無線タグ情報読み取り装置、無線タグ情報書き込み装置、無線タグ回路素子群
【課題】無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティーを向上する。
【解決手段】起動制御装置100のスキャナ部200は、IC回路部150とアンテナ151とを有する特定の複数の無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ4と、制御回路202とを備える。起動制御装置100の中央制御部104及び制御回路202は、アンテナ4を介し、第1無線タグ回路素子To及びこれと異なる別の第2無線タグ回路素子Toへそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子Toから所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、第2無線タグ回路素子Toから所定の暗号鍵の読み取りを行い、暗号化された情報を復号化し、復号化後の情報を取得する。
【解決手段】起動制御装置100のスキャナ部200は、IC回路部150とアンテナ151とを有する特定の複数の無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ4と、制御回路202とを備える。起動制御装置100の中央制御部104及び制御回路202は、アンテナ4を介し、第1無線タグ回路素子To及びこれと異なる別の第2無線タグ回路素子Toへそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子Toから所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、第2無線タグ回路素子Toから所定の暗号鍵の読み取りを行い、暗号化された情報を復号化し、復号化後の情報を取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部より無線通信を介し無線タグ回路素子に対し情報の読み取り及び書き込みをそれぞれ行う無線タグ情報読み取り装置及び無線タグ情報書き込み装置、並びに無線タグ回路素子を複数個を備えた無線タグ回路素子群に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグは、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、物品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
例えばこの無線タグをセキュリティーシステムに応用した例として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、空港における乗客の手荷物の引渡しに応用したものであり、手荷物に装着する手荷物タグの本券と半券とにそれぞれ無線タグ回路素子を備えている。そして、手荷物引取り人の持つ半券の無線タグ回路素子に記憶された情報と、手荷物に装着された本券の無線タグ回路素子に記憶された情報とを照合することにより、半券を所持する者を手荷物引取り人として認定し、手荷物を引き渡すようになっている。
【特許文献1】特開平8−127420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、2つの無線タグ回路素子に同一内容の情報を記憶させておき、それを後に一致照合(=一致するかどうかを確認)するだけである。このため、例えば一方の無線タグ回路素子(上記の例では例えば手荷物タグの半券側)が第三者に拾得されると他人に手荷物が引き渡される可能性があり、また他方の無線タグ回路素子(上記の例では例えば手荷物タグの本券側)に対し情報読み取りを行って複製を行えば容易に照合対象の上記一方の無線タグ回路素子(手荷物タグの半券)が偽造でき、この場合も他人に手荷物が引き渡される可能性がある。このように、上記従来技術では無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティー確保上、問題があった。
【0005】
本発明の目的は、無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティーを向上できる無線タグ情報読み取り装置、無線タグ情報書き込み装置、及びその無線タグ回路素子を備えた無線タグ回路素子群を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、この読み取り装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる別の第2前記無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から前記所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段と、この情報読み取り手段で取得された前記所定の暗号鍵を用いて前記暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、第1無線タグ回路素子のIC回路部には本来の読み取り情報を暗号化した情報が記憶保持され、第2無線タグ回路素子のIC回路部には上記暗号化の際の所定の暗号鍵(例えば共通鍵、秘密鍵でもよい)が記憶保持されており、情報読み取り手段でそれら暗号化された情報と暗号鍵とを読み取り、復号化手段で当該暗号鍵を用いて暗号化された情報を復号化することにより、復号化後の(本来読み取りたい)情報を取得する。
【0008】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別の無線タグ回路素子に記憶保持させて読み取る構成とすることにより、例えば暗号化された情報のみを記憶保持した第1無線タグ回路素子を第三者が拾得してもこれを復号化して情報を得ることはできず、あるいは暗号鍵のみを記憶保持した第2無線タグ回路素子を第三者が拾得しても暗号化された情報自体がないため同様に情報を得ることはできない。この結果、両方の無線タグ回路素子を同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、セキュリティーを向上することができる。
【0009】
第2発明は、上記第1発明において、前記情報読み取り手段は、前記第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、前記第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを備え、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて、前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0010】
読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で暗号化された情報の読み取りを行い、第2アクセス手段で上記暗号化された情報の所定の暗号鍵の読み取りを行うことで、暗号化された情報と暗号鍵とが揃うので、復号化手段において復号化を行うことができる。
【0011】
第3発明は、上記第2発明において、前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、前記第1アクセス手段は、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵で暗号化された情報に加え、前記別の暗号鍵の読み取りを行い、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、前記第1アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0012】
読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で、所定の暗号鍵で暗号化された情報及び別の暗号鍵の読み取りを行い、第2アクセス手段で、上記別の暗号鍵で暗号化された情報及び所定の暗号鍵の読み取りを行うことで、暗号化された情報と暗号鍵とが2組とも揃うので、復号化手段においてそれぞれの復号化を行うことができる。
【0013】
第4発明は、上記第2発明において、前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、前記情報読み取り手段はさらに、前記第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された、前記別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を備え、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、前記第3アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0014】
本願第4発明においては、第1無線タグ回路素子のIC回路部に記憶された所定の暗号鍵で暗号化された情報が、読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で読み取られる。このとき、上記所定の暗号鍵は第2無線タグ回路素子のIC回路部に記憶されており第2アクセス手段で読み取られるが、当該第2無線タグ回路素子のIC回路部には、別の暗号鍵で暗号化された情報が記憶され、併せて第2アクセス手段で読み取られる。そしてその別の暗号鍵は、さらに別の第3無線タグ回路素子のIC回路部に記憶されており、第3アクセス手段で読み取られる。
このようにすることで、すべての無線タグ回路素子のIC回路部に暗号化された情報を記憶するとともに、その暗号鍵を当該無線タグ回路素子とは異なる無線タグ回路素子のIC回路部に記憶することができ、セキュリティーを向上することができる。
【0015】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記復号化手段で取得した、複数の前記復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を有することを特徴とする。
【0016】
これにより、その照合手段の照合判定結果に応じて対応する作動部材、作動機器等が動作可能となるようにすることで、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【0017】
第6発明は、上記第5発明において、前記照合手段は、前記複数の復号化後の情報どうしが実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする。
【0018】
これにより、例えば復号化後の情報どうしが一致したときのみ、対応する作動部材、作動機器等が動作可能とでき、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【0019】
第7発明は、上記第5又は第6発明において、前記照合手段は、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報が共通に備えられた特定の前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする。
【0020】
これにより、照合対象の情報を照合識別情報を手がかりに容易に見つけ出すことが可能となる。
【0021】
第8発明は、上記第7発明において、前記照合識別情報に基づき、照合対象となる前記複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を備え、前記照合手段は、前記照合タグ特定手段で特定された前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする。
【0022】
照合識別情報を手がかりに照合タグ特定手段で特定した複数の無線タグ回路素子から読み取られ、複合化された情報を、照合手段で照合することで、照合判定を行うことができる。
【0023】
上記目的を達成するために、第9発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う書き込み装置側アンテナと、この書き込み装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段とを有することを特徴とする。
【0024】
本願第9発明においては、情報書き込み手段で、第1無線タグ回路素子のIC回路部に書き込み情報を暗号化した情報を書き込んで記憶保持し、第2無線タグ回路素子のIC回路部に上記暗号化の際の所定の暗号鍵を書き込んで記憶保持する。
【0025】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別の無線タグ回路素子に記憶保持させる構成とすることにより、例えば暗号化された情報のみを記憶保持した第1無線タグ回路素子を第三者が拾得してもこれを復号化して情報を得ることはできず、あるいは暗号鍵のみを記憶保持した第2無線タグ回路素子を第三者が拾得しても暗号化された情報自体がないため同様に情報を得ることはできない。この結果、両方の無線タグ回路素子を同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、セキュリティーを向上することができる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記情報書き込み手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、例えば、2つの無線タグ回路素子のIC回路部にそれぞれの暗号化情報と相手方の暗号化情報に係る暗号鍵とを書き込み記憶させたり、すべての無線タグ回路素子のIC回路部に暗号化された情報を記憶するとともにその暗号鍵を当該無線タグ回路素子とは異なる無線タグ回路素子のIC回路部に記憶させたり等が可能となり、セキュリティーを向上することができる。
【0028】
第11発明は、上記第9又は第10発明において、少なくとも前記所定の暗号鍵又は前記別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を有することを特徴とする。
【0029】
暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、情報を暗号化することが可能となる。
【0030】
第12発明は、上記第11発明において、前記暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする。
【0031】
暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて暗号化手段で情報を暗号化することができる。
【0032】
第13発明は、上記第12発明において、前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を有し、前記情報書き込み手段は、前記書き込み装置側アンテナを介し、対応する前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記照合識別情報生成手段で生成した前記照合識別情報を共通に書き込むことを特徴とする。
【0033】
これにより、照合対象となるタグの組やそれに記録された情報を照合識別情報を手がかりに容易に見つけ出すことが可能となる。
【0034】
第14発明は、上記第9乃至第13発明のいずれか1つにおいて、前記書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を有することを特徴とする。
【0035】
書き込み装置側アンテナを介し書き込み対象の無線タグ回路素子へアクセスし、書き込み情報生成手段で生成した情報を書き込むことができる。
【0036】
第15発明は、上記第13又は第14発明において、前記照合識別情報生成手段又は前記書き込み情報生成手段は、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行う手段であることを特徴とする。
【0037】
照合識別情報や書き込み情報を乱数を用いた手法で生成することにより、さらにセキュリティーを向上することができる。
【0038】
上記目的を達成するために、上記第16発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されるタグ側アンテナとをそれぞれ備えた、第1無線タグ回路素子及び第2無線タグ回路素子を含む無線タグ回路素子群であって、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部は、所定の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とは別の暗号鍵とを記憶保持し、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記別の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とを記憶保持することを特徴とする。
【0039】
これにより、第1無線タグ回路素子のIC回路部に読み取りを行うことで所定の暗号鍵で暗号化された情報及び別の暗号鍵を取得でき、第2無線タグ回路素子のIC回路部に読み取りを行うことで別の暗号鍵で暗号化された情報及び所定の暗号鍵を取得できるので、これらを合わせて、暗号化された情報と暗号鍵とが2組とも揃い、復号化手段においてそれぞれの復号化を行うことができる。したがって、例えばこれら2組の復号化後の情報を照合して、その照合判定結果に応じ対応する作動部材、作動機器等が動作可能となるようにすることで、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティーを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、自動車の起動システムに本発明を適用した場合の実施形態であり、正当な免許証と正当なエンジンキーとがそろった場合にのみ、当該自動車のエンジンが起動するようなセキュリティーを確保するためのものである。
【0042】
図1は、上記自動車の起動システム全体を表す概念的なシステム構成図である。
【0043】
図1に示す自動車起動システムは、上記免許証LCに例えば第1無線タグラベルT1が添付されるとともに、上記エンジンキーEKの例えばキーホルダーに第2無線タグラベルT2が取り付けられている。そして、自動車CAのエンジンを起動させるスタータモータ(図示せず)へ起動信号を出力する起動制御装置に備えられた本発明の無線タグ情報読み取り装置としてのスキャナ部(リーダ部)200が、それら第1及び第2無線タグラベルT1,T2にそれぞれ備えられた無線タグ回路素子To(第1及び第2無線タグ回路素子)にアクセスする(この例では記憶された所定の情報を読み取る)とともにそれらの情報の照合を行う。
【0044】
図2は、上記無線タグラベルT1,T2の全体概略構造の一例を表す図であり、図2(a)及び(b)がそれぞれ無線タグラベルT1の上面図及び下面図、図2(c)及び(d)がそれぞれ無線タグラベルT2の上面図及び下面図である。これら図2(a)〜(d)において、各無線タグラベルT1,T2は、例えば略シート形状の基材2(ラベル基材)と、この基材2に配置された、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toとを備えている。
