説明

無線ローカルエリアネットワークとセルラ通信システムとの間のハンドオフ

無線LANとセルラ通信システムとの間のハンドオフが与えられる。システムは、I.E.E.E.802.11上で音声を含むノマディックなセルラサービスを提供するように設計されている。802.11のネットワークは、音声品質が許容可能である可能性が高い限り使用される。音声品質は、測定され、許容可能レベルであるように維持される。例えば、音声品質が許容可能レベルよりも低く劣化すると、設計は、802.11のネットワークと、例えば、CDMA 1xRTTのネットワークとの間のシームレスな呼のハンドオフを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
米国特許法第119条のもとでの優先権の主張
本特許出願は、2003年10月24日に出願された仮出願第60/514,087号(“PROVIDING CELLULAR SERVICE OVER WIRELESS LANS AND 802.11 TO CDMA 2000 1X HANDOFF”)に対して優先権を主張し、本発明の譲受人に譲渡され、これによって本明細書において参照によって明らかに取り入れられている。
【0003】
分野
本発明は、概ね、無線通信に関する。より具体的には、本発明は、比較的に固定された無線通信システムとセルラ通信システムとの間のハンドオフに関する。
【0004】
テーブル1は、頭辞語および短縮形をまとめている。
【0005】
テーブル1:頭辞語および短縮形
AP アクセスポイント(Access Point)
BS 基地局(Base Station)
CDMA 符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)
ESN 電子シリアルナンバ(Electronic Serial Number)
EVRC 拡張可変レートコーデック(Enhanced Variable Rate Codec)
FA 外部エージェント(Foreign Agent)
FFS 更なる研究のため(For Further Study)
GPS 全地球測位システム(Global Positioning System)
HLR ホームロケーションレジスタ(Home Location Register)
HW ハードウェア(Hardware)
IETF インターネット技術標準化委員会(Internet Engineering Task Force)
IMSI 国際モバイル加入者識別(International Mobile Subscriber Identity)
IOS 相互運用性仕様(Inter Operability Specifications)
IP インターネットプロトコル(Internet Protocol)
LAN ローカルエリアネットワーク(Local Area Network)
MAC 媒体アクセス制御(Medium Access Control)
MAD モバイルアドレス指定メッセージ(Mobile Addressed message)
MGW 媒体ゲートウェイ(Media Gateway)
MIB 管理情報基地(Management Information Base)
MIN モバイル識別番号(Mobile Identification Number)
MIP モバイルインターネットプロトコル(Mobile Internet Protocol)
MO モバイル発信(Mobile Originated)
MS 移動局(Mobile Station)
MSC モバイルスイッチングセンタ(Mobile Switching Center)
MT モバイル終端(Mobile Terminated)
NGLAN 次世代LAN(Next Generation LAN)
OAM オペレーションアドミニストレーションマネージメント(Operation Administration Management)
OAM&P オペレーションアドミニストレーションマネージメントおよびプロビジョニング(Operation Administration Management & Provisioning)
OCS オビワンセルラサーバ(Obiwan Cellular Server)
PPP 2点間プロトコル(Point to Point Protocol)
QoS サービス品質(Quality of Service)
RFC コメント要求(Request For Comments)
RLP 無線リンクプロトコル(Radio Link Protocol)
SGW シグナリングゲートウェイ(Signaling Gateway)
SNMP シンプルネットワークマネージメントプロトコル(Simple Network Management Protocol)
SS 補助サービス(Supplementary Service)
SS7 シグナリングシステム第7(Signaling System #7)
SW ソフトウェア(Software)
TBD 遂行されるために(To Be Done)
TCP トランスポート制御プロトコル(Transport Control Protocol)
UDP ユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol)
VoIP 音声上のIP(Voice Over IP)
VOPS 音声最適化形電力節約(Voice Optimized Power Save)
WAN ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network)
WSS 無線ソフトスイッチ(Wireless Soft Switch)
【発明の開示】
【0006】
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施形態において、無線LANとセルラ通信システムとの間のハンドオフが与えられる。
【0008】
実施形態において、システムは、I.E.E.E.802.11上の音声を含むノマディックセルラサービス(nomadic cellular service)を提供するために設計されている。802.11のネットワークは、音声品質が許容可能である可能性が高い限り使用される。音声品質は測定され、許容可能レベルであるように維持される。実施形態において、音声品質が許容可能レベルよりも低く劣化すると、設計は、802.11と、例えば、CDMA 1xRTTとの間のシームレスな呼のハンドオフを可能にする。
【0009】
システムはユーザの体験を統合し、ユーザが、セルラサービスを支援するのに使用される、基礎となる移送にほとんど気付かないようにする。付加価値の1つは、ユーザがWANからLANへ移動するときに、ユーザが使用するユーザインターフェース(user interface, UI)が変わらないままであることを保証することである。
【0010】
支援される重要なセルラの特徴は、次に示すものを含むが、これらに制限されるわけではない。
【0011】
拡張可変レートコーデック(EVRC)を使用する音声サービス(MOおよびMT)
SMS(MOおよびMT)
セルラの(CDMAのような)補助サービス
2つのエアインターフェース間のアイドルのハンドオフ
802.11およびCDMA 1xRTTからのシームレスな呼のハンドオフ
例えば、オビワンセルラサーバ(OCS)は、特別な種類のBSCであり、標準相互運用性仕様(IOS)4.2 A1およびA2インターフェイスを支援する。OCSサーバは、オペレータのネットワーク内に配備され、無線ユニットのクライアントを支援し、セルラサービスを提供する。
