また、界面活性剤をモノマーエマルションに配合する場合には、重合工程において、調製したモノマーエマルションに、界面活性剤を添加する。好ましくは、乳化剤を配合する。界面活性剤をモノマーエマルションに配合することにより、高い重合安定性を得ることができる。
【0065】
また、モノマーエマルションをモノマー分散液から調製する場合には、界面活性剤を、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマー、モノマー分散液およびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する。
界面活性剤をモノマー分散液に添加することにより、モノマーエマルションの、安定したエマルション形態を得ることができる。
【0066】
そして、このような重合によって、親水性無機化合物が、ポリマー粒子(つまり、水分散型ポリマー粒子)の表面に担持された無機−ポリマー複合材のエマルションとして、得ることができる。
なお、このエマルションの固形分濃度は、例えば、5〜50重量%、好ましくは、6〜45重量%、さらに好ましくは、8〜40重量%である。エマルションの固形分濃度が上記した範囲を超えると、重合工程におけるエマルションの粘度が過度に高くなり、ハンドリング性が低下したり、重合温度の制御が困難になる場合がある。エマルションの固形分濃度が上記した範囲に満たないと、生産性が低下する場合がある。
【0067】
なお、このエマルションにおける無機−ポリマー複合材の体積基準のメジアン径は、例えば、例えば、100μm以下、好ましくは、40μm以下、さらに好ましくは、4μm以下、通常、0.05μm以上であり、また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、4μm以下、好ましくは、1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下、通常、0.05μm以上であり、油滴の体積基準のメジアン径とほぼ同一となる。
【0068】
さらに、無機−ポリマー複合材には、例えば、必要に応じて、pH調整剤(酢酸水溶液など)、架橋剤(イソシアネート系、エポキシ系、オキサゾリン系、アジリジン系、金属キレート系)、連鎖移動剤(チオール類など)、粘度調整剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料など)、老化防止剤、界面活性剤などの添加剤を、適宜の割合で添加することができる。これら添加剤は、重合工程後に添加されてもよく、あるいは、水分散液調製工程、モノマーエマルション調製工程および重合工程における各液に添加することもできる。
【0069】
なお、本発明において、膨潤剤(具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなど)など疎水化処理剤を、水分散液に添加しないように、水分散液を調製する。疎水化処理剤が添加されると、親水性無機化合物は、親水性が低下して、水分散液における分散性が低下して、ポリマー粒子の表面に均一に担持されない。
そして、このようにして得られる無機−ポリマー複合材は、上記したように、平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が、偏在されるようにコンポジットされる。つまり、無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子が、親水性無機化合物を内包することなく、外表面において、親水性無機化合物を担持する。
【0070】
その結果、本発明の無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子をマトリックスとして、親水性無機化合物が連続するパスを形成することができるので、各種工業分野において、放熱性材料や導電性材料として好適に用いることができる。
また、接着性に優れるため、粘着剤層や粘着フィルムとしても、好適に用いることができる。
【0071】
とりわけ、疎水性無機化合物のモノマー分散液を用いる場合には、得られる無機−ポリマー複合材(ポリマー粒子)は、親水性無機化合物ではなく、疎水性無機化合物を内包(つまり、内部に含有)している。一方、無機−ポリマー複合材(ポリマー粒子)の外表面において、親水性無機化合物を担持(偏在)させるようにコンポジットすることができる。
【0072】
つまり、親水性無機化合物および疎水性無機化合物を、ポリマー粒子の外表面において親水性無機化合物が偏在し、ポリマー粒子の内部に疎水性無機化合物が包含されるように、コンポジットすることができる。
そのため、疎水性無機化合物が内部に均一に存在する無機−ポリマー複合材からなる粘着剤層を得ることができ、かかる粘着剤層の機械強度の向上を図ることができる。
【0073】
図1は、本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着フィルムの一例の断面図を示す。
次に、本発明の無機−ポリマー複合材を用いて、粘着剤層および粘着フィルムを製造する方法の一例について、説明する。
この方法では、まず、支持体としての基材1を用意する。
【0074】
基材1を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、クラフト紙、和紙などの紙類、綿布、スフ布などの布類、ポリエステル不織布、ビニロン布織布などの布織布類、金属箔が挙げられる。
【0075】
基材1は、例えば、シート(フィルム)状やテープ状に形成されている。
また、基材1には、例えば、必要により、下塗り処理、目止め処理、コロナ処理、背面処理など、公知の処理を施すことができる。
基材1の厚みは、その用途および目的に応じて適宜選択され、例えば、20〜150μm、好ましくは、30〜100μmである。
【0076】
次いで、基材1の片面に、粘着剤層2を積層する。
粘着剤層2を設けるには、例えば、基材1の片面に、無機−ポリマー複合材のエマルションを、ロール塗布、スクリーン塗布、グラビア塗布などの公知の塗布方法により、直接塗布し、その後、例えば、50〜180℃で加熱して乾燥する。
また、粘着剤層2が積層された離型シートから、粘着剤層2を基材1に転写することもできる。
【0077】
粘着剤層2が積層された離型シートは、例えば、公知の離型シートに、無機−ポリマー複合材のエマルションを、公知の塗布方法により、直接塗布し、これを加熱により乾燥して粘着剤層2を形成することにより、形成される。また、粘着剤層2を転写するには、基材1の片面と粘着剤層2とが接触するように、粘着剤層2が積層された離型シートを、基材1に貼り合わせた後、粘着剤層2から離型シートを引き剥がす。
【0078】
このようにして形成される粘着剤層2の厚み(乾燥後厚み)は、その用途および目的に応じて適宜選択され、例えば、1.0〜100μm、好ましくは、3.0〜50μm程度の範囲に設定される。
なお、図1に示す上記した説明において、粘着剤層2を、基材1の片面に設けたが、例えば、基材1の両面に設けることもできる。
【0079】
また、上記した粘着フィルムには、例えば、粘着シート、粘着テープなどが含まれる。
そして、この粘着フィルムでは、粘着剤層の機械物性、具体的には、接着力が優れている。粘着剤層は、動的粘弾性測定により得られる損失弾性率G’’および損失正接tanδが高く、そのため、粘着剤層は、優れた制振性を有することが推察される。
さらに、この粘着フィルムは、粘着剤層の接着力、耐熱性および耐湿性が優れているため、接着力、耐熱性および耐湿性に優れる。
【実施例】
【0080】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。
実施例1
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部を水464重量部に加え、24時間静置した。これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0081】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0082】
実施例2
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加した以外は、実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0083】
実施例3
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を20重量部に変更し、水の配合部数を504重量部に変更した以外は実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0084】
実施例4
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)5重量部を水631重量部に加え、24時間静置した。これを、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0085】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)と20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)とを加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0086】
実施例5
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、水の配合部数を271重量部に変更し、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)に代えて、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)を用いた以外は、実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度30%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0087】
実施例6
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)50重量部を水1056重量部に加え、24時間静置した。これに、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)12.5重量部(固形分で2.5重量部)を添加し、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0088】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)4重量部(固形分で0.8重量部)を添加して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度13%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0089】
実施例7
水分散液調製工程において、水の配合部数を2014重量部に変更し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を100重量部に変更し、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)の配合部数を25重量部(固形分で5重量部)に変更した以外は、実施例6と同様モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0090】
実施例8
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてメタクリル酸メチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0091】
実施例9
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてアクリル酸イソステアリルを用い、モノマーエマルション調製工程において、ヘキサデカンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0092】
実施例10
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてスチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0093】
実施例11
水分散液調製工程において、水の配合部数を504重量部に変更し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部に代えて、クニピアF(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:300nm、クニミネ工業社製)20重量部を用い、モノマーエマルション調製工程において、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例4と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0094】
実施例12
(水分散液調製工程)
水715重量部に親水性の窒化ホウ素粒子(1次平均粒子径20nm)20重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間処理して、水分散液を得た。
(モノマーエマルションの調製)
アクリル酸イソステアリル100重量部、ヘキサデカン5重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して、油相液を調製した。
【0095】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0096】
実施例13
水分散液調製工程において、水の配合部数を942重量部に変更し、窒化ホウ素粒子の配合部数を60重量部に変更した以外は実施例12と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルション調製工程において、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)をさらに0.03重量部加えた以外は、実施例12と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度30%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0097】
実施例14
(水分散液調製工程)
水517重量部に親水性の酸化チタン(TTO−55D、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)20重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間処理して酸化チタン水分散液を得た。
(モノマーエマルションの調製)
アクリル酸イソステアリル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0098】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)と、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)25重量部(固形分で5重量部)と、を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材を得た。
【0099】
実施例15
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)水分散液(SN−100S、固形分濃度17.9%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)84重量部(固形分で15重量部)と、水368重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)4.5重量部とを加え、20時間室温にて攪拌した。これを5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整することにより、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、メタクリル酸メチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0100】
実施例16
水分散液調製工程において、ATO水分散液の配合部数を固形分で50重量部となるように変更し、水の配合部数を486重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシランの配合部数を9.1重量部に変更した以外は、実施例15と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度18%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0101】
実施例17
水分散液調製工程において、ATO水分散液の配合部数を固形分で70重量部となるように変更し、水の配合部数を486重量部に変更し、5%酢酸水溶液にてpH4.0にした後に、20重量%分散剤液(ポリカルボン酸系分散剤、商品名:シャロールAN−103P、固形分濃度45%、第一工業製薬社製)2.2重量部(固形分量で1重量部)を加えた以外は、実施例15と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度18%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0102】
