説明

無線システム

【課題】計測端末で計測された計測データを通信途中で喪失することなく収集することのできる無線システムを提供する。
【解決手段】所定の物理量を計測して計測データを一定の間隔で無線送信する計測端末1と、計測端末1から送信される計測データを収集する主装置2と、計測端末1と主装置2との間に介在して計測データを中継する中継装置3とで無線ネットワークを構成し、中継装置3は、自身との間で接続を確立している計測端末1から送信される計測データを記憶する記憶部31を備え、計測データには、計測端末1が当該計測データを計測した時刻に基づくタイムスタンプ(時間情報)が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップ無線通信を行う無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複数の無線端末によってネットワークを構成し、隣接した無線端末間でパケットを中継することによって、直接電波の届かない無線端末同士間での通信を実現するマルチホップ無線ネットワーク方式が提案されている。このようなマルチホップ無線ネットワーク方式を採用したセンサネットワークシステム(無線システム)が例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に記載の従来例は、基幹装置と、複数の無線装置とを備える。基幹装置は、例えば無線通信機能を有するコンピュータであって、センサネットワークシステムの経路の確立、制御や、各々の無線装置から報告されるセンサ情報を管理する。基幹装置は、複数の無線装置との間における通信に先立って、無線装置の無線ネットワークへの参加処理を実行し、経路を形成する。この経路は、基幹装置を根元として、ツリー状に階層関係が構成される。
【0004】
各無線装置は、それぞれが有するセンサ機能によって様々なセンサ情報を取得し、基幹装置に報告する。このような報告処理に先立って、無線装置は、まずセンサネットワークに参加するために参加処理を実行する。参加処理において、無線装置は、親子関係を形成すべき他の無線装置を選択する。このとき、他の無線装置ではなく、基幹装置を選択してもよい。この選択は、基幹装置との間に存在する他の無線装置の数が最小になるように実施される。
【0005】
そして、この従来例においては、ネットワークを構成する無線装置ごとに固有の送信タイミングを規定することによって、中継処理時における無線パケットの衝突を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−228176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来例のような無線システムでは、最も下位(基幹装置から最も離れた位置)の無線装置は、他の無線装置からの無線パケットの中継を行わずに、センサ情報(計測データ)の取得のみを行わせる、すなわち計測端末として用いる場合がある。そして、このような計測端末では、所望の計測箇所に端末を持ち運ぶことを容易にするために、外部電源から動作電力の供給を受けずに、自身が備える電池を動作電源とするのが一般的である。このため、このような計測端末では、電池の消耗を抑えて長時間使用できるように、計測データを所定の間隔で送信し、送信後には次回の送信時まで通信機能を停止させる、すなわちスリープ状態に移行するものが一般的である。
【0008】
しかしながら、上記の場合では、計測端末から送信された計測データを送信する際に、外部からのノイズや無線信号同士の衝突等によって通信途中で計測データが喪失する虞がある。このように計測データが喪失した場合、当該計測データを送信した計測端末はスリープ状態に移行しているために当該計測データの再送処理を行うことができない。したがって、喪失した計測データを基幹装置で収集することができなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、計測端末で計測された計測データを通信途中で喪失することなく収集することのできる無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線システムは、所定の物理量を計測して計測値を含む計測データを一定の間隔で無線送信し、前記計測データを送信すると次に前記計測データを送信するまでの間少なくとも通信機能を停止する1乃至複数の計測端末と、前記計測端末の前記計測データを収集する主装置と、前記計測端末と前記主装置との間に介在して前記計測データを中継する1乃至複数の中継装置とで無線ネットワークを構成し、前記中継装置は、自身との間で接続を確立している前記計測端末から送信される前記計測データを記憶する記憶部を備え、前記計測データには、前記計測端末が当該計測データを計測した時刻に基づく時間情報が含まれることを特徴とする。
