説明

無線アクセスポイントを地理的にタグ付けする方法、アクセスポイントの地理的コードを生成する方法及び地理的コードをデコードして位置を求める方法

【課題】簡易且つ安価にユーザの位置を検出する。
【解決手段】ネットワークアクセスポイントを地理的にタグ付けするシステムは、各自のビーコンの一部として位置情報を提供するように構築されている。各アクセスポイントはサービスセット識別子(SSID)を提供し、SSIDはアクセスポイントの場所を表す符号化された値を含む。アクセスポイントのSSID中の符号化された位置の値を利用することは、アクセスポイント又は携帯用コンピュータ装置に如何なる追加的ハードウエアも要しない点で、特に有利である。更に、アクセスポイントに至る接続を設定せずに、位置は、どの携帯装置によっても判別可能である。携帯コンピュータ装置は、ビーコンを受信し、ビーコンから位置情報を取得し、ビーコン(位置情報)をデコードすることに適合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に地理的な位置検出システムの技術分野に関連し、特にネットワークアクセスポイントを使って地理的情報を与えることに関連する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップコンピュータ及びパーソナルディジタルアシスタントのような携帯可能なコンピュータ装置や、スマートフォン及びセルラ電話のような移動可能な通信装置の急増と共に、それらの正確な位置が分かることはユーザにとって有用である。如何なる数のタスクをも顕著に簡易化できるコンピュータ装置の演算能力と共に正確な位置を知ることは、ユーザが情報にアクセスできるようにする。例えば、現場から離れた(off-site)ミーティング場所への道案内を得るには、自身の始点を知る必要がある。同様に、関心のある場所、企業又は店舗等を探すには、ユーザは自身の位置を知る必要がある。今日の多くのコンピュータ装置は他の装置やネットワークと無線通信する機能を備えているが、今日の多くのコンピュータはそのコンピュータ装置の位置を特定する如何なる手段も含んでいない。
【0003】
従来技術は、ラップトップコンピュータ及びセルラ電話内にグローバルポジショニングシステム(GPS)を含めることで、その問題に対処しようとしている。そのような携帯可能なコンピュータや移動可能な通信装置に含めるGPSチップを製造する企業は、現在多数存在している。しかしながらそのようなグローバルポジショニングシステムをコンピュータ装置に追加することは、多くの問題を招く。第1に、その追加回路は高価になり得る。例えばGPS装置は何百ドルから何千ドルにも及ぶかもしれない。第2に、位置決定に必要な計算を実行するだけでなく、衛星から位置信号を捕捉する際にも、GPS装置は一般にかなりの時間を要する。例えばGPS回路の初期化は何分もかかるかもしれない。GPS装置が起動したとしても、コンピュータ装置の初期位置を確定するには最低35秒かかる。そして、GPSシステムの最も大きな欠点は、オフィスビル内や高密度の都市環境ではGPSシステムは適切に機能を発揮できないことである。オフィスビルの物理的構造は衛星からの位置信号と干渉し、その衛星からの信号は、信号の反射に起因する時間差に敏感であるし、弱すぎて多くの構造を貫通できない。
【0004】
別の従来技術は、媒体アクセス制御(MAC)アドレスのデータベースを使用し、位置情報サービス(LBS: location-base service)のようにその情報をネットワークを介して提供する。データベースは場所(ロケーション)及びMACアドレスのペア(組)を含む。データベース中のペア情報は、主要な都市のドライバを借りて、アクセスポイントのMACアドレスとそれらの都市内の場所を対応付けることで決定される。位置を特定する際、ユーザは、アクセスポイントMACアドレスに対応する場所をデータベースから取り出すだけでよい。しかしながらこの従来法も多くの欠点を有する。第1に、ユーザのコンピュータ装置がインターネットと接続され、データベースにアクセスし、そこから情報を取り出す必要があり、或いは時代遅れになるかもしれない高価な局所的な(ローカル)データベースを備える必要がある。第2に、アクセスポイントの送信範囲程度の精度でしか位置を特定できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術の欠点及び制約を克服又は軽減する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワークアクセスポイントを地理的にタグ付けするシステム及び方法を用意することで、従来技術の欠点及び制約を克服しようとする。一実施例のシステムは複数のアクセスポイントを有し、複数のアクセスポイントは各自のビーコンの一部として位置情報を提供するように構築されている。一実施例では、各アクセスポイントはサービスセット識別子(SSID: Service Set IDentifier)を提供し、SSIDはアクセスポイントの場所を表す符号化された値を含む。アクセスポイントのSSID中の符号化された位置の値を利用することは、アクセスポイント又は携帯用コンピュータ装置に如何なる追加的ハードウエアも要しない点で、特に有利である。更に、アクセスポイントに至る接続を設定せずに、位置は、どの携帯装置によっても判別可能である。携帯コンピュータ装置は、ビーコンを受信し、ビーコンから位置情報を取得し、ビーコン(位置情報)をデコードすることに適合している。本発明は様々な方法をも含み、例えば、ネットワークアクセスピントに地理的なタグ付けを行う方法、位置を地理的コードにエンコードする方法、地理的コードを位置にデコードする方法、高さを地理的コードにエンコードする方法、地理的コードから高さをデコードする方法、及び複数の地理的コードを使って位置を特定する方法等を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明は実施例により説明されるが添付図面によって制限されない。図中同様な参照番号は同様な要素を指すのに使用される。
【実施例1】
【0008】
ネットワークアクセスポイントの地理的タグ付けを行うシステム及び方法が説明される。以下の記述では、発明の十分な理解をもたらすため、説明の目的で様々な具体的詳細が説明される。しかしながら、本発明はそのような具体的詳細によらずとも実施可能なことは当業者に明白であろう。それ以外には、発明を曖昧にするかもしれないことを避けるため、構造及び装置はブロック図形式で示される。例えば、ラップトップコンピュータのような携帯可能な通信装置及び無線ネットワークで利用されるネットワークアクセスポイントに関して本発明は説明される。しかしながら、部分的にユーザが構築可能なビーコン信号を使用する他のシステムで本発明が使用されてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0009】
本明細書における「一実施例」又は「形態」は、その実施例に関して説明される特定の特質、構造又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所で「一実施例」なる用語が使用されているが、それは全て同じ実施例であることを必ずしも意味しているわけではない。
【0010】
