説明

無線タグ認識方法及び無線タグ読取装置

【課題】読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度を、画像処理機能などの付加的な機能を設けることなく高められるようにする。
【解決手段】
アンテナからの出力を少なくとも弱レベルと当該弱レベルよりも強い強レベルの2段階に切り換える出力切換部と、2以上に分割された所定の読取対象領域の少なくとも1領域を指定する領域指定手段と、当該指定された読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、前記タグデータ読取手段で読み取ったタグデータを記憶するための対象タグ記憶部と、を備える無線タグ読取装置に用いる無線タグ読取方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品等に付された無線タグのデータを非接触で読取る無線タグ認識方法及びこの方法を適用した無線タグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグが注目されている。無線タグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、電子タグ、応答器、トランスポンダ等と称される。無線タグは、そのメモリに固有の識別情報であるタグIDを記憶している。そこで、各物品にそれぞれ無線タグを付す。そして、この無線タグのデータをタグリーダで読み取る。そうすることにより、各物品を個別認識することができるようになる。
【0003】
無線タグのデータを読み取るための装置、いわゆる無線タグ読取装置は、アンテナを備えている。無線タグ読取装置は、アンテナの交信範囲内に存在する無線タグとアンテナを介して無線通信を行い、無線タグに記憶されているタグデータを読み取る。このような無線タグ読取装置には、定置式とハンディ式とがある。定置式の無線タグ読取装置は、アンテナが固定されている。ハンディ式の無線タグ読取装置は、携帯型の装置本体にアンテナが取り付けられている。
【0004】
ハンディ式の無線タグ読取装置は、例えば無線タグが付された物品の棚卸業務に用いられる。棚卸業務担当者は、棚卸対象の棚に装置を近づける。そうすると、この棚に収納された各物品にそれぞれ付されている無線タグのデータが無線タグ読取装置によって非接触で読み取られる。無線タグ読取装置によって読み取られた無線タグのデータは、パーソナルコンピュータ等の上位機に出力される。上位機では、無線タグのデータからその無線タグが付された物品の所在が特定される。
【0005】
しかしながら、ハンディ式の無線タグ読取装置を棚卸業務に適用する場合には、次のような問題がある。すなわち、無線タグ読取装置の読取可能領域は、アンテナの交信領域内である。したがって、アンテナから放射される電磁波の出力レベルが小さいと、読取可能領域が狭くなる。このため、タグデータの読み落としが発生する懸念がある。逆に、アンテナから放射される電磁波の出力レベルが大きいと、読取可能領域が広がる。このため、読取対象領域の外側に位置する無線タグのデータを誤って読み取ってしまう懸念がある。
【0006】
従来、無線タグの認識漏れを判定する機能を備えた携帯型の無線タグ読取装置が知られている。この無線タグ読取装置は、アンテナを介して無線タグから読み取ったタグデータの件数を計数する。また、読取対象領域を撮影し、この撮影画像から領域内に存在する無線タグの画像を抽出して、無線タグ画像の件数を計数する。そして、タグデータの件数と無線タグ画像の件数とを比較し、一致したならば無線タグの認識漏れがないと判定する(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の無線タグ読取装置においては、読取対象領域を撮影する機能と、その撮影画像から無線タグ画像を抽出するための画像処理機能とが必要となる。このため、装置の規模が大きく、低コスト化が困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、低コストで読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度を高めることができる無線タグ認識方法を提供しようとするものである。
【0009】
また、読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度が高い低コストの無線タグ読取装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、隣接する複数の読取対象領域のうち所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを、タグデータ読取手段で読み取る無線タグ読取方法であって、各読取対象領域毎に前記タグデータ読取手段が弱レベルの出力で無線タグからタグデータを読み取り、所定の読取対象領域について、前記タグデータ読取手段が前記弱レベルよりも出力が強い強レベルの出力でタグデータを読み取り、この強レベルで読み取ったタグデータから弱レベルで複数の読取対象領域を読み取ったタグデータを除いたタグデータと、弱レベルで前記所定の読取対象領域を読み取ったタグデータと、を前記所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータとして読み取ることを特徴とする無線タグ読取方法。
【0011】
また本発明は、アンテナを有し、無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、前記アンテナからの出力を、少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも出力が強い強レベルとに設定可能な出力切換部と、前記タグデータ読取手段で読み取る読取対象領域を指定する領域指定手段と、弱レベルの出力で読み取った複数の読取対象領域の各タグデータと、これら複数の読取対象領域のうち前記領域指定手段で指定した所定の読取対象領域を強レベルで読み取ったタグデータとから、前記所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを認識する制御部と、を有することを特徴とする無線タグ読取装置。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、低コストで読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度を高めることができる無線タグ認識方法及び、読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度が高い低コストの無線タグ読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施の形態の概略説明に用いる模式図。
【図2】同実施の形態において用いられる無線タグの要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態において用いられる無線タグ読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図4】同無線タグ読取装置の入力部を示す模式図。
【図5】同無線タグ読取装置のメモリに形成される主要なメモリエリアを示す図。
【図6】同無線タグ読取装置の制御部が実行するプログラム処理手順の概略を示すフローチャート。
【図7】同プログラム処理手順の中の[動作モード1処理]の具体的な手順を示すフローチャート。
【図8】同プログラム処理手順の中の[動作モード1処理]の具体的な手順を示すフローチャート。
【図9】同プログラム処理手順の中の[動作モード2処理]の具体的な手順を示すフローチャート。
【図10】同プログラム処理手順の中の[動作モード2処理]の具体的な手順を示すフローチャート。
【図11】本発明に係る一実施の形態の商品棚の読取対象領域及び読取対象外領域を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施の形態は、流通小売店での棚卸業務に使用される携帯型の無線タグ読取装置に本発明を適用した場合である。
【0015】
はじめに、本発明にかかる第1の実施形態の概略について、図1を用いて説明する。同図において、符号1は、携帯型の無線タグ読取装置を示しており、符号2は商品棚を示している。商品棚2は、複数の区画(図では縦3段×横3列の計9区画3A〜3I)に区分けされている。各区画3A〜3Iには、それぞれ異なる商品4A〜4Iが区画毎に仕分けられて収容されている。1つの区画に収容される商品の数は、特に制約がない。各商品4A〜4Iには、1品毎にそれぞれ無線タグ5が付されている。