【0012】
無線ユニットは、加入者局、加入者ユニット、移動局、モバイル、遠隔局、遠隔端末、アクセス端末、ユーザ端末、ユーザエージェント、またはユーザ装置とも呼ばれ得る。加入者局は、セルラ電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol, SIP)電話、無線ローカルループ(wireless local loop, WLL)局、パーソナルディジタルアシスタント(personal digital assistant, PDA)、無線接続能力をもつハンドヘルドデバイス、または無線モデムに接続された他の処理デバイスでもあり得る。
【0013】
アーキテクチャ
実施形態にしたがう一般的なシステムアーキテクチャが、図1に示されている。図1は、CDMA−WLANのインターワーキングアーキテクチャの全体図を提示しており、これは、CDMAシステムの加入者のための公衆WLANアクセスサービスの供給を可能にする。これらの可能化機能は、CDMA加入の再生、システムの選択、単一認証機構、呼ルート設定およびサービスアクセス、並びにエンドユーザの課金を含む。インターワーキング機能は、WLANアクセスシステムに対して特別な要件を何も設定することなく達成されるが、IEEE 802.11標準に基づく一般的なWLANアクセスネットワークにおいて使用可能な既存の機能に依存し、標準のWLANシステムとCDMAネットワークとの間のゲートウェイとしての役割を果たすOCSを取り入れる。
【0014】
OCSは、SIPとIOSプロトコルとの間で変換する責務を負う。これは、無線ユニットのためのSIPサーバとして、およびMSCのためのCDMAのBSCとして機能する。SIPレジスタは、SIP/WLAN領域内のユーザを登録するのに使用される。SIPレジスタは、SIP/WLAN領域内の各ユーザのために、IMSI/ESNとIPアドレスとの間の変換を維持する。
【0015】
媒体ゲートウェイ(MGW)およびシグナリングゲートウェイ(SGW)は、OCSによって制御され、シグナリングためにA1/SS7/T1/E1を使用し、音声転送のためにA2/T1/E1によって、MSCと通信するのに使用される。シグナリングゲートウェイは、SIGTRAN(IP)とSS7との間で変換し、媒体ゲートウェイはボコーダを含み、EVRC/RTPとPCM/T1/E1との間で変換する。
【0016】
ネットワークは、MSC(ソフトスイッチ)を含み、SIP/WLANモードで無線端末にサービスを提供する。このMSCは、OCS/MGWへの標準のIOS A1およびA2インターフェースを支援する。このMSCは、CDMA無線ネットワークへハンドオフするためのIS−41ネットワークにも接続されている。
【0017】
図2は、実施形態にしたがうシグナリング経路200およびプロトコルスタック201を示している。図2は、(SGW204をもつ)OCS202が、IOS/IP206とIOS/SS7プロトコル208との間で変換するやり方を示している。OCS202は、SIP/UDP/IPプロトコルで無線デバイス210と、IOS/SS7プロトコルを使用してMSC(SS)212と通信する。無線デバイス210は、802.11プロトコル214を使用して、WLANのAP212に接続される。WLANのAP212は、IPネットワーク216に接続されている。IPネットワーク216は、SIP218を使用して、OCS202に接続される。MSC(SS)212は、CDMA222を使用して、CDMAネットワーク220に接続される。CDMAネットワーク220は、HLR224およびSMSC226に接続される。
【0018】
シグナリング経路は、SIP230、IOS232、およびCDMA234を示している。
【0019】
示されているプロトコルスタックは、無線端末236、WLANのAP238、OCS240、SGW242、MSC244、およびCDMAネットワーク要素246を含む。
【0020】
無線端末のプロトコルスタック236は、SIP248、UDP250、IP252、および802.11 254を含む。WLANのAPのプロトコルスタック238は、802.11 256および802.3 258を含む。OCSのプロトコルスタック240は、SIP260、UDP262、IP264、802.3 266、IOS268、SIGTRAN270、IP272、および802.3 274を含む。SGWのプロトコルスタック242は、SIGTRAN276、IP278、802.3 280、SS7 282、およびT1/E1 284を含む。MSCのプロトコルスタック244は、IOS286、SS7 288、T1/E1 290、CDMA292、SS7 294、T1/E1 296を含む。CDMAネットワーク要素のプロトコルスタック246は、CDMA297、SS7 298、およびT1/E1 299を含む。
【0021】
図3は、実施形態にしたがう音声経路300およびプロトコルスタック301を示している。
【0022】
図3は、MGW304が、EVRCとPCMプロトコルとの間で変換するのに使用されるやり方を示している。無線端末は、EVRS/RTP/UDP/IPプロトコルを使用して、MGW304と音声パケットを交換し、一方でMGW304は、PCM/E1/T1プロトコルを使用して、MSC306(またはPSTN308)と音声フレームを交換する。
【0023】
シグナリング経路300は、無線端末310が、802.11 314を使用して、WLANのAP312に接続されるのを示している。WLANのAP312は、IPネットワーク316に接続される。IPネットワーク316は、VoIP318を使用して、S/MGW304に接続される。S/MGW304は、PCM/T1(A2)320を使用して、MSC(SS)306に接続される。
【0024】
シグナリング経路300は、VoIP322およびPCM/T1324を示している。
【0025】
示されているプロトコルスタック301は、無線端末324、WLANのAP326、MGW328、MSC330、およびPSTN332を含む。
【0026】
無線端末のプロトコルスタック324は、EVRC334、RTP336、UDP338、IP340、および802.11 342を含む。WLANのAPのプロトコルスタック326は、802.11 344および802.3 346を含む。MGWのプロトコルスタック328は、EVERC348、RTP350、UDP360、IP362、802.3 364、PCM366、およびT1/E1 368を含む。MSCのプロトコルスタック330は、PCM370およびT1/E1 372を含む。PSTNのプロトコルスタックは、PCM374およびET1/E1 376を含む。
【0027】
加入管理
主として、セルラ加入は、サービスを管理するのに使用されるであろう。これは、セルラのESNおよびIMSIが、AKEYと共に使用されることを示唆する。
【0028】
オビワン対応端末は、WLAN環境において動作しているとき、呼処理シグナリングにSIPを使用するであろう。これは、SIPシグナリングインフラストラクチャを使用して、セルラ加入を通すであろう。
【0029】
OCSは、インターネットアドレス(TCP/IPアドレスおよびポート、またはUDP/IPアドレスおよびポート)とセルラ加入との間のマッピングを、永久冗長記憶装置(persistent redundant storage)に記憶するであろう。
【0030】
ハンドオフ管理