実施例18
水分散液調製工程において、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整後に、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)をさらに加え、モノマーエマルション調製工程において、メタクリル酸メチルに代えてアクリル酸ブチルを用いた以外は、実施例15と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0103】
実施例19
水分散液調製工程において、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整後に、水分散液をさらに20時間攪拌混合し、モノマーエマルション調製工程において、メタクリル酸メチルに代えてアクリル酸ブチルを用いた以外は、実施例15と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0104】
実施例20
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)水分散液(SN−100D、固形分濃度29.7%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)168重量部(固形分で50重量部)と、水167重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)15重量部(固形分で3重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0105】
実施例21
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0106】
実施例22
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、メタクリル酸ラウリル(メタクリル酸ドデシル)100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0107】
実施例23
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、アクリル酸イソステアリル(アクリル酸2−メチルヘプタデシル)100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0108】
実施例24
水分散液調製工程において、ATO(SN−100D、固形分濃度29.7%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)の配合部数を、673重量部(固形分で200重量部)に変更し、水の配合部数を111重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を15.2重量部に変更し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)の配合部数を1重量部(固形分で0.2重量部)に変更した以外は、実施例20と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0109】
実施例25
(水分散液の調製)
酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)と、水172重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)15重量部(固形分で3重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0110】
実施例26
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(NANOBYK−3600、アルミナ固形分濃度50%、バルク形状、1次平均粒子径40nm、ビックケミー・ジャパン社製)100重量部(固形分で50重量部)を用い、水の配合部数を235重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0111】
実施例27
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(アルミナゾル100、アルミナ固形分濃度10.3%、針形状、最大長さ300nm、日産化学工業社製)285重量部(固形分で50重量部)を用い、水の配合部数を67重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を15.3重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0112】
実施例28
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(NANOBYK−3600、アルミナ固形分濃度50%、ビックケミー・ジャパン社製)100重量部(固形分で50重量部)とアルミナ水分散液(アルミナゾル100、アルミナ固形分濃度10.3%、針形状、最大長さ300nm、日産化学工業社製)485重量部(固形分で50重量部)とを用い、水の配合部数を70重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を16.2重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0113】
実施例29
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、炭化ケイ素の粉末(β−SiC、1次平均粒子径30nm、住友大阪セメント社製)50重量部を用い、水の配合部数を282重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を1.9重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0114】
実施例30
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、ダイヤモンドの粉末(HHM−A−1/10μm、1次平均粒子径100nm、Techno Rise社製)50重量部を用い、水の配合部数を279重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を0.5重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0115】
実施例31
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(層状粘土鉱物、コープケミカル社製)10重量部を水279重量部に加え、24時間静置した。これに20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。これにアエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合してモノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度30%の無機コンポジット水分散型樹脂のエマルションを得た。
【0116】
実施例32
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ型酸化スズ)水分散液(SN−100D、固形分濃度29.7%、石原産業社製)168重量部(固形分で50重量部)と、水168重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を混合した液に、アエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、モノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)とを水分散液に加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機コンポジット水分散型樹脂のエマルションを得た。
【0117】
参考比較例1
モノマーエマルション調製工程において、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0118】
参考比較例2
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、モノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて攪拌混合せず、乳化させなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0119】
参考比較例3
(水分散液調整工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)250重量部を水4263重量部に加え、24時間静置した。これに、20%分散剤液(シャロールAN−130P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)62.5重量部(固形分で12.5重量部)を添加し、超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0120】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、撹拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハノテノールLA−16、第一工業製薬社製)4重量部(固形分で0.8重量部)を添加して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0121】
参考比較例4
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を3重量部に変更し、水の配合部数を587重量部に変更した以外は、参考比較例3と同様にして、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0122】
参考比較例5
モノマーエマルション調製工程において、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例12と同様に、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0123】
比較例1
(水分散液調製工程)
水106重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)15重量部(固形分濃度で3重量部)を加えて水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0124】
次いで、この油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理してモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度50%のポリマーのエマルションを得た。
【0125】
比較例2
(水分散液調製工程)
容器に、水90重量部とルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部とを加え、24時間静置した。これに、10%に調整したヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)を、ルーセンタイトSWNに対して固形分濃度が10重量%になるように加えた。次いで、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、10%層状粘土鉱物の水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
比較例1で調製した固形分濃度が50%のポリマーのエマルションに、10%層状粘土鉱物の水分散液を、ポリマー複合材100重量部に対して層状粘土鉱物が10重量部となるように加えて撹拌し、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0126】
比較例3
水分散液調製工程において、ヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)の固形分を20重量部に変更した以外は、比較例2と同様にして、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
比較例4
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に代えて、ルーセンタイトSPN(疎水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に変更した以外は、比較例2と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、固形分濃度50%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0127】
比較例5
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に代えて、ルーセンタイトSPN(疎水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に変更し、ヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)を、ルーセンタイトSWNに対する固形分濃度が20重量%となるように加えた以外は、比較例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、固形分濃度50%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0128】
比較例6
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)1重量部(固形分で0.2重量部)、水309重量部を加え、ホモジナイザー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマー分散液を仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度23%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0129】
その後、エマルションに水分散液(SN−100S、固形分濃度17.9%、石原産業社製)75重量部(固形分で15重量部)を加えて攪拌することにより、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
比較例7
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部を水372重量部に加え、24時間静置し、さらに、24時間撹拌して水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(疎水化処理剤、和光純薬製)14重量部を水126重量部に溶解し、これを水分散液に添加した。
【0130】
次いで、これに、アクリル酸ブチル100重量部とアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部とを混合した油相液を添加して23℃で24時間撹拌して、モノマーエマルションを調製した。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0131】
比較例8
(水分散液調製工程)
水155重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分濃度で0.5重量部)および20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加えて、さらに酢酸を加えてpH4.0の水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0132】
次いで、この油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度40%のポリマーのエマルションを得た。
【0133】
その後、調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%のポリマーのエマルションを得た。
【0134】
比較例9
(水分散液調製工程)
水163重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分濃度で0.5重量部)および20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加え、さらに酢酸を加えてpH4.0の水分散液を調製した。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。これにアエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合してモノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0135】