【0016】
無線タグ5の要部構成を、図2のブロック図で示す。無線タグ5は、アンテナ6とICチップ7とを備えている。これらのアンテナ6とICチップ7は、小型薄板状のタグ部材に搭載されている。
【0017】
ICチップ7は、電源生成部71、復調部72、変調部73、制御部74及びメモリ部75を備えている。電源生成部71は、アンテナ6で受信した変調波の整流と安定化を行なうことによりICチップ7の各部に電源を供給する。復調部72は、アンテナ6で受信した変調波を復調して制御部74へ送出する。変調部73は、制御部74から送出されたデータで所定の変調処理を施し、その変調波をアンテナ6に供給する。制御部74は、復調部72で復調されたデータをメモリ部75へ書込む処理や、メモリ部75からデータを
読み出して変調部73へ送出する処理等を行う。
【0018】
メモリ部75は、各無線タグ5を個々に識別するためのIDが記憶されるIDエリア75aと、任意のデータを書き込み可能なユーザエリア75bとからなる。ユーザエリア75bには、当該無線タグ5が付された商品を特定する商品コードと商品名とからなる商品情報を書き込んでいる。
【0019】
無線タグ読取装置1の要部構成を、図3のブロック図で示す。無線タグ読取装置1は、携帯型の装置本体8に、アンテナ9を取り付けた構造となっている。装置本体8は、インターフェイス部81、制御部82、送信部83、受信部84、サーキュレータ85、入力部86、表示部87及び読取ボタン88を備えている。
【0020】
インターフェイス部81は、制御部82とPOS(Point Of Sales)サーバとの間のデータ通信を司る。POSサーバは、検品端末を介して入力された各商品の入荷データと、POS端末を介して入力された各商品の販売及び廃棄データとから各商品の論理在庫数を管理する機能を有する。また、POSサーバは、無線タグ読取装置1を介して入力された在庫データから各商品の実在庫数を求め、この実在庫数と論理在庫数とから棚卸データを生成する機能を有する。
【0021】
送信部83は、変調部831、送信側増幅部832及び出力切換部833を備えている。変調部831は、制御部82から与えられる送信データ信号で所定の搬送波を変調する。送信側増幅部832は、変調部831からの出力信号を増幅する。出力切換部833は、増幅部832での信号増幅率を段階的に変更する。増幅部832で増幅された信号は、サーキュレータ85を介してアンテナ9に供給され、アンテナ9から電波として放射される。信号増幅率が大きく設定されると、アンテナ9から放射される電波はその出力強度が強くなる。信号増幅率が小さく設定されると、アンテナ9から放射される電波は、その出力強度が弱まる。ここに、出力切換部833は、アンテナ9からの出力を少なくとも弱レベルと該弱レベルよりも強い強レベルの2段階に切り換える出力切換手段を構成する。
【0022】
サーキュレータ85は、送信部83から入力された信号をアンテナ9に出力し、アンテナ9から入力された信号を受信部84に出力する。
【0023】
受信部84は、受信側増幅部841及び復調部842を備えている。受信側増幅部841は、サーキュレータ85を介して入力された信号を増幅する。復調部842は、増幅部841で増幅された信号を復調する。復調部842で復調された受信データ信号は、制御部82に与えられる。
【0024】
無線タグ読取装置1は、装置本体8の表面部に入力部86と表示部87を配置し、一側面部に読取ボタン88を配置している。
【0025】
入力部86は、例えばキーボードが想定される。図4に示すように、電源キー101、決定キー102、「0」〜「9」のテンキー103、「C」のクリアキー104、「#」のファンクションキー105などの各種キーを設けている。また、入力部86はその下部に無線タグ5のタグデータ読取を行う読取対象領域(棚卸対象区画)を指定するための文字キー106を備える。表示部87は、例えば液晶ディスプレイであり、入力部86からの入力データ等を表示する。読取ボタン88は、押下されているときオン信号を制御部82に供給する。
【0026】
制御部82は、メモリ89を有する。図5(a)を用いてメモリ89を説明する。メモリ89はワークエリアとして、動作モードMの設定エリア111、読取対象領域(棚卸対象区画)Rの設定エリア112、棚卸対象区画内に存在する棚卸対象商品の点数(棚卸対象タグ点数A)を設定する設定エリア113、商品に付された無線タグのタグデータを実際に読み取った読取タグ点数Bを計上するカウントエリア114、無線タグ読取装置1にてタグデータ読み取りがされたタグデータを記憶するタグデータバッファ115のエリアを形成する。
【0027】
対象タグ点数Aの設定エリア113および読取タグ点数Bのカウントエリア114は図5(a)に示す読取対象領域毎にそれぞれ設けられる。すなわち、対象タグ点数Aの設定エリア113は、読取対象領域毎に設定エリアA1、A2、…、Anと設けられ、同様に読取タグ点数Bのカウントエリア114もカウントエリアB1、B2、…、Bn、と設けられる。つまり、対象タグ点数Aの設定エリア113および読取タグ点数Bのカウントエリア114は分割された読取対象領域の数と同じ数だけ存在することとなる。
【0028】
なお、対象タグ点数Aの設定エリア113は必ずしも分割された読取対象領域毎に設ける必要はなく、図5(b)に示す対象タグ点数Aの設定エリア116としてもよい。設定エリア116は、全読取対象領域(全棚卸対象区画)内に存在する商品に付された無線タグの全タグ点数を全棚卸対象タグ点数Dとして設定する。全棚卸対象タグ点数Dとは、本実施の形態では商品棚の全区画(3A、3B、3C、…3I)内に存在する商品の総点数に相当する。
【0029】
なお、以降の第一の実施の形態および第二の実施の形態の説明では、図5(a)に示すメモリエリア891にて説明を行う。
【0030】
タグデータバッファ115は、無線タグ5のメモリ部75から読み取ったタグデータ、すなわちタグID、商品コード、商品名のデータ項目を、タグデータ読み取りを行った読取対象領域(棚卸対象区画)と関連付けて1レコードとして順次記憶する。タグデータバッファ115は、本発明の対象タグ記憶部を構成する。なお、このタグデータバッファ115に記憶されるタグデータは読取対象領域外の領域に存在する無線タグのタグデータを記憶するものであってもよい。この場合、タグデータは読取対象外領域という読取領域情報と関連付けて記憶される。ここでの読取対象外領域とは図11で示す棚の周囲の領域3Jに相当する。
【0031】
無線タグ読取装置1は、制御部82の動作を制御するためのプログラムをメモリ89に記憶する。制御部82は、このプログラムに従い、図6〜図9のフローチャートで示す手順で各部を制御する。以下、これらのフローチャートを用いて、担当者が無線タグ読取装置1を使用して棚卸業務を行う場合の作用について説明する。
【0032】
担当者は、先ず、無線タグ読取装置1の電源キー101を押下する。そうすると、制御部82は、初期化処理を行う(ST1)。この初期化処理により、メモリ89のワークエリア111〜115がクリアされる。次に、制御部82は、対象タグ点数入力待ち画面を表示部87に表示させる(ST2)。そして、数値データNが入力されるのを待機する(ST3)。
【0033】
対象タグ点数入力待ち画面には、例えば「棚卸対象区画内の商品点数を入力してください」とのメッセージが表示される。各商品4A〜4Iには、それぞれ無線タグ5が1点ずつ付されている。したがって、棚卸対象区画内の商品点数は、その区画内に存在する無線タグ5の数と等しい。なお、ここでの棚卸対象区画は読取対象領域と同義である。
【0034】
担当者は、棚卸対象区画内に収納されている商品の数を数える。そして、商品数をテンキー103で置数入力する。今、図1に示す3段×3列の商品棚2において、中央の区画3Eを棚卸対象区画とする。この場合、担当者は、この区画3Eに置かれている商品4Eの数を調べ、その数値Nをテンキー103で入力する。
【0035】
テンキー103により数値Nが入力されると(ST3のYES)、制御部82は、この数値Nを対象タグ点数の設定エリア113にセットする(ST4)(対象タグ点数設定手段)。なお、ここで対象タグ点数の設定エリア113および読取タグ点数Bのカウントエリア114は、図5(a)に示すメモリエリア891であり、棚卸対象区画ごとに複数設けられる。
【0036】
次に、制御部82は、動作モード入力待ち画面を表示部87に表示させる(ST5)。そして、動作モードの選択データが入力されるのを待機する(ST6)。
【0037】
無線タグ読取装置1は、第1モード及び第2モードの2種類の動作モードを有する。動作モード入力待ち画面には、例えば「第1モードを選択される場合は“1”を、第2モードを選択される場合は“2”を入力してください」とのメッセージが表示される。
【0038】