本願で使用されているように、「構成する」、「より成る」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「備える」又はそれらの他の何らかの同義語は、非排他的な包含関係をカバーするように意図される。例えば、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素だけに限定されることは必須でなく、明示的には列挙されていない又は本来備わっているはずの他の要素が、そのようなプロセス、方法、物品又は装置に含まれてもよい。更に、明示的に言及しない限り、「又は」は包括的なものであり、排他的な和ではない。例えば、「条件A又はB」は、次の何れの場合でも満たされる:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽(存在しない)場合、Aが偽であり(存在せず)且つBが真である(又は存在する)場合、AもBも両方とも真(存在する)場合。
【0011】
以下の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットを処理するアルゴリズム及び記号表現で与えられる。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、データ処理技術分野の当業者が他の当業者に彼らの仕事内容を最も効率的に伝えるのに使用される手段である。ここで、アルゴリズムは一般に所望の結果に導く首尾一貫した一連のステップと考えられる。そのステップは物理量の物理的処理を必要とするものである。必須ではないが、通常それらの物理量は、格納、転送、結合、比較その他の処理を施すことの可能な電気的な又は磁気的な信号の形態をとる。原則的な一般的な用法の観点から、ビット、値、エレメント、シンボル、キャラクタ、期間、数等としてそれらの信号に言及することが折に触れて便利なことが分かる。
【0012】
しかしながら、これらの及び類似の用語の全ては、適切な物理量に関連しており且つそれらの量に付された便宜的なラベルにすぎないことに留意を要する。特に断りのない限り、以下の説明から明らかなように、本説明を通じて、「処理」、「演算」、「計算」、「決定」又は「表示」等のような用語を用いる説明は、コンピュータシステム又は同様な電子コンピュータ装置の動作や処理に関連し、その動作や処理は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリの中で物理的な(電子的な)量として表現されるデータを、コンピュータシステムメモリやレジスタその他の情報ストレージ、伝送又は表示装置の中で物理量として同様に表現される他のデータに変換及び処理することが、理解されるであろう。
【0013】
実施例の説明は「結合された(coupled)」及び「接続された(connected)」という表現(同義語を含む)を使用している。これらの用語は互いに同義語として意図されてはいないことが、理解されるべきである。例えば、ある実施例は「接続された」という用語を使って、2つ以上の要素が直接的に物理的又は電気的に互いに接している様子を表現する。別の例では、ある実施例は「結合された」という用語を使って、2つ以上の要素が直接的に物理的又は電気的に接している様子を表現する。しかしながら「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接的に接してはいないが、それでも互いに協働している又は相互作用している意味も含む。実施例はこのような状況に限定されない。
【0014】
本発明はここで説明される処理を実行する装置にも関連している。その装置は、必要な目的に応じて特別に構築されてもよいし、コンピュータに格納されているコンピュータプログラムによって選択的にアクティブにされる又は再構成される汎用コンピュータで構築されてもよい。そのようなコンピュータプログラムはコンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されてもよく、その記憶媒体は、限定ではないが、フロッピディスク、光ディスク、CD-ROM、磁気光ディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード等の如何なるタイプのディスクを含んでもよいし、或いは電子的な命令を格納するのに指摘した如何なるタイプの媒体を含んでもよいし、ディスクも媒体もそれぞれコンピュータシステムバスに結合される。
【0015】
最後に、ここで説明されるアルゴリズム及び表示は、特定のコンピュータその他の装置のどれにも固有に関連するものではない。様々な汎用システムがここで教示するものによるプログラムと共に使用されてよく、或いは、必要な方法ステップを実行するように、よりいっそう特化した装置を構築することが便利なことが分かるかもしれない。これら様々なシステムに必要な構造は以下の説明から明らかになるであろう。更に、本発明は特定のプログラミング言語のどれにも依存しない。ここで説明される本発明の教示内容を実現するのに様々なプログラミング言語が使用されてよいことが分かるであろう。
【0016】
<システム概要>
図1は、本発明を含む分散されたコンピュータシステム100のブロック図を示す。分散コンピュータシステム100は、位置検出可能な装置102及び複数のネットワークアクセスポイント104,106及び108を含む。位置検出可能な装置102は、複数のネットワークアクセスポイント104,106,108の内の1つ以上と無線通信するように適合している。一実施例では、位置検出可能な装置102は移動可能であり、位置検出可能な装置102が特定のネットワークアクセスポイント104,106,108の通信範囲内に入った場合、位置検出可能な装置102は各アクセスポイント104,106,108から信号を受信し及びそれらに信号を送信する。図示されてはいないが、分散コンピュータシステム100はネットワークも含んでいる。(不図示の)ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、その他の適切な有線又は無線の通信システムのような既存のネットワークを含んでもよい。ネットワークは複数のネットワークアクセスポイント104,106,108の内に結合されている。
【0017】
位置検出可能な装置102は、ビーコン信号を受信し且つビーコン信号に組み込まれている地理的コードをデコードすることの可能な何らかの通信装置である。例えば、位置検出可能な装置102は、ビーコン信号を受信する受信部と、ビーコン信号から地理的コードを取り出してそれをデコードする他の処理部とを含む。一実施例では、位置検出可能な装置102はラップトップコンピュータのような携帯可能な通信装置であり、別の実施例では位置検出可能な装置102はスマートフォンのような通信機能を備えた移動通信装置である。更に別の実施例の場合、位置検出可能な装置102は、受信部を含み且つ他の処理機能部を有する何らかの電子装置であり、他の処理機能部は例えばプリンタ、オーディオレコーダ、カメラ、動きセンサ、複写機、診断装置等である。位置検出可能な装置102は、何もブロードキャストしなくてもよいこと、及び一実施例では信号を受信してそれらを処理するだけであってもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0018】