比較例10
(水分散液調製工程)
アエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)10重量部を水70重量部に加え、これに50%分散剤液(EFKA4550、ポリアクリル酸系分散剤、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)20重量部(固形分で10重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、固形分濃度10%の水分散液を得た。
(無機−ポリマー複合材を調製する工程)
比較例8で調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加えた。これに水分散液を固形分で5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0136】
比較例11
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)5重量部を水92.5重量部に加え、24時間静置した。これに20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、固形分濃度5%の層状粘土鉱物水分散液を得た。
(無機−ポリマー複合材を調製する工程)
比較例8で調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加えた。これに水分散液を固形分で5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
(評価)
1) 油滴のメジアン径
実施例1〜32、参考比較例1〜5および比較例1〜9により得られたモノマーエマルションについて、レーザー回折散乱式粒度分布計(LS13 320、レーザー光源:レーザーダイオードおよびタングステンランプ、波長450〜900nm、ベックマンコールター社製)を用いて、油滴の体積基準の平均メジアン径を測定した。その結果を表8に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
2) 無機−ポリマー複合材のメジアン径
実施例1〜32および比較例1〜9により得られた無機−ポリマー複合材について、レーザー回折散乱式粒度分布系(LS 13 320、レーザー光源:レーザーダイオードおよびタングステンハロゲンランプ、波長450〜900nm、ベックマンコールター社製)を用いて、平均メジアン径を測定した。その結果を表9に示す。
【0147】
なお、参考比較例1〜5では、凝集物が多数発生していた。
【0148】
【表9】
【0149】
3) 重合安定性(凝集物率)
実施例1〜32、参考比較例1〜5および比較例1〜9により得られた無機−ポリマー複合材の製造後のエマルションをナイロンメッシュ(#80)で濾過した後、ナイロンメッシュに残存した凝集物と、反応容器および攪拌羽根に付着した凝集物との総量を計量し、下記式により凝集物率を算出した。その結果を表10に示す。
【0150】
凝集物率(%)={(A+B)/C}×100
A:ナイロンメッシュに残存した凝集物の重量
B:反応容器および攪拌羽根に付着した凝集物の重量
C:油相液成分、ヘキサデカン、親水性の粘土鉱物および親水性無機化合物および疎水性無機化合物の総重量
【0151】
【表10】
【0152】
4) ヘイズ
実施例1〜7、31、比較例1〜5および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材、ダイヤホイル MRF38、三菱化学ポリエステル社製)上に、乾燥後の厚みが25μmおよび100μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、離型フィルム上に無機−ポリマー複合材からなるフィルムを形成した。
【0153】
これを50mm×50mmに切断したものを4枚重ねて200μmにしたものを、ヘイズメーターHM−150型(村上色彩技術研究所社製)により、ヘイズを測定した。その結果を表11に示す。
なお、比較例2〜5では、層状粘土鉱物が凝集し易く、フィルム(シート)状にコーティングすると、平滑かつ透明なフィルムを得ることができなかった。
【0154】
【表11】
【0155】
5) 接着力
実施例1〜4、31、比較例1、3、4および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、ルミラーS10#12(ポリエステルフィルム、東レ社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上に無機−ポリマー複合材からなる複合材フィルムを形成し、これを評価サンプルとした。
【0156】
これらのサンプルを、幅25mmに切断し、これを、プロピレン板およびガラス板(コーニング#1737、コーニング社製)に貼着し、2kgのゴムローラーを1往復させて圧着して、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度300mm/min)を測定した(初期接着力)。
【0157】
また、オートクレーブ中で放置した後、さらに、60℃、および、60℃/90%RHの雰囲気下で、24時間それぞれ放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度300mm/min)をそれぞれ測定した。その結果を表12に示す。
なお、接着性は、剥離接着力の値が高いほど、良好であることを示す。
【0158】
【表12】
【0159】
6) 応力−歪み測定
実施例1〜5、31、比較例1〜3、4および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、MFR(ポリエステルフィルム、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上にフィルム(粘着剤層)を形成し、これを評価サンプルとした。
【0160】
これらのサンプルを30mm×40mmに切断し、離型フィルムから剥がしながら、空気をかみこまないように、粘着剤層を端から丸め、長さ30mmの円筒状のポリマー複合材の試験片を形成した。
この試験片の長手方向両端の10mmの部分を引張り試験機TG−1KN(ミネベア社製)でそれぞれ挟んだ。そして、引張り速度50mm/分で応力―歪み試験を実施して、初期弾性率、破断強度、破断伸び、最大応力を求めた。その結果を表13に示す。
【0161】
【表13】
【0162】
7)動的粘弾性測定
実施例1〜5、比較例1、3および4により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、MFR(ポリエステルフィルム、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上にフィルム(粘着剤層)を形成し、これを評価サンプルとした。
【0163】
これらのサンプルを、厚みが2±0.2mmになるように重ね合わせたものを測定サンプルとした。作製したサンプルを、直径7.9mmの円形状に打ち抜き、これを直径7.9mmのパラレルプレートに挟んで荷重100gを加え、粘弾性スペクトロメーターARES(レオメトリックサイエンティフィックス社製)を用いて周波数1Hzで温度20℃および80℃における貯蔵弾性率(G‘)、損失弾性率(G“)および損失正接(tanδ)をそれぞれ測定した。その結果を表14に示す。
【0164】
【表14】
【0165】
8) SEM観察
実施例13〜18および20〜30により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを水で希釈し、試料台に滴下した後、30℃で30分乾燥した。次いで、Pt−Pdスパッタリングを5秒間施した後、加速電圧が0.1〜1kVのFE−SEM(HITACHI製 S−4800)を用いて、SEM観察した。
【0166】
これらSEM写真の画像処理図を、図8〜図13、図15および図17〜図26にて示す。
9) TEM観察
実施例1、2、4、8〜10、19、20、31、32および比較例7により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを水で希釈し、その1滴をカーボン膜付TEM用試料台に滴下、乾燥した後、日立透過型電子顕微鏡Hitachi H−7650を用いて加速電圧100kVにて観察した。
【0167】
また、比較例3〜6および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションをエポキシ樹脂中に包埋した後、2%のルテニウム酸水溶液中で3時間処理することにより染色を行い、これを超ミクロトーム(Ultracut S,ライカ社製)により厚み約80nmに切削し、次いで、この超薄切片の断面を日立透過型電子顕微鏡Hitachi H−7650を用いて加速電圧100kVにて観察した。
【0168】
これらTEM写真の画像処理図を、図2〜図7、図14、図16および図27〜図37にて示す。
【符号の説明】
【0169】
1 基材
2 粘着剤層
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機−ポリマー複合材、および、それが用いられる粘着剤層および粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水分散型樹脂に粘土鉱物を添加することにより、種々の特性の向上を図ることが知られている。
例えば、モンモリロナイト粘土を水に配合してこれをスラリー化し、次いで、これに、膨潤剤(疎水化処理剤)としてドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを溶解させて、粘土スラリーを調製し、その後、粘土スラリーに、イソプレンおよびスチレンを含むモノマー溶液を加えて、攪拌(乳化)し、これを加熱(重合)することにより、ポリマーラテックスを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−518122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で提案されるポリマーラテックスでは、モンモリロナイト粘土は、粘土スラリーにおいて、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが配合されることよって疎水化され、互いに凝集している。そのため、かかる粘土スラリーにモノマー溶液を加えると、モノマー溶液が、凝集したモンモリロナイト粘土の間に浸入する。
そして、かかる粘土スラリー中のモノマー溶液を重合すれば、得られるポリマーの表面にモンモリロナイト粘土が担持されるよりも、むしろ、モンモリロナイト粘土がポリマー内部に入り込み、却って機械物性が低下するという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、ポリマー粒子の機械物性を維持しつつ、種々の特性の向上を図ることのできる無機−ポリマー複合材、ならびに、それが用いられる粘着剤層および粘着フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の無機−ポリマー複合材は、平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在していることを特徴としている。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記親水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、4〜200重量部であることが好適である。
【0007】
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、最大長さが1〜200nmである疎水性無機化合物を内包していることが好適である。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記疎水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好適である。
また、本発明の前記疎水性無機化合物が、バルク状、針状または板状の、疎水性無機化合物であることが好適である。
【0008】
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記ポリマー粒子が、水分散型ポリマー粒子であることが好適である。
また、本発明の無機−ポリマー複合材では、前記親水性無機化合物が、親水性の層状粘土鉱物、および/または、バルク状、針状または板状の、親水性無機化合物であることが好適である。
【0009】
また、本発明の粘着剤層は、上記した無機−ポリマー複合材を含有していることを特徴としている。
さらに、本発明の粘着フィルムは、支持体の少なくとも片面に上記した粘着剤層を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子の表面に親水性無機化合物が偏在している。そのため、ポリマー粒子の機械物性を維持しつつ、放熱性材料、導電性材料、さらには、接着性に優れる。
そのため、本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着剤層および粘着フィルムは、優れた接着性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着フィルムの一例の断面図を示す。
【図2】実施例1の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図3】実施例2の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図4】実施例4の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図5】実施例8の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図6】実施例9の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図7】実施例10の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図8】実施例13の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図9】実施例14の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図10】実施例15の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図11】実施例16の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図12】実施例17の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図13】実施例18の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図14】実施例19の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図15】実施例20の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図16】実施例20の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図17】実施例21の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図18】実施例22の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図19】実施例23の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図20】実施例24の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図21】実施例25の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図22】実施例26の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図23】実施例27の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図24】実施例28の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図25】実施例29の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図26】実施例30の無機−ポリマー複合材のSEM写真の画像処理図を示す。
【図27】実施例31の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図28】実施例32の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図29】比較例3の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図30】比較例4の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図31】比較例5の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図32】比較例6の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図33】比較例7の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図34】比較例8のポリマーのTEM写真の画像処理図を示す。
