説明

無線システム及びその位置特定方法

【課題】少ない基準点でターゲットの位置を特定できる無線システム等を得る。
【解決手段】位置座標が既知の無線端末A1〜A3と、位置座標が未知の無線端末N1と、各無線端末と無線通信して情報を収集するサーバSを設けた無線システムで、無線端末10A、10Bは、無線端末間の距離を測定する距離測定手段11A、11Bと、距離情報を無線通信によってサーバ20へ送信する距離情報送信手段12A、12Bとを有し、サーバ20は、距離情報を収集する距離情報収集手段21と、距離情報、既知の無線端末の座標、及び設定した未知の無線端末の初期座標値から、非線形連立方程式を常微分方程式の初期値問題に帰着させるパラメータの埋め込みによる方法を用いて、未知の無線端末の座標を計算する行列式計算手段22と、未知の無線端末の座標が、既知の無線端末の配置範囲を元に予め決めた境界条件を超えるか否かを判断する境界条件評価手段23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の無線端末が特定の空間に分布され、無線通信で各無線端末間のデータ交換を行う無線システムに対し、各無線端末間の距離を無線通信によって測定し、この測定結果情報と、任意の位置座標が既知の無線端末の位置座標情報を用いて、未知の無線端末の位置を求める無線システム及びその位置特定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線システムの位置特定方法は、位置特定精度を向上させるために、位置特定の元となる距離情報を精度良く収集する方法として、例えば、距離情報の誤差の要因であるマルチパスフェージングの除去を行う方法について提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−250173号公報
【非特許文献1】大久保英嗣、津田孝夫著「パラメータの埋め込みと一般化逆行列による非線形パラメータ推定」、情報処理、Vol.19、No.1、pp.32−38、Jan.1978
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の無線システムの位置特定演算において一般的に用いられる最小二乗法は、位置が既知の基準点と位置を求めるターゲットの位置関係によっては、距離情報に含まれる誤差によって大きな位置特定誤差が生じることがわかっている。また、最小二乗法は、3次元座標に対して4点以上の基準点が必要である。自由空間に配置される全てのターゲットに対し理想的な位置関係を得られる4点の基準点を配置することは不可能なため、結果、数多くの基準点が必要となるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、基準点とターゲット(未知の無線端末)の位置関係による位置特定精度の影響が少なく、距離情報に誤差が含まれていても近似解を得ることで、少ない基準点でターゲットの位置を特定することができる無線システム及びその位置特定方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る無線システムは、位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末と、位置座標が未知の無線端末と、各無線端末と無線通信することによって情報を収集するサーバとを設けた無線システムであって、前記無線端末は、無線端末間の距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段により測定した距離情報を無線通信によって前記サーバへ送信する距離情報送信手段とを有し、前記サーバは、前記無線端末から送信された無線端末間の距離情報を収集する距離情報収集手段と、前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値を設定し、前記距離情報収集手段により収集された無線端末間の距離情報、予め記憶している前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の座標、及び設定した前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値から、前記位置座標が未知の無線端末の座標を計算し、前回計算した座標との差である座標の評価値を計算し、この座標の評価値と所定の閾値とを比較して前記座標の評価値が前記所定の閾値よりも小さい場合には、前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束したものと判断し、計算した前記位置座標が未知の無線端末の座標を確定して出力する行列式計算手段と、前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合は、前記位置座標が未知の無線端末の座標が、前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の配置範囲を元に予め決めた空間の境界条件を超えたときには、発散に向かっていると判断して、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正する境界条件評価手段とを有し、前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合で、前記境界条件を超え、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正したとき、並びに前記境界条件を超えていないときには、今回計算した座標を新たな前回の座標として、前記行列式計算手段による、前記位置座標が未知の無線端末の座標の計算から、前記境界条件評価手段による、境界条件の評価までを繰り返すものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る無線システムは、基準点とターゲット(未知の無線端末)の位置関係による位置特定精度の影響が少なく、距離情報に誤差が含まれていても近似解を得ることで、少ない基準点でターゲットの位置を特定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る無線システムについて図1から図3までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る無線システムの構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0009】