担当者は、所望する動作モードの数値を、テンキー103で入力する。“1”を入力した場合、制御部82は、第1モード制御手段として後述する[動作モード1処理]を実行する。“2”を入力した場合、制御部82は、第2モード制御手段として後述する[動作モード2処理]を実行する。
【0039】
以下、各動作モードの処理手順について、具体的に説明する。はじめに、[動作モード1処理]について、図7、図8を用いて説明する。
【0040】
[動作モード1処理]の概要を説明すると、動作モード1を選択した担当者は、先ず、無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づけて弱レベルの出力で無線タグ5の読み取りを行う。区画3Eに存在する無線タグのタグデータを全て読取った後、次に、棚卸対象区画3Eの周囲の区画について同様にタグデータ読み取りを実行する。例えば、棚卸対象区画3Eの周囲の区画(3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3I)上を時計回りあるいは反時計回り、若しくは順不同に無線タグ読取装置1を移動させて区画毎に商品に付された無線タグ5のタグデータ読み取りを行う。弱レベルの出力にて、全棚卸対象区画についてタグデータ読み取りを完了すると、次に、出力切換部833の出力を強レベルに切り換えて、再び無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づけて無線タグ5の読み取りを行う。これにより、棚卸対象区画3Eに置かれている全ての商品4Eに付された無線タグ5のデータを、棚卸データとしてPOSサーバに取り込ませることができる。さらに、区画3Eの周囲の区画についても強レベルの出力にて無線タグ読み取りを行うことで各区画の商品について棚卸を完了することができる。以下、詳細に[動作モード1処理]について説明する。
【0041】
図6のST6にて、[動作モード1処理]が選択されると、制御部82は、出力切換部833に出力“弱”設定信号を送信する(ST11)。この信号を受けて、出力切換部833は、送信側増幅部832の増幅率を“小”に設定する。次に、制御部82は、読取ボタン88からオン信号が入力されるのを待機する(ST12)。
【0042】
第1モードを選択した担当者は、無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づける。そして、読取ボタン88を押下する(ST12のYes)。そうすると、読取ボタン88から制御部82にオン信号が供給される。次に、これからタグデータ読み取りを行う区画を文字キー106にて指定する。文字キーにて棚卸対象区画が指定されると読取対象領域Rの設定エリア112に当該指定された区画が設定される(領域指定手段)。
【0043】
例えば、図1で示す区画3Eについて、タグデータ読み取りを行う場合は文字キー106にて区画3Eを選択する。これにより、メモリ89の読取対象領域Rの設定エリア112には区画3Eが設定される(ST13)。無線タグ読取装置1で読み取ったタグデータ設定エリア112に設定されている区画3Eと関連付けられてタグデータバッファ115に記憶される。その後、この設定エリア112に設定されている区画を変更しない限り、無線タグ読取装置1で読み取ったタグデータはこの区画3Eと関連付けられてタグデータバッファ115に記憶される(対象タグ記憶部)。
【0044】
読取ボタン88からのオン信号を受けて、制御部82は、送信部83にタグ問合せ信号の送信を指令する(ST14)。この指令に応じて、タグ問合せコマンドで変調された搬送波信号に相当する電波(タグ問合せ電波)がアンテナ9から放射される。このときのタグ問合せ電波は、送信側増幅部832の信号増幅率が“小”に設定されているので、電波到達距離が短い弱レベルの電波で出力される。したがって、棚卸対象区画3Eの手前側に位置する商品4Eに付された無線タグ5は、このタグ問合せ電波を受信できる。しかし、棚卸対象区画3Eの奥側に位置する商品4Eに付された無線タグ5、及びその他の区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3Iに収納された商品4A,4B,4C,4D,4F,4G,4H及び4Iに付された無線タグ5は、このタグ問合せ電波を受信できない。
【0045】
このタグ問合せ電波を受信した無線タグ5は、メモリ部75のIDエリア75aに記憶したIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ9で受信され、受信部84に取り込まれて復調される。
【0046】
制御部82は、タグ問合せ電波の送信を指令した後、無線タグ5からの応答信号を待機する(ST15)。応答信号を受信すると(ST15のYES)、制御部82は、ST16としてその応答信号を送信した無線タグ5と無線通信を行い、商品コード及び商品名を含むタグデータを非接触で読み取る。
【0047】
次に、制御部82は、タグデータバッファ115を検索する(ST17)。そして、弱レベルの出力にて無線タグ5から読み取ったタグデータと重複するタグデータが既にタグデータバッファ115に記憶されているか否かを確認する(ST18)。
【0048】
タグデータバッファ115内に重複するタグデータが無いと判断した場合、すなわち、弱レベルの出力にて無線タグ5から読み取ったタグデータと同一のタグデータが未だタグデータバッファ115に記憶されていない場合は(ST18のNO)、制御部82は、当該弱レベルの出力にて無線タグ5から読み取ったタグデータと読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画とを関連付けてタグデータバッファ115に記憶する(ST19)。
【0049】
次に、制御部82はカウントエリア114の読取タグ点数Bを“1”だけカウントアップする(ST20)。そして、カウントエリア114の読取タグ点数Bと対象タグ点数設定エリア113に設定されている対象タグ点数Aとを比較する(ST21)。ここで、読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致しない場合(ST21のNO)、制御部82は、ST13の処理に戻る。
【0050】
ST13に戻り、読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画(読取対象領域)に変更がない場合(ST13のNO)、制御部82は、引き続き同じ区画内に存在する無線タグからの応答信号を待機する。そして、無線タグから応答があった場合は上記と同様にST15〜ST21の処理を実行する。
【0051】
ST15〜ST21の処理を再度実行し、ST18において、弱レベルの出力にて読み取ったタグデータとタグデータバッファ115に記憶済みのタグデータとが重複すると判断した場合(ST18のYes)、制御部82は、当該弱レベルの出力にて読み取ったタグデータを破棄し、ST13に戻る。
【0052】
また、ST15〜ST21の処理を繰り返し実行することにより、ST21にて読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致した場合は(ST21のYES)、制御部82は、ST22としてタグデータバッファ115に記憶したタグデータを呼び出し、インターフェイス部81を介してPOSサーバにタグデータバッファ115に記憶したタグデータを出力する(データ出力手段)。
【0053】
ここで、具体的にST21にて読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致すると想定される場合について述べる。例えば、棚卸対象区画3Eの手前側にしか商品4Eが置かれていない場合、読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致する可能性が高い。この場合は、読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致した時点(ST21のYes)で、棚卸対象区画3Eに収納された商品4Eのタグデータが在庫データとしてPOSサーバに伝送される。在庫データがPOSサーバに送信されると、制御部82は、表示部87により在庫データの送信完了を報知する。したがって、この報知を確認した担当者は、棚卸対象区画3Eの棚卸作業が完了したことを認識できる。
【0054】
一方、棚卸対象区画3Eの奥側にも商品4Eが置かれている場合には、無線タグ読取装置1から放射される電波が奥側に位置する商品に付された無線タグまで届かないことが想定され、読取タグ点数Bは対象タグ点数Aに達しない可能性が高い。
【0055】