複数のアクセスポイント104,106,108は、コンピュータネットワークで使用される無線アクセスポイントのような通常の形式のものでもよい。図示の簡明化のため3つのアクセスポイント104,106,108が図1に示されているが、本発明の原理は少なくとも1つのアクセスポイントを含む如何なるシステムにも適用できることを、当業者は認識するであろう。ネットワークアクセスポイント104,106,108は、無線ネットワークを共に形成するように無線通信装置(例えば、位置検出可能な装置102)を接続する装置である。上記の一実施例では、複数のアクセスポイント104,106,108の各々は無線ネットワークに結合されてもよい。別の実施例の場合、それらは無線メッシュネットワークのノードでもよい。複数のアクセスポイント104,106,108は、無線装置及び有線装置間のデータを中継するのに使用される。一実施例では、アクセスポイントはIEEE802.11標準仕様を用いて通信するが、他の実施例では、他の標準仕様のビーコン信号が本発明の原理に従って使用されてもよい。従来技術とは異なり、複数のアクセスポイント104,106,108は、位置情報と共に地理的タグ付けされる。一実施例の場合、位置情報は、緯度及び経度によるアクセスポイント104,106,108の位置を表す。別の実施例の場合、位置情報はアクセスポイントの高さを含んでいてもよい。この位置情報は地理的コードにエンコードされる。別の実施例の場合、位置情報は、第1の地理的コード及び第2の地理的コードに、又はプレフィックス及び地理的コードにエンコードされる。本発明によれば、地理的コードはビーコン信号又はフレームの一部分として包含され、アクセスポイント104,106,108によりその通信範囲内で他の装置に送信される。例えば、ビーコン信号又はフレームは、アクセスポイント104,106,108により毎秒何回か送信される。ビーコン信号の一部分としての地理的コードは、図3を参照しながら詳細に説明される。特に、図1に示される構成の場合、第1のアクセスポイント104は、その場所のエンコードされた値を表現する第1の地理的コードを含むビーコン信号を送信し;第2のアクセスポイント106は、その場所のエンコードされた値を表現する第2の地理的コードを含むビーコン信号を送信し、第2のアクセスポイントの場所は、第1のアクセスポイントの場所とは異なり、第2の地理的コードは第1の地理的コードと異なり;第3のアクセスポイント108は、その場所のエンコードされた値を表現する第3の地理的コードを含むビーコン信号を送信し、第3のアクセスポイントの場所は、第1のアクセスポイント104の場所とも第2のアクセスポイント106の場所とも異なる。
【0019】
図2を参照するに、他の形態のシステム200が示されている。システム200は、位置検出可能な装置102、第1アクセスポイント104、第2アクセスポイント106及び第3アクセスポイント108を含む。これらの要素は図1を参照しながら説明したものと同様な構成及び機能を有するので、同じ説明は繰り返さない。システム200は、サーバ202から提供される地理位置情報サービス又はジオロケーションサービス(geolocation service)と、位置検出可能な装置102からサーバ202に至るネットワーク接続204とを含む。一実施例では、サーバ202から提供されるジオロケーションサービスは、リクエストに応じて、特定の地理位置に関する追加的な情報を提供する。位置検出可能な装置102からサーバ202に至るネットワーク接続204は、例えば、移動通信キャリアにより提供されるようなスマートフォンへの無線ネットワーク接続でもよい。ネットワーク接続204及びサーバ202により提供される追加的な機能を使用して、位置検出可能な装置102は、アクセスポイント104,106,108からの地理的コードを使ってその位置を確認し、サーバ202から提供されるジオロケーションサービスによる位置に基づいてサービス又は情報を要求する。
【0020】
<地理的コード>
図3を参照しながら、本発明で使用される地理的コードに関する例が説明される。図3は本発明によるビーコンフレーム又は信号300のブロック図である。ビーコンフレーム300は、好ましくは、共通フレームヘッダ302、ビーコンインターバル304、タイムスタンプ306、サービスセット識別子(SSID)308、サポートレートフィールド(supported rate field)310、パラメータセットフィールド312、機能情報フィールド314、トラフィック指示マップ(TIM)316、及び巡回冗長検査(CRC)フィールド318を含む。一般に、ビーコンフレーム300は約50バイト長の長さを有する。
【0021】
共通フレームヘッダ302は、ソース及び宛先のMACアドレスに加えて、通信プロセスに関する他の情報も含む。宛先アドレスは、すべて1に常に設定されており、それはブロードキャスト媒体アクセス制御(MAC)アドレスである。これは、適用可能なチャネル上の他の総ての局が、各ビーコンフレームを受信及び処理することを強制する。共通フレームヘッダ302はビーコンフレーム300の約半分を占める。
【0022】
ビーコンインターバル304は、ビーコンフレーム300の送信の間の期間を表す値を含む。位置検出可能な装置102のどれもパワーセーブモードに入る前に、位置検出可能な装置102は、次のビーコンを受信するために何時起動するかを知るためにビーコンインターバルを必要とし、アクセスポイント104,106,108でバッファされたフレームの有無を確認する。
【0023】
タイムスタンプ306は、アクセスポイント104,106,108に対応するネットワーククロックの値である。ビーコンフレーム300を受信した後、位置検出可能な装置102はタイムスタンプ値を使ってローカルなクロックを更新する。このプロセスは、同じアクセスポイント104,106,108に関連する位置検出可能な装置102の間で同期をとることを可能にする。
【0024】
サポートレートフィールド310は、サポートされているレートに関する情報を含む。各ビーコンフレーム300は、特定の無線LANがサポートしているレートを記述する情報を運ぶ。例えば、ビーコンフレーム300は、1,2及び5.5Mbpsのデータレートだけが利用可能なことを指示するかもしれない。その結果、位置検出可能な装置102はその制約を受け、11Mbpsを使用したくとも使用しないであろう。この情報と共に、位置検出可能な装置102はパフォーマンスメトリックを使用し、どのアクセスポイント104,106,108に関連するかを決定することができる。
【0025】
パラメータセットフィールド312は、無線パラメータに関する情報を含む。ビーコンフレーム300は、特定のシグナリング法(例えば、周波数ホッピングスペクトル拡散法、直接シーケンススペクトル拡散法等)に関する情報を含む。例えば、ビーコンフレーム300は、アクセスポイント104,106,108が使用しているチャネル数の情報を、適切なパラメータセット内に含んでもよい。また、周波数ホッピングネットワークに属するビーコンフレーム300は、ホッピングパターン及び滞留時間(dwell time)を示すであろう。
【0026】
機能情報フィールド314、ネットワークアクセスに関する機能情報を含む。ビーコンフレーム300が示す無線LANに所属することを希望する位置検出可能な装置102の条件を、機能情報は特定する。例えばこの情報は、位置検出可能な装置102が有線と同程度のプライバシを守って(WEP: Wired Equivalent Privacy)ネットワークに参加しなければならないことを示すかもしれない。
【0027】