図1において、この発明の実施の形態1に係る無線システムは、位置座標が既知の無線端末A1、A2、A3(●印)と、位置座標を特定すべき無線端末N1(○印)と、各無線端末と無線通信することによって情報を収集するサーバS(○印)とが設けられている。なお、y0は無線端末A3、N1間の距離情報、y1は無線端末A1、N1間の距離情報、y2は無線端末A2、N1間の距離情報である。
【0010】
サーバS、無線端末A1〜A3、及び無線端末N1は、互いに無線通信で情報交換することができる。無線電波が直接届かない場合、他の無線端末を経由して情報交換する。例えば、サーバSと無線端末N1の情報交換は、無線端末A3を中継して行う。
【0011】
また、各無線端末A1〜A3、N1は、無線通信を用いてその距離を測定することができる。最も簡単な方法としては、電波の受信強度を計測する方法がある。一般的に、距離が遠いほど電波は減衰するため、一方の無線端末が発した電波を他方の無線端末が受信する際に、その受信時の電波強度を記録することで、距離を推定することができる。
【0012】
さらに、高度な方法としては、電波の伝播時間を計測する方法がある。伝播時間を伝播速度で割ることで、距離が求められる。一方の無線端末から電波を発し、他方の無線端末はこれを受信後、相手に送り返す。自身の送信から、相手の返送を受信するまでの時間を計測し、受信から送り返すまでの遅延が固定、あるいはその時間を収集して減算することで、電波の往復時間が得られ、距離が判明する。
【0013】
また、別の距離の計測方法としては、各無線端末の時刻を高精度に同期し、ある電波の受信時刻を記録、その時間差から距離を推定する方法や、無線と超音波など、伝播遅延の違う無線設備で同時発信し、その到着時間差から距離を推定する方法がある。
【0014】
いずれの方法においても、測定した距離情報には誤差が含まれる。例えば、無線電波強度で推定する方法は、アンテナの指向性や障害物の有無によって同じ距離でも受信強度が異なることが、誤差の要因となる。
【0015】
伝播時間で推定する方法は、マルチパスフェージングの影響等で電波の頭出しにずれが生じ、誤差の要因となる。
【0016】
以上の距離測定によって、各無線端末間の距離は推定され、距離情報はサーバSへ伝達される。サーバSでは、収集した各無線端末間の距離情報(y0、y1、y2)を用いて、位置特定演算を実施する。
【0017】
図2は、この発明の実施の形態1に係る無線システムの無線端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【0018】
図2において、無線端末10A、10Bは、図1の無線端末A1〜A3もしくはN1に相当する。無線端末10Aは、無線端末相互の距離を測定する距離測定手段11Aと、測定した無線端末間の距離情報を無線通信によって伝達する距離情報送信手段12Aとが設けられている。また、無線端末10Bは、無線端末相互の距離を測定する距離測定手段11Bと、測定した無線端末間の距離情報を無線通信によって伝達する距離情報送信手段12Bとが設けられている。
【0019】
距離測定手段11A、12Aは、無線端末間の距離を、上述したように、双方の通信時の受信電波強度の大きさから推定したり、無線端末間の通信往復時間から推定したり、送信側無線端末の発信時刻と受信側無線端末の受信時刻の差から推定したり、伝搬速度の異なる複数の通信手段の到着時間差から推定したり、受信側無線端末の受信時刻から推定したりする。
【0020】
さらに、サーバ20は、無線端末10A、10Bから無線端末間の距離情報を収集する距離情報収集手段21と、行列式計算手段22と、境界条件評価手段23とが設けられている。また、サーバ20は、位置座標が既知の基準の無線端末(アンカーノード)A1〜A3の座標を記憶、管理している。距離情報収集手段21により収集された無線端末間の距離情報は、行列式計算手段22へ伝送される。行列式計算手段22及び境界条件評価手段23では、無線端末間の距離情報とアンカーノードA1〜A3の座標を用いて、位置特定演算を行う。距離情報収集手段21は、マルチホップ通信によって通信範囲外の無線端末の距離情報を収集してもよい。
【0021】
つぎに、この実施の形態1に係る無線システムのサーバの動作について図面を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る無線システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
【0022】
基準点と対象間の距離情報から位置を推定する手法として『Multilateration』が広く利用されている。この実施の形態1では、『Multilateration』で得られる方程式を直接的に解く。すなわち、パラメータの埋め込みによって非線形連立方程式を常微分方程式の初期値問題に変換し、反復計算から解を導出する。『Multilateration』の方程式を変換処理しないため、3次元環境に対し3個のアンカーノードで位置推定でき、各アンカーノードの配置条件によらず解を得ることができる。
【0023】
最初に、ステップ221において、行列式計算手段22は、未知の無線端末N1の座標について、初期値X0(x1,x2,x3)を求める(初期座標値X0の設定)。ここで、x1はノードNiのx軸、x2はy軸、x3はz軸を示す。これは、アンカーノードA1〜A3との通信可否によって判断する。すなわち、無線端末N1は無線端末A1、A2、A3と通信が可能であるから、無線端末A1、A2、A3の通信距離の重複するエリアで初期値(x1,x2,x3)を設定する。この初期座標値X0は、境界条件評価手段23で使用するため、別途記憶しておく。
【0024】