ハンドオフは、アクティブモードおよびアイドルモードの両者のために定義されている。問題は、802.11のAPが配備され、クライアントがこれらの802.11ネットワークにおいて使用されるときに性能を維持する種々のやり方の全てのために設計することである。
【0031】
4つのタイプのハンドオフは、次のものを含む。
【0032】
WLANネットワーク内でのAP間のハンドオフ(通話またはアイドルモード)
WLANからCDMAへのハンドオフ(通話またはアイドルモード)
CDMAからWLANへのハンドオフ(アイドルモードのみ)
CDMAネットワーク内でのBS間のハンドオフ(通話またはアイドルモード)
ハンドオフの4つのタイプの全ては、アイドルモードにおいて支援され、CDMAからWLANへのハンドオフを除く全てのタイプのハンドオフは、通話モードにおいて支援されている。
【0033】
AP間のハンドオフ
AP間のハンドオフは、無線端末が、1つのAPの受信可能領域から、別のAPの受信可能領域へ移動するときに行われる。AP間のハンドオフに含まれる3つの段階を示す。
【0034】
ハンドオフトリガ:これは、無線端末とOCSとの間のリンクの品質が不適切であるときに行われるであろう。トリガが、必ずしもハンドオフをもたらすとは限らず、ハンドオフの結果は、サーチ段階に依存することに注意すべきである。さらに加えて、トリガは、AP間のハンドオフの代わりに、CDMAネットワークへのハンドオフをもたらすこともある。
【0035】
サーチ:無線端末は、新しいAPをサーチし、最強の信号強度をもつAPを選択するであろう。このAPが、現在のAPよりも、ヒステリシスレベルを越える分、良好であれば、ハンドオフが開始されるであろう。(これは、ピンポン作用を妨げる)。サーチ段階の一部は、(OCSのデータベースと共同で)候補のAPのリストを構成することによって、ハンドオフのトリガ前に行われ得る。
【0036】
完了:無線端末は、新しいAPとの接続を設定する。これは、802.11の認証、802.11の関係付け、およびより高いレイヤの機能を含む。
【0037】
実施形態にしたがうAP間のハンドオフに含まれる動作のフローチャートは、図4に示されている。ステップ402において、新しいAPを加える。候補APのリストは、OCSおよびAPから得られる。ステップ404において、無線端末は、通話モードである。走査は、候補APのリストを更新するために行われる。802.11およびCDMAのリンク品質が監視される。ステップ406において、CDMAハンドオフトリガで、CDMAの信号が第1の閾値より高く、CDMAのハンドオフが許可されるかどうか判断するために、試験が行われる。試験に不合格すると、制御の流れはステップ408に進む。試験に合格すると、制御の流れはステップ410に進む。
【0038】
ステップ408において、最良の段1のAPが第2の閾値よりも良好であり、AP間のハンドオフが許可され、AP間の試行数は第3の閾値よりも低いかどうか判断する試験が行われる。試験に合格すると、制御の流れはステップ412に進み、そうでないときは、制御の流れはステップ414に進む。
【0039】
ステップ412において、最良の段1のAPへのハンドオフが試みられる。ハンドオフが成功すると、制御の流れはステップ402に進む。ハンドオフが失敗すると、ステップ416において、APはリストから取り除かれ、制御の流れはステップ408に進む。
【0040】
ステップ414において、CDMAの信号が第4の閾値より高く、CDMAのハンドオフが許可されるかどうか判断する試験が行われる。試験に合格すると、制御の流れはステップ410に進む。試験に不合格すると、制御の流れはステップ418に進む。
【0041】
ステップ410において、CDMAへのハンドオフが試みられる。ハンドオフが成功すると、ステップ420において、無線端末はCDMAモードで動作する。ハンドオフが失敗すると、ステップ422において、CDMAのハンドオフは、ローカルデータベースにおいて許可されないように設定され、制御の流れはステップ408に進む。
【0042】
ステップ418において、最良の段2のAPが第5の閾値よりも良好であり、AP間のハンドオフが許可され、AP間の試行数が第6の閾値よりも低いかどうかを判断する試験が行われる。試験に合格すると、制御の流れはステップ424に進み、そうでないときは、制御の流れはステップ426に進む。
【0043】
ステップ426において、CDMAおよび802.11のリンクの完全な走査が行われる。CDMAのハンドオフは、許可されるように設定され、AP間の試行数は0に設定される。制御の流れはステップ408に進む。
【0044】
ステップ424において、最良の段2のAPへのハンドオフが試みられる。ハンドオフが成功すると、制御の流れはステップ402に進む。ハンドオフが失敗すると、制御の流れはステップ428に進む。ステップ428において、APは、リストから取り除かれ、制御の流れはステップ408に進む。
【0045】
AP間のハンドオフは、(セルラのハンドオーバにおいて一般に使用されているモバイル支援のハンドオフとは対照的に)802.11のシステムにおけるようにモバイル制御される。
【0046】
ハンドオフにおけるステップは、ハンドオフトリガの生成であり、これは、現在のリンクの品質が不適切であることを本質的に表している。ハンドオフトリガに基づいて、CDMAネットワークまたは別のAPへのハンドオフが実行される。ハンドオフの実行自体は、無線端末において維持されている候補APのリストに依存する。ハンドオフの最終ステップは、ハンドオフの実行であり、これは、新しい音声経路の設定と、古い音声経路の終了とを含む。
【0047】
ハンドオフオフトリガ
ハンドオフトリガの生成は、無線端末がアイドルモードであるか、通話モードであるかに依存して、異なる機構によって規制される。
【0048】
通話モードにおけるハンドオフトリガ
WLANの通話モードにおいて、2つのタイプのハンドオフトリガ、すなわち、AP間のハンドオフトリガ、およびWLANからCDMAへのハンドオフトリガが生成され得る。
【0049】
現在のAPのリンク品質が劣化し、異なるAPに移ることが性能を改善すると考える理由があるとき、AP間のハンドオフトリガが生成される。通信リンクは、無線端末−APリンクと、AP−OCSリンクとを含む。無線端末−APリンクが劣化する場合に、異なるAPに移ると、より良いリンクをもたらし得る。しかしながら、AP−OCSリンクは、ネットワーク上の全てのAP間で共有される可能性が高く、AP−OCSリンクの劣化は、CDMAネットワークへのハンドオフのみによって、回復されることができる。AP-OCSリンクが劣化すると、WLANからCDMAへのハンドオフトリガが生成され、一方でAP−無線端末リンクが劣化すると、AP間のハンドオフトリガが生成される。
【0050】
AP間のハンドオフトリガ
とくに、次に示す条件の何れかが満たされると、AP間のハンドオフトリガが生成される
アップストリーム伝送において、最大再試行回数に達する。
【0051】
データレートが最低許容値(1Mbps)に達する。データレートのシフトは、次の一定の手順にしたがう。フレームが3回再送されると、下方へのレートシフトが行われ、最後の2つの再送を送るのに、送付要求/送付クリア(RTS/CTS)が使用される。クライアントがデフォルトレートよりも低いレートでの伝送は、伝送が成功すると、短い時間間隔の後で、データレートを次のより高いレートに再び増加するであろう。
【0052】
(現在のAPから発信している)ダウンストリーム上のトラヒックは、閾値よりも高く、次の条件の何れかが満たされる。