【0011】
この無線システムにおいて、前記中継装置は、前記計測端末と互いに無線信号を送受信し、前記計測端末及び前記中継装置は、それぞれ受信する無線信号の電界強度を測定する電界強度測定部を備え、送信元の前記計測端末又は前記中継装置に対して測定した電界強度の情報を含む無線信号を返信することが好ましい。
【0012】
この無線システムにおいて、前記主装置は、前記中継装置に対して前記計測データの送信を要求する要求信号を送信し、前記中継装置は、前記要求信号を受信すると自身が記憶する前記計測端末の前記計測データを含む返信信号を前記主装置に返信することが好ましい。
【0013】
この無線システムにおいて、前記中継装置は、前記計測端末との間の接続の確立又は離脱を判定、若しくは前記計測端末から送信される前記計測データを受信すると、その旨を知らせる通知信号を前記主装置に送信し、前記主装置は、前記中継装置から送信される通知信号を受信すると当該中継装置に前記要求信号を送信することが好ましい。
【0014】
この無線システムにおいて、前記記憶部は不揮発性のメモリを含み、前記中継装置は、前記計測端末から送信される前記計測データを前記メモリに記憶することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、計測端末で計測された計測データを通信途中で喪失することなく収集することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る無線システムの実施形態を示す図で、(a)は概略図で、(b)は主装置から計測データを要求する場合のシーケンス図である。
【図2】同上の無線システムにおける各部の構成を示す概略ブロック図で、(a)は計測端末の概略ブロック図で、(b)は主装置の概略ブロック図で、(c)は中継装置の概略ブロック図である。
【図3】同上の無線システムにおいて中継装置が通知信号を送信する場合の図で、(a)は概略図で、(b)はシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る無線システムの実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1(a)に示すように、複数(図示では3つ)の計測端末1と、主装置2と、複数(図示では3つ)の中継装置3とを備え、これら計測端末1、主装置2、中継装置3(以下、まとめて「無線機」と呼ぶ)で無線ネットワークを構成している。なお、以下の説明では、複数の計測端末1を区別するために、必要に応じて計測端末1を符号1A〜1Cで表し、複数の中継装置3を区別するために、必要に応じて中継装置3を符号3A〜3Cで表すものとする。
【0018】
計測端末1は、図2(a)に示すように、温度計や電力計、ガスメータ等の所定の物理量(温度や消費電力、流量)を計測する計測部10と、無線信号の送受信を行う無線送受信部11と、各部を制御する制御部12と、駆動用電源である電池13とを備える。また、計測端末1は、無線送受信部11で受信する無線信号の電界強度を測定する電界強度測定部14を備える。
【0019】
無線送受信部11は、アンテナ(図示せず)を介して無線信号を送信する送信回路部(図示せず)と、アンテナを介して無線信号を受信する受信回路部(図示せず)とを具備する。なお、このような無線送受信部11の構成は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0020】
制御部12は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)から成り、メモリに格納されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。制御部12は、一定の間隔で計測部10に計測処理を実行させ、計測された計測値を含む計測データを取得する。そして、制御部12は、当該計測データを含む無線信号を無線送受信部11から自身との間で接続を確立している(通信経路に設定されている)中継装置3に向けて送信させる。
【0021】