トラフィック指示マップ(TIM)316はビーコンフレーム300で送信され、パワーセービングモードを用いて、アクセスポイントバッファで待機しているデータフレームをどの局が持っているかを特定する。TIM316は関連IDにより位置検出可能な装置102を識別し、そのIDはアクセスポイント104,106,108が関連付けプロセスの際に関連付けたものである。
【0028】
巡回冗長検査(CRC)フィールド318は、誤り検出機能をもたらす。
【0029】
サービスセット識別子(SSID)308は、ユーザが定義可能であって人が読み取れる名前であり、アクセスポイント104,106,108を区別し、従って関連する無線LANを区別する。特定の無線LANとの関連付けの前に、位置検出可能な装置102はアクセスポイント104,106,108と同じSSID308を持つ必要がある。デフォルトでは、アクセスポイント104,106,108はビーコンフレーム300内にSSID308を含み、(例えばウィンドウズ(登録商標)XPで用意されているような)傍受機能(sniffing function)をイネーブルにし、SSID308を特定し、適切なSSID308を特定と共に無線ネットワークインタフェースカード(図示せず)を自動的に構築する。あるアクセスポイントのベンダは、SSI308Dがビーコンフレーム300でブロードキャストされる(同報送信されること)ことをディセーブルにし、セキュリティの制約を軽減する選択肢を有する。サービスセット識別子(SSID)308は、典型的には32個のユーザの定義可能なアスキー(ASCII)キャラクタである。アクセスポイント104,106,108の構築(セットアップ)の際、ユーザはSSID308の値を設定する権限を有する。例えば、ネットワークはシステム管理者によって記述的な名称と共にしばしば命名され、その記述的な名称は、ユーザがアクセスポイント104,106,108との関連付けを試みる際にユーザが認識するものである。
【0030】
図3に示されているように、有利なことに、本発明はアクセスポイント104,106,108の正確な地理的な座標を地理的コードにエンコードし、その地理的コードをSSID308の一部として挿入している。以下の記述は、特定のアクセスポイント104に関する地理的コード及びSSID308を説明しているが、他のアクセスポイント106,108の地理的コード及びSSID308も同様な形式及び機能を有することを、当業者は認識するであろう。
【0031】
一実施例の場合、地理的コードは、アクセスポイント104の精密な地理的な座標(緯度及び経度)の符号化(暗号化)された値である。この実施例の場合、地理的コードはSSID308の最後の9文字(キャラクタ)である。地理的コードは、乗数値をエンコードする第1キャラクタ320、緯度の値を表す4文字、経度の値を表す4文字(LONCODE324)を含む。本発明によるエンコード法は、以下で図5を参照しながら詳細に説明される。地理的コードがSSID308の最後の9文字であることは特に有利である。なぜなら、先行する23文字がユーザ又はシステム管理者によって通常通り使用可能であり、ユーザが認識できる人の読み取れる名称をアクセスポイントに与えることができるからである。しかしながら当業者は本発明の地理的コードがSSID308の他のどの場所にあってもよいことを認識するであろう。更に、地理的コードに使用される9文字は連続的でなくてもよい。
【0032】
別の実施例の場合、SSID308は、アクセスポイント104の高さを表す第2の地理的コード又はプレフィックス(prefix)を含む2つの追加的な文字を含む。この例の場合、2つの追加的な文字は、(第1の)地理的コードの9文字に先行する。他の実施例では、これら2つの文字がSSID308内の他のどの場所にあってもよいことを当業者は認識するであろう。エンコードされた値と共にSSID308を利用することは、ルータとしてのアクセスポイント104を妨げる影響がない点で特に有利である。更に、ほとんどのアクセスポイント104はSSID情報を毎秒数回ブロードキャストするので、ユーザがアクセスポイント104に接続できるか否かによらず、SSIDは無線受信機によって受動的に監視可能である。これは検出可能な装置102で非常に低電力で実行でき、情報を取得するための電力を送信機に決して要求しなくてよい。
【0033】
<一般的な方法>
図4を参照しながら、本発明による地理的タグ付けを行う方法例を説明する。一例として説明の簡明化を図るため、本方法は、特定のアクセスポイント104に関連して説明されるが、以下の説明は如何なる数のアクセスポイント(例えば、106,108)について繰り返されてもよいことを、当業者は認識するであろう。本プロセスは、所与のアクセスポイント104の緯度及び経度を判定することから始まる(402)。地理的コードを生成するため、ユーザはアクセスポイント104の緯度及び経度の座標を正確に特定しなければならない。1つの方法は、グーグルマップ(Google Maps)のようなマッピングプログラムを利用することであり、その場合、ユーザがマーカーを置くと緯度及び経度の座標が返ってくる。別の例の場合、GPS装置のような外部の位置検出装置がアクセスポイント104の近くに設けられ、緯度及び経度の座標が上記の方法で決定される又は他の同様な手作業で決定される。更に別の例の場合、装置の位置は、多数の標準的な調査法の内の何れかで生成された正確な調査データとマニュアルで比較される。
【0034】
次に、本方法は地理的コードを生成する(404)。正確な地理的な座標は、コンパクトエンコーディング法を用いて地理的コードにエンコードされる。図3を参照しながら上述したように、一実施例では、地理的コードは9文字の符号化された値である。別の実施例では、第1地理的コード及び第2地理的コード又はプレフィックスが、緯度及び経度である第1地理的コードと高さである第2地理的コードと共に使用される。これらの地理的コードを生成するプロセスは、図5,7を参照しながら以下で更に説明される。
【0035】
次に、本方法は、地理的コードをアクセスポイント104のビーコン信号に挿入する(406)。例えば、ほとんどのアクセスポイント104,106,108は、アクセスポイントを構築(セットアップ)する者又はインストーラが、サービスセット識別子(SSID)308を構築できるようにしており、SSIDはアクセスポイントのビーコンの一部分としてブロードキャストされる。例えばこれは、アクセスポイント104に接続されたコンピュータ(図示せず)と共に、セットアップの際に実行可能である。SSID308は例えばグラフィカルユーザインタフェース等を介してアクセスポイント104に用意され、SSIDの値は、ビーコンの一部分としてブロードキャストすることに備えてアクセスポイント104に格納される。例えば、通常のアクセスポイント管理ソフトウエアを用いて、アクセスポイントSSID308の後の方の文字としてコードを挿入する。一実施例では、緯度及び経度を伴う1つのコードだけがステップ406で挿入される。別の実施例では、第1及び第2のコードがステップ406で挿入され、第2のコードは2文字分の長さを有し及び高さを表現し、第1コードは9文字文の長さを有し及び緯度と経度を表現する。一実施例では、地理的コードはSSID308の末尾に挿入される。SSIDコードの残り21又は23文字が、(ユーザがそのアクセスポイントを他のアクセスポイントと区別できるように)認識に容易なワードに使用できる点で、この方法は有利である。しかしながら、地理的コードは、SSID中の予め取り決めたどのキャラクタ位置に設けられてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0036】