【0053】
ダウンストリームのボコーダの緩衝器は、Handoff Empty Buffer Theshold(ハンドオフ空緩衝閾値)よりも高いものに対しては空である。
【0054】
アップストリーム緩衝器は、Handoff Buffer Theshold(ハンドオフ緩衝閾値)よりも高いパケットを含む。全アップストリーム緩衝器は、他の関係者がパケットの受信に成功していないことを示す。
【0055】
ここの(場合3における)目的は、トラヒック品質の劣化を、APにおける待ち行列によるものと、インターネットのバックボーンによるものとで区別することである。トラヒックが他のパケットによって占められている一方で、音声パケットが不規則に受信される(場合a)か、または不規則に送信される(場合c)とき、可能性の高い原因は、現在のAPにおける重いトラヒックである。この状況は、異なるAPに移ることによって修正されることができる。
【0056】
WLANからCDMAへのハンドオフトリガ
WLANからCDMAへのハンドオフトリガは、次の場合に行われる。
【0057】
3aまたは3bが満たされ、一方で、ダウンストリームのトラヒックが、閾値よりも低いとき(不規則なダウンストリームのトラヒックが、インターネットのバックボーンにおいて遅延によって生じている場合)。
【0058】
無線端末とOCSとの間のRTTが、3つの連続する測定において、ある特定の値を超えているとき。RTTは、無線端末とOCSとの間で定期的に交換される特別のRTT Request(RTT要求)パケットおよびRTT Ack(RTT Ack)パケットによって測定される。
【0059】
図4に示されているように、AP間のハンドオフが失敗するときも(WLANからCDMAへのハンドオフトリガが生成されないときでも)、WLANからCDMAへのハンドオフを行うことができる。
【0060】
アイドルモードにおけるハンドオフトリガ
次の3つの条件のうちの何れかが満たされているときは、ハンドオフプレトリガが生成される。
【0061】
活動状態保持(Keep Alive)のための最大再試行回数:活動状態保持パケットの伝送が、ある一定数よりも多くの再送を必要とするか、またはある一定量の時間よりも長くかかるとき。
【0062】
活動状態保持の遅延:活動状態保持パケットへの応答が、ある一定の遅延期間(例えば、300ms)内に受信されないとき。
【0063】
信号強度:受信ビーコンまたは活動状態保持応答の信号強度が、ある特定の閾値よりも低くなるとき。
【0064】
ハンドオフのプレトリガが生成されると、無線端末は、802.11の電力節約モードを終了し、標準動作モードで、活動状態保持パケットを送ることを試みる。活動状態保持応答が遅れるか、または低い信号強度をもつとき、無線端末は、ハンドオフトリガを生成する。
【0065】
候補APのリストの維持
ハンドオフトリガが生成されると、ハンドオフ実行機能が呼び出される。この機能は、引き数として、候補APのリストを要求する。現在の802.11の解決策では、ハンドオフトリガが生成された後で、走査が行われ、走査結果は、候補APのリストを構成するのに使用される。しかしながら、通話モードのオビワンでは、ハンドオフトリガ後に走査すると、遅延および音声品質の劣化をもたらし得る。このセクションでは、ハンドオフトリガが生成される前に、ハンドオフ候補APに関する情報を集めることによって、通話モードの無線端末の走査機能を最適化するいくつかの技術を記載する。
【0066】
ハンドオフトリガ前に集められた情報に関係なく、無線端末は目標のAPに、無線端末が目標のAPに実際に関係付けられる前に、プローブを必ず送ることに注意すべきである。走査を最適化する目的は、リスト上の真に第1のAPへのプローブ応答が、高い確率で成功するように、無線端末において候補リストを維持することである。
【0067】
候補APのリスト
WLANの通話モードまたはWLANのアイドルモードの無線端末は、ハンドオフを支援するために、候補APのリストを維持している。実施形態において、このリストは、各候補AP Yのために、次に示すエントリを含む。
【0068】
AP YのMACアドレス
AP YのSSID(ネットワーク識別)
AP Yからの最後に報告された信号強度
IP間のハンドオフに関係するメトリクス
IP間のハンドオフの信頼度(段1ないし4)
AP Yへの成功の通話モードのハンドオフ数
AP Yへの不成功の通話モードのハンドオフ数
AP Yへの成功の(しかし、緩慢な)アイドルモードのハンドオフ数
AP Yへの成功の(かつ、高速な)アイドルモードのハンドオフ数
AP Yへの不成功のモード間のハンドオフの数
呼品質の履歴(スケール0ないし7)
IP領域
セキュリティ設定(次の値の何れかをとることができる)
開放(セキュリティが保護されていない)
要求されるWEP(OCSにおけるキー)
要求されるWEP(端末におけるキーであるが、OCSでは使用可能ではない)
要求されるEAP(OCSにおけるキー)
要求されるEAP(無線端末におけるキーであるが、OCSにおけるキーではない)
ハンドオフの信頼度およびセキュリティ
信頼度のメトリクスは、(セキュリティ設定にしたがって)次のように解釈される。
【0069】
レベル1:信頼できない。オビワンサービスは使用可能ではない。APとの関係付けは試みられない。
【0070】
レベル2:僅かに有効。通話モードのAP間のモードはハンドオフされない。CDMAが使用可能でないときのみ、アイドルモードのAP間でハンドオフ。
【0071】
レベル3:適度に信頼できる。CDMAが使用可能でないときのみ、通話モードのAP間でハンドオフ。CDMAの信号レベルに関係なく、アイドルモードのAP間でハンドオフ。
【0072】
レベル4:非常に信頼できる。CDMAの信号が使用可能であるときでも、通話およびアイドルモードのAP間でハンドオフ。
【0073】
候補リストの順番は、ハンドオフの段と、報告された信号強度とに基づく。先ず、信号強度にしたがってレベル4の候補、次に、信号強度にしたがってレベル3のハンドオフ候補、等を分類する。
【0074】
いくつかの配備では、OCSのデータベースは、無線端末が候補APへのハンドオフを可能にするセキュリティキーをもたないことがある。APが、OCSまたは無線端末の何れかにおいて使用可能でないセキュリティキーを要求するとき、無線端末は、APのハンドオフ信頼度をレベル2に移す。
【0075】
OCSのデータベースの保守
OCSのデータベースは、候補APのリストを初期設定する。OCSのデータベースは、各APのために、次の形式のエントリを含む。そのエントリは、既知の近隣APのアドレスのリストと、それらの特性のいくつか、例えば、最後に報告された信号強度、呼品質の履歴、およびセキュリティ設定を含む。
【表1】

【0076】
AP間のハンドオフの列におけるエントリを次に記載する。
【0077】
AP間のハンドオフの信頼度(段1ないし4)
AP Yへの成功の通話モードのハンドオフ数(S)
AP Yへの不成功の通話モードのハンドオフ数(F)
AP Yへの成功の(しかし、緩慢な)アイドルモードのハンドオフ数(S)
AP Yへの成功の(かつ、迅速な)アイドルモードのハンドオフ数(Q)
AP Yへの不成功のモード間のハンドオフ数(F)
OCSのデータベースにおけるAP間のハンドオフの信頼度は、(セキュリティ設定のために)無線端末の候補リストにおける信頼度と異なり得る。
【0078】