ここで、計測端末1は、所望の計測箇所に端末を持ち運ぶことを容易にするために、外部電源から動作電力の供給を受けずに、自身に備え付けの電池13から動作電力を得るようになっている。また、制御部12は、計測データを送信すると、次回の計測データを送信するまでの間は動作を停止するスリープ状態に無線送受信部11を移行させるようになっている。これにより、無線送受信部11での消費電力を低減し、電池13の消耗を抑えて長時間使用できるようにしている。
【0022】
なお、本実施形態では、各無線機にそれぞれ固有のアドレス(MACアドレス及びネットワークアドレス)が設定され、当該MACアドレス及びネットワークアドレスによって無線信号の送信先及び送信元を特定可能としている。このため、制御部12のメモリには各無線機のMACアドレス及びネットワークアドレスが記憶される。
【0023】
電界強度測定部14は、自身との間で接続を確立している中継装置3と、自身との間の通信経路において受信した無線信号の電界強度を測定する測定回路(図示せず)を有する。なお、本実施形態では、電界強度の指標として、LQI(Link Quality Indication:通信リンク品質指数)値を用いる。制御部12は、この電界強度測定部14で測定されたLQI値に基づいて中継装置3との間の接続状況を判定する。例えば、LQI値が零若しくは零に近い値となれば、制御部12は、自身との間で接続を確立していた中継装置3との接続から離脱したと判定する。
【0024】
主装置2は、図2(b)に示すように、無線信号の送受信を行う無線送受信部20と、各計測端末1からの計測データを収集して記憶する収集部21とを備える。また、主装置2は、上位ネットワークを介して管理サーバ(図示せず)との間で通信を行う通信部22と、各部を制御する制御部23とを備える。
【0025】
無線送受信部20は、計測端末1の無線送受信部10と同様の構成である。収集部21は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)から成り、各計測端末1からの計測データを計測端末1毎に記憶することで収集する。収集する計測データは、各計測端末1の最新の計測データのみを記憶するようにしてもよいし、過去に受信した複数回分の計測データを記憶するようにしてもよい。
【0026】
通信部22は、例えば有線LANアダプタや無線LANアダプタ等から成り、上位ネットワークとの間で有線又は無線で通信を行う。したがって、例えば収集部21で収集された各計測端末1の計測データを上位ネットワークを介して管理サーバに送信することができる。管理サーバでは、他の主装置2も含めて全ての計測端末1を一括管理することができる。
【0027】
制御部23は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)から成り、メモリに格納されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。制御部23は、各中継装置3から送信される無線信号を無線送受信部20で受信すると、当該無線信号に含まれる計測データを収集部21に計測端末1毎に記憶させる。なお、制御部23のメモリには、計測端末1と同様に各無線機のMACアドレス及びネットワークアドレスが記憶される。
【0028】
中継装置3は、計測端末1と主装置2との間に介在して計測データを中継するものであって、図2(c)に示すように、無線信号の送受信を行う無線送受信部30と、計測データを記憶する記憶部31と、各部を制御する制御部32とを備える。また、中継装置3は、無線送受信部30で受信する無線信号の電界強度を測定する電界強度測定部33を備える。
【0029】
無線送受信部30は、計測端末1及び主装置2の無線送受信部11,20と同様の構成である。記憶部31は、例えば書き換え可能な揮発性メモリ(例えばDRAM)から成り、自身との間で接続を確立している計測端末1から送信される計測データを記憶する。記憶部31には、各計測端末1の最新の計測データのみを記憶するようにしてもよいし、過去に受信した複数回分の計測データを記憶するようにしてもよい。本実施形態では、記憶部31には、過去に受信した複数回分の計測データを記憶するようにしている。
【0030】
制御部32は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)から成り、メモリに格納されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。制御部32は、自身との間で接続を確立している計測端末1から送信される無線信号を無線送受信部30で受信すると、当該無線信号に含まれる計測データを記憶部31に計測端末1毎に記憶させる。なお、制御部32のメモリには、計測端末1及び主装置2と同様に各無線機のMACアドレス及びネットワークアドレスが記憶される。