【0045】
図2(a)に示すように、無線タグラベルT1の基材2の表側(上面)には、対応する免許証に関わる印字情報(この例では「免許証」及び番号「ABC-123456」)を表記した領域Sを備えている。同様に、図2(c)に示すように、無線タグラベルT2の基材2の表側(上面)には、対応するエンジンキーに関わる印字情報(この例では「キー」及び番号「ABC-123456」)を表記した領域Sを備えている。なお、これら領域Sは、文字でなく図形や符号、あるいは単なる色塗りや模様等であってもよい。
【0046】
無線タグ回路素子Toは、この例では、基材2の面方向中心部(この例では図1の上下方向中心部)に配置されている。
【0047】
図3は、上記無線タグラベルT1,T2に備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0048】
図3において、無線タグ回路素子Toは、後述する起動制御装置100のスキャナ部200側のアンテナ210(読み取り装置側アンテナ)と短波帯(例えば13.56MHz)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0049】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0050】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記スキャナ部200(質問器)のアンテナ210からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、上記アンテナ210より受信された搬送波を変調反射する。
【0051】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0052】
図4(a)は、上記無線タグラベルT1に備えられた上記無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図であり、図4(b)は、上記無線タグラベルT2に備えられた上記無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【0053】
図4(a)において、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID1」)と、照合識別情報(詳細は後述、この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toの記憶情報を暗号化する際に用いた暗号鍵Aと、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶された暗号鍵Bにより暗号化された情報(暗号化データB)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0054】
図4(b)において、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID2」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データB)を暗号化する際に用いた暗号鍵Bと、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Aにより暗号化された情報(暗号化データA)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0055】
図5は、上記起動制御装置100の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、起動制御装置100は、前述のエンジンキーEKが差し込まれたキースイッチの操作信号(ON信号又はOFF信号)を入力するキースイッチ信号入力部と、上記自動車CAに備えられた公知のスタータモータ(図示せず)への起動信号を生成して出力する起動信号生成部103と、前述した読み取り機能を果たすスキャナ部200と、それらキースイッチ信号入力部101、起動信号生成部103、及びスキャナ部200に接続され起動制御装置100全体の動作制御を行う中央制御部104とを有する。
【0056】
中央制御部104は、例えば、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、キースイッチ信号入力部101、スキャナ部200からの信号を入力して所定の演算処理を行い、起動信号生成部103への制御信号等を出力する。
【0057】
スキャナ部200は、無線タグ回路素子Toの上記アンテナ151との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ210と、このアンテナ210を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取りを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路201と、高周波回路201を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、スキャナ部200全体の動作を制御する制御回路202とを有する。
【0058】
図6は、上記高周波回路201の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
【0059】
図6において、高周波回路201は、アンテナ210を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ210により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0060】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報(図4(a)及び図4(b)参照)にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる搬送波発生部として機能する発振回路215と、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記搬送波発生部により発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する増幅率可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記搬送波発生部により発生される搬送波は、例えば短波帯(13.56MHz等)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しアンテナ210に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、送受される無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0061】
受信部213は、アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相が90°遅れた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
【0062】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このように、スキャナ部200では、この例ではI−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0063】
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。
【0064】
図7は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0065】
図7において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、ROM202B、RAM202C、高周波回路201との信号送受を行う回路制御部202D、上記中央制御部104との信号送受を行う入出力制御部202E等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
【0066】
図8は、上記起動制御装置100に備えられた中央制御部104及び制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【0067】
まずステップS505において、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1,T2の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号を送信する。詳細には、例えば、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための「全記憶内容読み出しコマンド」信号(「無線タグID識別コマンド」信号で各無線タグ回路素子のIDを取得し、各無線タグ回路素子のIDを指定して全記憶内容読出しコマンドを生成)を生成して高周波回路201を介して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子To(この例ではタグラベルT1に係る無線タグ回路素子ToとタグラベルT2に係る無線タグ回路素子Toとの2つ)に送信され、返信を促す。
【0068】
その後、ステップS510に移り、上記「全記憶内容読み出しコマンド」信号等に対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号がアンテナ210を介し受信され、高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。
【0069】
リプライ信号が受信されていなければ判定が満たされず、ステップS505に戻って同様の手順を繰り返す。リプライ信号が受信されたらステップS510の判定が満たされ、ステップS515へ移る。
【0070】
ステップS515では、上記無線タグ回路素子Toから受信されたリプライ信号の中から、対応する情報(無線タグラベルT1,T2と関連づけられる情報)を取得する。これにより、図4(a)の例では無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToからタグID「ID1」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵A、暗号化データBの各情報が取得され、図4(b)の例では無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToからタグID「ID2」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵B、暗号化データAの各情報が取得される。
【0071】
次に、ステップS520において、ステップS515で2つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致しているかどうか(又は、組となることが分かる所定の関係となっているかどうか)を判定する。一致しない場合には判定が満たされず、このフローを終了する。なお、直ちにフローを終了するのではなく、必ず2つの無線タグ回路素子Toが用いられるときには、特に照合識別情報で、組となる無線タグ回路素子Toを選択する必要がないので、照合識別情報がなくてもステップS510でリプライ信号を受信した無線タグ回路素子Toが2つであるかどうかを判定し、2つであれば一方の暗号鍵で他方の暗号化データを複合化する一方、2つ以外(=3つ以上)であればフローを終了するようにしてもよい。
【0072】
2つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致している場合には、ステップS520の判定が満たされ、ステップS530に移る。ステップS530では、ステップS515で情報を取得した2つの無線タグ回路素子Toのうち一方(例えば無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)をタグ1、もう一方(例えば無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)をタグ2として選択指定する。なお、上記照合識別情報の一致した無線タグ回路素子Toが3つ以上検出された場合には、ただちにこのフローを終了するようにしてもよいし、一致する各組ごとに以下の手順(ステップS535〜ステップS550)の処理を行うようにしてもよい。
【0073】
その後、ステップS535において、上記ステップS530の指定に対応して、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵B(ステップS515で取得済み、以下同様)を用いて、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データBを復号化し、照合用のデータ(照合データ1)を生成する。
【0074】
そして、ステップS540において、上記ステップS530の指定に対応して、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Aを用いて、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データAを復号化し、照合用のデータ(照合データ2)を生成する。
【0075】
その後、ステップS545において、上記ステップS535で生成した照合データ1と、上記ステップS540で生成した照合データ2との照合を行い、両者が予め定められた所定の関係となっているかどうかを判定する。この所定の関係は例えば両者の(実質的)一致、連番、補数関係等でもよいし、相互に演算(加算、減算、割り算等)を行った結果が所定値となることでもよいし、あるいは例えばROM202B内に格納保持されたテーブルにおいて適正として規定された組み合わせであることでもよい。所定の関係となっていなければ判定が満たされず直ちにこのフローを終了し、所定の関係となっていれば判定が満たされ、ステップS550へ移る。
【0076】
ステップS550では、照合が適正だった場合に行われるべき所定の処理を行い(この例では起動制御装置100の起動信号生成部103に制御信号を出力し、起動信号を生成させて自動車CAのスタータモータを起動させる)を行い、このフローを終了する。
【0077】
上記のように構成され使用される無線タグラベルT1,T2であるが、これら無線タグラベルT1,T2を製造する無線タグ製造装置300としては、例えば図9に示す装置が用いられる。
【0078】
図9において、このタグラベル作成装置300(無線タグ情報書き込み装置)は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303を巻回したタグテープロール304と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303のうち各無線タグ回路素子Toに対応した上記領域Sに所定の印字を行う印字ヘッド305と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(書き込み装置側アンテナ)と、高周波回路301及び制御回路302と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して上記無線タグラベルT1,T2とするカッタ307とを有する。
【0079】
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記スキャナ部200の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報(前述したような暗号鍵、暗号化データ、さらには照合識別情報等を含む)を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路202は有線又は無線の通信回線(ネットワーク)を介して他のコンピュータ、サーバ、端末等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。
【0080】
図10は、前述のように、互いに組となって照合されるべき2つの無線タグ回路素子を備えた無線タグラベルT1,T2を作成するときに上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0081】
図10において、まずステップS705で、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toへの記憶データを暗号化するための暗号鍵Aを生成し、その後ステップS710で無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toへの記憶データを暗号化するための暗号鍵Bを生成する。このときの暗号鍵A,Bは例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させてもよいし、複数の暗号鍵候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしてもよい。
【0082】
その後、ステップS715において、上記照合識別情報を装置300の外部より入力するかどうかが判定される。外部入力を行う旨が例えばタグラベル作成装置300の図示しない操作部より指示された場合には判定が満たされ、ステップS720に移る。ステップS720では、例えば上記通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力された照合識別情報が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。なお、無線タグ回路素子Toに必ずしも照合識別情報は記憶させなくてもよく、その場合にはステップS715、ステップS720、ステップS725は省略される。
【0083】
上記のような外部入力を行わない場合には上記ステップS715の判定が満たされず、ステップS725に移り、照合識別情報の生成(自動生成)を行う。このときの照合識別情報は例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させればよい。あるいは、複数の候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしたり、上記通信回線を介し起動制御装置100のスキャナ部200に接続されている場合には、予めスキャナ部200側から指定された情報を照合識別情報とするようにしてもよい。
【0084】