自己IDに対応する行のエントリは、次のように構成される。異なるタイプのハンドオフ数が、単に、より低い行の和である一方で、段は、レコード内の全APの最低の段である。
【0079】
AP Xの近隣APのリストのエントリは、無線端末がWLANの通話またはWLANのアイドルモードであるときに行われる測定値に基づいて更新され、AP Xと関係付けられる。無線端末が、次のイベントの1つをOCSに通信するたびに、OCSのデータベースが更新される。接続が切断された場合に、この通信は、そのイベントの発生後、数分または数時間も行われ得ることに注意すべきである。
【0080】
次のOCSのデータベースのイベントは、ハンドオフを支援するために行われる。これらのイベントは、本明細書の他の場所に定義されているイベントに追加される。
【0081】
レコードの生成:無線端末は、APと関係付けられるたびに、OCSと通信する。
【0082】
AP Xに対応するエントリがないときは、OCSのデータベースは新しいエントリを生成する。このエントリは、次のように初期設定される。
【0083】
CDMA Handoff Reliability=3(CDMAのハンドオフの信頼度=3)
Inter−AP Handoff Reliability=3(AP間のハンドオフの信頼度=3)
Overall Service Quality=4(全体的なサービス品質=4)
OCSのデータベース内にレコードがあるとき、それが候補APのリストを形成するのに使用される場合は、OCSは無線端末へエントリを送る。
【0084】
新しい近隣APをレコードに追加:無線端末は、OCSによって与えられたリスト上にないAPを(走査中に)検出するたびに、AP Xのエントリ内に新しい行を加えるようにOCSに要求する。呼品質およびIP領域の行のエントリは、OCSのデータベース内のAP Yのレコードを調べることにより埋められ、AP YがOCSのデータベース上にないときは、これらは、デフォルト値Call Quality Init(呼品質開始)および0.0.0にそれぞれ設定される。SSIDおよびチャネル(channel, Ch)のエントリは、AP Yによって送られたプローブ応答を使用して埋められる。新しいAPのセキュリティ設定は、そのSSIDにしたがって設定される。ハンドオフの信頼度のエントリは、新しいAPのSSIDに依存して初期設定される。
【0085】
新しいAPが、AP Xと同じSSIDをもっているときは、そのハンドオフ信頼度は、4に設定される。
【0086】
この新しいAPが、異なるSSIDをもっているときは、そのハンドオフ信頼度は、3に設定される。
【0087】
AP Yへの成功の通話モードのハンドオフ:AP Yに対応する行のハンドオフ履歴エントリを修正する。ハンドオフの信頼度を1、増加する。
【0088】
AP Yへの成功のアイドルモードのハンドオフ:AP Yに対応する行のハンドオフ履歴エントリを修正する。成功のアイドルモードのハンドオフには、2つのタイプ、すなわち、迅速および緩慢がある。
【0089】
迅速(Quick):迅速なアイドルモードのハンドオフ数が、2で割り切れる数と交わるときは、ハンドオフの信頼度を1、増加する。
【0090】
緩慢(Slow):緩慢なアイドルモードのハンドオフ数が、5で割り切れる数と交わるときは、ハンドオフの信頼度を1、ただし、3を越えないように増加する。
【0091】
AP Yへの不成功の通話モードのハンドオフ:AP Yに対応する行へのハンドオフ履歴エントリを修正する。不成功の通話モードのハンドオフ数が、2で割り切れる数と交わるときは、ハンドオフの信頼度を1、低減する。
【0092】
AP Yへの不成功のアイドルモードのハンドオフ:AP Yに対応する行へのハンドオフ履歴エントリを修正する。不成功のアイドルモードのハンドオフ数が、4で割り切れる数と交わるときは、ハンドオフの信頼度を1、低減する。
【0093】
CDMAネットワークへの成功のハンドオフ:CDMAのハンドオフ履歴を修正し、CDMAのハンドオフの信頼度を1、インクリメントする。
【0094】
CDMAネットワークへの不成功のハンドオフ:CDMAのハンドオフ履歴を修正し、CDMAのハンドオフの信頼度を1、低減する。
【0095】
802.11の走査の基本
802.11標準は、ハンドオフのための候補APのサーチを行う走査の機構を定めている。走査される各チャネルにおいて、無線端末は、次の動作を行う。
【0096】
(1msの遅延を仮定して)トランシーバを希望周波数に移動する。
【0097】
バックオフウィンドウをプローブ遅延期間(通常は、100μs)に、NAVベクトルを0に設定する。正規のDCF動作を開始する。
【0098】
チャネルがプローブ遅延の間、空いていないときは、現在の伝送にしたがってNAVを設定する。
【0099】
プローブパケット(パケット期間は250μs)を伝送する。
【0100】
(約1msの遅延が観測される)プローブパケットに対する応答を待つ。
【0101】
プローブパケットには、2つのタイプ、すなわち、同報通信またはユニキャストがある。同報通信プローブは、宛先アドレス、ff:ff:ff:ff:ff:ffをもち、何れかのAPが、それに応答し得る。ユニキャストプローブは、特定の宛先アドレスをもち、プローブパケットの宛先アドレスをもつAPのみが、ユニキャストプローブに応答する。
【0102】
連続的に更新される候補APのリスト
実施形態にしたがって、高速のハンドオフを与えるために、通話モードの間、連続的なアクティブな走査が支援される。連続的な更新が使用されるときは、走査間隔秒(例えば、1秒)ごとに、通話モードの無線端末は、1本のチャネルを走査する。可能であれば、走査の動作は、(無線端末が別のチャネルを走査している間に、ダウンストリームパケットが失われるのを防ぐために)パケットがダウンストリーム上で受信された直後に始まる。走査結果は、現在のAPへのリンクが劣化する場合に使用されるハンドオフ候補リストを構築するために使用される。
【0103】
実施形態では、チャネル走査およびハンドオフ候補のリストの更新は、これらの規則にしたがう。
【0104】
ハンドオフ候補のリストは、各候補のエントリに基づいて分類される。したがって、ハンドオフ候補のリストは、例えば、呼品質履歴に部分的に基づいて分類され得る。
【0105】
1つ置きのプローブが、ハンドオフ候補リストの最上位のAPのチャネル上で送られる。
【0106】
他のプローブは、ハンドオフ候補リストに含まれている全チャネルを循環する。
【0107】
Scan Other Channel(他チャネルの走査)秒置きに、無線端末は(規則2にしたがって)、ハンドオフ候補リストに含まれていないチャネルを走査する。
【0108】
各プローブ応答は、ハンドオフ候補リスト(とくに、最後に観測された信号強度のフィールド)を更新するのに使用される。
【0109】
新しいAPが走査中に検出されると、OCSのデータベースが知らされる。
【0110】
実験結果において、チャネル走査(プローブおよび応答動作)が、約2msを必要とすることが分かった。チャネルをスイッチするのにかかる時間が1msであると仮定すると、通話モードの無線端末はチャネルを走査し、約4msで元のチャネルへ戻ることができる。この時間は、MACのハードウェアが走査モードにスイッチするのにかかる時間を含まない。802.11のチップセットにおける長所の1つは、それが迅速な走査を可能にすることである。
【0111】