【図35】比較例9の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図36】比較例10の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【図37】比較例11の無機−ポリマー複合材のTEM写真の画像処理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の無機−ポリマー複合材は、ポリマー粒子の表面に親水性無機化合物が偏在している。つまり、ポリマー粒子の表面に、親水性無機化合物が、分散状態で担持されている。このような、本発明の無機−ポリマー複合材は、次に述べる製造方法によって、ポリマーラテックスとして、得ることができる。
すなわち、本発明の無機−ポリマー複合材は、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製する工程(水分散液調製工程)と、水分散液とエチレン性不飽和モノマーとを配合して、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製する工程(モノマーエマルション調製工程)と、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマーおよびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する工程(界面活性剤配合工程)と、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させる工程(重合工程)とを備える製造方法により、ポリマーラテックスとして、得ることができる。
【0013】
親水性無機化合物としては、例えば、親水性の層状粘土鉱物、および/または、特定形状(層状を除く)の親水性無機化合物が挙げられる。
親水性の層状粘土鉱物としては、例えば、2次元に広がる層が複数積層されたフィロ珪酸塩鉱物が挙げられ、例えば、スメクタイトが挙げられる。
スメクタイトは、モンモリロン石群鉱物であって、例えば、モンモリロン石(モンモリロンナイト)、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石(サポナイト)、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ベントナイトなどが挙げられる。
【0014】
また、親水性の層状粘土鉱物としては、例えば、バーミキュル石(バーミキュライト)、ハロイサイト、膨潤性マイカ、黒鉛なども挙げられる。
これら親水性の層状粘土鉱物は、単独使用または2種以上併用することができる。
このような親水性の層状粘土鉱物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、より具体的には、天然品として、例えば、クニピアシリーズ(モンモリロナイト、クニミネ工業社製)、ベンゲルシリーズ(ベントナイト、ホージュン社製)、ソマシフMEシリーズ(膨潤性マイカ、コープケミカル社製)などが挙げられ、合成品として、例えば、スメクトン(サポナイト、クニミネ工業社製)、ルーセンタイトSWNシリーズ(ヘクトライト、コープケミカル社製)、ラポナイト(ヘクトライト、ロックウッドホールディングス社製)が挙げられる。好ましくは、一般に、合成品は天然品よりも最大長さが小さいため、小さい油滴を得ることができる観点から、合成品が挙げられる。
【0015】
親水性の層状粘土鉱物のサイズは、各層の厚みが、例えば、0.5〜2nm、具体的には、約1nmであり、各層の長さ(最大長さ)が、例えば、1〜1000nm、好ましくは、20〜800nm、さらに好ましくは、30〜700nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。
特定形状の親水性無機化合物は、親水性であり、かつ、バルク形状、針形状、または、板形状(層状を除く)をなしている。
【0016】
バルク形状の親水性無機化合物には、例えば、球形状、直方体形状、または、それらの異形形状の親水性無機化合物などが含まれる。バルク形状の親水性無機化合物としては、例えば、親水性の、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化スズ(アンチモンドープ酸化スズを含む。)、アルミナ、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭素(ダイヤモンド)、金属微粒子などが挙げられる。
【0017】
針形状の親水性無機化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、セピオライト、針状酸化スズ、針状水酸化マグネシウム、アルミナなどが挙げられる。
板形状の親水性無機化合物は、親水性の層状粘土鉱物などの層形状の無機化合物(親水性無機化合物)を除く、板形状の親水性無機化合物であって、例えば、窒化ホウ素、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0018】
これら親水性無機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、アンチモンドープ酸化スズ、酸化チタン、酸化スズ、アルミナ、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭素(ダイヤモンド)が挙げられる。
このような特定形状の親水性無機化合物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、より具体的には、アンチモンドープ酸化スズとしては、例えば、石原産業社製のSN−100S、SN−100P、SN−100D(水分散品)、酸化チタンとしては、例えば、石原産業社製のTTOシリーズ、酸化亜鉛としては、例えば、住友大阪セメント社製のSnO−310、SnO−350、SnO−410、アルミナとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のNANOBYKシリーズや、日産化学工業社製のアルミナゾルシリーズ、炭化ケイ素としては、例えば、住友大阪セメント社製のSiCシリーズ、ダイヤモンドとしては、例えば、ダイヤモンドパウダーシリーズなどが挙げられる。
【0019】
特定形状の親水性無機化合物のサイズは、バルク形状(球状)の親水性無機化合物の場合には、1次平均粒子径として、例えば、1〜400nm、好ましくは、1〜200nm、さらに好ましくは、5〜100nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。
また、針形状の親水性無機化合物または板形状の親水性無機化合物の場合には、最大長さとして、例えば、1〜400nm、好ましくは、1〜200nm、さらに好ましくは、5〜200nmである。上記範囲より大きければ目的とする粒子径の油滴が得られない場合がある。さらに、これらのアスペクト比(針状の場合には、長軸長さ/短軸長さ、または、長軸長さ/厚みで表現される。また、板状の場合には、対角長さ/厚み、または、長辺長さ/厚みで表現される。)が、例えば、5〜200、好ましくは、10〜100である。
【0020】
また、特定形状の親水性無機化合物は、モノマーエマルション調製工程では、水とエチレン性不飽和モノマーの油滴との間の界面に存在し、重合工程後においては、ポリマー粒子の表面に偏在するように担持される必要がある。
そのため、親水性無機化合物が疎水性であると、モノマーエマルション調製工程において、油相中に安定して存在してしまい、水と油滴との間の界面に存在できず、その結果、乳化できなくなる。その一方、親水性無機化合物の親水性が過度に高いと、水中に安定して存在してしまい、やはり、水とエチレン性不飽和モノマーの油滴との間の界面に存在できず、その結果、乳化できない場合を生じる。
【0021】
よって、親水性無機化合物の親水性が過度に高く、乳化ができない場合には、必要により、親水性無機化合物の表面を、表面処理剤によって、部分的に表面処理する。
表面処理剤としては、一般的な表面改質剤、例えば、カップリング剤や脂肪酸などが挙げられる。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
【0022】
シラン系シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチル−ジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチル−ジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチル−ジエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチル−ジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリルオキシデシルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ヘキサメチレンジシラザンなどが挙げられる。
【0023】
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
【0024】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
また、脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などが挙げられる。
このような表面処理剤による表面処理としては、例えば、特定形状の親水性無機化合物を、ミキサー中で撹拌しながら、表面処理剤のアルコール水溶液、有機溶媒溶液(アルコールを除く有機溶媒。例えば、アセトンなど。)または水溶液を添加する乾式法、例えば、特定形状の親水性無機化合物をアルコール水溶液または水溶液中に分散させた後、表面処理剤を添加する湿式法、例えば、特定形状の親水性無機化合物に表面処理剤を噴霧するスプレー法などが挙げられる。
【0025】
なお、親水性が過度に高い特定形状の親水性無機化合物は、予め表面処理された市販品を用いることもできる。
エチレン性不飽和モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、炭素数が1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステル)であって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルブチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘプタデシル((メタ)アクリル酸イソステアリル)、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキサデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜18の直鎖または分岐アルキル)エステルが挙げられる。
【0026】
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、好ましくは、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキサデシルが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性ポリマーを挙げることができる。
【0027】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有不飽和モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有不飽和モノマー、その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのビニル基含有複素環化合物、例えば、フッ素(メタ)アクリレートなどの、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
【0028】
また、共重合性ビニルモノマーとしては、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルt−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
【0029】
さらに、上記した官能基含有ビニルモノマーとしては、多官能性モノマーが挙げられる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0030】
さらにまた、共重合性ビニルモノマーとしては、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。アルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0031】
また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0032】
これら共重合性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
これら共重合性ビニルモノマーのうち、好ましくは、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしてアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを用いることにより、ポリマー鎖にアルコキシシリル基が導入され、それら同士の反応により架橋構造を形成することができる。
【0033】
このような共重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと必要により任意的に併用し、あるいは、単独使用することができる。
共重合性ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸アルキルエステルと併用される場合には、共重合性ビニルモノマーの配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、40重量部以下、好ましくは、30重量部以下、さらに好ましくは、20重量部以下である。共重合性ビニルモノマーが、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーである場合には、その配合割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部である。
【0034】
界面活性剤としては、例えば、公知の界面活性剤(「界面活性剤 物性・性能要覧、森山登著、技術情報協会出版」」に掲載されている界面活性剤)が挙げられ、例えば、液体および固体の間の界面に主に作用する分散剤、例えば、液体および液体の間の界面に主に作用する乳化剤が挙げられる。
分散剤としては、例えば、リン酸系分散剤やカルボン酸系分散剤などが挙げられる。リン酸系分散剤として、例えば、オルトリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどが挙げられる。カルボン酸系分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸系、ポリメタクリル酸系、アクリル酸/マレイン酸共重合体系、スチレン/マレイン酸共重合体系などの高分子分散剤が挙げられる。
【0035】
高分子分散剤は、一般の市販品を用いることができ、例えば、アクアリックシリーズ(ポリアクリル酸系、または、アクリル酸/マレイン酸共重合体系、日本触媒社製)、アロンシリーズ(ポリアクリル酸系、東亞合成社製)、シャロールシリーズ(ポリアクリル酸系、第一工業製薬社製)、ポイズシリーズ(アクリル酸/マレイン酸共重合体系、花王社製)、SNディスパーサントシリーズ(ポリカルボン酸共重合体系、サンノプコ社製)、例えば、EFKAシリーズ(ポリアクリル酸系、チバ・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0036】
また、乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
【0037】
また、乳化剤としては、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(反応性基)が導入されたラジカル重合性(反応性)乳化剤などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
そして、本発明において、例えば、まず、上記した親水性無機化合物と水とを配合し、続いて、これらを攪拌混合することによって、親水性無機化合物を水に分散させて、親水性無機化合物の水分散液を調製する(水分散液調製工程)。
【0038】