上記ステップS720やステップS725が終了すると、ステップS730に移る。ステップS730では、本来無線タグラベルT1,T2それぞれに記憶させて照合したい照合データを装置300の外部より入力するかどうかが判定される。外部入力を行う旨が例えば上記操作部より指示された場合には判定が満たされ、ステップS735に移る。ステップS735では、例えば上記通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力されたタグ1用照合デ−タ(無線タグラベルT1に係る無線タグ回路素子Toに記憶させたい情報)が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。その後、ステップS740に移り、例えば上記操作端末等により別途入力されたタグ2用照合デ−タ(無線タグラベルT2に係る無線タグ回路素子Toに記憶させたい情報)が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。
【0085】
上記のような外部入力を行わない場合には上記ステップS730の判定が満たされず、ステップS745に移り、照合データの生成(自動生成)を行う。あるいは、予めリーダから指定された情報を照合データとする。このときの照合データは例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させてもよいし、複数の候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしてもよい。
【0086】
上記ステップS740やステップS745が終了すると、ステップS750に移る。ステップS750では、ステップS740で入力したタグ2用照合データ(又はステップS745で生成した照合データ)を、ステップS705で生成した暗号鍵Aを用いて暗号化し、暗号化データAを生成する。その後、ステップS755に移り、上記同様、ステップS735で入力したタグ1用照合データ(又はステップS745で生成した照合データ)を、ステップS710で生成した暗号鍵Bを用いて暗号化し、暗号化データBを生成する。
【0087】
そして、ステップS760に移り、上記ステップS705で生成した暗号鍵Aと、上記ステップS755で生成した暗号化データBと、ステップS720で外部より入力した(又はステップS725で生成した)照合識別情報と、新たに指定したタグ識別情報(タグID、上述の例では「ID1」)とを用いて、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶させるためのデータ(タグ1データ)を生成する。またステップS765に移り、上記ステップS710で生成した暗号鍵Bと、上記ステップS750で生成した暗号化データAと、ステップS720で外部より入力した(又はステップS725で生成した)照合識別情報と、新たに指定したタグ識別情報(タグID、上述の例では「ID2」)とを用いて、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶させるためのデータ(タグ2データ)を生成する。なお、上記タグIDは新たに設定しても良いし、既に予め無線タグ回路素子に付与されているIDを書き換えることなくそのまま用いても良い。
【0088】
その後、ステップS770に移り、操作端末等により別途入力された、印字ヘッド305で上記無線タグラベルT1,T2の領域Sに印字したい印字情報が上記通信回線を介し取得される。
【0089】
そして、ステップS780において、印字ヘッド305を駆動する駆動回路(図示せず)に制御信号を出力して、上記ステップS770で入力した印字データのうち、無線タグラベルT1に対応する印字を領域Sに対して行うとともに、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに対し情報(上記タグ1データ、すなわちタグID「ID1」+照合識別情報「ABC-123456」+暗号鍵A+暗号化データB)の書き込みを行う。すなわち、高周波回路301を介し無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して当該無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150に対し、情報書き込みを行う。このとき、図示しないテープ搬送駆動手段によるテープ送り及び書き込み後のカッタ307による切断も併せて行われる。この結果、例えば図4(a)に例示したようなデータ構造の情報が当該無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶保持される。
【0090】
また、次のステップS790において、印字ヘッド305を駆動する駆動回路(図示せず)に制御信号を出力して、上記ステップS770で入力した印字データのうち、無線タグラベルT2に対応する印字を領域Sに対して行う。同様に、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに対し情報(上記タグ2データ、すなわちタグID「ID2」+照合識別情報「ABC-123456」+暗号鍵B+暗号化データA)の書き込みを行う。すなわち、高周波回路301を介し無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して当該無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150に対し、情報書き込みを行う(上記同様、テープ送り及び切断も併せて行われる)。この結果、例えば図4(b)に例示したようなデータ構造の情報が当該無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶保持される。
【0091】
以上のような手順で、テープ送りしながらの印字及び情報書き込み、その後切断が終了した無線タグラベルT1,T2は装置300外へと排出され、このフローを終了する。なお、印字を行わない場合には、テープ送りしながらの情報書き込みを行い、その後切断して(印字なしの)無線タグラベルT1,T2を生成する。
【0092】
上記において、起動制御装置100に備えられた中央制御部104及び制御回路202の実行する図8に示したフローのステップS505、ステップS510、及びステップS515が、各請求項記載の、第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを構成する。そして、全体として、読み取り装置側アンテナを介し、複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子のIC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、第2無線タグ回路素子のIC回路部から所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段を構成する。
【0093】
また、ステップS530が、照合識別情報に基づき、照合対象となる複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を構成し、ステップS535又はステップS540が、情報読み取り手段で取得された所定の暗号鍵を用いて暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段を構成し、ステップS545が、復号化手段で取得した、複数の復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を構成する。
【0094】
また、タグラベル作成装置300の制御回路302の実行する図10に示した制御手順のうち、ステップS780又はステップS790が、書き込み装置側アンテナを介し、複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子のIC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、第2無線タグ回路素子のIC回路部に所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段をも構成する。
【0095】
また、ステップS705及びステップS710が、少なくとも所定の暗号鍵又は別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を構成し、ステップS750及びステップS755が、暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を構成する。また、ステップS725が、複数の無線タグ回路素子のIC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を構成し、ステップS745が、書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を構成する。
【0096】
さらに、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toが第1無線タグ回路素子を構成し、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toが第2無線タグ回路素子を構成し、これら2つの無線タグ回路素子Toが無線タグ回路素子群を構成する。
【0097】
以上のように構成した本実施形態においては、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2、以下、かっこ内対応関係同じ)に係る無線タグ回路素子ToのIC回路部150には読み取り情報を暗号化した情報である暗号化データB(又は暗号化データA)が記憶保持され、この暗号化の際のいわゆる共通鍵である暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶保持されている。そして、起動制御装置100のスキャナ部200において、それら2つの無線タグ回路素子Toから暗号化された暗号化データB(又は暗号化データA)と暗号鍵B(又は暗号鍵A)とを読み取り、当該暗号鍵B(又は暗号鍵A)を用いて暗号化データB(又は暗号化データA)を復号化することにより、復号化後の本来読み取りたい情報を取得する。
【0098】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別々の無線タグ回路素子Toに記憶保持させて読み取る構成とすることにより、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2)を第三者が拾得してもその無線タグ回路素子Toは暗号化データB(又は暗号化データA)のみを記憶保持しており、その暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子Toに記憶保持されているためこれを復号化して情報を得ることはできない。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0099】
また、このように暗号鍵と暗号データとを複数の無線タグ回路素子Toで持ち合う構成とすることで、スキャナ部200は暗号鍵に関する情報を保持する必要がなくなる。この結果、仮に第三者が(無線タグ情報読み取り装置である)スキャナ部200に外部からアクセスしたとしても、暗号鍵や暗号化データを取得することはできないので、この意味でも高いセキュリティを維持できる。またスキャナ部200は暗号鍵に関する情報を保持する必要がないため、暗号鍵は(例えば後述の無線タグ製造装置300によって)随時変更することができ、これによっても安全性が高くなる。
【0100】
そして、この実施形態では特に、上記無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toから読み取って復号化したデータの照合判定結果に応じて対応する作動部材、作動機器(この例では自動車CAのエンジンのスタータモータ)等を動作可能とすることで、当該スタータモータの動作セキュリティーを向上することができる。
【0101】
また、この実施形態では特に、各無線タグ回路素子Toが、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を備えていることにより、スキャナ部200において照合判定を行うにあたり、上記照合識別情報を手がかりに照合対象であることを容易に認識することが可能となる。特に、図8に示すフローのステップS505の読み取り信号送信後にステップS510において3つ以上の無線タグ回路素子Toから返答を受信した場合に、その中で照合すべき組(対)となる2つの無線タグ回路素子Toを見つけ出すのに有効である。
【0102】
また、本実施形態の無線タグ情報書き込み装置である無線タグ製造装置300では、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2、以下、かっこ内対応関係関係同じ)に係る無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込み情報を暗号化した情報である暗号化データB(又は暗号化データA)を書き込んで記憶保持し、この暗号化の際のいわゆる共通鍵である暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込んで記憶保持する。
【0103】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別々の無線タグ回路素子Toに記憶保持させる構成とすることにより、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2)を第三者が拾得してもその無線タグ回路素子Toは暗号化データB(又は暗号化データA)のみを記憶保持しており、その暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子Toに記憶保持されているためこれを復号化して情報を得ることはできない。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0104】
また、この実施形態では特に、無線タグ製造装置300は、照合対象の組(対)となる無線タグ回路素子To,Toに、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を書き込むことにより、前述のようにスキャナ部200において照合判定を行うにあたり、その照合識別情報を手がかりに照合対象であることを容易に認識することが可能となる。特に、上記図8に示すフローのステップS505の読み取り信号送信後にステップS510において3つ以上の無線タグ回路素子Toから返答を受信した場合に、その中で照合すべき組(対)となる2つの無線タグ回路素子Toを見つけ出すのに有効である。
【0105】
また、この実施形態では特に、上記照合識別情報の生成時(図10のフローに示すステップS725参照)、又は書き込み情報である照合データの生成時(図10のフローに示すステップS745参照)において、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行うことにより、さらにセキュリティーを向上することができる。
【0106】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で更に種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
【0107】
(1)3つ以上の無線タグ回路素子Toで暗号鍵と暗号化データとを持ち合う場合
上記実施形態においては、無線タグラベルT1,T2の2つの無線タグ回路素子To,Toで暗号鍵と暗号化データを持ち合った(一方の無線タグ回路素子To,に暗号鍵Bと暗号化データA、他方の無線タグ回路素子Toに暗号鍵Aと暗号化データB)が、これに限られず、3つ以上の無線タグラベルにおいて、同様に暗号化データとこれに対応する暗号鍵とを各無線タグ回路素子Toに分散して記憶するようにしてもよい。
【0108】
図11(a)〜(c)は、このような3つの無線タグラベルT1,T2,T3を備えた変形例における各ラベルT1,T2,T3の無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図であり、上記実施形態の図4に相当する図である。
【0109】
図11(a)は上記無線タグラベルT1に備えられた無線タグ回路素子To、図11(b)は上記無線タグラベルT2に備えられた無線タグ回路素子To、図11(c)は上記無線タグラベルT3に備えられた無線タグ回路素子Toのデータ内容を概念的に表している。
【0110】
図11(a)において、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID1」)と、照合識別情報(詳細は後述、この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toの記憶情報を暗号化する際に用いた暗号鍵Aと、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toに記憶された暗号鍵Cにより暗号化された情報(暗号化データC)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0111】
図11(b)において、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID2」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データB)を暗号化する際に用いた暗号鍵Bと、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Aにより暗号化された情報(暗号化データA)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0112】
図11(c)において、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID3」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データC)を暗号化する際に用いた暗号鍵Cと、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Bにより暗号化された情報(暗号化データB)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0113】
図12は、この変形例による起動制御装置に備ええられた上記中央制御部104及び制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図8に相当する図である。図8と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0114】
図12において、ステップS505〜ステップS520は上記図8と同等の手順である。すなわち、ステップS505で高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1,T2,T3の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号を送信した後、ステップS510でそのリプライ信号がアンテナ210を介し受信され、高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。判定が満たされたらステップS515で、受信されたリプライ信号の中から、対応する情報(無線タグラベルT1,T2と関連づけられる情報)を取得する。