アイドルモードにおける走査手続きは異なる。Idle Mode Scan Interval(アイドルモード走査間隔)秒ごとに、無線端末は全チャネルの走査を行う。この走査は、OCSのデータベースを更新するのに使用されるが、候補APのリストは、アイドルモードにおいて使用されない。その代わりに、全チャネルの走査は、ハンドオフの前に行われる。
【0112】
ハンドオフの実行
通話モードのハンドオフ実行:候補APのリストは、各候補のエントリに基づいて分類される。リストの最上位のAPの信号強度が十分であるとき、リストの最上位のAPへのハンドオフが試みられる。ハンドオフが失敗すると、無線端末は、候補リスト上の次のAPとリンクすることを試みて、タイマが切れるまでか、または最大数のハンドオフの試みが行われるまで、この処理を継続する。詳細については、図4を参照。
【0113】
アイドルモードのハンドオフの実行:無線端末は、802.11の電力節約モードを実行し、動作規制領域にとって有効な全チャネルを走査し、候補APのリストを構築し、0において与えられている規則にしたがってリストを分類する。ハンドオフが失敗すると、無線端末は、候補リスト上の次のAPとリンクすることを試みて、タイマが切れるまでか、または最大数のハンドオフ試行が行われるまで、この処理を継続する。無線端末は、全てのハンドオフが完了すると、活動状態保持(keep alive)を送る。この活動状態保持は、ハンドオフの完了にかかった時間を含み、OCSによってそのデータベースをリフレッシュするために使用される。ハンドオフが完了した(OCSとのメッセージの交換が成功した)後に、無線端末は、802.11の電力節約モードに再びスイッチする。ハンドオフのための厳格な機構は、WLANの配備において実施されているセキュリティのレベルに依存する。
【0114】
セキュリティを備えていないハンドオフ
先ず、セキュリティが設定されていない、またはWEPセキュリティの設定のみが使用されている、最も単純な場合を検討する。これらの単純な場合において、ハンドオフの処理は、次のステップを含む。
【0115】
認証要求を送り、認証応答を得る。これは、WEPキーが、もし割り当てられているならば、使用される段階である。無線端末は、OCSのデータベースまたは無線端末におけるローカルデータベースからWEPキーを得る。
【0116】
関係付け(association)要求を送り、関係付け応答を得る。
【0117】
AP間のプロトコルを使用して、そのリストから無線端末を取り除くことを、古いAPに知らせる。
【0118】
SNAPを使用して、無線端末のパケットを新しいAPに送ることを、APサブネットにおけるスイッチに知らせる。
【0119】
セキュリティを備えたハンドオフ
セキュリティは、802のネットワーク上で拡張認証プロトコル(extended authentication protocol, EAP)を特定する802.1xの標準を使用して実施される。
【0120】
音声モードにおける802.11から1xへのハンドオフ
アクティブ状態のハンドオフは、802.11の動作モードから、本来の1xRTTモードへのハンドオフを特徴としている。
【0121】
AP間のハンドオフか、CDMAのハンドオフかの決定
現在のAPが、低い信号強度をもつとき、CDMAのネットワークへハンドオフするか、またはWLANへハンドオフするかを決定することが必要である。実施形態にしたがって、例えば、(1つのみのAPをもつ)ホームWLANでは、別のAPへのハンドオフを試みることは、追加の遅延をもたらすことになり、WLANのリンクが劣化すると直ぐに、CDMAネットワークへのハンドオフが試みられる。他方で、企業の配備では、多数のAPがあることが多く、CDMAのネットワークへのハンドオフが試みられる前に、別のAPへのハンドオフが試みられるべきである。
【0122】
呼中(または、呼が始まる前)に行われた走査が、他のAPが使用可能でないことを示す場合は、WLANか、CDMAかの決定は明らかであり、CDMAへのハンドオフであるに違いない。しかしながら、他のAPが存在するときは、WLANへのハンドオフか、またはCDMAへのハンドオフかを決定する必要がある。この決定が重要である理由を次に示す。
【0123】
WLANへのハンドオフは、空のスペクトルの使用を最大化する。
【0124】
新しいIPアドレスを得る必要があるとき、またはWLANの配備が過度の遅延をもたらすとき、WLANへのハンドオフは、過剰な遅延を引き起こす。
【0125】
OCSのデータベースは、無線端末が、WLANへハンドオフすべきか、またはCDMAへハンドオフすべきかを決定するのを助ける。この決定処理の詳細は、図4のフローチャートに与えられている。通話モードのWLANからCDMAへのハンドオフは、WLANからCDMAへのハンドオフのトリガがあるとき、または閾値よりも高い信号強度をもつ信頼度レベル4のAPがないときに試みられる。
【0126】
WLANからCDMAへのハンドオフの原則
ハンドオフの前に、ユーザ端末は、シグナリングプレーンにおいて802.11のプロトコルスタックのIPのSIPを、トラヒックプレーンにおいてVoIPのスタックを採用する。ハンドオフ手続きの完了後に、ユーザ端末は、シグナリングプレーンにおいて本来のIS−2000の1xRTTシグナリングプロトコルスタックを、トラヒックプレーンにおいて本来のIS−2000の1xRTTの音声処理を採用する。
【0127】
目標のCDMAのBTS、目標のCDMAのBSC、および目標のIS−41のMSCは、標準の構成要素である。ハンドオフ手続き全体におけるOCSとIS−41のMSCとの対話は、IS−41およびIOSの仕様にしたがう。展開は、OCSおよびユーザ端末のみにおいて許可され、要求される。
【0128】
802.11の動作モードにおける音声呼中に、無線端末は、両者のネットワーク(802.11およびCDMA)を監視すべきである。802.11の受信電力が、ある特定の閾値よりも低くなると、無線端末は、両者のネットワークの受信電力をOCSへ報告すべきである。次に、OCSは、CDMAへのシステム間のハンドオフ手続きを起動し得る。したがって、このハンドオフ手続きは、モバイル支援形である。この手続きの一部として、OCSは、ハンドオーバコマンドを送るべきであり、これは、IS−41のMSCからユーザ端末へ受信される。次に、ユーザ端末は、802.11の動作モードにおけるその動作を終了し、1xRTTモードに同調し、そのCDMAのプロトコルスタックをアクティブモードへキックスタートし、目標の基地局と共に標準のCDMAのハンドオフ順序を行うべきである。
【0129】
ハンドオフトリガ
WLANからCDMAへのハンドオフは、2つの場合、すなわち、WLANからCDMAへのハンドオフのトリガがあるとき、またはAP間ハンドオフが失敗するときにおいて行われ、CDMAネットワークへのハンドオフが要求されることになる(図4における詳細を参照)。
【0130】
次の条件の何れかが満たされるとき、WLANからCDMAへのハンドオフのトリガが生成される。
【0131】
ダウンリンク上で、Handoff Timeout Threshhold(ハンドオフタイムアウト閾値)のパケットが受信されない。
【0132】
ダウンストリーム上で失われたパケットの一部が、Handoff PacketLoss Threshold(ハンドオフパケット損失閾値)を超えている。
【0133】