親水性無機化合物の配合割合は、水100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、0.2〜40重量部、さらに好ましくは、0.5〜30重量部である。また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、水100重量部に対して、例えば、0.1〜11重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲を超えると、水分散液の粘度が過度に高くなる場合や、重合工程において凝集を生じる場合がある。
【0039】
一方、親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲に満たないと、無機−ポリマー複合材における親水性無機化合物の含有割合が過度に低くなり、親水性無機化合物をポリマー粒子の表面に均一に担持させることができない場合がある。
また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合において、親水性の層状粘土鉱物の配合割合が上記した範囲を超えると、水分散液の粘度が過度に高くなり、水分散液の流動性が過度に低下するため、親水性の層状粘土鉱物を均一かつ十分に膨潤させることができない場合がある。また、モノマーエマルション調製工程において、モノマーエマルションの粘度を低下させて、重合工程において、得られる重合体の固形分濃度を一定範囲内にする必要が生じ、煩雑となる場合がある。
【0040】
一方、親水性の層状粘土鉱物の配合割合が上記した範囲に満たないと、無機−ポリマー複合材における親水性の層状粘土鉱物の含有割合が過度に低くなり、親水性の層状粘土鉱物をポリマー粒子の表面に均一に担持させることができない場合がある。
親水性無機化合物が配合された水を攪拌混合するには、例えば、ディスパー、超音波ホモジナイザーなどの公知の攪拌機を用いる。
【0041】
なお、親水性の無機化合物が親水性層状粘土鉱物である場合には、上記の攪拌混合の前に、親水性の層状粘土鉱物が配合された水を、例えば、12〜48時間、好ましくは、24〜36時間、予め静置させることができる。親水性の層状粘土鉱物が配合された水を静置させることにより、例えば、親水性の層状粘土鉱物を水に膨潤させることができ、その後の攪拌混合により、親水性の層状粘土鉱物同士を剥離させてこれらを水中に確実に分散させることができる。
【0042】
なお、この攪拌混合において、特定形状の親水性無機化合物の表面を部分的に表面処理することもできる。
次いで、例えば、水分散液とエチレン性不飽和モノマーとを配合し、続いて、これらを攪拌混合することによって、エチレン性不飽和モノマーを乳化させてモノマーエマルションを調製する(モノマーエマルション調製工程)。
【0043】
水分散液とエチレン性不飽和モノマーとの配合において、親水性無機化合物の配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、4〜200重量部、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、8〜100重量部である。
親水性無機化合物の配合割合が上記した範囲未満であると、モノマーエマルション調製工程において、安定なエマルション形態を得ることができず、ポリマー粒子における親水性無機化合物の被覆率が過度に低くなる。
【0044】
一方、親水性無機化合物の配合割合が上記範囲を超えると、ポリマー粒子における親水性無機化合物の被覆率が過度に高くなり、粘度が上昇し、粘度調整する必要を生じる場合がある。
また、モノマーエマルション調製工程において、予め、疎水性無機化合物を上記したエチレン性不飽和モノマーに分散させて、疎水性無機化合物のモノマー分散液を調製(モノマー分散液調製工程)し、これにより得られる疎水性無機化合物のモノマー分散液を乳化させることもできる。これによって、無機−ポリマー複合材に疎水性無機化合物を内包させることができる。
【0045】
疎水性無機化合物の形状は、特に限定されず、好ましくは、バルク形状、針形状、または、板形状(層状を除く)などの特定形状をなしている。
バルク形状の疎水性無機化合物には、例えば、球形状、直方体形状、または、それらの異形形状の疎水性無機化合物などが含まれる。バルク形状の疎水性無機化合物としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化スズ(アンチモンドープ酸化スズを含む。)、アルミナ、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、金属微粒子などが挙げられる。
【0046】
針形状の疎水性無機化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、セピオライト、針状酸化スズ、針状水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
板形状の疎水性無機化合物は、層形状の疎水性無機化合物を除く、板形状の疎水性無機化合物であって、例えば、窒化ホウ素、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0047】
これら疎水性無機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
好ましくは、シリカ、酸化チタン、アンチモンドープ酸化スズ、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素が挙げられる。
また、疎水性無機化合物としては、上記した特定形状(バルク形状、針形状、または、板形状)の親水性無機化合物を上記した表面処理剤を用いて表面処理することにより疎水化したものを用いることもできる。表面処理の方法は、上記と同様である。
【0048】
このような疎水性無機化合物は、一般の市販品を用いることができ、例えば、シリカとして、アエロジルシリーズ(日本アエロジル社製)など、例えば、酸化チタンとして、TTOシリーズ(石原産業社製)などが挙げられる。
アエロジルシリーズとしては、例えば、アエロジルR8200(1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)、アエロジルR104(1次平均粒子径12nm、オクタメチルシクロテトラシロキサン処理)、アエロジルR974(1次平均粒子径12nm、ジメチルジクロロシラン処理)、アエロジルR812(1次平均粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン処理)などが用いられる。TTOシリーズとしては、例えば、TTO−51(C)(1次平均粒子径10〜30nm、水酸化アルミニウム/ステアリン酸処理)、TTO−55(C)(1次平均粒子径30〜50nm、水酸化アルミニウム/ステアリン酸処理)、TTO−55(D)(1次平均粒子径30〜50nm、水酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム処理)などが挙げられる。
【0049】
疎水性無機化合物のサイズは、1次平均粒子径(針状、板状の場合は最大長さ)として、1〜200nm、好ましくは、5〜150nm、さらに好ましくは、5〜100nm、もっとも好ましくは、5〜50nmである。疎水性無機化合物の1次平均粒子径が上記した範囲より大きければ、疎水性無機化合物が、所望の粒子径の油滴に内包されず、重合中に凝集するおそれがある。
【0050】
モノマー分散液を調製するには、上記した疎水性無機化合物とエチレン性不飽和モノマーとを配合して、上記した公知の攪拌機にて攪拌混合することにより、疎水性無機化合物をエチレン性不飽和モノマーに分散させる。
疎水性無機化合物の配合割合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。換言すると、無機−ポリマー複合材において、疎水性無機化合物の含有割合は、ポリマー粒子100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。
【0051】
疎水性無機化合物の配合割合(含有割合)が上記した範囲を超えると、疎水性無機化合物が油滴に完全に内包されず、重合中に凝集する場合がある。
そして、エチレン性不飽和モノマー(またはモノマー分散液)を乳化させるには、例えば、水分散液と、エチレン性不飽和モノマーを含む油相液とを配合し、続いて、例えば、これらを乳化装置により乳化させる。
【0052】
油相液は、例えば、エチレン性不飽和モノマーを必須成分として含み、開始剤や疎水性化合物(あるいはモノマー分散液)を必要により任意成分として含んでいる。
開始剤としては、例えば、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられ、例えば、油溶性開始剤または水溶性開始剤が用いられる。
油溶性開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシドなどの油溶性過酸化物系開始剤、例えば、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(市販品として、例えば、V−601、和光純薬工業社製)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ系開始剤などが挙げられる。
【0053】
水溶性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤(油溶性アゾ系開始剤を除く。)、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤(油溶性過酸化物系開始剤を除く。)、例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤、例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せなどのレドックス系開始剤などが挙げられる。
【0054】
これら開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。開始剤のうち、好ましくは、油溶性開始剤、さらに好ましくは、油溶性アゾ系開始剤が用いられる。
開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部である。
疎水性化合物は、上記した疎水性無機化合物を除く疎水性有機化合物であって、例えば、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの炭素数8〜30の高級アルカン類、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの炭素数8〜30のアルキル基を有する高級アルコール類、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの炭素数8〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類、例えば、ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタンなどの炭素数8〜30のアルキル基を有するチオール類、例えば、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートなどのポリマー類などが挙げられる。これら疎水性化合物は、単独または2種以上併用することができる。好ましくは、高級アルカン類が挙げられる。なお、エチレン性不飽和モノマーとして、炭素数8〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類を用いる場合には、かかるアルキル(メタ)アクリレート類が疎水性化合物としても機能する場合があるので、配合しなくてもよい場合がある。
【0055】
疎水性化合物の配合割合は、例えば、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、例えば、1〜80重量部、好ましくは、1〜60重量部である。
疎水性化合物を油相液に配合させれば、モノマーエマルション中の油滴を特定範囲のメジアン径に維持することができる。
任意成分を油相液に含ませるには、エチレン性不飽和モノマーに、開始剤および疎水性化合物を加えて、これを溶解させる。
【0056】
なお、上記した説明では、任意成分を、油相液に配合したが、例えば、モノマーエマルション中に直接加えることもできる。
乳化装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K、NIRO−SOAVI社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)、ナノマイザー(吉田機械興業社製)、TKホモミキサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)などが用いられる。
【0057】
超音波ホモジナイザーでは、使用される超音波の周波数は特に制限されず、例えば、20〜40kHzである。超音波ホモジナイザーでは、超音波照射によるキャビテーション効果によって、エチレン性不飽和モノマーの油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよびナノマイザーでは、加圧される圧力は特に制限されず、例えば、10〜300MPaである。高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーおよびナノマイザーでは、分散液を加圧しながら、これを微細孔から吐出させて、かかる吐出において発生する高剪断力の付加により、油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
【0058】
TKホモミキサーおよびTKフィルミックスは、回転体の高速回転を利用する乳化装置であって、混合液中で回転体が高速回転することにより、高剪断力が混合液に付加されて、油滴が上記したメジアン径にまで微細化される。
これら乳化装置は、単独使用することができ、また、2種以上を組み合わせて多段で使用することもできる。
【0059】
これにより、乳化されるエチレン性不飽和モノマーの油滴の体積基準のメジアン径は、例えば、100μm以下、好ましくは、40μm以下、さらに好ましくは、4μm以下、通常、0.05μm以上である。
また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、乳化されるエチレン性不飽和モノマーの油滴の体積基準のメジアン径は、好ましくは、4μm以下、さらに好ましくは、1μm以下、とりわけ好ましくは、0.5μm以下、通常、0.05μm以上である。
【0060】
油滴のメジアン径が上記した範囲を超えると、重合工程において、凝集物が発生する場合がある。
このモノマーエマルションにおける油滴の体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定される。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、LS13 320(ベックマンコールター社製)などが用いられ、測定条件は、レーザー光源がレーザーダイオードおよびタングステンランプであり、波長が450〜900nmである。
【0061】
次いで、モノマーエマルションを、例えば、加熱することによって、モノマーエマルション中のエチレン性不飽和モノマーを重合させる。
加熱温度(重合温度)を、例えば、40〜90℃に設定し、重合時間を、例えば、1〜10時間に設定する。
また、モノマーエマルションを上記した反応条件で一度に重合することができ、また、モノマーエマルションの一部を重合させた後、残りのモノマーエマルションを、例えば、滴下重合することができ、さらには、反応容器に予め水を仕込んでこれを上記した温度に昇温した後、モノマーエマルションを滴下、あるいは、分割して仕込むこともできる。
【0062】
また、本発明において、界面活性剤を、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマーおよびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する。界面活性剤の配合割合は、親水性無機化合物100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.05〜15重量部である。
界面活性剤を水に配合する場合には、水分散液調製工程において、親水性無機化合物が配合される前の水、あるいは、親水性無機化合物が配合されて、分散される前の水に、界面活性剤を添加する。好ましくは、分散剤を配合する。界面活性剤を水に配合することにより、凝集する親水性無機化合物の1次粒子同士を分散させることができる。また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、水分散液における親水性の層状粘土鉱物の分散性を向上させて、水分散液の粘度を低下させ、得られるエマルションの固形分濃度を一定範囲に容易に調整することができる。
【0063】
また、界面活性剤を水分散液に配合する場合には、モノマーエマルション調製工程(水分散液調製工程後)において、調製された水分散液に、界面活性剤を添加する。好ましくは、分散剤を添加する。界面活性剤を水分散液に配合することにより、水分散液における親水性無機化合物の分散性を向上させて、水分散液の粘度を低下させ、得られるエマルションの固形分濃度を一定範囲に容易に調整することができる。
【0064】
また、界面活性剤を油相液に配合する場合には、モノマーエマルション調製工程において、調製した油相液(具体的には、エチレン性不飽和モノマー)に、界面活性剤を添加する。好ましくは、乳化剤を配合する。界面活性剤を油相液に配合することにより、モノマーエマルションの、安定したエマルション形態を得ることができる。