【0031】
電界強度測定部33は、計測端末1の電界強度測定部14と同様の測定回路(図示せず)を有し、自身との間で接続を確立している計測端末1から送信される無線信号の電界強度を測定する。制御部32は、この電界強度測定部33で測定されたLQI値に基づいて計測端末1との間の接続状況を判定する。例えば、LQI値が零若しくは零に近い値となれば、制御部32は、自身との間で接続を確立していた計測端末1が接続から離脱したと判定する。
【0032】
本実施形態では、図1(a)の破線で示す通信経路にしたがって、既に各無線機の間で無線ネットワークが自動的に構成されているものとする。なお、無線ネットワークを自動的に構成する技術は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。本実施形態では、計測端末1Aの計測データを含む無線信号は、中継装置3B,3Aで中継されて主装置2に送信される。計測端末1Bの計測データを含む無線信号と、計測端末1Cの計測データを含む無線信号とは、何れも中継装置3C,3Aで中継されて主装置2に送信される。
【0033】
以下、本実施形態の動作について図面を用いて説明する。図1(a),(b)に示すように、中継装置3Bとの間で接続を確立している計測端末1Aは、自身で計測した計測データを含む無線信号を定期的に中継装置3Bに対して送信する。中継装置3Bでは、当該無線信号を受信すると、当該無線信号に含まれる計測データを記憶部31に記憶させるとともに、計測データを受信した旨を知らせる確認信号(ACK)を計測端末1Aに返信する。このとき、当該確認信号には、電界強度測定部33で測定されたLQI値が含まれる。計測端末1Aでは、当該確認信号を受信することで、中継装置3Bが計測データを受信したことを確認することができ、また、中継装置3Bとの間の接続状況を判定することができる。
【0034】
また、中継装置3Cとの間で接続を確立している計測端末1B,1Cは、計測端末1Aと同様に、中継装置3Cに対して定期的に計測データを含む無線信号を送信する。そして、中継装置3Cは、各計測端末1B,1Cからの無線信号に含まれる計測データを記憶部31に記憶させるとともに、確認信号を計測端末1B,1Cに返信する。計測端末1B,1Cでは、当該確認信号を受信することで、中継装置3Cが計測データを受信したことを確認することができ、また、中継装置3Cとの間の接続状況を判定することができる。上記の動作を繰り返すことで、各中継装置3B,3Cには、各計測端末1A〜1Cの計測データが蓄積される。
【0035】
ここで、各中継装置3の記憶部31に記憶される計測データには、当該計測データの取得時刻を示すタイムスタンプ(時間情報)が含まれる。タイムスタンプは、例えば各中継装置3自身が計時する基準時刻と、各計測端末1から送信される無線信号を受信した時刻との差分、すなわち受信時刻からの経過時間として記憶される。この場合、各計測端末1は、計測データに時間情報を含めて各中継装置3に送信する必要がないので、各計測端末1の送信負荷が増大することがない。
【0036】
次に、主装置2がこれらの計測データを定期的に(若しくは利用者の操作にしたがって)収集する動作について説明する。先ず、主装置2は、蓄積された計測データの送信を要求する要求信号を、送信先を中継装置3Bとして送信する。中継装置3Aは、当該要求信号を受信すると、送信先に設定されている中継装置3Bに向けて当該要求信号を送信して中継する。中継装置3Bは、当該要求信号を受信すると、自身の記憶部31から計測端末1Aの計測データを読み出し、当該計測データを含む返信信号を、主装置2を送信先として返信する。このとき、中継装置3Bは、返信信号に含まれる計測データ以外の計測データを保有している場合には、未送信の計測データが存在する旨を知らせる未送信情報も返信信号に含める。中継装置3Aは、当該返信信号を受信すると、送信先に設定されている主装置2に向けて当該返信信号を送信して中継する。
【0037】
主装置2は、当該返信信号を受信すると、当該返信信号に含まれる計測端末1Aの計測データを収集する。そして、当該返信信号に未送信情報が含まれている場合には、主装置2は、計測データを受信した旨を知らせる確認信号(ACK)を含む要求信号を、送信先を中継装置3Bとして送信する。中継装置3Bは、当該要求信号を受信すると、自身の記憶部31に記憶されている未送信の計測データを読み出し、当該計測データを含む返信信号を、主装置2を送信先として返信する。もちろん、未送信の計測データが存在する場合には、当該返信信号に未送信情報を含める。