各動作モード(802.11およびCDMA)において、個別のRFチェーンおよびファームウェアが、ユーザ端末によって使用されるであろう。802.11の呼中に、ユーザ端末は、別々のハードウェアを使用して、802.11およびCDMAの両者のネットワークを定期的に監視するべきである。無線端末は、CDMAシステムのパイロットチャネルを得ることを試みるべきである。第1のパイロットチャネルを得た後で、無線端末は、さらに、関係付けられた同期およびページングチャネルを得て、タイミング情報、SIDとNIDとの対、近隣リストメッセージ、およびCDMAシステムのBASE IDを得る。次に、無線端末は、スロットサイクル表示0をもつ、低減された特徴のCDMAアイドル状態に留まり、必要に応じて、近隣セルへアイドルモードのハンドオフを行うべきである。無線端末は、受信した4本の最強のパイロットチャネルと、関係付けられたPNオフセット、受信電力、およびBASE IDのリストを維持すべきである。
【0134】
OCSは、ハンドオフのための目標のCDMAのセル以外の離れた場所に存在し得る。その結果、本来のCDMAとは異なり、OCSは、PNオフセットのみに基づいて、目標CDMAセルの固有の識別を判断することができない。したがって、無線端末は、目標のセルのページングチャネルを得て、システムパラメータメッセージからBASE IDを得るべきである。標準のCDMA設計および実施を再使用するために、無線端末は、上述のアイドル状態の特色に留まるべきである。これは、バッテリ消費量をわずかに浪費するが、実施を相当に単純にし得る。
【0135】
ユーザ端末は、802.11モードの受信電力およびレートも監視すべきである。802.11のネットワークの受信電力が、所定の閾値よりも低くなる場合に、ユーザ端末は、PSMMのようなシグナリングメッセージをOCSに送って、両者のネットワークの受信電力を報告すべきである。PSMMのようなシグナリングメッセージは、CDMAシステムのSIDおよびNID、報告されたセルのBASE ID、および受信電力を含むべきである。この測定報告に基づいて、OCSは、CDMAへのシステム間のハンドオフ手続きを起動し得る。
【0136】
ハンドオフの実行
OCSがCDMAへのシステム間のハンドオフ手続きを起動すると判断すると、図5に示された手続きが、システムによって実行される。
【0137】
ステップ501において、無線端末は、802.11のシステムの受信電力が所定の閾値よりも低くなったことを検出する。その結果、無線端末は、電力測定報告(power measurement report)シグナリングメッセージを、802.11ネットワーク上でOCSへ送る。このメッサージは、802.11とCDMAの両者のネットワークの受信電力の測定値を含む。
【0138】
ステップ502において、無線端末が、信号強度のネットワーク別の閾値を越えたという無線端末の報告に基づいて、OCSは、CDMAのネットワークへのハードなハンドオフを薦める。OCSは、IOSのハンドオフが要求されたというメッセージ(IOS Handoff Required message)を目標のIS−41のMSCに送って、使用可能な資源をもつ目標を見付ける。
【0139】
ステップ503において、目標のIS−41のMSCは、ハンドオーバ要求メッセージ(Handover Request message)を、目標のIOSのBSSに送って、これから行われるハンドオフのための資源を準備するように、BSSに要求する。
【0140】
ステップ504において、目標のBSSは、適切な資源が使用可能であると判断し、順方向のヌルのトラヒックデータを伝送し始める。
【0141】
ステップ505において、目標のBSSは、ハンドオフ要求確認応答メッセージ(Handoff Request Acknowledgement message)をMSCへ送る。
【0142】
ステップ506において、MSCは、OCSから目標のBSSへスイッチする準備をし、ハンドオフコマンド(Handoff Command)をOCSに送って、目標のBSSからの情報を伝える。
【0143】
ステップ507において、OCSは、ユニバーサルハンドオフ指示メッセージ(Universal Handoff Direction Message, UHDM)を無線端末へ送って、確認応答を要求し得る。これらのメッセージは、802.11のネットワーク上で通される。
【0144】
ステップ508において、無線端末は、確認応答をOCSに送って、ユニバーサルハンドオフ指示メッセージの受信を確認する。
【0145】
ステップ509において、OCSは、ハンドオフを開始したというメッセージ(Handoff Commenced message)をMSCに送って、MSが目標のBSSに移ることを命令されたことを、それに知らせる。
【0146】
ステップ510において、無線端末はCDMAモードに同調し、そのプロトコルスタックをアクティブな呼状態へキックスタートする。次に、無線端末は、その割り振られたトラヒックチャネルに同調し、逆方向のヌルのトラヒックデータを伝送し始める。無線端末におけるプロトコルスタックの初期設定は、別途さらに記載される。
【0147】
ステップ511において、無線端末は、ハンドオフ完了メッセージ(Handoff Completion message)を目標のBSSに送る。
【0148】
ステップ512において、目標のBSSは、BSSのAck命令(BSS Ack Order)を、エアインターフェースによって、無線端末へ送る。
【0149】
ステップ513において、目標のBSSは、ハンドオフ完了メッセージ(Handoff Complete message)をMSCに送って、無線端末がハードなハンドオフを完了するのに成功したことを、それに知らせる。
【0150】
ステップ514において、MSCは、クリアコマンド(Clear Command)をOCSに送る。
【0151】
ステップ515において、OCSは、クリア完了メッセージ(Clear Complete message)をMSCに送って、消去が達成されたことをMSCに知らせる。
【0152】
ハンドオフ手続きのための全体的な一連のイベントは、図6に示されている。
【0153】
ユーザ端末におけるCDMAプロトコルの初期設定
ハンドオフを実行するために、無線端末は、その動作プロトコルスタックを、ハンドオフ前の802.11から、ハンドオフ後のCDMAへ置き換える必要がある。さらに加えて、CDMAのプロトコルスタックをそのアクティブな呼状態へ直接にキックスタートする必要がある。本来のCDMAの動作では、CDMAのプロトコルスタックは、ヌル状態から、アイドル状態、次に、アクティブな呼状態へ状態の遷移を行う。これらの状態遷移は、ネットワークのピアエンティティにおけるシグナリングメッセージの交換および同等の状態遷移のような、ネットワークとのたくさんの対話を伴う。対照的に、802.11からCDMAへのハンドオフのシナリオでは、CDMAのプロトコルスタックは、ユーザ端末において局所的にアクティブな呼状態へ直接に初期設定される。これは、例えば、無線端末のソフトウェアにハンドオフエージェントを取り入れることによって行われることができ、これが、CDMAのプロトコルスタックに対して1組の基本命令を実行して、要求された状態遷移を局所的に駆動する。CDMAのプロトコルスタックがアクティブな呼状態に入った後で、ハンドオフエージェントは、OCSから受信したハンドオーバコマンドシグナリングメッセージ(Handover Command Signaling message)を、CDMAのプロトコルスタックへ伝えることができる。次に、CDMAのプロトコルスタックは、標準のCDMAのハンドオーバ手順を、目標のBSSと共に行うことができる。
【0154】
全ての上述の処理は、(道理にかなっている限り)ユーザから隠されるべきであり、厳しい時間の制約を満たさなければならない。