また、界面活性剤をモノマーエマルションに配合する場合には、重合工程において、調製したモノマーエマルションに、界面活性剤を添加する。好ましくは、乳化剤を配合する。界面活性剤をモノマーエマルションに配合することにより、高い重合安定性を得ることができる。
【0065】
また、モノマーエマルションをモノマー分散液から調製する場合には、界面活性剤を、水、水分散液、エチレン性不飽和モノマー、モノマー分散液およびモノマーエマルションの少なくともいずれかに界面活性剤を配合する。
界面活性剤をモノマー分散液に添加することにより、モノマーエマルションの、安定したエマルション形態を得ることができる。
【0066】
そして、このような重合によって、親水性無機化合物が、ポリマー粒子(つまり、水分散型ポリマー粒子)の表面に担持された無機−ポリマー複合材のエマルションとして、得ることができる。
なお、このエマルションの固形分濃度は、例えば、5〜50重量%、好ましくは、6〜45重量%、さらに好ましくは、8〜40重量%である。エマルションの固形分濃度が上記した範囲を超えると、重合工程におけるエマルションの粘度が過度に高くなり、ハンドリング性が低下したり、重合温度の制御が困難になる場合がある。エマルションの固形分濃度が上記した範囲に満たないと、生産性が低下する場合がある。
【0067】
なお、このエマルションにおける無機−ポリマー複合材の体積基準のメジアン径は、例えば、例えば、100μm以下、好ましくは、40μm以下、さらに好ましくは、4μm以下、通常、0.05μm以上であり、また、親水性無機化合物が親水性の層状粘土鉱物である場合には、4μm以下、好ましくは、1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下、通常、0.05μm以上であり、油滴の体積基準のメジアン径とほぼ同一となる。
【0068】
さらに、無機−ポリマー複合材には、例えば、必要に応じて、pH調整剤(酢酸水溶液など)、架橋剤(イソシアネート系、エポキシ系、オキサゾリン系、アジリジン系、金属キレート系)、連鎖移動剤(チオール類など)、粘度調整剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料など)、老化防止剤、界面活性剤などの添加剤を、適宜の割合で添加することができる。これら添加剤は、重合工程後に添加されてもよく、あるいは、水分散液調製工程、モノマーエマルション調製工程および重合工程における各液に添加することもできる。
【0069】
なお、本発明において、膨潤剤(具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなど)など疎水化処理剤を、水分散液に添加しないように、水分散液を調製する。疎水化処理剤が添加されると、親水性無機化合物は、親水性が低下して、水分散液における分散性が低下して、ポリマー粒子の表面に均一に担持されない。
そして、このようにして得られる無機−ポリマー複合材は、上記したように、平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が、偏在されるようにコンポジットされる。つまり、無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子が、親水性無機化合物を内包することなく、外表面において、親水性無機化合物を担持する。
【0070】
その結果、本発明の無機−ポリマー複合材では、ポリマー粒子をマトリックスとして、親水性無機化合物が連続するパスを形成することができるので、各種工業分野において、放熱性材料や導電性材料として好適に用いることができる。
また、接着性に優れるため、粘着剤層や粘着フィルムとしても、好適に用いることができる。
【0071】
とりわけ、疎水性無機化合物のモノマー分散液を用いる場合には、得られる無機−ポリマー複合材(ポリマー粒子)は、親水性無機化合物ではなく、疎水性無機化合物を内包(つまり、内部に含有)している。一方、無機−ポリマー複合材(ポリマー粒子)の外表面において、親水性無機化合物を担持(偏在)させるようにコンポジットすることができる。
【0072】
つまり、親水性無機化合物および疎水性無機化合物を、ポリマー粒子の外表面において親水性無機化合物が偏在し、ポリマー粒子の内部に疎水性無機化合物が包含されるように、コンポジットすることができる。
そのため、疎水性無機化合物が内部に均一に存在する無機−ポリマー複合材からなる粘着剤層を得ることができ、かかる粘着剤層の機械強度の向上を図ることができる。
【0073】
図1は、本発明の無機−ポリマー複合材が用いられる粘着フィルムの一例の断面図を示す。
次に、本発明の無機−ポリマー複合材を用いて、粘着剤層および粘着フィルムを製造する方法の一例について、説明する。
この方法では、まず、支持体としての基材1を用意する。
【0074】
基材1を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、クラフト紙、和紙などの紙類、綿布、スフ布などの布類、ポリエステル不織布、ビニロン布織布などの布織布類、金属箔が挙げられる。
【0075】
基材1は、例えば、シート(フィルム)状やテープ状に形成されている。
また、基材1には、例えば、必要により、下塗り処理、目止め処理、コロナ処理、背面処理など、公知の処理を施すことができる。
基材1の厚みは、その用途および目的に応じて適宜選択され、例えば、20〜150μm、好ましくは、30〜100μmである。
【0076】
次いで、基材1の片面に、粘着剤層2を積層する。
粘着剤層2を設けるには、例えば、基材1の片面に、無機−ポリマー複合材のエマルションを、ロール塗布、スクリーン塗布、グラビア塗布などの公知の塗布方法により、直接塗布し、その後、例えば、50〜180℃で加熱して乾燥する。
また、粘着剤層2が積層された離型シートから、粘着剤層2を基材1に転写することもできる。
【0077】
粘着剤層2が積層された離型シートは、例えば、公知の離型シートに、無機−ポリマー複合材のエマルションを、公知の塗布方法により、直接塗布し、これを加熱により乾燥して粘着剤層2を形成することにより、形成される。また、粘着剤層2を転写するには、基材1の片面と粘着剤層2とが接触するように、粘着剤層2が積層された離型シートを、基材1に貼り合わせた後、粘着剤層2から離型シートを引き剥がす。
【0078】
このようにして形成される粘着剤層2の厚み(乾燥後厚み)は、その用途および目的に応じて適宜選択され、例えば、1.0〜100μm、好ましくは、3.0〜50μm程度の範囲に設定される。
なお、図1に示す上記した説明において、粘着剤層2を、基材1の片面に設けたが、例えば、基材1の両面に設けることもできる。
【0079】
また、上記した粘着フィルムには、例えば、粘着シート、粘着テープなどが含まれる。
そして、この粘着フィルムでは、粘着剤層の機械物性、具体的には、接着力が優れている。粘着剤層は、動的粘弾性測定により得られる損失弾性率G’’および損失正接tanδが高く、そのため、粘着剤層は、優れた制振性を有することが推察される。
さらに、この粘着フィルムは、粘着剤層の接着力、耐熱性および耐湿性が優れているため、接着力、耐熱性および耐湿性に優れる。
【実施例】
【0080】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。
実施例1
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部を水464重量部に加え、24時間静置した。これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0081】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0082】
実施例2
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加した以外は、実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0083】
実施例3
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を20重量部に変更し、水の配合部数を504重量部に変更した以外は実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0084】
実施例4
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)5重量部を水631重量部に加え、24時間静置した。これを、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0085】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)と20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)とを加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0086】
実施例5
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、水の配合部数を271重量部に変更し、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)に代えて、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)を用いた以外は、実施例1と同様にモノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度30%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0087】
実施例6
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)50重量部を水1056重量部に加え、24時間静置した。これに、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)12.5重量部(固形分で2.5重量部)を添加し、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0088】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)4重量部(固形分で0.8重量部)を添加して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度13%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0089】
実施例7
水分散液調製工程において、水の配合部数を2014重量部に変更し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を100重量部に変更し、20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)の配合部数を25重量部(固形分で5重量部)に変更した以外は、実施例6と同様モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0090】
実施例8
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてメタクリル酸メチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0091】
実施例9
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてアクリル酸イソステアリルを用い、モノマーエマルション調製工程において、ヘキサデカンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0092】
実施例10
水分散液調製工程において、水の配合部数を658重量部に変更し、アクリル酸ブチルに代えてスチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度15%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0093】
実施例11
水分散液調製工程において、水の配合部数を504重量部に変更し、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部に代えて、クニピアF(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:300nm、クニミネ工業社製)20重量部を用い、モノマーエマルション調製工程において、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例4と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0094】
実施例12
(水分散液調製工程)
水715重量部に親水性の窒化ホウ素粒子(1次平均粒子径20nm)20重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間処理して、水分散液を得た。
(モノマーエマルションの調製)
アクリル酸イソステアリル100重量部、ヘキサデカン5重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して、油相液を調製した。
【0095】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0096】
実施例13
水分散液調製工程において、水の配合部数を942重量部に変更し、窒化ホウ素粒子の配合部数を60重量部に変更した以外は実施例12と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルション調製工程において、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)をさらに0.03重量部加えた以外は、実施例12と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度30%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0097】
実施例14
(水分散液調製工程)
水517重量部に親水性の酸化チタン(TTO−55D、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)20重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間処理して酸化チタン水分散液を得た。
(モノマーエマルションの調製)
アクリル酸イソステアリル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0098】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)と、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)25重量部(固形分で5重量部)と、を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材を得た。
【0099】
実施例15
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)水分散液(SN−100S、固形分濃度17.9%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)84重量部(固形分で15重量部)と、水368重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)4.5重量部とを加え、20時間室温にて攪拌した。これを5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整することにより、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、メタクリル酸メチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0100】
実施例16
水分散液調製工程において、ATO水分散液の配合部数を固形分で50重量部となるように変更し、水の配合部数を486重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシランの配合部数を9.1重量部に変更した以外は、実施例15と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度18%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0101】
実施例17
水分散液調製工程において、ATO水分散液の配合部数を固形分で70重量部となるように変更し、水の配合部数を486重量部に変更し、5%酢酸水溶液にてpH4.0にした後に、20重量%分散剤液(ポリカルボン酸系分散剤、商品名:シャロールAN−103P、固形分濃度45%、第一工業製薬社製)2.2重量部(固形分量で1重量部)を加えた以外は、実施例15と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度18%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0102】