【0038】
上記の動作を繰り返し、中継装置3Bにおいて記憶部31に記憶されている未送信の計測データが無くなると、中継装置3Bは、計測データの送信が完了した旨を知らせる完了情報を返信信号に含めて返信する。主装置2は、当該返信信号を受信すると、計測データの収集が終了した旨を知らせる終了信号を、送信先を中継装置3Bとして送信する。これにより、計測端末1Aの計測データの収集が終了する。そして、主装置2は、次に中継装置3Cに対しても同様の処理を実行することで、中継装置3Cが保有する計測端末1B,1Cの計測データの収集を行う。
【0039】
上述のように、本実施形態では、各計測端末1の計測データ、及び計測データを計測した時刻に基づくタイムスタンプ(時間情報)を各中継装置3の記憶部31に記憶している。したがって、主装置2が各計測端末1の計測データを収集する際に、仮に外部のノイズ等によって通信途中で計測データが喪失した場合でも、再度中継装置3に計測データを送信させることで、主装置2において計測データを収集することができる。また、計測データには、計測端末1が計測した時刻に基づくタイムスタンプ(時間情報)が含まれている。このため、仮に計測データを通信途中で喪失した場合でも、主装置2は喪失した計測データを再取得した際に、計測データに含まれるタイムスタンプに基づいて計測データを時系列に沿って並び替えることができる。すなわち、主装置2では、計測データの取得順に依らず計測データを時系列に沿って収集することができる。
【0040】
また、本実施形態の各計測端末1及び各中継装置3は、それぞれ受信する無線信号の電界強度を測定する電界強度測定部14,33を備えている。そして、各計測端末1及び各中継装置3は、送信元の計測端末1又は中継装置3に対して測定した電界強度の情報(LQI値)を含む無線信号を返信するようになっている。このため、各計測端末1及び各中継装置3では、自身との間で接続を確立している計測端末1又は中継装置3との接続状況を把握することができる。
【0041】
更に、本実施形態では、主装置2は、各中継装置3に対して要求信号を送信し、各中継装置3は、要求信号を受信すると自身の記憶部31に記憶する計測端末1の計測データを含む返信信号を主装置2に返信するようになっている。このため、各中継装置3からの計測データの送信タイミングを主装置2において管理することができるため、無線信号の衝突による計測データの喪失が起こる確率を低減することができる。また、仮に通信途中で計測データを喪失した場合でも、主装置2は各中継装置3に対して計測データの再送信を要求することができるので、計測データの収集効率を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、記憶部31は書き換え可能な揮発性メモリから成るが、例えばフラッシュメモリやEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリを含んでいてもよい。そして、各中継装置3は、自身との間で接続を確立している各計測端末1の計測データを揮発性メモリに一時的に記憶させるとともに、当該計測データを不揮発性メモリに恒久的に記憶させてもよい。この場合、各中継装置3では、不揮発性メモリの容量が許す限り、各計測端末1の過去の計測データを蓄積することができる。なお、不揮発性メモリの容量に空きがなくなった場合には、蓄積された最古の計測データを最新の計測データで上書きするか、又はそれ以上計測データを保存しないかの何れかを選択すればよい。また、記憶部31は、それ自体を不揮発性メモリのみで構成してもよい。
【0043】
ところで、上記のように各計測端末1の計測データを収集する場合には、主装置2が定期的に各中継装置3に対して要求信号を送信したり、各中継装置3に蓄積されている計測データが更新されているか否かをチェックしたりする必要がある。このため、データ収集時における通信トラフィックが増大するという問題がある。
【0044】
そこで、各中継装置3は、自身との間で接続を確立している計測端末1から送信される計測データを受信すると、その旨を知らせる通知信号を、送信先を主装置2として送信するようにしてもよい。主装置2では、当該通知信号を受信すると、通知信号の送信元である中継装置に対して要求信号を送信することで、計測データの収集を開始する。
【0045】