【0155】
無線端末のソフトウェアのための設計のアプローチは、可能である限り如何なる場所でも、既存のAMSSの特徴およびAPIを使用し、必要に応じて、符号の変更を取り入れるべきである。
【0156】
図7は、ハンドオフ前の無線端末におけるプロトコルスタックを示している。
【0157】
図8は、ハンドオフ後の無線端末におけるプロトコルスタックを示している。
【0158】
アイドルモードのみにおける1xから802.11へのハンドオフ
実施形態において、1xから802.11へのハンドオフは、アイドルモードのみにおいて支援される。1xのアイドルモードでは、無線端末は、全ての802.11のチャネル上のエネルギを定期的に走査する。APからのエネルギが高いときは、無線端末は、自分自身をそのAPを用いて認証することを試みる。それは、1xのデータチャネルを使用して、OCSと通信し、適切なキーを得て、802.11のネットワークにアクセスすることができる。無線端末は、APと関係付けられると、ネットワーク(MSC)に登録するであろう。
【0159】
CDMAモードにおけるBS間のハンドオフ
CDMAモードにおけるBS間のハンドオフは、LANの動作から完全に独立している。
【0160】
本発明は、WLAN上でセルラの音声およびデータサービスを提供する。本発明は、請求書発行および配信から生まれたNGLANとの統合形セルラサービスも提供する。これは、適切なコアネットワークを統合することによって、困難な受信可能領域および配備の問題を軽減する。さらに加えて、システムは、802.11と後方互換性がある。
【0161】
1個/2個のネットワーク。セルラの数は、1xネットワークまたはNGLANの何れかに作用する。コアネットワークは、1xへサービスを配信するか、またはNGLANへサービスを配信するかを識別する。アイドルモードにおけるハンドオフは、ネットワーク間に移り、コアネットワークは、それを移動体に伝える。1xのハンドオフは、NGLANのアクティブな支援に対応している。
【0162】
サービスの統合
セルラサービスは、1xシステムを使用して提供される。NGLANサービスは、NGLANを使用して提供される。両者を同時に監視することができる。送出サービスは、好ましいアクセスを使用するように構成されることができる。AKEY、ESN、およびIMSIは、認証に使用される。RADIUSは、データ認証に使用される。請求書発行記録は、セルラシステムと一致する。このシステムは、SMSSの統合、補助サービス支援、シームレスなサービスの使用可能性、並びに1xおよびNGLANネットワークを同時に監視することについての様子および気配を保持している。
【0163】
システムは、1xおよびNGLANネットワークを同時に監視する能力を備えている。ハンドオフトリガおよび目標選択支援は、ハンドオフが必要であるかどうか判断するのを助ける。好ましい実施形態では、これは、約80秒で行われる。さらに加えて、システムは、約20ミリ秒以内で目標を判断する。802.11と1xとの間でスリープモードは調整され、コアのBSCの開発支援が統合される。
【0164】
NGLAN−>1xのハンドオフ
NGLANは、端末起動される。メッセージの流れは、CDMA 2000におけるものと類似している。IP−BSCとクライアントの間のメッセージは、インターネットプロトコルによって通される。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】実施形態にしたがう一般的なシステムアーキテクチャ。
【図2】実施形態にしたがうシグナリング経路およびプロトコルスタックを示す図。
【図3】実施形態にしたがう音声経路およびプロトコルスタックを示す図。
【図4】実施形態にしたがうAP間のハンドオフに含まれる動作のフローチャート。
【図5】実施形態にしたがうハンドオフ実行手続きを示す図。
【図6】ハンドオフ手続きの一連のイベントを示す図。
【図7】実施形態にしたがうハンドオフ前の無線端末におけるプロトコルスタックを示す図。
【図8】実施形態にしたがうハンドオフ後の無線端末におけるプロトコルスタックを示す図。
【符号の説明】
【0166】
100・・・一般的なシステムのアーキテクチャ、200・・・シグナリング経路、201,301・・・プロトコルスタック、300・・・音声経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルエリアネットワーク(Local Area Network, LAN)からCDMAネットワークへ無線端末をハンドオフする方法であって、
複数のアクセスポイント(Access Point, AP)からAP候補リストを判断することと、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストを分類することと、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストからAPを選択することと、
無線端末リンクの品質に部分的に基づいて、ハンドオフがトリガされたことを判断することと、
ハンドオフトリガが行われるときに、選択されたAPを接続し、選択されたAPの信号強度が、現在のAPの信号強度よりも、ヒステリシスレベル分、より大きいこととを含む方法。
【請求項2】
複数のアクセスポイント(AP)からAP候補リストを判断する手段と、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストを分類する手段と、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストからAPを選択する手段と、
無線端末リンクの品質に部分的に基づいて、ハンドオフトリガがトリガされたことを判断する手段と、
ハンドオフトリガが行われるときに、選択されたAPを接続する手段であって、選択されたAPの信号強度が、現在のAPの信号強度よりも、ヒステリシスレベル分、より大きい手段とを含む無線端末。
【請求項3】
ローカルエリアネットワーク(LAN)からCDMAネットワークへ無線端末をハンドオフする方法を行うコンピュータープログラムによって実行可能な命令のプログラムを具体化するコンピュータ読出し可能媒体であって、方法が、
複数のアクセスポイント(AP)からAP候補リストを判断することと、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストを分類することと、
複数のAPの信号強度に部分的に基づいて、AP候補リストからAPを選択することと、
無線端末リンクの品質に部分的に基づいて、ハンドオフがトリガされたことを判断することと、
ハンドオフトリガが行われるときに、選択されたAPを接続し、選択されたAPの信号強度が、現在のAPの信号強度よりも、ヒステリシスレベル分、より大きいこととを含むコンピュータ読出し可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−509590(P2007−509590A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536931(P2006−536931)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/035480
【国際公開番号】WO2005/041612
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】