実施例18
水分散液調製工程において、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整後に、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)をさらに加え、モノマーエマルション調製工程において、メタクリル酸メチルに代えてアクリル酸ブチルを用いた以外は、実施例15と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0103】
実施例19
水分散液調製工程において、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整後に、水分散液をさらに20時間攪拌混合し、モノマーエマルション調製工程において、メタクリル酸メチルに代えてアクリル酸ブチルを用いた以外は、実施例15と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0104】
実施例20
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)水分散液(SN−100D、固形分濃度29.7%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)168重量部(固形分で50重量部)と、水167重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)15重量部(固形分で3重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0105】
実施例21
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0106】
実施例22
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、メタクリル酸ラウリル(メタクリル酸ドデシル)100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0107】
実施例23
モノマーエマルション調製工程において、アクリル酸ブチル100重量部に代えて、アクリル酸イソステアリル(アクリル酸2−メチルヘプタデシル)100重量部を用いた以外は、実施例20と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0108】
実施例24
水分散液調製工程において、ATO(SN−100D、固形分濃度29.7%、バルク形状、1次平均粒子径20nm、石原産業社製)の配合部数を、673重量部(固形分で200重量部)に変更し、水の配合部数を111重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を15.2重量部に変更し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)の配合部数を1重量部(固形分で0.2重量部)に変更した以外は、実施例20と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0109】
実施例25
(水分散液の調製)
酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)と、水172重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
水分散液に、アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)を加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)15重量部(固形分で3重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0110】
実施例26
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(NANOBYK−3600、アルミナ固形分濃度50%、バルク形状、1次平均粒子径40nm、ビックケミー・ジャパン社製)100重量部(固形分で50重量部)を用い、水の配合部数を235重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0111】
実施例27
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−W−5、固形分濃度30.7%、バルク形状、1次平均粒子径50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(アルミナゾル100、アルミナ固形分濃度10.3%、針形状、最大長さ300nm、日産化学工業社製)285重量部(固形分で50重量部)を用い、水の配合部数を67重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を15.3重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0112】
実施例28
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、アルミナ水分散液(NANOBYK−3600、アルミナ固形分濃度50%、ビックケミー・ジャパン社製)100重量部(固形分で50重量部)とアルミナ水分散液(アルミナゾル100、アルミナ固形分濃度10.3%、針形状、最大長さ300nm、日産化学工業社製)485重量部(固形分で50重量部)とを用い、水の配合部数を70重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を16.2重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0113】
実施例29
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、炭化ケイ素の粉末(β−SiC、1次平均粒子径30nm、住友大阪セメント社製)50重量部を用い、水の配合部数を282重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を1.9重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0114】
実施例30
水分散液調製工程において、酸化チタン水分散液(TTO−55D、バルク形状、1次平均粒子径30〜50nm、石原産業社製)163重量部(固形分で50重量部)に代えて、ダイヤモンドの粉末(HHM−A−1/10μm、1次平均粒子径100nm、Techno Rise社製)50重量部を用い、水の配合部数を279重量部に変更し、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)の配合部数を0.5重量部に変更した以外は、実施例25と同様にして、水分散液を調製し、次いで、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度35%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0115】
実施例31
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(層状粘土鉱物、コープケミカル社製)10重量部を水279重量部に加え、24時間静置した。これに20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、水分散液を得た。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。これにアエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合してモノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度30%の無機コンポジット水分散型樹脂のエマルションを得た。
【0116】
実施例32
(水分散液の調製)
ATO(アンチモンドープ型酸化スズ)水分散液(SN−100D、固形分濃度29.7%、石原産業社製)168重量部(固形分で50重量部)と、水168重量部と、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)3.8重量部とを加え、5%酢酸水溶液にてpH4.0に調整した。これを20時間室温にて攪拌し、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)15.0重量部(固形分で3重量部)を加えることで、水分散液を調製した。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を混合した液に、アエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、モノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)0.25重量部(固形分で0.05重量部)とを水分散液に加え、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度35%の無機コンポジット水分散型樹脂のエマルションを得た。
【0117】
参考比較例1
モノマーエマルション調製工程において、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0118】
参考比較例2
モノマーエマルション調製工程において、油相液に、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部をさらに添加し、モノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて攪拌混合せず、乳化させなかった以外は、実施例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0119】
参考比較例3
(水分散液調整工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)250重量部を水4263重量部に加え、24時間静置した。これに、20%分散剤液(シャロールAN−130P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)62.5重量部(固形分で12.5重量部)を添加し、超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、水分散液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0120】
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、撹拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハノテノールLA−16、第一工業製薬社製)4重量部(固形分で0.8重量部)を添加して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0121】
参考比較例4
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)の配合部数を3重量部に変更し、水の配合部数を587重量部に変更した以外は、参考比較例3と同様にして、固形分濃度8%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0122】
参考比較例5
モノマーエマルション調製工程において、20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:シャロールAN−103P、第一工業製薬社製)を用いなかった以外は、実施例12と同様に、モノマーエマルションを調製し、続いて、これを重合させることにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0123】
比較例1
(水分散液調製工程)
水106重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)15重量部(固形分濃度で3重量部)を加えて水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.03重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0124】
次いで、この油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理してモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度50%のポリマーのエマルションを得た。
【0125】
比較例2
(水分散液調製工程)
容器に、水90重量部とルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部とを加え、24時間静置した。これに、10%に調整したヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)を、ルーセンタイトSWNに対して固形分濃度が10重量%になるように加えた。次いで、超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、10%層状粘土鉱物の水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
比較例1で調製した固形分濃度が50%のポリマーのエマルションに、10%層状粘土鉱物の水分散液を、ポリマー複合材100重量部に対して層状粘土鉱物が10重量部となるように加えて撹拌し、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0126】
比較例3
水分散液調製工程において、ヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)の固形分を20重量部に変更した以外は、比較例2と同様にして、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
比較例4
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に代えて、ルーセンタイトSPN(疎水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に変更した以外は、比較例2と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、固形分濃度50%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0127】
比較例5
水分散液調製工程において、ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に代えて、ルーセンタイトSPN(疎水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)に変更し、ヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤、和光純薬社製)を、ルーセンタイトSWNに対する固形分濃度が20重量%となるように加えた以外は、比較例1と同様にして、モノマーエマルションを調製し、続いて、固形分濃度50%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0128】
比較例6
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン3重量部、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)1重量部(固形分で0.2重量部)、水309重量部を加え、ホモジナイザー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、圧力150MPaで1パス処理し、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマー分散液を仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度23%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0129】
その後、エマルションに水分散液(SN−100S、固形分濃度17.9%、石原産業社製)75重量部(固形分で15重量部)を加えて攪拌することにより、無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
比較例7
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)10重量部を水372重量部に加え、24時間静置し、さらに、24時間撹拌して水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(疎水化処理剤、和光純薬製)14重量部を水126重量部に溶解し、これを水分散液に添加した。