図7のフローチャートの説明に戻る。POSサーバに出力後(ST22)、タグデータ読み取りを継続するか否か、制御部は指令を待機する(ST23)。引き続き、他の区画(3A、3B、3C、…3I)についてタグデータ読み取りを継続する場合は(ST23のYes)、ST13に戻り、読取対象領域Rの設定エリア112を変更する(ST13のYes及びST24)。例えば、読取対象領域Rの設定エリア112に設定する区画を区画3Eから区画3Dへと変更する。その後、再度、区画3Dに対して無線タグ読取装置1を近づけ、問い合わせ電波を発信する(ST14)。
【0056】
一方、弱レベルの出力にてタグデータ読み取りを継続しないとの命令があった場合は(ST23のNo)、制御部82は、図8のST30で示す処理に進む。
【0057】
なお、上記の説明においては、読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致した場合に、タグデータバッファ115に記憶したタグデータをPOSサーバに出力して、読取対象領域を変更しているが、読取対象領域Rの設定エリア112の変更は上記のタグデータバッファ115に記憶したタグデータをPOSサーバに出力した後に行う場合に限られることはない。
【0058】
つまり、メモリ89の読取対象領域Rの設定エリア112を区画3Eと設定してST15〜ST21の処理を繰り返し実行し、読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致することなく、タグデータ読み取りを実行する区画3Eから無線タグ応答が無くなった場合は(ST15のNo)、担当者は無線タグ読取装置1の文字キー106を用いて読取対象領域Rの設定エリア112を区画3Eから区画3Dに変更する(ST13のYes)。ST13での処理にて、読取対象領域Rの設定エリア112が3Eから3Dに変更され(ST24)、以降の無線タグ読取装置1にて読み取られるタグデータは区画3Dと関連付けてタグデータバッファ115に記憶される。この場合は、タグデータバッファ115に記憶したタグデータはPOSサーバに出力されることなく、読取対象領域Rの設定エリア112の区画が変更されることとなる。
【0059】
次に、読取対象領域Rの設定エリア112の区画が変更された区画3Dについても、区画3Eと同様にタグデータ読取が実行される。タグデータ応答があった場合は(ST15のYes)、応答があった無線タグからタグデータを読み取り(ST16)、タグデータバッファ115を検索し(ST17)、タグデータバッファ115に重複するタグデータがない場合(ST18のNo)、タグデータバッファにタグデータを、読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画3Dと関連付けて記憶し(ST19)、読取タグ点数Bを“1”だけカウントアップする(ST20)。区画3Dについても区画3Eでのタグデータ読取と同様に無線タグからのタグ応答がなくなるまで(ST15のNO)、弱レベルの出力にてタグデータ読み取りを実行する。
【0060】
一方、タグデータ応答がない場合は(ST15のNo)、ST25に進み、読取ボタンがオフされたか否かを待機し、読取ボタン88がオフされていない場合(ST25のNo)、ST13に戻り、オフ読取ボタン88の押下状態が解除されてオフした場合(ST25のYES)、図8のST30に進む。
【0061】
このように、担当者は、弱レベルの出力にて各区画3A、3B、…3Iについてタグデータ読み取りを繰り返す。例えば、区画3Eについてタグデータを読み取った後、無線タグ読取装置1のアンテナ9を区画3E以外のいずれか1つの区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3Hまたは3Iに順次近づけて引き続きタグ読み取りを行う。ここで、棚卸対象区画3Eの周囲に位置する区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3I上を例えば、区画3A→3B→3C→3F→3I→3H→3G→3D→3Aの順(時計回り)あるいは反時計回りの順に無線タグ読取装置1を移動させるとタグデータ読み取り漏れとなる区画が発生しにくいので好適である。
【0062】
次に、図8を用いて、強レベルの出力による無線タグのタグデータ読み取りを行う処理について説明する。この強レベルでの出力によるタグデータ読み取りは弱レベルの出力によるタグデータ読み取りを行った後に行う処理である。
【0063】
制御部82は、出力切換部833に出力“強”設定信号を送信する(ST30)。この信号を受けて、出力切換部833は、送信側増幅部832の増幅率を“大”に設定する。次に、制御部82は、読取ボタン88からオン信号が入力されるのを待機する(ST31)。
【0064】
担当者は、無線タグ読取装置1の読取ボタン88を押下すると読取ボタン88から制御部82にオン信号が供給される(ST31のYES)。次に、担当者は、無線タグ通信装置1の文字キーにて、これからタグデータ読み取りを行う棚卸対象区画(読取対象領域)を入力する(ST32)(領域指定手段)。例えば、タグデータ読み取りを行う棚卸対象区画が区画3Eである場合、無線タグ読取装置1の入力部86を介して設定エリア112に区画3Eを設定する。
【0065】
読取ボタン88からのオン信号を受けて、制御部82は、送信部83にタグ問合せ信号の送信を指令する(ST33)。この指令に応じて、タグ問合せ電波がアンテナ9から放射される。このときのタグ問合せ電波は、送信側増幅部832の信号増幅率が“大”に設定されているので、電波到達距離が長い強レベルの電波で出力される。したがって、区画3Eの手前側のみならず、奥側に位置する商品4Eに付された無線タグ5も、このタグ問合せ電波を受信する可能性が高い。ただし、この場合、棚卸の対象としていない区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3Iの手前側に位置する商品4A,4B,4C,4D,4F,4G,4H及び4Iに付された無線タグ5も、このタグ問合せ電波を受信する可能性がある。
【0066】
このタグ問合せ電波を受信した無線タグ5は、メモリ部75のIDエリア75aに記憶したIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ9で受信され、受信部84に取り込まれて復調される。
【0067】
制御部82は、タグ問合せ電波の送信を指令した後、ST34として無線タグからの応答信号を待機する。応答信号を受信すると(ST34のYES)、制御部82は、ST35としてその応答信号を送信した無線タグ5と無線通信を行い、商品コード及び商品名を含むタグデータを読み取る(タグデータ読取手段)。
【0068】
次に、制御部82は、タグデータバッファ115を検索する(ST36)。ここでは、タグデータバッファ115に記憶されている全タグデータを検索する。すなわち、既にタグデータバッファ115に記憶されている弱レベル出力での無線タグのタグデータ読み取り結果を参照することとなる。
【0069】
強レベルの出力で読み取った無線タグ5のタグデータと重複するタグデータが既にタグデータバッファ115に記憶されているか否かを判断する(ST37)。
【0070】
強レベルの出力で読み取った無線タグ5のタグデータと重複するタグデータがタグデータバッファ115に記憶されていない場合(ST37のNO)、制御部82は、ST38として無線タグ5から読み取ったタグデータを読取対象領域Rの設定メモリ112に設定されている区画3Eと関連付けてタグデータバッファ115に記憶する。
【0071】
なお、棚卸対象区画の手前側に位置する商品に付された無線タグは既に弱レベルの出力でタグデータ読み取りが行われ、既にタグデータバッファ115に記憶されている。このため、強レベル出力のタグデータ読み取りにてタグデータバッファ115に新たに記憶されるタグデータは、棚卸対象区画の奥に位置する商品に付されている無線タグのタグデータに相当する。
【0072】
強レベルの出力で読み取ったタグデータをタグデータバッファ115に新たに記憶したならば、制御部82はカウントエリア114の読取タグ点数Bを“1”だけカウントアップする(ST39)。読取タグ点数Bと設定エリア113の対象タグ点数Aとを比較する(ST40)。読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致したならば(ST40のYES)、棚卸対象区画3Eに収納された商品4Eのタグデータを在庫データとしてPOSサーバに伝送する(ST41)。在庫データがPOSサーバに送信されると、制御部82は、終了の信号が入力されたか否かを待機する(ST42)。終了の信号が入力された場合、表示部87により在庫データの送信完了が報知され、この報知を確認した担当者は、棚卸対象区画3Eの棚卸作業が完了したことを認識できる。