【0115】
これにより、図11(a)の例では無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToからタグID「ID1」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵A、暗号化データCの各情報が取得され、図11(b)の例では無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToからタグID「ID2」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵B、暗号化データAの各情報が取得され、図11(c)の例では無線タグラベルT3の無線タグ回路素子ToからタグID「ID3」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵C、暗号化データBの各情報が取得される。なおこの手順が、各請求項記載の、第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子のIC回路部に記憶された、別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を構成する。その後、ステップS520で、ステップS515で3つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致しているかどうか(又は、組となることが分かる所定の関係となっているかどうか)を判定し、判定が満たされたらステップS530に代えて設けたステップS530′に移る。
【0116】
ステップS530′では、ステップS515で情報を取得した3つの無線タグ回路素子Toのそれぞれ、例えば無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toをタグ1、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toをタグ2、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toをタグ3として選択指定する。なお、タグ1、タグ2、タグ3は例えば、取得したID1、ID2、ID3が小さい(あるいは大きい)ものからタグ1、タグ2、タグ3として選択指定すればよい。
【0117】
その後、ステップS535に代えて設けたステップS535′において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ3側(無線タグラベルT3の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵C(ステップS515で取得済み、以下同様)を用いて、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データCを復号化し、照合用のデータ(照合データ1)を生成する。
【0118】
その後、ステップS540に代えて設けたステップS540′において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Aを用いて、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データAを復号化し、照合用のデータ(照合データ2)を生成する。
【0119】
その後、新たに設けたステップS542において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Bを用いて、タグ3側(無線タグラベルT3の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データBを復号化し、照合用のデータ(照合データ3)を生成する。
【0120】
以上のように構成した本変形例においては、すべての(この例では3つの)無線タグ回路素子ToのIC回路部150に暗号化された情報を記憶するとともに、その暗号鍵を当該無線タグ回路素子Toとは異なる無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶する。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データAに係る情報が盗まれることはなく、同様に、無線タグラベルT2,T3に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データBに係る情報が盗まれることはなく、無線タグラベルT3,T1に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データCに係る情報が盗まれることはない。この結果、前述と同様、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0121】
なお、上記(1)の変形例では3つの無線タグラベルTに係る無線タグ回路素子Toに暗号化データと暗号鍵とを分担記憶した場合を例にとって説明したが、これに限られず、4つ以上の無線タグラベルTに係る無線タグ回路素子Toに暗号化データと暗号鍵とを分担記憶させるようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0122】
(2)暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報を付加する場合
図13(a)〜(c)は、図11(a)〜(c)の変形例において上記情報を付加した例をそれぞれ表しており、この例では、各無線タグラベルT1,T2,T3に関わる無線タグ回路素子Toそれぞれのメモリ部155に記憶している暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報が付加されている。すなわち、図13(a)に示す無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Aと暗号化データCとの組み合わせを表す情報(この例では「AC」)が併せて記憶されており、図13(b)に示す無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Bと暗号化データAとの組み合わせを表す情報(この例では「BA」)が併せて記憶されており、図13(c)に示す無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Cと暗号化データBとの組み合わせを表す情報(この例では「CB」)が併せて記憶されている。
【0123】
(3)その他
以上においては、2つ又は3つの無線タグ回路素子Toの照合結果(実質一致等の所定の関係になるかどうか)のみに応じて、スタータモータのエンジン起動の可/不可を切り替えるようにしたが、これに限られない。すなわち、その照合結果が所定の関係になる(=一致する、連番となる、補数関係となる等)かどうかだけでなく、そのときの値自体を予め制御回路202又は中央制御部104につ録しておき、その登録された値になったかどうかに応じてスタータモータのエンジン起動の可/不可を切り替えるようにしてもよい。さらに、その所定の関係になったときの値に応じて、許容する動作の程度を変化するようにしてもよい(セキュリティレベルを変える。起動制御装置100の例で言えば、例えば、aさん、bさん、cさんの各人が自己の免許証を併せて所持していれば上記所定の関係が満たされて自動車CAのエンジンが起動するが、中央制御部104が自動車CAのエンジン制御装置と接続されて連携制御することにより、aさんが運転するとき(aさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限がなく、bさんが運転するとき(bさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限が80km/hであり、cさんが運転するとき(cさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限が60km/hとなる、といったような場合が考えられる。
【0124】
また、無線タグ回路素子To側に予め応答すべき無線タグ情報読取装置(スキャナ部200等)の識別情報(リーダID)を記憶させておき、特定の無線タグ情報読取装置からの読み取り信号を受信した場合にのみ、応答するようにしても良い。
【0125】
また、以上においては、2つの無線タグラベルT1,T2に係る無線タグ回路素子To、又は、3つの無線タグラベルT1,T2,T3に係る無線タグ回路素子Toで暗号化データと暗号鍵とを分担記憶した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、「2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり情報が盗まれず情報盗難に対するセキュリティーを向上できる」という本発明本来の効果を得る限りにおいては、例えば図4(a)及び(b)に示した例において、無線タグラベルT1に暗号鍵Aを記憶し(暗号化データBは記憶せず)、無線タグラベルT2に暗号化データAを記憶し(暗号鍵Bは記憶せず)、単に、それら無線タグ回路素子Toから取得した暗号鍵A及び暗号化データAを用いて暗号化データAを復号化したデータを取得するようにしてもよい(この場合は照合は行わない)。
【0126】
以上は、自動車CAのスタータモータに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、所定の動作を行う他の動作機器・動作部材(例えば金庫の開閉、データベースのアクセス)へ適用してもよい。
【0127】
さらに、上述した実施形態、(1)〜(3)の変形例における手法を適宜組み合わせてもよい。これらの場合も、それら組み合わせた実施形態又は変形例の効果を併せた効果を得ることができ、上記同様、操作者の利便性を大きく向上できるという本発明本来の効果を得ることができる。
【0128】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の一実施形態の適用対象である自動車の起動システム全体を表す概念的なシステム構成図である。
【図2】無線タグラベルの全体概略構造の一例を表す上面図及び下面図である。
【図3】無線タグラベルに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図4】無線タグ回路素子のメモリ部に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【図5】起動制御装置の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図6】高周波回路の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
【図7】制御回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図8】起動制御装置に備えられた中央制御部及び制御回路の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態によるタグラベル作成装置の全体概略構成を表す概念図である。
【図10】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】3つの無線タグラベルを備えた変形例における各ラベルの無線タグ回路素子のメモリ部に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【図12】起動制御装置に備ええられた中央制御部及び制御回路の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図13】暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報を付加した変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0130】
4 アンテナ(読み取り装置側アンテナ)
100 起動制御装置
104 中央制御部
150 IC回路部
151 アンテナ(タグ側アンテナ)
200 スキャナ部(無線タグ情報読取装置)
202 制御回路
300 タグラベル作成装置(無線タグ情報書き込み装置)
306 アンテナ(書き込み装置側アンテナ)
To 無線タグ回路素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部より無線通信を介し無線タグ回路素子に対し情報の読み取り及び書き込みをそれぞれ行う無線タグ情報読み取り装置及び無線タグ情報書き込み装置、並びに無線タグ回路素子を複数個を備えた無線タグ回路素子群に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグは、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、物品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
例えばこの無線タグをセキュリティーシステムに応用した例として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、空港における乗客の手荷物の引渡しに応用したものであり、手荷物に装着する手荷物タグの本券と半券とにそれぞれ無線タグ回路素子を備えている。そして、手荷物引取り人の持つ半券の無線タグ回路素子に記憶された情報と、手荷物に装着された本券の無線タグ回路素子に記憶された情報とを照合することにより、半券を所持する者を手荷物引取り人として認定し、手荷物を引き渡すようになっている。
【特許文献1】特開平8−127420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、2つの無線タグ回路素子に同一内容の情報を記憶させておき、それを後に一致照合(=一致するかどうかを確認)するだけである。このため、例えば一方の無線タグ回路素子(上記の例では例えば手荷物タグの半券側)が第三者に拾得されると他人に手荷物が引き渡される可能性があり、また他方の無線タグ回路素子(上記の例では例えば手荷物タグの本券側)に対し情報読み取りを行って複製を行えば容易に照合対象の上記一方の無線タグ回路素子(手荷物タグの半券)が偽造でき、この場合も他人に手荷物が引き渡される可能性がある。このように、上記従来技術では無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティー確保上、問題があった。
【0005】
本発明の目的は、無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティーを向上できる無線タグ情報読み取り装置、無線タグ情報書き込み装置、及びその無線タグ回路素子を備えた無線タグ回路素子群を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、この読み取り装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる別の第2前記無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から前記所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段と、この情報読み取り手段で取得された前記所定の暗号鍵を用いて前記暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、第1無線タグ回路素子のIC回路部には本来の読み取り情報を暗号化した情報が記憶保持され、第2無線タグ回路素子のIC回路部には上記暗号化の際の所定の暗号鍵(例えば共通鍵、秘密鍵でもよい)が記憶保持されており、情報読み取り手段でそれら暗号化された情報と暗号鍵とを読み取り、復号化手段で当該暗号鍵を用いて暗号化された情報を復号化することにより、復号化後の(本来読み取りたい)情報を取得する。
【0008】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別の無線タグ回路素子に記憶保持させて読み取る構成とすることにより、例えば暗号化された情報のみを記憶保持した第1無線タグ回路素子を第三者が拾得してもこれを復号化して情報を得ることはできず、あるいは暗号鍵のみを記憶保持した第2無線タグ回路素子を第三者が拾得しても暗号化された情報自体がないため同様に情報を得ることはできない。この結果、両方の無線タグ回路素子を同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、セキュリティーを向上することができる。
【0009】
第2発明は、上記第1発明において、前記情報読み取り手段は、前記第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、前記第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを備え、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて、前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0010】
読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で暗号化された情報の読み取りを行い、第2アクセス手段で上記暗号化された情報の所定の暗号鍵の読み取りを行うことで、暗号化された情報と暗号鍵とが揃うので、復号化手段において復号化を行うことができる。
【0011】
第3発明は、上記第2発明において、前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、前記第1アクセス手段は、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵で暗号化された情報に加え、前記別の暗号鍵の読み取りを行い、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、前記第1アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0012】
読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で、所定の暗号鍵で暗号化された情報及び別の暗号鍵の読み取りを行い、第2アクセス手段で、上記別の暗号鍵で暗号化された情報及び所定の暗号鍵の読み取りを行うことで、暗号化された情報と暗号鍵とが2組とも揃うので、復号化手段においてそれぞれの復号化を行うことができる。
【0013】