ステップ402,404,406は幾つのアクセスポイントについてでも反復可能であり、これらのステップの各々がアクセスポイント104,106,108各々について実行されると、アクセスポイントは本発明により地理的にタグ付けされていることが、理解されるべきである。
【0037】
そして、アクセスポイント104は、地理的コードを含むビーコンをブロードキャストする(408)。
【0038】
この一般的な方法は、アクセスポイント104,106,108が地理的タグと共に構築されると、その地理的タグを使用することに続く。
【0039】
位置検出可能な装置102は、特定のアクセスポイント104からビーコン信号を受信する(410)。次に、位置検出可能な装置102は、受信したビーコン信号から地理的コードを抽出する(412)。これは、位置検出可能な装置102で動作するソフトウエアによって実行可能である。一実施例では、位置検出可能な装置102は地理的コードがSSID308の中にあることを知っているので、位置検出可能な装置102はSSID308を判定するだけでよく、そのSSID308から地理的コードを表す文字を取り出す。一実施例では、地理的コードはSSIDの最後の9文字である。別の実施例では、地理的コードはSSID308の最後の11文字である。次に、本方法は、地理的コードをデコードし、アクセスポイント104の地理的な場所を特定することに続く(414)。一実施例では、本方法は、緯度及び経度を表す第1の地理的コードをデコードする。別の実施例では、本方法は高さを表す第2地理的コードもデコードする。デコードするプロセスの具体例は、図6及び図8を参照しながら以下で更に詳細に説明される。地理的な場所が確認されると、その場所は如何なるアプリケーションにも使用可能になる(416)。例えば、図9を参照しながら以下で説明されるように、アクセスポイント104の地理的な場所を使って、検出可能な装置102の正確な位置を特定してもよい。
【0040】
<エンコード方法>
図5を参照しながら、地理的な位置を地理的コードにエンコードする本発明による方法例が説明される。本発明は地理的コードを生成する際、初期の16進数に組み合わせてある各々からの(最高次の)上位2ビットと共に、緯度及び経度を60進数のペアにエンコードする。結果の地理的コードは9文字を使って位置をエンコードし、その位置は大雑把に言って赤道で2.5フィート(2.5×30.48cm)の距離精度である。
【0041】
図5に示されているように、アクセスポイント104の緯度及び経度は既に決定されている(破線で示されるステップ402参照。)。本方法は緯度及び経度を0≦x<360の範囲に尺度変更(スケーリング)することから始まる。そして本方法は緯度が0未満であるか否かを確認する。正の度数で北緯を表現し及び負の度数で南緯を表現しながら、緯度はしばしば北緯及び南緯のように言及されるので、本発明の一実施例は緯度を0°から360°の範囲内に尺度変更する。そして、緯度が負の値であることが確認された場合(502)、本方法はステップ504に続き、緯度の値NLATを使用するために、その緯度に360°が加えられる。緯度が負の値でないことが確認された場合(502)、本方法はステップ506に続き、ステップ402で決定された緯度の値をNLATとして使用する。本方法は緯度及び経度各々を5つの文字列で表現する際に、それらの値に144000を乗算し、乗算値に最も近い整数値に丸め込み、0-9、A-Z及びa-xの(60個の)「桁(digit)」を使ってその結果を60進数(Base 60)に変換する。次に、本方法は第1の文字320の値を計算することに続く(508)。一実施例では、第1の文字320は、経度の高次の文字(桁)をとり、4倍し、緯度の高次の文字(桁)を加算し、16進数を形成することで計算される。経度の最初の桁(90度の乗数なので0-3の範囲内にあり、その範囲は0-270になる)は、4倍され、経度の最初の桁に加えられ、結果は0及び15の間の数(16進数)になる。これは、
第1文字=inttochar((LON/90)*4+NLAT/90)
という数式を使って直接的に計算可能であり、ここで、LONはステップ402による経度の値であり、NLATはステップ504又は506による緯度である。そして本方法はLATCODE322の値を計算する(510)。一実施例では、LATCODE322は、緯度の4つの低次の文字をとることで計算される。これは、
LATCODE=inttobase60((NLAT*144000)%12960000)
という数式を使って直接的に生成可能である。そして本方法はLONCODE324
の値を計算する(512)。一実施例では、LONCODE324は、経度の4つの低次の文字(桁)をとることで計算される。これは、
LONCODE=inttobase60((LON*144000)%12960000)
という数式を使って直接的に生成可能である。地理的コードの生成は、第1文字320、LATCOD322及びLONCODE324を付け加えることで完了する(514)。生成されると、地理的コードはビーコン信号に挿入可能である(406)。当業者は、上記のエンコード法が使用されてもよい多くの方法の内の1つに過ぎないことを認識するであろう。例えば、好適実施例の場合、別の記号群が60進数にエンコードされ、例えば“O”及び“I”を“y”及び“z”にそれぞれ置換し、これらの文字が(タイプ入力される際に)“0”及び“1”の数字と混同してしまうことを防ぐ。他のエンコード方は、より多くの又はより少ない精度で及びより多数の又はより少数の文字と共に使用されてよい。例えば、緯度が37.42195であり、経度が-122.21386についてのコードは、“8yuqfcVQi”という地理的コードとして表現される。
【0042】
この地理的コードをSSID308の最後の9文字に挿入することで、本発明はアクセスポイント104を正確な位置ビーコン(目印)にする。これは有利である。なぜなら、ビーコンはGPSより正確であり、追加的なハードウエアを必要とせず、多くのアクセスポイントがある場合、複数のビーコンが位置検出可能な装置102により受信可能になり、例えば3メートル以内の位置精度を達成できるからである。
【0043】