【0130】
次いで、これに、アクリル酸ブチル100重量部とアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部とを混合した油相液を添加して23℃で24時間撹拌して、モノマーエマルションを調製した。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度20%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0131】
比較例8
(水分散液調製工程)
水155重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分濃度で0.5重量部)および20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加えて、さらに酢酸を加えてpH4.0の水分散液を調製した。
(モノマーエマルション調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。
【0132】
次いで、この油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、これに20重量%分散剤液(高分子分散剤、商品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加えてモノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより固形分濃度40%のポリマーのエマルションを得た。
【0133】
その後、調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%のポリマーのエマルションを得た。
【0134】
比較例9
(水分散液調製工程)
水163重量部に、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分濃度で0.5重量部)および20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)2.5重量部(固形分で0.5重量部)を加え、さらに酢酸を加えてpH4.0の水分散液を調製した。
(モノマー分散液調製工程)
アクリル酸ブチル100重量部、ヘキサデカン5重量部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学社製)0.05重量部、開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、油溶性アゾ系開始剤、商品名:V−601、和光純薬社製)0.25重量部を混合して油相液を調製した。これにアエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)5重量部を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合してモノマー分散液を含む油相液を得た。
(モノマーエマルション調製工程)
次いで、油相液と水分散液とを混合し、TKホモミキサー(プライミクス社製)を用いて1分間、6000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K)を用いて、圧力100MPaで2パス処理して、モノマーエマルションを得た。
(重合工程)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、70℃に昇温し、3時間重合することにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0135】
比較例10
(水分散液調製工程)
アエロジルR8200(ヒュームドシリカ、1次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理、日本アエロジル社製)10重量部を水70重量部に加え、これに50%分散剤液(EFKA4550、ポリアクリル酸系分散剤、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)20重量部(固形分で10重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間撹拌混合して、固形分濃度10%の水分散液を得た。
(無機−ポリマー複合材を調製する工程)
比較例8で調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加えた。これに水分散液を固形分で5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0136】
比較例11
(水分散液調製工程)
ルーセンタイトSWN(親水性の層状粘土鉱物、各層の最大長さ:50nm、コープケミカル社製)5重量部を水92.5重量部に加え、24時間静置した。これに20%分散剤液(シャロールAN−103P、高分子分散剤、第一工業製薬社製)5重量部(固形分で1重量部)を加え、これを超音波ホモジナイザーで3分間攪拌混合して、固形分濃度5%の層状粘土鉱物水分散液を得た。
(無機−ポリマー複合材を調製する工程)
比較例8で調製したポリマーのエマルションの固形分100重量部に対して、20重量%乳化剤液(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1.5重量部加えた。これに水分散液を固形分で5重量部加え、さらに粘度調整剤(商品名SNシックナー634、サンノプコ社製)を固形分で0.3重量部加えることにより、固形分濃度40%の無機−ポリマー複合材のエマルションを得た。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
(評価)
1) 油滴のメジアン径
実施例1〜32、参考比較例1〜5および比較例1〜9により得られたモノマーエマルションについて、レーザー回折散乱式粒度分布計(LS13 320、レーザー光源:レーザーダイオードおよびタングステンランプ、波長450〜900nm、ベックマンコールター社製)を用いて、油滴の体積基準の平均メジアン径を測定した。その結果を表8に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
2) 無機−ポリマー複合材のメジアン径
実施例1〜32および比較例1〜9により得られた無機−ポリマー複合材について、レーザー回折散乱式粒度分布系(LS 13 320、レーザー光源:レーザーダイオードおよびタングステンハロゲンランプ、波長450〜900nm、ベックマンコールター社製)を用いて、平均メジアン径を測定した。その結果を表9に示す。
【0147】
なお、参考比較例1〜5では、凝集物が多数発生していた。
【0148】
【表9】
【0149】
3) 重合安定性(凝集物率)
実施例1〜32、参考比較例1〜5および比較例1〜9により得られた無機−ポリマー複合材の製造後のエマルションをナイロンメッシュ(#80)で濾過した後、ナイロンメッシュに残存した凝集物と、反応容器および攪拌羽根に付着した凝集物との総量を計量し、下記式により凝集物率を算出した。その結果を表10に示す。
【0150】
凝集物率(%)={(A+B)/C}×100
A:ナイロンメッシュに残存した凝集物の重量
B:反応容器および攪拌羽根に付着した凝集物の重量
C:油相液成分、ヘキサデカン、親水性の粘土鉱物および親水性無機化合物および疎水性無機化合物の総重量
【0151】
【表10】
【0152】
4) ヘイズ
実施例1〜7、31、比較例1〜5および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材、ダイヤホイル MRF38、三菱化学ポリエステル社製)上に、乾燥後の厚みが25μmおよび100μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、離型フィルム上に無機−ポリマー複合材からなるフィルムを形成した。
【0153】
これを50mm×50mmに切断したものを4枚重ねて200μmにしたものを、ヘイズメーターHM−150型(村上色彩技術研究所社製)により、ヘイズを測定した。その結果を表11に示す。
なお、比較例2〜5では、層状粘土鉱物が凝集し易く、フィルム(シート)状にコーティングすると、平滑かつ透明なフィルムを得ることができなかった。
【0154】
【表11】
【0155】
5) 接着力
実施例1〜4、31、比較例1、3、4および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、ルミラーS10#12(ポリエステルフィルム、東レ社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上に無機−ポリマー複合材からなる複合材フィルムを形成し、これを評価サンプルとした。
【0156】
これらのサンプルを、幅25mmに切断し、これを、プロピレン板およびガラス板(コーニング#1737、コーニング社製)に貼着し、2kgのゴムローラーを1往復させて圧着して、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度300mm/min)を測定した(初期接着力)。
【0157】
また、オートクレーブ中で放置した後、さらに、60℃、および、60℃/90%RHの雰囲気下で、24時間それぞれ放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度300mm/min)をそれぞれ測定した。その結果を表12に示す。
なお、接着性は、剥離接着力の値が高いほど、良好であることを示す。
【0158】
【表12】
【0159】
6) 応力−歪み測定
実施例1〜5、31、比較例1〜3、4および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、MFR(ポリエステルフィルム、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上にフィルム(粘着剤層)を形成し、これを評価サンプルとした。
【0160】
これらのサンプルを30mm×40mmに切断し、離型フィルムから剥がしながら、空気をかみこまないように、粘着剤層を端から丸め、長さ30mmの円筒状のポリマー複合材の試験片を形成した。
この試験片の長手方向両端の10mmの部分を引張り試験機TG−1KN(ミネベア社製)でそれぞれ挟んだ。そして、引張り速度50mm/分で応力―歪み試験を実施して、初期弾性率、破断強度、破断伸び、最大応力を求めた。その結果を表13に示す。
【0161】
【表13】
【0162】
7)動的粘弾性測定
実施例1〜5、比較例1、3および4により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを、MFR(ポリエステルフィルム、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが25μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレート基材上にフィルム(粘着剤層)を形成し、これを評価サンプルとした。
【0163】
これらのサンプルを、厚みが2±0.2mmになるように重ね合わせたものを測定サンプルとした。作製したサンプルを、直径7.9mmの円形状に打ち抜き、これを直径7.9mmのパラレルプレートに挟んで荷重100gを加え、粘弾性スペクトロメーターARES(レオメトリックサイエンティフィックス社製)を用いて周波数1Hzで温度20℃および80℃における貯蔵弾性率(G‘)、損失弾性率(G“)および損失正接(tanδ)をそれぞれ測定した。その結果を表14に示す。
【0164】
【表14】
【0165】
8) SEM観察
実施例13〜18および20〜30により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを水で希釈し、試料台に滴下した後、30℃で30分乾燥した。次いで、Pt−Pdスパッタリングを5秒間施した後、加速電圧が0.1〜1kVのFE−SEM(HITACHI製 S−4800)を用いて、SEM観察した。
【0166】
これらSEM写真の画像処理図を、図8〜図13、図15および図17〜図26にて示す。
9) TEM観察
実施例1、2、4、8〜10、19、20、31、32および比較例7により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションを水で希釈し、その1滴をカーボン膜付TEM用試料台に滴下、乾燥した後、日立透過型電子顕微鏡Hitachi H−7650を用いて加速電圧100kVにて観察した。
【0167】
また、比較例3〜6および8〜11により得られた無機−ポリマー複合材のエマルションをエポキシ樹脂中に包埋した後、2%のルテニウム酸水溶液中で3時間処理することにより染色を行い、これを超ミクロトーム(Ultracut S,ライカ社製)により厚み約80nmに切削し、次いで、この超薄切片の断面を日立透過型電子顕微鏡Hitachi H−7650を用いて加速電圧100kVにて観察した。
【0168】
これらTEM写真の画像処理図を、図2〜図7、図14、図16および図27〜図37にて示す。
【符号の説明】
【0169】
1 基材
2 粘着剤層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在していることを特徴とする、無機−ポリマー複合材。
【請求項2】
前記親水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、4〜200重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項3】
最大長さが1〜200nmである疎水性無機化合物を内包していることを特徴とする、請求項1または2に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項4】
前記疎水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部であることを特徴とする、請求項3に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項5】
前記疎水性無機化合物が、バルク状、針状または板状の、疎水性無機化合物であることを特徴とする、請求項3または4に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項6】
前記ポリマー粒子が、水分散型ポリマー粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項7】
前記親水性無機化合物が、親水性の層状粘土鉱物、および/または、バルク状、針状または板状の、親水性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材を含有していることを特徴とする、粘着剤層。
【請求項9】
支持体の少なくとも片面に請求項8に記載の粘着剤層を備えていることを特徴とする、粘着フィルム。
【請求項1】
平均粒子径が0.05〜100μmのポリマー粒子の表面に、最大長さが1〜1000nmの親水性無機化合物が偏在していることを特徴とする、無機−ポリマー複合材。
【請求項2】
前記親水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、4〜200重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項3】
最大長さが1〜200nmである疎水性無機化合物を内包していることを特徴とする、請求項1または2に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項4】
前記疎水性無機化合物の含有割合が、前記ポリマー粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部であることを特徴とする、請求項3に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項5】
前記疎水性無機化合物が、バルク状、針状または板状の、疎水性無機化合物であることを特徴とする、請求項3または4に記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項6】
前記ポリマー粒子が、水分散型ポリマー粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項7】
前記親水性無機化合物が、親水性の層状粘土鉱物、および/または、バルク状、針状または板状の、親水性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の無機−ポリマー複合材を含有していることを特徴とする、粘着剤層。
【請求項9】
支持体の少なくとも片面に請求項8に記載の粘着剤層を備えていることを特徴とする、粘着フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2009−209356(P2009−209356A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17276(P2009−17276)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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