【0073】
一方、ST37にて強レベルの出力で読み取りを行ったタグデータとタグデータバッファ115に記憶されているタグデータとが重複する場合(ST37のYes)、制御部82は、強レベルの出力で読み取ったタグデータを破棄する(ST45)。その後、ST32に戻り、タグデータ読み取りを行う区画について変更がなければ(ST32のNo)、次の無線タグからの応答信号を待機する。なお、棚卸対象区画の変更がない限り、読み取られたタグデータは読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画と関連付けられてタグデータバッファ115に記憶される。
【0074】
また、ST40にて読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致しない場合は(ST40のNo)、制御部82は、再度、ST32に戻り次の応答信号を待機し、タグ応答があった場合、ST34〜ST40の処理を繰り返す。
【0075】
なお、無線タグ同士が近接する等の何らかの不具合が生じていることにより、タグデータに読み落としが発生している場合には、読取タグ点数Bは対象タグ点数Aに達しない。この場合、担当者は任意の時間をかけても在庫データの送信完了が報知されないので棚卸処理を終了することが出来る。
【0076】
この場合の制御部82の処理として、タグデータ読み取りを行っている区画の無線タグからタグ応答が無くなった時点で(ST34のNo)、制御部82は読取ボタン88の押下が解除された否かを待機する(ST44)。
【0077】
読取ボタン88のオン信号が途絶えたならば、すなわち読取ボタン88の押下状態が解除されてオフしたならば(ST44のYES)、制御部82は、現時点の読み取り結果のタグデータをそのままPOSサーバに送信して終了する(ST45)
【0078】
なお、POSサーバへの伝送のタイミングは棚卸対象区画毎の棚卸が完了した時点でも良いし、全ての棚卸対象区画の棚卸が終了した時点のどちらでもよく、担当者によって任意にPOSサーバへ伝送することができる。
【0079】
以上のように、第1モードを選択した担当者は、先ず、無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づけて弱レベルの出力で無線タグ5の読み取りを行う。次に、棚卸対象区画3Eの周囲の区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3I上を時計回りあるいは反時計回り、若しくは順不同に無線タグ読取装置1を移動させて棚卸対象区画毎に物品に付された無線タグ5の読み取りを行う。弱レベルの出力にて、全棚卸対象区画についてタグデータ読み取りが完了すると、次に、出力切換部833の出力を強レベルに切り換えて再び無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づけて無線タグ5の読み取りを行う。これにより、棚卸対象区画3Eに置かれている全ての商品4Eに付された無線タグ5のデータを、棚卸データとしてPOSサーバに取り込ませることができる。
【0080】
また、他の区画について棚卸を行う場合は、強レベルの出力で区画3A、3B、3C,3D,3F,3G,3H及び3Iについてタグデータ読み取りを行うことで棚卸を完了させることが可能となる。
【0081】
本実施の形態では、読み取られたタグデータは、読取対象領域Rの設定メモリ112に設定されている区画(読取対象領域)と関連付けられて記憶される。このため、棚卸対象区画の手前のみ物品が配置されている場合は、強レベルの出力にて読取を行うことなく弱レベルの出力のみでタグデータ読取を完了することができ、棚卸作業時間の短縮を図ることができる。また、読み取ったタグデータと読取対象領域Rの設定エリア112に記憶された棚卸対象区画とを逐一関連付けて記憶しているため、読取精度の高いタグデータ読み取りが実現できる。さらには、順不同に特定の区画に存在する商品の棚卸作業を実行することも可能となる効果を奏する。
【0082】
次に、本発明の第2の実施形態である[動作モード2処理]について、図9及び図10を用いて説明する。なお、無線タグ読取装置の構成及び図6のST6までの処理については第1の実施形態と共通するため、説明は省略する。
【0083】
図6のST6にて[動作モード2処理]が選択されると、出力“強”信号が設定される。制御部82は、出力切換部833に出力“強”設定信号を送信する(ST50)。この信号を受けて、出力切換部833は、送信側増幅部832の増幅率を“大”に設定する。次に、制御部82は、文字キー106を介して読取対象領域Rの設定エリア112に区画が設定されることを待機する(ST51)。ここで、ST51にて、読取対象領域Rの設定エリア112に、例えば区画3Eが設定されたとする。次に、読取ボタン88からオン信号が入力されるのを待機する(ST52)。
【0084】
第2モードを選択した担当者は無線タグ読取装置1のアンテナ9を区画3Eに近づけ、読取ボタン88を押下する。そうすると、読取ボタン88から制御部82にオン信号が供給される。
【0085】
このオン信号を受けて(ST52のYES)、制御部82は、送信部83にタグ問合せ信号の送信を指令する(ST53)。この指令に応じて、タグ問合せ電波がアンテナ9から放射される。このときのタグ問合せ電波は、送信側増幅部832の信号増幅率が“大”に設定されているので、電波到達距離が長い強レベルの電波で出力される。したがって、棚卸対象区画3Eに収納された全ての商品4Eにそれぞれ付された無線タグ5は、このタグ問合せ電波を受信する可能性が高い。ただし、ここでの棚卸対象としていない区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3Iの手前側に位置する商品4A,4B,4C,4D,4F,4G,4H及び4Iに付された無線タグ5も、このタグ問合せ電波を受信する可能性がある。
【0086】
このタグ問合せ電波を受信した無線タグ5は、メモリ部75のIDエリア75aに記憶したIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ9で受信され、受信部84に取り込まれて復調される。
【0087】
制御部82は、タグ問合せ電波の送信を指令した後、無線タグからの応答信号を待機する(ST54)。応答信号を受信すると(ST54のYES)、制御部82は、その応答信号を送信した無線タグ5と無線通信を行い、商品コード及び商品名を含むタグデータを読み取る(ST55)。
【0088】
次に、制御部82は、タグデータバッファ115を検索する(ST56)。当該強レベルの出力で無線タグ5から読み取ったタグデータと重複するデータが既にタグデータバッファ115に格納されているか否かを判断する(ST57)。
【0089】
当該強レベルの出力で無線タグ5から読み取ったタグデータとタグデータバッファ115に格納されているタグデータとが重複しないと判断した場合、すなわち、強レベルの出力で読み取ったタグデータと重複するデータが未だタグデータバッファ115に記憶されていない場合には(ST57のNO)、制御部82は、強レベルの出力で無線タグ5から読み取ったタグデータをタグデータバッファ115に記憶する(ST58)。タグデータバッファ115の記憶に際して、タグデータは読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画3Eと関連付けられて記憶する。
【0090】
制御部82は、読み取ったタグデータをタグデータバッファ115に記憶したならば、読取タグの点数をカウントアップするエリア114の読取タグ点数Bを“1”だけカウントアップする(ST59)。しかる後、ST53に戻り、問い合わせ電波を発信して次の応答信号を待機する。
【0091】
一方、ST57にてタグデータの重複が有ると判断した場合は、制御部82は、読み取ったタグデータを破棄する(ST64)。そして、ST53に戻り、再度、次の応答信号を待機する。
【0092】
無線タグ5からの応答信号を受信する毎に(ST54のYES)、制御部82は、ST55、ST56、ST57のNo、ST58、ST59の処理を経てタグデータをタグデータバッファに記憶する、又はST55、ST56、ST57のYes及びST64の処理を経てタグデータを破棄する。
【0093】
ここで、タグデータ読み取り実行中の区画3Eについて無線タグから応答が無くなった場合(S54のNO)、他の区画(3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3I)に存在する無線タグについてタグデータ読み取りを行うか否かの指令を制御部82は待機する(ST60)。
【0094】