図7を参照しながら、高さ又は高度を第2地理的コード又はプレフィックスにエンコードする本発明による方法例が説明される。この例は、高さ又は高度情報を2桁の追加的コードとして含み、ペアの1桁目が0−9の乗数を表現し、2桁目が上述したようにエンコードされた60進数を表現するようにすることで、その2桁の追加的なコードは600通りの高さのコードをもたらす。これは、通常のSSIDワードの一部分として、高さコードの偶発的な出現を、ある構造的冗長性が減らすことを可能にする。本方法は高さの値を受信することから始まる(702)。次に、本方法は、その高さの値がエンコード可能な範囲内にあるか否かを判定する(704)。本発明はコンパクトエンコーディング法を使用し、2文字しか使用しないので、エンコード可能な高さの範囲は、地下1200フィート(1200×30.48cm)から地上4790フィート(4790×30.48cm)程度の範囲に制限される。受信した高さがその範囲内にないことを本方法が確認した場合(704)、その高さはエンコード不可能なエラーであることを本方法は示し(714)、本方法は終了する。一方、高さが許容可能な範囲内にあることを本方法が確認した場合(714)、本方法はステップ706に続く。一実施例では、高さの値は60進法における2文字に変換される。ステップ706では、本方法は第1キャラクタ(1桁目)の値を計算する。第1キャラクタは、高さの値に1200を加え、その加算値を600で除算し、その値を60進数に変換することで生成される。次のステップ708では、第2キャラクタの値(2桁目)が計算される。一実施例では、受信した高さを10で除算し、その結果を60進数の値に変換することで、第2キャラクタが決定される。次に、第1キャラクタ及び第2キャラクタを付け足し、2桁の高さコードを生成する(710)。例えば、地上0(ゼロ)フィートはプレフィックス“20”になる。この“20”のプレフィックスは、簡易な9キャラクタコードの場合には余分なので使用されない。地上10フィート(10×30.48cm)はプレフィックス“21”となり、地下1190フィート(1190×30.48cm)はプレフィックス“01”になる。そして本方法は2桁の高さコードをビーコン信号に挿入する(712)。追加的なキャラクタ(桁)を使用して又は別のシンボルを使用して、高さコードの更なる拡張版を容易に形成できることは、当業者に明らかであろう。
【0044】
地理的情報をエンコードする特定の実施例は、いくつもの有意義な特徴を有する。本実施例は視覚可能でタイプ入力の容易な文字(キャラクタ)しか使用しないので、しかもそれは比較的短いので、それらのコードをアクセスポイントSSIDに入力することは人間にとって容易である。SSIDフィールドの末尾にコードを配置しているので、コードが任意の場所にあった場合にSSID全体をスキャンしなければならないことに比べて、そのコードはより少ない誤り判定結果と共に或るコードとして容易に検出できる。人間の読取可能なコードを含むように本来的に意図されているフィールドの中で、文書や画像のような電子データの他の形式にそのコードを付ける場合にも、これらのコードの特性は有意義になる。
【0045】
<デコード方法>
図6を参照しながら、地理的コードを場所(位置又はロケーション)にデコードする方法例が説明される。位置検出可能な装置102がアクセスポイント104を介してインターネットに接続されていることは必須でなく、位置検出可能な装置102はビーコン信号を受信できることが必須であるにすぎないことに、留意すべきである。これは、アクセスポイントのブロードキャストしているビーコンを監視することで、位置検出可能な装置102が位置情報を受信できる点で特に有利である。ビーコンは毎秒数回常にブロードキャストされ、SSIDを含み、SSIDはエンコードされた緯度及び経度の情報を含んでいる。すべてのWiFiアクセスポイントは、SSIDブロードキャストをサポートしているので、エンコードされた情報を容易に付け加えることができる。
【0046】
本方法は抽出ステップ412で用意されたような地理的コードと共に始まる。次に本方法は、地理的コードの第1キャラクタ(1桁目)が適切なキャラクタ範囲内にあるか否かを判定する。例えば、図5を参照しながら説明されたエンコード法を使用した場合、地理的コードの第1キャラクタは0-9又はA-Fのキャラクタ(何らかの16進数)でなければならない。第1キャラクタが適切なキャラクタ範囲内にないことを本方法が確認した場合(602)、そのコードは適切にフォーマットされていなかったこと、又は抽出されたキャラクタが地理的コードでないことを示すエラーを、本方法は通知又は出力する(604)。一方、第1キャラクタが適切なキャラクタ範囲内にあることが確認された場合(602)、他のキャラクタが適切なキャラクタ範囲内にあるか否かを判定するステップ606に本方法は続く。一実施例では、他のキャラクタの適切なキャラクタ範囲は、0−9,A−Z又はa−xである。再び、図5を参照しながら説明されたエンコード法を使用した場合、地理的コードの残りのキャラクタは0−9,A−Z又はa−xのキャラクタでなければならない。残りのキャラクタが適切なキャラクタ範囲内にないことを本方法が確認した場合(606)、そのコードは適切にフォーマットされていなかったことを示すエラーを通知又は出力するステップ(604)に進む。
【0047】
しかしながら、残っているキャラクタ総てが適切なキャラクタ範囲内にあることを本方法が確認した場合(606)、本方法はステップ608に続く。ステップ608では、本方法は乗数のペアMLAT及びMLONを第1キャラクタから抽出する。第1の乗数は緯度乗数であり、第2の乗数は経度乗数である。第1及び第2乗数は、2つの低次の桁をMLATとして及び2つの高次の桁をMLONとして使用し、第1キャラクタを16進から整数に変換することで生成される。これらの乗数は、地理的コードから経度及び緯度を再生成するのに使用される。そして本方法は、地理的コードの第2乃至第5キャラクタから緯度を計算する(610)。一実施例では、その緯度は、
base60toint(char2-5)+(90*MLAT)
に等しい。最後に、本方法は第6乃至第9キャラクタから経度を計算する(612)。一実施例では、その経度は、
base60toint(char6-9)+(90*MLON)
に等しい。例えば、コード“8yuqdcVQp”は地理的な座標が緯度37.42194及び経度-122.21381であることを表す。
【0048】
図8を参照しながら、プレフィックス又は地理的コードから、アクセスポイントの高さの値を計算する方法例が説明される。本方法は、プレフィックス又は第2の地理的コードを抽出することから始まる(802)。第1地理的コードと同様に、プレフィックス又は第2地理的コードは、アクセスポイント104,106,108からブロードキャストされるSSID308の一部分であってよい。第2地理的コードの第1キャラクタが適切な範囲内にあるか否かを、本方法は判定する(804)。一実施例では、第2地理的コード中の第1キャラクタの適切な範囲は、0−9である。第2地理的コードの第1キャラクタが適切な範囲内にないことを本方法が確認した場合(804)、SSIDには高さコードが含まれていなかったこと、又は高さコードが適切にフォーマットされていなかったことを示すエラーを出力又は通知するステップ806に本方法は進む。一方、第2地理的コードの第1キャラクタが適切な範囲内にあることを本方法が確認した場合(804)、本方法は、第2のキャラクタが適切な範囲内にあるか否かを判定するステップに進む(808)。一実施例では、第2キャラクタの適切な範囲は、0−9,A−Z又はa−xである。第2キャラクタが適切な範囲内にないことを本方法が確認した場合、本方法は、上述したようにエラーコードを出力するステップ806に続き、終了する。しかしながら、第2キャラクタが適切な範囲内にあるように確認された場合(808)、本方法は第1キャラクタ及び第2キャラクタを使って高さを判定する(810)。一実施例では、指定された高さは60進数で表現される。第2キャラクタを60進数から整数値へ変換し、その結果を10倍し、第1キャラクタを60進数から整数値に変換した値に加え、その整数値を600倍して1200を減算することで、高さ(height)は計算可能である。これは、
height=base60toint(char2)*10+(600*base60toint(char1)-1200)