次に、ステップ222において、行列式計算手段22は、計算に使うパラメータh、αを設定する。パラメータhは反復計算における刻み幅を示す。パラメータαは、0から1/hの値の範囲を任意に均等分割し、各分割値をcjとしたとき、
【0025】
【数1】

【0026】
が最小となるcjをαとする。ここで、『Multilateration』から導かれる方程式は、次の通りである。
【0027】
【数2】

【0028】
kについては、次のステップ223を参照のこと。
【0029】
次に、ステップ223において、行列式計算手段22は、行列による座標計算をここで行う(Xn+1=X−αhkの計算)。計算式の根拠については、非特許文献1を参照のこと。すなわち、『Multilateration』から導かれる方程式を常微分方程式の初期値問題に変換し、ルンゲクッタ法(三井、「数値解析入門」、数理科学ライブラリー、第7巻、朝倉書店、1985参照)を用いて解く。現在の無線端末の位置座標X(n=0,1,2,...、初期値0)、ステップ222で設定したパラメータh、αを用いて、以下を計算する。
【0030】
【数3】

【0031】
ここで、JF+(X)は、関数F(X)のヤコビアン行列の一般化逆行列であり、無線端末N1の現在の座標X(x1,x2,x3)、無線端末Ai(この例ではi=1,2,3)の座標(z1(1),z2(1),z3(1),...,z1(i),z2(i),z3(i))、無線端末N1とAiの距離y(i)を用いて、以下の式から求める。
【0032】
【数4】

【0033】
次に、ステップ224において、行列式計算手段22は、ステップ223で求めた今回の座標Xn+1に対し、前回の座標Xとの差である、座標の評価値を計算し、その変化を評価する(Xn+1の評価)。求める座標位置に近い場合、今回の座標Xn+1は収束し小さくなる。収束評価のための閾値をあらかじめ決めておき、座標の評価値(Xn+1−X)がその閾値よりも小さい場合(Yes)には、ステップ225へ進み、小さくない場合(No)には、ステップ231へ進む。
【0034】
次に、ステップ225において、行列式計算手段22は、解は収束したものと判断し、計算を終え、今回の座標Xn+1を位置座標として確定して出力する。
【0035】
ステップ231において、境界条件評価手段23は、ステップ224で収束していない場合、反復計算を続けることで収束に向かう場合と、解が発散する場合がある(境界条件の評価)。解の発散は距離情報の誤差が原因であり、F(X)=0を満足する解が得られないために発生する。この場合、近似解を求めることになるが、反復計算によって、近似点を越えて発散に向かう。発散に向かっていることを検出し、近似解への収束方向に補正するため、境界条件を評価する。図1に示すように、無線端末A1〜A3の配置範囲を元に空間の境界条件をあらかじめ決めておき、Xn+1が境界条件を超えた場合(Yes)には、発散に向かっていると判断する。境界条件は配置範囲に対し各座標方向に許容する位置誤差分のマージンだけ広い空間として設定するのが望ましい。また、無線の通信範囲をもとにさらに詳細な境界条件を付加してもよい。
【0036】
ステップ232において、境界条件評価手段23は、ステップ231で解が発散していると判断された場合には、Xn+1もしくはhを補正する(Xn+1、hの補正)。本実施の形態では、まずXn+1を補正し、この補正が発散するようであれば、パラメータhを補正する。
【0037】
ここで、Xn+1、hの補正方法を説明する。境界条件を超えた無線端末N1の座標値xiに対し、初期値X0の同座標値に、超えた方向と逆方向に任意の値を加算する。例えば、ノードN1のy座標を初期値10で開始し、境界条件0をマイナス方向に超えた場合、座標を10+1=11に補正する。再び同じノードの同じ座標値が同方向に超えた場合、さらに初期値を加算する。一方、前回の補正と逆方向に境界条件を越えた場合、初期値へ任意の値を減算するとともに、振動カウントを加算する。振動カウントが閾値を超えた場合、hを、例えば1/2に減少させ、計算のきざみ幅を詳細にする。
【0038】
そして、ステップ241において、ステップ231でXn+1が境界条件を超えない場合(No)には、nを加算し、今回の座標Xn+1を新たな前回の座標Xとして、ステップ223からの計算を繰り返す(反復計算)。
【0039】
以上のように、位置を求める計算に、二乗計算を入れていないため、距離情報の誤差に対し、位置誤差が急激に悪化することがない。また、3次元空間に対しては最低3個の位置が確定している無線端末があれば位置が特定でき、数が増えるほど精度の良い位置特定が期待できる。さらに、反復計算における初期値、きざみ幅の設定において、境界条件を用いて計算途中で補正しているので、初期値を詳細に決定する必要がなく、また不能解になる頻度を低減することができる。
【0040】
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、位置を求めたい無線端末が1個の場合について説明したが、この実施の形態2では、複数個の無線端末の位置を同時に特定する方法について説明する。
【0041】
この発明の実施の形態2に係る無線システムについて図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態2に係る無線システムの構成を示す図である。
【0042】
図4において、この発明の実施の形態2に係る無線システムは、位置座標が既知の無線端末A1、A2、A3(●印)と、位置座標を特定すべき無線端末N1、N2(○印)と、各無線端末と無線通信することによって情報を収集するサーバS(○印)とが設けられている。なお、y11は無線端末A1、N1間の距離情報、y12は無線端末A2、N1間の距離情報、y13は無線端末A3、N1間の距離情報、y22は無線端末A2、N2間の距離情報、y23は無線端末A3、N2間の距離情報、yは無線端末N1、N2間の距離情報である。
【0043】
位置が不明の無線端末N1、N2は、いずれも2つの位置が判明している無線端末としか距離を測定できない。また、無線端末N1とN2の距離は測定できる。この場合、上記の実施の形態1の方法では、無線端末N1以外の位置を特定できない。