例えば、区画3Eから区画3Dに棚卸対象区画を変更してタグデータ読み取りを行うか否かの指令を待機する。他の区画についてタグデータ読み取りを継続しないという情報が送信された場合(ST60のNO)は、その時点でタグデータバッファ115に蓄積されているタグデータを出力してサーバへ送信し(ST61)、次の図10のステップS70に進む(ST62)。
【0095】
なお、強レベルの出力では、棚卸対象区画3E以外の広範囲にわたってタグデータ読み取りが行われるため、棚卸対象区画3Eのみ商品が配置されている場合であって対象タグ点数Aの設定エリア113に設定された点数Aと読取タグ点数Bのカウントエリア114にカウントされた点数Bとが一致する場合は正しく棚卸が完了したこととなる。一方、対象タグ点数Aの設定エリア113に設定された点数と読取タグ点数Bのカウントエリア114にカウントされた点数とが一致しない場合は、棚卸が未完了の状態である。
【0096】
一方、引き続き他の区画についてタグデータ読み取りを継続するとの旨の情報が送信された場合(ST60のYes)は、読取対象領域Rの設定エリア112に設定されている区画を他の区画に変更する(ST63)。例えば、読取対象領域の設定エリア112に設定されている区画3Eを3Dに変更する。区画を変更した後、ST53の問い合わせ電波を発信する処理に戻り、上記の処理と同様にST53からST59までの処理を区画3Dについて繰り返す。このように、区画3Dに存在する無線タグからのタグ応答がなくなるまでタグデータ読み取りが実行される。そして、タグデータ応答がなくなり(ST54のNo)、ST60にて、区画3Dについてタグデータ読み取りを継続しないという情報が送信された場合(ST60のNO)、既にタグデータ読み取りを行っているタグデータバッファに蓄積されているタグデータを出力及びPOSサーバへ送信して(ST61)、強レベルでのタグデータ読み取りは一旦終了する。そして、次の図10のST70に進む(ST62)。
【0097】
なお、全棚卸対象区画(3A、3B、3C…3I)について強レベルの出力でタグデータ読み取りを完了した後、図10のST70の処理にすすんでもよい。
【0098】
次に、ST70以降のステップを図10により説明する。強レベルの出力にてタグデータ読み取りを行った後、制御部82は、出力切換部833に出力“弱”設定信号を送信する(ST70)。この信号を受けて、出力切換部833は、送信側増幅部832の増幅率を“小”に設定する。次に、制御部82は、読取ボタン88からオン信号が入力されるのを待機する(ST71)。読取ボタン88がオンされるとオン信号が送信される(ST71のYes)。次に、担当者によりタグデータ読み取りを行う棚卸対象の区画に対応する文字キー106が押下され、制御部82に対して読取対象領域Rの設定エリア112に設定する区画の情報が送信され、読取対象領域Rの設定エリア112に区画が設定される(領域指定手段)
【0099】
担当者は、次に、無線タグ読取装置1のアンテナ9をいずれか1つの区画3A,3B,3C,3D,3E、3F,3G,3Hまたは3Iに近づけ、読取ボタン88を押下して区画内に存在する無線タグのタグデータを読み取る。ここでは区画3Eを例に説明する。
【0100】
制御部82は無線タグ読取装置1の読取ボタン88からのオン信号を受けて(ST71のYES)、送信部83にタグ問合せ信号の送信を指令する(ST73)。この指令に応じて、タグ問合せ電波がアンテナ9から放射される。このときのタグ問合せ電波は、送信側増幅部832の信号増幅率が“小”に設定されているので、電波到達距離が短い弱レベルの電波で出力される。したがって、区画3Eに位置する商品4Eに付された無線タグ5は、このタグ問合せ電波を受信できる。しかし、区画3E以外に収納された商品に付された無線タグ5は、このタグ問合せ電波を受信できない。
【0101】
このタグ問合せ電波を受信した無線タグ5は、メモリ部75のIDエリア75aに記憶したIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ9で受信され、受信部84に取り込まれて復調される。
【0102】
制御部82は、タグ問合せ電波の送信を指令した後、無線タグからの応答信号を待機する(ST74)。応答信号を受信すると(ST74のYES)、制御部82は、その応答信号を送信した無線タグ5と無線通信を行い、商品コード及び商品名を含むタグデータを取得する(ST75)。
【0103】
次に、制御部82は、タグデータバッファ115を検索する(ST76)。弱レベルの出力にて無線タグ5から読み取ったタグデータと重複するタグデータが既にタグデータバッファ115に格納されているか否かを判断する(ST77)。
【0104】
タグデータの重複が有りと判断した場合、すなわち、弱レベルの出力で無線タグ5から読み取ったタグデータと重複するタグデータが既にタグデータバッファ115に格納されていた場合(ST77のYes)、制御部82は、これら重複するタグデータの各々に関連付けられて記憶されている区画(読取対象領域)が重複するか否かを判断する(ST78)。すなわち、ST77にて、まず弱レベルの出力で無線タグ5から読み取ったタグデータがタグデータバッファ115に格納されているタグデータと重複するか否かについて判断し、次に双方のタグデータが重複する場合は、双方のタグデータに関連付けられて記憶されている区画(読取対象領域)が重複するか否かについて判断する。
【0105】
弱レベルの出力で読み取ったタグデータはタグデータバッファ115に記憶されているタグデータと重複するものの(ST77のYes)、双方のタグデータに関連付けられている区画(読取対象領域)が重複しない場合(ST78のNO)、当該弱レベルの出力のタグデータ読取結果を適切な読取結果として、優先してタグデータバッファ115の更新を行う(ST79)。
【0106】
弱レベルの出力のタグデータ読取結果を適切な読取結果とする理由として、弱レベルの出力の場合、アンテナから放射される電波の到達距離は短いものであるため、狭い読取範囲にてタグデータ読み取りが行われる。一方、強レベルの出力でタグデータ読み取りを行った場合、広範囲に電波が放射されるため読み取り対象外の区画に対してタグデータ読み取りが行われる可能性がある。このため、弱レベルの出力での読み取り結果の方が、認識精度が高いものと考えられる。このため、制御部82は弱レベルでの読取結果を強レベルでの読取結果よりも優先してタグデータバッファ115に記憶する。
【0107】
なお、ST77、及びST78の処理は対象タグ更新手段に相当する。
【0108】
次に、ST80にて弱レベルの出力で読み取ったタグデータと重複するタグデータであって当該タグデータに関連付けられている区画(読取対象領域)が異なるタグデータをタグデータバッファ115内から削除する(ST80)。次に、制御部82は現在のタグデータバッファ115に記憶されているタグデータについて表示し、タグデータ読み取りを継続するか否かの命令を待機する(ST81)。読み取り継続の命令が無い場合(ST81のNO)、サーバへ現在のタグデータバッファ115に記憶されているデータを送信し(ST82)、読み取り処理は終了とされる。
【0109】
一方、ST78にて重複するタグデータに関連付けられている区画(読取対象領域)が同一である場合(ST78のYes)、すなわち既にタグデータバッファ115に記憶されているタグデータと弱レベルの出力で読み取られたタグデータに関連付けられている区画(読取対象領域)が同じである場合は、弱データの出力で読み取ったタグデータを破棄する(ST90)。タグデータ破棄後、ST72に戻る。
【0110】
ここで、ST77にて弱レベルで読み取ったタグデータと重複するタグデータがタグデータバッファ115に記憶されていない場合(ST77のNo)、タグデータバッファ115に弱レベルで読み取ったタグデータを追加する(ST86)。そして、ST86にてカウントエリア114の読取タグ点数Bを1だけカウントアップする(ST87)。次に、現在の読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとを表示し、読み取りを継続するか否かの信号を待機する(ST88)。継続する信号を受信した場合は(ST88のNO)、ST72に戻る。
【0111】
上記の一連のタグデータ読み取りを一つの区画についてタグ応答がなくなるまで繰り返し行い、ST74にてタグ応答がないものと判断された場合は(ST74のNO)、表示部に読取ボタン88をオフするか否かが表示される(ST84)。ここで、他の区画についても読み取り実行を行う旨の命令を受信した場合は(ST84のNO)、ST72に戻り、ST72にて棚卸対象区画が変更される命令を待機する(ST72)。棚卸対象区画が変更された場合(ST72のYES)、読取対象領域Rの設定エリア112が変更され(ST83)、ST73以降の処理が再度繰り返し実行される。そして、タグ応答が無くなるまでST73以降の処理が繰り返して継続される。このようにして、他の区画についても弱レベルでの読み取りが実行される。なお、繰り返し実行されるST73以降の処理は既に述べた処理と同様であるため省略する。