第4発明は、上記第2発明において、前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、前記情報読み取り手段はさらに、前記第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された、前記別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を備え、前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、前記第3アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする。
【0014】
本願第4発明においては、第1無線タグ回路素子のIC回路部に記憶された所定の暗号鍵で暗号化された情報が、読み取り手段に備えられた第1アクセス手段で読み取られる。このとき、上記所定の暗号鍵は第2無線タグ回路素子のIC回路部に記憶されており第2アクセス手段で読み取られるが、当該第2無線タグ回路素子のIC回路部には、別の暗号鍵で暗号化された情報が記憶され、併せて第2アクセス手段で読み取られる。そしてその別の暗号鍵は、さらに別の第3無線タグ回路素子のIC回路部に記憶されており、第3アクセス手段で読み取られる。
このようにすることで、すべての無線タグ回路素子のIC回路部に暗号化された情報を記憶するとともに、その暗号鍵を当該無線タグ回路素子とは異なる無線タグ回路素子のIC回路部に記憶することができ、セキュリティーを向上することができる。
【0015】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記復号化手段で取得した、複数の前記復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を有することを特徴とする。
【0016】
これにより、その照合手段の照合判定結果に応じて対応する作動部材、作動機器等が動作可能となるようにすることで、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【0017】
第6発明は、上記第5発明において、前記照合手段は、前記複数の復号化後の情報どうしが実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする。
【0018】
これにより、例えば復号化後の情報どうしが一致したときのみ、対応する作動部材、作動機器等が動作可能とでき、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【0019】
第7発明は、上記第5又は第6発明において、前記照合手段は、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報が共通に備えられた特定の前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする。
【0020】
これにより、照合対象の情報を照合識別情報を手がかりに容易に見つけ出すことが可能となる。
【0021】
第8発明は、上記第7発明において、前記照合識別情報に基づき、照合対象となる前記複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を備え、前記照合手段は、前記照合タグ特定手段で特定された前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする。
【0022】
照合識別情報を手がかりに照合タグ特定手段で特定した複数の無線タグ回路素子から読み取られ、複合化された情報を、照合手段で照合することで、照合判定を行うことができる。
【0023】
上記目的を達成するために、第9発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う書き込み装置側アンテナと、この書き込み装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段とを有することを特徴とする。
【0024】
本願第9発明においては、情報書き込み手段で、第1無線タグ回路素子のIC回路部に書き込み情報を暗号化した情報を書き込んで記憶保持し、第2無線タグ回路素子のIC回路部に上記暗号化の際の所定の暗号鍵を書き込んで記憶保持する。
【0025】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別の無線タグ回路素子に記憶保持させる構成とすることにより、例えば暗号化された情報のみを記憶保持した第1無線タグ回路素子を第三者が拾得してもこれを復号化して情報を得ることはできず、あるいは暗号鍵のみを記憶保持した第2無線タグ回路素子を第三者が拾得しても暗号化された情報自体がないため同様に情報を得ることはできない。この結果、両方の無線タグ回路素子を同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、セキュリティーを向上することができる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記情報書き込み手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、例えば、2つの無線タグ回路素子のIC回路部にそれぞれの暗号化情報と相手方の暗号化情報に係る暗号鍵とを書き込み記憶させたり、すべての無線タグ回路素子のIC回路部に暗号化された情報を記憶するとともにその暗号鍵を当該無線タグ回路素子とは異なる無線タグ回路素子のIC回路部に記憶させたり等が可能となり、セキュリティーを向上することができる。
【0028】
第11発明は、上記第9又は第10発明において、少なくとも前記所定の暗号鍵又は前記別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を有することを特徴とする。
【0029】
暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、情報を暗号化することが可能となる。
【0030】
第12発明は、上記第11発明において、前記暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする。
【0031】
暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて暗号化手段で情報を暗号化することができる。
【0032】
第13発明は、上記第12発明において、前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を有し、前記情報書き込み手段は、前記書き込み装置側アンテナを介し、対応する前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記照合識別情報生成手段で生成した前記照合識別情報を共通に書き込むことを特徴とする。
【0033】
これにより、照合対象となるタグの組やそれに記録された情報を照合識別情報を手がかりに容易に見つけ出すことが可能となる。
【0034】
第14発明は、上記第9乃至第13発明のいずれか1つにおいて、前記書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を有することを特徴とする。
【0035】
書き込み装置側アンテナを介し書き込み対象の無線タグ回路素子へアクセスし、書き込み情報生成手段で生成した情報を書き込むことができる。
【0036】
第15発明は、上記第13又は第14発明において、前記照合識別情報生成手段又は前記書き込み情報生成手段は、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行う手段であることを特徴とする。
【0037】
照合識別情報や書き込み情報を乱数を用いた手法で生成することにより、さらにセキュリティーを向上することができる。
【0038】
上記目的を達成するために、上記第16発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されるタグ側アンテナとをそれぞれ備えた、第1無線タグ回路素子及び第2無線タグ回路素子を含む無線タグ回路素子群であって、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部は、所定の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とは別の暗号鍵とを記憶保持し、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記別の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とを記憶保持することを特徴とする。
【0039】
これにより、第1無線タグ回路素子のIC回路部に読み取りを行うことで所定の暗号鍵で暗号化された情報及び別の暗号鍵を取得でき、第2無線タグ回路素子のIC回路部に読み取りを行うことで別の暗号鍵で暗号化された情報及び所定の暗号鍵を取得できるので、これらを合わせて、暗号化された情報と暗号鍵とが2組とも揃い、復号化手段においてそれぞれの復号化を行うことができる。したがって、例えばこれら2組の復号化後の情報を照合して、その照合判定結果に応じ対応する作動部材、作動機器等が動作可能となるようにすることで、当該部材・機器の動作セキュリティーを向上することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、無線タグ回路素子に記憶した情報のセキュリティーを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、自動車の起動システムに本発明を適用した場合の実施形態であり、正当な免許証と正当なエンジンキーとがそろった場合にのみ、当該自動車のエンジンが起動するようなセキュリティーを確保するためのものである。
【0042】
図1は、上記自動車の起動システム全体を表す概念的なシステム構成図である。
【0043】
図1に示す自動車起動システムは、上記免許証LCに例えば第1無線タグラベルT1が添付されるとともに、上記エンジンキーEKの例えばキーホルダーに第2無線タグラベルT2が取り付けられている。そして、自動車CAのエンジンを起動させるスタータモータ(図示せず)へ起動信号を出力する起動制御装置に備えられた本発明の無線タグ情報読み取り装置としてのスキャナ部(リーダ部)200が、それら第1及び第2無線タグラベルT1,T2にそれぞれ備えられた無線タグ回路素子To(第1及び第2無線タグ回路素子)にアクセスする(この例では記憶された所定の情報を読み取る)とともにそれらの情報の照合を行う。
【0044】
図2は、上記無線タグラベルT1,T2の全体概略構造の一例を表す図であり、図2(a)及び(b)がそれぞれ無線タグラベルT1の上面図及び下面図、図2(c)及び(d)がそれぞれ無線タグラベルT2の上面図及び下面図である。これら図2(a)〜(d)において、各無線タグラベルT1,T2は、例えば略シート形状の基材2(ラベル基材)と、この基材2に配置された、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toとを備えている。
【0045】
図2(a)に示すように、無線タグラベルT1の基材2の表側(上面)には、対応する免許証に関わる印字情報(この例では「免許証」及び番号「ABC-123456」)を表記した領域Sを備えている。同様に、図2(c)に示すように、無線タグラベルT2の基材2の表側(上面)には、対応するエンジンキーに関わる印字情報(この例では「キー」及び番号「ABC-123456」)を表記した領域Sを備えている。なお、これら領域Sは、文字でなく図形や符号、あるいは単なる色塗りや模様等であってもよい。
【0046】
無線タグ回路素子Toは、この例では、基材2の面方向中心部(この例では図1の上下方向中心部)に配置されている。
【0047】
図3は、上記無線タグラベルT1,T2に備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0048】
図3において、無線タグ回路素子Toは、後述する起動制御装置100のスキャナ部200側のアンテナ210(読み取り装置側アンテナ)と短波帯(例えば13.56MHz)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0049】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0050】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記スキャナ部200(質問器)のアンテナ210からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、上記アンテナ210より受信された搬送波を変調反射する。
【0051】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0052】
図4(a)は、上記無線タグラベルT1に備えられた上記無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図であり、図4(b)は、上記無線タグラベルT2に備えられた上記無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【0053】
図4(a)において、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID1」)と、照合識別情報(詳細は後述、この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toの記憶情報を暗号化する際に用いた暗号鍵Aと、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶された暗号鍵Bにより暗号化された情報(暗号化データB)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0054】
図4(b)において、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID2」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データB)を暗号化する際に用いた暗号鍵Bと、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Aにより暗号化された情報(暗号化データA)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0055】
図5は、上記起動制御装置100の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、起動制御装置100は、前述のエンジンキーEKが差し込まれたキースイッチの操作信号(ON信号又はOFF信号)を入力するキースイッチ信号入力部と、上記自動車CAに備えられた公知のスタータモータ(図示せず)への起動信号を生成して出力する起動信号生成部103と、前述した読み取り機能を果たすスキャナ部200と、それらキースイッチ信号入力部101、起動信号生成部103、及びスキャナ部200に接続され起動制御装置100全体の動作制御を行う中央制御部104とを有する。
【0056】
中央制御部104は、例えば、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、キースイッチ信号入力部101、スキャナ部200からの信号を入力して所定の演算処理を行い、起動信号生成部103への制御信号等を出力する。
【0057】
スキャナ部200は、無線タグ回路素子Toの上記アンテナ151との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ210と、このアンテナ210を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取りを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路201と、高周波回路201を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、スキャナ部200全体の動作を制御する制御回路202とを有する。
【0058】
図6は、上記高周波回路201の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
【0059】
図6において、高周波回路201は、アンテナ210を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ210により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0060】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報(図4(a)及び図4(b)参照)にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる搬送波発生部として機能する発振回路215と、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記搬送波発生部により発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する増幅率可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記搬送波発生部により発生される搬送波は、例えば短波帯(13.56MHz等)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しアンテナ210に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、送受される無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0061】
受信部213は、アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相が90°遅れた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
【0062】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このように、スキャナ部200では、この例ではI−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0063】
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。
【0064】
図7は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0065】
図7において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、ROM202B、RAM202C、高周波回路201との信号送受を行う回路制御部202D、上記中央制御部104との信号送受を行う入出力制御部202E等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