【0044】
つぎに、この実施の形態2に係る無線システムのサーバの動作について図面を参照しながら説明する。
【0045】
本実施の形態2では、無線端末N1、N2の座標を(x1,x2,x3,x4,x5,x6)のように、6次元空間として取り扱う。(x1,x2,x3)は無線端末N1の座標、(x4,x5,x6)は無線端末N2の座標である。この時、上記の実施の形態1におけるF(X)は、以下の式で示される。
【0046】
【数5】

【0047】
F+(X)は、以下の行列式で示される。
【0048】
【数6】

【0049】
計算の流れは、上記の実施の形態1におけるステップ221〜241と同じである。収束したXn+1(x1,x2,x3,x4,x5,x6)が、無線端末N1、N2の座標となる。
【0050】
なお、ここでは位置が未知の無線端末を2個の場合について説明したが、無線端末の数が多くなっても、同様に考えることができる。無線端末の数がn個の場合、3n次空間として扱い、JF+(X)は(距離情報の数)行x(3n)列の行列となる。無線端末の数が多くなるにつれ、行列規模が多くなるので、演算が複雑となる。また、繰り返し演算量も多くなる。この場合、一度に位置特定する無線端末の数を制限し、段階的に演算してもよい。
【0051】
以上のように、複数の無線端末を同時に位置特定でき、また位置が未知の無線端末間の距離情報も利用することができるため、位置が判明している無線端末との距離測定ができなくとも、位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施の形態1に係る無線システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る無線システムの無線端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る無線システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係る無線システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10A 無線端末、10B 無線端末、11A 距離測定手段、11B 距離測定手段、12A 距離情報送信手段、12B 距離情報送信手段、20 サーバ、21 距離情報収集手段、22 行列式計算手段、23 境界条件評価手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末と、位置座標が未知の無線端末と、各無線端末と無線通信することによって情報を収集するサーバとを備えた無線システムであって、
前記無線端末は、
無線端末間の距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段により測定した距離情報を無線通信によって前記サーバへ送信する距離情報送信手段とを有し、
前記サーバは、
前記無線端末から送信された無線端末間の距離情報を収集する距離情報収集手段と、
前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値を設定し、
前記距離情報収集手段により収集された無線端末間の距離情報、予め記憶している前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の座標、及び設定した前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値から、前記位置座標が未知の無線端末の座標を計算し、
前回計算した座標との差である座標の評価値を計算し、この座標の評価値と所定の閾値とを比較して前記座標の評価値が前記所定の閾値よりも小さい場合には、前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束したものと判断し、計算した前記位置座標が未知の無線端末の座標を確定して出力する行列式計算手段と、
前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合は、前記位置座標が未知の無線端末の座標が、前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の配置範囲を元に予め決めた空間の境界条件を超えたときには、発散に向かっていると判断して、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正する境界条件評価手段とを有し、
前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合で、前記境界条件を超え、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正したとき、並びに前記境界条件を超えていないときには、今回計算した座標を新たな前回の座標として、前記行列式計算手段による、前記位置座標が未知の無線端末の座標の計算から、前記境界条件評価手段による、境界条件の評価までを繰り返す
ことを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記距離情報収集手段は、マルチホップ通信によって通信範囲外の無線端末の距離情報を収集する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記行列式計算手段は、前記位置座標が既知の無線端末との通信可否を元に、前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項4】
前記行列式計算手段は、非線形連立方程式を常微分方程式の初期値問題に帰着させるパラメータの埋め込みによる方法を用いて、前記位置座標が未知の無線端末の座標を計算する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項5】
ルンゲクッタ法を用いて、繰り返し計算を行う
ことを特徴とする請求項4記載の無線システム。
【請求項6】