という数式により直接的に計算可能である。これは、アクセスポイント104の地面からの高さの値をもたらす。例えば、アクセスポイントが地下にあった場合、コードには1200フィート(1200×30.48cm)の深さの値が与えられる。
【0049】
これらのデコード法は、位置検出可能な装置102をGPSより高精度に一瞬にして検出できるようにする点で特に有利であり、高密度の都市環境下や建物の内側でさえそれが可能である。
【0050】
<具体例>
図9を参照しながら、位置検出可能な装置102の位置を判定する方法例が説明される。本方法は、複数のアクセスポイント104,106,108から位置情報を受信することから始まる(902)。例えば、位置情報は地理的コードでもよいし、又はプレフィックス及び地理的コードでもよい。一実施例の場合、本方法は少なくとも3つのアクセスポイントから位置情報を受信する。1つのアクセスポイントからの地理的情報を使って一般的な位置を判定できるので、目下の例の場合、いくつかの位置の可能性がある。次に、本方法は、アクセスポイント104,106,108各々から受信した信号の信号強度を判定する。図2も参照するに、各アクセスポイントに関する信号強度例が示されている。そして本方法は、アクセスポイント104,106,108の幾何学的な中心Cを計算する(906)。次に、本方法は、各アクセスポイント104,106,108から受信した信号強度を規格化する。例えば、1アクセスポイント104及び位置検出可能な装置102間の信号強度は1であり、第2アクセスポイント106及び位置検出可能な装置102間の信号強度は3であり、そして第3アクセスポイント108及び位置検出可能な装置102間の信号強度は8である。本方法は各アクセスポイントへのインバースベクトルViを計算する(910)。そして本方法は、ステップ906で計算された幾何学的中心に対して、インバースベクトルViに対応する信号強度Siを乗算したものを追加することで、幾何学的中心Cの値を修正する(912)。この追加ステップ912は、ステップ910で計算されたベクトル各々について実行される。これは、位置検出可能な装置102で受信された各アクセスポイント104,106,108からの相対的な信号強度に基づいて、アクセスポイント104,106,108の計算された中心を効果的に調整する。その結果、位置検出可能な装置102の場所は、修正された幾何学的中心の値に等しくなる(914)。上記の方法は高さコードを使用して修正する場合にも適用可能なことを、当業者は認識するであろう。そのような例の場合、第3の次元が各ベクトル計算に加わる点を除いて同様な計算になる。そして、コード間の3次元的な重心が計算され、各信号強度による調整は、3成分の位置ベクトルを使って実行される。
【0051】
妨害による又は単なる過誤による場合でも、SSIDは偶然的に有効なコードに見えるので、アクセスポイントが不適切なラベルで示されるかもしれないことは明らかである。そのような場合、位置を修正しようとするソフトウエアは、アクセスポイント間の距離を照合し、明らかに不正確に現れているポイントを拒否する。例えば、802.11のアクセスポイントは、通常の動作条件の下で約10メートルの通信範囲を有する。あるアクセスポイントが現在見えている2以上のアクセスポイントから3マイル(3×1.609km)であることをラベルの1つが示していた場合、そのアクセスポイントはミスラベルを有するものと考えられ、そのアクセスポイントからのデータは位置計算では無視される。或いは、位置検出可能な装置102は、GPS受信機又は加速度計のような他の情報源を使って検査を行い、何らかのアクセスポイントのラベルが無視されるべきことを確認してもよい。例えば、GPS信号の精度限界を超えているように思われる場合、高い信頼度のGPSの位置と矛盾するように現れているアクセスポイントは無視されてもよく、或いはGPS信号の精度限界に収まる場合、より正確なものとして好ましく使用されてもよい。或いは、100フィート未満移動したことの通知を装置が加速度計から受けているが、100マイル動かされたことを示しながらアクセスポイントが突然見えるようになった場合、新たなアクセスポイントのラベルは不正確であると考えられる。
【0052】
以上、本発明の実施例が説明及び明確化の観点からなされてきた。説明が網羅的であることや、説明された形態に本発明を限定することは意図されていない。多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は詳細な説明によっては規定されず、本願の特許請求の範囲によって規定されることが、意図されている。当業者に理解されるように、本発明の精神又は本質的特徴から逸脱せずに、本発明は他の形態で実施されてもよい。同様に、モジュール、ルーチン、特徴、属性、方法その他の形態に関する特定の名称及び区分けは、必須でもなく重要でもない。本発明又は本発明の特徴を実現する手段は、別の名称、区分け及び/又はフォーマットを使ってもよい。更に、当業者には明らかであるように、モジュール、ルーチン、特徴、属性、方法その他の本発明の形態は、ソフトウエア、ハードウエア若しくはファームウエアとして、又はそれらの如何なる組み合わせにとして実現されてもよい。本発明のコンポーネント(例えば、モジュール)がソフトウエアとして実現される場合、そのコンポーネントは、標準的なプログラムとして、大規模なプログラムの一部分として、複数の個々のプログラムとして、静的に又は動的にリンクしたライブラリとして、カーネルローダブル(kernel loadable)モジュールとして、デバイスドライバとして実現可能であり、及び/又はコンピュータプログラムの当業者にとって現在又は将来的に知られる他の何らかの方法でも実現可能である。更に、本発明は特定の何らかのプログラミング言語で実現されるようには決して限定されないし、特定のどのオペレーティングシステム又は環境にも限定されない。従って本発明の開示は、明確化を意図しており、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0053】
<関連出願>
本願は、西暦2007年10月2日に出願された“Geographic Tagging of Network Access Points”と題する米国仮特許出願第60/977,055号、及び西暦2007年10月12日に出願された“Applications And Users Of GeoFi System”と題する米国仮特許出願第60/979,659号による35U.S.C.§119(e)に基づく優先的利益を享受し、両出願の内容全体は本願のリファレンスに組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を含む第1形態のコンピュータシステムを示す上位概念的ブロック図である。
【図2】本発明を含む第2形態のコンピュータシステムを示す上位概念的ブロック図である。
【図3】本発明の一実施例による地理的コード及びサービスセット識別子を示す図である。
【図4】ネットワークアクセスポイントの地理的タグ付けを行う本発明の一実施例による一般的プロセスを示すフローチャートである。
【図5】地理的な位置を地理的コードにエンコードする本発明の一実施例によるプロセスを示すフローチャートである。
【図6】地理的コードを位置にデコードする本発明の一実施例によるプロセスを示すフローチャートである。
【図7】高さを地理的コードにエンコードする本発明の一実施例によるプロセスを示すフローチャートである。