【0066】
図8は、上記起動制御装置100に備えられた中央制御部104及び制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【0067】
まずステップS505において、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1,T2の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号を送信する。詳細には、例えば、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための「全記憶内容読み出しコマンド」信号(「無線タグID識別コマンド」信号で各無線タグ回路素子のIDを取得し、各無線タグ回路素子のIDを指定して全記憶内容読出しコマンドを生成)を生成して高周波回路201を介して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子To(この例ではタグラベルT1に係る無線タグ回路素子ToとタグラベルT2に係る無線タグ回路素子Toとの2つ)に送信され、返信を促す。
【0068】
その後、ステップS510に移り、上記「全記憶内容読み出しコマンド」信号等に対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号がアンテナ210を介し受信され、高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。
【0069】
リプライ信号が受信されていなければ判定が満たされず、ステップS505に戻って同様の手順を繰り返す。リプライ信号が受信されたらステップS510の判定が満たされ、ステップS515へ移る。
【0070】
ステップS515では、上記無線タグ回路素子Toから受信されたリプライ信号の中から、対応する情報(無線タグラベルT1,T2と関連づけられる情報)を取得する。これにより、図4(a)の例では無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToからタグID「ID1」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵A、暗号化データBの各情報が取得され、図4(b)の例では無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToからタグID「ID2」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵B、暗号化データAの各情報が取得される。
【0071】
次に、ステップS520において、ステップS515で2つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致しているかどうか(又は、組となることが分かる所定の関係となっているかどうか)を判定する。一致しない場合には判定が満たされず、このフローを終了する。なお、直ちにフローを終了するのではなく、必ず2つの無線タグ回路素子Toが用いられるときには、特に照合識別情報で、組となる無線タグ回路素子Toを選択する必要がないので、照合識別情報がなくてもステップS510でリプライ信号を受信した無線タグ回路素子Toが2つであるかどうかを判定し、2つであれば一方の暗号鍵で他方の暗号化データを複合化する一方、2つ以外(=3つ以上)であればフローを終了するようにしてもよい。
【0072】
2つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致している場合には、ステップS520の判定が満たされ、ステップS530に移る。ステップS530では、ステップS515で情報を取得した2つの無線タグ回路素子Toのうち一方(例えば無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)をタグ1、もう一方(例えば無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)をタグ2として選択指定する。なお、上記照合識別情報の一致した無線タグ回路素子Toが3つ以上検出された場合には、ただちにこのフローを終了するようにしてもよいし、一致する各組ごとに以下の手順(ステップS535〜ステップS550)の処理を行うようにしてもよい。
【0073】
その後、ステップS535において、上記ステップS530の指定に対応して、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵B(ステップS515で取得済み、以下同様)を用いて、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データBを復号化し、照合用のデータ(照合データ1)を生成する。
【0074】
そして、ステップS540において、上記ステップS530の指定に対応して、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Aを用いて、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データAを復号化し、照合用のデータ(照合データ2)を生成する。
【0075】
その後、ステップS545において、上記ステップS535で生成した照合データ1と、上記ステップS540で生成した照合データ2との照合を行い、両者が予め定められた所定の関係となっているかどうかを判定する。この所定の関係は例えば両者の(実質的)一致、連番、補数関係等でもよいし、相互に演算(加算、減算、割り算等)を行った結果が所定値となることでもよいし、あるいは例えばROM202B内に格納保持されたテーブルにおいて適正として規定された組み合わせであることでもよい。所定の関係となっていなければ判定が満たされず直ちにこのフローを終了し、所定の関係となっていれば判定が満たされ、ステップS550へ移る。
【0076】
ステップS550では、照合が適正だった場合に行われるべき所定の処理を行い(この例では起動制御装置100の起動信号生成部103に制御信号を出力し、起動信号を生成させて自動車CAのスタータモータを起動させる)を行い、このフローを終了する。
【0077】
上記のように構成され使用される無線タグラベルT1,T2であるが、これら無線タグラベルT1,T2を製造する無線タグ製造装置300としては、例えば図9に示す装置が用いられる。
【0078】
図9において、このタグラベル作成装置300(無線タグ情報書き込み装置)は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303を巻回したタグテープロール304と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303のうち各無線タグ回路素子Toに対応した上記領域Sに所定の印字を行う印字ヘッド305と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(書き込み装置側アンテナ)と、高周波回路301及び制御回路302と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して上記無線タグラベルT1,T2とするカッタ307とを有する。
【0079】
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記スキャナ部200の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報(前述したような暗号鍵、暗号化データ、さらには照合識別情報等を含む)を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路202は有線又は無線の通信回線(ネットワーク)を介して他のコンピュータ、サーバ、端末等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。
【0080】
図10は、前述のように、互いに組となって照合されるべき2つの無線タグ回路素子を備えた無線タグラベルT1,T2を作成するときに上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0081】
図10において、まずステップS705で、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toへの記憶データを暗号化するための暗号鍵Aを生成し、その後ステップS710で無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toへの記憶データを暗号化するための暗号鍵Bを生成する。このときの暗号鍵A,Bは例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させてもよいし、複数の暗号鍵候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしてもよい。
【0082】
その後、ステップS715において、上記照合識別情報を装置300の外部より入力するかどうかが判定される。外部入力を行う旨が例えばタグラベル作成装置300の図示しない操作部より指示された場合には判定が満たされ、ステップS720に移る。ステップS720では、例えば上記通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力された照合識別情報が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。なお、無線タグ回路素子Toに必ずしも照合識別情報は記憶させなくてもよく、その場合にはステップS715、ステップS720、ステップS725は省略される。
【0083】
上記のような外部入力を行わない場合には上記ステップS715の判定が満たされず、ステップS725に移り、照合識別情報の生成(自動生成)を行う。このときの照合識別情報は例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させればよい。あるいは、複数の候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしたり、上記通信回線を介し起動制御装置100のスキャナ部200に接続されている場合には、予めスキャナ部200側から指定された情報を照合識別情報とするようにしてもよい。
【0084】
上記ステップS720やステップS725が終了すると、ステップS730に移る。ステップS730では、本来無線タグラベルT1,T2それぞれに記憶させて照合したい照合データを装置300の外部より入力するかどうかが判定される。外部入力を行う旨が例えば上記操作部より指示された場合には判定が満たされ、ステップS735に移る。ステップS735では、例えば上記通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力されたタグ1用照合デ−タ(無線タグラベルT1に係る無線タグ回路素子Toに記憶させたい情報)が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。その後、ステップS740に移り、例えば上記操作端末等により別途入力されたタグ2用照合デ−タ(無線タグラベルT2に係る無線タグ回路素子Toに記憶させたい情報)が上記通信回線を介し取得される(入力処理)。
【0085】
上記のような外部入力を行わない場合には上記ステップS730の判定が満たされず、ステップS745に移り、照合データの生成(自動生成)を行う。あるいは、予めリーダから指定された情報を照合データとする。このときの照合データは例えば乱数(擬似乱数)を用いて発生させてもよいし、複数の候補を用意しておいてそこからランダムに選択するようにしてもよい。
【0086】
上記ステップS740やステップS745が終了すると、ステップS750に移る。ステップS750では、ステップS740で入力したタグ2用照合データ(又はステップS745で生成した照合データ)を、ステップS705で生成した暗号鍵Aを用いて暗号化し、暗号化データAを生成する。その後、ステップS755に移り、上記同様、ステップS735で入力したタグ1用照合データ(又はステップS745で生成した照合データ)を、ステップS710で生成した暗号鍵Bを用いて暗号化し、暗号化データBを生成する。
【0087】
そして、ステップS760に移り、上記ステップS705で生成した暗号鍵Aと、上記ステップS755で生成した暗号化データBと、ステップS720で外部より入力した(又はステップS725で生成した)照合識別情報と、新たに指定したタグ識別情報(タグID、上述の例では「ID1」)とを用いて、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶させるためのデータ(タグ1データ)を生成する。またステップS765に移り、上記ステップS710で生成した暗号鍵Bと、上記ステップS750で生成した暗号化データAと、ステップS720で外部より入力した(又はステップS725で生成した)照合識別情報と、新たに指定したタグ識別情報(タグID、上述の例では「ID2」)とを用いて、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶させるためのデータ(タグ2データ)を生成する。なお、上記タグIDは新たに設定しても良いし、既に予め無線タグ回路素子に付与されているIDを書き換えることなくそのまま用いても良い。
【0088】
その後、ステップS770に移り、操作端末等により別途入力された、印字ヘッド305で上記無線タグラベルT1,T2の領域Sに印字したい印字情報が上記通信回線を介し取得される。
【0089】
そして、ステップS780において、印字ヘッド305を駆動する駆動回路(図示せず)に制御信号を出力して、上記ステップS770で入力した印字データのうち、無線タグラベルT1に対応する印字を領域Sに対して行うとともに、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに対し情報(上記タグ1データ、すなわちタグID「ID1」+照合識別情報「ABC-123456」+暗号鍵A+暗号化データB)の書き込みを行う。すなわち、高周波回路301を介し無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して当該無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150に対し、情報書き込みを行う。このとき、図示しないテープ搬送駆動手段によるテープ送り及び書き込み後のカッタ307による切断も併せて行われる。この結果、例えば図4(a)に例示したようなデータ構造の情報が当該無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶保持される。
【0090】
また、次のステップS790において、印字ヘッド305を駆動する駆動回路(図示せず)に制御信号を出力して、上記ステップS770で入力した印字データのうち、無線タグラベルT2に対応する印字を領域Sに対して行う。同様に、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに対し情報(上記タグ2データ、すなわちタグID「ID2」+照合識別情報「ABC-123456」+暗号鍵B+暗号化データA)の書き込みを行う。すなわち、高周波回路301を介し無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して当該無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150に対し、情報書き込みを行う(上記同様、テープ送り及び切断も併せて行われる)。この結果、例えば図4(b)に例示したようなデータ構造の情報が当該無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶保持される。
【0091】
以上のような手順で、テープ送りしながらの印字及び情報書き込み、その後切断が終了した無線タグラベルT1,T2は装置300外へと排出され、このフローを終了する。なお、印字を行わない場合には、テープ送りしながらの情報書き込みを行い、その後切断して(印字なしの)無線タグラベルT1,T2を生成する。
【0092】
上記において、起動制御装置100に備えられた中央制御部104及び制御回路202の実行する図8に示したフローのステップS505、ステップS510、及びステップS515が、各請求項記載の、第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを構成する。そして、全体として、読み取り装置側アンテナを介し、複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子のIC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、第2無線タグ回路素子のIC回路部から所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段を構成する。
【0093】
また、ステップS530が、照合識別情報に基づき、照合対象となる複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を構成し、ステップS535又はステップS540が、情報読み取り手段で取得された所定の暗号鍵を用いて暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段を構成し、ステップS545が、復号化手段で取得した、複数の復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を構成する。
【0094】
また、タグラベル作成装置300の制御回路302の実行する図10に示した制御手順のうち、ステップS780又はステップS790が、書き込み装置側アンテナを介し、複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、第1無線タグ回路素子のIC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、第2無線タグ回路素子のIC回路部に所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段をも構成する。
【0095】
また、ステップS705及びステップS710が、少なくとも所定の暗号鍵又は別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を構成し、ステップS750及びステップS755が、暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を構成する。また、ステップS725が、複数の無線タグ回路素子のIC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を構成し、ステップS745が、書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を構成する。