以下、上記の各中継装置3が通知信号を送信する場合の動作について図3(a),(b)を用いて説明する。なお、説明を簡単にするために、ここでは中継装置3Bから主装置2に向けて計測データが送信される場合のみについて説明する。中継装置3Bは、自身との間で接続を確立している計測端末1Aから送信される計測データを受信すると、当該計測データを記憶部31に記憶させるとともに、計測データを受信した旨を知らせる通知信号を、送信先を主装置2として送信する。中継装置3Aは、当該通知信号を受信すると、送信先に設定されている主装置2に向けて当該通知信号を送信して中継する。
【0046】
主装置2は、当該通知信号を受信すると、蓄積された計測データの送信を要求する要求信号を、送信先を中継装置3Bとして送信する。その後は、上記実施形態と同様に、中継装置3Bに蓄積されている全ての計測データの収集を完了するまで、主装置2と中継装置3Bとの間で要求信号及び返信信号を交互に送受信する。中継装置3Cにおいても、自身との間で接続を確立している計測端末1B,1Cの何れかから送信される計測データを受信した場合には、送信先を主装置2として通知信号を送信し、上記と同様の動作を行う。このように、主装置2は、各中継装置3から送信される通知信号の受信を契機として計測データの収集を開始し、各計測端末1の計測データを収集することができる。
【0047】
上述のように、各中継装置3から送信される通知信号の受信を契機として計測データの収集を開始するので、主装置2から各中継装置3に対して定期的に要求信号を送信する必要がなく、データ収集時における通信トラフィックを低減することができる。
【0048】
また、各中継装置3は、計測端末1との間の接続の確立又は離脱を判定し、接続の確立又は離脱があったと判定した際に、送信先を主装置2として通知信号を送信してもよい。この場合、主装置2は、当該通知信号に基づいて各中継装置3と各計測端末1との接続状況を常に把握することができる。なお、計測端末1との間の接続の確立又は離脱については、例えば電界強度測定部33で測定されたLQI値に基づいて判定すればよい。
【符号の説明】
【0049】
1(1A〜1C) 計測端末
14 電界強度測定部
2 主装置
3(3A〜3C) 中継装置
31 記憶部
33 電界強度測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物理量を計測して計測値を含む計測データを一定の間隔で無線送信し、前記計測データを送信すると次に前記計測データを送信するまでの間少なくとも通信機能を停止する1乃至複数の計測端末と、前記計測端末の前記計測データを収集する主装置と、前記計測端末と前記主装置との間に介在して前記計測データを中継する1乃至複数の中継装置とで無線ネットワークを構成し、前記中継装置は、自身との間で接続を確立している前記計測端末から送信される前記計測データを記憶する記憶部を備え、前記計測データには、前記計測端末が当該計測データを計測した時刻に基づく時間情報が含まれることを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記中継装置は、前記計測端末と互いに無線信号を送受信し、前記計測端末及び前記中継装置は、それぞれ受信する無線信号の電界強度を測定する電界強度測定部を備え、送信元の前記計測端末又は前記中継装置に対して測定した電界強度の情報を含む無線信号を返信することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記主装置は、前記中継装置に対して前記計測データの送信を要求する要求信号を送信し、前記中継装置は、前記要求信号を受信すると自身が記憶する前記計測端末の前記計測データを含む返信信号を前記主装置に返信することを特徴とする請求項1又は2記載の無線システム。
【請求項4】
前記中継装置は、前記計測端末との間の接続の確立又は離脱を判定、若しくは前記計測端末から送信される前記計測データを受信すると、その旨を知らせる通知信号を前記主装置に送信し、前記主装置は、前記中継装置から送信される通知信号を受信すると当該中継装置に前記要求信号を送信することを特徴とする請求項3記載の無線システム。
【請求項5】
前記記憶部は不揮発性のメモリを含み、前記中継装置は、前記計測端末から送信される前記計測データを前記メモリに記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256149(P2012−256149A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128054(P2011−128054)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】