【0112】
つまり、本実施の形態では、ST77及びST78以降の処理で先に行った強レベルの出力でのタグデータ読み取り結果を、強レベルでの出力の読み取りよりも精度の高い弱レベルの読み取り結果を用いて更新することとなる。例えば、全ての読取対象領域(区画3A,3B,…,3I,)について弱レベルの出力でタグデータ読み取りを終了した場合は、強レベルの出力での読み取り結果が弱レベルの読み取り結果にて更新されることとなり、区画3Eに収納された読取タグ点数Bと対象タグ点数Aとが一致する。
【0113】
上記の処理をへて全読取対象領域について読み取りを行い、ST74にてタグ応答が無くなり(ST74のNO)、読取ボタン88がオフしたとの命令を制御部82が受けた場合(ST84のYES)、制御部82は、タグデータバッファ115に記憶したタグデータをインターフェイス部81を介してPOSサーバに出力する(データ出力手段)(ST85)。
【0114】
つまり、棚卸対象区画3Eに収納された商品4Eのタグデータが在庫データとしてPOSサーバに伝送される。在庫データがPOSサーバに送信されると、制御部82は、表示部87により在庫データの送信完了を報知する。したがって、この報知を確認した担当者は、棚卸対象区画3Eの棚卸作業が完了したことを認識できる。
【0115】
なお、タグデータの送信は全ての読取対象領域としての棚卸対象区画について読み取りが完了した後に、タグデータ送信を行う場合に限られず、操作者の所望のタイミングでタグデータバッファ115内のデータの送信を行う形態であってもよい。
【0116】
このように、第2モードを選択した担当者は、まず、無線タグ読取装置1のアンテナ9を棚卸対象区画3Eに近づけて強レベルの出力で無線タグ5の読取りを行い、続いて、無線タグ読取装置1を強レベルの出力にてその他の区画3A,3B,3C,3D,3F,3G,3H及び3I上を時計回りあるいは反時計回りに移動させて無線タグ5の読取りを行う。その後、弱レベルの出力に切り変えて区画3E及び区画3Eの周囲の区画について無線タグ5の読み取りを行うという作業工程を踏むことによって、棚卸対象区画3Eに置かれている全ての商品4Eに付された無線タグ5のデータを、棚卸データとしてPOSサーバに取り込ませることができる。この場合、必ずしも毎回強レベル及び弱レベルの出力によるタグデータ読み取り作業を行う必要は無い。商品が棚に置かれている状況(例えば、区画3Eのみ商品が配置され、区画3E以外の周囲の区画には商品が配置されていない場合等)によっては、強レベルの出力による読み取り処理にて対象タグ点数Aの数と読取タグ点数Bとが一致した場合は一度の処理で読取を完了することもできる。
【0117】
また、必ずしも強レベルの出力で全区画(3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H及び3I)を読み取った後に、弱レベルの出力に切り換えてタグデータ読み取りを実行する必要は無く、ある特定の区画(例えば、区画3E)について強レベルの出力でタグデータ読み取りを行い、その後弱レベルの出力に切り換えて、強レベルの出力でタグデータ読み取りを行った区画(3E)及びこの区画の周囲に位置する区画について弱レベルの出力でタグデータ読み取りを行い、棚卸作業を完了させることも可能である。この場合、所定の区画(読取対象領域)を対象として棚卸を行うことが可能となる。
【0118】
また、第2の実施の形態により以下の効果が得られる。強レベルの出力にて広い読み取り範囲についてタグデータ読み取りを実行した後、弱レベルの出力に切り換えて、タグデータの読み取りを行うことにより、強レベルの出力で読み取りを行ったタグデータの読み取り結果を、強レベルでの読み取り結果よりも認識精度が高いと考えられる弱レベルの出力による読み取り結果に正すこと可能となる。これにより棚卸作業の処理効率を高めることができる。
【0119】
本実施の形態では、棚卸対象区画毎に対象タグ点数Aを各々設定し、区画内に存在する商品に付された無線タグのタグデータを読み取った読取タグ点数Bを各棚卸対象区画別にカウントし、各棚卸対象区画における対象タグ点数Aと一致するか否かを判断する実施形態である。これにより、例えば、ある特定の棚卸対象区画に対応して設定された対象タグ点数Aと当該区画について読み取りを行った読取タグ点数Bとが一致した場合にPOSサーバへタグデータバッファ115内のデータを出力するため、所定の棚卸対象区画について精度の高い棚卸作業を行うことが可能となる。また、所定の棚卸対象区画について効率よく短時間で棚卸作業を完了させることができる効果を奏する。
【0120】
また、別の実施形態として、上記の棚卸対象区画毎に対象タグ点数Aを各々設定する形態ではなく、全区画(全読取対象領域)内に存在する商品の全対象タグ点数Dを設定し、棚卸対象区画毎に読み取りを行い、読み取ったタグデータをカウントする形態であってもよい。これは、各棚卸対象区画についてタグデータ読み取りを行うと共に、読み取りを行ったタグ点数を対象タグ点数Dの設定エリア116に累積する方法でもよい。この場合は、各棚卸対象区画についてタグデータ読み取りを行ったタグ点数の累積読取タグ点数を対象タグ点数Aの設定エリア116にカウントし、対象タグ点数Aの設定エリア116にカウントされている読取タグ点数Dと全読取対象領域のタグ点数とが一致した際にタグデータを出力することとなる。
【0121】
このように、第1および第2の実施の形態によれば、撮影機能や画像処理機能等の付加的な機能を設けることなく、所定の読取対象領域内に存在する無線タグのタグデータを正確に読み取ることができ、無線タグ読取装置1から棚卸対象区画の棚卸データを受取ったPOSサーバでは、その棚卸データから棚卸対象区画に収納されている商品の実在庫数を求め、この実在庫数と当該商品の論理在庫数とから商品の棚卸データを生成することができる。したがって、低コストで読取対象領域内に存在する無線タグの認識精度を高めることができる。
【0122】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0123】
例えば前記実施の形態では、無線タグ読取装置1が第1及び第2のモードを全て備えたものとして説明したが、少なくとも1つのモードを備えていればよい。
また、メモリ89に読取対象外の領域3Jに存在する対象外タグデータの領域を設けてもよい。
【0124】
また、前記実施の形態では、アンテナ9からの電波出力を自動的に切り換わるようにしたが、装置本体8に電波出力の切換ボタンを設け、手動により電波出力の強弱を切り替えて、第1又は第2のモードの動作を実現させるようにしてもよい。
【0125】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…無線タグ読取装置、2…商品棚、5…無線タグ、8…装置本体、9…アンテナ、81…インターフェイス部、82…制御部、83…送信部、84…受信部、85…サーキュレータ、86…入力部、87…表示部、88…読取ボタン、111…動作モード設定エリア、112…読取対象領域設定エリア、113…棚卸タグ点数設定エリア、114…読取タグ点数カウントエリア、115…タグデータバッファ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2008-065386公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する複数の読取対象領域のうち所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを、タグデータ読取手段で読み取る無線タグ読取方法であって、
各読取対象領域毎に前記タグデータ読取手段が弱レベルの出力で無線タグからタグデータを読み取り、
所定の読取対象領域について、前記タグデータ読取手段が前記弱レベルよりも出力が強い強レベルの出力でタグデータを読み取り、
この強レベルで読み取ったタグデータから弱レベルで複数の読取対象領域を読み取ったタグデータを除いたタグデータと、弱レベルで前記所定の読取対象領域を読み取ったタグデータと、を前記所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータとして読み取ることを特徴とする無線タグ読取方法。
【請求項2】