【0096】
さらに、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toが第1無線タグ回路素子を構成し、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toが第2無線タグ回路素子を構成し、これら2つの無線タグ回路素子Toが無線タグ回路素子群を構成する。
【0097】
以上のように構成した本実施形態においては、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2、以下、かっこ内対応関係同じ)に係る無線タグ回路素子ToのIC回路部150には読み取り情報を暗号化した情報である暗号化データB(又は暗号化データA)が記憶保持され、この暗号化の際のいわゆる共通鍵である暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶保持されている。そして、起動制御装置100のスキャナ部200において、それら2つの無線タグ回路素子Toから暗号化された暗号化データB(又は暗号化データA)と暗号鍵B(又は暗号鍵A)とを読み取り、当該暗号鍵B(又は暗号鍵A)を用いて暗号化データB(又は暗号化データA)を復号化することにより、復号化後の本来読み取りたい情報を取得する。
【0098】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別々の無線タグ回路素子Toに記憶保持させて読み取る構成とすることにより、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2)を第三者が拾得してもその無線タグ回路素子Toは暗号化データB(又は暗号化データA)のみを記憶保持しており、その暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子Toに記憶保持されているためこれを復号化して情報を得ることはできない。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0099】
また、このように暗号鍵と暗号データとを複数の無線タグ回路素子Toで持ち合う構成とすることで、スキャナ部200は暗号鍵に関する情報を保持する必要がなくなる。この結果、仮に第三者が(無線タグ情報読み取り装置である)スキャナ部200に外部からアクセスしたとしても、暗号鍵や暗号化データを取得することはできないので、この意味でも高いセキュリティを維持できる。またスキャナ部200は暗号鍵に関する情報を保持する必要がないため、暗号鍵は(例えば後述の無線タグ製造装置300によって)随時変更することができ、これによっても安全性が高くなる。
【0100】
そして、この実施形態では特に、上記無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toから読み取って復号化したデータの照合判定結果に応じて対応する作動部材、作動機器(この例では自動車CAのエンジンのスタータモータ)等を動作可能とすることで、当該スタータモータの動作セキュリティーを向上することができる。
【0101】
また、この実施形態では特に、各無線タグ回路素子Toが、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を備えていることにより、スキャナ部200において照合判定を行うにあたり、上記照合識別情報を手がかりに照合対象であることを容易に認識することが可能となる。特に、図8に示すフローのステップS505の読み取り信号送信後にステップS510において3つ以上の無線タグ回路素子Toから返答を受信した場合に、その中で照合すべき組(対)となる2つの無線タグ回路素子Toを見つけ出すのに有効である。
【0102】
また、本実施形態の無線タグ情報書き込み装置である無線タグ製造装置300では、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2、以下、かっこ内対応関係関係同じ)に係る無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込み情報を暗号化した情報である暗号化データB(又は暗号化データA)を書き込んで記憶保持し、この暗号化の際のいわゆる共通鍵である暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込んで記憶保持する。
【0103】
このように、暗号化データと、その暗号化時の鍵を、別々の無線タグ回路素子Toに記憶保持させる構成とすることにより、無線タグラベルT1(又は無線タグラベルT2)を第三者が拾得してもその無線タグ回路素子Toは暗号化データB(又は暗号化データA)のみを記憶保持しており、その暗号鍵B(又は暗号鍵A)は別の無線タグラベルT2(又は無線タグラベルT1)の無線タグ回路素子Toに記憶保持されているためこれを復号化して情報を得ることはできない。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり、情報が盗まれることはないので、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0104】
また、この実施形態では特に、無線タグ製造装置300は、照合対象の組(対)となる無線タグ回路素子To,Toに、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を書き込むことにより、前述のようにスキャナ部200において照合判定を行うにあたり、その照合識別情報を手がかりに照合対象であることを容易に認識することが可能となる。特に、上記図8に示すフローのステップS505の読み取り信号送信後にステップS510において3つ以上の無線タグ回路素子Toから返答を受信した場合に、その中で照合すべき組(対)となる2つの無線タグ回路素子Toを見つけ出すのに有効である。
【0105】
また、この実施形態では特に、上記照合識別情報の生成時(図10のフローに示すステップS725参照)、又は書き込み情報である照合データの生成時(図10のフローに示すステップS745参照)において、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行うことにより、さらにセキュリティーを向上することができる。
【0106】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で更に種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
【0107】
(1)3つ以上の無線タグ回路素子Toで暗号鍵と暗号化データとを持ち合う場合
上記実施形態においては、無線タグラベルT1,T2の2つの無線タグ回路素子To,Toで暗号鍵と暗号化データを持ち合った(一方の無線タグ回路素子To,に暗号鍵Bと暗号化データA、他方の無線タグ回路素子Toに暗号鍵Aと暗号化データB)が、これに限られず、3つ以上の無線タグラベルにおいて、同様に暗号化データとこれに対応する暗号鍵とを各無線タグ回路素子Toに分散して記憶するようにしてもよい。
【0108】
図11(a)〜(c)は、このような3つの無線タグラベルT1,T2,T3を備えた変形例における各ラベルT1,T2,T3の無線タグ回路素子Toの上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図であり、上記実施形態の図4に相当する図である。
【0109】
図11(a)は上記無線タグラベルT1に備えられた無線タグ回路素子To、図11(b)は上記無線タグラベルT2に備えられた無線タグ回路素子To、図11(c)は上記無線タグラベルT3に備えられた無線タグ回路素子Toのデータ内容を概念的に表している。
【0110】
図11(a)において、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID1」)と、照合識別情報(詳細は後述、この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toの記憶情報を暗号化する際に用いた暗号鍵Aと、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toに記憶された暗号鍵Cにより暗号化された情報(暗号化データC)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0111】
図11(b)において、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID2」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データB)を暗号化する際に用いた暗号鍵Bと、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Aにより暗号化された情報(暗号化データA)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0112】
図11(c)において、無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグID(この例では「ID3」)と、上記照合識別情報(この例では「ABC-123456」)と、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toの記憶情報(=暗号化データC)を暗号化する際に用いた暗号鍵Cと、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toに記憶された上記暗号鍵Bにより暗号化された情報(暗号化データB)とを、メモリ部155に記憶保持している。
【0113】
図12は、この変形例による起動制御装置に備ええられた上記中央制御部104及び制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図8に相当する図である。図8と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0114】
図12において、ステップS505〜ステップS520は上記図8と同等の手順である。すなわち、ステップS505で高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1,T2,T3の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号を送信した後、ステップS510でそのリプライ信号がアンテナ210を介し受信され、高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。判定が満たされたらステップS515で、受信されたリプライ信号の中から、対応する情報(無線タグラベルT1,T2と関連づけられる情報)を取得する。
【0115】
これにより、図11(a)の例では無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToからタグID「ID1」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵A、暗号化データCの各情報が取得され、図11(b)の例では無線タグラベルT2の無線タグ回路素子ToからタグID「ID2」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵B、暗号化データAの各情報が取得され、図11(c)の例では無線タグラベルT3の無線タグ回路素子ToからタグID「ID3」、照合識別情報「ABC-123456」、暗号鍵C、暗号化データBの各情報が取得される。なおこの手順が、各請求項記載の、第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子のIC回路部に記憶された、別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を構成する。その後、ステップS520で、ステップS515で3つの無線タグ回路素子Toから取得した上記照合識別情報が一致しているかどうか(又は、組となることが分かる所定の関係となっているかどうか)を判定し、判定が満たされたらステップS530に代えて設けたステップS530′に移る。
【0116】
ステップS530′では、ステップS515で情報を取得した3つの無線タグ回路素子Toのそれぞれ、例えば無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toをタグ1、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toをタグ2、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toをタグ3として選択指定する。なお、タグ1、タグ2、タグ3は例えば、取得したID1、ID2、ID3が小さい(あるいは大きい)ものからタグ1、タグ2、タグ3として選択指定すればよい。
【0117】
その後、ステップS535に代えて設けたステップS535′において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ3側(無線タグラベルT3の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵C(ステップS515で取得済み、以下同様)を用いて、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データCを復号化し、照合用のデータ(照合データ1)を生成する。
【0118】
その後、ステップS540に代えて設けたステップS540′において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ1側(無線タグラベルT1の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Aを用いて、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データAを復号化し、照合用のデータ(照合データ2)を生成する。
【0119】
その後、新たに設けたステップS542において、上記ステップS530′の指定に対応して、タグ2側(無線タグラベルT2の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号鍵Bを用いて、タグ3側(無線タグラベルT3の無線タグ回路素子To)に記憶された暗号化データBを復号化し、照合用のデータ(照合データ3)を生成する。
【0120】
以上のように構成した本変形例においては、すべての(この例では3つの)無線タグ回路素子ToのIC回路部150に暗号化された情報を記憶するとともに、その暗号鍵を当該無線タグ回路素子Toとは異なる無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶する。この結果、無線タグラベルT1,T2に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データAに係る情報が盗まれることはなく、同様に、無線タグラベルT2,T3に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データBに係る情報が盗まれることはなく、無線タグラベルT3,T1に係る2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり暗号化データCに係る情報が盗まれることはない。この結果、前述と同様、情報盗難に対するセキュリティーを向上することができる。
【0121】
なお、上記(1)の変形例では3つの無線タグラベルTに係る無線タグ回路素子Toに暗号化データと暗号鍵とを分担記憶した場合を例にとって説明したが、これに限られず、4つ以上の無線タグラベルTに係る無線タグ回路素子Toに暗号化データと暗号鍵とを分担記憶させるようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0122】
(2)暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報を付加する場合
図13(a)〜(c)は、図11(a)〜(c)の変形例において上記情報を付加した例をそれぞれ表しており、この例では、各無線タグラベルT1,T2,T3に関わる無線タグ回路素子Toそれぞれのメモリ部155に記憶している暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報が付加されている。すなわち、図13(a)に示す無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Aと暗号化データCとの組み合わせを表す情報(この例では「AC」)が併せて記憶されており、図13(b)に示す無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Bと暗号化データAとの組み合わせを表す情報(この例では「BA」)が併せて記憶されており、図13(c)に示す無線タグラベルT3の無線タグ回路素子Toのメモリ部155には、記憶している暗号鍵Cと暗号化データBとの組み合わせを表す情報(この例では「CB」)が併せて記憶されている。
【0123】
(3)その他
以上においては、2つ又は3つの無線タグ回路素子Toの照合結果(実質一致等の所定の関係になるかどうか)のみに応じて、スタータモータのエンジン起動の可/不可を切り替えるようにしたが、これに限られない。すなわち、その照合結果が所定の関係になる(=一致する、連番となる、補数関係となる等)かどうかだけでなく、そのときの値自体を予め制御回路202又は中央制御部104につ録しておき、その登録された値になったかどうかに応じてスタータモータのエンジン起動の可/不可を切り替えるようにしてもよい。さらに、その所定の関係になったときの値に応じて、許容する動作の程度を変化するようにしてもよい(セキュリティレベルを変える。起動制御装置100の例で言えば、例えば、aさん、bさん、cさんの各人が自己の免許証を併せて所持していれば上記所定の関係が満たされて自動車CAのエンジンが起動するが、中央制御部104が自動車CAのエンジン制御装置と接続されて連携制御することにより、aさんが運転するとき(aさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限がなく、bさんが運転するとき(bさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限が80km/hであり、cさんが運転するとき(cさんの免許証とエンジンキーとで上記所定の関係が満たされたとき)には自動車CAの速度制限が60km/hとなる、といったような場合が考えられる。
【0124】
また、無線タグ回路素子To側に予め応答すべき無線タグ情報読取装置(スキャナ部200等)の識別情報(リーダID)を記憶させておき、特定の無線タグ情報読取装置からの読み取り信号を受信した場合にのみ、応答するようにしても良い。