【図8】地理的コードを高さにデコードする本発明の一実施例によるプロセスを示すフローチャートである。
【図9】ネットワークアクセスポイントからのビーコン信号を使ってコンピュータ装置の位置を判定する本発明の一実施例によるプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
100 分散コンピュータシステム
102 位置検出可能な装置
104,106,108 複数のネットワークアクセスポイント
202 サーバ
204 ネットワーク接続
300 ビーコンフレーム
302 共通フレームヘッダ
304 ビーコンインターバル
306 タイムスタンプ
308 サービスセット識別子(SSID)
310 サポートレートフィールド
312 パラメータセットフィールド
314 機能情報フィールド
316 トラフィック指示マップ(TIM)
318 巡回冗長検査(CRC)フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークアクセスポイントを地理的にタグ付けする方法であって、
前記無線ネットワークアクセスポイントの位置を特定するステップと、
前記無線ネットワークアクセスポイントの前記位置を表現する地理的コードを生成するステップと、
前記無線ネットワークアクセスポイントから通常的に出力されるビーコン信号の一部として、前記地理的コードをブロードキャストするステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記無線ネットワークアクセスポイントの位置を特定する前記ステップが、前記無線ネットワークアクセスポイントの緯度及び経度を特定するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
地理的コードを生成する前記ステップが、コンパクトエンコーディング法を用いて、前記無線ネットワークアクセスポイントの正確な地理的な座標をエンコードするステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
地理的コードを生成する前記ステップが、
経度値の上位2ビットを緯度値の上位2ビットと共に組み合わせることで、第1文字を生成するステップと、
緯度値に144000を乗算したものを60進数に変換することで生成された下位4文字を用いて、第2乃至第5文字を生成するステップと、
経度値に144000を乗算したものを60進数に変換することで生成された下位4文字を用いて、第6乃至第9文字を生成するステップと、
前記第1文字、前記第2乃至第5文字及び第6乃至第9文字を付加するステップと、
を有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記無線ネットワークアクセスポイントの高度を特定するステップと、
前記無線ネットワークアクセスポイントの前記高度を表すプレフィックスを生成するステップと、
を有し、前記ブロードキャストは、前記プレフィックスをブロードキャストすることを含むようにした請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記プレフィックスを生成するステップが、
高度値に1200を加算したものを60で除算し、除算後の量を60進数に変換することで、第1文字を生成するステップと、
前記高度値を10で除算し、除算結果を60進数に変換することで、第2文字を生成するステップと、
前記第1文字及び前記第2文字を前記プレフィックスとして共に加えるステップと、
を有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
位置検出可能な装置で前記ビーコン信号を受信するステップと、
前記位置検出可能な装置で前記地理的コードを抽出するステップと、
前記位置検出可能な装置で前記地理的コードをデコードし、前記無線ネットワークアクセスポイントの位置を特定するステップと、
を有する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記位置検出可能な装置で前記地理的コードを抽出する前記ステップが、前記ビーコン信号のサービスセット識別子から前記地理的コードを取り除くステップを含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記位置検出可能な装置でプレフィックスを抽出するステップと、
前記位置検出可能な装置で前記プレフィックスをデコードし、前記無線ネットワークアクセスポイントの高度を特定するステップと、
を有する請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記位置検出可能な装置で前記地理的コードをデコードし、前記無線ネットワークアクセスポイントの位置を特定する前記ステップが、
前記地理的コードの第1文字から第1及び第2乗数を特定するステップと、
前記地理的コードの第1の複数の文字に前記第1乗数を乗算することで、緯度の位置を特定するステップと、
前記地理的コードの第2の複数の文字に前記第2乗数を乗算することで、経度の位置を特定するステップと、
を有する請求項7記載の方法。
【請求項11】
地理的コードをデコードして位置を求める方法であって、
複数の文字を含む地理的コードを受信するステップと、
前記地理的コードの第1文字から第1及び第2乗数を特定するステップと、
前記地理的コードの複数の文字の内少なくとも1つに前記第1乗数を乗算することで、緯度の位置を特定するステップと、
前記地理的コードの複数の文字の内少なくとも1つに前記第2乗数を乗算することで、経度の位置を特定するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
プレフィックスを受信するステップと、
前記プレフィックスをデコードし、前記アクセスポイントの高度を特定するステップと、
を有する請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記プレフィックスをデコードする前記ステップは、
前記プレフィックスの第2文字を60進数から整数値に変換し、変換結果に10を乗算したものと、第1文字を60進数から整数値に変換した値に600を乗算して1200を減算したものとを加えるステップを含むようにした請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記緯度値の位置を特定する前記ステップは、前記地理的コードの4文字を抽出し、該4文字を60進数から整数値に変換し、前記第1乗数を前記整数値に加え、前記第2乗数を前記整数値に加えるステップを含むようにした請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記地理的コードの第1文字が、適切な文字範囲内にあるか否か、及び前記地理的コード中の複数の文字が、適切な文字範囲内にあるか否かが判定されるようにした請求項11記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−89395(P2009−89395A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256765(P2008−256765)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】