無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、このタグデータ読取手段が有するアンテナからの出力を少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも強い強レベルとに切り換える出力切換部と、前記タグデータ読取手段で読み取る読取対象領域を指定する領域指定手段と、前記タグデータ読取手段で読み取ったタグデータを記憶するための対象タグ記憶部と、を備える無線タグ読取装置による無線タグ読取方法であって、
前記領域指定手段にて指定した複数の読取対象領域について前記タグデータ読取手段が前記弱レベルの出力で前記無線タグからタグデータを読み取り、
前記領域指定手段で指定した複数の読取対象領域のそれぞれについて、前記弱レベルの出力で読み取りを行ったタグデータを関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶し、
前記領域指定手段にて指定した所定の読取対象領域について前記タグデータ読取手段が前記強レベルの出力でタグデータを読み取り、
この強レベルで読み取りを行ったタグデータのうち、前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータと重複するものは破棄し、重複しないものは所定の読取対象領域と関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶することを特徴とする無線タグ読取方法。
【請求項3】
無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、このタグデータ読取手段が有するアンテナからの出力を少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも強い強レベルとに切り換える出力切換部と、前記タグデータ読取手段で読み取る読取対象領域を指定する領域指定手段と、前記タグデータ読取手段で読み取ったタグデータを記憶するための対象タグ記憶部と、を備える無線タグ読取装置による無線タグ読取方法であって、
前記領域指定手段にて指定した所定の読取対象領域について前記タグデータ読取手段が前記強レベルの出力でタグデータを読み取り、
前記領域指定手段で指定した前記所定の読取対象領域と前記強レベルの出力で読み取りを行ったタグデータとを関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶し、
前記領域指定手段にて指定した複数の読取対象領域のそれぞれについて前記タグデータ読取手段が前記弱レベルの出力にてタグデータを読み取り、
この弱レベルで読み取りを行ったタグデータのうち前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータと重複するものは、前記弱レベルのタグデータ読み取り時に指定した読取対象領域と前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータに関連付けられている前記読取対象領域とを比較し、
双方の前記読取対象領域が重複する場合は、前記弱レベルで読み取ったタグデータを破棄し、
双方の前記読取対象領域が重複しない場合は、前記対象タグ記憶部から前記弱レベルで読み取ったタグデータを削除することを特徴とする無線タグ読取方法。
【請求項4】
前記読取対象領域内に存在する無線タグの合計点数を設定する対象タグ点数設定手段をさらに備えた無線通信装置による無線タグ読取方法であって、
前記対象タグ記憶部に記憶されたタグデータの数が前記対象タグ点数設定手段により設定された合計点数と一致したことを条件にタグデータを出力することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線タグ読取方法。
【請求項5】
前記2以上に分割された所定の読取対象領域毎に前記対象タグ点数設定手段が複数設けられた無線通信装置による無線タグ読取方法であって、
前記対象タグ記憶部に記憶されたタグデータの数が前記対象タグ点数設定手段により設定された少なくとも1以上の前記読取対象領域における対象タグ点数の合計点数と一致したことを条件にタグデータを出力することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線タグ読取方法。
【請求項6】
アンテナを有し、無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、
前記アンテナからの出力を、少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも出力が強い強レベルとに設定可能な出力切換部と、
前記タグデータ読取手段で読み取る読取対象領域を指定する領域指定手段と、
弱レベルの出力で読み取った複数の読取対象領域の各タグデータと、これら複数の読取対象領域のうち前記領域指定手段で指定した所定の読取対象領域を強レベルで読み取ったタグデータとから、前記所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを認識する制御部と、
を有することを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項7】
アンテナを有し、無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、
前記アンテナからの出力を少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも強い強レベルとに切り換える出力切換部と、
前記タグデータ読取手段で読み取る読取対象領域を指定する領域指定手段と、
前記タグデータ読取手段で読み取ったタグデータを記憶するための対象タグ記憶部と、
前記領域指定手段で指定した複数の読取対象領域のそれぞれについて前記弱レベルの出力で読み取られたタグデータを関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶させ、前記強レベルの出力で読み取られたタグデータのうち前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータと重複するものは破棄し、重複しないものは所定の読取対象領域と関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶させる制御部と、
を備えることを特徴とする無線タグ読取装置
【請求項8】
アンテナを有し、隣接する複数の読取対象領域のうち所定の読取対象領域に存在する無線タグのタグデータを読み取るタグデータ読取手段と、
前記アンテナからの出力を少なくとも弱レベルとこの弱レベルよりも強い強レベルに切り換える出力切換部と、
前記タグデータ読取手段で読み取る所定の読取対象領域を指定する領域指定手段と、
前記タグデータ読取手段で読み取ったタグデータを記憶するための対象タグ記憶部と、
前記領域指定手段で指定した所定の読取対象領域について、前記強レベルの出力で読み取られたタグデータを関連付けて前記対象タグ記憶部に記憶させ、複数の前記読取対象領域のそれぞれについて前記弱レベルの出力で読み取りを行ったタグデータと前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータとを比較し、双方のタグデータが重複する場合は、前記弱レベルのタグデータ読み取り時に指定した読取対象領域と前記対象タグ記憶部に記憶済みのタグデータに関連付けられている前記読取対象領域とを比較し、双方の前記読取対象領域が重複する場合は前記弱レベルで読み取ったタグデータを破棄し、双方の前記読取対象領域が重複しない場合は、前記対象タグ記憶部から前記弱レベルで読み取ったタグデータを削除する制御部と、
を備えることを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項9】
前記読取対象領域内に存在する無線タグの合計点数を設定する対象タグ点数設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線タグ読取装置。
【請求項10】
前記対象タグ点数設定手段は、前記2以上に分割された所定の読取対象領域毎に複数設けられたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線タグ読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−129038(P2011−129038A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289200(P2009−289200)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】