【0125】
また、以上においては、2つの無線タグラベルT1,T2に係る無線タグ回路素子To、又は、3つの無線タグラベルT1,T2,T3に係る無線タグ回路素子Toで暗号化データと暗号鍵とを分担記憶した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、「2つの無線タグ回路素子Toを同一の第三者に拾得されないかぎり情報が盗まれず情報盗難に対するセキュリティーを向上できる」という本発明本来の効果を得る限りにおいては、例えば図4(a)及び(b)に示した例において、無線タグラベルT1に暗号鍵Aを記憶し(暗号化データBは記憶せず)、無線タグラベルT2に暗号化データAを記憶し(暗号鍵Bは記憶せず)、単に、それら無線タグ回路素子Toから取得した暗号鍵A及び暗号化データAを用いて暗号化データAを復号化したデータを取得するようにしてもよい(この場合は照合は行わない)。
【0126】
以上は、自動車CAのスタータモータに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、所定の動作を行う他の動作機器・動作部材(例えば金庫の開閉、データベースのアクセス)へ適用してもよい。
【0127】
さらに、上述した実施形態、(1)〜(3)の変形例における手法を適宜組み合わせてもよい。これらの場合も、それら組み合わせた実施形態又は変形例の効果を併せた効果を得ることができ、上記同様、操作者の利便性を大きく向上できるという本発明本来の効果を得ることができる。
【0128】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の一実施形態の適用対象である自動車の起動システム全体を表す概念的なシステム構成図である。
【図2】無線タグラベルの全体概略構造の一例を表す上面図及び下面図である。
【図3】無線タグラベルに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図4】無線タグ回路素子のメモリ部に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【図5】起動制御装置の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図6】高周波回路の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
【図7】制御回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図8】起動制御装置に備えられた中央制御部及び制御回路の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態によるタグラベル作成装置の全体概略構成を表す概念図である。
【図10】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】3つの無線タグラベルを備えた変形例における各ラベルの無線タグ回路素子のメモリ部に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
【図12】起動制御装置に備ええられた中央制御部及び制御回路の実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図13】暗号鍵と暗号化データとの組み合わせを表す情報を付加した変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0130】
4 アンテナ(読み取り装置側アンテナ)
100 起動制御装置
104 中央制御部
150 IC回路部
151 アンテナ(タグ側アンテナ)
200 スキャナ部(無線タグ情報読取装置)
202 制御回路
300 タグラベル作成装置(無線タグ情報書き込み装置)
306 アンテナ(書き込み装置側アンテナ)
To 無線タグ回路素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、
この読み取り装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち1つの第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる別の第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から前記所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段と、
この情報読み取り手段で取得された前記所定の暗号鍵を用いて前記暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段とを有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報読み取り手段は、
前記第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、
前記第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを備え、
前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて、前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、
前記第1アクセス手段は、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵で暗号化された情報に加え、前記別の暗号鍵の読み取りを行い、
前記復号化手段は、
前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、
前記第1アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項2記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、
前記情報読み取り手段はさらに、前記第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された、前記別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を備え、
前記復号化手段は、
前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、
前記第3アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記復号化手段で取得した、複数の前記復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合手段は、前記複数の復号化後の情報どうしが実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合手段は、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報が共通に備えられた特定の前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合識別情報に基づき、照合対象となる前記複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を備え、
前記照合手段は、前記照合タグ特定手段で特定された前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項9】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う書き込み装置側アンテナと、
この書き込み装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段とを有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項10】
請求項9記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記情報書き込み手段は、
前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うことを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の無線タグ情報書き込み装置において、
少なくとも前記所定の暗号鍵又は前記別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を有し、
前記情報書き込み手段は、前記書き込み装置側アンテナを介し、対応する前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記照合識別情報生成手段で生成した前記照合識別情報を共通に書き込むことを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか1項記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記照合識別情報生成手段又は前記書き込み情報生成手段は、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行う手段であることを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項16】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されるタグ側アンテナとをそれぞれ備えた、第1無線タグ回路素子及び第2無線タグ回路素子を含む無線タグ回路素子群であって、
前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部は、所定の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とは別の暗号鍵とを記憶保持し、
前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記別の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とを記憶保持することを特徴とする無線タグ回路素子群。
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、
この読み取り装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち1つの第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる別の第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から所定の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から前記所定の暗号鍵の読み取りを行う情報読み取り手段と、
この情報読み取り手段で取得された前記所定の暗号鍵を用いて前記暗号化された情報を復号化し、当該復号化後の情報を取得する復号化手段とを有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記情報読み取り手段は、
前記第1無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第1無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記暗号化された情報の読み取りを行う第1アクセス手段と、
前記第2無線タグ回路素子へのアクセス情報を生成し、前記読み取り装置側アンテナを介して当該第2無線タグ回路素子へ送信し、そのIC回路部に記憶された前記所定の暗号鍵の読み取りを行う第2アクセス手段とを備え、
前記復号化手段は、前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて、前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、
前記第1アクセス手段は、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵で暗号化された情報に加え、前記別の暗号鍵の読み取りを行い、
前記復号化手段は、
前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、
前記第1アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項2記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第2アクセス手段は、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部から、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された情報の読み取りを行い、
前記情報読み取り手段はさらに、前記第2無線タグ回路素子とは異なる第3無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された、前記別の暗号鍵の読み取りを行う第3アクセス手段を備え、
前記復号化手段は、
前記第2アクセス手段で取得した前記所定の暗号鍵を用いて前記第1アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化するとともに、
前記第3アクセス手段で取得した前記別の暗号鍵を用いて前記第2アクセス手段で取得した前記暗号化された情報を復号化することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記復号化手段で取得した、複数の前記復号化後の情報どうしが、互いに予め定められた所定の関係を満たすかどうか照合判定を行う照合手段を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合手段は、前記複数の復号化後の情報どうしが実質的に一致するかどうかを判定することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合手段は、互いに照合の対象であることを示す照合識別情報が共通に備えられた特定の前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記照合識別情報に基づき、照合対象となる前記複数の無線タグ回路素子を特定する照合タグ特定手段を備え、
前記照合手段は、前記照合タグ特定手段で特定された前記複数の無線タグ回路素子から前記情報読み取り手段で読み取られ、前記復号化手段でそれぞれ取得された前記復号化後の情報について、前記照合判定を行うことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項9】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを有する特定の複数の無線タグ回路素子との間で無線通信により情報の送受信を行う書き込み装置側アンテナと、
この書き込み装置側アンテナを介し、前記複数の無線タグ回路素子のうち第1無線タグ回路素子及びこれとは異なる第2無線タグ回路素子へそれぞれアクセスし、前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に所定の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うとともに、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記所定の暗号鍵の書き込みを行う情報書き込み手段とを有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項10】
請求項9記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記情報書き込み手段は、
前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記所定の暗号鍵に加え、前記所定の暗号鍵とは別の暗号鍵で暗号化された書き込み情報の書き込みを行うことを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の無線タグ情報書き込み装置において、
少なくとも前記所定の暗号鍵又は前記別の暗号鍵を生成可能な暗号鍵生成手段を有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記暗号鍵生成手段で生成した暗号鍵を用いて、暗号化対象の書き込み情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部の記憶情報が互いに照合の対象であることを示す照合識別情報を生成する照合識別情報生成手段を有し、
前記情報書き込み手段は、前記書き込み装置側アンテナを介し、対応する前記複数の無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記照合識別情報生成手段で生成した前記照合識別情報を共通に書き込むことを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか1項記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記書き込み情報を生成する書き込み情報生成手段を有することを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の無線タグ情報書き込み装置において、
前記照合識別情報生成手段又は前記書き込み情報生成手段は、擬似乱数を用いた手法にてデータ生成を行う手段であることを特徴とする無線タグ情報書き込み装置。
【請求項16】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されるタグ側アンテナとをそれぞれ備えた、第1無線タグ回路素子及び第2無線タグ回路素子を含む無線タグ回路素子群であって、
前記第1無線タグ回路素子の前記IC回路部は、所定の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とは別の暗号鍵とを記憶保持し、
前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記別の暗号鍵で暗号化された情報と、前記所定の鍵とを記憶保持することを特徴とする無線タグ回路素子群。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−277211(P2006−277211A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94097(P2005−94097)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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