前記距離測定手段は、無線端末間の距離を、双方の通信時の受信電波強度の大きさから推定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項7】
前記距離測定手段は、無線端末間の距離を、無線端末間の通信往復時間から推定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項8】
前記距離測定手段は、無線端末間の距離を、送信側無線端末の発信時刻と受信側無線端末の受信時刻の差から推定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項9】
前記距離測定手段は、無線端末間の距離を、伝搬速度の異なる複数の通信手段の到着時間差から推定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項10】
前記距離測定手段は、無線端末間の距離を、受信側無線端末の受信時刻から推定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項11】
位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末と、位置座標が未知の無線端末と、各無線端末と無線通信することによって情報を収集するサーバとを備えた無線システムにおいて、
前記無線端末が、無線端末間の距離を測定する距離測定ステップと、
前記無線端末が、測定した距離情報を無線通信によって前記サーバへ送信する距離情報送信ステップと、
前記サーバが、送信された無線端末間の距離情報を収集する距離情報収集ステップと、
前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値を設定するステップと、
収集された無線端末間の距離情報、予め記憶している前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の座標、及び設定した前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値から、前記位置座標が未知の無線端末の座標を計算するステップと、
前回計算した座標との差である座標の評価値を計算し、この座標の評価値と所定の閾値とを比較して前記座標の評価値が前記所定の閾値よりも小さい場合には、前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束したものと判断し、計算した前記位置座標が未知の無線端末の座標を確定して出力するステップと、
前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合は、前記位置座標が未知の無線端末の座標が、前記位置座標が既知の少なくとも3個の無線端末の配置範囲を元に予め決めた空間の境界条件を超えたときには、発散に向かっていると判断して、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正するステップとを含み、
前記位置座標が未知の無線端末の座標の解が収束していない場合で、前記境界条件を超え、前記位置座標が未知の無線端末の座標を近似解への収束方向に補正したとき、並びに前記境界条件を超えていないときには、今回計算した座標を新たな前回の座標として、前記位置座標が未知の無線端末の座標の計算から、境界条件の評価までを繰り返す
ことを特徴とする無線システムの位置特定方法。
【請求項12】
前記距離情報収集ステップでは、マルチホップ通信によって通信範囲外の無線端末の距離情報を収集する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項13】
前記位置座標が既知の無線端末との通信可否を元に、前記位置座標が未知の無線端末の初期座標値を設定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項14】
非線形連立方程式を常微分方程式の初期値問題に帰着させるパラメータの埋め込みによる方法を用いて、前記位置座標が未知の無線端末の座標を計算する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項15】
ルンゲクッタ法を用いて、繰り返し計算を行う
ことを特徴とする請求項14記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項16】
前記距離測定ステップでは、無線端末間の距離を、双方の通信時の受信電波強度の大きさから推定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項17】
前記距離測定ステップでは、無線端末間の距離を、無線端末間の通信往復時間から推定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項18】
前記距離測定ステップでは、無線端末間の距離を、送信側無線端末の発信時刻と受信側無線端末の受信時刻の差から推定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項19】
前記距離測定ステップでは、無線端末間の距離を、伝搬速度の異なる複数の通信手段の到着時間差から推定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。
【請求項20】
前記距離測定ステップでは、無線端末間の距離を、受信側無線端末の受信時刻から推定する
ことを特徴とする請求項11記載の無線システムの位置特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−210408(P2009−210408A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53450(P2008−53450)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、総務省、「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】